横型半導体デバイスを製作する方法
横型接合半導体デバイスおよびこれを製作する方法であって、一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層によって形成されたスタックを有する半導体構造2を取るステップであって、第1層4の中の半導体材料は第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有するステップと、第1方向に沿ってアクティブ層8の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するために、半導体材料を第1層4から、構造体の中の層の平面と実質的に平行な第1方向に沿って変わる深さまで選択的に除去するステップとを備える方法。前記横型接合半導体デバイスを備える光子源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型接合半導体デバイスを製作する方法に関する。より詳細には、本発明は、横型接合光電子半導体デバイス、および特にソリッドステート単一光子源(SPS)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、すなわち縦型の、発光pn接合はトランジスタまたは抵抗などのプレーナデバイスと集積するのが難しい。横型pn接合は他のデバイスと組み合わせるのがより容易であるばかりでなく、優れた特性も有する。例えば、レーザダイオードでは、電子および正孔は、光閉込めを提供する、より高いバンドギャップ層を通してアクティブエリアに注入される。これは、キャリアがそれらの放射再結合時間を増大する不必要な過剰エネルギーを有するので、変調帯域幅を制限する。横型接合の別の利点には、より小さい接合面積および接合容量、ならびにコプレーナコンタクトがある。
【0003】
横型pn接合構成に基づく光電子デバイスの例は、英国特許第2354368号明細書に記載されているソリッドステート単一光子源(SPS)である。
【0004】
横型pn接合を製作する様々な従来方式がある。例えば、シリコンが基板方位に応じてn型ドーピングまたはp型ドーピングのいずれかを提供するガリウムヒ素(GaAs)におけるシリコンの両性特質に基づくデバイスが知られている(D.L.Miller、Appl.Phys.Lett.47、1309(1985年)参照)。いくつかのグループがそのようなデバイスにおけるルミネセンスを報告している。例えば以下の参考文献を参照されたい。
T.Saiki、S.Mononobe、M.Ohhtsu、N.Saito、およびJ.Kusano、Appl.Phys.Lett.67、2191(1994年)。
P.O.Vaccaro、H.Ohnishi、およびK.Fujita、Appl.Phys.Lett.72、818(1982年)。
A.North、J.Burroughes、T.Burke、A.Shields、C.E.Norman、およびM.Pepper、IEEE J.Quantum Electron.35、352(1999年)。
【0005】
しかし、この技法は、半導体材料の成長、選択的除去、および再成長を必要とするので、複雑である。
【0006】
収束イオン分子ビームエピタキシも、横型接合を製作する技法として提案されているが、前述の技法と同様に複雑であり専用装置を必要とする(P.J.A.Sazio、S.Vijendran、W.Yu、H.E.Beere、G.A.C.Jones、E.H.Linfield、およびD.A.Ritchie、J.Crystal Growth.201/202、12(1999年)参照)。
【0007】
さらに最近、Kaestner等は、ドープされていない低バンドギャップチャネルで横型pn接合を形成する方法を報告している(Jpn.J.Appl.Phys.、Part1 41、2513(2002年)、およびMicroelectron.Eng.67−68、797(2003年)参照)。どちらの型のキャリアも、表面に平行なドープされている高バンドギャップ層を介してどちらかの側からチャネルに導入される。成長したままの状態では、1つのキャリア型は完全に空乏化され、上側の高濃度にドープされた領域がエッチングによって除去された場合、前に空乏化されたキャリア型は高バンドギャップ層と低バンドギャップ層の間の界面に集まる。したがって低バンドギャップチャネルにおけるpn接合は、エッチングされた領域の縁部の下で生じる。
【0008】
同様の方式は、低バンドギャップチャネルが、最初に、表面に平行なドープされた高バンドギャップ層を介してドープされたp型であったことを除いて、Cecchini等(M.Cecchini、V.Piazza、F.Beltram、M.Lazzarino、M.B.Ward、A.J.Shields、H.E.Beere、およびD.A.Ritchie、Appl.Phys.Lett.82、636(2003年))によって報告されている。次いで、ドープされた高バンドギャップ層の領域がエッチング除去され、n型コンタクトが低バンドギャップチャネル内にn型領域を提供するように蒸着された。
【0009】
しかし、これらの方式は両方とも、チャネルそれ自体が破壊も完全空乏化もされないために、ドープされた層の正確なエッチングに頼る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、横型接合半導体デバイスを製作する代替的方法および特に前述の方法の少なくともいくつかの不利な点を緩和する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様によれば、次に、
(i)一連の実質的に平行な平面をなして配置された複数の半導体材料の層によって形成されるスタックを有する半導体構造を取るステップであって、第1層の中の半導体材料は第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有するステップ、および
(ii)第1方向に沿ってアクティブ層の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するように、半導体材料を構造体の中の層の平面と実質的に平行な第1方向に沿って変わる深さに第1層から選択的に除去するステップ
を備える横型接合半導体デバイスを製作する方法が提供される。
【0012】
半導体材料を選択的に除去する前述の方法におけるステップは、キャラクタリゼーションの前に半導体サンプルをベベルエッチングするプロセスとの相乗効果を有する。しかし、ベベルエッチングは、これまで、例えば、2次イオン質量分析(SIMS)、オージェ電子分光(AES)、拡がり抵抗測定(SRA)、ラマン分光、光ルミネセンス分光、ケルビンフォース顕微鏡を用いて、キャラクタリゼーションの前に半導体サンプルを準備する技法としてのみ使用されてきた。
【0013】
本発明は、横型半導体接合が、半導体構造体に第1極性の過剰電荷キャリアを与え、例えば、従来のベベルエッチングと同様の技法を使用して前記構造体から材料を選択的に除去することによって製作されてもよいという認識にある。
【0014】
従来のベベルエッチングとは対照的に、本発明は、半導体材料が、(既存の構造体を評価するポストファブリケーション技法としではなく)半導体デバイスを製作するために、構造体から選択的に除去されるプロセスを利用する。
【0015】
本発明の方法は新しい驚くべき効果を含む。すなわち、半導体材料が第1層から選択的に除去される深さが製作プロセス中に正確に制御される必要がない。本方法は、必要なバンド構成を有する半導体材料構造体が第1方向に沿ってどこかに固有に存在することを保証し、唯一の必要条件は、過剰電荷キャリアを有する第1層がプロセス中に完全には除去されないことである。したがって、本方法の処理必要条件は、通常、前もって規定されたクリティカルな深さで従来のメサエッチングを停止するためにデバイス構造体の中に少なくとも1つのエッチング停止層を必要とする従来の方法よりも緩和される。前もって規定された深さで従来のメサエッチングを停止できないと、その結果として、製作中の半導体デバイスの破壊が生じる。それとは対照的に、本発明の方法によって生成される深さの変化は、第1方向に沿って必要なバンド構成の横の位置を変えるだけである。
【0016】
従来の半導体デバイス理論によれば、過剰電荷キャリアは負の極性(電子)または正の極性(正孔)のいずれかを有するキャリアを備えるべきである。過剰電荷キャリアは、外因性半導体材料、例えばドープされた材料の使用によってデバイスに導入されてもよい。
【0017】
標準半導体用語によれば、アクティブ層は、電子および正孔が第1方向に沿った電界の印加のもとで放射的に再結合する可能性が非常に強い、半導体の一部分である。
【0018】
有利には、半導体材料を第1層から選択的に除去するステップは、第1方向に沿って第1層の厚さにテーパをつけるプロセスを備える。これは漸次的変化の範囲内で電荷キャリアの一連の濃度レベル(すなわち3つ以上の濃度レベル)を提供する。
【0019】
好ましくは、スタックの中の半導体材料の層は、少なくとも1つのヘテロ構造体を形成するように構成される。スタックの中の少なくとも2つの層は、それぞれ異なるバンドギャップを有する半導体材料を備えてもよい。例えば、アクティブ層および隣接する層は、それぞれ異なるバンドギャップを有する半導体材料を備えてもよい。
【0020】
好ましい実施形態では、第1濃度、および、半導体材料が選択的に除去される深さは、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協力するように設定される。
【0021】
任意選択で、表面の下の深さ、第1層およびアクティブ層の厚さ、ならびにそれらの間の間隔は、第1濃度、および、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう半導体材料が選択的に除去される深さと協働するように設定される。
【0022】
他の好ましい実施形態では、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度は、第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変わる。
【0023】
半導体構造を取るステップは、スタックの第1層の中の半導体材料に第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備えてもよい。例えば、第1極性の過剰電荷キャリアを与えるステップは、半導体構造体にドーパント種を導入するステップを備えてもよい。
【0024】
ドーパント種は第1層を備える半導体材料に導入されてもよい。
【0025】
ドーパント種を導入するステップは、例えば分子ビームエピタキシ(MBE)を使用して、結晶成長中にスラブドーピングおよびデルタドーピングのうちの少なくとも1つを備えてもよい。MBEなどの成長技法を使用して、ドーパント種は成長中に導入され、それらの分布は正確に制御されることができる。代替として、ドーパント種は、イオン注入および拡散などの技法を使用して、成長後に導入されることもできる。
【0026】
有利には、ドーパント種はp型ドーパントを備える。
【0027】
他の好ましい実施形態では、第2層の中の半導体材料は、第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度、ならびに、半導体材料が第1層から選択的に除去される深さは、アクティブ層の中で優勢である過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変わるよう協働するように設定される。一実施形態では、アクティブ層と第2層は同じものである。
【0028】
この場合、本方法は、スタックの第2層の中の半導体材料に第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備えてもよい。例えば、第2極性の過剰電荷キャリアを与えるステップは、ドーパント種を半導体構造体に導入するステップを備えてもよい。
【0029】
