説明

樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス

【課題】 TFT形成時や通常使用時の熱による寸法変化が小さく、且つ、透明性及び信頼性に優れた樹脂−ガラス複合透明基板を得ることが可能な樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスを提供する。
【解決手段】 質量%で、SiO 60〜80%、Al 0〜10%、B 15〜25%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、ZnO 0〜10%、LiO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%、LiO+NaO+KO 0〜5%、TiO 0〜10%、ZrO 0〜10%を含有し、30〜380℃における線熱膨張係数が40×10−7/℃未満であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーや液晶、有機ELなどのフレキシブルディスプレイ等に使用され、薄膜トランジスタ(以下TFT)形成時や通常使用時の熱による寸法変化が小さい樹脂−ガラス複合透明基板に使用されるガラスに関し、具体的には熱膨張係数が低く、可視光に対して透明であり、且つ透明樹脂の光学特性に整合し、溶融ガラスをフィルム形状または繊維形状にした際の屈折率の変化が小さい樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイの基板として、ガラス基板よりもフレキシブル性に優れ、樹脂基板よりも寸法安定性、機械的強度に優れており、可視光に対して透明な樹脂−ガラス複合透明基板が注目されている。このような樹脂−ガラス複合透明基板は、例えば、特許文献1、2に開示されているように樹脂、充填材、ガラス繊維を含む複合材料からなる。
【0003】
樹脂−ガラス複合透明基板を構成する樹脂としては、基板の透明性の観点から、屈折率ndが1.46〜1.50、アッベ数νdが55〜70のアクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、さらにこれらとシリコン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等を混合したものが使用される。
【0004】
充填材は、樹脂−ガラス複合透明基板の熱膨張特性の制御、空隙低減のために添加されるものであり、例えば、双ローラーにより、溶融ガラスをフィルム形状に成形した後、ボールミル等により粉砕し、粉末形状にしたものが使用される。
【0005】
ガラス繊維は、樹脂−ガラス複合透明基板の寸法安定性や機械的強度を高めたり、熱膨張係数を制御したりするために添加されるものであり、例えば、貴金属製のブッシング装置を使用して、溶融ガラスを連続的に成形、紡糸し、繊維形状にしたものが使用される。尚、ブッシングの構造は、溶融ガラスを滞留させるために容器形状を有しており、その底部には鉛直方向に多数のノズルが配設されている。ガラス繊維は、成形温度近傍(紡糸温度とも呼ばれ、ガラスの粘度が約10dPa・sとなる温度)において、溶融ガラスをノズルから引き出すことで繊維形状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−255002号公報
【特許文献2】特開2008−230949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでフレキシブルディスプレイは、TFT形成時や使用時に熱にさらされるが、この際に樹脂−ガラス複合透明基板の熱膨張係数が高いと寸法が変化して基板の湾曲やTFT配線の断線等の原因となることがある。一般に樹脂とガラスでは、ガラスの方が熱膨張係数が低いことから、樹脂−ガラス複合透明基板の熱膨張係数の低減において主要な役割を果たすのはガラス繊維や充填材といったガラス材料である。しかしながら、この用途に使用される従来のガラス材料は熱膨張係数が十分に低くなく、樹脂−ガラス複合透明基板の熱膨張係数を低減することが困難であった。
【0008】
また、ガラス材料は、ガラスの光学特性が樹脂と整合するように設計されている。ところが溶融ガラスを急冷しながら成形すると、ガラスの屈折率が低下し易く、設計値通りの屈折率を得ることが難しい。また屈折率の低下幅はガラス成形時の冷却速度に比例する。ガラスをフィルム形状に成形する場合と繊維形状に成形する場合とでは冷却速度が異なることから、同一組成であっても、充填材とガラス繊維の屈折率を同じにすることが困難である。これらの事情は、ガラスと樹脂の屈折率が設計上は整合しているにも関わらず、複合基板の透明性が低下する一因となっていた。
【0009】
