標的細胞中のウイルスゲノム量を減少させるための方法および組成物
【課題】標的細胞中のウイルスゲノム量を減少させるための方法および組成物の提供。
【解決手段】例えば、miRNA阻害剤を標的細胞に導入する工程によるなど、標的細胞中のウイルスゲノムの量を減少させるのに十分な方法で、miRNAの活性を阻害する。また、本方法を実施する際に使用するための薬学的組成物、キット、およびシステム。例えばHCV媒介性疾患状態など、ウイルス媒介性疾患状態を患う被験体の治療を含む、様々な適用における使用が見出される。
【解決手段】例えば、miRNA阻害剤を標的細胞に導入する工程によるなど、標的細胞中のウイルスゲノムの量を減少させるのに十分な方法で、miRNAの活性を阻害する。また、本方法を実施する際に使用するための薬学的組成物、キット、およびシステム。例えばHCV媒介性疾患状態など、ウイルス媒介性疾患状態を患う被験体の治療を含む、様々な適用における使用が見出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)項に従って、本出願は、2004年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/568,358号の出願日に対する優先権を主張し、これの開示は参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
序文
発明の背景
ウイルス感染は継続的な医療問題である、なぜなら、任意の急速に分裂する感染性物質と同様に、ウイルスの一部のサブ集団が現在の治療法に耐性であり続けることを助ける、継続的な変異が存在するからである。多くのウイルスに基づく疾患は有効な抗ウイルス治療法を有さない、なぜなら、そのような治療は、ウイルス疾患の症状の解決に当たり、疾患の根本的原因の解決に当たらないからである。新規の抗ウイルス療法を発見、かつ開発することが、当技術分野において必要である。
【0003】
マイクロRNA(miRNA)は、長さ約21〜22ntの小さなRNA分子のクラスであり、多くの植物種および動物種において検出されている。ある一定の動物ウイルスRNAゲノムでさえ、miRNAをコードすることが見出されている。クローニング努力およびコンピュータ予測により、ヒトにおいては、約1000〜2000個のmRNAを制御することのできる200個を越えるmiRNAコード遺伝子が存在する可能性が高いことが示された。ある一定のmiRNAは普遍的に発現するが、一方、他は非常に組織特異的に発現する。例えば、miR-122は、miR-122が総miRNA集団の70%を占める肝臓において特異的に発現することがわかった。
【0004】
関連文献
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
標的細胞中のウイルスゲノム量を減少させるための方法および組成物を提供する。本方法においては、例えば、miRNA阻害剤を標的細胞に導入する工程によるなど、標的細胞中のウイルスゲノムの量を減少させるのに十分な方法で、miRNAの活性を阻害する。また、本方法を実施する際に使用するための薬学的組成物、キット、およびシステムも提供する。本発明により、例えばHCV媒介性疾患状態など、ウイルス媒介性疾患状態を患う被験体の治療を含む、様々な適用における使用が見出される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1A〜1C。miR-122はHuh7細胞中に発現しており、HCVゲノム中に2つの予測結合部位を有する。(A)マウスおよびヒトの肝臓、ならびに、HeLa、HepG2、ならびに、ナイーブ、除去した(cured)、およびレプリコンのHuh7細胞から抽出した総RNA中のmiR-122発現のノーザンブロット解析。(B) ボックスにより囲まれたシード配列を有するmiR-122の配列。(C)表示の予測miR-122結合部位を有する、HCV遺伝子型1a株H77cの3'および5'非コード領域の二次構造。シードマッチはボックス中に囲まれている。
【図2】図2A〜2C。miR-122の除去は、レプリコン細胞中のHCV RNAおよびタンパク質の存在量を減少させる。(A)NNeo/C-5Bレプリコン細胞株中のレプリコン、eGFP、およびアクチンRNAのノーザンブロット解析。レプリコンの構成を示す。eGFPセンサープラスミドおよび2'-O-メチルオリゴヌクレオチドを、lipofectamine2000-媒介トランスフェクションにより細胞内に導入し、総RNAを48時間後に抽出した。eGFP-124およびeGFP-122は、3'UTRにおいて、それぞれmiR-124およびmiR-122に対する相補的部位を有するeGFP発現ベクターである。122-2'OMeはmiR-122に相補的な31merの2'-O-メチル化オリゴマーであり、Rand-2'OMeはこの配列のランダム化されたバージョンであり、let7-2'OMeはlet-7aに相補的な類似のオリゴマーである。(B)表示のeGFPセンサープラスミドおよび2'-O-メチル化オリゴマーを用いたトランスフェクションの48時間後のHCVコアタンパク質、eGFP、およびアクチンのレベルを示すウエスタンブロット。(C)ゲノム長遺伝子型1aレプリコンH77cを含み、eGFP-122および122-2'OMeでトランスフェクションされたHuh7細胞における、レプリコン、eGFP、およびアクチンRNAのノーザン解析。
【図3】図3A〜3C。miR-122との直接相互作用のため、HCVの5'非コード領域中の予測miR-122結合部位は、ウイルスRNA維持にとって必要である。(A)H77c全長RNAに導入された変異の位置。4nt置換変異を3'非コード領域内のシードマッチに導入し(m3')、4nt、2nt、または1nt置換変異を5'非コード領域シードマッチに導入した(それぞれ、m5'A、B、およびC)。変異したヌクレオチドはボックス中に囲まれている。(B)RNAをインビトロ転写により合成し、エレクトロポレーションによってHuh7細胞内へ導入し、5日後、レプリコンRNAレベルをノーザンブロットにより定量した。負荷対照として、リボソームRNAのメチレンブルー染色を示す。(C) miR-122前駆体ヘアピンに基づいた二重鎖の逆鎖と共に、野生型miR-122(122 wt)、またはm5'Cシードマッチ変異に相補的な、シード中に1nt置換を有するmiR-122(122mC)に対応する合成二重鎖を用いて、Huh7細胞をトランスフェクションした。野生型H77c RNAまたは変異体m5'C RNAを用いたエレクトロポレーションの1日前、ならびに再びエレクトロポレーションの1日後および3日後に、二重鎖をHuh7細胞に導入した。総RNAをエレクトロポレーションの5日後に回収し、レプリコンおよびアクチンRNAレベルをノーザンブロットにより定量した。
【図4】miR-122結合部位の変異はHCV mRNAの翻訳に影響を与えない。ウイルスポリメラーゼNS5B中の2737位から2739位におけるGDDからAAGへのアミノ酸変化を含む、H77cの複製欠損変異体AAG-H77にm5'C変異を導入した(23)。レプリコンRNAのトランスフェクションの20時間後に、細胞溶解産物を回収し、HCVコアタンパク質およびアクチンの発現をウエスタンブロットにより定量した。
【図S3】図S3AおよびS3B。NNeo/C-5Bレプリコン細胞への合成miR-122二重鎖の添加により、レプリコンRNA存在量の増加がもたらされる。lipofectamine2000を用いたトランスフェクションにより、表示のeGFPセンサープラスミドおよび野生型(122wt)または変異体(122mC)miR-122二重鎖を細胞内に導入した。48時間後に、総RNAを抽出し、レプリコン、eGFP、およびアクチンRNAのレベルをノーザンブロットにより定量した。
【発明を実施するための形態】
【0007】
具体的な態様の説明
標的細胞中のウイルスゲノム量を減少させるための方法および組成物を提供する。本方法においては、例えば、miRNA阻害剤を標的細胞に導入する工程によるなど、標的細胞中のウイルスゲノムの量を減少させるのに十分な方法で、miRNAの活性を阻害する。また、本方法を実施する際に使用するための薬学的組成物、キット、およびシステムも提供する。本発明により、例えばHCV媒介性疾患状態など、ウイルス媒介性疾患状態を患う被験体の治療を含む、様々な適用における使用が見出される。
【0008】
本発明をさらに記載する前に、本発明は、記載された特定の態様に限定されず、従って、当然変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると考えられるので、本明細書において使用する専門用語は、特定の態様のみを説明することを目的とし、限定を意図するものでないことも理解されるべきである。
【0009】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上下限と、任意の他に明記された値、またはその明記された範囲における介在値との間で、文脈が明らかに規定していなければ下限の単位の10分の1までの各介在値が、本発明の範囲内に包含されると解釈される。明記された範囲における任意の具体的に排除された限度に従って、これらのより小さい範囲の上下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれていてもよく、かつ本発明の範囲内に包含される。明記された範囲が限度の1つまたは両方を含む場合、それら含まれた限度のいずれか、または両方を排除する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0010】
本明細書に列挙する方法は、事象の列挙する順序では当然のことながら、列挙事象の論理的に可能な任意の順序でも実行され得る。
【0011】
定義されていなければ、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書に記載されたものと類似の、または等価の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に際して使用され得るが、より好ましい方法および材料を次に記載する。
【0012】
本明細書中で言及する全ての刊行物は、関連上刊行物が引用される方法および/または材料を開示し、記載するために、参照として本明細書に組み入れられる。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈で明らかに規定されていなければ、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。任意の随意的な要素を排除するように、特許請求の範囲を作成し得ることを、さらに留意されたい。従って、本明細書は、特許請求の範囲の構成要素の詳述、または「消極的な」限定の使用に関連して、「単に(solely)」および「唯一の(only)」などのような排他的用語を使用するための先行原則としての役目を果たすことが意図される。
【0014】
本明細書で論じられる刊行物は、単に本出願の出願日に先立つそれらの開示のために提供される。本明細書におけるいかなるものも、先行発明に基づくそのような刊行物に本発明が先行する資格がないことを認めるものとして解釈されない。さらに、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日と異なることがある。
【0015】
上に概要を示したように、本発明は、標的細胞中の標的ウイルスゲノムの量を減少させる方法および組成物を提供する。本発明をさらに記載するにあたって、最初に本方法を非常に詳細に、続いて、本発明を実施する際に使用が見出されるキットと共に、本発明が使用を見出す様々な代表的な適用の概説を記載する。
【0016】
方法
前述のとおり、本発明は、インビトロまたはインビボに存在し得る標的細胞中の標的ウイルスゲノムの量を減少させる方法を提供する。「の量を減少させること」とは、対照、すなわち本方法に従って処理されていない同一の標的細胞と比べて、標的細胞中の標的ウイルスゲノムのレベルまたは量が少なくとも2倍、通常、少なくとも約5倍、例えば、10倍、15倍、20倍、50倍、100倍またはさらに多く、減少することを意味する。
【0017】
本方法を実施する際に、miRNA(マイクロRNA)阻害剤の有効量を標的細胞に導入するが、ここで、作用剤(agent)を標的細胞に導入するための任意の簡便なプロトコールが用いられ得る。miRNA阻害剤は、標的細胞中の標的miRNAの活性を阻害する作用剤である。標的miRNAは、その存在が標的細胞中のウイルスゲノムの複製および存在量と関連するmiRNAである。当技術分野において公知のとおり、miRNAは、例えば22ntまたは23ntのように約21ntから約24ntまでなど、約20ntから約25ntまでの長さの範囲である一本鎖(single stranded)RNA分子である。標的miRNAは、標的ウイルスゲノム中のmiRNAと同じ長さの領域と完全に相補的であっても、または完全には相補的でなくてもよい。完全には相補的でない場合、miRNAの長さ全体(約20ntから約25ntまでの範囲)に存在するミスマッチの量が、約8ntを越えず、ある態様においては例えば4ntなど、約6ntまたは5ntを越えないというように、miRNAおよびその対応する標的ゲノムは少なくとも実質的に相補的である。
【0018】
miRNA阻害剤とは、標的miRNAの活性を阻害する作用剤を意味する。阻害剤は、様々な異なるメカニズムによって標的miRNAの活性を阻害し得る。ある態様において、阻害剤は標的miRNAに結合するものであり、そうする際にその活性を阻害する。代表的なmiRNA阻害剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:以下の実験の項において報告される特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドなど。関心対象の他の作用剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:関心対象の天然または合成の小分子化合物は、多数の化学的クラスを含むが、典型的には、それらは有機分子であり、好ましくは50ダルトンより大きく、約2,500ダルトンより小さい分子量を有する小有機化合物である。候補作用剤は、タンパク質との構造的相互作用のために必要な官能基、特に水素結合を含み、典型的には、少なくともアミノ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基、好ましくは、官能化学基の少なくとも2つを含む。候補作用剤は、多くの場合、上記官能基の1つまたは複数で置換された、環状炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含む。候補作用剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログ、またはそれらの組み合わせを含む生体分子の中にも見出される。そのような分子は、その他の方法の中で、適切なスクリーニングプロトコールを用いることにより同定され得る。
【0019】
また、ある態様における関心対象は、RNAi作用剤である。代表的な態様において、RNAi作用剤は、プレマイクロRNA分子として公知であるマイクロRNAの前駆体分子を標的にする。RNAi作用剤とは、RNA干渉メカニズムによってマイクロRNAの発現を調節する作用剤を意味する。本発明の1つの態様において用いられるRNAi作用剤は、小さなリボ核酸分子(本明細書においては干渉リボ核酸とも呼ばれる)、すなわち、例えば、互いにハイブリダイズした2つの別個のオリゴリボヌクレオチドなどの二重鎖(duplex)構造で存在するオリゴリボヌクレオチドであるか、または二重鎖構造を産生するための小さなヘアピン形成を担う一本鎖のリボオリゴヌクレオチドである。オリゴリボヌクレオチドとは、長さ約100ntを越えず、典型的には約75nt長を越えないリボ核酸を意味するが、ここで、ある態様における長さは約70ntより短い。RNA作用剤が、例えばsiRNA(同時係属出願第60/377,704号に記載されたd-siRNAなど;その開示は参照として本明細書に組み入れられる)のように、互いにハイブリダイズした2つの別個のリボ核酸の二重鎖構造である場合、二重鎖構造の長さは、典型的には約15bpから30bp、通常約15bpから29bpの範囲であるが、ここで、例えば21bp、22bpなどの約20bpと29bpの間の長さは、ある態様において特に関心対象である。RNA作用剤が、ヘアピン形成して存在する一本鎖リボ核酸の二重鎖構造、すなわちshRNAである場合、ヘアピンのハイブリダイズした部分の長さは、典型的にsiRNA型作用剤について上に提供したのと同じか、または4〜8ヌクレオチドだけ長い。本態様のRNAi作用剤の重量は、典型的に、約5,000ダルトンから約35,000ダルトンの範囲であり、多くの態様においては、少なくとも約10,000ダルトンであり、かつ約27,500ダルトンより小さく、多くの場合、約25,000ダルトンより小さい。