ドーパント種は、第2層を備える半導体材料に導入されてもよい。
【0030】
ドーパント種を導入するステップは、結晶成長中にスラブドーピングおよびデルタドーピングのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0031】
有利には、ドーパント種はn型ドーパントを備える。
【0032】
有利には、第1濃度および第2濃度、ならびに、半導体材料が第1層から選択的に除去される深さは、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域との間に第1方向に沿って挿入される過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域をアクティブ層の中に提供するよう協働するように設定される。
【0033】
任意選択で、表面の下の深さ、第1層、第2層およびアクティブ層の厚さ、ならびにそれらの間の間隔は、第1濃度および第2濃度、ならびに、半導体材料が第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域との間に第1方向に沿って挿入される過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域をアクティブ層の中に提供するために第1層から選択的に除去される深さと協働するように設定される。
【0034】
本方法は、第1層および第2層における過剰キャリアの適切な濃度の選択を条件として、pin横型半導体接合が第1層からの選択的除去の結果として固有に生じる点で有利である。本方法は、正しいドーピングプロファイルは、(第1層がデバイスから完全には除去されない限り)材料が除去される深さに関係なく、第1方向に沿ってデバイスの中でどこかで達成されることを保証する。実際には、第1層は、第1方向の一部分に沿って除去されてもよい。さらに、第1層(例えば、第2層)の下にある構造体の一部分はデバイスの性能を損なうことなく除去されてもよい。
【0035】
明瞭のために、過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域は、真性半導体を備えても、外因性半導体を備えてもよい。
【0036】
好ましくは、前述の方法は、半導体構造体を形成するステップを備え、アクティブ層は第1層と第2層の間に配置され、アクティブ層のバンドギャップは第1層および第2層のバンドギャップより小さくなるように設定される。この場合、構造体は、第1層および第2層内の過剰電荷がアクティブ層に移動されるように設定される。
【0037】
有利には、アクティブ層は実質的に真性の半導体材料を備える。これは、そうではない場合は再結合中心、キャリアトラップおよび散乱中心として働く可能性もあるドナー/アクセプタ不純物を排除することによってアクティブ層の中のキャリアの移動性を改善する。それによってデバイスの高周波および光性能が高められる。この構成では、過剰キャリアは好ましくは第1層および第2層からアクティブ層に導入される。
【0038】
有利には、アクティブ層は、同じバンドギャップの第1層および第2層を有するドープされていないスペーサ層によって第1層および第2層から分離される。したがって、ドーパントイオンはアクティブ層内の移動キャリアから空間的に離れていて、したがって、これらのイオンからの散乱は最小化される。
【0039】
他の実施形態では、半導体構造体は量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える。
【0040】
好都合には、テーパをつけるプロセスは、スタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである。
【0041】
好ましい実施形態では、テーパをつけるプロセスは、スタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5ラジアンの角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである。
【0042】
他の実施形態では、テーパをつけるプロセスは、機械的ラッピング、レーザアブレーション、プラズマベベリング、イオンビームベベリング、化学機械研磨、および化学ベベリングのうちの少なくとも1つを備える。
【0043】
有利には、テーパをつけるプロセスは、臭素エチレングリコールエッチング液による化学ベベリングを備える。
【0044】
好ましくは、臭素の濃度は1%〜10%である。エッチング速度は、好都合には、0.1μm/分から1μm/分までの範囲にあるように設定される。実際には、本方法は、好ましくは、半導体構造体を0.25mm/分〜100mm/分までの範囲の制御された速度で、通常約3mm/分の速度で、エッチング液に沈めるステップを備える。
【0045】
好ましい実施形態では、本方法は、接続手段を構造体に接着する別のステップを備える。接続手段は、電気接続および光接続のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0046】
本発明の第2態様によれば、次に、一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層によって形成されるスタックを有する半導体ヘテロ構造体を備える横型接合半導体デバイスが提案され、その中の第1層は層の平面と実質的に平行な第1方向に沿ってテーパのついた厚さを有し、前記第1層は第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有する半導体材料を備え、第1濃度およびテーパつきの層の厚さは、第1方向に沿ってアクティブ層の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するよう協働するように設定される。
【0047】
好ましい実施形態では、第1濃度およびテーパつきの層の厚さは、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協働するように設定される。好ましくは、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度は、第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変化する。
【0048】
他の好ましい実施形態では、第2層の中の半導体材料は、第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度ならびにテーパつきの層の厚さは、アクティブ層の中で優勢な過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変化するよう協働するように設定される。
【0049】
他の好ましい実施形態では、第1濃度および第2濃度ならびにテーパつきの層の厚さは、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域の間に第1方向に沿って挿入される過剰キャリアを実質的に有しない領域をアクティブ層の中に提供するよう協働するように設定される。
【0050】
明瞭のために、過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域は、真性半導体を備えても、外因性半導体を備えてもよい。
【0051】
本発明のこの実施形態では、半導体デバイスは、好ましくは、アクティブ層が第1層と第2層の間に配置される半導体構造を備え、アクティブ層のバンドギャップは、第1層および第2層のバンドギャップより小さくなるように設定される。
【0052】
有利には、アクティブ層は実質的に真性の半導体材料を備える。これは、そうでない場合は再結合中心、キャリアトラップおよび散乱中心として働く可能性もある、ドナー/アクセプタ不純物を排除することによってアクティブ層の中のキャリアの移動性を改善する。それによってデバイスの高周波および光性能が高められる。この構成では、過剰キャリアは、好ましくは、第1層および第2層からアクティブ層に導入される。
【0053】
有利には、アクティブ層は、同じバンドギャップの第1層および第2層を有するドープされていないスペーサ層によって第1層および第2層から分離される。ドーパントイオンは、したがって、アクティブ層内の移動キャリアから空間的に離れていて、したがって、これらのイオンからの散乱は最小化される。
【0054】
好都合には、半導体構造体は量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える。
【0055】
好ましくは、テーパつきの層の厚さは、スタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与える。さらに好ましくは、外側表面はスタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5ラジアンの角度で傾斜している。
【0056】
次に、本発明の第3態様によれば、本発明の第2態様による横型接合半導体デバイスを有し、使用中に、移動キャリアが第1方向に沿って弾性表面波によって輸送されるように第1方向に沿って進行する弾性表面波を生成する手段、および、そのように輸送される移動キャリアの数が単一キャリアの正確さにまで制御されることができるようにこの波によって生じるキャリア輸送を制御する手段をさらに備える光子源が提案される。
【0057】
本発明の第2態様による横型接合半導体デバイスが単一極性のみの過剰電荷キャリアを有する場合には、光子源は、好ましくは、移動キャリアをデバイスに導入する電気的手段および光学的手段のうちの少なくとも1つをさらに備える。したがって、第1層の中のものとは逆の極性を有する移動キャリアは、少なくとも1つの電気的手段および光学的手段によってデバイスに導入されてもよい。
【0058】
有利には、キャリア輸送を制御する手段は、バイアス可能なスプリットゲートおよび量子ポイントコンタクトのうちの少なくとも1つを備える。
【0059】
次に、本発明は、添付の図面を参照しながら例としてのみ説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
次に、図1および図2を参照しながら、単一光子源デバイスおよびこれを製作する方法を備える本発明の第1実施形態が説明される。デバイス2は、単一結晶基板上への半導体層のエピタキシャル成長に基づき、成長後の提案されたデバイスの概略横断面が図1に示されている。最上層4および最下層6は、中間層8より大きなバンドギャップを有するように成長させられる。これは、例えば、最上層および最下層がAlGaAsであり、中間層がGaAsであるように、それぞれ異なる組成物の層を成長させることによって達成される。他の適切な材料系には、Hg1−xCdxTeおよびInGaAs/InGaAsPがあるが、それらに限定されない。
【0061】
図1に示されているデバイス2は、キャリアの波動関数が中間層から離れてゼロに急速に落ちる量子井戸構造体を利用している。量子井戸内の電子(または正孔)は、井戸の平面に対して直角の方向に最低エネルギーの定在波を主に占めることによって2Dシートを形成する。しかし、以下の解説は、量子井戸構造体に限定されず、ヘテロ接合でトラップされたキャリアにも適用可能である。
【0062】
デバイス2の最上層4は、電荷キャリアが井戸に移動させられることを保証するのに十分量子井戸に近接した薄いシート10内にあるアクセプタとともに、成長中にpドープされる(一般にδドーピングとして知られている)。次いで、デバイスは、δドープされた層10の一部分が除去されるように、図2に示されているようにベベルエッチングされる。これは、図2の右方に示されているように、ドープされる量子井戸の一部分12のみを残す。ウェット化学エッチングは、通常、量子井戸に物理的損傷をほとんど与えないように、ベベルを生成するために使用される。しかし、本発明の方法はウェットエッチングに限定されず、ベベルを生成するために、代替的プロセス、例えばイオンビームミリング、機械ラッピングまたは化学機械研磨が使用されることもできることは、当業者には明らかであろう。
