説明

横方向スライド式車両座席

調節可能車両座席構造は、車両フレームに連結された複数のストライカと、インボード車両座席と、アウトボード車両座席とを含む。少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカは、アウトボード座席後部ストライカを少なくとも2つの横方向に離間した係止区分に分割する係止区分仕切り部を含む。アウトボード車両座席は、アウトボード座席後部ストライカと協働するアウトボード座席後部ラッチと、アウトボード座席前部ストライカと協働するアウトボード座席前部ラッチとを含む。アウトボード座席は、インボード座席と概して横方向に整列しまたそれから横方向にオフセットしている。アウトボード座席は横方向に調節可能であり、アウトボード座席後部ラッチは、少なくとも2つの横方向に離間した係止区分の各々でアウトボード座席後部ストライカに係合するように構成されている。また、車両座席を横方向に調節する方法および車両座席アセンブリも開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
本開示は概して、ワゴン車、ミニバン、SUV車などの大きめの車両に見られる車両座席に関する。これらの大きめの車両は、運転者が位置する第1列座席、第1列の後ろの第2列座席、第2列の後ろの第3列座席、の3列の車両座席を含むことができる。第3列座席への進入およびそこからの退出は困難であり得る。中列座席とも呼ぶ第2列は、2つのアウトボード座席を含み、これらのアウトボード座席は、乗員が第3列座席へアクセスするのを可能とするように回動するか前方へ転倒する。しかしながら、各アウトボード座席の最外縁部は、車両の側枠ピラーの近辺に配置されている。従って、第3列座席への進入およびそこからの退出のための空間は依然限られている。
【0002】
第2列座席のアウトボード座席の幅を減少することによって進入・退出のための空間をより多く確保することが可能である。しかしながら、これにより、チャイルドシートと一般に呼ばれる子供用拘束装置に問題が生じる可能性がある。これらの公知のチャイルドシートは通常車両座席上に載置され、そこに係止される。これらの第2列の座席にチャイルドシートを支持するための最低限の幅が望まれるため、アウトボード座席の幅を減少することは実用的ではないかもしれない。
【簡単な説明】
【0003】
前記欠点を克服可能である調節可能な車両座席構造は、車両フレームに連結された複数のストライカ、インボード車両座席、およびアウトボード車両座席を含む。これら複数のストライカは、アウトボード座席前部ストライカと少なくとも2つのアウトボード座席後部ストライカとを含む。アウトボード座席後部ストライカのうち少なくとも1つは、この少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカを少なくとも2つの横方向に離間した係止区分に分割する係止区分仕切り部を含む。インボード車両座席は車両フレームに取り付けられる。アウトボード車両座席は、それぞれのアウトボード座席後部ストライカと協働する少なくとも2つのアウトボード座席後部ラッチと、アウトボード座席前部ストライカと協働するアウトボード座席前部ラッチとを含む。アウトボード座席は、インボード座席に対して概して横方向に整列しておりまた横方向にオフセットしている。アウトボード座席は横方向に調節可能であって、アウトボード座席後部ラッチのうち少なくとも1つが、前記少なくとも2つの横方向に離間した係止区分の各々で前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカと係合するように構成されている。
【0004】
車両座席を横方向に調節する方法は、車両座席の後部ラッチと後部ストライカとの係合を解除すること、後部ストライカから離間するように車両座席を回動すること、後部ラッチと後部ストライカとの係合が解除されている間に車両座席を横方向に移動すること、および後部ラッチを後部ストライカに係合することを含む。この方法は、車両座席の後部ラッチと、車両フレームに連結した後部ストライカとの係合を解除することを含むことができる。この方法は更に、車両座席の前部ラッチが車両フレームに連結した前部ストライカに係合している間に、後部ストライカから離間するように車両座席を回動することを含むことができる。この方法は更に、後部ラッチと後部ストライカとの係合を解除しそして後部ラッチが離間するように回動され、前部ラッチが前部ストライカに係合している間に、車両座席を横方向に移動することを含むことができる。
【0005】
