説明

横向き自立式のケース

【課題】ケースを横方向に自立させて、ケースの転倒を抑制するとともに、陳列棚の上に商品を目立ち易くディスプレイでき、運搬や保管が容易なスペース横向き自立式のケースを提供する。
【解決手段】1枚のシートの一端から他端に向かって、少なくとも糊代片と前面板と後面板とが順次一体形成され、前記糊代片を前記後面板の外面に固着することで形成された横向き自立式のケースにおいて、前記ケースを横向きに自立させる脚板が、少なくとも前記シートの糊代片側の端から一体的に延出され、前記脚板と前記糊代片との間には第1の折り線が形成され、前記脚板の第1の折り線側の一部には、前記糊代片から切り離された支持突起が一体形成され、前記脚板を前記第1の折り線を中心として谷折りする際、前記支持突起が、前記第1の折り線より前記後面板の方向へ突出して該後面板に係合することで、前記脚板を固定することを特徴とする横向き自立式のケース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横向き自立式のケース、詳しくは横方向に自立させた状態で、ケース内の商品(収納物)をディスプレイする横向き自立式のケースに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を陳列棚に陳列する際、商品の美観(見映え)を高めて客の購買意欲を高めるものとして、ピロー型ケースが知られている。従来のピロー型ケースとして、例えば特許文献1および特許文献2に記載された「プラスチックケース」が知られている。これらは、ケース下側の開口端をケース長さ方向に直交するフラットな端面としたり(特許文献1)、ケース下側の開口端に一対の脚片を突設させる(特許文献2)ことにより、陳列棚の上でこのケースを縦方向に自立させるものである。
しかしながら、ケースを縦方向に自立させれば、その分、商品を収めたケースの重心が高くなって転倒しやすくなり、転倒時に商品が破損するおそれがあった。
また、ケースを陳列棚の上に縦方向に自立させてディスプレイしても、陳列棚の全長におけるケース占有幅が狭い分だけ、商品が目立ち難いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−341647号公報
【特許文献2】特開2003−341662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、1枚のシートから一体的に打ち抜かれた糊代片と前面板と後面板とを主な構成体とするケースを、糊代片に一体形成された脚板によって横方向に自立させるようにすれば、これを縦方向に自立させた場合に比べて、ケースの重心が低くなってケースの転倒が少なくなり、陳列棚上でのケースの占有幅も広がって商品が目立ち易いくなるとともに、脚板が糊代片に一体形成されているので、組み立て前や組み立て後も折り畳んだ状態では平面状となり、嵩張らずに運搬や保管が容易になることを知見し、この発明を完成させた。
【0005】
かくして、本発明は、ケースを横方向に自立させて、ケースの転倒を抑制するとともに、陳列棚の上に商品を目立ち易くディスプレイすることができるとともに、運搬や保管が容易になるスペース横向き自立式のケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1枚のシートの一端から他端に向かって、少なくとも糊代片と前面板と後面板とが順次一体形成され、前記糊代片を前記後面板の外面に固着することで形成された横向き自立式のケースにおいて、前記ケースを横向きに自立させる脚板が、少なくとも前記シートの糊代片側の端から一体的に延出され、前記脚板と前記糊代片との間には第1の折り線が形成され、前記脚板の第1の折り線側の一部には、前記糊代片から切り離された支持突起が一体形成され、前記脚板を前記第1の折り線を中心として谷折りする際、前記支持突起が、前記第1の折り線より前記後面板の方向へ突出して該後面板に係合することで、前記脚板を固定することを特徴とする横向き自立式のケースである。
【0007】
また、本発明の横向き自立式のケースは、前記後面板の一部に、前記支持突起の差し込み口を形成するように構成してもよい。
また、前記支持突起の差し込み口に、略縦方向の切れ目が入るように構成してもよい。
【0008】
また、本発明の横向き自立式のケースは、ケースの後面板を、ケースの外側に向かって、ケースの上部および下部を頂点とする凸円弧状に形成するように構成としてもよい。
【0009】
