説明

横置きエンジンの排気装置

【課題】横置きエンジン1の排気装置Eにおいて、排気上流側部位48を、車室を犠牲にすることなくコンパクトにエンジンルーム19に配置するとともに、エンジン1の冷間時に排気浄化装置(直キャタリスト40)内の触媒の温度を早期に上昇させる。
【解決手段】排気上流側部位48が、複数の分岐管部32と、複数の中間集合管部33と、最終集合管部34と、直キャタリスト40とを含み、直キャタリスト40は、平面視で、その内部のガス流路が略車幅方向に延びるように、エンジン1の車両後側に配置され、複数の中間集合管部33は、平面視で中間集合管部33の排気下流側が車幅方向一側又は他側へ向かうように湾曲し、最終集合管部34は、平面視で最終集合管部34の排気下流側が車両前側へ向かうように湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部のエンジンルームに気筒列方向が車幅方向を向くように横置きに配置された横置きエンジンの排気装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の横置きエンジンはよく知られており、この横置きエンジンの排気装置は、通常、該エンジンの車両後側に配置される(例えば、特許文献1参照)。この排気装置には、エンジンの複数の気筒にそれぞれ連通する複数の分岐管部が設けられており、これら分岐管部が集合して最終的に1つの集合管部となる。ここで、特許文献1では、全気筒(4つの気筒)を、排気行程が互いに連続しない複数の気筒からなる複数組の気筒群(1番気筒及び4番気筒からなる気筒群並びに2番気筒及び3番気筒からなる気筒群)に分けて、該各組の気筒群毎に当該気筒群の複数の気筒に連通する分岐管部同士を集合させてなる複数(2つ)の中間集合管部を設け、これら2つの中間集合管部同士を集合させて最終集合管部としている。
【0003】
また、近年では、特にエンジンの冷間時における排気ガスの低エミッション化を図るべく、排気浄化装置内の触媒の温度を早期に上昇させるために、排気浄化装置が比較的上流側に設けられる。上記特許文献1では、上記中間集合管部に排気浄化装置(直キャタリスト)を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−260472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エンジンの排気効率を高めてエンジン出力を高めるためには、分岐管部及び中間集合管部を出来る限り長くすることが好ましい。このような観点から、特許文献1では、分岐管部及び中間集合管部を長くしたことで、2つの中間集合管部が、フロアパネルの車幅方向中央部に形成されたトンネル部内に配置されている。
【0006】
しかし、このように2つの中間集合管部が上記トンネル部内に配置されると、そのトンネル部の幅や高さ(断面積)が大きくなり、特に特許文献1では、排気浄化装置が中間集合管部に設けられているために、トンネル部の断面積がより一層拡大されることになる。したがって、車室空間を狭くしないようにする観点からは改良の余地がある。また、排気浄化装置がトンネル部内に設けられていると、排気浄化装置に車両走行風が当たり易くなり、エンジンの冷間時に排気浄化装置内の触媒の温度をより早期に上昇させる観点からも改良の余地がある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、横置きエンジンの排気装置において、排気浄化装置を含む排気上流側部位を、車室を犠牲にすることなくコンパクトにエンジンルームに配置するとともに、エンジンの冷間時に排気浄化装置内の触媒の温度を早期に上昇させ得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、4つ以上の複数の気筒を列状に有しかつ気筒列方向一側に変速機が結合されているとともに車両前部のエンジンルームに気筒列方向が車幅方向を向くように横置きに配置されたエンジンの車両後側の側面に、該エンジンの排気浄化装置を含みかつ上記エンジンルーム内に収容される排気上流側部位が連結された、横置きエンジンの排気装置を対象として、上記排気上流側部位は、上記複数の気筒にそれぞれ連通しかつ上記エンジンの車両後側の側面から車両後側へ延びる複数の分岐管部と、上記全気筒を、排気行程が互いに連続しない複数の気筒からなる複数組の気筒群に分けて、該各組の気筒群毎に当該気筒群の複数の気筒に連通する分岐管部同士を集合させてなる複数の中間集合管部と、上記複数の中間集合管部同士を集合させてなる最終集合管部と、上記最終集合管部の排気下流側の端部に接続された上記排気浄化装置と、を含み、上記排気浄化装置は、平面視で、その内部のガス流路が略車幅方向に延びるように、上記エンジンの車両後側に配置されており、上記複数の中間集合管部は、平面視で該中間集合管部の排気下流側が車幅方向一側又は他側へ向かうように湾曲し、上記最終集合管部は、平面視で該最終集合管部の排気下流側が車両前側へ向かうように湾曲している構成とした。
【0009】
上記の構成により、排気上流側部位を構成する分岐管部、中間集合管部、最終集合管部及び排気浄化装置が、平面視でループ状をなし、これにより、分岐管部及び中間集合管部の長さを長くして排気効率を向上させつつ、エンジンの車両後側に、排気浄化装置を含む排気上流側部位をコンパクトに配置することができる。また、分岐管部及び中間集合管部の長さを長くしても、トンネル部では、単一の下流側排気管を通すだけで済み、トンネル部の断面積を拡大する必要はない。
【0010】
ここで、排気上流側部位がループ状をなすことで、直線状に比べて排気抵抗の点で不利になる可能性はあるが、ループ径が極端に小さくならない限り、排気抵抗は殆ど問題にはならず、分岐管部及び中間集合管部の長さを長くすることによる排気効率向上効果により、エンジン出力を高めることが可能になる。
【0011】
また、排気上流側部位がループ状をなすことで、排気上流側部位の熱膨張による伸びをループ全体に分散することができ、排気上流側部位の応力集中による劣化を防止することができる。
【0012】