車両座席アセンブリは、車両座席と、後部ストライカと、前部ストライカとを含む。車両座席は、第1横方向位置と、第1横方向位置から横方向にオフセットした第2横方向位置とに作動可能である。車両座席は、座席を車両フレームに固定するための後部ラッチと前部ラッチとを含む。後部ストライカは、車両座席を車両フレームに固定するための後部ラッチと協働する。後部ストライカは、概して円筒形状の水平区分と、水平区分を第1係止区分と第2係止区分とに分割する略環状係止区分仕切り部とを含む。後部ラッチは車両座席が第1横方向位置にあるときに第1係止区分に係合し、後部ラッチは車両座席が第2横方向位置にあるときに第2係止区分に係合する。前部ストライカは、車両座席を車両フレームに固定するために前部ラッチと協働する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1は車両用の中列座席構造の斜視図である。
【0007】
図2は車両用の中列ストライカ構造の斜視図である。
【0008】
図3は図2に示す中列ストライカ構造の右外側ストライカ構造の拡大斜視図である。
【0009】
図4は図1に示す中列座席構造の右側座席の下部分と図3に示す右外側ストライカ構造の一部分の斜視図である。
【0010】
図5は図1に示す右側座席の部品と図2に示すストライカ構造の部分の斜視図である。
【0011】
図6は図1に示す右側座席と図3に示す右外側ストライカ構造の側面図である。
【0012】
図7は図1に示す右側座席の内部部品と図3に示す右外側ストライカ構造の斜視図である。
【0013】
図8は後部ストライカに係合する、図1に示す右側座席のための後部ラッチの側面図である。
【詳細な説明】
【0014】
図1を参照して、車両用の中列座席構造10は、インボード(センター)車両座席12と、例示の実施態様では右側座席14および左側座席16を含むアウトボード車両座席とを含むよう示されている。例えば、中列座席構造は、ワゴン車、ミニバン、またはSUVにおける第2列座席であることができる。各アウトボード座席14,16は、インボード座席12と概して横方向に整列、つまり同列にあり、またインボード座席12から横方向にオフセットしている。例示の実施態様では、中央座席とも言及することができるインボード座席12は、座席ベース部20と座席背後部22とを含む。右側座席14も座席ベース部24と座席背後部26とを含む。左側座席16も座席ベース部28と座席背後部32とを含む。各座席背後部22,26,32は、それぞれのベース部20,24,28に対して従来の方法で回動可能である。
【0015】
図2を参照して、中列ストライカ構造40が示される。中列ストライカ構造40は、車両フレーム(図示せず)に連結されて車両床部42上に配置される複数のU型形状のストライカを含む。例示の実施態様の各ストライカは、円形断面を有する金属棒材から形成される。所望により、詳細を後述する後部ストライカの少なくともいくつかは、他の場所で車両フレームに取り付けることができる。中列ストライカ構造40は、例示の実施態様ではインボード座席右側後部ストライカ44とインボード座席左側後部ストライカ46とを含むインボード座席後部ストライカを含む。また、図示の中列ストライカ構造40は、例示の実施態様ではインボード座席右側前部ストライカ48とインボード座席左側前部ストライカ52とを含むインボード座席前部ストライカを含む。
【0016】
また、中列ストライカ構造40を構成する複数のストライカは、例示の実施態様では右側座席外側後部ストライカ60と、右側座席内側後部ストライカ62と、左側座席外側後部ストライカ64と、左側座席内側後部ストライカ66とを含むアウトボード座席後部ストライカを含む。また、例示の実施態様で中列ストライカ構造40を構成する複数のストライカは、例示の実施態様では右側座席外側前部ストライカ70と、右側座席内側前部ストライカ72と、左側座席外側前部ストライカ74と、左側座席内側前部ストライカ76とを含むアウトボード座席前部ストライカを含む。
【0017】
図2を引き続き参照して、車両座席構造はまた、外右側ガーニッシュ80と、内右側後部ガーニッシュ82と、内右側前部ガーニッシュ84と、内左側後部ガーニッシュ86と、内左側前部ガーニッシュ88と、外左側ガーニッシュ90とを含む中列ガーニッシュ構造を含む。例示の実施態様のガーニッシュ80,82,84,86,88,90はプラスチック製であり、従来の方法で車両床部42に取り付けられる。右側座席外側後部ストライカ60および右側座席外側前部ストライカ70はそれぞれ外右側ガーニッシュ80にある開口部を貫通する。インボード座席右側後部ストライカ44および右側座席内側後部ストライカ62はそれぞれ内右側後部ガーニッシュ82にある開口部を貫通する。