説明

模型素材又は模型の製造方法

【課題】 ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材に、硬化性樹脂組成物を盛り付けて模型素材を製造する方法において、樹脂組成物硬化時の発熱量を少なくして、コア材に熱変形が生じにくいようにする。
【解決手段】 硬化性樹脂組成物として、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤であるポリオキシプロピレンポリアミンと、プラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーとを含有するパテ状硬化性樹脂組成物を用いる。このパテ状硬化性樹脂組成物を、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材表面に盛り付けた後、硬化させて模型素材を得る。また、この模型素材表面に盛り付けた硬化樹脂組成物を切削加工して模型を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型素材又は模型の製造方法に関し、特に寸法精度の高い模型素材又は模型の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車や携帯電話など、そのデザインが販売に大きく影響する商品においては、製品の外観の検討や機能の確認のために模型が製造される。従来より、模型は木材よりなる模型素材を切削加工することによって製造されていた。近年、模型の軽量化のために、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体よりなるコア材表面に、硬化性樹脂組成物を盛り付けた後に、この硬化性樹脂組成物を硬化させて模型素材を製造することが行われている。そして、模型素材表面の硬化した硬化性樹脂組成物を切削加工することによって、模型を製造することが行われている。
【0003】
硬化性樹脂組成物としては、ポリウレタン樹脂及びその硬化剤を含有するもの又はエポキシ樹脂及びその硬化剤を含有するものが用いられている。これらの硬化性樹脂組成物は硬化時に発熱するため、模型素材の内部と表面とで温度差が生じ、内部に歪応力を持つ模型素材が得られ、切削加工によって歪応力が解放されて模型が変形するということがあった。このため、硬化性樹脂組成物中に、熱伝動性フィラーを含有させて、硬化時の熱を均一に伝導させて歪応力を持たない模型素材を得ることが提案されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2010−155942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の方法では、硬化時に熱伝導させるだけであるため、発熱量が高いと、コア材であるポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体が軟化、収縮又は膨張等の熱変形を受けて、結果的に寸法精度の悪い模型素材しか得られないという欠点があった。
【0006】
そこで、本発明者は、硬化時の発熱量が低い硬化性樹脂組成物を得るための検討していたところ、樹脂としてエポキシ樹脂を採用し、かつ、エポキシ樹脂の硬化剤として、一般的に使用されていない特定の硬化剤を使用することによって、発熱量を低くしうることを見出し、本発明に到達したのである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤であるポリオキシプロピレンポリアミンと、プラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーとを含有するパテ状硬化性樹脂組成物を、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材表面に盛り付けた後、硬化させることを特徴とする模型素材の製造方法に関するものである。また、かかる方法によって得られた模型素材表面の硬化樹脂組成物(盛り付け層)を切削加工することを特徴とする模型の製造方法に関するものである。
【0008】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物である。かかるエポキシ樹脂としては、常温で液状である従来公知のエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、脂肪族多価ヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル等が挙げられる。本発明においては、汎用に入手可能であることから、特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやビスフェノールFジグリシジルエーテルが好ましい。上記エポキシ樹脂は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。エポキシ樹脂は市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、三菱化学社製のjERシリーズ;DIC社製のエピクロンシリーズ;ダイセル化学工業社製のセロキサイドシリーズ、エポリードシリーズ、EHPEシリーズ、サイクロマーシリーズ;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートシリーズ;ダウケミカル日本社製のD.E.R.シリーズ;新日本理化社製のリカレジンシリーズ;ADEKA社製のアデカレジンシリーズ:新日鐵化学社製のYDシリーズ、YDFシリーズ等が挙げられる。
【0009】
本発明で用いるエポキシ樹脂の硬化剤は、ポリオキシプロピレンポリアミンである。ポリオキシプロピレンポリアミンとしては、ポリオキシプロピレンジアミン又はポリオキシプロピレントリアミンが一般的に用いられる。具体的には、下記式(1)又は(2)で表されるポリオキシプロピレンポリアミンを用いるのが好ましい。
【0010】
【化1】

(式中、nは1〜30の整数であり、mは1〜15の整数である。)
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素残基を表し、x,y及びzは、それぞれ1〜12の整数である。)
【0011】
ポリオキシプロピレンポリアミンの分子量は、200〜900であるのが好ましく、特に300〜800であるのがより好ましい。分子量が900よりも高いポリオキシプロピレンポリアミンを用いると、硬化性樹脂組成物の流動性が悪化し、2液混合吐出機による機械吐出が困難になる場合があり、分子量が200よりも低いポリオキシプロピレンポリアミンを用いると、得られる模型素材表面が粗くなる場合がある。なお、ポリオキシプロピレンポリアミンとしては市販品を用いてもよく、たとえば、ハンツマンコーポレーション社製のジェファーミンシリーズや大都産業社製のダイトクラールシリーズ等を用いることもできる。
