説明

標識したマレイミド化合物、それを調製する方法および高分子を標識するためのその使用

本発明は、一般式(I)のフッ素18で標識したマレイミド化合物に関し、式(I)中、mは、0から10までの整数を表し、nは、1から10までの整数を表し、Yは、場合によって置換されている複素環基、単環式または二環式基の中から選択される基を表し、Xは、式(U)a-(CR1R2)b-(V)c)d-((CR3R4)e-(W)f)g-の基を表し、式中、a、b、c、d、e、f、gは、それぞれ独立して1から10までの整数を表し、O A 10、U、VおよびWは、それぞれ独立して、-NR1-、-O-、-S-、式(II)、エチニル、-CR1=CR2-、-(C=O)-、-(C=S)-、-C=NR1)-、-C(=O)O-、-(C=S)S-、-C(=NR1)NR2-、-CR1R2-、-CR1OR2-、-CR1NR2R3-を表す。本発明は、また、前記化合物を調製する方法、高分子を標識するためのそれらの使用、および前記化合物の高分子との複合体に関する。本発明は、さらに、前記複合体を使用する分析、検出、または診断用のキットにも関する。本発明は、最終的には、陽電子射出断層撮影法(PET)等の医学撮像法における当該複合体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素18で標識したマレイミド化合物と関連する。
【0002】
本発明は、また、これらの化合物を調製する方法にも関する。
【0003】
本発明は、最終的に、これらのマレイミド化合物、特にフッ素18で標識したマレイミド化合物の、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体およびペプチド等の高分子を標識するための使用に関する。
【0004】
本発明の技術分野は、高分子、とりわけ、タンパク質およびペプチドの高分子の放射性標識の分野として一般的に定義づけることができる。
【0005】
その理由は、研究または診断用として、タンパク質あるいはペプチド等の高分子を、標識分子と結合することができ、それによって、それらを検出することが可能となるためである。この標識分子としては、例えば、蛍光分子、金粒子、常磁性化合物または放射性元素を有する分子等があり得る。
【背景技術】
【0006】
タンパク質は、放射性同位元素のヨウ素および様々な金属例えばテクネチウム、インジウム、ガリウム等の放射性同位元素により放射性標識がなされてきた。つい最近、タンパク質は、フッ素18により標識されている。
【0007】
例えば、フッ素等放射性元素と結合したペプチドは、どんな種類であっても血管の偶発症候の場合、特に炎症性およびアポトーシスの病巣の血栓症区域の場所の、撮像システムを使用した生体内検出を可能にする。
【0008】
したがって、寿命の短い陽電子放射線特に18Fは、とりわけ、陽電子射出断層撮影法(PET)装置によって検出することができる。
【0009】
特にフッ素18の半減期が非常に短い(約109.8分)のために、フッ素18による放射性標識は、フッ素18標識をその他のハロゲン例えばヨウ素による標識とは根本的に異なるものにする特定の問題を引き起こす。
【0010】
上記の結合は、当業者に知られている有機化学の従来技術のいずれかにより、1つまたは複数の短寿命の放射性原子特に18Fを有するペプチドおよびタンパク質標識体の合成によって実施することができる。この標識体は、一般に、一方で、例えば18F原子を受け入れることができる部分からなり、他方で、高分子例えばタンパク質に結合する何らかの通常の官能基を備えた部分からなる。
【0011】
これらの標識体は、18Fなどの放射性同位元素の寿命が短いために合成時間が一般に数時間を超えてはならないので、迅速で容易な合成の要求を満たさなければならない。
【0012】
そのうえ、採用する化合物の高い放射能のために、この合成は、ロボットを利用した手段で実施することが可能でなければならない。
【0013】
したがって、フッ素18でタンパク質またはペプチドを標識する方法は、標識シントンまたはコンジュゲートとも呼ばれる標識体を採用し、それらは、タンパク質およびペプチド等高分子の、アミン基、スルフヒドリル基または炭水化物基と反応するかどうかによって3つの主な種類に位置づけられる。
【0014】
アミノ基と反応する化合物またはコンジュゲートの中では、例えばリシンのε-NH2基と反応してタンパク質と結合する3-[18F]フルオロ-5-ニトロベンゾイミダート等のイミダート;N-スクシンイミジル[18F]フルオロベンゾアート等の活性化エステル;N-(4-[18F]フルオロベンゾイック)アシッド等のカルボン酸;4-[18F]ペンタフルオロベンズアルデヒド等のアルデヒド;および4-([18F]フルオロメチル)フェニルイソチオシアナート等のイソチオシアナートが挙げられる。
【0015】
4-[18F]フルオロフェナシルブロミド等の活性化ハロゲン化物は、リシンのε-NH2基等のアミノ基またはシステインの-SH基と反応する。
【0016】
1-(4-([18F]フルオロメチル)-ベンゾイル)アミノブタン-4-アミン等のアミンは、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸のCO2H基、または糖タンパクのCHO基と反応する。
【0017】
アジドフェナシル[18F]フルオリド等の光化学活性中心を有するニトレンもまた、アミノ基例えばリシンのε-NH2と反応する。
【0018】
タンパク質およびペプチドを標識する最も効果的且つ最も広範囲に記載されている方法は、活性化された酸を採用しているが、それはまた、タンパク質またはペプチドのアミノ酸のすべての求核的な部位が、標識体のコンジュゲートまたは標識シントンと反応するために、最大の非特異性を示す方法でもある。
【0019】
ペプチドおよびヌクレオチドを標識する、より特定的な2つの方法は、硫黄原子、例えばペプチドについてはシステイン等のそれ、およびヌクレオチドについてはホスホロチオアート官能基のそれに関して高い特異性を示す。
【0020】
これらは、第1にハロアセトアミドシントンを採用し、それは、思い通りにいくけれども、非常に遅いという欠点を示し、それ故、18Fにはその半減期のために十分適さない方法である。
【0021】
これらは、さらに、活性化マレイミドを採用する方法であり、それは、例えばリシンのε-NH2の部位については反応が非常に遅いために、SH基に対して非常に高い特異性をもって結合することができる。
【0022】
マレイミド基を含む反応の機構は、タンパク質の場合、次式:
【0023】
【化1】

【0024】
の通りであり、式中、Xは、-S-を表す。
【0025】
どんなタイプのどの標識にとっても、マレイミド基を含む分子が、現在のところそれらのペプチドまたはタンパク質等の高分子との反応性に関して最良であると考えられている。
【0026】
Shiue C.-Y.等の文献、J. Label. Compounds Radiopharm. 26(1989)、287〜289頁は、以下の化合物:
【0027】
【化2】

