説明

樹状細胞の微粒子ベースのトランスフェクションおよび活性化

【課題】樹状細胞のトランスフェクションのための有効な非ウイルス性技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、非ウイルス方法によって樹状細胞をトランスフェクトするための有効な方法を提供する。この方法は、樹状細胞と特定のトランスフェクション剤とをインキュベートすることによって、この利点を提供する。トランスフェクション剤は、ポリヌクレオチドおよび微粒子を含み、この微粒子は、生分解性ポリマーおよびカチオン性界面活性剤からなる。樹状細胞およびトランスフェクション材は、樹状細胞をこのポリヌクレオチドでトランスフェクトするのに十分な時間インキュベートされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、特許出願番号60/146391(1999年7月29日出願)に関する。この出願は本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、例えば、ウイルスまたは腫瘍と共に免疫治療のための樹状細胞を提供する組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、ウイルスおよび腫瘍に対する養子細胞免疫治療において使用するため、例えば、多数のウイルスまたは腫瘍抗原特異的T細胞の活性化および拡大を可能にするトランスフェクションによって、抗原提示樹状細胞を生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
免疫応答の発生は、抗原提示細胞との相互作用による、ヘルパー(CD4+)(TH)および細胞傷害性(CD8+)(CTL)T細胞サブセットの感作を包含する。抗原提示細胞は、抗原性フラグメント(すなわち、細胞表面上における提示のためのMHCIおよびMHCIIに結合する抗原由来の特異的アミノ酸配列)に関連する主要な組織適合性(MHC)クラスIまたはクラスII分子を発現する。ヒトにおけるMHCはまた、HLA(ヒト白血球抗原)複合体と称される。感作CD4+T細胞は、B細胞および様々なT細胞サブセットの活性化に関与するリンホカインを産生する。感作CD8+T細胞は、リンホカインに対する応答数を増加し、そして適合性MHCコード化クラスI分子に関連する特定の抗原性フラグメントを発現する細胞を破壊するように作用する。腫瘍またはウイルス感染の過程において、細胞傷害性T細胞は、腫瘍またはウイルス関連抗原を発現する細胞を根絶する。
【0004】
樹状細胞(DC)は、免疫系の最も強力な抗原提示細胞であると考えられる(Steinman,R.M.1991,The dendritic cells system and its role in immunogenicity、Ann.Rev.Immunol.9:271;Banchereau,J.B.およびR.M.Steinman.1998.Dendritic cells and the control of Immunity.Nature、392:245に総説される)。抗原の内部移行およびプロセシング、リンパ系器官への転移、サイトカインの分泌、およびリンパ球シグナル伝達のために必要な同時刺激性分子の発現による免疫応答の開始における役割のそれらの広範なスペクトルを考慮すると、樹状細胞は臨床的用途のための理論的法的であることは、驚くべきことではない(Banchereau,J.B.およびR.M.Steinman.1998,Dendritic cells and the control of immunity.Nature.392:245)。抗原をインビボで樹状細胞に標的化するか、またはエキソビボで樹状細胞を抗原に曝露することによって、予防的適用のためのヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞、抗体ならびにIL−12を誘発することによるワクチンの免疫原性を増強することが可能であるか、または癌免疫治療のためのT細胞媒介性抗腫瘍応答を誘導することが可能である。Akbariらは、樹状細胞のトランスフェクションおよび活性化は、マウスモデルにおいて、耳皮膚の乱切によるDNAワクチン接種後の免疫性に重要な現象であることを示唆している(O.Akbari,N.P.、S.Garcia、R.Tascon、D.LowrieおよびB.Stockinger、1999、DNA vaccination:Transfection and activation of dendritic cells as key events for immunity、J.Exp.Med.189:169)。マウスモデルにおける抗腫瘍CTL活性および致死的腫瘍チャレンジに対する保護は、腫瘍関連ペプチド(J.I.Mayordomo,T.Z.,W.J.Storkus.1995.Bone marrow−derived dendritic cells pulsed with synthetic tumour peptides elicit protective and therapeutic antitumour immunity、Nature Med.1:1297)、および皮下経路により転移された全腫瘍溶解物(R.C.Fields,K.S.およびJ.J.Mule’,1998.Murine dendritic cells pulsed with whole tumor lysates mediate potent antitumor immune responses in vitro and in vivo.Proc.Natl.Acad,Sci.USA 95:9482)でパルス化されたサイトカイン駆動性骨髄由来樹状細胞(BMDC)を使用して実証されている。
【0005】
樹状細胞のインビトロ産生は、樹状細胞の受動的転移に基づく遺伝子免疫治療が開発に魅力的な標的となるように、十分に最適化されている(N.Romani,S.G.,D.Brang.1994.Proliferating dendritic cell progenitors in human blood.J.Exp.Med.180:83)。しかしながら、非ウイルス方法による樹状細胞のインビトロのトランスフェクション効率は、非常に乏しく(J.F.Arthur,L.H.B.,M.D.Roth,L.A.Bui,S.M.Kiertscher,R.Lau,S.Dubinett,J.Graspy,W.H.McBrideおよびJ.S.Economou.1997、A comparison of gene transfer methods in human dendritic cells.Cancer Gene Ther.4:17)、そして有効な樹状細胞ベースの免疫治療への進歩を制限してきた。エレクトロポレーションの使用によって進歩が進んできたが、トランスフェクションの効率は非常に低く、そして細胞生育可能力の実質的な損失を生じる(V.F.I.Van Tendeloo,H.−W.S.,F.Lardon,GLEE Vanham,G.Nijs,M.Lenjou,L.Hendriks,C.Van Broeckhoven,A.Moulijn,I.Rodrigus,P,Verdonk,D.R.Van Bockstaele,およびZ.N.Berneman.1998.Nonviral transfection of distinct types of human dendritic cells:high efficiency gene transfer by electroporation into hematopoietic progenitor−but not monocyte−derived dendritic cells.Gene Ther.5:700)。現在まで、純粋に化学的方法は有効であることが示されていない。
【0006】
粒子性キャリアは、治療的化合物の制御された非経口送達を達成するために使用されている。このようなキャリアは、長時間送達系に活性剤を保持するよう設計される。粒子性キャリアの例としては、ポリメチルメタクリレートポリマーから誘導されるキャリア、ならびにポリ(ラクチド)(例えば、米国特許第3,773,919号を参照のこと)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGとして公知、例えば、米国特許第4,767,628号を参照のこと)、およびポリエチレングリコール(PEGとして公知、例えば、米国特許第5,648,095号を参照のこと)から誘導される微粒子が挙げられる。ポリメチルメタクリレートポリマーは、非分解性であり、一方、PLG粒子は、エステル結合のランダム非酵素的加水分解によって生分解して乳酸およびグリコール酸になり、これらは通常の代謝経路によって排出される。
【0007】
例えば、米国特許第5,648,095は、鼻腔送達、経口送達、肺送達および経口送達のための薬物送達システムとして、カプセル化された薬剤と共にマイクロスフェアを使用することを記載する。様々なポリペプチド成長因子を含む遅延放出処方物もまた記載されている。例えば、国際公開WO94/12158、米国特許第5,134,122号および国際公開WO96/37216を参照のこと。
【0008】
粒子性キャリアはまた、適切な免疫応答を引き起こすための試みにおいて、吸着された抗原または捕捉された抗原と共に使用されている。このようなキャリアは、免疫系に対する選択された抗原の複数のコピーを提示し、そして局所リンパ節における抗原の捕捉および保持を促進する。この粒子は、マクロファージによって貪食され得、そしてサイトカイン放出によって抗原提示を増強し得る。例えば、同一人に譲渡された同時係属中の出願第09/015,652(1998年1月29日出願)は、細胞媒介性免疫学的応答を刺激するための抗原吸着微粒子および抗原カプセル化微粒子の使用、ならびにこの微粒子を作製する方法を記載する。
【0009】
例えば、同一人に譲渡された仮特許出願60/036,316において、微粒子を形成する方法が開示され、この方法は、ポリマーと有機溶媒を合わせる工程、次いで、乳濁液安定剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))を添加する工程、次いで、この有機溶媒をエバポレートし、これにより微粒子を形成する工程を包含する。微粒子の表面は、ポリマーおよび安定剤を含む。ポリヌクレオチド(例えば、DNA、ポリペプチドおよび抗原)は、次いで、これらの表面に吸着される。PCT US99/17308もまた参照のこと。
【0010】