さらに、排気浄化装置をエンジンの車両後側の近傍に配置することができ、これにより、排気浄化装置に車両走行風が当たり難くなり、エンジンの冷間時に排気浄化装置内の触媒の温度をより早期に上昇させることが可能になる。
【0013】
さらにまた、重量が大きい排気浄化装置をエンジンの近傍に配置することで、排気浄化装置をエンジンから離して配置する場合に比べて、エンジン振動に伴う排気上流側部位の振動を低減することができる。
【0014】
第2の発明では、上記第1の発明において、上記排気浄化装置は、上記エンジンの車両後側の側面に取り付けられており、上記排気浄化装置の排気下流側の端部に接続された下流側排気管の途中に、フレキシブルジョイントが設けられており、上記下流側排気管は、上記フレキシブルジョイントよりも排気下流側の部分で上記車両の車体に支持されているものとする。
【0015】
このことにより、排気浄化装置をエンジンに支持することで、排気浄化装置を含む排気上流側部位を安定して支持することができ、エンジン振動に伴う排気上流側部位の振動をより一層低減することができる。また、排気装置におけるフレキシブルジョイントよりも上流側の部分では、エンジンと共に振動するが、その振動を、車体に固定された、フレキシブルジョイントよりも排気下流側の部分へ伝達しないように、フレキシブルジョイントにより吸収することができる。
【0016】
第3の発明では、上記第1又は第2の発明において、上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、互いに車幅方向にずれて配置されているものとする。
【0017】
このことで、分岐管部及び中間集合管部を、生産性の観点で好適に配置することができる。すなわち、各中間集合管部における排気上流側の端部(複数の分岐管部の集合部)の上側に分岐管部が存在しないようにすることができ、分岐管部と中間集合管部との溶接を全て一度で行うことができるようになる。
【0018】
第4の発明では、上記第1又は第2の発明において、上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、互いに上下方向にずれて配置されているものとする。
【0019】
このことにより、上下方向のスペースを有効に利用して、各中間集合管部の曲率半径を比較的大きくすることができる。
【0020】
第5の発明では、上記第4の発明において、上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、平面視で互いに重なっているものとする。
【0021】
こうすることで、全ての中間集合管部の曲率半径を略同じでかつ比較的大きくすることができる。
【0022】
第6の発明では、上記第3又は第4の発明において、上記複数の分岐管部には、該分岐管部を上記エンジンの車両後側の側面に取り付けるための、全分岐管部に共通の1つのフランジ部が設けられており、上記フランジ部は、車幅方向に延びていて、締結部材により上記エンジンの車両後側の側面に締結される複数の締結部を有し、上記複数の締結部は、第1の高さ位置に位置する高位置締結部と、該第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置に位置する低位置締結部とを含み、上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、上記低位置締結部よりも低い位置に位置しているものとする。
【0023】
このことで、各締結部(特に相隣接する気筒間に対応する位置に位置する低位置締結部)での締結作業の空間を確保して、締結作業を円滑に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の横置きエンジンの排気装置によると、排気効率を向上させつつ、排気浄化装置を含む排気上流側部位を、車室を犠牲にすることなくコンパクトにエンジンルームに配置することができるとともに、エンジンの冷間時に排気浄化装置内の触媒の温度を早期に上昇させることができる。また、排気上流側部位の熱膨張による伸びを分散することができるとともに、エンジン振動に伴う排気上流側部位の振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態1に係る排気装置の車両への搭載状態を示す平面図である。
【図2】上記排気装置の車両への搭載状態を示す、車両左側から見た側面図である。
【図3】上記排気装置の排気上流側部位及び下流側排気管における最上流部の分割管を示す平面図である。
【図4】上記排気装置の排気上流側部位及び下流側排気管における最上流部の分割管を示す、車両左側から見た側面図である。
【図5】上記排気装置の排気上流側部位及び下流側排気管における最上流部の分割管を示す、車両後側から見た図である。
【図6】実施形態2を示す図3相当図である。
【図7】実施形態2を示す図4相当図である。
【図8】実施形態2を示す図5相当図である。
【図9】実施形態3を示す図3相当図である。
【図10】実施形態3を示す図4相当図である。
【図11】実施形態3を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る排気装置Eを示し、この排気装置Eは、横置きエンジン1の排気装置である。このエンジン1は、4つの気筒2を列状に有する直列4気筒エンジンであって、車両の前部のエンジンルーム19に気筒列方向が車幅方向(図1の左右方向)を向くように横置きに配置されている。このエンジン1は、エンジンルーム19の車幅方向において車両右側(図1の右側)寄りに配置されている。また、このエンジン1は、上側に向かって車両後側に傾斜(スラント)して配置されている。
【0028】
上記エンジン1の気筒列方向一側(本実施形態では、車両左側(図1の左側))には、変速機11が結合されており、これらエンジン1と変速機11とでパワープラント12を構成している。この変速機11は、図示を省略する入力軸及び出力軸が車幅方向に延びる横置きタイプのものであって、上記入力軸は、エンジン1の車幅方向に延びるクランクシャフトと連結され、上記出力軸は、変速機11の車両後側に配置された差動装置14と連結されている。また、図示は省略するが、この差動装置14からは、左右の前輪とそれぞれ連結される左右の前輪駆動軸が車幅方向の両側にそれぞれ延びている。上記車両は、左右の前輪がエンジン1により駆動されるFF車である。尚、上記車両が4輪駆動車であってもよい。
