説明

横シール装置およびそれを具える充填包装装置

【課題】横シール部の形成の際にベースフィルム層が過度の加圧力によりダメージを受けるのを防止する。
【解決手段】横シール部を間欠的に形成する横シール装置において、対をなす横シールロールの各々の支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部を有し、それらの横シールロールを互いに平行にかつ互いに接近および離間可能に支持する支持機構と、対をなす横シールロールを互いに等速で互いに逆方向へ回転させる駆動機構と、対をなす横シールロールを互いの接近方向へ向けて付勢する付勢機構とを具え、付勢機構は、支持機構の軸受け部を横シールロール同士が互いに接近する方向へ、環状フランジ同士が当接する位置まで押圧する低加圧力用シリンダと、支持機構の軸受け部を横シールロール同士が互いに接近する方向へ、環状フランジ同士が当接する位置よりも所定距離だけ後方の位置まで押圧する高加圧力用シリンダと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、重ね合わされて長手方向に走行する長尺のフィルムを、それぞれ周囲に周方向に等間隔に位置する複数本のシールバーとそれらのシールバーの両外側に位置する環状フランジとを有して対をなす横シールロールにより加熱しつつ加圧して互いに溶着させて、フィルムに幅方向に延在する横シール部をフィルムの長手方向に間欠的に形成する横シール装置および、その横シール装置を具える充填包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食物、調味料、医薬品、化粧品その他の液状ないし粘稠状あるいはゼリー状等の流動性物質からなる被包装物を充填包装した、プラスチックフィルムからなる包装袋が広く利用されている。
【0003】
このような包装袋は、例えば2軸延伸したナイロン等からなるベースフィルム層と、例えば無延伸のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等からなるシーラント層とを積層した積層フィルムからなる長尺の包装フィルムから、例えば特許文献1にて開示された縦型充填包装装置によって製袋することができる。
【0004】
この縦型充填包装装置は、長尺の包装フィルムを上方から下方へ連続的に走行させながら、その走行中に先ず包装フィルムをシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返してその両側縁部同士を重ね合わせ、次いでその包装フィルムの重ね合わせた両側縁部を1対の縦シールロールで挟んで加熱および加圧することにより互いに溶着させながら下方へ送り、長手方向に延在する縦シール部を形成することで、その包装フィルムを筒状とする。
【0005】
次いで、この筒状の包装フィルムを、この縦型充填包装装置に設けられた横シール装置の、1対の横シールロールのそれぞれの周囲に周方向に等間隔に位置する複数本のシールバーで順次に挟んで加熱および加圧することにより互いに溶着させながら下方へ送り、筒状の包装フィルムにその幅方向に延在する横シール部を包装フィルムの長手方向に間隔を空けて間欠的に形成することで包装袋を製袋するとともに、その包装フィルム内に被包装物を連続的に、または筒状の包装フィルムへの1つの横シール部の形成からその次の横シール部の形成までの間に間欠的に供給することで被包装物を各包装袋内に充填し、その後、包装フィルムを各横シール部のフィルム長手方向略中央部で切断することにより、被包装物を充填した包装袋を高速で自動的かつ連続的に多数製袋する。
【0006】
ここで、上記横シール装置はさらに、上記1対の横シールロールを水平に並べて互いに平行にかつ互いに接近および離間可能に支持する支持機構と、それらの横シールロールを互いに等速で互いに逆方向へ回転させる駆動機構と、それらの横シールロールの一方を他方へ向けて付勢する付勢機構とを具えており、その付勢機構は、一方の横シールロールの支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部を、他方の横シールロールの支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部に接近する方向へ押圧するエアシリンダを有し、また1対の横シールロールは各々、内部にヒータを有するとともに、シールバーの両端の両外側に1対の環状フランジを有している。
【0007】
