説明

横井戸形成方法及び短井戸管並びに横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法及び装置

【課題】自然環境等を損なったり、既存建造物に妨げられたりすることなく、地中の目標位置へ向け、作業性良好に横井戸を形成する。地中の汚染土壌を地下水位の変動や地盤沈下を抑制しつつ、それだけ自然環境等への負荷を低減して浄化する。
【解決手段】立坑1内から地中目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成しつつ該掘削穴に短井戸管20を順次接続延長しながら、且つ、栓部材Pで閉塞された通水孔21を有する短井戸管20が通水対象の地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していき、目標位置到達後に、栓部材Pの、少なくとも地下水による分解にて、通水孔21の通水性を得て、短井戸管20群からなる横井戸2又は3を得る。立坑1内から地中の汚染土壌領域CAに対して集水用水平井戸2及び復水用水平井戸3を形成し、井戸2から立坑1へ流入する汚染物質含有地下水を汲み上げて浄化装置5で浄化し、浄化水を井戸3を介して汚染土壌領域CAに対して戻すことで、地下水を循環させて汚染土壌を浄化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に横井戸を形成する方法及び該方法の実施に用いる短井戸管並びにかかる横井戸形成方法及び短井戸管を利用した汚染土壌浄化方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地下水を飲料水や工業用水として利用するために、地中へ立て井戸を掘削形成し、該井戸から地下水を採取することが従来から行われている。
また、各種工場建物、各種作業建物等の建造物の下の土壌が重金属や揮発性有機化合物(VOC)等の人体にとって有害な物質で汚染されている場合、該土壌の浄化方法として、例えば、汚染土壌へ向け井戸を形成し、該井戸から汚染地下水を採取、除去したり、採取した汚染地下水を浄化すること等も従来から行われている。
【0003】
従来の汚染土壌の浄化方法については、次のものを例示できる。
工場建物、作業建物等の既存建造物での作業を停止させたり、そこに設置した機器類等を移動させなくてもよいように、例えば図8に示す如く、建造物91外の地上(地盤L上)より該建造物下の汚染土壌領域へ向け斜め井戸921(又は921’、922、922’等)を形成し、該井戸に汚染地下水等を流入させてこれを吸引排出する、という方法である。
【0004】
また、図9(A)に例示するように、建造物94外の地上に設置した井戸管設置装置95にて、先ず、可撓性ケーシングパイプ951内に挿通され、先端に掘削シュー952を有する可撓性推進軸953により建造物94下方の地中領域へ向け斜めの穴を掘削し、引き続き汚染土壌領域へ向け水平穴を掘削し、次いで図9(B)に示すように、それらを地上へ引き抜くとともに該穴に井戸管96を挿入設置し、該井戸管96に設けた通水孔から該管内へ流入する汚染地下水等を吸引排出する、という方法もある。
【0005】
また、図10(A)に例示するように、建造物94外の地上に設置した井戸管設置装置97により、建造物94外の地上から、先端に掘削シューを有する可撓性推進軸971にて建造物下方の地中へ向け斜めの穴を、引き続き水平穴を、さらに地上へ向け斜めに上昇する穴を掘削し、その後、井戸管98を該推進軸に連結し、該推進軸を引き戻すことで該井戸管を地中に設置する、という手法で、図10(B)に例示するように、一対の有孔の地中井戸管981、982を形成し、一方の井戸管981内気圧を正圧に、他方の井戸管982内気圧を負圧に設定して井戸管981から982へ面状気流を発生させることで、汚染土壌内の揮発性物質を井戸982に流入させ、これを吸引排出する、という方法もある(特開2002−239524号公報参照)。
【0006】
図10に示す方法においても、井戸管981や982へ流入することがある汚染地下水を井戸管981や982から汲み出して排出ことも可能であると考えられる。
【特許文献1】特開2002−239524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、飲料水や工業用水として地下水を採取するにあたり、立て井戸を掘削形成することは、その地下水が、保護或いは保存することが望ましい地上自然環境、遺跡、文化的建造物等の下方に存在する場合、かかる地上自然環境等を破壊する立て井戸の掘削形成は好ましくない。
また、汚染土壌の浄化についてみると、図8に示す斜め直進井戸による土壌浄化では、ボーリング機械等の都合により該井戸の傾斜角度を緩やかにすることに限度があるから、図8に例示するように、建造物91の直ぐ下のV字形領域93の汚染土壌については浄化が困難である。
【0008】
図9の浄化方法では、先端に掘削シュー952を有する可撓性推進軸953を正確に汚染土壌領域へ到達させることは、実際には極めて困難である。既存建造物の下方の汚染土壌を浄化しようとする場合において該建造物の基礎杭等の障害物が存在するときには、一層困難である。
【0009】
先端掘削シューの近傍等に推進位置を知らせる信号発振器を付設して、これからの信号を地上で受信することで掘削シュー952の位置を検出することが試みられているが、推進軸953やケーシングバイプ951を撓ませつつ汚染土壌領域へ向け進行させなければならないので、たとえかかる位置信号発振器等を採用しても、なお井戸管96を精度よく汚染土壌領域に設置することは困難である。
特開2002−239524号公報に開示されている一対の井戸管981、982の汚染土壌領域への設置についても、同様に困難である。
【0010】
さらに、以上説明した従来の汚染土壌浄化方法では、先ず斜めに地盤を掘削していく必要があることから、地上に設置されるそのための機械類は、水平方向に長くならざるを得ず、建造物外側のスペースが、隣の建造物、隣接地との境界等のために狭い場合には該機械類の設置が困難又は不可能となることがある。
【0011】
本発明者の研究によると、飲料水、工業用水等として利用する地下水の採取にしても、、汚染土壌浄化のための汚染地下水の採取にしても、地下水の採取にあたっては、また、何らかの理由で、例えば汚染地下水の採取による地盤沈下の防止或いは抑制のために、地中へ水を導入するにあたっては、地上の、保護或いは保存することが望ましい自然環境等の存在領域や、既存建造物の存在領域から外れた地域で立坑を掘削形成し、該立坑内から地中の目標位置へ向け横井戸(すなわち、水平方向の井戸や、立坑を横切る方向に延びる井戸等の横井戸)を形成するならば、地上には、立坑形成のための比較的狭い空間があれば足り、横井戸は、立坑内から地中の目標位置へ向け直線的に、それだけ精度よく形成できる。
【0012】
しかしながら、かかる横井戸形成は、狭い立坑内から行わなければならないし、形成途中の横井戸へ地下水や土砂が流入し、さらにはそれが立坑内にも流入してくる等のために、横井戸形成における作業性が悪いという問題がある。
【0013】
そこで本発明は、次の利点を有する横井戸形成方法を提供することを第1の課題とする。
(1) 保護或いは保存すべき自然環境等を損なったり、既存建造物に妨げられたりすることなく、地中の目標位置へ向け、作業性良好に横井戸を形成できる。
