説明

模様紙用凝集体、それを用いた模様紙及びそれらの製造方法

【課題】本発明の目的は、安定した形状を有し、特に凝集体の形成時、移送時、抄紙時のシェアに対する強度があり、破壊されにくく、印刷適性を有し、製品の風合いにも優れる模様紙を形成することができる模様紙用凝集体の製造方法及び凝集体を用いた模様紙の製造方法並びにこれらの製造方法によって得られた凝集体及び模様紙を提供することである。
【解決手段】本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団のなかから選択された1種類以上の物質を混合する工程と、前記工程で得られた混合物に金属塩水溶液を添加し、撹拌によって凝集体を形成する工程と、次いで、該凝集体を含む液にアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観及び風合いに優れた模様紙を製造する方法に関するものであり、天然パルプ繊維が主成分のパルプ原料に凝集体を混在させ、紙の表面に有用な模様を形成する模様紙及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、模様紙の製造方法としては、染色による方法、種々の型付けによる方法、特殊な形状物又は着色物を折り込む方法、特殊な抄紙技術を応用した方法など多くの方法が知られている。また、種々の染色セルロースをさらしパルプに配合して製造した模様紙、凝集物を抄紙原料に配合して模様を表現した模様紙なども知られており、便箋、封筒、箱貼りなどの用途に供されている。近年、オフセット印刷、インクジェット印刷、PPC印刷などの印刷適性を付与した形態も提案され、用途拡大が図られている。
【0003】
凝集物を抄紙原料に添加して抄造する方法で得られる模様紙は、凝集物を抄紙原料に配合する模様紙の製造方法として、ナトリウムカルボキシメチルセルロースと繊維等の混合液に金属塩水溶液を添加し凝集物を作成し、これを抄紙原料に添加して抄造する方法(例えば、特許文献1を参照。)、カゼイン又は大豆タンパクにカチオン性電解質又は酸を添加し凝集物を作成し、これを抄紙原料に添加して抄造する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−180591号公報
【特許文献2】特開平6−166998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は2に記載された技術をはじめとする凝集物混在の模様紙の製造方法は、凝集物を形成する工程と、凝集物の移送する工程と、凝集物を抄紙原料と混合して抄紙する工程と、を有する。凝集物の形成工程では、形成された凝集物が独立した個々の粒状乃至膜状であること、所定の大きさを有すること、並びに形成時及び形成後の撹拌シェア(せん断)に耐える強度があることが要求される。凝集物の移送工程では、移送シェアに耐える強度があることが要求される。抄紙工程では凝集物が抄紙原料に均一に分散し、紙層表面に定着することが要求される。
【0006】
凝集物は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースに金属塩を添加することで形成し、最適な形状となるように薬品の添加、撹拌のシェアを操作することによって完成する。しかし、実際の操作では、金属塩で凝集させた凝集物は脆いため最適な形状、模様を形成するには、かなりの経験とノウハウの習熟を必要としていた。
【0007】
さらに、形成した凝集物は移送時のポンプによるシェアや抄紙原料との混合、抄紙時のシェアで特に破壊され易く、所望する大きさの凝集物を維持することができないという問題があった。そこで、形成した凝集物を破壊させないように、自然流下方式でパルプ層のワイヤー上に凝集体のスラリーを移送し、積層する方法がある。この場合、スラリーの濃度も低く自然流下のため、凝集物の強度はそれ程強くなくても良いという長所はあるが、凝集物のパルプ層への定着が弱いという短所がある。その結果、抄紙時及び製品加工時の凝集体剥がれや印刷時のピッキング等のトラブルが発生し易くなる。
【0008】
本発明の目的は、安定した形状を有し、特に凝集体の形成時、移送時、抄紙時のシェアに対する強度があり、破壊されにくく、印刷適性を有し、製品の風合いにも優れる模様紙を形成することができる模様紙用凝集体の製造方法及び凝集体を用いた模様紙の製造方法並びにこれらの製造方法によって得られた凝集体及び模様紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
凝集体の形状と強度を決定する要因としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの分子量、凝集作用のある金属塩及び液状高分子凝集剤の添加順序、配合する繊維の形状、分散濃度、撹拌子の形状、回転数、時間などの各要因が挙げられるが、本発明者らは、鋭意検討した結果、前記の各要因のうち、凝集体が独立した個々の粒状乃至膜状安定的な形状を有し、かつ、機械的シェアに耐え得る強度を保持するために、最も重要な要因は凝集剤の組成及び添加順であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団のなかから選択された1種類以上の物質を混合する工程と、前記工程で得られた混合物に金属塩水溶液を添加し、撹拌によって凝集体を形成する工程と、次いで、該凝集体を含む液にアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に染料を更に添加することが好ましい。各種の色調の凝集体とすることができ、結果として、模様紙に各種の色調の模様を形成することができる。
【0011】
本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤が、アニオン性ポリアクリルアミドであることが好ましい。シェアに対する強度が高い凝集体を形成することができる。
【0012】
本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤が、アニオン性ポリアクリルアミド及びカチオン性ポリアクリルアミドであり、アニオン性ポリアクリルアミドを添加した後、カチオン性ポリアクリルアミドを添加することが好ましい。この順に添加することで、より強固な凝集体を形成することができる。
【0013】
本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースの平均分子量が45,000〜300,000であることが好ましい。この範囲にすることで、得られる凝集体のシェアに対する強度と大きさを、模様紙用凝集体として適したものにすることができる。
【0014】
本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記セルロース繊維又は前記化学繊維の繊維長が140〜750μmであることが好ましい。添加する繊維の長さは、得られる凝集体の大きさ及び形状に大きく影響する。前記範囲にすることで、模様紙として適した凝集体の大きさ及び形状を形成することができる。
【0015】
本発明に係る模様紙の製造方法は、本発明に係る模様紙用凝集体の製造方法よって製造された凝集体を、抄紙原料に添加して紙料を調製する工程と、該紙料を抄造する工程と、を有することを特徴とする。模様紙の表面から凝集体の脱落や印刷時にピッキングが生じない程度に定着させた模様紙とすることができる。
【0016】
