模型体およびその発射装置
【課題】
走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にし、また、走行以外の移動も可能とする走行玩具を提供する。
【解決手段】
発射装置の押し出し部からの力を受ける受け部6と、移動手段が着脱可能な移動手段装着部と、走行面に接触する接触部4とを有し、接触部4は、走行体に対して上下方向に移動する移動機構を有することを特徴とする走行体と、 弾性部材の反発力によって押し出し部を突出させる第1の発射手段と、前記発射装置に摺動自在に設けられた摺動部材と、該摺動部材に回動自在に設けられたプレート部材とを有する第2の発射手段とを有することを特徴とする発射装置とを備える。
走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にし、また、走行以外の移動も可能とする走行玩具を提供する。
【解決手段】
発射装置の押し出し部からの力を受ける受け部6と、移動手段が着脱可能な移動手段装着部と、走行面に接触する接触部4とを有し、接触部4は、走行体に対して上下方向に移動する移動機構を有することを特徴とする走行体と、 弾性部材の反発力によって押し出し部を突出させる第1の発射手段と、前記発射装置に摺動自在に設けられた摺動部材と、該摺動部材に回動自在に設けられたプレート部材とを有する第2の発射手段とを有することを特徴とする発射装置とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫などの生物や車両などを模した模型体と、その模型体を移動させる発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の走行玩具として、乗り物を模した走行体と、その走行体を走行させる発射装置がある。
この走行体は、自ら動力を持たず、発射装置から弾性体などの反発力に押されて所定距離を走行するものである。
この発射装置は、走行体を載置する台と、この台に設けられた弾性体と、弾性体を圧縮した状態にし、これを保持するストッパーが設けられており、このストッパーを解除することで、弾性体の圧縮がとかれて走行体を押し出し走行させるものである。
【0003】
特許文献1の走行玩具は、走行体を走行させるための車輪が、走行体に固定的に取り付けられており、発射装置から受けた力により、ほぼ同じ走行を行なうのみであった。
また、発射装置も一定の強さで圧縮された弾性体の反発力によって走行体を走行させるのみであり、走行スタイルのバリエーションに乏しかった。
【0004】
一方で、特許文献2の走行玩具の発射装置は、弾發スプリングの係止位置が変更可能な係止機構を用いて発射の強さを調節するものであるが、あくまでも走行体の走行する強さを調節するための発射装置であり、走行体の移動スタイルの変化に乏しかった。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2512612号公報
【特許文献2】実用新案登録第3039537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にし、また、走行以外の移動も可能とする走行玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、前記発射装置の押し出し部からの力を受ける受け部と、前記移動手段が着脱可能な移動手段装着部と、前記走行体を走行面に載置したときに、該走行面に接触する接触部とを有し、前記接触部は、前記走行体の側面に設けられ、前記走行体に対して上下方向に移動する移動機構を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の前記移動手段は、前記走行体の左右方向に対して略中央に位置し、前記接触部は、前記走行体の左右に少なくとも1つずつ設けられ、前記移動機構は、前記走行体の前後方向に向かって設けられた回転軸であり、該回転軸を中心に前記接触部が上下方向に回動することを更に特徴とする。
【0009】
本発明は、移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、前記移動手段を有する本体部材と、該本体部材に着脱可能なボディ部材とで構成され、前記本体部材は、前記移動体の前後の位置に少なくとも1つずつの錘を着脱可能とする錘装着部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、移動手段によって移動する走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置であって、弾性部材の反発力によって前記押し出し部を突出させる第1の発射手段と、
前記発射装置に摺動自在に設けられた摺動部材と、該摺動部材に回動自在に設けられたプレート部材とを有する第2の発射手段とを有し、前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部の方向に摺動させ、前記プレート部材の回動軸に対して一方の面を前記押し出し部の突出方向に位置するよう回動させ、他方の面の上に前記走行体を位置させた状態で前記第1の発射手段を動作させたとき、前記押し出し部が前記プレート部材に衝突して該プレート部材が回動することにより、前記走行体が前記押し出し部の突出方向とは異なる方向に発射されることを特徴とする。
【0011】
本発明の前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部と逆の方向に摺動させ、前記プレート部材の端部を前記走行体の上部に接触させた状態で前記第1の発射手段を動作させて前記押し出し部を前記走行体の後部に衝突させたとき、
前記プレート部材の端部を軸に前記走行体の前方が上方に持ち上がることを特徴とする。
【0012】
本発明は、外箱と、該外箱内で鍔を有すると共に両端が該外箱から突出し、突出した両方向に該外箱に対し摺動可能でかつ回転可能なロッドと、該ロッドの先端に設けた押し出し部と、該ロッドの後端に設けたロッドが一定ストローク以上該外箱内に入らないようにスットッパを有する持ち手部と、該鍔と前記持ち手部側の該外箱内の間に弾設されると共に、両端を該鍔と外箱に固定されたバネと、前記押出し部近傍位置で前記ロッドに対し略垂直方向に設けた横腕体とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、甲虫を模した立体模型体と、該模型体の尻部の所定高さ位置に略水平方向に後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、甲虫を模した立体模型体と、該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出した突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、該突出部の下方は少なくとも前記模型体の尻部から突出端に向けて突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域が広がっていることを特徴とする。
