標的装置
【課題】敵味方識別等の状況判断を伴う射撃訓練を行なうことができる標的装置を提供する。
【解決手段】画像を表示する表示部11と、表示部を搭載する本体を移動する移動部14と、移動部の位置を判断し当該位置に基づいて表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部12をもつ標的装置である。画像表示部11にて、標的画像を任意に切り替えることで、例えば、射撃対象と非射撃対象を交互に表示させて、訓練者の状況判断を伴う射撃訓練を可能にする。また、標的画像を任意に切り替えることで、射撃訓練のマンネリ化を防止することができる。
【解決手段】画像を表示する表示部11と、表示部を搭載する本体を移動する移動部14と、移動部の位置を判断し当該位置に基づいて表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部12をもつ標的装置である。画像表示部11にて、標的画像を任意に切り替えることで、例えば、射撃対象と非射撃対象を交互に表示させて、訓練者の状況判断を伴う射撃訓練を可能にする。また、標的画像を任意に切り替えることで、射撃訓練のマンネリ化を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、射撃訓練に使用する標的装置に関し、特に、映像表示部を搭載した標的装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、標的装置を用いることで、実践的な射撃訓練を行なうことが知られている。標的装置を用いた射撃訓練の一例として、移動台車上に標的装置を搭載して標的を隠顕動作させて射撃訓練を実施するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−304079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(特開2008−304079号公報)の従来技術は、訓練者が狙う標的部分は、シンボルやマーク等の固定的なものである。この結果、訓練が単調となり臨場感の少ない訓練内容となる。
すなわち、従来の標的はあくまで射撃対象であり、隠れていた場所から突然標的が現出した場合であっても射手はただ撃つだけとなり、射撃の練習にはなるが、射撃対象と非射撃対象を識別して射撃を行うような実践的な射撃訓練ができない。
【0005】
また、標的に対してペイント等を施すことで例えば射撃対象と非射撃対象を識別させる等もできるが、繰り返し訓練を行なう場合のマンネリ化や標的位置による撃つ必要のありなしの記憶を防ぐために、繰り返し配置や塗装を変更しなくてはならないという設定上の手間が発生する。
【0006】
本発明は、射撃対象か否か等の状況判断を伴う射撃訓練を可能とする標的装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決する一実施形態は、
画像を表示する表示部(11)と、
前記表示部を搭載する本体を移動する移動部(14)と、
前記移動部の位置を判断し当該位置に基づいて前記表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部(12)と、を具備することを特徴とする標的装置である。
【発明の効果】
【0008】
画像表示部を設けて、標的画像を任意に切り替えることで、例えば、射撃対象と非射撃対象を交互に表示させて、訓練者の状況判断を伴う射撃訓練を可能にする。また、標的画像を任意に切り替えることで、射撃訓練のマンネリ化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る標的装置の一例を示す概観図。
【図2】当該標的装置の構成の一例を示すブロック図。
【図3】当該標的装置の表示部の上昇下降を行なう起動駆動部を示す説明図。
【図4】当該標的装置の起動駆動部の遮蔽板とセンサの関係を示す説明図。
【図5】当該標的装置の起動駆動部の遮蔽板とセンサの関係を示す説明図。
【図6】当該標的装置の表示部の起立・倒立とセンサとの関係を示す説明図。
【図7】当該標的装置が設置されるステージの一例を示す概観図。
【図8】当該標的装置の射撃訓練の動作の一例を示すフローチャート。
【図9】当該標的装置の指令装置に基づく射撃訓練の動作を示すフローチャート。
【図10】当該標的装置の指令装置を伴う射撃訓練の一例を示す説明図。
