説明

樹脂ペレット群及び樹脂ペレットの製造方法

【課題】所望の色の成形品を確実に得ることができる樹脂ペレット群及び当該樹脂ペレットの製造方法を提供する。
【解決手段】
樹脂ペレット群は複数の樹脂ペレットを備えている。樹脂ペレット3は単色の合成樹脂で構成されたペレット本体4とペレット本体4の外表面の全体に塗布された所望の色の液状の着色材5が乾いて構成された塗膜6とを含んでいる。樹脂ペレット3は単色の合成樹脂で構成されたペレット本体4の外表面の少なくとも一部に所望の色の液状の着色材5が塗布されて得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスなどを構成するコネクタのコネクタハウジングなどの各種の成形品を製造するための樹脂ペレット群及び樹脂ペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを備えている。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の成形品としての被覆部とを備えている。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、端子金具と、絶縁性の成形品としてのコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、導電性の板金などからなる。コネクタハウジングは、箱状に形成されかつ前記端子金具を収容する。コネクタが、電子機器のコネクタと結合するなどして、ワイヤハーネスは、前述した電子機器に必要な電力や信号を伝える。
【0004】
前述したワイヤハーネスの電線は、導電性の芯線の回りに絶縁性の合成樹脂が押し出し成型されて得られる。コネクタのコネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂を射出成型することなどによって得られる。これらの電線の被覆部やコネクタハウジングは、予め所望の色に着色された樹脂ペレットを、溶かした後、所望の金型内などに充填して、成形される。この種の樹脂ペレットは、合成樹脂に所望の色の着色材を混入して得られる(例えば
特許文献1参照)。前述したコネクタは、コネクタハウジング同士を嵌合させる際に確実に所望のコネクタハウジング同士を嵌合させることを可能とするために、コネクタハウジングが所望の色に着色されることがある。例えば、コネクタハウジングは、同一の品番であっても、20種類以上の色のうちいずれかに着色される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−225576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に示された樹脂ペレットの製造方法では、前述した合成樹脂と所望の色の着色材とが十分に混ぜ合わされずに、樹脂ペレットに色むらが生じていた。このため、特に、着色材が薄い樹脂ペレットを多く用いて成形品を成形した際や、着色材が濃い樹脂ペレットを多く用いて成形品を成形した際に、できあがった成形品の色が薄くなったり、濃くなり過ぎてしまう。また、一つの成形品中に色の濃い部分や薄い部分ができてしまう即ち色の濃淡が生じることがある。このように、前述した特許文献1に示された樹脂ペレットの製造方法で得られた樹脂ペレットを複数備えた樹脂ペレット群では、所望の色の成形品を得ることができない場合があり、この場合、確実に所望のコネクタハウジング同士を嵌合させることができない場合があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、所望の色の成形品を確実に得ることができる樹脂ペレット群及び樹脂ペレットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の樹脂ペレット群は、合成樹脂で構成されかつ成形品を成形するために用いられる樹脂ペレットを複数備えた樹脂ペレット群において、前記樹脂ペレットが、単色の合成樹脂で構成されたペレット本体と、前記ペレット本体の外表面のうちの少なくとも一部に塗布された所望の色の液状の着色材が乾いて構成された着色層と、を含んだことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明の樹脂ペレットの製造方法は、合成樹脂で構成されかつ成形品を成形するために用いられる樹脂ペレットの製造方法におぃて、単色の合成樹脂で構成されたペレット本体の外表面の少なくとも一部に所望の色の液状の着色材を塗布する塗布工程を含んだことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明の樹脂ペレットの製造方法は、請求項2に記載の樹脂ペレットの製造方法において、前記塗布工程では、前記液状の着色材を吹き付けることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明の樹脂ペレットの製造方法は、請求項2に記載の樹脂ペレットの製造方法において、前記塗布工程では、前記液状の着色材を滴下することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明の樹脂ペレットの製造方法は、請求項2に記載の樹脂ペレットの製造方法において、前記塗布工程では、前記液状の着色材内に前記ペレット本体を浸漬させることを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載された本発明によれば、全ての樹脂ペレットのペレット本体の外表面の少なくとも一部に液状の着色材からなる塗膜が形成されているので、当該樹脂ペレット群を用いて成形品を成形する際に、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合が常に一定となる。
【0014】
請求項2に記載された本発明によれば、ペレット本体の外表面の少なくとも一部に液状の着色材を塗布する塗布工程を含んでいるので、当該方法により製造されたペレットを多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合が常に一定となる。