【0063】
多くの状況で、化学ベベルエッチングは、成長したままの材料を粗くせず、比較的簡単な装置に頼り、CdTe、InP、GaAs、およびInGaNを含めて様々な材料に容易に利用されることができるので、魅力的である。化学ベベルエッチングは、サンプルをエッチング溶液に徐々に沈めることによって、あるいは代替的に、サンプルをエッチング溶液で徐々に覆うことによって達成される。通常、ベベル角度は、極端に小さい(10−1〜10−5ラジアンの範囲である)が、エッチング条件を変更することによって変えられることができる。サンプルを構成する様々な層の異なるエッチング速度、またはエッチング成分が消費されるエッチング速度の変化は、非線形的ベベルにつながる可能性がある。しかし、これは、コンピュータ制御されたシステムを使用することによって補償されることができる。
【0064】
ベベルの角度は、ドープされていない量子井戸の大きな(何十マイクロメータの)領域が残ることを保証するのに十分小さいように設定される。最後に、インターデジタル変換器(図示されていない)がデバイスの左向こう側の表面上に堆積され、スプリットゲート14が、図2に示されているように、量子井戸のドープされていない領域の上の表面上に堆積される。
【0065】
デバイスを動作させるために、弾性表面波(SAW)16が、デバイス2の左側から右側に広がるインターデジタル変換器を使用して励起され、同時に量子井戸に沿って電荷を輸送する。本発明の一形態では、量子井戸内で(例えばレーザを使用して)構造体2に光18を当てることによって、電子および正孔が光学的に励起され、SAWに関連する移動横型ポテンシャル井戸内に閉じ込められるようになる。デバイスの他の形態では、デバイス20の左側は、ベベルエッチング後に、例えばイオン注入を使用して、n型にドープされる。イオン注入は、量子井戸に対する損傷を回避するために、インターデジタル変換器の左側で、デバイスの局所限定エリアの上で実行されることもできることに留意されたい。この場合、SAW16は電子を輸送するのみであるが、デバイスの両形態の全体の動作は同様であろう。使用中、スプリットゲート14は、各SAWサイクルで電子が1つしか通れないようにするために負にバイアスをかけられる。このバイアスは、スプリットゲート14で生じ得る正孔のいかなるビルドアップをも補償するように変えられてもよい。δドーピング層10のドーピングは、SAW16がデバイスの右側に入るに伴って、正孔によって急速に減衰されるのに十分大きいように選択され、それによってトラップされた電子が逃げることができるようにする。電子は再結合して単一光子22を放出する。デバイスのこの領域12内の量子井戸の高濃度p型ドーピングは、放射再結合プロセスが十分速いことを保証する。τ<<Tの場合、単一光子の列が生成されることを理解することが重要であるが、この場合、τは再結合時間であり、TはSAWの周期(通常ns)である。したがってこれは、正孔ドーピングが、大きな電子−正孔波動関数の重なり合いを保証し、急速な再結合時間(正孔の数に比例する)を提供するのにも十分にSAWを減衰するのに十分大きい場合、反集群化光子列を提供する。しかし、SAW16のフォーカシングおよびデフォーカシングは、デバイスの様々な部分でSAW振幅を変えるために使用されることもできる。また、ベベルの角度が再結合プロセスを制御するために使用されてもよい。最後に、n型領域およびp型領域の両領域へのオーミックコンタクトが電荷ビルドアップを防止するために必要なこともある。
【0066】
次に、図3および4を参照しながら、前述のものの代替としての単一光子源2デバイスおよびこれを製作する方法を備える本発明の第2実施形態が説明される。不必要な繰返しを避けるために、図1および図2に関して説明された同様の特徴は同じ参照番号を与えられている。
【0067】
適正な光子源の開発は基本的に科学的および技術的に重要であり、本発明のこの第2実施形態では、単一電子が横型pin接合のp型領域に注入される。この実施形態では、単一光子源2は電気的に駆動される。デバイスは従来の光子源より潜在的利点、すなわち比較的高周波数で動作する可能性、多くの平行光子列を生成する能力、知られている偏光によって単一光子が放出される可能性を有する(後者の2つは量子暗号に関する非常に望ましい特性である)。
【0068】
この第2実施形態による単一光子源2は、図3に示されている総ダブルヘテロ構造体構成を備える。以下で説明されるデバイスはIII−V材料かII−IV材料のいずれかを使用して構成される。図3に示されている総構造体に基づいて、自己無撞着シュレーディンガー−ポアソンソルバがInSbおよびHgCdTe量子井戸デバイス層を設定するために使用された。デバイス2の最上層4は、スラブドーピングまたは変調ドーピングを使用して成長中にp型ドープ24される。デバイス2の最下層6は、電荷キャリアが井戸に移動させられることを保証するのに量子井戸に十分近接した薄いシート26内にあるドナーで、成長中にn型ドープされる(一般にδドーピングとして知られている)。p型ドーピングおよびn型ドーピングのレベルは、量子井戸がどこでも最初p型であるように注意深く選択される。ベベルエッチング後のデバイスの概略図が図4に示されている。井戸の片側30は、成長したままの構造体の場合と同様に、p型ドープされたままであり、井戸の領域32はp型ドーパントが除去されたところ35に近いどこかの点ではn型になる。中間のどこかの点では、n型ドーピングおよびp型ドーピングは相殺し、実質的に真性の領域34を残す。デバイスの中のドーピングレベルおよびベベルエッチングされた上側の層4の浅い角度は、単一電子がn型領域からp型領域に移動させられるときにSAWに関連する最低電位にトラップされたままであることを保証するデバイスの中でゆっくり変化する電位を提供する。
【0069】
図5は詳細なInSbおよびHgCdTeデバイス構造体の概略図を示す。この場合、HgCdTe量子井戸8は、mid−IRでの放出を提供するように設定された組成を有するが、HgCdTeは格子整合系であるので、これは、例えば1.55μmでの放出を提供するために容易に変更されることもできる。
【0070】
図6aおよび図6cでは、量子井戸内の第1電子サブバンドの最低エネルギーとして、それぞれInSbおよびHgCdTeの場合に関するエッチング深さの関数として、電子の電位がプロットされる。これらのプロットは、ベベルエッチング後、量子井戸はn型領域もp型領域も含むことを示す。図6bでは、量子井戸の中のシート電荷密度がInSb構造体に関するエッチングの深さの関数としてプロットされる。これは、この場合、実質的に真性の領域によって分離されている、ベベルエッチング後のn型領域およびp型領域の形成を確認する。
【0071】
前述の実施形態と同様に、化学ベベルエッチングがベベルを様々なテストサンプルに導入するために使用されたが、代替的処理技法が、前述のように適用可能であり得る。
【0072】
図7は、前述のデバイスを製作するために使用される装置40の概略図を示す。電気モータ42が、エッチングされるべきサンプル50が取り付けられたギアボックス46を介してロッド44を上げ下げするために使用される。モータ42を駆動するために使用される電流およびギア比46は、ロッド44が約0.25mm/分から約100mm/分の間の速度で滑らかに下げられることができるように、コントローラ48を使用して変えられることができる。ロッド44が下げられる速度は、ベベルの長さ、および、化学エッチング速度とともに、ベベルの深さを決定する。通常、約3mm/分の速度が使用される。
【0073】
エッチング液52がビーカ54内に用意され、エッチング前20分間室温のままにしておかれる。エッチングする直前に、溶媒56の層がエッチング液52上にピペットでゆっくり移される。これは、蒸気エッチングおよびサンプル50にわたって形成するメニスカスを防止する。溶媒56およびエッチング液52は、層の間でほとんど混合しないように、不混和性であるように選択される。InSbおよびHgCdTeでは、エチレングリコールおよび臭素エチレングリコールをそれぞれ溶媒およびエッチング液に使用する。臭素の濃度はエッチング速度を決定するが、通常、0.1μm/分から1μm/分の間のエッチング速度を提供する1%から10%の間の濃度を使用する。
【0074】
エッチングされるべきサンプルがガラススライド58上に取り付けられ、ロッド46に接着される。次いで、エッチングを開始するために、サンプル50は溶媒/エッチング液界面60までビーカ56の中に沈められる。
【0075】
図8は臭素/エチレングリコールベベルエッチングを使用してパターン化されたHgCdTeテストデバイス62の2D表面プロファイルを示す。エッチングの深さは、フォトレジストを使用してマスクオフされたデバイスのストリップとベベルの最深部との間のステップの高さを測定することによって決定され、約4μmであった。ベベルの長さは約3mmであった(画像は、ベベルがはっきり見えるように、ベベルの方向に圧縮されていることに留意されたい)。エッチングされた表面の平均表面粗度は20nmと測定され、これはエッチングされていない表面とほぼ同じであった。様々な材料のために様々なエッチング液および溶媒が使用されることができるが、臭素エチレングリコール化合物がInGaAs/InPのために使用された場合、やはり良好な結果を提供することが知られている。
【0076】
図9は本発明による技法を使用して製作されたデバイスから測定された電流/電圧特性を示す。分子線エピタキシを使用して、図5に示されている設定に従って、GaAs基板上でInSbウェハが成長させられ、図7に示されているベベルエッチング装置を使用して処理された。オーミックコンタクトのアレイがエッチング後デバイスの表面上に堆積され、そして、図9は1組のオーミックコンタクトから測定されたI−V特性を示すが、この場合、1つは量子井戸のp型領域に接触し、1つは井戸のn型領域に接触していると考えられる。正の電圧は、p型側上のオーミックコンタクトがn型側上のオーミックコンタクトに比べて正であった場合に対応し、この場合、電流は最初、印加電圧に対してほとんど幾何級数的に増大する。それとは対照的に、電圧が逆転すると、電流はずっと小さくなり、比較的印加電圧にも依存しない。電流の流れの印加電圧の極性への強い依存性は、横型pn接合が形成されていることと一致する。
【0077】
前述のInSb量子井戸デバイス内の横型接合の特徴を描写するためにレーザ顕微鏡も使用された。可視(633nm)レーザおよび中赤外線(mid−IR)(1.4μm)レーザの両方で撮られたマイクロメータスケールの解像度の光応答スキャンが、n型コンタクトとp型コンタクトの間にある高振幅信号のエリアを示し、横型pin接合の存在を確認した。mid−IRレーザが使用された場合、高振幅信号の空間分布は、可視照明が使用された場合より小さかった。mid−IRは量子井戸の中の遷移を励起することができるだけなので、これは、接合が量子井戸内にあることを示唆している。
【0078】
本発明の前述の実施形態はダブルヘテロ構造デバイスおよび特に単一光子源に関して説明されてきたが、本発明の方法は他のデバイス、例えば半導体レーザの製作にも適用可能であることは、当業者には明らかであろう。本方法は、単一ヘテロ構造デバイス、例えばpn接合デバイス、例えば発光ダイオードを製作することにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態による部分的に製作された横型接合半導体デバイスの概略横断面図である。本図は構造体の上側の層にテーパをつける処理の前の半導体構造体を示す。
【図2】本発明の第1実施形態による完成された横型接合半導体デバイスの概略横断面図である。図2に示されたデバイスは単一光子源を備える。
【図3】本発明の他の実施形態による部分的に製作されたダブルヘテロ構造デバイスの概略横断面図である。この実施形態では、横型接合デバイスは量子井戸構成に基づく。
【図4】ベベルエッチング後の図3のダブルヘテロ構造デバイスの概略横断面図である。