インボード座席右側前部ストライカ48および右側座席内側前部ストライカ72は内右側前部ガーニッシュ84にある開口部を貫通する。インボード座席右後部ストライカ46および左側座席内側後部ストライカ66はそれぞれ内左側後部ガーニッシュ86にある開口部を貫通する。インボード座席左前部ストライカ52および左側座席内側前部ストライカ76はそれぞれ内右側前部ガーニッシュ88にある開口部を貫通する。左側座席外側後部ストライカ64および左側座席外側前部ストライカ74はそれぞれ外左側ガーニッシュ90にある開口部を貫通する。外右側ガーニッシュ80は外左側ガーニッシュ90の鏡像であってもよい。内右側後部ガーニッシュ82は内左側後部ガーニッシュ86の鏡像であってもよい。内右側前部ガーニッシュ84は内左側前部ガーニッシュ88の鏡像であってもよい。
【0018】
複数の概してU型形状のストライカ44,46,48,52,60,62,64,66,70,72,74,76は、少なくとも2つのアウトボード座席後部ストライカ、例えばストライカ60,62,64,66、および少なくとも2つのアウトボード座席前部ストライカ、例えばストライカ70,72,74,76を含む。例示の実施態様では、アウトボード座席後部ストライカの少なくとも1つ、例えばストライカ60,64が、それぞれ少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカを、詳細を後述する少なくとも2つの横方向に離間した係止区分に分割する係止区分仕切り部100,98を含む。
【0019】
次に、車両床部42(従って、車両床部に連結される車両フレーム)に連結する右側座席14の部品を示す図3〜図5を参照する。左側座席16も同様に連結されるので、左側座席が同様の構成となることを理解した上で、図3〜図5に示す部品を詳細に説明する。
【0020】
図3により明らかに示されるように、前記アウトボード座席後部ストライカの1つである右側座席外側後部ストライカ60は、右側座席外側後部ストライカを、例示の実施態様では第1(内側)係止区分102と第2(外側)係止区分104である、少なくとも2つの横方向に離間した係止区分に分割する係止区分仕切り部100を含む。上述したように、各ストライカは概してU型形状であり、図3に示すように右側座席外側後部ストライカ60は、係止区分102,104を含む概して円筒形状の水平区分106を含む。右側座席外側後部ストライカ60はまた、車両フレームに固定、例えば溶接することができる概して垂直方向に配向した区分108,110を含む。
【0021】
例示の実施態様では、係止区分仕切り部100は環状隆起部である。環状隆起部100は、概して円筒形状の水平区分106を囲繞し、外側垂直区分108と内側垂直区分110の間の横方向中心部に配設される。他の実施態様では、係止区分仕切り部98,100はそれぞれの水平区分上のいかなる場所にも配置可能であり、また、係止区分仕切り部は、水平区分を完全に囲繞する環状隆起部でなくてもよく、概して水平区分から延出する突出部などの他の構造とすることが可能である。
【0022】
図3を再び参照して、外右側ガーニッシュ80は、右側座席外側後部ストライカ60と右側座席外側前部ストライカ70とを収納する窪み部120を画成する。窪み部120は、右側座席14の横方向調節を許容する横方向寸法を有する。この横方向調節の詳細は後述する。また、外右側ガーニッシュ80は、中列座席構造10(図1)を搭載した車両の進行方向と概して平行である長手方向で係止区分仕切り部100と整列する位置決め壁部122を含む。例示の実施態様では、位置決め壁部122は、窪み部120内部で後部ストライカ60と前部ストライカ70との間に配設される。例示の実施態様ではまた、横方向に測定される位置決め壁部122の幅は、横(軸)方向に測定される係止区分仕切り部100の幅と略等しい。位置決め壁部120は右側座席14と協働して、詳細を後述する方法で横方向に右側座席を位置決めする。
【0023】
再び図1を参照して、中央車両座席12は、インボード(センター)車両座席12を車両フレーム(図示せず)に搭載可能とする従来の方法でストライカ44,46,48,52(図2)に取り付けられる。中央座席12は、中央座席前部ストライカ48,52(図2)と協働する前部ラッチ(図示せず)と、中央座席後部ラッチ44,46(図2)と協働する後部ラッチ(図示せず)とを備える。中央座席後部ラッチ(図示せず)は、従来の方法で中央座席12が中央座席前部ストライカ48,50により概して規定された軸の周りを回動するように、中央座席後部ストライカ44,46から取外し可能である。
【0024】
