説明

樹脂包装用容器のリサイクルシステム

【課題】樹脂包装用容器の種別を分別することなく、且つ一般消費者から簡単に樹脂包装用容器を回収することができる樹脂包装用容器のリサイクルシステムを提供する。
【解決手段】原料から樹脂包装用容器100が製造される容器製造設備1と、容器製造設備1で製造される樹脂包装用容器100に物品を入れて販売される物品販売店舗3と、物品販売店舗3に設置される樹脂包装用容器100を回収する回収ボックス4と、容器種別を無分別で回収される樹脂包装用容器100をベール品102に一括して圧縮するベール化装置5と、ベール品102を原料の少なくとも一部の原料に再生する再生設備6とを前提として備え、回収ボックス4を、樹脂包装用容器100を容器種別を無分別で投入口42から投入可能な構成とする樹脂包装用容器のリサイクルシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種食材の包装等に用いられる樹脂包装用容器のリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックのリサイクルとして、各事業者がプラスチック毎に分別して保管し、回収業者が各事業者を巡回して分別されたプラスチックを回収し、中間処理業者が分別されたプラスチックをリサイクル適合品とリサイクル不適合品とに選別し、リサイクル適合品を洗浄して乾燥するリサイクルするものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−90599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種の食材の包装等に用いられる樹脂包装用容器は、一般の消費者に渡って回収するものであるため、樹脂包装用容器の種別を厳密に分別して回収することは難しい。そのため、樹脂包装用容器の種別を分別することなく、且つ一般消費者から簡単に樹脂包装用容器を回収することができるリサイクルシステムが求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、樹脂包装用容器の種別を分別することなく、且つ一般消費者から簡単に樹脂包装用容器を回収することができる樹脂包装用容器のリサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、原料から樹脂包装用容器が製造される容器製造設備と、前記容器製造設備で製造される前記樹脂包装用容器に物品を入れて販売される物品販売店舗と、前記物品販売店舗に設置される前記樹脂包装用容器を回収する回収ボックスと、容器種別を無分別で回収される前記樹脂包装用容器をベール品に一括して圧縮するベール化装置と、前記ベール品を前記原料の少なくとも一部の原料に再生する再生設備とを前提として備え、前記回収ボックスを、前記樹脂包装用容器を容器種別を無分別で投入口から投入可能な構成とすることを特徴とする。
この構成によれば、一般消費者の来店が多い物品販売店舗の回収ボックスにより、樹脂包装用容器の種別を分別することなく、且つ一般消費者から簡単に樹脂包装用容器を回収することができる。
【0007】
また、本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、前記回収ボックスの略上部に粉砕機を設け、前記回収ボックスの略下部に回収袋を配置し、前記投入口から投入される前記樹脂包装用容器が前記粉砕機で粉砕されて前記回収袋内に落下する構成であることを特徴とする。
この構成によれば、樹脂包装用容器を粉砕してコンパクトにしてベール化装置により多く入れ、ベール化の回数を低減することができる。また、ベール化装置が離れた場所にある場合等には、樹脂包装用容器の一回の運搬量を多くすることができる。また、ベール化時によりコンパクトなベール品にすることが可能となる。
【0008】
また、本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、前記物品販売店舗に、前記回収ボックスに近接して前記ベール化装置を設置し、前記ベール化装置で、粉砕され前記回収袋内に収納されている前記樹脂包装用容器を一括圧縮してベール品とすることを特徴とする。
この構成によれば、物品販売店舗でベール化までの工程を行うことができ、再生設備等にコンパクトなベール品を運搬することで樹脂包装用容器の一回の運搬量を多くすることができる。
【0009】
また、本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、前記ベール化装置を前記回収ボックスに隣接して配置し、前記ベール化装置の略下部と前記回収ボックスの略下部との間にスライド式開閉扉を設け、前記回収ボックスの略下部で粉砕され前記回収袋内に収納されている前記樹脂包装用容器を前記ベール化装置内に押し込むスライド式移動板を設け、前記スライド式開閉扉を開状態にし、前記スライド式移動板で前記樹脂包装用容器を前記ベール装置内に移動可能な構成であることを特徴とする。
この構成によれば、回収ボックス内の樹脂包装用容器を簡単にベース化装置内に移動することができる。
【0010】
また、本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、前記回収ボックスの前記投入口の外側近傍に金属探知器を設け、前記投入前の前記樹脂包装用容器に金属が混入している場合に前記金属探知器が警告信号を出力することを特徴とする。
この構成によれば、樹脂包装用容器に混入している金属を簡単に除外することができ、当該金属がリサイクル工程の支障となることを防止することができる。