同一人に譲渡された仮出願第60/146391は、ポリヌクレオチドを含む様々な高分子を吸収し得る吸着表面を有する微粒子を形成する方法を開示する。一実施形態において、この微粒子は、ポリマーおよび界面活性剤の両方からなる。微粒子はポリマー(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、好ましくは、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレートなど)から誘導され、そして界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤)を用いて形成され、これらの界面活性剤は組み合わせて使用され得る。開示されるカチオン性界面活性剤は、セトリミド(CTAB)、ベンザルコニウムクロリド、DDA(ジメチルジオクトデシルアンモニウムブロミド)、DOTAPなどである。これらの微粒子は、PVAのみを使用するプロセスにより形成される微粒子と比較して、ウイルス性抗原の改良された吸着を生じ、そして優れた免疫応答を提供することが示される。
【0011】
樹状細胞は、膜ラフリング(ruffling)を使用してマクロピノサイトーシスを介して周辺部位において抗原を捕捉するか、またはレセプター媒介性プロセス(FcγIII、マンノースレセプター、またはC型レクチンDEC−205を含む)によって抗原を内部移行し得る(Lanzavecchia,A.1996.Mechanisms of antigen uptake for presentation.Curr.Op.Immunol.8:348)。従って、樹状細胞は、貪食作用により、大きな(250nmより大きい)粒状の抗原の捕捉により標的化され得る。生分解性ポリマーマイクロスフェア(例えば、ポリ−ラクチド−co−グリコリド(PLG))は、貧食細胞によって5μmの直径まで容易に内部移行され(Ikada,Y.T.ら、1990.Phagocytosis of polymer microspheres by macrophages.Adv.Polymer.Sci.94:107)、そして薬物送達系のためのキャリアとして使用されている。
【0012】
最近、Newmanらは、マウス腹膜マクロファージにおける貪食作用に従うPLGAマイクロスフェアにカプセル化されたTexasレッドで標識したデキストランの細胞質送達を報告した(K.D.Newman,G.K.J.Miller,V.Chlumecky,J.Samuel.1999.Cytoplasmic delivery of a fluorescent probe by poly(D,L−lactic−co−glycolic acid)microspheres, 1999 AAPS Annual Meeting Abstracts Online,第1巻)。
【0013】
核酸送達のための合成生体ポリマーの適用は、DNAをヌクレアーゼ分解から保護し、そして細胞取込みを増加させることによる利点を証明した(C.Chavany,T.S.−B.,T.Le Doan,F.Puisieux,P.Couvreur,およびC.Helene.1994.Adsorption of oligonucleotides onto polyisohexylcyanoacrylate nanoparticles protects them against nucleases and increases their cellular uptake.Pharm.Res.11:1370)。
【0014】
PLGにより媒介される専用ではない抗原提示細胞の直接トランスフェクションについての証拠は、最近、CiftciおよびSuにより報告され、彼らは、DNA:ポリカチオン複合体を含むPLG微粒子は、DNAの制御された放出、および界面活性剤で増強された取込み、ならびに293およびMCF−7細胞における遺伝子発現を提供することを見出した(K.Ciftci,J.S.1999.DNA−PLGA microparticles:a promising delivery system for cancer gene therapy.1999 AAPS Annual Meeting Abstracts Online,第1巻)。
【0015】
ポリアルキルシアノアクリレートナノ粒子は、CTAB−オリゴヌクレオチド複合体を結合して、マクロファージ細胞株にインビトロでアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達するために使用されてきた(C.Chavany,T.S.−B.,T.Le Doan,F.Puisieux,P.Couvreur,およびC.Helene.1994.Adsorption of oligonucleotides onto polyisohexylcyanoacrylate nanoparticles protects them against nucleases and increases their cellular uptake.Pharm.Res.11:1370;E.Fattal,C.V.,I.Aynie,Y.Nakada,G.Lambert,C.Malvy,およびP.Couvreur.1998.Biodegradable polyalkylcyanoacrylate nanoparticles for the delivery of oligonucleotides.J.Controlled Release 53:137)が、これらのビヒクルは、組換え遺伝子を有するプラスミドで樹状細胞をトランスフェクトすることが示されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、樹状細胞のトランスフェクションのための有効な非ウイルス性技術の必要性が、当該分野において存在する。微粒子技術は、これまでにポリヌクレオチドを細胞に導入するために使用されてきたが、出願人らは、このような技術は、トランスフェクションに対して明白に耐性である樹状細胞のトランスフェクションのために使用されていないことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明は、非ウイルス方法による樹状細胞のトランスフェクションのための有効な方法を提供する。本発明は、樹状細胞をインキュベートすることによるこの利点、および特定のトランスフェクション剤を提供する。このトランスフェクション剤は、ポリヌクレオチドおよび微粒子を含み、この微粒子は、生分解性ポリマーおよびカチオン性界面活性剤からなる。樹状細胞およびトランスフェクション剤は、ポリヌクレオチドでこの樹状細胞をトランスフェクトするのに十分な時間インキュベートされる。
【0018】
トランスフェクション剤について、カチオン性界面活性剤は、好ましくは、CTABまたはセトリミドを含み、一方、ポリマーは、好ましくは、ポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(ラクチド))、D,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマー、またはD,L−ラクチドとグリコリドまたはグリコール酸とのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド))である。さらに好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは、ウイルスに関連する抗原(例えば、HIV、髄膜炎A、髄膜炎Bまたは髄膜炎C、あるいは腫瘍)をコードする。
【0019】
樹状細胞は、任意の入手可能な供給源(例えば、脊椎動物被験体、好ましくはヒト被験体の骨髄または血液)由来であり得る。樹状細胞は、トランスフェクションの前に、例えば、約5〜約10日の間、適切な成長因子(例えば、GM−CSF)の存在下で培養され得る。
【0020】
樹状細胞およびトランスフェクション剤は、好ましくは、適切な条件下で、約24時間インキュベートされる。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明のトランスフェクトされた有効量の樹状細胞は、それを必要とする脊椎動物被験体に投与される。他の実施形態において、T細胞は、本発明の樹状細胞によってまず活性化され、次いで、それを必要とする脊椎動物被験体に投与される。樹状細胞および/またはT細胞は、例えば、脊椎動物被験体またはこの脊椎動物被験体とMHC適合性の健康な脊椎動物被験体由来であり得る。樹状細胞および/またはT細胞は、脊椎動物被験体に非経口的に投与され得る。
【0022】
本発明の1つの利点は、ポリヌクレオチドが樹状細胞によって有効に内在化され得ることである。
【0023】
本発明の別の利点は、遺伝子発現が樹状細胞内で有効であり得ることである。
【0024】
本発明のなお別の利点は、抗原が処理され、そして樹状細胞の表面でMHC分子と関係して存在し得ることである。
【0025】
本発明の別の利点は、ポリヌクレオチドが迅速に内在化され、そして抗原提示を伴って発現され得ることである。
【0026】
本発明のなお別の利点は、本発明の方法が、例えば、遺伝子免疫治療またはワクチン接種において、比較的安全に使用され得ることである。例えば、カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)および生分解性ポリマー(例えば、PLG)の両方は、生物医学的適用において利用された。さらに、生きたウイルスベクターの使用に関する明確な安全性は、避けられ得る(Rock,S.R.ら、1998.「Fully mobilizing host defense:building better vaccines」Nature Biotech.16:1025を再検討されている)。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1) 樹状細胞をトランスフェクトする方法であって、以下:
樹状細胞を提供する工程;
トランスフェクション剤を提供する工程であって、該トランスフェクション剤は、ポリヌクレオチドおよび微粒子を含み、該微粒子は、生分解性ポリマーおよびカチオン性界面活性剤を含む、工程;ならびに
該樹状細胞およびトランスフェクション剤を、該樹状細胞を該ポリヌクレオチドでトランスフェクトするのに十分な時間インキュベートする工程、
を包含する、方法。
(項目2) 前記樹状細胞が、骨髄に由来する、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記樹状細胞が、血液に由来する、項目1に記載の方法。
(項目4) 前記樹状細胞が、脊椎動物被験体に由来する、項目1に記載の方法。
(項目5) 前記樹状細胞が、ヒト被験体に由来する、項目1に記載の方法。
(項目6) 前記カチオン性界面活性剤が、CTABを含む、項目1に記載の方法。
(項目7) 前記カチオン性界面活性剤が、セトリミドを含む、項目1に記載の方法。
(項目8) 前記ポリマーが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)である、項目1に記載の方法。
(項目9) 前記ポリマーが、ポリ(ラクチド)である、項目1に記載の方法。