【0015】
なお、本明細書でいう単色とは、ペレット本体を構成する合成樹脂に各種の着色材が混入塗布していない状態で当該ペレット本体が前述した合成樹脂自体の色をなして無着色であることと、前記合成樹脂に例えば白色などの単一の色の着色材が常に一定の割り合い混入塗布されて、当該ペレット本体が常に同じ色(単一の色)をなしていることを示している。
【0016】
なお、本明細書でいう着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、本明細書でいう着色材とは、着色液と塗料との双方を示している。着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液でペレット本体の外表面を着色すると、染料がペレット本体内にしみ込み、塗料でペレット本体の外表面を着色すると、顔料がペレット本体内にしみ込むことなく外表面に接着する。即ち、本明細書でいうペレット本体の外表面を着色するとは、ペレット本体の外表面の少なくとも一部を染料で染めることと、ペレット本体の外表面の少なくとも一部に顔料を塗ることとを示している。
【0017】
また、前記溶媒と分散液は、ペレット本体を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料がペレット本体内に確実にしみ込んだり、顔料がペレット本体の外表面に確実に接着することとなる。
【0018】
請求項3に記載された本発明によれば、塗布工程で着色材をペレット本体に吹き付けるので、当該ペレット本体の外表面の少なくとも一部に着色材を確実に塗布できる。
【0019】
請求項4に記載された本発明によれば、塗布工程で着色材をペレット本体に滴下するので、当該ペレット本体の外表面の少なくとも一部に着色材を確実に塗布できる。
【0020】
請求項5に記載された本発明によれば、塗布工程で着色材内にペレット本体を浸漬させるので、当該ペレット本体の外表面の少なくとも一部に着色材を確実に塗布できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合が常に一定となるので、この樹脂ペレット群を用いて成形品を成形すると、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができる。したがって、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、本発明の方法により製造された樹脂ペレットを多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合が常に一定となるので、当該樹脂ペレットを多数用いて成形品を成形すると、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができる。したがって、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、ペレット本体の外表面の少なくとも一部に着色材を確実に塗布できるので、本発明の方法により製造された樹脂ペレットを多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合を常に一定にすることができる。したがって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0024】
請求項4に記載の本発明は、ペレット本体の外表面の少なくとも一部に着色材を確実に塗布できるので、本発明の方法により製造された樹脂ペレットを多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合を常に一定にすることができる。したがって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0025】
請求項5に記載の本発明は、ペレット本体の外表面の少なくとも一部に着色材を確実に塗布できるので、本発明の方法により製造された樹脂ペレットを多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体を構成する単色の合成樹脂と塗膜を構成する着色材との割合を常に一定にすることができる。したがって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる樹脂ペレットの製造装置を備えた射出成型装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された樹脂ペレットの製造装置に用いられる樹脂ペレット群の斜視図である。
【図3】図2に示された樹脂ペレット群を構成する樹脂ペレットの斜視図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示された樹脂ペレットの製造装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる樹脂ペレットの製造装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態にかかる樹脂ペレットの製造装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第1の実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。本発明の第1の実施形態にかかる樹脂ペレットの製造装置1(以下、単に製造装置と呼び、図5に示す)は、自動車に配索されるワイヤハーネスのコネクタのコネクタハウジング、電線の被覆部、ハーネス用チューブ、ハーネス用プロテクタ、ハーネス用グロメットや配線用クリップなどのワイヤハーネスを構成する部品をなす成形品を射出成型装置2(図1に示す)により成形する際に用いられる樹脂ペレット群9(図2に示す)を製造するために用いられる。
【0028】