これにより上記従来の縦型充填包装装置の横シール装置は、エアシリンダで一方の横シールロールの支持軸の両端部の軸受け部を他方の横シールロールの支持軸の両端部の軸受け部に向けて押圧することで、一方の横シールロールの1対の環状フランジを他方の横シールロールの1対の環状フランジに当接させて、それらの横シールロールの回転に伴ってシールバーが互いに対向する位置に来たときにシールバー間の隙間を確保しつつ、横シールロールの内部のヒータで加熱したそれらのシールバーで筒状の包装フィルムを挟んで加熱および押圧し、筒状に重ね合わせた包装フィルムを溶着させて、包装フィルムに間欠的に横シール部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平04−114841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記従来の横シール装置では、エアシリンダの一定押圧力で一方の横シールロールを他方の横シールロールへ向けて押圧していることから、エアシリンダの押圧力が弱いと、横シールロールの回転に伴ってシールバーが互いに対向する位置に来て包装フィルムをそれらの間に挟み横シールする際に、包装フィルムがシールバーをエアシリンダの押圧力に抗して大きく押し戻してしまうため、フィルムに圧力が加わらず、横シール部を確実に形成することができなくなる。
【0010】
このため上記従来の横シール装置では、横シール部を確実に形成するべくエアシリンダの押圧力を常に強めに設定して、シールバー同士の距離をできるだけ維持しながら包装フィルムの加熱および加圧を行っており、それゆえ、横シールロールのシールバーによる包装フィルムの加熱および加圧中に、ナイロン等からなるベースフィルム層やエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等からなるシーラント層がシールバーからの過度の加圧力によりダメージを受けやすいという不都合があった。
【0011】
それゆえこの発明は、フィルムに加える加圧力を適切に維持可能とした横シール装置を提供することで、上記不都合を解消させることを目的としている。またこの発明は、フィルムに加える加圧力を適切に維持可能とした横シール装置を具える充填包装装置を提供することで、上記不都合を解消させることをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記課題を有利に解決するものであり、この発明の横シール装置は、重ね合わされて長手方向に走行する長尺のフィルムを、それぞれ周囲に周方向に等間隔に位置する複数本のシールバーとそれらのシールバーの両外側に位置する環状フランジとを有して対をなす横シールロールにより加熱しつつ加圧して互いに溶着させて、そのフィルムに幅方向に延在する横シール部をフィルムの長手方向に間欠的に形成する横シール装置において、前記対をなす横シールロールの各々の支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部を有し、前記対をなす横シールロールを互いに平行にかつ互いに接近および離間可能に支持する支持機構と、前記対をなす横シールロールを互いに等速で互いに逆方向へ回転させる駆動機構と、前記対をなす横シールロールを互いの接近方向へ向けて付勢する付勢機構と、を具え、前記付勢機構は、前記支持機構の軸受け部を前記横シールロール同士が互いに接近する方向へ、前記環状フランジ同士が当接する位置まで押圧する低押圧力用シリンダと、前記支持機構の軸受け部を前記横シールロール同士が互いに接近する方向へ、前記環状フランジ同士が当接する位置よりも所定距離だけ後方の位置まで押圧する高押圧力用シリンダと、を有することを特徴とするものである。
【0013】
またこの発明の充填包装装置は、幅方向に折り返した1枚の包装フィルムまたは互いに重ね合わせた2枚の包装フィルムをその長手方向へ走行させながら、その包装フィルムの側縁部同士を縦シールロールで加熱しつつ加圧して縦シール部を連続的に形成することで包装フィルムを筒状に形成し、その筒状の包装フィルムをその幅方向に横シール装置の横シールロールで加熱しつつ加圧して筒状の包装フィルムにその全幅に亘る横シール部を長手方向に間隔を空けて間欠的に形成することで包装袋を製袋するとともに、筒状の包装フィルムへの1つの横シール部の形成からその次の横シール部の形成までの間にまたは連続的にその包装フィルム内に被包装物を供給することで被包装物を各包装袋内に充填する充填包装装置において、前記横シール装置としてこの発明の横シール装置を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の横シール装置およびそれを具える充填包装装置にあっては、支持機構が、それぞれ周囲に周方向に等間隔に位置する複数本のシールバーとそれらのシールバーの両端の両外側に位置する環状フランジとを有して対をなす横シールロールを、それらの横シールロールの各々の支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部によって、互いに平行にかつ互いに接近および離間可能に支持し、駆動機構が、その対をなす横シールロールを互いに等