横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識
【課題】消費電力量を削減可能であり、省エネルギー効果の高い横断歩道・自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識の提供。
【解決手段】正面視において規格の1.5倍の寸法の五角形状に形成された筐体状の標識本体を備え、標識本体は、遮光性を有する材料で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部3と、周壁部3の前方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた前壁部と、周壁部3の後方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた後壁部とを備え、周壁部3の内面には、全周に亘って、光反射材21が設けられ、指向角が110〜130°の範囲内の複数の高光束LED27を、周壁部3の内面側に、周壁部3の周方向に沿って、部分的に配置することにより、前壁部の表示板及び後壁部の表示板に均整光を照射可能に構成された横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【解決手段】正面視において規格の1.5倍の寸法の五角形状に形成された筐体状の標識本体を備え、標識本体は、遮光性を有する材料で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部3と、周壁部3の前方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた前壁部と、周壁部3の後方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた後壁部とを備え、周壁部3の内面には、全周に亘って、光反射材21が設けられ、指向角が110〜130°の範囲内の複数の高光束LED27を、周壁部3の内面側に、周壁部3の周方向に沿って、部分的に配置することにより、前壁部の表示板及び後壁部の表示板に均整光を照射可能に構成された横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を内部照明に用いたLED内照式道路標識に関し、特に、横断歩道や自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に407標識とも称される横断歩道や自転車横断帯を示す道路標識は、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)別表第2に示すように、規格で各寸法が定められた特定の五角形とされている。かかる道路標識を、道路上の高い位置に設置するときなどは、各寸法を1.5倍することにより大型化するとともに、内部に照明を配置した内照式とし、夜間においても遠くから視認できるようにしたものが用いられている。
【0003】
かかる内照式道路標識においては、内部照明として蛍光灯が用いられてきたが、最近では、消費電力が小さく長寿命のLEDが用いられるようになってきている。下記特許文献1には、所要形状からなる筐体の表裏両面に着脱自在に設けた表示板の標識図柄を、筐体内に配した内部照明により照らすようにした内照式道路標識において、高出力LEDを筐体内面に沿い所要間隔をもって全周に亘り配設するとともに、前記各高出力LEDが対面する側の筐体内面に反射拡散体を設けたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−307611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1記載のLED内照式道路標識では、高出力LEDを筐体内面の全周に亘り配設しているため、消費電力量が多くなって、期待したような省エネルギー効果が得られないという問題があった。特に、大型の道路標識では、LEDを全周に亘り配設すると、多数のLEDを配設することとなるため、かかる問題が顕著であった。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するものであり、横断歩道・自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識において、消費電力量を削減可能であり、省エネルギー効果の高いLED内照式道路標識を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識は、正面視において規格の1.5倍の寸法の五角形状に形成された筐体状の標識本体を備え、前記標識本体は、遮光性を有する材料で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部と、前記周壁部の前方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた前壁部と、前記周壁部の後方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた後壁部と、を備え、前記周壁部は、略矩形板状の下壁部と、前記下壁部の左右の側端部からそれぞれ前記下壁部に対して垂直に立ち上がる略矩形板状の左側壁部及び右側壁部と、前記左側壁部の上端部及び右側壁部の上端部からそれぞれ斜め上方に互いに近付くように延設されて、上端部が互いに連結された略矩形板状の左上壁部及び右上壁部と、を備え、前記周壁部の内面には、全周に亘って、光反射材が設けられ、指向角が110〜130°の範囲内で高光束の複数のLEDを、前記周壁部の内面側に、前記周壁部の周方向に沿って、部分的に配置することにより、前記前壁部の前記表示板及び前記後壁部の前記表示板に均整光を照射可能に構成されたことを特徴とする。
【0008】
これによれば、LEDを標識本体の周壁に部分的に(すなわち、全周に亘らずに)配置しているので、消費電力量を削減でき、高い省エネルギー効果を得ることができる。
【0009】
ここで、前記各LEDは、光束が初期特性において20lm以上であることが好ましい。初期特性において光束が20lm以上であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるからである。
【0010】
さらに、前記各LEDは、光束が初期特性において20〜25lmの範囲内であることが好ましい。初期特性において光束が20〜25lmの範囲内であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるとともに、消費電力量の増加を抑制できるからである。
【0011】
また、少なくとも、前記左側壁部及び前記右側壁部には、前記LEDが配置されていないことが好ましい。
【0012】
これによれば、LEDの数を少なくできて消費電力量を削減可能であるとともに、右側壁部及び左側壁部を電源部等の機器の設置場所として利用できる。
【0013】
また、少なくとも、前記左上壁部の上端部から前記左上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲、及び、前記右上壁部の上端部から前記右上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲には、前記LEDが配置されていないことが好ましい。
【0014】
これによれば、少なくとも、左上壁部及び右上壁部のそれぞれの上端部から所定距離下がった位置まではLEDを配置しないので、消費電力量を削減できる。
【0015】
さらに、前記LEDが、前記下壁部の内面側には、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも18個、前記下壁部の中央部から左右対称的に、かつ、前記下壁部の短手方向における中央部に、前記下壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、前記左上壁部の内面側には、前記上端部から前記左上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記左上壁部の短手方向における中央部に、前記左上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、前記右上壁部の内面側には、前記上端部から前記右上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記右上壁部の短手方向における中央部に、前記右上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設されたことが好ましい。
【0016】
これによれば、表示板を均整度よく照明することができ、かつ、少なくとも、左上壁部及び右上壁部のそれぞれの上端部から所定距離下がった位置まではLEDを配置しないので、消費電力量を削減できる。
【0017】
そして、さらに、前記下壁部における前記LEDの配置個数が18〜24個、前記左上壁部及び前記右上壁部における前記LEDの配置個数がそれぞれ9〜12個の範囲内であることが好ましい。
【0018】
これによれば、略最低限のLEDで均整度よく照明でき、省エネルギー効果も高い。
【0019】
さらに、前記周壁部は、外面側の略五角形の筒状とした枠本体を備えて構成し、
該枠本体は、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部と、該本体壁部の前後両縁に配置されて、前記標識本体の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部と、を設けて構成し、
前記光反射材は、剛性を有した板状の基板と該基板の内面に設けた光反射層とから構成されて、前記周壁部の前後の前記チャンネル部における内方へ突出した内面を取付座として、前記チャンネル部に取り付け、
複数の前記LEDはLED基板に並設されて、該LED基板は、前記左上壁部、前記右上壁部、及び、前記下壁部に配置された前記光反射材の内面側に、それぞれ、取り付けるとともに、
道路標識用の前記LED以外の複数の電気機器が、前記標識本体内に内蔵されている場合には、前記電気機器は、それぞれ、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させるように配置させて、前記周壁部に取り付け、複数の前記電気機器の内のいずれかが、内面側を前記光反射材に設けた挿通孔から突出させて、配置することが好ましい。
【0020】
これによれば、光反射材が、周壁部の枠本体における前後のチャンネル部を取付座とし、周壁部の最も内面側に取り付けられ、そして、その光反射材の内面側にLEDが取り付けられることから、前後方向の投影状態で、周壁部の枠本体におけるチャンネル部の影になることなく、各LEDが、前後の表示板に均等光を照射できる。また、電気機器も、チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、チャンネル部の内面より本体壁部の内面に接近させるように配置させて、周壁部の枠本体に取り付けられており、前後方向の投影状態で、極力、電気機器の影になることなく、各LEDが、前後の表示板に均等光を照射できる。さらに、電気機器が、周壁部の枠本体における本体壁部からのチャンネル部の高さ寸法より、高い寸法として、光反射材の配置エリアに配置されていても、光反射材の挿通孔から突出させて配置させており、その挿通孔の周縁の反射を利用して、極力、電気機器の影になることなく、各LEDが、前後の表示板に均等光を照射できる。その結果、このような構成では、LEDが、一層、前後の表示板を、均整度良く照明できる。
【0021】
勿論、この場合でも、LEDの数を少なくできて消費電力量を削減できるように、前記LEDが、前記左側壁部と前記右側壁部とに配置されない構成として、既述したように、複数の前記電気機器の内の少なくとも一つが、前記左側壁部若しくは前記右側壁部の少なくとも一方に配置される構成としていても、その電気機器が、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させて、前記左側壁部若しくは前記右側壁部に取り付けられていれば、その電気機器が、チャンネル部からの内方への突出量を少なくしているため、極力、影を作らず、その結果、LEDが、安定して、前後の表示板を、均整度良く照明できる。
【0022】
また、道路上を照らすための照明部が、全体を前記標識本体から下方に突出させて、前記下壁部に取着され、前記照明部はLEDを光源とすることが好ましい。
【0023】
これによれば、道路用の照明についても、長寿命となってメンテナンス量を削減できるとともに、省エネルギー効果を更に高めることができる。勿論、照明部自体が、電源部等を除いて、標識本体から突出しており、前後の表示板に、極力、影を映さずに、配置することができる。
【0024】
さらに、前記照明部が、前記下壁部の下面側に配置された自在継手手段を介して、前記下壁部の下面側に取着されていることが好ましい。
【0025】
これによれば、照明部の照明角度を調整可能であるので、横断歩道や自転車横断帯から多少離れた場所に設置された場合にも、横断歩道や自転車横断帯を照明することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、横断歩道・自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識において、消費電力量を削減可能であり、高い省エネルギー効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識の正面図である。
【図2】同道路標識の前壁部及び後壁部を除いた正面図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図2のIV矢視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図2のVIII矢視図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図2のX矢視図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】同道路標識の底面図である。
【図13】同道路標識の照明部を含む要部斜視図である。
【図14】図13の分解斜視図である。
【図15】同照明部の長手方向に沿った断面図であり、図3のXV−XV線断面図である。
【図16】同照明部の短手方向に沿った断面図であり、図2の XVI− XVI線断面図である。
【図17】同照明部のカバー部及びレンズ部を示す底面図である。
【図18】実施形態の電気機器の配線の概略を説明する説明図である。
