説明

横形製袋充填機の供給コンベヤ

【課題】簡単な構成で、搬送体を脱着する際や清掃時等の保守作業性の改善を図り得る横形製袋充填機の供給コンベヤを提供する。
【解決手段】本体部10の両側壁16,18間に配設した各スプロケットに、搬送体14の無端チェン22が巻掛けられる。上流側の第1従動スプロケットは、調節手段によって無端チェン22を各スプロケットから脱着し得る位置まで移動可能に構成される。本体部10に、前側壁18の下方の下側開放部T2を覆う前側面カバー68と、本体部10の上方に開放する上方開放部T3を覆う供給ベッド12と、供給ベッド12の上方を覆う物品ガイド46と、無端チェン22の上流転向部において上方開放部T3と搬送体14の取り外し側である側方開放部とを覆う端部カバーとの夫々が開閉動可能に支持され、これら各部材12,46,68を開放することで搬送体14は側方に取り外し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機において物品をフィルムに向けて供給する供給コンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機は、製袋手段により筒状に成形された筒状フィルムに向けて物品を所定間隔毎に搬送する供給コンベヤを備えている。この供給コンベヤは、搬送方向の前後に離間するスプロケットに巻掛けた無端チェンに、物品を押送する押送部材を所定間隔毎に配設した搬送体を備えている。包装品種の変更等によって長さ寸法が異なる物品を包装する場合には、搬送体における無端チェンに対する押送部材の配設間隔の変更を要する際には、搬送体が所望の配設間隔となった搬送体と交換するようにしている。また、供給コンベヤが物品と直接接触する箇所であるため、殊に食品等の包装に関しては、衛生上の観点から食品が直に接する供給コンベヤは衛生的な状態を維持することが求められており、コンベヤの枠体その他の構造物を含め、必要に応じてコンベヤから搬送体を取り外す等して、コンベヤ全体をアルコールや水等による洗浄、清掃作業が行なわれている。
【0003】
前述した搬送体の交換や清掃等の保守作業において、供給コンベヤから搬送体を取り外す際には、前記スプロケットに巻掛けられている搬送体の無端チェンを分断して行なうのが一般的である。しかし、無端チェンの脱着作業は手間が掛かることから、これら問題に対応するものとして、例えば特許文献1に開示の装置が提案されている。この装置では、無端チェンが巻掛けられる一方のスプロケットをエアシリンダの作動によって他方のスプロケットに近接するように移動して無端チェンを弛ませると共に、無端チェンを下方から支持するチェーンレールを下降して無端チェンから離間することで、無端チェンを分断することなく装置から側方に取り外し得るよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−203056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の装置では、無端チェンを弛ませる機構にエアシリンダを用いると共に、無端チェンを支持するチェーンレールを昇降させる機構を採用する等により比較的構成が複雑であり、製造コストが嵩む難点がある。また、物品の搬送面を構成する上板や無端チェンの側方を覆うカバーを、無端チェンの脱着に際してコンベヤの機枠から脱着する作業が必要となり、保守作業に手間が掛かる問題も指摘される。
【0006】
本発明は、簡単な構成で、搬送体を脱着する際やコンベヤ清掃時等の保守作業性の改善を図り得る横形製袋充填機の供給コンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る横形製袋充填機の供給コンベヤは、
搬送方向上流端と下流端との上流転向部と下流転向部に配設した各回転体に巻掛けられ、押送部材を所定間隔毎に配設した無端索体を有し、前記押送部材で物品を押送する搬送体を備えた横形製袋充填機の供給コンベヤにおいて、
前記供給コンベヤにおける本体部は、前記搬送体における上方の走行領域の両側を覆う前側壁と奥側壁を有し、前側壁は前記上流転向部と下流転向部の側方を側方開放部として開放し得るよう設定され、
前記本体部には、