【図11】当該標的装置の指令装置を伴う射撃訓練の他の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る標的装置1は、図1に示すように、例えば敵兵や一般人の画像を表示する表示部11と、全体の動作を制御する制御部12と、連結部である回転軸31を介して表示部11を回転可能に保持する本体13と、本体13を駆動する車両駆動部14と、制御部12と接続され後述する指令装置2の通信部54と通信を行なう通信部15を有している。また、標的装置1の電気的構成として、図2に示すように、全体の動作を司る制御部12と、この制御部12に接続される各部として、後述する動作プログラム等を内蔵した記憶部22と、後述するレーザ検出部23と、各部に電源を供給する電源部25と、本体13を駆動する車両駆動部14と、表示部11に所望の画像を生成して供給する表示駆動部21と、表示部11に接続された連結部である回転軸と同軸のモータにより表示部11を起立させまたは倒す起動駆動部24と、車両駆動部14により移動した本体13の位置を検出する位置検出部26と、指令装置2の通信部54と通信を行なう通信部15を有している。位置検出部26は、例えば、GPSや車両駆動部14の駆動量を検出するセンサなどである。
【0011】
また、図3は、標的装置1の機械的構成の一部を示す断面図である。制御部12は、表示部11に接続された連結部に同軸のモータである起動駆動部24を制御することにより、表示部11を起立させ、または倒す。
このとき、制御部12は、図4及び図5に示すように、回転軸に同軸の第1遮蔽板32と第1センサ34、回転軸に同軸の第2遮蔽板33と第2センサ35を設けたことで、第1センサ34が第1遮蔽板32にどれだけ遮蔽されているか、第2センサ35が第2遮蔽板33にどれだけ遮蔽されているかを各センサからの検出信号に基づいて、図6に示すように、表示部11の状態が起立であるか、回転動作中であるか、倒された状態であるかを検出することができる。なお、表示部11の隠顕状態は、センサを用いずに、起動駆動部24あるいは制御部12の出力(制御量)に基づいて判断してもよい。
【0012】
(射撃訓練)
次に、このような標的装置1において行なわれる射撃訓練を、以下に図面を用いて詳細に説明する。標的装置1は、図7に示すようなステージにおいて移動可能に設置されて射撃訓練に使用され、射撃訓練のプログラムの一例として、ステージ左手の壁面W1から登場し、ステージ中央に位置することで訓練者10(図1に示す)の標的となり、その後、ステージ右手の壁面W2に退場する。
【0013】
標的装置1は、一例として、制御部12と記憶部22に内蔵された射撃訓練のプログラムに従って自律的に動作するものである。すなわち、図8のフローチャートに示すように、標的装置1は、制御部12と記憶部22に内蔵された射撃訓練のプログラムに従って、表示駆動部21から供給される画像A、例えば、敵兵(射撃対象)に扮した俳優等を用いたリアルな映像を表示部11に表示する(ステップS11)。ここで、表示部11の映像に連動した音声を図示しないスピーカ等から出力することにより、よりリアルな標的として使用できる。その後、制御部12の制御下により、起動駆動部24により、連結部である回転軸31と同軸の図示しないモータを回転することにより、表示部11を立たせる(ステップS12)。次に、制御部12の制御下により、車両駆動部14により車両を駆動させて、本体13を例えば、図7のステージ左手の壁面W1からステージ中央へと移動させる(ステップS13)。
【0014】
制御部12は、所定時間が経過するまで(ステップS14)、レーザ検出部23に小銃41のレーザ送受信器42からのレーザを検出したかどうかを判断し、レーザを検出したら標的に着弾したものと判断する(ステップS15)。制御部12は、標的に着弾したと判断すると、倒れる等の弾着時の映像を表示部11に表示する(ステップS16)。制御部12は、標的に着弾したと判断すると、更に、起動駆動部24により表示部11を倒す(ステップS17)。
【0015】
一方、制御部12は、小銃41からの検出器43(訓練者10の小銃41の操作や位置・方向等を検出する)からの信号とレーザ検出部23からの信号を受けて、レーザが照射されたが標的には当たらなかったと判断することができる。制御部12は、はずれた場合は、銃を撃つ等の反撃してくる映像を表示部11に表示する。このとき、訓練者10にレーザの受光器、標的装置1にレーザの発射器を設けておき、標的装置1から訓練者10に向けてレーザを発射してもよい。音や振動、電気信号等により、反撃されたことを図示しないスピーカや振動子やLED等により訓練者10に通知することも可能である。
【0016】
制御部12は、ステップS15でレーザが標的にヒットした場合、あるいは、ステップS14で所定時間が経過した場合、制御部12により起動駆動部24を駆動して表示部11を図3に示すように倒す(ステップS17)。制御部12は、表示駆動部21により、次に画像Aとは異なる、例えば、一般人(非射撃対象)に扮した俳優等を用いたリアルな映像である画像Bを表示する(ステップS18)。そして、制御部12の制御下において車両駆動部14により、ステージ右手の壁面W2の背後に隠れた状態から、ステージ中央に移動する(ステップS19)。制御部12は、ステージ中央において、起動駆動部24により表示部11を起こす(ステップS20)。これにより、訓練者10は、突然、一般人が表示された表示部11と向き合うことになる。その後、ステップS14に進み、同様の処理を繰り返す。