【0028】
について記載している。
【0029】
これら化合物の第1のものは、高い比放射能を有するフッ素18で標識するのが容易ではない。
【0030】
これは、何故なら、フッ素F2のみが(ヨウ素と同じように)容易に標識することが可能であって、この場合、実際には、それは、F2が一般に低い比放射能に帰結することが分かるためである。
【0031】
特に、F2は、注射される標識分子の量が大きくなり、その場合、このトレーサーに適用される基本原則、すなわち、受容部位の占有が非常に低い (例えば、5%未満) ことが守られないという単純な理由で、本発明の優先的な主題である放射性トレーサー化合物の製造には不適である。
【0032】
さらに、これら化合物の第1のものの合成は、困難であり、実際に非常に低い収率の長い持続時間および比較的複雑な化学変換を含む4つのステップで実施される。この方法は、したがって、即座に自動化するのには向かない。
【0033】
Shiue等の文献に言及されている化合物の第2のものは、アミド鎖を含有しているが、それは、化学的に全く堅固でなく、生体内ですぐに開裂または破壊されてしまう。
【0034】
それ故、診断に応用するためのその使用は、考えられない。その上、この第2の化合物の合成は、3つのステップを含み、最終歩留りが低く、例えばおよそ10%(EOB:end of bombardmentすなわち照射の歩留り)である。
【0035】
文献US-A-4735792は、式:
【0036】
【化3】

【0037】
の分子に関するものであり、式中、Xは、臭素75、臭素76、臭素82、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素131およびフッ素18から選択された、放射能をもったハロゲンである。
【0038】
しかしながら、実際に調製された唯一の分子は、ヨウ素125で標識されたもののみである。
【0039】
フッ素18で標識した分子の調製については、記載もないし根拠もなく、Shiue等の文献の第1の化合物に関して上で既に記したコメントが、文献US-A-4735792との関連でも当てはまる。
【0040】
当業者が、この文献を読んでも彼らが特にフッ素18で標識した化合物を調製することが可能となるような情報は何ら入手することはなく、彼らがもしそうしようとしても、彼らはF2を採用することになり、それ故結末は、PET撮像に使用するには不適な低い比放射能の化合物ということになろう。
【0041】
さらに、文献US-A-4735792のフッ素化合物を製造するために採用する化学反応は、複雑で長いことが考えられる。
【0042】
したがって、高い反応性、高い選択性および優れた比放射能を示すフッ素18で標識したマレイミド化合物の必要性が存在する。
【0043】
また、簡単で、信頼性があり、容易に自動化でき、ロボット化が可能で、迅速で持続時間の短い方法により、高収率で製造することができるフッ素18で標識したマレイミド化合物の必要性も存在する。
【非特許文献1】Shiue C.-Y.等、J. Label. Compounds Radiopharm. 26(1989)、287〜289頁
【特許文献1】US-A-4735792
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本発明の目的は、とりわけ、これらの必要性を満たすフッ素18で標識したマレイミド化合物を提供することである。
【0045】
本発明のさらなる目的は、従来技術による化合物の、欠点、欠陥、限界および不都合を示さず、従来技術の問題を解決するフッ素18で標識したマレイミド化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0046】
この目的および他のさらなる目的は、本発明により、一般式(I)
【0047】
【化4】

【0048】
(式中、
mは、0から10までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表し、
nは、1から10までの整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表し、
Yは、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルおよびプリニル基から選択される単環式または二環式複素環基から選択される基を表し、Yは、場合によって、1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、これらの各置換基は、水素、ハロゲン(放射性ではない)、フェニル、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、モノまたはジ(C1〜C6アルキル)アミノ、モノまたはジ(アリール)アミノ、チオ、C1〜C6アルキルチオ、アリールチオ、ホルミル、C1〜C6アルキル-カルボニル、アリールカルボニル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ-カルボニル、アリールオキシカルボニル、C1〜C6アルキルアミノ-カルボニル、アリールアミノカルボニルおよびトリフルオロメチル基から独立して選択されており、
Xは、式
(U)a-(CR1R2)b-(V)c)d-((CR3R4)e-(W)f)g-
の基を表し、
(式中、
a、b、c、d、e、fおよびgは、それぞれ独立して0から10までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8または9を表し、
U、VおよびWは、それぞれ独立して、-NR1-、-O-、-S-、
【0049】
【化5】

【0050】
、エチニル、-CR1=CR2-、-(C=O)-、-(C=S)-、-C(=NR1)-、-C(=O)O-、-(C=S)S-、-C(=NR1)NR2-、-CR1R2-、-CR1OR2-または-CR1NR2R3-(R1、R2、R3およびR4は、水素、ハロゲン、フェニル、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、モノまたはジ(C1〜C6アルキル)アミノ、モノまたはジ(アリール)アミノ、チオ、C1〜C6アルキルチオ、アリールチオ、ホルミル、C1〜C6アルキル-カルボニル、アリールカルボニル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ-カルボニル、アリールオキシカルボニル、C1〜C6アルキルアミノ-カルボニル、アリールアミノカルボニルおよびトリフルオロメチル基からそれぞれ独立して選択される)を表す))の化合物を提供することによって達成される。
【0051】
一般に、本記述において、ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。C1〜C6アルキルは、1から6の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどに相当する。
【0052】
複素環、アリール基その他を、任意の位置に付加または置換させることができる。
【0053】
また、18Fを、任意の位置にある、特に複素環上の任意の位置にあるYまたはXに付加することができる。
【0054】
有利には、上式(I)の化合物においてn = 1であり、Yは、3-ピリジニル基である。
【0055】
式(I)の化合物は、様々な種類に属することができ、第1の種類は、「アルキルエーテル」のそれとして定義することができ、それは、次式(II)
【0056】
【化6】

【0057】
(式中、pは、1から10までの整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9である)に対応する。
【0058】
式(II)の好ましい化合物は、以下の化合物
【0059】
【化7】

【0060】
から選択される。
【0061】
式(I)の化合物の第2の種類は、「フェニルアルキルエーテル」のそれとして定義することができ、それは、次式(III)
【0062】
【化8】

【0063】
(式中、qおよびrは、独立して、0から10までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である)に対応する。
【0064】
式(III)の好ましい化合物は、以下の化合物
【0065】
【化9】

【0066】
から選択される。
【0067】
第3の種類は、次式(IV)
【0068】
【化10】

【0069】
(式中、sは、1から10までの整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9である)に対応する化合物のそれである。
【0070】
式(IV)の1つの好ましい化合物は、次の化合物
【0071】
【化11】

【0072】
である。
【0073】
第4の種類は、次式(V)
【0074】
【化12】

【0075】
(式中、tは、0から10までの整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり、Tは、-CH=CH-または-C≡C-基である)に対応する化合物のそれである。
【0076】
式(V)の好ましい化合物は、次の化合物
【0077】
【化13】