【0020】
ある態様においては、例えば、上記のようなsiRNAまたはshRNAなどの干渉リボ核酸であるRNAi作用剤のかわりに、上記のように、RNA作用剤が例えばshRNAなどの干渉リボ核酸をコードし得る。言い換えれば、RNAi作用剤は干渉リボ核酸の転写鋳型であり得る。これらの態様において、典型的に、転写鋳型は干渉リボ核酸をコードするDNAである。例えばプラスミドベクター、ウイルスベクターなど、当技術分野において公知である様々な異なるベクター中に、DNAは存在し得る。
【0021】
上記のように、任意の簡便なプロトコールを用いて、miRNA阻害剤は標的細胞に導入され得るが、ここで、標的細胞がインビトロにあるか、またはインビボにあるかによって、プロトコールは変化すると考えられる。
【0022】
標的細胞がインビボにある場合、任意の簡便なプロトコールを用いて、miRNA作用剤を宿主に投与することができる。阻害剤が核酸である態様においては、用いられるプロトコールは典型的に核酸投与プロトコールであり、ここで、多くの異なるそのようなプロトコールが当技術分野において公知である。以下の考察は、用いられ得る代表的な核酸投与プロトコールの概説を提供する。ウイルス感染、マイクロインジェクション、または小胞融合を含む多数の経路によって、組織または宿主細胞に核酸を導入し得る。Furth et. al.(1992), Anal Biochem 205:365-368により記載されたように、ジェット注入もまた、筋肉内投与のために使用し得る。核酸は、金微粒子上にコーティングされ、かつ粒子照射装置、または文献(例えば、Tang et al. (1992), Nature 356:152-154参照)に記載のような「遺伝子銃」により皮内に送達され得るが、ここで、金微粒子はDNAでコーティングされ、その後、皮膚細胞に照射される。発現ベクターは、核酸を細胞に導入するために使用され得る。そのようなベクターは、通常、核酸配列の挿入を提供するために、プロモーター配列近傍に位置する便利な制限部位を有する。転写開始領域、標的遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含む転写カセットが調製され得る。例えば、プラスミド;レトロウイルス、例えばレンチウイルス;およびアデノウイルスなどの様々なベクターに転写カセットを導入し得るが、ここで、ベクターを一過性または安定に、通常少なくとも約一日の間、より通常には少なくとも約数日間から数週間、細胞中に維持することが可能である。
【0023】
例えば、標的遺伝子を含む宿主生物に、直接、阻害剤を投与、注入することができる。作用剤は細胞に(すなわち、細胞内に)直接導入してもよく;または、細胞外では、腔内、間質スペース、生物の体循環に、経口導入などで導入してもよい。経口導入のための方法は、RNAと生物の食料との直接混合を含む。核酸を導入する物理的方法には、細胞への直接注入、またはRNA溶液の生物への細胞外注入が含まれる。作用剤を、1細胞当たり少なくとも1コピーの送達を可能とする量で導入し得る。より高用量(例えば、1細胞当たり少なくとも5、10、100、500、または1000コピー)の作用剤によって、より効果的な阻害が得られ得る;より低用量もまた、特定の適用のために有用であり得る。
【0024】
ある態様において、水力学的核酸投与プロトコールが用いられる。作用剤がリボ核酸である場合、以下に詳細に記載される水力学的リボ核酸投与プロトコールは、特に関心対象である。作用剤がデオキシリボ核酸である場合、Chang et al., J. Virol.(2001) 75:3469-3473; Liu et al., Gene Ther.(1999)6:1258-1266; Wolff et al., Science(1990)247:1465-1468; Zhang et al., Hum. Gene Ther.(1999) 10:1735-1737:およびZhang et al., Gene Ther.(1999)7:1344-1349に記載された水力学的デオキシリボ核酸投与プロトコールが関心対象である。
【0025】
関心対象のさらなる核酸送達プロトコールには、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:関心対象の米国特許に記載されたものには、第5,985,847号、および第5,922,687号が含まれる(その開示は、参照として本明細書に組み入れられる);WO/11092;Acsadi et al.,New Biol.(1991)3:71-81; Hickman et al., Hum. Gen. Ther. (1994)5:1477-1483およびWolff et al., Science (1990)247:1465-1468など。
【0026】
阻害剤の性質によっては、標的細胞中の標的ウイルスゲノム量または標的ウイルス負荷量の所望される減少をもたらすことが可能な任意の簡便な手段を用いて、活性作用剤を宿主に投与し得る。従って、作用剤を、治療的投与のための様々な製剤中に組み入れることができる。より詳細には、本発明の作用剤は、適切な、薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせにより薬学的組成物に製剤化することができ、かつ、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、およびエアロゾルなど、固形、半固形、液体、またはガスの形態の調製物に製剤化してもよい。従って、作用剤の投与は、経口、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内などの投与を含む、様々な方法で達成することができる。
【0027】
薬学的な投与形態で、作用剤を単独か、または他の薬学的に活性な化合物との組み合わせはもちろん、適切な会合においてでも投与し得る。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、決して制限的なものではない。
【0028】
経口製剤に関しては、薬剤を単独で使用してもよく、または、錠剤、粉剤、顆粒剤、またはカプセル剤を作製するための適切な添加剤、例えば、乳糖、マンニトール、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤;結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または塩化カルボキシメチルセルロースなどの崩壊剤;タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;および所望ならば、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤および着香剤などと組み合わせて使用してもよい。
【0029】
植物性もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコールなどの水溶性または非水溶性溶媒中、かつ所望ならば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤などの従来の添加剤と共に、溶解、懸濁、または乳化することにより、作用剤を注射用調製物に製剤化することができる。
【0030】
吸入を介して投与するために、作用剤をエアロゾル製剤として利用することができる。本発明の化合物を、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、および窒素などのような加圧許容噴霧剤に製剤化することができる。
【0031】
さらに、乳化基剤、または水溶性基剤などの様々な基剤と混合することにより、作用剤を坐剤化することができる。本発明の化合物を、坐剤によって直腸内に投与することができる。坐剤は、体温では融解するが室温では凝固する、カカオバター、カーボワックス、およびポリエチレングリコールなどの媒体を含んでいてもよい。
【0032】
1つまたは複数の阻害剤を含む組成物の既定量を、例えば、ティースプーン一杯、テーブルスプーン一杯、錠剤、または坐剤などの各投与単位に含む、シロップ、エリキシル剤、および懸濁剤などの経口または直腸投与のための単位投与形態を提供し得る。同様に、注射または静脈内投与のための単位投与形態は、滅菌水、正常生理食塩水、または別の薬学的に許容される担体中の溶液として、組成物中に阻害剤を含み得る。
【0033】
本明細書で用いられる「単位投与形態」という用語は、ヒトおよび動物の被験体のための統一された投与量として適切な物理的に別個の単位を指し示し、それぞれの単位は、薬学的に許容される賦形剤、担体または媒体と共同して、所望の効果を産生するのに十分な量として計算された本発明の化合物の規定量を含む。本発明の新規の単位投与形態のための規格は、用いられる特定の化合物、および達成するべき効果、および宿主におけるそれぞれの化合物に関連した薬力学に依存する。
【0034】
媒体、アジュバント、担体、または希釈剤など、薬学的に許容される賦形剤は、一般大衆にとって容易に入手可能である。さらに、pH調整および緩衝剤、張性調整剤、安定化剤、および湿潤剤などのような薬学的に許容される補助物質は、一般大衆にとって容易に入手可能である。
【0035】
具体的な化合物の機能および送達媒体の性質などに応じて用量レベルが変化し得ることを、当業者は容易に認識すると考えられる。所与の化合物にとっての好ましい投与量は、様々な手段によって当業者により容易に決定可能である。
【0036】
上記のような哺乳動物細胞へのRNAi作用剤の有効量の導入により、上記のように、例えば、標的遺伝子発現の減少などの標的遺伝子の発現の調節がもたらされる。上記の方法は、いかなる哺乳動物細胞においても機能し、ここで、関心対象の代表的な哺乳動物細胞には以下のものが含まれるが、これらの細胞に限定されない:有蹄類または蹄のある動物、例えばウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジなど;齧歯類、例えば、ハムスター、マウス、ラットなど;ウサギ目類、例えば、ウサギなど;霊長類、例えば、サル、ヒヒ、ヒトなど;および同種のもの。
【0037】
組成物は、本化合物とは別の、治療的または予防的いずれかの他の抗ウイルス剤と有利に組み合わせることができ、かつ/または組み合わせた使用および/もしくは交互での使用ができる。また、組成物は、抗HCV剤または免疫抑制剤などの、本化合物に感受性であるウイルス感染と関連することの多い状態を治療する作用剤と有利に組み合わせることができ、かつ/または組み合わせて使用することができる。ある態様においては、本組成物との併用投与により、そのような作用剤の有効性が増強される。従って、本化合物は、他の抗ウイルス剤と組み合わせる場合、または組み合わせて投与する場合に、単独使用の場合に予想される量より少ないか、または併用療法用に計算される量より少ない投与量で使用することができる。
【0038】
C型肝炎(HCV)のための例示的な治療の選択肢には、例えば、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-2a、およびインターフェロンアルファコン-1などのインターフェロンが含まれる。より頻度の少ないインターフェロン投薬は、ペグ化されたインターフェロン(その薬物動態特性を有意に改善するポリエチレングリコール成分を付着させたインターフェロン)を用いて達成することができる。インターフェロンα-2b(ペグ化された、およびペグ化されていない)およびリババリンを用いた併用療法もまた、一部の患者集団にとって有効であることが示されている。現在開発されている他の作用剤には、RNA複製阻害剤(例えば、ViroPharmaのVP50406シリーズ)、アンチセンス剤、治療用ワクチン、プロテアーゼ阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、および抗体療法(モノクローナルおよびポリクローナル)が含まれる。
【0039】
また、本発明の化合物および組成物は、低用量のシクロホスファミド、サイモスチムリン、ビタミン、および栄養補助食品(例えば、ビタミンA、C、E、βカロテン、亜鉛、セレン、グルタチオン、コエンザイムQ-10、およびエキナセアを含む抗酸化剤)を含む身体の免疫システムを増強する作用剤、ならびに、例えば抗原の多量体提示およびアジュバントと組み合わせるワクチン製剤を含む免疫刺激複合体(ISCOM)などのワクチンと共に使用され得る。
【0040】
上記の方法は、様々な異なる適用において使用が見出されるが、これから以下にその代表的な型をより詳細に記載する。
【0041】
有用性
本方法は、標的細胞中、または同じものを含む宿主中の標的ウイルスゲノム量の減少が望まれる、様々な異なる状態の治療において使用が見出される。多くの態様において、本方法は、ウイルス媒介性疾患状態を患う宿主の治療における使用が見出される。治療とは、少なくとも、宿主を苦しめる状態と関連した症状の寛解の達成を意味し、ここで、寛解は、例えば、治療される状態と関連した症状などのパラメータの程度が少なくとも減少することを指し示すように、広い意味で使用される。従って、治療には、病的状態、もしくは少なくともそれに関連した症状が、完全に抑制されている、例えば発症が防止されているか、または、その状態、もしくは少なくともその状態を特徴づける症状に宿主がそれ以上苦しまないよう、停止している、例えば終結している状況も含まれる。
【0042】
様々な宿主が、本方法に従って治療可能である。一般に、そのような宿主は「哺乳動物」または「哺乳類の動物」であり、ここで、これらの用語は、肉食類目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯類目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長類目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳綱の範囲内の生物を表すために広範に使用される。多くの態様においては、宿主はヒトと考えられる。
【0043】
上記のとおり、本方法は、標的細胞中のウイルスゲノムの存在量が、その細胞中のmiRNAと相関する任意のウイルスゲノムのために用いられ得る。ある態様において、ウイルスゲノムはRNAゲノムを有するウイルスのゲノムであり、ここで、ウイルスは、例えばC型肝炎ウイルス(分離株1)、C型肝炎ウイルス(分離株BK)、C型肝炎ウイルス(分離株EC1)、C型肝炎ウイルス(分離株EC10)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J2)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J5)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J6)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J7)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J8)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-JT)、C型肝炎ウイルス(分離株HCT18)、C型肝炎ウイルス(分離株HCT27)、C型肝炎ウイルス(分離株HCV-476)、C型肝炎ウイルス(分離株HCV-KF)、C型肝炎ウイルス(分離株Hunan)、C型肝炎ウイルス(分離株Japanese)、C型肝炎ウイルス(分離株Taiwan)、C型肝炎ウイルス(分離株TH)、C型肝炎ウイルス分離株H、C型肝炎ウイルス1型、C型肝炎ウイルス10型、C型肝炎ウイルス2型、C型肝炎ウイルス3型、C型肝炎ウイルス4型、C型肝炎ウイルス5型、C型肝炎ウイルス6型、C型肝炎ウイルス7型、C型肝炎ウイルス8型などのC型肝炎ウイルスのような、例えばヘパシウイルスなどのフラビウイルス科由来であり得る。