【0015】
本発明は、甲虫を模した立体模型体と、該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、該突出部の下方には突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域があることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、発射装置に複数の発射態様の異なる発射手段を設けたことにより、従来の走行玩具に比べて走行玩具の移動態様が豊富になり、単に走らせるのみで無く、動物などを模した走行体によって相撲などの対戦を行なうことが可能となる。また、走行体の移動手段を走行特性の異なる物に取り替え可能とし、また、接触部の走行面への接触を調整することが出来るため、走行体の走行態様を豊富にすることが可能となり、対戦などを行なう際の作戦が豊富になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明に関わる走行玩具の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の発射装置および走行体の外観図である。
本発明の走行玩具は、単に走行体を走行させるのみではなく、走行以外の移動態様を複数種持ち合わせているので、操作者同士で走行体をぶつけ合ったりしながら対戦を行なうようにも出来ている。移動態様としては、走行のほかに、回転やジャンプ、上に乗った走行体を跳ね飛ばすなど様々である。その移動態様を実現するために、本発明では、発射装置に複数の発射手段を設けている。また、走行体も、主に走行に関しては、直進性や耐衝撃性などの特性を変更できる手段を設けている。
【0019】
発射装置は、筒状の形状をしており、その筒体の内部を貫通するようにロッド(軸)が設けられ、軸の先端にプラスチック等の材質で出来た押し出し部を有する発射手段と、筒体の周囲を取り巻くように径が大きい短い筒(リング)と、その筒に回動自在に設けられたプレート部からなる発射手段の2つ発射手段で構成されている。この2つの発射手段とその組み合わせによって走行体の移動態様に変化を与えることが出来るようになっている。
【0020】
走行体は、昆虫などの生物を模した模型体であり、図2に示すように、中心となる本体部材に、ボディ部材となる昆虫の頭部や胸部および腹部と、脚部となる載置面に接触する接触部と、移動手段となる車輪や比較的摩擦の少ない材質でできた略板状の滑走体(図示せず)が取り付けられる。ボディ部材は、本体部材の上面に、接触部は本体部材の左右側面にそれぞれ取り付けられ、移動手段は本体部材の下部中央付近に取り付けられる。接触部は、走行体を走行面に載置した際に移動手段以外で走行面に接触する部分である。尚、走行体は、昆虫などの生物に限られず、車両等を模した走行体または模型体でも良い。この場合、移動手段は、車両に本来存在するの車輪の位置に設けても良い。また、接触部は本体部材ではなく、ボディ部材に取り付けるようにしても良い。受け部は、発射装置の押し出し部が当たる部分であり、本体部材の後ろ側(走行体の後部)から突き出すように設けられている。
【0021】
図3は、走行体もしくは本体部材を走行面の面上に載置した際の、移動手段と接触部が走行面に接触する様子を示したものである。接触部は、昆虫の脚部の根元部分が走行体の前後方向に伸びる軸を中心に上下回動するように構成されている。図3の(a)は、脚部を下方に回動させて走行面に接地している様子を示しており、図3の(b)は、向かって左足のみを上方向に回動させて走行面に接地している様子を示しており、図3の(c)は、両足を上方向に回動させて、両足が走行面から離して載置している様子を示している。
【0022】
図3の(a)は、左右の両足が均等に走行面に接地しているので、走行する際の直進性に優れている反面、接地による摩擦で走行距離は比較的短い。また、左右からの衝撃に対して左右で均等に踏ん張ることが出来る。図3の(b)は、移動手段の位置に対して向かって左側の接地位置が右側の設置位置よりも離れているので、重心が向かって左側に移動し、進行方向に対して右側にカーブしやすくなる。また、図3の(a)と同様に走行距離は比較的短い。更に、向かって左側からの衝撃よりも右側からの衝撃のほうに対しての踏ん張る力が大きくなる。尚、向かって右足のみを上方にか移動させた場合は、上記記載の左右は逆に働くようになる。図3の(c)は、左右の足が走行面から離れているので、走行する際の直進性は低い反面、接地による摩擦が無いので走行距離は比較的長い。また、左右の衝撃からに対しては、踏ん張ることが殆ど出来ない。操作者は、これらの特性を利用して、適宜、希望する走行体の移動態様に変更することが出来る。
【0023】
尚、接触部は、上記のような軸を中心とした回動ではなく、脚部の根元がボール状のボールアジャストやボールジョイントとすることにより、上下左右自在に回動する機構としても良い。また、本体部材やボディ部材に溝等を設け、その溝に接触部の根元を嵌め込んで摺動するように上下に移動させたり、本体部材やボディ部材に接触部の取り付け位置を上下方向に複数設けて、任意に取り付け位置を変更できるようにしても良い。尚、取り付け位置を変更しない場合は、本体部材やボディ部材に着脱可能としても予め固着されていても何れでも良い。
【0024】
図4は、発射装置における第1の発射手段の仕組みを示す図である。発射装置は、筒状部材の内部にバネやゴムなどの弾性部材を有し、筒を貫通するようにロッド(軸)が設けられ、筒状部材の開口部をロッドが貫通する程度に穴の開いた蓋体によって塞がれている。筒状内部のロッド中央付近には弾性部材の反発力をためるための板状の鍔が備え付けられ、この鍔がロッドの移動に伴って筒状内壁に沿って移動することで、弾性部材は鍔と蓋体によって圧縮され、反発力を貯めることが出来る。また、ロッドの一方に持ち手部を、他方に押し出し部を備えており、操作者は、持ち手部を引っ張って付勢力を貯め、押し出し部を走行体に接触または走行体の近傍に位置させた状態で持ち手部から手を離すと、弾性部材の反発力によって押し出し部が突出し、走行体を押し出す仕組みとなっている。
【0025】
この仕組みにより、操作者は、持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、引っ張った位置に相当する付勢力で走行体を移動させることができる。この操作によって移動している状態を示す図が図5である。図5は、2体の走行体がそれぞれ向かい合った状態で第1の発射手段によって発射され、衝突する直前の状況を示している。