【0078】
である。
【0079】
本発明による化合物は、従来の技術には決して記載も開示もされていない。
【0080】
本発明による化合物は、それらの特殊な構造のために、従来技術の化合物とは根本的に異なっており、フッ素18原子を担う部分が、本発明によれば、特にピリジニル基である特定の基Yからなり、タンパク質もしくはペプチド等の高分子に結合するための結合部分は、本発明によれば、特定の官能基、すなわちマレイミド官能基からなり、最後に、高分子に結合する部分とフッ素18原子を担う部分とが、本発明によれば、やはり特殊な、例えば脆弱でなく、体内断裂しにくい、アルキル型(一般に2Cから6C)、アルキルエーテル型、フェニルアルキルエーテル型またはアルケニル型のスペーサーアームまたは鎖によってつながれている。
【0081】
本発明は、高分子を標識するための上記の化合物の使用を提供する。
【0082】
この高分子は、任意の既知の高分子、特に生体高分子であり得るが、それは、例えば、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体およびペプチドから選択することができる。前記高分子は、有利には、好ましくは疾病に特有の標的分子が現われる部位から、例えばアポトーシス部位、壊死部位または腫瘍領域部位から、選択される特異部位を認識するための高分子である。
【0083】
本発明は、また、上記の本発明による化合物に結合した高分子を含む複合体を提供する。
【0084】
前記高分子は、好ましくは、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体およびペプチドから選択される。
【0085】
前記結合は、本発明による化合物のマレイミド基の二重結合を、特に、ベプチドの場合はシステインの-SH(チオール)官能基と、またはオリゴヌクレオチドの場合はホスホロチオアート官能基と反応させることにより実施する。
【0086】
これは、本発明による化合物の特異構造と関連する利点の1つ、すなわち、大多数の他のシントンがリシンおよびシステインの非特異的標識を可能にするに過ぎないのに対して、特異的な、または排他的でさえあるシステインの標識を可能にするものである。
【0087】
システインの選択的なまたは排他的でさえある標識は、本発明の分子中に「専用の」官能基、すなわちシステインのチオールに関する、または同様にホスホロチオアート官能基に関する化学選択性のための専用の官能基であるマレイミド官能基が存在することに起因している。
【0088】
システインを介した標識または結合は、直接の標識または結合であってもよく、言い換えると、該システインは、本発明による化合物に結合することが望まれる高分子中に既に存在していてもよい。システインまたはそれを含む分子について結合が前もって行われていない場合は、システインまたはそれを含む分子(ペプチド)を、システインを含有していなかった高分子に導入(本発明の化合物に予め結合するかまたはしないで)し、その後結合を実施する。
【0089】
システインまたはそれを含む分子は、例えば、タンパク質/ペプチド工学により、それが生体官能基と競合または妨害し合わない位置で高分子中に「注文通りに」導入することができる。
【0090】
前記高分子は、有利には、上記のとおり特異部位を認識するための高分子である。結合すなわち標識は、それによって、高分子による、標的つまり部位の認識活性が影響されないことが望ましい。
【0091】
本発明は、また、例えば、本発明による化合物と高分子とを含む医学撮像用の検出および分析キットを提供する。
【0092】
本発明は、また、例えば、高分子に結合した本発明による化合物、言い換えると本発明による複合体、を含む医学撮像用の検出および分析キットを提供する。
【0093】
本発明は、また、本発明による化合物と高分子とを含む診断キットを提供する。
【0094】
本発明は、さらに、上記の複合体を含む診断キットを提供する。
【0095】
本発明は、いよいよ、上記の複合体または化合物の陽電子射出断層撮影法(PET)等の医学撮像法における使用、および本発明による複合体または化合物の医学撮像例えば陽電子射出断層撮影法(PET)を意図した製品を製造するための使用をあたえる。
【0096】
最後に本発明は、上記の複合体または化合物と、薬剤として許容されるビヒクルとを含む医学撮像用、特に陽電子射出断層撮影法(PET)用、の製品を提供する。
【0097】
PETと関連する応用において、フッ素18原子を含む本発明による化合物および複合体は、その他の放射性ハロゲン、例えばヨウ素、を含む化合物を超える多数の利点を示す。
【0098】
これは、PETを可能にすることができるヨウ素の唯一の陽電子放射同位元素がヨウ素124であるためである。
【0099】
また一方、それはさらに、生成されるのが少量である(フッ素18のキュリーに対して数mCi)。生成させるのも困難である。結論として、ヨウ素124は純粋の陽電子放射源ではなく(フッ素18の97%とは大いに異なる)、β+放射によりわずか25%にまで、電子捕獲により75%まで崩壊し、それは0.603MeV(62%)から2.75MeV(1%)までの範囲の多数のγ線を保有する。
【0100】
本発明は、また、上式(I)の化合物を調製する方法を提供し、その方法では、
a)式(Ia)
【0101】
【化14】

【0102】
(式中、PR1およびPR2は、独立して、水素原子またはアミン官能基に対する保護基を表し、但し、PR1およびPR2は両方とも(同時に)水素原子ではないか、あるいは、PR1およびPR2は窒素原子と共にアミン官能基に対する環状保護基を形成し、Gpは、フッ素18原子によって置き換えることが可能な脱離基を表し、X、Y、mおよびnは、上で既に定義した通りである)
の前駆体化合物を、[18F]で標識したフッ化物イオンF-源と接触させて、式(Ib)
【0103】
【化15】

【0104】
の化合物を得、
b)保護基PR1および/またはPR2を化合物(Ib)中のアミン官能基から除去して、式(Ic)
H2N-(X)m-(Y)n-18F (Ic)
の化合物を得、
c)化合物(Ic)を、アミノ基からマレイミド基を生じさせることができる反応物と反応させて式(I)の最終化合物を得る。
【0105】
本発明による方法は、簡単で、信頼性があり、実施するのが容易であって、容易にロボット化することができる。それは、極めて簡単な脱保護のステップである1つを含めて3つのステップを含むのみである。
【0106】
その方法の全体の持続時間は短く、一例として、それは一般に60分から120分まで、好ましくは75分から85分までである。
【0107】
ハロゲンであるフッ素18の取り込みは、特にそれはピリジン等の複素環基で実施されるために、例えば70%から100%という高い収率で極めて効率的に達成される。
【0108】
精製した生成物に関するその方法全体の最終的な収率は、極めて高く、例えば15%から25%であり、合成の終点におけるシントン化合物の潜在的な量もまた非常に大きい。
【0109】
化合物(Ia)中で、基PR1およびPR2は、それらが保護基であるとき、有機化学で知られている任意の保護基であることができる。それらは、好ましくは、tert-ブトキシカルボニル(BOC)およびフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)基から選択される。
【0110】
PR1およびPR2が、アミン官能基の窒素原子と共にその官能基のための保護基を形成するとき、この保護基は、例えば、フタルイミド基であり得る。
【0111】
化合物(Ia)中で、基Gpは、フッ素18の原子で置換することが可能な任意の脱離基であることができ、Gpは、好ましくは、Yがアルキル基であるとき、F、Cl、BrおよびI等のハロゲン、メシル、トシルおよびトリフラート基から選択され、Yが芳香族または複素環基であるときは、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、およびニトロ基から選択される。
【0112】
ステップa)において、18Fで標識したフッ化物イオン源は、前記フッ化物イオンと、ルビジウムおよびテトラブチルアンモニウム等の大型カチオンならびにカリウム、ナトリウムおよびリチウム等の小型カチオンから選択された対イオンとを含み、前記小型カチオンは、例えばクリプタンドまたはクラウンエーテルその他により捕捉されて安定化しており、前記クリプタンドまたはクラウンエーテルは、採用された小型カチオンに適合している。
【0113】
そのクリプタンドの一例は、例えば、カリウムイオンを捕捉する製品Kryptofix(登録商標)K222:(4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン)である。
【0114】
対イオンまたはカチオンは、任意の塩の形に持ち込むことができ、例えば、カリウムの場合は、それはK2CO3であり得る。
【0115】
ステップa)は、一般に溶媒中で実施し、それはDMSO等の任意の適当な溶媒であり得る。
【0116】
ステップa)は、一般に50℃から200℃まで例えば145℃の温度で、一般に1分から30分まで例えば4分から6分までの時間加熱し、当業者には周知の条件下で実施することができる。
【0117】
保護基をアミン官能基から除去するステップ、すなわち、アミノ基が遊離の式(Ic)の化合物を得る脱保護ステップであるステップb)は、脱保護の周知の方法のいずれによっても実施することができる。例えば、化合物(Ib)をCH2Cl2中のTFAと一般に1分から5分までの時間例えば2分間接触させることが可能であろう。TFAは、一般に、酸性媒体中で保護基を除去する場合、例えばPR1 = BOCおよびPR2 = Hのときにのみ使用されることに注意すべきである。
【0118】
ステップc)において、アミド基からマレイミド基を生じさせることが可能な反応物は、任意の周知の化合物であり得る。それは、したがって、それをN-メトキシカルボニルマレイミドおよびスクシンイミドから選択することが可能である。
【0119】
ステップc)は、当業者に知られている条件下、例えば、キシレンまたはTHF等の溶媒中、一般に、100℃から200℃までの温度、例えば190℃で、1分から20分までの時間、例えば5分間、加熱して実施することができる。
【0120】
ステップc)は、別の実施形態においては、また、例えばジオキサンおよび重炭酸ナトリウム水溶液の2相混合物中、周囲温度で3分から15分までの時間、例えば10分間で実施することもでき、ステップc)のこの実施形態は、より優れた収率を与えることおよび混合物を加熱する必要のない周囲温度で実施されることという利点を提供する。
【0121】
式(Ia)の化合物は、次式(IIa)
【0122】
【化16】

