説明

横型製袋充填包装機並びにそのエンドシール制御方法及び装置

【課題】エンドシーラが閉じる前で且つエンドシーラの水平方向への移動速度と筒状包装材の搬送速度とが等しい領域を存在させることで、当該領域においてエンドシールに付随する作業をスムーズに行う横型製袋充填包装機及びエンドシール制御装置を提供する。
【解決手段】上下のエンドシーラ11a,11bの水平移動動作について筒状包装材と等速で水平移動する区間Bと、エンドシーラの開閉動作について両エンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とが、それぞれ設定可能である。これら両エンドシーラの両区間を同じ時間に実行することで、上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に上下のエンドシーラが一定の間隔を保ったまま筒状包装材と等速で水平移動する軌跡を取る区間B1が合成される。当該区間B1においてエア抜き装置やガセット装置を作動させることで、シワや製品の位置ずれが防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水平移動と開閉動作を別々のサーボモータで駆動し、両動作を合成することでエンドシーラにボックスモーション動作を行わせる横型製袋充填包装機、並びにボックスモーション動作をするようにエンドシーラの動作を制御する横型製袋充填包装機のエンドシール制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続する帯状包装材から筒状包装材を経て袋を形成し、順次搬送されてくる製品をその袋内に包装して袋包装体を順次に製造する製袋包装機が知られており、その一つとして、包装材を横方向(水平方向)に紙送りする中で、製品の充填と縦及び横のシールを施して袋包装体を製造する横型の製袋充填包装機がある。横型製袋充填包装機では、横方向に走行する帯状包装材の両側縁部分をシールして筒状包装材に成形し、その筒状包装材内に包装すべき製品を送り込み、当該製品の前後の位置において筒状包装材にエンドシールを施して、所謂ピロー包装された袋包装体が製造される。
【0003】
横型製袋充填包装機のエンドシール装置の一形態として、横方向に送られる筒状包装材を上下に挟んで配置される一対のエンドシーラ(カッター刃を内蔵するものがある)と、そのエンドシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのエンドシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構とを備えたものがある。上下のエンドシーラは、駆動機構によって、筒状包装材の所定位置を上下から挟み込んだ状態で筒状包装材とともに一定量だけ横方向に前進移動する。これにより、筒状包装材は、両エンドシーラに挟まれた部位において、挟まれている期間、熱シールされることで包装袋が形成され、包装袋内に製品が収容された袋包装体が製造される。エンドシーラにカッタ刃を内蔵する形式のものでは、エンドシールの位置で筒状包装材がカットされて、個々の袋包装体に切り出される。
【0004】
図6は横型の製袋包装機の一例を示す概略図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。横型製袋包装機60においては、巻取り軸61に装填された原反ロール部Frから繰り出された帯状包装材Fwは、幾つかの回転自在なガイドロール62で案内されて、横置きの態様に配置された製筒器(フォーマ)63に送り込まれる。帯状包装材Fwは、製筒器63において略筒状に曲成された後、重ね合わされた両側縁部にセンターシール(縦シール)装置64によって縦シールが施されて筒状包装材Ftに成形される。製筒器63においては、横方向に搬送されてくる製品としての包装物Pが筒状包装材Ftの内部に順次送り込まれる。筒状包装材Ftは、包装物Pを筒状包装材Ftの送り方向の前後に挟む位置で、横切る方向にエンドシール(横シール)装置65によって横シールが施されることで、内部に包装物Bが充填された袋包装体Bpが製造される。エンドシール装置65にカッタ装置66が組み込まれる場合には、カッタ装置66が当該横シール位置に合わせて筒状包装材Ftをカットすることで、袋包装体Bpが個別に切り出される。
【0005】
原反ロール部Frは、製筒器63の送り方向前位置に設けられた、帯状包装材Fwを挟むピンチローラ式の紙送りローラ69によって繰り出される。また、センターシール装置64は、一対のシールローラ64a,64bから成っている。センターシール装置64の包装材送り方向上流側には、一対のローラ67a,67bから成り、筒状に曲成された包装材の重ね合わされた縁部を両側から挟んで送るローラ式の紙引きローラ67が設けられている。エンドシール装置65は、互いに同期して対称的な動作をする上側のエンドシーラ65aと下側のエンドシーラ65bとを備えている。そして、横型製袋包装機60には、エンドシール装置65に関連して、上下のエンドシーラ65a,65bの動作に合わせて、筒状包装材Ftの側面を内側に折り込むガセット爪68a〜68cを備えたガセット装置68が付設されている。