【0026】
図6は、発射装置の第1の発射手段における別の実施形態である。図6の(a)のように、この発射装置のロッドはこれを中心として回動自在となっており、ロッドの回転によって押し出し部も回転する。押し出し部は、ロッドに対して直行する方向に突出した横腕体を有しており、図6の(b)のように、押し出し部の回転によって横腕体の先端が弧を描くように回転する。そしてこの回転によって走行体の受け部の横から横腕体が衝突し、走行体が回転する。
【0027】
尚、弾性部材を鍔および蓋体に固定とすることで、ロッドの回転させて付勢力を貯め、弾性部材のねじれが戻る力でロッドを回転させて横腕体を回転させるようにしても良い。弾性部材がゴムなどの場合は鍔および蓋体に接着し、つるまきバネの場合は、鍔および蓋体の板面から略垂直方向に突起を設け、この突起にバネの両端を当てることで、ロッドを回転させたときのバネのねじれの戻りを抑えて付勢力を貯めることができる。
【0028】
これらの仕組みにより、操作者は、持ち手部をひねってロッドを回転させ、走行体に横腕体を衝突させることで、図7のように手前の走行体が回転し、この走行体の回転範囲に位置する他の走行体を蹴散らすことが出来るようになる。
【0029】
図8は、発射装置における第2の発射手段の仕組みを示す図である。第2の発射手段は、発射装置本体の筒体の周囲を取り巻くように径が大きい短筒(リング)と、その短筒に回動自在に設けられたプレート部からなっている。短筒は、その内側に凸部(図示しない)を有し、発射装置本体の筒体の長手方向に沿って設けられた溝に凸部を嵌合させることで溝に沿って摺動自在に構成され、短筒は摺動部材として機能する。また、プレート部は、摺動部材の一端で且つ押し出し部側に、ロッドの長手方向に対して垂直方向に伸びる回動軸を中心に回動自在に、且つ回動軸に対して両側にプレートの一端が設けられるように配置されている。尚、摺動部材は、押し出し部側にスライドさせたとき、ロッドに対して直行する方向に突出した横腕体に当たってしまうことを防止するために、切り欠きを設けて、摺動部材を押し出し部側にスライドさせた場合に、横腕体が切り欠いた部分に位置するようにしてもよい。
また、切り欠きではなく、摺動部材の周の一部を長手方向に除いた「C字状」の短筒としてもよい。
【0030】
この第2の発射手段の動作のさせ方は、まず、押し出し部が下方になるように発射装置を立てて摺動部材を押し出し部側にスライドさせ、プレート部の一方の面が押し出し部の突出方向に位置するようにプレート部を回動させ、プレート部の他方の面上に走行体の下面が位置するように走行体を走行面に載置する。この状態で、操作者は持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、第1の発射手段を動作させると、押し出し部がプレート部の一方の面に衝突し、プレート部を支える回動軸を中心にプレート部が回動して、プレート部の他方の面が走行体の下部に衝突して走行体を上方にジャンプさせることが出来るようになる。
【0031】
これらの仕組みにより、操作者は、持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、引っ張った位置に相当する付勢力で走行体の上方にジャンプさせることができる。図9は、ジャンプした走行体が他の走行体の上に落ちてきて衝突する直前の様子を示している。第2の発射手段は、第1の発射手段を用いて動作させるものであり、第1の発射手段における押し出し部の突出方向を、シーソー状のプレート部で他の方向に変換する仕組みとなっている。
【0032】
図10は、発射装置の第1および第2の発射手段における別の実施形態である。この実施形態では、発射装置の押し出し部を、走行体の受け部の上方より衝突させて走行体の前方を上方に持ち上げるものである。このとき、受け部は走行体の載置面との間に隙間を設けて配置されており、また、第2の発射手段におけるプレート部の一端を走行体の上面に接触させた状態で押し出し部を衝突させるので、プレート部の一端と走行体との接触部分を軸に走行体の後方が下がり、前方が持ち上がるようになる。これによって、昆虫などの走行体の前方部分に乗っている他の走行体などの物体を上方に跳ね飛ばすことが可能となる。尚、摺動部材は、走行体の状面の高さ位置に合わせて摺動させることで、プレート部の一端を確実に走行体の上面に接触させることが可能となる。
【0033】
また、走行体の前方が持ち上がったときに、走行体が前方に飛び出してしまわないよう、受け部は根元の部分より先端の部分を厚くして、走行体を載置したときに受け部の先端が根元よりも上方に高くなるように突出した形状になっている。また、受け部の形状を、下面を円弧状にすることで、押し出し部が受け部の上面のどの位置に当たったかで、走行体の前方が持ち上がる向きを変えることが出来、他の移動体を跳ね飛ばす方向を変えることが可能になる。
【0034】
これらの仕組みにより、操作者は、持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、引っ張った位置に相当する付勢力で走行体の前方を跳ね上げるように持ち上げることができる。この操作によって他の移動体が跳ね飛ばされている状態を示す図が図11である。このときの発射装置は、第1の発射手段における押し出し部の突出方向を、第2の発射手段のプレート部を軸に走行体を用いて他の方向に変換する仕組みとなっている。
【0035】
本発明の走行体は、図12に示されるように、走行体の本体部材に錘を装着することが可能となっている。錘は「U字状」に形成されており、走行体の前後に少なくとも1つずつ装着可能なように、本体部材の前後に装着部が設けられている。
【0036】
本体部材に錘を装着しない場合はライトウェイトとなり、走行体の走行スピードは速くなるが、障害物や他の走行体からの衝撃に対して走行が不安定になる。一方、本体部材の前後両方に錘を装着した場合はヘビーウェイトとなり、走行体の走行スピードは遅くなるが、障害物や他の走行体からの衝撃に対しては走行が安定している。本体部材の前または後ろのいずれかに錘を装着した場合は、ミドルウェイトとなり、走行体の走行スピードや走行安定性はライトウェイトとヘビーウェイトの間に調整される。尚、このとき錘を前に装着するか後ろに装着するかは、操作者が、どの方向からの衝撃に対して安定した走行を希望するかで決定される。また、錘を「U字状」に形成して本体部材の前後に装着することで、走行体全体に対して均一に重量を増加させることが可能となる。
【0037】
図13は、走行体の移動手段の例である。本発明の走行体の本体部材は、移動手段が着脱可能な移動手段装着部を裏面の中央部に有している。移動手段装着部は、移動手段が車輪の場合、この殆どの部分が本体部材内に収納されるような収納部と、移動手段の回転軸が嵌る嵌合部とで構成されている。尚、複数の車輪で構成される場合は、移動手段装着部は本体部材の裏面に複数設けても良い。