前記搬送体の下方走行部の側方に対応して前記前側壁の下方の下側開放部を覆う前側面カバーと、
前記本体部の上方に開放する上方開放部を覆い、前記押送部材の延出通路を挟む両側に配設した一対の供給ベッドと、
該供給ベッドの上方を覆う天板を備え、前記押送部材で押送される物品の左右を案内し得る案内面を有する一対の物品ガイドと、
前記無端索体の上流転向部において、その上方開放部と搬送体の取り外し側である側方開放部とを覆う端部カバーと、
前記上流転向部において無端索体を弛ませ、該無端索体を上流転向部と下流転向部の各回転体と脱着し得る位置まで移動可能な調節手段との夫々が配設され、
前記供給コンベヤの手前側の前供給ベッドと前物品ガイドと前側面カバーとの夫々、ならびに前記端部カバーとを本体部に開閉動可能に支持し、
該前供給ベッドと前物品ガイドと前側面カバーおよび端部カバーを移動して前記各開放部を経て搬送体を脱着し得る構成としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記前供給ベッドと前物品ガイドと前側面カバーおよび端部カバーとの夫々は、本体部に回動自在に支持したことを要旨とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記前供給ベッドと前物品ガイドと前側面カバーおよび端部カバーとの夫々は、各開放部を覆う閉成位置から回動して、それらの内側が前記搬送体の脱着時に面する姿勢で開放状態を維持し得るよう構成したことを要旨とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記前側面カバーは、持ち上げた開放状態を維持し得る構成としたことを要旨とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記端部カバーは、前記上流転向部における前記上方開放部を覆う上面パネルと、該上面パネルに接続されて前記側方開放部を覆う側面パネルとを一体に設けたことを要旨とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記調節手段の調節軸を、前記本体部の上流端から延出し、該延出位置は、前記無端索体における上流側の回転体への巻掛け部より操作奥側に設定され、その調節軸の延出端に操作ハンドルを配設したことを要旨とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記押送部材の通過を検出可能な検出手段を備え、前記搬送体を走行した際に押送部材を検出手段で検出して得た信号を搬送体の原点位置信号として、横形製袋充填機の各作動機構との同期位相合わせ制御をなし得るよう構成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、搬送体を脱着する際に干渉する各部材を、該搬送体を取り外し可能な開放位置まで移動し得るようにすると共に、手動操作により調節手段を作動することで無端索体を弛めて回転体から離脱し得るよう構成したので、極めて簡単な構成であり、また迅速に搬送体を脱着することができる。また、前記各部材を脱着する作業を不要とし得るから、カバー類の脱着に伴なう作業負荷軽減をなし得る等、保守時における作業性を改善することができる。更に、カバー類をコンベヤ本体から取り外す必要がないので、それらカバー類の装着状態で本体部と共にカバー類を清掃することができ、作業負荷を軽減し得る。
請求項2に係る発明によれば、搬送体の脱着に際し、各部材を回動するだけで簡単に開放部を開閉することができ、保守作業が簡単になる。
請求項3に係る発明によれば、各部材における開放部を覆う閉成位置において表側となる面を、脱着する搬送体に面することがない姿勢とすることができ、搬送体の脱着時に無端索体等がコンベヤ構造体の表面に接触して汚損してしまうことがない。
請求項4に係る発明によれば、搬送体の脱着時に前側面カバーを支え持つ必要がなく、作業負荷を軽減することができる。
請求項5に係る発明によれば、端部カバーを移動することで、搬送体の上流転向部の上方および取り外し側の開放部を一度に開閉することができ、作業負荷を軽減し得る。