【0029】
上記パワープラント12の車幅方向両側には、左側及び右側サイドフレーム21,22がそれぞれ配設されている。すなわち、変速機11の直ぐ左側に左側サイドフレーム21が、エンジン1の直ぐ右側に右側サイドフレーム22が、それぞれ車両前後方向に延びるように配置されている。
【0030】
上記エンジンルーム19の車両後側壁は、該エンジンルーム19と車室20とを区画するダッシュパネル23で構成されている。このダッシュパネル23は、上下方向かつ車幅方向に延びている。ダッシュパネル23の上端部は、カウル部材24と結合され、ダッシュパネル23の下端部は、車室20の床面を構成するフロアパネル25の前端部と結合されている。
【0031】
上記フロアパネル25の車幅方向中央部には、断面略逆U字状に上方に隆起したトンネル部25aが車両前後方向に延びるように形成されている。そして、ダッシュパネル23の下端部の車幅方向中央部には、上記トンネル部25aに繋がるように上方に切り欠かれてなるトンネル開口部23aが形成されている。そして、上記トンネル部25aの内部(車室20の外側)を1本の排気管(後述の下流側排気管51)が通ることになる。尚、上記車両が4輪駆動車である場合には、トンネル部25aの内部を排気管と後輪駆動用のドライブシャフトとが通ることになる。
【0032】
上記エンジン1の車両前側には、該エンジン1の各気筒2内に吸気を導入するための吸気マニホールド4が配設されている。この吸気マニホールド4は、エンジン1の4つの気筒2とそれぞれ連通しかつエンジン1の車両前側の側面に開口する4つの吸気ポート(図示せず)の開口にそれぞれ接続される4つの分岐管部4a〜4dを有し、これら分岐管部4a〜4dが、気筒列方向(車幅方向)に延びるサージタンク5を取り囲むように湾曲形成されている。
【0033】
一方、エンジン1の車両後側には、エンジン1の各気筒2内の排気ガスを排出するための上記排気装置Eが配設されている。以下、この排気装置Eの詳細について、図3〜図5を参照して詳細に説明する。
【0034】
上記排気装置Eは、排気マニホールド31、エンジン1の排気浄化装置としての直キャタリスト40及び下流側排気管51で構成され、排気上流側から、この順に並んでいる。排気マニホールド31及び直キャタリスト40は、排気装置Eの排気上流側部位48に相当し、上記エンジンルーム19内に収容されている。
【0035】
排気マニホールド31は、エンジン1の4つの気筒2にそれぞれ連通する4つの分岐管部32と、該4つの分岐管部32の2つずつを互いに集合させてなる2つの中間集合管部33と、該2つの中間集合管部33同士を集合させてなる単一の最終集合管部34とを含む。この最終集合管部34の排気下流側の端部に、直キャタリスト40が接続されている。
【0036】
以下、4つの気筒2を、変速機11とは反対側(エンジン2についての前側(車両右側))から変速機11側(エンジン2についての後側(車両左側))へ向かって順に、1番気筒2a、2番気筒2b、3番気筒2c及び4番気筒2dという(これらを区別しない場合には、単に気筒2という場合もある)。また、1番気筒2a〜4番気筒2dにそれぞれ連通する分岐管部32を、それぞれ第1〜第4分岐管部32a〜32dという(これらを区別しない場合には、単に分岐管部32という場合もある)。
【0037】
上記第1〜第4分岐管部32a〜32dの排気上流側の端部には、該第1〜第4分岐管部32a〜32dをエンジン1の車両後側の側面に取り付けるための、全分岐管部32a〜32dに共通の車幅方向に延びる1つのフランジ部36が設けられており、このフランジ部36をエンジン1の車両後側の側面に取り付けることで、第1〜第4分岐管部32a〜32dが、1番気筒2a〜4番気筒2dとそれぞれ連通しかつエンジン1の車両後側の側面に開口する4つの排気ポート(図示せず)の開口にそれぞれ接続される。
【0038】
上記フランジ部36は、ボルト等の締結部材によりエンジン1の車両後側の側面に締結される複数(本実施形態では、5つ)の締結部37を有している。これら締結部37は、ボルト等の締結部材が挿通される締結部材挿通孔で構成されている。以下、これら5つの締結部37を、車両右側から順に、第1〜第5締結部37a〜37eという(これらを区別しない場合には、単に締結部37という場合もある)。
【0039】
第1締結部37aは、フランジ部36において1番気筒2aの車幅方向外側(車両右側)に対応する位置に位置し、第2締結部37bは、フランジ部36において1番気筒2aと2番気筒2bとの間に対応する位置に位置し、第3締結部37cは、フランジ部36において2番気筒2bと3番気筒2cとの間に対応する位置に位置し、第4締結部37dは、フランジ部36において3番気筒2cと4番気筒2dとの間に対応する位置に位置し、第5締結部37eは、フランジ部36において4番気筒2dの車幅方向外側(車両左側)に対応する位置に位置する。これら第1〜第5締結部37a〜37eは、車幅方向(気筒列方向)に延びる締結部列が高さ方向に間隔をあけて2つ並ぶように配列されており、第2及び第4締結部37b,37dが含まれる上側の締結部列は、フランジ部36の上端近傍の第1の高さ位置に位置し、第1、第3及び第5締結部37a,37c,37eが含まれる下側の締結部列は、フランジ部36の下端近傍の第2の高さ位置に位置する。このことで、第2及び第4締結部37b,37dは、第1の高さ位置に位置する高位置締結部に相当し、第1、第3及び第5締結部37a,37c,37eは、第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置に位置する低位置締結部に相当することになる。そして、第1〜第5締結部37a〜37eは、上側の締結部列の締結部37が、下側の締結部列の相隣る締結部37間に対応する部分に存するように千鳥状に配置されている。
【0040】