また、本発明の横向き自立式のケースは、1枚のシートの一端から他端に向かって、糊代片と前面板と後面板とが順次一体形成され、前記前面板と前記後面板とを互いの間に形成された第2の折り線を中心にして山折りするとともに、前記糊代片と前記前面板との間に形成された第3の折り線を中心にして前記糊代片を山折りし、その後、該糊代片を前記後面板の外面に固着することで形成されたピロー型ケースとするように構成してもよい。
【0010】
さらに、本発明の横向き自立式のケースは、前記前面板および前記後面板の各左右の開口端部に、長さ方向の中間部が凹んだ円弧状折り線を介して、前記ピロー型ケースの左右の開口部を閉塞する一対の蓋板を一体形成するように構成してもよい。
【0011】
さらにまた、本発明の横向き自立式のケースは、前記前面板と前記後面板との少なくとも1つの長さ方向の中間部に、窓部を形成するにように構成してもよい。
【0012】
また、本発明の横向き自立式のケースは、内部空間に、物品を保持する内箱が嵌入されるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、シートの糊代片側の端から一体に延出した脚板を、第1の折り線を中心にして谷折りすることにより、脚板がケースを自立すべく所定の方向へ向くとともに、支持突起が後面板の方向へ突出して脚板を固定する。これにより、ケースを横方向に自立させて、ケースの転倒を抑制するとともに、陳列棚の上に物品(商品)を目立ち易くディスプレイすることができる。しかも、ケースを構成するすべての構成部品(脚板および支持突起を含む)が1枚のシートから一体形成されたものであるので、畳めば平面状となり運搬や保管が容易になる。
【0014】
また、後面板の一部に、支持突起の差し込み口を形成した場合には、より堅固に脚板を固定することができ、ケースの自立保持性を高めることができる。
また、前記支持突起の差し込み口に、略縦方向の切れ目が入れた場合には、支持突起を差し込み口へ挿入しやすくするとともに、支持突起を挿入した際、切れ目部分がケースの内側または外側に若干ずれ、脚部の固定をサポートする。これにより、より堅固に脚板を固定することができ、ケースの自立保持性を高めることができる。
【0015】
また、ケースの後面板を、ケースの外側に向かって、ケースの上部および下部を頂点とする凸円弧状に形成した場合、支持突起が後面板に係合し、脚部を固定する度合いが強くなるので、より堅固に脚板を固定することができ、ケースの自立保持性を高めることができる。
【0016】
また、そもそも横方向に自立しないケース(例えばピロー型ケース)を採用した場合であっても、脚板および支持突起により、容易に横方向へ自立可能にすることができる。
【0017】
さらに、前面板および後面板の各左右の開口端部に、長さ方向の中間部が凹んだ円弧状折り線を介して、ケースの左右の開口部を閉塞する一対の蓋板を一体形成するように構成してもよい。このようにすれば、ケース内に収納した商品が抜け出ない。
【0018】
さらにまた、前面板と後面板との少なくとも1つの長さ方向の中間部に、窓部を形成するように構成してもよい。この場合には、例えば商品の出し入れが容易になるとともに、カレンダーの場合には、それへの書き込みが容易となる。
【0019】
また、ケースの内部空間に、物品を保持する内箱を収納するように構成してもよい。その場合には、内箱の形状を工夫することにより、様々な形状の商品をディスプレイできる。例えば、ケースの内部空間で転がり易い小物もディスプレイが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施例1に係る横向き自立式のピロー型ケースの背面からの使用状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例1に係る横向き自立式のピロー型ケースの脚板と差し込み口との要部拡大背面図である。
【図3】この発明の実施例1に係る横向き自立式のピロー型ケースの展開図である。
【図4】この発明の実施例2に係る横向き自立式のピロー型ケースの内箱を嵌入した使用状態を示す斜視図である。
【図5】この発明の実施例2に係る横向き自立式のピロー型ケースの背面からの使用状態を示す斜視図である。
【図6】この発明の実施例2に係る横向き自立式のピロー型ケースの展開図である。
【図7】この発明の実施例3に係る横向き自立式のピロー型ケースのカレンダーを収納し、後面板の中央部に窓部が形成されたものの使用状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の実施例3に係る横向き自立式のピロー型ケースの展開図である。
【図9】この発明の実施例4に係る横向き自立式のケースを自立させた状態の右側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ケースについて