速で互いに逆方向へ回転させ、そして付勢機構が、その対をなす横シールロールを互いの接近方向へ向けて付勢することで、それらの横シールロールの回転に伴ってそれらの横シールロールのシールバーが互いに対向する位置に来るまでは、一方の横シールロールの環状フランジと他方の横シールロールの環状フランジとの当接により、それらのシールバー同士の間隔をフィルムに接触しないように充分に確保し、それらのシールバーが互いに対向する位置に来ると、その対をなす横シールロール同士の離間移動をある程度許容しつつ、それらのシールバーでフィルムを挟んで加熱および押圧し、重ね合わせたフィルムを互いに溶着させて、そのフィルムに幅方向に延在する横シール部をフィルムの長手方向に間欠的に形成する。
【0015】
この横シールの際には、付勢機構の低押圧力用シリンダが、対をなす横シールロールのうちの少なくとも一方の横シールロールの支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部を横シールロール同士が互いに接近する方向へ、対をなす横シールロールの環状フランジ同士が当接する位置まで押圧し、これにより、対をなす横シールロールは、それらの横シールロールのシールバーがそれらの間を通るフィルムに接触しないように、環状フランジ同士の当接でそれらのシールバー同士の間隔を充分に確保し、その状態で、対をなす横シールロールの回転に伴って互いに対向する位置に来たシールバーがそれらの間にフィルムを挟み込み、これにより、少なくとも一方の横シールロールが他方の横シールロールから離間する方向へ低押圧力用シリンダに抗して押し戻されて、その横シールロールの軸受け部が、上記環状フランジ同士が当接する位置から例えばフィルムの横シール部の設定厚さに対応した所定距離だけ移動するまで、その少なくとも一方の横シールロールが、低押圧力用シリンダの、高押圧力用シリンダよりも低い押圧力により他方の横シールロールへむけて押圧され続けて、それらの横シールロールの互いに対向するシールバーが、低い一定の加圧力でフィルムを挟んで加熱および押圧し、フィルムに過度の加圧力によるダメージがかからないように横シール部を形成する。
【0016】
そしてこの横シール部の形成中、その少なくとも一方の横シールロールの軸受け部が、上記環状フランジ同士が当接する位置から上記所定距離を越えて移動するように、その少なくとも一方の横シールロールのシールバーがフィルムによってさらに押し戻されると、高押圧力用シリンダが横シールロールを低押圧力用シリンダの押圧力と比較して高い一定の押圧力で押圧して、軸受け部が、上記環状フランジ同士が当接する位置から横シール部の設定厚さに対応した所定距離だけ移動した位置まで、横シールロールを押し出し、フィルムに横シール部を確実に形成する。
【0017】
従って、この発明の横シール装置およびそれを具える充填包装装置によれば、軸受け部の、環状フランジ同士が当接する位置からの、所定距離分を超える移動に対しては、高押圧力用シリンダの高い押圧力で横シールロールを押圧するので、フィルムに横シールを確実に形成でき、しかも軸受け部の、環状フランジ同士が当接する位置からの、所定距離分までの移動に対しては、低押圧力用シリンダの低い押圧力で横シールロールを押圧して、横シールロールの低い一定の安定した加圧力でフィルムに横シール部を形成できるので、過度の加圧力による横シール部へのダメージも十分に回避することができる。
【0018】
なお、この発明の横シール装置においては、前記高加圧力用シリンダと前記低加圧力用シリンダとは同一軸線上に配置され、前記高加圧力用シリンダのピストンロッドは前記低加圧力用シリンダのピストンロッドを摺動自在に貫通していると好ましい。このようにすれば、高押圧力用シリンダの進出限位置を低押圧力用シリンダの進出限位置よりも後方に設定することで、2段階の押圧力の付勢機構を容易に構成することができ、しかも高押圧力用シリンダが軸受け部に押圧力を加えるときは低押圧力用シリンダも同時に軸受け部に押圧力を加えることができるので、高押圧力用シリンダをコンパクトに構成することができる。
【0019】
また、この発明の横シール装置においては、前記高押圧力用シリンダは、前記低押圧力用シリンダよりも受圧面積が広いものとすると好ましい。このようにすれば、同一圧力あるいはさほど大きく異ならない圧力の作動流体で、高押圧力用シリンダの高押圧力と低押圧力用シリンダの低押圧力とを容易に実現することができる。なお、この発明における高押圧力用シリンダおよび低押圧力用シリンダ用の作動流体は、何れも加圧エアが好ましいが、それらの少なくとも一方は、作動油等の加圧作動液でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の横シール装置の一実施例としての横シール部形成部を具えるこの発明の充填包装装置の一実施例としての縦型充填包装装置の構成を示す模式図である。