【0038】
移動手段は、車輪の場合、部材がゴムでできた7aとプラスチックや金属などの比較的硬質な材質で出来た7b,7c,7dなどがある。形状としてはローラー状であり、1つの太い車輪である。ストレートタイプは、太さが均一のローラーで、直進性に優れている。偏心タイプは、車輪の回転軸が車輪の中央からずれた位置に設けられているため、走行中は走行体が上下する。他の走行体と接触した際に、タイミングによっては重心が低くなって相手の下にもぐりこむことが可能となる。ひし形タイプは、車輪の中央部が縁部より太く、走行中はカーブしやすい。その一方、接触部と併用することで安定させることが出来、走行体を回転させるスピンシュートがし易くなる。
【0039】
また、移動手段は、車輪以外に比較的摩擦の少ない材質でできた略板状の滑走体を本体部材の下面に取り付けても良い。滑走体は、摩擦係数の異なる材質や表面加工によって車輪と同様に走行体の走行(滑走)特性を変化させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上の通り、走行体の車輪を形状や材質の異なる物に変更可能とし、車輪以外に走行面に接触する接触部の接触や非接触を調整可能とし、また、発射装置に発射手段を複数設けて走行体の発射方向や発射態様を変化させることで、走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にし、また、走行以外の移動も可能とする走行玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の走行玩具の外観図である。
【図2】本発明の走行体の分解図である。
【図3】本発明の走行体の、走行面への載置態様を示す図である。
【図4】本発明の発射装置の、第1の動作を示す図である。
【図5】本発明の走行体2体が、それぞれ発射装置の第1の動作により発射された状態の図である。
【図6】本発明の発射装置の、第2の動作を示す図である。
【図7】本発明の走行体が、発射装置の第2の動作により回転動作した状態の図である。
【図8】本発明の発射装置の、第3の動作を示す図である。
【図9】本発明の走行体が、発射装置の第3の動作によりジャンプした状態の図である。
【図10】本発明の発射装置の、第4の動作を示す図である。
【図11】本発明の走行体が、発射装置の第4の動作により他の走行体を跳ね上げた状態の図である。
【図12】本発明の走行体の本体部材に錘を着脱する図である。
【図13】本発明の走行体の本体部材に多種の駆動車輪を着脱する図である。
【符号の説明】
【0042】
1 発射装置
2a 走行体
2b 走行体
3 本体部材
4 接触部
5a ボディ部
5b ボディ部
6 受け部
7 車輪
8 持ち手部
9 ロッド
10 押し出し部
11 スライド部
12 プレート部材
13 回動軸
14 弾性部材
15a 前錘
15b 後錘
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫などの生物や車両などを模した模型体と、その模型体を移動させる発射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の走行玩具として、乗り物を模した走行体と、その走行体を走行させる発射装置がある。
この走行体は、自ら動力を持たず、発射装置から弾性体などの反発力に押されて所定距離を走行するものである。
この発射装置は、走行体を載置する台と、この台に設けられた弾性体と、弾性体を圧縮した状態にし、これを保持するストッパーが設けられており、このストッパーを解除することで、弾性体の圧縮がとかれて走行体を押し出し走行させるものである。
【0003】
特許文献1の走行玩具は、走行体を走行させるための車輪が、走行体に固定的に取り付けられており、発射装置から受けた力により、ほぼ同じ走行を行なうのみであった。
また、発射装置も一定の強さで圧縮された弾性体の反発力によって走行体を走行させるのみであり、走行スタイルのバリエーションに乏しかった。
【0004】
一方で、特許文献2の走行玩具の発射装置は、弾發スプリングの係止位置が変更可能な係止機構を用いて発射の強さを調節するものであるが、あくまでも走行体の走行する強さを調節するための発射装置であり、走行体の移動スタイルの変化に乏しかった。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2512612号公報
【特許文献2】実用新案登録第3039537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にし、また、走行以外の移動も可能とする走行玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、前記発射装置の押し出し部からの力を受ける受け部と、前記移動手段が着脱可能な移動手段装着部と、前記走行体を走行面に載置したときに、該走行面に接触する接触部とを有し、前記接触部は、前記走行体の側面に設けられ、前記走行体に対して上下方向に移動する移動機構を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の前記移動手段は、前記走行体の左右方向に対して略中央に位置し、前記接触部は、前記走行体の左右に少なくとも1つずつ設けられ、前記移動機構は、前記走行体の前後方向に向かって設けられた回転軸であり、該回転軸を中心に前記接触部が上下方向に回動することを更に特徴とする。
【0009】
本発明は、移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、前記移動手段を有する本体部材と、該本体部材に着脱可能なボディ部材とで構成され、前記本体部材は、前記移動体の前後の位置に少なくとも1つずつの錘を着脱可能とする錘装着部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、移動手段によって移動する走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置であって、弾性部材の反発力によって前記押し出し部を突出させる第1の発射手段と、
前記発射装置に摺動自在に設けられた摺動部材と、該摺動部材に回動自在に設けられたプレート部材とを有する第2の発射手段とを有し、前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部の方向に摺動させ、前記プレート部材の回動軸に対して一方の面を前記押し出し部の突出方向に位置するよう回動させ、他方の面の上に前記走行体を位置させた状態で前記第1の発射手段を動作させたとき、前記押し出し部が前記プレート部材に衝突して該プレート部材が回動することにより、前記走行体が前記押し出し部の突出方向とは異なる方向に発射されることを特徴とする。
