樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法
【課題】地域住民の安心・安全を確保することの可能な樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法を提供する。
【解決手段】樹木管理者1aの型枠管理装置1Aは、樹木管理情報20を樹木2ごとに記憶する樹木データベース11A−2および樹木管理プログラム11A−2を備える。この型枠管理装置1Aでは、制御部10Aにより、樹木データベース11A−2に記憶された樹木管理情報20に基づいて作業指示情報31が生成され、通信部12Aにより、作業指示情報31が電子タグ3へのアクセスが可能な端末装置1Bへ送信される。
【解決手段】樹木管理者1aの型枠管理装置1Aは、樹木管理情報20を樹木2ごとに記憶する樹木データベース11A−2および樹木管理プログラム11A−2を備える。この型枠管理装置1Aでは、制御部10Aにより、樹木データベース11A−2に記憶された樹木管理情報20に基づいて作業指示情報31が生成され、通信部12Aにより、作業指示情報31が電子タグ3へのアクセスが可能な端末装置1Bへ送信される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、団地や、公園、公共施設、道路脇などに植えられた樹木や、郊外および山間部で集団的に生育している樹木(例えば森林)を管理するための樹木管理装置および樹木管理プログラム、ならびにそのような樹木管理装置および樹木管理プログラムを用いて樹木を管理する樹木管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今年、京都議定書が発効したのを受け、地球温暖化防止等の地球環境に配慮した地域活動が活発化している。例えば、都市部では、地球規模の気温の上昇だけでなく、ヒートアイランド現象による気温の上昇が深刻化していることから、光合成による二酸化炭素の吸収や、遮光や水蒸気の発生による気温上昇の抑制などの樹木の公益的な機能に着目して、団地や、公園、公共施設、道路脇などに、植樹が積極的に行われている。
【0003】
このような場所への植樹は、主に、地方自治体および所轄官庁や、これらから委託された財団法人およびNPO、自治会などの社団などによって行われており、植えられた樹木の管理もこれらの者によって行われている。ここで、樹木の管理とは、一般に固定資産としての管理を指しており、固定資産の管理に必要な情報は、これらの者により管理されている書類やパソコンなどに保管されているのが一般的である(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−202501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、都市部では、従来から、発電所や、自動車等による化石燃料の燃焼により生じた硫黄酸化物が大気中で硫酸となり、酸性雨となって土壌を汚染しているため、樹齢が若くても根の弱っている樹木が多数見受けられる。また、樹木の管理が適切になされていないために、樹冠が広がり過ぎたり、虫に食われて朽ちかけている樹木も多数存在する。しかし、樹木を管理する者は、樹木を固定資産としてしか考えておらず、上記のような実態を正確には把握していないため、そのような樹木は何らの手当てもなされずに放置されている。そのため、近年多発している集中豪雨や台風、地震などにより、街路樹などがいとも簡単に倒壊するケースが相次いでおり、地域の住民はそのような災害が発生して初めて、そのような実態を知ることとなる。また、郊外や山間部でも、林業経営の悪化や高齢化による熟練技術者の減少などによって、森林の管理が行き届かなくなってきている。そのため、都市部と同様、樹齢が若くても根の弱っている樹木や、樹冠が広がり過ぎたり、虫に食われて朽ちかけている樹木が多数存在しており、森林における地面の保水能力が年々低下してきている。その結果、集中豪雨や台風、地震などにより、がけ崩れや、地滑り、土石流などの土砂災害に巻き込まれるケースが頻発している。
【0006】
このように、樹木の管理が適切に行われていないために、地域の住民は常に危険にさらされており、不安な生活を強いられているという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、地域住民の安心・安全を確保することの可能な樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の樹木管理装置は、記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を樹木ごとに記憶するデータベースと、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成する作業指示情報生成手段と、作業指示情報生成手段が生成した作業指示情報を、記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信する送信手段とを備えたものである。
【0009】
本発明の樹木管理プログラムは、記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を樹木ごとにデータベースに記憶させるステップと、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成するステップと、その生成された作業指示情報を、記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信するステップとをコンピュータに実行させるようにしたものである。
【0010】
本発明の樹木管理方法は、記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を格納するためのデータベースを有する樹木管理装置と、各種樹木にそれぞれ付された記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置とを用意し、樹木管理装置から端末装置に作業指示情報を送信するように構成したものである。樹木管理装置の側では、前記樹木管理情報を樹木ごとにデータベースに記憶し、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成すると共に、その生成された作業指示情報を端末装置へ送信する。一方、端末装置の側では、樹木管理装置から送信された作業指示情報を受信し、その受信した作業指示情報を出力する。
【0011】
ここで、「樹木」とは、いわゆる立木のことであり、例えば、団地や、公園、公共施設、道路脇などに植樹された立木や、郊外および山間部で集団的に生育している立木(例えば森林)など、人による管理の必要な立木を指している。「記憶媒体」とは、例えば、電子タグや、2次元コードなどの、樹木の幹などに付することの可能な小さな記録媒体のことである。「電子タグ」は、RFID(Radio Frequency Identification)タグや、IC(Integrated Circuit)タグなどの総称であり、「2次元コード」は、文字や数字などのデータを二次元の図形パターンとして所定の表面に刻印・印刷した暗号である。「端末装置」とは、例えば、各種樹木を取り扱う業者(樹木取扱業者)の保有する情報処理装置のことである。「樹木管理情報」とは、各種樹木の特徴を特定することの可能な情報、例えば、識別子と、樹種、樹生地および育成状況を示す情報とを含むものである。「作業指示情報」とは、例えば、樹種、樹生地および育成状況を示す情報に基づいて生成されるものであり、例えば、通常作業指示情報および点検作業指示情報を含むものである。
【0012】
「育成状況」とは、各種樹木の生育状態を特定することの可能な情報、例えば、樹齢と、幹周りと、樹高と、樹冠と、不良内容とを示す情報を含むものである。「不良内容」とは、例えば、根が弱っているとか、樹冠が広がり過ぎているとか、虫に食われて朽ちかけているなど、樹木の不健全な態様を説明したものである。「通常作業指示情報」とは、樹木を健全に保つために通常行われる定型作業に関する情報、例えば、水やりや、枝打ち、肥料の供給などの作業に関する情報のことである。「点検作業指示情報」とは、樹木に不健全な箇所がないか確かめるための定型作業に関する情報、例えば、根腐れの有無の確認や、幹周り,樹高、および樹冠の計測、虫食いの有無の確認などの作業に関する情報のことである。
【0013】
本発明の樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法では、各種樹木の樹木管理情報の管理が樹木管理装置のデータベースを用いて行われる。具体的には、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報が生成され、その生成された作業指示情報が端末装置へ送信される。
【0014】
例えば、樹木管理装置では、樹種、樹生地および育成状況を示す情報とに基づいて個々の樹木に対して行うべき作業内容が決定され、その決定された作業内容は作業指示情報として端末装置へ送信され、端末装置に出力される。樹木取扱業者は、例えば、この出力された作業指示情報を基に個々の樹木の手入れや検査などを行う。このように、樹木取扱業者は、樹木管理装置からの作業指示情報に基づいて作業を行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明の樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法によれば、各種樹木の樹木管理情報の管理を樹木管理装置のデータベースを用いて行うようにしたので、樹木取扱業者は樹木管理情報から送信されてきた作業指示情報に基づいて作業を行うことができる。これにより、樹木の管理を適切に行うことが可能となるので、例えば、根が弱っていたり、虫に食われたりして、いまにも倒れそうになっている樹木や、樹冠が広がりすぎて台風などの強風に煽られて倒壊する虞のある樹木など、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、災害が発生するまで何もせずにそのまま放置することをなくすることが可能となる。その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がなくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る樹木管理方法(樹木管理方法)が適用される樹木管理システムを表すものである。この樹木管理システムは、樹木管理者1aによって使用される樹木管理装置1Aと、樹木取扱業者1bによって使用される端末装置1Bとを含む情報ネットワークシステムとして構築されたものである。
