横連窓PCカーテンウォール
【課題】窓枠を使用し耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足させながら、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてフレームレス化を実現し、デザイン性の向上を図った横連窓PCカーテンウォールとする。
【解決手段】上階側PCカーテンウォールユニット1A及び下階側PCカーテンウォールユニット1Bは、コンクリート2の外面側に化粧板3が張設され、上面側に窓枠の下枠7が固設されるとともに、下面側に窓枠の上枠6が固設され、前記下枠7及び上枠6が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板3によって隠蔽され、前記化粧板3とガラスGの室外側面との間に、前記化粧板3の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケット17を取り付ける。
【解決手段】上階側PCカーテンウォールユニット1A及び下階側PCカーテンウォールユニット1Bは、コンクリート2の外面側に化粧板3が張設され、上面側に窓枠の下枠7が固設されるとともに、下面側に窓枠の上枠6が固設され、前記下枠7及び上枠6が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板3によって隠蔽され、前記化粧板3とガラスGの室外側面との間に、前記化粧板3の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケット17を取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてデザイン性を向上させた横連窓PCカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
特に中層から高層のビル等では盛んにカーテンウォール工法が採用されている。このカーテンウォール工法には、今まで種々のものが提案されているが、外壁を構成するPC版(プレキャストコンクリート版)と、このPC版によって支持されるガラス等のパネルからなるPCカーテンウォールが市場に多く提供されている。
【0003】
前記PC版は、外面にレンガ、タイルや本石などの化粧板が一体的に張設され、外壁面のデザイン自由度が高いなどのメリットを有する他、高強度であるとともに、高い耐火性と断熱性を有し、かつ製造コストが廉価であるなどの利点を有し、近年の建物では多く採用されている。
【0004】
前記PCカーテンウォールの例としては、例えば下記特許文献1を挙げることができる。このPCカーテンウォールは、図11に示されるように、ガラスを有するカーテンウォールユニット50、50…と、プレキャストコンクリート製のPCカーテンウォール51、51…とを備えて構成されており、前記PCカーテンウォール51,51…を建物壁面に固定するとともに、PCカーテンウォール51、51…によって四周が囲まれた開口部に対してカーテンウォールユニット50、50…を設置した構造とされる。前記カーテンウォールユニット50は、上枠52、下枠53、および左右の縦枠54,55を四周枠組みした枠体内に障子を備えた構造となっている。
【0005】
前述したPCカーテンウォールにおいては、アルミ合金又はスチール等からなる窓枠を室外側に露出させた構造が一般的となっているが、近年はデザインの多様化によって、窓枠を露出させずにフレームレス化を図ったものも好まれる傾向にある。
【0006】
他方で、窓枠を有しないPCカーテンウォール構造が、下記特許文献2に開示されている。この特許文献2では、図12に示されるように、ガラス板G(板材)の端部を嵌め込む板材嵌込溝56とジッパー57を嵌め込むジッパー溝58とをゴム本体59に形成し、該ゴム本体59にコンクリート部60の取付溝61に嵌合されるアンカー62を突設したジッパーガスケット63が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−270251号公報
【特許文献2】特開2005−299178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献2に開示されたガラス支持構造の場合は、ガラス周囲に見付け幅の大きいジッパーガスケット63が室外側から見えるためデザイン性が悪いとともに、火災時には簡単にジッパーガスケット63が溶融しガラス自体が落下するおそれがあり耐火仕様を実現できていない。また、ジッパーガスケット63の経年劣化による強度低下が懸念されるなどの問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、窓枠を使用し耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足させながら、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてフレームレス化を実現し、デザイン性の向上を図った横連窓PCカーテンウォールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、建物の窓部を挟んで上階側腰部及び下階側腰部にそれぞれPCカーテンウォールユニットを固設し、上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットとの空間に水平方向に間隔を空けて方立を設け、これら上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットと方立とによって囲まれた各開口部にガラスを支持させた横連窓PCカーテンウォールにおいて、
前記上階側PCカーテンウォールユニット及び下階側PCカーテンウォールユニットは、コンクリートの外面側に化粧板が張設され、コンクリートの上面側に下枠が固設されるとともに、コンクリートの下面側に上枠が固設され、
前記下枠及び上枠が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板によって隠蔽され、前記化粧板とガラス室外側面との間に、前記化粧板の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケットを取り付けたことを特徴とする横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明においては、上階側PCカーテンウォールユニット及び下階側PCカーテンウォールユニットは、コンクリートの外面側に化粧板が張設され、前記コンクリートの上面側に下枠が固設されるとともに、下面側に上枠が固設され、前記下枠及び上枠が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板によって隠蔽された構造とするものである。従って、窓枠を使用しているため耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足することができるとともに、化粧板によって下枠及び上枠が外部から隠蔽されるため視覚的にフレームレス化を実現することができる。
【0012】
また、前記化粧板とガラス室外側面との間に、前記化粧板の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケットを取り付けてあるため、ガラス支持用ガスケットから化粧板までの連続性が確保され、雨水等が隙間から浸入するのを防止するようになる。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記下枠及び上枠は、ガラス嵌合溝を形成するために室外側に起立片を有するとともに、該起立片の先端位置は前記化粧板の先端位置とほぼ同じ見付け位置となるように形成され、