【0044】
ある代表的な態様において、本発明は、例えば非A、非B肝炎(NANBH)などのHCV媒介性疾患状態を患う宿主を治療する方法において用いられる。これらの代表的な態様において、以下に例示するようなアンチセンスオリゴなどのmiR122阻害剤の有効量を、上記のように、宿主細胞、特に肝細胞中に存在するHCVゲノムの量が減少するように宿主に投与する。
【0045】
薬学的組成物
本方法で用いられるmiRNA阻害化合物を含む薬学的組成物も提供する。従って、例えば、薬学的に許容される塩の形態の化合物を、上記のように、本方法における使用のために、経口、または非経口投与用に製剤化することができる。
【0046】
例証として、化合物を、従来の薬学的担体、および賦形剤(すなわち、媒体)と混合して、水溶液、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハー、および同様の形態で使用することができる。そのような薬学的組成物には、ある態様において、活性化合物の約0.1重量%から約90重量%、より一般的には活性化合物の約1重量%から約30重量%が含まれる。薬学的組成物には、トウモロコシデンプン、またはゼラチン、乳糖、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸などの、通常の担体および賦形剤が含まれ得る。本発明の製剤に通常使用される崩壊剤には、クロスカメロース、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸が含まれる。
【0047】
液体組成物は、一般に、懸濁剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、着香剤、または着色剤と共に、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールのような非水溶性溶媒、油、または水などの適切な液状担体中の化合物もしくは薬学的に許容される塩の懸濁液または溶液からなると考えられる。または、液状製剤を再構成可能な粉剤から調製することができる。
【0048】
例えば、活性化合物、懸濁剤、スクロース、および甘味料を含む粉剤を、水で再構成して懸濁液を形成することができる;および、活性成分、スクロース、および甘味料を含む粉剤から、シロップを調製することができる。
【0049】
固形組成物を調製するために慣行的に使用される任意の適切な薬学的担体を用いて、錠剤形態の組成物を調製することができる。そのような担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、スクロース、微結晶性セルロース、および、例えばポリビニルピロリドンなどの結合剤が含まれる。錠剤を、カラーフィルムコーティング、または担体の一部として含まれる色を伴って提供することもできる。加えて、活性化合物を、親水性または疎水性マトリクスを含む錠剤として制御放出投与形態に製剤化することができる。
【0050】
例えば、カプセル形態の組成物は、活性化合物および賦形剤を硬質ゼラチンカプセル中に取り込むことによって、慣行的なカプセル化手順を用いて調製することができる。または、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固形マトリクスを調製し、硬質ゼラチンカプセル中に充填させてもよく;または、活性化合物のポリエチレングリコール溶液、または例えば液状パラフィンもしくはヤシ油などの食用油中の懸濁液を調製し、軟質ゼラチンカプセル中に充填させてもよい。
【0051】
含まれ得る錠剤結合剤はアカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン、およびエチルセルロースである。使用され得る潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、または他のステアリン酸金属、ステアリン酸、シリコーン流体、タルク、ワックス、油、およびコロイドシリカが含まれる。
【0052】
ハッカ、冬緑油、またはサクラ香料などのような着香剤も使用することができる。さらに、外見上、投与形態をより魅力的にするため、または製品の独自性を助けるために、着色剤の添加が望まれることがある。
【0053】
非経口的に与えられる場合に活性である本発明の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩を、筋肉内、髄腔内、または静脈内投与用に製剤化することができる。
【0054】
筋肉内、または髄腔内投与のための典型的な組成物は、例えば、ラッカセイ油またはゴマ油などの油中の活性成分の懸濁液または溶液と考えられる。静脈内または髄腔内投与のための典型的な組成物は、例えば、活性成分、ならびに、デキストロース、または塩化ナトリウム、またはデキストロースと塩化ナトリウムの混合物を含む、滅菌等張水溶液であると考えられる。他の例は、乳酸リンゲル注射液、デキストロースを加えた乳酸リンゲル注射液、Normosol-Mおよびデキストロース、Isolyte E、ならびにアシル化リンゲル注射液などである。任意で、例えばポリエチレングリコールなどの共溶媒、例えばエチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤、および、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤が、製剤中に含まれ得る。または、溶液を凍結乾燥し、その後、投与直前に適切な溶媒を用いて再構成することができる。
【0055】
直腸投与において活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を、坐薬として製剤化することができる。典型的な坐薬製剤は、通常、ゼラチン、またはカカオバター、または他の低融点の植物もしくは合成ワックス、または脂質などの結合剤および/または潤滑剤と共に、活性成分からなると考えられる。
【0056】
局所投与において活性である本発明の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩を、経皮組成物または経皮送達装置(「パッチ」)として製剤化することができる。そのような組成物には、例えば、裏当て、活性化合物リザーバー、制御膜、ライナー(liner)、および接点接着剤が含まれる。そのような経皮パッチを、制御された量での、本発明の化合物の連続的または不連続的注入を提供するために使用し得る。薬剤の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当技術分野において周知である。例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられる、1991年6月11日に発行された米国特許第5,023,252号を参照されたい。そのようなパッチを、薬剤の連続的、パルス的、またはオンデマンド送達用に構築し得る。
【0057】
任意に、薬学的組成物は、緩衝液、界面活性剤、抗酸化剤、粘度調整剤、および防腐剤などのような他の薬学的に許容される成分を含み得る。これらの成分のそれぞれは、当技術分野において周知である。例えば、その開示が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,985,310号を参照されたい。
【0058】
本発明の製剤中に使用するために適切な他の成分は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed. (1985)において見出すことができる。ある態様において、水溶性シクロデキストリン溶液は、例えば、約5%デキストロースなどのデキストロースをさらに含む。
【0059】
キット
上記方法の1つまたは複数を実施するための試薬およびそのキットも提供する。本試薬およびそのキットは非常に変化し得る。典型的には、キットは、上記のようなmiRNA阻害剤を少なくとも含む。キットは、例えば、2つの成分がキット内の同じまたは別々の容器中に存在し得るなど、キット中miRNA阻害剤と組み合わせられていてもまたは分けられていてもよい薬学的に許容される送達媒体も含み得る。
【0060】
上記成分に加えて、本キットは、本方法を実施するための使用説明書をさらに含むと考えられる。これらの使用説明書は、その1つまたは複数がキット中に存在し得る、様々な形式で本キット中に存在し得る。これらの使用説明書が存在し得る1つの形式は、例えば、その上に情報が印刷された1枚または複数枚の紙、キットの包装、添付文書においてなど、適切な媒質または基質上に印刷された情報としてである。さらにもう1つの手段は、例えば、ディスク、CDなど、その上に情報が記録されたコンピューター可読メディアであろう。存在し得るさらにもう1つの手段は、離れた場所で、情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の簡便な手段がキット中に存在し得る。
【0061】
システム
上記のように、本方法の実施において使用が見出されるシステムも提供する。例えば、本方法を実施するためのシステムは、miRNA阻害剤を含む、1つまたは複数の薬学的製剤を含み得る。本明細書において用いられる「システム」という用語は、単独の組成物中に存在するか、または異種の組成物として存在する、例えば、活性作用剤、送達媒体など、本方法を実施するために寄せ集められた成分の集まりを指す。例えば、本発明に従って、寄せ集められ、被験体に同時投与される、別々に得られた活性作用剤および送達媒体は、本発明に従ったシステムである。
【0062】
以下の例は、例証として提示するものであって、制限を目的として提示するものではない。
【実施例】
【0063】
実験
I. 結果および考察
mRNA機能の制御におけるmiR-122の役割を理解する手始めに、本発明者らは、肝臓組織および肝臓細胞株から抽出したRNAサンプル中のmiR-122の発現をモニターした。図1Aは、マウスおよびヒト肝臓、ならびに培養ヒト肝臓Huh7細胞中に、miR-122を検出することができたが、ヒト子宮頚ガン由来HeLa細胞中、またはヒト肝臓由来HepG2細胞中にさえ検出することができなかったことを示す(図1A)。
【0064】
適応変異を保持するC型肝炎ウイルス(HCV)RNAは、Huh7細胞中で複製することができるが、HepG2細胞中ではできないことは公知であり、本発明者らはHCV RNA複製Huh7細胞中のmiR-122の存在が純粋なる偶然だけでなかったのかどうかを探究することを望んだ。この目的を達成するために、本発明者らは、成功するmiRNA-標的mRNA相互作用のための法則を満たすと考えられる潜在的なmiR-122結合部位について、9,600ヌクレオチドのプラス鎖ウイルスRNAゲノムを検査した。本発明者らは、ヌクレオチド2位から8位までとの完全なワトソン・クリック塩基対形成に携わることができるウイルスmRNA中の配列、miR-122の「シード配列」を探索した。この法則を用いて、本発明者らは、ウイルスの非コード領域内の、miR-122のための2つの予測結合部位(図1B)に気付いた。1つは、タイプ1a遺伝子型のウイルス3'非コード領域の可変領域内に位置していた(図1C)。この配列は名目上の「可変領域」内に存在したが、6つのHCV遺伝子型全ての検査によりシードマッチ配列自体が、高度に保存されていることが明らかとなった(表1)。2番目のmiR-122結合部位は、ウイルスゲノムの5'末端からわずか21ヌクレオチドの5'非コード領域内に存在すると予測された(図1C)。ここで、推定上のシードマッチ配列は、アデノシン残基と隣接していた。これにより、ほとんどの場合ウリジン残基であるmiRNA中のヌクレオチド1とのさらなる塩基対形成が導かれ、結果としてマイクロRNA-標的相互作用の特異性が増加する。隣接するアデノシン残基を含むmiR-122のための推定上のシードマッチ配列は、アンカリングのアデノシンを欠く遺伝子型2におけるシードマッチ配列を除いた全てのウイルス遺伝子型の間で、高度に保存されている(表1)。
【0065】
【表1】
【0066】
HCVにおける予測miR-122結合部位は、全ての遺伝子型において保存されている。ゲノム中のヌクレオチド10位から30位までの5'UTRの配列、および終止コドンから予測結合部位の末端までの3'UTRの配列を、それぞれの遺伝子型について示している。シードマッチは太字で示されている。
【0067】
HCV遺伝子発現を制御する際に、miR-122が機能的な役割を果たしたかどうかを判定するために、本発明者らは、NNeo/C-5B Huh7細胞においてmiR-122が不活性化される場合にレプリコンRNAの蓄積が影響を受けるかどうかを試験した(Ikeda, M. Yi, K. Li, S. M. Lemon, J. Virol. 76, 2997(2002))。これらの細胞は、恒常的にジシストロニックなウイルスレプリコンを発現しており、ここでは、HCV内部リボソーム進入部位(IRES)がネオマイシン耐性遺伝子産物の合成を導き、脳心筋炎ウイルスIRESが、HCV-N 1b系統の構造的および非構造的タンパク質の合成を導く(図2A、上図)。この細胞株においてmiR-122を不活性化するために、長さ31ヌクレオチドであって、miR-122に正確な相補性を有する2'-O-メチル化RNAオリゴヌクレオチド(122-2'OMe) を用いて、NNeo/C-5B細胞をトランスフェクションした;2'O-メチル化相補的RNAヌクレオチドはmiRNAを捕捉することが示されている(Hutvagner, et al., PLos Biol. 2, E98(2004); Meister, et al., RNA 10, 544 (2004))。miR-122の機能的不活性化に対する対照として、本発明者らは、それらの3'非コード領域内にmiR-122に相補的な配列を含んだeGFPセンサーmRNA(eGFP-122)の発現をモニターした。その完全な相補性のため、miR-122はこれらの標的分子上でsiRNAとして機能し、それらの核酸分解を導くはずである。実際に、eGFP-122をコードするプラスミドでトランスフェクションされた細胞において、完全長eGFP-122 RNAはほとんど認められなかったが(図2A、レーン3)、しかしながら、脳特異的miR-124に対して相補的な部位を含んだ類似のRNAは、高レベルに発現していた(図2A、レーン2)。122-2'OMeを用いたトランスフェクションの直後、eGFP-122 RNAの量は劇的に増加したが(図2A、レーン4)、一方、このオリゴマーのランダム化されたバージョン(Rand-2'OMe、レーン5)、またはmiRNA let-7aに相補的なオリゴマー(let7-2'OMe)は、影響がなかった(図2A、レーン6)。miR-122に相補的な23merのオリゴマーは31merの場合と同じ効果であった。
【0068】
驚くことに、miR-122が不活性化された場合に、HCVウイルスレプリコンRNAのレベルは特異的、かつ劇的に減少した(図2A、レーン4および7)。減少したウイルスmRNA存在量により、122-2'OMeオリゴマーを用いてトランスフェクションされた細胞中のHCVタンパク質発現の低下がもたらされたが、一方、この実験条件下でeGFPセンサータンパク質のレベルは増加した(図2B、レーン3)。予測miR-122結合部位の周囲領域中のオリゴマー配列と相当な相補性を有する、HCVのマイナス鎖と相互作用することにより、122-2'OMeオリゴマーが、レプリコンRNAおよびタンパク質レベルに影響を与えた可能性があった。しかしながら、予測miR-122結合部位を囲む3'非コード領域内のマイナス鎖と正確な相補性を有するオリゴマーは、レプリコンレベルに影響を与えなかったことから、ウイルスのマイナス鎖はオリゴマーに近づくことができないことが示唆された。さらに、122-2'OMeオリゴマーが、トランスフェクションされた細胞中の総タンパク質合成に影響を及ぼさなかったことから、122-2'OMeオリゴマーが抗ウイルス作用を誘導した可能性が排除された。総括して、これらの知見により、miR-122がHCVレプリコンRNAの細胞内存在量の維持に不可欠であることが示された。