【図2】(a)および(b)は、上記実施例の横シール部形成部の構成を示す平面図および正面図である。
【図3】(a)および(b)は、上記横シール部形成部を拡大して示す正面図および断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、上記実施例の横シール部形成部の作動状態の前半を示す説明図である。
【図5】(a),(b)は、上記実施例の横シール部形成部の作動状態の後半を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づく実施例によって詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の横シール装置の一実施例としての横シール部形成部を具える、この発明の充填包装装置の一実施例としての縦型充填包装装置の構成を示す模式図である。
【0022】
この実施例の縦型充填包装装置は、例えば2軸延伸したエチレンービニルアルコール共重合体樹脂等からなるベースフィルム層と、例えば無延伸のエチレン−ビニルアセテート共重合体樹脂等からなるシーラント層とを積層した積層フィルムからなる1枚の長尺の包装フィルムをその長手方向に連続的に走行させながら、そのシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返してその両側縁部同士を重ね合わせて、その包装フィルムから多数の包装袋を連続的に製袋しつつ、各包装袋内に飲食物、調味料、医薬品、化粧品その他の液状ないし粘稠状あるいはゼリー状等の流動性物質からなる被包装物を自動的に充填するもので、図1に示すように主として、フィルム折返し部1と、縦シール部形成部2と、被包装物供給部3と、この発明の横シール装置の一実施例としての横シール部形成部4と、切断部5とを具えてなり、以下、各部について説明する。
【0023】
フィルム折返し部1では、フィルムロールRから連続的に繰出されて走行する1枚の長尺の包装フィルム6を上方から下方へ連続的に走行させながら、その走行中にU字状および逆L字状の2本のガイドロッド7で案内しつつ包装フィルム6をそのシーラント層が互いに向かい合わせになるように幅方向に折り返して、図では包装フィルム6の左端部に位置するその両側縁部同士を重ね合わせる。
【0024】
縦シール部形成部2では、包装フィルム6の折り返して重ね合わせた両側縁部同士を1対の縦シールロール8によって包装フィルム6の長手方向(縦方向)に連続的に加圧および加熱して縦シール部6aを形成し、これにより包装フィルム6を筒状に形成する。
【0025】
この縦シール部形成部2は、互いに平行に水平に延在する1対の縦シールロール8(図1では手前側のもののみ示す)と、それら1対の縦シールロール8を図示しない歯車組を介して互いに逆向きにかつ等速度で回転駆動するモータ9と、それら1対の縦シールロール8を互いの接近方向へ付勢するように、1対の縦シールロール8のうちの一方である図示の縦シールロール8の支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部に設けられた1対のエアシリンダ10と、を具えている。
【0026】
ここで、1対の縦シールロール8は各々、その外周面上に1つの環状フランジ8aを有するとともに、その内部に環状フランジ8aを加熱する図示しないヒータを有し、上記1対のエアシリンダ10の押圧力によって、包装フィルム6の重ね合わせた両側縁部をそれらの環状フランジ8aの間に挟持して加圧しつつ、ヒータから環状フランジ8aに伝えた熱で加熱することで、その両側縁部のシーラント層同士を溶着させて縦シール部6aを形成しつつ、その回転により包装フィルム6を下方へ走行させる。
【0027】
被包装物供給部3では、図示しないタンクから図示しないポンプおよび供給路を介して供給された被包装物Mを、上記1対の縦シールロール8の間を上方から下方へ貫通している充填ノズル11によって、筒状に形成した包装フィルム6の内側へ連続的に、または所定量ずつ間欠的に充填する。
【0028】
横シール部形成部4では、筒状に形成した包装フィルム6をその長手方向に包装袋の幅に対応する一定間隔をおいて、1対の横シールロール12によって全幅に亘り加熱しつつ加圧して互いに溶着させて間欠的に横シール部6bを形成し、これにより多数の包装袋Wを包装フィルム6の長手方向へ繋がった状態で連続的に製袋する。
【0029】