【0017】
このように、表示部11を伴う標的装置1が、一例として、往復したときに表示を切り替えることで、行きと帰りで異なった映像を表示することができる。そのため、訓練者10は敵兵ならば射撃する、武器を出したら射撃する、一般人ならば射撃を控える等の射撃時の状況判断を訓練することができる。なお、移動方向(S13やS19の所定位置)やS14の所定時間、次に表示する画像(S11、S18)は、ランダムに選択することも可能である。
【0018】
次に、図10に示すようなオペレータ50が指令装置2を操作することで、外部から標的装置1を制御することで行う射撃訓練について説明する。指令装置2は、オペレータが参照するための操作情報を表示するディスプレイ51と、オペレータが操作する操作部52と、標的装置1の通信部15と通信を行なう通信部53を有している。
【0019】
標的装置1の制御部12は、通信部15を介して指令装置2から与えられた指令信号に基づいて、車両駆動部14、起動駆動部24、表示駆動部21を制御し、標的装置1の移動、表示部11の隠顕、表示画像を制御する。
【0020】
また、制御部12は、レーザ検出部23に小銃41のレーザ送受信器42からのレーザを検出したかどうかを判断し、レーザを検出したら標的に着弾したと判断して、倒れる等の弾着時の映像を表示部11に表示すると共に、表示部11を倒す処理の流れは、指令装置2からの指令信号を受信して制御部12が各種制御を行なうことを除き、従前の実施形態と同様である。
【0021】
このように、最初に述べた実施形態のように制御部12が自律的に動作するとは異なり、オペレータ50の操作により、指令装置2から通信部15を介して与えられる指令信号に従って、標的装置1を操作して射撃訓練を行なうことも可能である。
次に、標的装置1が小銃41からのレーザを判定する判定方法について言及する。標的装置1が小銃41からのレーザを判定する方法は、少なくとも以下の3パターンが可能である。
(1)直接照準方式(図10)
表示部11の上部等にレーザ検出部23を設置する。訓練者は、表示部11ではなく、このレーザ検出部23を標的として、レーザを照射することになる。受光器にレーザが当たったと判定されたとき、映像が切り替わる。
【0022】
(2)反射検出方式(図11)
表示部11に直接レーザを照射して、表示部11に反射したレーザを検知する判定器27を表示部11の周辺に配置する。判定器27からの着弾結果信号を指令装置2の通信部53に送信するか、標的装置1の通信部15に送信することで、レーザの照射位置を検出する。訓練者は、表示部11に直接レーザを照射することで、リアリティのある射撃訓練を実施することができる。
(3)火器方向検出方式(図12)
訓練者が操作する小銃41の検出器43に方向検知器を内蔵させ、小銃41の照準方向と標的の位置の情報(火器方向信号)を指令装置2の通信部54に送信する。一方、標的装置1の制御部12は、標的装置1の標準位置情報を通信部15を介して指令装置2の通信部54に送信する。指令装置2では、両者の信号に基づき、小銃41が標的装置1に着弾したかどうかを判定する。
【0023】
以上のように、本発明の一実施形態に係る標的装置によれば、表示部において任意の異なる映像を表示することで、訓練者の状況判断能力を鍛える射撃訓練を実施することができる。標的を表示部の映像とすることにより、同じ場所から出てくる標的装置の外観を物理的に変更することなく替えることができるため、射撃訓練がマンネリ化しない。また、標的を擬装するためのペイント等を必要としない。また、映像と標的駆動部の動作による標的の現出をリンクさせ、何通りものシナリオで訓練ができる。また、リアリティのある映像を用いた標的を使用することにより訓練の質を向上させることができる。
【0024】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1…標的装置、2…リモートコントローラ、11…表示部、12…制御部、13…本体、14…駆動部、15…通信部、21…表示駆動部、22…記憶部、23…レーザ検出部、24…起動駆動部、25…電源部、31…回転軸、32…第1遮蔽板、33…第2遮蔽板、34…第1センサ、35…第2センサ、41…小銃、42…レーザ送信器、43…検出器、53…ディスプレイ、54…通信部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、射撃訓練に使用する標的装置に関し、特に、映像表示部を搭載した標的装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、標的装置を用いることで、実践的な射撃訓練を行なうことが知られている。標的装置を用いた射撃訓練の一例として、移動台車上に標的装置を搭載して標的を隠顕動作させて射撃訓練を実施するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−304079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(特開2008−304079号公報)の従来技術は、訓練者が狙う標的部分は、シンボルやマーク等の固定的なものである。この結果、訓練が単調となり臨場感の少ない訓練内容となる。