【0069】
複製HCV RNAを用いて、新たにトランスフェクションされた細胞においてmiR-122がRNA蓄積に影響を及ぼすかどうかを判定するために、Huh7細胞において高レベルのRNA複製を可能にする5つの適応変異を有する完全長遺伝子型1a株H77cゲノムをコードするcDNA(図2C、上図)から、RNA転写産物を合成した(Yi & Lemon, J. Virol. 78, 7904 (2004))。これらのRNA分子をHuh7細胞内へ導入することにより、内因性miR-122の存在下でウイルスRNAの蓄積が導かれた(図2C、レーン1および2);対して、miR-122が122-2'OMeオリゴマーにより捕捉された場合には、ウイルスRNAは蓄積できなかった(図2C、レーン3)。従って、miR-122は、安定発現細胞株において、および直接トランスフェクション後に、遺伝子型1aおよび1b両方のHCV RNA存在量を維持するために必要である。
【0070】
推定上のmiR-122結合部位が、RNA蓄積へのmiR-122効果に必要であったかどうかを判定するために、完全長H77c cDNA内に変異を導入した。miR-122の結合を消失させるはずの、3'非コード領域内の予測シードマッチ中の4ヌクレオチド置換変異(図3A)を含むH77c RNAのトランスフェクションにより、RNA蓄積は減少しなかった(図3B、レーン2)。対して、5'非コード領域内の予測シードマッチ中の4ヌクレオチド置換変異(図3A)は、RNA蓄積を誘導できなかった(図3B、レーン3)。特筆すべきは、ウイルスゲノム(m5')中の27位に、2ヌクレオチド置換変異を含むゲノム(図3B、レーン4)、または1ヌクレオチド置換変異を含むゲノムさえもまた(図3B、レーン5)、トランスフェクション5日後に蓄積できなかったことである。これらの知見は、miR-122のリクルート失敗によりウイルスRNAの消失がもたらされたか、または変異がRNAの複製または安定性にいくらかの影響があったことを示している。
【0071】
miR-122シード配列中の変異が、miR-122の乏しい結合のために、RNA蓄積を減少させた場合、5'末端から三番目のヌクレオチドにおける変異(mC)を含んだmiR-122 RNAの異所性発現は、miR-122(mC)-m5'C RNA複合体の形成を回復させるはずである(Lewis, et al., Cell 120, 15 (2005))。野生型miR-122 RNAの異所性発現は、m5'C含有変異ウイルスRNAを救出しなかったが(図3C、レーン3)、野生型ウイルスRNA (図3C、レーン1)およびレプリコンRNA (図S3A & B)の存在量を増加させ、このことにより、導入されたmiR-122 RNAが機能的な一本鎖miR-122 RNA分子にプロセスされたこと、およびウイルスRNAの蓄積を媒介するmiR-122の内因性プールが限られていることが証明された。対して、変異m5'C miR-122二重鎖の発現はm5'C含有ウイルスRNAの蓄積を可能にし(図3C、レーン4)、miR-122とHCVゲノムの5'末端配列との間の遺伝子相互作用を強く主張した。さらに、変異mC-miR-122による変異m5'C含有ウイルスRNAの救出は、別の、恐らく細胞性のmiR-122標的を介した間接的な影響というよりも、直接的なHCV RNA-miR-122相互作用によるに違いない。
【0072】
本発明者らは次に、特有の内部リボソーム進入メカニズムによって引き起こされることが公知のHCV RNAの翻訳を、miR-122が調節するかどうか調べた(Ji, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 16990 (2004); Otto, Cell 119, 369 (2004); Pestova, et al., Genes Dev. 12, 67 (1998))。具体的に、本発明者らは、機能的なmiR-122結合部位の存在または非存在下で、複製および非複製ウイルスRNA由来のHCVコアタンパク質の産生をモニターした。図4には、野生型(レーン1)またはm5'C-変異RNA(レーン2)を用いてトランスフェクションされた細胞中に、ほとんどRNA複製が起こっていないはずの時点であるトランスフェクション後24時間において、コアタンパク質の類似量が蓄積したことが示されている。コアがインプットRNAから合成されたかどうかを直接試験するために、複製欠損ウイルスRNAの翻訳を調べた。結果は、野生型(図4、レーン3)およびm5'C変異(レーン4)のインプットRNAは、類似の効率で翻訳されることを示し、このことにより、miR-122が、RNA複製段階である可能性の高い、翻訳のあとの段階におけるHCV RNAの存在量を制御することが示唆された。
【0073】
HCVゲノムがその5'末端にmiR-122をリクルートするという、本発明者らの知見は新規である。本発明者らの知見は、miR-122がHCVのレベルを調節するための標的であり、従ってHCV媒介性疾患状態を治療するための標的であることを示している。
【0074】
II. 材料および方法
A. オリゴヌクレオチドおよびDNA構築物
RNAオリゴヌクレオチドおよび2'-O-メチル化オリゴヌクレオチドは、Dharmacon Inc. (Lafayette, CO)によって合成された。配列は以下のとおりであった。
miR-122の野生型またはmC型とmiR-122*との間で二重鎖を形成した。miR-122に正確な相補性を有する配列
をプラスミドpd2eGFP-N1(Clontech)の3'非コード領域内のNot1制限部位に、PCR媒介性挿入することより、miR-122センサープラスミドeGFP-122を構築した。対照ベクターeGFP-124を構築するためには、脳特異的miR-124に相補的である配列
を挿入した。変異原性プライマーを用いたオーバーラップPCRにより、H77cレプリコンベクター(Yi & Lemon, J. Virol 78, 7904 (Aug, 2004))の3'および5'非コード領域に置換変異を導入し、引き続きPCR産物のライゲーションにより親ベクターに導入した。
【0075】
B. 細胞培養およびトランスフェクション
Huh7、HeLa、およびHepG2細胞株を、10%FBSおよび1%非必須アミノ酸を補充したDMEM (Gibco)中で培養した。ジシストロニックなレプリコンNNeo/C-5Bを含むHuh7細胞株は、先述されており(Ikeda et al., J. Virol 76, 2997 (Mar, 2002))、1 mg/ml G418の存在下で維持された。前記Yi & Lemonに記載のとおり、インビトロで転写されたH77cゲノムRNAをエレクトロポレーションによりHuh7細胞に導入し、5日後にRNAを調製し、処理した。複製欠損H77cRNAからのタンパク質合成を観察するため、Huh7細胞中へのRNAの送達のためにDmrie-C (Invitrogen)を用い、20時間後にタンパク質溶解産物を調製し、処理した。エレクトロポレーションされた細胞は、そのような初期の時点において完全には接着性でないため、この方法が用いられた。lipofectamine 2000 (Invitrogen)を用いて、製造業者の使用説明書に従い、DNA構築物およびオリゴヌクレオチドを細胞内に導入した。6-ウエルプレート中で、2'-O-メチル化オリゴヌクレオチドおよびmiR-122 RNA二重鎖を50nMの濃度で細胞に送達した。収集前に、トランスフェクション細胞を48時間培養した。
【0076】
C. RNA単離およびノーザンブロット
Trizol試薬(Invitrogen)を用いて、製造業者の使用説明書に従い、細胞から総RNAを抽出した。miRNA発現を検出するために、総RNA 30μgを0.5×TBE中7M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、Hybond N+膜(Amersham)に転写し、配列
を用いて、miR-122に相補的な5'32P-標識オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした。mRNAレベルを解析するために、NNeo/C-5Bレプリコン細胞由来のRNA 2.5μg、またはH77c RNAでトランスフェクションした細胞由来のRNA 15μgを、1×MOPS緩衝液および2.2 M ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル中で分離し、Zeta-probe膜(Bio-Rad)に転写した。ExpressHyb(Clontech) 中で、膜を、表示のようなHCVのヌクレオチド84位〜374位、eGFPの40位〜814位、およびαアクチンの685位〜1171位に対応するランダムプライム化した32P標識DNAプローブとハイブリダイズした。
【0077】
D. ウエスタンブロットおよびメタボリック標識
完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含むRIPAの中へ細胞を掻爬することにより、タンパク質試料を得た。タンパク質10μgを12%SDS-PAGEにより分離し、Immobilon-P膜(Millipore)に転写した。HCVコアタンパク質に対して向けられた抗体6G7(Stanford UniversityのHarry Greenbergから恵与)、またはeGFP(Roche)、もしくはアクチン(Sigma)に対して向けられた抗体を用いて、膜をプローブした。メタボリック標識のため、35S-メチオニンとの1時間のインキュベーション、およびタンパク質抽出の前に、メチオニンを含まない培地中で細胞を1時間培養した。タンパク質25μgをトリクロロ酢酸を用いて沈殿させ、35S-メチオニンの取り込みをフィルター結合により定量した。
【0078】
E. 配列データ
異なるHCV遺伝子型の5'および3'非コード領域の配列を、「hcv.lanl」の前に「http://」、かつ後に「.gov」を配置することにより作り出されたウエブサイトに位置するHCVデータベースから取得し、各遺伝子型の代表例を表1に示す。株は以下のとおりである:H77c(遺伝子型1a)、GenBankアクセッション番号AF011751;HCV-N(1b)、AF139594;JFH-1(2a)、AB047639;NZL1(3a)、D17763;HEMA51(4a)、D45193およびD45194;FR741(5a)、D50466およびD50467;TH271(6f)、D37848およびD37858。
【0079】
本発明が、HCV媒介性疾患状態などのウイルス媒介性疾患状態を治療する新規の方法を提供することは、上記の結果および考察から明らかである。したがって、本発明は当技術分野への多大な貢献を示す。
【0080】
本明細書において引用された全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が参照として組み入れられることを具体的かつ個別に示される場合と同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。任意の刊行物の引用は出願日に先立つその開示のためであり、本発明が先行発明に基づくそのような刊行物に先行する資格がないことを認めると解釈されるべきでない。
【0081】
理解の明瞭を目的とした説明および例として、前述の発明をいくらか詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、ある種の変更および改変がそれに対してなされ得ることは、本発明の開示に鑑みて当業者にとって容易に明らかである。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)項に従って、本出願は、2004年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/568,358号の出願日に対する優先権を主張し、これの開示は参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
序文
発明の背景
ウイルス感染は継続的な医療問題である、なぜなら、任意の急速に分裂する感染性物質と同様に、ウイルスの一部のサブ集団が現在の治療法に耐性であり続けることを助ける、継続的な変異が存在するからである。多くのウイルスに基づく疾患は有効な抗ウイルス治療法を有さない、なぜなら、そのような治療は、ウイルス疾患の症状の解決に当たり、疾患の根本的原因の解決に当たらないからである。新規の抗ウイルス療法を発見、かつ開発することが、当技術分野において必要である。
【0003】
マイクロRNA(miRNA)は、長さ約21〜22ntの小さなRNA分子のクラスであり、多くの植物種および動物種において検出されている。ある一定の動物ウイルスRNAゲノムでさえ、miRNAをコードすることが見出されている。クローニング努力およびコンピュータ予測により、ヒトにおいては、約1000〜2000個のmRNAを制御することのできる200個を越えるmiRNAコード遺伝子が存在する可能性が高いことが示された。ある一定のmiRNAは普遍的に発現するが、一方、他は非常に組織特異的に発現する。例えば、miR-122は、miR-122が総miRNA集団の70%を占める肝臓において特異的に発現することがわかった。
【0004】
関連文献
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
標的細胞中のウイルスゲノム量を減少させるための方法および組成物を提供する。本方法においては、例えば、miRNA阻害剤を標的細胞に導入する工程によるなど、標的細胞中のウイルスゲノムの量を減少させるのに十分な方法で、miRNAの活性を阻害する。また、本方法を実施する際に使用するための薬学的組成物、キット、およびシステムも提供する。本発明により、例えばHCV媒介性疾患状態など、ウイルス媒介性疾患状態を患う被験体の治療を含む、様々な適用における使用が見出される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1A〜1C。miR-122はHuh7細胞中に発現しており、HCVゲノム中に2つの予測結合部位を有する。(A)マウスおよびヒトの肝臓、ならびに、HeLa、HepG2、ならびに、ナイーブ、除去した(cured)、およびレプリコンのHuh7細胞から抽出した総RNA中のmiR-122発現のノーザンブロット解析。(B) ボックスにより囲まれたシード配列を有するmiR-122の配列。(C)表示の予測miR-122結合部位を有する、HCV遺伝子型1a株H77cの3'および5'非コード領域の二次構造。シードマッチはボックス中に囲まれている。
【図2】図2A〜2C。miR-122の除去は、レプリコン細胞中のHCV RNAおよびタンパク質の存在量を減少させる。(A)NNeo/C-5Bレプリコン細胞株中のレプリコン、eGFP、およびアクチンRNAのノーザンブロット解析。レプリコンの構成を示す。eGFPセンサープラスミドおよび2'-O-メチルオリゴヌクレオチドを、lipofectamine2000-媒介トランスフェクションにより細胞内に導入し、総RNAを48時間後に抽出した。eGFP-124およびeGFP-122は、3'UTRにおいて、それぞれmiR-124およびmiR-122に対する相補的部位を有するeGFP発現ベクターである。122-2'OMeはmiR-122に相補的な31merの2'-O-メチル化オリゴマーであり、Rand-2'OMeはこの配列のランダム化されたバージョンであり、let7-2'OMeはlet-7aに相補的な類似のオリゴマーである。(B)表示のeGFPセンサープラスミドおよび2'-O-メチル化オリゴマーを用いたトランスフェクションの48時間後のHCVコアタンパク質、eGFP、およびアクチンのレベルを示すウエスタンブロット。(C)ゲノム長遺伝子型1aレプリコンH77cを含み、eGFP-122および122-2'OMeでトランスフェクションされたHuh7細胞における、レプリコン、eGFP、およびアクチンRNAのノーザン解析。