本発明は、TFT形成時や通常使用時の熱による寸法変化が小さく、且つ、透明性及び信頼性に優れた樹脂−ガラス複合透明基板を得ることが可能な樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスを提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は種々の実験を行った結果、ガラスの熱膨張係数を低くすることで、上記技術課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。
【0011】
即ち、本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、質量%で、SiO 60〜80%、Al 0〜10%、B 15〜25%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、ZnO 0〜10%、LiO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%、LiO+NaO+KO 0〜5%、TiO 0〜10%、ZrO 0〜10%を含有し、30〜380℃における線熱膨張係数が40×10−7/℃未満であることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、屈折率ndが1.46〜1.50、アッベ数νdが55〜70であることが好ましい。ここで、「屈折率nd」は、例えば、屈折率計(カルニュー製KPR−200)で測定可能であり、また、ヘリウムランプのd線(波長:587.56nm)における測定値を指す。また、「アッベ数νd」は、屈折率計(カルニュー製KPR−200)で測定可能であり、ヘリウムランプのd線、水素ランプのF線(波長:486.13nm)、及び水素ランプのC線(波長:656.27nm)における屈折率(nd、nF、nC)を測定した上で、算出式{(nd−1)/(nF−nC)}により算出した値を指す。以下では特に記載の無い限り、屈折率はndの値とする。また屈折率nd及びアッベ数νdは、溶融ガラスをカーボン板上に流し出して縦12cm、横6cm、厚さ1.5cmの寸法となるような大きさに成形し、成形したガラスを(ガラスの粘度が1013.0dPa・sとなる温度+30℃)で1時間保持し、この温度から(ガラスの粘度が1014.5dPa・sとなる温度−100℃)まで3℃/分の速度で降温し、この温度から25℃まで10℃/分の速度で降温するような条件で徐冷することによって得た試料を対象として測定する。
【0013】
上記構成によれば、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、さらにこれらとシリコン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等を混合した樹脂の光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)への整合が容易になる。
【0014】
本発明においては、アルカリ溶出量が0.70mg以下であることが好ましい。ここで、「アルカリ溶出量」は、JIS R3502(1995)に準拠した方法で測定した値を指す。
【0015】
上記構成によれば、樹脂−ガラス複合透明基板の製造工程における熱処理の際に、アルカリイオンがガラスの表層から樹脂に移動し難くなるため、樹脂とガラスの接着強度が低下し難くなる。また、複合透明基板の作製後、樹脂と充填材、或いは、樹脂とガラス繊維の界面における接着強度が、アルカリ溶出により、経時的に低下し難くなり、結果として、複合透明基板の機械的強度が低下し難くなる。さらに、複合透明基板の耐薬品性も低下し難くなる。
【0016】
本発明においては、10dPa・sの粘度に相当する温度が1400℃以下であることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、ガラスの溶融が容易になるとともに、溶融ガラス中に欠陥として存在する気泡が溶融ガラス中から除去されやすくなり、気泡の少ないガラスが得られやすくなる。
【0018】
本発明においては、10dPa・sの粘度に相当する温度と液相温度の差が100℃以上であることが好ましい。ここで、「液相温度」は、溶融ガラスから結晶が析出する最高温度を指す。
【0019】
上記構成によれば、ガラスを容易に繊維状に成形することができる。
【0020】
本発明においては、樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、粉末形状を有することが好ましい。
【0021】
本発明においては、樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、繊維形状を有することが好ましい。