上述したようにアウトボード車両座席とも言及される右側座席14は、それぞれのアウトボード座席後部ストライカとそれぞれ協働する少なくとも2つのアウトボード座席後部ラッチと、それぞれのアウトボード座席前部ストライカとそれぞれ協働する少なくとも2つのアウトボード座席前部ラッチとを含む。右側座席ラッチを図4〜図7を参照して説明する。左側座席16も、同様に作動するラッチ(図に示さない)を含む。右側座席ラッチの詳細を説明するが、左側座席ラッチも同様に作動することを理解されたい。
【0025】
図5を参照して、例示の実施態様では、右側座席外側後部ラッチ150は右側座席外側後部ストライカ60と協働し、右側座席内側後部ラッチ152は右側座席内側後部ストライカ62と協働する。また、右側座席外側前部ラッチ154は右側座席外側前部ストライカ70と協働し、右側座席内側前部ラッチ156は右側座席内側前部ストライカ72と協働する。例示の実施態様では、後部ラッチ150,152は、後部ラッチとそれぞれの後部ストライカ60,62との係合を解除することを可能とする、詳細を後述する移動可能部品を含む。後部ラッチ150,152と後部ストライカ60,62との係合を解除するとき、前部ラッチ152,156は前部ストライカ70,72と係合したままである。これは、前部ラッチ70,72が、右側座席14の部品を構成するライザ160、162にそれぞれ固定されているからである。
【0026】
図6を参照して、右側座席14(左側座席16も同様に)は、右側座席前部ストライカ70,72(図5)により概して規定された軸Hの周りに回動可能である。公知の横方向に調節可能な座席と違って、右側座席14は、ラッチのセットの1つだけによって横方向に調節可能であり、より詳しくは、後部ラッチ150,152がそれぞれのストライカとの係合を解除される。従って、右側座席後部ラッチ150,152がそれぞれの後部ストライカ60,62との係合を解除され、右側座席前部ラッチ154,156がそれぞれの前部ストライカ70,72と係合しているときは、右側座席14は前部ストライカ70,72により概して規定された軸Hの周りに回動可能であり、このとき車両は、軸Hと概して平行であって長手方向に直交する横方向に移動可能となる。
【0027】
右側座席後部ラッチ150は、第1作動位置、第2作動位置、および第3作動位置に作動可能である。第1作動位置(図4参照)では、右側座席外側後部ラッチ150は第1係止区分102で右側座席外側後部ストライカ60と係合する。第2作動位置では、右側座席外側後部ラッチ150は、第2区分104(図5参照)で右側座席後部ストライカ60と係合する。第3作動位置(図6)では、右側座席外側後部ラッチ150は、右側座席外側後部ストライカ60との係合を解除する。右側座席外側後部ラッチが第1作動位置(図4に示す)にあるとき、係止区分仕切り部100は右側座席外側後部ラッチ150に接触して、右側座席外側後部ラッチが第1係止区分102から第2係止区分104側へ横方向に移動するのを阻止することができる。同様に、右側座席外側後部ラッチが第2作動位置にあるとき、係止区分仕切り部100は右側座席外側後部ラッチ150に接触して、右側座席外側後部ラッチが第2係止区分104から第1係止区分102側へ横方向に移動するのを阻止することができる。
【0028】
図7を参照して、右側座席外側後部ラッチ150の作動をより詳細に説明する。上述したように、例示の実施態様では他のアウトボード座席である左側座席16は、ほとんど同様に作動する外側後部ラッチを含む。右側座席外側後部ラッチ150は外側ライザ160に搭載され、右側座席外側後部ラッチに連動・連結されるレバーアーム部170により作動される。図7に示す右側座席14は、ライザ160と、ライザ160に連結されたトラック172(各アウトボード座席に2つのトラックが設けられる)と、トラックに取り付けられたクッションフレーム部174とを含む。クッションフレーム部174およびトラック172は、車両フレームに対して右側座席14の長手方向の調節を可能とするように協働する。レバーアーム部170は、例示の実施態様ではブラケット176および垂直に整列したピンまたは心棒178によりクッションフレーム部174に取り付けられる。ブラケット176はクッションフレーム部174に固定され、レバーアーム部170がピンにより規定される垂直軸の周りに回動することを可能とするようにピン178がブラケットに連結される。例示の実施態様では、2つのケーブル、すなわち第1の鞘182で被覆された第1ケーブル180および第2の鞘186で被覆された第2ケーブル184が、一端でレバーアーム部170に連結され、他端でそれぞれの後部ラッチ150、152(図5も参照)に連結される。引き続き図7を参照して、右側座席外側後部ラッチ150はブラケット188を使用してライザ160に連結される。右側座席外側前部ラッチ154は、座席が横方向に移動または回動するとき右側座席内側前部ラッチ154がライザ172と一緒に(右側座席14の残部と一緒に)移動するように、留め具190,192によりライザ160に固定される。