請求項6に係る発明によれば、調節手段を外部から操作できると共に搬送体の脱着時に調節手段が妨げとなって取り外しに手間取ることがない。
請求項7に係る発明によれば、保守作業後におけるコンベヤの原点位置を自動設定することができ、運転再開までの操作が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例に係る供給コンベヤを一部省略して示す平面図である。
【図2】実施例に係る供給コンベヤを一部省略して示す側面図である。
【図3】実施例に係る供給コンベヤの搬送体および調節手段を一部省略して示す平面図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図1のB−B線断面図である。
【図6】実施例に係る供給コンベヤを上流側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る横形製袋充填機の供給コンベヤにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0017】
図1および図2は、実施例に係る横形製袋充填機(以下、包装機と称す)の供給コンベヤの全体構成を示すものであって、供給コンベヤは、本体部10の上部空間を覆うように配設された供給ベッド12,12上に載置された物品Wを、無端チェン22に所定間隔毎に設けられた押送部材34を有する搬送体14によって製袋手段で成形された筒状フィルムに向けて搬送するよう構成される。なお、搬送体14での物品搬送ラインLと交差する幅方向の一側方が包装機の運転操作側として設定されており、この操作側を手前、これと反対側を奥と指称するものとする。
【0018】
前記本体部10は、横機枠11に固定され、物品搬送ラインLを挟んで奥側に位置する奥側壁16および手前側に位置する前側壁18とを備え、供給コンベヤの本体部10を構成する両側壁16,18によって前記搬送体14における上方の走行領域の幅方向両側方が覆われる(図4,図5参照)。両側壁16,18は、物品搬送方向に離間する複数の連結部材19で支持されており、両側壁16,18で覆われた本体部10は、上方、下方および物品搬送方向の上流側に向く端部と下流側に向く端部との何れもが開放されている。また図3に示す如く、前側壁18の上流端と下流端とについて、後述のスプロケット28,30,32が配設され、該スプロケット28,30,32に巻掛けられた搬送体14の転向部に対応した所定範囲に亘って側方開放部T1が形成されるよう前側壁18が長さ設定されている。すなわち、前側壁18は、搬送体14の上流転向部と下流転向部の側方を側方開放部T1として開放し得るよう設定される。
【0019】
前記本体部10における前記両側壁16,18の間において上方に開放する上方開放部T3には、図4および図5に示す如く、コンベヤに供給された物品Wを載置して搬送する供給ベッド12が、物品搬送方向に離間する回動支持部材としての複数のヒンジ20によって夫々回動自在に支持され、前および奥の各供給ベッド12は、前記上方開放部T3を覆うように物品ラインLを挟む左右の領域を覆って水平に臨む閉成位置と、上方開放部T3を開放する開放位置との間を回動するよう構成される。両供給ベッド12,12の閉成位置において、両供給ベッド12,12は、物品搬送ラインLに沿って該供給ベッド12,12から上方に延出して物品Wを搬送する押送部材34の延出通路となるすき間Sを挟んだ両側に位置決めされるように設けられている。また、すき間Sの下方には、前記押送部材34が配設された無端チェン22の下面に当接して、その走行を案内するガイドレール24が、物品搬送ラインLに沿って延在するよう配設されている。
【0020】
図2,図3に示す如く、前記本体部10における上流部には、対向する側壁16,18間に調節手段26を介して第1従動スプロケット28が回動自在に支持され、前記前側壁18の上流端より上流側に臨むと共に、該本体部10における下流部には、駆動スプロケット30および第2従動スプロケット32が夫々奥側壁16に片持ち状態で回転自在に配設され、前記無端チェン22は、前記前側壁18の下流端より下流位置でこれらスプロケット30,32での転向部が臨むよう構成されている。そして、これら回転体としてのスプロケット28,30,32に、前記搬送体14を構成する無端チェン(無端索体)22が巻掛けられ、駆動スプロケット30を図示しない駆動モータによって回転駆動することで、無端チェン22がガイドレール24上を上流側から下流側に向けて走行し、無端チェン22に配設された押送部材34によって物品Wを筒状フィルム中に搬送するよう構成される。