【0022】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスの使用方法は、上記樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスを、前記ガラスとの屈折率差が0.01以下、アッベ数差が3以下である樹脂を用いた複合基板に使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、熱膨張係数が低いことから、TFT形成時や通常使用時の熱による寸法変化の小さい低膨張の樹脂−ガラス複合透明基板を作製することができる。また熱膨張係数が低いことから、成形方法や形状に関わらず、設計値通りの光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を有するガラス材料となり易い。それ故、樹脂と光学定数を整合させることができ、透明性に優れた樹脂−ガラス複合透明基板を得ることが用意である。
【0024】
また本発明の使用方法によれば、TFT形成時や通常使用時の熱による寸法変化が小さく、且つ、透明性及び信頼性に優れた樹脂−ガラス複合透明基板を得ることできる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスにおいて、上記のように各成分の含有範囲を規定した理由を以下に説明する。尚、各成分の含有範囲の説明において、%表示は質量%を指す。
【0026】
SiOは、ガラス骨格構造を形成する主要成分であり、機械的強度を高めるだけでなく、熱膨張係数の低減にも有効な成分であるが、高温粘度を高くする成分でもある。その含有量は60〜80%、好ましくは65〜80%、より好ましくは70〜80%である。SiOの含有量が少な過ぎると、機械的強度が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなって、溶融性や成形性が低下し易くなり、結果として、充填材やガラス繊維の製造コストが高騰してしまう。特に、SiOの含有量を70〜80%に規制すれば、溶融性を損なうことなく、機械的強度を高め、熱膨張係数の低減を図ることができる。
【0027】
Alは、化学的耐久性や機械的強度を高める成分であり、熱膨張係数の低減にも有効な成分である。また、適量添加により耐失透性を高める成分、更には弾性率を高めて、紡糸状態を安定化させる成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。Alの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなって、溶融性や成形性が低下し易くなり、結果として、充填材やガラス繊維の製造コストが高騰してしまう。特に、Alの含有量を0〜3%に規制すれば、成形時に溶融ガラス中に結晶が析出し難くなると共に、紡糸状態が安定化し易くなる。
【0028】
は、SiOと同様にして、ガラス骨格構造を形成すると同時に熱膨張係数の低減にも有効な成分であるが、SiOと相違して、高温粘度を低下させる成分である。一方、多量に含有するとガラスが分相しやすくなる。Bの含有量は15〜25%、好ましくは18〜22%である。Bの含有量が少な過ぎると、高温粘度が高くなって、溶融性や成形性が低下し易くなり、結果として充填材やガラス繊維の製造コストが高騰してしまう。一方、Bの含有量が多過ぎると、分相傾向が顕著になり、一旦、分相が生じると、所望の光学特性を確保し難くなることに加えて、化学的耐久性が低下し易くなる。特に、Bの含有量を18〜22%に規制すれば、分相傾向を抑制できると共に、熱膨張係数を低減でき、溶融コスト等を低廉化し易くなる。
【0029】
MgOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、また、光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であるが、熱膨張係数を高める成分でもある。MgOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。MgOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなるとともに、光学特性が透明樹脂に整合し難くなる。また、ガラスが分相し易くなる。
【0030】
CaOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、また、光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であるが、熱膨張係数を高める成分でもある。CaOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。CaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなるとともに、光学特性が透明樹脂に整合し難くなる。また、溶融ガラスからCaを含む結晶が析出し易くなる。
【0031】
SrOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、また、光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であるが、熱膨張係数を高める成分でもある。SrOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。SrOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなるとともに、光学特性が透明樹脂に整合し難くなる。また、溶融ガラスからSrを含む結晶が析出し易くなる。