【0018】
樹木管理者1aは、この樹木管理システムに参加している各樹木取扱業者1bをとりまとめると共に、樹木2の手入れから検査、補修までの業務を樹木管理装置1Aを用いて一元的に管理する管理者のことである。ここで、樹木2とは、団地や、公園、公共施設、道路脇などに植樹された立木や、郊外および山間部で集団的に生育している立木(例えば森林)など、人による管理の必要な立木のことであり、例えば、楠、けやき、檜などの中高木のことを指している。樹木取扱業者1bは、樹木管理者1aからの指示に基づいて、樹木2を健全に保つために通常行われる定型作業、例えば、水やりや、枝打ち、肥料の供給などの作業のほか、樹木に不健全な箇所がないか確かめるための定型作業、例えば、根腐れや幹の内部の腐りの有無の確認や、幹周り,樹高、および樹冠の計測、外傷や虫食いの有無の確認などの作業などを行う業者のことである。
【0019】
図2は、樹木管理装置1Aの機能構成を表すものである。この樹木管理装置1Aは、制御部10Aと、記憶部11Aと、通信部12Aと、表示部13Aと、入力部14Aとを備えている。制御部10Aは、記憶部11A、通信部12A、表示部13Aおよび入力部14Aとそれぞれ接続されている。
【0020】
なお、通信部12Aは本発明の「送信手段」あるいは「受信手段」の一具体例に対応し、制御部10Aは本発明の「作業指示情報生成手段」あるいは「危険判定手段」の一具体例に対応する。
【0021】
図3は、端末装置1Bの機能構成を表すものである。この端末装置1Bは、制御部10Bと、記憶部11Bと、通信部12Bと、表示部13Bと、入力部14Bと、読出部15Bと、書込部16Bとを備えている。制御部10Bは、記憶部11B、通信部12B、表示部13B、入力部14B、読出部15Bおよび書込部16Bとそれぞれ接続されている。なお、読出部15Bおよび書込部16Bについては、図示のように端末装置1B本体に有線接続するのではなく、端末装置1B本体とは別体のハンディータイプのリーダライタユニットとして構成すると共に、このリーダライタユニットと端末装置1B本体との間を無線通信路により接続するようにしてもよい。
【0022】
樹木管理装置1Aの制御部10Aおよび端末装置1Bの制御部10Bは、それぞれ、プログラムの命令を解釈し、実行するためのもので、例えばCPU(Central Processing Unit )により構成される。樹木管理装置1Aの記憶部11Aには、樹木管理プログラム11A−1と、樹木データベース11A−2とが記憶されている。端末装置1Bの記憶部11Bには、端末プログラム11B−1が記憶されている。
【0023】
樹木管理プログラム11A−1は、樹木2を管理するための一連の手順を制御部10Aに実行させるためのものであり、端末プログラム11B−1は、樹木2に付された電子タグ3(図4参照)へのデータアクセスや樹木管理装置1Aとの間の通信を行うための一連の手順を制御部10Bに実行させるためのものである。なお、これらの一連の手順の詳細については後述する。
【0024】
電子タグ3は、情報を自由に読み書きすることが可能なメモリIC(図示せず)と、無線アンテナ(図示せず)とを含んで構成された微小なチップであり、端末装置1Bの読出部15Bおよび書込部16Bとの間で所定の周波数の電磁波を利用した通信を行うことにより、メモリIC内の情報を読み出したり、メモリIC内に情報を書き込んだりすることができるようになっている。樹木2に付された個々の電子タグ3には、後述の樹木管理情報20が記憶されている。
【0025】
この電子タグ3は、図4に示したように、樹木2の幹のうち枝の無い箇所に設けられていればよいが、設置のし易さや設置後のいたずら防止を考慮すると、樹木2の幹のうち枝の無い箇所であって、立っている人の目線よりも高い箇所、例えば地表からの高さHが2mぐらいの箇所に設けられていることが好ましい。電子タグ3は、図5に示した手順で上記した箇所に設置されるのが好ましい。まず、図5(A)に示したように、樹木2の幹に対して、樹皮部2Bを貫通して木質部2Aに達する深さの穴をドリルなどで開けることにより、穴部4を設ける。なお、木質部2Aにはその中心部分に相対的に硬い心材があり、中心部分の周縁部に相対的に軟らかい辺材があるが、樹木2の種類によって心材および辺材の木質部2Aに占める割合が異なる。そこで、例えば、辺材が比較的厚いときは辺材の中途に達する深さの穴部4を設け、辺材が比較的薄いときは心材に達する深さの穴部4を設けることが好ましい。次に、図5(B)に示したように、穴部4の内面を樹脂5で覆う。この樹脂5は、雨などの外部条件によって穴部4が腐るのを防止すると共に、電子タグ3を穴部4に固定するためのものである。続いて、図5(C)に示したように、つばの付いたT字状の電子タグ3を穴部4に挿入する。このように、電子タグ3につばを設けたのは、電子タグ3が樹皮部2Bで覆われて外部から電子タグ3を視認することができなくなるのを防止するためである。ただし、電子タグ3のつばが樹皮部2Bの表面と接しているとその効果が薄れるので、電子タグ3のつばと樹皮部2Bの表面との間隔Dを約15mmにしておくことが好ましい。
【0026】
なお、この電子タグ3は、入力された情報を先に記録されている情報に追加して記録すると共に、一度書き込んだ情報を削除することができない機構を有していることが好ましい。これにより、電子タグ3に記録された情報が誤って消去されたり、改ざんされる虞がなくなる。
【0027】
このように、一旦取り付けられた電子タグ3が樹木2から外れたり、電子タグ3に記録された情報が改ざんされることのないようにすることにより、トレーサビリティに係る情報の信頼性を確保することが可能となる。
【0028】
樹木管理装置1Aの樹木データベース11A−2は、個々の樹木2に関する樹木管理情報20を整理・統合し、検索しやすくしたファイルである。この樹木管理情報20は、例えば、図6(A)に示したように、各種樹木2の特徴を特定することの可能な情報、具体的には、識別子21、管理者22、樹種23、樹生地24および育成状況25を含んでいる。
【0029】
ここで、識別子21は、個々の樹木2を識別するためのものであり、数字、文字、記号等の少なくとも1つまたはそれらを組み合わせた固有符号である。管理者22は、その樹木2を管理する者を特定するためのものであり、例えば、その樹木2を管理する者の識別番号や、氏名などを含んで構成される。なお、管理者22には、実際に樹木2を管理している者の他、樹木2の所有者なども含まれる。樹種23とは、樹木2の種類のことであり、特に、楠、けやき、檜などの中高木を対象としている。樹生地24とは、植樹された場所を特定するためのものであり、例えば、識別番号や、所在地(○○県○○市○○町○○団地○○号棟前など)などを含んで構成される。育成状況25とは、各種樹木2の生育状態を特定することの可能な情報、例えば、樹齢26、幹周り27、樹高28、樹冠29および不良内容30を含むものである。不良内容30とは、例えば、根が弱っているとか、樹冠が広がり過ぎているとか、虫に食われて朽ちかけているなど、樹木2の不健全な態様を特定するためのものであり、例えば、識別番号や、不健全な態様をキーワードなどで簡潔に説明したものを含んで構成される。
【0030】
このような樹木2に関する詳細な情報(樹木管理情報20)が、樹木2に付された電子タグ3にも記憶されていることから、集中豪雨や台風、地震などにより、仮に樹木2が倒壊したり、流されたりしても、元々どこに植えられていた樹木2かを容易に判別することができる。これにより、固定資産の紛失を防止することができる。また、仮に災害などにより樹木管理装置1Aが使用不能となった場合であっても、端末装置1Bを用いることにより、現地で直接、倒壊したり流された樹木2に付された電子タグ3から樹木管理情報20を読み出すことができる。これにより、固定資産を速やかに特定することができる。
【0031】
樹木管理装置1Aの通信部12Aと端末装置1Bの通信部12Bとは、通信網を介して相互に通信可能である。具体的には、樹木管理装置1Aにおいて生成された作業指示情報31が、通信部12Aから端末装置1Bの通信部12Bへ送信されると共に、端末装置1Bにおいて読出部15Bから読み出された樹木ID21が、入力部14Bから入力された報告情報34と共に、通信部12Bから樹木管理装置1Aの通信部12Aへ送信されるようになっている。
【0032】
また、作業指示情報31は、樹木データベース11A−2に記憶されている樹種23、樹生地24および育成状況25に基づいて生成される情報であり、図6(B)に示したように、通常作業指示情報32および点検作業指示情報33を含む。ここで、通常作業指示情報32とは、樹木2を健全に保つために通常行われる定型作業に関する情報、例えば、水やりや、枝打ち、肥料の供給などの作業に関する情報のことである。点検作業指示情報33とは、樹木2に不健全な箇所がないか確かめるための定型作業に関する情報、例えば、根腐れや幹の内部の腐りの有無の確認や、幹周り,樹高、および樹冠の計測、外傷や虫食いの有無の確認などの作業に関する情報のことである。これらの作業手順などについては後述する。
【0033】