【0021】
前記調節手段26は、図3に示す如く、奥側壁16および前側壁18の内側に沿って物品搬送方向に所定長さで延在する一対の調節軸36,38を備え、前記第1従動スプロケット28が回転自在に配設された支持軸40の両端に設けた雌ネジ部が、対応する調節軸36,38に設けた雄ネジ部に螺合されている。両調節軸36,38における下流側端部は、チェン−スプロケット等の伝達手段42により連繋されると共に、奥側の調節軸36の上流側端部は、前記奥側壁16の上流端において手前側に向けて折曲形成された支持壁16aから外方であって、本体部10の上流端から延出し、該延出位置は、無端チェン22が第1従動スプロケット28へ巻き掛けられる上流転向部より奥側で、その延出端部に操作ハンドル44が固定されている。そして、操作ハンドル44の回転操作に基づき、両調節軸36,38が回転して、第1従動スプロケット28が物品搬送方向に進退移動して無端チェン22のテンションが調節される。この調節手段26によって第1従動スプロケット28を、前記駆動スプロケット30の配設方向に向けて移動調節して無端チェン22を分断することなく前記各スプロケット28,30,32に脱着し得るよう構成される。なお、調節手段26における伝達手段42は、搬送体14における上下の走行領域の間に位置して、該搬送体14を脱着するに際して妨げられることはない。
【0022】
前記供給ベッド12,12の上方には、図1または図4に示す如く、物品搬送ラインLを挟んで幅方向に対向する一対の物品ガイド46,46が搬送方向に所定長延在するように配設され、前記搬送体14で搬送される物品Wの幅方向の左右両側部を案内し得るよう位置調節可能に構成されている。前および奥の各物品ガイド46は、前記供給ベッド12を覆い得る所定幅寸法の天板46aの外周縁から下方に壁部を延出した逆トレー状を呈する長尺の部材であって、物品搬送ラインLに臨む側の側壁部が、物品Mの側面を案内する案内面46bとなっている。
【0023】
各物品ガイド46の外方端部側には、物品搬送方向に離間して複数の支持部材48が下方に向けて延設され、各支持部材48が本体部10に配設されたガイド調節機構50の取付部材62に回転可能に支持されている。ガイド調節機構50は、図4に示す如く、幅方向に平行に延在する上下に離間した一対のラック52,52と、両ラック52,52の間に設けられて共通的に噛合するピニオン54とからなる調節部56を、物品搬送方向に離間して複数備えると共に、これら調節部56のピニオン54に連結軸55を介してギヤ伝達によって連繋する操作部58には、前側壁18より外方に延出する操作軸57の端部に調節ハンドル60が配設される(図5参照)。そして、調節ハンドル60の回転操作に基づき、前記操作部58および各調節部56のギヤ伝達機構を介して一対の物品ガイド46,46が相互に近接・離間移動するよう構成される。
【0024】
各調節部56において各ラック52に一体的に配設した取付部材62の夫々は、各側壁16,18から外方に延出する端部に、前記物品ガイド46の支持部材48がヒンジ(回動手段)64を介して夫々回動自在に支持される。そして、各物品ガイド46は、供給ベッド12の上方に略水平に臨む物品Wの案内位置と、各側壁16,18の外側方に移動した開放位置との間を回動するよう構成される。なお、ガイド調節機構50は、前記搬送体14における上流転向部と下流転向部との間でかつ上下の走行領域の間に位置して、搬送体14を脱着するに際して妨げられることはない。
【0025】
