説明

模型自動車

【課題】 本発明の目的は、シャーシのサイズを規格内とし、所定のサイズのモータやバッテリーを使用しつつ、シャーシの横幅を狭くすることができる構造のRCカーを提供することである。
【解決手段】 本発明のRCカー1は、長細いバッテリー22と、バッテリー22から給電されると共に送信機23から無線送信される制御信号を受信する受信機28と、制御信号を増幅する動力用モータアンプ26と、動力用モータアンプ26で増幅された制御信号によって回転が制御される動力用モータ14と、これらの部品が配設されるシャーシ2と、前記シャーシ2の前部に配設され動力用モータ14によって駆動される一対の前輪4と、シャーシ2の後部に配設され動力用モータ14によって駆動される一対の後輪6とを備える。さらに、バッテリー22の長手方向の中心線がシャーシ2の長手方向の中心線A上に位置するように、前記バッテリー22を前記シャーシ2に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオコントロールタイプの模型自動車(以下、RCカーと言う)に関し、より詳細には、RCカーにおけるモータやバッテリー等の重量物や駆動機構のレイアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のRCカーとして、オフロードタイプのRCカー100を図6乃至図9に示して説明する。図6は、RCカー100の上面からボディを取り外した状態を示している。
シャーシ102の中央部には、動力用モータ114、細長いバッテリー122、ステアリングサーボ124、受信機126、動力用モータアンプ128といった重量物が配設されている。前輪104の方向から見ると、動力用モータ114及び動力用モータアンプ126及び受信機128が左側に、バッテリー122が右側に並んで配置されている。RCカー100は、これらの重力物をシャーシ102の中央部に収容するために、図7の背面図において明確に示されるように、シャーシ102の中央部は幅広で平坦に形成されていた。
【0003】
オフロードタイプのRCカー100は、悪路の走行性を向上するために、四輪駆動とされており、図8及び図9に示すように、動力用モータ114の回転は、モータ回転軸114aに取り付けられたピニオンギヤ114bにより、第1スパーギヤ130に伝達される。第1スパーギヤ130の回転は、第1ベベルギヤ134、第2ベベルギヤ136(後輪デフギヤ)を介して、後輪駆動軸138に伝達される。後輪駆動軸138の両端には、後内側ジョイントカップリング140、後輪駆動シャフト142、後外側ジョイントカップリング144a、後輪ホイルシャフト144が、それぞれ取り付けられている。
【0004】
また、第1スパーギヤ130の回転は、プロペラシャフト154を介して、シャーシ102の前方に伝達される。プロペラシャフト154の前端部には、プロペラジョイント156aを介して、第3ベベルギヤ156が取り付けられており、第3ベベルギヤ156の回転は、第4ベベルギヤ(前輪デフギヤ)158を介して前輪駆動軸160に伝達される。前輪駆動軸160の両端には、前内側ジョイントカップリング162、前輪駆動シャフト164、前外側ジョイントカップリング166a、前輪ホイルシャフト166が、それぞれ取り付けられている。このような動力伝達機構により、前輪104及び後輪106がそれぞれ回転される。
【0005】
また、特許文献1には、シャーシの中央部に両軸モータを縦置きし、その左右に単三電池を配設した模型自動車が開示されている。この模型自動車においても、モータや電池といった重量物を配置するために、シャーシの中央部は幅広く平らに形成されていた。
【0006】
【特許文献1】特開2000−350872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記オフロードタイプのRCカー100は、非整地面を走行することが多く、コーナーリングの際にシャーシ102が傾くことにより、幅広で平坦なシャーシ底面(図7)が非整地面の凸部に接触する可能性が高くなる。そして、シャーシ底面と地面との接触によりRCカー100が飛び跳ねて、走行が不安定になるおそれがあった。また、幅広で平坦なシャーシ底面を有するので、非整地面を直進する場合にも、シャーシ底面が非整地面の凸部に接触することがある。
【0008】
なお、オンロードタイプのRCカーであっても、コーナリング時にシャーシが傾くため、幅広で平坦なシャーシ底部が走行面に接触して、RCカーが飛び跳ねることは起こりえる。