樹脂ペレット群9は、図2に示すように、複数(多数)の樹脂ペレット3を備えている。樹脂ペレット群9を構成する全ての樹脂ペレット3は、図3及び図4に示すように、単色(一の色一色)の合成樹脂で構成されたペレット本体4と、このペレット本体4の外表面に塗布された所望の色の液状の着色材5(図5に示す)が乾いて構成された着色層としての塗膜6とを備えている。本発明では、ペレット本体4を構成する合成樹脂に例えば白色などの所望の着色材5を混入して、ペレット本体4を単色にしても良く、ペレット本体4を構成する合成樹脂に着色材5を混入することなく、単色を合成樹脂自体の色としても良い。なお、ペレット本体4を構成する合成樹脂に着色材5を混入せずに、単色が合成樹脂自体の色の場合、ペレット本体4は、無着色であるという。すなわち、本明細書に記した無着色とは、ペレット本体4を構成する合成樹脂に着色材5を混入せずに、ペレット本体4が合成樹脂自体の色であることを示している。このため、本発明では、ペレット本体4を無着色としても良い。
【0029】
塗膜6は、ペレット本体4の外表面全体に一様の厚みで形成されている。塗膜6を構成する着色材5とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、本明細書でいう着色材5とは、着色液と塗料との双方を示している。着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液でペレット本体4の外表面を着色すると、染料がペレット本体4内にしみ込み、塗料でペレット本体4の外表面を着色すると、顔料がペレット本体4内にしみ込むことなく外表面に接着する。なお、図示例では、着色材5としての塗料を用いているが、本発明では、着色材5として着色液を用いてもよい。即ち、本明細書でいうペレット本体4の外表面を着色するとは、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部を染料で染めることと、電線の外表面の少なくとも一部に顔料を塗ることとを示している。
【0030】
また、前記溶媒と分散液は、ペレット本体を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料がペレット本体内に確実にしみ込んだり、顔料がペレット本体の外表面に確実に接着することとなる。
【0031】
なお、前記溶媒及び分散液として、アセトン、MEK、MIBK、エタノール、IPA、ブチルセルソルブ、酢酸エチル、メタノール、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテート、1−プロパノール、ベンジルアルコール、乳酸エチル、トルエン、キシレンのうち少なくとも一つを用いることができる。着色材5は、液状の状態でペレット本体4の外表面の少なくとも一部に塗布された後、乾いて、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に塗膜6を形成する。
【0032】
また、図3及び図4に示された樹脂ペレット3は、ペレット本体4の外表面全体に一様の厚みの塗膜6が形成されている即ちペレット本体4の外表面の全体に着色材5が塗布されているが、本発明では、樹脂ペレット群9を構成する全ての樹脂ペレット3のペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5が塗布されていればよい。
【0033】
射出成型装置2は、図1に示すように、成形品の外形に応じたキャビティが設けられた金型7と、樹脂ペレット3(図3に示す)を溶かして当該溶かした樹脂ペレット3を前記金型7のキャビティ内に射出する射出部8と、前記射出部8に固形状の樹脂ペレット3を供給する製造装置1とを備えている。射出成型装置2は、製造装置1により外表面の少なくとも一部が所望の色に着色された樹脂ペレット3で構成された樹脂ペレット群9を射出部8で溶かして、塗膜6を形成する着色材5とペレット本体4を構成する合成樹脂とを混練した後、金型7のキャビティに射出して、所望の色の成形品を成形する。
【0034】
製造装置1は、図5に示すように、処理槽10と、ペレット供給部11と、着色材供給部12と、攪拌手段としての攪拌ファン13とを備えている。処理槽10は、内部が中空の箱状に形成されている。ペレット供給部11は、予め定められた所定の量の塗膜6が形成されていない樹脂ペレット3即ちペレット本体4を処理槽10の上部から当該処理槽10内に供給する。着色材供給部12は、液状の着色材5を処理槽10の上部から当該処理槽10内に滴下する。攪拌ファン13は、処理槽10の下部に回転自在に設けられている。攪拌ファン13は、処理槽10内で回転することで、処理槽10内の樹脂ペレット3と液状の着色材5とを攪拌して、当該樹脂ペレット3の外表面の少なくとも一部に着色材5を塗布する。
【0035】
また、処理槽10内は、図示しない温風ヒータから加熱された気体が吹き込まれる。さらに、処理槽10の下部には、処理槽10の内外を開閉自在な開閉扉14が設けられ、開閉扉14が開くと、処理槽10内の樹脂ペレット3が射出部8に供給されるようになっている。
【0036】
前述した製造装置1は、以下のように、単色の合成樹脂で構成された樹脂ペレット群9を構成する全ての樹脂ペレット3のペレット本体4の外表面の少なくとも一部に所望の色の液状の着色材5を塗布する。まず、ペレット供給部11にペレット本体4を多数供給し、着色材供給部12に所望の色の液状の着色材5を供給するとともに、開閉扉14を閉じておく。そして、製造装置1は、ペレット供給部11が所望の量のペレット本体4を処理槽10内に供給する。そして、製造装置1は、着色材供給部12が液状の着色材5を処理槽10内に滴下しながら、攪拌ファン13が液状の着色材5とペレット本体4とを攪拌して、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を塗布するとともに、温風ヒータから加熱された気体が処理槽10内に吹き込まれる。なお、この工程は、特許請求の範囲に記載された塗布工程をなしている。
【0037】
そして、製造装置1は、所望の量の着色材5の滴下が終了すると、着色材供給部12からの着色材5の滴下を停止する。その後、製造装置1は、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に付着した着色材5が乾く所望の時間が経過すると、攪拌ファン13を停止するとともに温風ヒータを停止して、開閉扉14を開いて、外表面に塗膜6が形成されたペレット本体4即ち樹脂ペレット3を射出部8に供給する。そして、製造装置1は、前述した工程を繰り返して、ペレット本体4の外表面に塗膜6を形成して、樹脂ペレット3を射出部8に供給する。