本発明のケースは、1枚のシートの一端から他端に向かって、少なくとも糊代片と前面板と後面板とが順次一体形成され、該糊代片を前記後面板の外面に固着することで形成されたケースである。本発明のケースは、脚板と、脚板を固定する支持突起によって横向きに自立可能な自立式のケースである。「横向き自立式」とは、長さ(筒長さ)方向を横に向けた状態(横置き状態)で、起立させる方式をいう。
【0022】
本ケースの形状は、総じて筒状または略直方体状・台形状であるが、糊代片、前面板および後面板があれば、特に制限はない。よって、糊代片と前面板との間または、前面板と後面板との間にある、辺板(板状部分)の数も特に制限はない。例えば、後述実施例4で示したとおり、前面板と後面板との間に上面板があり、前面板と糊代片との間に下面板を有するケースも含まれる。
【0023】
支持突起が係合するケースの後面部が、ケースの外側に向かって、ケースの上部および下部を頂点とする凸円弧状に形成されることが好ましい。支持突起との係合の観点から、より堅固に脚板を固定することができ、ケースの自立保持性を高めることができる。例えば、差し込み口がない場合、支持突起を上向きに反らせた際、反る度合いが強くなる。また、差し込み口がある場合、支持突起を差し込み口へ挿入して、支持突起を斜め上向き、脚板を斜め下向きの状態にすると、差し込み口の上部分が僅かにケースの外側にずれるため、谷折りが戻る力に対して、抵抗がつき、脚板が固定される。
【0024】
「ピロー型ケース」とは、前面板と後面板とこれらを連結する糊代片とを有した枕型(タイコ型)の筒状ケースである。例えば、後述実施例1〜3で示したケースである。
ケースに入れる物品は、特に制限はない。例えば、タオル、口紅、カレンダーなどである。
【0025】
(開口部)
ケースは、(筒)長さ方向の両端が開口したものでも、その両端が少なくとも一対の蓋板により閉塞されたものでもよい。蓋板によりケース両端を閉じれば、収納した物品が開口部から抜け出さない。
【0026】
(内箱)
また、ケースの内部空間に、物品を保持する内箱を嵌入するようにしてもよい。物品が小物の商品の場合には、内箱がなければケースの中で転がってしまい、ディスプレイできないものも存在する(例えば、口紅のような、円柱状の物品である。)。この場合、ケースの長さ方向の両端が開口(開放)している方が、内箱の出し入れがし易くて好ましい。内箱の形状は特に限定はない。
【0027】
(窓部)
ケースの前面板と後面板との少なくとも一方に窓部を形成してもよい。窓部の形状、形成数は限定されない。また、窓部の形成位置としては、例えば前面板と後面板との少なくとも一方のうち、その長さ方向の中間部などが挙げられる。カレンダーの場合、前面板に前記窓部を形成しておけば、カレンダーに書き込み可能となる。
【0028】
(シート)
シートの素材としては、例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドなど各種の合成樹脂を採用することができる。その他にも厚紙、ボール紙などの各種の紙を採用することができる。シートの厚さは、特に制限はないが、一般的に、合成樹脂であれば0.2mm〜0.5mm、紙であれば160kg〜400kgが用いられる。
シートの形状としては、例えば、正方形、長方形などの略矩形状を採用することができる。
糊代片と前面板と後面板とは、順次1枚のシートから一体的(連続)に形成される。糊代片と前面板との間または、前面板と後面板との間に他の辺板がある場合でも同様である。糊代片と前面板と後面板との各形状は一般に矩形状ではあるものの、任意である。
【0029】
ここでいう「山折り」とは、折り目が外側になるようにシートを折ることをいう。
ここでいう「谷折り」とは、折り目が内側になるようにシートを折ることをいう。
糊代片を後面板の外面に固着する方法としては、ホットメルトを含む接着剤による接着や熱融着を採用することができる。糊代片は、全面を固着することも可能であるが、支持突起を突出させるため、一部分(好ましくは下部半分)のみ固着することでも構わない。
【0030】
(脚板)
脚板とは、少なくともシートの糊代片側の端(糊代片の第1の折り線側)から一体的に延出し、横向きに配置されたケースを自立させる板片である。脚板の形状、幅、長さおよび形成数などは限定されない。この脚板の位置は、後面板上であれば特に制限はないが、後面板の半分より下側に配置することが好ましい。ケースを自立させた際の接地面と脚板が成す角度も特に制限はない。
【0031】
(支持突起)