【0009】
そこで、シャーシ底面と走行面との接触を回避すべく、シャーシの横幅を出来る限り細くすることが求められていた。さらに、ユーザーの嗜好により細いシャーシが精悍な印象を与えるように、細いシャーシが求められていたが、以下の理由によりその実現は容易でなかった。
【0010】
図8及び図9に示したように、モータやバッテリー等の重量物をシャーシ102の中央部に配置すると、シャーシ102の横幅を狭くすることができない。なぜなら、RCカーのシャーシ、モータ、及びバッテリーは、所定の規格があるため、単純にシャーシを従来より長くしたり、バッテリーの形状を変更して、シャーシの横幅を狭くすることは困難である。
【0011】
本発明の第1の目的は、シャーシのサイズを規格内とし、所定のサイズのモータやバッテリーを使用しつつ、シャーシの横幅を狭くすることができる構造のRCカーを提供することである。
【0012】
また、RCカーにおいては、バッテリー及びモータ等の重量物は、全重量に対して占める重量が大きいため、これらをシャーシのどの部分に配置するかによって、走行性能に大きな影響を与える。ところが、従来のRCカー100は、図6に示したように、シャーシ前方から見て、バッテリー122を右側、動力用モータ114等を左側に配置していたため、左右の重量バランスを正確にとることができず、コーナリング時や非整地面の凸部との接触時にバランスを崩してスピンしやすい傾向がある。従って、シャーシの左右のバランスが良好なRCカーも求められていた。さらに、従来のRCカーでは、図8及び図9に示すように、四輪駆動とするために、後輪側から動力用モータ114の駆動力を前輪側に伝達する必要があった。そこで、プロペラシャフト154がシャーシ102の中央部を前後に貫いて配置されていたため、シャーシ102の中央部における重量物の配置の自由度が低下していた。
【0013】
本発明の第2の目的は、左右のバランスを良く重量物を配置することが可能なRCカーを提供することであり、さらに、四輪駆動の場合でも、プロペラシャフトによって重量物の配置が制限されないRCカーを提供することである。
【0014】
また、従来のRCカーは、動力用モータ114がシャーシ102の内側に配置され、化粧ボディで上側から覆われる構造となるため、動力用モータ114が直接外気にさらされず、冷却しにくい構造となっていた。
【0015】
本発明の第3の目的は、動力用モータの冷却が容易な構造を有するRCカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の模型自動車は上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、長細いバッテリー22と、前記バッテリー22から給電されると共に送信機23から無線送信される制御信号を受信する受信機28と、前記制御信号を増幅する動力用モータアンプ26と、前記動力用モータアンプ26で増幅された前記制御信号によって回転が制御される動力用モータ14と、これらの部品が配設されるシャーシ2と、前記シャーシ2の前部に配設され前記動力用モータ14によって駆動される一対の前輪4と、前記シャーシ2の後部に配設され前記動力用モータ14によって駆動される一対の後輪6とを備える模型自動車1において、前記バッテリー22の長手方向の中心線が前記シャーシ2の長手方向の中心線A上に位置するように、前記バッテリー22を前記シャーシ2に配設することを特徴とする模型自動車である。
【0017】
請求項2に係る発明は、前記シャーシの長手方向の中心線Aに対して、前記バッテリー22及び前記動力用モータ14が一列になるように、前記バッテリー22及び前記動力用モータ14を前記シャーシ2に配設することを特徴とする請求項1に記載の模型自動車である。
【0018】
請求項3に係る発明は、前記動力用モータ14を前記シャーシ2の後端部に配設することを特徴とする請求項1又は2に記載の模型自動車である。
請求項4に係る発明は、前記動力用モータ14の回転を伝達するギヤ30と、前記ギヤ30の滑り量を調整するスリッパー機構32とを前記シャーシ2の後端部に配設することを特徴とする請求項3に記載の模型自動車である。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記動力用モータ14の回転を前記前輪4に伝達するプロペラシャフト54を備え、前記プロペラシャフト54を、前記シャーシ2の底面に対して傾斜して配置することを特徴とする請求項3又は4に記載の模型自動車である。請求項6に係る発明は、前記プロペラシャフト54を前記バッテリー22の上方に配設することを特徴とする請求項5に記載の模型自動車である。