【0123】
に相当し得る。
【0124】
化合物(IIa)は、好ましくは次式(IIb)
【0125】
【化17】

【0126】
に相当する。
【0127】
式(Ia)の化合物は、別の実施形態において、次式(IIIa)
【0128】
【化18】

【0129】
に相当し得る。
【0130】
化合物(IIIa)は、好ましくは次式(IIIb)
【0131】
【化19】

【0132】
に相当する。
【0133】
式(Ia)の化合物は、さらに別の実施形態において、次式(IVa)
【0134】
【化20】

【0135】
に相当し得る。
【0136】
化合物(IVa)は、好ましくは次式(IVb)
【0137】
【化21】

【0138】
に相当する。
【0139】
別の実施形態において、式(Ia)の化合物は、次式(Va)
【0140】
【化22】

【0141】
に相当し得る。
【0142】
化合物(Va)は、好ましくは次式(Vb)
【0143】
【化23】

【0144】
に相当する。
【0145】
本発明は、また、本発明による式(I)から(V)の化合物のための合成中間体として、上記の式(Ia)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(IVb)、(Va)および(Vb)の前駆体化合物を提供する。
【0146】
その前駆体化合物は、特に、上で定義し、列挙した最終化合物から選択することができ、[18F]が、19F、Cl、BrまたはI等の非放射性ハロゲン、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、または-NO2基で置換されており、1-ピロール-2,5-ジオン基が、tert-ブトキシカルボニルアミノ基により置き換わっている。
【0147】
好ましい前駆体化合物は、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸[3-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)ピリジン-2-イル]トリメチルアンモニウムおよび[3-(2-ニトロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0148】
本発明をここで以下の記述において本発明による化合物および本発明による複合体の調製例についてより詳細に提示するが、それは、説明を目的として示すのであって限定のためではない。
【0149】
実験条件
化学製品、薄層クロマトグラフィー(TLC)および高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)。
化学製品は、様々な供給業者(Aldrich、Fluka、またはSigma France等)から入手し、別段の断りのない限りさらなる精製はしないで使用した。TLCは、Merckからのシリカゲル60F254をプレコートしたプレート上で実施する。化合物は、(1)可能な場合は254nmでUVランプを用いて、かつ/または、(2)ヨウ素で染色して、かつ/または、(3)1%ニンヒドリンのエタノール溶液(または1%KMnO4の水溶液)中に該TLCプレートを浸漬し、ホットプレート上で加熱することにより確認した。その放射性のドット、マークまたはスポットは、Berthold Trace Master 20自動線形解析装置を使用して検出する。
【0150】
分光法
化学的NMRスペクトルを、1H NMR用の内部標準としての重水素化した溶媒(DMSO-d6、δ: 2.50ppm; CD2C12、δ: 5.32ppm; CD30D、δ: 4.78; CD3CN、δ: 1.93 ppm)の水素残基および/またはTMS、ならびに、13C NMR用の内部標準としての重水素化した溶媒(DMSO-d6、δ: 39.5ppm; CD2C12、δ: 53.8ppm; CD30D、δ: 49.3ppm)および/またはTMSを用いて、Bruker AMX装置(300 MHz)に記録する。
【0151】
化学シフトが基準物質としてのTMS(テトラメチルシラン)によりppm単位で与えられ、その化学シフトは、0. s、d、t、dd、q、q5、mおよびbに設定され、それぞれ、単一線、二重線、三重線、二重線の二重線、四重線、五重線、多重線、およびブロードを表す。マススペクトル(MS)は、Quadripolair Finnigan 4600装置(DCI/NH4+)によって測定する。
【0152】
放射性同位元素の生成
水性[18F]フッ化物イオンを、CGR-MeV 520サイクロトロン中で、95%の[18O]に濃縮した水に20MeVの陽子ビームを用いて2mlの標的となる水に照射することによる核反応[18O(p,n)18F]により用意した。そのフッ化物イオンは、適当な密封セル中に移した。標準的な生成: 20μAの照射30分(36000μC)のボンバードメントの終点において550〜650mCi(20.3〜24.0GBq)の[18F]F-
【0153】
その他
セミプレパラティブHPLCによる精製を含むフッ素18を用いる放射合成は、鉛で密封した7.5cmのセル中で、コンピュータ制御のZymateロボットシステム(米国Zymack Corp.から入手)を使用して行った。マイクロ波活性化は、スウェーデンのLabwell ABから提供されたMicrowell 10オーブン(2.45GHz)により実施する。
【0154】
比放射能は、次のように測定する: 放射性同位元素で標識した生成物に対応するUV吸収ピークの表面積をHPLCクロマトグラム上で測定し、検量線と比較してUV吸収の関数としての量を得る。
【実施例】
【0155】
(実施例1)
3-(N-tert-ブチルカルボニルアミノ)-1-プロパノールの様々な2-置換3-ヒドロキシピリジン誘導体とのMitsunobu(光延)結合の一般手順。
3.0gのトリフェニルホスフィン(分子量: 262.69、11.4mmol)のTHF(60ml)中の溶液を、1.8mlのジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD、分子量: 174.16、d: 1.106、11.4mmol、1当量)と混合する。0℃で10分から15分間攪拌した後、1.95mlの3-(N-tert-ブトキシカルボニルアミノ)-1-プロパノール(分子量: 175.23、d: 1.025、11.4mmol、1当量)および2-置換3-ヒドロキシピリジン誘導体(11.4mmol、1当量)を加える。その混合物を周囲温度で一晩攪拌し、次いで乾燥するまで濃縮する。残留物をCH2Cl2で溶解し、得られた溶液を10%NaHCO3水溶液、水および食塩水で洗浄しNa2SO4で乾燥した後、乾燥するまで濃縮する。残留物をシリカゲルのクロマトグラフにかけて、所望の誘導体、3-[3-(N-tert-ブチルオキシカルボニルアミノ)-1-プロポキシ]ピリジン(または、[3-(ピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル)を得る。
【0156】
(実施例2)
N-tert-ブトキシカルボニルアミノ官能基をTFAで脱保護する一般手順。
5mlのCH2Cl2中の3mmolから7mmolまでの適当な[3-(ピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルを2mlのTFAと混合する。その溶液を周囲温度で45分間攪拌し、乾燥するまで濃縮する。
その残留物を2mlのCH2Cl2中に再溶解し、乾燥するまで再度濃縮し(2回)、油状残留物の形の3-(ピリジン-3-イルオキシ)プロピルアミンを得る。
【0157】
(実施例3)
マレイミド誘導体を形成させる一般手順。
5mlのTHF中の2mmolから3mmolまでの適当な3-(ピリジン-3-イルオキシ)プロピルアミンを、500mgの無水マレイン酸(分子量: 98.06、5.1mmol)および200mgのp-トルエンスルホン酸水和物(分子量: 190.22、1.0mmol)と相次いで混合する。その溶液を、24時間還流し、乾燥するまで濃縮する。その残留物をシリカゲルのクロマトグラフにかけて所望の1-[3-(ピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオン誘導体を得る。
【0158】
(実施例4)
2-フルオロ-3-ヒドロキシピリジンの調製。
0℃に冷却した100mlのフッ化水素ピリジン(FlukaからのPy.(HF)x、試料の70%がフッ化水素からなり、試料の30%がピリジンからなる)を、3.7gの2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン(分子量: 110.12、33.6mmol)および3gのNaNO2(分子量: 69.00、43.5mmol)と注意深く続けて混合する。その混合物を0℃で1時間攪拌し、続いて10NのNaOH水溶液でゆっくり塩基性にし、デカンターに移してEtOAcで抽出する。有機相を合わせて水および食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、乾燥するまで濃縮する。残留物は、それをシリカゲルのカラム(溶離液: ヘプタン/EtOAc: 50/50)に通して精製し、2.5g(65%)の固体の形の2-フルオロ-3-ヒドロキシピリジンを得、それをさらなる精製はしないで使用する。
【0159】
Rf (EtOAc/ヘプタン: 80/20): 0.65。融点: 131℃。1H NMR (DMSO-d6, 298K) :δ: 10.41 (s, 1H); 7.64 (td, J: 1.7 & 4.7Hz, 1H); 7.42 (dd, J: 1.7, 1.7 & 10.8Hz, 1H); 7.17 (ddd, J: 1.3, 4.7 & 7.8Hz, 1H)。13C NMR (DMSO-d6 298K) :δ: 152.8 (d, J1F-C: 233Hz, C; 140.2 (d, J2F-C: 27Hz, C); 135.6 (d, J3F-C): 13Hz, CH); 126.2 (d, J3F-C: 5Hz, CH); 122.6 (CH)。MS (DCI/NH4+): C5H4FNO: 131 [M+NH4+]; 114 [M+H+]。元素分析 (C5H4FNO) C, H, N。
【0160】
(実施例5)
この実施例においては、フッ素が放射性フッ素ではなく19Fである1-[3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンである参照分子の調製について説明する。
【0161】
a) [3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルの調製。