(2) 地上における作業空間が狭く、該空間に、従来の斜め井戸管や、斜め井戸管とそれから延在する水平井戸管を設置するための装置を配置することが困難又は不可能な場合でも、立坑を形成できる地上空間があれば、該立坑内から横井戸を形成することができる。
(3) 横井戸を形成すべき地中の目標位置が地中に分散して存在している場合でも、安価に、それら目標位置へ向けて横井戸を形成できる。
【0014】
また、本発明は、かかる横井戸形成方法に利用できる短井戸管を提供することを第2の課題とする。
【0015】
さらに本発明は、かかる横井戸形成方法及び短井戸管を利用して次の利点を有する汚染土壌の浄化方法及び装置を提供することを第3の課題とする。
(1) 地中の汚染土壌を地下水位の変動や地盤沈下を抑制しつつ、それだけ自然環境等への負荷を低減して浄化できる。
(2) 汚染土壌領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができ、汚染土壌領域が既存建造物の下方にある場合でも、該領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができる。
(3) 汚染土壌浄化用井戸の設置のための地上における作業空間が狭く、該空間に従来の斜め井戸管や斜め井戸管とそれから延在する水平井戸管を設置する装置を配置することが困難又は不可能な場合でも、立坑を形成できる地上空間があれば汚染土壌浄化用井戸を形成して汚染土壌を浄化できる。
(4) 地中の汚染土壌領域が分散して存在する場合でも安価にそれら領域の汚染土壌を浄化できる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は前記第1の課題を解決するため、次の横井戸形成方法を提供する。
横井戸を構成するための順次接続延長される短井戸管群であって、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成されるとともに該通水孔が水分解性栓部材で閉塞された1又は2本以上の短井戸管を含む短井戸管群を準備する短井戸管準備工程と、
地中へ向け立坑を形成する立坑形成工程と、
前記立坑内から地中の目標位置へ向け横井戸を形成する横井戸形成工程とを含み、
前記横井戸形成工程は、
前記立坑内から地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に前記短井戸管を順次接続延長しながら、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の前記地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、1番目の短井戸管を前記地中の目標位置に到達させる工程と、
前記1番目の短井戸管の前記地中目標位置到達後に、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを含んでいる横井戸形成方法。
ここで「横井戸」とは、水平井戸や、完全に水平ではないが立坑を横切る横方向に延びる井戸を指している。
【0017】
また本発明は、前記第2の課題を解決するため、周壁に通水孔が形成されているとともに該通水孔が水分解性の栓部材で閉塞された、上記本発明に係る横井戸形成方法に用いる短井戸管を提供する。
【0018】
本発明に係る横井戸形成方法によると、横井戸は立坑内から地中の目標位置へ向け横方向に形成されるが、かかる立坑は、地上の、保護或いは保存することが望ましい自然環境等の存在領域や、既存建造物の存在領域から外れた地域で掘削形成することができる。従って、保護或いは保存すべき自然環境等を損なったり、既存建造物に妨げられたりすることなく、横井戸を形成できる。
【0019】
かかる立坑は、従来の斜め井戸管や、斜め井戸管とそれから延在する水平井戸管を設置するための装置を配置するために要求される広い地上作業空間に比べると、狭い地上作業空間があれば形成でき、該立坑内から横井戸を形成できる。このように、横井戸形成のための地上空間は立坑を形成できる程度の狭いものでも足り、従ってまた、この点でも、保護或いは保存すべき自然環境等を損なったり、既存建造物に妨げられたりすることなく、横井戸を形成できる。
【0020】
さらに、横井戸は、立坑内の任意の部位から地中の目標位置へ向け直線的に形成できるので、それだけ精度よく形成できる。
横井戸は、立坑内から形成するが、該立坑内から地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に、立坑内でも扱える短井戸管を順次接続延長して形成していくので、作業性良好に形成できる。
【0021】
さらに、採用する短井戸管には、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成された1又は2本以上の短井戸管(本発明に係る前記短井戸管)が含まれるが、該通水孔は水分解性栓部材で閉塞されているので、横井戸形成中に、該通水孔から地下水や土砂が短井戸管内へ、さらには立坑内へ流入してくることを抑制でき、特に、この点で、きわめて作業性良好に横井戸を形成できる。
【0022】
前記栓部材は、少なくとも地下水により分解し、それにより通水孔に通水性を得ることができる。さらに言えば、1番目の短井戸管の前記地中目標位置到達後に、少なくとも地下水による栓部材の分解にて、通水孔の通水性を得る工程を経て、接続延長された短井戸管群からなる横井戸を得ることができる。
【0023】
また、本発明に係る横井戸形成方法によると、同じ立坑から複数本の横井戸を形成できるから、横井戸を形成すべき地中の目標位置が地中に分散して存在している場合でも、それだけ安価に、それら目標位置へ向けて横井戸を形成できる。
【0024】
なお、立坑から地中目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成する手段としては、例えば、先端に掘削刃を有する掘削用シューを接続した、或いはさらに、排土用螺旋羽根を周設した、回転及び前進駆動される推進軸を採用することができる。その場合、該推進軸を、立坑内で扱える掘削用シューを接続した1番目短推進軸と、これに順次接続される2番目以後の短推進軸とで構成すればよい。接続延長された短推進軸群は、1番目の短井戸管を地中目標位置に到達させた後に、立坑内へ引き戻すとともに順次個々の短推進軸に分解して撤去することができる。
【0025】
本発明に係る横井戸形成方法の具体例として、次のものを挙げることができる。
掘削刃を有する掘削用シューが先端に接続され、排土用螺旋羽根が周設された1番目短推進軸と、該掘削刃が露出するように該1番目短推進軸の先端部に外嵌される先端管と、該先端管に当接されるとともに該1番目短推進軸に外嵌される1番目短鞘管と、該先端管に当接されるとともに該1番目短鞘管に外嵌される1番目短井戸管と、該1番目短推進軸に継ぎ足し接続される、排土用螺旋羽根が周設された2番目以後の短推進軸と、該1番目短鞘管に継ぎ足し接続される2番目以後の短鞘管と、該1番目短井戸管に継ぎ足し接続される2番目以後の短井戸管とを準備し、且つ、1番目及び2番目以後の短井戸管のうち、地中領域との間で通水を行うべき短井戸管については、周壁に通水孔を形成し、該通水孔を水分解性栓部材で閉塞しておく準備工程と、
地中へ向け立坑を形成する立坑形成工程と、
前記立坑内から地中の目標位置へ向け横井戸を形成する横井戸形成工程とを含み、
前記横井戸形成工程は、