【0020】
請求項7に係る発明は、前記受信機が受信した前記制御信号により動作するステアリングサーボ24と、前記ステアリングサーボ24によって前記前輪4を操舵するステアリング9とを備え、前記シャーシ2の長手方向の中心線Aに対して、前記バッテリー22及び前記ステアリングサーボ24が一列となるように、前記バッテリー22及び前記ステアリングサーボ24を前記シャーシ2に配設することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の模型自動車である。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記動力用モータ14の回転軸14aを、前記前輪4及び前記後輪6の回転軸60、38と平行に配設することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の模型自動車である。
【0022】
請求項9に係る発明は、前記シャーシ2は、前記バッテリー22が配設される平坦な長方形部2cと、前記シャーシ2の側面で前記長方形部2cから斜め上方に突出する一対の突出部2bとを備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の模型自動車である。請求項10に係る発明は、前記動力用モータアンプ26及び前記受信機28を前記一対の突出部2bにそれぞれ配設することを特徴とする請求項9に記載の模型自動車である。請求項11に係る発明は、前記動力用モータアンプ26及び前記受信機28を、前記シャーシ2の長手方向の中心線Aに対して対称となるように配設することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の模型自動車である。
【0023】
請求項12に係る発明は、前記動力用モータアンプ26及び前記受信機28を、前記シャーシ2の後部側に配設することを特徴とする請求項11に記載の模型自動車である。
請求項13に係る発明は、前記シャーシ2に前記バッテリー22を保持するバッテリー保持リブ2aを立設することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の模型自動車である。請求項14に係る発明は、前記バッテリー保持リブ2aを、前記バッテリー22の周囲を取り囲むように形成することを特徴とする請求項13に記載の模型自動車である。
【0024】
請求項15に係る発明は、前記バッテリー22の上方で、前記シャーシ2の前後を接続するアッパーデッキ12を備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の模型自動車である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の模型自動車は上記のように構成するものであり、請求項1に係る発明によれば、バッテリーや動力用モータ等の重量物をシャーシの中心線上に配置できるため、シャーシの左右のバランスが良くなる。また、バッテリーをシャーシの中央部に縦置きすることにより、シャーシの横幅を狭くすることが可能となる結果、コーナリング時にはシャーシの底面が走行面に接触しにくくなり、さらに、オフロード走行時には非整地面の凸部にシャーシの底面が接触しにくくなり走行性が向上する。
【0026】
また、請求項2に係る発明によれば、バッテリー、動力用モータといった重量物を一列に配設したことにより、シャーシの左右のバランスもよくなり、非整地面での走行の際に重要な直進性が向上する。
【0027】
請求項3に係る発明によれば、四輪駆動の模型自動車において、動力用モータをシャーシの後端部に配設することにより、動力用モータのメンテナンス性が向上するだけでなく、走行中に発熱して高温になる動力用モータを、直接外気によって冷却することができるため、動力用モータの放熱性が向上する。
【0028】
請求項4に係る発明によれば、四輪駆動の模型自動車において、スリッパー機構を前記シャーシの後端部に配設することによって、スリッパー機構へアクセスがしやすくなりメンテナンス性が向上すると共に、スリッパ機構によるギヤの滑り量を十分に確保することが可能となる。
【0029】
請求項5に係る発明によれば、プロペラシャフトを傾斜することにより、当該プロペラシャフトをシャーシの底面に対して水平に配設する場合に比べて、ギヤの数を減らすことができる。