【0011】
本発明の前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部と逆の方向に摺動させ、前記プレート部材の端部を前記走行体の上部に接触させた状態で前記第1の発射手段を動作させて前記押し出し部を前記走行体の後部に衝突させたとき、
前記プレート部材の端部を軸に前記走行体の前方が上方に持ち上がることを特徴とする。
【0012】
本発明は、外箱と、該外箱内で鍔を有すると共に両端が該外箱から突出し、突出した両方向に該外箱に対し摺動可能でかつ回転可能なロッドと、該ロッドの先端に設けた押し出し部と、該ロッドの後端に設けたロッドが一定ストローク以上該外箱内に入らないようにスットッパを有する持ち手部と、該鍔と前記持ち手部側の該外箱内の間に弾設されると共に、両端を該鍔と外箱に固定されたバネと、前記押出し部近傍位置で前記ロッドに対し略垂直方向に設けた横腕体とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、甲虫を模した立体模型体と、該模型体の尻部の所定高さ位置に略水平方向に後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、甲虫を模した立体模型体と、該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出した突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、該突出部の下方は少なくとも前記模型体の尻部から突出端に向けて突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域が広がっていることを特徴とする。
【0015】
本発明は、甲虫を模した立体模型体と、該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、該突出部の下方には突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域があることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、発射装置に複数の発射態様の異なる発射手段を設けたことにより、従来の走行玩具に比べて走行玩具の移動態様が豊富になり、単に走らせるのみで無く、動物などを模した走行体によって相撲などの対戦を行なうことが可能となる。また、走行体の移動手段を走行特性の異なる物に取り替え可能とし、また、接触部の走行面への接触を調整することが出来るため、走行体の走行態様を豊富にすることが可能となり、対戦などを行なう際の作戦が豊富になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明に関わる走行玩具の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の発射装置および走行体の外観図である。
本発明の走行玩具は、単に走行体を走行させるのみではなく、走行以外の移動態様を複数種持ち合わせているので、操作者同士で走行体をぶつけ合ったりしながら対戦を行なうようにも出来ている。移動態様としては、走行のほかに、回転やジャンプ、上に乗った走行体を跳ね飛ばすなど様々である。その移動態様を実現するために、本発明では、発射装置に複数の発射手段を設けている。また、走行体も、主に走行に関しては、直進性や耐衝撃性などの特性を変更できる手段を設けている。
【0019】
発射装置は、筒状の形状をしており、その筒体の内部を貫通するようにロッド(軸)が設けられ、軸の先端にプラスチック等の材質で出来た押し出し部を有する発射手段と、筒体の周囲を取り巻くように径が大きい短い筒(リング)と、その筒に回動自在に設けられたプレート部からなる発射手段の2つ発射手段で構成されている。この2つの発射手段とその組み合わせによって走行体の移動態様に変化を与えることが出来るようになっている。
【0020】
走行体は、昆虫などの生物を模した模型体であり、図2に示すように、中心となる本体部材に、ボディ部材となる昆虫の頭部や胸部および腹部と、脚部となる載置面に接触する接触部と、移動手段となる車輪や比較的摩擦の少ない材質でできた略板状の滑走体(図示せず)が取り付けられる。ボディ部材は、本体部材の上面に、接触部は本体部材の左右側面にそれぞれ取り付けられ、移動手段は本体部材の下部中央付近に取り付けられる。接触部は、走行体を走行面に載置した際に移動手段以外で走行面に接触する部分である。尚、走行体は、昆虫などの生物に限られず、車両等を模した走行体または模型体でも良い。この場合、移動手段は、車両に本来存在するの車輪の位置に設けても良い。また、接触部は本体部材ではなく、ボディ部材に取り付けるようにしても良い。受け部は、発射装置の押し出し部が当たる部分であり、本体部材の後ろ側(走行体の後部)から突き出すように設けられている。
【0021】
図3は、走行体もしくは本体部材を走行面の面上に載置した際の、移動手段と接触部が走行面に接触する様子を示したものである。接触部は、昆虫の脚部の根元部分が走行体の前後方向に伸びる軸を中心に上下回動するように構成されている。図3の(a)は、脚部を下方に回動させて走行面に接地している様子を示しており、図3の(b)は、向かって左足のみを上方向に回動させて走行面に接地している様子を示しており、図3の(c)は、両足を上方向に回動させて、両足が走行面から離して載置している様子を示している。
【0022】
図3の(a)は、左右の両足が均等に走行面に接地しているので、走行する際の直進性に優れている反面、接地による摩擦で走行距離は比較的短い。また、左右からの衝撃に対して左右で均等に踏ん張ることが出来る。図3の(b)は、移動手段の位置に対して向かって左側の接地位置が右側の設置位置よりも離れているので、重心が向かって左側に移動し、進行方向に対して右側にカーブしやすくなる。また、図3の(a)と同様に走行距離は比較的短い。更に、向かって左側からの衝撃よりも右側からの衝撃のほうに対しての踏ん張る力が大きくなる。尚、向かって右足のみを上方にか移動させた場合は、上記記載の左右は逆に働くようになる。図3の(c)は、左右の足が走行面から離れているので、走行する際の直進性は低い反面、接地による摩擦が無いので走行距離は比較的長い。また、左右の衝撃からに対しては、踏ん張ることが殆ど出来ない。操作者は、これらの特性を利用して、適宜、希望する走行体の移動態様に変更することが出来る。
【0023】