前記起立片と前記化粧板との間に所定の隙間を有するとともに、該隙間にシール材を充填して封鎖し、前記ガラス支持用ガスケットが前記シール材を覆っている請求項1記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明は、請求項1に係る発明に加え、窓部の好適な納まり構造を限定したものである。具体的には、前記起立片と前記化粧板との間に所定の隙間を有するとともに、該隙間にシール材を充填して封鎖しているため、負圧、地震力、熱膨張などの影響によって窓枠から化粧板に外力が作用した際、前記シール材が緩衝材となって外力の作用をほぼ無くすか低減し、前記化粧板に割れや欠損が発生するのを防止する。更に、前記ガラス支持用ガスケットが前記シール材を覆うことでシール材の経年劣化を防止することができる。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記シール材として、変形性能の高い軟質系材料を用いてある請求項2記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明は、前記シール材として、変形性能の高い軟質系材料を用いることにより、負圧、地震力、熱膨張などの影響によって窓枠から化粧板に作用する外力を効果的に吸収することが可能となる。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記化粧板側の面にL字状の段部を形成し、このL字状段部を前記化粧板の縁部に係合させてある請求項1〜3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0018】
上記請求項4記載の発明は、前記ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記化粧板側の面にL字状の段部を形成し、このL字状段部を前記化粧板の縁部に係合させるようにしたものである。従って、化粧板の縁部とガラス支持用ガスケットの先端部とがL字状の2面で接触するため、雨水等の浸入をより効果的に防止できるようになる。
【0019】
請求項5に係る本発明として、前記ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項2、3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0020】
上記請求項5記載の発明は、前記ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造とすることで、ガラス支持用ガスケットが経年劣化した際、室外側から簡単に交換することが可能となる。
【0021】
請求項6に係る本発明として、前記方立は、室外側に前記ガラス支持用ガスケットの先端と見込み方向に同位置となる同面位置に見付け板状面を有するとともに、この見付け板状面の両端から室内方向に起立する第2起立片を有し、ガラス室外側面と前記第2起立片との間に第2ガラス支持用ガスケットを取付けてある請求項1〜5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0022】
上記請求項6記載の発明は、縦枠側となる方立の構造を限定したものである。この縦枠側において、前記下枠と上枠とに設けたガラス支持用ガスケットの連続性を確保するようにしている。具体的には、前記方立は、室外側に前記ガラス支持用ガスケットの先端と見込み方向に同位置となる同面位置に見付け板状面を有するとともに、この見付け板状面の両端から室内方向に起立する第2起立片を有するようにする。この第2起立片はガラス支持用ガスケットを支持するためのものであるが、ガスケット支持部は、前記起立片のガスケット支持部と周方向に連続させるようにしている。そして、ガラス室外側面と前記第2起立片との間に第2ガラス支持用ガスケットを取付けるようにする。これにより、方立と下枠及び上枠との間でガラス支持用ガスケットの連続性が確保されるようになる。
【0023】
請求項7に係る本発明として、前記第2ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記見付け板状面側の面にL字状の段部を形成する一方、前記見付け板状面と第2起立片との外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部を係合させてある請求項6記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0024】
上記請求項7記載の発明は、ガラス支持用ガスケットの先端部の構造に関して、下枠及び上枠で採用した請求項4に係る発明と類似の構造を採用したものである。具体的には、前記第2ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延びた先端部において、前記見付け板状面側の面にL字状の段部を形成する。また、前記見付け板状面と第2起立片との外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部を係合させるようにする。従って、方立においても、方立の縁部とガラス支持用ガスケットの先端部とがL字状の2面で接触するため、雨水等の浸入をより効果的に防止できるようになる。
【0025】
請求項8に係る本発明として、前記第2ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記第2起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項6,7いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0026】
上記請求項8記載の発明は、前記第2ガラス支持用ガスケットも、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造とすることで、第2ガラス支持用ガスケットが経年劣化した際、室外側から簡単に交換することが可能となる。
【0027】
請求項9に係る本発明として、前記PCカーテンウォールユニットにおいて、前記下枠に近接する化粧板の上面を外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けてある請求項1〜8いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0028】
上記請求項9記載の発明は、下枠部において、前記化粧板の上面を外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けたため、雨水を効果的に排出することが可能となる。
【0029】
請求項10に係る本発明として、前記下枠及び上枠は、コンクリートに埋設されたアンカーフィンによって固定され、前記下枠部において、前記アンカーフィンと前記起立片との間にコンクリート内を貫通する排水路を設けてある請求項2、3、5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0030】
上記請求項10記載の発明は、前記アンカーフィンを避け、前記アンカーフィンと前記起立片との間にコンクリート躯体内を貫通する排水通路を設けて雨水の排水を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0031】
以上詳説のとおり本発明によれば、窓枠を使用し耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足させながら、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてフレームレス化を実現し、デザイン性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る横連窓PCカーテンウォールを用いた建物の外観図である。
【図2】図1のII−II線矢視図(横断面図)である。
【図3】図1のIII−III線矢視図(縦断面図)である。
【図4】PCカーテンウォールの窓部縦断面図である。
【図5】PCカーテンウォールの窓部横断面図である。
【図6】ガラスG及びその支持部材を省略した方立5部分の縦断面図であある。
【図7】図6のVII−VII線矢視図(上枠6の外観図)である。
【図8】図6のVIII−VIII線矢視図(上枠6の内観図)である。
【図9】図6のIX−IX線矢視図(方立横断面図)である。
【図10】ガラス支持用ガスケットの他例を示す上枠部縦断面図である。
【図11】特許文献1に係るPCカーテンウォールの外観図である。
【図12】特許文献2に係るジッパーガスケットの要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0034】