【図19】実験における照度の測定箇所を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1に示すように、道路標識1は、横断歩道や自転車横断帯に用いられる横断歩道・自転車横断帯用道路標識であり、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)別表第2に示された規格「407−A」、「407の2」、「407の3」における五角形の各寸法を、1.5倍した大きさの筐体状の標識本体2と、標識本体2の下方に突出するように標識本体2の下部に設けられた2つの照明部76とを備えている。正面視における標識本体2の各寸法は、図1に示すA=90cm、B=30cm、C=90cmとされ、標識本体2の厚み(前後方向の幅)は20cmとされている。
【0030】
図2,3に示すように、標識本体2は、遮光性を有する材料(ここでは、金属。具体的にはアルミニウム。)で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部3と、周壁部3の前方開口部を閉塞する五角形状の前壁部60と、周壁部3の後方開口部を閉塞する五角形状の後壁部65と、を備えて構成されている。周壁部3の断面外周、前壁部60の外周、及び、後壁部65の外周がそれぞれなす五角形の各寸法は、上述した正面視における標識本体2の各寸法と同等である。周壁部3の外面には、連結管Tが取着されている。連結管Tは、例えば道路脇に立設された柱Pと道路標識1とを連結するためのものである。
【0031】
前壁部60は、五角形状の環状とした金属製の枠体61と、枠体61に装着されて、枠体61が形成する五角形状の開口部を閉塞する五角形状の表示板62とを備え、枠体61の内側には、標識本体2を閉塞したときの水密性を高めるためのシール部材63が枠体61に沿って設けられている。表示板62は、合成樹脂製で光透過性を有し、規格で定められた色及び図柄を有している。
【0032】
後壁部65は、前壁部60と同じ構成を有し、五角形状の環状とした金属製の枠体66と、枠体66に装着されて、枠体66が形成する五角形状の開口部を閉塞する五角形状の表示板67とを備え、枠体66の内側にはシール部材68が枠体66に沿って設けられている。表示板67は、合成樹脂製で光透過性を有し、規格で定められた色及び図柄を有している。
【0033】
周壁部3は、略矩形板状の下壁部4と、下壁部4の左右の側端部からそれぞれ下壁部4に対して垂直に立ち上がる略矩形板状の左側壁部5及び右側壁部6と、左側壁部5の上端部及び右側壁部6の上端部からそれぞれ斜め上方に互いに近付くように延設されて、上端部7a,8aが互いに連結された略矩形板状の左上壁部7及び右上壁部8とから構成されている。
【0034】
この周壁部3は、外面側の略五角形の筒状とした枠本体11を備えて構成され、枠本体11は、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部12と、本体壁部12の前後両縁に配置されて、標識本体2の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部13と、を備えて形成されている。本体壁部12は、略五角形の筒状とし、チャンネル部13,13は、略五角形の環状として、本体壁部12の剛性を高める補強リブのような機能を奏している。
【0035】
前壁部60及び後壁部65は、下壁部4に複数の蝶番57で連結されて下壁部4に対して揺動可能であり、前壁部60及び後壁部65が、周壁部3の前方開口部及び後方開口部を閉塞した状態で、左上壁部7及び右上壁部8に設けられた複数の留め具58(図1参照)で周壁部3に固定されることにより、標識本体2は密閉状態となる。
【0036】
なお、周壁部3の各チャンネル部13は、標識本体2の内方へ突出した横壁14と、横壁14の内側の縁から本体壁部12に連なるように延びる内縦壁15と、横壁14の外側の縁から標識本体2の外方に延びる外縦壁16と、を備えた断面逆U字状として構成されている。そして、外縦壁16は、前壁部60と後壁部65とを、留め具58を利用して、周壁部3に固定した際、各シール部材63,68を圧接させて、標識本体2内を密閉するシール部位としている(図5参照)。また、横壁14は、図5,9,11に示すように、後述する光反射材21、取付ブラケット35、取付プレート41,44の取付座としての役目を果たしている。
【0037】
そして、周壁部3の内面には、略全周に亘って、光の反射率を向上させる光反射材21が、幅(標識本体2の前後方向における長さ)を枠本体11の幅寸法より若干小さな150mmとして、配設されている。光反射材21は、実施形態の場合、アルミニウムからなる剛性を有した基板22と、基板22の内面側に塗布されてなる白色の光反射層23と、から構成されている(図5参照)。なお、光反射層23は、実施形態のように、光を標識本体2の内方に向けて反射し易いように、白色塗装から形成する他、フィルム等から形成してもよい。例えば、反射フィルムとしては、住友スリーエム社製「3M(登録商標)スコッチカル(登録商標)ライトエンハンスメントフィルム」を用いてもよい。
【0038】
この光反射材21は、図2に示すように、実施形態の場合、左上壁部7と右上壁部8との上端部7a,8a付近の内面側に配置される断面逆V字形状の光反射材21Tと、この光反射材21Tから連なって下方に延びて、左上壁部7と右上壁部8との内面側に配置される矩形板状の光反射材21L,21Rと、下壁部4の内面側に配置される矩形板状の光反射材21Dと、から構成されている。これらの光反射材21T,21L,21R,21Dには、前後両縁に、ねじ18を挿通させる所定数の取付孔21a(図3参照)が配設され、一方、周壁部3のチャンネル部13の横壁14の所定位置には、ねじ18を螺合させるナット(ブラインドナット)17が取り付けられている。そして、これらの光反射材21T,21L,21R,21Dは、ねじ18が取付孔21aを経てナット17に締結されることにより、周壁部3の内面側に、光反射層23aを向けて、周壁部3(枠本体11)に取り付けられている。
【0039】
また、各光反射材21L,21R,21Dには、前後方向の中央付近に、後述するLED基板28,29,30を取り付けるための複数のナット(ブラインドナット)25が配設されている(図5参照)。さらに、光反射材21Lには、図4,5に示すように、下方の後縁側に、後述する電気機器47の受信機48を設けるための挿通孔21bが配設され、光反射材21Dにも、図6,7に示すように、左方の後縁側に、後述する電気機器47の内照用電源部49を設けるための挿通孔21cが配設されている。
【0040】
光反射材21(21L,21R,21D)の内面側には、周壁部3の周方向に沿って、部分的に(すなわち、全周には亘らず)複数のLED27が配列されている。LED27は、指向角120°の白色系の高出力LEDであり、ここでは、日亜化学工業株式会社製白色チップタイプLED「NSSW123B」を用いており、LED3個直列でDC12V入力で1W相当であり、電流は約83mAである。なお、LED27としては、これ以外にも指向角110〜130°の範囲内の白色系LEDで、高光束のものであればよく、好ましくは、光束が初期特性において20lm(lm:ルーメン)以上のものがよく、さらに好ましくは、20〜25lmの範囲内ものがよい。初期特性において光束が20lm以上であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるからであり、初期特性において光束が20〜25lmの範囲内であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるとともに、消費電力量の増加を抑制できるからである。
【0041】
また、各LED27は、LED基板28,29,30に並設されて、光反射材21L,21R,21Dに配設されている。そして、各LED基板28,29,30は、光反射材21に埋設されたナット25にねじ32止めされる逆U字形の取付ブラケット31に押えられて、所定の光反射材21L,21R,21Dに、配設されている。なお、各LED27は、LED基板28,29,30の配置面28a,29a,30aから突出するように配置されるとともに、上面側(内面側)の透明なポリカーボネイト等の合成樹脂からなるカバー28b,29b,30bに覆われて、配置されている(図2,3,5参照)。
【0042】
そして、左上壁部7の光反射材21Lの内面側には、細長い矩形状のLED基板28が、左上壁部7の短手方向(前後方向)における中央部に(図3,4参照)、左上壁部7の長手方向に沿って取着されている。LED基板28には、9個のLED27が、LED基板28の長手方向に沿って直線的に並設されている。LED基板28上の最上位のLED27の位置(中心位置。以下同じ。)は、左上壁部7の内面側の上端部7aから左上壁部7に沿って300mm下がった位置(すなわち、図2のD1=300mm)であり、基板28上の隣り合うLED27の中心同士の間隔はいずれも30.5mm(すなわち、図2のD=30.5mm)である。すなわち、左上壁部7の内面側には、上端部7aから左上壁部7に沿って300mm下がった位置から、9個のLED27が、左上壁部7の短手方向における中央部に、左上壁部7の長手方向に沿って直線的に、並設されている。
【0043】
右上壁部8にも左上壁部7と同様にLED27が並設されている。すなわち、右上壁部8の光反射材21Rの内面側には、LED基板28と同様に構成された細長い矩形状のLED基板29が、右上壁部8の短手方向(前後方向)における中央部に、右上壁部8の長手方向に沿って取着されている。LED基板29には、9個のLED27が長手方向に沿って直線的に並設され、基板29上の最上位のLED27の位置は、右上壁部8の内面側の上端部8aから右上壁部8に沿って300mm下がった位置(すなわち、図2のD2=300mm)であり、基板29上の隣り合うLED27の中心同士の間隔はいずれも30.5mmである。すなわち、右上壁部8の内面側には、上端部8aから右上壁部8に沿って300mm下がった位置から、9個のLED27が、右上壁部8の短手方向における中央部に、右上壁部8の長手方向に沿って直線的に並設されている。
【0044】
また、下壁部4の光反射材21Dの内面側には、細長い矩形状のLED基板30が、下壁部4の短手方向(前後方向)における中央部に(図6参照)、下壁部4の長手方向に沿って取着されている。LED基板30には、21個のLED27が長手方向に沿って直線的に並設されている。そして、LED基板30上のLED27のうち中央のLED27は、下壁部4の中央部4aに配置され、基板30上の隣り合うLED27の中心同士の間隔はいずれも30.5mmとされている。すなわち、中央部4aに1個のLED27が配置され、その両側に10個ずつのLED27が等間隔で配設されて、21個のLED27が、下壁部4の中央部4aから左右対称的に並設されている。なお、LED27同士の間隔は、左右で対称的になるのであれば、等間隔でなくてもよい。また、LED基板30上のLED27が偶数個の場合には、中央部4aにはLED27は配置されない。
【0045】
また、標識本体2内には、道路標識用のLED27以外の複数の電気機器47が、内蔵されている。実施形態の場合、電気機器47としては、夜間の人の接近を検知した人センサーからの信号を受信する受信機48、LED27を点灯させる内照用電源部49、ブレーカ50、端子台51、照明部76,76を点灯させる外照用電源部53が例示できる。なお、人センサーは、柱Pの下方付近の図示しないエリアに配設されている。
【0046】
そして、受信機48は、図2〜5に示すように、取付ブラケット35を利用して、周壁部3における左上壁部7の枠本体11に、固定されている。取付ブラケット35は、断面逆U字状として、光反射材21Lとその近傍の枠本体11の横壁(取付座)14とに、ねじ36止めされ、そのねじ36止め時、受信機48を本体壁部12側に押えて、受信機48を左上壁部7に固定させている。なお、ねじ36は、光反射材21Lに設けられたねじ孔21dと枠本体11の横壁14に設けられたナット(ブラインドナット)17に螺着されるように構成されている。
【0047】
左上壁部7の内面側に固定された受信機48は、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面48b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられている。なお、受信機48は、その厚さをチャンネル部13の本体壁部12からの高さ寸法より、大きくしていることから、内面48a側を、光反射材21Lの挿通孔21bから標識本体2の内方に、僅かに、突出させて、配設されている。そして、受信機48は、取付ブラケット35を含めた光反射材21Lからの突出高さP1を、LED基板28の配置面28a付近の高さ寸法と同等、若しくは、小さいとして、表示板62,67に影を映さないように、配設されている。ちなみに、実施形態では、受信機48は、取付ブラケット35を含めた光反射材21Lからの突出高さP1を、LED基板28の配置面28a付近の高さ寸法と同等として、約12mmとしている(図5参照)。
【0048】
左側壁部5の下部の内面側には、図2,8,9に示すように、ブレーカ50と端子台51とが、取付プレート41を利用して、固定されている。取付プレート41は、アルミニウム等の金属板からなる断面U字形として、前後両縁に、ねじ18を挿通させる複数の取付孔41aが形成され、底部に、ブレーカ50と端子台51とをねじ42止めするねじ孔41bを設けている。各ねじ18は、取付孔41aを経て、左側壁部5の横壁14に設けたナット17に締結される。そして、このねじ18止めにより、取付プレート41が、枠本体11に固定され、ねじ42止めにより、ブレーカ50と端子台51とが、取付プレート41に取着され、その結果、ブレーカ50と端子台51とが、取付プレート41を介して、左側壁部5の内面側に固定される。取付プレート41は、内面側を、LED27の光を反射し易いように、白色塗装されている。
【0049】
これらのブレーカ50や端子台51も、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、中央を凹ませた断面U字形の取付プレート41を利用して、左側壁部5に取り付けられる構成としており、外面50b,51b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられている。なお、ブレーカ50や端子台51は、取付プレート41を利用して左側壁部5に取り付けられた状態で、内面50a,51aをチャンネル部13の内面14aより、僅かに、内方に突出させている。そして、それらのブレーカ50におけるチャンネル部13の内面14aからの突出高さP2や、端子台51におけるチャンネル部13の内面14aからの突出高さP3が、表示板62,67にブレーカ50や端子台51の影を映さない寸法としている(図9参照)。
【0050】