(項目10) 前記ポリマーが、D,L−ラクチドとグリコリドまたはグリコール酸とのコポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目11) 前記ポリマーが、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)である、項目1に記載の方法。
(項目12) 前記ポリマーが、D,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマーである、項目1に記載の方法。
(項目13) 前記樹状細胞が、トランスフェクションの前に約5日間培養される、項目1に記載の方法。
(項目14) 前記樹状細胞が、トランスフェクションの前に約10日間培養される、項目1に記載の方法。
(項目15) 前記樹状細胞およびトランスフェクション剤が、約24時間インキュベートされる、項目1に記載の方法。
(項目16) 前記ポリヌクレオチドが、プラスミドの形態で提供される、項目1に記載の方法。
(項目17) 前記ポリヌクレオチドが、ウイルスに関連する抗原または腫瘍に関連する抗原をコードする、項目1に記載の方法。
(項目18) 前記抗原が、HIV、髄膜炎A、髄膜炎Bまたは髄膜炎Cに関連する、項目17に記載の方法。
(項目19) 免疫応答を生成するための組成物であって、
項目17に記載の方法によって産生された樹状細胞の有効量
を含む、組成物。
(項目20) 前記樹状細胞が、脊椎動物被験体に由来する、項目19に記載の組成物。
(項目21) 前記樹状細胞が、前記脊椎動物被験体に対してMHC適合性の健常な脊椎動物被験体に由来する、項目19に記載の組成物。
(項目22) 前記樹状細胞が、非経口的に投与するために適していることを特徴とする、項目19に記載の組成物。
(項目23) 前記樹状細胞が、罹患組織内への直接注入によって投与するために適していることを特徴とする、項目19に記載の組成物。
(項目24) 免疫応答を必要とする脊椎動物被験体において免疫応答を生成するための組成物であって、
T細胞
を含み、該T細胞が、項目17に記載の方法によって産生された樹状細胞に供することによって活性化されることを特徴とする、組成物。
(項目25) 前記樹状細胞およびT細胞が、前記脊椎動物被験体に由来する、項目24に記載の組成物。
(項目26) 前記樹状細胞およびT細胞が、前記脊椎動物被験体に対してMHC適合性の健常な脊椎動物被験体に由来する、項目24に記載の組成物。
(項目27) 前記T細胞が、非経口的に投与するために適していることを特徴とする、項目24に記載の組成物。
(項目28) 前記T細胞が、罹患組織内への直接注入によって投与するために適していることを特徴とする、項目24に記載の組成物。
(項目29) 項目17に記載の方法によって作製された、抗原提示樹状細胞。
(項目30) 前記トランスフェクション剤が、約1ミクロンの直径を有する、項目1に記載の方法。
(項目31) 前記トランスフェクション剤が、約1% w/wのポリヌクレオチドを含む、項目1に記載の方法。
これらおよび他の実施形態および利点は、本明細書および下記の特許請求の範囲の精査に基づいて、当業者に容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、標的遺伝子発現の検出のためのRT−PCR産物のアガロースゲル電気泳動を示す。レーンの命名は、以下の通りである:1)500bp DNAラダー、2−4)未処理のプラスミドDNA、およびPLG−CTAB−DNAで処理した骨髄由来の樹状細胞(BMDC)由来のβアクチンコントロールRT−PCR反応物、5)100bpのDNAラダー、6)pCMV−gag DNAのコントロールスパイクで調製した未処理のmRNA、8−10)未処理のプラスミドDNA、およびPLG−CTAB−DNAで処理したBMDC由来のp55gag RT−PCR、11−13)未処理のプラスミドDNA、およびPLG−CTAB−DNAで処理したBMDC由来のPCRネガティブコントロール、14)pCMV−gagDNA PCRポジティブコントロール。
【図2】図2は、骨髄由来の樹状細胞(BMDC)を用いてMHCクラスI T細胞ハイブリドーマを刺激した後、IL−2の産生レベルを例示する。未成熟(6日)BMDCおよび成熟(9日)BMDCの両方を、試験した。各成熟群内でのBMDC処理は、以下(左から右)の通りである:未処理、PLG−CTABで処理、PLG−CTAB−pCMV gag DNAで処理、PLG−CTAB−luc DNAで処理、裸のpCMV gag DNAで処理、および裸のlucDNAで処理。
【図3】図3は、PLG−CTAB微粒子上で形成された種々の濃度のpCMV−gagプラスミドDNAとともにインキュベートした、BMDCを用いてT細胞ハイブリドーマを刺激した後のIL−2産生レベル(左 y−軸、バーシリーズ)を例示する。図3はまた、PLG−CTAB微粒子上で形成された種々の濃度のpCMV−gagプラスミドDNAとともにインキュベートした、BMDCの生存%(右 y−軸、ラインシリーズ)を例示する。適切なデータポイントは、2つ組サンプルの平均値および標準誤差を示す。
【図4】図4は、ナイーブ(未処理)のBMDCまたはPLG−CTAB−pCMVgagDNAで処理したBMDCのいずれかを用いてgag特異的T細胞ハイブリドーマを刺激した後、および過剰の合成ペプチドエピトープを用いてパルスした後のIL−2の生成レベルを例示する。抗原提示細胞(すなわち、BMDC)に対するT細胞の比を変えて、全ての場合においてT細胞の数を一定に保持したままで研究した。データポイントは、一連の希釈によりアッセイされた2つ組サンプルの平均値±誤差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に示されない限り、化学、ポリマー化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の当該分野の技術内の通常の方法を使用する。このような技術は、文献に十分に記載されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan編、Academic Press,Inc);Handbook of Experimental Immunology,Vols.I−IV(D.M.Weir および C.C.Blackwell編、1986、Blackwell Scientific Publications);Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.編、CRC Press,1997)およびSeymour/Carraher’s Polymer Chemistry(第4版、Marcel Dekker Inc.,1996を参照されたい)。
【0029】
上記または下記のいずれかで本明細書に引用された全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が参考として本明細書によって引用されている。
【0030】
(A.定義)
本発明を記載する際に、以下の用語が使用され、そして以下に例示されるように定義されることを意図する。
【0031】
用語「樹状細胞」は、それらの特定の樹状形態および複数の薄膜突起物によって、およびクラスII MHC分子の高度の密度によって特徴付けられる抗原を提示する細胞を言及するために本明細書中で使用される。樹状細胞としては、皮膚のランゲルハンス細胞、輸入リンパ管の「ベール細胞」、小胞樹状細胞、脾臓の樹状細胞、およびリンパ器官の指状突起細胞が挙げられる。樹状細胞は、皮膚、脾臓、骨髄、リンパ節、他のリンパ器官、および末梢血臍帯血から得られ得る。好ましくは、樹状細胞は、本発明に使用するために血液または骨髄から得られる。
【0032】
本明細書中で使用される用語「微粒子」は、約100nmから約150μmの直径、より好ましくは、約200nmから約30μmの直径、最も好ましくは、約500nmから約10μmの直径の粒子を意味する。微粒子のサイズは、光子相関分光法、レーザー回折および/または走査電子顕微鏡法のような、当該分野で周知の技術によって容易に決定される。
【0033】
本明細書中で使用するための微粒子は、好ましくは、好ましく滅菌可能であり、非毒性であり、そして生分解性である材料から形成される。このような材料としては、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACAおよびポリシアノアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明に使用するための微粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)またはD,L−ラクチドとグリコリドもしくはグリコール酸とのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(「PLG」もしくは「PLGA」)、またはD,L−ラクチドとカプロラクトンとのコポリマー)から誘導される。この微粒子は、種々の分子量を有し、例えば、PLGのようなコポリマーの場合には、種々のコモノマー(ラクチド:グリコリド)比を有する任意の種々のポリマーの出発物質から誘導される。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「カチオン性界面活性剤」は、カチオン性界面活性剤およびエマルジョン安定剤を含む。カチオン性界面活性剤としては、セトリミド、CTAB、ベンザルコニウムクロリド、DDA(ジメチルジオクトデシルアンモニウムブロミド)、ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
「ポリヌクレオチド」は、核酸ポリマーである。本発明に従うポリヌクレオチドは、好ましくは、最小のトランスフェクションユニット長であり、これは、約1kbのオーダーである。さらに、「ポリヌクレオチド」は、二本鎖配列および一本鎖配列の両方を含み得、そして天然から誘導されたDNA配列および合成DNA配列を含み得る。この用語はまた、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基アナログを含み、そして天然配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般に天然で保存的))を含む配列を含む。
【0036】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを意味し、そしてこの産物の最小の長さに限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどは、定義内に含まれる。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方は、定義に含まれる。この用語はまた、天然配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般に天然で保存的))を含む。