【0032】
BaOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、また、光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であるが、熱膨張係数を高める成分でもある。BaOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。BaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなるとともに、光学特性が透明樹脂に整合し難くなる。また、溶融ガラスからSrを含む結晶が析出し易くなる。
【0033】
ZnOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、また、光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。ZnOの含有量が多過ぎると、光学特性が透明樹脂であるシリコン樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂等に整合し難くなる。また、ガラスが分相し易くなる。
【0034】
LiO、NaO及びKOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分である。溶融性が良好であると、低温で均質なガラスを製造し易くなる。一方、熱膨張係数を著しく高めると同時にアルカリ溶出量を増加させる成分でもある。LiO+NaO+KOの含有量(LiO、NaO及びKOの含有量の合量)は0〜5%、好ましくは0〜4%である。LiO+NaO+KOの含有量が多過ぎると、樹脂と充填材とガラス繊維を複合化して、樹脂−ガラス複合透明基板に加工する際に、アルカリ溶出により樹脂の硬化が阻害される場合がある。また、樹脂−ガラス複合透明基板の作製後、樹脂と充填材、或いは、樹脂とガラス繊維の界面における接着強度がアルカリ溶出により経時的に低下して、樹脂−ガラス複合透明基板の機械的強度が低下し易くなる。さらに、熱膨張係数が高くなりすぎてTFT形成時や通常使用時の熱で樹脂−ガラス複合透明基板が寸法変化しやすくなると同時に溶融ガラスから急冷してフィルム形状あるいは繊維形状にした際の屈折率ndの低下が著しく、最終的に充填材とガラス繊維にした際に樹脂と整合する屈折率ndの値に安定させることが困難となる。尚、LiO+NaO+KOの値が等しくても、2つ以上の成分を同時に含有することによって、どれか1つだけを含有する場合よりもアルカリ溶出を抑制することができる。
【0035】
LiOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜4%、より好ましくは0〜3%である。LiOの含有量が多過ぎると、ガラス表面からLi成分が溶出し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなりすぎてTFT形成時や通常使用時の熱で樹脂−ガラス複合透明基板が寸法変化しやすくなると同時に溶融ガラスから急冷してフィルム形状あるいは繊維形状にした際の屈折率ndの低下が著しく、最終的に充填材とガラス繊維にした際に樹脂と整合する屈折率ndの値に安定させることが困難となる。また、溶融ガラスからLiを含む結晶が析出し易くなる。
【0036】
NaOは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜4%、より好ましくは0〜3%である。NaOの含有量が多過ぎると、ガラス表面からNa成分が溶出し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなりすぎてTFT形成時や通常使用時の熱で樹脂−ガラス複合透明基板が寸法変化しやすくなると同時に溶融ガラスから急冷してフィルム形状あるいは繊維形状にした際の屈折率ndの低下が著しく、最終的に充填材とガラス繊維にした際に樹脂と整合する屈折率ndの値に安定させることが困難となる。また、溶融ガラスからNaを含む結晶が析出し易くなる。尚、NaOは、他のアルカリ金属酸化物に比べて、ガラス表面から溶出する傾向が強い。
【0037】
Oは、高温粘度を低下させて、溶融性を高める成分であり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜4%、より好ましくは0〜3%である。KOの含有量が多過ぎると、ガラス表面からK成分が溶出し易くなることに加えて、熱膨張係数が高くなりすぎてTFT形成時や通常使用時の熱で樹脂−ガラス複合透明基板が寸法変化しやすくなると同時に溶融ガラスから急冷してフィルム形状あるいは繊維形状にした際の屈折率ndの低下が著しく、最終的に充填材とガラス繊維にした際に樹脂と整合する屈折率ndの値に安定させることが困難となる。また、溶融ガラスからKを含む結晶が析出し易くなる。