尚、接触部は、上記のような軸を中心とした回動ではなく、脚部の根元がボール状のボールアジャストやボールジョイントとすることにより、上下左右自在に回動する機構としても良い。また、本体部材やボディ部材に溝等を設け、その溝に接触部の根元を嵌め込んで摺動するように上下に移動させたり、本体部材やボディ部材に接触部の取り付け位置を上下方向に複数設けて、任意に取り付け位置を変更できるようにしても良い。尚、取り付け位置を変更しない場合は、本体部材やボディ部材に着脱可能としても予め固着されていても何れでも良い。
【0024】
図4は、発射装置における第1の発射手段の仕組みを示す図である。発射装置は、筒状部材の内部にバネやゴムなどの弾性部材を有し、筒を貫通するようにロッド(軸)が設けられ、筒状部材の開口部をロッドが貫通する程度に穴の開いた蓋体によって塞がれている。筒状内部のロッド中央付近には弾性部材の反発力をためるための板状の鍔が備え付けられ、この鍔がロッドの移動に伴って筒状内壁に沿って移動することで、弾性部材は鍔と蓋体によって圧縮され、反発力を貯めることが出来る。また、ロッドの一方に持ち手部を、他方に押し出し部を備えており、操作者は、持ち手部を引っ張って付勢力を貯め、押し出し部を走行体に接触または走行体の近傍に位置させた状態で持ち手部から手を離すと、弾性部材の反発力によって押し出し部が突出し、走行体を押し出す仕組みとなっている。
【0025】
この仕組みにより、操作者は、持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、引っ張った位置に相当する付勢力で走行体を移動させることができる。この操作によって移動している状態を示す図が図5である。図5は、2体の走行体がそれぞれ向かい合った状態で第1の発射手段によって発射され、衝突する直前の状況を示している。
【0026】
図6は、発射装置の第1の発射手段における別の実施形態である。図6の(a)のように、この発射装置のロッドはこれを中心として回動自在となっており、ロッドの回転によって押し出し部も回転する。押し出し部は、ロッドに対して直行する方向に突出した横腕体を有しており、図6の(b)のように、押し出し部の回転によって横腕体の先端が弧を描くように回転する。そしてこの回転によって走行体の受け部の横から横腕体が衝突し、走行体が回転する。
【0027】
尚、弾性部材を鍔および蓋体に固定とすることで、ロッドの回転させて付勢力を貯め、弾性部材のねじれが戻る力でロッドを回転させて横腕体を回転させるようにしても良い。弾性部材がゴムなどの場合は鍔および蓋体に接着し、つるまきバネの場合は、鍔および蓋体の板面から略垂直方向に突起を設け、この突起にバネの両端を当てることで、ロッドを回転させたときのバネのねじれの戻りを抑えて付勢力を貯めることができる。
【0028】
これらの仕組みにより、操作者は、持ち手部をひねってロッドを回転させ、走行体に横腕体を衝突させることで、図7のように手前の走行体が回転し、この走行体の回転範囲に位置する他の走行体を蹴散らすことが出来るようになる。
【0029】
図8は、発射装置における第2の発射手段の仕組みを示す図である。第2の発射手段は、発射装置本体の筒体の周囲を取り巻くように径が大きい短筒(リング)と、その短筒に回動自在に設けられたプレート部からなっている。短筒は、その内側に凸部(図示しない)を有し、発射装置本体の筒体の長手方向に沿って設けられた溝に凸部を嵌合させることで溝に沿って摺動自在に構成され、短筒は摺動部材として機能する。また、プレート部は、摺動部材の一端で且つ押し出し部側に、ロッドの長手方向に対して垂直方向に伸びる回動軸を中心に回動自在に、且つ回動軸に対して両側にプレートの一端が設けられるように配置されている。尚、摺動部材は、押し出し部側にスライドさせたとき、ロッドに対して直行する方向に突出した横腕体に当たってしまうことを防止するために、切り欠きを設けて、摺動部材を押し出し部側にスライドさせた場合に、横腕体が切り欠いた部分に位置するようにしてもよい。
また、切り欠きではなく、摺動部材の周の一部を長手方向に除いた「C字状」の短筒としてもよい。
【0030】
この第2の発射手段の動作のさせ方は、まず、押し出し部が下方になるように発射装置を立てて摺動部材を押し出し部側にスライドさせ、プレート部の一方の面が押し出し部の突出方向に位置するようにプレート部を回動させ、プレート部の他方の面上に走行体の下面が位置するように走行体を走行面に載置する。この状態で、操作者は持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、第1の発射手段を動作させると、押し出し部がプレート部の一方の面に衝突し、プレート部を支える回動軸を中心にプレート部が回動して、プレート部の他方の面が走行体の下部に衝突して走行体を上方にジャンプさせることが出来るようになる。
【0031】
これらの仕組みにより、操作者は、持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、引っ張った位置に相当する付勢力で走行体の上方にジャンプさせることができる。図9は、ジャンプした走行体が他の走行体の上に落ちてきて衝突する直前の様子を示している。第2の発射手段は、第1の発射手段を用いて動作させるものであり、第1の発射手段における押し出し部の突出方向を、シーソー状のプレート部で他の方向に変換する仕組みとなっている。
【0032】
図10は、発射装置の第1および第2の発射手段における別の実施形態である。この実施形態では、発射装置の押し出し部を、走行体の受け部の上方より衝突させて走行体の前方を上方に持ち上げるものである。このとき、受け部は走行体の載置面との間に隙間を設けて配置されており、また、第2の発射手段におけるプレート部の一端を走行体の上面に接触させた状態で押し出し部を衝突させるので、プレート部の一端と走行体との接触部分を軸に走行体の後方が下がり、前方が持ち上がるようになる。これによって、昆虫などの走行体の前方部分に乗っている他の走行体などの物体を上方に跳ね飛ばすことが可能となる。尚、摺動部材は、走行体の状面の高さ位置に合わせて摺動させることで、プレート部の一端を確実に走行体の上面に接触させることが可能となる。
【0033】
また、走行体の前方が持ち上がったときに、走行体が前方に飛び出してしまわないよう、受け部は根元の部分より先端の部分を厚くして、走行体を載置したときに受け部の先端が根元よりも上方に高くなるように突出した形状になっている。また、受け部の形状を、下面を円弧状にすることで、押し出し部が受け部の上面のどの位置に当たったかで、走行体の前方が持ち上がる向きを変えることが出来、他の移動体を跳ね飛ばす方向を変えることが可能になる。
【0034】
これらの仕組みにより、操作者は、持ち手部を所望の位置まで引っ張ってから手を離し、引っ張った位置に相当する付勢力で走行体の前方を跳ね上げるように持ち上げることができる。この操作によって他の移動体が跳ね飛ばされている状態を示す図が図11である。このときの発射装置は、第1の発射手段における押し出し部の突出方向を、第2の発射手段のプレート部を軸に走行体を用いて他の方向に変換する仕組みとなっている。