図1〜図3に示されるように、本カーテンウォールは、建物の窓部Wを挟んで上階側腰部及び下階側腰部にそれぞれPCカーテンウォールユニット1A、1Bを固設し、上階側PCカーテンウォールユニット1Aと下階側PCカーテンウォールユニット1Bとの空間に水平方向に間隔を空けて方立5,5…を設け、これら上階側PCカーテンウォールユニット1Aと下階側PCカーテンウォールユニット1Bと方立5,5とによって囲まれた各開口部にガラスを支持させた横連窓PCカーテンウォールである。
【0035】
前記PCカーテンウォールユニット1A、1Bは、工場で製作され、建物の建設現場に搬入され、スパンドレル部(腰部)の床端部に設けられるファスナー(図示せず)によって水平方向に沿って並列するように設けられる。なお、ガラスGについては、PCカーテンウォールユニット1A、1Bを取り付けた後、現場にて設置される。
【0036】
以下、更に図面に基づいて詳述する。
【0037】
前記PCカーテンウォールユニット1A、1Bのコンクリート2の外面側には化粧板3が張設され、前記コンクリート2の上面4Bに窓枠の一部となる下枠7が固設されるとともに、コンクリート2の下面4Aに窓枠の一部となる上枠6が固設されている。PCカーテンウォールユニット1A、1Bで使用されるコンクリート2(以下、PC版ともいう。)は、流動性の高いコンクリートを使用し、型枠の隅々まで骨材を分離させることなく充填することができるようにするのが望ましく、コンクリート2の圧縮強度(設計基準強度)は、50N/mm2程度とするのが望ましい。外面側の化粧版3としては、本石やタイルなどを使用することが可能であるが、本PCカーテンウォールユニット1A、1Bでは、PC版2の表面に本石を張設している。本石の厚みは概ね20〜40mm程度である。
【0038】
前記上枠6は、図4に示されるように、水平板6aの室内側端部に裏面側に延在し、PC版2に埋設された第1アンカーフィン6bと、見込み幅内の裏面中間にPC版2に埋設された第2アンカーフィン6cとによってPC版2の下面4Aに固定されている。内面側には、室外側端部にガスケット保持を兼ねるとともに、開口中心側に直立する起立片6dと、室内側端部に係止片6fと、中間に係止片6eとを有し、これら係止片6e、6fに係止された横押縁10が取り付けられ、前記起立片6dと横押縁10とによってガラス嵌合溝Mが形成されている。前記アンカーフィン6b、6cは、部材の全長に亘って設けられていても良いし、部分的であってもよい。更には断続的に設けられてもよい。
【0039】
前記下枠7も、水平板7aの室内側端部に裏面側に延在し、PC版2に埋設された第1アンカーフィン7bと、見込み幅内の裏面中間にPC版2に埋設された第2アンカーフィン7cとによってPC版2の上面4Bに固定されている。内面側には、室外側端部にガスケット保持を兼ねるとともに、開口中心側に直立する起立片7dと、室内側端部に係止片7fと、中間に係止片7eとを有し、これら係止片7e、7fに係止された横押縁11が取り付けられ、前記起立片6dと横押縁11とによってガラス嵌合溝Mが形成されている。なお、前記下枠7においては、前記第2アンカーフィン7cと前記起立片7dとの間にコンクリート3内を貫通する排水路24を設け、下枠7に浸入してきた雨水を排出するようにしている。
【0040】
一方、方立5は、図5に示されるように、中空部を有する室内側方立5Aと、室外に露出する見付け板状面5bを有するとともに、見付け板状面5bの両端から室内方向に起立する第2起立片5c、5dを有する略T字断面の室外側方立5Bとが断熱性確保のために樹脂14,14によって連結された部材とされる。前記室内側方立5Aは、前記上枠6に固定された断面L字状の方立支持部材8の起立部が中空部に挿入され、ボルト25を室内側方立5Aの室内側から貫通し、前記方立支持部材8の起立部に螺入させることにより固定されるとともに、前記下枠7に固定された断面L字状の方立支持部材9の起立部が中空部に挿入され、ボルト25を室内側方立5Aの室内側から貫通し、前記方立支持部材9の起立部に螺入させることにより、上枠6と下枠7との間に支持されている。前記室内側方立5Aの両側には縦押縁12,13が取り付けられることにより、これら縦押縁12,13と前記第2起立片5c、5dとによってガラス嵌合溝Mが形成されている。前記見付け板状面5bの室外側面は、後述する第2ガラス支持用ガスケット18とガラス支持用ガスケット17との連続性を確保するために、前記ガラス支持用ガスケット17の先端と見込み方向に同位置となる同面位置に形成されている。
【0041】
ガラスGは複層ガラスとされ、前記上枠6,下枠7及び方立5によって四周方向に沿って形成されたガラス嵌合溝M内に支持されている。ガラスGは、ガラスGの室内側面の周囲において押縁10〜13との間に配置されたバックアップ材15とシール材16と、ガラスGの室外側面の周囲において前記起立片6d、7dとの間に配置されたガラス支持用ガスケット17及び第2起立片5c、5dとの間に配置された第2ガラス支持用ガスケット18とによって挟み付けられるように支持されている。なお、前記ガラス支持用ガスケット17と第2ガラス支持用ガスケット18とは同部材である。
【0042】
以下、更に前記上枠6,下枠7及び方立5,5からなる窓枠の納まり構造について手順をまじえながら詳述する。
【0043】
図4に示されるように、前記上枠6、下枠7は、前記コンクリート2側に固設され、コンクリート2の開口部形成面4A、4Bよりも開口中心側方向に延在する前記化粧板3によって隠蔽され、前記化粧板3とガラス室外側面との間に設けられた前記ガラス支持用ガスケット17は、前記化粧板3の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させている。
【0044】
詳しくは、前記上枠6及び下枠7は前記化粧板3を避けてコンクリート2側に固設され、前記化粧板3はコンクリート2の開口部(下面4A、上面4B)よりも開口中心側方向に延在し、前記化粧板3の先端位置は前記窓枠5の各起立片6d、7dの先端位置とほぼ同じ見付け位置となっている。前記化粧板3の先端位置は、前記方立5の各起立片6d、7dの先端位置よりも僅かであれば手前側でもよいが、好ましくは同じ見付け位置か、前記起立片6d、7dの先端位置よりも若干開口部側方向に突出して形成されているようにする。前記起立片6d、7dと前記化粧板3との間には所定幅の隙間20を有するようにし、この隙間20にバックアップ材21、シール材22を充填して封鎖している。つまり、前記上枠6及び下枠7を化粧板3に接触させることなく配置し、これらの間に隙間20を形成し、この隙間20をシール材22によって充填することにより、負圧、地震力、熱膨張などの影響によって前記上枠6及び下枠7から化粧板3側に外力が作用した際、前記シール材22が緩衝材となって外力が作用しないようにするか低減させ、前記化粧板3に割れや欠損が発生するのを防止する。前記シール材22としては、緩衝材としての機能を効果的に発揮するように、変形性能の高い軟質系材料を用いるのが望ましい。このようなシール材料としては、ポリサルファイド系やウレタン系が望ましい。
【0045】
一方、方立5は、図6〜図9にも示されるように、前記上枠6に固定された方立支持部材8と、前記下枠7に固定された方立支持部材9とによって上枠6と下枠7との間に支持されるが、前記方立5と上枠6及び下枠7との間には空隙が設けられ、これらの空隙はシール材28、31が充填され封鎖される。これらシール材28,31の充填はガラスGを嵌合した後に行われるために、工場において、方立5に対してそのための前処理を行っておく。具体的には、室外側方立5B側においては、同図6及び図7に示されるように、室外側方立5Bの見付け板状面5bと第2起立片5c、5dとに囲まれた領域を封鎖するために、先ずL字断面のシール受け26を配設するとともに、この外側(上側又は下側)にシール材27を充填する。また、室内側方立5A側においても、図6及び図8に示されるように、縦押縁12,13の内部を埋めるために、シール受け29を配設するとともに、この外側(上側又は下側)にシール材30を充填する。なお、化粧板3,3との間、PC版2,2との間のシール材33は、カーテンウォールユニット間を埋めるシール材である。また、図6において、上枠6及び下枠7を覆うように設けたシール材32は、PC版2,2の端部シールである。
【0046】