【0038】
TiOは光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であるが、多量に含有するとガラスが分相しやすくなると同時にガラスからTiを含む結晶が析出しやすくなる成分でもある。TiOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%、より好ましくは0〜5%である。TiOの含有量が多過ぎると、光学特性が透明樹脂に整合し難くなる。また、ガラスが分相し易くなると同時にガラスからTiを含む結晶が析出しやすくなる。尚、TiOはFeと同時に含有することによってガラスを著しく着色させる成分でもあるため、樹脂−ガラス複合透明基板の透明性が優先される場合においては、TiOの含有量は3%以下、特に2%以下に規制することが好ましい。
【0039】
ZrOは光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)を適正化する成分であるが、多量に含有するとガラスからZrを含む結晶が析出しやすくなる成分でもある。ZrOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%、より好ましくは0〜5%である。ZrOの含有量が多過ぎると、光学特性が透明樹脂に整合し難くなる。また、ガラスからZrを含む結晶が析出しやすくなる。
【0040】
上記成分以外にも、他の成分を含有してもよい。例えば、光学特性、化学的耐久性、高温粘度等の改良のために、P、Cr、Sb、SO、SnO、CeO、Cl、La、WO、Nb、Y等をそれぞれ3%まで含有してもよい。
【0041】
尚、樹脂−ガラス複合透明基板の透明性をさらに高めたい場合は、Feの含有量を0.5%以下、特に0.1%以下に規制することが好ましい。特に、FeとTiOを同時に含有する場合はFeによるガラスの着色が強まりやすくなり、樹脂−ガラス複合透明基板の透明性を損なうことがある。この場合、Feの含有量は0.05%以下であることが好ましい。
【0042】
また、H、CO、CO、HO、He、Ne、Ar、N等の微量成分をそれぞれ0.1%まで含んでもよい。さらに、樹脂−ガラス複合透明基板の特性に悪影響を及ぼさないように、Pt、Rh、Au等の貴金属元素の含有量はそれぞれ500ppm以下、特にそれぞれ300ppm以下であることが好ましい。
【0043】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスにおいて、30〜380℃における線熱膨張係数は40×10−7/℃未満であり、好ましくは37×10−7/℃以下、より好ましくは35×10−7/℃以下である。30〜380℃における線熱膨張係数が高すぎると、TFT形成時や通常使用時の熱で樹脂−ガラス複合透明基板が寸法変化しやすくなり、湾曲やTFT配線の断線を引き起こしやすくなる。また、溶融ガラスから急冷してフィルム形状あるいは繊維形状にした際の屈折率の低下が著しく、最終的に充填材とガラス繊維にした際に透明樹脂と整合する屈折率の値に安定させることが困難となる。さらに、溶融ガラスからフィルム形状または繊維形状にする際の屈折率の低下幅の冷却速度依存性が強くなり、フィルムを粉砕した充填材及びガラス繊維の屈折率が安定しにくくなると同時に、透明樹脂と整合させることが困難になる。
【0044】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、溶融ガラスを急冷しても、屈折率の変化が殆ど生じない。具体的には、十分な徐冷を施した場合と、急冷してフィルム形状または繊維形状に成形した場合のガラスの屈折率ndの差を0.005以下、特に0.003以下とすることができる。この屈折率の差が大きすぎると、フィルムを粉砕した充填材及びガラス繊維の屈折率を樹脂と整合させることが困難になる。また、屈折率の低下幅の冷却速度依存性が強くなり、充填材及びガラス繊維の屈折率の値が安定しなくなる。なお「十分な徐冷を施した場合」とは、溶融ガラスをカーボン板上に流し出して縦12cm、横6cm、厚さ1.5cmの寸法となるような大きさに成形し、成形したガラスを(ガラスの粘度が1013.0dPa・sとなる温度+30℃)で1時間保持し、この温度から(ガラスの粘度が1014.5dPa・sとなる温度−100℃)まで3℃/分の速度で降温し、この温度から25℃まで10℃/分の速度で降温するような条件で徐冷した場合を意味する。「フィルム形状に成形した場合」とは、溶融ガラスを双ローラーに供給して肉厚1mmのフィルム状に成形したガラスを意味する。「繊維形状に成形した場合」とは、溶融ガラスを白金製のブッシング炉に供給し、直径5μmの繊維状に紡糸したガラスを意味する。