すなわち、従来の標的はあくまで射撃対象であり、隠れていた場所から突然標的が現出した場合であっても射手はただ撃つだけとなり、射撃の練習にはなるが、射撃対象と非射撃対象を識別して射撃を行うような実践的な射撃訓練ができない。
【0005】
また、標的に対してペイント等を施すことで例えば射撃対象と非射撃対象を識別させる等もできるが、繰り返し訓練を行なう場合のマンネリ化や標的位置による撃つ必要のありなしの記憶を防ぐために、繰り返し配置や塗装を変更しなくてはならないという設定上の手間が発生する。
【0006】
本発明は、射撃対象か否か等の状況判断を伴う射撃訓練を可能とする標的装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決する一実施形態は、
画像を表示する表示部(11)と、
前記表示部を搭載する本体を移動する移動部(14)と、
前記移動部の位置を判断し当該位置に基づいて前記表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部(12)と、を具備することを特徴とする標的装置である。
【発明の効果】
【0008】
画像表示部を設けて、標的画像を任意に切り替えることで、例えば、射撃対象と非射撃対象を交互に表示させて、訓練者の状況判断を伴う射撃訓練を可能にする。また、標的画像を任意に切り替えることで、射撃訓練のマンネリ化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る標的装置の一例を示す概観図。
【図2】当該標的装置の構成の一例を示すブロック図。
【図3】当該標的装置の表示部の上昇下降を行なう起動駆動部を示す説明図。
【図4】当該標的装置の起動駆動部の遮蔽板とセンサの関係を示す説明図。
【図5】当該標的装置の起動駆動部の遮蔽板とセンサの関係を示す説明図。
【図6】当該標的装置の表示部の起立・倒立とセンサとの関係を示す説明図。
【図7】当該標的装置が設置されるステージの一例を示す概観図。
【図8】当該標的装置の射撃訓練の動作の一例を示すフローチャート。
【図9】当該標的装置の指令装置に基づく射撃訓練の動作を示すフローチャート。
【図10】当該標的装置の指令装置を伴う射撃訓練の一例を示す説明図。
【図11】当該標的装置の指令装置を伴う射撃訓練の他の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る標的装置1は、図1に示すように、例えば敵兵や一般人の画像を表示する表示部11と、全体の動作を制御する制御部12と、連結部である回転軸31を介して表示部11を回転可能に保持する本体13と、本体13を駆動する車両駆動部14と、制御部12と接続され後述する指令装置2の通信部54と通信を行なう通信部15を有している。また、標的装置1の電気的構成として、図2に示すように、全体の動作を司る制御部12と、この制御部12に接続される各部として、後述する動作プログラム等を内蔵した記憶部22と、後述するレーザ検出部23と、各部に電源を供給する電源部25と、本体13を駆動する車両駆動部14と、表示部11に所望の画像を生成して供給する表示駆動部21と、表示部11に接続された連結部である回転軸と同軸のモータにより表示部11を起立させまたは倒す起動駆動部24と、車両駆動部14により移動した本体13の位置を検出する位置検出部26と、指令装置2の通信部54と通信を行なう通信部15を有している。位置検出部26は、例えば、GPSや車両駆動部14の駆動量を検出するセンサなどである。
【0011】
また、図3は、標的装置1の機械的構成の一部を示す断面図である。制御部12は、表示部11に接続された連結部に同軸のモータである起動駆動部24を制御することにより、表示部11を起立させ、または倒す。
このとき、制御部12は、図4及び図5に示すように、回転軸に同軸の第1遮蔽板32と第1センサ34、回転軸に同軸の第2遮蔽板33と第2センサ35を設けたことで、第1センサ34が第1遮蔽板32にどれだけ遮蔽されているか、第2センサ35が第2遮蔽板33にどれだけ遮蔽されているかを各センサからの検出信号に基づいて、図6に示すように、表示部11の状態が起立であるか、回転動作中であるか、倒された状態であるかを検出することができる。なお、表示部11の隠顕状態は、センサを用いずに、起動駆動部24あるいは制御部12の出力(制御量)に基づいて判断してもよい。
【0012】
(射撃訓練)