【0035】
本発明の走行体は、図12に示されるように、走行体の本体部材に錘を装着することが可能となっている。錘は「U字状」に形成されており、走行体の前後に少なくとも1つずつ装着可能なように、本体部材の前後に装着部が設けられている。
【0036】
本体部材に錘を装着しない場合はライトウェイトとなり、走行体の走行スピードは速くなるが、障害物や他の走行体からの衝撃に対して走行が不安定になる。一方、本体部材の前後両方に錘を装着した場合はヘビーウェイトとなり、走行体の走行スピードは遅くなるが、障害物や他の走行体からの衝撃に対しては走行が安定している。本体部材の前または後ろのいずれかに錘を装着した場合は、ミドルウェイトとなり、走行体の走行スピードや走行安定性はライトウェイトとヘビーウェイトの間に調整される。尚、このとき錘を前に装着するか後ろに装着するかは、操作者が、どの方向からの衝撃に対して安定した走行を希望するかで決定される。また、錘を「U字状」に形成して本体部材の前後に装着することで、走行体全体に対して均一に重量を増加させることが可能となる。
【0037】
図13は、走行体の移動手段の例である。本発明の走行体の本体部材は、移動手段が着脱可能な移動手段装着部を裏面の中央部に有している。移動手段装着部は、移動手段が車輪の場合、この殆どの部分が本体部材内に収納されるような収納部と、移動手段の回転軸が嵌る嵌合部とで構成されている。尚、複数の車輪で構成される場合は、移動手段装着部は本体部材の裏面に複数設けても良い。
【0038】
移動手段は、車輪の場合、部材がゴムでできた7aとプラスチックや金属などの比較的硬質な材質で出来た7b,7c,7dなどがある。形状としてはローラー状であり、1つの太い車輪である。ストレートタイプは、太さが均一のローラーで、直進性に優れている。偏心タイプは、車輪の回転軸が車輪の中央からずれた位置に設けられているため、走行中は走行体が上下する。他の走行体と接触した際に、タイミングによっては重心が低くなって相手の下にもぐりこむことが可能となる。ひし形タイプは、車輪の中央部が縁部より太く、走行中はカーブしやすい。その一方、接触部と併用することで安定させることが出来、走行体を回転させるスピンシュートがし易くなる。
【0039】
また、移動手段は、車輪以外に比較的摩擦の少ない材質でできた略板状の滑走体を本体部材の下面に取り付けても良い。滑走体は、摩擦係数の異なる材質や表面加工によって車輪と同様に走行体の走行(滑走)特性を変化させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上の通り、走行体の車輪を形状や材質の異なる物に変更可能とし、車輪以外に走行面に接触する接触部の接触や非接触を調整可能とし、また、発射装置に発射手段を複数設けて走行体の発射方向や発射態様を変化させることで、走行体の走行スタイルのバリエーションを豊富にし、また、走行以外の移動も可能とする走行玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の走行玩具の外観図である。
【図2】本発明の走行体の分解図である。
【図3】本発明の走行体の、走行面への載置態様を示す図である。
【図4】本発明の発射装置の、第1の動作を示す図である。
【図5】本発明の走行体2体が、それぞれ発射装置の第1の動作により発射された状態の図である。
【図6】本発明の発射装置の、第2の動作を示す図である。
【図7】本発明の走行体が、発射装置の第2の動作により回転動作した状態の図である。
【図8】本発明の発射装置の、第3の動作を示す図である。
【図9】本発明の走行体が、発射装置の第3の動作によりジャンプした状態の図である。
【図10】本発明の発射装置の、第4の動作を示す図である。
【図11】本発明の走行体が、発射装置の第4の動作により他の走行体を跳ね上げた状態の図である。
【図12】本発明の走行体の本体部材に錘を着脱する図である。
【図13】本発明の走行体の本体部材に多種の駆動車輪を着脱する図である。
【符号の説明】
【0042】
1 発射装置
2a 走行体
2b 走行体
3 本体部材
4 接触部
5a ボディ部
5b ボディ部
6 受け部
7 車輪
8 持ち手部
9 ロッド
10 押し出し部
11 スライド部
12 プレート部材
13 回動軸
14 弾性部材
15a 前錘
15b 後錘
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、
前記発射装置の押し出し部からの力を受ける受け部と、
前記移動手段が着脱可能な移動手段装着部と、
前記走行体を走行面に載置したときに、該走行面に接触する接触部と、
を有し、
前記接触部は、
前記走行体の側面に設けられ、前記走行体に対して上下方向に移動する移動機構を有することを特徴とする走行玩具の走行体。
【請求項2】
前記移動手段は、前記走行体の左右方向に対して略中央に位置し、
前記接触部は、前記走行体の左右に少なくとも1つずつ設けられ、
前記移動機構は、前記走行体の前後方向に向かって設けられた回転軸であり、該回転軸を中心に前記接触部が上下方向に回動することを特徴とする請求項1記載の走行玩具の走行体。
【請求項3】
移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、
前記移動手段を有する本体部材と、該本体部材に着脱可能なボディ部材とで構成され、
前記本体部材は、
前記移動体の前後の位置に少なくとも1つずつの錘を着脱可能とする錘装着部を有することを特徴とする走行玩具の走行体。
【請求項4】
移動手段によって移動する走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置であって、
弾性部材の反発力によって前記押し出し部を突出させる第1の発射手段と、
前記発射装置に摺動自在に設けられた摺動部材と、該摺動部材に回動自在に設けられたプレート部材とを有する第2の発射手段と、
を有し、
前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部の方向に摺動させ、前記プレート部材の回動軸に対して一方の面を前記押し出し部の突出方向に位置するよう回動させ、他方の面の上に前記走行体を位置させた状態で前記第1の発射手段を動作させたとき、
前記押し出し部が前記プレート部材に衝突して該プレート部材が回動することにより、前記走行体が前記押し出し部の突出方向とは異なる方向に発射されることを特徴とする発射装置。
【請求項5】
前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部と逆の方向に摺動させ、前記プレート部材の端部を前記走行体の上部に接触させた状態で前記第1の発射手段を動作させて前記押し出し部を前記走行体の後部に衝突させたとき、