【図3】図3A〜3C。miR-122との直接相互作用のため、HCVの5'非コード領域中の予測miR-122結合部位は、ウイルスRNA維持にとって必要である。(A)H77c全長RNAに導入された変異の位置。4nt置換変異を3'非コード領域内のシードマッチに導入し(m3')、4nt、2nt、または1nt置換変異を5'非コード領域シードマッチに導入した(それぞれ、m5'A、B、およびC)。変異したヌクレオチドはボックス中に囲まれている。(B)RNAをインビトロ転写により合成し、エレクトロポレーションによってHuh7細胞内へ導入し、5日後、レプリコンRNAレベルをノーザンブロットにより定量した。負荷対照として、リボソームRNAのメチレンブルー染色を示す。(C) miR-122前駆体ヘアピンに基づいた二重鎖の逆鎖と共に、野生型miR-122(122 wt)、またはm5'Cシードマッチ変異に相補的な、シード中に1nt置換を有するmiR-122(122mC)に対応する合成二重鎖を用いて、Huh7細胞をトランスフェクションした。野生型H77c RNAまたは変異体m5'C RNAを用いたエレクトロポレーションの1日前、ならびに再びエレクトロポレーションの1日後および3日後に、二重鎖をHuh7細胞に導入した。総RNAをエレクトロポレーションの5日後に回収し、レプリコンおよびアクチンRNAレベルをノーザンブロットにより定量した。
【図4】miR-122結合部位の変異はHCV mRNAの翻訳に影響を与えない。ウイルスポリメラーゼNS5B中の2737位から2739位におけるGDDからAAGへのアミノ酸変化を含む、H77cの複製欠損変異体AAG-H77にm5'C変異を導入した(23)。レプリコンRNAのトランスフェクションの20時間後に、細胞溶解産物を回収し、HCVコアタンパク質およびアクチンの発現をウエスタンブロットにより定量した。
【図S3】図S3AおよびS3B。NNeo/C-5Bレプリコン細胞への合成miR-122二重鎖の添加により、レプリコンRNA存在量の増加がもたらされる。lipofectamine2000を用いたトランスフェクションにより、表示のeGFPセンサープラスミドおよび野生型(122wt)または変異体(122mC)miR-122二重鎖を細胞内に導入した。48時間後に、総RNAを抽出し、レプリコン、eGFP、およびアクチンRNAのレベルをノーザンブロットにより定量した。
【発明を実施するための形態】
【0007】
具体的な態様の説明
標的細胞中のウイルスゲノム量を減少させるための方法および組成物を提供する。本方法においては、例えば、miRNA阻害剤を標的細胞に導入する工程によるなど、標的細胞中のウイルスゲノムの量を減少させるのに十分な方法で、miRNAの活性を阻害する。また、本方法を実施する際に使用するための薬学的組成物、キット、およびシステムも提供する。本発明により、例えばHCV媒介性疾患状態など、ウイルス媒介性疾患状態を患う被験体の治療を含む、様々な適用における使用が見出される。
【0008】
本発明をさらに記載する前に、本発明は、記載された特定の態様に限定されず、従って、当然変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると考えられるので、本明細書において使用する専門用語は、特定の態様のみを説明することを目的とし、限定を意図するものでないことも理解されるべきである。
【0009】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上下限と、任意の他に明記された値、またはその明記された範囲における介在値との間で、文脈が明らかに規定していなければ下限の単位の10分の1までの各介在値が、本発明の範囲内に包含されると解釈される。明記された範囲における任意の具体的に排除された限度に従って、これらのより小さい範囲の上下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれていてもよく、かつ本発明の範囲内に包含される。明記された範囲が限度の1つまたは両方を含む場合、それら含まれた限度のいずれか、または両方を排除する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0010】
本明細書に列挙する方法は、事象の列挙する順序では当然のことながら、列挙事象の論理的に可能な任意の順序でも実行され得る。
【0011】
定義されていなければ、本明細書に使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書に記載されたものと類似の、または等価の任意の方法および材料もまた、本発明の実施または試験に際して使用され得るが、より好ましい方法および材料を次に記載する。
【0012】
本明細書中で言及する全ての刊行物は、関連上刊行物が引用される方法および/または材料を開示し、記載するために、参照として本明細書に組み入れられる。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈で明らかに規定されていなければ、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。任意の随意的な要素を排除するように、特許請求の範囲を作成し得ることを、さらに留意されたい。従って、本明細書は、特許請求の範囲の構成要素の詳述、または「消極的な」限定の使用に関連して、「単に(solely)」および「唯一の(only)」などのような排他的用語を使用するための先行原則としての役目を果たすことが意図される。
【0014】
本明細書で論じられる刊行物は、単に本出願の出願日に先立つそれらの開示のために提供される。本明細書におけるいかなるものも、先行発明に基づくそのような刊行物に本発明が先行する資格がないことを認めるものとして解釈されない。さらに、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日と異なることがある。
【0015】
上に概要を示したように、本発明は、標的細胞中の標的ウイルスゲノムの量を減少させる方法および組成物を提供する。本発明をさらに記載するにあたって、最初に本方法を非常に詳細に、続いて、本発明を実施する際に使用が見出されるキットと共に、本発明が使用を見出す様々な代表的な適用の概説を記載する。
【0016】
方法
前述のとおり、本発明は、インビトロまたはインビボに存在し得る標的細胞中の標的ウイルスゲノムの量を減少させる方法を提供する。「の量を減少させること」とは、対照、すなわち本方法に従って処理されていない同一の標的細胞と比べて、標的細胞中の標的ウイルスゲノムのレベルまたは量が少なくとも2倍、通常、少なくとも約5倍、例えば、10倍、15倍、20倍、50倍、100倍またはさらに多く、減少することを意味する。
【0017】
本方法を実施する際に、miRNA(マイクロRNA)阻害剤の有効量を標的細胞に導入するが、ここで、作用剤(agent)を標的細胞に導入するための任意の簡便なプロトコールが用いられ得る。miRNA阻害剤は、標的細胞中の標的miRNAの活性を阻害する作用剤である。標的miRNAは、その存在が標的細胞中のウイルスゲノムの複製および存在量と関連するmiRNAである。当技術分野において公知のとおり、miRNAは、例えば22ntまたは23ntのように約21ntから約24ntまでなど、約20ntから約25ntまでの長さの範囲である一本鎖(single stranded)RNA分子である。標的miRNAは、標的ウイルスゲノム中のmiRNAと同じ長さの領域と完全に相補的であっても、または完全には相補的でなくてもよい。完全には相補的でない場合、miRNAの長さ全体(約20ntから約25ntまでの範囲)に存在するミスマッチの量が、約8ntを越えず、ある態様においては例えば4ntなど、約6ntまたは5ntを越えないというように、miRNAおよびその対応する標的ゲノムは少なくとも実質的に相補的である。
【0018】
miRNA阻害剤とは、標的miRNAの活性を阻害する作用剤を意味する。阻害剤は、様々な異なるメカニズムによって標的miRNAの活性を阻害し得る。ある態様において、阻害剤は標的miRNAに結合するものであり、そうする際にその活性を阻害する。代表的なmiRNA阻害剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:以下の実験の項において報告される特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドなど。関心対象の他の作用剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:関心対象の天然または合成の小分子化合物は、多数の化学的クラスを含むが、典型的には、それらは有機分子であり、好ましくは50ダルトンより大きく、約2,500ダルトンより小さい分子量を有する小有機化合物である。候補作用剤は、タンパク質との構造的相互作用のために必要な官能基、特に水素結合を含み、典型的には、少なくともアミノ基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基、好ましくは、官能化学基の少なくとも2つを含む。候補作用剤は、多くの場合、上記官能基の1つまたは複数で置換された、環状炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含む。候補作用剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログ、またはそれらの組み合わせを含む生体分子の中にも見出される。そのような分子は、その他の方法の中で、適切なスクリーニングプロトコールを用いることにより同定され得る。
【0019】
また、ある態様における関心対象は、RNAi作用剤である。代表的な態様において、RNAi作用剤は、プレマイクロRNA分子として公知であるマイクロRNAの前駆体分子を標的にする。RNAi作用剤とは、RNA干渉メカニズムによってマイクロRNAの発現を調節する作用剤を意味する。本発明の1つの態様において用いられるRNAi作用剤は、小さなリボ核酸分子(本明細書においては干渉リボ核酸とも呼ばれる)、すなわち、例えば、互いにハイブリダイズした2つの別個のオリゴリボヌクレオチドなどの二重鎖(duplex)構造で存在するオリゴリボヌクレオチドであるか、または二重鎖構造を産生するための小さなヘアピン形成を担う一本鎖のリボオリゴヌクレオチドである。オリゴリボヌクレオチドとは、長さ約100ntを越えず、典型的には約75nt長を越えないリボ核酸を意味するが、ここで、ある態様における長さは約70ntより短い。RNA作用剤が、例えばsiRNA(同時係属出願第60/377,704号に記載されたd-siRNAなど;その開示は参照として本明細書に組み入れられる)のように、互いにハイブリダイズした2つの別個のリボ核酸の二重鎖構造である場合、二重鎖構造の長さは、典型的には約15bpから30bp、通常約15bpから29bpの範囲であるが、ここで、例えば21bp、22bpなどの約20bpと29bpの間の長さは、ある態様において特に関心対象である。RNA作用剤が、ヘアピン形成して存在する一本鎖リボ核酸の二重鎖構造、すなわちshRNAである場合、ヘアピンのハイブリダイズした部分の長さは、典型的にsiRNA型作用剤について上に提供したのと同じか、または4〜8ヌクレオチドだけ長い。本態様のRNAi作用剤の重量は、典型的に、約5,000ダルトンから約35,000ダルトンの範囲であり、多くの態様においては、少なくとも約10,000ダルトンであり、かつ約27,500ダルトンより小さく、多くの場合、約25,000ダルトンより小さい。
【0020】
ある態様においては、例えば、上記のようなsiRNAまたはshRNAなどの干渉リボ核酸であるRNAi作用剤のかわりに、上記のように、RNA作用剤が例えばshRNAなどの干渉リボ核酸をコードし得る。言い換えれば、RNAi作用剤は干渉リボ核酸の転写鋳型であり得る。これらの態様において、典型的に、転写鋳型は干渉リボ核酸をコードするDNAである。例えばプラスミドベクター、ウイルスベクターなど、当技術分野において公知である様々な異なるベクター中に、DNAは存在し得る。
【0021】
上記のように、任意の簡便なプロトコールを用いて、miRNA阻害剤は標的細胞に導入され得るが、ここで、標的細胞がインビトロにあるか、またはインビボにあるかによって、プロトコールは変化すると考えられる。
【0022】
標的細胞がインビボにある場合、任意の簡便なプロトコールを用いて、miRNA作用剤を宿主に投与することができる。阻害剤が核酸である態様においては、用いられるプロトコールは典型的に核酸投与プロトコールであり、ここで、多くの異なるそのようなプロトコールが当技術分野において公知である。以下の考察は、用いられ得る代表的な核酸投与プロトコールの概説を提供する。ウイルス感染、マイクロインジェクション、または小胞融合を含む多数の経路によって、組織または宿主細胞に核酸を導入し得る。Furth et. al.(1992), Anal Biochem 205:365-368により記載されたように、ジェット注入もまた、筋肉内投与のために使用し得る。核酸は、金微粒子上にコーティングされ、かつ粒子照射装置、または文献(例えば、Tang et al. (1992), Nature 356:152-154参照)に記載のような「遺伝子銃」により皮内に送達され得るが、ここで、金微粒子はDNAでコーティングされ、その後、皮膚細胞に照射される。発現ベクターは、核酸を細胞に導入するために使用され得る。そのようなベクターは、通常、核酸配列の挿入を提供するために、プロモーター配列近傍に位置する便利な制限部位を有する。転写開始領域、標的遺伝子またはその断片、および転写終結領域を含む転写カセットが調製され得る。例えば、プラスミド;レトロウイルス、例えばレンチウイルス;およびアデノウイルスなどの様々なベクターに転写カセットを導入し得るが、ここで、ベクターを一過性または安定に、通常少なくとも約一日の間、より通常には少なくとも約数日間から数週間、細胞中に維持することが可能である。
【0023】
例えば、標的遺伝子を含む宿主生物に、直接、阻害剤を投与、注入することができる。作用剤は細胞に(すなわち、細胞内に)直接導入してもよく;または、細胞外では、腔内、間質スペース、生物の体循環に、経口導入などで導入してもよい。経口導入のための方法は、RNAと生物の食料との直接混合を含む。核酸を導入する物理的方法には、細胞への直接注入、またはRNA溶液の生物への細胞外注入が含まれる。作用剤を、1細胞当たり少なくとも1コピーの送達を可能とする量で導入し得る。より高用量(例えば、1細胞当たり少なくとも5、10、100、500、または1000コピー)の作用剤によって、より効果的な阻害が得られ得る;より低用量もまた、特定の適用のために有用であり得る。
【0024】
ある態様において、水力学的核酸投与プロトコールが用いられる。作用剤がリボ核酸である場合、以下に詳細に記載される水力学的リボ核酸投与プロトコールは、特に関心対象である。作用剤がデオキシリボ核酸である場合、Chang et al., J. Virol.(2001) 75:3469-3473; Liu et al., Gene Ther.(1999)6:1258-1266; Wolff et al., Science(1990)247:1465-1468; Zhang et al., Hum. Gene Ther.(1999) 10:1735-1737:およびZhang et al., Gene Ther.(1999)7:1344-1349に記載された水力学的デオキシリボ核酸投与プロトコールが関心対象である。
【0025】