図2(a)および(b)は、上記実施例の横シール部形成部4の構成を示す平面図および正面図であり、図1と併せて示すように、この横シール部形成部4は、1対の横シールロール12(図1では手前側のもののみ示す)と、それら1対の横シールロール12のそれぞれの支持軸12cの両端部をそれぞれ回転自在に支持する軸受け部13およびそれらのうち互いに隣り合う軸受け部13を互いに接近および離間移動可能に支持する2対のガイドロッド14を有する支持機構15と、それら1対の横シールロール12を、歯車組16を介してモータ17で互いに逆向きにかつ等速度で回転駆動する駆動機構18と、それら1対の横シールロール12を互いの接近方向へ向けて付勢するように、1対の横シールロール12のうちの一方である図1に示す横シールロール12の支持軸12cの両端部をそれぞれ支持する軸受け部13に隣接して設けられた付勢機構19と、を有している。
【0030】
ここで、2対のガイドロッド14はそれぞれ、支持機構15の基部材15aと先端部材15bとに両端部を固定されてそれらの間に延在し、1対の横シールロール12を互いに平行にかつ水平に延在させるとともに互いに接近および離間移動可能に支持している。
【0031】
また、1対の横シールロール12は各々、その外周面上に周方向に等間隔に位置して軸線方向へ延在する複数本(図では6本)のシールバー12aと、それらのシールバー12aの両端の両外側に位置する1対の環状フランジ12bとを有するとともに、その内部にそれらのシールバー12aを加熱する図示しないヒータを有しており、1対の横シールロール12は、その1対の環状フランジ12bが互いに当接した状態で、1対の横シールロール12の互いに対向する位置に位置したシールバー12a間に隙間が生じないように各部の寸法を設定されている。
【0032】
図3(a)および(b)は、上記横シール部形成部を拡大して示す正面図および断面図であり、図示のように、上記横シール部形成部4の付勢機構19は、横シールロール12の支持軸12cの両端部をそれぞれ支持する軸受け部13に対して1対ずつ設けられた高押圧力用エアシリンダ19aおよび低押圧力用エアシリンダ19bを有している。
【0033】
ここにおける高押圧力用エアシリンダ19aおよび低押圧力用エアシリンダ19bは具体的には、二つの先端部材15bをそれぞれシリンダ本体として用い、各先端部材15bに軸受け部13と逆向きに形成した略角筒状の高押圧力用凹部19cおよび、各先端部材15bに軸受け部13に向けて形成した円筒状の低押圧力用凹部19d内に、高押圧力用ピストン19eおよび低押圧力用ピストン19fをそれぞれシールリングを介して気密にかつ軸受け部13に対する進退方向(ガイドロッド14の延在方向)へ摺動可能に嵌挿してなるものであり、二つの先端部材15bにはそれぞれ、高押圧力用凹部19cおよび低押圧力用凹部19d内に高圧エアを供給するための図示しないエア通路が形成されている。
【0034】
また、それら高押圧力用ピストン19eおよび低押圧力用ピストン19fの受圧面積すなわち摺動方向に直交する断面の断面積は、高押圧力用ピストン19eの方が低押圧力用ピストン19fよりも約1.5倍大きくされており、これにより、上記エア通路から同じ圧力の高圧エアを供給されても、高押圧力用ピストン19eの方が低押圧力用ピストン19fよりも約1.5倍大きい押圧力を生じさせる。
【0035】
そして、高押圧力用ピストン19eには高押圧力用ピストンロッド19gが嵌着固定され、また低押圧力用ピストン19fには低押圧力用ピストンロッド19hが一体に形成され、高押圧力用ピストンロッド19gは、低押圧力用ピストンロッド19hの中心に形成された貫通孔内に挿通されるとともに、その貫通孔内に設けられた低摩擦ブッシュ19iによって摺動自在に支持されておち、これにより、高押圧力用エアシリンダ19aと低押圧力用エアシリンダ19bとは同一軸線上にタンデムに配置されている。
【0036】
ここにおける二つの先端部材15bにはそれぞれ、高押圧力用凹部19cを気密に蓋する角板状の高押圧力用蓋部材19jと、低押圧力用凹部19dを気密に蓋する円板状の低押圧力用蓋部材19kとが取り付けられており、また、低押圧力用ピストンロッド19hの外周面には互いに周方向に180度ずれて位置してそれぞれ接線方向へ延在する2つ掛合溝が形成され、軸受け部13の端面に固定された2個のブラケット19lがそれらの掛合溝に先端部を掛合させて、低押圧力用ピストンロッド19hの先端部を軸受け部13に結合している。
【0037】
高押圧力用ピストンロッド19gは高押圧力用ピストン19eを貫通し、その高押圧力用ピストンロッド19gの基端部(図3(b)では左端部)は、高押圧力用蓋部材19jを液密に摺動自在に貫通して外部に突出しており、その基端部の外周面には雄ねじが形成され、その雄ねじにはクリアランス調整リング19mが螺合されている。さらにその基端部の先端にはクリアランス調整リング19mと重なるようにクリアランス固定板19nが固定されている。
【0038】