【0029】
図8を参照して、残りのアウトボード座席後部ラッチと同様に構成された右側座席外側後部ラッチ150は、カム体部202と協働するフック体部200を含む。フック体部200は円筒状留め具204を使用してライザ160に取り付けられ、カム体部202も円筒状留め具206を使用してライザ160に取り付けられる。円筒状留め具204,206は従来のボルトおよび/またはリベットでもよい。これらの留め具204,206は、フック体部200およびカム体部206がそれぞれ各円筒状留め具の中心にある水平軸の周りに回転することを許容するように構成されている。
【0030】
フック体部200は、少なくとも2つの横方向に離間した係止区分、例えば第1係止区分102および第2係止区分104(図4参照)のそれぞれで右側座席外側後部ストライカ60と係合するフック機能部210を含む。フック体部200はまた付属部212を含む。付属部212には、第1バネ開口部214が形成される。フック体部200はまた、カム体部202に対して作用するカム表面216を含む。
【0031】
カム体部202はフック体部200のカム表面216に対して乗りあがるカム表面218を含む。カム体部202はまた第2バネ開口部222およびケーブル開口部224を含む。引張バネ230が、一端でフック体部200に形成された第1バネ開口部214およびカム体部202に形成された第2バネ開口部222に連結される。
【0032】
図8は、右側座席外側後部ラッチ150、より具体的には右側座席外側後部ストライカ60に係合するフック体部200のフック機能部210を示す。右側座席外側後部ラッチ150、つまりフック機能部210を右側座席外側後部ストライカ60との係合から解除するために、操作者はレバーアーム部170を、ピン178により規定された垂直軸の周りに回転するよう引っ張る。これにより、ケーブル180が右方向に移動し(図8に示す配置において)、その結果カム体部202が時計回りに回転する(図8に示す配置において)。カム体部202のカム表面218は、フック体部200のカム表面216に乗り上げ、カム体部202のカム表面218がフック体部200およびカム表面216に係合しなくなるまでフック体部200を反時計回りに回転する。従って、引張バネ230はフック体部202を付属部212でカム体部202側へ引っ張り、その結果フック体部200が円筒状留め具204の中心に規定された水平軸の周りを時計回りに回動することになる(図8に示す配置において)。この位置では、フック機能部218は右側座席外側後部ストライカ60ともはや係合していない。従って、右側座席外側後部ストライカ60から離間するように図6に示す位置へ右側座席14を回動することが可能となる。
【0033】
右側座席14が右側座席外側後部ストライカ60から離間するように回動されたことで、係止区分仕切り部100は右側座席外側後部ストライカともはや係合していない。これにより、右側座席14を、車両床部42(および車両フレーム)に対して横方向に移動することが可能となる。右側座席14は横方向内側に押すことができ、車両の第3列座席への進入およびそこからの退出のためのアクセス空間を増加できる。あるいは、右側座席14は横方向外側に引っ張ることができ、中央座席12と右側座席14との間の幅を増加し、中央座席にチャイルドシートを取り付けやすくできる。
【0034】
車両座席を横方向に調節する方法は、車両座席、例えば右側車両座席14および左側車両座席16の、後部ラッチ、例えば後部ラッチ150,152と、車両フレームに連結された後部ストライカ、例えば後部ストライカ60,62,64,66との係合を解除することを含むことができる。この方法は更に、車両座席の前部ラッチ、例えば前部ラッチ154,156が、車両フレームに連結された前部ストライカ、例えば前部ストライカ70,72に係合している間に、車両座席を後部ストライカから離間するように回動することを含むことができる。この方法は更に、後部ラッチが後部ストライカとの係合を解除し、後部ラッチが後部ストライカから離間するように回動し(すなわち、後部ラッチが後部ストライカにもはや接触していない)、かつ前部ラッチが前部ストライカと係合している間に、車両座席を横方向に移動することを含むことができる。この方法は更に、後部ラッチを後部ストライカに係合することを含むことができる。図6により明らかに示されるように、この方法は更に、後部ラッチ150が後部ストライカ60上の突出部、例えば環状係止区分仕切り部100を越えるように、車両座席14を回動することを含むことができる。