本発明に係るインクジェット模様紙の製造方法は、本発明に係る模様紙の製造方法によって製造された模様紙の少なくとも一方の面に非晶質合成シリカと、水溶性高分子とを含有するインクジェットインク受容層を設ける工程を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る模様紙用凝集体、模様紙又はインクジェット模様紙は、本発明に係る模様紙用凝集体、模様紙又はインクジェット模様紙の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る模様紙用凝集体は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、そのナトリウムイオンと、他の金属イオンとの置換によって凝集してなり、かつ、顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団の中から選択された1種類以上の物質を含有する粒子状の凝集体を凝集体Aとし、該凝集体A同士が、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子によって付着しあってより大きな凝集体Bを形成してなることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る模様紙用凝集体は、前記凝集体A及び前記凝集体Bの両方又はいずれか一方の表面に、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子が付着していることが好ましい。液状高分子が、凝集体の表面に付着することによって、シェアに対する強度を更に向上させることができる。
【0020】
本発明に係る模様紙は、本発明に係る模様紙用凝集体が抄紙原料に含有されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明に係るインクジェット模様紙は、本発明に係る模様紙を原紙として用い、その少なくとも一方の面に非晶質合成シリカと、水溶性高分子とを含有するインクジェットインク受容層を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、安定した形状を有し、特に凝集体の形成時、移送時、抄紙時のシェアに対する強度があり、破壊されにくく、印刷適性を有し、製品の風合いにも優れる模様紙を形成することができる模様紙用凝集体の製造方法及び凝集体を用いた模様紙の製造方法並びにこれらの製造方法によって得られた凝集体及び模様紙を提供することができる。さらに、凝集体を抄紙原料に均一配合して抄紙を行うことから、模様紙からの凝集物の脱落、ピッキングなどのトラブルを解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0024】
本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団のなかから選択された1種類以上の物質を混合する工程(工程1)と、前記工程で得られた混合物に金属塩水溶液を添加し、撹拌によって凝集体を形成する工程(工程2)と、次いで、該凝集体を含む液にアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加する工程(工程3)と、を有する。
【0025】
工程1では、ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液と、選択された1種類以上の物質とをよく撹拌して混合することが好ましい。工程2では、工程1で得られた混合物に、金属塩水溶液を添加した後、撹拌することで凝集体を形成してもよいが、混合物を撹拌しながら、金属塩水溶液を添加して凝集体を形成した方が、均一な凝集体を得ることができる点で、より好ましい。工程3においても、工程2で形成した凝集体を含む液(凝集体スラリー)に、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加した後、撹拌してもよいが、凝集体スラリーを撹拌しながら、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加するほうが、均一な凝集体を得ることができる点で、より好ましい。
【0026】
本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤が、アニオン性ポリアクリルアミドであることが好ましい。シェアに対する強度がより高い凝集体を形成することができる。
【0027】
さらに強固な凝集体を形成するためには、前記アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤が、アニオン性ポリアクリルアミド及びカチオン性ポリアクリルアミドであり、アニオン性ポリアクリルアミドを添加した後、カチオン性ポリアクリルアミドを添加することが好ましい。
【0028】
凝集体の形状と強度を決定する要因としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの分子量、凝集作用のある金属塩及び液状高分子凝集剤の添加順序、配合する繊維の形状、分散濃度、撹拌子の形状、回転数、時間などの各要因が挙げられる。発明者らは、鋭意検討した結果、前記要因の中で、凝集体が独立した個々の粒状乃至膜状安定的な形状を有し、かつ、機械的シェアに耐え得る強度を保持するためには、凝集体の組成と添加順、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの分子量、繊維の形状であることを見出した。最も重要な要因は凝集剤の組成及び添加順である。
【0029】
ナトリウムカルボキシメチルセルロースに金属塩水溶液を添加すると、ナトリウムイオンと金属イオンとが置換してカチオン性を有した個々の凝集体Aとなる。その凝集体に、アニオン性ポリアクリルアミドを添加することで、荷電中和と吸着架橋の作用によって、凝集体A同士が凝集し、よりシェアに対する強度の高い凝集体Bとなる。その後、カチオン性ポリアクリルアミドを添加することによって、更にイオン結合によって、更に強固な一粒ずつが独立した凝集体B´を形成することができる。このとき、凝集体Aのスラリーは、静置すると沈殿するものの、撹拌時には白濁しているように見える。凝集体Aにアニオン性ポリアクリルアミドを添加すると、凝集体Bのスラリーは、撹拌時にも透明性がある状態となる。以上の状態から、個々の凝集体Aは比較的粒子径が小さく、凝集体Bは凝集体Aよりも粒子径が大きくなっていると推測される。
【0030】
本実施形態に係る模様紙用凝集体は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、そのナトリウムイオンと、他の金属イオンとの置換によって凝集してなり、かつ、顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団の中から選択された1種類以上の物質を含有する粒子状の凝集体を凝集体Aとし、該凝集体A同士が、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子によって付着しあってより大きな凝集体Bを形成している。
【0031】
また、本実施形態に係る模様紙用凝集体では、前記凝集体A及び前記凝集体Bの両方又はいずれか一方の表面に、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子が付着している形態を含む。例えば、凝集体Aの表面に液状高分子が付着している形態、凝集体A同士が液状高分子によって付着しあって形成された凝集体Bの表面に、液状高分子が付着している形態、表面に液状高分子が付着した凝集体A同士が、凝集体Bを形成し、その凝集体Bの表面に液状高分子が付着した形態である。このように、凝集体の表面に液状高分子が付着することによって、更にシェアに対する強度を向上させることができる。
【0032】