このクリアランス固定板19nには、二重同心円上に所定角度ピッチ(図示例では7.5度ピッチ)で複数本ずつ、互いに周方向に180度ずれて位置してクリアランス固定ピン19oが嵌着固定されており、これらのクリアランス固定ピン19oは各々、クリアランス調整リング19mに向く先端部に鋼球を保持するとともに、内蔵するスプリングでその鋼球を進出方向へ押圧している。この一方、クリアランス調整リング19mの、クリアランス固定板19nに対向する側面には、クリアランス固定ピン19oが位置するクリアランス固定板19nの二重同心円と対向する二重同心円上にそれらの全周にわたって、クリアランス固定ピン19oと同一ピッチで多数の略半球状あるいは円錐状の凹部が形成されている。そして、クリアランス調整リング19mの、高押圧力用蓋部材19jに対向する側面には、その中央部に高押圧力用ピストンロッド19gを囲んで環状凸部が形成されており、このクリアランス調整リング19mの環状凸部が高押圧力用蓋部材19jに当接することで、高押圧力用ピストンロッド19gの進出限位置ひいては、その進出限位置で高押圧力用ピストンロッド19gの先端と軸受け部13の端面とが当接するときの、1対の横シールロール12の環状フランジ12b同士の間のクリアランスが特定される。
【0039】
これにより、複数本のクリアランス固定ピン19oの、クリアランス固定板19nの側面から突出する先端部の鋼球がそれぞれスプリングで押圧されて、クリアランス調整リング19mの側面の凹部と嵌合することで、クリアランス調整リング19mがクリアランス固定板19nに対して回動方向に位置決めされており、この状態でクリアランス調整リング19mを高押圧力用ピストンロッド19g周りに、クリアランス固定ピン19oのスプリングに抗してクリアランス固定板19nに対し回動させると、クリアランス固定ピン19oの先端部の鋼球が押し戻されて一旦クリアランス調整リング19mの側面の凹部から外れ、クリアランス固定ピン19oの角度ピッチ分移動した後、隣の凹部に嵌まり込み、クリアランス調整リング19mが回動方向に再度位置決めされる。
【0040】
そしてこのクリアランス調整リング19mの回動の間に、クリアランス調整リング19mは高押圧力用ピストンロッド19gの基端部外周面の雄ねじによって高押圧力用蓋部材19jに対する接近または離間方向へ僅かに(例えば1ピッチ分の回動で20μm)移動するので、クリアランス調整リング19mを適宜回動させることで、高押圧力用ピストンロッド19gの上記進出限位置を微調整することができる。
【0041】
図4(a)〜(c)および図5(a),(b)は、上記実施例の横シール部形成部4の作動状態を示す説明図であり、この横シール部形成部4にあっては、支持機構15が、それぞれ周囲に等間隔に位置する複数本のシールバー12aとそれらのシールバー12aの両端の両外側に位置する環状フランジ12bとを有して対をなす横シールロール12を互いに平行にかつ互いに接近および離間移動可能に支持し、駆動機構18が、その対をなす横シールロール12を互いに等速で、図中矢印で示すように互いに逆方向へ回転させ、そして付勢機構19が、その対をなす横シールロール12を互いの接近方向へ向けて付勢することで、一方の横シールロール12の環状フランジ12bと他方の横シールロール12の環状フランジ12bとの当接により、それらの横シールロール12の回転に伴ってシールバー12aが互いに対向する位置まで来るまでの間シールバー12a同士の間隔を確保してフィルム6へのシールバー12aの不要な接触を防止し、それらの横シールロール12の回転に伴ってシールバー12aが互いに対向する位置に来たらそれらのシールバー12aでフィルム6を挟みながら横シールロール12を押圧してフィルム6を加熱および押圧し、重ね合わせたフィルム6のシーラント層同士を溶着させて、そのフィルム6に幅方向に延在する横シール部6bをフィルム6の長手方向に間欠的に形成する。
【0042】
そしてその際、付勢機構19の低押圧力用シリンダ19bが、対をなす横シールロール12のうちの図2(a)では下側に位置する一方の横シールロール12の支持軸12cの両端部をそれぞれ支持する軸受け部13を、低押圧力用ピストン19fの低押圧力用ピストンロッド19hで、横シールロール12同士が互いに接近する方向へ、図4(a)に示すように、環状フランジ12b同士が当接する位置まで押圧し、その状態で、対をなす横シールロール12の回転に伴って互いに対向する位置に来たシールバー12aがそれらの間にフィルム6を挟み込み、これにより、図4(b)に示すように、シールバー12aがフィルム6で押されて一方の横シールロール12が他方の横シールロール12から離間する方向へ押し戻され、軸受け部13が上記環状フランジ12b同士が当接する位置から後退移動すると、その軸受け部13が所定距離、例えば横シール部6bの設定厚さに対応した、例えばフィルム6のベースフィルム層2枚分の厚さに概略等しい例えば30μm後退移動するまでは、その一方の横シールロール12が低押圧力用シリンダ19bの、高押圧力用シリンダ19aよりも低い押圧力により他方の横シールロール12へむけて押圧されて、それらの横シールロール12の互いに対向するシールバー12aが、低い一定の加圧力でフィルム6に確実に横シール部6bを形成する。