右側壁部6の内面側には、図2,10に示すように、照明部76,76の各LED80にDC44Vの電流を供給するための略直方体状の外照用電源部53,53が、取付プレート44を利用し、各電源部53の長手方向を上下に沿わせて、固定されている。取付プレート44は、アルミニウム等の金属板からなる断面U字形として、前後両縁に、ねじ18を挿通させる複数の取付孔44aが形成され、底部に、各外照用電源部53をナット45止めするねじ44bを突設させている。各ねじ18は、取付孔44aを経て、右側壁部6の横壁14に設けたナット17に締結される。そして、このねじ18止めにより、取付プレート44が、枠本体11に固定され、ナット45止めにより、電源部53,53が、取付プレート44に取着され、その結果、電源部53,53が、取付プレート44を介して、右側壁部6の内面側に固定される。取付プレート44は、取付プレート41と同様に、内面側を、LED27の光を反射し易いように、白色塗装されている。
【0051】
なお、外照用電源部53,53におけるチャンネル部13の内面14aからの突出高さP4も、表示板62,67に外照用電源部53の影を映さない寸法としている(図11参照)。
【0052】
下壁部4の内面側には、図2,6,7に示すように、各LED27にDC12Vの電流を供給するための略直方体状の内照用電源部49が、取付プレート38を利用し、電源部49の長手方向を左右(下壁部4の長手方向)に沿わせて、固定されている。内照用電源部49の取付位置は、前端面が下壁部4の短手方向における中央から30mm後方(あるいは、後端面が下壁部4の短手方向における中央から30mm前方)に離れ、かつ、右端面が右側壁部6の内面から150mm左となるような位置である。
【0053】
取付プレート38は、下壁部4に設けられたLED基板30の後方側における枠本体11の本体壁部12に、左右方向に沿って、溶接されている。詳しくは、取付プレート38は、アルミニウム等の金属板から形成され、左右方向の中間部位を、本体壁部12から内方に浮かせて、左右両端を本体壁部12の内面に溶接させている。取付プレート38の本体壁部12から内方に浮かせた部位の左右両端付近には、ねじ孔38aが設けられている。る。各ねじ孔38aには、内照用電源部49の両端を取付プレート38に取り付けるねじ39が、締結される。そして、電源部49が、取付プレート38にねじ39止めされることにより、下壁部4に固定されている。
【0054】
下壁部4の内面側に固定された内照用電源部49は、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面49b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられている。なお、電源部49は、その厚さをチャンネル部13の本体壁部12からの高さ寸法と略同等としているものの、本体壁部12から浮いた取付プレート38の部位に、取り付けられていることから、内面49a側を、光反射材21Dの挿通孔21bから標識本体2の内方に、僅かに、突出させて、配設されている。この電源部49も、受信機48と同様に、LED基板30の配置面30a付近の高さ寸法と同等、若しくは、小さいとして、表示板62,67に影を映さないように、配設されている(図3参照)。ちなみに、実施形態では、電源部49は、光反射材21Dからの突出高さP5を、配置面30a付近の高さ寸法と同等として、約12mmとしている(図7参照)。
【0055】
外照用電源部53,53及び内照用電源部49は、いずれも、外部の交流電源に接続されて、それらの交流電源を直流電源に変換して、LED27,80(LED80は、照明部76のものである)に電流を供給している。
【0056】
なお、図18に示すように、柱P側における外部のAC電源が、柱P側に設けられた図示しない昼夜判別回路を経て、標識本体2内のブレーカ50まで接続される。そして、各LED基板28,29,30の各LED27には、内照用電源部49を経て、通電され、各LED80には、外照用電源部53,53と受信機48とを経て、通電される。各LED27は、昼夜判別回路により、夜間に通電されるとともに、さらに、人センサーからの人の接近を検知した信号を受信機48が受信したことを条件として、点灯することとなる。すなわち、各LED27は、夜間になれば点灯し、各LED80は、夜間で、かつ、人の接近したときに、点灯することとなる。実施形態の場合、受信機48は、電源を内照明用電源部49から供給されている。
【0057】
また、ブレーカ50は、夜間のメンテナンス時に、通電をOFFできるように、手動で電源をON・OFFできるスイッチを配設させている。
【0058】
そして、各照明部76は、図12〜14に示すように、下壁部4に自在継手手段70を介して取着されている。自在継手手段70は、下壁部4の短手方向の両端部から下方に互いに対向して突出する突出片71,71と、平面視において横長矩形状の枠体72と、断面L字形状の連結具73,73と、を有している。そして、枠体72の左右方向に沿った長辺部72a,72aには、長手方向の中央部から上方に、互いに対向する突出部72b,72bが突設され、突出部72b,72bは、突出片71,71にねじ止めされている。そして、それらのねじを緩めることにより、枠体72は標識本体2に対して左右方向(図13,14の矢印A1方向)に揺動可能となり、枠体72が揺動した状態で再びねじを締めることにより、枠体72を下壁部4に対して傾いた状態に固定できる。また、枠体72の前後方向に沿った短辺部72c,72cには、長手方向の中央部から上方に、突出部72b,72bよりも短い高さで互いに対向して突出する突出部72d,72dが突設され、突出部72d,72dに、連結具73,73がねじ止めされて、連結具73,73に照明部76が連結されている。そして、突出部72d,72dと連結具73,73とを連結しているねじを緩めることにより、照明部76は、枠体72に対して前後方向(図13,14の矢印A2方向)に揺動可能となり、照明部76が揺動した状態で再びねじを締めることにより、照明部76を枠体72に対して傾いた状態に固定できる。したがって、照明部76は、前後方向(図13のX軸周り方向)及び左右方向(図13のY軸周り方向)の照明角度を調整可能である。
【0059】
照明部76は、図13〜16に示すように、連結具73,73に連結されるアルミニウム製のハウジング77と、ハウジング77の下面に取着された複数(ここでは、3個)のLED基板79と、各LED基板79に配置されたLED80を覆う硝子製のレンズ部81と、各LED基板79及び各レンズ部81を覆う合成樹脂製(ここでは、ポリカーボネート製)のカバー82と、を有している。また、各LED基板79は、合成樹脂製の基板カバー部90でも覆われている。ハウジング77には、上方に突出する複数の放熱フィン78が形成され、各LED基板79で発生した熱は放熱フィン78により外部に放出される。
【0060】
また、ハウジング77には、それぞれ上方に開口する水蒸気抜き孔83及び配線挿通孔84が形成されている。水蒸気抜き孔83には、合成樹脂製のキャップ86が被せられている。キャップ86は、内側に防水通気性を有するゴアテックス(登録商標)製のパッキング部85が設けられた二重構造とされ、パッキング部85が水蒸気抜き孔83に嵌合されて、パッキング部85とキャップ86の外壁部分との間には通気道が形成されている。これにより、内外の気温差等で照明部76の内部(カバー82で覆われた部分)に発生した水蒸気が、水蒸気抜き孔83から放出され、カバー82が曇り難くなる。配線挿通孔84には、合成樹脂製の嵌合部材89が嵌合されて、嵌合部材89に設けられた貫通孔88を通って配線87が外部に延設され、配線87は、標識本体2内の外照用電源部53または外照用電源部54に接続される。
【0061】
各LED基板79には、LED80が1つずつ配置され、LED80は、各レンズ部81に形成されたレンズ81aで下方から覆われている。レンズ81aは、内面及び外面のいずれも下方に向けて凸(すなわち、LED80側に凹)とされたメニスカスレンズであるため、LED80から発射された光を広角に広げて配光することができる。また、図17に示すように、レンズ81aは、底面視において前後方向の幅が左右方向の幅よりも長い長円形状をなしている。
【0062】
本実施形態のLED80は、クリー社製のもので、順電圧DC44V、順電流400mA、光束1130lm、中心光度1000cd、消費電力16W、照射角40°の高出力LEDである。なお、本実施形態では、1つの照明部76に3個のLED80を配置したが、2個でもよい。隣り合うLED80の中心同士の間隔は、3個の場合は40mm、2個の場合は80mmとする。本実施形態では3個で40mmである。
【0063】
以上のように構成された道路標識1は、横断歩道や自転車横断帯付近に立設された柱P等に連結されて、横断歩道等の上方に配置される。そして、夜間、外部の電源から内照用電源部49を介して電流が各LED27に流れて、各LED27が点灯し標識本体2の内側から表示板62及び表示板67を照明する。また、外部の電源から外照用電源部53,53を介して電流が各LED80に流れて、各LED80が点灯し道路を照明することとなる。なお、実施形態では、既述したように、昼夜判別回路により、夜間に各LED27が点灯し、さらに、夜間で、かつ、人センサーによって人の存在を検出したとき、各LED80が点灯することとなる。
【0064】
次に、周壁部3の内面側におけるLED27の配列を変えて行った実験について、表1に基づいて説明する。なお、用いたLED27は実施形態と同じものであり、光反射材21も実施形態と同じものを使用して、その上にLED27を配置している。以下、実験における各形態について、実施形態と同じ符号を用いて説明する。表1のNo.1〜8の形態は、それぞれ次の通りである。なお、LED27は、周壁部3の幅方向(前後方向)の中央部に、周壁部3の周方向に沿って直線的に並設し、並設されたLED27の中心同士の間隔は、No.7を除いていずれも30mmである。
【0065】
〈No.1〉右上壁部8に上端部8a付近から24個、左上壁部7に上端部7a付近から24個のLED27を並設し、下壁部4にはLED27を設けなかった。
【0066】
〈No.2〉右上壁部8及び左上壁部7はNo.1と同じとし、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0067】
〈No.3〉右上壁部8に上端部8aから右上壁部8に沿って20cm下がった位置から9個、左上壁部7に上端部7aから左上壁部7に沿って20cm下がった位置から9個、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0068】
〈No.4〉右上壁部8に上端部8aから右上壁部8に沿って30cm下がった位置から9個、左上壁部7に上端部7aから左上壁部7に沿って30cm下がった位置から9個、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0069】
〈No.5〉右上壁部8に上端部8aから右上壁部8に沿って20cm下がった位置から9個、左上壁部7に上端部7aから左上壁部7に沿って30cm下がった位置から9個、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0070】
〈No.6〉左上壁部7及び右上壁部8はNo.4と同じとし、下壁部4は、No.4の24個のLED27のうち、左右両端部の3個ずつ計6個を黒テープで覆うことにより、左右対称的に18個のLED27を並設した。
【0071】
〈No.7〉左上壁部7及び右上壁部8はNo.4と同じとし、下壁部4は、No.4の24個のLED27のうち、左右両端から2個目、6個目、10個目の3個ずつ計6個を黒テープで覆うことにより、左右対称的に18個のLED27を並設した。
【0072】
〈No.8〉左上壁部7及び右上壁部8はNo.4と同じとし、下壁部4は、No.4の24個のLED27のうち、左端部の2個及び右端部の1個の計3個を黒テープで覆うことにより、21個のLED27を並設した。
【0073】
表1に、No.1〜8の形態としたときのワット数(Watt)、ボルトアンペア(VA)、及び、図18に示す(1)〜(11)(なお、図18及び表1では丸付き数字で表記している。)の各箇所において照度計を用いて測定した照度(単位lx)を示す。なお、No.6〜8はワット数及びボルトアンペアの測定を行っていないが、No.3〜5よりもLED27の数が少ないことから、ワット数及びボルトアンペアも少なくなると予想される。
【0074】
視認性の点からは、各箇所の照度は400lx以上あることが望ましいが、照度が多少低くても全体の均整度(明るさの均一性)がよい方が、標識を認識し易い。No.1は、表示板62の上部は明るいが下部が暗く、均整度がよくない。また、全周に亘ってLED27を配置したNo.2は、照度が高く均整度もよいが、ワット数が大きく省エネルギー効果が小さい。一方、No.6、7の場合、数字的な照度はよいが、実際に見たときの均整度は若干劣っていた。最も少ない数のLED27で均整度がよかったものは、No.8であった。したがって、実施形態は、No.8の形態において、より均整度を向上させるために、下壁部4におけるLED27の配置を左右対称的にしたものとした。また、No.3〜5も、LED27の数がNo.8よりは多いもののNo.2よりは少ないためワット数が小さく、均整度もよかった。
【0075】
この実験から、右上壁部8及び左上壁部7におけるLED27の上端位置を、上端部8a及び上端部7aからそれぞれ200〜300mmの範囲内の所定距離下がった位置としても、均整度よく表示板62,67を照らすことができることが分かる。なお、LED27の上端位置は、上端部7a及び上端部8aから320mm程度まで下げても、均整度は悪化しないと推測できる。また、LED27の間隔も、この実験では30mmとしたが、中心同士の間隔が30〜40mmの範囲内であれば、均整度よく表示板62,67を照らすことができると推測できる。また、No.6,7では、均整度は若干劣っていたものの、左上壁部7及び右上壁部8のLED27の数を増やせば、均整度は改善できるため、下壁部4におけるLED27の配置個数は少なくとも18個あればよいことが分かる。但し、左上壁部7及び右上壁部8のLED27の数は、上端部8a及び上端部7aからそれぞれ200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から配置した場合、均整度及び省エネルギーの観点から12個までが適当と推測される。
【0076】
以上の実験から、LED27は周壁部3の内面側に全周に亘って設けなくても、部分的に配置することにより、表示板62及び表示板67に均整光を照射可能であることが分かった。そして、LED27を部分的に設けることにより、LED27の数を少なくして、省エネルギー効果を高めることができる。
【0077】
また、少なくとも、左側壁部5及び右側壁部6には、LED27を配置しなくても、均整光が得られることが分かった。左側壁部5及び右側壁部6にLED27を配置しなければ、左側壁部5及び右側壁部6を外照用電源部53等の機器の設置場所として利用でき、また、左側壁部5や右側壁部6に機器を設置すれば、機器の影が表示板62や表示板67に映ってしまうことを防止できる。
【0078】