【0006】
この種のエンドシール装置は、ボックスモーションタイプのエンドシール装置とも称されている。このようなボックスモーションタイプのエンドシール装置としては、例えば、特許文献1に開示されたもののように、エンドシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのエンドシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構として溝カムを用いる装置が一般的である。そして、この溝カムの形状として、シール時に水平となって横方向に延びる部分を設けることにより、上下のエンドシーラが筒状包装材を挟み込んだ状態のまま一定距離だけ筒状包装材と等速で横方向に前進移動することで、シール時間を増加させることができる。
【0007】
エンドシーラのボックスモーションの軌跡の例が図7に示されている。上下のエンドシーラ65a,65bが同期して対称的な動作をしており、軌跡70a,70bのうち、筒状包装材を挟み込んだ状態のまま一定距離だけ筒状包装材と等速で横方向に前進移動する区間70c,70dにおいて、エンドシーラ65a’,65b’が筒状包装材Ftにエンドシールを施す。
【0008】
また、溝カムを用いずに、例えば特許文献2に開示されたもののように、エンドシーラの動作を水平方向、即ち筒状包装材の搬送方向の動作とエンドシーラの開閉動作をそれぞれ別々のモータで行うことにより、エンドシーラの移動の軌跡をボックスモーションにするものもある。このエンドシーラの水平移動動作と開閉動作を別々のモータで行う方式の場合、両モータの出力パターンを変更することにより様々な軌跡が合成可能であり、用途に応じて最適なエンドシーラのボックスモーションの軌跡が実現できる。
【0009】
図8には、こうしたエンドシーラの水平方向に往復移動する水平移動動作83と、上下方向に往復する開閉動作84とが合成されて形成された軌跡80が示されている。水平移動動作83は、1サイクルで中間位置から最後進位置に至り、そこから中間位置を経て最前進位置に至り、再び中間位置に戻る往復する動作である。開閉動作84は、1サイクルで全開位置から全閉位置に至り、再度全開位置に戻る動作である。これら両動作83,84が合成されることで、両エンドシーラ65a,65bについては、全閉位置にあるときには、筒状包装材Ftを挟みながら筒状包装材Ftの送り速度と等速で前進する軌跡81a、81bが得られ、全閉以外の位置にあるときには、軌跡81a,81bの終端から互いに離れて軌跡81a、81bの始端に戻る弧状の軌跡82a,82bが得られる。
【0010】
ところで、ボックスモーションタイプのエンドシーラには、上記ガセット装置の他、筒状包装材にエンドシールを施す手前で作業を行うエア抜き装置などの付設装置が設けられることがある。エア抜き装置は、製造した包装体内部に残留する空気(エア)をなるべく少なくするために、エンドシール前に、スポンジなどのクッション性のある部材で筒状包装材を上方から押圧することで空気(エア)を押し出し、エンドシール実施までその状態を保持しておく装置である。エア抜き装置は、上側エンドシーラの取り付けられている昇降ブロックに取り付けられており、上側エンドシーラの動作とともに水平方向(横方向)への進退及び開閉方向(上下方向)へ昇降する。
【0011】
ガセット装置は、エンドシール部の近傍の筒状包装材側面に、内方に折り込まれた折り目(ガセット)を形成する装置である。ガセットの形成は、エンドシールを施す前に、筒状包装材の側面を、ガセット爪にて内側へ押し込むことによってなされる。そのため、ガセット爪は、上述したエンドシール装置のエンドシーラの動作に合わせて筒状包装材に対して側方から往復運動するよう構成されている(例えば特許文献3参照)。ガセット装置は、エンドシーラが水平方向に進退をするときには、当該水平方向に進退に合わせて、共に水平動作するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−91033号公報
【特許文献2】特開平07−291234号公報
【特許文献3】特開2006−168795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