前記両側壁16,18より下側に、前記搬送体14における下方の走行領域の側方に対応する下側開放部T2を覆う側面カバー66,68が配設され、一方の前記前側壁18の下端部には、前側面カバー68の上端部が、物品搬送方向に離間する複数のヒンジ(回動手段)70を介して回動自在に配設され、該前側面カバー68は、前側壁18の下端から下方に延出して下側開放部T2の一側を覆う閉成位置と、前側壁18の外側方に移動して下側開放部T2を開放する開放位置との間を上下に回動するよう構成される(図4参照)。なお、ヒンジ70は、前側部カバー68を任意の開放角度位置で静止した状態を維持し得るものであって、前側面カバー68の下端部を持ち上げてその下縁が前側壁18の下縁より上方となる外側方に臨む開放位置で静止し得るようになっている。
【0026】
前記本体部10の上流端部である前記第1従動スプロケット28が配設された無端チェン22の上流転向部に形成された上方開放部T3と側方開放部T1および上流開放部T4を開閉可能な端部カバー72が、前記奥側壁16の上端部にヒンジ(回転手段)74を介して回動自在に配設される(図6参照)。端部カバー72は、本体部10において、前記供給ベッド12,12が閉成位置に位置した際に上流側に形成される上方開放部T3を覆い得る上面パネル72aと、該上面パネル72aの一方の端部に接続して下方へ延び、前記前側壁18の上流端よりも上流であって前記上流転向部の一側およびその下方に形成される側方開放部T1までも覆うと共に前記前側面カバー68の下縁に合致する下端縁となる位置まで延在する側面パネル72bと、上面パネル72aおよび側面パネル72bの上流端部との夫々に接続して、上流側壁面が前記支持壁16aの上流側壁面と同一面状に位置するよう上流開放部T4を覆い得る端面パネル72cとを備え、当該端部カバー72は、各パネル72a,72b,72cで対応する開放部T31,T4を覆う閉成位置と、各開放部T31,T4を開放する開放位置との間を上下に回動するよう構成される。
【0027】
前記ヒンジ20,70,74を介して本体部10に回動自在に配設される供給ベッド12と前側面カバー68と端部カバー72との夫々、およびガイド調節機構50に回動自在に配設される物品ガイド46とは、閉成位置に対して90度以上回動した開放位置でその開放状態を維持し得るよう構成される。すなわち、包装機の操作側であって搬送体14の取り外し側となる手前側に位置する前供給ベッド12および前物品ガイド46においては、閉成位置において各部材12,46における供給コンベヤの表側に臨む表面が、開放位置において前記搬送体14を脱着する際に前側壁18の上部空間を移動する無端チェン22に面することがない姿勢になると共に、前記前側面カバー68においては、前記閉成位置において表面となる面が、開放位置で静止した姿勢において搬送体14を脱着する際に前側壁18の下部空間から外側方へ移動する無端チェン22に面することがない姿勢となる。これにより、該無端チェン22が前供給ベッド12と前物品ガイド46と前側面カバー68との夫々の表面に接触して、該チェン22の汚れが前供給ベッド12と前物品ガイド46と前側面カバー68との表面に付着してしまうようなことがない。また前物品ガイド46は、図4に示す如く、開放位置で静止した姿勢において前側壁18の上下寸法内に収まるようになっている。
【0028】
前記本体部10における各側壁16,18の内側には、前記搬送体14が上方の走行領域を走行する際に各押送部材34の通過を検出可能な光電センサ等からなる検出手段76が配設されており、供給コンベヤにおいて搬送体14を走行した際に押送部材34を検出手段76で検出して得た信号を搬送体の原点位置信号として記憶し、該原点信号によって包装機におけるフィルム送り機構やエンドシール機構等の同期位相合わせ制御を適正にし得る。
【0029】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る横形製袋充填機の供給コンベヤの作用につき説明する。
【0030】
前記搬送体14を本体部10から取り外す場合は、図6に二点鎖線で示す如く、前記端部カバー72を持ち上げてヒンジ74を中心として上方に向けて回動して奥側の開放位置に臨ませることで、搬送体14の上流転向部となる第1従動スプロケット28の上方と手前側および上流側の各開放部T3,T1,T4が一度に開放される。また、前記物品ガイド46および供給ベッド12を夫々ヒンジ64,20を中心として奥側または手前側に向けて回動して開放位置に臨ませることで、本体部10の上流端から下流端までの全ての上方開放部T3が開放される。更に、手前側の前側面カバー68をヒンジ70を中心として下端部を手前側に持ち上げるように上方へ回動して開放位置に臨ませることで、前側壁18の下側の下側開放部T2が開放される(図4参照)。