【0045】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスにおいて、屈折率ndは1.46〜1.50、アッベ数νdを55〜70に調整することが重要である。屈折率ndが1.46より小さいと、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂等の透明樹脂、さらにこれらとシリコン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等を混合した透明樹脂の屈折率ndより小さくなるため、透明樹脂に入射した可視光線の直進性が損なわれて、入射光線が分散し、結果として、無色で透明な樹脂−ガラス複合透明基板を得ることができず、樹脂−ガラス複合透明基板の透光性が低下し易くなる。一方、屈折率ndが1.50より大きいと、上記で例示した透明樹脂の屈折率ndより大きくなるため、無色で透明な樹脂−ガラス複合透明基板が得難くなる。また、ガラスのアッベ数νdが小さくなりすぎるため、透明であっても青、赤、紫等に着色した樹脂−ガラス複合透明基板になり易い。また、波長587.56nm以外の可視域の波長範囲において、透光性を実現するためには、アッベ数νdを所定範囲に規制することが好ましい。アッベ数νdが55未満、或いは70を超えると、上記で例示した透明樹脂のアッベ数νdに整合させることが困難になるため、無色で透明な樹脂−ガラス複合透明基板が得難くなったり、或いは、透明であっても青、赤、紫等に着色した樹脂−ガラス複合透明基板になり易い。
【0046】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスにおいて、アルカリ溶出量は0.70mg以下、0.50mg以下、0.30mg以下、特に0.10mg以下であることが好ましい。アルカリ溶出量が0.70mgより多いと、樹脂−ガラス複合透明基板の製造工程における熱処理の際に、アルカリイオンがガラスの表層から樹脂に移動して、樹脂とガラスの接着強度が低下し易くなる。また、アルカリ溶出量が0.70mgより多いと、樹脂−ガラス複合透明基板の作製後、樹脂と充填材、或いは樹脂とガラス繊維の界面における接着強度が、アルカリ溶出により経時的に低下して、樹脂−ガラス複合透明基板の機械的強度が低下し易くなる。さらに、樹脂−ガラス複合透明基板の耐薬品性も低下し易くなる。
【0047】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスにおいて、ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度(紡糸温度)は1400℃以下、特に1350℃以下であることが好ましい。この温度が1400℃以下であれば、ガラスの溶融が容易になるだけでなく、溶融ガラス中に欠陥として存在する気泡が溶融ガラス中から除去されやすくなり、気泡の少ないガラスが得られやすくなる。結果として樹脂−ガラス複合透明基板の均一な透明性が得られやすくなる。
【0048】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、粉末形状を有することが好ましい。このようにすれば、充填材に適用し易くなる。上記の通り、充填材は、双ローラーにより溶融ガラスをフィルム形状に成形した後、ボールミル等によりガラスフィルムを粉末形状に粉砕することで作製可能である。また、溶融ガラスを水砕することでも作製可能である。
【0049】
尚、本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスを充填材として適用する場合は、充填材の表面に薬剤が塗布されていることが好ましい。薬剤として、カップリング剤が使用可能である。充填材の表面をカップリング処理しておくと、樹脂成分との馴染みがよくなって樹脂と充填材との接着強度が向上する。また、水分に対する劣化が抑制され製品寿命が改善される。カップリング処理を施すに当たっては、弱酸〜中性領域で行うことが好ましい。
【0050】
充填材の平均粒子径D50は、0.1〜100μm、1〜50μm、1〜30μm、特に2〜10μmが好ましい。このようにすれば、熱膨張特性を制御し易くなると共に、樹脂−ガラス複合透明基板の空隙を低減し易くなる。また、樹脂−ガラス複合透明基板表面の凹凸を抑制できる。平均粒子径D50が小さ過ぎると、ハンドリング性や材料収率が低下し易くなる。また、充填材が樹脂と接触する界面の面積が増大するため、充填材からのアルカリ溶出量が増加しやすくなる。一方、平均粒子径D50が大き過ぎると、樹脂等と複合化する際に、均一に混合し難くなると共に、樹脂−ガラス複合透明基板の表面に凹凸が発生し易くなる。ここで、「平均粒子径D50」は、レーザー回折法で測定した値であり、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径である。
【0051】
本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスは、繊維形状を有することが好ましい。このようにすれば、ガラス繊維として使用することができる。上記の通り、ガラス繊維は、貴金属製のブッシングを使用して、連続的に成形、紡糸することで作製可能である。また、成形方法として、直接成形法(ダイレクトメルト法)、間接成形法(マーブルメルト法)等の方法を採用することができる。