エンドシール装置に関連する、筒状包装材にエンドシールを施す手前で作業を行うためのエア抜き装置やガセット装置のような付設装置においては、所定の速度で連続して横搬送される筒状包装材に接触して押圧する或いは折り込むような作業を行う部材を有している。したがって、付設装置のこれらの作業は、これらの部材とエンドシーラの相対位置が変化しないとき、即ち、エンドシーラの水平方向への移動速度が筒状包装材の搬送速度と等速であるときに行うことが望ましい。
【0014】
しかしながら、一般的な溝カムを用いるボックスモーションでは、エンドシーラの筒状包装材の搬送速度と等速な水平移動区間については、その全域が上下のエンドシーラが閉じてエンドシールを実施している区間となっている。したがって、これらのエア抜き装置やガセット装置などの作業は、当該等速水平移動区間に先立って、筒状包装材の搬送速度に近似した非等速領域で行われている。当該作業は、筒状包装材の搬送速度と比較して厳密には非等速な状況で行われるため、筒状包装材の搬送にストレスを加えるものであり、筒状包装材の安定した搬送という観点からすると望ましいことではない。また、非等速な状況で筒状包装材に接触することに起因して、エンドシール部分にシワがつく、或いは筒状包装材の内部にある被包装物の位置ずれが生じるなどの包装不良の要因ともなる。
【0015】
そこで、エンドシーラが閉じる前で且つエンドシーラの水平方向への移動速度が筒状包装材の搬送速度と完全に等速である領域を存在させることで、当該領域においてエンドシールに付随する作業を行うことを可能にする点で解決すべき課題がある。
本発明の目的は、エンドシーラの水平移動動作と開閉動作を別々に行い、エア抜き装置やガセット装置などの付随装置がエンドシーラの水平方向への移動速度が筒状包装材の搬送速度と等速であるときにその作業を行えるようにエンドシーラを制御した横型製袋充填包装機、並びにそのようにエンドシーラの動作を制御する横型製袋充填包装機のエンドシール制御方法及び装置に関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、この発明による横型製袋充填包装機は、筒状包装材を上下に挟んで前記筒状包装材にエンドシールを施す上下のエンドシーラと、前記筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作と前記筒状包装材への開閉動作とを別々に行うことで前記上下のエンドシーラに両動作を合成した動作を与えるエンドシーラ制御装置と、前記上下のエンドシーラの動作に対応して前記筒状包装材に付随作業を行う付設装置とを備えている横型製袋充填包装機であって、前記エンドシーラ制御装置は、前記上下のエンドシーラが前記筒状包装材と等速で水平移動する区間と、前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であるとともに、前記上下のエンドシーラについての前記途中停止する区間を前記水平移動する区間内に設定し、前記付設装置は、前記上下のエンドシーラが前記一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する間に、前記筒状包装材に付随作業を行うことを特徴としている。
【0017】
また、この発明による横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御方法は、上下のエンドシーラの、筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作と前記筒状包装材への開閉動作とを別々に行うことで、両動作を合成して当該上下のエンドシーラの動作を形成している横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御方法であって、前記上下のエンドシーラが前記筒状包装材と等速で水平移動する区間と、前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であり、前記上下のエンドシーラについての前記途中停止する区間を前記水平移動する区間内に設定することで前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に前記上下のエンドシーラが一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する軌跡を合成することを特徴としている。
【0018】
また、この発明による横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御装置は、上下のエンドシーラの、筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作と前記筒状包装材への開閉動作とを別々に行うことで、両動作を合成して当該上下のエンドシーラの動作を形成している横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御装置であって、前記上下のエンドシーラが前記筒状包装材と等速で水平移動する区間と、前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であるとともに、前記上下のエンドシーラについての前記途中停止する区間を前記水平移動する区間内に設定することを特徴としている。