【0037】
「抗原」は、抗原が本発明に従う樹状細胞表面に示される場合、免疫応答を刺激し得る1以上のエピトープを含む分子を意味する。通常、エピトープは、約3〜15個、一般に、約5〜15個の間のアミノ酸を含む。所与のタンパク質のエピトープは、当該分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を使用して同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,第66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、リニアエピトープは、例えば、固体支持体上で多数のペプチド(タンパク質分子の部分に対応するペプチド)を同時に合成することによって、そしてこのペプチドが支持体にまだ結合している間に、抗体とペプチドを反応させることによって決定され得る。このような技術は、当該分野で公知であり、そして例えば、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709−715(本明細書中でこれらの全ては、参考として援用される)に記載される。同様に、高次構造エピトープは、アミノ酸の空間的な高次構造を、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴などにより決定することによって容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols(上述)を参照のこと。
【0038】
本発明の目的のために、抗原が任意の種々の公知のウイルス、細菌、寄生虫および真菌ならびに任意の種々の腫瘍から誘導され得る。さらに、本発明の目的のために、「抗原」は、免疫応答を惹起する能力が維持される限り、天然配列に対する改変(例えば、欠失、付加および置換(一般に天然で保存的))を含むタンパク質を意味する。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介して意図され得るか、または抗原を産生する宿主の変異などを介して偶発的であり得る。
【0039】
「免疫学的応答」または「免疫応答」は、目的の組成物中に存在する分子に応答する、体液性免疫応答および/または細胞免疫応答の被験体中での発達である。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」は、抗体分子によって媒介される免疫応答を意味するが、「細胞免疫応答」は、T−リンパ球および/またはその他の白血球によって媒介されるものである。従って、本明細書中に記載されるような免疫学的応答は、細胞傷害T細胞の産生および/またはヘルパーT細胞の産生または活性化を刺激するものであり得る。このような応答は、当該分野で周知の標準的なイムノアッセイおよび中和アッセイを使用して決定され得る。
【0040】
ワクチンおよび免疫学的組成物の両方は、本発明と関連して考慮される。
【0041】
「脊椎動物被験体」とは、亜門cordataの任意のメンバーを意味し、これには、限定しないが、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、およびヒトのような哺乳動物;イヌおよびネコのような家畜;およびニワトリ、シチメンチョウ、および他の家禽のトリを含む雄鳥および雌鳥のような飼いならされたトリ、野生のトリおよび狩猟鳥を含むトリが挙げられる。この用語は、特定の年齢を示さない。従って、成体の動物と新生仔の動物との両方がカバーされることを意図する。
【0042】
「薬学的に受容可能」または「薬理学的に受容可能」とは、生物学的またはそれ以外で望ましくないことはない物質(すなわち、この物質は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こさず、その物質が含まれる組成物の任意の成分と有害な様式で相互作用しないで個体に投与され得る)を意味する。
【0043】
(B.微粒子の処方)
本発明において、目的の抗原を含むポリヌクレオチドは、ポリマーおよびカチオン性界面活性剤から形成される微粒子に吸収される。吸収剤の微粒子の表面へのポリヌクレオチドの吸収は、結合−相互作用機構(限定しないが、イオン結合、水素結合、共有結合、ファンデルワールス結合、および親水性/疎水性相互作用を介する結合を含む)によって生じる。当業者は、本発明のために適切なカチオン性界面活性剤を容易に選択し得る。上記のように、公知のカチオン性界面活性剤としては、限定しないが、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、セトリミド(少量のドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドおよびCTABと一緒に、主にテトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイドからなる混合物)、ベンザルコニウムクロライド、DDA(ジメチルジオクトデシルアンモニウムブロマイド)、DOTAPなどが挙げられる。CTABが特に好ましい。カチオン性界面活性剤(例えば、CTAB)を用いて製造される微粒子(例えば、CTAB−PLG微粒子)は、陰性に荷電したポリヌクレオチドを容易に吸収する。
【0044】
本発明とともに使用するための微粒子を製造するための生分解性ポリマーは、例えば、Boehringer Ingelheim,GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.,Birmingham,ALから容易に商業的に入手可能である。例えば、本明細書中で微粒子を形成するのに有用なポリマーとしては、ポリヒドロキシ酪酸から誘導されるもの;ポリカプロラクトン;ポリオルトエステル;ポリ無水物;ならびにポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)(両方とも本明細書中において「PLA」として公知))、ポリ(ヒドロキシブチレート)、D,L−ラクチドおよびグリコリドのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(本明細書中において、「PLG」または「PLGA」と名付けられる)またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマーが挙げられる。本明細書中でおける使用に特に好ましいポリマーは、PLAおよびPLGポリマーである。これらのポリマーは、種々の分子量で入手可能であり、所与の用途について、適切な分子量が、当業者によって容易に決定される。従って、例えば、PLAについて、適切な分子量は、約2000〜5000のオーダーである。PLGについて、適切な分子量は、一般的に約10,000〜約200,000、好ましくは約15,000〜150,000、そして最も好ましくは、約50,000〜約100,000の範囲である。
【0045】
PLGのようなコポリマーが微粒子を形成するために使用される場合、種々のラクチド:グリコリド比が本明細書中での用途を見出す。種々のラクチド:グリコリド比および分子量を有するPLGコポリマーは、Boehringer Ingelheim,Germany and Birmingham Polymers,Inc.,Birmingham,ALを含む多くの供給源から商業的に容易に入手可能である。これらのポリマーはまた、当該分野で周知の技術(例えば、Tabata et al.,J Biomed.Mater.Res.(1988)22:837−858に記載される)を使用して乳酸成分の単純な重縮合によって合成され得る。
【0046】
ポリヌクレオチド/微粒子は、当該分野において周知のいくつかの方法のいずれかを使用して調製される。例えば、二重乳濁液/溶媒エバポレーション技術(例えば、米国特許第3,523,907号およびOgawa et al.,Chem.Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103に記載される)は、微粒子を作製するために本明細書中で使用され得る。
【0047】
水中油中水(water−in−oil−in−water)(w/o/w)溶媒蒸発系を使用して、O’Hagan et al.,Vaccine(1993)11:965−969およびJeffery et al.,Pharm.Res.(1993)10:362によって記載されるような微粒子を形成し得る。この技術において、特定のポリマーが、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ジメチルクロライド(メチレンクロライドおよびジクロロメタンとも呼ばれる)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムなど)と組み合わされる。ポリマーは、有機溶媒中において約1〜30%、好ましくは約2〜15%、より好ましくは約3〜10%、そして最も好ましくは約4%の溶液で提供される。ポリマー溶液を、例えば、ホモジナイザーを使用して乳化する。次いで、この乳濁液は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドンのような乳化安定剤、および界面活性剤(特に、カチオン性界面活性剤)の大量の水溶液と組み合わせられる。乳濁液は、1つより多くの乳化安定剤および/または界面活性剤(例えば、PVAおよびカチオン性界面活性剤の組み合わせ)で組み合わせられ得る。特定のポリヌクレオチドは、安定剤および/または界面活性剤の組み合わせを有する微粒子に、より容易に吸収され得る。乳化安定化剤が使用される場合、典型的に、約2〜15%の溶液、より典型的には、約4〜10%溶液で提供される。一般的に、約0.00001:1〜約0.1:1の範囲の界面活性剤対ポリマーの重量対重量比が使用され、より好ましくは、約0.0001:1〜約0.01:1、より好ましくは、約0.001:1〜約0.01、そしてなおより好ましくは約0.005:1〜約0.01:1で使用される。次いで、この混合物は、安定なw/o/w二重乳濁液を作製するように均質化される。次いで、有機溶媒が蒸発される。
【0048】
処方物のパラメーターは、0.05μm(50nm)のオーダーの小さな微粒子から50μmの大きな微粒子またはさらに大きな微粒子の調製を可能にするように操作され得る。例えば、Jeffery et al.,Pharm.Res.(1993)10:362−368;McGee et al.,J Microencap.(1996)を参照のこと。例えば、撹拌の減少は、大きな微粒子を生じ、内部相容積の増加を生じる。小さな粒子は、高濃度の乳濁液安定化剤を有する低い水相容積によって作製される。