そして、LED27を、下壁部4の内面側には、30〜40mmの範囲内の間隔(隣り合うLED27の中心同士の間隔。以下同じ。)で、少なくとも18個(望ましくは18〜24個の範囲、より望ましくは21個)、下壁部4の中央部4aから左右対称的に、かつ、下壁部4の短手方向における中央部に、下壁部4の長手方向に沿って直線的に並設し、左上壁部7の内面側には、上端部7aから左上壁部7に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、30〜40mmの範囲内の間隔で、少なくとも9個(望ましくは9〜12個、より望ましくは9個)、左上壁部7の短手方向における中央部に、左上壁部7の長手方向に沿って直線的に並設し、右上壁部8の内面側には、上端部8aから右上壁部8に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、30〜40mmの範囲の間隔で、少なくとも9個(望ましくは9〜12個、より望ましくは9個)、右上壁部8の短手方向における中央部に、右上壁部8の長手方向に沿って直線的に並設すれば、大型の道路標識1においても、均整度よく表示板62,67を照らすことができ、しかも、LED27が少数なので消費電力量を削減可能である。
【0079】
さらに、実施形態のようにLED27を配列すれば、最小限のLED27で均整度よく表示板62及び表示板67を照らすことができ、消費電力量を大幅に削減可能であって、高い省エネルギー効果を得られる。
【0080】
なお、道路標識1では、各照明部76の光源もLED80とされており、従来の水銀灯やナトリウム灯に比較して、消費電力が少なくなって省エネルギー効果をさらに高めることができ、光源の交換頻度も少なくなりメンテナンス量を削減できる。そして、LED80からの光は、レンズ81aによって広角に配光されるため、広い範囲を照らすことができる。さらに、各照明部76は、自在継手手段70を介して標識本体2に取着されており、前後方向及び左右方向に角度を調整可能であるため、横断歩道や自転車横断帯から多少離れた場所に設置された場合にも、照明角度を調整することにより、横断歩道や自転車横断帯を照明することができる。
【0081】
さらにまた、この道路標識1では、照明部76自体が、電源部53,53等を除いて、標識本体2から下方へ突出しており、前後の表示板62,67に、極力、影を映さずに、配置することができる。
【0082】
なお、LED27の配列は、均整度を損なわない範囲で適宜変更可能であるが、少なくとも、左上壁部7の上端部7aから左上壁部7に沿って200mm下がった位置までの範囲、及び、右上壁部8の上端部8aから右上壁部8に沿って200mm下がった位置までの範囲には、LED27を配置しないことが望ましい。これらの範囲にLED27を配置しなくても、表示板62,67を均整度よく照明することは可能であり、その分LED27の数を減らして省エネルギー効果を高めることができるからである。
【0083】
また、左側壁部5及び右側壁部6にはLED27を配置しないことが望ましい。これらの部位にLED27を配置しなくても、表示板62,67を均整度よく照明することは可能であり、その分LED27の数を減らして省エネルギー効果を高めることができるとともに、それらの部位を外照用電源部53等の機器の設置場所として利用でき、さらに、機器の影が表示板62,67に映らないように機器を設置できるからである。
【0084】
特に、実施形態では、周壁部3が、外面側の略五角形の筒状とした枠本体11を備え、枠本体11が、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部12と、本体壁部12の前後両縁に配置されて、標識本体2の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部13と、を設けて構成されてている。そして、光反射材21が、剛性を有した板状の基板22と基板22の内面に設けた光反射層23とから構成され、周壁部3の前後のチャンネル部13における内方へ突出した内面14a側を取付座14として、チャンネル部13に取り付けられている。さらに、複数のLED27がLED基板28,29,30に並設されて、各LED基板28,29,30が、光反射材21の内面側に、取り付けられている。そして、標識本体2に内蔵される道路標識用のLED27以外の複数の電気機器47、すなわち、受信機48、電源部49,53、ブレーカ50、端子台51が、それぞれ、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面48b,49b,50b,51b,53b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3に取り付けている。さらに、複数の電気機器47の内のいずれか、すなわち、受信機48や内照用電源部49が、内面48a,49a側を光反射材21L,21Dに設けた挿通孔21b,21cから突出させて、配置している。
【0085】
そのため、実施形態では、光反射材21(21T,21L,21R,21D)が、周壁部3の枠本体11における前後のチャンネル部13,13を取付座とし、周壁部3の最も内面側に取り付けられ、そして、その光反射材21の内面側にLED27が取り付けられることから、前後方向の投影状態で、周壁部3の枠本体11におけるチャンネル部13の影になることなく、各LED27が、前後の表示板62,67に均等光を照射できる。また、電気機器47も、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面48b,49b,50b,51b,53b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように(換言すれば、枠本体11のチャンネル部13間に嵌め込むように)配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられており、前後方向の投影状態で、極力、電気機器47の影になることなく、各LED27が、前後の表示板62,67に均等光を照射できる。
【0086】
さらに、電気機器47の受信機48や電源部49が、周壁部3の枠本体11における本体壁部12からのチャンネル部13の高さ寸法より、高い寸法として、光反射材21L,21Dの配置エリアに配置されていても、光反射材21L,21Dの挿通孔21b,21cから突出させて配置させており、それらの挿通孔21b,21cの周縁の反射を利用して、極力、電気機器47の影になることなく、各LED27が、前後の表示板62,67に均等光を照射できる。その結果、このような構成では、LED27が、一層、前後の表示板62,67を、均整度良く照明できる。
【0087】
勿論、この場合でも、実施形態では、LED27の数を少なくできて消費電力量を削減できるように、LED27が、左側壁部5と右側壁部6とに配置されない構成として、既述したように、複数の電気機器47の内の少なくとも一つ、実施形態では、ブレーカ50、端子台51、及び、外照用電源部53,53が、左側壁部5と右側壁部6とに配置されている。しかし、これらの電気機器47としてのブレーカ50、端子台51、及び、外照用電源部53,53が、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面50b,51b,53b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させて、換言すれば、枠本体11のチャンネル部13間に嵌め込むように、左側壁部5や右側壁部6に取り付けている。そのため、それらの電気機器47(ブレーカ50、端子台51、及び、外照用電源部53,53)が、チャンネル部13からの内方への突出量を少なくして、極力、表示板62,67に影を映さないことから、その結果、LED27が、安定して、前後の表示板62,67を、均整度良く照明できる。
【0088】
なお、電気機器47としての受信機48、内照用電源部48、ブレーカ50、端子台51、外照用電源部53等は、影が表示板62,67に映らない位置であれば、それらの配置は、実施形態の位置に限るものではない。
【0089】
また、実施形態では、人センサーからの信号を受けて、照明部76を点灯する受信機48を設けたものを示したが、勿論、受信機48を設けずに、夜間に、LED27とともに、照明部76を点灯させるように構成してもよい。さらに、照明部76を設けない構造としてもよく、その場合には、外照用電源部53も不要となる。さらにまた、人センサーからの信号を受けて、照明部76を点灯させ、かつ、点灯させていた各LED27を点滅させるように構成してもよい。
【0090】
【表1】
【符号の説明】
【0091】
1…道路標識、
2…標識本体、
3…周壁部、
4…下壁部、
4a…中央部、
5…左側壁部、
6…右側壁部、
7…左上壁部、
7a,8a…上端部、
8…右上壁部、
11…枠本体、
12…本体壁部、
12a…(本体壁部の)内面、
13…チャンネル部、
14a…(チャンネル部の)内面、
21…光反射材、
22…基板、
23…光反射層、
27…LED、
47…電気機器、
48a,49a,50a,51a,53a…(電気機器の)内面、
48b,49b,50b,51b,53b…(電気機器の)外面、
60…前壁部、
62,67…表示板、
65…後壁部、
70…自在継手手段、
76…照明部、
80…LED。
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を内部照明に用いたLED内照式道路標識に関し、特に、横断歩道や自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に407標識とも称される横断歩道や自転車横断帯を示す道路標識は、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)別表第2に示すように、規格で各寸法が定められた特定の五角形とされている。かかる道路標識を、道路上の高い位置に設置するときなどは、各寸法を1.5倍することにより大型化するとともに、内部に照明を配置した内照式とし、夜間においても遠くから視認できるようにしたものが用いられている。
【0003】
かかる内照式道路標識においては、内部照明として蛍光灯が用いられてきたが、最近では、消費電力が小さく長寿命のLEDが用いられるようになってきている。下記特許文献1には、所要形状からなる筐体の表裏両面に着脱自在に設けた表示板の標識図柄を、筐体内に配した内部照明により照らすようにした内照式道路標識において、高出力LEDを筐体内面に沿い所要間隔をもって全周に亘り配設するとともに、前記各高出力LEDが対面する側の筐体内面に反射拡散体を設けたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−307611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1記載のLED内照式道路標識では、高出力LEDを筐体内面の全周に亘り配設しているため、消費電力量が多くなって、期待したような省エネルギー効果が得られないという問題があった。特に、大型の道路標識では、LEDを全周に亘り配設すると、多数のLEDを配設することとなるため、かかる問題が顕著であった。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するものであり、横断歩道・自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識において、消費電力量を削減可能であり、省エネルギー効果の高いLED内照式道路標識を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識は、正面視において規格の1.5倍の寸法の五角形状に形成された筐体状の標識本体を備え、前記標識本体は、遮光性を有する材料で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部と、前記周壁部の前方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた前壁部と、前記周壁部の後方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた後壁部と、を備え、前記周壁部は、略矩形板状の下壁部と、前記下壁部の左右の側端部からそれぞれ前記下壁部に対して垂直に立ち上がる略矩形板状の左側壁部及び右側壁部と、前記左側壁部の上端部及び右側壁部の上端部からそれぞれ斜め上方に互いに近付くように延設されて、上端部が互いに連結された略矩形板状の左上壁部及び右上壁部と、を備え、前記周壁部の内面には、全周に亘って、光反射材が設けられ、指向角が110〜130°の範囲内で高光束の複数のLEDを、前記周壁部の内面側に、前記周壁部の周方向に沿って、部分的に配置することにより、前記前壁部の前記表示板及び前記後壁部の前記表示板に均整光を照射可能に構成されたことを特徴とする。
【0008】
これによれば、LEDを標識本体の周壁に部分的に(すなわち、全周に亘らずに)配置しているので、消費電力量を削減でき、高い省エネルギー効果を得ることができる。
【0009】
ここで、前記各LEDは、光束が初期特性において20lm以上であることが好ましい。初期特性において光束が20lm以上であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるからである。
【0010】
さらに、前記各LEDは、光束が初期特性において20〜25lmの範囲内であることが好ましい。初期特性において光束が20〜25lmの範囲内であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるとともに、消費電力量の増加を抑制できるからである。
【0011】
また、少なくとも、前記左側壁部及び前記右側壁部には、前記LEDが配置されていないことが好ましい。
【0012】
これによれば、LEDの数を少なくできて消費電力量を削減可能であるとともに、右側壁部及び左側壁部を電源部等の機器の設置場所として利用できる。
【0013】
また、少なくとも、前記左上壁部の上端部から前記左上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲、及び、前記右上壁部の上端部から前記右上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲には、前記LEDが配置されていないことが好ましい。
【0014】
これによれば、少なくとも、左上壁部及び右上壁部のそれぞれの上端部から所定距離下がった位置まではLEDを配置しないので、消費電力量を削減できる。
【0015】