上記中間集合管部33は、上記全気筒2を排気行程(爆発行程)が互いに連続しない2つの気筒2からなる2組の気筒群に分けかつ該各組の気筒群毎に当該気筒群の2つの気筒2に連通する分岐管部32同士を集合させてなるものである。本実施形態では、排気行程が、1番気筒2a、3番気筒2c、4番気筒2d及び2番気筒2bの順に行われるので、1番気筒2a及び4番気筒2dからなる気筒群と、2番気筒2b及び3番気筒2cからなる気筒群とに分けられており、1番気筒2a及び4番気筒2dにそれぞれ連通する第1及び第4分岐管部32a,32d同士を集合させてなる中間集合管部33と、2番気筒32b及び3番気筒32cにそれぞれ連通する第2及び第3分岐管部32b,32c同士を集合させてなる中間集合管部33とが設けられることになる。以下、第1及び第4分岐管部32a,32d同士を集合させてなる中間集合管部33を、第1中間集合管部33aといい、第2及び第3分岐管部32b,32c同士を集合させてなる中間集合管部33を、第2中間集合管部33bという(これらを区別しない場合には、単に中間集合管部33という場合もある)。
【0041】
第1〜第4分岐管部32a〜32dは、エンジン1の車両後側の側面(厳密には、フランジ部36)から基本的に車両後側へ延びている。具体的には、第1分岐管部32aは、平面視で、上記側面から車両後側へ延びた後、車両後側へ向かって車両左側へ斜めに延び、第4分岐管部32dは、平面視で、上記側面から車両後側へ延びた後、車両後側へ向かって車両右側へ斜めに延びており、車幅方向において第3締結部37cと略同じ位置で、第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとが集合して第1中間集合管部33aとなる。また、第2分岐管部32bは、平面視で、上記側面から車両後側へ延びた後、車両後側へ向かって車両右側へ斜めに延び、第2中間集合管部33bの手前で湾曲して、車両後側へ向かって車両左側へ斜めに延びている。第3分岐管部32cは、平面視で、上記側面から車両後側へ延びた後、車両後側へ向かって車両右側へ斜めに延びており、車幅方向において第2締結部37bと略同じ位置で、第2分岐管部32bと第3分岐管部32cとが集合して第2中間集合管部33bとなる。尚、第2及び第3分岐管部32b,32cは、第1分岐管部32aの下側を通って、第1分岐管部32aの車両左側から右側へ延びている。
【0042】
本実施形態では、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部(第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとの集合部、及び、第2分岐管部32bと第3分岐管部32cとの集合部)が、互いに車幅方向にずれて配置されている。すなわち、第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部(第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとの集合部)が、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部(第2分岐管部32bと第3分岐管部32cとの集合部)に対して車両左側(車幅方向の変速機11側)に位置している。第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部の高さ位置は、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の高さ位置と略同じであって(厳密には、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の高さ位置よりも僅かに高い)、第3締結部37cよりも低い位置である。これにより、図5に示すように、車両後側から見て、フランジ部36における締結部37(特に第3締結部37c)の箇所及びその真上側部分が、各分岐管部32及び各中間集合管部33と重ならないようにすることができる。この結果、各締結部37(特に第3締結部37c)での締結作業の空間を確保することができ、締結部材をエンジン1の上側から各締結部37の箇所に配置して締結作業を容易に行うことができる。
【0043】
上記第1及び第2中間集合管部33a,33bは、平面視で第1及び第2中間集合管部33a,33bの排気下流側が車幅方向一側(本実施形態では、車両左側、つまり車幅方向の変速機11側)へ向かうように湾曲して、互いに集合することで最終集合管部34となる。すなわち、第1中間集合管部33aは、その排気上流側の端部から車両後側に延びた後に車両左側に湾曲し、第2中間集合管部33bは、その排気上流側の端部から直ぐに車両左側に湾曲し、第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部の下側を通って車両左側へ延びている。そして、第1及び第2中間集合管部33a,33b同士が、車幅方向において4番気筒と略同じ位置(エンジンルーム19の車幅方向中央付近)で集合して最終集合管部34となる。
【0044】
上記最終集合管部34は、平面視で最終集合管部34の排気下流側が車両前側へ向かうように湾曲して、直キャタリスト40に接続される。この最終集合管部34の排気下流側の部分は、車両前側に向かって車両右側へ湾曲しており、最終集合管部34は、その中間部が両端部に対して直キャタリスト40とは反対側(車両左側)に凸となる湾曲形状をなしている。最終集合管部34の排気下流側の端部は、直キャタリスト40の後述のケース41と同径になるように拡径して該ケース41の排気上流側の端面(車両左側の端面)に接続される。
【0045】
上記直キャタリスト40は、平面視で、ケース41内のガス流路が略車幅方向に延びるように、エンジン1の車両後側に配置されている。これにより、ケース41は、エンジン1の車両後側の側面に略沿って延びている。尚、本実施形態では、厳密には、ケース41(ガス流路)は、車両左側に向かって車両後側に僅かに傾斜している。これは、後述の如く、触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対するガス進入角度を出来る限り90°に近付けるためである。また、ケース41(ガス流路)は、車両右側(排気下流側)に向かって下側にも僅かに傾斜している。これは、下流側排気管51が第2及び第3分岐部32b,32c並びに第2中間集合管部33bの下側に位置しているため、これらとの干渉を避けるためである。