【0031】
次いで、前記操作ハンドル44を回転操作して調節手段26を作動することで第1従動スプロケット28を下流側に移動して、無端チェン22を取り外し得る状態まで十分に弛ませる。そして、該無端チェン22を上流転向部と下流転向部との各スプロケット28,30,32の歯部から外して手側前に移動させ、そのまま本体部10の開放状態の上方開放部T3、下側開放部T2、側方開放部T1を経て本体部10より手前側に取り外すことができる。
【0032】
なお、手前側の前側面カバー68は、任意の開放角度位置で静止した状態を維持し得るので、搬送体14の脱着に際して作業者は前側面カバー68を開放位置に支え持ちながら作業を行なう必要はなく、作業負荷を軽減することができる。
【0033】
前述したように、前記調節手段26により無端チェン22を弛ませると共に、前記供給ベッド12と物品ガイド46と前側面カバー68および端部カバー72を回動して各開放部T3,T2,T1を開放することで搬送体14を脱着することができるので、動力源を設ける等の複雑な構成を採用することなく、供給コンベヤの清掃や搬送体14の脱着に係る作業は工具を使用することなく全て作業者の手作業で行ない得る簡単な構成とすることができる。また、各開放部T3,T2,T1を開閉するコンベヤのカバー類並びに物品ガイド等の供給ベッド12と物品ガイド46と前側面カバー68および端部カバー72を本体部等に回動自在に支持したから、搬送体14の脱着やカバー類の内面側の清掃に際して該供給ベッド12と物品ガイド46と前側面カバー68および端部カバー72を本体部等から取り外したり取り付ける等の手間がなく作業負荷を軽減できる。
【0034】
前記調節手段26は、ハンドル44を、本体部10の上流端より外側に突出した位置で操作し得るから操作性がよく、しかも該操作ハンドル44は、無端チェン22が第1従動スプロケット28へ巻き掛けられる上流転向部より奥側に位置しているから、搬送体14を手前側から脱着するに際して妨げとなって脱着作業に手間取ることはない。
【0035】
前記搬送体14の脱着に際し、手前側に位置する前供給ベッド12と前物品ガイド46および前側面カバー68は、閉成位置から90度以上回動した開放位置において何れの表面も脱着する無端チェン22に面しない姿勢となる。すなわち、閉成位置において前側壁18の上側に位置する前供給ベッド12および前物品ガイド46では、開放位置において各表面が下方を向くことで内面が無端チェン22の脱着時にチェンと面し、閉成位置において前側壁18の下側に位置する前側面カバー68では、開放位置において表面が上方を向くことで内面が無端チェン22の脱着時にチェンと面し、これら前供給ベッド12と前物品ガイド46および前側面カバー68の上下空間を移動する無端チェン22が接触したとしても、該チェン22の油分等が前供給ベッド12と前物品ガイド46および前側面カバー68の表面に付着してしまう問題が生ずるのを防止し得るものである。また、閉成位置において内面となる内側を開放時に表側に向けた状態にすることができるので、これら供給ベッド12と物品ガイド46および前側面カバー68の内面の清掃作業において供給コンベヤの本体部10から取り外す必要がなく、作業負荷軽減と保守作業の迅速化をなし得る。
【0036】
清掃等の保守が完了した前記搬送体14をスプロケット群に巻掛けた後は、取り外し時とは逆に、前記操作ハンドル44の回転操作によって無端チェン22を張ると共に、供給ベッド12と物品ガイド46と前側面カバー68および端部カバー72の夫々を閉成位置まで回動することで運転が可能な状態となる。
【0037】
前記運転可能な状態で前記搬送体14を走行させることで、前記押送部材34を検出手段76で検出して得た信号が搬送体14の原点位置信号として記憶され、該原点信号によって包装機におけるフィルム送り機構やエンドシール機構等の各作動機構と供給コンベヤとの同期位相合わせ制御が行なわれる。すなわち、搬送体14を脱着する度に同期位相合わせのため、予め定められた位置に押送部材34を位置決めして同期位相合わせを行なう等の作業が不要となり、熟練者でなくても保守後の運転再開までの操作に簡単に対処し得る。