【0012】
ポリオキシプロピレンポリアミンはエポキシ樹脂の硬化剤として用いられているが、必要に応じ、ポリオキシプロピレンポリアミン以外のエポキシ樹脂の硬化剤を併用してもよい。すなわち、ポリオキシプロピレンポリアミンを主体とし、その他の硬化剤を併用してもよい。具体的には、ポリオキシプロピレンポリアミン:その他の硬化剤=55〜95:45〜5(質量比)であるのが好ましく、特に60〜90:40〜10(質量比)であるのが好ましい。その他の硬化剤が45質量%を超えると、硬化時の発熱量が高くなる傾向がある。
【0013】
その他の硬化剤としては、従来公知のアミン化合物を併用するのが一般的である。従来公知のアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、複素環式ポリアミン、ポリアミドアミン等を用いることができるが、特に脂環式ポリアミンが作業性の観点からより好ましい。
【0014】
脂肪族ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン又はこれらの変性物等を用いることができる。また、脂環式ポリアミンとしては、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシレンジアミン、ノルボルネンジアミン又はこれらの変性物等が用いられる。芳香族ポリアミンとしては、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルフェニルメタン又はこれらの変性物等が用いられる。複素環式ポリアミンとしては、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ(5,5)ウンデカン又はその変性物等が用いられる。ポリアミドアミンとしては、ダイマー酸等のジカルボン酸とポリアミン類とを反応させて得られる化合物等を用いることができる。
【0015】
本発明に用いる硬化性樹脂組成物中には、エポキシ樹脂とポリオキシプロピレンポリアミンの他に、切削加工性、垂れ止め性又は軽量化等の観点から、プラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーが含有されている。
【0016】
プラスチックバルーンとは、熱可塑性樹脂を主成分とした外殻を有する高分子微小中空球体のことである。プラスチックバルーンの含有量は、エポキシ樹脂とポリオキシプロピレンポリアミンの総和100質量部に対して、10〜40質量部であるのが好ましく、12.5〜37.5質量部であるのがより好ましく、15〜35質量部であるのが最も好ましい。プラスチックバルーンの含有量が10質量部を下回ると、硬化樹脂組成物の密度が高くなり、切削加工性が低下する傾向となる。プラスチックバルーンの含有量が40質量部を上回ると硬化樹脂組成物中に占めるプラスチックバルーンの体積が過大になり、硬化性樹脂組成物が製造しにくくなる。プラスチックバルーンを配合することにより、硬化性樹脂組成物が低密度となりコア材により厚く盛り付けることができるのと同時に切削加工性が向上する。プラスチックバルーンのなかでも、表面を炭酸カルシウムでコーティングしたものは作業性がより向上するため、特に好ましい。
【0017】
プラスチックバルーンの平均粒子径は、硬化性樹脂組成物の流動性及び模型素材表面のきめ細かさの観点から、10〜110μmであるのが好ましく、30〜90μmであるのがより好ましく、50〜70μmであるのが最も好ましい。平均粒子径が10μmを下回ると、硬化性樹脂組成物の流動性が悪化し、2液混合吐出機による機械吐出が困難になる傾向が生じる。平均粒子径が110μmを上回ると、得られる模型素材表面が粗くなる傾向が生じる。
【0018】
また、プラスチックバルーンの真比重は、硬化性樹脂組成物の密度及び切削加工性の観点から、0.01〜0.25が好ましく、0.05〜0.20がより好ましく、0.10〜0.15が最も好ましい。プラスチックバルーンの真比重が0.25を上回ると、硬化性樹脂組成物の低密度化が困難になる傾向が生じる。プラスチックバルーンの真比重が0.01を下回ると、硬化性樹脂組成物に対して十分な量を配合することができず、切削加工性が低下する傾向が生じる。
【0019】
プラスチックバルーンとしては、従来公知のものが使用できる。たとえば、松本油脂製薬社製のマツモトマイクロスフェアーMFLシリーズ、マツモトマイクロスフェアーFシリーズ;日本フィライト社製のエクスパンセルシリーズ、EMCシリーズ;マレーシア・アドヘッシブ&ケミカルズ社製のフェノセット・マイクロバルーンシリーズ;クレハ社製のクレハマイクロスフェアーシリーズ;積水化学工業社製のアドバンセルシリーズ;大日精化工業社製のダイフォームシリーズ等を使用することができる。
【0020】
有機繊維は、天然又は合成有機材料よりなる繊維のことであり、数μ〜数百μ程度の長さを持つものである。有機繊維の含有量は、エポキシ樹脂とポリオキシプロピレンポリアミンの総和100質量部に対して、5〜25質量部であるのが好ましく、7〜22質量部であるのがより好ましく8〜20質量部であるのが最も好ましい。有機繊維を含有させると、コア材上への盛り付け時の保型性(垂れ止め性)が良好となり、垂直面に数十mm〜数百mm厚で盛り付けても垂れることがなくなる。有機繊維の配合量が5質量部を下回ると、十分な垂れ止め性向上効果が得にくくなる傾向が生じる。有機繊維の配合量が25質量部を上回ると、硬化性樹脂組成物の流動性が低下し、きめ細かい表面を持つ模型素材が得られにくくなる傾向が生じる。
【0021】
有機繊維としては、従来公知のものが使用できる。たとえば、日本製紙ケミカル社製のKCフロックシリーズ;スターリングファイバー社製のCFFシリーズ;三井化学社製のケミベストシリーズ;東レ社製のタフバインダーシリーズ等を用いることができる。
【0022】
クレーとは、含水珪酸アルミニウムを主成分とする天然の鉱石から得られる粉状のものである。クレーの含有量は、エポキシ樹脂とポリオキシプロピレンポリアミンの総和100質量部に対して、5〜25質量部であるのが好ましく、7〜22質量部であるのがより好ましく、8〜20質量部であるのが最も好ましい。クレーを含有させることにより、コア材上への盛り付け時の保型性(垂れ止め性)が良好となり、垂直面に数十mm〜数百mm厚で盛り付けても垂れにくくなる。クレーの含有量が5質量部を下回ると、十分な垂れ止め性向上効果が得らにくくなる傾向が生じる。また、クレーの含有量が25質量部を上回ると、流動性が悪くなり、きめ細かい表面の模型素材が得られにくくなる傾向が生じる。
【0023】