【0049】
微粒子はまた、Thomasin et al.,J Controlled Release(1996)41:131;米国特許第2,800,457号;Masters,K.(1976)Spray Drying 2nd Ed.Wiley,New Yorkに記載されるようなスプレー乾燥およびコアセルベーション;Hall et al.,(1980)The 「Wurster Process」 in Controlled Release Technologies:Methods,Theory,and Applications(A.F.Kydonieus,ed.),Vol.2,pp.133−154 CRC Press,Boca Raton,Florida and Deasy,P.B.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.(1988)S(2):99−139に記載される、パン(pan)コーティングおよびWursterコーティングのような空気−懸濁液コーティング技術;および例えば、Lim et al.,Science(1980)210:908−910によって記載されるようなイオンゲル化を使用して形成され得る。
【0050】
粒子サイズは、例えば、ヘリウム−ネオンレーザーを組み込むスペクトロメーターを使用する、例えば、レーザー光散乱によって決定され得る。一般的に、粒子サイズは、室温で決定され、そして粒子直径の平均値を得るために、問題のサンプルの複数分析(例えば、5〜10回)を含む。粒子サイズはまた、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して容易に決定される。
【0051】
調製に続いて、微粒子は、将来の使用のために、そのまま、または凍結乾燥されて保存され得る。
【0052】
(C.樹状細胞の単離)
樹状細胞は、それらが存在する任意の組織(皮膚の表皮(ランゲルハンス細胞)のような非リンパ組織ならびに脾臓、骨髄、リンパ節および胸腺のようなリンパ組織、ならびに血液(血液樹状細胞)、例えば、末梢血および臍帯血、およびリンパ(ベール細胞(veiled cell))を含む循環系を含む)から得られる。
【0053】
例えば、器官培養物に配置されるマウス(Larsen et al.,J.Exp.Med.172:1483−1493(1990))またはヒト皮膚(Richters et al.,J.Invest.Dermatol.(1994))の外植片は、この外植片を囲う培地への樹状細胞の選択的な移動を可能にする。
【0054】
最近の研究は、ヒト末梢血由来を含むヒト樹状細胞の単離および増殖のための方法(Macatonia et al.,1991,Immunol.74:399−406;O’Doherty et al.,1993,J.Exp.Med.178:1067−1078(単離);およびMarkowicz et al.,1990,J.Clin.Invest.85:955−961;Romani et al.,1994,J.Exp.Med.180:83−93;Sallusto et al.,1994,J.Exp.Med.179:1109−1118;Berhard et al.,1995,J.Exp.Med.55:1099−1104(増殖))を記載している。
【0055】
Van Tendeloo et al.,1998,Gene Ther.5:700−707は、骨髄および臍帯血から得られるCD34+前駆細胞からそして末梢血由来の単核細胞から樹状細胞(ランゲルハンス細胞を含む)を誘導するための技術を開示する。
【0056】
樹状細胞はまた、例えば、好ましくは、特定の増殖因子または刺激因子(単数または複数)の存在下で培養することによって、成熟または活性化を誘導するために処理され得る。以下の例において、樹状細胞を、GM−CSFと培養することによって改変する。
【0057】
樹状細胞の調製に関連するさらなる技術は、例えば、米国特許第5,788,963号、同第5,962,318号および同第5,851,756号(これらの開示は、本明細書中で参考として援用される)に見い出され得る。
【0058】
本発明の好ましい実施形態に従って、樹状細胞は、処置される患者から得られる。この樹状細胞を使用して、免疫療法のために、インビトロまたはインビボのいずれかで、患者のT細胞を活性化する。
【0059】
代替的実施形態に従って、樹状細胞は、健常な個体から得られる。例えば、個体の末梢血単核細胞(PBMC)上の関連するHLA抗原(クラスIおよびIIの両方(例えば、HLA−A、B、CおよびDR))を同定し、そしてHLA抗原に関してこの患者に適合する樹状細胞を、上記のように単離および拡大する。例えば、特定の例において、放射線および/または化学療法剤で処置した後期癌患者は、十分な樹状細胞も、効果的な樹状細胞も提供し得ない。従って、健常なHLA適合性の個体(例えば、同胞)由来の樹状細胞が、上記の方法のいずれかを使用して獲得および拡大され得る。
【0060】
(D.抗原)
発現され得る選択された抗原としては、脊椎動物の感染因子または癌の、1以上の選択された抗原が含まれ、そしてこれらは、構造タンパク質または非構造タンパク質のいずれかに対応することができる。本明細書中に記載される本発明は、このような抗原の、樹状細胞の表面のMHC分子との会合を提供し、その結果、目的の抗原に対する免疫応答が、マウントされ得る。
【0061】
例えば、本発明は、以下を含むヘルペスウイルスファミリー由来の広範な種々の抗原に対する免疫応答を刺激するために有用である:単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型由来のタンパク質(例えば、HSV−1およびHSV−2糖タンパク質gB、gDおよびgH);水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)由来の抗原(CMV gBおよびgHを含む);ならびに他のヒトヘルペスウイルス(例えば、HHV6およびHHV7)由来の抗原。(例えば、Cheeら、Cytomegaloviruses(J.K.McDougall編、Springer−Verlag 1990)125−169頁(サイトメガロウイルスのタンパク質をコードする内容の総説について);McGeochら、J.Gen.Virol.(1988)69:1531−1574(種々のHSV−1コードタンパク質の考察について);米国特許第5,171,568号(HSV−1およびHSV−2のgBおよびgDタンパク質、ならびにそれらをコードする遺伝子の考察について);Baerら、Nature(1984)310.207−211(EBVゲノムにおけるタンパク質コード配列の同定について);およびDavisonおよびScott,J.Gen.Virol.(1986)67:1759−1816(VZVの総説について)を参照のこと。)
【0062】
肝炎ファミリーのウイルス(A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)を含む)由来の抗原もまた、本明細書中に記載の技術において都合よく使用され得る。例えば、HCVのウイルスゲノム配列は公知であり、その配列を得るための方法もまた公知である。例えば、国際公開番号WO89/04669;WO90/11089;およびWO90/14436を参照のこと。HCVゲノムは、いくつかのウイルスタンパク質をコードする。これらのタンパク質としては、E1(Eとしても公知である)およびE2(E2/NS1としても公知である)、ならびにN末端ヌクレオキャプシドタンパク質(「コア」と呼ばれる)が挙げられる(E1およびE2を含むHCVタンパク質の考察については、Houghtonら、Hepatology(1991)14:381−388を参照のこと)。これらのタンパク質の各々、ならびにそれらの抗原性フラグメントは、本発明の組成物および方法における用途を見い出す。
【0063】
同様に、HDV由来のδ抗原の配列が、公知であり(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)、そしてこの抗原もまた、本発明の組成物および方法において都合よく使用され得る。さらに、以下のような、HBV由来の抗原が、本発明における用途を見い出す:コア抗原、表面抗原(sAg)、ならびに前表面(presurface)配列(pre−S1およびpre−S2(以前は、pre−Sと呼ばれていた))、ならびに上記の組み合わせ(例えば、sAg/pre−S1、sAg/pre−S2、sAg/pre−S1/pre−S2、およびpre−S1/pre−S2)。例えば、「HBV Vaccines−from the laboratory to license:a case study」Mackett,M.およびWilliamson,J.D.,Human Vaccines and Vaccination、159−176頁(HBV構造の考察について);および米国特許第4,722,840号、同第5,098,704号、同第5,324,513号(それらの全体が、本明細書中で参考として援用される);Beamesら、J.Virol.(1995)69:6833−6838、Birnbaumら、J.Virol.(1990)64:3319−3330;およびZhouら、J.Virol.(1991)65:5457−5464を参照のこと。
【0064】
他のウイルス由来の抗原もまた、特許請求の範囲に記載の組成物および方法における用途を見い出す。これらの抗原には、例えば、以下の科のメンバー由来のタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない:ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルスなど);カルシウイルス科;トガウイルス科(例えば、風疹ウイルス、デング熱ウイルスなど);フラビウイルス科;コロナウイルス科;レオウイルス科;ビルナウイルス科;ラブドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルスなど);フィロウイルス科;パラミクソウイルス科(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルスなど);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザA型、B型およびC型など);ブンヤウイルス科;アレナウイルス科;レトロウイルス科(例えば、HTLV−I;HTLV−II;HIV−1(HTLV−III、LAV、ARV、hTLRなどとしても公知))(とりわけ、分離体HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN);HIV−1CM235、HIV−1US4;HIV−2;サル免疫不全ウイルス(SIV)由来の抗原が挙げられるが、これらに限定されない)。さらに、抗原はまた、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびダニ媒介脳炎ウイルス由来でもあり得る。これらおよび他のウイルスの説明については、例えば、Virology,第3版(W.K.Joklik編、1988);Fundamental Virology、第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe,編、1991)を参照のこと。