【0038】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 実施例では無端チェン22を用いた搬送体14の場合で説明したが、歯付きベルト等、その他の無端索体を採用することができ、採用する無端索体に応じて巻掛ける回転体(歯付きプーリ等)を用いればよい。
(2) 実施例では本体部10の各開放部T3,T2,T1を開閉する供給ベッド12、物品ガイド46、前側面カバー68および端部カバー72の夫々を本体部10へ回動自在に支持したが、各部材12,46,68,72をスライド自在に配設して対応する開放部T3,T2,T1をスライド移動により開閉する構成を採用し得る。
(3) 実施例では端部カバー72を、本体部10の上方開放部T3と側方開放部T1および上流開放部T4を開閉する上面パネル72aと側面パネル72bおよび端面パネル72cを一体形成した場合で説明したが、各パネル72a,72b,72cを夫々独立して本体部10に移動自在に配設して対応する開放部T3,T1,T4を個々に開閉する構成を採用することができる。また、端面パネル72cについては端部カバー72と別体として本体部側に固定配設して開閉動させないようにする形態を採用することができ、少なくとも上流転向部の上方開放部T3と側方開放部T1とを開閉し得る構成となっていればよい。
(4) 実施例では調節手段26を、無端チェン22のテンションを調節する手段と兼ねた場合で説明したが、搬送体14の脱着に際してテンション調節とは別に第1従動スプロケット28を移動して無端チェン22を弛ませるようにする種々の構成を採用し得る。この場合に、調節手段26により第1従動スプロケット28を、他のスプロケット30,32とで無端チェン22を張った第1位置と該無端チェン22を弛めた第2位置とに切換え移動するよう構成することで、保守作業後にテンション調節を行なうことなく簡単に元のテンションに復帰させることができる。
(5) 実施例では、調節手段26として一対の調節軸36,38を用いる機構を採用したが、この構成に限定されるものでなく、種々の進退移動機構を採用することができる。また、調節手段26を作動する操作ハンドル44は、例えば本体部10の上流端部の端部カバー72より内側に、搬送体14の脱着時において上流転向部より上流位置に配置する構成を採用し得、これにより搬送体14の脱着時において調節手段の構成部材が妨げになることはない。また、該操作ハンドル44が不用意に操作されるのを防ぐことができる。
(6) 実施例では、供給ベッド12および物品ガイド46に関して幅方向両側のものを本体部10に対して回動自在に支持するよう構成したが、少なくとも供給コンベヤの一側となる搬送体14の取り外し側である、包装機の操作手前側を開放位置で開放状態を維持可能な構成を採用することができる。すなわち、前供給ベッド12および前物品ガイド46が、開放姿勢において脱着時の搬送体14に面するようになっていればよい。
(7) 実施例では、前側面カバー68を回動するヒンジ70を開放位置に静止し得るものとしたが、開放状態を維持し得るものであれば、前側面カバー68と前側壁18とに係合部材を設ける形態や、空気圧式または油圧式のダンパーその他の前側面カバー68を開放位置に維持し得る適宜形態を採用し得る。また、奥側面カバー66を含む両側面カバー66,68を回動し得るよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 本体部,12 供給ベッド,14 搬送体,16 奥側壁,18 前側壁
22 無端チェン(無端索体),26 調節手段,28 第1従動スプロケット(回転体)
30 駆動スプロケット(回転体),32 第2従動スプロケット(回転体)
34 押送部材,36 調節軸,44 操作ハンドル,46 物品ガイド,46a 天板
46b 案内面,68 前側面カバー,72 端部カバー,72a 上面パネル
72b 側面パネル,76 検出手段,T1 側方開放部,T2 下側開放部