関心対象のさらなる核酸送達プロトコールには、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:関心対象の米国特許に記載されたものには、第5,985,847号、および第5,922,687号が含まれる(その開示は、参照として本明細書に組み入れられる);WO/11092;Acsadi et al.,New Biol.(1991)3:71-81; Hickman et al., Hum. Gen. Ther. (1994)5:1477-1483およびWolff et al., Science (1990)247:1465-1468など。
【0026】
阻害剤の性質によっては、標的細胞中の標的ウイルスゲノム量または標的ウイルス負荷量の所望される減少をもたらすことが可能な任意の簡便な手段を用いて、活性作用剤を宿主に投与し得る。従って、作用剤を、治療的投与のための様々な製剤中に組み入れることができる。より詳細には、本発明の作用剤は、適切な、薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせにより薬学的組成物に製剤化することができ、かつ、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、およびエアロゾルなど、固形、半固形、液体、またはガスの形態の調製物に製剤化してもよい。従って、作用剤の投与は、経口、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、気管内などの投与を含む、様々な方法で達成することができる。
【0027】
薬学的な投与形態で、作用剤を単独か、または他の薬学的に活性な化合物との組み合わせはもちろん、適切な会合においてでも投与し得る。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、決して制限的なものではない。
【0028】
経口製剤に関しては、薬剤を単独で使用してもよく、または、錠剤、粉剤、顆粒剤、またはカプセル剤を作製するための適切な添加剤、例えば、乳糖、マンニトール、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤;結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または塩化カルボキシメチルセルロースなどの崩壊剤;タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;および所望ならば、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤および着香剤などと組み合わせて使用してもよい。
【0029】
植物性もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコールなどの水溶性または非水溶性溶媒中、かつ所望ならば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤などの従来の添加剤と共に、溶解、懸濁、または乳化することにより、作用剤を注射用調製物に製剤化することができる。
【0030】
吸入を介して投与するために、作用剤をエアロゾル製剤として利用することができる。本発明の化合物を、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、および窒素などのような加圧許容噴霧剤に製剤化することができる。
【0031】
さらに、乳化基剤、または水溶性基剤などの様々な基剤と混合することにより、作用剤を坐剤化することができる。本発明の化合物を、坐剤によって直腸内に投与することができる。坐剤は、体温では融解するが室温では凝固する、カカオバター、カーボワックス、およびポリエチレングリコールなどの媒体を含んでいてもよい。
【0032】
1つまたは複数の阻害剤を含む組成物の既定量を、例えば、ティースプーン一杯、テーブルスプーン一杯、錠剤、または坐剤などの各投与単位に含む、シロップ、エリキシル剤、および懸濁剤などの経口または直腸投与のための単位投与形態を提供し得る。同様に、注射または静脈内投与のための単位投与形態は、滅菌水、正常生理食塩水、または別の薬学的に許容される担体中の溶液として、組成物中に阻害剤を含み得る。
【0033】
本明細書で用いられる「単位投与形態」という用語は、ヒトおよび動物の被験体のための統一された投与量として適切な物理的に別個の単位を指し示し、それぞれの単位は、薬学的に許容される賦形剤、担体または媒体と共同して、所望の効果を産生するのに十分な量として計算された本発明の化合物の規定量を含む。本発明の新規の単位投与形態のための規格は、用いられる特定の化合物、および達成するべき効果、および宿主におけるそれぞれの化合物に関連した薬力学に依存する。
【0034】
媒体、アジュバント、担体、または希釈剤など、薬学的に許容される賦形剤は、一般大衆にとって容易に入手可能である。さらに、pH調整および緩衝剤、張性調整剤、安定化剤、および湿潤剤などのような薬学的に許容される補助物質は、一般大衆にとって容易に入手可能である。
【0035】
具体的な化合物の機能および送達媒体の性質などに応じて用量レベルが変化し得ることを、当業者は容易に認識すると考えられる。所与の化合物にとっての好ましい投与量は、様々な手段によって当業者により容易に決定可能である。
【0036】
上記のような哺乳動物細胞へのRNAi作用剤の有効量の導入により、上記のように、例えば、標的遺伝子発現の減少などの標的遺伝子の発現の調節がもたらされる。上記の方法は、いかなる哺乳動物細胞においても機能し、ここで、関心対象の代表的な哺乳動物細胞には以下のものが含まれるが、これらの細胞に限定されない:有蹄類または蹄のある動物、例えばウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジなど;齧歯類、例えば、ハムスター、マウス、ラットなど;ウサギ目類、例えば、ウサギなど;霊長類、例えば、サル、ヒヒ、ヒトなど;および同種のもの。
【0037】
組成物は、本化合物とは別の、治療的または予防的いずれかの他の抗ウイルス剤と有利に組み合わせることができ、かつ/または組み合わせた使用および/もしくは交互での使用ができる。また、組成物は、抗HCV剤または免疫抑制剤などの、本化合物に感受性であるウイルス感染と関連することの多い状態を治療する作用剤と有利に組み合わせることができ、かつ/または組み合わせて使用することができる。ある態様においては、本組成物との併用投与により、そのような作用剤の有効性が増強される。従って、本化合物は、他の抗ウイルス剤と組み合わせる場合、または組み合わせて投与する場合に、単独使用の場合に予想される量より少ないか、または併用療法用に計算される量より少ない投与量で使用することができる。
【0038】
C型肝炎(HCV)のための例示的な治療の選択肢には、例えば、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-2a、およびインターフェロンアルファコン-1などのインターフェロンが含まれる。より頻度の少ないインターフェロン投薬は、ペグ化されたインターフェロン(その薬物動態特性を有意に改善するポリエチレングリコール成分を付着させたインターフェロン)を用いて達成することができる。インターフェロンα-2b(ペグ化された、およびペグ化されていない)およびリババリンを用いた併用療法もまた、一部の患者集団にとって有効であることが示されている。現在開発されている他の作用剤には、RNA複製阻害剤(例えば、ViroPharmaのVP50406シリーズ)、アンチセンス剤、治療用ワクチン、プロテアーゼ阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、および抗体療法(モノクローナルおよびポリクローナル)が含まれる。
【0039】
また、本発明の化合物および組成物は、低用量のシクロホスファミド、サイモスチムリン、ビタミン、および栄養補助食品(例えば、ビタミンA、C、E、βカロテン、亜鉛、セレン、グルタチオン、コエンザイムQ-10、およびエキナセアを含む抗酸化剤)を含む身体の免疫システムを増強する作用剤、ならびに、例えば抗原の多量体提示およびアジュバントと組み合わせるワクチン製剤を含む免疫刺激複合体(ISCOM)などのワクチンと共に使用され得る。
【0040】
上記の方法は、様々な異なる適用において使用が見出されるが、これから以下にその代表的な型をより詳細に記載する。
【0041】
有用性
本方法は、標的細胞中、または同じものを含む宿主中の標的ウイルスゲノム量の減少が望まれる、様々な異なる状態の治療において使用が見出される。多くの態様において、本方法は、ウイルス媒介性疾患状態を患う宿主の治療における使用が見出される。治療とは、少なくとも、宿主を苦しめる状態と関連した症状の寛解の達成を意味し、ここで、寛解は、例えば、治療される状態と関連した症状などのパラメータの程度が少なくとも減少することを指し示すように、広い意味で使用される。従って、治療には、病的状態、もしくは少なくともそれに関連した症状が、完全に抑制されている、例えば発症が防止されているか、または、その状態、もしくは少なくともその状態を特徴づける症状に宿主がそれ以上苦しまないよう、停止している、例えば終結している状況も含まれる。
【0042】
様々な宿主が、本方法に従って治療可能である。一般に、そのような宿主は「哺乳動物」または「哺乳類の動物」であり、ここで、これらの用語は、肉食類目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯類目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長類目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳綱の範囲内の生物を表すために広範に使用される。多くの態様においては、宿主はヒトと考えられる。
【0043】
上記のとおり、本方法は、標的細胞中のウイルスゲノムの存在量が、その細胞中のmiRNAと相関する任意のウイルスゲノムのために用いられ得る。ある態様において、ウイルスゲノムはRNAゲノムを有するウイルスのゲノムであり、ここで、ウイルスは、例えばC型肝炎ウイルス(分離株1)、C型肝炎ウイルス(分離株BK)、C型肝炎ウイルス(分離株EC1)、C型肝炎ウイルス(分離株EC10)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J2)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J5)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J6)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J7)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-J8)、C型肝炎ウイルス(分離株HC-JT)、C型肝炎ウイルス(分離株HCT18)、C型肝炎ウイルス(分離株HCT27)、C型肝炎ウイルス(分離株HCV-476)、C型肝炎ウイルス(分離株HCV-KF)、C型肝炎ウイルス(分離株Hunan)、C型肝炎ウイルス(分離株Japanese)、C型肝炎ウイルス(分離株Taiwan)、C型肝炎ウイルス(分離株TH)、C型肝炎ウイルス分離株H、C型肝炎ウイルス1型、C型肝炎ウイルス10型、C型肝炎ウイルス2型、C型肝炎ウイルス3型、C型肝炎ウイルス4型、C型肝炎ウイルス5型、C型肝炎ウイルス6型、C型肝炎ウイルス7型、C型肝炎ウイルス8型などのC型肝炎ウイルスのような、例えばヘパシウイルスなどのフラビウイルス科由来であり得る。
【0044】
ある代表的な態様において、本発明は、例えば非A、非B肝炎(NANBH)などのHCV媒介性疾患状態を患う宿主を治療する方法において用いられる。これらの代表的な態様において、以下に例示するようなアンチセンスオリゴなどのmiR122阻害剤の有効量を、上記のように、宿主細胞、特に肝細胞中に存在するHCVゲノムの量が減少するように宿主に投与する。
【0045】
薬学的組成物
本方法で用いられるmiRNA阻害化合物を含む薬学的組成物も提供する。従って、例えば、薬学的に許容される塩の形態の化合物を、上記のように、本方法における使用のために、経口、または非経口投与用に製剤化することができる。
【0046】
例証として、化合物を、従来の薬学的担体、および賦形剤(すなわち、媒体)と混合して、水溶液、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハー、および同様の形態で使用することができる。そのような薬学的組成物には、ある態様において、活性化合物の約0.1重量%から約90重量%、より一般的には活性化合物の約1重量%から約30重量%が含まれる。薬学的組成物には、トウモロコシデンプン、またはゼラチン、乳糖、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸などの、通常の担体および賦形剤が含まれ得る。本発明の製剤に通常使用される崩壊剤には、クロスカメロース、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸が含まれる。
【0047】
液体組成物は、一般に、懸濁剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、着香剤、または着色剤と共に、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールのような非水溶性溶媒、油、または水などの適切な液状担体中の化合物もしくは薬学的に許容される塩の懸濁液または溶液からなると考えられる。または、液状製剤を再構成可能な粉剤から調製することができる。
【0048】
例えば、活性化合物、懸濁剤、スクロース、および甘味料を含む粉剤を、水で再構成して懸濁液を形成することができる;および、活性成分、スクロース、および甘味料を含む粉剤から、シロップを調製することができる。
【0049】
固形組成物を調製するために慣行的に使用される任意の適切な薬学的担体を用いて、錠剤形態の組成物を調製することができる。そのような担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、スクロース、微結晶性セルロース、および、例えばポリビニルピロリドンなどの結合剤が含まれる。錠剤を、カラーフィルムコーティング、または担体の一部として含まれる色を伴って提供することもできる。加えて、活性化合物を、親水性または疎水性マトリクスを含む錠剤として制御放出投与形態に製剤化することができる。
【0050】
例えば、カプセル形態の組成物は、活性化合物および賦形剤を硬質ゼラチンカプセル中に取り込むことによって、慣行的なカプセル化手順を用いて調製することができる。または、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固形マトリクスを調製し、硬質ゼラチンカプセル中に充填させてもよく;または、活性化合物のポリエチレングリコール溶液、または例えば液状パラフィンもしくはヤシ油などの食用油中の懸濁液を調製し、軟質ゼラチンカプセル中に充填させてもよい。
【0051】
含まれ得る錠剤結合剤はアカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン、およびエチルセルロースである。使用され得る潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、または他のステアリン酸金属、ステアリン酸、シリコーン流体、タルク、ワックス、油、およびコロイドシリカが含まれる。
【0052】
ハッカ、冬緑油、またはサクラ香料などのような着香剤も使用することができる。さらに、外見上、投与形態をより魅力的にするため、または製品の独自性を助けるために、着色剤の添加が望まれることがある。
【0053】
非経口的に与えられる場合に活性である本発明の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩を、筋肉内、髄腔内、または静脈内投与用に製剤化することができる。
【0054】