クレーとしては、従来公知のものが使用できる。たとえば、BASF社製のASPシリーズ、DELAMIシリーズ、SATINTONEシリーズ、TRANSLINKシリーズ;Southern Clay Products社製のガラマイトシリーズ;BURGESS PIGMENT社製のオプチホワイトシリーズ;丸尾カルシウム社製のろう石クレーシリーズ;白石カルシウム社製のハードトップクレー等が用いられる。
【0024】
また、本発明に用いる硬化性樹脂組成物中には、その他の任意の添加剤が含有されていてもよい。たとえば、炭酸カルシウム、親水性又は疎水性シリカ粉体、酸化チタン粉体、カーボンブラック粉体等の無機系フィラー;アマイドワックス等の揺変剤;反応性及び非反応性希釈剤;可塑剤;老化防止剤;顔料;硬化促進剤;帯電防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。炭酸カルシウムとしては、従来公知の重質炭酸カルシウム粉や表面処理された沈降炭酸カルシウム粉を用いることができる。このような炭酸カルシウムを配合することにより、硬化樹脂組成物の機械強度が向上する。硬化促進剤としては、従来公知の三級アミンを用いることができる。上記三級アミンとしては、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジアザビシクロウンデセン、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等が用いられる。
【0025】
本発明に用いる硬化性樹脂組成物は、以下の手段によって調製される。すなわち、エポキシ樹脂を含有する「主剤」と、ポリオキシプロピレンポリアミンを含有する「硬化剤」を別途準備し、両者を均一に混合することによってパテ状硬化性樹脂組成物を調製することができる。具体的には、2成分混合吐出機に「主剤」と「硬化剤」を投入すれば、容易に硬化性樹脂組成物を調製することができる。硬化性樹脂組成物に含有されるプラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーは、「主剤」のみ、「硬化剤」のみ、又は「主剤」と「硬化剤」の両方に含有されてもよい。特に、「主剤」及び「硬化剤」の両方に含有させておく方が、均一な混合が可能となり、均一な硬化性樹脂組成物を調製しうるので好ましい。2成分混合吐出機による作業性や混合比管理及び硬化性樹脂組成物の性能確保を考慮すると、「主剤」と「硬化剤」の混合比は質量比で、「主剤」:「硬化剤」=1:0.7〜1程度になるようにするのがよい。この程度の質量比にするには、「主剤」及び/又は「硬化剤」に含有させるプラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーの含有量を適宜調整すればよい。
【0026】
硬化性樹脂組成物の密度は、垂れ止め性の観点から0. 3〜1.0g/cm3であるのが好ましく、0.4〜0.9g/cm3であるのがより好ましく、0. 5〜0. 8g/cm3であるのが最も好ましい。硬化性樹脂組成物の密度は、プラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーの含有量によって調整することができる。また、硬化性樹脂組成物の性状は、盛り付けやすいようにパテ状となっているが、かかる性状とするのもプラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーの含有量を適宜調整することにより、行うことができる。
【0027】
「主剤」と「硬化剤」とを混合してパテ状硬化性樹脂組成物を調製した後、この硬化性樹脂組成物をポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材表面に盛り付ける。その後、硬化性樹脂組成物を硬化させれば、模型素材を得ることができる。そして、得られた模型素材表面に盛り付けられた盛り付け層である硬化樹脂組成物を、NCマシン等で切削加工することにより、模型を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材表面に、硬化性樹脂組成物を盛り付けて模型素材を得る際に、エポキシ樹脂とポリオキシプロピレンポリアミンとを含有するパテ状硬化性樹脂組成物を用いて、硬化させる模型素材を得るために、硬化時の発熱量が低く、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体が軟化、収縮又は膨潤しにくく、熱変形が少ないので、寸法精度の高い模型素材が得られるという効果を奏する。また、硬化性樹脂組成物中にはプラスチックバルーン等が含有されており、スムースに切削加工しうるという効果を奏する。よって、寸法精度の高い模型素材をスムースに切削加工して模型を得るために、寸法精度の高い模型を得られるという効果を奏する。
【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、エポキシ樹脂の硬化剤としてポリオキシプロピレンポリアミンを用いたので、エポキシ樹脂の硬化時の発熱量が少なく、コア材であるポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体の熱変形を少なくでき、寸法精度の高い模型素材が得られるという技術的思想に基づくものとして解釈されるべきである。
【0030】
実施例1
[「主剤」の準備]
以下の組成のうち、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン以外の物質をプラネタリーミキサーに投入し、常温常圧で10分間混練した。その後、0.096MPa以下の減圧下で20分間撹拌混合した。得られた組成物に、前記アクリロニトリルバルーンを投入し、混練しながらさらに0.096MPa以下の減圧下で10分間撹拌混合し、以下の組成よりなる「主剤」を準備した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量187) 200質量部
(三菱化学社製、商品名「jER828」)
t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(反応性希釈剤) 20質量部
(DIC社製、商品名「エピクロン520」)
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン 30質量部
(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100MCA」)
セルロース系有機繊維 12.5質量部
(日本製紙ケミカル社製、商品名「KCフロックW−50GK」)
重質炭酸カルシウム 27質量部
(日東粉化社製、商品名「NN500」、平均粒子径4.4μm)
脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウム 42質量部