【図5】それぞれアンチモン化インジウム(InSb)およびテルル化カドミウム水銀(HgCdTe)に基づく横型発光ダイオード用の設定を備える本発明の他の実施形態の概略横断面図である。
【図6a】図5に示されている実施形態に関する電子電位対エッチングの深さの変化を示し、具体的には、アンチモン化インジウム(InSb)デバイスに関する図である。
【図6b】アンチモン化インジウム(InSb)構造体に関するエッチングの深さの関数としてのシート電荷密度のプロットを示す図である。
【図6c】図5に示されている実施形態に関する電子電位対エッチングの深さの変化を示し、具体的には、テルル化カドミウム水銀(HgCdTe)デバイスにおける電子電位の変化を示す図である。
【図7】本発明による方法の一実施形態で使用されるベベルエッチング装置の概略図である。
【図8】化学ベベルエッチングを使用してパターン化されたHgCdTeテストデバイスの2次元表面プロファイルを示す図である。
【図9】温度の関数として測定された、図5に示されている設定によるInSbで製作された横型pn接合の電流/電圧特性を示す図である。高度に非線形的な特性は、横型接合が形成されたことを示唆する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型接合半導体デバイスを製作する方法に関する。より詳細には、本発明は、横型接合光電子半導体デバイス、および特にソリッドステート単一光子源(SPS)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、すなわち縦型の、発光pn接合はトランジスタまたは抵抗などのプレーナデバイスと集積するのが難しい。横型pn接合は他のデバイスと組み合わせるのがより容易であるばかりでなく、優れた特性も有する。例えば、レーザダイオードでは、電子および正孔は、光閉込めを提供する、より高いバンドギャップ層を通してアクティブエリアに注入される。これは、キャリアがそれらの放射再結合時間を増大する不必要な過剰エネルギーを有するので、変調帯域幅を制限する。横型接合の別の利点には、より小さい接合面積および接合容量、ならびにコプレーナコンタクトがある。
【0003】
横型pn接合構成に基づく光電子デバイスの例は、英国特許第2354368号明細書に記載されているソリッドステート単一光子源(SPS)である。
【0004】
横型pn接合を製作する様々な従来方式がある。例えば、シリコンが基板方位に応じてn型ドーピングまたはp型ドーピングのいずれかを提供するガリウムヒ素(GaAs)におけるシリコンの両性特質に基づくデバイスが知られている(D.L.Miller、Appl.Phys.Lett.47、1309(1985年)参照)。いくつかのグループがそのようなデバイスにおけるルミネセンスを報告している。例えば以下の参考文献を参照されたい。
T.Saiki、S.Mononobe、M.Ohhtsu、N.Saito、およびJ.Kusano、Appl.Phys.Lett.67、2191(1994年)。
P.O.Vaccaro、H.Ohnishi、およびK.Fujita、Appl.Phys.Lett.72、818(1982年)。
A.North、J.Burroughes、T.Burke、A.Shields、C.E.Norman、およびM.Pepper、IEEE J.Quantum Electron.35、352(1999年)。
【0005】
しかし、この技法は、半導体材料の成長、選択的除去、および再成長を必要とするので、複雑である。
【0006】
収束イオン分子ビームエピタキシも、横型接合を製作する技法として提案されているが、前述の技法と同様に複雑であり専用装置を必要とする(P.J.A.Sazio、S.Vijendran、W.Yu、H.E.Beere、G.A.C.Jones、E.H.Linfield、およびD.A.Ritchie、J.Crystal Growth.201/202、12(1999年)参照)。
【0007】
さらに最近、Kaestner等は、ドープされていない低バンドギャップチャネルで横型pn接合を形成する方法を報告している(Jpn.J.Appl.Phys.、Part1 41、2513(2002年)、およびMicroelectron.Eng.67−68、797(2003年)参照)。どちらの型のキャリアも、表面に平行なドープされている高バンドギャップ層を介してどちらかの側からチャネルに導入される。成長したままの状態では、1つのキャリア型は完全に空乏化され、上側の高濃度にドープされた領域がエッチングによって除去された場合、前に空乏化されたキャリア型は高バンドギャップ層と低バンドギャップ層の間の界面に集まる。したがって低バンドギャップチャネルにおけるpn接合は、エッチングされた領域の縁部の下で生じる。
【0008】
同様の方式は、低バンドギャップチャネルが、最初に、表面に平行なドープされた高バンドギャップ層を介してドープされたp型であったことを除いて、Cecchini等(M.Cecchini、V.Piazza、F.Beltram、M.Lazzarino、M.B.Ward、A.J.Shields、H.E.Beere、およびD.A.Ritchie、Appl.Phys.Lett.82、636(2003年))によって報告されている。次いで、ドープされた高バンドギャップ層の領域がエッチング除去され、n型コンタクトが低バンドギャップチャネル内にn型領域を提供するように蒸着された。
【0009】
しかし、これらの方式は両方とも、チャネルそれ自体が破壊も完全空乏化もされないために、ドープされた層の正確なエッチングに頼る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、横型接合半導体デバイスを製作する代替的方法および特に前述の方法の少なくともいくつかの不利な点を緩和する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様によれば、次に、
(i)一連の実質的に平行な平面をなして配置された複数の半導体材料の層によって形成されるスタックを有する半導体構造を取るステップであって、第1層の中の半導体材料は第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有するステップ、および
(ii)第1方向に沿ってアクティブ層の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するように、半導体材料を構造体の中の層の平面と実質的に平行な第1方向に沿って変わる深さに第1層から選択的に除去するステップ
を備える横型接合半導体デバイスを製作する方法が提供される。
【0012】
半導体材料を選択的に除去する前述の方法におけるステップは、キャラクタリゼーションの前に半導体サンプルをベベルエッチングするプロセスとの相乗効果を有する。しかし、ベベルエッチングは、これまで、例えば、2次イオン質量分析(SIMS)、オージェ電子分光(AES)、拡がり抵抗測定(SRA)、ラマン分光、光ルミネセンス分光、ケルビンフォース顕微鏡を用いて、キャラクタリゼーションの前に半導体サンプルを準備する技法としてのみ使用されてきた。
【0013】
本発明は、横型半導体接合が、半導体構造体に第1極性の過剰電荷キャリアを与え、例えば、従来のベベルエッチングと同様の技法を使用して前記構造体から材料を選択的に除去することによって製作されてもよいという認識にある。
【0014】
従来のベベルエッチングとは対照的に、本発明は、半導体材料が、(既存の構造体を評価するポストファブリケーション技法としではなく)半導体デバイスを製作するために、構造体から選択的に除去されるプロセスを利用する。
【0015】
本発明の方法は新しい驚くべき効果を含む。すなわち、半導体材料が第1層から選択的に除去される深さが製作プロセス中に正確に制御される必要がない。本方法は、必要なバンド構成を有する半導体材料構造体が第1方向に沿ってどこかに固有に存在することを保証し、唯一の必要条件は、過剰電荷キャリアを有する第1層がプロセス中に完全には除去されないことである。したがって、本方法の処理必要条件は、通常、前もって規定されたクリティカルな深さで従来のメサエッチングを停止するためにデバイス構造体の中に少なくとも1つのエッチング停止層を必要とする従来の方法よりも緩和される。前もって規定された深さで従来のメサエッチングを停止できないと、その結果として、製作中の半導体デバイスの破壊が生じる。それとは対照的に、本発明の方法によって生成される深さの変化は、第1方向に沿って必要なバンド構成の横の位置を変えるだけである。
【0016】
従来の半導体デバイス理論によれば、過剰電荷キャリアは負の極性(電子)または正の極性(正孔)のいずれかを有するキャリアを備えるべきである。過剰電荷キャリアは、外因性半導体材料、例えばドープされた材料の使用によってデバイスに導入されてもよい。
【0017】
標準半導体用語によれば、アクティブ層は、電子および正孔が第1方向に沿った電界の印加のもとで放射的に再結合する可能性が非常に強い、半導体の一部分である。
【0018】
有利には、半導体材料を第1層から選択的に除去するステップは、第1方向に沿って第1層の厚さにテーパをつけるプロセスを備える。これは漸次的変化の範囲内で電荷キャリアの一連の濃度レベル(すなわち3つ以上の濃度レベル)を提供する。
【0019】
好ましくは、スタックの中の半導体材料の層は、少なくとも1つのヘテロ構造体を形成するように構成される。スタックの中の少なくとも2つの層は、それぞれ異なるバンドギャップを有する半導体材料を備えてもよい。例えば、アクティブ層および隣接する層は、それぞれ異なるバンドギャップを有する半導体材料を備えてもよい。
【0020】
好ましい実施形態では、第1濃度、および、半導体材料が選択的に除去される深さは、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協力するように設定される。
【0021】
任意選択で、表面の下の深さ、第1層およびアクティブ層の厚さ、ならびにそれらの間の間隔は、第1濃度、および、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう半導体材料が選択的に除去される深さと協働するように設定される。
【0022】
他の好ましい実施形態では、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度は、第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変わる。
【0023】
半導体構造を取るステップは、スタックの第1層の中の半導体材料に第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備えてもよい。例えば、第1極性の過剰電荷キャリアを与えるステップは、半導体構造体にドーパント種を導入するステップを備えてもよい。
【0024】
ドーパント種は第1層を備える半導体材料に導入されてもよい。
【0025】
ドーパント種を導入するステップは、例えば分子ビームエピタキシ(MBE)を使用して、結晶成長中にスラブドーピングおよびデルタドーピングのうちの少なくとも1つを備えてもよい。MBEなどの成長技法を使用して、ドーパント種は成長中に導入され、それらの分布は正確に制御されることができる。代替として、ドーパント種は、イオン注入および拡散などの技法を使用して、成長後に導入されることもできる。
【0026】
有利には、ドーパント種はp型ドーパントを備える。
【0027】
他の好ましい実施形態では、第2層の中の半導体材料は、第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度、ならびに、半導体材料が第1層から選択的に除去される深さは、アクティブ層の中で優勢である過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変わるよう協働するように設定される。一実施形態では、アクティブ層と第2層は同じものである。
【0028】