前記先端管を前記1番目短推進軸の先端部に外嵌し、前記1番目短鞘管を該先端管に当接させて該1番目短推進軸に外嵌し、前記1番目短井戸管を該先端管に当接させて該1番目短鞘管に外嵌した状態で、該1番目短推進軸を回転駆動しつつ前進させて前記地中の目標位置へ向け横方向掘削穴を形成しつつ掘進させていくとともに該先端管、1番目鞘管及び1番目井戸管を該横方向掘削穴へ挿入していく工程と、
該1番目短推進軸に前記2番目以後の短推進軸を、前記1番目短鞘管に前記2番目以後の短鞘管を、前記1番目短井戸管に2番目以後の短井戸管をそれぞれ順次継ぎ足し接続しながら、且つ、該継ぎ足されていく該短推進軸を回転駆動しつつ前進させて前記横方向掘削孔を順次延長形成し、該延長形成される横方向掘削穴へ前記2番目以後の短鞘管を順次挿入するとともに前記2番目以後の短井戸管を順次挿入し、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の前記地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、前記1番目短井戸管を前記地中の目標位置に到達させる工程と、
前記1番目短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、接続された前記短推進軸及び短鞘管を前記立坑内へ引き戻すとともに順次個々の短推進軸及び短鞘管にそれぞれ分解して撤去する工程と、
前記1番目短井戸管の前記地中目標位置到達後、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを含む
水平井戸形成方法である。
【0026】
いずれにしても、1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、前記接続延長された短井戸管群中へ、前記栓部材を分解するための水を注入し、該注入水と前記地下水とで該栓部材の分解を行うようにしてもよい。
【0027】
1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した状態において、該1番目短井戸管の先端開口から地中土砂等が井戸管内へ侵入して、井戸管内を塞ぐ等の不都合が生じる恐れがない場合は、該開口は閉じなくてもよいが、該開口からの土砂等の侵入が無視できない等のような場合は、必要に応じ、該1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、また、前記短井戸管群中へ前記栓部材を分解するための水を注入するときは、その水注入に先立って、該1番目の短井戸管の先端開口を閉塞材で閉じてもよい。
【0028】
該栓部材を分解する水として地下水のみ用いる場合であれ、地下水と接続延長された井戸管内に注入する水とを用いる場合であれ、前記短井戸管の通水孔を閉じる栓部材は、短井戸管が順次接続延長され、1番目の短井戸管が地中の目標位置に到達した後に、前記通水孔による通水開始を許すように、水による分解が進むものであることが好ましい。
換言すれば、栓部材は、横方向掘削穴を形成して該穴に短井戸管を順次挿入設置していく間は、短井戸管の通水孔から井戸管内へ地下水や土砂が侵入することを防止するために該通水孔を閉じ、所定本数の短井戸管が横方向掘削穴内に挿入設置され、1番目の短井戸管が地中の目標位置に到達した後に、前記通水孔による通水開始を許すように、水による分解が進むものであることが好ましい。
【0029】
しかし、1番目の短井戸管が地中の目標位置に到達した後、数カ月も経た後に前記通水孔による通水開始を許す程度の遅さで分解が進むのでは、横井戸設置完了後、横井戸を使用開示できるまでに無駄な時間を費やすことになるので、それには限定されないが、例えば、遅くとも、1番目の短井戸管が地中の目標位置に到達した後数日或いは数十日以内に、例えば2日〜14日以内に、より好ましくは2日〜10日以内に前記通水孔による通水開始を許すように分解が進むものが好ましい。
【0030】
栓部材の水分解性については、水溶性で消失する場合、水で細かく分解されて通水孔から脱落する場合等、通水孔が通水可能となればよい。材質的には例えば水分解性合成樹脂からなるものを挙げることができる。また、分解の進み具合は、栓部材の材質を考慮して、通水孔の形状及び又はサイズ等とともに栓部材の形状及び(又は)サイズ等を選択することで制御可能である。
【0031】
本発明に係る横井戸形成方法及び短井戸管は、横井戸形成が要求される様々の分野や状況下において適用することができる。例えば、飲料水、工業用水等として利用する地下水の採取や汚染土壌浄化のための汚染地下水の採取等の地下水の採取にあたって、また、何らかの理由、例えば汚染地下水の採取による地盤沈下の防止或いは抑制のために地中へ水を導入するにあたって、横井戸を形成することに適用できる。
【0032】
本発明は、前記第3の課題を解決するため、次の汚染土壌浄化方法及び汚染土壌浄化装置も提供する。
(1) 汚染土壌浄化方法
地中へ向け立坑を形成する立坑形成工程と、
前記立坑内から地中の汚染土壌領域の下部又はその下方地中領域における目標位置へ向け、該汚染土壌領域からの汚染物質含有地下水を流入させて前記立坑へ導くための、水流入孔(水を流入させる通水孔)を有する集水用横井戸を形成する集水井戸形成工程と、
前記立坑内から前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域における目標位置へ向け、復水を導入するための、水流出孔(水を流出させる通水孔)を有する復水用横井戸を形成する復水井戸形成工程と、
前記集水用横井戸から前記立坑へ流入する汚染物質含有地下水を該立坑から汲み上げて浄化装置へ導き浄化する集水浄化工程と、
前記浄化装置からの浄化水を前記復水用横井戸を介して前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域へ向け導入する復水工程とを含み、
前記集水井戸形成工程及び前記覆水井戸形成工程は、それぞれ、
横井戸を構成するための順次接続延長される短井戸管群であって、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成されるとともに該通水孔が水分解性栓部材で閉塞された1又は2本以上の短井戸管を含む短井戸管群を予め準備しておく短井戸管準備工程と、
前記立坑内から前記地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に前記短井戸管を順次接続延長しながら、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、1番目の短井戸管を該地中の目標位置に到達させる工程と、 該1番目の短井戸管の地中目標位置到達後に、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを含んでいる
横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法。
【0033】
(2) 汚染土壌浄化装置
地中へ向け形成した立坑と、
前記立坑内から地中の汚染土壌領域の下部又はその下方地中領域における目標位置へ向け形成され、該汚染土壌領域からの汚染物質含有地下水を流入させて前記立坑へ導くための、水流入孔(水を流入させる通水孔)を有する集水用横井戸と、