筋肉内、または髄腔内投与のための典型的な組成物は、例えば、ラッカセイ油またはゴマ油などの油中の活性成分の懸濁液または溶液と考えられる。静脈内または髄腔内投与のための典型的な組成物は、例えば、活性成分、ならびに、デキストロース、または塩化ナトリウム、またはデキストロースと塩化ナトリウムの混合物を含む、滅菌等張水溶液であると考えられる。他の例は、乳酸リンゲル注射液、デキストロースを加えた乳酸リンゲル注射液、Normosol-Mおよびデキストロース、Isolyte E、ならびにアシル化リンゲル注射液などである。任意で、例えばポリエチレングリコールなどの共溶媒、例えばエチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤、および、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤が、製剤中に含まれ得る。または、溶液を凍結乾燥し、その後、投与直前に適切な溶媒を用いて再構成することができる。
【0055】
直腸投与において活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を、坐薬として製剤化することができる。典型的な坐薬製剤は、通常、ゼラチン、またはカカオバター、または他の低融点の植物もしくは合成ワックス、または脂質などの結合剤および/または潤滑剤と共に、活性成分からなると考えられる。
【0056】
局所投与において活性である本発明の化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩を、経皮組成物または経皮送達装置(「パッチ」)として製剤化することができる。そのような組成物には、例えば、裏当て、活性化合物リザーバー、制御膜、ライナー(liner)、および接点接着剤が含まれる。そのような経皮パッチを、制御された量での、本発明の化合物の連続的または不連続的注入を提供するために使用し得る。薬剤の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当技術分野において周知である。例えば、全体が参照として本明細書に組み入れられる、1991年6月11日に発行された米国特許第5,023,252号を参照されたい。そのようなパッチを、薬剤の連続的、パルス的、またはオンデマンド送達用に構築し得る。
【0057】
任意に、薬学的組成物は、緩衝液、界面活性剤、抗酸化剤、粘度調整剤、および防腐剤などのような他の薬学的に許容される成分を含み得る。これらの成分のそれぞれは、当技術分野において周知である。例えば、その開示が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,985,310号を参照されたい。
【0058】
本発明の製剤中に使用するために適切な他の成分は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mace Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed. (1985)において見出すことができる。ある態様において、水溶性シクロデキストリン溶液は、例えば、約5%デキストロースなどのデキストロースをさらに含む。
【0059】
キット
上記方法の1つまたは複数を実施するための試薬およびそのキットも提供する。本試薬およびそのキットは非常に変化し得る。典型的には、キットは、上記のようなmiRNA阻害剤を少なくとも含む。キットは、例えば、2つの成分がキット内の同じまたは別々の容器中に存在し得るなど、キット中miRNA阻害剤と組み合わせられていてもまたは分けられていてもよい薬学的に許容される送達媒体も含み得る。
【0060】
上記成分に加えて、本キットは、本方法を実施するための使用説明書をさらに含むと考えられる。これらの使用説明書は、その1つまたは複数がキット中に存在し得る、様々な形式で本キット中に存在し得る。これらの使用説明書が存在し得る1つの形式は、例えば、その上に情報が印刷された1枚または複数枚の紙、キットの包装、添付文書においてなど、適切な媒質または基質上に印刷された情報としてである。さらにもう1つの手段は、例えば、ディスク、CDなど、その上に情報が記録されたコンピューター可読メディアであろう。存在し得るさらにもう1つの手段は、離れた場所で、情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の簡便な手段がキット中に存在し得る。
【0061】
システム
上記のように、本方法の実施において使用が見出されるシステムも提供する。例えば、本方法を実施するためのシステムは、miRNA阻害剤を含む、1つまたは複数の薬学的製剤を含み得る。本明細書において用いられる「システム」という用語は、単独の組成物中に存在するか、または異種の組成物として存在する、例えば、活性作用剤、送達媒体など、本方法を実施するために寄せ集められた成分の集まりを指す。例えば、本発明に従って、寄せ集められ、被験体に同時投与される、別々に得られた活性作用剤および送達媒体は、本発明に従ったシステムである。
【0062】
以下の例は、例証として提示するものであって、制限を目的として提示するものではない。
【実施例】
【0063】
実験
I. 結果および考察
mRNA機能の制御におけるmiR-122の役割を理解する手始めに、本発明者らは、肝臓組織および肝臓細胞株から抽出したRNAサンプル中のmiR-122の発現をモニターした。図1Aは、マウスおよびヒト肝臓、ならびに培養ヒト肝臓Huh7細胞中に、miR-122を検出することができたが、ヒト子宮頚ガン由来HeLa細胞中、またはヒト肝臓由来HepG2細胞中にさえ検出することができなかったことを示す(図1A)。
【0064】
適応変異を保持するC型肝炎ウイルス(HCV)RNAは、Huh7細胞中で複製することができるが、HepG2細胞中ではできないことは公知であり、本発明者らはHCV RNA複製Huh7細胞中のmiR-122の存在が純粋なる偶然だけでなかったのかどうかを探究することを望んだ。この目的を達成するために、本発明者らは、成功するmiRNA-標的mRNA相互作用のための法則を満たすと考えられる潜在的なmiR-122結合部位について、9,600ヌクレオチドのプラス鎖ウイルスRNAゲノムを検査した。本発明者らは、ヌクレオチド2位から8位までとの完全なワトソン・クリック塩基対形成に携わることができるウイルスmRNA中の配列、miR-122の「シード配列」を探索した。この法則を用いて、本発明者らは、ウイルスの非コード領域内の、miR-122のための2つの予測結合部位(図1B)に気付いた。1つは、タイプ1a遺伝子型のウイルス3'非コード領域の可変領域内に位置していた(図1C)。この配列は名目上の「可変領域」内に存在したが、6つのHCV遺伝子型全ての検査によりシードマッチ配列自体が、高度に保存されていることが明らかとなった(表1)。2番目のmiR-122結合部位は、ウイルスゲノムの5'末端からわずか21ヌクレオチドの5'非コード領域内に存在すると予測された(図1C)。ここで、推定上のシードマッチ配列は、アデノシン残基と隣接していた。これにより、ほとんどの場合ウリジン残基であるmiRNA中のヌクレオチド1とのさらなる塩基対形成が導かれ、結果としてマイクロRNA-標的相互作用の特異性が増加する。隣接するアデノシン残基を含むmiR-122のための推定上のシードマッチ配列は、アンカリングのアデノシンを欠く遺伝子型2におけるシードマッチ配列を除いた全てのウイルス遺伝子型の間で、高度に保存されている(表1)。
【0065】
【表1】
【0066】
HCVにおける予測miR-122結合部位は、全ての遺伝子型において保存されている。ゲノム中のヌクレオチド10位から30位までの5'UTRの配列、および終止コドンから予測結合部位の末端までの3'UTRの配列を、それぞれの遺伝子型について示している。シードマッチは太字で示されている。
【0067】
HCV遺伝子発現を制御する際に、miR-122が機能的な役割を果たしたかどうかを判定するために、本発明者らは、NNeo/C-5B Huh7細胞においてmiR-122が不活性化される場合にレプリコンRNAの蓄積が影響を受けるかどうかを試験した(Ikeda, M. Yi, K. Li, S. M. Lemon, J. Virol. 76, 2997(2002))。これらの細胞は、恒常的にジシストロニックなウイルスレプリコンを発現しており、ここでは、HCV内部リボソーム進入部位(IRES)がネオマイシン耐性遺伝子産物の合成を導き、脳心筋炎ウイルスIRESが、HCV-N 1b系統の構造的および非構造的タンパク質の合成を導く(図2A、上図)。この細胞株においてmiR-122を不活性化するために、長さ31ヌクレオチドであって、miR-122に正確な相補性を有する2'-O-メチル化RNAオリゴヌクレオチド(122-2'OMe) を用いて、NNeo/C-5B細胞をトランスフェクションした;2'O-メチル化相補的RNAヌクレオチドはmiRNAを捕捉することが示されている(Hutvagner, et al., PLos Biol. 2, E98(2004); Meister, et al., RNA 10, 544 (2004))。miR-122の機能的不活性化に対する対照として、本発明者らは、それらの3'非コード領域内にmiR-122に相補的な配列を含んだeGFPセンサーmRNA(eGFP-122)の発現をモニターした。その完全な相補性のため、miR-122はこれらの標的分子上でsiRNAとして機能し、それらの核酸分解を導くはずである。実際に、eGFP-122をコードするプラスミドでトランスフェクションされた細胞において、完全長eGFP-122 RNAはほとんど認められなかったが(図2A、レーン3)、しかしながら、脳特異的miR-124に対して相補的な部位を含んだ類似のRNAは、高レベルに発現していた(図2A、レーン2)。122-2'OMeを用いたトランスフェクションの直後、eGFP-122 RNAの量は劇的に増加したが(図2A、レーン4)、一方、このオリゴマーのランダム化されたバージョン(Rand-2'OMe、レーン5)、またはmiRNA let-7aに相補的なオリゴマー(let7-2'OMe)は、影響がなかった(図2A、レーン6)。miR-122に相補的な23merのオリゴマーは31merの場合と同じ効果であった。
【0068】
驚くことに、miR-122が不活性化された場合に、HCVウイルスレプリコンRNAのレベルは特異的、かつ劇的に減少した(図2A、レーン4および7)。減少したウイルスmRNA存在量により、122-2'OMeオリゴマーを用いてトランスフェクションされた細胞中のHCVタンパク質発現の低下がもたらされたが、一方、この実験条件下でeGFPセンサータンパク質のレベルは増加した(図2B、レーン3)。予測miR-122結合部位の周囲領域中のオリゴマー配列と相当な相補性を有する、HCVのマイナス鎖と相互作用することにより、122-2'OMeオリゴマーが、レプリコンRNAおよびタンパク質レベルに影響を与えた可能性があった。しかしながら、予測miR-122結合部位を囲む3'非コード領域内のマイナス鎖と正確な相補性を有するオリゴマーは、レプリコンレベルに影響を与えなかったことから、ウイルスのマイナス鎖はオリゴマーに近づくことができないことが示唆された。さらに、122-2'OMeオリゴマーが、トランスフェクションされた細胞中の総タンパク質合成に影響を及ぼさなかったことから、122-2'OMeオリゴマーが抗ウイルス作用を誘導した可能性が排除された。総括して、これらの知見により、miR-122がHCVレプリコンRNAの細胞内存在量の維持に不可欠であることが示された。
【0069】
複製HCV RNAを用いて、新たにトランスフェクションされた細胞においてmiR-122がRNA蓄積に影響を及ぼすかどうかを判定するために、Huh7細胞において高レベルのRNA複製を可能にする5つの適応変異を有する完全長遺伝子型1a株H77cゲノムをコードするcDNA(図2C、上図)から、RNA転写産物を合成した(Yi & Lemon, J. Virol. 78, 7904 (2004))。これらのRNA分子をHuh7細胞内へ導入することにより、内因性miR-122の存在下でウイルスRNAの蓄積が導かれた(図2C、レーン1および2);対して、miR-122が122-2'OMeオリゴマーにより捕捉された場合には、ウイルスRNAは蓄積できなかった(図2C、レーン3)。従って、miR-122は、安定発現細胞株において、および直接トランスフェクション後に、遺伝子型1aおよび1b両方のHCV RNA存在量を維持するために必要である。
【0070】
推定上のmiR-122結合部位が、RNA蓄積へのmiR-122効果に必要であったかどうかを判定するために、完全長H77c cDNA内に変異を導入した。miR-122の結合を消失させるはずの、3'非コード領域内の予測シードマッチ中の4ヌクレオチド置換変異(図3A)を含むH77c RNAのトランスフェクションにより、RNA蓄積は減少しなかった(図3B、レーン2)。対して、5'非コード領域内の予測シードマッチ中の4ヌクレオチド置換変異(図3A)は、RNA蓄積を誘導できなかった(図3B、レーン3)。特筆すべきは、ウイルスゲノム(m5')中の27位に、2ヌクレオチド置換変異を含むゲノム(図3B、レーン4)、または1ヌクレオチド置換変異を含むゲノムさえもまた(図3B、レーン5)、トランスフェクション5日後に蓄積できなかったことである。これらの知見は、miR-122のリクルート失敗によりウイルスRNAの消失がもたらされたか、または変異がRNAの複製または安定性にいくらかの影響があったことを示している。
【0071】
miR-122シード配列中の変異が、miR-122の乏しい結合のために、RNA蓄積を減少させた場合、5'末端から三番目のヌクレオチドにおける変異(mC)を含んだmiR-122 RNAの異所性発現は、miR-122(mC)-m5'C RNA複合体の形成を回復させるはずである(Lewis, et al., Cell 120, 15 (2005))。野生型miR-122 RNAの異所性発現は、m5'C含有変異ウイルスRNAを救出しなかったが(図3C、レーン3)、野生型ウイルスRNA (図3C、レーン1)およびレプリコンRNA (図S3A & B)の存在量を増加させ、このことにより、導入されたmiR-122 RNAが機能的な一本鎖miR-122 RNA分子にプロセスされたこと、およびウイルスRNAの蓄積を媒介するmiR-122の内因性プールが限られていることが証明された。対して、変異m5'C miR-122二重鎖の発現はm5'C含有ウイルスRNAの蓄積を可能にし(図3C、レーン4)、miR-122とHCVゲノムの5'末端配列との間の遺伝子相互作用を強く主張した。さらに、変異mC-miR-122による変異m5'C含有ウイルスRNAの救出は、別の、恐らく細胞性のmiR-122標的を介した間接的な影響というよりも、直接的なHCV RNA-miR-122相互作用によるに違いない。
【0072】
本発明者らは次に、特有の内部リボソーム進入メカニズムによって引き起こされることが公知のHCV RNAの翻訳を、miR-122が調節するかどうか調べた(Ji, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 16990 (2004); Otto, Cell 119, 369 (2004); Pestova, et al., Genes Dev. 12, 67 (1998))。具体的に、本発明者らは、機能的なmiR-122結合部位の存在または非存在下で、複製および非複製ウイルスRNA由来のHCVコアタンパク質の産生をモニターした。図4には、野生型(レーン1)またはm5'C-変異RNA(レーン2)を用いてトランスフェクションされた細胞中に、ほとんどRNA複製が起こっていないはずの時点であるトランスフェクション後24時間において、コアタンパク質の類似量が蓄積したことが示されている。コアがインプットRNAから合成されたかどうかを直接試験するために、複製欠損ウイルスRNAの翻訳を調べた。結果は、野生型(図4、レーン3)およびm5'C変異(レーン4)のインプットRNAは、類似の効率で翻訳されることを示し、このことにより、miR-122が、RNA複製段階である可能性の高い、翻訳のあとの段階におけるHCV RNAの存在量を制御することが示唆された。