【0035】
図2を再び参照して、車両座席構造はまた、外右側ガーニッシュ80と、内右側後部ガーニッシュ82と、内右側前部ガーニッシュ84と、内左側後部ガーニッシュ86と、内左側前部ガーニッシュ88と、外左側ガーニッシュ90とを含む中列ガーニッシュ構造40を含む。上述したように、外右側ガーニッシュ80は右側座席外側後部ストライカ60および右側座席外側前部ストライカ70が収納される窪み部120を画成し、この窪み部120は右側座席14の横方向調節を可能とする横方向寸法を有する。内右側後部ガーニッシュ82はまた、内側窪み部240および外側窪み部242を画成する。インボード座席右側後部ストライカ44が内側窪み部240に収納され、右側座席内側後部ストライカ62が外側窪み部242に収納される。また、内右側前部ガーニッシュ84は内側窪み部244および外側窪み部246を画成する。インボード座席右側前部ストライカ48が内側窪み部244に収納され、右側座席内側前部ストライカ72が外側窪み部246に収納される。また、内左側後部ガーニッシュ86は内側窪み部248および外側窪み部252を画成する。インボード座席右後部ストライカ46が内側窪み部248に収納され、左側座席内側後部ストライカ66が外側窪み部252に収納される。また、内右側前部ガーニッシュ88は内側窪み部254および外側窪み部256を画成する。インボード座席左前部ストライカ52が内側窪み部254に収納され、左側座席内側前部ストライカ76が外側窪み部256に収納される。また、外左側ガーニッシュ90は窪み部258を画成する。左側座席外側後部ストライカ64および左側座席外側前部ストライカ74が窪み部258に収納される。
【0036】
アウトボード座席14,16用ストライカをそれぞれ収納する窪み部120,242,246,252,256,258は、アウトボード座席の横方向調節を可能とする横方向寸法を有する。従って、窪み部120,242,246,252,256,258の横方向寸法は、インボード座席12用ストライカをそれぞれ収納する窪み部240,244,248,254よりも大きい。アウトボード座席ストライカ60,62,64,66,60,72,74,76を収納する窪み部120,242,246,252,256,258の横方向寸法は、インボード(センター)座席ストライカ44,46,48,52を収納する窪み部240,244,248,254の横方向寸法の少なくとも約2倍であってもよい。
【0037】
図2を引き続き参照して、概してU型形状の中央座席ストライカ44,46,48,52の横方向寸法は、アウトボード座席ストライカ60,62,64,66,60,72,74,76よりも小さい。より具体的には、アウトボード座席後部ストライカの横方向寸法は、インボード座席後部ストライカの横方向寸法の少なくとも約2倍であってもよい。上述したように、アウトボード座席14,16は横方向に調節可能である。しかしながら、例示の実施態様では、インボード(センター)座席12は横方向に調節可能ではない。従って、アウトボード座席14,16用のラッチは、少なくとも2つの係止位置、例えば図3に示す係止区分102,104で、それぞれアウトボード座席ストライカ,60,62,64,66,60,72,74,76に係合する。中央座席は横方向に固定されているので、中央座席ストライカ44,46,48,52の横方向寸法は小さくてもよい。
【0038】
図4を再び参照して、右側座席14は、外右側ガーニッシュ80上の位置決め壁部122と協働する位置決め機能部270を含んでもよい。位置決め機能部270は、外側ライザ160の一部でもよい(図7参照)。右側座席後部ラッチ150が第1作動位置にあるときは、図4に示すように、位置決め機能部270は、右側座席14が外側へ移動するのを阻止するように位置決め壁部122に係合可能である。右側座席後部ラッチ150が図5に示す第2作動位置にあるときは、位置決め機能部270は、右側座席14が内側へ移動するのを阻止するように位置決め壁部122に係合可能である。左側座席も同様な位置決め機能部を含むことができる。
【0039】
横方向に調節可能な車両座席を詳細に説明した。上記の詳細な説明を読んで理解した上で、変更・置換することがあろう。例えば、前記係止区分仕切り部は、外側後部ラッチではなく内側後部ラッチに配置されることが可能であり、前記アウトボード座席用後部ラッチはストライカが車両ピラーに連結されるハイラッチ構造のストライカに連結することが可能である。本発明は上記の実施態様に限定されるものではない。本発明は、添付の請求項およびその均等物により広く定義されるものである。