さらに、前記LEDが、前記下壁部の内面側には、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも18個、前記下壁部の中央部から左右対称的に、かつ、前記下壁部の短手方向における中央部に、前記下壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、前記左上壁部の内面側には、前記上端部から前記左上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記左上壁部の短手方向における中央部に、前記左上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、前記右上壁部の内面側には、前記上端部から前記右上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記右上壁部の短手方向における中央部に、前記右上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設されたことが好ましい。
【0016】
これによれば、表示板を均整度よく照明することができ、かつ、少なくとも、左上壁部及び右上壁部のそれぞれの上端部から所定距離下がった位置まではLEDを配置しないので、消費電力量を削減できる。
【0017】
そして、さらに、前記下壁部における前記LEDの配置個数が18〜24個、前記左上壁部及び前記右上壁部における前記LEDの配置個数がそれぞれ9〜12個の範囲内であることが好ましい。
【0018】
これによれば、略最低限のLEDで均整度よく照明でき、省エネルギー効果も高い。
【0019】
さらに、前記周壁部は、外面側の略五角形の筒状とした枠本体を備えて構成し、
該枠本体は、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部と、該本体壁部の前後両縁に配置されて、前記標識本体の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部と、を設けて構成し、
前記光反射材は、剛性を有した板状の基板と該基板の内面に設けた光反射層とから構成されて、前記周壁部の前後の前記チャンネル部における内方へ突出した内面を取付座として、前記チャンネル部に取り付け、
複数の前記LEDはLED基板に並設されて、該LED基板は、前記左上壁部、前記右上壁部、及び、前記下壁部に配置された前記光反射材の内面側に、それぞれ、取り付けるとともに、
道路標識用の前記LED以外の複数の電気機器が、前記標識本体内に内蔵されている場合には、前記電気機器は、それぞれ、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させるように配置させて、前記周壁部に取り付け、複数の前記電気機器の内のいずれかが、内面側を前記光反射材に設けた挿通孔から突出させて、配置することが好ましい。
【0020】
これによれば、光反射材が、周壁部の枠本体における前後のチャンネル部を取付座とし、周壁部の最も内面側に取り付けられ、そして、その光反射材の内面側にLEDが取り付けられることから、前後方向の投影状態で、周壁部の枠本体におけるチャンネル部の影になることなく、各LEDが、前後の表示板に均等光を照射できる。また、電気機器も、チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、チャンネル部の内面より本体壁部の内面に接近させるように配置させて、周壁部の枠本体に取り付けられており、前後方向の投影状態で、極力、電気機器の影になることなく、各LEDが、前後の表示板に均等光を照射できる。さらに、電気機器が、周壁部の枠本体における本体壁部からのチャンネル部の高さ寸法より、高い寸法として、光反射材の配置エリアに配置されていても、光反射材の挿通孔から突出させて配置させており、その挿通孔の周縁の反射を利用して、極力、電気機器の影になることなく、各LEDが、前後の表示板に均等光を照射できる。その結果、このような構成では、LEDが、一層、前後の表示板を、均整度良く照明できる。
【0021】
勿論、この場合でも、LEDの数を少なくできて消費電力量を削減できるように、前記LEDが、前記左側壁部と前記右側壁部とに配置されない構成として、既述したように、複数の前記電気機器の内の少なくとも一つが、前記左側壁部若しくは前記右側壁部の少なくとも一方に配置される構成としていても、その電気機器が、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させて、前記左側壁部若しくは前記右側壁部に取り付けられていれば、その電気機器が、チャンネル部からの内方への突出量を少なくしているため、極力、影を作らず、その結果、LEDが、安定して、前後の表示板を、均整度良く照明できる。
【0022】
また、道路上を照らすための照明部が、全体を前記標識本体から下方に突出させて、前記下壁部に取着され、前記照明部はLEDを光源とすることが好ましい。
【0023】
これによれば、道路用の照明についても、長寿命となってメンテナンス量を削減できるとともに、省エネルギー効果を更に高めることができる。勿論、照明部自体が、電源部等を除いて、標識本体から突出しており、前後の表示板に、極力、影を映さずに、配置することができる。
【0024】
さらに、前記照明部が、前記下壁部の下面側に配置された自在継手手段を介して、前記下壁部の下面側に取着されていることが好ましい。
【0025】
これによれば、照明部の照明角度を調整可能であるので、横断歩道や自転車横断帯から多少離れた場所に設置された場合にも、横断歩道や自転車横断帯を照明することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、横断歩道・自転車横断帯用の大型LED内照式道路標識において、消費電力量を削減可能であり、高い省エネルギー効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識の正面図である。
【図2】同道路標識の前壁部及び後壁部を除いた正面図である。
【図3】図1のIII-III線断面図である。
【図4】図2のIV矢視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI矢視図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】図2のVIII矢視図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図2のX矢視図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】同道路標識の底面図である。
【図13】同道路標識の照明部を含む要部斜視図である。
【図14】図13の分解斜視図である。
【図15】同照明部の長手方向に沿った断面図であり、図3のXV−XV線断面図である。
【図16】同照明部の短手方向に沿った断面図であり、図2の XVI− XVI線断面図である。
【図17】同照明部のカバー部及びレンズ部を示す底面図である。
【図18】実施形態の電気機器の配線の概略を説明する説明図である。
【図19】実験における照度の測定箇所を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1に示すように、道路標識1は、横断歩道や自転車横断帯に用いられる横断歩道・自転車横断帯用道路標識であり、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年12月17日総理府・建設省令第3号)別表第2に示された規格「407−A」、「407の2」、「407の3」における五角形の各寸法を、1.5倍した大きさの筐体状の標識本体2と、標識本体2の下方に突出するように標識本体2の下部に設けられた2つの照明部76とを備えている。正面視における標識本体2の各寸法は、図1に示すA=90cm、B=30cm、C=90cmとされ、標識本体2の厚み(前後方向の幅)は20cmとされている。
【0030】
図2,3に示すように、標識本体2は、遮光性を有する材料(ここでは、金属。具体的にはアルミニウム。)で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部3と、周壁部3の前方開口部を閉塞する五角形状の前壁部60と、周壁部3の後方開口部を閉塞する五角形状の後壁部65と、を備えて構成されている。周壁部3の断面外周、前壁部60の外周、及び、後壁部65の外周がそれぞれなす五角形の各寸法は、上述した正面視における標識本体2の各寸法と同等である。周壁部3の外面には、連結管Tが取着されている。連結管Tは、例えば道路脇に立設された柱Pと道路標識1とを連結するためのものである。
【0031】
前壁部60は、五角形状の環状とした金属製の枠体61と、枠体61に装着されて、枠体61が形成する五角形状の開口部を閉塞する五角形状の表示板62とを備え、枠体61の内側には、標識本体2を閉塞したときの水密性を高めるためのシール部材63が枠体61に沿って設けられている。表示板62は、合成樹脂製で光透過性を有し、規格で定められた色及び図柄を有している。
【0032】
後壁部65は、前壁部60と同じ構成を有し、五角形状の環状とした金属製の枠体66と、枠体66に装着されて、枠体66が形成する五角形状の開口部を閉塞する五角形状の表示板67とを備え、枠体66の内側にはシール部材68が枠体66に沿って設けられている。表示板67は、合成樹脂製で光透過性を有し、規格で定められた色及び図柄を有している。
【0033】
周壁部3は、略矩形板状の下壁部4と、下壁部4の左右の側端部からそれぞれ下壁部4に対して垂直に立ち上がる略矩形板状の左側壁部5及び右側壁部6と、左側壁部5の上端部及び右側壁部6の上端部からそれぞれ斜め上方に互いに近付くように延設されて、上端部7a,8aが互いに連結された略矩形板状の左上壁部7及び右上壁部8とから構成されている。
【0034】
この周壁部3は、外面側の略五角形の筒状とした枠本体11を備えて構成され、枠本体11は、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部12と、本体壁部12の前後両縁に配置されて、標識本体2の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部13と、を備えて形成されている。本体壁部12は、略五角形の筒状とし、チャンネル部13,13は、略五角形の環状として、本体壁部12の剛性を高める補強リブのような機能を奏している。
【0035】
前壁部60及び後壁部65は、下壁部4に複数の蝶番57で連結されて下壁部4に対して揺動可能であり、前壁部60及び後壁部65が、周壁部3の前方開口部及び後方開口部を閉塞した状態で、左上壁部7及び右上壁部8に設けられた複数の留め具58(図1参照)で周壁部3に固定されることにより、標識本体2は密閉状態となる。
【0036】
なお、周壁部3の各チャンネル部13は、標識本体2の内方へ突出した横壁14と、横壁14の内側の縁から本体壁部12に連なるように延びる内縦壁15と、横壁14の外側の縁から標識本体2の外方に延びる外縦壁16と、を備えた断面逆U字状として構成されている。そして、外縦壁16は、前壁部60と後壁部65とを、留め具58を利用して、周壁部3に固定した際、各シール部材63,68を圧接させて、標識本体2内を密閉するシール部位としている(図5参照)。また、横壁14は、図5,9,11に示すように、後述する光反射材21、取付ブラケット35、取付プレート41,44の取付座としての役目を果たしている。
【0037】
そして、周壁部3の内面には、略全周に亘って、光の反射率を向上させる光反射材21が、幅(標識本体2の前後方向における長さ)を枠本体11の幅寸法より若干小さな150mmとして、配設されている。光反射材21は、実施形態の場合、アルミニウムからなる剛性を有した基板22と、基板22の内面側に塗布されてなる白色の光反射層23と、から構成されている(図5参照)。なお、光反射層23は、実施形態のように、光を標識本体2の内方に向けて反射し易いように、白色塗装から形成する他、フィルム等から形成してもよい。例えば、反射フィルムとしては、住友スリーエム社製「3M(登録商標)スコッチカル(登録商標)ライトエンハンスメントフィルム」を用いてもよい。
【0038】
この光反射材21は、図2に示すように、実施形態の場合、左上壁部7と右上壁部8との上端部7a,8a付近の内面側に配置される断面逆V字形状の光反射材21Tと、この光反射材21Tから連なって下方に延びて、左上壁部7と右上壁部8との内面側に配置される矩形板状の光反射材21L,21Rと、下壁部4の内面側に配置される矩形板状の光反射材21Dと、から構成されている。これらの光反射材21T,21L,21R,21Dには、前後両縁に、ねじ18を挿通させる所定数の取付孔21a(図3参照)が配設され、一方、周壁部3のチャンネル部13の横壁14の所定位置には、ねじ18を螺合させるナット(ブラインドナット)17が取り付けられている。そして、これらの光反射材21T,21L,21R,21Dは、ねじ18が取付孔21aを経てナット17に締結されることにより、周壁部3の内面側に、光反射層23aを向けて、周壁部3(枠本体11)に取り付けられている。
【0039】
また、各光反射材21L,21R,21Dには、前後方向の中央付近に、後述するLED基板28,29,30を取り付けるための複数のナット(ブラインドナット)25が配設されている(図5参照)。さらに、光反射材21Lには、図4,5に示すように、下方の後縁側に、後述する電気機器47の受信機48を設けるための挿通孔21bが配設され、光反射材21Dにも、図6,7に示すように、左方の後縁側に、後述する電気機器47の内照用電源部49を設けるための挿通孔21cが配設されている。
【0040】
光反射材21(21L,21R,21D)の内面側には、周壁部3の周方向に沿って、部分的に(すなわち、全周には亘らず)複数のLED27が配列されている。LED27は、指向角120°の白色系の高出力LEDであり、ここでは、日亜化学工業株式会社製白色チップタイプLED「NSSW123B」を用いており、LED3個直列でDC12V入力で1W相当であり、電流は約83mAである。なお、LED27としては、これ以外にも指向角110〜130°の範囲内の白色系LEDで、高光束のものであればよく、好ましくは、光束が初期特性において20lm(lm:ルーメン)以上のものがよく、さらに好ましくは、20〜25lmの範囲内ものがよい。初期特性において光束が20lm以上であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるからであり、初期特性において光束が20〜25lmの範囲内であれば、標識を認識させるのに十分な照度を得られるとともに、消費電力量の増加を抑制できるからである。
【0041】
また、各LED27は、LED基板28,29,30に並設されて、光反射材21L,21R,21Dに配設されている。そして、各LED基板28,29,30は、光反射材21に埋設されたナット25にねじ32止めされる逆U字形の取付ブラケット31に押えられて、所定の光反射材21L,21R,21Dに、配設されている。なお、各LED27は、LED基板28,29,30の配置面28a,29a,30aから突出するように配置されるとともに、上面側(内面側)の透明なポリカーボネイト等の合成樹脂からなるカバー28b,29b,30bに覆われて、配置されている(図2,3,5参照)。