前記プレート部材の端部を軸に前記走行体の前方が上方に持ち上がることを特徴とする請求項4記載の発射装置。
【請求項6】
外箱と、
該外箱内で鍔を有すると共に両端が該外箱から突出し、突出した両方向に該外箱に対し摺動可能でかつ回転可能なロッドと、
該ロッドの先端に設けた押し出し部と、
該ロッドの後端に設けたロッドが一定ストローク以上該外箱内に入らないようにスットッパを有する持ち手部と、
該鍔と前記持ち手部側の該外箱内の間に弾設されると共に、両端を該鍔と外箱に固定されたバネと、
前記押出し部近傍位置で前記ロッドに対し略垂直方向に設けた横腕体と、
を有する発射装置。
【請求項7】
甲虫を模した立体模型体と、
該模型体の尻部の所定高さ位置に略水平方向に後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設けたことを特徴とする立体模型体。
【請求項8】
甲虫を模した立体模型体と、
該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出した突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、
該突出部の下方は少なくとも前記模型体の尻部から突出端に向けて突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域が広がっていることを特徴とする立体模型体。
【請求項9】
甲虫を模した立体模型体と、
該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、
該突出部の下方には突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域があることを特徴とする立体模型体。
【請求項1】
移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、
前記発射装置の押し出し部からの力を受ける受け部と、
前記移動手段が着脱可能な移動手段装着部と、
前記走行体を走行面に載置したときに、該走行面に接触する接触部と、
を有し、
前記接触部は、
前記走行体の側面に設けられ、前記走行体に対して上下方向に移動する移動機構を有することを特徴とする走行玩具の走行体。
【請求項2】
前記移動手段は、前記走行体の左右方向に対して略中央に位置し、
前記接触部は、前記走行体の左右に少なくとも1つずつ設けられ、
前記移動機構は、前記走行体の前後方向に向かって設けられた回転軸であり、該回転軸を中心に前記接触部が上下方向に回動することを特徴とする請求項1記載の走行玩具の走行体。
【請求項3】
移動手段によって移動する走行体と、該走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置とで構成される走行玩具の走行体であって、
前記移動手段を有する本体部材と、該本体部材に着脱可能なボディ部材とで構成され、
前記本体部材は、
前記移動体の前後の位置に少なくとも1つずつの錘を着脱可能とする錘装着部を有することを特徴とする走行玩具の走行体。
【請求項4】
移動手段によって移動する走行体を押し出す押し出し部を有する発射装置であって、
弾性部材の反発力によって前記押し出し部を突出させる第1の発射手段と、
前記発射装置に摺動自在に設けられた摺動部材と、該摺動部材に回動自在に設けられたプレート部材とを有する第2の発射手段と、
を有し、
前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部の方向に摺動させ、前記プレート部材の回動軸に対して一方の面を前記押し出し部の突出方向に位置するよう回動させ、他方の面の上に前記走行体を位置させた状態で前記第1の発射手段を動作させたとき、
前記押し出し部が前記プレート部材に衝突して該プレート部材が回動することにより、前記走行体が前記押し出し部の突出方向とは異なる方向に発射されることを特徴とする発射装置。
【請求項5】
前記第2の発射手段において、前記摺動部材を前記押し出し部と逆の方向に摺動させ、前記プレート部材の端部を前記走行体の上部に接触させた状態で前記第1の発射手段を動作させて前記押し出し部を前記走行体の後部に衝突させたとき、
前記プレート部材の端部を軸に前記走行体の前方が上方に持ち上がることを特徴とする請求項4記載の発射装置。
【請求項6】
外箱と、
該外箱内で鍔を有すると共に両端が該外箱から突出し、突出した両方向に該外箱に対し摺動可能でかつ回転可能なロッドと、
該ロッドの先端に設けた押し出し部と、
該ロッドの後端に設けたロッドが一定ストローク以上該外箱内に入らないようにスットッパを有する持ち手部と、
該鍔と前記持ち手部側の該外箱内の間に弾設されると共に、両端を該鍔と外箱に固定されたバネと、
前記押出し部近傍位置で前記ロッドに対し略垂直方向に設けた横腕体と、
を有する発射装置。
【請求項7】
甲虫を模した立体模型体と、
該模型体の尻部の所定高さ位置に略水平方向に後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設けたことを特徴とする立体模型体。
【請求項8】
甲虫を模した立体模型体と、
該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出した突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、
該突出部の下方は少なくとも前記模型体の尻部から突出端に向けて突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域が広がっていることを特徴とする立体模型体。
【請求項9】
甲虫を模した立体模型体と、
該模型体の尻部に略水平後方に突出するとともに、突出端が上方向に縁部を有する略方形の突出部を設け、
該突出部の下方には突出部を下方に押し下げることで該立体模型体の頭部を上方に持ち上げる空域があることを特徴とする立体模型体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−141737(P2006−141737A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336755(P2004−336755)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(502413337)有限会社イング21 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(502413337)有限会社イング21 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]