【0040】
上記に開示または他の様々な特徴・機能またはその代替・変更は、他の多くの異なるシステムや用途と好適に組み合わせることができることを理解されたい。また、当業者によって引き続き行われるであろう現在予期または予測不能な様々な代替、置換、変更、改良も、下記の請求項の範囲に含まれることを意図するものであることも理解されたい。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウトボード座席前部ストライカおよび少なくとも2つのアウトボード座席後部ストライカを含む、車両フレームに連結された複数のストライカであって、前記アウトボード座席後部ストライカのうちの少なくとも1つが、該少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカを少なくとも2つの横方向に離間した係止区分に分割する係止区分仕切り部を含む、複数のストライカと;
車両フレームに取り付けたインボード車両座席と;
各々のアウトボード座席後部ストライカとそれぞれ協働する少なくとも2つのアウトボード座席後部ラッチと、前記アウトボード座席前部ストライカと協働するアウトボード座席前部ラッチとを含むアウトボード車両座席であって、該アウトボード座席が前記インボード座席に対して概して横方向に整列しまた横方向にオフセットしており、前記アウトボード座席が横方向に調節可能であって、前記アウトボード座席後部ラッチの少なくとも1つが、前記少なくとも2つの横方向に離間した係止区分の各々で前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカと係合するように構成されている、アウトボード車両座席と
を備える、車両座席構造。
【請求項2】
前記アウトボード座席後部ラッチが各々のアウトボード座席後部ストライカとの係合を解除し、前記アウトボード座席前部ラッチが各々のアウトボード座席前部ストライカと係合しているときは、前記車両座席は前記アウトボード座席前部ストライカにより概して規定される軸の周りに回動可能であり、前記車両座席は横方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両座席構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチが第1作動位置、第2作動位置、および第3作動位置に作動可能であり、前記第1作動位置では前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチが前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカに前記少なくとも2つの係止区分のうち第1係止区分で係合し、前記第2作動位置では前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチが前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカに前記少なくとも2つの係止区分のうち第2区分で係合し、前記第3作動位置では前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチが前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカとの係合を解除することを特徴とする請求項1に記載の車両座席構造。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチが第1作動位置にあるときは、前記係止区分仕切り部が前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチに接触して前記第1係止区分から前記第2係止区分側へ前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ラッチが横方向移動することを阻止することを特徴とする請求項3に記載の車両座席構造。
【請求項5】
前記アウトボード座席ストライカに隣接するガーニッシュを更に備え、該ガーニッシュが、前記係止区分仕切り部と長手方向に整列しアウトボード座席と協働して横方向に車両座席を位置決めする位置決め壁部を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両座席構造。
【請求項6】
前記位置決め壁部が前記アウトボード座席後部ストライカと前記アウトボード座席前部ストライカとの間に配設されることを特徴とする請求項5に記載の車両座席構造。
【請求項7】