この場合、本方法は、スタックの第2層の中の半導体材料に第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備えてもよい。例えば、第2極性の過剰電荷キャリアを与えるステップは、ドーパント種を半導体構造体に導入するステップを備えてもよい。
【0029】
ドーパント種は、第2層を備える半導体材料に導入されてもよい。
【0030】
ドーパント種を導入するステップは、結晶成長中にスラブドーピングおよびデルタドーピングのうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0031】
有利には、ドーパント種はn型ドーパントを備える。
【0032】
有利には、第1濃度および第2濃度、ならびに、半導体材料が第1層から選択的に除去される深さは、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域との間に第1方向に沿って挿入される過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域をアクティブ層の中に提供するよう協働するように設定される。
【0033】
任意選択で、表面の下の深さ、第1層、第2層およびアクティブ層の厚さ、ならびにそれらの間の間隔は、第1濃度および第2濃度、ならびに、半導体材料が第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域との間に第1方向に沿って挿入される過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域をアクティブ層の中に提供するために第1層から選択的に除去される深さと協働するように設定される。
【0034】
本方法は、第1層および第2層における過剰キャリアの適切な濃度の選択を条件として、pin横型半導体接合が第1層からの選択的除去の結果として固有に生じる点で有利である。本方法は、正しいドーピングプロファイルは、(第1層がデバイスから完全には除去されない限り)材料が除去される深さに関係なく、第1方向に沿ってデバイスの中でどこかで達成されることを保証する。実際には、第1層は、第1方向の一部分に沿って除去されてもよい。さらに、第1層(例えば、第2層)の下にある構造体の一部分はデバイスの性能を損なうことなく除去されてもよい。
【0035】
明瞭のために、過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域は、真性半導体を備えても、外因性半導体を備えてもよい。
【0036】
好ましくは、前述の方法は、半導体構造体を形成するステップを備え、アクティブ層は第1層と第2層の間に配置され、アクティブ層のバンドギャップは第1層および第2層のバンドギャップより小さくなるように設定される。この場合、構造体は、第1層および第2層内の過剰電荷がアクティブ層に移動されるように設定される。
【0037】
有利には、アクティブ層は実質的に真性の半導体材料を備える。これは、そうではない場合は再結合中心、キャリアトラップおよび散乱中心として働く可能性もあるドナー/アクセプタ不純物を排除することによってアクティブ層の中のキャリアの移動性を改善する。それによってデバイスの高周波および光性能が高められる。この構成では、過剰キャリアは好ましくは第1層および第2層からアクティブ層に導入される。
【0038】
有利には、アクティブ層は、同じバンドギャップの第1層および第2層を有するドープされていないスペーサ層によって第1層および第2層から分離される。したがって、ドーパントイオンはアクティブ層内の移動キャリアから空間的に離れていて、したがって、これらのイオンからの散乱は最小化される。
【0039】
他の実施形態では、半導体構造体は量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える。
【0040】
好都合には、テーパをつけるプロセスは、スタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである。
【0041】
好ましい実施形態では、テーパをつけるプロセスは、スタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5ラジアンの角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである。
【0042】
他の実施形態では、テーパをつけるプロセスは、機械的ラッピング、レーザアブレーション、プラズマベベリング、イオンビームベベリング、化学機械研磨、および化学ベベリングのうちの少なくとも1つを備える。
【0043】
有利には、テーパをつけるプロセスは、臭素エチレングリコールエッチング液による化学ベベリングを備える。
【0044】
好ましくは、臭素の濃度は1%〜10%である。エッチング速度は、好都合には、0.1μm/分から1μm/分までの範囲にあるように設定される。実際には、本方法は、好ましくは、半導体構造体を0.25mm/分〜100mm/分までの範囲の制御された速度で、通常約3mm/分の速度で、エッチング液に沈めるステップを備える。
【0045】
好ましい実施形態では、本方法は、接続手段を構造体に接着する別のステップを備える。接続手段は、電気接続および光接続のうちの少なくとも1つを備えてもよい。
【0046】
本発明の第2態様によれば、次に、一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層によって形成されるスタックを有する半導体ヘテロ構造体を備える横型接合半導体デバイスが提案され、その中の第1層は層の平面と実質的に平行な第1方向に沿ってテーパのついた厚さを有し、前記第1層は第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有する半導体材料を備え、第1濃度およびテーパつきの層の厚さは、第1方向に沿ってアクティブ層の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するよう協働するように設定される。
【0047】
好ましい実施形態では、第1濃度およびテーパつきの層の厚さは、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協働するように設定される。好ましくは、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度は、第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変化する。
【0048】
他の好ましい実施形態では、第2層の中の半導体材料は、第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度ならびにテーパつきの層の厚さは、アクティブ層の中で優勢な過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変化するよう協働するように設定される。
【0049】
他の好ましい実施形態では、第1濃度および第2濃度ならびにテーパつきの層の厚さは、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域の間に第1方向に沿って挿入される過剰キャリアを実質的に有しない領域をアクティブ層の中に提供するよう協働するように設定される。
【0050】
明瞭のために、過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域は、真性半導体を備えても、外因性半導体を備えてもよい。
【0051】
本発明のこの実施形態では、半導体デバイスは、好ましくは、アクティブ層が第1層と第2層の間に配置される半導体構造を備え、アクティブ層のバンドギャップは、第1層および第2層のバンドギャップより小さくなるように設定される。
【0052】
有利には、アクティブ層は実質的に真性の半導体材料を備える。これは、そうでない場合は再結合中心、キャリアトラップおよび散乱中心として働く可能性もある、ドナー/アクセプタ不純物を排除することによってアクティブ層の中のキャリアの移動性を改善する。それによってデバイスの高周波および光性能が高められる。この構成では、過剰キャリアは、好ましくは、第1層および第2層からアクティブ層に導入される。
【0053】
有利には、アクティブ層は、同じバンドギャップの第1層および第2層を有するドープされていないスペーサ層によって第1層および第2層から分離される。ドーパントイオンは、したがって、アクティブ層内の移動キャリアから空間的に離れていて、したがって、これらのイオンからの散乱は最小化される。
【0054】
好都合には、半導体構造体は量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える。
【0055】
好ましくは、テーパつきの層の厚さは、スタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与える。さらに好ましくは、外側表面はスタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5ラジアンの角度で傾斜している。
【0056】
次に、本発明の第3態様によれば、本発明の第2態様による横型接合半導体デバイスを有し、使用中に、移動キャリアが第1方向に沿って弾性表面波によって輸送されるように第1方向に沿って進行する弾性表面波を生成する手段、および、そのように輸送される移動キャリアの数が単一キャリアの正確さにまで制御されることができるようにこの波によって生じるキャリア輸送を制御する手段をさらに備える光子源が提案される。
【0057】
本発明の第2態様による横型接合半導体デバイスが単一極性のみの過剰電荷キャリアを有する場合には、光子源は、好ましくは、移動キャリアをデバイスに導入する電気的手段および光学的手段のうちの少なくとも1つをさらに備える。したがって、第1層の中のものとは逆の極性を有する移動キャリアは、少なくとも1つの電気的手段および光学的手段によってデバイスに導入されてもよい。
【0058】
有利には、キャリア輸送を制御する手段は、バイアス可能なスプリットゲートおよび量子ポイントコンタクトのうちの少なくとも1つを備える。
【0059】
次に、本発明は、添付の図面を参照しながら例としてのみ説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
次に、図1および図2を参照しながら、単一光子源デバイスおよびこれを製作する方法を備える本発明の第1実施形態が説明される。デバイス2は、単一結晶基板上への半導体層のエピタキシャル成長に基づき、成長後の提案されたデバイスの概略横断面が図1に示されている。最上層4および最下層6は、中間層8より大きなバンドギャップを有するように成長させられる。これは、例えば、最上層および最下層がAlGaAsであり、中間層がGaAsであるように、それぞれ異なる組成物の層を成長させることによって達成される。他の適切な材料系には、Hg1−xCdxTeおよびInGaAs/InGaAsPがあるが、それらに限定されない。
【0061】
図1に示されているデバイス2は、キャリアの波動関数が中間層から離れてゼロに急速に落ちる量子井戸構造体を利用している。量子井戸内の電子(または正孔)は、井戸の平面に対して直角の方向に最低エネルギーの定在波を主に占めることによって2Dシートを形成する。しかし、以下の解説は、量子井戸構造体に限定されず、ヘテロ接合でトラップされたキャリアにも適用可能である。
【0062】
デバイス2の最上層4は、電荷キャリアが井戸に移動させられることを保証するのに十分量子井戸に近接した薄いシート10内にあるアクセプタとともに、成長中にpドープされる(一般にδドーピングとして知られている)。次いで、デバイスは、δドープされた層10の一部分が除去されるように、図2に示されているようにベベルエッチングされる。これは、図2の右方に示されているように、ドープされる量子井戸の一部分12のみを残す。ウェット化学エッチングは、通常、量子井戸に物理的損傷をほとんど与えないように、ベベルを生成するために使用される。しかし、本発明の方法はウェットエッチングに限定されず、ベベルを生成するために、代替的プロセス、例えばイオンビームミリング、機械ラッピングまたは化学機械研磨が使用されることもできることは、当業者には明らかであろう。