【0038】
本実施形態によれば、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に液状の着色材5を塗布する塗布工程を含み、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に液状の着色材5からなる塗膜6が形成されているので、当該樹脂ペレット3を多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体4を構成する単色の合成樹脂と塗膜6を構成する着色材5との割合が常に一定となる。このために、当該樹脂ペレット3を用いて成形品を成形すると、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができる。したがって、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0039】
また、塗布工程で着色材5をペレット本体4に滴下するので、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を確実に塗布できる。よって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態を、図6を参照して説明する。なお、図6において、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施形態の製造装置1は、前述した第1の実施形態と同様に、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に塗膜6を形成して、樹脂ペレット3を製造し、当該製造した樹脂ペレット3を射出部8に供給する。
【0042】
製造装置1は、図6に示すように、攪拌ファン13の代わりに攪拌手段としての攪拌ドラム15を備えている。攪拌ドラム15は、複数の貫通孔16が設けられた円筒状に形成されている。攪拌ドラム15は、その軸芯は水平方向と平行な状態で処理槽10内に設けられているとともに、その軸芯回りに回転自在に設けられている。本実施形態では、ペレット供給部11が攪拌ドラム15内に塗膜6が形成されていない樹脂ペレット3即ちペレット本体4を供給し、かつ着色材供給部12が攪拌ドラム15内に液状の着色材5を滴下する。また、攪拌ドラム15の中央部には、当該攪拌ドラム15の内外を開閉自在で開くと、開いた状態の前記開閉扉14と連通する開閉扉17が設けられている。開閉扉17は、開くと、前記開閉扉14と連通して、攪拌ドラム15内の樹脂ペレット3を射出部8に供給する。
【0043】
製造装置1は、以下のように、単色の合成樹脂で構成されたペレット本体4の外表面の少なくとも一部に所望の色の液状の着色材5を塗布する。まず、ペレット供給部11にペレット本体4を多数供給し、着色材供給部12に所望の色の液状の着色材5を供給するとともに、開閉扉14,17を閉じておく。そして、製造装置1は、ペレット供給部11が所望の量のペレット本体4を処理槽10内に供給する。そして、製造装置1は、着色材供給部12が液状の着色材5を処理槽10内に滴下しながら、攪拌ドラム15が軸芯回りに回転して、液状の着色材5とペレット本体4とを攪拌して、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を塗布するとともに、温風ヒータから加熱された気体が処理槽10内に吹き込まれる。なお、この工程は、特許請求の範囲に記載された塗布工程をなしている。
【0044】
そして、製造装置1は、所望の量の着色材5の滴下が終了すると、着色材供給部12からの着色材5の滴下を停止する。その後、製造装置1は、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に付着した着色材5が乾く所望の時間が経過すると、攪拌ドラム15の回転を停止するとともに温風ヒータを停止して、開閉扉14,17を開いて、外表面に塗膜6が形成されたペレット本体4即ち樹脂ペレット3を射出部8に供給する。そして、製造装置1は、前述した工程を繰り返して、ペレット本体4の外表面に塗膜6を形成して、樹脂ペレット3を射出部8に供給する。
【0045】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に液状の着色材5を塗布する塗布工程を含み、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に液状の着色材5からなる塗膜6が形成されているので、当該樹脂ペレット3を多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体4を構成する単色の合成樹脂と塗膜6を構成する着色材5との割合が常に一定となる。このために、当該樹脂ペレット3を用いて成形品を成形すると、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができる。したがって、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0046】
また、塗布工程で着色材5をペレット本体4に滴下するので、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を確実に塗布できる。よって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0047】