【0046】
また、直キャタリスト40は、略円筒形状のケース41内のガス流路に触媒が配設されてなる。このケース41内のガス流路における触媒配設部43の断面は略円形状をなし、触媒配設部43の排気上流側(車両左側)の端面43a及び排気下流側(車両右側)の端面43bは、それぞれケース41の排気上流側の端面及び排気下流側の端面に対して略同じ面であるか、又は僅かにケース41の内側に位置する。上記触媒は、三元触媒であって、特にエンジン1の冷間時にHC及びCOの浄化を図るものであり、このために、直キャタリスト40を排気装置Eの排気上流側部位48に設けている。尚、触媒配設部43の断面形状は、略円形には限られない。
【0047】
本実施形態では、直キャタリスト40は、エンジン1の車両後側の側面に取り付けられて支持されている。すなわち、ケース41には、下側に突出する突出部材41aが固定され、この突出部材41aとエンジン1の車両後側の側面との間に、下側から見て略L字状をなす支持部材44が設けられて、この支持部材44を介して、直キャタリスト40がエンジン1の車両後側の側面に支持されることになる。尚、この直キャタリスト40のエンジン1に対する支持は、必ずしも必要なものではない。
【0048】
上記下流側排気管51は、上記直キャタリスト40におけるケース41の排気下流側の端面(車両右側の端面)に接続されている。この下流側排気管51は、直キャタリスト40との接続部(排気上流側の端部)から、ダッシュパネル23の下端部の車幅方向中央部に形成されたトンネル開口部23aへ向かうように配設されている。すなわち、平面視で、下流側排気管51は、その排気上流側の端部で車両後側へ折れ曲がって車両後方へ延びた後、車両後方に向かって車両左側(エンジンルーム19の車幅方向中央側)へ傾斜して延び、トンネル開口部23aの手前から車両後側へ延びて、トンネル開口部23aからトンネル部25a内に進入する。この下流側排気管51は、その長さ方向に複数に分割されてなる複数の分割管52で構成されている。相隣接する2つの分割管52同士は、該両分割管52の接続端部に形成したフランジ52aを介して互いに接続されている。尚、図1及び図2では、最上流部の分割管52及びその直ぐ排気下流側の分割管52の一部のみを示し、その他の分割管52の記載は省略している。また、図3〜図5では、最上流部の分割管52のみを示す。
【0049】
上記最終集合管部34における排気下流側の部分は、直キャタリスト40における触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対して車両左側へ張り出しており、上記下流側排気管51における排気上流側の部分は、触媒配設部43の排気下流側の端面43bに対して車両右側へ張り出している。そして、上記触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対するガス進入角度が、該触媒配設部43の排気下流側の端面43bに対するガス排出角度よりも大きくなるように、上記触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対する上記最終集合管部34の車幅方向の最大張出し量が、上記触媒配設部43の排気下流側の端面43bに対する上記下流側排気管51の車幅方向の最大張出し量よりも大きくされている。すなわち、最終集合管部34における排気下流側の部分を、下流側排気管51における排気上流側の部分よりも、ケース41(触媒配設部43)が延びる方向に対する傾斜を小さくしかつケース41(触媒配設部43)が延びる方向に長く延びるようにして、触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対するガス進入角度を出来る限り90°に近付けることで、触媒配設部43に進入した排気ガスが触媒配設部43の断面全体に一様に拡散するようにする。
【0050】
上記下流側排気管51における最上流部の分割管52には、フレキシブルジョイント53が配設されている。このフレキシブルジョイント53はトンネル部25a内に位置していて、エンジン1の振動及びエンジン1の振動に伴う上記排気上流側部位48の振動を吸収して、該振動をフレキシブルジョイント53よりも排気下流側の部分へ伝達しないようにするものである。尚、フレキシブルジョイント53の数は1つに限らず、複数のフレキシブルジョイント53を下流側排気管51の長さ方向に互いに間隔をあけて直列に配設してもよい(後述の実施形態3参照)。
【0051】
上記最上流部の分割管52は、フレキシブルジョイント53よりも排気下流側の部分で車両の車体(フロアパネル25)に支持されている。すなわち、細長い棒状の支持部材55が略台形状に折り曲げられており、その支持部材55の上辺部が、最上流部の分割管52のフランジ52a近傍に固定され、支持部材55の下辺部の両側端部がそれぞれ車幅方向外側に突出して、それらの突出先端部が弾性部材56を介してフロアパネル25に取り付けられている。尚、最上流部の分割管52に複数のフレキシブルジョイント53を設けた場合には、最上流部の分割管52を、最下流部のフレキシブルジョイント53よりも排気下流側の部分で車体に支持するようにすればよい。
【0052】
上記最上流部の分割管52に対して直ぐ排気下流側の分割管52には、直キャタリスト40と同様の構成のアンダーフットキャタリスト60が配設されている。このアンダーフットキャタリスト60の触媒も、直キャタリスト40と同様に、三元触媒であるが、主に、NOxの浄化を図るものである。このアンダーフットキャタリスト60が配設された分割管52も、最上流部の分割管52と同様の支持形態で車両の車体(フロアパネル25)に支持されている。
【0053】