【0019】
この横型製袋充填包装機並びにそのエンドシーラ制御方法及び装置によれば、上下のエンドシーラの水平移動動作については両エンドシーラが筒状包装材と等速で水平移動する区間と、上下のエンドシーラの開閉動作については両エンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であり、これら両エンドシーラの両区間については、上下のエンドシーラについての途中停止する区間を水平移動する区間内に設定することで、上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に上下のエンドシーラが一定の間隔を保ったまま筒状包装材と等速で水平移動する軌跡が合成され、こうした合成軌跡を辿る区間を利用してエンドシーラに関連する付随作業を実施することが可能になる。
【0020】
この横型製袋充填包装機並びにそのエンドシーラ制御方法及び装置において、前記上下のエンドシーラの、前記筒状包装材の搬送方向と平行な前記水平移動動作と前記筒状包装材への前記開閉動作とを別々のモータで行い、前記上下のエンドシーラの動作を前記両モータのそれぞれの出力パターンに応じた両動作を合成して形成することができる。モータとしては、例えば制御性及び自由度の高いサーボモータとすることにより、水平移動する区間と閉じ動作の途中停止する区間を精度良く設定することができる。
【0021】
この横型製袋充填包装機並びにそのエンドシーラ制御方法及び装置において、前記上下のエンドシーラが前記一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する間に付随作業を行う付設装置は、前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の内部に存在するエアを押し出すように作動するエア抜き装置、及びで前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の側部に折り込みを形成するガセット装置のうち、少なくとも一方の装置とすることができる。上下のエンドシーラが一定の間隔を保ったまま筒状包装材と等速で水平移動する間においては、エンドシーラがエンドシールを施して包装袋を形成しようとする筒状包装材の内部に存在するエアを押し出すように作動するエア抜き、或いはそうした筒状包装材の側部に折り込みを形成するガセット折込みという付随作業をすることにより、エンドシーラが完全に閉じてはいない状態を利用して、筒状包装材の内部に存在するエアの押出しをスムーズに行い、また包装材の折込みをストレスなく行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明による横型製袋充填包装機並びにそのエンドシーラ制御方法及び装置は、上記のように構成されているので、エンドシール装置が筒状包装材にエンドシールを施すエンドシール区間の手前で、エンドシーラが一定の間隔を保ったまま包装材の搬送速度と等速で水平移動させる区間を設けることにより、エア抜き作業やガセット爪の動作など、エンドシーラが完全に閉じておらず少し開いた状態で且つ包装材の搬送速度と同期している状態で包装材に接触して行うことが理想的であるとされる付随作業を、その理想的な状態で実施させることができる。したがって、付随作業においては、等速移動する筒状包装材に接触することで行われるので、筒状包装材の搬送にストレスを加えることがなく、また、エンドシール部分にシワがつく、或いは、筒状包装材の内部にある被包装物の位置ずれが生じるなどの包装不良の要因を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明による横型製袋充填包装機の一実施例を示す図である。
【図2】図1に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置の動作を説明する図である。
【図3】図1に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置のエンドシーラタイミング設定画面の一例を示す図である。
【図4】この発明による横型製袋充填包装機に付設されるエア抜き装置の一例を示す図である。
【図5】この発明による横型製袋充填包装機に付設されるガセット装置の一例を示す図である。
【図6】従来の横型製袋充填包装機の一例を示す図である。
【図7】図6に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置の軌跡を説明する図である。
