説明

横柄エンボス用エンボス版および横柄エンボス化粧シート

【課題】エア噛みなどの問題が発生することなく、シート状物に効率的に横柄エンボスを施すことが可能な横柄エンボス用エンボス版を提供すること。
【解決手段】エンボスロールの回転方向に対して略垂直方向に連続した横柄エンボス部を有する横柄エンボス用エンボス版であって、前記横柄エンボス部の回転方向に、スリットの幅が40〜100μm、スリットとスリットの間隔が20〜500μm、スリットの深さがエンボスの高さの20%以上のスリットを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物の表面にエンボスを施すために用いるエンボス版であって、特には横柄エンボス、すなわちシート状物の長手方向と略垂直方向に連続した横柄のエンボスを設けるための、横柄エンボス用エンボス版に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート状物の表面に凹凸模様を設ける方法のひとつとして、エンボスロールによるエンボス付与がある。エンボスの再現性と生産性向上のために、シート状物として熱可塑性樹脂を溶融押出して他のシートなどとラミネートし、同時あるいはその直後にエンボスロールによるエンボス付与を行う方法が好適に用いられている。
【0003】
エンボスを設ける方向としては、エンボスロールの回転方向に沿って略平行方向に垂直に連続した溝状に複数設けるのが、製造工程上好適であり、木目導管柄などで多く用いられている。ただし、格子状の溝などの場合、エンボスロールの回転方向に対して略垂直方向に連続した横柄エンボスが必要になってくる。
【0004】
しかしながら、エンボスロールを含む製造ラインの速度が50〜80m/分と速くなるにつれて、横柄エンボスの流れ方向の手前側の土手の部分にエア(空気)が溜り、エンボスが欠けたり白く見えたりする、通称「エア噛み」という現象が発生するという問題点があった。
【特許文献1】特開2005−335336号公報
【特許文献2】特許第3185590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、エア噛みなどの問題が発生することなく、シート状物に効率的に横柄エンボスを施すことが可能な横柄エンボス用エンボス版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、エンボスロールの回転方向に対して略垂直方向に連続した横柄エンボス部を有する横柄エンボス用エンボス版であって、前記横柄エンボス部の回転方向にスリットを設けたことを特徴とする横柄エンボス用エンボス版である
【0007】
またその請求項2記載の発明は、前記スリットの幅が40〜100μmであることを特徴とする請求項1記載の横柄エンボス用エンボス版である。
【0008】
またその請求項3記載の発明は、前記スリットとスリットの間隔が20〜500μmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の横柄エンボス用エンボス版である。
【0009】
またその請求項4記載の発明は、前記スリットの深さがエンボスの高さの20%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の横柄エンボス用エンボス版である。
【0010】
またその請求項5記載の発明は、熱可塑性樹脂基材上に絵柄層、透明熱可塑性樹脂層を少なくとも有する化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層側に、スリットを有する横柄エンボスが設けられてなることを特徴とする横柄エンボス化粧シートである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明により、スリットから空気が効率的に抜けていくようになり、エア噛みの問題を低減することが可能となった横柄エンボス用エンボス版を提供することが可能となった。
【0012】
また、請求項2、請求項3、請求項4に記載の発明により、より効率的にスリットから空気が抜けていくようになり、エア噛みの問題をほとんど解消できた横柄エンボス用エンボス版を提供することが可能となった。
【0013】
請求項5記載の発明により、エンボス部分が欠けたり白く見えたりすることのない、横柄エンボス化粧シートを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
図1に本発明の横柄エンボス用エンボス版の一実施例の表面の構造を示す。
エンボスロール1の表面に横柄エンボス2が設けられてなり、該横柄エンボス部2にスリット3が設けられてなる。
【0015】
エンボスロール1としては表面にクロム鍍金等を施した銅版が一般的であるが、特にこれに限定されるものではなく、適宜使用可能である。該エンボスロール1に横柄エンボス2を設けるには、通常用いられているエッチング法やレーザー製版法などにより作製するのが一般的であるが、特にこれに限定されるものではなく、各種公知の方法により作製可能である。
【0016】
横柄エンボス部2は、エンボルロールの回転方向に対して略垂直方向に連続したものである。ここで略垂直とは垂直だけでなく、上下に数度から20度弱傾いてもよい。傾けば傾くほどエア噛みは少なくなる傾向にある。ここで連続したとはエンボスの凸部が略垂直方向により長く設けられるという意味であり、この横柄エンボス部を有するエンボスロールによりシート状物を作成した場合、略垂直方法により長い凹部、つまり横柄エンボスが設けられる。
【0017】
スリット3は、前記横柄エンボス部2に対してエンボスロールの回転方向に沿って設けた細い凹部として設けられる。ここでスリット3の幅は40〜100μmであり、スリットとスリットの間隔が20〜500μmであることが好適である。
これにより横柄エンボス部の回転方向において、回転の前側より回転の奥側へ、横柄エンボス部を越える効率的な空気の流れが出来上がり、エア噛みの発生が低減あるいは抑制することが可能となる。あまりスリットの幅が広すぎたり間隔が狭すぎたりすると、化粧シートのエンボス表現が荒くなってしまうので、この範囲がもっとも効率的である。
【0018】
また、スリットの深さはエンボスの高さの20%以上とすることが好適である。20%未満であるとエアが効率的に抜けていかなくなる。
【0019】
図2に本発明の横柄エンボス化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。
適宜着色された熱可塑性樹脂基材4の上に、ベタ及び/または絵柄模様を設けた絵柄層5を印刷などにより設け、適宜アンカー層6を挟んで透明熱可塑性樹脂層7を設ける。さらに表面に適宜表面保護層8を設けてなり、表面保護層8及び透明熱可塑性樹脂層7に及ぶ横柄エンボス9を設けてなる。
【0020】