前記立坑内から前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域における目標位置へ向け形成され、該汚染土壌領域へ復水を導入るすための、水流出孔(水を流出させる通水孔)を有する復水用横井戸と、
汚染物質含有地下水を浄化する浄化装置と、
前記集水用横井戸から前記立坑へ流入する汚染物質含有地下水を該立坑から汲み上げて前記浄化装置へ導くための集水導出装置と、
前記浄化装置からの浄化水を前記復水用横井戸へ導入する復水導入装置と を備えており、
前記集水用横井戸及び前記復水用横井戸は、それぞれ、
横井戸を構成するための順次接続延長される短井戸管群であって、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成されるとともに該通水孔が水分解性栓部材で閉塞された1又は2本以上の短井戸管を含む短井戸管群を予め準備しておく短井戸管準備工程と、
前記立坑内から前記地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に前記短井戸管を順次接続延長しながら、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、1番目の短井戸管を該地中の目標位置に到達させる工程と、 該1番目の短井戸管の地中目標位置到達後に、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを経て形成された横井戸である
横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化装置。
かかる汚染土壌浄化方法、汚染土壌浄化装置のいずれにおいても、「横井戸」とは、水平井戸や、水平ではないが立坑を横切る横方向に延びる井戸を指している。
【0034】
本発明に係る横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法及び装置によると、地中へ向け形成した立坑内から地中の汚染土壌領域の下部又はその下方地中領域へ向け形成した集水用横井戸に、該井戸の水流入孔を通して汚染土壌領域からの汚染物質含有地下水を流入させ、該集水用横井戸を伝わせて立坑内へ流入させる。このように立坑内へ流入してくる汚染物質含有地下水を汲み上げて浄化装置へ導き、そこで浄化する。
【0035】
浄化装置における浄化後の浄化水は、立坑内から前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域へ向け形成した復水用横井戸に導き、その水流出孔から地中へ放出し、自然流下により再び汚染土壌領域を通過させ、集水用横井戸内へ流入させ、浄化装置へ導いて浄化する。
【0036】
このように、地下水が循環する態様で汚染土壌が次第に浄化されていく。集水用横井戸へ流入し、汲み上げられる地下水は再び復水用横井戸を介してもとの地中領域へ戻されるので、地中における水位の変動が抑制されるとともに地盤沈下が抑制され、既存建造物や周辺環境への負荷が低減される状態で汚染土壌が浄化されていく。
【0037】
本発明に係る横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法及び装置によると、集水用横井戸及び復水用横井戸は、本発明に係る横井戸形成方法を実施して形成するので、予めボーリング調査等により位置を調べておくことが可能な汚染土壌領域に対し、立坑内から直線的に形成できるように立坑位置を定めて該立坑を形成し、その立坑から該汚染土壌領域に対し、直線的に形成できるので、各井戸を位置精度高く、容易に形成でき、それだけ汚染土壌領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができる。
【0038】
集水用横井戸及び復水用横井戸は、本発明に係る横井戸形成方法を実施して立坑内から形成するが、該立坑内から地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に、立坑内でも扱える短井戸管を順次接続延長して形成していくので、作業性良好に形成できる。
採用する短井戸管には、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成された1又は2本以上の短井戸管が含まれるが、該通水孔は水分解性栓部材で閉塞されているので、横井戸形成中に、該通水孔から地下水や土砂が短井戸管内へ、さらには立坑内へ流入してくることを抑制でき、特に、この点で、きわめて作業性良好に横井戸を形成できる。
かかる良好な作業性のもとに、集水用横井戸及び復水用横井戸をそれぞれ位置精度高く、容易に形成でき、この点でも、汚染土壌領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができる。
【0039】
なお、かかる汚染土壌浄化方法、汚染土壌浄化装置のいずれにおいても、
前記集水用横井戸や覆水用横井戸の形成においては、前記1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、前記接続延長された短井戸管群中へ、前記栓部材を分解するための水を注入し、該注入水と前記地下水とで前記栓部材を分解させてもよい。
1番目の短井戸管が地中目標位置に到達した状態において、1番目短井戸管の先端開口から地中土砂等が井戸管内へ侵入して、井戸管内を塞ぐ等の不都合が生じる恐れがない場合は、該開口は閉じなくてもよいが、該開口からの土砂等の侵入が無視できない等のような場合は、必要に応じ、該1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、また、前記短井戸管群中へ前記栓部材を分解するための水を注入するときは、その水注入に先立って、該1番目の短井戸管の先端開口を閉塞材で閉じてもよい。
【0040】
本発明に係る横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法及び装置による土壌浄化は既存建造物下の汚染土壌の浄化に限定されるものではないが、汚染土壌領域が既存建造物の下方にある場合でも、立坑位置を該建造物外とすることで、建造物内での作業や建造物内機器類への影響を無しにして、或いは問題にならない程度として、該立坑内から建造物下の汚染土壌領域に対して集水用横井戸及び復水用横井戸を位置精度よく容易に形成でき、たとえ該既存建造物下に基礎杭等の障害物があるような場合でもその障害物の位置を予め調べておくことで、それを避けて精度良く容易に形成でき、それにより汚染土壌を効果的に浄化することができる。また、従来の図8に例示する斜め井戸の場合に比べると浄化困難又は不可能なV字形領域の汚染土壌についても浄化可能である。
【0041】
さらに、例えば、下に浄化対象汚染土壌領域のある建造物とそれに隣り合う建造物との間が狭いとか、建造物と隣地境界間の空間が狭い等により、地上における作業空間が狭く、該空間に従来の井戸管設置装置を配置することが困難又は不可能な場合でも、前記立坑を形成できる空間があれば、該立坑を形成し、該立坑から集水用横井戸や復水用横井戸を形成して汚染土壌を浄化できる。
【0042】
このように本発明に係る横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法及び装置は、汚染土壌領域が既存建造物の下にある場合でも、該汚染土壌を効果的に浄化することが可能である。可能であるならば、既存建造物内から前記立坑を形成してもよい。