実施例4で調製した2-フルオロ-3-ヒドロキシピリジン(1.29g、11.4mmol)により、実施例1で上記した手順を用いて、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液: 純粋のCH2Cl2、ヘプタン/EtOAc: 70/30から50/50)の後、黄色の油の形状の1.9g(62%)の[3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルを得る。
【0162】
Rf (CH2Cl2/EtOAc: 95/5): 0.45。1H NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 7.68 (dt, J: 4.8 & 1.8Hz, 1H); 7.28 (td, J: 7.8 & 1.5Hz, 1H); 7.10 (dd, J: 5.1 & 0.9Hz, 1H); 4.96 (b, w1/2: 20Hz, 1H); 4.07 (t, J: 6.0Hz, 2H); 3.28 (q, J: 6.0Hz; 2H); 1.98 (q5, J: 6.0Hz, 2H); 1.39 (s, 9H)。13C NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 156.3 (C); 154.1 (d, J1F-C: 235Hz, C); 142.5 (d, J2F-C: 25Hz, C); 137.5 (d, J3F-C: 13Hz, CH); 123.0 (CH); 122.2 (CH); 79.2 (C); 67.3 (CH2); 38.0 (CH2); 29.8 (CH2); 28.5 (CH3)。
【0163】
b) 3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピルアミンの調製。
a)で調製した[3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル(1.0g、分子量: 270.30、3.7mmol)により、実施例2で上記した手順を用いて、黄色の油の形状の1.4g(95%)の3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピルアミン.2TFAを得る。
【0164】
1H NMR (CD3OD, 298K):δ: 7.51 (bt, J<2.0Hz, 1H); 7.36 (bt, J<3.0Hz, 1H); 7.04 (bq, J<3.0Hz, 1H); 4.03 (t, J: 6.0Hz, 2H); 2.99g (Q, J: 6.0Hz, 2H); 2.01 (q5, J: 6.0Hz, 2H)。13C NMR (CD3OD, 298K):δ: 159.3 (q, J2F-C: 41Hz, C, CF3CO2H); 155.3 (d, J1F-C: 237Hz, C); 143.5 (d, J2F-C: 24Hz, C); 138.5 (d, J3F-C: 13Hz, CH); 125.1 (CH); 123.8 (CH); 116.4 (q, J1F-C: 284Hz, C, CF3, CO2H); 67.9 (CH2), 38.6 (CH2); 29.4 (CH2)。
【0165】
c) 1-[3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオン。
3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピルアミン.2TFA(1.0g、分子量: 398.23、2.5mmol)により、実施例3で上記した手順を用いて、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液: ヘプタン/EtOAc: 50/50から30/70)の後、黄色の粉末の形状の310mg(48%)の1-[3-(2-フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンを得る。分析の目的のために、分取した一部分(100mg)をプレパラティブまたはセミプレパラティブHPLCにより再度精製した。
【0166】
Rf (EtOAc): 0.7。Rf (EtOAc/ヘプタン: 80/20): 0.5。1H NMR (CD2Cl2, 298K) :δ: 7.69 (bd, J: 3.0Hz, 1H); 7.27 (t, J: 6.0Hz, 1H); 7.11 (dd, J: 3.0 & 6.0Hz, 1H); 6.69 (s, 2H); 4.05 (t, J: 6.0Hz, 2H); 3.82 (t, J: 6.0Hz, 2H); 2.11 (q5, J: 6.0Hz, 2H)。13C NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 171.2 (2xC); 154.0 (d, J1F-C: 235Hz, C); 142.4 (d, J2F-C: 25Hz, C); 137.7 (d, J3F-C: 13Hz, CH); 134.5 (2xCH); 123.2 (CH); 122.2 (CH); 67.5 (CH2); 35.4 (CH2); 28.5 (CH2)。MS (DCI/NHR+): C12H11FN2O3: 251 [M+H+]。
【0167】
(実施例6)
[3-(2-ニトロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルの調製。
2-ニトロ-3-ヒドロキシピリジン(1.6g、分子量: 140.10、11.4mmol)により、実施例1で上記した手順を用いて、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液: ヘプタン/EtOAc: 60/40から40/60)の後、黄色の油の形状の2.2g(65%)の[3-(2-ニトロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルを得る。分析の目的のために、分取した一部分(100mg)をプレパラティブまたはセミプレパラティブHPLC装置により再度精製する。
【0168】
Rf (EtOAc/ヘプタン: 50/50): 0.35。1H NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 8.04 (t, J: 3.0Hz, 1H); 7.53 (d, J: 3.0Hz, 2H); 4.95 (b, w1/2: 15Hz, 1H); 4.18 (t, J: 6.0Hz, 2H); 3.26 (q, J: 6.0Hz, 2H); 1.99 (q5, J: 6.0Hz, 2H); 1.40 (s, 9H)。13C NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 156.3 (C); 149.2 (C); 147.3 (C); 139.5 (CH); 129.2 (CH); 124.0 (CH); 79.2 (C); 68.3 (CH2); 37.9 (CH2); 29.5 (CH2); 28.4 (CH3)。
【0169】
(実施例6a)
トリフルオロメタンスルホン酸[3-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)ピリジン-2-イル]トリメチルアンモニウムの調製。
2-ジメチルアミノ-3-ヒドロキシピリジン(0.250g、分子量: 138.17、1.8mmol)により、実施例1で上記した手順を用いて、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液: ヘプタン/EtOAc: 70/30から50/50)の後、黄色の油の形状の0.290gの[3-(2-ジメチルアミノピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル(58%)を得る。
【0170】
Rf (CH2Cl2/EtOAc: 50/50): 0.30。1H NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 7.79 (dd, J: 4.0 & 1.5Hz, 1H); 7.00 (dd, J: 7.8 & 1.2Hz, 1H); 6.73 (dd, J: 7.8 & 4.8Hz, 1H); 5.15 (b, w1/2: 15Hz, 1H); 4.02 (t, J: 6.0Hz, 2H); 3.30 (q, J: 6.0Hz, 2H); 2.95 (s, 6H); 1.99 (q5, J: 6.0Hz, 2H); 1.42 (s, 9H)。13C NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 156.2 (C); 153.7 (C); 146.2 (C); 139.0 (CH); 118.8 (CH); 115.9(CH); 79.1 (C); 67.4 (CH2); 41.1 (CH3); 38.8 (CH2); 32.3 (CH2); 28.5 (CH3)。
【0171】
[3-(2-ジメチルアミノピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルを、続いてトルエン(100mgのエステル当り2ml)中に希釈し、その溶液を0℃(氷浴)に冷却する。この溶液をトリフルオロメタンスルホン酸メチル(100mgのエステル当り50マイクロリットル)と混合し、その反応混合物を0℃で1時間攪拌する。トリフルオロメタンスルホン酸[3-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)ピリジン-2-イル]トリメチルアンモニウムの沈澱を、濾別し、エチルエーテルのほんの一部で洗浄し、真空下で乾燥して細かい白色の粉末(100mgのエステル当り145mg)を得る。
【0172】
1H NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 8.09 (dd, J: 3.3 & 1.0Hz, 1H); 7.67 (bd, J: 8.0Hz, 1H); 7.61 (dd, J: 7.0 & 4.2Hz, 1H); 5.20 (b, w1.2: 15Hz, 1H); 4.31 (t, J: 6.3Hz, 2H); 3.71 (s, 9H); 3.31 (q, J: 6.3Hz, 2H); 2.12 (q5, J: 6.3Hz, 2H); 1.38 (s, 9H)。13C NMR (CD2Cl2, 298K):δ: 156.6 (C); 147.7 (C); 142.6 (C); 139.0 (CH); 129.0 (CH); 124.6 (CH); 121.2 (q, J: 319Hz, CF3); 79.3 (C); 68.1 (CH2); 54.8 (CH3); 37.5 (CH2); 30.0 (CH2); 28.4 (CH3)。