(丸尾カルシウム社製、商品名「カルファイン200M」、平均粒子径0.05μm)
【0031】
[「硬化剤」の準備]
以下の組成のうち、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン以外の物質をプラネタリーミキサーに投入し、常温常圧で10分間混練した。その後、0.096MPa以下の減圧下で20分間撹拌混合した。得られた組成物に、前記アクリロニトリルバルーンを投入し、混練しながらさらに0.096MPa以下の減圧下で10分間撹拌混合し、以下の組成よりなる「硬化剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン 81.6質量部
(大都産業株式会社製、商品名「ダイトクラールD−677」、活性水素当量94.4)
4,4−メチレンビスシクロヘキサンアミン 14.4質量部
(エアープロダクツジャパン株式会社製、商品名「アミキュア PACM」)
キシレン樹脂 60質量部
(フドー株式会社製、商品名「ニカノールLLL」)
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン 28質量部
(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100MCA」)
セルロース系有機繊維 12質量部
(日本製紙ケミカル社製、商品名「KCフロックW−50GK」)
重質炭酸カルシウム 45質量部
(日東粉化社製、商品名「NN500」、平均粒子径4.4μm)
脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウム 80質量部
(丸尾カルシウム社製、商品名「カルファイン200M」、平均粒子径0.05μm)
【0032】
上記「主剤」331.5質量部と上記「硬化剤」321質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得た。このパテ状硬化性樹脂組成物をポリウレタン系発泡体によりなるコア材表面に、厚さ50mm程度に盛り付けて、60℃で14時間加熱硬化させて模型素材を得た。
【0033】
実施例2
実施例1で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミンの配合量を60.6質量部に変更し、かつ、4,4−メチレンビスシクロヘキサンアミンの配合量を26質量部に変更した他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」331.5質量部と上記「硬化剤」311.6質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得た。このパテ状硬化性樹脂組成物をポリスチレン系発泡体によりなるコア材表面に、厚さ50mm程度に盛り付けて、60℃で14時間加熱硬化させて模型素材を得た。
【0034】
実施例3
以下の組成に変更する他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量187) 200質量部
(三菱化学社製、商品名「jER828」)
t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(反応性希釈剤) 20質量部
(DIC社製、商品名「エピクロン520」)
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン 50質量部
(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100MCA」)
セルロース系有機繊維 10質量部
(日本製紙ケミカル社製、商品名「KCフロックW−50GK」)
重質炭酸カルシウム 60質量部
(日東粉化社製、商品名「NN500」、平均粒子径4.4μm)
脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウム 60質量部
(丸尾カルシウム社製、商品名「カルファイン200M」、平均粒子径0.05μm)
【0035】
以下の組成に変更する他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン 66.5質量部
(大都産業株式会社製、商品名「ダイトクラールD−677」、活性水素当量94.4)
ポリアミノアミド(活性水素当量65) 28.5質量部
(株式会社T&K TOKA製、商品名「トーマイド290CA」)
キシレン樹脂 60質量部
(フドー株式会社製、商品名「ニカノールLLL」)
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン 40質量部
(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100MCA」)
セルロース系有機繊維 20質量部
(日本製紙ケミカル社製、商品名「KCフロックW−50GK」)
脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウム 130質量部
(丸尾カルシウム社製、商品名「カルファイン200M」、平均粒子径0.05μm)
【0036】
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0037】
実施例4
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンの配合量を22質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンの配合量を15質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」372質量部と上記「硬化剤」320質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0038】
実施例5
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンの配合量を60質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンの配合量を55質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」410質量部と上記「硬化剤」360質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0039】
実施例6
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミンの配合量を54.6質量部に変更し、かつ、ポリアミノアミドの配合量を36.4質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」341質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0040】