本実施形態では、排気装置Eの排気上流側部位48を構成する分岐管部32、中間集合管部33、最終集合管部34及び直キャタリスト40が、平面視で排気下流側に向かって時計回りに回るループ状をなすことになり、これにより、分岐管部32及び中間集合管部33の長さを長くして排気効率を向上させつつ、エンジン1の車両後側に、直キャタリスト40を含む排気上流側部位48をコンパクトに配置することができる。また、分岐管部32及び中間集合管部33の長さを長くしても、トンネル部25aでは、単一の下流側排気管51を通すだけで済み、トンネル部25aの断面積を拡大する必要はなく、車室20の空間が狭くなるのを防止することができる。
【0054】
ここで、排気上流側部位48がループ状をなすことで、直線状に比べて排気抵抗の点で不利になる可能性はあるが、ループ径が極端に小さくならない限り、排気抵抗は殆ど問題にはならず、分岐管部32及び中間集合管部33の長さを長くすることによる排気効率向上効果により、エンジン1の出力を高めることが可能になる。
【0055】
また、直キャタリスト40をエンジン1の車両後側の近傍に配置することができ、これにより、直キャタリスト40に車両走行風が当たり難くなり、エンジン1の冷間時に直キャタリスト40の触媒の温度をより早期に上昇させることが可能になる。
【0056】
さらにまた、重量が大きい直キャタリスト40をエンジン1の近傍に配置することができ、直キャタリスト40をエンジン1から離して配置する場合に比べて、エンジン1の振動に伴う排気上流側部位48の振動を低減することができる。そして、本実施形態では、直キャタリスト40をエンジン1の車両後側の側面に支持するようにしているので、排気上流側部位48を安定して支持することができ、エンジン1の振動に伴う排気上流側部位48の振動をより一層低減することができる。
【0057】
加えて、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部が、互いに車幅方向にずれて配置されているので、それら端部の上側に分岐管部32が存在しないようにすることができる。また、最終集合管部34における排気上流側の端部(第1中間集合管部33aと第2中間集合管部33bとの集合部)も、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部に対して車幅方向にずれて配置され、これら全端部の上側に排気装置Eの部品は存在しない。したがって、分岐管部32と中間集合管部33との溶接、及び、中間集合管部33と最終集合管部34との溶接を全て一度で行うことができ、生産性を向上させることができる。
【0058】
(実施形態2)
図6〜図8は、本発明の実施形態2を示し、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部(第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとの集合部、及び、第2分岐管部32bと第3分岐管部32cとの集合部)の位置関係を、上記実施形態1とは異ならせたものである。
【0059】
すなわち、本実施形態では、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部は共に、車幅方向において第3締結部37cと略同じ位置に位置していて、互いに上下方向にずれて配置されている。具体的には、第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとの集合の仕方は上記実施形態1と同様であるが、第2分岐管部32b及び第3分岐管部32cは、エンジン1の車両後側の側面から車両後側へ延びた後、互いに近付いて、車幅方向において第3締結部37cと略同じ位置で集合する。そして、第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部が第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の真下側に位置して、平面視で互いに重なっている。第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部の高さ位置は、上記実施形態1と同様に、第3締結部37cよりも低い位置であるが、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の高さ位置は、第3締結部37cよりも高い位置である。これにより、図8に示すように、車両後側から見て、フランジ部36における第3締結部37cの箇所が各分岐管部32及び各中間集合管部33と重ならないようにすることができ、第3締結部37cでの締結作業をその車両後側から行うことができる。但し、車両後側から見て、フランジ部36における第3締結部37cの箇所の真上側部分が、第3分岐管部32cと重なるため、締結部材をエンジン1の上側から第3締結部37cの箇所に配置する作業がやり難く、上記実施形態1のものよりも締結作業性がやや劣る。一方、車両後側から見て、フランジ部36における第3締結部37cを除く締結部37の箇所及びその真上側部分は、各分岐管部32及び各中間集合管部33と重なっていないので、第3締結部37cを除く締結部37においては上記実施形態1と同様の締結作業性が得られる。
【0060】
上記第1及び第2中間集合管部33a,33bは、平面視で第1及び第2中間集合管部33a,33bの排気下流側が車幅方向一側(車両左側、つまり車幅方向の変速機11側)へ向かうように湾曲して、互いに集合する。すなわち、第1及び第2中間集合管部33a,33bは、平面視で互いに重なった状態で、その排気上流側の端部から車両後側に延びた後に車両左側に湾曲して車両左側へ延びている。そして、第1及び第2中間集合管部33a,33b同士が、車幅方向において4番気筒2dと略同じ位置で集合して最終集合管部34となる。
【0061】
パワープラント12、最終集合管部34、直キャタリスト40及び下流側排気管51の構成及び配置は、上記実施形態1と同様である。尚、本実施形態では、ケース41(ガス流路)は、上記実施形態1のように車両左側に向かって車両後側に傾斜してはいない。これは、触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対する最終集合管部34の車幅方向の最大張出し量を、上記実施形態のそれよりも大きくしたので、ケース41を車両左側に向かって車両後側に傾斜させなくても、触媒配設部43の排気上流側の端面43aに対するガス進入角度を90°に近付けることができるからである。