前述した上枠6,下枠7及び方立5によって形成された開口部のガラス嵌合溝MにガラスGを設置するが、これに先行して、前記上枠6の起立片6dと、前記下枠7の起立片7dに対してガラス支持用ガスケット17を取り付けるとともに、室外側方立5Bの第2起立片5c、5dに対して第2ガラス支持用ガスケット18を取り付ける。前記ガラス支持用ガスケット17は、図4に示されるように、略断面L字状を成す部材であり、一方の辺がガラス面に当接してガラスGを支持する当接片17aであり、他方の辺は室外側方向に延び、前記シール材22を覆う額縁部17bとなっている。前記額縁部17bの先端は前記化粧板3の縁部に掛かるようになっている。図示例では、前記額縁部17bの先端部において、前記化粧板3側の面にL字状の段部17cを形成し、このL字状段部17cを前記化粧板3の縁部に係合させるようにしている。また、前記下枠7においては、ガラス面からの雨水が流下し易いように、前記化粧板3の上面3aを外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けている。
【0047】
方立5側においては、図6に示されるように、前記第2起立片5c、5dのガスケット支持部の室内側面pは、上枠6の起立片6dのガスケット支持部の室内側面q及び下枠7の起立片7dのガスケット支持部の室内側面qと同じ見込み方向位置とされ、周方向に亘って連続するガスケット支持部が形成されている。前記第2ガラス支持用ガスケット18は、前記上枠6及び下枠7に取り付けたガラス支持用ガスケット17と同じ部材が使用され、周方向に連続するように取付けできるようになっている。
【0048】
前記第2ガラス支持用ガスケット18は、図5に示されるように、室外側方向に延出させた先端部において、前記見付け板状面5b側の面にL字状の段部18cを形成する一方、前記見付け板状面5bと第2起立片5c、5dとの外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部18cを係合させるようにしており、前記上下枠6,7のガラス支持用ガスケット17と同じ納まり構造となっている。
【0049】
前記ガラス支持用ガスケット17、18の設置が完了したならば、前記下枠7の底面にセッティングブロック23を設置し、この上にガラスGを載置したならば、上枠6、下枠7に横押縁10、11を取り付けるとともに、方立5に縦押縁12,13を取り付ける。そして、ガラスGの背面側(室内面側)の周囲において、押縁10〜13との間にバックアップ材15とシール材16とを充填し、前記ガラス支持用ガスケット17、18と前記バックアップ材15,シール材16とによりガラスGを挟みこむように支持する。
【0050】
その後、図7に示すように、室外側方立5Bの上下部において、躯体との間隙をシール材28を充填して埋め、図8に示されるように、室内側方立5A及び縦押縁12,13と躯体との間隙にシール材31を充填して埋めるようにする。
【0051】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、ガラス支持用ガスケット17は、ガラスGよりも先に取り付ける必要があり、経年劣化により交換が必要になった際、ガラスGを取り外さないと交換できない構造となっているが、ガラス面の室外側からガラスGと前記起立片6d、7d及び第2起立片5c、5dとの間に挿入可能な構造とすることも可能である。具体的には図10に示されるように(上枠6のみを図示)、上枠6の起立片6dにはガラス面方向に開口を向けたL字片6gを形成しておき、ガラス支持用ガスケット34は、ガラス面側の当接片を前記L字片6gとガラス面との間に挿入される第1挿入部34aと、前記L字片6gに挿入される第2挿入34bとから構成し、ガラス面の室外側から押入することにより設置可能とする。なお、室外側方向に延びる額縁部34cについては、前記ガラス支持用ガスケット17と同様、前記化粧板3側の面にL字状の段部34dを形成し、このL字状段部34dを前記化粧板3の縁部に係合させるようにしている。
【符号の説明】
【0052】
1A・1B…PCカーテンウォールユニット、2…コンクリート、3…化粧板、4A…(コンクリート2の)下面、4B…(コンクリート2の)上面、5…方立、5A…室内側方立、5B…室外側方立、5b…見付け板状面、5c・5d…第2起立片、6…上枠、7…下枠、8・9…方立支持部材、10・11…横押縁、12・13…縦押縁、17…ガラス支持用ガスケット、18…第2ガラス支持用ガスケット、15・22…バックアップ材、16・21…シール材、6b・7b…第1アンカーフィン、6c・7c…第2アンカーフィン
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてデザイン性を向上させた横連窓PCカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
特に中層から高層のビル等では盛んにカーテンウォール工法が採用されている。このカーテンウォール工法には、今まで種々のものが提案されているが、外壁を構成するPC版(プレキャストコンクリート版)と、このPC版によって支持されるガラス等のパネルからなるPCカーテンウォールが市場に多く提供されている。
【0003】
前記PC版は、外面にレンガ、タイルや本石などの化粧板が一体的に張設され、外壁面のデザイン自由度が高いなどのメリットを有する他、高強度であるとともに、高い耐火性と断熱性を有し、かつ製造コストが廉価であるなどの利点を有し、近年の建物では多く採用されている。
【0004】
前記PCカーテンウォールの例としては、例えば下記特許文献1を挙げることができる。このPCカーテンウォールは、図11に示されるように、ガラスを有するカーテンウォールユニット50、50…と、プレキャストコンクリート製のPCカーテンウォール51、51…とを備えて構成されており、前記PCカーテンウォール51,51…を建物壁面に固定するとともに、PCカーテンウォール51、51…によって四周が囲まれた開口部に対してカーテンウォールユニット50、50…を設置した構造とされる。前記カーテンウォールユニット50は、上枠52、下枠53、および左右の縦枠54,55を四周枠組みした枠体内に障子を備えた構造となっている。
【0005】
前述したPCカーテンウォールにおいては、アルミ合金又はスチール等からなる窓枠を室外側に露出させた構造が一般的となっているが、近年はデザインの多様化によって、窓枠を露出させずにフレームレス化を図ったものも好まれる傾向にある。
【0006】
他方で、窓枠を有しないPCカーテンウォール構造が、下記特許文献2に開示されている。この特許文献2では、図12に示されるように、ガラス板G(板材)の端部を嵌め込む板材嵌込溝56とジッパー57を嵌め込むジッパー溝58とをゴム本体59に形成し、該ゴム本体59にコンクリート部60の取付溝61に嵌合されるアンカー62を突設したジッパーガスケット63が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−270251号公報
【特許文献2】特開2005−299178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献2に開示されたガラス支持構造の場合は、ガラス周囲に見付け幅の大きいジッパーガスケット63が室外側から見えるためデザイン性が悪いとともに、火災時には簡単にジッパーガスケット63が溶融しガラス自体が落下するおそれがあり耐火仕様を実現できていない。また、ジッパーガスケット63の経年劣化による強度低下が懸念されるなどの問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、窓枠を使用し耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足させながら、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてフレームレス化を実現し、デザイン性の向上を図った横連窓PCカーテンウォールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、建物の窓部を挟んで上階側腰部及び下階側腰部にそれぞれPCカーテンウォールユニットを固設し、上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットとの空間に水平方向に間隔を空けて方立を設け、これら上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットと方立とによって囲まれた各開口部にガラスを支持させた横連窓PCカーテンウォールにおいて、