【0052】
繊維形状に成形する場合、紡糸温度と液相温度の差は100℃以上、150℃以上、特に200℃以上であることが好ましい。紡糸温度と液相温度の差は特に溶融ガラスを紡糸してガラス繊維化する際の生産性の指標となる値であり、この値が小さすぎると、溶融ガラスを紡糸する際に溶融ガラスから結晶が析出して紡糸が切断しやすくなる。
【0053】
尚、本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスをガラス繊維として適用する場合は、ガラス繊維の表面に薬剤が塗布されていることが好ましい。薬剤として、集束剤、帯電防止剤、界面活性剤、重合開始剤、重合抑制剤、酸化防止剤、被膜形成剤、カップリング剤、潤滑剤が使用可能である。
【0054】
ガラス繊維の長さは、繊維形状である限り、特に限定されない。ガラス繊維は、ミルドファイバ、チョップドストランド、ヤーン、ロービング等であってもよい。ガラス繊維の直径は、繊維形状である限り、特に限定されず、一般にはオングストロームオーダー〜ミクロンオーダーであるが、肉厚の薄い樹脂−ガラス複合透明基板に用いる際には30μm、特に10μm以下であることが好ましい。ガラス繊維の断面形状は、繊維形状である限り、特に限定されない。ガラス繊維の断面形状として、真円形状、扁平形状、矩形状、多角形状が挙げられる。
【0055】
ガラス繊維の場合、熱処理により、屈折率ndを調整することが可能である。また、熱処理に伴って、化学強化処理(イオン交換処理)を行うこともできる。さらに、ガラス繊維中に微細結晶が析出していても、樹脂−ガラス複合透明基板の特性に悪影響を及ぼさない限り、使用可能である。
【0056】
次に、本発明の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスの使用方法を説明する。
【0057】
まず粉末状及び繊維状に成形した樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスを用意する。またこの樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスとの屈折率差が0.01以下、アッベ数差が3以下である樹脂を用意する。
【0058】
次に、この樹脂−ガラス複合透明基板ガラスを該ガラスとの屈折率差が0.01以下、アッベ数差が3以下である樹脂に含浸させ、該ガラスと該樹脂を接着させるとともに該樹脂を硬化させて樹脂−ガラス複合透明基板を作製する。
【実施例】
【0059】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【0060】
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜7)及び比較例(試料No.8)を示している。
【0061】
【表1】

【0062】
表1の各試料は、次のようにして調製した。
【0063】
まず、表中のガラス組成になるように、天然原料、化成原料等の各種ガラス原料を秤量、混合して、ガラスバッチを作製した。次に、このガラスバッチを白金ロジウム合金製坩堝に投入した後、間接加熱電気炉内で1650℃、8時間加熱して、溶融ガラスを得た。尚、均質な溶融ガラスを得るために、加熱時に、耐熱性撹拌棒を用いて、溶融ガラスを複数回攪拌した。続いて、得られた溶融ガラスを耐火性鋳型内に流し出し、板状のガラスを成形した後、徐冷炉内でアニール処理(1013dPa・sにおける温度より30〜50℃高い温度で30分間加熱した後、徐冷点〜歪点の温度域を1℃/分で降温)を行った。
【0064】
得られた各試料につき、熱膨張係数、光学特性(屈折率nd、アッベ数νd)、アルカリ溶出量及び10dPa・sにおける温度(Tx)、液相温度(TL)を測定した。
【0065】
また溶融ガラスをフィルム形状及び繊維形状に成形し、光学特性を測定して、上記板状試料との特性差を求めた。なおフィルム形状の試料は、溶融ガラスを双ローラーに供給して肉厚1mmのフィルム状に成形することにより作製した。繊維形状の試料は、白金製のブッシング炉に供給し、直径5μmの繊維状に紡糸して作製した。
【0066】
表1から明らかなように、試料No.1〜7は、30〜380℃における熱膨張係数が40×10−7/℃未満、屈折率ndが1.46〜1.50、アッベ数νdが55〜70、アルカリ溶出量は0.70mg未満であった。また板状試料と、フィルム状試料や繊維状試料に成形したガラスの屈折率ndとの差が0.004以下であり、透明性及び信頼性に優れた樹脂−ガラス複合透明基板を得ることができるものであった。さらに、10dPa・sにおける温度(Tx)が1400℃以下、10dPa・sにおける温度(Tx)と液相温度の差が100℃以上であり、ガラスの溶融性や、連続生産性にも優れていた。
【0067】