【0030】
請求項6に係る発明によれば、前記プロペラシャフトが前記バッテリーの上方に配設されるため、バッテリーの配置の自由度が向上し、左右のバランスを取ることが容易になる。
【0031】
請求項7に係る発明によれば、バッテリー及びステアリングサーボを一列に配設することにより、左右のバランスが向上する。
請求項8に係る発明によれば、動力用モータ及び前記前輪及び前記後輪の回転軸が平行なので、ジャンプに際して、これらの回転トルクが同じ方向となり、空中でシャーシが左右に傾くことを防止できる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、シャーシの底面の平坦部の大きさをバッテリーに合わせて最小限にすることができるため、コーナリング時やオフロード走行時に、シャーシの底面が走行面に接触する確率を低下させることができる。
【0033】
請求項10に係る発明によれば、動力用モータアンプ及び受信機はバッテリーよりも一般に小型のため、これらを突出部に配設することができ、シャーシの底面の平坦な部分を増やすことなく、動力用モータアンプ及び受信機をシャーシに収容しつつ、同時に非整地面にある障害物を乗り越えやすいシャーシを提供できる。
【0034】
請求項11に係る発明によれば、動力用モータアンプ及び受信機を左右のバランス良く配設できる。請求項12に係る発明によれば、動力用モータアンプ及び受信機をシャーシの後部側に配設することにより、シャーシの前部側の横幅を狭くすることが可能となる。
【0035】
請求項13に係る発明によれば、バッテリー保持リブによって、バッテリーを確実にシャーシに保持しつつ、同時にシャーシの剛性を向上できる。請求項14に係る発明によれば、バッテリー保持リブがバッテリーを取り囲むため、より剛直にバッテリーをシャーシに保持できる。
【0036】
請求項15に係る発明によれば、アッパーデッキによりシャーシの前後の歪みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の模型自動車を四輪駆動のオフロードタイプのRCカーに適用した実施の形態を説明する。以下、本発明の説明において、「前」という場合には、前輪が配置されるRCカーのフロント側を意味し、「後」という場合には、後輪が配置される模型車両のリヤ側を意味し、中央部という場合には、フロント側とリヤ側とに挟まれるシャーシの部分を意味するものとする。
【0038】
図1は、本発明のRCカー1の斜視図であり、上面に装着されるボディ(不図示)を取り外して、シャーシの構造を可視可能とした状態が示されている。シャーシ2の前部には、一対の前輪4が取り付けられ、シャーシの後部には一対の後輪6が取り付けられている。また、シャーシ2の前部には、それぞれ一対の前ダンパー8が配設され、シャーシ2の後部には、それぞれ一対の後ダンパー10が配設されている。前ダンパー8の一端は、シャーシ2の前部に設けられた前ダンパー支持部13に取り付けられ、その他端は前輪支持アーム5(図2)に取り付けられている。同様に、後ダンパー10の一端は、シャーシ2の後部に設けられた後ダンパー支持部11に取り付けられ、その他端は後輪支持アーム7(図2)に取り付けられている。
【0039】
シャーシ2の中央部には、バッテリー22を保持するためにバッテリー保持リブ2aが立設され、バッテリー保持リブ2aによってバッテリー22が取り囲まれて保持される。シャーシ2の上面側には、シャーシ2の前部側と後部側とを繋ぐように、長細いアッパーデッキ12が配設されている。シャーシ2の最後部には、動力用モータアンプ26により制御される動力用モータ14が配設されている。
【0040】
次に、図3及び図4を用いて、本発明のRCカー1の構造を詳細にする。図3及び図4は、シャーシ2への重量物や駆動機構の配設を説明するために、図1の状態から、前輪4、前輪支持アーム5、後輪6、後輪支持アーム7、前ダンパー8、前ダンパー支持部13、後ダンパー10、後ダンパー支持部11、アッパーデッキ12、前ギヤボックス、後ギヤボックス等を取り除いた状態である。
【0041】
シャーシ2の中央部には、長細いバッテリー22の長手方向の中心線が、シャーシ2の前後方向の中心線Aに対して平行になるように配置されている。図3に示すように、シャーシ2の上方からみて、バッテリー22の長手方向の中心線は、シャーシ2の前後方向の中心線Aに重なるように配設されている。なお、バッテリー22は、ニッカド、ニッケル水素等の蓄電池を用いており、側面に曲面部を有する長細い板状体である。