実施例7
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミンの配合量を45質量部に変更し、かつ、ポリアミノアミドの配合量を45質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」340質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0041】
実施例8
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミンの配合量を108質量部に変更し、かつ、ポリアミノアミドを使用しない他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」358質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0042】
実施例9
セルロース系有機繊維の配合量を8.5質量部に変更し、かつ、追加的にポリエチレン繊維(三井化学株式会社製、商品名「ケミベストFDSS−2」)を8.5質量部配合した他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
セルロース系有機繊維の配合量を8質量部に変更し、かつ、追加的にポリエチレン繊維(三井化学株式会社製、商品名「ケミベストFDSS−2」)を8質量部配合した他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」336質量部と上記「硬化剤」325質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0043】
実施例10
セルロース系有機繊維の配合量を8.5質量部に変更し、かつ、追加的にカオリンクレー(BASF社製、商品名「ASP−170」)を8.5質量部配合した他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
セルロース系有機繊維の配合量を8質量部に変更し、かつ、追加的にカオリンクレー(BASF社製、商品名「ASP−170」)を8質量部配合した他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」336質量部と上記「硬化剤」325質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0044】
実施例11
セルロース系有機繊維の配合量を8.5質量部に変更し、かつ、追加的に有機変性クレー(SouthernClayProducts社製、商品名「ガラマイト1958」)を8.5質量部配合した他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
セルロース系有機繊維の配合量を8質量部に変更し、かつ、追加的に有機変性クレー(SouthernClayProducts社製、商品名「ガラマイト1958」)を8質量部配合した他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」336質量部と上記「硬化剤」325質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0045】
実施例12
セルロース系有機繊維12.5質量部を、カオリンクレー(BASF社製、商品名「ASP−170」)20質量部に変更した他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
セルロース系有機繊維12質量部を、カオリンクレー(BASF社製、商品名「ASP−170」)20質量部に変更した他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」339質量部と上記「硬化剤」329質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0046】
実施例13
セルロース系有機繊維12.5質量部を、有機変性クレー(SouthernClayProducts社製、商品名「ガラマイト1958」)11質量部に変更した他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
セルロース系有機繊維12質量部を、有機変性クレー(SouthernClayProducts社製、商品名「ガラマイト1958」)11質量部に変更した他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」330質量部と上記「硬化剤」320質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0047】
実施例14
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(大都産業株式会社製、商品名「ダイトクラールD−677」、活性水素当量94.4)66.5質量部に代えて、一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(ハンツマンコーポレーション社製、商品名「ジェファーミンD−230」、活性水素当量61)49.7質量部を用い、かつ、ポリアミノアミドの配合量を21.3に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」321質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0048】
実施例15
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(大都産業株式会社製、商品名「ダイトクラールD−677」、活性水素当量94.4)66.5質量部に代えて、一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(ハンツマンコーポレーション社製、商品名「ジェファーミンD−400」、活性水素当量100)68.6質量部を用い、かつ、ポリアミノアミドの配合量を29.4に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」348質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0049】
実施例16