これに対し、試料No.8は、熱膨張係数が高く、樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスとして使用した場合、TFT形成時や通常使用時の熱によって容易に寸法変化してしまうことが予想される。また、板状試料と、フィルム状試料や繊維状試料の屈折率ndとの差が大きく、安定して透明樹脂と光学特性を整合させることが困難であり、樹脂−ガラス複合透明基板の透明性や機械的強度が低下することが予想される。また、アルカリ溶出量も多かった。
【0068】
熱膨張係数は、MAC SCIENCE社製熱膨張係数測定装置を用いて30〜380℃における平均線熱膨張係数を測定した。
【0069】
板状試料の屈折率ndは、カルニュー製屈折率計KPR−200で測定した値であり、ヘリウムランプのd線(波長:587.56nm)における測定値である。また、「アッベ数νd」は、カルニュー製屈折率計KPR−200により、ヘリウムランプのd線、水素ランプのF線(波長:486.13nm)、及び水素ランプのC線(波長:656.27nm)における屈折率(nd、nF、nC)を測定した上で、算出式{(nd−1)/(nF−nC)}により算出した値である。フィルム状試料の屈折率ndは、フィルムを数層重ね、カルニュー製屈折率計KPR−200で測定した。繊維状試料の屈折率ndは、ベッケ線法により測定した。
【0070】
アルカリ溶出量は、JIS R3502(1995)に準拠した方法で測定した。
【0071】
ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度(Tx)の測定については、板状のガラスを適正な寸法に破砕し、なるべく気泡が巻き込まれないようにアルミナ製坩堝に投入して、再度加熱して、ガラス融液状態とし、その状態で白金球引き上げ法に基づいて計測した各粘度値の複数の計測によって得られた粘度曲線の内挿によって算出したものである。
【0072】
ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度(Tx)の測定については、板状のガラスを適正な寸法に破砕し、なるべく気泡が巻き込まれないようにアルミナ製坩堝に投入して、再度加熱して、ガラス融液状態とし、その状態で白金球引き上げ法に基づいて計測した各粘度値の複数の計測によって得られた粘度曲線の内挿によって算出したものである。
【0073】
液相温度(TL)の測定については、板状のガラスを粉砕し、300〜500μmの範囲の粒度となるように調整した状態で耐火性の容器に適切な嵩密度を有する状態に充填して、最高温度を1250℃に設定した間接加熱型の温度勾配炉内に入れて静置し、16時間大気雰囲気中で加熱操作を行った。その後に耐火性容器ごと試験体を取り出し、室温まで冷却後、偏光顕微鏡によって液相温度を特定した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、SiO 60〜80%、Al 0〜10%、B 15〜25%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、ZnO 0〜10%、LiO 0〜5%、NaO 0〜5%、KO 0〜5%、LiO+NaO+KO 0〜5%、TiO 0〜10%、ZrO 0〜10%を含有し、30〜380℃における線熱膨張係数が40×10−7/℃未満であることを特徴とする樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項2】
屈折率ndが1.46〜1.50、アッベ数νdが55〜70であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項3】
アルカリ溶出量が0.70mg以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項4】
10dPa・sの粘度に相当する温度が1400℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項5】
10dPa・sの粘度に相当する温度と液相温度の差が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項6】
粉末形状を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項7】
繊維形状を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラス。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスを、前記ガラスとの屈折率ndの差が0.01以下、アッベ数νdの差が3以下である樹脂を用いた複合基板に使用することを特徴とする樹脂−ガラス複合透明基板用ガラスの使用方法。

【公開番号】特開2013−103867(P2013−103867A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250405(P2011−250405)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】