【0042】
さらに、バッテリー22の前方には、ステアリング9を制御するステアリングサーボ24が配設され、バッテリー22の側面には、動力用モータアンプ26、受信機28が、中心線Aに対して対称に配設されている。ステアリングサーボ24、動力用モータアンプ26、受信機28は、それぞれバッテリー22から給電されている。
【0043】
また、図5に示すように、受信機28は、送信機(プロポ)23から無線で送信された制御信号を受信して、動力用モータアンプ26及びステアリングサーボ24に送信する。動力用モータアンプ26は制御信号を増幅して、動力用モータ14の回転を制御し、ステアリングサーボ24は制御信号を増幅して、ステアリング9の操舵角度を制御する。
【0044】
ここで、図3及び図4に戻って後輪駆動機構を説明する。シャーシ2の最後部に配設された動力用モータ14のモータ回転軸14aにはピニオンギヤ14bが取り付けられている。ピニオンギヤ14bは、第1スパーギヤ30と歯合している。第1スパーギヤ30は、スリッパー機構32によってそのスラスト方向に移動可能に支持されている。第1スパーギヤ30はスリッパー機構32のバネによって所定の歯合位置に付勢されている。スリッパー機構32のネジを調整することにより、スリッパー機構32による第1スパーギヤ30の滑り量が調整可能となる。また、スリッパー機構32の回転軸32aには第2スパーギヤ34が取り付けられており、第1スパーギヤ30及び第2スパーギヤ34は一体となって回転する。
【0045】
第2スパーギヤ34は第3スパーギヤ35に歯合しており、第3スパーギヤ35は第4スパーギヤ(後輪デフギヤ)36に歯合しており、第4スパーギヤ36には後回転軸38が取り付けられている。第4スパーギヤ36の回転によって、左右の後回転軸38が差動回転する。後回転軸38の両端には、後内側ジョイントカップリング40が接続されている。さらに、左右の後内側ジョイントカップリング40には、それぞれ後輪駆動シャフト42の一端が接続され、後輪駆動シャフト42の他端には後外側ジョイントカップリング44aを介して後輪ホイルシャフト44が接続される。そして、後外側ホイルシャフト44には後輪6が取り付けられる。なお、動力用モータ14の回転数は、第1スパーギヤ30、第2スパーギヤ34、第3スパーギヤ35、第4スパーギヤ36から構成される減速機構によって適切な値に減速される。
【0046】
上記後輪駆動機構の動作を説明する。初めに、動力用モータアンプ24の制御により動力用モータ14が駆動してモータ回転軸14aが回転すると、ピニオンギヤ14bが回転する。そして、ピニオンギヤ14bの回転により第1スパーギヤ30が回転し、第1スパーギヤ30の回転により第2スパーギヤ34が回転し、第2スパーギヤ34の回転により、第3スパーギヤ35が回転する。また、第3スパーギヤ35の回転により第4スパーギヤ36が回転し、第4スパーギヤ36の回転により、左右の後輪回転軸38が差動回転される。後輪回転軸38の回転は、後内側ジョイントカップリング40を介して、後輪駆動シャフト42に伝えられ、後輪駆動シャフト42の回転は、後外側ジョイントカップリング44aを介して後ホイルシャフト44伝えられ後輪6が回転する。
【0047】
さらに、図3及び図4を参照して前輪駆動機構を説明する。第4スパーギヤ35には第1ベベルギヤ50が一体的に設けられている。第1ベベルギヤ50に対して約90度の角度をなして、第2ベベルギヤ52が配設され、第1ベベルギヤ50と第2ベベルギヤ52とが歯合している。第2ベベルギヤ52にはジョイントカップリング52aが取り付けられている。ジョイントカップリング52aには、プロペラシャフト54の後端が接続されている。プロペラシャフト54は、動力用モータ14の駆動力を前輪方向に伝達するためのものであり、後側から前側に向かって、シャーシ2の中央部のバッテリー22の上方を延長して配設される。
【0048】
プロペラシャフト54の前端は、ジョイントカップリング56aを介して、シャーシ2の前部に配設された第3ベベルギヤ56に接続されている。第3ベベルギヤ56に対して、約90度の角度をなして第4ベベルギヤ58(前輪デフギヤ)が配設され、第3ベベルギヤ56と第4ベベルギヤ58とは歯合している。
【0049】