前記上階側PCカーテンウォールユニット及び下階側PCカーテンウォールユニットは、コンクリートの外面側に化粧板が張設され、コンクリートの上面側に下枠が固設されるとともに、コンクリートの下面側に上枠が固設され、
前記下枠及び上枠が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板によって隠蔽され、前記化粧板とガラス室外側面との間に、前記化粧板の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケットを取り付けたことを特徴とする横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明においては、上階側PCカーテンウォールユニット及び下階側PCカーテンウォールユニットは、コンクリートの外面側に化粧板が張設され、前記コンクリートの上面側に下枠が固設されるとともに、下面側に上枠が固設され、前記下枠及び上枠が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板によって隠蔽された構造とするものである。従って、窓枠を使用しているため耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足することができるとともに、化粧板によって下枠及び上枠が外部から隠蔽されるため視覚的にフレームレス化を実現することができる。
【0012】
また、前記化粧板とガラス室外側面との間に、前記化粧板の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケットを取り付けてあるため、ガラス支持用ガスケットから化粧板までの連続性が確保され、雨水等が隙間から浸入するのを防止するようになる。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記下枠及び上枠は、ガラス嵌合溝を形成するために室外側に起立片を有するとともに、該起立片の先端位置は前記化粧板の先端位置とほぼ同じ見付け位置となるように形成され、
前記起立片と前記化粧板との間に所定の隙間を有するとともに、該隙間にシール材を充填して封鎖し、前記ガラス支持用ガスケットが前記シール材を覆っている請求項1記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明は、請求項1に係る発明に加え、窓部の好適な納まり構造を限定したものである。具体的には、前記起立片と前記化粧板との間に所定の隙間を有するとともに、該隙間にシール材を充填して封鎖しているため、負圧、地震力、熱膨張などの影響によって窓枠から化粧板に外力が作用した際、前記シール材が緩衝材となって外力の作用をほぼ無くすか低減し、前記化粧板に割れや欠損が発生するのを防止する。更に、前記ガラス支持用ガスケットが前記シール材を覆うことでシール材の経年劣化を防止することができる。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記シール材として、変形性能の高い軟質系材料を用いてある請求項2記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明は、前記シール材として、変形性能の高い軟質系材料を用いることにより、負圧、地震力、熱膨張などの影響によって窓枠から化粧板に作用する外力を効果的に吸収することが可能となる。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記化粧板側の面にL字状の段部を形成し、このL字状段部を前記化粧板の縁部に係合させてある請求項1〜3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0018】
上記請求項4記載の発明は、前記ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記化粧板側の面にL字状の段部を形成し、このL字状段部を前記化粧板の縁部に係合させるようにしたものである。従って、化粧板の縁部とガラス支持用ガスケットの先端部とがL字状の2面で接触するため、雨水等の浸入をより効果的に防止できるようになる。
【0019】
請求項5に係る本発明として、前記ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項2、3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0020】
上記請求項5記載の発明は、前記ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造とすることで、ガラス支持用ガスケットが経年劣化した際、室外側から簡単に交換することが可能となる。
【0021】
請求項6に係る本発明として、前記方立は、室外側に前記ガラス支持用ガスケットの先端と見込み方向に同位置となる同面位置に見付け板状面を有するとともに、この見付け板状面の両端から室内方向に起立する第2起立片を有し、ガラス室外側面と前記第2起立片との間に第2ガラス支持用ガスケットを取付けてある請求項1〜5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0022】
上記請求項6記載の発明は、縦枠側となる方立の構造を限定したものである。この縦枠側において、前記下枠と上枠とに設けたガラス支持用ガスケットの連続性を確保するようにしている。具体的には、前記方立は、室外側に前記ガラス支持用ガスケットの先端と見込み方向に同位置となる同面位置に見付け板状面を有するとともに、この見付け板状面の両端から室内方向に起立する第2起立片を有するようにする。この第2起立片はガラス支持用ガスケットを支持するためのものであるが、ガスケット支持部は、前記起立片のガスケット支持部と周方向に連続させるようにしている。そして、ガラス室外側面と前記第2起立片との間に第2ガラス支持用ガスケットを取付けるようにする。これにより、方立と下枠及び上枠との間でガラス支持用ガスケットの連続性が確保されるようになる。
【0023】
請求項7に係る本発明として、前記第2ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記見付け板状面側の面にL字状の段部を形成する一方、前記見付け板状面と第2起立片との外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部を係合させてある請求項6記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0024】
上記請求項7記載の発明は、ガラス支持用ガスケットの先端部の構造に関して、下枠及び上枠で採用した請求項4に係る発明と類似の構造を採用したものである。具体的には、前記第2ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延びた先端部において、前記見付け板状面側の面にL字状の段部を形成する。また、前記見付け板状面と第2起立片との外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部を係合させるようにする。従って、方立においても、方立の縁部とガラス支持用ガスケットの先端部とがL字状の2面で接触するため、雨水等の浸入をより効果的に防止できるようになる。
【0025】
請求項8に係る本発明として、前記第2ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記第2起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項6,7いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0026】