【0065】
より詳細には、上記HIV分離物(HIVの種々の遺伝的サブタイプのメンバーを含む)のいずれか由来のgp120エンベロープタンパク質が、公知でありそして報告されており(種々のHIV分離物のエンベロープ配列の比較については、例えば、Myersら、Los Alamos Database,Los Alamos National Laboratory,Los Alamos,New Mexico(1992);Myersら、Human Retroviruses and Aids、1990、Los Alamos,New Mexico:Los Alamos National Laboratory;およびModrowら、J.Virol.(1987)61:570−578を参照のこと)、そしてこれらの分離物のいずれか由来の抗原は、本発明の方法における用途を見い出す。さらに、本発明は、種々のHIV分離物のいずれか由来の他の免疫原性タンパク質(任意の種々のエンベロープタンパク質(例えば、gp160およびgp41)、gag抗原(例えば、p24gagおよびp55gag)ならびにpol領域由来のタンパク質を含む)に等価的に適用可能である。
【0066】
インフルエンザウイルスは、本発明が特に有用なウイルスの別の例である。詳細には、インフルエンザAのエンベロープ糖タンパク質HAおよびNAは、免疫応答を生じるために特に重要である。インフルエンザAの多くのHAサブタイプが、同定されている(Kawaokaら、Virology(1990)179:759−767;Websterら、「Antigenic variation among type A influenza viruses」、127−168頁:P,PaleseおよびD.W.Kingsbury(編)Genetics of influenza viruses、Springer−Verlag,New York)。従って、これらの分離物のいずれか由来のタンパク質もまた、本明細書中に記載の組成物および方法において使用され得る。
【0067】
髄膜炎A、髄膜炎B、髄膜炎Cおよび他の関連するウイルス由来の抗原もまた、本発明の組成物および方法における用途を見い出す。髄膜炎B抗原の例については、例えば、PCT99/00695(1999年4月7日出願);PCT IB98/01665(1998年10月9日出願)およびPCT US99/09346(1999年4月30日出願)を参照のこと。
【0068】
T細胞免疫応答によって制御される非ウイルス生物としては、以下が挙げられる:病原性の原生動物(例えば、ニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)、トリパノソーマ属(Trypanosoma)、リーシュマニア属(Leishmania)、プラスモディウム属(plasmodium)およびトキソプラスマ(Toxoplasma gondii));細菌(例えば、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)およびレジオネラ属(Legioniella))ならびに真菌(例えば、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)およびCocidioides immitus)。従って、これらの生物由来の抗原もまた、本発明に関連して有用である。
【0069】
本発明における使用のための腫瘍抗原としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:黒色腫抗原(Kawakamiら、Proc,Natl.Acad.Sci.USA 91:3515−3519(1994);Kawakamiら、J.Exp.Med.,180:347−352(1994);Kawakamiら、Cancer Res.54:3124−3126(1994)(MART−1(Coulieら、J.Exp.Med.,180:35−42(1991)、gp100(Wickら、J.Cutan.Pathol.4:201−207(1988))、ならびにMAGE抗原、MAGE−1、MAGE−2およびMAGE−3(Van der Bruggenら、Science,254:1643−1647(1991)を含む);CEA、TRP−1、P−15およびチロシナーゼ(Brichardら、J.Exp.Med.178:489(1993));HER−2/neu遺伝子産物(米国特許第4,968,603号);エストロゲンレセプター、乳脂肪グロブリン、p53腫瘍サプレッサータンパク質(Levine、Ann.Rev.Biochem.62:623(1993));ムチン抗原(Taylor−Papdimitriou,国際公開番号WO90/05142));テロメラーゼ;核基質タンパク質;前立腺酸性ホスファターゼ;パピローマウイルス抗原;および以下の癌に関連する抗原:黒色腫、転移癌、腺癌、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺癌、肝臓癌、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌および他の癌(例えば、Rosenberg.Ann.Rev.Med.47:481−91(1996)。
【0070】
(E.ポリヌクレオチド)
本発明に従って、1以上のポリヌクレオチドが、樹状細胞にエキソビボで挿入され、その結果、1以上の選択された抗原が、その樹状細胞の表面上に有効量で提示される。「有効量」によって、提示が、樹状細胞に免疫応答を誘発させ得るのに十分であることを意味する。
【0071】
核酸操作のための技術は、周知である。このような技術における適用に有用な試薬(例えば、制限酵素など)は、当該分野で広範に公知であり、多くの供給者から市販されている。
【0072】
本発明の樹状細胞における発現のための選択された抗原をコードする多量のヌクレオチド配列は、適切な宿主細胞におけるその配列を保持するベクターの分子クローニングおよび操作についての公知の手順を使用して得られ得る。本発明における使用のための核酸配列は、化学合成によって部分的または全体的に生成され得、そしてこれは、市販の自動オリゴヌクレオチド合成機で行われ得る。
【0073】
樹状細胞における提示のための所望の抗原をコードするポリヌクレオチドは、好ましくは、組換え発現ベクターであり、ここで、高レベルの発現が生じ得、そしてこれらのベクターは、挿入された核酸配列の転写および翻訳のための適切な調節配列を含む。これらのベクターはまた、選択されたクラスIおよびクラスII MHC分子、同時刺激分子および他の免疫調節分子、ABCトランスポータータンパク質(TAP1およびTAP2タンパク質を含む)をコードする、ポリヌクレオチド配列を含む。従って、ポリヌクレオチド配列の種々の組み合わせが、適切な発現ベクター(単数または複数)に挿入され得る。ベクターは、その後の複製に必要なさらなるエレメント(例えば、複製起点)を含み得る。ベクターはまた、その挿入された核酸を保持する樹状細胞の選択を可能にする、少なくとも1つの陽性マーカーを含み得る。
【0074】
本発明に好ましい組換え発現ベクターとしては、プラスミドベクターが挙げられる。好ましいプラスミド発現ベクターとしては、pCMV(例えば、米国特許第5,688,688号(この全体の開示は、本明細書によって参考として援用される)を参照のこと)が挙げられる。
【0075】
所望の抗原(単数または複数)をコードするポリヌクレオチドは、以下に議論する本発明のトランスフェクション方法を使用して樹状細胞に導入される。
【0076】
(F.ポリヌクレオチドとの微粒子の会合)
目的のポリヌクレオチドを目的の微粒子と会合させるために、微粒子を、例えば、適切な緩衝液中で、ポリヌクレオチドを単純に混合する。得られた処方物は、使用前に凍結乾燥化し得る。一般に、ポリヌクレオチドは、約0.0001:1〜0.25:1のポリヌクレオチド:微粒子、好ましくは、0.001:1〜0.1、より好ましくは、0.01〜0.05の重量比を有する、吸着されたポリヌクレオチドを有する微粒子を生じるように、微粒子に添加される。微粒子のポリヌクレオチド含量は、標準的な技術を使用して決定され得る。
【0077】
本発明の微粒子は、その中に捕捉またはカプセル化されたポリヌクレオチド、ならびにその上に吸着されたポリヌクレオチドを有し得る。
【0078】
ポリヌクレオチドとの微粒子の会合物は、本明細書中で代替的に、「ポリヌクレオチド/微粒子」、「トランスフェクト剤」および「トランスフェクション剤」と呼ばれる。
【0079】
(G.樹状細胞のトランスフェクション)
一旦、樹状細胞およびポリヌクレオチド/微粒子を調製すると、これらを、トランスフェクションが生じるに十分な時間および温度で、溶液中でインキュベートする。好ましい実施形態に従って、樹状細胞およびポリヌクレオチド/微粒子は、加湿CO2インキュベーター中で、37℃で24時間インキュベートする。
【0080】
樹状細胞へのトランスフェクション後の目的のポリヌクレオチドの発現は、免疫アッセイまたは生物学的アッセイによって確かめられ得る。例えば、細胞内に導入されたポリヌクレオチドの発現は、目的の抗原に特異的な標識された抗体の、細胞への結合を検出することによってか(当該分野で周知のアッセイ(例えば、FACS(蛍光活性化細胞選別)またはELISA(酵素連結イムノソルベントアッセイ))を使用して)、または単に細胞を染色(例えば、β−galで)しそして細胞数をカウントすることによって、確かめられ得る。
【0081】
T細胞活性化は、種々の公知の方法によって検出され得る。これらの方法としては、T細胞の増殖における変化の測定、標的細胞の殺傷、および特定の調節因子(例えば、リンホカイン)の分泌、特定の免疫調節分子のmRNAの発現、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
(H.インビトロおよびインビボで抗原を提示するための樹状細胞の使用)
本発明の実施形態に従って、本明細書中に記載の方法のいずれかを使用してポリヌクレオチド/微粒子でトランスフェクトした樹状細胞を使用して、T細胞をインビトロで活性化する。T細胞またはT細胞のサブセットは、種々のリンパ組織から得られ得る。このような組織としては、脾臓、リンパ節および末梢血が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