【0063】
多くの状況で、化学ベベルエッチングは、成長したままの材料を粗くせず、比較的簡単な装置に頼り、CdTe、InP、GaAs、およびInGaNを含めて様々な材料に容易に利用されることができるので、魅力的である。化学ベベルエッチングは、サンプルをエッチング溶液に徐々に沈めることによって、あるいは代替的に、サンプルをエッチング溶液で徐々に覆うことによって達成される。通常、ベベル角度は、極端に小さい(10−1〜10−5ラジアンの範囲である)が、エッチング条件を変更することによって変えられることができる。サンプルを構成する様々な層の異なるエッチング速度、またはエッチング成分が消費されるエッチング速度の変化は、非線形的ベベルにつながる可能性がある。しかし、これは、コンピュータ制御されたシステムを使用することによって補償されることができる。
【0064】
ベベルの角度は、ドープされていない量子井戸の大きな(何十マイクロメータの)領域が残ることを保証するのに十分小さいように設定される。最後に、インターデジタル変換器(図示されていない)がデバイスの左向こう側の表面上に堆積され、スプリットゲート14が、図2に示されているように、量子井戸のドープされていない領域の上の表面上に堆積される。
【0065】
デバイスを動作させるために、弾性表面波(SAW)16が、デバイス2の左側から右側に広がるインターデジタル変換器を使用して励起され、同時に量子井戸に沿って電荷を輸送する。本発明の一形態では、量子井戸内で(例えばレーザを使用して)構造体2に光18を当てることによって、電子および正孔が光学的に励起され、SAWに関連する移動横型ポテンシャル井戸内に閉じ込められるようになる。デバイスの他の形態では、デバイス20の左側は、ベベルエッチング後に、例えばイオン注入を使用して、n型にドープされる。イオン注入は、量子井戸に対する損傷を回避するために、インターデジタル変換器の左側で、デバイスの局所限定エリアの上で実行されることもできることに留意されたい。この場合、SAW16は電子を輸送するのみであるが、デバイスの両形態の全体の動作は同様であろう。使用中、スプリットゲート14は、各SAWサイクルで電子が1つしか通れないようにするために負にバイアスをかけられる。このバイアスは、スプリットゲート14で生じ得る正孔のいかなるビルドアップをも補償するように変えられてもよい。δドーピング層10のドーピングは、SAW16がデバイスの右側に入るに伴って、正孔によって急速に減衰されるのに十分大きいように選択され、それによってトラップされた電子が逃げることができるようにする。電子は再結合して単一光子22を放出する。デバイスのこの領域12内の量子井戸の高濃度p型ドーピングは、放射再結合プロセスが十分速いことを保証する。τ<<Tの場合、単一光子の列が生成されることを理解することが重要であるが、この場合、τは再結合時間であり、TはSAWの周期(通常ns)である。したがってこれは、正孔ドーピングが、大きな電子−正孔波動関数の重なり合いを保証し、急速な再結合時間(正孔の数に比例する)を提供するのにも十分にSAWを減衰するのに十分大きい場合、反集群化光子列を提供する。しかし、SAW16のフォーカシングおよびデフォーカシングは、デバイスの様々な部分でSAW振幅を変えるために使用されることもできる。また、ベベルの角度が再結合プロセスを制御するために使用されてもよい。最後に、n型領域およびp型領域の両領域へのオーミックコンタクトが電荷ビルドアップを防止するために必要なこともある。
【0066】
次に、図3および4を参照しながら、前述のものの代替としての単一光子源2デバイスおよびこれを製作する方法を備える本発明の第2実施形態が説明される。不必要な繰返しを避けるために、図1および図2に関して説明された同様の特徴は同じ参照番号を与えられている。
【0067】
適正な光子源の開発は基本的に科学的および技術的に重要であり、本発明のこの第2実施形態では、単一電子が横型pin接合のp型領域に注入される。この実施形態では、単一光子源2は電気的に駆動される。デバイスは従来の光子源より潜在的利点、すなわち比較的高周波数で動作する可能性、多くの平行光子列を生成する能力、知られている偏光によって単一光子が放出される可能性を有する(後者の2つは量子暗号に関する非常に望ましい特性である)。
【0068】
この第2実施形態による単一光子源2は、図3に示されている総ダブルヘテロ構造体構成を備える。以下で説明されるデバイスはIII−V材料かII−IV材料のいずれかを使用して構成される。図3に示されている総構造体に基づいて、自己無撞着シュレーディンガー−ポアソンソルバがInSbおよびHgCdTe量子井戸デバイス層を設定するために使用された。デバイス2の最上層4は、スラブドーピングまたは変調ドーピングを使用して成長中にp型ドープ24される。デバイス2の最下層6は、電荷キャリアが井戸に移動させられることを保証するのに量子井戸に十分近接した薄いシート26内にあるドナーで、成長中にn型ドープされる(一般にδドーピングとして知られている)。p型ドーピングおよびn型ドーピングのレベルは、量子井戸がどこでも最初p型であるように注意深く選択される。ベベルエッチング後のデバイスの概略図が図4に示されている。井戸の片側30は、成長したままの構造体の場合と同様に、p型ドープされたままであり、井戸の領域32はp型ドーパントが除去されたところ35に近いどこかの点ではn型になる。中間のどこかの点では、n型ドーピングおよびp型ドーピングは相殺し、実質的に真性の領域34を残す。デバイスの中のドーピングレベルおよびベベルエッチングされた上側の層4の浅い角度は、単一電子がn型領域からp型領域に移動させられるときにSAWに関連する最低電位にトラップされたままであることを保証するデバイスの中でゆっくり変化する電位を提供する。
【0069】
図5は詳細なInSbおよびHgCdTeデバイス構造体の概略図を示す。この場合、HgCdTe量子井戸8は、mid−IRでの放出を提供するように設定された組成を有するが、HgCdTeは格子整合系であるので、これは、例えば1.55μmでの放出を提供するために容易に変更されることもできる。
【0070】
図6aおよび図6cでは、量子井戸内の第1電子サブバンドの最低エネルギーとして、それぞれInSbおよびHgCdTeの場合に関するエッチング深さの関数として、電子の電位がプロットされる。これらのプロットは、ベベルエッチング後、量子井戸はn型領域もp型領域も含むことを示す。図6bでは、量子井戸の中のシート電荷密度がInSb構造体に関するエッチングの深さの関数としてプロットされる。これは、この場合、実質的に真性の領域によって分離されている、ベベルエッチング後のn型領域およびp型領域の形成を確認する。
【0071】
前述の実施形態と同様に、化学ベベルエッチングがベベルを様々なテストサンプルに導入するために使用されたが、代替的処理技法が、前述のように適用可能であり得る。
【0072】
図7は、前述のデバイスを製作するために使用される装置40の概略図を示す。電気モータ42が、エッチングされるべきサンプル50が取り付けられたギアボックス46を介してロッド44を上げ下げするために使用される。モータ42を駆動するために使用される電流およびギア比46は、ロッド44が約0.25mm/分から約100mm/分の間の速度で滑らかに下げられることができるように、コントローラ48を使用して変えられることができる。ロッド44が下げられる速度は、ベベルの長さ、および、化学エッチング速度とともに、ベベルの深さを決定する。通常、約3mm/分の速度が使用される。
【0073】
エッチング液52がビーカ54内に用意され、エッチング前20分間室温のままにしておかれる。エッチングする直前に、溶媒56の層がエッチング液52上にピペットでゆっくり移される。これは、蒸気エッチングおよびサンプル50にわたって形成するメニスカスを防止する。溶媒56およびエッチング液52は、層の間でほとんど混合しないように、不混和性であるように選択される。InSbおよびHgCdTeでは、エチレングリコールおよび臭素エチレングリコールをそれぞれ溶媒およびエッチング液に使用する。臭素の濃度はエッチング速度を決定するが、通常、0.1μm/分から1μm/分の間のエッチング速度を提供する1%から10%の間の濃度を使用する。
【0074】
エッチングされるべきサンプルがガラススライド58上に取り付けられ、ロッド46に接着される。次いで、エッチングを開始するために、サンプル50は溶媒/エッチング液界面60までビーカ56の中に沈められる。
【0075】
図8は臭素/エチレングリコールベベルエッチングを使用してパターン化されたHgCdTeテストデバイス62の2D表面プロファイルを示す。エッチングの深さは、フォトレジストを使用してマスクオフされたデバイスのストリップとベベルの最深部との間のステップの高さを測定することによって決定され、約4μmであった。ベベルの長さは約3mmであった(画像は、ベベルがはっきり見えるように、ベベルの方向に圧縮されていることに留意されたい)。エッチングされた表面の平均表面粗度は20nmと測定され、これはエッチングされていない表面とほぼ同じであった。様々な材料のために様々なエッチング液および溶媒が使用されることができるが、臭素エチレングリコール化合物がInGaAs/InPのために使用された場合、やはり良好な結果を提供することが知られている。
【0076】
図9は本発明による技法を使用して製作されたデバイスから測定された電流/電圧特性を示す。分子線エピタキシを使用して、図5に示されている設定に従って、GaAs基板上でInSbウェハが成長させられ、図7に示されているベベルエッチング装置を使用して処理された。オーミックコンタクトのアレイがエッチング後デバイスの表面上に堆積され、そして、図9は1組のオーミックコンタクトから測定されたI−V特性を示すが、この場合、1つは量子井戸のp型領域に接触し、1つは井戸のn型領域に接触していると考えられる。正の電圧は、p型側上のオーミックコンタクトがn型側上のオーミックコンタクトに比べて正であった場合に対応し、この場合、電流は最初、印加電圧に対してほとんど幾何級数的に増大する。それとは対照的に、電圧が逆転すると、電流はずっと小さくなり、比較的印加電圧にも依存しない。電流の流れの印加電圧の極性への強い依存性は、横型pn接合が形成されていることと一致する。
【0077】
前述のInSb量子井戸デバイス内の横型接合の特徴を描写するためにレーザ顕微鏡も使用された。可視(633nm)レーザおよび中赤外線(mid−IR)(1.4μm)レーザの両方で撮られたマイクロメータスケールの解像度の光応答スキャンが、n型コンタクトとp型コンタクトの間にある高振幅信号のエリアを示し、横型pin接合の存在を確認した。mid−IRレーザが使用された場合、高振幅信号の空間分布は、可視照明が使用された場合より小さかった。mid−IRは量子井戸の中の遷移を励起することができるだけなので、これは、接合が量子井戸内にあることを示唆している。
【0078】
本発明の前述の実施形態はダブルヘテロ構造デバイスおよび特に単一光子源に関して説明されてきたが、本発明の方法は他のデバイス、例えば半導体レーザの製作にも適用可能であることは、当業者には明らかであろう。本方法は、単一ヘテロ構造デバイス、例えばpn接合デバイス、例えば発光ダイオードを製作することにも適している。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態による部分的に製作された横型接合半導体デバイスの概略横断面図である。本図は構造体の上側の層にテーパをつける処理の前の半導体構造体を示す。
【図2】本発明の第1実施形態による完成された横型接合半導体デバイスの概略横断面図である。図2に示されたデバイスは単一光子源を備える。
【図3】本発明の他の実施形態による部分的に製作されたダブルヘテロ構造デバイスの概略横断面図である。この実施形態では、横型接合デバイスは量子井戸構成に基づく。