【0042】
そして、左上壁部7の光反射材21Lの内面側には、細長い矩形状のLED基板28が、左上壁部7の短手方向(前後方向)における中央部に(図3,4参照)、左上壁部7の長手方向に沿って取着されている。LED基板28には、9個のLED27が、LED基板28の長手方向に沿って直線的に並設されている。LED基板28上の最上位のLED27の位置(中心位置。以下同じ。)は、左上壁部7の内面側の上端部7aから左上壁部7に沿って300mm下がった位置(すなわち、図2のD1=300mm)であり、基板28上の隣り合うLED27の中心同士の間隔はいずれも30.5mm(すなわち、図2のD=30.5mm)である。すなわち、左上壁部7の内面側には、上端部7aから左上壁部7に沿って300mm下がった位置から、9個のLED27が、左上壁部7の短手方向における中央部に、左上壁部7の長手方向に沿って直線的に、並設されている。
【0043】
右上壁部8にも左上壁部7と同様にLED27が並設されている。すなわち、右上壁部8の光反射材21Rの内面側には、LED基板28と同様に構成された細長い矩形状のLED基板29が、右上壁部8の短手方向(前後方向)における中央部に、右上壁部8の長手方向に沿って取着されている。LED基板29には、9個のLED27が長手方向に沿って直線的に並設され、基板29上の最上位のLED27の位置は、右上壁部8の内面側の上端部8aから右上壁部8に沿って300mm下がった位置(すなわち、図2のD2=300mm)であり、基板29上の隣り合うLED27の中心同士の間隔はいずれも30.5mmである。すなわち、右上壁部8の内面側には、上端部8aから右上壁部8に沿って300mm下がった位置から、9個のLED27が、右上壁部8の短手方向における中央部に、右上壁部8の長手方向に沿って直線的に並設されている。
【0044】
また、下壁部4の光反射材21Dの内面側には、細長い矩形状のLED基板30が、下壁部4の短手方向(前後方向)における中央部に(図6参照)、下壁部4の長手方向に沿って取着されている。LED基板30には、21個のLED27が長手方向に沿って直線的に並設されている。そして、LED基板30上のLED27のうち中央のLED27は、下壁部4の中央部4aに配置され、基板30上の隣り合うLED27の中心同士の間隔はいずれも30.5mmとされている。すなわち、中央部4aに1個のLED27が配置され、その両側に10個ずつのLED27が等間隔で配設されて、21個のLED27が、下壁部4の中央部4aから左右対称的に並設されている。なお、LED27同士の間隔は、左右で対称的になるのであれば、等間隔でなくてもよい。また、LED基板30上のLED27が偶数個の場合には、中央部4aにはLED27は配置されない。
【0045】
また、標識本体2内には、道路標識用のLED27以外の複数の電気機器47が、内蔵されている。実施形態の場合、電気機器47としては、夜間の人の接近を検知した人センサーからの信号を受信する受信機48、LED27を点灯させる内照用電源部49、ブレーカ50、端子台51、照明部76,76を点灯させる外照用電源部53が例示できる。なお、人センサーは、柱Pの下方付近の図示しないエリアに配設されている。
【0046】
そして、受信機48は、図2〜5に示すように、取付ブラケット35を利用して、周壁部3における左上壁部7の枠本体11に、固定されている。取付ブラケット35は、断面逆U字状として、光反射材21Lとその近傍の枠本体11の横壁(取付座)14とに、ねじ36止めされ、そのねじ36止め時、受信機48を本体壁部12側に押えて、受信機48を左上壁部7に固定させている。なお、ねじ36は、光反射材21Lに設けられたねじ孔21dと枠本体11の横壁14に設けられたナット(ブラインドナット)17に螺着されるように構成されている。
【0047】
左上壁部7の内面側に固定された受信機48は、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面48b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられている。なお、受信機48は、その厚さをチャンネル部13の本体壁部12からの高さ寸法より、大きくしていることから、内面48a側を、光反射材21Lの挿通孔21bから標識本体2の内方に、僅かに、突出させて、配設されている。そして、受信機48は、取付ブラケット35を含めた光反射材21Lからの突出高さP1を、LED基板28の配置面28a付近の高さ寸法と同等、若しくは、小さいとして、表示板62,67に影を映さないように、配設されている。ちなみに、実施形態では、受信機48は、取付ブラケット35を含めた光反射材21Lからの突出高さP1を、LED基板28の配置面28a付近の高さ寸法と同等として、約12mmとしている(図5参照)。
【0048】
左側壁部5の下部の内面側には、図2,8,9に示すように、ブレーカ50と端子台51とが、取付プレート41を利用して、固定されている。取付プレート41は、アルミニウム等の金属板からなる断面U字形として、前後両縁に、ねじ18を挿通させる複数の取付孔41aが形成され、底部に、ブレーカ50と端子台51とをねじ42止めするねじ孔41bを設けている。各ねじ18は、取付孔41aを経て、左側壁部5の横壁14に設けたナット17に締結される。そして、このねじ18止めにより、取付プレート41が、枠本体11に固定され、ねじ42止めにより、ブレーカ50と端子台51とが、取付プレート41に取着され、その結果、ブレーカ50と端子台51とが、取付プレート41を介して、左側壁部5の内面側に固定される。取付プレート41は、内面側を、LED27の光を反射し易いように、白色塗装されている。
【0049】
これらのブレーカ50や端子台51も、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、中央を凹ませた断面U字形の取付プレート41を利用して、左側壁部5に取り付けられる構成としており、外面50b,51b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられている。なお、ブレーカ50や端子台51は、取付プレート41を利用して左側壁部5に取り付けられた状態で、内面50a,51aをチャンネル部13の内面14aより、僅かに、内方に突出させている。そして、それらのブレーカ50におけるチャンネル部13の内面14aからの突出高さP2や、端子台51におけるチャンネル部13の内面14aからの突出高さP3が、表示板62,67にブレーカ50や端子台51の影を映さない寸法としている(図9参照)。
【0050】
右側壁部6の内面側には、図2,10に示すように、照明部76,76の各LED80にDC44Vの電流を供給するための略直方体状の外照用電源部53,53が、取付プレート44を利用し、各電源部53の長手方向を上下に沿わせて、固定されている。取付プレート44は、アルミニウム等の金属板からなる断面U字形として、前後両縁に、ねじ18を挿通させる複数の取付孔44aが形成され、底部に、各外照用電源部53をナット45止めするねじ44bを突設させている。各ねじ18は、取付孔44aを経て、右側壁部6の横壁14に設けたナット17に締結される。そして、このねじ18止めにより、取付プレート44が、枠本体11に固定され、ナット45止めにより、電源部53,53が、取付プレート44に取着され、その結果、電源部53,53が、取付プレート44を介して、右側壁部6の内面側に固定される。取付プレート44は、取付プレート41と同様に、内面側を、LED27の光を反射し易いように、白色塗装されている。
【0051】
なお、外照用電源部53,53におけるチャンネル部13の内面14aからの突出高さP4も、表示板62,67に外照用電源部53の影を映さない寸法としている(図11参照)。
【0052】
下壁部4の内面側には、図2,6,7に示すように、各LED27にDC12Vの電流を供給するための略直方体状の内照用電源部49が、取付プレート38を利用し、電源部49の長手方向を左右(下壁部4の長手方向)に沿わせて、固定されている。内照用電源部49の取付位置は、前端面が下壁部4の短手方向における中央から30mm後方(あるいは、後端面が下壁部4の短手方向における中央から30mm前方)に離れ、かつ、右端面が右側壁部6の内面から150mm左となるような位置である。
【0053】
取付プレート38は、下壁部4に設けられたLED基板30の後方側における枠本体11の本体壁部12に、左右方向に沿って、溶接されている。詳しくは、取付プレート38は、アルミニウム等の金属板から形成され、左右方向の中間部位を、本体壁部12から内方に浮かせて、左右両端を本体壁部12の内面に溶接させている。取付プレート38の本体壁部12から内方に浮かせた部位の左右両端付近には、ねじ孔38aが設けられている。る。各ねじ孔38aには、内照用電源部49の両端を取付プレート38に取り付けるねじ39が、締結される。そして、電源部49が、取付プレート38にねじ39止めされることにより、下壁部4に固定されている。
【0054】
下壁部4の内面側に固定された内照用電源部49は、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面49b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられている。なお、電源部49は、その厚さをチャンネル部13の本体壁部12からの高さ寸法と略同等としているものの、本体壁部12から浮いた取付プレート38の部位に、取り付けられていることから、内面49a側を、光反射材21Dの挿通孔21bから標識本体2の内方に、僅かに、突出させて、配設されている。この電源部49も、受信機48と同様に、LED基板30の配置面30a付近の高さ寸法と同等、若しくは、小さいとして、表示板62,67に影を映さないように、配設されている(図3参照)。ちなみに、実施形態では、電源部49は、光反射材21Dからの突出高さP5を、配置面30a付近の高さ寸法と同等として、約12mmとしている(図7参照)。
【0055】
外照用電源部53,53及び内照用電源部49は、いずれも、外部の交流電源に接続されて、それらの交流電源を直流電源に変換して、LED27,80(LED80は、照明部76のものである)に電流を供給している。
【0056】
なお、図18に示すように、柱P側における外部のAC電源が、柱P側に設けられた図示しない昼夜判別回路を経て、標識本体2内のブレーカ50まで接続される。そして、各LED基板28,29,30の各LED27には、内照用電源部49を経て、通電され、各LED80には、外照用電源部53,53と受信機48とを経て、通電される。各LED27は、昼夜判別回路により、夜間に通電されるとともに、さらに、人センサーからの人の接近を検知した信号を受信機48が受信したことを条件として、点灯することとなる。すなわち、各LED27は、夜間になれば点灯し、各LED80は、夜間で、かつ、人の接近したときに、点灯することとなる。実施形態の場合、受信機48は、電源を内照明用電源部49から供給されている。
【0057】
また、ブレーカ50は、夜間のメンテナンス時に、通電をOFFできるように、手動で電源をON・OFFできるスイッチを配設させている。
【0058】
そして、各照明部76は、図12〜14に示すように、下壁部4に自在継手手段70を介して取着されている。自在継手手段70は、下壁部4の短手方向の両端部から下方に互いに対向して突出する突出片71,71と、平面視において横長矩形状の枠体72と、断面L字形状の連結具73,73と、を有している。そして、枠体72の左右方向に沿った長辺部72a,72aには、長手方向の中央部から上方に、互いに対向する突出部72b,72bが突設され、突出部72b,72bは、突出片71,71にねじ止めされている。そして、それらのねじを緩めることにより、枠体72は標識本体2に対して左右方向(図13,14の矢印A1方向)に揺動可能となり、枠体72が揺動した状態で再びねじを締めることにより、枠体72を下壁部4に対して傾いた状態に固定できる。また、枠体72の前後方向に沿った短辺部72c,72cには、長手方向の中央部から上方に、突出部72b,72bよりも短い高さで互いに対向して突出する突出部72d,72dが突設され、突出部72d,72dに、連結具73,73がねじ止めされて、連結具73,73に照明部76が連結されている。そして、突出部72d,72dと連結具73,73とを連結しているねじを緩めることにより、照明部76は、枠体72に対して前後方向(図13,14の矢印A2方向)に揺動可能となり、照明部76が揺動した状態で再びねじを締めることにより、照明部76を枠体72に対して傾いた状態に固定できる。したがって、照明部76は、前後方向(図13のX軸周り方向)及び左右方向(図13のY軸周り方向)の照明角度を調整可能である。
【0059】
照明部76は、図13〜16に示すように、連結具73,73に連結されるアルミニウム製のハウジング77と、ハウジング77の下面に取着された複数(ここでは、3個)のLED基板79と、各LED基板79に配置されたLED80を覆う硝子製のレンズ部81と、各LED基板79及び各レンズ部81を覆う合成樹脂製(ここでは、ポリカーボネート製)のカバー82と、を有している。また、各LED基板79は、合成樹脂製の基板カバー部90でも覆われている。ハウジング77には、上方に突出する複数の放熱フィン78が形成され、各LED基板79で発生した熱は放熱フィン78により外部に放出される。
【0060】
また、ハウジング77には、それぞれ上方に開口する水蒸気抜き孔83及び配線挿通孔84が形成されている。水蒸気抜き孔83には、合成樹脂製のキャップ86が被せられている。キャップ86は、内側に防水通気性を有するゴアテックス(登録商標)製のパッキング部85が設けられた二重構造とされ、パッキング部85が水蒸気抜き孔83に嵌合されて、パッキング部85とキャップ86の外壁部分との間には通気道が形成されている。これにより、内外の気温差等で照明部76の内部(カバー82で覆われた部分)に発生した水蒸気が、水蒸気抜き孔83から放出され、カバー82が曇り難くなる。配線挿通孔84には、合成樹脂製の嵌合部材89が嵌合されて、嵌合部材89に設けられた貫通孔88を通って配線87が外部に延設され、配線87は、標識本体2内の外照用電源部53または外照用電源部54に接続される。
【0061】
各LED基板79には、LED80が1つずつ配置され、LED80は、各レンズ部81に形成されたレンズ81aで下方から覆われている。レンズ81aは、内面及び外面のいずれも下方に向けて凸(すなわち、LED80側に凹)とされたメニスカスレンズであるため、LED80から発射された光を広角に広げて配光することができる。また、図17に示すように、レンズ81aは、底面視において前後方向の幅が左右方向の幅よりも長い長円形状をなしている。