上記請求項8記載の発明は、前記第2ガラス支持用ガスケットも、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造とすることで、第2ガラス支持用ガスケットが経年劣化した際、室外側から簡単に交換することが可能となる。
【0027】
請求項9に係る本発明として、前記PCカーテンウォールユニットにおいて、前記下枠に近接する化粧板の上面を外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けてある請求項1〜8いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0028】
上記請求項9記載の発明は、下枠部において、前記化粧板の上面を外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けたため、雨水を効果的に排出することが可能となる。
【0029】
請求項10に係る本発明として、前記下枠及び上枠は、コンクリートに埋設されたアンカーフィンによって固定され、前記下枠部において、前記アンカーフィンと前記起立片との間にコンクリート内を貫通する排水路を設けてある請求項2、3、5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォールが提供される。
【0030】
上記請求項10記載の発明は、前記アンカーフィンを避け、前記アンカーフィンと前記起立片との間にコンクリート躯体内を貫通する排水通路を設けて雨水の排水を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0031】
以上詳説のとおり本発明によれば、窓枠を使用し耐久性、耐火性、断熱性などの諸特性を満足させながら、室外側から下枠と上枠とを見えないようにしてフレームレス化を実現し、デザイン性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る横連窓PCカーテンウォールを用いた建物の外観図である。
【図2】図1のII−II線矢視図(横断面図)である。
【図3】図1のIII−III線矢視図(縦断面図)である。
【図4】PCカーテンウォールの窓部縦断面図である。
【図5】PCカーテンウォールの窓部横断面図である。
【図6】ガラスG及びその支持部材を省略した方立5部分の縦断面図であある。
【図7】図6のVII−VII線矢視図(上枠6の外観図)である。
【図8】図6のVIII−VIII線矢視図(上枠6の内観図)である。
【図9】図6のIX−IX線矢視図(方立横断面図)である。
【図10】ガラス支持用ガスケットの他例を示す上枠部縦断面図である。
【図11】特許文献1に係るPCカーテンウォールの外観図である。
【図12】特許文献2に係るジッパーガスケットの要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0034】
図1〜図3に示されるように、本カーテンウォールは、建物の窓部Wを挟んで上階側腰部及び下階側腰部にそれぞれPCカーテンウォールユニット1A、1Bを固設し、上階側PCカーテンウォールユニット1Aと下階側PCカーテンウォールユニット1Bとの空間に水平方向に間隔を空けて方立5,5…を設け、これら上階側PCカーテンウォールユニット1Aと下階側PCカーテンウォールユニット1Bと方立5,5とによって囲まれた各開口部にガラスを支持させた横連窓PCカーテンウォールである。
【0035】
前記PCカーテンウォールユニット1A、1Bは、工場で製作され、建物の建設現場に搬入され、スパンドレル部(腰部)の床端部に設けられるファスナー(図示せず)によって水平方向に沿って並列するように設けられる。なお、ガラスGについては、PCカーテンウォールユニット1A、1Bを取り付けた後、現場にて設置される。
【0036】
以下、更に図面に基づいて詳述する。
【0037】
前記PCカーテンウォールユニット1A、1Bのコンクリート2の外面側には化粧板3が張設され、前記コンクリート2の上面4Bに窓枠の一部となる下枠7が固設されるとともに、コンクリート2の下面4Aに窓枠の一部となる上枠6が固設されている。PCカーテンウォールユニット1A、1Bで使用されるコンクリート2(以下、PC版ともいう。)は、流動性の高いコンクリートを使用し、型枠の隅々まで骨材を分離させることなく充填することができるようにするのが望ましく、コンクリート2の圧縮強度(設計基準強度)は、50N/mm2程度とするのが望ましい。外面側の化粧版3としては、本石やタイルなどを使用することが可能であるが、本PCカーテンウォールユニット1A、1Bでは、PC版2の表面に本石を張設している。本石の厚みは概ね20〜40mm程度である。
【0038】
前記上枠6は、図4に示されるように、水平板6aの室内側端部に裏面側に延在し、PC版2に埋設された第1アンカーフィン6bと、見込み幅内の裏面中間にPC版2に埋設された第2アンカーフィン6cとによってPC版2の下面4Aに固定されている。内面側には、室外側端部にガスケット保持を兼ねるとともに、開口中心側に直立する起立片6dと、室内側端部に係止片6fと、中間に係止片6eとを有し、これら係止片6e、6fに係止された横押縁10が取り付けられ、前記起立片6dと横押縁10とによってガラス嵌合溝Mが形成されている。前記アンカーフィン6b、6cは、部材の全長に亘って設けられていても良いし、部分的であってもよい。更には断続的に設けられてもよい。
【0039】
前記下枠7も、水平板7aの室内側端部に裏面側に延在し、PC版2に埋設された第1アンカーフィン7bと、見込み幅内の裏面中間にPC版2に埋設された第2アンカーフィン7cとによってPC版2の上面4Bに固定されている。内面側には、室外側端部にガスケット保持を兼ねるとともに、開口中心側に直立する起立片7dと、室内側端部に係止片7fと、中間に係止片7eとを有し、これら係止片7e、7fに係止された横押縁11が取り付けられ、前記起立片6dと横押縁11とによってガラス嵌合溝Mが形成されている。なお、前記下枠7においては、前記第2アンカーフィン7cと前記起立片7dとの間にコンクリート3内を貫通する排水路24を設け、下枠7に浸入してきた雨水を排出するようにしている。
【0040】
一方、方立5は、図5に示されるように、中空部を有する室内側方立5Aと、室外に露出する見付け板状面5bを有するとともに、見付け板状面5bの両端から室内方向に起立する第2起立片5c、5dを有する略T字断面の室外側方立5Bとが断熱性確保のために樹脂14,14によって連結された部材とされる。前記室内側方立5Aは、前記上枠6に固定された断面L字状の方立支持部材8の起立部が中空部に挿入され、ボルト25を室内側方立5Aの室内側から貫通し、前記方立支持部材8の起立部に螺入させることにより固定されるとともに、前記下枠7に固定された断面L字状の方立支持部材9の起立部が中空部に挿入され、ボルト25を室内側方立5Aの室内側から貫通し、前記方立支持部材9の起立部に螺入させることにより、上枠6と下枠7との間に支持されている。前記室内側方立5Aの両側には縦押縁12,13が取り付けられることにより、これら縦押縁12,13と前記第2起立片5c、5dとによってガラス嵌合溝Mが形成されている。前記見付け板状面5bの室外側面は、後述する第2ガラス支持用ガスケット18とガラス支持用ガスケット17との連続性を確保するために、前記ガラス支持用ガスケット17の先端と見込み方向に同位置となる同面位置に形成されている。
【0041】
ガラスGは複層ガラスとされ、前記上枠6,下枠7及び方立5によって四周方向に沿って形成されたガラス嵌合溝M内に支持されている。ガラスGは、ガラスGの室内側面の周囲において押縁10〜13との間に配置されたバックアップ材15とシール材16と、ガラスGの室外側面の周囲において前記起立片6d、7dとの間に配置されたガラス支持用ガスケット17及び第2起立片5c、5dとの間に配置された第2ガラス支持用ガスケット18とによって挟み付けられるように支持されている。なお、前記ガラス支持用ガスケット17と第2ガラス支持用ガスケット18とは同部材である。
【0042】
以下、更に前記上枠6,下枠7及び方立5,5からなる窓枠の納まり構造について手順をまじえながら詳述する。
【0043】
図4に示されるように、前記上枠6、下枠7は、前記コンクリート2側に固設され、コンクリート2の開口部形成面4A、4Bよりも開口中心側方向に延在する前記化粧板3によって隠蔽され、前記化粧板3とガラス室外側面との間に設けられた前記ガラス支持用ガスケット17は、前記化粧板3の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させている。