【図8】図6に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置の作動の合成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による横型製袋充填包装機及びそのエンドシール制御装置の実施例を説明する。図1はこの発明による横型製袋充填包装機の一実施例を示す図であり、中央の(a)は横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置の側面図、(b)は(a)の左正面図、(c)は(a)の右正面図である。エンドシール装置を備える横型製袋充填包装機の基本的な構成は、図6に示すものと同等であるので、再度の説明を省略する。
【0025】
図1に示す横型製袋充填包装機のエンドシール装置10は、上下に対向して配置された上下のエンドシーラ11a,11bを備えている。エンドシーラ11a,11bは、上下の開閉方向に同期して駆動され、最も閉じたときに、間に筒状包装材を加圧状態に挟み込み、挟まれた包装材の部位を加熱して溶着することで、ヒートシールとしてのエンドシールを施す。上側のエンドシーラ11aには、カッタ12aが内蔵されており、エンドシーラ11bには、カッタ12aに対応した位置にカッタ12aが入り込む溝12bが形成されている。上側のエンドシーラ11aには、カッタ12aを下側のエンドシーラ11bに向けて突き出すカッタ用駆動装置13が設けられている。カッタ用駆動装置13は、例えば公知のエアアクチュエータから構成されており、上下のエンドシーラ11a,11bの動作、即ち、両エンドシーラ11a,11bの閉じ動作に合わせて作動して、カッタ12aを下側のエンドシーラ11bに向けて突き出し、筒状包装材Ftを切断する。
【0026】
エンドシーラ11a,11bは、支持ブロック15に対して上下方向にスライド可能に配設されている。即ち、支持ブロック15は、左右方向の両端部において、スライド軸16a,16bを上下方向に摺動可能に保持しており、スライド軸16a,16bの両端部は、上側においてはエンドブロック17aによって連結されており、下側においてはエンドブロック17bによって連結されている。上側のエンドシーラ11aとカッタ用駆動装置13とは、上側のエンドブロック17aにおいて、それぞれ下側と上側に配設されている。スライド軸16a,16bには、その長手方向中間領域において、中間ブロック18がスライド可能に支持されており、中間ブロック18の上側には下側のエンドシーラ11bが取り付けられている。
【0027】
支持ブロック15には、エンドシーラ11a,11bを上下方向に開閉するための駆動機構として、サーボモータ19が配設されている。開閉用のサーボモータ19の出力軸20には、レバー21が取り付けられており、レバー21の一方端部には上側のリンク22aを介して上側ブラケット23aに揺動可能に連結されており、上側ブラケット23aが中間ブロック18に連結されている。また、レバー21の他方端部には下側のリンク22bを介して下側ブラケット23bに揺動可能に連結されており、下側ブラケット23bは下側のエンドブロック17bに連結されている。したがって、サーボモータ19が駆動されて出力軸20が回転されるとき、下側のリンク22b、下側のエンドブロック17b、スライド軸16a,16b及び上側のエンドブロック17aを介して上側のエンドシーラ11aが開閉され、そして上側のリンク22a及び中間ブロック18を介して下側のエンドシーラ11bが上側のエンドシーラ11aと同期して開閉される。
【0028】
エンドシール装置10は、また、エンドシーラ11a,11bの開閉方向とは直交する前後方向(包装材の紙送り方向)にスライド可能とされている。即ち、エンドシール装置10の支持ブロック15は、その左右において、機械の固定フレームに支持されている前後ガイド25a,25bによって、スライド可能に支持されている。図1の(a)に示すように、固定フレームには、前後駆動用の駆動機構としてのサーボモータ26が配設されており、サーボモータ26の出力軸27にはアーム28が取り付けられており、アーム28の先端部と支持ブロック15(上下方向の駆動用のサーボモータ19でもよい)のブラケット30との間は、リンク29を介して連結されている。したがって、前後駆動用のサーボモータ26が駆動されるときには、アーム28、リンク29及びブラケット30を介して、支持ブロック15が前後ガイド25a,25bによって案内されて、前後方向に駆動される。
【0029】