第4ベベルギヤ58には左右の前輪回転軸60が差動可能に接続されており、前輪回転軸60には前内側ジョイントカップリング62が配設されている。前内側ジョイントカップリング62には、前輪駆動シャフト64の一端が接続されている。前輪駆動シャフト64の他端には、前外側ジョイントカップリング66aを介して前輪ホイルシャフト66が接続され、前外側ホイルシャフト66には前輪4が取り付けられる。
【0050】
なお、プロペラシャフト54は、シャーシ底面に対して、後方から前方に向かって下向きに傾斜している。これは、シャーシ底面に対する第2ベベルギヤ52の位置が、シャーシ底面に対する第4ベベルギヤ58の位置より高い位置にあり、第2ベベルギヤ52の回転を、第3ベベルギヤ56から第4ベベルギヤ58に直接伝達するために、プロペラシャフト54が傾斜配置される。これによって、シャーシに対して水平にプロペラシャフト54を配置した場合に、プロペラシャフト54の駆動力を下方に伝達するために必要となるスパーギヤを省略できる。また、図3に示すように、プロペラシャフト54はシャーシ2の上方から見た状態で、シャーシの長手方向の中心線Aに対して角度を成して配置されている。
【0051】
図2の底面図に示したように、シャーシ2の底部は、平坦で細長い長方形部分2cと、長方形部分2cの両側からシャーシの外側方向に張り出す突出部2bが形成されている。突出部2bは、図2に示すように、シャーシ2の前方から後方に向けてなだらかに膨らむように形成されている。また、突出部2bの底面は、シャーシ2の長方形部分2cにより構成される底部から斜め上方に突出するよう傾斜している。
【0052】
一般に、オフロードタイプのRCカー1では、走行時にジャンプをすることが多い。ジャンプした際に、空中ではタイヤ(前輪及び後輪)が地面に接していないため、タイヤの回転トルクを利用して、RCカーの空中での姿勢(前後の角度)が操作可能である。RCカー1の姿勢を操作する理由はジャンプ後の着地の時に安定して着地できるような姿勢にするためである。具体的には、RCカー1のジャンプ中に、アクセルを開けてタイヤの回転を加速すると、後輪側が下がって着地する。一方、空中でアクセルを閉じてタイヤの回転を減速すると、前輪が下がって着地する。
【0053】
しかし、タイヤの回転数の変化と同時に動力用モータの回転数も変化するため、動力用モータの回転トルクも、空中での姿勢に影響をおよぼす。従来のRCカー100では、図8及び図9に示したように、動力用モータ114の回転軸114aがタイヤの回転軸160、138に対して直角となるように配設されており、動力用モータ114の回転によってシャーシ102の左右方向に回転トルクが発生するため、ジャンプ中にアクセルを制御すると、姿勢が左右に回転するといった影響が発生していた。
【0054】
これに対し、本発明のRCカー1では、動力用モータ14の回転軸14aを、前後のタイヤ4、6の回転軸60、38と平行に配設したため、ジャンプ中にアクセルを制御しても、モータの回転トルクは、タイヤの回転トルクと同じ方向であって、前後方向に姿勢を変えるのみであるため、シャーシが左右に回転するといった問題は生じない。
【0055】
また、四輪駆動のRCカーでは、ギヤ欠けの防止やタイヤの滑り防止のために、スリッパー機構が装備されている。図8に示した従来のRCカーでは、スリッパー機構は第一スパーギヤ130に装備されて滑り量の調整が可能となっていた。しかし、従来のスリッパー機構は、シャーシ中央部の中心に配置されるプロペラシャフト154に組み込まれているため、その調整を行うことが難しかった。これに対して、本発明のRCカー1では、スリッパー機構32は、シャーシ2の後部で外側に向いて配置されているため、その調整を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明のRCカーを示す斜視図である。
【図2】図1のRCカーの底面図である。
【図3】本発明のRCカーの駆動機構及び重量物の配置を示す平面図である。
【図4】図3のRCカーの斜視図である。
【図5】本発明のRCカーの制御ブロック図である。
【図6】従来のRCカーの斜視図である
【図7】図6のRCカーの底面図である。
【図8】従来のRCカーの駆動機構及び重量物の配置を示す平面図である。
【図9】図8のRCカーの斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 RCカー
2 シャーシ
4 前輪
6 後輪
12 アッパーデッキ
14 動力用モータ
22 バッテリー
24 ステアリングサーボ
26 動力用モータアンプ
28 受信機
54 プロペラシャフト