また、集水用横井戸や復水用横井戸は、同じ立坑から複数本形成できるから、地中の汚染土壌領域が分散して存在する場合でも、それだけ安価にそれら領域の汚染土壌を浄化できる。
【0043】
本発明の土壌浄化方法において、立坑内へ流入してくる地下水を汲み上げて浄化装置で浄化する集水浄化工程と、浄化装置からの浄化水を復水用横井戸を介して汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域へ向け導入する復水工程とは、土壌の汚染状態等に応じてそれぞれ間欠的に行っても、連続的に行ってもよく、また、該両工程は、交互に実施することも可能であり、要するに全体として地下水が循環するように実施すればよい。例えば、汚染土壌を速やかに浄化したり、地下水位の変動及び地盤沈下を抑制する等のうえで好ましい場合には、両工程を同時的に実施して、水を連続的に循環させるようにしてもよい。
【0044】
地中には通常、地上に近い、地下水が飽和していない不飽和層と、その下の地下水が飽和した飽和層と、さらにその下の地下水を通し難い不透水層とがある。汚染物質含有地下水は該飽和層に溜まりやすいので、集水用横井戸は、例えば、飽和層の底部又は飽和層と不透水層との境界領域に形成する場合を挙げることができる。また、復水用横井戸は、例えば、不飽和層(例えばその底部)や不飽和層と飽和層の境界領域に形成する場合を挙げることができる。
【0045】
集水用横井戸や復水用横井戸は、水平である必要はなく、集水用横井戸についてはその内部の水が自然に立坑内へ流入するような勾配をつけてもよく、復水用横井戸についても内部の水が該井戸の奥側まで行きわたり易いような勾配をつけてもよい。
【0046】
汚染土壌の浄化をより速やかに行うために、汚染土壌浄化方法においては、浄化水を復水用横井戸を介して汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域へ導入するにあたり、該浄化水に浄化剤を添加してもよく、汚染土壌浄化装置においてはそのような浄化剤を添加する浄化剤添加部を復水導入装置に設けてもよい。
【0047】
集水用横井戸の水流入孔は、地下水のうち主として汚染物質含有地下水を該井戸に流入させて効率よく汚染土壌浄化を行えるように、該集水用横井戸のうち汚染土壌領域に臨む部分に形成することが好ましい。
また、復水用横井戸の水流出孔についても、効率よく汚染土壌浄化を行う等のうえで、該復水用横井戸のうち汚染土壌領域に臨む部分に形成することが好ましい。
【0048】
また、集水用横井戸や復水用横井戸に土砂等が流入してそれら井戸内外間や、それら井戸内での水の流れが悪化することを抑制するために、少なくとも一方の井戸、特に地下水が流入してくる集水用横井戸については、その奥端部を閉塞材等で閉塞しておいてもよい。
【発明の効果】
【0049】
以上説明したように本発明によると、次の利点を有する横井戸形成方法を提供することができる。
(1) 保護或いは保存すべき自然環境等を損なったり、既存建造物に妨げられたりすることなく、地中の目標位置へ向け、作業性良好に横井戸を形成できる。
(2) 地上における作業空間が狭く、該空間に、従来の斜め井戸管や、斜め井戸管とそれから延在する水平井戸管を設置するための装置を配置することが困難又は不可能な場合でも、立坑を形成できる地上空間があれば、該立坑内から横井戸を形成することができる。
(3) 横井戸を形成すべき地中の目標位置が地中に分散して存在している場合でも、安価に、それら目標位置へ向けて横井戸を形成できる。
【0050】
また、本発明によると、かかる横井戸形成方法に利用できる短井戸管を提供することができる。
【0051】
さらに本発明によると、かかる横井戸形成方法及び短井戸管を利用して次の利点を有する汚染土壌の浄化方法及び装置を提供することができる。
(1) 地中の汚染土壌を地下水位の変動や地盤沈下を抑制しつつ、それだけ自然環境等への負荷を低減して浄化できる。
(2) 汚染土壌領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができ、汚染土壌領域が既存建造物の下方にある場合でも、該領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができる。
(3) 汚染土壌浄化用井戸の設置のための地上における作業空間が狭く、該空間に従来の斜め井戸管や斜め井戸管とそれから延在する水平井戸管を設置する装置を配置することが困難又は不可能な場合でも、立坑を形成できる地上空間があれば汚染土壌浄化用井戸を形成して汚染土壌を浄化できる。
(4) 地中の汚染土壌領域が分散して存在する場合でも安価にそれら領域の汚染土壌を浄化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る横井戸(本例では水平井戸)による地下水循環型汚染土壌浄化装置を側面からみて概略的に示す図であり、図2は同装置の一部を平面から見て、残部を図1と同じ側面から見て示す図である。
【0053】
図示例の汚染土壌浄化装置は地盤L上の(地上の)既存建造物BL下方に存在している地中汚染土壌領域CAの汚染土壌を浄化しようとするものである。
図示例の装置は、地上から地中へ向け形成した立坑1を含んでいる。立坑1は既存建造物BL外の地上から形成されている。
立坑1内から汚染土壌領域CAの下部へ向け、地盤Lの飽和層L2と不透水層L3の境界領域に集水用水平井戸2が形成されているとともに、領域CAの上部へ向け、不飽和層L1の底部領域に復水用水平井戸3が形成されている。なお、図1中、Bは隣地との境界を示している。
【0054】
水平井戸2、3のそれぞれは建造物BLの地中基礎杭CLを避けて真っ直ぐ形成されている。集水用水平井戸2は、汚染土壌領域CAに臨む部分に分散形成されたスリット状の複数の水流入孔21を有しており、復水用水平井戸3は領域CAに臨む部分に分散形成されたスリット状の複数の水流出孔31を有している。各井戸の立坑1から遠い方の端部は閉塞材cmにて、土砂が進入してこないように閉じてある。集水用水平井戸2は閉塞端部から立坑1へ向かって僅かに下り傾斜して立坑1内へ開口しており、復水用井戸3は閉塞端部から立坑1へ向かって僅かに上り傾斜して立坑1内へ開口している。
【0055】
地上には浄化装置5を設置してある。浄化装置5は、本例では、汚染物質含有地下水を加熱するとともに曝気処理する加熱曝気部51と、ここから上昇してくる気体から揮発性有機化合物を吸着除去して残り気体を大気中へ放出する活性炭吸着部52とからなっている。なお、浄化装置はこれに限定されるものではなく、汚染物質の種類等において適当な浄化装置を選択採用することができる。
【0056】
さらに、立坑1の底部から浄化装置5の加熱曝気部51へかけて集水導出装置4を設けてあるとともに、浄化装置5の加熱曝気部51から復水用水平井戸3の入口へかけて復水導入装置6を設けてある。
【0057】
集水導出装置4は、立坑1の底部に設置した水汲み上げ用のポンプP1、ポンプP1で汲み上げられてくる水を浄化装置5の加熱曝気部51へ供給するポンプP2及びこれらを接続する配管41からなっている。
【0058】
復水導入装置6は、加熱曝気部51らか水を復水用水平井戸3へ送るためのポンプP3、井戸3の入口に接続した逆止弁V1、これらを接続する配管61、配管の途中に接続された浄化剤添加部60を含んでいる。
【0059】