【0062】
本実施形態のLED80は、クリー社製のもので、順電圧DC44V、順電流400mA、光束1130lm、中心光度1000cd、消費電力16W、照射角40°の高出力LEDである。なお、本実施形態では、1つの照明部76に3個のLED80を配置したが、2個でもよい。隣り合うLED80の中心同士の間隔は、3個の場合は40mm、2個の場合は80mmとする。本実施形態では3個で40mmである。
【0063】
以上のように構成された道路標識1は、横断歩道や自転車横断帯付近に立設された柱P等に連結されて、横断歩道等の上方に配置される。そして、夜間、外部の電源から内照用電源部49を介して電流が各LED27に流れて、各LED27が点灯し標識本体2の内側から表示板62及び表示板67を照明する。また、外部の電源から外照用電源部53,53を介して電流が各LED80に流れて、各LED80が点灯し道路を照明することとなる。なお、実施形態では、既述したように、昼夜判別回路により、夜間に各LED27が点灯し、さらに、夜間で、かつ、人センサーによって人の存在を検出したとき、各LED80が点灯することとなる。
【0064】
次に、周壁部3の内面側におけるLED27の配列を変えて行った実験について、表1に基づいて説明する。なお、用いたLED27は実施形態と同じものであり、光反射材21も実施形態と同じものを使用して、その上にLED27を配置している。以下、実験における各形態について、実施形態と同じ符号を用いて説明する。表1のNo.1〜8の形態は、それぞれ次の通りである。なお、LED27は、周壁部3の幅方向(前後方向)の中央部に、周壁部3の周方向に沿って直線的に並設し、並設されたLED27の中心同士の間隔は、No.7を除いていずれも30mmである。
【0065】
〈No.1〉右上壁部8に上端部8a付近から24個、左上壁部7に上端部7a付近から24個のLED27を並設し、下壁部4にはLED27を設けなかった。
【0066】
〈No.2〉右上壁部8及び左上壁部7はNo.1と同じとし、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0067】
〈No.3〉右上壁部8に上端部8aから右上壁部8に沿って20cm下がった位置から9個、左上壁部7に上端部7aから左上壁部7に沿って20cm下がった位置から9個、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0068】
〈No.4〉右上壁部8に上端部8aから右上壁部8に沿って30cm下がった位置から9個、左上壁部7に上端部7aから左上壁部7に沿って30cm下がった位置から9個、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0069】
〈No.5〉右上壁部8に上端部8aから右上壁部8に沿って20cm下がった位置から9個、左上壁部7に上端部7aから左上壁部7に沿って30cm下がった位置から9個、下壁部4に左右対称的に24個のLED27を並設した。
【0070】
〈No.6〉左上壁部7及び右上壁部8はNo.4と同じとし、下壁部4は、No.4の24個のLED27のうち、左右両端部の3個ずつ計6個を黒テープで覆うことにより、左右対称的に18個のLED27を並設した。
【0071】
〈No.7〉左上壁部7及び右上壁部8はNo.4と同じとし、下壁部4は、No.4の24個のLED27のうち、左右両端から2個目、6個目、10個目の3個ずつ計6個を黒テープで覆うことにより、左右対称的に18個のLED27を並設した。
【0072】
〈No.8〉左上壁部7及び右上壁部8はNo.4と同じとし、下壁部4は、No.4の24個のLED27のうち、左端部の2個及び右端部の1個の計3個を黒テープで覆うことにより、21個のLED27を並設した。
【0073】
表1に、No.1〜8の形態としたときのワット数(Watt)、ボルトアンペア(VA)、及び、図18に示す(1)〜(11)(なお、図18及び表1では丸付き数字で表記している。)の各箇所において照度計を用いて測定した照度(単位lx)を示す。なお、No.6〜8はワット数及びボルトアンペアの測定を行っていないが、No.3〜5よりもLED27の数が少ないことから、ワット数及びボルトアンペアも少なくなると予想される。
【0074】
視認性の点からは、各箇所の照度は400lx以上あることが望ましいが、照度が多少低くても全体の均整度(明るさの均一性)がよい方が、標識を認識し易い。No.1は、表示板62の上部は明るいが下部が暗く、均整度がよくない。また、全周に亘ってLED27を配置したNo.2は、照度が高く均整度もよいが、ワット数が大きく省エネルギー効果が小さい。一方、No.6、7の場合、数字的な照度はよいが、実際に見たときの均整度は若干劣っていた。最も少ない数のLED27で均整度がよかったものは、No.8であった。したがって、実施形態は、No.8の形態において、より均整度を向上させるために、下壁部4におけるLED27の配置を左右対称的にしたものとした。また、No.3〜5も、LED27の数がNo.8よりは多いもののNo.2よりは少ないためワット数が小さく、均整度もよかった。
【0075】
この実験から、右上壁部8及び左上壁部7におけるLED27の上端位置を、上端部8a及び上端部7aからそれぞれ200〜300mmの範囲内の所定距離下がった位置としても、均整度よく表示板62,67を照らすことができることが分かる。なお、LED27の上端位置は、上端部7a及び上端部8aから320mm程度まで下げても、均整度は悪化しないと推測できる。また、LED27の間隔も、この実験では30mmとしたが、中心同士の間隔が30〜40mmの範囲内であれば、均整度よく表示板62,67を照らすことができると推測できる。また、No.6,7では、均整度は若干劣っていたものの、左上壁部7及び右上壁部8のLED27の数を増やせば、均整度は改善できるため、下壁部4におけるLED27の配置個数は少なくとも18個あればよいことが分かる。但し、左上壁部7及び右上壁部8のLED27の数は、上端部8a及び上端部7aからそれぞれ200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から配置した場合、均整度及び省エネルギーの観点から12個までが適当と推測される。
【0076】
以上の実験から、LED27は周壁部3の内面側に全周に亘って設けなくても、部分的に配置することにより、表示板62及び表示板67に均整光を照射可能であることが分かった。そして、LED27を部分的に設けることにより、LED27の数を少なくして、省エネルギー効果を高めることができる。
【0077】
また、少なくとも、左側壁部5及び右側壁部6には、LED27を配置しなくても、均整光が得られることが分かった。左側壁部5及び右側壁部6にLED27を配置しなければ、左側壁部5及び右側壁部6を外照用電源部53等の機器の設置場所として利用でき、また、左側壁部5や右側壁部6に機器を設置すれば、機器の影が表示板62や表示板67に映ってしまうことを防止できる。
【0078】
そして、LED27を、下壁部4の内面側には、30〜40mmの範囲内の間隔(隣り合うLED27の中心同士の間隔。以下同じ。)で、少なくとも18個(望ましくは18〜24個の範囲、より望ましくは21個)、下壁部4の中央部4aから左右対称的に、かつ、下壁部4の短手方向における中央部に、下壁部4の長手方向に沿って直線的に並設し、左上壁部7の内面側には、上端部7aから左上壁部7に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、30〜40mmの範囲内の間隔で、少なくとも9個(望ましくは9〜12個、より望ましくは9個)、左上壁部7の短手方向における中央部に、左上壁部7の長手方向に沿って直線的に並設し、右上壁部8の内面側には、上端部8aから右上壁部8に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、30〜40mmの範囲の間隔で、少なくとも9個(望ましくは9〜12個、より望ましくは9個)、右上壁部8の短手方向における中央部に、右上壁部8の長手方向に沿って直線的に並設すれば、大型の道路標識1においても、均整度よく表示板62,67を照らすことができ、しかも、LED27が少数なので消費電力量を削減可能である。
【0079】
さらに、実施形態のようにLED27を配列すれば、最小限のLED27で均整度よく表示板62及び表示板67を照らすことができ、消費電力量を大幅に削減可能であって、高い省エネルギー効果を得られる。
【0080】
なお、道路標識1では、各照明部76の光源もLED80とされており、従来の水銀灯やナトリウム灯に比較して、消費電力が少なくなって省エネルギー効果をさらに高めることができ、光源の交換頻度も少なくなりメンテナンス量を削減できる。そして、LED80からの光は、レンズ81aによって広角に配光されるため、広い範囲を照らすことができる。さらに、各照明部76は、自在継手手段70を介して標識本体2に取着されており、前後方向及び左右方向に角度を調整可能であるため、横断歩道や自転車横断帯から多少離れた場所に設置された場合にも、照明角度を調整することにより、横断歩道や自転車横断帯を照明することができる。
【0081】
さらにまた、この道路標識1では、照明部76自体が、電源部53,53等を除いて、標識本体2から下方へ突出しており、前後の表示板62,67に、極力、影を映さずに、配置することができる。
【0082】
なお、LED27の配列は、均整度を損なわない範囲で適宜変更可能であるが、少なくとも、左上壁部7の上端部7aから左上壁部7に沿って200mm下がった位置までの範囲、及び、右上壁部8の上端部8aから右上壁部8に沿って200mm下がった位置までの範囲には、LED27を配置しないことが望ましい。これらの範囲にLED27を配置しなくても、表示板62,67を均整度よく照明することは可能であり、その分LED27の数を減らして省エネルギー効果を高めることができるからである。
【0083】
また、左側壁部5及び右側壁部6にはLED27を配置しないことが望ましい。これらの部位にLED27を配置しなくても、表示板62,67を均整度よく照明することは可能であり、その分LED27の数を減らして省エネルギー効果を高めることができるとともに、それらの部位を外照用電源部53等の機器の設置場所として利用でき、さらに、機器の影が表示板62,67に映らないように機器を設置できるからである。
【0084】
特に、実施形態では、周壁部3が、外面側の略五角形の筒状とした枠本体11を備え、枠本体11が、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部12と、本体壁部12の前後両縁に配置されて、標識本体2の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部13と、を設けて構成されてている。そして、光反射材21が、剛性を有した板状の基板22と基板22の内面に設けた光反射層23とから構成され、周壁部3の前後のチャンネル部13における内方へ突出した内面14a側を取付座14として、チャンネル部13に取り付けられている。さらに、複数のLED27がLED基板28,29,30に並設されて、各LED基板28,29,30が、光反射材21の内面側に、取り付けられている。そして、標識本体2に内蔵される道路標識用のLED27以外の複数の電気機器47、すなわち、受信機48、電源部49,53、ブレーカ50、端子台51が、それぞれ、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面48b,49b,50b,51b,53b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように配置させて、周壁部3に取り付けている。さらに、複数の電気機器47の内のいずれか、すなわち、受信機48や内照用電源部49が、内面48a,49a側を光反射材21L,21Dに設けた挿通孔21b,21cから突出させて、配置している。
【0085】
そのため、実施形態では、光反射材21(21T,21L,21R,21D)が、周壁部3の枠本体11における前後のチャンネル部13,13を取付座とし、周壁部3の最も内面側に取り付けられ、そして、その光反射材21の内面側にLED27が取り付けられることから、前後方向の投影状態で、周壁部3の枠本体11におけるチャンネル部13の影になることなく、各LED27が、前後の表示板62,67に均等光を照射できる。また、電気機器47も、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面48b,49b,50b,51b,53b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させるように(換言すれば、枠本体11のチャンネル部13間に嵌め込むように)配置させて、周壁部3の枠本体11に取り付けられており、前後方向の投影状態で、極力、電気機器47の影になることなく、各LED27が、前後の表示板62,67に均等光を照射できる。
【0086】
さらに、電気機器47の受信機48や電源部49が、周壁部3の枠本体11における本体壁部12からのチャンネル部13の高さ寸法より、高い寸法として、光反射材21L,21Dの配置エリアに配置されていても、光反射材21L,21Dの挿通孔21b,21cから突出させて配置させており、それらの挿通孔21b,21cの周縁の反射を利用して、極力、電気機器47の影になることなく、各LED27が、前後の表示板62,67に均等光を照射できる。その結果、このような構成では、LED27が、一層、前後の表示板62,67を、均整度良く照明できる。
【0087】
勿論、この場合でも、実施形態では、LED27の数を少なくできて消費電力量を削減できるように、LED27が、左側壁部5と右側壁部6とに配置されない構成として、既述したように、複数の電気機器47の内の少なくとも一つ、実施形態では、ブレーカ50、端子台51、及び、外照用電源部53,53が、左側壁部5と右側壁部6とに配置されている。しかし、これらの電気機器47としてのブレーカ50、端子台51、及び、外照用電源部53,53が、チャンネル部13の内面14aからの突出量を抑制するように、外面50b,51b,53b側を、チャンネル部13の内面14aより本体壁部12の内面12aに接近させて、換言すれば、枠本体11のチャンネル部13間に嵌め込むように、左側壁部5や右側壁部6に取り付けている。そのため、それらの電気機器47(ブレーカ50、端子台51、及び、外照用電源部53,53)が、チャンネル部13からの内方への突出量を少なくして、極力、表示板62,67に影を映さないことから、その結果、LED27が、安定して、前後の表示板62,67を、均整度良く照明できる。
【0088】
なお、電気機器47としての受信機48、内照用電源部48、ブレーカ50、端子台51、外照用電源部53等は、影が表示板62,67に映らない位置であれば、それらの配置は、実施形態の位置に限るものではない。