【0011】
また、本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、前記回収ボックスが、前記容器製造設備の業者の前記物品販売店舗の業者に対する回収委託を前提に設置されることを特徴とする。
この構成によれば、容器製造設備の業者が主導権を取ってリサイクルを進めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、一般消費者の来店が多い物品販売店舗の回収ボックスにより、樹脂包装用容器の種別を分別することなく、且つ一般消費者から簡単に樹脂包装用容器を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による実施形態の樹脂包装用容器のリサイクルシステムの全体構成を示す図。
【図2】(a)は実施形態における回収ボックスを示す縦断説明図、(b)は実施形態におけるベール化装置を示す縦断説明図。
【図3】変形例の回収ボックス及びベール化装置を示す縦断説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態の樹脂包装用容器のリサイクルシステム〕
本発明による実施形態の樹脂包装用容器について図面を参照して説明する。図1は本発明による実施形態の樹脂包装用容器のリサイクルシステムの全体構成を示す図である。
【0015】
本実施形態の樹脂包装用容器のリサイクルシステムは、図1に示すように、原料から樹脂包装用容器100が製造される容器製造設備1と、容器製造設備1で製造される樹脂包装用容器100を仕入れて販売するディーラー等の容器販売店舗2と、容器販売店舗2から容器製造設備1で製造される樹脂包装用容器100を仕入れ、樹脂包装用容器100に物品を入れて販売するスーパーマーケット、生活共同組合等の物品販売店舗3と、物品販売店舗3に設置される樹脂包装用容器100を回収する回収ボックス4と、容器種別を無分別で回収される樹脂包装用容器100をベール品102に一括して圧縮するベール化装置5と、ベール品102を容器製造設備1で使用される原料の少なくとも一部の原料に再生する再生設備6とを前提として備える。
【0016】
回収ボックス4は、物品販売店舗3の室内或いは室外など敷地内に設置され、好適には混乱を避けるために塵箱と離れて設置される。また、ベール化装置5は、本実施形態では回収ボックス4と近接して配置され、回収ボックス4と同様に物品販売店舗3の室内或いは室外など敷地内に設置される。回収ボックス4、或いはベール化装置5、或いはその双方は、例えば容器製造設備1の業者の物品販売店舗3の業者に対する回収委託を前提に設置される。
【0017】
回収ボックス4は、樹脂包装用容器100を容器種別を無分別で投入口42から投入可能な構成であり、図2(a)に示すように、略直方体箱状の本体41の上面に投入口42が形成されている。そして、本体41内の略上部には、粉砕機である粉砕ローラ43が回動可能に設けられ、その下側には下方に向かって内側に傾斜する傾斜面44が形成されており、傾斜面44の中央は排出口45になっている。本体41内の略下部には回収袋46が口を広げた状態で配置され、投入口42から投入される樹脂包装用容器100は、粉砕ローラ43で粉砕され排出口45を通って回収袋46内に落下するようになっている。また、本体41の略下部の側壁には回動する開閉扉47が設けられ、樹脂包装用容器100の粉砕片101で満杯になった回収袋46を開閉扉47を開けて取り出せるようになっている。尚、回収ボックス4には開閉扉47を開けて回収袋46を収納できるようになっている。
【0018】
ベール化装置5は、図2(b)に示すように、略直方体箱状の本体51の側壁に図示で前後にスライドする開閉扉52が設けられ、開閉扉52を開けることにより、粉砕片101が充填された回収袋46をベール化装置5内に充填できるようになっている。尚、回収袋46は開閉扉46から取り出した際に口を結ぶ或いは紐で閉じられる。ベール化装置5は、ピストンロッド53の先端にピストン54を有する圧縮機構を有し、ピストン54を回収袋46の方に下降移動して充填された回収袋46を一括圧縮し、ベール品102とするようになっている。
【0019】
再生設備6では、必要に応じてベール品102から不純物と再生可能な部分を選別し、再生可能な部分を溶融してパレット等の成形品とするようになっている。
【0020】
本実施形態では、一般消費者の来店が多い物品販売店舗3の回収ボックス4により、樹脂包装用容器100の種別を分別することなく、且つ一般消費者から簡単に樹脂包装用容器100を回収することができる。また、回収ボックス4により、樹脂包装用容器100を粉砕してコンパクトにしてベール化装置5により多く入れ、ベール化の回数を低減することができる。また、ベール化装置5が離れた場所にある場合等には、樹脂包装用容器100の一回の運搬量を多くすることができる。また、ベール化時によりコンパクトなベール品102にすることが可能となる。また、物品販売店舗3でベール化までの工程を行うことができ、再生設備5等にコンパクトなベール品102を運搬することで樹脂包装用容器100の一回の運搬量を多くすることができる。
【0021】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、下記のような変形例も包含される。
【0022】