【0044】
詳しくは、前記上枠6及び下枠7は前記化粧板3を避けてコンクリート2側に固設され、前記化粧板3はコンクリート2の開口部(下面4A、上面4B)よりも開口中心側方向に延在し、前記化粧板3の先端位置は前記窓枠5の各起立片6d、7dの先端位置とほぼ同じ見付け位置となっている。前記化粧板3の先端位置は、前記方立5の各起立片6d、7dの先端位置よりも僅かであれば手前側でもよいが、好ましくは同じ見付け位置か、前記起立片6d、7dの先端位置よりも若干開口部側方向に突出して形成されているようにする。前記起立片6d、7dと前記化粧板3との間には所定幅の隙間20を有するようにし、この隙間20にバックアップ材21、シール材22を充填して封鎖している。つまり、前記上枠6及び下枠7を化粧板3に接触させることなく配置し、これらの間に隙間20を形成し、この隙間20をシール材22によって充填することにより、負圧、地震力、熱膨張などの影響によって前記上枠6及び下枠7から化粧板3側に外力が作用した際、前記シール材22が緩衝材となって外力が作用しないようにするか低減させ、前記化粧板3に割れや欠損が発生するのを防止する。前記シール材22としては、緩衝材としての機能を効果的に発揮するように、変形性能の高い軟質系材料を用いるのが望ましい。このようなシール材料としては、ポリサルファイド系やウレタン系が望ましい。
【0045】
一方、方立5は、図6〜図9にも示されるように、前記上枠6に固定された方立支持部材8と、前記下枠7に固定された方立支持部材9とによって上枠6と下枠7との間に支持されるが、前記方立5と上枠6及び下枠7との間には空隙が設けられ、これらの空隙はシール材28、31が充填され封鎖される。これらシール材28,31の充填はガラスGを嵌合した後に行われるために、工場において、方立5に対してそのための前処理を行っておく。具体的には、室外側方立5B側においては、同図6及び図7に示されるように、室外側方立5Bの見付け板状面5bと第2起立片5c、5dとに囲まれた領域を封鎖するために、先ずL字断面のシール受け26を配設するとともに、この外側(上側又は下側)にシール材27を充填する。また、室内側方立5A側においても、図6及び図8に示されるように、縦押縁12,13の内部を埋めるために、シール受け29を配設するとともに、この外側(上側又は下側)にシール材30を充填する。なお、化粧板3,3との間、PC版2,2との間のシール材33は、カーテンウォールユニット間を埋めるシール材である。また、図6において、上枠6及び下枠7を覆うように設けたシール材32は、PC版2,2の端部シールである。
【0046】
前述した上枠6,下枠7及び方立5によって形成された開口部のガラス嵌合溝MにガラスGを設置するが、これに先行して、前記上枠6の起立片6dと、前記下枠7の起立片7dに対してガラス支持用ガスケット17を取り付けるとともに、室外側方立5Bの第2起立片5c、5dに対して第2ガラス支持用ガスケット18を取り付ける。前記ガラス支持用ガスケット17は、図4に示されるように、略断面L字状を成す部材であり、一方の辺がガラス面に当接してガラスGを支持する当接片17aであり、他方の辺は室外側方向に延び、前記シール材22を覆う額縁部17bとなっている。前記額縁部17bの先端は前記化粧板3の縁部に掛かるようになっている。図示例では、前記額縁部17bの先端部において、前記化粧板3側の面にL字状の段部17cを形成し、このL字状段部17cを前記化粧板3の縁部に係合させるようにしている。また、前記下枠7においては、ガラス面からの雨水が流下し易いように、前記化粧板3の上面3aを外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けている。
【0047】
方立5側においては、図6に示されるように、前記第2起立片5c、5dのガスケット支持部の室内側面pは、上枠6の起立片6dのガスケット支持部の室内側面q及び下枠7の起立片7dのガスケット支持部の室内側面qと同じ見込み方向位置とされ、周方向に亘って連続するガスケット支持部が形成されている。前記第2ガラス支持用ガスケット18は、前記上枠6及び下枠7に取り付けたガラス支持用ガスケット17と同じ部材が使用され、周方向に連続するように取付けできるようになっている。
【0048】
前記第2ガラス支持用ガスケット18は、図5に示されるように、室外側方向に延出させた先端部において、前記見付け板状面5b側の面にL字状の段部18cを形成する一方、前記見付け板状面5bと第2起立片5c、5dとの外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部18cを係合させるようにしており、前記上下枠6,7のガラス支持用ガスケット17と同じ納まり構造となっている。
【0049】
前記ガラス支持用ガスケット17、18の設置が完了したならば、前記下枠7の底面にセッティングブロック23を設置し、この上にガラスGを載置したならば、上枠6、下枠7に横押縁10、11を取り付けるとともに、方立5に縦押縁12,13を取り付ける。そして、ガラスGの背面側(室内面側)の周囲において、押縁10〜13との間にバックアップ材15とシール材16とを充填し、前記ガラス支持用ガスケット17、18と前記バックアップ材15,シール材16とによりガラスGを挟みこむように支持する。
【0050】
その後、図7に示すように、室外側方立5Bの上下部において、躯体との間隙をシール材28を充填して埋め、図8に示されるように、室内側方立5A及び縦押縁12,13と躯体との間隙にシール材31を充填して埋めるようにする。
【0051】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、ガラス支持用ガスケット17は、ガラスGよりも先に取り付ける必要があり、経年劣化により交換が必要になった際、ガラスGを取り外さないと交換できない構造となっているが、ガラス面の室外側からガラスGと前記起立片6d、7d及び第2起立片5c、5dとの間に挿入可能な構造とすることも可能である。具体的には図10に示されるように(上枠6のみを図示)、上枠6の起立片6dにはガラス面方向に開口を向けたL字片6gを形成しておき、ガラス支持用ガスケット34は、ガラス面側の当接片を前記L字片6gとガラス面との間に挿入される第1挿入部34aと、前記L字片6gに挿入される第2挿入34bとから構成し、ガラス面の室外側から押入することにより設置可能とする。なお、室外側方向に延びる額縁部34cについては、前記ガラス支持用ガスケット17と同様、前記化粧板3側の面にL字状の段部34dを形成し、このL字状段部34dを前記化粧板3の縁部に係合させるようにしている。
【符号の説明】
【0052】
1A・1B…PCカーテンウォールユニット、2…コンクリート、3…化粧板、4A…(コンクリート2の)下面、4B…(コンクリート2の)上面、5…方立、5A…室内側方立、5B…室外側方立、5b…見付け板状面、5c・5d…第2起立片、6…上枠、7…下枠、8・9…方立支持部材、10・11…横押縁、12・13…縦押縁、17…ガラス支持用ガスケット、18…第2ガラス支持用ガスケット、15・22…バックアップ材、16・21…シール材、6b・7b…第1アンカーフィン、6c・7c…第2アンカーフィン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓部を挟んで上階側腰部及び下階側腰部にそれぞれPCカーテンウォールユニットを固設し、上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットとの空間に水平方向に間隔を空けて方立を設け、これら上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットと方立とによって囲まれた各開口部にガラスを支持させた横連窓PCカーテンウォールにおいて、
前記上階側PCカーテンウォールユニット及び下階側PCカーテンウォールユニットは、コンクリートの外面側に化粧板が張設され、かつ前記コンクリートの上面側に下枠が固設されるとともに、下面側に上枠が固設され、