立坑1、集水用水平井戸2、復水用水平井戸3の形成については、これらのうち先ず立坑1を形成する。立坑1はそれ自体既に知られている立坑掘削手法や装置を採用する等して形成できる。集水用水平井戸2、復水用水平井戸3については立坑1形成後に該立坑を利用して形成するが、その順序はいずれからでもよく、本例では、集水用水平井戸2を、その後に復水用水平井戸3を形成する。
【0060】
図3はこれら井戸を形成する様子を示している。
図3に示す例では、集水用水平井戸2は立坑1内底部に設置した小型掘進機M1で形成し、復水用水平井戸3は井戸2の形成後、掘進機M1を除去したあと、立坑1内に構築する仮設台30上に設置の小型掘進機M2を用いて形成する。
【0061】
集水用水平井戸2は例えば次のようにして形成する。すなわち、掘削刃を有する掘削用シュー81に接続した、排土用螺旋羽根83を有する管形態の推進軸82を掘進機M1で回転駆動しつつ地盤Lを掘り進んで行く。また、推進軸82に外嵌した鞘管8を掘進機M1で掘削穴内に押し込んでいく。さらに鞘管8に外嵌した井戸管2を鞘管8の押し込みにともなって後方から押し込んでいく。この間、螺旋羽根83で鞘管8内から排出されてくる土砂等は地上に配置したクレーン車7のクレーンで立坑1内に昇降させるバケット71にて立坑外へ排出する。このようにして井戸管2を所定位置に到達させる。
【0062】
次いで管形態の推進軸82を利用して鞘管8の、後述するように残し置かれる先端管800(図4参照)の周辺領域へグラウト材を注入し、その後、推進軸82及び掘削用シュー81を抜き出し、また、鞘管8を先端管800を残して井戸管2から抜き出し、さらに残った井戸管2の奥に図示省略の袋を挿入し、これに接続したホースで該袋内にセメントミルク等の硬化材を注入し、その後ホースを抜き出し、かくして、先端部をグラウト材及び袋入り硬化材からなる閉塞材cm(図1参照)で塞がれた井戸管を得る。
【0063】
さらにその後、該井戸管2内に水を注入し、井戸管2周囲の地下水と該注入した水とで、後ほど詳述する井戸管の水流入孔21を塞いでいる水分解性栓部材P(図4〜図6参照)を分解させ、水流入孔21に通水性を得て集水用水平井戸2を形成する。
なお、栓部材Pを分解させるための井戸管内への水注入は、必ずしも要しないが、栓部材Pの分解を速めたい場合には、このように水注入すればよい。
【0064】
推進軸82は、図4に示す螺旋羽根831a付きの1番目の短推進軸821a及びその後これに次々と継ぎ足されていく、図5や図6に示す螺旋羽根831付きの2番目以後の複数の短推進軸821から形成される。1番目短推進軸821aの先端部は掘削用シュー81に接続され、2番目以後の短推進軸821はそれらの先端雄ネジ821smを先行の短推進軸の後端雌ネジ821sfに螺着し、且つ、図示省略の、後で取り外しできるピン等により相互に回り止めして先の短推進軸に接続される。
これら短推進軸821a、821は、予め地上において準備され、クレーン車7のクレーンで立坑1内に順次搬入される。使用後は、立坑1内から順次回収撤去可能である。これら短推進軸821a、821は立坑1内で扱えるサイズに形成してある。
【0065】
鞘管8は、図4に示す、先端を斜めにカットした先端管800に先端が離反可能に当接される1番目の短鞘管80(80a)及びその後これに次々と継ぎ足されていく、図5や図6に示す2番目以後の複数の短鞘管80から形成される。図4に示すように、1番目の短鞘管80aの後端部にはリング部材80Rが嵌着されている。リング部材80Rはその一部が短鞘管80aより後方に突出しており、該突出部分に複数のピン係合孔Hを形成してある。2番目以後の各短鞘管80は、先端部に前記ピン係合孔Hに対応させるピン孔hを有しているとともに後端部に前記と同じリング部材80Rを嵌着してある。2番目以後の各短鞘管80はその先端部を先の短鞘管後端部のリング部材80Rに嵌め込み、図示省略の、後で抜き取り可能のピンをピン係合孔H及びピン孔hに嵌め込むことで先の短鞘管に順次接続することができる。
これら短鞘管80a、80も、予め地上において準備され、クレーン車7のクレーンで立坑1内に順次搬入される。使用後は、立坑1内から順次回収撤去可能である。これら短鞘管80a、80も立坑1内で扱えるサイズに形成してある。
【0066】
井戸管2は、図4、図5、図6に示す短井戸管20を複数継ぎ足して形成される。該継ぎ足し接続は、後の短井戸管20の先端段差部20smを先の短井戸管20の後端段差部20sfに嵌合することで行える。
各短鞘管80の掘削穴内への押し込みは掘進機M1で行うが、このとき、例えば短鞘管80のリング部材80Rに、全体がリング形状の、フランジ付き押し込み部材PS(図4等参照)を嵌め、該部材PSを介して押し込むようにし、そうすることで、該部材PSのフランジ部で短井戸管20の後端を押し込むようにして、短井戸管20も掘削穴内へ押し込める。
これら短井戸管20も、予め地上において準備され、クレーン車7のクレーンで立坑1内に順次搬入される。これら短井戸管20も立坑1内で扱えるサイズに形成してある。
【0067】
汚染土壌領域CAに臨む短井戸管20には図4や図5に示すように周壁に水流入孔21を形成してあるが、領域CAに臨まない短井戸管20には、図6に示すように、このような孔を形成していない。
【0068】
水流入孔21を形成した短井戸管20については、その水流入孔21に予め水分解性の栓部材Pを嵌着して、該孔を閉塞しておく。
水流入孔21はスリット形状の孔であり、栓部材Pは、図7に拡大して示すように、スリット形状孔21に嵌着できる形状及びサイズに形成してある。
【0069】
栓部材Pは、水分解性を有し、樹脂成分の配合割合によって分解速度を制御できる合成樹脂〔本例では日本合成化学工業株式会社製の酢酸ビルニを重合して得られるポリ酢酸ビニルを鹸化させた水酸基を持つ水溶性のビニル樹脂(商品名:ゴーセノール)〕からなっている。ここでの栓部材Pは水中において、表面が厚さにして1日約1mm程度溶ける。
【0070】
栓部材の形状やサイズ等は、水流入孔(通水孔)のサイズ、形状等に応じて選択、決定すればよい。それとは限定されないが、本例では、スリット形状の水流入孔21として、肉厚3mmの短井戸管20の周壁に長さ90mm、幅3mmの孔を形成し、該孔に、図7に示すように、厚さtが略3mm、高さh=15mmの台形状の栓部材Pを、その高さh方向における中央部分が短井戸管20の周壁部分に位置するように、楔の如く該孔に嵌着する。
【0071】
井戸管2を残して推進軸82や鞘管8を抜き出すときは、これらを立坑1内へ引き戻しつつ、順次、個々の短推進軸821、821aに、また、個々の短鞘管80、80aに分解し、さらに、クレーン車7で順次これらを立坑1内から回収撤去する。
【0072】
復水用水平井戸3についても集水用水平井戸2と同様に掘削用シュー、短推進軸、短鞘管、短井戸管を用いて掘進機M2で形成する。
なお、掘進機M1、M2としては、それとは限定されないが、例えば、既に知られている、地中管設置用の掘進機を利用できる。1番目の短推進軸821a及びこれに順次継ぎ足されていく2番目以後の短推進軸821を該掘進機により回転駆動し、前進させる。
【0073】
以上説明した、汚染土壌浄化装置によると次のように汚染土壌を浄化できる。
すなわち、集水用水平井戸2に、該井戸の、前記栓部材Pが水で溶解してしまった水流入孔21を通して汚染土壌領域CAからの汚染物質含有地下水を自然流入させ、集水用水平井戸2を伝わせて立坑1内へ流入させる。このように立坑1内へ流入してくる汚染物質含有地下水を集水導出装置4における立坑1内ポンプP1で汲み上げ、さらにポンプP2で浄化装置5へ導き、そこで浄化する。