【図4】ベベルエッチング後の図3のダブルヘテロ構造デバイスの概略横断面図である。
【図5】それぞれアンチモン化インジウム(InSb)およびテルル化カドミウム水銀(HgCdTe)に基づく横型発光ダイオード用の設定を備える本発明の他の実施形態の概略横断面図である。
【図6a】図5に示されている実施形態に関する電子電位対エッチングの深さの変化を示し、具体的には、アンチモン化インジウム(InSb)デバイスに関する図である。
【図6b】アンチモン化インジウム(InSb)構造体に関するエッチングの深さの関数としてのシート電荷密度のプロットを示す図である。
【図6c】図5に示されている実施形態に関する電子電位対エッチングの深さの変化を示し、具体的には、テルル化カドミウム水銀(HgCdTe)デバイスにおける電子電位の変化を示す図である。
【図7】本発明による方法の一実施形態で使用されるベベルエッチング装置の概略図である。
【図8】化学ベベルエッチングを使用してパターン化されたHgCdTeテストデバイスの2次元表面プロファイルを示す図である。
【図9】温度の関数として測定された、図5に示されている設定によるInSbで製作された横型pn接合の電流/電圧特性を示す図である。高度に非線形的な特性は、横型接合が形成されたことを示唆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横型接合半導体デバイスを製作する方法であって、
(i)一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層(4、6、8)によって形成されたスタックを有する半導体構造体(2)を取るステップであって、第1層(4)の中の半導体材料が第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有するステップと、
(ii)第1方向に沿ってアクティブ層(8)の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するために、半導体材料を第1層(4)から、構造体の中の層の平面と実質的に平行な第1方向に沿って変わる深さまで選択的に除去するステップとを備える、方法。
【請求項2】
半導体材料を第1層(4)から選択的に除去するステップが、第1方向に沿って第1層(4)の厚さにテーパをつけるプロセスを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スタックの中の半導体材料の層(4、6、8)が少なくとも1つのヘテロ構造体を形成するように構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1濃度および半導体材料が選択的に除去される深さが、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協働するように設定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が、第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変わる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
半導体構造体(2)を取るステップが、スタックの第1層(4)の中の半導体材料に第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1極性の過剰電荷キャリアを与えるステップが、ドーパント種を半導体構造体(2)に導入する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2層(6)の中の半導体材料が、第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度、ならびに半導体材料が第1層(4)から選択的に除去される深さが、アクティブ層(8)の中で優勢である過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変わるよう協働するように設定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
スタックの第2層(6)の中の半導体材料に第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2極性の過剰電荷キャリアを与えるステップが、ドーパント種を半導体構造体(2)に導入するステップを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1濃度および第2濃度、ならびに半導体材料が第1層(4)から選択的に除去される深さが、アクティブ層(8)の中で、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域の間に第1方向に沿って挿入される過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域を提供するよう協働するように設定される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
半導体構造体(2)を形成するステップを備える、請求項11に記載の方法であって、アクティブ層(8)が第1層と第2層(4、6)の間に配置され、アクティブ層(8)のバンドギャップが第1層および第2層(4、6)のバンドギャップより小さくなるように設定される、方法。
【請求項13】
アクティブ層(8)が実質的に真性の半導体材料を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
半導体構造体(2)が量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
テーパをつけるプロセスが、スタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである、請求項2から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
テーパをつけるプロセスが、スタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5ラジアンの角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
テーパをつけるプロセスが、機械ラッピング、レーザアブレーション、プラズマベベリング、イオンビームベベリング、化学機械研磨、および化学ベベリングのうちの少なくとも1つを備える、請求項2から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
テーパをつけるプロセスが臭素エチレングリコールエッチング液による化学ベベリングを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
臭素の濃度が1%〜10%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
0.1μm/分から1μmまでのエッチング速度を有する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
接続手段を構造体(2)に接着する他のステップを備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
接続手段が電気接続および光接続のうちの少なくとも1つである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層(4、6、8)によって形成されたスタックを有する半導体ヘテロ構造体(2)を備える横型接合半導体デバイスであって、その中の第1層(4)が層の平面と実質的に平行な第1方向に沿ってテーパのついた厚さを有し、前記第1層(4)が第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有する半導体材料を備え、第1濃度およびテーパつきの層の厚さが、第1方向に沿ってアクティブ層の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するよう協働するように設定される横型接合半導体デバイス。
【請求項24】
第1濃度およびテーパつきの層の厚さが、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協働するように設定される、請求項23に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項25】
漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変わる、請求項24に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項26】
第2層(6)の中の半導体材料が第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度、ならびにテーパつきの層の厚さが、アクティブ層(8)の中で優勢である過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変わるよう協働するように設定される、請求項23から25のいずれか一項に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項27】
第1濃度および第2濃度、ならびにテーパつきの層の厚さが、アクティブ層(8)の中に、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域の間に第1方向に沿って挿入される過剰キャリアを実質的に有しない領域を提供するよう協働するように設定される、請求項26に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項28】
アクティブ層(8)が第1層と第2層(4、6)の間に配置され、アクティブ層(8)のバンドギャップが第1層および第2層(4、6)のバンドギャップより小さくなるように設定される半導体構造体(2)を備える、請求項27に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項29】
アクティブ層(8)が実質的に真性の半導体材料を備える、請求項28に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項30】
半導体構造体(2)が、量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える、請求項28または29に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項31】
テーパつきの層の厚さがスタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与える、請求項23から30のいずれか一項に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項32】
外側表面がスタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5の角度で傾斜している、請求項31に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項33】
使用中、移動キャリアが第1方向に沿って弾性表面波(16)によって輸送されるように第1方向に沿って進行する弾性表面波(16)を生成する手段と、そのように輸送される移動キャリアの数が単一キャリアの正確さまで制御されることができるように波によって生じるキャリア輸送を制御する手段とをさらに備える、請求項23から32のいずれか一項に記載の横型接合半導体デバイスを有する光子源。
【請求項34】
移動キャリアをデバイスに導入する電気的手段および光学的手段のうちの少なくとも1つを備える、請求項23から25のいずれか一項に直接または間接的に従属する場合の、請求項33に記載の光子源。