本実施形態に係る模様紙用凝集体は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースに金属塩を添加することにより、ナトリウムイオンと、金属イオンとが置換し、凝集、不溶化するものである。このため、ナトリウムカルボキシメチルセルロースに、金属塩水溶液を添加せずに、最初にアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加した場合、液全体がゲル状に凝集して増粘してしまうため、粒子状の凝集体を得ることができない。また、金属塩水溶液だけを添加し、その後にアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加しなかった場合、粒子状の凝集体を得ることはできるものの、非常に脆いものであり、撹拌、移送、抄紙の工程で生じるシェアによって破壊されてしまう。
【0033】
添加するアニオン性及びカチオン性アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤の分子量は、本実施形態では、特に限定されるものではないが、いずれも30万〜1500万のものが、凝集体のシェアに対する強度向上及び凝集体作製時の粘度の面から見て望ましく、好ましくは分子量100万〜1300万、より好ましくは300万〜1200万である。
【0034】
ナトリウムカルボキシメチルセルロースは、本実施形態では、平均分子量に制限されないが、工程でのシェアに対する強度及び模様紙として適した大きさを得るためには、一定の平均分子量を有するナトリウムカルボキシメチルセルロースを用いることが有効である。すなわち、本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法では、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの平均分子量が45,000〜300,000であることが好ましい。より好ましくは50,000〜290,000、特に好ましくは60,000〜280,000である。ナトリウムカルボキシメチルセルロースの平均分子量は、凝集体の強度と形状に大きく影響する。平均分子量が45,000未満である場合には、強度が弱く、撹拌や移送のシェアによって破壊され易い。また、凝集体の粒子も微小なものができやすく、模様紙用凝集体に適さない場合がある。一方、分子量が300,000を超える場合は、凝集体の強度としては問題ないが、ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液の粘度が非常に高くなり、更には、金属塩水溶液を添加したとき、凝集体の形状が非常に大きなものとなり、模様紙用凝集体に適さなくなる場合もある。また、粘度上昇に伴い、撹拌を強くする必要があることから、撹拌子の周囲では小さい凝集剤が形成され、撹拌子から遠い部分は大きな凝集体が形成され、形状が不均一なものとなってしまう。
【0035】
セルロース繊維又は化学繊維は、つなぎとしての役割を有しており、添加することで、大きな凝集体を得ることができる。本実施形態では、添加する繊維の形態に特に限定されないが、繊維の長さは、得られる凝集体の大きさ及び形状に影響する。例えば、繊維長が短いときは、凝集体は小さく、粒子状のものが得られ、繊維長が長いときは、凝集体は大きくて長いものが得られる。そこで、本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記セルロース繊維又は前記化学繊維の繊維長が140〜3000μmであることが好ましく、より好ましくは、160〜750μm、特に好ましくは、180〜300μmである。一般に、針葉樹さらしクラフトパルプ(N−BKP)の繊維長の上限は、3000μm程度であり、広葉樹さらしクラフトパルプ(L−BKP)の繊維長の上限は、750μm程度である。前記範囲にすることで、模様紙としてより適した凝集体の大きさ、形状を形成することができる。さらには、ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に金属塩水溶液を添加して、凝集させたときに、セルロース繊維及び化学繊維が、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの不溶化物の中に取り込まれるため、強い強度の凝集体を形成することができる。特に、140〜300μmの短い繊維長を有するセルロース繊維又は化学繊維を添加することによって、特にシェアに強い凝集体を形成することができる。一方、3000μmを超えるような、大きく長い繊維長の繊維を用いた場合には、繊維同士をナトリウムカルボキシメチルセルロースが繋ぎ止める形の凝集体になり、各工程でのシェアによって破壊され易いものとなると推測する。
【0036】
セルロース繊維は、例えば、N−BKP、L−BKPなどの木材パルプ、粉末セルロース、酢酸セルロース、再生セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、硝酸セルロースである。化学繊維は、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンである。本実施形態では、セルロース繊維及び化学繊維の種類に限定されるものではないが、化学繊維を用いる場合には、水溶性であるナトリウムカルボキシメチルセルロースと結合し易いように水酸基を付加したものの方が、より凝集体の強度を得ることができるため好ましい。
【0037】
本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法では、顔料を添加することで、有彩色や高不透明度など種々の特性をもった凝集体を形成することができる。顔料としては、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、酸化チタン、合成シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムなどの不透明度を上げるための無機顔料又はプラスチックピグメントなどの有機顔料が挙げられる。本実施形態では、顔料の種類に限定されない。
【0038】
本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法では、前記ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に染料を添加することが好ましい。各種の色調の凝集体とすることができ、結果として、模様紙に各種の色調の模様を形成することができる。染料は、例えば、ポリアゾ系染料、チアゾールモノアゾ系染料、フタロシアニン系、ジオキサジン系などの有機顔料スルホン化系染料、塩基性基含有系染料(塩基性直接染料)が挙げられる。本実施形態では、染料の種類に限定されない。
【0039】
金属塩水溶液の金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸亜鉛、酢酸鉛、塩化バリウムが挙げられる。本実施形態では、金属塩の種類に限定されないが、アルミニウム塩が、凝集する能力の面から好ましく、特に硫酸アルミニウムが凝集力、価格の面からも好ましい。金属塩の配合量としては、固形分換算で、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100質量部に対して、50〜300質量部、好ましくは65〜250質量部、より好ましく80〜200質量部である。金属塩の配合量が、50質量部未満では、凝集力が不足し、微小な凝集は生じるが、粒状の凝集体を形成しない場合がある。また300質量部を超えると、抄紙原料と配合した際に抄紙原料全体とフロックを形成し、地合が悪化する場合がある。
【0040】