【0062】
したがって、本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、排気装置Eの排気上流側部位48を構成する分岐管部32、中間集合管部33、最終集合管部34及び直キャタリスト40が、平面視でループ状をなすので、上記実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0063】
また、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部が平面視で互いに重なっているので、上下方向のスペースを有効に利用して、第1及び第2中間集合管部33a,33bの曲率半径を略同じでかつ比較的大きくすることができる。
【0064】
(実施形態3)
図9〜図11は、本発明の実施形態3を示し、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部(第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとの集合部、及び、第2分岐管部32bと第3分岐管部32cとの集合部)の位置関係を、更に異ならせたものである。
【0065】
すなわち、本実施形態では、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部が、上記実施形態2と同様に、車幅方向において第3締結部37cと略同じ位置に位置しているが、第1及び第2中間集合管部33a,33bにおける排気上流側の端部が、平面視で互いに重なっておらず、互いに車両前後方向にずれている。具体的には、第2及び第3分岐管部32b,32cの車両前後方向の長さが、第1及び第4分岐管部32a,32dの車両前後方向の長さよりも長くなっていて、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部(第2分岐管部32bと第3分岐管部32cとの集合部)が第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部(第1分岐管部32aと第4分岐管部32dとの集合部)の車両後側に位置している。そして、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の高さ位置は、第1中間集合管部33aにおける排気上流側の端部の高さ位置と略同じであって、第3締結部37cよりも低い位置である。これにより、図11に示すように、車両後側から見て、フランジ部36における第3締結部37cの箇所及びその真上側部分が、その他の締結部37と同様に、各分岐管部32及び各中間集合管部33と重ならなくなる。
【0066】
尚、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の高さ位置を、上記実施形態2と同様の高さ位置、つまり第3締結部37cよりも高い位置にすることも可能である。この場合、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の位置が、実施形態2に比べて車両後側にあるので、締結部材をエンジン1の上側から第3締結部37cの箇所に配置する作業がやり易くなる可能性はあるが、基本的には、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の高さ位置を第3締結部37cよりも低い位置にする方が、締結作業性は向上する。
【0067】
上記第1及び第2中間集合管部33a,33bは、平面視で第1及び第2中間集合管部33a,33bの排気下流側が車幅方向一側(車両左側、つまり車幅方向の変速機11側)へ向かうように湾曲して、互いに集合する。すなわち、第1中間集合管部33aは、その排気上流側の端部から車両後側に延びた後に、第2中間集合管部33bにおける排気上流側の端部の下側位置で車両左側に湾曲して車両左側へ延び、第2中間集合管部33bは、その排気上流側の端部から直ぐに車両左側に湾曲し、第1中間集合管部33aよりも車両後側を通って車両左側へ延びている。そして、第1及び第2中間集合管部33a,33b同士が、車幅方向において4番気筒2dと略同じ位置で集合して最終集合管部34となる。
【0068】
パワープラント12、最終集合管部34及び直キャタリスト40の構成及び配置は、上記実施形態1又は2と同様である。
【0069】
本実施形態では、平面視で、下流側排気管51は、その排気上流側の端部で車両後側へ折れ曲がった後、車両後方に向かって車両左側(エンジンルーム19の車幅方向中央側)へ傾斜して延び、その傾斜状態でそのままトンネル部25a内に進入する。そして、この下流側排気管51は、トンネル部25aの車両右側部分を通るように配置されている。また、支持部材55及び弾性部材56は、下流側排気管51の車両右側にしか設けられていない。これは、当該車両がFF車であっても、4輪駆動車に直ぐに変更できるようにするために、トンネル部25a内に、後輪駆動用のドライブシャフトが通るスペース(車両左側のスペース)を確保しておく。こうすることで、4輪駆動車に変更する場合に、下流側排気管51や支持部材55等を変更することなしに、ドライブシャフトを設けることができる。
【0070】
また、本実施形態では、下流側排気管51における最上流部の分割管52には、2つのフレキシブルジョイント53が下流側排気管51(分割管52)の長さ方向に互いに間隔をあけて直列に配設されている。排気下流側のフレキシブルジョイント53はトンネル部25a内に配置されているが、排気上流側のフレキシブルジョイント53はエンジンルーム19内に配置されている。
【0071】
したがって、本実施形態においても、上記実施形態1と同様に、排気装置Eの排気上流側部位48を構成する分岐管部32、中間集合管部33、最終集合管部34及び直キャタリスト40が、平面視でループ状をなすので、上記実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0072】