【0043】
そして横シールロール12の互いに対向するシールバー12aがフィルム6をそれらの間に挟み込んだ際、上記一方の横シールロール12の軸受け部13が、上記環状フランジ12b同士が当接する位置から上記所定距離を越えて例えば80μmまで後退移動するように、その一方の横シールロール12がさらに押し戻されると、図4(c)に示すように、高押圧力用シリンダ19aがその高押圧力用ピストン19eの高押圧力用ピストンロッド19gの先端を横シールロール12の軸受け部13に当接させ、その軸受け部13を低押圧力用シリンダ19bの押圧力と比較して高い一定の押圧力で押圧して、その軸受け部13が、上記環状フランジ12b同士が当接する位置から横シール部6bの設定厚さに対応した所定距離だけ移動した位置に戻るまで、横シールロール12を押し出し、横シールロール12のバウンドする挙動を抑制する。この時、軸受け部13には、高押圧力用シリンダ19aの高押圧力用ピストン19eからの押圧力と低押圧力用シリンダ19bの低押圧力用ピストン19fからの押圧力とが同時に加わるため、2つのシリンダ19a,19bの押圧力が加算されることになる。
【0044】
その後、図5(a)に示すように、横シールロール12の回転に伴ってシールバー12aが互いに対向する位置から外れてゆき、その間、低押圧力用シリンダ19bが、上記一方の横シールロール12の軸受け部13を横シールロール12同士が互いに接近する方向へ押圧し続けて、図5(b)に示すように、図4(a)に示すと同様環状フランジ12b同士が当接する位置まで横シールロール12を進出させる。なお、低押圧力用シリンダ19bは、低押圧力用ピストンロッド19h側の低押圧力用凹部19d内に加圧エアを供給されると低押圧力用ピストンロッド19hで軸受け部13を引きながら、高押圧力用ピストン19eおよび低押圧力用ピストン19fを後退限位置まで後退移動させる。
【0045】
従って、この実施例の横シール部形成部4によれば、軸受け部13の、環状フランジ12b同士が当接する位置からの、所定距離分を超える移動に対しては、高押圧力用シリンダ19aの高い押圧力で横シールロール12を押圧するので、横シールロール12のバウンドする挙動を抑制することができ、しかも軸受け部13の、環状フランジ12b同士が当接する位置からの、所定距離分までの移動に対しては、低押圧力用シリンダ19bの低い押圧力で横シールロール12を押圧して、横シールロール12の低い一定の安定した加圧力でフィルム6に横シール部6bを形成できるので、過度の加圧力による横シール部6bへのダメージも十分に回避することができる。
【0046】
また、この実施例の横シール部形成部4によれば、高押圧力用シリンダ19aと低押圧力用シリンダ19bとが同一軸線上にタンデムに配置されていて、高押圧力用シリンダ19aの高押圧力用ピストンロッド19gは低押圧力用シリンダ19bの低押圧力用ピストンロッド19hを摺動自在に貫通しているので、高押圧力用シリンダ19aの進出限位置を低押圧力用シリンダ19bの進出限位置よりも後方に設定することで、2段階の押圧力の付勢機構19を容易に構成することができ、しかも高押圧力用シリンダ19aが軸受け部13に押圧力を加えるときは低押圧力用シリンダ19bも同時に軸受け部13に押圧力を加えることができるので、高押圧力用シリンダ19aをコンパクトに構成することができる。
【0047】
さらに、この実施例の横シール部形成部4によれば、高押圧力用シリンダ19aは、低押圧力用シリンダ19bよりも受圧面積が広いので、同じエア体圧で高押圧力用シリンダ19aの高押圧力と低押圧力用シリンダ19bの低押圧力とを容易に実現することができる。
【0048】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えば、包装フィルム6の材質および積層構造は、被包装物の種類や量等に応じて既知のものから適宜選択できる。また、フィルム折返し部1で1本のフィルムロールRから繰出された1枚の長尺の包装フィルム6を幅方向に折り返して重ね合わせる代わりに、2本のフィルムロールRからそれぞれ連続的に繰出されて走行する2枚の長尺の包装フィルム6を2本のローラで挟んで重ね合わせるようにしても良い。
【0049】
さらに、横シール部形成部4の高押圧力用シリンダ19aが作動するときは低押圧力用シリンダ19bも同時に作動して押圧力を加えるので、それらのシリンダの受圧面積は同一としても良く、逆に高押圧力用シリンダ19aの方を小さくしても良い。また、高押圧力用シリンダ19aと低押圧力用シリンダ19bとは、上記例では直列(タンデム)に配置したが、並列(パラレル)に配置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