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(大都産業株式会社製、商品名「ダイトクラールD−677」、活性水素当量94.4)66.5質量部に代えて、一般式(2)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(ハンツマンコーポレーション社製、商品名「ジェファーミンD−400」、活性水素当量80)91.2質量部を用い、かつ、ポリアミノアミドを使用しない他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」341.2質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0050】
実施例17
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(大都産業株式会社製、商品名「ダイトクラールD−677」、活性水素当量94.4)66.5質量部に代えて、一般式(2)で表されるポリオキシプロピレンジアミン(ハンツマンコーポレーション社製、商品名「ジェファーミンD−400」、活性水素当量80)71.9質量部を用い、かつ、ポリアミノアミド(株式会社T&K TOKA製、商品名「トーマイド290CA」)28.5質量部に代えて、4,4−メチレンビスシクロヘキサンアミン(エアープロダクツジャパン株式会社製、商品名「アミキュア PACM」)12.7を用いる他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」334.6質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0051】
実施例18
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名「jER828」)に代えて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂エピクロン830(DIC株式会社製、商品名、「エピクロン830」、エポキシ当量240)を用いる他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
実施例3で用いた「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0052】
実施例19
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合量を120質量部に変更し、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンの配合量を45質量部に変更し、かつ、追加的にブロックドポリイソシアネート(株式会社ADEKA製、商品名「アデカレジンQR−9425」)80質量部を配合した他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンの配合量を35質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」395質量部と上記「硬化剤」340質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0053】
実施例20
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン50質量部に代えて、アクリロニトリルマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF−65DE」)30質量部を用いる他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン40質量部に代えて、アクリロニトリルマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーF−65DE」)25質量部を用いる他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」380質量部と上記「硬化剤」330質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0054】
実施例21
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100CA」)を用いる他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン40質量部に代えて、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100CA」)50質量部を用いる他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」355質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0055】
実施例22
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−81GCA」)を用いる他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン40質量部に代えて、炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルマイクロバルーン(松本油脂製薬株式会社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−81GCA」)50質量部を用いる他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」355質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0056】
実施例23
重質炭酸カルシウム及び脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウムを用いない他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
表面が処理された炭酸カルシウムを用いない他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」280質量部と上記「硬化剤」215質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0057】
実施例24
t−ブチルフェニルグリシジルエーテルに代えて、脂肪族変性エポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製、商品名「SR−CF2」)を用いる他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