支持突起とは、糊代片から切断されて脚板の元側の端に一体形成された板片である。支持突起は、例えば、糊代片に逆凸字状に切り込みを入れ、第1の折り線を中心にして脚板を谷折りした際、折り曲げた脚板とは反対側(後面側)に突出する。そして、突出した支持突起が後面板に係合することで、脚板が戻らないように固定される。係合の態様としては、例えば、支持突起を上方向に反り返るように後面板に当接させることにより後面板に引っ掛けたり、支持突起を差し込み口に挿入することが挙げられる。支持突起を後面板に当接させ、後面板に引っ掛けた場合は、第1の折り線を中心にして脚板を谷折りした反発力(戻ろうとする力)も加わり、脚板は固定される。支持突起を差し込み口に挿入した場合、挿入された支持突起は、(脚板は斜め下方向に向くので)通常、斜め上方に向いている。
支持突起の形状および形成数は限定されない。
支持突起は、後面板に形成された差し込み口に差し込んだ方が、より堅固に脚板を固定することができ、ケースの自立保持性を高めることができる。また、差し込み口がない場合でも、支持突起は、脚板の谷折りの折り曲げ当初は下向きで後面板と接するが、さらに脚板を折り曲げていけば、上側に反り返って後面板に当接した状態で係合し、脚板を固定することができる。特に、物品(収納物)が軽量である場合にはこれでもよい。
【0032】
(差し込み口)
差し込み口があることが好ましい。これに支持突起を差し込むことにより、より堅固に脚板を固定することができる。差し込み口の形状は、特に制限はなく、例えば1本線でもよいし、略縦方向(ケースの幅方向)へ切れ目(切れ込み)が入っていてもよい。
支持突起を差し込み口へ挿入して、支持突起を斜め上向き、脚板を斜め下向きの状態にすると、差し込み口の上部分が僅かにケースの外側にずれるため、谷折りが戻る力に対して、抵抗がつき、脚板が固定される。
切れ目が入っている差し込み口の形状としては、特に制限はないが、例えば、逆山字状、T字状、下向きコの字状、H状、横王の字状が挙げられる。差し込み口に、略縦方向へ切れ目を入れると、支持突起を差し込み口に挿入しやすくなるとともに、支持突起を差し込み口に挿入すると、後面板の切れ目に係る部分がケースの内側または外側に僅かにずれ、脚部の固定をサポートすることにより、より堅固に脚板を固定することができ、ケースの自立保持性を高めることができる。より詳しくは、例えば、切れ目が入っている差し込み口の形状が逆山字状の場合、支持突起を差し込み口に挿入し、支持突起を斜め上、脚板を斜め下の状態にすると、切れ目が入った部分(差し込み口の直下部分)が僅かにずれるため、谷折りが戻る力に対して、抵抗がつき、脚板が固定される。
差し込み口の数は、支持突起の形成数に準ずる。
【実施例】
【0033】
実施例1について
以下、図1〜図3を参照して、本発明の実施例1を具体的に説明する。
図1〜図3において、10は本発明の実施例1に係る横向き自立式のピロー型ケース(以下、ピロー型ケース)で、このピロー型ケース10は、1枚のシート11の一端から他端に向かって、糊代片12と前面板13と後面板14とが順次一体形成され、前面板13と後面板14とを互いの間に形成された第2の折り線15を中心にして山折りするとともに、糊代片12と前面板13との間に形成された第3の折り線16を中心にして糊代片12を山折りし、その後、糊代片12を後面板14の外面に固着することで形成され、かつハンドタオルである商品Gを収納する枕型の容器である。なお、実施例1〜4のケースの後面板は、いずれもケースの外側に向かって、ケースの上部および下部を頂点とする凸円弧状に形成されている。
【0034】
以下、これらの構成部品を詳細に説明する。
シート11は、ポリプロピレンからなる厚さ0.25mmの略横長な打ち抜き加工された矩形状の薄板である。
前面板13と後面板14とは、左右方向に長い同一矩形状の板で、かつ前面板13と後面板14との左右の端には、中央部が凹んだ円弧状折り線17がそれぞれ形成されている。また、これらの円弧状折り線から一対の花びら形状の蓋板18がそれぞれ延出して形成されている。前面板13の第3の折り線16側の全長にわたって、帯状の糊代片12が一体形成されている。糊代片12の長さ方向の中間部には、第1の折り線19を介して脚板20が一体形成されている。脚板20は、糊代片12の約半分の長さを有する板片である。
また、脚板の第1の折り線側には、その長さ方向の中間部(一部)に、糊代片から切り離された逆凸字状の切り込んで形成された支持突起21が一体形成されている。
さらに、後面板の第2の折り線15とは反対側の端には、その長さ方向の中間部に、前記支持突起21の差し込み口22が逆山字状に形成されている。
【0035】
次に、本発明の実施例1のピロー型ケース10の組み立て方法を説明する。