次に、このような標的装置1において行なわれる射撃訓練を、以下に図面を用いて詳細に説明する。標的装置1は、図7に示すようなステージにおいて移動可能に設置されて射撃訓練に使用され、射撃訓練のプログラムの一例として、ステージ左手の壁面W1から登場し、ステージ中央に位置することで訓練者10(図1に示す)の標的となり、その後、ステージ右手の壁面W2に退場する。
【0013】
標的装置1は、一例として、制御部12と記憶部22に内蔵された射撃訓練のプログラムに従って自律的に動作するものである。すなわち、図8のフローチャートに示すように、標的装置1は、制御部12と記憶部22に内蔵された射撃訓練のプログラムに従って、表示駆動部21から供給される画像A、例えば、敵兵(射撃対象)に扮した俳優等を用いたリアルな映像を表示部11に表示する(ステップS11)。ここで、表示部11の映像に連動した音声を図示しないスピーカ等から出力することにより、よりリアルな標的として使用できる。その後、制御部12の制御下により、起動駆動部24により、連結部である回転軸31と同軸の図示しないモータを回転することにより、表示部11を立たせる(ステップS12)。次に、制御部12の制御下により、車両駆動部14により車両を駆動させて、本体13を例えば、図7のステージ左手の壁面W1からステージ中央へと移動させる(ステップS13)。
【0014】
制御部12は、所定時間が経過するまで(ステップS14)、レーザ検出部23に小銃41のレーザ送受信器42からのレーザを検出したかどうかを判断し、レーザを検出したら標的に着弾したものと判断する(ステップS15)。制御部12は、標的に着弾したと判断すると、倒れる等の弾着時の映像を表示部11に表示する(ステップS16)。制御部12は、標的に着弾したと判断すると、更に、起動駆動部24により表示部11を倒す(ステップS17)。
【0015】
一方、制御部12は、小銃41からの検出器43(訓練者10の小銃41の操作や位置・方向等を検出する)からの信号とレーザ検出部23からの信号を受けて、レーザが照射されたが標的には当たらなかったと判断することができる。制御部12は、はずれた場合は、銃を撃つ等の反撃してくる映像を表示部11に表示する。このとき、訓練者10にレーザの受光器、標的装置1にレーザの発射器を設けておき、標的装置1から訓練者10に向けてレーザを発射してもよい。音や振動、電気信号等により、反撃されたことを図示しないスピーカや振動子やLED等により訓練者10に通知することも可能である。
【0016】
制御部12は、ステップS15でレーザが標的にヒットした場合、あるいは、ステップS14で所定時間が経過した場合、制御部12により起動駆動部24を駆動して表示部11を図3に示すように倒す(ステップS17)。制御部12は、表示駆動部21により、次に画像Aとは異なる、例えば、一般人(非射撃対象)に扮した俳優等を用いたリアルな映像である画像Bを表示する(ステップS18)。そして、制御部12の制御下において車両駆動部14により、ステージ右手の壁面W2の背後に隠れた状態から、ステージ中央に移動する(ステップS19)。制御部12は、ステージ中央において、起動駆動部24により表示部11を起こす(ステップS20)。これにより、訓練者10は、突然、一般人が表示された表示部11と向き合うことになる。その後、ステップS14に進み、同様の処理を繰り返す。
【0017】
このように、表示部11を伴う標的装置1が、一例として、往復したときに表示を切り替えることで、行きと帰りで異なった映像を表示することができる。そのため、訓練者10は敵兵ならば射撃する、武器を出したら射撃する、一般人ならば射撃を控える等の射撃時の状況判断を訓練することができる。なお、移動方向(S13やS19の所定位置)やS14の所定時間、次に表示する画像(S11、S18)は、ランダムに選択することも可能である。
【0018】
次に、図10に示すようなオペレータ50が指令装置2を操作することで、外部から標的装置1を制御することで行う射撃訓練について説明する。指令装置2は、オペレータが参照するための操作情報を表示するディスプレイ51と、オペレータが操作する操作部52と、標的装置1の通信部15と通信を行なう通信部53を有している。
【0019】
標的装置1の制御部12は、通信部15を介して指令装置2から与えられた指令信号に基づいて、車両駆動部14、起動駆動部24、表示駆動部21を制御し、標的装置1の移動、表示部11の隠顕、表示画像を制御する。
【0020】
また、制御部12は、レーザ検出部23に小銃41のレーザ送受信器42からのレーザを検出したかどうかを判断し、レーザを検出したら標的に着弾したと判断して、倒れる等の弾着時の映像を表示部11に表示すると共に、表示部11を倒す処理の流れは、指令装置2からの指令信号を受信して制御部12が各種制御を行なうことを除き、従前の実施形態と同様である。
【0021】
このように、最初に述べた実施形態のように制御部12が自律的に動作するとは異なり、オペレータ50の操作により、指令装置2から通信部15を介して与えられる指令信号に従って、標的装置1を操作して射撃訓練を行なうことも可能である。