実施例3で用いた「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0058】
実施例25
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
キシレン樹脂に代えて、ジノニルフェノールを用いた他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0059】
実施例26
t−ブチルフェニルグリシジルエーテルを用いない他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
キシレン樹脂を用いない他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」380質量部と上記「硬化剤」285質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0060】
比較例1
実施例3で用いた「主剤」を準備した。
一般式(1)で表されるポリオキシプロピレンジアミンを用いずに、かつ、ポリアミノアミドの配合量を120質量部に変更した他は、実施例3と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」370質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0061】
比較例2
以下の組成に変更する他は、実施例1と同一の方法で「主剤」を準備した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量187) 200質量部
(三菱化学社製、商品名「jER828」)
t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(反応性希釈剤) 20質量部
(DIC社製、商品名「エピクロン520」)
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン 30質量部
(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100MCA」)
セルロース系有機繊維 12.5質量部
(日本製紙ケミカル社製、商品名「KCフロックW−50GK」)
重質炭酸カルシウム 27質量部
(日東粉化社製、商品名「NN500」、平均粒子径4.4μm)
脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウム 42質量部
(丸尾カルシウム社製、商品名「カルファイン200M」、平均粒子径0.05μm)
【0062】
以下の組成に変更する他は、実施例1と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
変性脂肪族ポリアミン(活性水素当量80) 91.2質量部
(株式会社T&K TOKA製、商品名「フジキュアー5100」)
キシレン樹脂 60質量部
(フドー株式会社製、商品名「ニカノールLLL」)
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーン 28質量部
(松本油脂製薬社製、商品名「マツモトマイクロスフェアーMFL−100MCA」)
セルロース系有機繊維 12質量部
(日本製紙ケミカル社製、商品名「KCフロックW−50GK」)
重質炭酸カルシウム 45質量部
(日東粉化社製、商品名「NN500」、平均粒子径4.4μm)
脂肪酸で表面が処理された炭酸カルシウム 80質量部
(丸尾カルシウム社製、商品名「カルファイン200M」、平均粒子径0.05μm)
【0063】
上記「主剤」331.5質量部と上記「硬化剤」316.2質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0064】
比較例3
比較例2で用いた「主剤」を準備した。
変性脂肪族ポリアミン91.2質量部に代えて、アミドアミン(エアープロダクツジャパン株式会社製、商品名「アンカマイド2396A」、活性水素当量93)106質量部を用いる他は、比較例2と同一の方法で「硬化剤」を準備した。
上記「主剤」331.5質量部と上記「硬化剤」331質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0065】
比較例4
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、ホウケイ酸ガラスバルーン(富士シリシア化学株式会社製、商品名「フジバルーンS35」、平均粒子径40μm)を用いた他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、ホウケイ酸ガラスバルーン(富士シリシア化学株式会社製、商品名「フジバルーンS35」、平均粒子径40μm)を用いた他は、実施例3と同一の方法で「硬化」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0066】
比較例5
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、シラスバルーン(丸中白土株式会社製、商品名「マールライト715D」)を用いた他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、シラスバルーン(丸中白土株式会社製、商品名「マールライト715D」)を用いた他は、実施例3と同一の方法で「硬化」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0067】
比較例6
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、ケイ酸アルミニウムバルーン(巴工業株式会社製、商品名「セノライトSA」、平均粒子径85μm)を用いた他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンに代えて、ケイ酸アルミニウムバルーン(巴工業株式会社製、商品名「セノライトSA」、平均粒子径85μm)を用いた他は、実施例3と同一の方法で「硬化」を準備した。
上記「主剤」400質量部と上記「硬化剤」345質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0068】
比較例7
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンを用いない他は、実施例3と同一の方法で「主剤」を準備した。
炭酸カルシウムでコーティングされたアクリロニトリルバルーンを用いない他は、実施例3と同一の方法で「硬化」を準備した。
上記「主剤」350質量部と上記「硬化剤」305質量部を均一に混合し、パテ状硬化性樹脂組成物を得、実施例1と同一の方法で模型素材を得た。