これらの細胞を、混合T細胞集団または精製T細胞サブセットとして、トランスフェクトした樹状細胞と同時培養し得る。例えば、精製CD8+T細胞を、抗原をトランスフェクトした樹状細胞と共に培養することが所望され得る。なぜなら、CD4+T細胞の早期の排除が、CD8+T細胞およびCD4+T細胞の両方の混合培養物中でのCD4+細胞の過剰増殖を妨げ得るからである。T細胞の精製は、CD2、CD3、CD4、CD5およびCD8に対する抗体の使用を含むが、これらに限定されない、陽性選択または陰性選択によって達成され得る。一方、CD4+T細胞およびCD8+T細胞の混合集団を使用して、細胞傷害性およびTH免疫応答を含む、特定の応答を誘発することが所望され得る。
【0084】
インビトロでの活性化後、本発明の樹状細胞によって発現された、その選択された抗原に対する免疫応答を誘発または増強するのに十分な用量で、T細胞を、患者に投与する。
【0085】
T細胞、および以下に記載の樹状細胞は、治療剤の当該分野で公知の多くの投与方法のうちの1つを使用することによって、その処置される被験体に導入され得る。例えば、細胞を、(アジュバントを用いてかまたは用いずに)非経口的に投与し得る(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮内および皮下投与を含む)。あるいは、細胞を、腫瘍または感染組織内への直接注入によって局所的に投与し得る。アジュバントとしては、任意の公知の薬学的に受容可能なキャリアが挙げられる。薬学的キャリアとしての使用のための非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲル溶液デキストロース(Ringer’s dextrose)、デキストロースおよび塩化ナトリウム、ならびに乳酸化リンゲル溶液(lactated Ringer’s)が挙げられる。他のアジュバントが、所望の場合に添加され得る(例えば、抗微生物剤)。
【0086】
例として、T細胞は、1m2の体表面積あたり約108〜109細胞の用量で、静脈内注入によって投与され得る(Ridellら、1992、Science 257:238−241を参照のこと)。注入は、所望の間隔(例えば、毎月)で繰り返され得る。レシピエントは、任意の有害反応の証拠について、T細胞注入の間または注入後にモニターされる。
【0087】
好ましい実施形態に従って、T細胞は、樹状細胞を得た患者と同じ患者から得られる。
【0088】
別の実施形態に従って、T細胞は、患者から得られ、そして樹状細胞(これは、T細胞を刺激するために使用される)は、HLA適合性の健常なドナー(例えば、同胞)から得られるか、またはその逆である。
【0089】
なお別の実施形態に従って、T細胞および樹状細胞の両方は、HLA適合性の健常ドナーから得られる。この実施形態は、例えば、患者が、放射線および/または化学療法剤で処置した後期癌患者であり、そしてこの患者が、樹状細胞もT細胞も、十分にも効率的にも提供することが可能でないかもしれない場合に、特に有利であり得る。
【0090】
本発明の別の実施形態に従って、患者から単離された樹状細胞を、培養し、インビトロでトランスフェクトし、そして患者に投与し戻して、免疫応答(T細胞活性化を含む)を刺激する。それ自体で、樹状細胞は、ワクチンおよび/または免疫療法剤を構成する。例として、抗原を提示する樹状細胞は、例えば、約106〜108細胞の用量で、静脈内注入を介して投与される。患者の免疫応答は、モニターされ得る。注入は、患者の免疫応答に基づいて、所望の間隔で繰り返され得る。
【0091】
以下は、本発明を行うための特定の実施形態の実施例である。これらの実施例は、例示目的でのみ提供され、本発明の範囲を限定することはいかようにも意図されない。
【0092】
使用した数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確実にするように努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差は、もちろん、許容されるべきである。
【実施例】
【0093】
(実施例)
(実施例1)
(プラスミドおよびDNA処方物)HIVp55gagタンパク質をコードするpCMVgagプラスミドをサイトメガロウイルス初期プロモーターの制御下でQiagen Endo Free Giga Kitを使用してイオン交換クロマトグラフィーにより精製し、そしてエンドとキシンがない(<2.5EU/ml)ことを決定した。取り込みおよびレセプター遺伝子発現実験のために、BガラクトシダーゼをコードするローダミンPNAクランププラスミドをGene Therapy Systems(San Diego,CA)から購入した。
【0094】
カチオン性微粒子を改変された溶媒エバポレーションプロセスを使用して調製した。微粒子は、1mlのPBS(リン酸緩衝生理食塩液)とともに10mlの5%w/vポリマー(RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim))のメチレンクロライド溶液をIKAホモジェナイザーを使用して高速で乳化することにより調製した。次に最初の乳化液をセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)(0.5%w/v)を含む蒸留水50mLに添加した。これは、w/o/w乳化液の形成を生じ、これを室温で12時間6000rpmで攪拌し、メチレンクロライドを蒸発させた。生じた微粒子を10,000gでの遠心分離により蒸留水で2回洗浄し、凍結乾燥した。
【0095】
プラスミドDNAを、1%w/w装填を目標に微粒子上に吸着した(4℃で6時間、1mg/mlのDNA溶液中のカチオン性微粒子100mgをインキュベートすることにより)。粒子を遠心分離により分離し、TE緩衝液で洗浄し、使用まで凍結乾燥した。PLG−CTAB微粒子の大きさの分布を粒子サイズアナライザー(Malvern Instruments、U.K.)を使用して決定した;本研究において利用される処方物は、平均約1μmの大きさを有した。操作の任意の特定の理論に固執することを望むことなく、カチオン性界面活性剤の使用は、ローダミン標識化プラスミドDNAの吸着のための正味の表面正電荷を生じると考えられる。実際のDNA装填を、上清中の遊離DNA含量をアッセイし、DNAの総投入量から差し引くことにより定量した。本実施例で使用されるPLG−CTAB−DNA処方物は、実際には0.64〜0.81%(w/w)の範囲のDNA装填を有した。
【0096】
(細胞培養)本研究で使用される全ての細胞を、10%熱不活化FBS、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、および0.05mM 2メルカプトエタノールを補充したRPMI−1640(Bio Whittaker)中で、7%CO2の加湿したインキュベーター中37℃で培養した。マウスT細胞ハイブリドーマ12.2は、HIVgagタンパク質のp7gペプチドを認識するMHCクラスI、d制限株である(Gillis Otten,Chiron Corp.により提供された)。
【0097】
(骨髄単離)雌Balb/cマウス6〜8週齢をCharles River Laboratories(Holister,CA)から入手した。骨髄を大腿骨および脛骨から流し、洗浄しそして10%細胞培養グレードDMSO(ジメチルスルホキシド)を追加した熱不活化ウシ胎仔血清中2×107細胞/mlの濃度で凍結(−80℃)した。
【0098】
(骨髄由来の樹状細胞(BMDC)の産生)凍結した細胞アリコートを迅速に解凍し、DMSOを取り除くために洗浄した。細胞を200単位/mlマウスGM−CSF(Preprotech)を添加した補充されたRPMI(上記参照)20mlを含む150mmの懸濁培養皿にプレートした。培養3日目に、細胞にマウスGM−SCFを再度補充し、そして5日目に、培養物容量の半分を遠心分離し、GM−CSFを含む新しい培地に交換した。BMDCを緩やかなピペッティングにより回収した。示されない限り、骨髄由来の樹状細胞を、6日目に抗原をコードする遺伝子とともに培養し、そしてさらに24時間培養した。BMDCをFACS(蛍光活性化細胞ソーター)により細胞表面マーカーについて分析し、そしてCD11c、CD11b、H−dKd、I−Ad(low)、CD80(low)、およびCD86(low)(PharMingen)に対して染色ポジティブであることにより未成熟として特徴付けた。
【0099】
(細胞取り込みおよび蛍光顕微鏡検査)BMDCを培地2ml中1×106の細胞濃度で6ウエルの培養皿にプレートした。ローダミンでラベルした裸(naked)のプラスミド形態のDNAまたはPLG−CTAB微粒子上で処方されたDNAを1μgDNA/mlでウエルに加えた。一晩インキュベーションした後、細胞を洗浄し、サイトスピン(cytospin)(4000rpm×5分)によりSuperfrost顕微鏡スライド(Fisher Scientific)に適用した。スライドを風乾し、Vectashield(Vector Burlingame,CA)に取り付け、ローダミンフィルター(Chroma,Brattleboro,VT)を備えるZeiss Axiophot蛍光顕微鏡を使用して可視化した。画像をKodak EliteChromeフィルム(100ASA)上に記録し、Adobe Photoshopにスキャンした。
【0100】
裸のプラスミドDNAは、エンドソームと考えられる点状アラインメントに迅速に内部移行された。対照的に、PLG−CTAB−DNA微粒子上に処方されたローダミン標識化プラスミドDNAの細胞分布は、ローダミンシグナルのより散在性の分布を示唆した。内部移行の同様のパターンが、DiI標識化微粒子およびカプセル化されたFITC標識化ウシ血清アルブミンを含むPLG−CTAB微粒子で観察されている。任意の特定の理論に固執することを望むことなく、カチオン性界面活性剤が核へのDNAの局在化を可能にするエンドソームのコンパートメントを壊し得るかのようである。
【0101】
(実施例2)