樹木管理装置1Aの表示部13Aおよび端末装置1Bの表示部13Bは、それぞれ、樹木管理プログラム11A−1または端末プログラム11B−1により処理された結果やデータ入力用のダイヤログ等を表示するためのもので、例えば液晶表示装置等のディスプレイデバイスで構成される。樹木管理装置1Aの入力部14Aおよび端末装置1Bの入力部14Bは、それぞれ、ユーザからの情報をデジタルデータとして樹木管理装置1Aまたは端末装置1B内部に取り込むための装置で、例えばキーボードやマウス、スキャナなどから構成される。端末装置1Bの読出部15Bは、例えば電磁波を利用して、個々の電子タグ3に記憶されている樹木管理情報20を読み出すためのものである。書込部16Bは、例えば電磁波を利用して、個々の電子タグ3に樹木管理情報20を記憶させるためのものである。
【0034】
続いて、図7ないし図10を参照して、本実施の形態の樹木管理装置1Aおよび端末装置1Bの動作について説明する。なお、説明の便宜上、(A)樹木2を固定資産として登録する手順、(B)樹木2を管理する手順に分けて説明する。ここで、図7ないし図10は、樹木管理装置1Aまたは端末装置1Bにおける動作の流れを、樹木管理者1a、樹木取扱業者1bによる操作や処理と共に表したものである。
【0035】
(A:樹木2を固定資産として登録する手順、図7)
まず、樹木管理者1aが、樹木管理装置1Aにおける樹木管理プログラム11A−1の起動と、端末装置1Bにおける端末プログラム11B−1の起動とを要求する(ステップS1)。すると、樹木管理プログラム11A−1が制御部10Aによって立ち上げられると共に(ステップS2)、端末プログラム11B−1が制御部10Bによって立ち上げられる(ステップS3)。次に、端末装置1Bに対して樹木2の固定資産としての登録を要求する(ステップS4)。すると、端末装置1Bの端末プログラム11B−1から樹木管理情報20の入力を要求される(ステップS5)。なお、端末プログラム11B−1の立ち上げ時以外の任意の時に、樹木管理者1aからの指示により樹木2の固定資産としての要求できるようにしてもよい。また、上記した一連の手続きを行うことのできる権限を、上記したように樹木管理者1aに与えてもよいし、樹木取扱業者1bに与えてもよい。
【0036】
次に、上記した一連の手続きを行うことのできる者(ここでは樹木管理者1a)は、樹木2の所定の箇所に電子タグ3を固定する。その後、その固定した電子タグ3に書き込むべき樹木管理情報20を入力部14Bに入力すると共に、書込部16Bをその電子タグ3に近づけたのち、書込コマンドを入力する(ステップS6)。すると、入力部14Bに入力した樹木管理情報20は、書込部16Bを介して電子タグ3に書き込まれると共に、通信網を介して樹木管理装置1Aに送信される(ステップS7)。
【0037】
その後、端末装置1Bから送信されてきた樹木管理情報20は、樹木管理装置1Aの制御部10Aによって、樹木2ごとにデータベース11A−2に記憶される(ステップS8)。
【0038】
次に、樹木管理情報20を通信網上にアップロードすることを要求する(ステップS9)。すると、樹木管理情報20が樹木管理装置1Aによって通信網上にアップロードされる(ステップS10)。このようにして、樹木2が固定資産として登録される。このようにして、樹木2を管理するにあたっての準備が完了する。
【0039】
(B:樹木2を管理する手順、図8〜図10)
樹木管理者1aが通信網上に公開された樹木2の樹木管理情報20にアクセスする(ステップS11)と、樹木管理装置1Aによって、樹木管理者1aからの入力に応じて樹木管理者1aに樹木管理情報20の提供が行われる(ステップS12)。
【0040】
樹木管理者1aは、提供された情報をもとに定型作業を行う対象の樹木2を選択する(ステップS13)。すると、選択された樹木2の識別子21が樹木管理装置1Aの制御部10Aによって受け付けられる(ステップS14)。その後、データベース11A−2に記憶された樹木管理情報20のうち、受け付けた識別子21に対応する樹木2の樹木管理情報20のうち樹種23、樹生地24および育成状況25に基づいて作業指示情報31が生成される(ステップS15)。この作業指示情報31には、通常作業に関する手順と、点検作業に関する手順とが含まれている。通常作業に関する内容としては、例えば、各種樹木2に適した水やりや、枝打ち、肥料の供給などが含まれており、点検作業に関する内容としては、例えば、幹周り,樹高、および樹冠の計測手順や、各種樹木2に特有の根腐れおよび幹の内部の腐りの有無の確認手順、外傷および虫食いの有無の確認手順などが含まれている。なお、目視での確認が困難な作業、例えば、根腐れおよび幹の内部の腐りの有無の確認は、例えば、患部と思われる部位に超音波を当てたり、そのような部位の温度を計測することにより、非破壊で行うことが可能である。
【0041】
次に、生成された作業指示情報31は、樹木管理装置1Aの制御部10Aによって、樹木取扱業者1bの保有する端末装置1Bに送信されたのち(ステップS16)、樹木取扱業者1bの保有する端末装置1Bによってそれぞれ受信されると共に、出力される(ステップS17)。樹木取扱業者1bは、出力されたこれらの作業指示情報31に基づいて作業を行う(ステップS18)。
【0042】
樹木取扱業者1bは、所定の作業を行ったのち、樹木2の幹に固定された電子タグ3に書込部16Bを近づけて、入力部14Bに登録要求コマンドを入力する(ステップS19)。すると、樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が電子タグ3に書き込まれる(ステップS20)と共に、樹木管理装置1Aに送信される(ステップS21)。ここで、作業内容には、点検作業によって新たに得られた育成状況25が含まれている。
【0043】
その後、送信された樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が樹木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS22)。
【0044】
続いて、データベース11A−2において更新された育成状況25と、その育成状況25に対応する樹木の樹種23および樹生地24とに基づいて、その樹木2の危険度の高さが判定される(ステップS23)。ここで、危険度とは、例えば、根が弱っていたり、虫に食われたりして、いまにも倒れそうになっている樹木や、樹冠が広がりすぎて台風などの強風に煽られて倒壊する虞のある樹木など、地域の住民に危険を及ぼす虞がどの程度あるかを、被害規模や災害発生時期などに基づいて数段階に分類されたものである。つまり、育成状況25と、その育成状況25に対応する樹木の樹種23および樹生地24を、過去の経験則や学術データなどに照らし合わせて被害規模や災害発生時期などを予測し、その予測結果に基づいて、危険度の大きさが判定される。
【0045】
この結果、危険度が高くないと判定されると、樹木2の不良内容30に応じた再点検作業指示情報34が生成され、その生成された再点検作業指示情報34が作業指示情報31として端末装置1Bに送信される(ステップS24)。一方、危険度が高いと判定されると、樹木2の不良内容30に応じた補修作業指示情報35が生成され、その生成された補修作業指示情報35が作業指示情報31として端末装置1Bに送信される(ステップS25)。
【0046】
その後、作業指示情報31が端末装置1Bによって受信されると共に、出力される(ステップS26)。樹木取扱業者1bは、出力されたこれらの作業指示情報31に基づいて作業を行う(ステップS27)。
【0047】
樹木取扱業者1bは、所定の作業を行ったのち、樹木2の幹に固定された電子タグ3に書込部16Bを近づけて、入力部14Bに登録要求コマンドを入力する(ステップS28)。すると、樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が電子タグ3に書き込まれる(ステップS29)と共に、樹木管理装置1Aに送信される(ステップS30)。ここで、作業内容には、再点検作業または補修作業の結果が含まれている。
【0048】
その後、送信された樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が樹木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS31)。このようにして、各種樹木2が管理される。
【0049】
このように、本実施の形態の樹木管理装置1A、樹木管理プログラム11A−1、樹木管理方法によれば、各種樹木2の樹木管理情報20の管理を樹木管理装置1Aのデータベース11A−2を用いて行うようにしたので、樹木取扱業者1b−xは樹木管理情報1Aから送信されてきた作業指示情報31に基づいて作業を行うことができる。これにより、熟練従事者でない者であっても樹木2を取り扱う業務に容易に参加したり従事したりすることが可能となる。
【0050】
このように、本実施の形態の樹木管理装置1A、樹木管理プログラム11A−1および樹木管理方法によれば、各種樹木2の樹木管理情報20の管理を樹木管理装置1Aのデータベース11A−2を用いて行うようにしたので、樹木取扱業者1bは樹木管理情報20から送信されてきた作業指示情報31に基づいて作業を行うことができる。これにより、樹木2の管理を適切に行うことが可能となるので、例えば、根が弱っていたり、虫に食われたりして、いまにも倒れそうになっている樹木や、樹冠が広がりすぎて台風などの強風に煽られて倒壊する虞のある樹木など、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、災害が発生するまで何もせずにそのまま放置することをなくすることが可能となる。
【0051】
特に、育成状況25が更新される度に、樹木2の危険度を判定し、再点検作業指示情報34または補修作業指示情報35を作業指示情報31として端末装置1Bに送信するようにした場合は、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木の安全性の点検や、危険個所の補修を速やかに行うことが可能となるので、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、災害が発生するまで何もせずにそのまま放置することをほぼ完全になくすることが可能となる。