さらに、前述した第1及び第2の実施形態では、液状の着色材5を滴下したが、本発明では、滴下せずに、液状の着色材5を霧状(スプレー状)に噴霧してもよい(吹き付けてもよい)。この場合は、前述した実施形態の効果に加え、塗布工程で着色材5をペレット本体4に吹き付けるので、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を確実に塗布できる。よって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態を、図7を参照して説明する。なお、図7において、前述した第1及び第2の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態の製造装置1は、前述した第1及び第2の実施形態と同様に、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に塗膜6を形成して、樹脂ペレット3を製造し、当該製造した樹脂ペレット3を射出部8に供給する。
【0050】
製造装置1は、図7に示すように、着色材供給部12を設けずに、処理槽10内に液状の着色材5を予め収容しておき、当該処理槽10内に浸漬槽18が設けられている。浸漬槽18金属線が編まれて、箱状に形成されている。浸漬槽18内には、ペレット供給部11から所定の量の塗膜6が形成されていない樹脂ペレット3即ちペレット本体4が供給される。浸漬槽18は、鉛直方向に移動自在に設けられており、上昇すると着色材5の液面Mよりも上方に位置付けられ、かつ降下するとその一部が着色材5の液面Mよりも下方に位置付けられて当該浸漬槽18内のペレット本体4を着色材5内に浸漬させる。また、浸漬槽18には、前述した開閉扉14が設けられている。開閉扉14は、浸漬槽18が着色材5の液面Mよりも上方に位置付けられると、開くと、浸漬槽18内の樹脂ペレット3を射出部8に供給可能となる。
【0051】
製造装置1は、以下のように、単色の合成樹脂で構成されたペレット本体4の外表面の少なくとも一部に所望の色の液状の着色材5を塗布する。まず、ペレット供給部11にペレット本体4を多数供給し、処理槽10内の所定の量の着色材5を収容し、浸漬槽18を上昇させておくとともに、開閉扉14を閉じておく。そして、製造装置1は、ペレット供給部11が所望の量のペレット本体4を浸漬槽18内に供給する。そして、製造装置1は、浸漬槽18を降下させて、当該浸漬槽18内のペレット本体4を所定の時間、処理槽10内の着色材5に浸漬させる。こうして、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を塗布するとともに、温風ヒータから加熱された気体が処理槽10内に吹き込まれる。なお、この工程は、特許請求の範囲に記載された塗布工程をなしている。
【0052】
そして、製造装置1は、浸漬が開始してから所定の時間経過すると、処理槽10を上昇させる。その後、製造装置1は、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に付着した着色材5が乾く所望の時間が経過すると温風ヒータを停止して、開閉扉14を開いて、外表面に塗膜6が形成されたペレット本体4即ち樹脂ペレット3を射出部8に供給する。そして、製造装置1は、前述した工程を繰り返して、ペレット本体4の外表面に塗膜を形成して、樹脂ペレット3を射出部8に供給する。
【0053】
本実施形態によれば、前述した第1及び第2の実施形態と同様に、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に液状の着色材5を塗布する塗布工程を含み、ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に液状の着色材5からなる塗膜6が形成されているので、当該樹脂ペレット3を多数用いて成形品を成形する際に、ペレット本体4を構成する単色の合成樹脂と塗膜6を構成する着色材5との割合が常に一定となる。このために、当該樹脂ペレット3を用いて成形品を成形すると、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができる。したがって、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0054】
また、塗布工程で着色材5内にペレット本体4を浸漬させるので、当該ペレット本体4の外表面の少なくとも一部に着色材5を確実に塗布できる。よって、薄すぎずに濃すぎない所望の色の成形品を得ることができ、所望の色の成形品を確実に得ることができる。
【0055】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
3 樹脂ペレット
4 ペレット本体
5 着色材
6 塗膜(着色層)
9 樹脂ペレット群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂で構成されかつ成形品を成形するために用いられる樹脂ペレットを複数備えた樹脂ペレット群において、
前記樹脂ペレットが、単色の合成樹脂で構成されたペレット本体と、前記ペレット本体の外表面のうちの少なくとも一部に塗布された所望の色の液状の着色材が乾いて構成された着色層と、
を含んだことを特徴とする樹脂ペレット群。
【請求項2】
合成樹脂で構成されかつ成形品を成形するために用いられる樹脂ペレットの製造方法におぃて、
単色の合成樹脂で構成されたペレット本体の外表面の少なくとも一部に所望の色の液状の着色材を塗布する塗布工程を含んだことを特徴とする樹脂ペレットの製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程では、前記液状の着色材を吹き付けることを特徴とする請求項2記載の樹脂ペレットの製造方法。
【請求項4】
前記塗布工程では、前記液状の着色材を滴下することを特徴とする請求項2記載の樹脂ペレットの製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程では、前記液状の着色材内に前記ペレット本体4を浸漬させることを特徴とする請求項2記載の樹脂ペレットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−66495(P2012−66495A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213378(P2010−213378)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】