凝集体の形成は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースが金属塩とアクリル酸共重合体タイプの高分子凝集剤によって不溶化凝集し、このときに繊維や顔料等を取り込むことで行われる。その結果、配合比が少な過ぎる場合は凝集体の強度が不足する場合がある。そこで、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの配合量は、凝集体全体の乾燥質量100.0質量部に対して、7.5〜40.0質量部であることが好ましく、より好ましくは10.0〜35.0質量部、更に好ましくは12.5〜30.0質量部である。ナトリウムカルボキシメチルセルロースの配合比が、凝集体全体の乾燥質量100.0質量部に対して、40.0質量部を超えると、凝集体を抄紙原料と配合し、抄造工程で抄紙、乾燥したときに、凝集体部分の乾燥収縮が大きくなり、凹凸のある面になる場合がある。7.5質量部未満では、凝集体の強度が弱くなる場合がある。
【0041】
ナトリウムカルボキシメチルセルロースに混合するセルロース繊維又は化学繊維の配合量としては、固形分換算で、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100質量部に対して30〜350質量部、好ましくは50〜325質量部、より好ましくは75〜300質量部であることが好ましい。30質量部未満では、セルロース繊維又は化学繊維を配合した効果が弱く、350質量部を超えると、凝集体の形状は大きくなるが、多過ぎる場合にはシェアに対する強度が弱くなる場合がある。
【0042】
凝集体に配合する着色染料、着色顔料の配合量としては、所望する色調に併せて添加することができる。高不透明度凝集体を得るために白色顔料を添加する場合は、固形分換算で、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100質量部に対して10〜300質量部、好ましくは25〜200質量部、より好ましくは40〜125質量部である。
【0043】
凝集体に配合するアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤の配合量としては、アニオン性ポリアクリルアミドでは、固形分換算で、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100質量部に対して1〜15質量部、より好ましくは1.5〜12.5質量部、特に好ましくは2〜10質量部である。1質量部未満では、凝集体のシェアに対する強度向上が不十分となる場合があり、15質量部を超えると、凝集体スラリーの粘度上昇が起こり、更には、形成された凝集体の粒同士が、更なる凝集を起こして房状になり、模様紙用凝集剤に適さない形状となる場合がある。
【0044】
他方、カチオン性ポリアクリルアミドでは、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100質量部に対して0.1〜7.5質量部、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。カチオン性ポリアクリルアミドは、少量であっても添加に比した効果を得ることができるが、ナトリウムカルボキシメチルセルロース100質量部に対して、0.1質量部未満では、添加の効果が得られない場合があり、5質量部を超えると、凝集体を抄紙原料に配合するときに、過剰となったカチオン性ポリアクリルアミドが、抄紙原料とフロックを形成し、地合が不均一なものとなってしまう。地合が不均一な模様紙では、平滑性や透気性などの諸物性に部分的なムラが生じるため印刷などの後加工で問題を生ずるおそれがある。また、アニオン性ポリアクリルアミドと、カチオン性ポリアクリルアミドとの配合質量比は、固形分換算で100:2〜100:350であることが好ましい。より好ましくは、100:10〜100:150である。
【0045】
本実施形態に係る模様紙の製造方法は、本実施形態に係る模様紙用凝集体の製造方法よって製造された凝集体を、抄紙原料に添加して紙料を調製する工程と、該紙料を抄造する工程と、を有する。
【0046】
抄紙原料は、木材パルプが最も好適に用いられるが、その他の天然パルプ、古紙パルプ又は合成パルプを必要に応じて適宜用いてもよい。天然パルプは、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理、アルカリ抽出若しくはアルカリ処理、必要に応じた過酸化水素、オゾン漂白などの酸化漂白処理又はその組み合わせ処理を施した広葉樹パルプ若しくは針葉樹パルプ若しくはそれらの混合パルプが好ましい。また、ソーダパルプ、機械パルプも用いることができる。古紙パルプは、その原料、脱墨方法、漂白方法を問わないが、原紙の物理的強度を損なわない程度の配合量としなければならない。また、合成パルプも各種のものを使用することができる。
【0047】
前記のパルプは、ディスク型、コニカル型などの各種の叩解機によって適切なフリーネスとなるように必要に応じて叩解する。フリーネスは、原紙の物理的強度を決定する重要な要因であるので叩解が進むほどに物理的強度が増すが、透気性、不透明度、嵩の低下などをもたらすため、350mlC.S.F.(カナダ標準ろ水度)以上700mlC.S.F.以下にするのが一般的であるが、本実施形態では特に限定されない。
【0048】
前記原紙の紙料中には、前記のパルプ以外に、紙力剤、填料、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料などの各種抄紙用薬品を適宜用いる。紙力剤は、例えば、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリアクリルアマイドである。填料は、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カルシウム・マグネシウム炭酸塩、カオリン、焼成クレー、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、タルクなどの天然珪酸塩、合成珪酸アルミニウム、合成珪酸カルシウムなどの合成珪酸塩、珪藻土、合成シリカなどの珪酸、水酸化アルミニウム、擬ベーマイトなどのアルミニウム水和物又は硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛である。歩留まり向上剤は、例えば、コロイダルシリカ、ポリアクリルアマイド、ポリエチレンイミンである。サイズ剤は、例えば、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、中性ロジン、強化ロジン、鹸化ロジンであり、抄紙のpH等に応じて適宜選択される。染料、蛍光染料は、例えば、直接染料、塩基性染料、酸性染料であり、紙の色相を調整するために添加する。また、嵩高剤を含有させることも可能だが、表面強さの低下が問題とならない程度にとどめなければならない。本実施形態は、各紙料の調製方法、配合、各抄紙薬品の添加方法に制限されるものではない。
【0049】
抄紙原料には、凝集体と、抄紙原料とを混合する前に、凝集体と異なる着色剤を添加して、原紙の色味付けを行うことによって、より効果的に凝集体の模様パターンを際立たせることができる。また、凝集体と抄紙原料とを、異なった色味付けを行ったり、同様の色味であっても色濃度を変えたりすることによって模様紙のパターンを際立たせることができる。
【0050】
凝集体の添加量は、抄紙原料の乾燥質量100質量部に対して、固形分換算で、0.001〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.005〜2質量部、特に好ましくは、0.01〜0.5質量部である。本実施形態では、凝集体の添加量に、特に限定されない。また、本実施形態では、抄紙原料と、凝集体とが、全体として均一に混合していればよく、その混合方法に制限されるものではない。
【0051】