尚、上記実施形態1〜3では、直列4気筒エンジン1の排気装置Eを例にして説明したが、エンジン1の気筒数は4つには限られず、5つ以上であってもよい。また、エンジン1の気筒数に応じて、中間集合管部33の数(つまり気筒群の組数)を3つ以上としてもよく、1つの中間集合管部33に集合させる分岐管部32の数(つまり1つの気筒群に含まれる気筒数)を3つ以上としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態1〜3では、中間集合管部33を、平面視で中間集合管部33の排気下流側が車幅方向の変速機11側へ向かうように湾曲させたが、平面視で中間集合管部33の排気下流側が車幅方向における変速機11とは反対側へ向かうように湾曲させてもよい。このとき、エンジン1及び変速機11の左右位置が上記実施形態1〜3と同じ場合には、排気上流側部位48が、平面視で排気下流側に向かって反時計回りに回るループ状となる。そして、中間集合管部33は、平面視で中間集合管部33の排気下流側が車両右側へ向かうように湾曲し、最終集合管部34は、平面視で該最終集合管部34の排気下流側が車両前側へ向かうように湾曲する。また、直キャタリスト40は、排気上流側が車両右側でかつ排気下流側が左側となり、直キャタリスト40の排気下流側(車両左側)の端面に接続される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、車両前部のエンジンルームに気筒列方向が車幅方向を向くように横置きに配置された横置きエンジンの排気装置に有用であり、特に分岐管部及び中間集合管部の長さを長くして排気効率を向上させる場合に有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 エンジン
2 気筒
11 変速機
19 エンジンルーム
23 ダッシュパネル
25 フロアパネル
25a トンネル部
32 分岐管部
33 中間集合管部
34 最終集合管部
36 フランジ部
37 締結部
40 直キャタリスト(排気浄化装置)
48 排気上流側部位
51 下流側排気管
53 フレキシブルジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つ以上の複数の気筒を列状に有しかつ気筒列方向一側に変速機が結合されているとともに車両前部のエンジンルームに気筒列方向が車幅方向を向くように横置きに配置されたエンジンの車両後側の側面に、該エンジンの排気浄化装置を含みかつ上記エンジンルーム内に収容される排気上流側部位が連結された、横置きエンジンの排気装置であって、
上記排気上流側部位は、
上記複数の気筒にそれぞれ連通しかつ上記エンジンの車両後側の側面から車両後側へ延びる複数の分岐管部と、
上記全気筒を、排気行程が互いに連続しない複数の気筒からなる複数組の気筒群に分けて、該各組の気筒群毎に当該気筒群の複数の気筒に連通する分岐管部同士を集合させてなる複数の中間集合管部と、
上記複数の中間集合管部同士を集合させてなる最終集合管部と、
上記最終集合管部の排気下流側の端部に接続された上記排気浄化装置と、
を含み、
上記排気浄化装置は、平面視で、その内部のガス流路が略車幅方向に延びるように、上記エンジンの車両後側に配置されており、
上記複数の中間集合管部は、平面視で該中間集合管部の排気下流側が車幅方向一側又は他側へ向かうように湾曲し、
上記最終集合管部は、平面視で該最終集合管部の排気下流側が車両前側へ向かうように湾曲していることを特徴とする横置きエンジンの排気装置。
【請求項2】
請求項1記載の横置きエンジンの排気装置において、
上記排気浄化装置は、上記エンジンの車両後側の側面に取り付けられており、
上記排気浄化装置の排気下流側の端部に接続された下流側排気管の途中に、フレキシブルジョイントが設けられており、
上記下流側排気管は、上記フレキシブルジョイントよりも排気下流側の部分で上記車両の車体に支持されていることを特徴とする横置きエンジンの排気装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の横置きエンジンの排気装置において、
上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、互いに車幅方向にずれて配置されていることを特徴とする横置きエンジンの排気装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の横置きエンジンの排気装置において、
上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、互いに上下方向にずれて配置されていることを特徴とする横置きエンジンの排気装置。
【請求項5】
請求項4記載の横置きエンジンの排気装置において、
上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、平面視で互いに重なっていることを特徴とする横置きエンジンの排気装置。
【請求項6】
請求項3又は4記載の横置きエンジンの排気装置において、
上記複数の分岐管部には、該分岐管部を上記エンジンの車両後側の側面に取り付けるための、全分岐管部に共通の1つのフランジ部が設けられており、
上記フランジ部は、車幅方向に延びていて、締結部材により上記エンジンの車両後側の側面に締結される複数の締結部を有し、
上記複数の締結部は、第1の高さ位置に位置する高位置締結部と、該第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置に位置する低位置締結部とを含み、
上記複数の中間集合管部における排気上流側の端部が、上記低位置締結部よりも低い位置に位置していることを特徴とする横置きエンジンの排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−116203(P2011−116203A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274195(P2009−274195)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】