【0073】
HCVゲノムがその5'末端にmiR-122をリクルートするという、本発明者らの知見は新規である。本発明者らの知見は、miR-122がHCVのレベルを調節するための標的であり、従ってHCV媒介性疾患状態を治療するための標的であることを示している。
【0074】
II. 材料および方法
A. オリゴヌクレオチドおよびDNA構築物
RNAオリゴヌクレオチドおよび2'-O-メチル化オリゴヌクレオチドは、Dharmacon Inc. (Lafayette, CO)によって合成された。配列は以下のとおりであった。
miR-122の野生型またはmC型とmiR-122*との間で二重鎖を形成した。miR-122に正確な相補性を有する配列
をプラスミドpd2eGFP-N1(Clontech)の3'非コード領域内のNot1制限部位に、PCR媒介性挿入することより、miR-122センサープラスミドeGFP-122を構築した。対照ベクターeGFP-124を構築するためには、脳特異的miR-124に相補的である配列
を挿入した。変異原性プライマーを用いたオーバーラップPCRにより、H77cレプリコンベクター(Yi & Lemon, J. Virol 78, 7904 (Aug, 2004))の3'および5'非コード領域に置換変異を導入し、引き続きPCR産物のライゲーションにより親ベクターに導入した。
【0075】
B. 細胞培養およびトランスフェクション
Huh7、HeLa、およびHepG2細胞株を、10%FBSおよび1%非必須アミノ酸を補充したDMEM (Gibco)中で培養した。ジシストロニックなレプリコンNNeo/C-5Bを含むHuh7細胞株は、先述されており(Ikeda et al., J. Virol 76, 2997 (Mar, 2002))、1 mg/ml G418の存在下で維持された。前記Yi & Lemonに記載のとおり、インビトロで転写されたH77cゲノムRNAをエレクトロポレーションによりHuh7細胞に導入し、5日後にRNAを調製し、処理した。複製欠損H77cRNAからのタンパク質合成を観察するため、Huh7細胞中へのRNAの送達のためにDmrie-C (Invitrogen)を用い、20時間後にタンパク質溶解産物を調製し、処理した。エレクトロポレーションされた細胞は、そのような初期の時点において完全には接着性でないため、この方法が用いられた。lipofectamine 2000 (Invitrogen)を用いて、製造業者の使用説明書に従い、DNA構築物およびオリゴヌクレオチドを細胞内に導入した。6-ウエルプレート中で、2'-O-メチル化オリゴヌクレオチドおよびmiR-122 RNA二重鎖を50nMの濃度で細胞に送達した。収集前に、トランスフェクション細胞を48時間培養した。
【0076】
C. RNA単離およびノーザンブロット
Trizol試薬(Invitrogen)を用いて、製造業者の使用説明書に従い、細胞から総RNAを抽出した。miRNA発現を検出するために、総RNA 30μgを0.5×TBE中7M尿素を含む15%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、Hybond N+膜(Amersham)に転写し、配列
を用いて、miR-122に相補的な5'32P-標識オリゴヌクレオチドとハイブリダイズした。mRNAレベルを解析するために、NNeo/C-5Bレプリコン細胞由来のRNA 2.5μg、またはH77c RNAでトランスフェクションした細胞由来のRNA 15μgを、1×MOPS緩衝液および2.2 M ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル中で分離し、Zeta-probe膜(Bio-Rad)に転写した。ExpressHyb(Clontech) 中で、膜を、表示のようなHCVのヌクレオチド84位〜374位、eGFPの40位〜814位、およびαアクチンの685位〜1171位に対応するランダムプライム化した32P標識DNAプローブとハイブリダイズした。
【0077】
D. ウエスタンブロットおよびメタボリック標識
完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含むRIPAの中へ細胞を掻爬することにより、タンパク質試料を得た。タンパク質10μgを12%SDS-PAGEにより分離し、Immobilon-P膜(Millipore)に転写した。HCVコアタンパク質に対して向けられた抗体6G7(Stanford UniversityのHarry Greenbergから恵与)、またはeGFP(Roche)、もしくはアクチン(Sigma)に対して向けられた抗体を用いて、膜をプローブした。メタボリック標識のため、35S-メチオニンとの1時間のインキュベーション、およびタンパク質抽出の前に、メチオニンを含まない培地中で細胞を1時間培養した。タンパク質25μgをトリクロロ酢酸を用いて沈殿させ、35S-メチオニンの取り込みをフィルター結合により定量した。
【0078】
E. 配列データ
異なるHCV遺伝子型の5'および3'非コード領域の配列を、「hcv.lanl」の前に「http://」、かつ後に「.gov」を配置することにより作り出されたウエブサイトに位置するHCVデータベースから取得し、各遺伝子型の代表例を表1に示す。株は以下のとおりである:H77c(遺伝子型1a)、GenBankアクセッション番号AF011751;HCV-N(1b)、AF139594;JFH-1(2a)、AB047639;NZL1(3a)、D17763;HEMA51(4a)、D45193およびD45194;FR741(5a)、D50466およびD50467;TH271(6f)、D37848およびD37858。
【0079】
本発明が、HCV媒介性疾患状態などのウイルス媒介性疾患状態を治療する新規の方法を提供することは、上記の結果および考察から明らかである。したがって、本発明は当技術分野への多大な貢献を示す。
【0080】
本明細書において引用された全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が参照として組み入れられることを具体的かつ個別に示される場合と同程度に、参照として本明細書に組み入れられる。任意の刊行物の引用は出願日に先立つその開示のためであり、本発明が先行発明に基づくそのような刊行物に先行する資格がないことを認めると解釈されるべきでない。
【0081】
理解の明瞭を目的とした説明および例として、前述の発明をいくらか詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲の意図および範囲から逸脱することなく、ある種の変更および改変がそれに対してなされ得ることは、本発明の開示に鑑みて当業者にとって容易に明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細胞中のmiRNAの活性を阻害する工程を含む、標的細胞中のウイルスゲノム量を調節する方法。
【請求項2】
miRNAがウイルスゲノムの領域に実質的に相補的である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
miRNAがウイルスゲノムの領域に完全には相補的でない、請求項2記載の方法。
【請求項4】
阻害する工程が、標的細胞にmiRNA調節剤を導入する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
miRNA調節剤がmiRNAに結合する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
miRNA調節剤が核酸である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
ウイルスゲノムが病原性ウイルス由来である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
病原性ウイルスがRNAゲノムを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ウイルスがフラビウイルス科のメンバーである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ウイルスがヘパシウイルスである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ウイルスがC型肝炎ウイルスである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
miRNAがmiR122である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
標的細胞がインビトロにある、請求項1記載の方法。
【請求項14】
標的細胞がインビボにある、請求項1記載の方法。
【請求項15】
標的細胞を含む被験体にmiRNA活性阻害剤を投与する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
疾患状態について被験体を治療する方法である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
以下を含む、請求項1記載の方法において使用するためのキット:
miRNA活性阻害剤;および
請求項1記載の方法を実施する際に使用するための使用説明書。
【請求項18】
miRNA活性阻害剤がmiRNAに結合する、請求項17記載のキット。
【請求項19】
miRNA活性阻害剤が核酸である、請求項17記載のキット。
【請求項20】
miRNA活性阻害剤のための薬学的に許容される送達媒体をさらに含む、請求項17記載のキット。
【請求項21】
miRNA活性阻害剤がmiR122活性を阻害する、請求項17記載のキット。
【請求項22】
以下を含む、請求項1記載の方法において使用するためのシステム:
miRNA活性阻害剤;および
miRNA活性阻害剤のための薬学的に許容される送達媒体。
【請求項23】
miRNA活性阻害剤がmiRNAに結合する、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
miRNA活性阻害剤が核酸である、請求項22記載のシステム。
【請求項25】
miRNA活性阻害剤がmiR122活性を阻害する、請求項22記載のシステム。
【請求項26】
以下を含む組成物:
miRNA活性阻害剤;および
薬学的に許容される送達媒体。
【請求項27】
miRNA活性阻害剤がmiRNAに結合する、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
miRNA活性阻害剤が核酸である、請求項26記載のシステム。
【請求項29】
miRNA活性阻害剤がmiR122活性を阻害する、請求項26記載の組成物。
【請求項1】
標的細胞中のmiRNAの活性を阻害する工程を含む、標的細胞中のウイルスゲノム量を調節する方法。
【請求項2】
miRNAがウイルスゲノムの領域に実質的に相補的である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
miRNAがウイルスゲノムの領域に完全には相補的でない、請求項2記載の方法。
【請求項4】
阻害する工程が、標的細胞にmiRNA調節剤を導入する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
miRNA調節剤がmiRNAに結合する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
miRNA調節剤が核酸である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
ウイルスゲノムが病原性ウイルス由来である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
病原性ウイルスがRNAゲノムを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ウイルスがフラビウイルス科のメンバーである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ウイルスがヘパシウイルスである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ウイルスがC型肝炎ウイルスである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
miRNAがmiR122である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
標的細胞がインビトロにある、請求項1記載の方法。
【請求項14】
標的細胞がインビボにある、請求項1記載の方法。
【請求項15】
標的細胞を含む被験体にmiRNA活性阻害剤を投与する工程を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
疾患状態について被験体を治療する方法である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
以下を含む、請求項1記載の方法において使用するためのキット:
miRNA活性阻害剤;および
請求項1記載の方法を実施する際に使用するための使用説明書。
【請求項18】
miRNA活性阻害剤がmiRNAに結合する、請求項17記載のキット。
【請求項19】
miRNA活性阻害剤が核酸である、請求項17記載のキット。
【請求項20】
miRNA活性阻害剤のための薬学的に許容される送達媒体をさらに含む、請求項17記載のキット。
【請求項21】
miRNA活性阻害剤がmiR122活性を阻害する、請求項17記載のキット。
【請求項22】
以下を含む、請求項1記載の方法において使用するためのシステム:
miRNA活性阻害剤;および
miRNA活性阻害剤のための薬学的に許容される送達媒体。
【請求項23】
miRNA活性阻害剤がmiRNAに結合する、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
miRNA活性阻害剤が核酸である、請求項22記載のシステム。
【請求項25】
miRNA活性阻害剤がmiR122活性を阻害する、請求項22記載のシステム。
【請求項26】
以下を含む組成物:
miRNA活性阻害剤;および
薬学的に許容される送達媒体。
【請求項27】
miRNA活性阻害剤がmiRNAに結合する、請求項26記載の組成物。
【請求項28】
miRNA活性阻害剤が核酸である、請求項26記載のシステム。
【請求項29】
miRNA活性阻害剤がmiR122活性を阻害する、請求項26記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図S3】
【図2】
【図3】
【図4】
【図S3】
【公開番号】特開2012−102116(P2012−102116A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−282593(P2011−282593)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2007−511489(P2007−511489)の分割
【原出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【出願人】(503115205)ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2007−511489(P2007−511489)の分割
【原出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【出願人】(503115205)ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (69)
【Fターム(参考)】
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