得られた模様紙は、耐水性、表面強さなどの表面特性を向上させることを目的として、表面サイズ液を塗布した処理面としてもよい。表面サイズ液としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド樹脂などが使用される。なお、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、その他樹脂ポリマーなど表面サイズ剤も使用できる。この表面サイズ液を両面に乾燥質量で片面あたり0.2〜5g/m、好ましくは0.5〜3g/mの範囲で塗布する。表面サイズ液の塗布方法は、抄紙ワイヤー上で形成したウェブに、サイズプレス、ゲートロールなどに代表される、紙を挟む2ロール間のニップで薬品を塗布する装置によって、基紙上に表面サイズ液を塗布する。本実施形態では、表面サイズ液を塗付する方法及び表面サイズ液の種類並びに塗布量は問わない。
【0052】
また、表面の平滑性を制御する目的で、必要に応じてキャレンダー処理を行ってもよい。キャレンダーは、スーパーキャレンダー、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダーなどが挙げられるが、本実施形態においては特に限定されない。
【0053】
本実施形態で得られた模様紙を原紙として、少なくとも一方の面にインクジェットインク受容層を設けることによって、風合いに優れたインクジェット模様紙を得ることができる。本実施形態に係るインクジェット模様紙の製造方法は、本発明に係る模様紙の製造方法によって製造された模様紙の少なくとも一方の面に非晶質合成シリカと、水溶性高分子とを含有するインクジェットインク受容層を設ける工程を有する。インクジェットインク受容層に、非晶質合成シリカ、水溶性高分子を含有させることでインクジェットプリンターの印字適性、インク吸収性、印字濃度を効果的に得ることができる。インク受容層の塗工量としては乾燥後の質量で3〜15g/m、好ましくは5〜13g/m、より好ましくは7〜11g/mが好ましい。3g/未満では、効果的なインクジェットプリンター印字適性を得ることができない場合があり、15g/mを超えると、塗工層が厚過ぎ、原紙として用いた模様紙の風合いを生かすことができない場合がある。また、インク受容層用塗工液には、発明の効果を損なわない範囲で、各種無機顔料、接着剤、添加剤を配合してもよい。
【0054】
インク受容層の塗工は、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ダイコーター等の一般的なコーターによって塗工することができる。本実施形態では、これに限定されるものではない。
【0055】
塗工後の乾燥方式としては熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥などが挙げられるが、本発明においては特に限定されない。
【0056】
前記インク受容層を設けたインクジェット模様紙の平滑性を制御する目的で、必要に応じてキャレンダー処理を行ってもよい。キャレンダーは、スーパーキャレンダー、マシンキャレンダー、ソフトキャレンダーなどが挙げられるが、この方式は特に限定されない。また、エンボス加工、穴あけ加工、裏面のタック加工など、各種の製品外観に応じた後加工処理を行ってもよい。
【0057】
インク受容層の最表層をキャストコート法による光沢層としてもよい。キャストコート法は、ウェット法、凝固法、リウェット法などの公知の方法を選択できる。さらに、光沢層の表面に、キャレンダー処理を施してもよい。キャレンダー処理は、スーパーカレンダー、ラスタープレス、高温ソフトニップカレンダーなどの公知の工程により加工することができる。
【実施例】
【0058】
本発明を次の実施例、比較例によって説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例又は比較例において示す「部」及び「%」は、特に明記しない限り質量部及び質量%を示す。
【0059】
(実施例1)
「凝集体Aの調製」
2リットルビーカーにて水250g、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A 分子量105,000:第一工業製薬社製)0.50%濃度450gと、2%濃度のカナダ標準ろ水度(JIS P 8121:1995)550mlCSFの木材パルプスラリー(Euca AA:アドバンスアグロ社製)150gとを均一に撹拌し、混合液を得た。その後、撹拌しながら10%濃度硫酸バンド(テクノ北越社製)30gを添加して凝集させ、次いで0.1%濃度アニオン性ポリアクリルアミド(ハイモロックSS−100:ハイモ社製)80gを添加して更に凝集させてスラリー状の凝集体Aを得た。全体量が1000gになるように水を用いて調製した。用いた木材パルプの平均繊維長を繊維長測定器(Fiber Lab Analyzer P423037:KAJAANI社製)で測定したところ長さ平均繊維長(Ll)で580μmであった。
【0060】
「模様紙の作製」
1.2%濃度のカナダ標準ろ水度500mlCSFの広葉樹さらしクラフトパルプ(L−BKP)のパルプスラリー500gに、カチオン澱粉1.0部、タルク5.0部、酸性ロジンサイズ剤0.4部、液体硫酸バンド(テクノ北越社製)1部、赤染料(KFレッドBリキッド:日本化薬社製)0.004部を添加して調製した紙料に、スラリー状の凝集体Aを15g配合し、手漉き、乾燥を行い、坪量120g/mの凝集体A入りの手漉き模様紙を得た。ただし、カチオン澱粉、タルク、酸性ロジンサイズ剤、液体硫酸バンド及び赤染料は、絶乾パルプ100部に対しての添加量であり、スラリー状の凝集体Aは、パルプスラリー500gに対しての添加量である。
【0061】
「サイズプレス塗布」
前記手漉き模様紙上に酸化澱粉(王子エースA:王子コーンスターチ社製)6%をラボサイズプレス(熊谷理機工業社製)によって乾燥塗布量が片面当たり1.5g/mとなるように塗布し、オーブン乾燥機(PH−200:タバイエスペック写生)で乾燥し、模様紙を作製した。
【0062】
(実施例2)
「凝集体Bの調製」
2リットルビーカーにて水250g、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A:第一工業製薬社製)0.50%濃度450gと、酸化チタン(A−110 堺化学工業社製)2gと、2%濃度のカナダ標準ろ水度550mlCSFの木材パルプスラリー(Euca AA:アドバンスアグロ社製)150gとを均一に撹拌し、混合液を得た。その後、撹拌しながら10%濃度硫酸バンド(テクノ北越社製)30gを添加して凝集させ、次いで0.1%濃度アニオン性ポリアクリルアミド(ハイモロックSS−100:ハイモ社製)80gを添加して更に凝集させて凝集体Bを得た。全体量が1000gになるように水を用いて調整した。凝集体Aを凝集体Bに変更した以外は、実施例1と同様に模様紙を作製した。
【0063】
(実施例3)
「凝集体Cの調製」
アニオン性ポリアクリルアミドの添加後に、0.2%濃度カチオン性ポリアクリルアミド(RD−7122:星光PMC社製)10gを添加した以外は実施例2と同様にして凝集体Cを得た。凝集体Aを凝集体Cに変更した以外は、実施例1と同様に模様紙を作製した。
【0064】
(実施例4)
「凝集体Dの調製」
木材パルプスラリー(Euca AA:アドバンスアグロ社製)150gを、粉体セルロース繊維(KCフロックW−50S:日本製紙ケミカル社製)5gに変更した以外は、実施例3と同様にして凝集体Dを得た。用いた粉体セルロース繊維の平均繊維長を繊維長測定器(Fiber Lab Analyzer P423037:KAJAANI社製)で測定したところ長さ平均繊維長(Ll)で240μmであった。凝集体Aを凝集体Dに変更した以外は、実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0065】
(実施例5)
「凝集体Eの調製」