本発明における熱可塑性樹脂基材4としては、適宜着色された熱可塑性樹脂を用いる。熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、基本的には従来の一般の化粧シートに使用されていたものと同様のものを使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体、エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用することができる。
【0021】
上記の各種の熱可塑性樹脂の中でも、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の様な塩素(ハロゲン)を含有する樹脂の採用は望ましいものではなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を採用することが望ましい。中でも各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。これらのうちポリオレフィン系樹脂は、従来よりポリ塩化ビニル樹脂を代替する化粧シート用材料として採用が進んでいたものの、切削加工性の悪さが目立つことが指摘されて来たが、本発明によって切削加工性の格段の改善が可能となり、本発明の効果が最も顕著に発現する素材でる。
【0022】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した様に多くの種類のものが知られており、それらの中から化粧シートの使用目的等に応じて適宜選択して使用すれば良いが、中でも一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわちプロピレンを主成分とする単独または共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独または適宜配合したり、それらにさらにアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1またはオクテン−1、のコモノマーの1種または2種以上を15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体またはその水素添加物等の改質剤を適宜添加することもできる。
【0023】
熱可塑性樹脂基材4には、必要に応じて例えば着色剤、充填剤(シリカ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等)紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤(ステアリン酸、金属石けん等)、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤、艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。
【0024】
本発明における絵柄層5としては、本発明の化粧シートに絵柄による意匠性を付与するために、必要に応じて設けられるものであり、着色熱可塑性樹脂基材4自体の着色で代用できる場合等には省略も可能である。この絵柄層5は、染料または顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂と共に適当な希釈溶媒中に溶解または分散してなる印刷インキまたは塗料等を使用して、例えばグラビア印刷法またはオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法またはロールコート法等の各種塗工法などによって形成されるのが一般的である。バインダー樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等またはそれらの混合物等がよく使用されるが、勿論これらに限定されるものではない。絵柄の種類は、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字または記号、それらの組み合わせ等、所望により任意であり、単色無地であっても良い。また、化粧シートの隠蔽性を向上するために、絵柄層5の裏面側に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキまたは塗料による隠蔽層が併設される場合もある。
【0025】
適宜設けられるアンカー層6は、熱可塑性樹脂基材4と後述する透明熱可塑性樹脂層7とを接着させるために、必要に応じて設けられるものであり、他の層が有する接着性を利用可能な場合には省略も可能である。アンカー層6に使用する接着剤の種類には特に制限はないが、イソシアネート系硬化剤を使用する2液硬化型ウレタン系接着剤を使用することが最も望ましい。具体的には、主剤としては例えばポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール等、硬化剤としてはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を使用することができる。
【0026】
なお、絵柄層5、アンカー層6は、図2に示す例では熱可塑性樹脂基材4側から透明熱可塑性樹脂層7側へこの順に配列されているが、製造方法としては、下層から順に積層して設けるような製造方法に限定されるものではなく、手順などに応じて順不同に任意の配列とすることができる。図2に示す例は、熱可塑性樹脂基材4上に絵柄層5を順次形成した後、アンカー層6を介して後述する透明熱可塑性樹脂層7と積層する製造手順を主として想定したものであるが、それ以外にも例えば、透明熱可塑性樹脂層7の裏面に絵柄層5を順次形成し、これをアンカー層6を介して熱可塑性樹脂基材4上に積層したり、透明熱可塑性樹脂層7の裏面に絵柄インキ層4を、熱可塑性樹脂基材4とこれらをアンカー層6を介して積層するなどの製造手順が適用可能である。
【0027】
本発明における透明熱可塑性樹脂層7としては、前記熱可塑性樹脂基材4と同様の熱可塑性樹脂が使用可能であり、必要に応じて前記熱可塑性樹脂基材4と同様の添加剤が添加されても良い。なお、透明熱可塑性樹脂層7は透明乃至半透明とされるのが通例である。一方、着色熱可塑性樹脂2は、化粧材用基材の表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽するために、隠蔽性の不透明に着色されたものが用いられる場合が多いが、化粧材用基材の表面の質感を活かすために、透明乃至半透明のものが用いられる場合もある。また、熱可塑性樹脂基材4と透明熱可塑性樹脂層7の材質は、同一であっても良いし、相異なっていても良い。また、熱可塑性樹脂を複数混合しても良い。
【0028】