A シャーシ及びバッテリーの長手方向の中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長細いバッテリーと、前記バッテリーから給電されると共に送信機から無線送信された制御信号を受信する受信機と、前記制御信号を増幅する動力用モータアンプと、前記動力用モータアンプで増幅された前記制御信号によって回転が制御される動力用モータと、これらの部品が配設されるシャーシと、前記シャーシの前部に配設され前記動力用モータによって駆動される一対の前輪と、前記シャーシの後部に配設され前記動力用モータによって駆動される一対の後輪とを備える模型自動車において、
前記バッテリーの長手方向の中心線が前記シャーシの長手方向の中心線上に位置するように、前記バッテリーを前記シャーシに配設することを特徴とする模型自動車。
【請求項2】
前記シャーシの長手方向の中心線に対して、前記バッテリー及び前記動力用モータが一列になるように、前記バッテリー及び前記動力用モータを前記シャーシに配設することを特徴とする請求項1に記載の模型自動車。
【請求項3】
前記動力用モータを前記シャーシの後端部に配設することを特徴とする請求項1又は2に記載の模型自動車。
【請求項4】
前記動力用モータの回転を伝達するギヤと、前記ギヤの滑り量を調整するスリッパー機構とを前記シャーシの後端部に配設することを特徴とする請求項3に記載の模型自動車。
【請求項5】
前記動力用モータの回転を前記前輪に伝達するプロペラシャフトを備え、
前記プロペラシャフトを、前記シャーシの底面に対して傾斜して配置することを特徴とする請求項3又は4に記載の模型自動車。
【請求項6】
前記プロペラシャフトを前記バッテリーの上方に配設することを特徴とする請求項5に記載の模型自動車。
【請求項7】
前記受信機が受信した前記制御信号により動作するステアリングサーボと、前記ステアリングサーボによって前記前輪を操舵するステアリングとを備え、
前記シャーシの長手方向の中心線に対して、前記バッテリー及び前記ステアリングサーボが一列となるように、前記バッテリー及び前記ステアリングサーボを前記シャーシに配設することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の模型自動車。
【請求項8】
前記動力用モータの回転軸を、前記前輪及び前記後輪の回転軸と平行に配設することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の模型自動車。
【請求項9】
前記シャーシは、前記バッテリーが配設される平坦な長方形部と、前記シャーシの側面で前記長方形部から斜め上方に突出する一対の突出部とを備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の模型自動車。
【請求項10】
前記動力用モータアンプ及び前記受信機を前記一対の突出部にそれぞれ配設することを特徴とする請求項9に記載の模型自動車。
【請求項11】
前記動力用モータアンプ及び前記受信機を、前記シャーシの長手方向の中心線に対して対称となるように配設することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の模型自動車。
【請求項12】
前記動力用モータアンプ及び前記受信機を、前記シャーシの後部側に配設することを特徴とする請求項11に記載の模型自動車。
【請求項13】
前記シャーシに前記バッテリーを保持するバッテリー保持リブを立設することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の模型自動車。
【請求項14】
前記バッテリー保持リブを、前記バッテリーの周囲を取り囲むように形成することを特徴とする請求項13に記載の模型自動車。
【請求項15】
前記バッテリーの上方で、前記シャーシの前後を接続するアッパーデッキを備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の模型自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−29139(P2007−29139A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212439(P2005−212439)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(392010108)株式会社タミヤ (5)
【Fターム(参考)】