【0074】
浄化装置5における浄化後の浄化水は、立坑1内から汚染土壌領域CAの上部へ向け形成した復水用平井戸3に復水導入装置6で導き、該井戸の、栓部材が水で溶解してしまった水流出孔31から地中へ放出し、自然流下により再び汚染土壌領域CAを通過させ、再び集水用水平井戸2内へ流入させ、浄化装置5へ導いて浄化する。また、汚染物質の種類等に応じて、必要に応じ或いはそうすることが好ましいときには、浄化剤添加部60から適当な浄化剤を投入して土壌浄化を促進させる。なお、本例では、汚染物質含有地下水の集水及び浄化と、浄化水の復水とを同時的に実施して水を連続的に循環させる。
【0075】
このように、地下水が循環する態様で汚染土壌が次第に浄化されていく。集水用水平井戸2へ流入し、汲み上げられる地下水は再び復水用水平井戸3を介してもとの地中領域へ戻されるので、地中における水位の変動が抑制されるとともに地盤沈下が抑制され、既存建造物BLや周辺環境への負荷が低減される状態で汚染土壌が浄化されていく。
【0076】
以上説明した汚染土壌浄化方法及び装置によると、集水用水平井戸2及び復水用水平井戸3は、予めボーリング調査等により位置を調べておくことが可能な汚染土壌領域CAに対し、立坑1内から真っ直ぐ形成できるので、井戸2、3を位置精度を高く、容易に形成でき、それだけ汚染土壌領域CAの汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができる。
【0077】
集水用水平井戸2及び復水用水平井戸3は、立坑1内から、立坑1内でも扱える短推進軸821a、821及び短鞘管80a、80を用いて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に、立坑1内でも扱える短井戸管20を挿入し、且つ、それらを順次接続延長して形成していくので、作業性良好に形成できる。
【0078】
採用する短井戸管には、地中領域との間で通水を行う通水孔(水流入孔21又は水流出孔)が周壁に形成された1又は2本以上の短井戸管20が含まれるが、該通水孔は水分解性栓部材Pで閉塞されているので、水平井戸2、3を形成中に、該通水孔から地下水や土砂が井戸管内へ、さらには立坑内へ流入してくることを抑制でき、特に、この点で、きわめて作業性良好に水平井戸2、3を形成できる。
かかる良好な作業性のもとに、集水用水平井戸2及び復水用水平井戸3をそれぞれ位置精度高く、容易に形成でき、この点でも、汚染土壌領域の汚染土壌を容易に精度よく効果的に浄化することができる。
【0079】
汚染土壌領域CAが既存建造物BLの下方にあるにも拘らず、立坑1の位置を建造物BL外とすることで、建造物内での作業や建造物内機器類への影響を無しにして、或いは問題にならない程度として、該立坑1内から建造物BL下の汚染土壌領域CAに対して集水用水平井戸2及び復水用水平井戸3を位置精度よく容易に形成でき、建造物下に基礎杭CLがあっても、その位置を予め調べておくことで、それを避けて精度良く容易に形成でき、それにより汚染土壌を効果的に浄化することができる。また、従来の図8に例示する斜め井戸の場合に比べると浄化困難又は不可能なV字形領域の汚染土壌についても浄化可能である。
【0080】
さらに、地上における作業空間が狭く、該空間に従来の井戸管設置装置を配置することが困難又は不可能な場合でも、立坑1を形成できる空間があれば、該立坑を形成し、該立坑から集水用水平井戸2や復水用水平井戸3を形成して汚染土壌を浄化できる。
【0081】
このように汚染土壌領域CAが既存建造物BLの下にある場合でも、該汚染土壌を効果的に浄化することが可能である。なお、可能であるならば、建造物BL内から立坑1を形成してもよい。
【0082】
また、集水用水平井戸2や復水用水平井戸3は、同じ立坑1から複数本形成できるから、地中の汚染土壌領域が分散して存在する場合でも、それだけ安価にそれら領域の汚染土壌を浄化できる。
【0083】
なお、集水用水平井戸2及び(又は)復水用水平井戸3には、栓部材Pが分解してしまった井戸管の通水孔から土砂が侵入してくることを防止するため、通水性を有するが土砂の通りは阻止するフィルター部材を井戸(井戸管)の内周面に沿って配置してもよい。
【0084】
以上説明した集水用水平井戸2や復水用水平井戸3の形成手法は、地下水を飲料水や工業用水等として採取する場合などにも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、地下水を採取したり、地中に水を導入する分野において利用できる。
また、本発明は、重金属、揮発性有機化合物(VOC)等で汚染された土壌の浄化に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る横井戸(図示例では水平井戸)による地下水循環型汚染土壌浄化装置を側面からみて概略的に示す図である。
【図2】図1に示す装置の一部を平面から見て、残部を図1と同じ側面から見て示す図である。
【図3】集水用水平井戸及び復水用水平井戸を形成する様子を示す図である。
【図4】集水用水平井戸を形成するための地盤掘削用シュー、これに接続された1番目の短推進軸、該短推進軸に外嵌された1番目の短鞘管及び該短鞘管に外嵌された1番目の短井戸管の断面図である。
【図5】2番目以後の短推進軸、短鞘管及び短井戸管の例の断面図である。
【図6】2番目以後の短推進軸、短鞘管及び短井戸管の他の例の断面図である。
【図7】栓部材の1例の斜視図である。
【図8】汚染土壌浄化の従来例を示す図である。
【図9】汚染土壌浄化の他の従来例を示す図である。
【図10】汚染土壌浄化のさらに他の従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 立坑
2 集水用水平井戸(井戸管)
21 水流入孔(水流入用の通水孔)
20 短井戸管
20sm 短井戸管の先端段差部
20sf 短井戸管の後端段差部
h ピン孔
3 復水用水平井戸
31 水流出孔
cm 閉塞材
P 栓部材
4 集水導出装置
P1、P2 ポンプ
41 配管
5 浄化装置
51 加熱曝気部
52 活性炭素吸着部
6 復水導入装置
P3 ポンプ
V1 逆止弁
60 浄化剤添加部
61 配管
BL 既存建造物
CL 基礎杭
B 境界
CA 汚染土壌領域
L 地盤
L1 不飽和層
L2 飽和層
L3 不透水層
7 クレーン車
71 バケット
30 仮設台
M1、M2 掘進機
8 鞘管
80、80a 短鞘管
80R リング部材
H ピン係合孔
81 掘削用シュー
82 推進軸
83、831a、831 螺旋羽根
821a、821 短推進軸
821sm 短推進軸の先端雄ネジ
821sf 短推進軸の後端雌ネジ
800 先端管
PS 押し込み部材PS

91、94 既存建造物
921 、921 ’、922 、922 ’斜め井戸
93 V字形領域
95、97 井戸管設置装置
951 ケーシングパイプ
952 掘削シュー
953 推進軸
96 井戸管
971 推進軸
98 井戸管
981、982 対井戸管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横井戸を構成するための順次接続延長される短井戸管群であって、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成されるとともに該通水孔が水分解性栓部材で閉塞された1又は2本以上の短井戸管を含む短井戸管群を準備する短井戸管準備工程と、