3 上方開放部,W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向上流端と下流端との上流転向部と下流転向部に配設した各回転体(28,30,32)に巻掛けられ、押送部材(34)を所定間隔毎に配設した無端索体(22)を有し、前記押送部材(34)で物品(W)を押送する搬送体(14)を備えた横形製袋充填機の供給コンベヤにおいて、
前記供給コンベヤにおける本体部(10)は、前記搬送体(14)における上方の走行領域の両側を覆う前側壁(18)と奥側壁(16)を有し、前側壁(18)は前記上流転向部と下流転向部の側方を側方開放部(T1)として開放し得るよう設定され、
前記本体部(10)には、
前記搬送体(14)の下方走行部の側方に対応して前記前側壁(18)の下方の下側開放部(T2)を覆う前側面カバー(68)と、
前記本体部(10)の上方に開放する上方開放部(T3)を覆い、前記押送部材(34)の延出通路を挟む両側に配設した一対の供給ベッド(12,12)と、
該供給ベッド(12,12)の上方を覆う天板(46a)を備え、前記押送部材(34)で押送される物品(W)の左右を案内し得る案内面(46b)を有する一対の物品ガイド(46,46)と、
前記無端索体(22)の上流転向部において、その上方開放部(T3)と搬送体(14)の取り外し側である側方開放部(T1)とを覆う端部カバー(72)と、
前記上流転向部において無端索体(22)を弛ませ、該無端索体(22)を上流転向部と下流転向部の各回転体(28,30,32)と脱着し得る位置まで移動可能な調節手段(26)との夫々が配設され、
前記供給コンベヤの手前側の前供給ベッド(12)と前物品ガイド(46)と前側面カバー(68)との夫々、ならびに前記端部カバー(72)とを本体部(10)に開閉動可能に支持し、
該前供給ベッド(12)と前物品ガイド(46)と前側面カバー(68)および端部カバー(72)を移動して前記各開放部(T1,T2,T3)を経て搬送体(14)を脱着し得る構成とした
ことを特徴とする横形製袋充填機の供給コンベヤ。
【請求項2】
前記前供給ベッド(12)と前物品ガイド(46)と前側面カバー(68)および端部カバー(72)との夫々は、本体部(10)に回動自在に支持した請求項1記載の横形製袋充填機の供給コンベヤ。
【請求項3】
前記前供給ベッド(12)と前物品ガイド(46)と前側面カバー(68)および端部カバー(72)との夫々は、各開放部(T1,T2,T3)を覆う閉成位置から回動して、それらの内側が前記搬送体(14)の脱着時に面する姿勢で開放状態を維持し得るよう構成した請求項2記載の横形製袋充填機の供給コンベヤ。
【請求項4】
前記前側面カバー(68)は、持ち上げた開放状態を維持し得る構成とした請求項1〜3の何れか一項に記載の横形製袋充填機の供給コンベヤ。
【請求項5】
前記端部カバー(72)は、前記上流転向部における前記上方開放部(T3)を覆う上面パネル(72a)と、該上面パネル(72a)に接続されて前記側方開放部(T1)を覆う側面パネル(72b)とを一体に設けた請求項1〜4の何れか一項に記載の横形製袋充填機の供給コンベヤ。
【請求項6】
前記調節手段(26)の調節軸(36)を、前記本体部(10)の上流端から延出し、該延出位置は、前記無端索体(22)における上流側の回転体(28)への巻掛け部より操作奥側に設定され、その調節軸(36)の延出端に操作ハンドル(44)を配設した請求項1〜5の何れか一項に記載の横形製袋充填機の供給コンベヤ。
【請求項7】
前記押送部材(34)の通過を検出可能な検出手段(76)を備え、前記搬送体(14)を走行した際に押送部材(34)を検出手段(76)で検出して得た信号を搬送体(14)の原点位置信号として、横形製袋充填機の各作動機構との同期位相合わせ制御をなし得るよう構成した請求項1〜6の何れか一項に記載の横形製袋充填機の供給コンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−162223(P2011−162223A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25862(P2010−25862)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】