次に、標的装置1が小銃41からのレーザを判定する判定方法について言及する。標的装置1が小銃41からのレーザを判定する方法は、少なくとも以下の3パターンが可能である。
(1)直接照準方式(図10)
表示部11の上部等にレーザ検出部23を設置する。訓練者は、表示部11ではなく、このレーザ検出部23を標的として、レーザを照射することになる。受光器にレーザが当たったと判定されたとき、映像が切り替わる。
【0022】
(2)反射検出方式(図11)
表示部11に直接レーザを照射して、表示部11に反射したレーザを検知する判定器27を表示部11の周辺に配置する。判定器27からの着弾結果信号を指令装置2の通信部53に送信するか、標的装置1の通信部15に送信することで、レーザの照射位置を検出する。訓練者は、表示部11に直接レーザを照射することで、リアリティのある射撃訓練を実施することができる。
(3)火器方向検出方式(図12)
訓練者が操作する小銃41の検出器43に方向検知器を内蔵させ、小銃41の照準方向と標的の位置の情報(火器方向信号)を指令装置2の通信部54に送信する。一方、標的装置1の制御部12は、標的装置1の標準位置情報を通信部15を介して指令装置2の通信部54に送信する。指令装置2では、両者の信号に基づき、小銃41が標的装置1に着弾したかどうかを判定する。
【0023】
以上のように、本発明の一実施形態に係る標的装置によれば、表示部において任意の異なる映像を表示することで、訓練者の状況判断能力を鍛える射撃訓練を実施することができる。標的を表示部の映像とすることにより、同じ場所から出てくる標的装置の外観を物理的に変更することなく替えることができるため、射撃訓練がマンネリ化しない。また、標的を擬装するためのペイント等を必要としない。また、映像と標的駆動部の動作による標的の現出をリンクさせ、何通りものシナリオで訓練ができる。また、リアリティのある映像を用いた標的を使用することにより訓練の質を向上させることができる。
【0024】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1…標的装置、2…リモートコントローラ、11…表示部、12…制御部、13…本体、14…駆動部、15…通信部、21…表示駆動部、22…記憶部、23…レーザ検出部、24…起動駆動部、25…電源部、31…回転軸、32…第1遮蔽板、33…第2遮蔽板、34…第1センサ、35…第2センサ、41…小銃、42…レーザ送信器、43…検出器、53…ディスプレイ、54…通信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を搭載する本体を移動する移動部と、
前記移動部の位置を判断し当該位置に基づいて前記表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部と、を具備することを特徴とする標的装置。
【請求項2】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を搭載する本体と前記表示部とを連結し、前記表示部を前記本体に対して起立させ、また、前記本体に対して水平に倒す連結部と、
前記連結部を制御して前記表示部を前記本体に対して水平に倒した後に前記表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部と、を具備することを特徴とする標的装置。
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を搭載する本体を移動する移動部と、
前記移動部の位置を判断し当該位置に基づいて前記表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部と、を具備することを特徴とする標的装置。
【請求項2】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を搭載する本体と前記表示部とを連結し、前記表示部を前記本体に対して起立させ、また、前記本体に対して水平に倒す連結部と、
前記連結部を制御して前記表示部を前記本体に対して水平に倒した後に前記表示部の画像を異ならせるべく制御する制御部と、を具備することを特徴とする標的装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−58756(P2011−58756A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210992(P2009−210992)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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