【0052】
その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がなくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全を確保することが可能となる。
【0053】
以上、上記実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、特定の樹木取扱業者1bだけが端末装置1Bを保有していたが、地域の住民が読み出し専用に設定された端末装置1Bを常備するようにしてもよい。その場合は、地域の住民は、その地域に植えられた樹木2が、いつ植えられたものなのか、どのような樹種なのか、または、どのような育成状況なのか、などをいつでも確認することが可能となる。これにより、地域の住民は、樹木管理者1aの活動状況や樹木2の安全性などを確かめることができる。また、地域の住民が読み出しだけでなく書き込みも可能に設定された端末装置1Bを常備するようにしてもよい。その場合は、地域の住民が樹木取扱業者1bに代わって、地域の樹木2を管理することも可能となる。
【0055】
これにより、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、地域の住民が主体的に発見することができるので、樹木取扱業者1bと合わせて2重チェックが可能となる。その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がより一層なくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全をより一層確保することが可能となる。
【0056】
また、このように、地域の住民に管理の一部を任せることにより、管理に係る費用を削減することも可能となり、加えて、地域の住民との間で樹木2に対する理解を深めることも可能となる。これにより、樹木2に関する地域の住民とのトラブルをなくすることも可能となる。さらに、間樹木2の管理を通して、地域のつながりが深まるので、そのような地域での犯罪が低減することも期待できる。
【0057】
また、樹木2に付する記憶媒体を電子タグ3の代わりに、2次元コードとしてもよい。ただし、一旦生成された2次元コードは情報を読み出すことができても、書き込むことができないので、以下に示すような手順で情報の管理を行うことが必要となる。
【0058】
まず、2次元コードの付される樹木に関する樹木管理情報20の保管場所を示す情報、例えば樹木データベース11A−1のURL(Uniform Resource Locator)の文字列を変換して生成した2次元コードを樹木2に付しておく。次に、樹木管理情報情報20を新規登録する場合や、更新する場合は、市販されている携帯電話を端末装置1Bとして利用し、その携帯電話の2次元コード読み出し機能によって樹木2に付された2次元コードを解読すると共に解読したアドレスにアクセスし、例えば、アクセス先の樹木データベース11A−1に樹木管理情報情報20の新規登録や更新を行う。また、樹木管理情報情報20を確認したい場合は、上記と同様に、携帯電話の2次元コード読み出し機能によって樹木2に付された2次元コードを解読すると共に解読したアドレスにアクセスし、例えば、アクセス先の樹木データベース11A−1の樹木管理情報情報20を読み出す。
【0059】
これにより、上記実施の形態のような本システム専用の端末装置1Bを用意する必要がなくなるので、樹木管理システムの構築に要する費用や時間を大幅に削減することができる。また、携帯電話を端末装置1Bとして利用することのできる手軽さから、地域の住民は、樹木管理者1aの活動状況や樹木2の安全性などをより一層容易に確かめることができ、また、樹木取扱業者1bに代わって、地域の樹木2をより一層容易に管理することができる。その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がなくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全を確保することが可能となる。
【0060】
また、樹木2に付する記憶媒体として電子タグ3と2次元コードとを併設してもよい。これにより、予算や導入期間の都合などで上記実施の形態のような本システム専用の端末装置1Bを導入することの困難な樹木取扱業者1bは、携帯電話を利用したシステムを選択することにより、低予算かつ短期間で本システムを導入することができる。このように、電子タグ3と2次元コードとを併設して本システムに柔軟性を持たせることにより、どのような樹木取扱業者1bであっても本システムに容易に参加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施の形態に係る樹木管理方法が適用される樹木管理システムの全体構成図である。
【図2】図1における樹木管理装置の概略構成図である。
【図3】図1における端末装置の概略構成図である。
【図4】樹木と電子タグとの位置関係を説明するための模式図である。
【図5】電子タグを樹木に挿入する手順を説明するための断面構成を示す図である。
【図6】樹木管理情報および作業指示情報を説明するための関係図である。
【図7】樹木管理システムの動作を説明するための流れ図である。
【図8】樹木管理システムの他の動作を説明するための流れ図である。
【図9】図8に続く流れ図である。
【図10】図9に続く流れ図である。
【符号の説明】
【0062】
1A…樹木管理装置、1a…樹木管理者、1B…端末装置、1b…樹木取扱業者、2…樹木、2A…木質部、2B…樹皮部、3…電子タグ、4…穴部、5…樹脂、10A,10B…制御部、11A,11B…記憶部、11A−1…樹木データベース、11A−2…樹木管理プログラム、11B−1…端末プログラム、12A,12B…通信部、13A,13B…表示部、14A,14B…入力部、15B…読出部、16B…書込部、20…樹木管理情報、21…識別子、22…管理者、23…樹種、24…樹生地、25…育成状況、26…樹齢、27…幹周り、28…樹高、29…樹冠、30…不良内容、31…作業指示情報、32…通常作業指示情報、33…点検作業指示情報、34…再点検作業指示情報、35…補修作業指示情報。
【技術分野】
【0001】
本発明は、団地や、公園、公共施設、道路脇などに植えられた樹木や、郊外および山間部で集団的に生育している樹木(例えば森林)を管理するための樹木管理装置および樹木管理プログラム、ならびにそのような樹木管理装置および樹木管理プログラムを用いて樹木を管理する樹木管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今年、京都議定書が発効したのを受け、地球温暖化防止等の地球環境に配慮した地域活動が活発化している。例えば、都市部では、地球規模の気温の上昇だけでなく、ヒートアイランド現象による気温の上昇が深刻化していることから、光合成による二酸化炭素の吸収や、遮光や水蒸気の発生による気温上昇の抑制などの樹木の公益的な機能に着目して、団地や、公園、公共施設、道路脇などに、植樹が積極的に行われている。
【0003】
このような場所への植樹は、主に、地方自治体および所轄官庁や、これらから委託された財団法人およびNPO、自治会などの社団などによって行われており、植えられた樹木の管理もこれらの者によって行われている。ここで、樹木の管理とは、一般に固定資産としての管理を指しており、固定資産の管理に必要な情報は、これらの者により管理されている書類やパソコンなどに保管されているのが一般的である(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−202501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、都市部では、従来から、発電所や、自動車等による化石燃料の燃焼により生じた硫黄酸化物が大気中で硫酸となり、酸性雨となって土壌を汚染しているため、樹齢が若くても根の弱っている樹木が多数見受けられる。また、樹木の管理が適切になされていないために、樹冠が広がり過ぎたり、虫に食われて朽ちかけている樹木も多数存在する。しかし、樹木を管理する者は、樹木を固定資産としてしか考えておらず、上記のような実態を正確には把握していないため、そのような樹木は何らの手当てもなされずに放置されている。そのため、近年多発している集中豪雨や台風、地震などにより、街路樹などがいとも簡単に倒壊するケースが相次いでおり、地域の住民はそのような災害が発生して初めて、そのような実態を知ることとなる。また、郊外や山間部でも、林業経営の悪化や高齢化による熟練技術者の減少などによって、森林の管理が行き届かなくなってきている。そのため、都市部と同様、樹齢が若くても根の弱っている樹木や、樹冠が広がり過ぎたり、虫に食われて朽ちかけている樹木が多数存在しており、森林における地面の保水能力が年々低下してきている。その結果、集中豪雨や台風、地震などにより、がけ崩れや、地滑り、土石流などの土砂災害に巻き込まれるケースが頻発している。
【0006】
このように、樹木の管理が適切に行われていないために、地域の住民は常に危険にさらされており、不安な生活を強いられているという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、地域住民の安心・安全を確保することの可能な樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の樹木管理装置は、記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を樹木ごとに記憶するデータベースと、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成する作業指示情報生成手段と、作業指示情報生成手段が生成した作業指示情報を、記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信する送信手段とを備えたものである。