かくしてこの発明の横シール装置およびそれを具える充填包装装置によれば、軸受け部の、環状フランジ同士が当接する位置からの、所定距離分を超える移動に対しては、高押圧力用シリンダの高い押圧力で横シールロールを押圧するので、フィルムに横シールを確実に形成でき、しかも軸受け部の、環状フランジ同士が当接する位置からの、所定距離分までの移動に対しては、低押圧力用シリンダの低い押圧力で横シールロールを押圧して、横シールロールの低い一定の安定した加圧力でフィルムに横シール部を形成できるので、過度の加圧力による横シール部へのダメージも十分に回避することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 フィルム折返し部
2 縦シール部形成部
3 被包装物供給部
4 横シール部形成部
5 切断部
6 包装フィルム
6a 縦シール部
6b 横シール部
7 ガイドロッド
8 縦シールロール
8a 環状フランジ
9 モータ
10 エアシリンダ
11 充填ノズル
12 横シールロール
12a シールバー
12b 環状フランジ
12c 支持軸
13 軸受け部
14 ガイドロッド
15 支持機構
15a 基部材
15b 先端部材
16 歯車組
17 モータ
18 駆動機構
19 付勢機構
19a 高押圧力用エアシリンダ
19b 低押圧力用エアシリンダ
19c 高押圧力用凹部
19d 低押圧力用凹部
19e 高押圧力用ピストン
19f 低押圧力用ピストン
19g 高押圧力用ピストンロッド
19h 低押圧力用ピストンロッド
19i 低摩擦ブッシュ
19j 高押圧力用蓋部材
19k 低押圧力用蓋部材
19l ブラケット
19m クリアランス調整リング
19n クリアランス固定板
19o クリアランス固定ピン
M 被包装物
R フィルムロール
W 包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わされて長手方向に走行する長尺のフィルムを、それぞれ周囲に周方向に等間隔に位置する複数本のシールバーとそれらのシールバーの両外側に位置する環状フランジとを有して対をなす横シールロールにより加熱しつつ加圧して互いに溶着させて、そのフィルムに幅方向に延在する横シール部をフィルムの長手方向に間欠的に形成する横シール装置において、
前記対をなす横シールロールの各々の支持軸の両端部をそれぞれ支持する軸受け部を有し、前記対をなす横シールロールを互いに平行にかつ互いに接近および離間可能に支持する支持機構と、
前記対をなす横シールロールを互いに等速で互いに逆方向へ回転させる駆動機構と、
前記対をなす横シールロールを互いの接近方向へ向けて付勢する付勢機構と、
を具え、
前記付勢機構は、前記支持機構の軸受け部を前記横シールロール同士が互いに接近する方向へ、前記環状フランジ同士が当接する位置まで押圧する低押圧力用シリンダと、
前記支持機構の軸受け部を前記横シールロール同士が互いに接近する方向へ、前記環状フランジ同士が当接する位置よりも所定距離だけ後方の位置まで押圧する高押圧力用シリンダと、を有することを特徴とする横シール装置。
【請求項2】
前記高加圧力用シリンダと前記低加圧力用シリンダとは同一軸線上に配置され、
前記高加圧力用シリンダのピストンロッドは前記低加圧力用シリンダのピストンロッドを摺動自在に貫通していることを特徴とする、請求項1記載の横シール装置。
【請求項3】
前記高加圧力用シリンダは、前記低加圧力用シリンダよりも受圧面積が広いことを特徴とする、請求項1または2記載の横シール装置。
【請求項4】
幅方向に折り返した1枚の包装フィルムまたは互いに重ね合わせた2枚の包装フィルムをその長手方向へ走行させながら、その包装フィルムの側縁部同士を縦シールロールで加熱しつつ加圧して縦シール部を連続的に形成することで包装フィルムを筒状に形成し、その筒状の包装フィルムをその幅方向に横シール装置の横シールロールで加熱しつつ加圧して筒状の包装フィルムにその全幅に亘る横シール部を長手方向に間隔を空けて間欠的に形成することで包装袋を製袋するとともに、筒状の包装フィルムへの1つの横シール部の形成からその次の横シール部の形成までの間にまたは連続的にその包装フィルム内に被包装物を供給することで被包装物を各包装袋内に充填する充填包装装置において、
前記横シール装置として請求項1から3までの何れか1項記載の横シール装置を具えることを特徴とする充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−86833(P2013−86833A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228232(P2011−228232)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000206233)大成ラミック株式会社 (56)
【Fターム(参考)】