適宜設ける表面保護層8は、本発明の化粧シートの切削加工性をさらに向上させるために、化粧シートの最表面である透明熱可塑性樹脂層7の表面に設けるものであり、具体的には2液硬化型のアクリルウレタン系樹脂または電離放射線硬化性樹脂などが好適に用いられる。この表面保護層8が、透明熱可塑性樹脂層7の表面側の伸びを抑制し、伸び率が一定以上に達したときに破断を容易にするので、切削加工時の応力によりバリやヒゲ、白化等の抑制に有効となる。
【0029】
前記2液硬化型のアクリルウレタン系樹脂としては、2液硬化型のポリオールとイソシアネートを使用することができる。前記電離放射線硬化性樹脂としては、電子線または紫外線等の電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーを主成分とし、必要に応じて重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してなる組成物を使用することができる。なおここで、の電離放射線とは、電離作用のあるα線、β線、γ線(電子線)、放射線、短波長紫外線等に加えて、電離作用の無い紫外線まで含むものとする。
【0030】
本発明における横柄エンボス9としては、化粧シートに立体的な意匠感を付与するために必要に応じて設けられるものである。エンボスの形状は所望により任意であり、例えば木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群または平行曲線群もしくはそれらの組み合わせ等の幾何学模様状等を挙げることができる。エンボスの形成は、透明熱可塑性樹脂層7を熱可塑性樹脂基材4上に積層する前でも後でも良いし、ダブリングエンボス法または押出ラミネート同時エンボス法等により、積層と同時に形成することもできる。本発明では高速の押出ラミネート同時エンボス法が望ましい。用いるエンボス版は、本発明の横柄エンボス用エンボス版を用いることにより、意匠的に問題のないスリットを有し、エンボス部分が欠けたり白く見えたりすることのない横柄エンボス化粧シートを得ることが可能となる。
【0031】
図3に、本発明の横柄エンボス化粧シートの一実施例の表面の写真を示す。写真中央に左から右へ横柄エンボス9が設けられており、示された箇所にスリット2が設けられてなる。このようにスリットがあることは確認できるものの、目視ではとんと意匠的に問題のないものとなる。
【実施例1】
【0032】
(横柄エンボス用エンボス版の作製)
銅製エンボスロールに、レーザー製版法により3回腐食を行ってクロム鍍金を施し、図1に示すようなスリットの入った横柄エンボス部を設けた本発明の横柄エンボス用エンボス版を作製した。
【0033】
(化粧シートの作製)
厚さ80μmの着色ポリエチレン系樹脂シート(リケンテクノス(株)製「リベストTPO」)の表面に、ウレタン系印刷インキにて絵柄を印刷した。
この印刷面上に、2液硬化型ポリエステルウレタン系接着剤を乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布した。
この接着剤塗布面上に、厚さ80μmの透明ポリプロピレン系樹脂シートを230℃にてライン速度70m/分にて押出しラミネートしつつ、その表面に前記横柄エンボス用エンボス版によるエンボス加工を行った。
さらにこのエンボス加工後の表面に、アクリルウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業(株)製「UCクリヤー」)を乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗布して表面保護層を形成した。
さらに前記着色ポリエチレン系樹脂シートの裏面に、シリカ粉末を添加したウレタン系樹脂を乾燥後の塗布量が1g/mとなるように塗布してプライマー層を形成し、化粧シートを作製した。
【0034】
(化粧板の作製)
30cm角、厚さ20mmの中密度繊維板の表面に、2液水性エマルジョン接着剤を乾燥前の塗布量が90g/mとなるように塗布し、これと前記化粧シートのプライマー層側とを、室温、50N/30cm角に加圧して接着し、化粧板を作製した。
【実施例2】
【0035】
スリット幅、スリット間隔、スリット深さを変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2以降及び比較例となる横柄エンボス化粧板を作製した。評価結果を表1に記す。
【0036】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、横柄エンボスを有するシート状物をより効率よく製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の横柄エンボス用エンボス版の一実施例の概略を示す説明図である。
【図2】本発明の横柄エンボス化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【図3】本発明の横柄エンボス化粧シートの一実施例の表面の写真である。
【符号の説明】
【0039】
1…ロールエンボス
2…横柄エンボス部
3…スリット
4…熱可塑性樹脂基材
5…絵柄層
6…アンカー層
7…透明熱可塑性樹脂層
8…表面保護層
9…横柄エンボス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボスロールの回転方向に対して略垂直方向に連続した横柄エンボス部を有する横柄エンボス用エンボス版であって、前記横柄エンボス部の回転方向にスリットを設けたことを特徴とする横柄エンボス用エンボス版。
【請求項2】
前記スリットの幅が40〜100μmであることを特徴とする請求項1記載の横柄エンボス用エンボス版。
【請求項3】
前記スリットとスリットの間隔が20〜500μmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の横柄エンボス用エンボス版。
【請求項4】
前記スリットの深さがエンボスの高さの20%以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の横柄エンボス用エンボス版。
【請求項5】
熱可塑性樹脂基材上に絵柄層、透明熱可塑性樹脂層を少なくとも有する化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層側に、スリットを有する横柄エンボスが設けられてなることを特徴とする横柄エンボス化粧シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−166400(P2009−166400A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8518(P2008−8518)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】