【0009】
本発明の樹木管理プログラムは、記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を樹木ごとにデータベースに記憶させるステップと、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成するステップと、その生成された作業指示情報を、記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信するステップとをコンピュータに実行させるようにしたものである。
【0010】
本発明の樹木管理方法は、記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を格納するためのデータベースを有する樹木管理装置と、各種樹木にそれぞれ付された記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置とを用意し、樹木管理装置から端末装置に作業指示情報を送信するように構成したものである。樹木管理装置の側では、前記樹木管理情報を樹木ごとにデータベースに記憶し、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成すると共に、その生成された作業指示情報を端末装置へ送信する。一方、端末装置の側では、樹木管理装置から送信された作業指示情報を受信し、その受信した作業指示情報を出力する。
【0011】
ここで、「樹木」とは、いわゆる立木のことであり、例えば、団地や、公園、公共施設、道路脇などに植樹された立木や、郊外および山間部で集団的に生育している立木(例えば森林)など、人による管理の必要な立木を指している。「記憶媒体」とは、例えば、電子タグや、2次元コードなどの、樹木の幹などに付することの可能な小さな記録媒体のことである。「電子タグ」は、RFID(Radio Frequency Identification)タグや、IC(Integrated Circuit)タグなどの総称であり、「2次元コード」は、文字や数字などのデータを二次元の図形パターンとして所定の表面に刻印・印刷した暗号である。「端末装置」とは、例えば、各種樹木を取り扱う業者(樹木取扱業者)の保有する情報処理装置のことである。「樹木管理情報」とは、各種樹木の特徴を特定することの可能な情報、例えば、識別子と、樹種、樹生地および育成状況を示す情報とを含むものである。「作業指示情報」とは、例えば、樹種、樹生地および育成状況を示す情報に基づいて生成されるものであり、例えば、通常作業指示情報および点検作業指示情報を含むものである。
【0012】
「育成状況」とは、各種樹木の生育状態を特定することの可能な情報、例えば、樹齢と、幹周りと、樹高と、樹冠と、不良内容とを示す情報を含むものである。「不良内容」とは、例えば、根が弱っているとか、樹冠が広がり過ぎているとか、虫に食われて朽ちかけているなど、樹木の不健全な態様を説明したものである。「通常作業指示情報」とは、樹木を健全に保つために通常行われる定型作業に関する情報、例えば、水やりや、枝打ち、肥料の供給などの作業に関する情報のことである。「点検作業指示情報」とは、樹木に不健全な箇所がないか確かめるための定型作業に関する情報、例えば、根腐れの有無の確認や、幹周り,樹高、および樹冠の計測、虫食いの有無の確認などの作業に関する情報のことである。
【0013】
本発明の樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法では、各種樹木の樹木管理情報の管理が樹木管理装置のデータベースを用いて行われる。具体的には、データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報が生成され、その生成された作業指示情報が端末装置へ送信される。
【0014】
例えば、樹木管理装置では、樹種、樹生地および育成状況を示す情報とに基づいて個々の樹木に対して行うべき作業内容が決定され、その決定された作業内容は作業指示情報として端末装置へ送信され、端末装置に出力される。樹木取扱業者は、例えば、この出力された作業指示情報を基に個々の樹木の手入れや検査などを行う。このように、樹木取扱業者は、樹木管理装置からの作業指示情報に基づいて作業を行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明の樹木管理装置、樹木管理プログラムおよび樹木管理方法によれば、各種樹木の樹木管理情報の管理を樹木管理装置のデータベースを用いて行うようにしたので、樹木取扱業者は樹木管理情報から送信されてきた作業指示情報に基づいて作業を行うことができる。これにより、樹木の管理を適切に行うことが可能となるので、例えば、根が弱っていたり、虫に食われたりして、いまにも倒れそうになっている樹木や、樹冠が広がりすぎて台風などの強風に煽られて倒壊する虞のある樹木など、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、災害が発生するまで何もせずにそのまま放置することをなくすることが可能となる。その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がなくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る樹木管理方法(樹木管理方法)が適用される樹木管理システムを表すものである。この樹木管理システムは、樹木管理者1aによって使用される樹木管理装置1Aと、樹木取扱業者1bによって使用される端末装置1Bとを含む情報ネットワークシステムとして構築されたものである。
【0018】
樹木管理者1aは、この樹木管理システムに参加している各樹木取扱業者1bをとりまとめると共に、樹木2の手入れから検査、補修までの業務を樹木管理装置1Aを用いて一元的に管理する管理者のことである。ここで、樹木2とは、団地や、公園、公共施設、道路脇などに植樹された立木や、郊外および山間部で集団的に生育している立木(例えば森林)など、人による管理の必要な立木のことであり、例えば、楠、けやき、檜などの中高木のことを指している。樹木取扱業者1bは、樹木管理者1aからの指示に基づいて、樹木2を健全に保つために通常行われる定型作業、例えば、水やりや、枝打ち、肥料の供給などの作業のほか、樹木に不健全な箇所がないか確かめるための定型作業、例えば、根腐れや幹の内部の腐りの有無の確認や、幹周り,樹高、および樹冠の計測、外傷や虫食いの有無の確認などの作業などを行う業者のことである。
【0019】
図2は、樹木管理装置1Aの機能構成を表すものである。この樹木管理装置1Aは、制御部10Aと、記憶部11Aと、通信部12Aと、表示部13Aと、入力部14Aとを備えている。制御部10Aは、記憶部11A、通信部12A、表示部13Aおよび入力部14Aとそれぞれ接続されている。
【0020】
なお、通信部12Aは本発明の「送信手段」あるいは「受信手段」の一具体例に対応し、制御部10Aは本発明の「作業指示情報生成手段」あるいは「危険判定手段」の一具体例に対応する。
【0021】
図3は、端末装置1Bの機能構成を表すものである。この端末装置1Bは、制御部10Bと、記憶部11Bと、通信部12Bと、表示部13Bと、入力部14Bと、読出部15Bと、書込部16Bとを備えている。制御部10Bは、記憶部11B、通信部12B、表示部13B、入力部14B、読出部15Bおよび書込部16Bとそれぞれ接続されている。なお、読出部15Bおよび書込部16Bについては、図示のように端末装置1B本体に有線接続するのではなく、端末装置1B本体とは別体のハンディータイプのリーダライタユニットとして構成すると共に、このリーダライタユニットと端末装置1B本体との間を無線通信路により接続するようにしてもよい。
【0022】
樹木管理装置1Aの制御部10Aおよび端末装置1Bの制御部10Bは、それぞれ、プログラムの命令を解釈し、実行するためのもので、例えばCPU(Central Processing Unit )により構成される。樹木管理装置1Aの記憶部11Aには、樹木管理プログラム11A−1と、樹木データベース11A−2とが記憶されている。端末装置1Bの記憶部11Bには、端末プログラム11B−1が記憶されている。
【0023】
樹木管理プログラム11A−1は、樹木2を管理するための一連の手順を制御部10Aに実行させるためのものであり、端末プログラム11B−1は、樹木2に付された電子タグ3(図4参照)へのデータアクセスや樹木管理装置1Aとの間の通信を行うための一連の手順を制御部10Bに実行させるためのものである。なお、これらの一連の手順の詳細については後述する。
【0024】
電子タグ3は、情報を自由に読み書きすることが可能なメモリIC(図示せず)と、無線アンテナ(図示せず)とを含んで構成された微小なチップであり、端末装置1Bの読出部15Bおよび書込部16Bとの間で所定の周波数の電磁波を利用した通信を行うことにより、メモリIC内の情報を読み出したり、メモリIC内に情報を書き込んだりすることができるようになっている。樹木2に付された個々の電子タグ3には、後述の樹木管理情報20が記憶されている。
【0025】