【請求項35】
キャリア輸送を制御する手段がバイアス可能なスプリットゲート(14)および量子ポイントコンタクトのうちの少なくとも1つを備える、請求項33または34に記載の光子源。
【請求項1】
横型接合半導体デバイスを製作する方法であって、
(i)一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層(4、6、8)によって形成されたスタックを有する半導体構造体(2)を取るステップであって、第1層(4)の中の半導体材料が第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有するステップと、
(ii)第1方向に沿ってアクティブ層(8)の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するために、半導体材料を第1層(4)から、構造体の中の層の平面と実質的に平行な第1方向に沿って変わる深さまで選択的に除去するステップとを備える、方法。
【請求項2】
半導体材料を第1層(4)から選択的に除去するステップが、第1方向に沿って第1層(4)の厚さにテーパをつけるプロセスを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スタックの中の半導体材料の層(4、6、8)が少なくとも1つのヘテロ構造体を形成するように構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1濃度および半導体材料が選択的に除去される深さが、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協働するように設定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が、第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変わる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
半導体構造体(2)を取るステップが、スタックの第1層(4)の中の半導体材料に第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1極性の過剰電荷キャリアを与えるステップが、ドーパント種を半導体構造体(2)に導入する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2層(6)の中の半導体材料が、第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度、ならびに半導体材料が第1層(4)から選択的に除去される深さが、アクティブ層(8)の中で優勢である過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変わるよう協働するように設定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
スタックの第2層(6)の中の半導体材料に第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを与える中間ステップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2極性の過剰電荷キャリアを与えるステップが、ドーパント種を半導体構造体(2)に導入するステップを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1濃度および第2濃度、ならびに半導体材料が第1層(4)から選択的に除去される深さが、アクティブ層(8)の中で、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域の間に第1方向に沿って挿入される過剰電荷キャリアを実質的に有しない領域を提供するよう協働するように設定される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
半導体構造体(2)を形成するステップを備える、請求項11に記載の方法であって、アクティブ層(8)が第1層と第2層(4、6)の間に配置され、アクティブ層(8)のバンドギャップが第1層および第2層(4、6)のバンドギャップより小さくなるように設定される、方法。
【請求項13】
アクティブ層(8)が実質的に真性の半導体材料を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
半導体構造体(2)が量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
テーパをつけるプロセスが、スタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである、請求項2から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
テーパをつけるプロセスが、スタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5ラジアンの角度で傾斜した外側表面を与えるようなものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
テーパをつけるプロセスが、機械ラッピング、レーザアブレーション、プラズマベベリング、イオンビームベベリング、化学機械研磨、および化学ベベリングのうちの少なくとも1つを備える、請求項2から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
テーパをつけるプロセスが臭素エチレングリコールエッチング液による化学ベベリングを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
臭素の濃度が1%〜10%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
0.1μm/分から1μmまでのエッチング速度を有する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
接続手段を構造体(2)に接着する他のステップを備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
接続手段が電気接続および光接続のうちの少なくとも1つである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
一連の実質的に平行な平面をなして配置された半導体材料の複数の層(4、6、8)によって形成されたスタックを有する半導体ヘテロ構造体(2)を備える横型接合半導体デバイスであって、その中の第1層(4)が層の平面と実質的に平行な第1方向に沿ってテーパのついた厚さを有し、前記第1層(4)が第1濃度での第1極性の過剰電荷キャリアを有する半導体材料を備え、第1濃度およびテーパつきの層の厚さが、第1方向に沿ってアクティブ層の中の第1極性の電荷キャリアの濃度の漸次的変化を提供するよう協働するように設定される横型接合半導体デバイス。
【請求項24】
第1濃度およびテーパつきの層の厚さが、漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が実質的にゼロの最小値から増大するよう協働するように設定される、請求項23に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項25】
漸次的変化の範囲内の第1極性の過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って最小値から最大値まで実質的に線形的に変わる、請求項24に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項26】
第2層(6)の中の半導体材料が第2濃度での第2極性の過剰電荷キャリアを有し、第1濃度および第2濃度、ならびにテーパつきの層の厚さが、アクティブ層(8)の中で優勢である過剰電荷キャリアの濃度が第1方向に沿って第1極性のそれらから第2極性のそれらまで変わるよう協働するように設定される、請求項23から25のいずれか一項に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項27】
第1濃度および第2濃度、ならびにテーパつきの層の厚さが、アクティブ層(8)の中に、第1極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域と第2極性の過剰電荷キャリアが優勢である領域の間に第1方向に沿って挿入される過剰キャリアを実質的に有しない領域を提供するよう協働するように設定される、請求項26に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項28】
アクティブ層(8)が第1層と第2層(4、6)の間に配置され、アクティブ層(8)のバンドギャップが第1層および第2層(4、6)のバンドギャップより小さくなるように設定される半導体構造体(2)を備える、請求項27に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項29】
アクティブ層(8)が実質的に真性の半導体材料を備える、請求項28に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項30】
半導体構造体(2)が、量子井戸構成をなして構成されたダブルヘテロ構造体を備える、請求項28または29に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項31】
テーパつきの層の厚さがスタックにその中の層の平面に対してある角度で傾斜した外側表面を与える、請求項23から30のいずれか一項に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項32】
外側表面がスタックの中の層の平面に対して10−1〜10−5の角度で傾斜している、請求項31に記載の横型接合半導体デバイス。
【請求項33】
使用中、移動キャリアが第1方向に沿って弾性表面波(16)によって輸送されるように第1方向に沿って進行する弾性表面波(16)を生成する手段と、そのように輸送される移動キャリアの数が単一キャリアの正確さまで制御されることができるように波によって生じるキャリア輸送を制御する手段とをさらに備える、請求項23から32のいずれか一項に記載の横型接合半導体デバイスを有する光子源。
【請求項34】
移動キャリアをデバイスに導入する電気的手段および光学的手段のうちの少なくとも1つを備える、請求項23から25のいずれか一項に直接または間接的に従属する場合の、請求項33に記載の光子源。
【請求項35】
キャリア輸送を制御する手段がバイアス可能なスプリットゲート(14)および量子ポイントコンタクトのうちの少なくとも1つを備える、請求項33または34に記載の光子源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−509570(P2008−509570A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525336(P2007−525336)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003021
【国際公開番号】WO2006/016118
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003021
【国際公開番号】WO2006/016118
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】
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