前記アウトボード座席が、前記位置決め壁部と選択的に協働する位置決め機能部を含むことを特徴とする請求項5に記載の車両座席構造。
【請求項8】
前記係止区分仕切り部が環状隆起部であることを特徴とする請求項1に記載の車両座席構造。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアウトボード座席後部ストライカが円形断面を有する概してU型形状であり、前記係止区分仕切り部が前記円形断面の円周を囲繞することを特徴とする請求項8に記載の車両座席構造。
【請求項10】
前記アウトボード座席が左側中列座席と右側中列座席とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両座席構造。
【請求項11】
前記インボード座席が前記左側中列座席と前記右側中列座席との間に横方向に配設されることを特徴とする請求項10に記載の車両座席構造。
【請求項12】
前記インボード座席を前記車両フレームに取り付けるためのインボード座席後部ストライカを更に備え、該インボード座席後部ストライカの横方向寸法が前記アウトボード座席後部ストライカよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両座席構造。
【請求項13】
前記アウトボード座席後部ストライカの横方向寸法が前記インボード座席後部ストライカの横方向寸法の少なくとも約2倍であることを特徴とする請求項12に記載の車両座席構造。
【請求項14】
車両フレームに連結された後部ストライカと車両座席の後部ラッチとの係合を解除すること;
前記車両座席の前部ラッチが前記車両フレームに連結された前部ストライカに係合している間に、前記車両座席を前記後部ストライカから離間するように回動すること;
前記後部ラッチが前記後部ストライカとの係合を解除して離間するように回動され、前記前部ラッチが前記前部ストライカと係合している間に、前記車両座席を横方向に移動すること;
前記後部ラッチを前記後部ストライカに係合すること
を備える車両座席を横方向に調節する方法。
【請求項15】
前記車両座席を回動することが、前記後部ラッチが前記後部ストライカ上の突出部を越えるように前記車両座席を回動することを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
車両フレームに固定するための後部ラッチと前部ラッチとを含み、第1横方向位置と、該第1横方向位置から横方向にオフセットした第2横方向位置とに作動可能である車両座席と;
概して円筒形状の水平区分と該水平区分を第1係止区分と第2係止区分とに分割する略環状の係止区分仕切り部とを含み、前記車両座席を前記車両フレームに固定するための前記後部ラッチと協働する後部ストライカであって、前記車両座席が前記第1横方向位置にあるときには前記後部ラッチが前記第1係止区分に係合し、前記車両座席が前記第2横方向位置にあるときには前記後部ラッチが前記第2係止区分に係合する後部ストライカと;
前記車両座席を前記車両フレームに固定するための、前記前部ラッチと協働する前部ストライカと
を含む車両座席アセンブリ。
【請求項17】
前記係止区分仕切り部が前記水平区分の円周全部を囲繞することを特徴とする請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記前部ラッチが前記車両座席に固定され、該座席と一緒に移動することを特徴とする請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項19】
各ストライカが概してU型形状であることを特徴とする請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記後部ストライカが、内側後部ストライカと、該内側後部ストライカから横方向に離間した外側後部ストライカとを含み、前記後部ラッチが、内側後部ラッチと外側後部ラッチとを含み、前記内側後部ラッチが前記内側後部ストライカに係止し、前記外側後部ラッチが前記外側後部ストライカに係止することを特徴とする請求項19に記載のアセンブリ。


【公表番号】特表2013−512135(P2013−512135A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539950(P2012−539950)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056332
【国際公開番号】WO2011/066112
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】