この電子タグ3は、図4に示したように、樹木2の幹のうち枝の無い箇所に設けられていればよいが、設置のし易さや設置後のいたずら防止を考慮すると、樹木2の幹のうち枝の無い箇所であって、立っている人の目線よりも高い箇所、例えば地表からの高さHが2mぐらいの箇所に設けられていることが好ましい。電子タグ3は、図5に示した手順で上記した箇所に設置されるのが好ましい。まず、図5(A)に示したように、樹木2の幹に対して、樹皮部2Bを貫通して木質部2Aに達する深さの穴をドリルなどで開けることにより、穴部4を設ける。なお、木質部2Aにはその中心部分に相対的に硬い心材があり、中心部分の周縁部に相対的に軟らかい辺材があるが、樹木2の種類によって心材および辺材の木質部2Aに占める割合が異なる。そこで、例えば、辺材が比較的厚いときは辺材の中途に達する深さの穴部4を設け、辺材が比較的薄いときは心材に達する深さの穴部4を設けることが好ましい。次に、図5(B)に示したように、穴部4の内面を樹脂5で覆う。この樹脂5は、雨などの外部条件によって穴部4が腐るのを防止すると共に、電子タグ3を穴部4に固定するためのものである。続いて、図5(C)に示したように、つばの付いたT字状の電子タグ3を穴部4に挿入する。このように、電子タグ3につばを設けたのは、電子タグ3が樹皮部2Bで覆われて外部から電子タグ3を視認することができなくなるのを防止するためである。ただし、電子タグ3のつばが樹皮部2Bの表面と接しているとその効果が薄れるので、電子タグ3のつばと樹皮部2Bの表面との間隔Dを約15mmにしておくことが好ましい。
【0026】
なお、この電子タグ3は、入力された情報を先に記録されている情報に追加して記録すると共に、一度書き込んだ情報を削除することができない機構を有していることが好ましい。これにより、電子タグ3に記録された情報が誤って消去されたり、改ざんされる虞がなくなる。
【0027】
このように、一旦取り付けられた電子タグ3が樹木2から外れたり、電子タグ3に記録された情報が改ざんされることのないようにすることにより、トレーサビリティに係る情報の信頼性を確保することが可能となる。
【0028】
樹木管理装置1Aの樹木データベース11A−2は、個々の樹木2に関する樹木管理情報20を整理・統合し、検索しやすくしたファイルである。この樹木管理情報20は、例えば、図6(A)に示したように、各種樹木2の特徴を特定することの可能な情報、具体的には、識別子21、管理者22、樹種23、樹生地24および育成状況25を含んでいる。
【0029】
ここで、識別子21は、個々の樹木2を識別するためのものであり、数字、文字、記号等の少なくとも1つまたはそれらを組み合わせた固有符号である。管理者22は、その樹木2を管理する者を特定するためのものであり、例えば、その樹木2を管理する者の識別番号や、氏名などを含んで構成される。なお、管理者22には、実際に樹木2を管理している者の他、樹木2の所有者なども含まれる。樹種23とは、樹木2の種類のことであり、特に、楠、けやき、檜などの中高木を対象としている。樹生地24とは、植樹された場所を特定するためのものであり、例えば、識別番号や、所在地(○○県○○市○○町○○団地○○号棟前など)などを含んで構成される。育成状況25とは、各種樹木2の生育状態を特定することの可能な情報、例えば、樹齢26、幹周り27、樹高28、樹冠29および不良内容30を含むものである。不良内容30とは、例えば、根が弱っているとか、樹冠が広がり過ぎているとか、虫に食われて朽ちかけているなど、樹木2の不健全な態様を特定するためのものであり、例えば、識別番号や、不健全な態様をキーワードなどで簡潔に説明したものを含んで構成される。
【0030】
このような樹木2に関する詳細な情報(樹木管理情報20)が、樹木2に付された電子タグ3にも記憶されていることから、集中豪雨や台風、地震などにより、仮に樹木2が倒壊したり、流されたりしても、元々どこに植えられていた樹木2かを容易に判別することができる。これにより、固定資産の紛失を防止することができる。また、仮に災害などにより樹木管理装置1Aが使用不能となった場合であっても、端末装置1Bを用いることにより、現地で直接、倒壊したり流された樹木2に付された電子タグ3から樹木管理情報20を読み出すことができる。これにより、固定資産を速やかに特定することができる。
【0031】
樹木管理装置1Aの通信部12Aと端末装置1Bの通信部12Bとは、通信網を介して相互に通信可能である。具体的には、樹木管理装置1Aにおいて生成された作業指示情報31が、通信部12Aから端末装置1Bの通信部12Bへ送信されると共に、端末装置1Bにおいて読出部15Bから読み出された樹木ID21が、入力部14Bから入力された報告情報34と共に、通信部12Bから樹木管理装置1Aの通信部12Aへ送信されるようになっている。
【0032】
また、作業指示情報31は、樹木データベース11A−2に記憶されている樹種23、樹生地24および育成状況25に基づいて生成される情報であり、図6(B)に示したように、通常作業指示情報32および点検作業指示情報33を含む。ここで、通常作業指示情報32とは、樹木2を健全に保つために通常行われる定型作業に関する情報、例えば、水やりや、枝打ち、肥料の供給などの作業に関する情報のことである。点検作業指示情報33とは、樹木2に不健全な箇所がないか確かめるための定型作業に関する情報、例えば、根腐れや幹の内部の腐りの有無の確認や、幹周り,樹高、および樹冠の計測、外傷や虫食いの有無の確認などの作業に関する情報のことである。これらの作業手順などについては後述する。
【0033】
樹木管理装置1Aの表示部13Aおよび端末装置1Bの表示部13Bは、それぞれ、樹木管理プログラム11A−1または端末プログラム11B−1により処理された結果やデータ入力用のダイヤログ等を表示するためのもので、例えば液晶表示装置等のディスプレイデバイスで構成される。樹木管理装置1Aの入力部14Aおよび端末装置1Bの入力部14Bは、それぞれ、ユーザからの情報をデジタルデータとして樹木管理装置1Aまたは端末装置1B内部に取り込むための装置で、例えばキーボードやマウス、スキャナなどから構成される。端末装置1Bの読出部15Bは、例えば電磁波を利用して、個々の電子タグ3に記憶されている樹木管理情報20を読み出すためのものである。書込部16Bは、例えば電磁波を利用して、個々の電子タグ3に樹木管理情報20を記憶させるためのものである。
【0034】
続いて、図7ないし図10を参照して、本実施の形態の樹木管理装置1Aおよび端末装置1Bの動作について説明する。なお、説明の便宜上、(A)樹木2を固定資産として登録する手順、(B)樹木2を管理する手順に分けて説明する。ここで、図7ないし図10は、樹木管理装置1Aまたは端末装置1Bにおける動作の流れを、樹木管理者1a、樹木取扱業者1bによる操作や処理と共に表したものである。
【0035】
(A:樹木2を固定資産として登録する手順、図7)
まず、樹木管理者1aが、樹木管理装置1Aにおける樹木管理プログラム11A−1の起動と、端末装置1Bにおける端末プログラム11B−1の起動とを要求する(ステップS1)。すると、樹木管理プログラム11A−1が制御部10Aによって立ち上げられると共に(ステップS2)、端末プログラム11B−1が制御部10Bによって立ち上げられる(ステップS3)。次に、端末装置1Bに対して樹木2の固定資産としての登録を要求する(ステップS4)。すると、端末装置1Bの端末プログラム11B−1から樹木管理情報20の入力を要求される(ステップS5)。なお、端末プログラム11B−1の立ち上げ時以外の任意の時に、樹木管理者1aからの指示により樹木2の固定資産としての要求できるようにしてもよい。また、上記した一連の手続きを行うことのできる権限を、上記したように樹木管理者1aに与えてもよいし、樹木取扱業者1bに与えてもよい。
【0036】
次に、上記した一連の手続きを行うことのできる者(ここでは樹木管理者1a)は、樹木2の所定の箇所に電子タグ3を固定する。その後、その固定した電子タグ3に書き込むべき樹木管理情報20を入力部14Bに入力すると共に、書込部16Bをその電子タグ3に近づけたのち、書込コマンドを入力する(ステップS6)。すると、入力部14Bに入力した樹木管理情報20は、書込部16Bを介して電子タグ3に書き込まれると共に、通信網を介して樹木管理装置1Aに送信される(ステップS7)。
【0037】
その後、端末装置1Bから送信されてきた樹木管理情報20は、樹木管理装置1Aの制御部10Aによって、樹木2ごとにデータベース11A−2に記憶される(ステップS8)。
【0038】
次に、樹木管理情報20を通信網上にアップロードすることを要求する(ステップS9)。すると、樹木管理情報20が樹木管理装置1Aによって通信網上にアップロードされる(ステップS10)。このようにして、樹木2が固定資産として登録される。このようにして、樹木2を管理するにあたっての準備が完了する。
【0039】
(B:樹木2を管理する手順、図8〜図10)
樹木管理者1aが通信網上に公開された樹木2の樹木管理情報20にアクセスする(ステップS11)と、樹木管理装置1Aによって、樹木管理者1aからの入力に応じて樹木管理者1aに樹木管理情報20の提供が行われる(ステップS12)。
【0040】
樹木管理者1aは、提供された情報をもとに定型作業を行う対象の樹木2を選択する(ステップS13)。すると、選択された樹木2の識別子21が樹木管理装置1Aの制御部10Aによって受け付けられる(ステップS14)。その後、データベース11A−2に記憶された樹木管理情報20のうち、受け付けた識別子21に対応する樹木2の樹木管理情報20のうち樹種23、樹生地24および育成状況25に基づいて作業指示情報31が生成される(ステップS15)。この作業指示情報31には、通常作業に関する手順と、点検作業に関する手順とが含まれている。通常作業に関する内容としては、例えば、各種樹木2に適した水やりや、枝打ち、肥料の供給などが含まれており、点検作業に関する内容としては、例えば、幹周り,樹高、および樹冠の計測手順や、各種樹木2に特有の根腐れおよび幹の内部の腐りの有無の確認手順、外傷および虫食いの有無の確認手順などが含まれている。なお、目視での確認が困難な作業、例えば、根腐れおよび幹の内部の腐りの有無の確認は、例えば、患部と思われる部位に超音波を当てたり、そのような部位の温度を計測することにより、非破壊で行うことが可能である。
【0041】
次に、生成された作業指示情報31は、樹木管理装置1Aの制御部10Aによって、樹木取扱業者1bの保有する端末装置1Bに送信されたのち(ステップS16)、樹木取扱業者1bの保有する端末装置1Bによってそれぞれ受信されると共に、出力される(ステップS17)。樹木取扱業者1bは、出力されたこれらの作業指示情報31に基づいて作業を行う(ステップS18)。