前記下枠及び上枠が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板によって隠蔽され、前記化粧板とガラス室外側面との間に、前記化粧板の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケットを取り付けたことを特徴とする横連窓PCカーテンウォール。
【請求項2】
前記下枠及び上枠は、ガラス嵌合溝を形成するために室外側に起立片を有するとともに、該起立片の先端位置は前記化粧板の先端位置とほぼ同じ見付け位置となるように形成され、
前記起立片と前記化粧板との間に所定の隙間を有するとともに、該隙間にシール材を充填して封鎖し、前記ガラス支持用ガスケットが前記シール材を覆っている請求項1記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項3】
前記シール材として、変形性能の高い軟質系材料を用いてある請求項2記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項4】
前記ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記化粧板側の面にL字状の段部を形成し、このL字状段部を前記化粧板の縁部に係合させてある請求項1〜3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項5】
前記ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項2、3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項6】
前記方立は、室外側に前記ガラス支持用ガスケットの先端と見込み方向に同位置となる同面位置に見付け板状面を有するとともに、この見付け板状面の両端から室内方向に起立する第2起立片を有し、ガラス室外側面と前記第2起立片との間に第2ガラス支持用ガスケットを取付けてある請求項1〜5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項7】
前記第2ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記見付け板状面側の面にL字状の段部を形成する一方、前記見付け板状面と第2起立片との外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部を係合させてある請求項6記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項8】
前記第2ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記第2起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項6,7いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項9】
前記PCカーテンウォールユニットにおいて、前記下枠に近接する化粧板の上面を外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けてある請求項1〜8いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項10】
前記下枠及び上枠は、コンクリートに埋設されたアンカーフィンによって固定され、前記下枠部において、前記アンカーフィンと前記起立片との間にコンクリート内を貫通する排水路を設けてある請求項2、3、5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項1】
建物の窓部を挟んで上階側腰部及び下階側腰部にそれぞれPCカーテンウォールユニットを固設し、上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットとの空間に水平方向に間隔を空けて方立を設け、これら上階側PCカーテンウォールユニットと下階側PCカーテンウォールユニットと方立とによって囲まれた各開口部にガラスを支持させた横連窓PCカーテンウォールにおいて、
前記上階側PCカーテンウォールユニット及び下階側PCカーテンウォールユニットは、コンクリートの外面側に化粧板が張設され、かつ前記コンクリートの上面側に下枠が固設されるとともに、下面側に上枠が固設され、
前記下枠及び上枠が前記コンクリートの開口部形成面よりも開口中心側方向に延在する前記化粧板によって隠蔽され、前記化粧板とガラス室外側面との間に、前記化粧板の縁部に掛かるように先端部を室外側方向に延出させたガラス支持用ガスケットを取り付けたことを特徴とする横連窓PCカーテンウォール。
【請求項2】
前記下枠及び上枠は、ガラス嵌合溝を形成するために室外側に起立片を有するとともに、該起立片の先端位置は前記化粧板の先端位置とほぼ同じ見付け位置となるように形成され、
前記起立片と前記化粧板との間に所定の隙間を有するとともに、該隙間にシール材を充填して封鎖し、前記ガラス支持用ガスケットが前記シール材を覆っている請求項1記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項3】
前記シール材として、変形性能の高い軟質系材料を用いてある請求項2記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項4】
前記ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記化粧板側の面にL字状の段部を形成し、このL字状段部を前記化粧板の縁部に係合させてある請求項1〜3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項5】
前記ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項2、3いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項6】
前記方立は、室外側に前記ガラス支持用ガスケットの先端と見込み方向に同位置となる同面位置に見付け板状面を有するとともに、この見付け板状面の両端から室内方向に起立する第2起立片を有し、ガラス室外側面と前記第2起立片との間に第2ガラス支持用ガスケットを取付けてある請求項1〜5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項7】
前記第2ガラス支持用ガスケットの室外側方向に延出させた先端部において、前記見付け板状面側の面にL字状の段部を形成する一方、前記見付け板状面と第2起立片との外面側隅部に段差部を形成し、この段差部に前記第2ガラス支持用ガスケット先端部のL字状段部を係合させてある請求項6記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項8】
前記第2ガラス支持用ガスケットは、ガラス面の室外側からガラスと前記第2起立片との間に挿入可能な構造としてある請求項6,7いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項9】
前記PCカーテンウォールユニットにおいて、前記下枠に近接する化粧板の上面を外側に向けて傾斜させ排水勾配を設けてある請求項1〜8いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【請求項10】
前記下枠及び上枠は、コンクリートに埋設されたアンカーフィンによって固定され、前記下枠部において、前記アンカーフィンと前記起立片との間にコンクリート内を貫通する排水路を設けてある請求項2、3、5いずれかに記載の横連窓PCカーテンウォール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−11148(P2013−11148A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145925(P2011−145925)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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