木材パルプスラリー(Euca AA:アドバンスアグロ社製)150gを合成ポリオレフィンパルプ繊維(SWP E−400:三井化学社製)5gに変更した以外は実施例3と同様にして凝集体Dを得た。用いた合成ポリオレフィンパルプ繊維の平均繊維長を繊維長測定器(Fiber Lab Analyzer P423037:KAJAANI社製)で測定したところ長さ平均繊維長(Ll)で610μmであった。凝集体Aを凝集体Eに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0066】
(実施例6)
「凝集体Fの調製」
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A 分子量105,000:第一工業製薬社製)を、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンPR 分子量50,000:第一工業製薬社製)に変更した以外は、実施例4と同様にして凝集体Fを得た。凝集体Aを凝集体Fに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0067】
(実施例7)
「凝集体Gの調製」
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A 分子量105,000:第一工業製薬社製)を、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲン3H 分子量220,000:第一工業製薬社製)に変更した以外は、実施例4と同様にして凝集体Gを得た。凝集体Aを凝集体Gに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0068】
(実施例8)
「凝集体Hの調製」
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A 分子量105,000:第一工業製薬社製)をナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンF−815C 分子量260,000:第一工業製薬社製)に変更した以外は、実施例4と同様にして凝集体Hを得た。凝集体Aを凝集体Hに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0069】
(実施例9)
「凝集体Iの調製」
粉体セルロース繊維(KCフロックW−50S:日本製紙ケミカル社製)を、粉体セルロース繊維(KCフロックW−400G:日本製紙ケミカル社製)に変更した以外は、実施例7と同様にして凝集体Iを得た。平均繊維長を繊維長測定器(Fiber Lab Analyzer P423037:KAJAANI社製)で測定したところ長さ平均繊維長(Ll)で150μmであった。凝集体Aを凝集体Iに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0070】
(実施例10)
「凝集体Jの調製」
粉体セルロース繊維(KCフロックW−50S:日本製紙ケミカル社製)5gを1.5gに変更した以外は実施例7と同様にして凝集体Jを得た。凝集体Aを凝集体Jに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0071】
(実施例11)
「凝集体Kの調製」
粉体セルロース繊維(KCフロックW−50S:日本製紙ケミカル社製)5gを7.5gに変更した以外は実施例7と同様にして凝集体Kを得た。凝集体Aを凝集体Kに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0072】
(実施例12)
「凝集体Lの調製」
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲン3H 分子量220,000:第一工業製薬社製)450gを300gに変更した以外は実施例7と同様にして凝集体Lを得た。凝集体Aを凝集体Lに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0073】
(実施例13)
「凝集体Mの調製」
ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲン3H 分子量220,000:第一工業製薬社製)450gを700gに変更した以外は実施例7と同様にして凝集体Mを得た。凝集体Aを凝集体Mに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0074】
(実施例14)
「凝集体Nの調製」
酸化チタン(A−110:堺化学工業製)2gを0.1%濃度赤味顔料(TB−1000Red FGN:大日精化工業社製)15gに変更した以外は実施例7と同様にして凝集体Nを得た。
【0075】
「模様紙の作製」
赤染料(KFレッドBリキッド:日本化薬社製)を添加しなかった以外は、実施例1と同様に坪量120g/mの凝集体N入り手漉き模様紙を得た。前記模様紙を使用して実施例1と同様にラボサイズプレス塗布を行い、乾燥して模様紙を作製した。
【0076】
(実施例15)
「凝集体Oの調製」
木材パルプスラリー(Euca AA:アドバンスアグロ社製)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして凝集体Oを得た。凝集体Aを凝集体Oに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0077】
(実施例16)
「凝集体Aの調製」
赤染料(KFレッドBリキッド:日本化薬社製)を凝集体の絶乾質量100部に対して、0.015部を添加した以外は、実施例1と同様にして凝集体Aを得た。凝集体Aを凝集体Aに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0078】
(比較例1)
「凝集体Pの調製」
アニオン性ポリアクリルアミド(ハイモロックSS−100:ハイモ社製)を用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして凝集体Pを得た。凝集体Aを凝集体Pに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0079】
(比較例2)
「凝集体Qの調製」
アニオン性ポリアクリルアミド(ハイモロックSS−100:ハイモ社製)と、カチオン性ポリアクリルアミド(RD−7122:星光PMC社製)とを用いなかったこと以外には実施例7と同様にして凝集体Qを得た。凝集体Aを凝集体Qに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0080】
(比較例3)
「凝集体Rの調製」
硫酸バンド、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミドの添加順を、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、硫酸バンドの添加順に変更した以外は、実施例3と同様にして凝集体Rを得た。凝集体Aを凝集体Rに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0081】
(比較例4)
「凝集体Sの調製」
硫酸バンドを添加しなかった以外は、比較例3と同様にして凝集体Sを得た。凝集体Aを凝集体Sに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0082】
(比較例5)
「凝集体Tの調製」
アニオン性ポリアクリルアミド、硫酸バンドを添加しなかったこと以外は、比較例3と同様にして凝集体Tを得た。凝集体Aを凝集体Tに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0083】
(比較例6)
「凝集体Uの調製」
硫酸バンドを添加しなかったこと以外は、実施例3と同様にして凝集体Uを得た。凝集体Aを凝集体Uに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0084】