上下のエンドシーラ11a,11bの上下駆動用のサーボモータ19と、エンドシール装置10を支持ブロック15ごと前後方向に駆動するサーボモータ26とは、横型製袋充填包装機のエンドシール制御装置によって、それぞれ、上下のエンドシーラ11a,11bの筒状包装材への開閉動作と、筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作として、別々に(独立して)制御可能である。具体的には、前後駆動用サーボモータ26の制御によって、上下のエンドシーラ11a,11bが筒状包装材と等速で水平移動する区間が設定可能であり、また開閉用サーボモータ19の制御によって、上下のエンドシーラ11a,11bが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間が設定可能である。
【0030】
図2には、図1に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置の動作が説明されている。(a)にはモータとカムとによる従来の制御方式が示されている。図で、Aは、フィルム(包装材)搬送速度と同一となる区間FSが、エンドシール実施区間ESと同じになる区間であり、そのため、付設装置が行う付随作業区間(エンドシール前作業区間)SSは、フィルム搬送速度と非同期の速度を呈する区間Cにおいて行わざるを得ない。
【0031】
これに対して、図2の(b)には、本発明によるエンドシール装置の動作が説明されている。開閉用サーボモータ19及び前後駆動用サーボモータ26によって、上下のエンドシーラ11a,11bの水平移動と開閉とが別々に制御される。即ち、エンドシーラ11a,11bの水平移動が包装材の搬送速度と同じ速度で行われる区間Bは、実際にエンドシーラ11a,11bが完全に閉じているエンドシール実施区間B2と、それに先行しており且つエンドシーラ11a,11bが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に一定の間隔を保ったままの区間B1とから成るように、その制御が行われる。したがって、上下のエンドシーラ11a,11bの水平移動と開閉との合成において、区間B1を、付設装置が行う付随作業区間(エンドシール前作業区間)SSに当てることができる。この区間B1では、付随作業を行う部材は、包装材の搬送速度と同じ速度で移動しているので、従来のような同期していない部材が包装材に対してストレスを与えることがなく、シワの発生や製品の位置ずれを生じることもない。
【0032】
図3は、1に示す横型製袋充填包装機に備わるエンドシール装置のエンドシーラタイミング設定画面の一例を示している。エンドシーラ11a,11bの閉じ動作1が終了した時点でフィルム(包装材)同期期間(即ち、エンドシーラの移動速度が包装材の搬送速度と同期する期間)が開始され、フィルム同期期間の終了時点でエンドシーラ11a,11bの開き動作が開始される。フィルム同期期間では、その開始時点から一定の時間、閉じ動作を停止させる閉じ停止区間とされ、この閉じ動作停止区間及びその後の閉じ動作2の中で、エア抜きやガセットのような付随作業が行われる。付随作業が終了後、エンドシーラ11a,11bが完全に閉じた後に、ヒートシール区間が開始される。図示されているように、閉じ動作1、フィルム(包装材)同期期間、閉じ停止区間、閉じ動作2、ヒートシール区間及び開き動作の各区間が、時間軸に沿ってオペレータが認識しやすいように、開始と終了のタイミングを数値(1サイクル中の時間相当)で設定することができる。なお、エア抜きの動作は、この例では、上側のエンドシーラ11aの動作によって一義的に支配されているので、エア抜き区間としては設定されないものとしているが、別の駆動装置でエア抜き装置を駆動する場合には、エア抜き区間として設定することは可能である。
【0033】
図4は、この発明による横型製袋充填包装機に付設されるエア抜き装置の一例を示す図である。このエア抜き装置は、従来のエア抜き装置と同等である。図4に示すように、エア抜きユニット(エア抜き装置)40は、上側エンドシーラ11aが設けられる上側のエンドブロック(上側の昇降ブロック)17aに関連して設けられている。エア抜きユニット40は、上側のエンドブロック17aに設けられた取付け部材41の下面にスポンジ部材42が取り付けられている。スポンジ部材42は、上側エンドシーラ11aがエンドシールを施して袋包装体Bpを正に製造しようとするその筒状包装体を押して、内部のエアを、エンドシーラ11a,11bで挟まれた筒状包装体Ftの括れ部位を通過させることで、エア抜きをしようとするものである。
【0034】
エア抜きユニット40においては、図2及び図3に示すフィルム(包装材)同期期間Bのうち、閉じ停止区間及びその後の閉じ動作の区間B1の中で、スポンジ部材42が、エンドシーラ11a,11bと同期して筒状包装材を押圧し、包装材との速度差に起因した包装材のシワや製品の位置ズレを生じることなく、エア抜きをスムーズに行うことができる。
【0035】