【0042】
樹木取扱業者1bは、所定の作業を行ったのち、樹木2の幹に固定された電子タグ3に書込部16Bを近づけて、入力部14Bに登録要求コマンドを入力する(ステップS19)。すると、樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が電子タグ3に書き込まれる(ステップS20)と共に、樹木管理装置1Aに送信される(ステップS21)。ここで、作業内容には、点検作業によって新たに得られた育成状況25が含まれている。
【0043】
その後、送信された樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が樹木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS22)。
【0044】
続いて、データベース11A−2において更新された育成状況25と、その育成状況25に対応する樹木の樹種23および樹生地24とに基づいて、その樹木2の危険度の高さが判定される(ステップS23)。ここで、危険度とは、例えば、根が弱っていたり、虫に食われたりして、いまにも倒れそうになっている樹木や、樹冠が広がりすぎて台風などの強風に煽られて倒壊する虞のある樹木など、地域の住民に危険を及ぼす虞がどの程度あるかを、被害規模や災害発生時期などに基づいて数段階に分類されたものである。つまり、育成状況25と、その育成状況25に対応する樹木の樹種23および樹生地24を、過去の経験則や学術データなどに照らし合わせて被害規模や災害発生時期などを予測し、その予測結果に基づいて、危険度の大きさが判定される。
【0045】
この結果、危険度が高くないと判定されると、樹木2の不良内容30に応じた再点検作業指示情報34が生成され、その生成された再点検作業指示情報34が作業指示情報31として端末装置1Bに送信される(ステップS24)。一方、危険度が高いと判定されると、樹木2の不良内容30に応じた補修作業指示情報35が生成され、その生成された補修作業指示情報35が作業指示情報31として端末装置1Bに送信される(ステップS25)。
【0046】
その後、作業指示情報31が端末装置1Bによって受信されると共に、出力される(ステップS26)。樹木取扱業者1bは、出力されたこれらの作業指示情報31に基づいて作業を行う(ステップS27)。
【0047】
樹木取扱業者1bは、所定の作業を行ったのち、樹木2の幹に固定された電子タグ3に書込部16Bを近づけて、入力部14Bに登録要求コマンドを入力する(ステップS28)。すると、樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が電子タグ3に書き込まれる(ステップS29)と共に、樹木管理装置1Aに送信される(ステップS30)。ここで、作業内容には、再点検作業または補修作業の結果が含まれている。
【0048】
その後、送信された樹木取扱業者1bの名称、作業内容および作業日時が樹木管理装置1Aによって受信されると共に、データベース11A−2に記憶される(ステップS31)。このようにして、各種樹木2が管理される。
【0049】
このように、本実施の形態の樹木管理装置1A、樹木管理プログラム11A−1、樹木管理方法によれば、各種樹木2の樹木管理情報20の管理を樹木管理装置1Aのデータベース11A−2を用いて行うようにしたので、樹木取扱業者1b−xは樹木管理情報1Aから送信されてきた作業指示情報31に基づいて作業を行うことができる。これにより、熟練従事者でない者であっても樹木2を取り扱う業務に容易に参加したり従事したりすることが可能となる。
【0050】
このように、本実施の形態の樹木管理装置1A、樹木管理プログラム11A−1および樹木管理方法によれば、各種樹木2の樹木管理情報20の管理を樹木管理装置1Aのデータベース11A−2を用いて行うようにしたので、樹木取扱業者1bは樹木管理情報20から送信されてきた作業指示情報31に基づいて作業を行うことができる。これにより、樹木2の管理を適切に行うことが可能となるので、例えば、根が弱っていたり、虫に食われたりして、いまにも倒れそうになっている樹木や、樹冠が広がりすぎて台風などの強風に煽られて倒壊する虞のある樹木など、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、災害が発生するまで何もせずにそのまま放置することをなくすることが可能となる。
【0051】
特に、育成状況25が更新される度に、樹木2の危険度を判定し、再点検作業指示情報34または補修作業指示情報35を作業指示情報31として端末装置1Bに送信するようにした場合は、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木の安全性の点検や、危険個所の補修を速やかに行うことが可能となるので、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、災害が発生するまで何もせずにそのまま放置することをほぼ完全になくすることが可能となる。
【0052】
その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がなくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全を確保することが可能となる。
【0053】
以上、上記実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、上記実施の形態では、特定の樹木取扱業者1bだけが端末装置1Bを保有していたが、地域の住民が読み出し専用に設定された端末装置1Bを常備するようにしてもよい。その場合は、地域の住民は、その地域に植えられた樹木2が、いつ植えられたものなのか、どのような樹種なのか、または、どのような育成状況なのか、などをいつでも確認することが可能となる。これにより、地域の住民は、樹木管理者1aの活動状況や樹木2の安全性などを確かめることができる。また、地域の住民が読み出しだけでなく書き込みも可能に設定された端末装置1Bを常備するようにしてもよい。その場合は、地域の住民が樹木取扱業者1bに代わって、地域の樹木2を管理することも可能となる。
【0055】
これにより、地域の住民に危険を及ぼす虞のある樹木を、地域の住民が主体的に発見することができるので、樹木取扱業者1bと合わせて2重チェックが可能となる。その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がより一層なくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全をより一層確保することが可能となる。
【0056】
また、このように、地域の住民に管理の一部を任せることにより、管理に係る費用を削減することも可能となり、加えて、地域の住民との間で樹木2に対する理解を深めることも可能となる。これにより、樹木2に関する地域の住民とのトラブルをなくすることも可能となる。さらに、間樹木2の管理を通して、地域のつながりが深まるので、そのような地域での犯罪が低減することも期待できる。
【0057】
また、樹木2に付する記憶媒体を電子タグ3の代わりに、2次元コードとしてもよい。ただし、一旦生成された2次元コードは情報を読み出すことができても、書き込むことができないので、以下に示すような手順で情報の管理を行うことが必要となる。
【0058】
まず、2次元コードの付される樹木に関する樹木管理情報20の保管場所を示す情報、例えば樹木データベース11A−1のURL(Uniform Resource Locator)の文字列を変換して生成した2次元コードを樹木2に付しておく。次に、樹木管理情報情報20を新規登録する場合や、更新する場合は、市販されている携帯電話を端末装置1Bとして利用し、その携帯電話の2次元コード読み出し機能によって樹木2に付された2次元コードを解読すると共に解読したアドレスにアクセスし、例えば、アクセス先の樹木データベース11A−1に樹木管理情報情報20の新規登録や更新を行う。また、樹木管理情報情報20を確認したい場合は、上記と同様に、携帯電話の2次元コード読み出し機能によって樹木2に付された2次元コードを解読すると共に解読したアドレスにアクセスし、例えば、アクセス先の樹木データベース11A−1の樹木管理情報情報20を読み出す。
【0059】
これにより、上記実施の形態のような本システム専用の端末装置1Bを用意する必要がなくなるので、樹木管理システムの構築に要する費用や時間を大幅に削減することができる。また、携帯電話を端末装置1Bとして利用することのできる手軽さから、地域の住民は、樹木管理者1aの活動状況や樹木2の安全性などをより一層容易に確かめることができ、また、樹木取扱業者1bに代わって、地域の樹木2をより一層容易に管理することができる。その結果、地域の住民に危険が及ぶ虞がなくなり、地域の住民が不安な気持ちで生活を送ることもなくなるので、地域住民の安心・安全を確保することが可能となる。
【0060】
また、樹木2に付する記憶媒体として電子タグ3と2次元コードとを併設してもよい。これにより、予算や導入期間の都合などで上記実施の形態のような本システム専用の端末装置1Bを導入することの困難な樹木取扱業者1bは、携帯電話を利用したシステムを選択することにより、低予算かつ短期間で本システムを導入することができる。このように、電子タグ3と2次元コードとを併設して本システムに柔軟性を持たせることにより、どのような樹木取扱業者1bであっても本システムに容易に参加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施の形態に係る樹木管理方法が適用される樹木管理システムの全体構成図である。
【図2】図1における樹木管理装置の概略構成図である。
【図3】図1における端末装置の概略構成図である。