(比較例7)
「凝集体Vの調製」
0.50%濃度ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A:第一工業製薬社製)450gを、0.50%濃度アルギン酸ナトリウム(cp500−600 分子量110,000:和光純薬工業社製)450gに変更した以外は、実施例2と同様にして凝集体Vを得た。凝集体Aを凝集体Vに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0085】
(比較例8)
「凝集体Wの調製」
0.50%濃度ナトリウムカルボキシメチルセルロース(セロゲンWS−A:第一工業製薬社製)450gを30%濃度ポリアクリル酸ナトリウム(DL522 分子量170,000:日本触媒社製)7.5gに変更した以外は、実施例2と同様にして凝集体Wを得た。凝集体Aを凝集体Wに変更した以外は実施例1と同様にして模様紙を作製した。
【0086】
このようにして得られた凝集体及び模様紙において、それぞれ次に示す方法で評価し、結果を表1に示した。
【0087】
「凝集体強度」
得られた凝集体1000gをスリーワンモーター(撹拌機BL1200:HEiDON社製)、撹拌子(かい十字 70mmφ)300rpmで1時間撹拌し、凝集体の破壊程度を形状と凝集体調製時の凝集剤添加時の凝集で、微細な繊維及び顔料は凝集体に取り込まれるため、凝集体スラリーの水は透明から半透明になるが、凝集体が破壊された場合、取り込まれた繊維や顔料が溶出するためこのときの液の濁り具合から凝集体の強度を判定した。凝集体の配合比で得られる凝集体の大きさは異なることから、撹拌前後での形状の比較を行った。
◎:ほとんど破壊されない。(実用レベル)
◎○:一部破壊されるが問題ない。(実用レベル)
○:破壊されるが凝集体の大きさとして使用可能である。(実用下限)
△:凝集体が破壊されて形状が小さく使用できない。(実用不適)
×:凝集体が微小に破壊されている。(実用不適)
【0088】
「風合い評価」
凝集体強度評価と同様の条件で2時間撹拌した凝集体を用いた手抄き紙表面の凝集体の形状を視感で判定した。凝集体の撹拌前後の形状に関わらず、模様紙の模様としての視認性を評価した。
◎:凝集体の視認性が良好な風合いである。(実用レベル)
◎○:凝集体に小さいものも混在するが、凝集体の視認性が良好である。(実用レベル)
○:凝集体がやや小さいが模様として視認できる。(実用下限)
△:凝集体が破壊され小さいため、模様として見づらく模様紙としての風合いに劣る。(実用不適)
×:凝集体が微小で所望の模様を形成していない。(実用不適)
【0089】
「表面強さ」
表面強さドライピック(RIテスター、RI−3:明製作所社製)にて、黒インキ(TV20:東洋インキ社製)1.0mlを使用し、模様紙表面(寸法横22cm、縦22cm)を100rpmで1回刷りしたときのピックの状態及び紙面からの凝集体の脱落具合を評価した。
◎:凝集体のピック個数が0〜1個。(実用レベル)
○:凝集体のピック個数が2〜4個。(実用下限)
△:凝集体のピック個数が5〜9個。(実用不適)
×:凝集体のピック個数が10個以上。(実用不適)
【0090】
「凝集体の大きさ(抄紙前)」
実施例1で得られた凝集体の大きさを基準に目視で、大、中、小の評価を行った。
大:実施例1で得られた凝集体よりも大きい。
中:実施例1で得られた凝集体と同程度。
小:実施例1で得られた凝集体よりも小さい。
【0091】
「凝集体の大きさ(抄紙後)」
得られた凝集体を使用して作製した模様紙の100mm角の表面に現れた凝集体の1個ずつの面積を画像解析によって求め、凝集体1個あたりの平均面積によって、大、中、小の評価を行った。
大:平均面積が、10mm以上である。
中:平均面積が、3mm以上10mm未満である。
小:平均面積が、0.5mm以上3mm未満である。
【0092】
【表1】

【0093】
「インクジェット印字適性評価」
得られた模様紙にインク受容層を設け、インクジェット印字適性評価を行った。評価結果は、表2のとおりとなった。
【0094】
(実施例17)
「インク受容層の塗工液Aの調製」
平均粒径7μmの非晶質合成シリカ(サイロジェットP407:グレースデビソン社製)50部と、平均粒径6μmの非晶質合成シリカ(74x6500:グレースデビソン社製)50部とを混合し、該混合物に水と、pH調整剤として酢酸0.5部とを添加し、カウレス分散機(LABORTECHNK RW−28、寺井科学機器社製)で25%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに顔料の乾燥質量100部に対し、ポリビニルアルコールを乾燥質量で17.5部(PVA−117:クラレ社製)と、エチレン酢酸ビニルバインダー24部(スミカフレックス450:住友化学社製)とを添加・撹拌し、更に水を添加し、固形分濃度が23%の塗工液を得た。
【0095】
原紙として実施例1で得られた模様紙の一方の面にインクジェット受容層Aが乾燥質量で8g/mとなるようにバー塗工し、120℃乾燥機で熱風乾燥してインクジェット模様紙を作製した。
【0096】
「平滑処理」
インクジェット模様紙にソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
【0097】
(実施例18)
原紙として実施例7で得られた模様紙を使用した以外は、実施例17と同様にインクジェット模様紙を作製した。
【0098】
(実施例19)
原紙として実施例7で得られた模様紙を使用し、乾燥質量で15g/mとなるようにバー塗工対外は、実施例17と同様にインクジェット模様紙を作製した。
【0099】
(比較例9)
原紙として比較例1で得られた模様紙を使用した以外は、実施例17と同様にインクジェット模様紙を作製した。
【0100】
(比較例10)
「インク受容層B塗工液の調製」
焼成カオリン(アンシレックス90:エンゲルハート社製)50部と、炭酸カルシウム(ハクエンカPZ:白石カルシウム社製)50部とを混合し、該混合物に水とpH調整剤として酢酸0.5部を添加し、カウレス分散機(LABORTECHNK RW−28、寺井科学機器社製)で35%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにポリビニルアルコール(PVA−117:クラレ社製)17.5部と、エチレン酢酸ビニルバインダー(スミカフレックス450:住友化学社製)24部とを添加・撹拌し、更に水を添加し、固形分濃度が23%の塗工液を得た。
【0101】
原紙として実施例7で得られた模様紙を使用し、インク受容層塗工液Aをインク受容層塗工液Bにした以外は、実施例17と同様にインクジェット模様紙を作製した。
【0102】
(比較例11)
「インク受容層塗工液Cの調製」
非晶質合成シリカ(サイロジェットP407:レースデビソン社製)50部と、非晶質合成シリカ(74x6500:グレースデビソン社製)50質量部とを混合し、該混合物に水と、pH調整剤として酢酸0.5部とを添加し、カウレス分散機(LABORTECHNK RW−28:寺井科学機器社製)で28%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにエチレン酢酸ビニルバインダー(スミカフレックス450:住友化学社製)41.5質量部を添加・撹拌し、更に水を添加し、固形分濃度が23%の塗工液を得た。
【0103】
原紙として実施例7で得られた模様紙を使用し、インク受容層塗工液Aをインク受容層塗工液Cにし、平滑処理を行わなかった以外は、実施例17と同様にインクジェット模様紙を作製した。
【0104】
「インクジェット印字適性」
市販のフルカラーインクジェットプリンター(PM−A950:セイコーエプソン社製)を用いて写真画像を印刷し、境界部の印字滲み、発色部の印字濃度についてインクジェット印字適性を評価した。インクジェット印字適性の評価は、次に示す要領によって記述することにした。