まず、前面板13と後面板14とを第2の折り線15を中心にして山折りし、この山折り側を上にして、糊代片12を第3の折り線16を中心にして山折りした後、この糊代片12を後面板14の下端部に接着剤を介して固定する。その後、ピロー型ケース10の例えば左右の開口部から2枚のハンドタオルGを収納する。その後、各円弧状折り線17を中心にしてそれぞれの蓋板18を山折りして、左右の開口部を閉塞する。次に、ピロー型ケース10を陳列棚上で自立させるため、第1の折り線19を中心にして脚板20を谷折りする。これにより、脚板がケースを自立すべく所定の方向(斜め下方向)へ向くとともに、支持突起が後面板の方向(斜め上方向)へ突出し、支持突起21が第1の折り線19より上方に配置され、後面板14に形成された差し込み口22に差し込まれる(図2)。これにより、より堅固に脚板20を固定することができ、ピロー型ケース10の自立保持性を高めることができる。
このように、ピロー型ケース10を横方向に自立させて、ケースの転倒を抑制するとともに、陳列棚の上にハンドタオルGなどの商品を目立ち易くディスプレイすることができる。しかも、ピロー型ケース10を構成するすべての構成部品(脚板20および支持突起21を含む)が1枚のシートから一体形成されたものであるので、畳めば平面状となり運搬や保管が容易になる。
【0036】
実施例2について
次に、図4〜図6を参照して、本発明の実施例2に係るピロー型ケース10Aを説明する。
実施例2のピロー型ケース10Aの特徴は、その内部空間に、小物の口紅(商品)G1を保持する内箱30が嵌入されることで、ケース内で転がり易くディスプレイが困難な多数の口紅G1を、内箱30に形成された商品挿入孔31に挿入して立てることができる点である。
【0037】
以下、具体的にピロー型ケース10Aの構成を説明する。
ピロー型ケース10Aは、1枚の横長な矩形状のシート11Aを打ち抜き加工して、糊代片12Aと前面板13Aと後面板14Aとが連続的に一体形成され、かつ長さ方向の左右両端が開口した筒状の容器である。後面板14Aには、実施例1の後面板14に形成された逆山字形状の差し込み口22が形成されていない。
内箱30は1枚の紙を折り曲げて一体形成されたもので、内箱30の長さ方向の中間部には、内箱前面が開放された商品陳列用窓によって形成された内部空間(商品挿入孔31)に、4本の口紅G1それぞれが挿入され、ディスプレイされる。
ピロー型ケース10Aは、内箱30の出し入れが容易なようにその左右の両端が開放されている。ただし、内箱30の両端に蓋板32を形成したことで、仮に口紅G1が商品挿入孔31から外れたとしても、口紅G1がピロー型ケース10Aの外に落ちることはない。
【0038】
実施例2のピロー型ケース10Aの組み立てに際しては、その脚板20の折り曲げ当初、支持突起21は下向きとなっているが、さらに脚板20を折り曲げることで、支持突起21が後面板14Aに上側に反り返って当接することにより、係合して脚板20を固定する。これにより、ピロー型ケース10Aを横方向に自立させて、ケース10の転倒を抑制するとともに、陳列棚の上に商品を目立ち易くディスプレイすることができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な程度であるため、省略する。
【0039】
実施例3について
次に、図7および図8を参照して、本発明の実施例3のピロー型ケース10Bを説明する。
実施例3のピロー型ケース10Bの特徴は、商品として1枚ずつが表裏2カ月分の紙製のカレンダーG2を採用し、また1枚のシート11Bの一部を構成する後面板14Bに、開放された窓部40を形成した点である。さらに詳細には、重ね合わされた6枚のカレンダーG2をピロー型ケース10Bの内部空間で両側方から挟持するとともに、このピロー型ケース10Bの長さ方向の左右の開口を、ピロー型ケース10Bの長さ方向の両端部で塞ぐ左右一対の蓋板42が形成されている。また、支持突起21の差し込み口が22が1本線状に形成されている。
【0040】
カレンダーG2は、横長な略矩形状の厚紙からなり、その上辺の長さ方向の中間部には、横方向に長い掛止片gが一体形成されている。この各掛止片gを、シート11Bのうち、第2の折り線15の長さ方向の中間部に形成されたスリット43に差し込むことで、各カレンダーG2が位置決めされる。また、内容物(カレンダー)に対する窓部の大きさや両蓋板42の位置を調整し、内容物が落ちない構造とすれば、掛止片gやスリット43は必ずしも必要ではない。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため省略する。
【0041】
実施例4について
次に図9を参照して、本発明の実施例4のケース10Cを説明する。