図5は、この発明による横型製袋充填包装機に付設されるガセット装置の一例を示す図である。ガセット装置50は、包装材の片側に配設されたものを図示しており、包装材を挟んだ反対側にも同様のガセット装置50が配設されており、通常は両ガセット装置50,50が同期して作動する。
【0036】
ガセット装置50は、上側のエンドシーラ11aに連結されており、上側のエンドシーラ11aの動きと同期して動作をする。ガセット装置50は、上側のエンドシーラ11aに連結されている前後進板51と、前後進板51の包装材側の端部において包装材側に向かって進退可能に設けられたガセット爪52,52と、前後進板51の反包装材側の端部に取り付けられ連結ブロック53と、連結ブロック53に支持されていて且つガセット爪52,52と連結されたエアシリンダを備えるエアアクチュエータ54とを備えている。
【0037】
ガセット装置50においては、図2及び図3に示すフィルム(包装材)同期期間Bのうち、閉じ停止区間及びその後の閉じ動作の区間B1の中で、ガセット爪52,52が、エンドシーラ11a,11bと同期して移動しながら、筒状包装材の側部を折り込み、包装材との速度差に起因したズレを生じることなく、包装材のシワや製品の位置ずれを生じることなく、筒状包装材のガセット折り込みをスムーズに行うことができる。
なお、エンドシール装置10に対する付設装置として、図4に示すエア抜きユニット40と、図5に示すガセット装置50とを別々の図に示して説明したが、エンドシール装置10に対して同時に備えてよいことは明らかである。
【符号の説明】
【0038】
10 エンドシール装置
11a 上側エンドシーラ 11b 下側エンドシーラ
12a カッタ 12b 溝
13 カッタ用駆動装置
15 支持ブロック
16a,16b スライド軸
17a,17b エンドブロック
18 中間ブロック
19 開閉用サーボモータ
20 出力軸 21 レバー
22a 上側のリンク 22b 下側のリンク
23a 上側ブラケット 23b 下側ブラケット
25a,25b 前後ガイド
26 前後駆動用サーボモータ
27 出力軸 28 アーム
29 リンク 30 ブラケット
40 エア抜きユニット 41 取付け部材
42 スポンジ部材
50 ガセット装置 51 前後進板
52 ガセット爪 53 連結ブロック
54 エアアクチュエータ
Fw 帯状包装材 Ft 筒状包装材
Fr 原反ロール部 Bp 袋包装体
FS フィルム(包装材)搬送速度と同一となる区間
ES エンドシール実施区間
SS エンドシール前作業区間
B エンドシーラの水平移動が包装材の搬送速度と同じ速度で行われる区間
B1 エンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に一定間隔を保った区間B2 エンドシール実施区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状包装材を上下に挟んで前記筒状包装材にエンドシールを施す上下のエンドシーラと、前記筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作と前記筒状包装材への開閉動作とを別々に行うことで前記上下のエンドシーラに両動作を合成した動作を与えるエンドシーラ制御装置と、前記上下のエンドシーラの動作に対応して前記筒状包装材に付随作業を行う付設装置とを備えている横型製袋充填包装機において、
前記エンドシーラ制御装置は、前記上下のエンドシーラが前記筒状包装材と等速で水平移動する区間と、前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であるとともに、前記上下のエンドシーラについての前記途中停止する区間を前記水平移動する区間内に設定し、
前記付設装置は、前記上下のエンドシーラが前記一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する間に、前記筒状包装材に付随作業を行うことを特徴とする横型製袋充填包装機。
【請求項2】
前記エンドシーラ制御装置は、前記上下のエンドシーラの、前記筒状包装材の搬送方向と平行な前記水平移動動作と前記筒状包装材への前記開閉動作とを別々のモータで行い、前記上下のエンドシーラの動作を前記両モータのそれぞれの出力パターンに応じた両動作を合成して形成することを特徴とする請求項1に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項3】
前記付設装置は、前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の内部に存在するエアを押し出すように作動するエア抜き装置、及びで前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の側部に折り込みを形成するガセット装置のうち、少なくとも一方の装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の横型製袋充填包装機。