<境界部の印字滲み>
◎:非常に良好(実用レベル)
○:良好(実用レベル)
△:やや不良(実用下限)
×:不良(実用不適)
<発色部の印字濃度>
◎:非常に良好(実用レベル)
○:良好(実用レベル)
△:やや不良(実用下限)
×:不良(実用不適)
【0105】
「風合い評価」
インクジェット模様紙の模様としての視認性を評価した。
◎:凝集体の視認性が良好な風合いである。(実用レベル)
○:模様として視認でき、実用上問題ない。(実用下限)
△:模様として見づらく模様紙としての風合いに劣る。(実用不適)
×:塗工層に模様が隠蔽されている。(実用不適)
【表2】

【0106】
表1に示すとおり、実施例1〜16で得られた凝集体及びそれを用いた模様紙は、いずれも金属塩とアクリル酸共重合体タイプの凝集剤を順次添加することにより、優れた凝集体強度と模様紙として優れた表面強度を有し、製品の風合いも優れるものであった。更に用いる繊維の形状、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの分子量を一定の範囲内とすることで更にシェアに強い凝集体を得ることができ、凝集体のサイズもコントロールすることが可能であることが確認できた。
【0107】
それに対し比較例1及び2の凝集体は、アクリル酸共重合体タイプの凝集剤を用いなかったため、シェアに対する強度が劣り、金属塩の添加で凝集体を得ることができたものの撹拌、移送のシェアで破壊され易く模様紙として抄紙しても風合いに劣るものであった。また、アクリル酸共重合体タイプの凝集剤を用いても本発明と添加順の異なる比較例3〜5及び金属塩を添加しなかった比較例6では、液状高分子凝集剤(カチオン性ポリアクリルアミド又はアニオン性ポリアクリルアミド)を添加したことによって、混合液全体が大きく増粘し、粒状の凝集体が得ることができなかった。比較例7では、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの代わりにアルギン酸ナトリウムを使用したため、金属塩を添加したことによって、混合液全体が増粘し、水を内包した凝集体を形成した。さらに、得られた模様紙では、紙面が凹凸面になってしまった。比較例8では、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの代わりにポリアクリル酸ナトリウムを使用したため、金属塩を添加しても、凝集力が弱く、ほとんど凝集体を形成しなかった。
【0108】
表2に示すとおり、実施例17〜19のインクジェット模様紙は、良好なインクジェット印字適性と模様紙としての風合いを両立しており、今までにない用途での利用が可能である。
【0109】
一方、比較例9は、原紙として比較例1の模様紙を用いたため風合いに劣るインクジェット模様紙となった。比較例10は、実施例7の模様紙を使用したが、インク受容層に非晶質合成シリカを含有しなかったため、インクジェット適性に劣るものとなった。比較例11は、原紙として実施例7の模様紙を使用したが、水溶性高分子を含有しなかったため、インクジェット適性に劣るものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本実施形態に係る模様紙用凝集体、模様紙又はインクジェット模様紙は、その紙を使用する装飾、包装、印刷等の産業及び製紙産業において好適に使用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団のなかから選択された1種類以上の物質を混合する工程と、前記工程で得られた混合物に金属塩水溶液を添加し、撹拌によって凝集体を形成する工程と、次いで、該凝集体を含む液にアクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤を添加する工程と、を有することを特徴とする模様紙用凝集体の製造方法。
【請求項2】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロース水溶液に染料を更に添加することを特徴とする請求項1に記載の模様紙用凝集体の製造方法。
【請求項3】
前記アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤が、アニオン性ポリアクリルアミドであること特徴とする請求項1又は2に記載の模様紙用凝集体の製造方法。
【請求項4】
前記アクリル酸共重合体タイプの液状高分子凝集剤が、アニオン性ポリアクリルアミド及びカチオン性ポリアクリルアミドであり、アニオン性ポリアクリルアミドを添加した後、カチオン性ポリアクリルアミドを添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の模様紙用凝集体の製造方法。
【請求項5】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースの平均分子量が45,000〜300,000であることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれか1つに記載の模様紙用凝集体の製造方法。
【請求項6】
前記セルロース繊維又は前記化学繊維の繊維長が140〜750μmであることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれか1つに記載の模様紙用凝集体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の模様紙用凝集体の製造方法によって製造された凝集体を、抄紙原料に添加して紙料を調製する工程と、該紙料を抄造する工程と、を有することを特徴とする模様紙の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の模様紙の製造方法によって製造された模様紙の少なくとも一方の面に非晶質合成シリカと、水溶性高分子とを含有するインクジェットインク受容層を設ける工程を有することを特徴とするインクジェット模様紙の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする模様紙用凝集体、模様紙又はインクジェット模様紙。
【請求項10】
ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、そのナトリウムイオンと、他の金属イオンとの置換によって凝集してなり、かつ、顔料、セルロース繊維、化学繊維からなる集団の中から選択された1種類以上の物質を含有する粒子状の凝集体を凝集体Aとし、該凝集体A同士が、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子によって付着しあってより大きな凝集体Bを形成してなることを特徴とする模様紙用凝集体。
【請求項11】
前記凝集体A及び前記凝集体Bの両方又はいずれか一方の表面に、アクリル酸共重合体タイプの液状高分子が付着していることを特徴とする請求項10に記載の模様紙用凝集体。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の模様紙用凝集体が抄紙原料に含有されてなることを特徴とする模様紙。
【請求項13】
請求項12に記載の模様紙の少なくとも一方の面に非晶質合成シリカと、水溶性高分子とを含有するインクジェットインク受容層を有することを特徴とするインクジェット模様紙。

【公開番号】特開2011−94253(P2011−94253A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248302(P2009−248302)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000241810)北越紀州製紙株式会社 (196)
【Fターム(参考)】