【0173】
(実施例7)
この実施例では、1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンである本発明による化合物の調製について説明する。
【0174】
a) K[18F]F-K222複合体。
標的となる[18O]水を回収し再使用するために、それを陰イオン交換樹脂(Bio-RadからのAG1x8、100〜200メッシュ)に通す。[18F]フッ化物イオンを、次に1.0mlの4.5mg/mlのK2CO3水溶液を用いて樹脂から溶離する。
【0175】
11.0mgから15.0mgのKryptofix(登録商標) K222(4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン)の添加に続いて、生じた溶液を次に窒素流の下、145〜150℃で乾燥するまで10分間徐々に濃縮し、半固体の白い残留物の形の純粋なK[18F]F-K222複合体を得る。
【0176】
b) 1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオン。
4.0mgから6.0mgの「ニトロ」標識した前駆体([3-(2-ニトロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル)を含有する新たに蒸留したDMSO(600μl)を、乾燥したK[18F]F-K222複合体を含有する管に直接加える。その管(密封されていない)を次に加熱ブロックに置く(145℃で4分間)。その管を次に氷/水浴を用いて冷却し、残留している放射能を測定する。
【0177】
容器に配置した初期活性の85%から95%がまだ存在する。色が暗色である得られた反応混合物を、次に、ラジオクロマトグラフィーにより分析する。取り込み率は、TLCラジオクロマトグラムから計算し、[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル誘導体の表面積の、全体のフッ素18(18F)の活性(SiO2-TLC、溶離液: EtOAc、Rf: 0.75およびRf: [18F]フッ化物イオン: 0.0) に対する比により決定する。反応混合物を、1mlの水で希釈し、C18 Sep-pakカートリッジ(Waters)に移す。管を1mlの水で2回すすぎ、それもまた移し換えてカートリッジ中の希釈した反応混合物中に加える。
【0178】
次に、全体の系を、カートリッジの中に通過させる。そのカートリッジを3mlの水で洗浄し、0.5分間部分的に乾燥し、その間窒素の気流を通過させる。
【0179】
[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル誘導体を、3mlのジクロロメタンによりカートリッジから、0.1mlのTFAを含有する反応フラスコ中に溶離する。上記の[18F]で標識した誘導体(フッ素化の過程で関わった放射能の全体量の5%がカートリッジ中に残っている)の完全な移動を果たすために1mlのジクロロメタンを2回使用してカートリッジを洗浄する。取り込み率は、また、Sep-pakの溶離後、CH2Cl2計数値の、溶離した全体の放射能(DMSO/H2O + CH2Cl2) に対する比によって確認される。生じた溶液、CH2Cl2/TFA(50/1、V/V)、を4分から6分間適度の窒素流の下で乾燥するまで(65〜75℃で)濃縮する。脱保護の収率は、定量的であり、BOCで保護された上記の分子は、ラジオクロマトグラフィーにより検出することはできない。上の残留物を、TFAの存在を最小限にするために、2mlのCH2Cl2に再溶解し、再度乾燥するまで濃縮する(適度な窒素流の下、65〜75℃で4分から6分間)。その残留物を次に25mgのN-メトキシカルボニルマレイミドを含有する0.5mlのキシレンで希釈する。次いで容器を閉じて密封し、190℃で(強い還流)5分間加熱し、次いで氷/水浴を用いて2分間冷却する。その反応混合物を次にセミプレパラティブHPLCカラムに注入する。アイソクラチック溶出[溶離液: ヘプタン/EtOAc: 50/50、流速: 6.0ml/分]により、純粋な標識された1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンが生じる。保持時間: 7.5分から8.0分。
【0180】
標準的には、サイクロトロンによる550〜650mCiの[18F]F-の生産バッチから、75分から85分で、60mCiから70mCiの純粋な標識された1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンを得ることができる。
【0181】
(実施例7a)
フッ素18で標識した化合物1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンは、さらに、実施例7に記載した方法のステップa)およびb)を繰り返し、標識前駆体として「ニトロ」化合物([3-(2-ニトロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステル)は依然として使用するが、調製の最後の部分(ステップc))を以下のように変更(ジオキサンおよび重炭酸ナトリウム水溶液の2相混合物中でどのステップc)を実施するかによって異なる)することによっても調製することができる。
【0182】
アミン官能基(TFA/CH2Cl2)の脱保護に続いて、乾燥するまで濃縮した後得られた残留物を、25mgのN-メトキシカルボニルマレイミドを含有する0.250mlのジオキサンに溶解する。この溶液を、0.750mlの重炭酸ナトリウムの飽和水溶液と混合し、その調製物を周囲温度で10分間激しく攪拌する。その反応混合物を続いて1mlの水で希釈し、C18 Sep-pakカートリッジ(Waters)に移す。フラスコを1mlの水で2回すすぎ、それを同様に移し換えてカートリッジ中の希釈した反応混合物に加える。最後に、8mlの水をカートリッジ中の希釈した反応混合物にさらに加える。その系を続いてカートリッジ中に通す。そのカートリッジを3mlの水で洗浄し、0.5分間部分的に乾燥し、その間窒素の気流を通過させる。フッ素18で標識した誘導体(1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオン)を、3mlのジクロロメタンでカートリッジから溶出して新しい空のフラスコに入れる。1mlのジクロロメタンを2回使用して、カートリッジを洗浄し、上記の[18F]で標識した誘導体の完全な移動を果たす。上記の[18F]で標識した誘導体を含有する溶液を、約1mlの容積まで濃縮し(適度な窒素気流下、65〜75℃で3分から5分間)、セミプレパラティブHPLCカラムに注入する。精製は、実施例7に記載したものと全く同じである。
【0183】
(実施例7b)
フッ素18で標識した化合物1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンは、さらに、実施例7または7aに記載した方法のステップa)およびb)を繰り返すが、標識前駆体として「トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルアンモニウム」の化合物(トリフルオロメタンスルホン酸[3-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)ピリジン-2-イル]トリメチルアンモニウム)を使用しても調製することができる。
【0184】
(実施例8)
この実施例では、ペプチドの標識、すなわち、N-アセチル-Lys-Ala-Ala-Ala-Ala-Cys-アミドであるペプチドの本発明による化合物の1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンによる標識、について説明する。
【0185】
その手順は、以下の通りである。
【0186】
50mMのTris、150mMのNaClバッファー、pH = 7.4中の1当量のペプチド(2mg/ml、200nmol、36.2μl)の溶液を、Trisバッファー中(7.9mg/ml、7.3μl、200nmol)の1当量のTCEPと混合する。その試料を周囲温度で5分間放置し、次いで1mlのTrisバッファー中に希釈する。乾燥シントンの1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオンを、100μlの50/50ヘプタン/酢酸エチル混合物に溶解し、薄めたペプチドの溶液を加える。その試料を、ときどき攪拌しながら10分間周囲温度のままにしておく。その標識したペプチドを、H2O/0.1%TFA中、0%から34%までのアセトニトリル/0.1%TFAの勾配によるC18カラムでのHPLCにより30分以上かけて精製する(デルタパック(DeltaPak)C18カラム、Rt-ペプチド = 28分)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
mは、0から10までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表し、
nは、1から10までの整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表し、
Yは、イミダゾリル、ピラゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニルおよびプリニル基から選択される単環式または二環式複素環基から選択される基を表し、Yは、場合によって、1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、これらの各置換基は、水素、ハロゲン、フェニル、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、モノまたはジ(C1〜C6アルキル)アミノ、モノまたはジ(アリール)アミノ、チオ、C1〜C6アルキルチオ、アリールチオ、ホルミル、C1〜C6アルキル-カルボニル、アリールカルボニル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ-カルボニル、アリールオキシカルボニル、C1〜C6アルキルアミノ-カルボニル、アリールアミノカルボニルおよびトリフルオロメチル基から独立して選択されており、
Xは、式
(U)a-(CR1R2)b-(V)c)d-((CR3R4)e-(W)f)g-
の基を表し、
(式中、
a、b、c、d、e、fおよびgは、それぞれ独立して0から10までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8または9を表し、
U、VおよびWは、それぞれ独立して、-NR1-、-O-、-S-、
【化2】