【請求項4】
上下のエンドシーラの、筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作と前記筒状包装材への開閉動作とを別々に行うことで、両動作を合成して当該上下のエンドシーラの動作を形成している横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御方法において、
前記上下のエンドシーラが前記筒状包装材と等速で水平移動する区間と、前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であり、
前記上下のエンドシーラについての前記途中停止する区間を前記水平移動する区間内に設定することで前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に前記上下のエンドシーラが一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する軌跡を合成することを特徴とする横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御方法。
【請求項5】
前記上下のエンドシーラの、前記筒状包装材の搬送方向と平行な前記水平移動動作と前記筒状包装材への前記開閉動作とを別々のモータで行い、前記上下のエンドシーラの動作を前記両モータのそれぞれの出力パターンに応じた両動作を合成して形成することを特徴とする請求項4に記載の横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御方法。
【請求項6】
前記上下のエンドシーラが前記一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する間に、前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の内部に存在するエアを押し出すように作動するエア抜き、及び前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の側部に折り込みを形成するガセット折込みのうち、少なくとも一方の作業が適用されることを特徴とする請求項4又は5に記載の横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御方法。
【請求項7】
上下のエンドシーラの、筒状包装材の搬送方向と平行な水平動作と前記筒状包装材への開閉動作とを別々に行うことで、両動作を合成して当該上下のエンドシーラの動作を形成している横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御装置において、
前記上下のエンドシーラが前記筒状包装材と等速で水平移動する区間と、前記上下のエンドシーラが互いに接近を開始し完全に閉じるまでの間に途中停止する区間とを、それぞれ設定可能であるとともに、前記上下のエンドシーラについての前記途中停止する区間を前記水平移動する区間内に設定することを特徴とする横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御装置。
【請求項8】
前記上下のエンドシーラの、前記筒状包装材の搬送方向と平行な前記水平移動動作と前記筒状包装材への前記開閉動作とを別々のモータで行い、前記上下のエンドシーラの動作を前記両モータのそれぞれの出力パターンに応じた両動作を合成して形成することを特徴とする請求項7に記載の横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御装置。
【請求項9】
前記上下のエンドシーラが前記一定の間隔を保ったまま前記筒状包装材と等速で水平移動する間に、前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の内部に存在するエアを押し出すように作動するエア抜き装置、及び前記エンドシーラが前記エンドシールを施して包装袋を形成しようとする前記筒状包装材の側部に折り込みを形成するガセット装置のうち、少なくとも一方の装置による付随作業が適用されることを特徴とする請求項7又は8に記載の横型製袋充填包装機のエンドシーラ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86839(P2013−86839A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228384(P2011−228384)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】