ケース10Cは折り目が4箇所有り、側面方向から見て、平面状の上面板50および下面板51を有する略卵型を成している。ケース10Cは底面として平面状の下面51を有するため、相当な注意をして平面に置けばそのままでも自立する可能性があるが、仮に自立したとしても若干の揺れで容易に倒れるため、実質的に自立しないケースである。本実施例の場合、シートは、シートの一端から他端に向かって糊代片、下面板、前面板、上面板、後面板の順番で、一体に成形されている。
図9では、脚板20は、脚板20と糊代片12Cとの間にある第1の折り線19を中心に、脚板20は斜め下方向、支持突起21は斜め上方向を向くまで谷折されている。そして、後面板14Cの方向へ突出した支持突起21が差し込み口22に挿入されることにより、脚板20が固定され、ケース10Cが自立した状態を示している。糊代片12Cの略下半分が接着剤により後面板14Cに固着されている。差し込み口22の直上部分に当たる部分(後面板14Cの一部)は僅かに外側に膨らみ、谷折りが戻る力に対して、抵抗がつき、脚板20が固定される。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため省略する。
【符号の説明】
【0042】
10,10A,10B,10C 横向き自立式のピロー型ケース
11,11A,11B シート
12,12A,12B,12C 糊代片
13,13A,13B,13C 前面板
14,14A、14B,14C 後面板
15 第2の折り線
16 第3の折れ線
17,41 円弧状折り線
18,32,42 蓋板
19 第1の折り線
20 脚板
21 支持突起
22 差し込み口
30 内箱
31 商品挿入孔
40 窓部
43 スリット
50 上面板
51 下面板
G ハンドタオル
G1 口紅
G2 カレンダー
g 掛止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚のシートの一端から他端に向かって、少なくとも糊代片と前面板と後面板とが順次一体形成され、前記糊代片を前記後面板の外面に固着することで形成された横向き自立式のケースにおいて、
前記ケースを横向きに自立させる脚板が、少なくとも前記シートの糊代片側の端から一体的に延出され、
前記脚板と前記糊代片との間には第1の折り線が形成され、
前記脚板の第1の折り線側の一部には、前記糊代片から切り離された支持突起が一体形成され、
前記脚板を前記第1の折り線を中心として谷折りする際、前記支持突起が、前記第1の折り線より前記後面板の方向へ突出して該後面板に係合することで、前記脚板を固定することを特徴とする横向き自立式のケース。
【請求項2】
前記後面板の一部には、前記支持突起の差し込み口が形成された請求項1に記載の横向き自立式のケース。
【請求項3】
ケースの後面板が、ケースの外側に向かって、ケースの上部および下部を頂点とする凸円弧状に形成された、請求項1または請求項2に記載の横向き自立式のケース。
【請求項4】
前記横向き自立式のケースが、1枚のシートの一端から他端に向かって、前記糊代片と前面板と前記後面板とが順次一体形成され、前記前面板と前記後面板とを互いの間に形成された第2の折り線を中心にして山折りするとともに、前記糊代片と前記前面板との間に形成された第3の折り線を中心にして前記糊代片を山折りし、その後、前記糊代片を前記後面板の外面に固着することで形成されたピロー型ケースである、請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の横向き自立式のケース。
【請求項5】
前記前面板および前記後面板の各左右の開口端部には、長さ方向の中間部が凹んだ円弧状折り線を介して、前記ケースの左右の開口部を閉塞する一対の蓋板が一体形成された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の横向き自立式のケース。
【請求項6】
前記前面板と前記後面板との少なくとも1つには、窓部が形成された請求項1〜請求項5のうち、何れか1項に記載の横向き自立式のケース。
【請求項7】
内部空間には、物品を保持する内箱が嵌入された請求項1〜請求項6のうち、何れか1項に記載の横向き自立式のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86857(P2013−86857A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230724(P2011−230724)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(501362032)株式会社大成 (2)