【図4】樹木と電子タグとの位置関係を説明するための模式図である。
【図5】電子タグを樹木に挿入する手順を説明するための断面構成を示す図である。
【図6】樹木管理情報および作業指示情報を説明するための関係図である。
【図7】樹木管理システムの動作を説明するための流れ図である。
【図8】樹木管理システムの他の動作を説明するための流れ図である。
【図9】図8に続く流れ図である。
【図10】図9に続く流れ図である。
【符号の説明】
【0062】
1A…樹木管理装置、1a…樹木管理者、1B…端末装置、1b…樹木取扱業者、2…樹木、2A…木質部、2B…樹皮部、3…電子タグ、4…穴部、5…樹脂、10A,10B…制御部、11A,11B…記憶部、11A−1…樹木データベース、11A−2…樹木管理プログラム、11B−1…端末プログラム、12A,12B…通信部、13A,13B…表示部、14A,14B…入力部、15B…読出部、16B…書込部、20…樹木管理情報、21…識別子、22…管理者、23…樹種、24…樹生地、25…育成状況、26…樹齢、27…幹周り、28…樹高、29…樹冠、30…不良内容、31…作業指示情報、32…通常作業指示情報、33…点検作業指示情報、34…再点検作業指示情報、35…補修作業指示情報。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を前記樹木ごとに記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成する作業指示情報生成手段と、
前記作業指示情報生成手段が生成した作業指示情報を、前記記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする樹木管理装置。
【請求項2】
前記樹木管理情報は、識別子と、樹種、樹生地および育成状況を示す情報とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理装置。
【請求項3】
前記作業指示情報は、前記樹種、樹生地および育成状況を示す情報とに基づいて生成される
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項4】
前記作業指示情報は、通常作業指示情報および点検作業指示情報を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項5】
前記育成状況は、樹齢と、幹周りと、樹高と、樹冠と、不良内容とを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項6】
前記作業指示情報に基づいて更新された育成状況を示す情報を前記端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した育成状況を示す情報と、その育成状況を示す情報に対応する樹木の樹種および樹生地とに基づいて危険度を判定する危険判定手段と
をさらに備え、
前記作業指示情報生成手段は、前記危険判定手段によって判定された危険度の高さに応じた作業指示情報を生成し、
前記送信手段は、前記作業指示情報生成手段が生成した作業指示情報を、前記端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項7】
前記記憶媒体は、幹に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理装置。
【請求項8】
前記記憶媒体は、当該記憶媒体の付された樹木に関する樹木管理情報を記憶する電子タグおよび当該記憶媒体の付された樹木に関する樹木管理情報の保管場所を示す情報を記憶する2次元コードの少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理装置。
【請求項9】
記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を前記樹木ごとにデータベースに記憶させるステップと、
前記データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成するステップと、
その生成された作業指示情報を、前記記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信するステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする樹木管理プログラム。
【請求項10】
記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を格納するためのデータベースを有する樹木管理装置と、前記各種樹木にそれぞれ付された記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置とを用意し、
前記樹木管理装置において、
前記樹木管理情報を前記樹木ごとにデータベースに記憶し、
前記データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成し、
その生成された作業指示情報を前記端末装置へ送信し、
前記端末装置において、
前記樹木管理装置から送信された作業指示情報を受信し、
その作業指示情報を出力する
ことを特徴とする樹木管理方法。
【請求項1】
記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を前記樹木ごとに記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成する作業指示情報生成手段と、
前記作業指示情報生成手段が生成した作業指示情報を、前記記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする樹木管理装置。
【請求項2】
前記樹木管理情報は、識別子と、樹種、樹生地および育成状況を示す情報とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理装置。
【請求項3】
前記作業指示情報は、前記樹種、樹生地および育成状況を示す情報とに基づいて生成される
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項4】
前記作業指示情報は、通常作業指示情報および点検作業指示情報を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項5】
前記育成状況は、樹齢と、幹周りと、樹高と、樹冠と、不良内容とを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項6】
前記作業指示情報に基づいて更新された育成状況を示す情報を前記端末装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した育成状況を示す情報と、その育成状況を示す情報に対応する樹木の樹種および樹生地とに基づいて危険度を判定する危険判定手段と
をさらに備え、
前記作業指示情報生成手段は、前記危険判定手段によって判定された危険度の高さに応じた作業指示情報を生成し、
前記送信手段は、前記作業指示情報生成手段が生成した作業指示情報を、前記端末装置へ送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の樹木管理装置。
【請求項7】
前記記憶媒体は、幹に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理装置。
【請求項8】
前記記憶媒体は、当該記憶媒体の付された樹木に関する樹木管理情報を記憶する電子タグおよび当該記憶媒体の付された樹木に関する樹木管理情報の保管場所を示す情報を記憶する2次元コードの少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項1に記載の樹木管理装置。
【請求項9】
記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を前記樹木ごとにデータベースに記憶させるステップと、
前記データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成するステップと、
その生成された作業指示情報を、前記記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置へ送信するステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする樹木管理プログラム。
【請求項10】
記憶媒体の付された各種樹木に関する樹木管理情報を格納するためのデータベースを有する樹木管理装置と、前記各種樹木にそれぞれ付された記憶媒体へのアクセスが可能な端末装置とを用意し、
前記樹木管理装置において、
前記樹木管理情報を前記樹木ごとにデータベースに記憶し、
前記データベースに記憶された樹木管理情報に基づいて作業指示情報を生成し、
その生成された作業指示情報を前記端末装置へ送信し、
前記端末装置において、
前記樹木管理装置から送信された作業指示情報を受信し、
その作業指示情報を出力する
ことを特徴とする樹木管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−105030(P2007−105030A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184298(P2006−184298)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(505229195)株式会社エコム (6)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(505229195)株式会社エコム (6)
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