例えば図3に示すように、ベール化装置5を回収ボックス4に隣接配置して一体化し、ベール化装置5の略下部と回収ボックス4の略下部との間に図示で前後にスライドするスライド式開閉扉48、55を設け、回収ボックス4の下部に側方にレール等で摺動可能なスライド式移動板49を設け、スライド式開閉扉48、55を開状態にし、スライド式移動板49で押し込んで、回収ボックス4の略下部で粉砕され回収袋46内に収納されている樹脂包装用容器100の粉砕片101を、ベール化装置5内に移動可能な構成としてもよい。更に、例えば回収ボックス4の下部に粉砕片101が所定高さになると検知するセンサーを設け、このセンサーの検知に応じてスライド式開閉扉48、55を開状態にし、スライド式移動板49で樹脂包装用容器100或いは粉砕片101が充填されている回収袋42を自動的にベール化装置5内に移動する構成としてもよい。尚、これら構成では、図示省略する開閉扉から回収袋46を回収ボックス4内に収納可能な構成とし、又、例えば周囲から口を閉塞する構成等で図示省略する口止機構を回収ボックス4内に設け、回収袋46が自動的に閉塞する構成とすると好適であり、又、図示省略する開閉扉から手を入れて回収袋46の口を閉塞できる構成としてもよい。
【0023】
また、図3に示すように、回収ボックス4の投入口42の外側近傍に金属探知器7を設け、投入前の樹脂包装用容器100或いは樹脂包装用容器100が充填されている回収袋46を金属探知器7に通過或いは近接させ、金属が混入している場合に金属探知器7が警告信号を出力する、例えば図示省略する光源で警告光を点灯する、或いはスピーカで警告音を出力する等とすることも可能である。尚、金属探知器7の構成は、図2の回収ボックス4にも適用することが可能である。
【0024】
また、上記実施形態では、容器製造設備1で製造される樹脂包装用容器100を仕入れて販売するディーラー等の容器販売店舗2が介在する場合を前提としたが、本発明は容器販売店舗2が存在しない場合も包含する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、各種食材の包装等に用いられる樹脂包装用容器のリサイクルシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…容器製造設備 2…容器販売店舗 3…物品販売店舗 4…回収ボックス 41…本体 42…投入口 43…粉砕ローラ 44…傾斜面 45…排出口 46…回収袋 47…開閉扉 48…スライド式開閉扉 49…スライド式移動板 5…ベール化装置 51…本体 52…開閉扉 53…ピストンロッド 54…ピストン 55…スライド式開閉扉 6…再生設備 7…金属探知器 100…樹脂包装用容器 101…粉砕片 102…ベール品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料から樹脂包装用容器が製造される容器製造設備と、
前記容器製造設備で製造される前記樹脂包装用容器に物品を入れて販売される物品販売店舗と、
前記物品販売店舗に設置される前記樹脂包装用容器を回収する回収ボックスと、
容器種別を無分別で回収される前記樹脂包装用容器をベール品に一括して圧縮するベール化装置と、
前記ベール品を前記原料の少なくとも一部の原料に再生する再生設備とを前提として備え、
前記回収ボックスを、前記樹脂包装用容器を容器種別を無分別で投入口から投入可能な構成とすることを特徴とする樹脂包装用容器のリサイクルシステム。
【請求項2】
前記回収ボックスの略上部に粉砕機を設け、
前記回収ボックスの略下部に回収袋を配置し、
前記投入口から投入される前記樹脂包装用容器が前記粉砕機で粉砕されて前記回収袋内に落下する構成であることを特徴とする請求項1記載の樹脂包装用容器のリサイクルシステム。
【請求項3】
前記物品販売店舗に、前記回収ボックスに近接して前記ベール化装置を設置し、
前記ベール化装置で、粉砕され前記回収袋内に収納されている前記樹脂包装用容器を一括圧縮してベール品とすることを特徴とする請求項2記載の樹脂包装用容器のリサイクルシステム。
【請求項4】
前記ベール化装置を前記回収ボックスに隣接して配置し、
前記ベール化装置の略下部と前記回収ボックスの略下部との間にスライド式開閉扉を設け、
前記回収ボックスの略下部で粉砕され前記回収袋内に収納されている前記樹脂包装用容器を前記ベール化装置内に押し込むスライド式移動板を設け、
前記スライド式開閉扉を開状態にし、前記スライド式移動板で前記樹脂包装用容器を前記ベール装置内に移動可能な構成であることを特徴とする請求項3記載の樹脂包装用容器のリサイクルシステム。
【請求項5】
前記回収ボックスの前記投入口の外側近傍に金属探知器を設け、
前記投入前の前記樹脂包装用容器に金属が混入している場合に前記金属探知器が警告信号を出力することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の樹脂包装用容器のリサイクルシステム。
【請求項6】
前記回収ボックスが、前記容器製造設備の業者の前記物品販売店舗の業者に対する回収委託を前提に設置されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の樹脂包装用容器のリサイクルシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−255560(P2011−255560A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130818(P2010−130818)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(391011825)中央化学株式会社 (32)
【Fターム(参考)】