、エチニル、-CR1=CR2-、-(C=O)-、-(C=S)-、-C(=NR1)-、-C(=O)O-、-(C=S)S-、-C(=NR1)NR2-、-CR1R2-、-CR1OR2-または-CR1NR2R3-(R1、R2、R3およびR4は、水素、ハロゲン、フェニル、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、モノまたはジ(C1〜C6アルキル)アミノ、モノまたはジ(アリール)アミノ、チオ、C1〜C6アルキルチオ、アリールチオ、ホルミル、C1〜C6アルキル-カルボニル、アリールカルボニル、カルボニル、C1〜C6アルコキシ-カルボニル、アリールオキシカルボニル、C1〜C6アルキルアミノ-カルボニル、アリールアミノカルボニルおよびトリフルオロメチル基からそれぞれ独立して選択される)を表す))。
【請求項2】
n=1であり、Yが3-ピリジニル基である請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
次式(II)
【化3】

(式中、pは、0から10までの整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9である)に対応する請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1-[2-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)エチル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[4-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)ブチル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[5-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)ペンチル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[6-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)ヘキシル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)メチル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[3-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]ピロール-2,5-ジオン
から選択された請求項3に記載の式(II)の化合物。
【請求項5】
次式(III)
【化4】

(式中、qおよびrは、独立して、0から10までの整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8または9である)に対応する請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
1-{4-[2-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシ)エチル]フェニル}ピロール-2,5-ジオン、
1-[4-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシメチル)フェニル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[4-(2-[18F]フルオロピリジン-3-イルオキシメチル)ベンジル]ピロール-2,5-ジオン
から選択された請求項5に記載の式(III)の化合物。
【請求項7】
次式(IV)
【化5】