(RNA単離およびRT−PCR)BMDCを培養の6日目でRPMI+GM−CSF中0.5×106細胞/mlの濃度でプレートした。細胞をネガティブコントロールとして未処理のまま残すか、または1μg/ml pCMV−gagDNA(単独(裸の)またはPLG−CTAB微粒子上に処方されるかのいずれか)の存在下で培養するかのいずれかとした。24時間のインキュベーション後、2×105の細胞を取り除き、冷たいPBS(Life Technologies)で2回洗浄し、次いでmRNA Captureキット(Roche)についての製造者の説明書により溶解し、−80℃で凍結した。サンプルをRNaseを含有しないDNaseおよびRNaseインヒビター(Roche)を添加して氷上で解凍した。次に、ストレプトアビジンPCRチューブ中のビオチンハイブリダイズmRNAの単離のためにmRNA単離プロトコルに従った。プロメガ逆転写システム(Madison,WI)を製造者の説明書に従ってcDNA合成のために利用し、そして反応を45℃で45分間行い、次に99℃で5分間、熱不活化した。PCR制御チューブを上記のように処理するが、続く混入プラスミドDNA存在決定のためにAMV逆転写酵素は添加しなかった。PCR増幅のために、サンプルをHIVgag遺伝子の300bp領域、またはBアクチンをポジティブコントロールとして一般的なPCR条件を使用して増幅するようにセットした。
【0102】
産物をアガロース電気泳動により分析した(図1)。レーンの名称は以下のようである:1)500bpのDNAラダー、2〜4)未処理のBMDC、プラスミドDNA処理したBMDC、およびPLG−CTAB−DNA処理したBMDCからのβアクチンコントロールRT−PCR反応、5)100bpのDNAラダー、6)pCMV−gagDNAのコントロールスパイクを有する未処理のmRNAprep、8〜10)未処理のBMDC、プラスミドDNA処理したBMDC、およびPLG−CTAB−DNA処理したBMDCからのp55gagRT−PCR、11〜13)未処理のBMDC、プラスミドDNA処理したBMDC、およびPLG−CTAB−DNA処理したBMDCからのPCRネガティブコントロール、14)pCMV−gagDNA PCRポジティブコントロール。図1に示されるように、遺伝子産物は、PLG−CTAB−DNA調製物のRT−PCRによってのみ検出され、コントロールPCRのみの反応により示されるようにmRNA調整物においてプラスミドDNA混入物の結果ではなかった。それ故、PLG−CTAB−DNA微粒子は、BMDC中の遺伝子発現を容易にする。しかし、BMDC細胞溶解物中のリポーター遺伝子産物であるルシフェラーゼおよびβガラクトシダーゼの両方をそれぞれ照度計および比色基質により検出しようという試みが不成功であったことは注目すべき興味あることである。
【0103】
(実施例3)
(T細胞刺激)6日間GM−CSFの存在下で分化した骨髄細胞を、細胞表面表現型(CD11c+、CD11b+、H−dKd+、I−Ad(low)、CD80(low)、およびCD86(low))のFACS分析により決定して未成熟と分類し、そして9日目で成熟と分類した(CD11c+、CD11b+、H−2Kd+、I−Ad(bright)、CD80+、CD86+)。(R.C.Fields,J.J.O.、J.A.Fuller、E.K.Thomas、P.J.Geraghty、およびJ.J.Mule’、1998。Comparative analysis of murine dendritic cells derived from spleen and bone marrow.J.Immunother.21:323)。未熟のBMDCおよび成熟BMDCの両方をPLG−CTAB−pCMVgagDNAまたは裸のpCMVgagDNAで24時間刺激した。コントロールは、未処理の細胞、微粒子のみ、または非特異的プラスミドDNA(pCMVルシフェラーゼ)で処方された微粒子、および非特異的裸のDNAで処方された微粒子を含む。T細胞ハイブリドーマ12.2(HIVp55gagのp7gエピトープ(AMQMLKETI)に特異的なd制限T細胞ハイブリドーマ)をU底マイクロタイタープレートの96ウェルのウエル毎に1×105細胞でプレートした。変化させた数のBMDCを、培養物総容量200μl中のハイブリドーマとともにプレートした。個々の各実験を2連で行った。24時間の培養期間後、プレートを遠心分離し、上清を取り除き、そしてIL−2産生についてのさらなるアッセイまで−80℃で保存した。培地中に分泌されたIL−2レベルについてアッセイするために、培養上清を室温で解凍し、前処理したマウスIL−2ELISAマイクロタイタープレート上にプレートし、製造者の説明書(Endogen)によって分析した。比色基質の顕色に続いて、マイクロタイタープレートをMolecular Devices νmaxキネティクプレートリーダーにより読み、SoftMaxソフトウェアで解析した。
【0104】
図2に示すように、PLG−CTAB−pCMV−gag処理したBMDCのみが、バックグラウンドを超えるIL−2産生レベルを刺激した。抗原の内在化に有効と考えられる未成熟細胞は、IL−2のレベルをバックグラウンドレベルよりも55%を超えて上昇させるが、より成熟したBMDCは、これらの細胞表面上でより高いレベルのMHC分子を発現し、抗原提示により有効であると考えられ、IL−2のレベルをバックグラウンドレベルよりも77%超えて上昇させることに注目すべきことは重要である。さらに、IL−2産生のPLG−CTAB−DNA媒介刺激は、PLG−CTAB−DNAで処理されたハイブリドーマのみがELISAにより決定される検出可能なIL−2レベルを生じなかったので、抗原提示細胞の存在に依存する。遊離CTABの存在下の裸のDNAはまた、抗原提示を生じなかった。PLG−CTAB−DNA処理は、インビトロで樹状細胞のトランスフェクションを生じたが、IL−2産生は、ウイルス技術(すなわち、gag遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスを使用する)を介して観察されたより2桁少なかった。
【0105】
HIVp55gag抗原のd−制限エピトープに対して特異的な抗原であることに加えて、本研究で使用されるT細胞ハイブリドーマは、IL−2遺伝子の活性化されたT細胞(NFAT)エンハンサーエレメントの核因子の制御下でEsherichia coli lacZレポーター遺伝子を含むlacZ誘導可能BWZ.36融合パートナー(N.Shastri、U.California Berkeleyにより提供された)を使用して作製された(Shastri,S.S.ら、1994.LacZ inducible,antigen/MHC−specific T cell hybrids.Intl.Immunol.6:396)。IL−2 ELISAによって得られた結果を確認するために、B−ガラクトシダーゼ(βガラクトシダーゼ染色キット、Invitrogen)について比色アッセイによりによりハイブリドーマ細胞をアッセイした。顕微鏡視野からの代表的な細胞計数は、PLG−CTAB−pCMVgag処理したBMDCにおけるバックグラウンドを超えて青く染まった細胞の顕著な増加を示す(それぞれ、平均計数で29に対して128)。
【0106】
MHCクラスI分子の状況において提示された抗原のT細胞認識によるIL−2産生刺激は、時間依存性であることが、見出された。実験(データは含まれない)は、IL−2産生のレベルが、時間が経てば最終的に減少することを示した。しかし、IL−2の顕著なレベルを7日後に生じる(24時間のIL−2産生レベルの約15%)。
【0107】
MHCクラスI分子の状況において提示された抗原のT細胞認識によるIL−2産生刺激は、用量依存性であることが、見出された。図3において、IL−2産生レベルは、BMDCに対して提示された用量とともに増加する;しかし、毒性(より低い生存可能性%)において対応する増加も観察されることを注目すべきことは重要である。しかし、この有害な効果は、PLG−CTAB−DNA処方物の明らかなアジュバンド活性により排除され得る。
【0108】
図4に示されるように、ナイーブBMDCおよびPLG−CTAB−pCMVgagDNAで処理したBMDCを、過剰の合成p7gペプチドエピトープ(1ng/ml)でパルスし、そして連続的に希釈し、そして1×105gag特異的MHCクラスIハイブリドーマT細胞でプレートした。それ故に、抗原提示細胞に対する種々のT細胞比が、一定に保たれているT細胞の数とともに提供された。刺激をIL−2 ELISAにより決定した。図4に見られるように、このように処理された細胞は、未処理の細胞よりもT細胞刺激でより効率的となる。T細胞ハイブリドーマによるIL−2産生の刺激は、用量依存性であり、10000:1のT:APC比になるまで検出可能であった。合成ペプチドエピトープでパルスする表面MCHクラスI分子は、未処理のBMDCにおいてさえ、T細胞応答刺激に非常に効率的であることが示されたが、異種交配した集団におけるMHCクラスIエピトープの多型性に起因して、容易な遺伝子免疫治療へのアプローチであることは期待されていない。しかし、これらのデータは、PLG/CTAB処方物による活性化の部分的表れである樹状細胞表面上のMHCクラスIのアップレギュレーションを実証する。この活性化は、受動的に転移された樹状細胞の、本発明のプロセスによりトラスンフェクトされる有効度を顕著に増加することが予想される。
【0109】
上記から見られるように、PLG−CTAB−DNA微粒子は、樹状細胞によって効率的に内在化し得る。任意の特定の理論に固執することを望まずに、表面上のカチオン性界面活性剤の存在は、エンドソーム破壊および細胞質への局在化および核への局在化に寄与し得る。遺伝子発現はまた、逆転写酵素PCRにより観察され、インビトロでのBMDCの直接的なトランスフェクションを示した。強力な抗原取り込みおよび樹状細胞の提示能力を活用するために、発現された抗原がプロセスされ、そしてMHC分子上で提示され得るか否かを決定することは重要であった。HIVgagタンパク質をコードするpCMVgagプラスミドで処方されたPLG−CTAB微粒子とともにインキュベートしたBMDCが、抗原特異的T細胞ハイブリドーマを特異的に刺激し、IL−2の産生を生じることが見られた。さらに、このような微粒子が、未改変のプラスミドDNAより高いトランスフェクションを可能にすることが、T細胞ハイブリドーマに基づく読み出しを使用して示された。PLG−CTAB−DNAとともに樹状細胞をパルスすることが、インビトロでの迅速な内在化、標的遺伝子の発現、および抗原提示についての効率的なメカニズムであることがまた実証された。
【0110】
本発明の好ましい実施形態は、幾分詳細に記載されてきたが、添付された特許請求の範囲により規定されるように本発明の精神および範囲から逸脱することなく明白な変更がなされ得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−62213(P2011−62213A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279966(P2010−279966)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2001−538478(P2001−538478)の分割
【原出願日】平成12年11月17日(2000.11.17)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】