【0089】
また、実施形態では、人センサーからの信号を受けて、照明部76を点灯する受信機48を設けたものを示したが、勿論、受信機48を設けずに、夜間に、LED27とともに、照明部76を点灯させるように構成してもよい。さらに、照明部76を設けない構造としてもよく、その場合には、外照用電源部53も不要となる。さらにまた、人センサーからの信号を受けて、照明部76を点灯させ、かつ、点灯させていた各LED27を点滅させるように構成してもよい。
【0090】
【表1】
【符号の説明】
【0091】
1…道路標識、
2…標識本体、
3…周壁部、
4…下壁部、
4a…中央部、
5…左側壁部、
6…右側壁部、
7…左上壁部、
7a,8a…上端部、
8…右上壁部、
11…枠本体、
12…本体壁部、
12a…(本体壁部の)内面、
13…チャンネル部、
14a…(チャンネル部の)内面、
21…光反射材、
22…基板、
23…光反射層、
27…LED、
47…電気機器、
48a,49a,50a,51a,53a…(電気機器の)内面、
48b,49b,50b,51b,53b…(電気機器の)外面、
60…前壁部、
62,67…表示板、
65…後壁部、
70…自在継手手段、
76…照明部、
80…LED。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断歩道や自転車横断帯に用いられる横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識であって、
正面視において規格の1.5倍の寸法の五角形状に形成された筐体状の標識本体を備え、
前記標識本体は、
遮光性を有する材料で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部と、
前記周壁部の前方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた前壁部と、
前記周壁部の後方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた後壁部と、
を備え、
前記周壁部は、
略矩形板状の下壁部と、
前記下壁部の左右の側端部からそれぞれ前記下壁部に対して垂直に立ち上がる略矩形板状の左側壁部及び右側壁部と、
前記左側壁部の上端部及び右側壁部の上端部からそれぞれ斜め上方に互いに近付くように延設されて、上端部が互いに連結された略矩形板状の左上壁部及び右上壁部と、
を備え、
前記周壁部の内面には、略全周に亘って、光反射材が設けられ、
指向角が110〜130°の範囲内で高光束の複数のLEDを、前記周壁部の内面側に、前記周壁部の周方向に沿って、部分的に配置することにより、前記前壁部の前記表示板及び前記後壁部の前記表示板に均整光を照射可能に構成されたことを特徴とする横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項2】
前記各LEDは、光束が初期特性において20lm以上であることを特徴とする請求項1記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項3】
前記各LEDは、光束が初期特性において20〜25lmの範囲内であることを特徴とする請求項2記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項4】
少なくとも、前記左側壁部及び前記右側壁部には、前記LEDが配置されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項5】
少なくとも、前記左上壁部の上端部から前記左上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲、及び、前記右上壁部の上端部から前記右上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲には、前記LEDが配置されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項6】
前記LEDが、
前記下壁部の内面側には、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも18個、前記下壁部の中央部から左右対称的に、かつ、前記下壁部の短手方向における中央部に、前記下壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、
前記左上壁部の内面側には、前記上端部から前記左上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記左上壁部の短手方向における中央部に、前記左上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、
前記右上壁部の内面側には、前記上端部から前記右上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記右上壁部の短手方向における中央部に、前記右上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設された
ことを特徴とする請求項5に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項7】
前記下壁部における前記LEDの配置個数が18〜24個、前記左上壁部及び前記右上壁部における前記LEDの配置個数がそれぞれ9〜12個の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項8】
前記周壁部が、外面側の略五角形の筒状とした枠本体を備え、
該枠本体が、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部と、該本体壁部の前後両縁に配置されて、前記標識本体の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部と、を備えて構成され、
前記光反射材が、剛性を有した板状の基板と該基板の内面に設けた光反射層とから構成されて、前記周壁部の前後の前記チャンネル部における内方へ突出した内面を取付座として、前記チャンネル部に取り付けられ、
複数の前記LEDがLED基板に並設されて、該LED基板が、前記左上壁部、前記右上壁部、及び、前記下壁部に配置された前記光反射材の内面側に、それぞれ、取り付けられるとともに、
道路標識用の前記LED以外の複数の電気機器が、前記標識本体内に内蔵され、
前記電気機器が、それぞれ、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させるように配置させて、前記周壁部に取り付けられ、
複数の前記電気機器の内のいずれかが、内面側を前記光反射材に設けた挿通孔から突出させて、配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項9】
前記LEDが、前記左側壁部と前記右側壁部とに配置されない構成として、
複数の前記電気機器の内の少なくとも一つが、前記左側壁部若しくは前記右側壁部の少なくとも一方において、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させて、前記左側壁部若しくは前記右側壁部に取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項10】
前記下壁部に、全体を前記標識本体の下方に突出させるように、道路上を照らすための照明部が取着され、
前記照明部はLEDを光源とすることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項11】
前記照明部が、前記下壁部の下面側に配置された自在継手手段を介して、前記下壁部の下面側に取着されていることを特徴とする請求項10に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項1】
横断歩道や自転車横断帯に用いられる横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識であって、
正面視において規格の1.5倍の寸法の五角形状に形成された筐体状の標識本体を備え、
前記標識本体は、
遮光性を有する材料で形成された断面五角形状の筒形状の周壁部と、
前記周壁部の前方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた前壁部と、
前記周壁部の後方開口部を閉塞し、光透過性を有する五角形状の表示板を備えた後壁部と、
を備え、
前記周壁部は、
略矩形板状の下壁部と、
前記下壁部の左右の側端部からそれぞれ前記下壁部に対して垂直に立ち上がる略矩形板状の左側壁部及び右側壁部と、
前記左側壁部の上端部及び右側壁部の上端部からそれぞれ斜め上方に互いに近付くように延設されて、上端部が互いに連結された略矩形板状の左上壁部及び右上壁部と、
を備え、
前記周壁部の内面には、略全周に亘って、光反射材が設けられ、
指向角が110〜130°の範囲内で高光束の複数のLEDを、前記周壁部の内面側に、前記周壁部の周方向に沿って、部分的に配置することにより、前記前壁部の前記表示板及び前記後壁部の前記表示板に均整光を照射可能に構成されたことを特徴とする横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項2】
前記各LEDは、光束が初期特性において20lm以上であることを特徴とする請求項1記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項3】
前記各LEDは、光束が初期特性において20〜25lmの範囲内であることを特徴とする請求項2記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項4】
少なくとも、前記左側壁部及び前記右側壁部には、前記LEDが配置されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項5】
少なくとも、前記左上壁部の上端部から前記左上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲、及び、前記右上壁部の上端部から前記右上壁部に沿って200mm下がった位置までの範囲には、前記LEDが配置されていないことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項6】
前記LEDが、
前記下壁部の内面側には、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも18個、前記下壁部の中央部から左右対称的に、かつ、前記下壁部の短手方向における中央部に、前記下壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、
前記左上壁部の内面側には、前記上端部から前記左上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記左上壁部の短手方向における中央部に、前記左上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設され、
前記右上壁部の内面側には、前記上端部から前記右上壁部に沿って200〜320mmの範囲内の所定距離下がった位置から、隣り合う前記LEDの中心同士の間隔を30〜40mmの範囲内の所定間隔として、少なくとも9個、前記右上壁部の短手方向における中央部に、前記右上壁部の長手方向に沿って直線的に、並設された
ことを特徴とする請求項5に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項7】
前記下壁部における前記LEDの配置個数が18〜24個、前記左上壁部及び前記右上壁部における前記LEDの配置個数がそれぞれ9〜12個の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項8】
前記周壁部が、外面側の略五角形の筒状とした枠本体を備え、
該枠本体が、前後方向に沿って板状に形成される本体壁部と、該本体壁部の前後両縁に配置されて、前記標識本体の内方へ突出する断面逆U字状のチャンネル部と、を備えて構成され、
前記光反射材が、剛性を有した板状の基板と該基板の内面に設けた光反射層とから構成されて、前記周壁部の前後の前記チャンネル部における内方へ突出した内面を取付座として、前記チャンネル部に取り付けられ、
複数の前記LEDがLED基板に並設されて、該LED基板が、前記左上壁部、前記右上壁部、及び、前記下壁部に配置された前記光反射材の内面側に、それぞれ、取り付けられるとともに、
道路標識用の前記LED以外の複数の電気機器が、前記標識本体内に内蔵され、
前記電気機器が、それぞれ、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を、前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させるように配置させて、前記周壁部に取り付けられ、
複数の前記電気機器の内のいずれかが、内面側を前記光反射材に設けた挿通孔から突出させて、配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項9】
前記LEDが、前記左側壁部と前記右側壁部とに配置されない構成として、
複数の前記電気機器の内の少なくとも一つが、前記左側壁部若しくは前記右側壁部の少なくとも一方において、前記チャンネル部の内面からの突出量を抑制するように、外面側を前記チャンネル部の内面より前記本体壁部の内面に接近させて、前記左側壁部若しくは前記右側壁部に取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項10】
前記下壁部に、全体を前記標識本体の下方に突出させるように、道路上を照らすための照明部が取着され、
前記照明部はLEDを光源とすることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【請求項11】
前記照明部が、前記下壁部の下面側に配置された自在継手手段を介して、前記下壁部の下面側に取着されていることを特徴とする請求項10に記載の横断歩道・自転車横断帯用LED内照式道路標識。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−226247(P2011−226247A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292738(P2010−292738)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】
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