地中へ向け立坑を形成する立坑形成工程と、
前記立坑内から地中の目標位置へ向け横井戸を形成する横井戸形成工程とを含み、
前記横井戸形成工程は、
前記立坑内から地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に前記短井戸管を順次接続延長しながら、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の前記地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、1番目の短井戸管を前記地中の目標位置に到達させる工程と、
前記1番目の短井戸管の前記地中目標位置到達後に、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを含んでいる
ことを特徴とする横井戸形成方法。
【請求項2】
前記1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、前記接続延長された短井戸管群中へ、前記栓部材を分解するための水を注入し、該注入水と前記地下水とで前記栓部材を分解させる請求項1記載の横井戸形成方法。
【請求項3】
前記1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、前記1番目の短井戸管の先端開口を閉塞材で閉じる請求項1又は2記載の横井戸形成方法。
【請求項4】
周壁に通水孔が形成されているとともに該通水孔が水分解性の栓部材で閉塞された、請求項1から3のいずれかに記載の横井戸形成方法に用いる短井戸管。
【請求項5】
地中へ向け立坑を形成する立坑形成工程と、
前記立坑内から地中の汚染土壌領域の下部又はその下方地中領域における目標位置へ向け、該汚染土壌領域からの汚染物質含有地下水を流入させて前記立坑へ導くための、水流入孔を有する集水用横井戸を形成する集水井戸形成工程と、
前記立坑内から前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域における目標位置へ向け、復水を導入するための、水流出孔を有する復水用横井戸を形成する復水井戸形成工程と、
前記集水用横井戸から前記立坑へ流入する汚染物質含有地下水を該立坑から汲み上げて浄化装置へ導き浄化する集水浄化工程と、
前記浄化装置からの浄化水を前記復水用横井戸を介して前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域へ向け導入する復水工程とを含み、
前記集水井戸形成工程及び前記覆水井戸形成工程は、それぞれ、
横井戸を構成するための順次接続延長される短井戸管群であって、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成されるとともに該通水孔が水分解性栓部材で閉塞された1又は2本以上の短井戸管を含む短井戸管群を予め準備しておく短井戸管準備工程と、
前記立坑内から前記地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に前記短井戸管を順次接続延長しながら、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、1番目の短井戸管を該地中の目標位置に到達させる工程と、
該1番目の短井戸管の地中目標位置到達後に、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを含んでいる
ことを特徴とする横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法。
【請求項6】
前記集水井戸形成工程及び前記覆水井戸形成工程のいずれにおいても、前記1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、前記接続延長された短井戸管群中へ、前記栓部材を分解するための水を注入し、該注入水と前記地下水とで前記栓部材を分解させる請求項5記載の横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化方法。
【請求項7】
地中へ向け形成した立坑と、
前記立坑内から地中の汚染土壌領域の下部又はその下方地中領域における目標位置へ向け形成され、該汚染土壌領域からの汚染物質含有地下水を流入させて前記立坑へ導くための、水流入孔を有する集水用横井戸と、
前記立坑内から前記汚染土壌領域の上部又はその上方地中領域における目標位置へ向け形成され、該汚染土壌領域へ復水を導入るすための、水流出孔を有する復水用横井戸と、 汚染物質含有地下水を浄化する浄化装置と、
前記集水用横井戸から前記立坑へ流入する汚染物質含有地下水を該立坑から汲み上げて前記浄化装置へ導くための集水導出装置と、
前記浄化装置からの浄化水を前記復水用横井戸へ導入する復水導入装置と を備えており、
前記集水用横井戸及び前記復水用横井戸は、それぞれ、
横井戸を構成するための順次接続延長される短井戸管群であって、地中領域との間で通水を行う通水孔が周壁に形成されるとともに該通水孔が水分解性栓部材で閉塞された1又は2本以上の短井戸管を含む短井戸管群を予め準備しておく短井戸管準備工程と、
前記立坑内から前記地中の目標位置へ向けて横方向掘削穴を形成していくとともに該横方向掘削穴に前記短井戸管を順次接続延長しながら、且つ、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管が通水対象の地中領域に臨む位置に配置されるように挿入していくことで、1番目の短井戸管を該地中の目標位置に到達させる工程と、
該1番目の短井戸管の地中目標位置到達後に、前記栓部材で閉塞された通水孔を有する短井戸管における該栓部材の、少なくとも地下水による分解にて、該通水孔の通水性を得る工程とを経て形成された横井戸である
ことを特徴とする横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化装置。
【請求項8】
前記1番目の短井戸管が前記地中の目標位置に到達した後、前記接続延長された短井戸管群中へ、前記栓部材を分解するための水を注入し、該注入水と前記地下水とで前記栓部材を分解させる請求項7記載の横井戸による地下水循環型汚染土壌浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−233712(P2006−233712A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53915(P2005−53915)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(591165919)株式会社新井組 (13)
【出願人】(000164885)栗本化成工業株式会社 (32)
【出願人】(000112196)株式会社ピーエス三菱 (181)
【出願人】(592195676)株式会社ベストエンジニアリング (3)
【出願人】(594082604)真柄建設株式会社 (8)
【出願人】(591214804)株式会社松村組 (14)
【出願人】(304038149)村本建設株式会社 (11)
【出願人】(504151734)株式会社森本組 (6)
【Fターム(参考)】