【0069】
実施例1〜26及び比較例1〜7の方法で模型素材を得る際に、以下の性能評価を行った。
[最大発熱温度]
コア材表面にパテ状硬化性樹脂組成物を縦100mm×横100mm×厚さ50mmで盛り付けた直後に、その中心部に熱電対を挿入して、23℃で50%RHの雰囲気下で48時間硬化させ、硬化途中の最大発熱温度(℃)を測定した。
[硬化収縮]
コア材表面にパテ状硬化性樹脂組成物を縦100mm×横100mm×厚さ50mmで盛り付けた直後に、その表面にひずみゲージ(株式会社東京測器研究所製、GFLA−6−50)を取り付けて、23℃で50%RHの雰囲気下で48時間硬化させ、データロガー(株式会社東京測器研究所製、TDS−602)にて硬化途中での硬化収縮(με)の値を測定した。この値が低いほど収縮が少ない。
[垂れ止め性]
コア材表面にパテ状硬化性樹脂組成物を縦100mm×横100mm×厚さ30mmで盛り付けた直後に、盛り付け層を垂直に立てて垂れ止め性を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
◎・・・振動を加えても盛り付け層が垂れない。
○・・・静置しておくと盛り付け層が垂れない。
△・・・静置しておくと盛り付け層が徐々に垂れる。
×・・・静置しておくと盛り付け層が直ちに垂れる。
【0070】
実施例1〜26及び比較例1〜7の方法で得られた模型素材に関して、以下の性能評価を行った。
[密度]
模型素材から盛り付け層を採取して密度(g/cm3)を測定した。
[デュロメーターA硬度]
JIS K7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」に準じ、模型素材の盛り付け層表面にタイプAデュロメータ硬度計を押し込み、デュロメータA硬度を測定した。 [切削加工性]
模型素材の表面をカッターナイフで切削し、切削加工性を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
○・・・スムースな切削加工が可能である。
△・・・カッターの刃が引っ掛かりる場合がある。
×・・・スムースな切削加工ができない。
【0071】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最大発 硬化収縮 垂れ止 密度 デュロメー 切削加工
熱温度 め性 ターA硬度 性
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 30 133 ◎ 0.75 96 ○
実施例2 31 150 ◎ 0.75 97 ○
実施例3 32 124 ◎ 0.70 93 ○
実施例4 33 144 ○ 0.86 93 ○
実施例5 30 128 ◎ 0.59 92 ○
実施例6 48 272 ◎ 0.69 95 ○
実施例7 56 340 ◎ 0.69 95 ○
実施例8 29 85 ○ 0.65 75 ○
実施例9 30 152 ◎ 0.76 95 ○
実施例10 30 161 ○ 0.75 94 ○
実施例11 28 138 ◎ 0.76 96 ○
実施例12 31 166 ◎ 0.79 96 ○
実施例13 31 168 ◎ 0.78 96 ○
実施例14 29 88 ◎ 0.70 91 ○
実施例15 30 101 ◎ 0.70 90 ○
実施例16 28 164 ○ 0.71 78 ○
実施例17 30 154 ○ 0.71 86 ○
実施例18 32 150 ◎ 0.68 92 ○
実施例19 30 139 ◎ 0.69 78 ○
実施例20 30 108 ◎ 0.37 60 ○
実施例21 32 171 ◎ 0.68 84 ○
実施例22 32 138 ○ 0.80 95 ○
実施例23 58 238 ○ 0.41 65 ○
実施例24 30 173 ◎ 0.68 92 ○
実施例25 30 149 ○ 0.69 93 ○
実施例26 32 182 ◎ 0.66 96 ○
比較例1 70 825 ◎ 0.65 97 △
比較例2 82 690 ◎ 0.75 97 △
比較例3 69 714 ○ 0.75 86 ○
比較例4 30 165 ◎ 0.90 91 △
比較例5 30 188 ◎ 1.20 90 ×
比較例6 30 134 ○ 1.23 94 ×
比較例7 35 208 × 1.17 93 ×
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0072】
実施例と比較例を対比すれば明らかなとおり、実施例に係る方法ではエポキシ樹脂の硬化時の発熱量及び熱変形が少なく、盛り付けた硬化性樹脂組成物の垂れも少なく、また、得られた模型素材の切削加工性も良好である。比較例1〜3に係る方法は、エポキシ樹脂の硬化剤としてポリオキシプロピレンポリアミンを使用していないので、硬化時の発熱量及び熱変形が大きくなっており、模型素材の製造方法として好ましくない。比較例4〜7に係る方法は、プラスチックバルーンを用いていないため、切削加工性に劣っており、模型素材の製造方法として好ましくない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤であるポリオキシプロピレンポリアミンと、プラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーとを含有するパテ状硬化性樹脂組成物を、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材表面に盛り付けた後、硬化させることを特徴とする模型素材の製造方法。
【請求項2】
分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤であるポリオキシプロピレンポリアミンと、プラスチックバルーン、有機繊維及び/又はクレーとを含有する硬化性樹脂組成物を、ポリウレタン系発泡体又はポリスチレン系発泡体からなるコア材表面に盛り付けた後、硬化させて模型素材を得、次いで硬化樹脂組成物を切削加工することを特徴とする模型の製造方法。
【請求項3】
ポリオキシプロピレンポリアミンが、下記式(1)又は(2)で表されるものである請求項1又は2記載の模型素材の製造方法。
【化1】

(式中、nは1〜30の整数であり、mは1〜15の整数である。)
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素残基を表し、x,y及びzは、それぞれ1〜12の整数である。)

【公開番号】特開2013−18925(P2013−18925A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155279(P2011−155279)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】