(式中、sは、1から10までの整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9である)に対応する請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
1-[3-(6-[18F]フルオロピリジン-3-イル)プロピル]ピロール-2,5-ジオン
である請求項7に記載の式(IV)の化合物。
【請求項9】
次式(V)
【化6】

(式中、tは、0から10までの整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8または9であり、Tは、-CH=CH-または-C≡C-基である)に対応する請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
1-[3-(6-[18F]フルオロピリジン-3-イル)アリル]ピロール-2,5-ジオン、
1-[3-(6-[18F]フルオロピリジン-3-イル)プロプ-2-イニル]ピロール-2,5-ジオン
から選択された請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
高分子を標識するための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
前記高分子が、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体およびペプチドから選択される請求項11に記載の使用。
【請求項13】
高分子が、特異部位を認識するための高分子である請求項11および12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記特異部位が、疾病に特有の標的分子が現われる部位、例えばアポトーシス部位、壊死部位または腫瘍領域部位から選択される請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物に結合した高分子を含む複合体。
【請求項16】
前記高分子が、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体およびペプチドから選択される請求項15に記載の複合体。
【請求項17】
前記結合を、マレイミド基の二重結合と、特に、ベプチドの場合はシステインの-SH官能基とを、またはオリゴヌクレオチドの場合はホスホロチオアート官能基とを反応させることにより実施する請求項16に記載の複合体。
【請求項18】
高分子が、特異部位を認識するための高分子である請求項15および17のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項19】
前記特異部位が、疾病に特有の標的分子が現われる部位、例えばアポトーシス部位、壊死部位または腫瘍領域部位から選択される請求項18に記載の複合体。
【請求項20】
医学撮像用の検出および分析キットであって、例えば、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と高分子とを含むキット。
【請求項21】
医学撮像用の検出および分析キットであって、例えば、高分子に結合した請求項15から19のいずれか一項に記載の複合体を含むキット。
【請求項22】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と高分子とを含む診断キット。
【請求項23】
請求項15から19のいずれか一項に記載の複合体を含む診断キット。
【請求項24】
陽電子射出断層撮影法(PET)等の医学撮像法における、請求項15から19のいずれか一項に記載の複合体または請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
医学撮像、例えば陽電子射出断層撮影法(PET)を意図した製品を製造するための、請求項15から19のいずれか一項に記載の複合体または請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
医学撮像、特に陽電子射出断層撮影法用の製品であって、請求項15から19のいずれか一項に記載の複合体または請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を薬剤として許容されるビヒクルと共に含む製品。
【請求項27】
請求項1から10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を調製する方法であって、
a)式(Ia)
【化7】

(式中、PR1およびPR2は、独立して、水素原子またはアミン官能基に対する保護基を表し、但し、PR1およびPR2は両方とも水素原子ではないか、あるいは、PR1およびPR2は窒素原子と共にアミン官能基に対する環状保護基を形成し、Gpは、フッ素18原子によって置き換えることが可能な脱離基を表し、X、Y、mおよびnは、請求項1で既に定義した通りである)の前駆体化合物を、[18F]で標識したフッ化物イオンF-源と接触させて式(Ib)
【化8】

の化合物を得、
b)保護基PR1および/またはPR2を化合物(Ib)中のアミン官能基から除去して式(Ic)
H2N-(X)m-(Y)n-18F (Ic)
の化合物を得、
c)化合物(Ic)を、アミノ基からマレイミド基を生じさせることができる反応物と反応させて式(I)の最終化合物を得る方法。
【請求項28】
基PR1およびPR2が、保護基であるとき、それらをtert-ブトキシカルボニル(BOC)およびフルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)または他の基から選択し、アミン官能基の窒素原子と共にフタルアミド基を形成する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
基Gpを、Yがアルキル基であるとき、F、Cl、BrおよびI等のハロゲン、メシル、トシルおよびトリフラート基から選択し、Yが芳香族または複素環基であるとき、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、およびニトロ基から選択する請求項27および28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
ステップa)において、18Fで標識したフッ化物イオン源が、前記フッ化物イオンと、ルビジウムおよびテトラブチルアンモニウム等の大型カチオン、ならびにカリウム、ナトリウムおよびリチウム等の小型カチオン(前記小型カチオンは、前記小型カチオンに適合するクリプタンドまたはクラウンエーテルにより安定化されている)から選択された対イオンとを含む請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
化合物(Ib)をCH2Cl2中のTFAと1分から5分までの時間接触させることによりステップb)を実施する請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ステップc)において、アミノ基からマレイミド基を生じさせることができる反応物が、N-メトキシカルボニルマレイミドおよびスクシンイミドから選択される請求項27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ステップc)を、キシレンまたはTHF等の溶媒中、100℃から200℃までの温度、例えば190℃で、1分から20分までの時間、例えば5分間加熱して実施する請求項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステップc)を、例えばジオキサンおよび重炭酸ナトリウム水溶液の2相混合物中、周囲温度で3分から15分までの時間、例えば10分間実施する請求項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
式(Ia)の化合物が、次式(IIa)
【化9】

(式中、pは、請求項3で既に定義した通りである)に相当する請求項25から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
式(IIa)の化合物が、次式(IIb)
【化10】

に相当する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
式(Ia)の化合物が、次式(IIIa)
【化11】

(式中、qおよびrは、請求項5で既に定義した通りである)に相当する請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
式(IIIa)の化合物が、次式(IIIb)
【化12】

に相当する請求項37に記載の方法。
【請求項39】
式(Ia)の化合物が、次式(IVa)
【化13】

(式中、sは、請求項7で既に定義した通りである)に相当する請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
式(IVa)の化合物が、次式(IVb)
【化14】

に相当する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
式(Ia)の化合物が、次式(Va)
【化15】

(式中、tおよびTは、請求項9で既に定義した通りである)に相当する請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
式(Va)の化合物が、次式(Vb)
【化16】

に相当する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項27から29のいずれかで定義した通りの式(Ia)の前駆体化合物。
【請求項44】
請求項35、36、37、38、39、40、41および42でそれぞれ定義した通りの式(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(IVb)、(Va)または(Vb)の前駆体化合物。
【請求項45】
請求項4、6、8および10の化合物から選択される一般式(I)の化合物に対する前駆体化合物であって、[18F]が、19F、Cl、BrもしくはI等の非放射性ハロゲン、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、または-NO2基で置換されており、1-ピロール-2,5-ジオン基が、tert-ブトキシカルボニルアミノ基で置換されている前駆体化合物。
【請求項46】
トリフルオロメタンスルホン酸[3-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノプロポキシ)ピリジン-2-イル]トリメチルアンモニウムまたは[3-(2-ニトロピリジン-3-イルオキシ)プロピル]カルバミン酸のtert-ブチルエステルである請求項45に記載の前駆体化合物。

【公表番号】特表2006−504640(P2006−504640A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−516901(P2004−516901)
【出願日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002028
【国際公開番号】WO2004/002984
【国際公開日】平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】