説明

樹脂含浸不織布

【課題】高周波ウェルダーでの溶着が可能で、硬さが改善され、しかも、エンボスの模様がきれいに出る樹脂含浸不織布を提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート製の長繊維不織布にエチレンユニットと酢酸ビニルユニットとを含む樹脂が含浸されてなる樹脂含浸不織布である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内装材、壁紙、ベッド部材、椅子部材等に使用可能なシート状の樹脂含浸不織布に関するものであり、特に高周波ウェルダーによる溶着が可能であり、ブロッキング等の不都合のない樹脂含浸不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内装材、特にトノカバーに用いられているシートには、織物、編物、不織布等にポリ塩化ビニルシートを積層した塩ビレザーが主流として用いられている。このシートは高周波ウェルダーでの溶着が可能なため、縫製により加工する手間が省け、コスト的に有利である。しかしながら、塩ビレザーは、暖かみのある風合いが得られないという問題があった。こういったことから、本願出願人は、不織布に樹脂を含浸させた通気性レザーを発明した(特許文献1)が、この発明では、含浸樹脂としてTgの高いポリ酢酸ビニルを用いている(特許文献1の実施例)ため、含浸樹脂量を多くすると風合いが硬くなることがあった。
【0003】
本願出願人は、さらに、熱圧着タイプの高目付けスパンボンド不織布の片面にアクリル系樹脂を付着させたレザー調不織布を発明した(特許文献2)。この発明で得られる不織布は、高周波ウェルダーによる溶着ができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−125066号公報
【特許文献2】特開平11−241277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や2には、高周波ウェルダーでの溶着の可否については検討されていないが、ポリ酢酸ビニルは高周波ウェルダー溶着が可能である。しかし上述のとおり、ポリ酢酸ビニル含浸不織布では、風合いが硬く、しなやかさがない。そこで、本発明では、高周波ウェルダーでの溶着が可能で、硬さが改善され、しかも、エンボスの模様がきれいに出る樹脂含浸不織布を提供することを課題として掲げた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は、ポリエチレンテレフタレート製の長繊維不織布に、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットとを含み、酢酸ビニルユニットが20〜80質量%である樹脂が、50〜150g/m2含浸されてなることを特徴とする樹脂含浸不織布である。
【0007】
樹脂中のエチレンユニットは3〜20質量%であることが好ましい。また、樹脂が、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットを有する共重合体および/またはエチレンユニットを含む(共)重合体と酢酸ビニルユニットを有する(共)重合体との混合物を含む樹脂であることも、本発明の好ましい実施態様である。
【0008】
上記樹脂含浸不織布は、少なくとも片面がエンボス加工されていてもよい。また、樹脂含浸不織布は、高周波ウェルダーで溶着可能に構成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高周波ウェルダーでの溶着が可能で、硬さが改善され、ブロッキング等の不都合を起こさず、エンボスの模様がきれいに出て意匠性に優れた樹脂含浸不織布を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者等は、ポリ酢酸ビニルでは風合いが硬すぎるため、共重合成分、またはポリマブレンド相手について、種々検討した結果、樹脂が酢酸ビニルユニットに加えて、エチレンユニットを有していることが、高周波ウェルダーでの溶着性を阻害せず、得られる樹脂含浸不織布にしなやかさを付与し得ることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
[不織布]
本発明では、基材となる不織布として、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の長繊維不織布を用いる。PETは、力学的特性や熱的特性に優れているからである。なお、10質量%以下であれば、PET以外のポリエステルがブレンドされていてもよい。PETの固有粘度は、特に限定されないが、0.6dl/g以上が好ましい。
【0012】
不織布を構成する長繊維(単繊維)の繊維径は、0.1〜10dtex程度が好ましく、より好ましくは1〜5dtex程度である。また、不織布の目付けは、50〜200g/m2程度が好ましく、100〜150g/m2程度がより好ましい。繊維径や目付けが上記範囲内であれば、強度、しなやかさ、意匠性等の各特性をバランスよく優れたものにすることができる。
【0013】
長繊維不織布としては、スパンボンド不織布が高速生産に向いており安価に入手できるため好ましい。スパンボンド不織布のままでは、引張強度や引裂き強度が若干不足する場合があるので、圧着率(ロール側凸部の頂部の面積割合)2〜50%程度のエンボスロールを通して圧着し、かつ、ニードルパンチによって繊維を交絡させておくことが好ましい。ニードルパンチを行う場合、ニードル密度30〜150個/cm2程度が好ましく、40〜100個/cm2程度がより好ましい。
【0014】
[樹脂]
上記不織布に含浸させる樹脂としては、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットとを含む樹脂であることが必要である。酢酸ビニルユニットが高周波ウェルダーでの溶着を可能にし、エチレンユニットが樹脂にほどよい柔らかさ(柔軟性)を付与する。酢酸ビニルユニットは、樹脂の中に20〜80質量%含まれている。この範囲であれば、高周波ウェルダーでの溶着が可能であり、硬くなりすぎることがない。エチレンユニットは20質量%以下が好ましい。エチレンユニットが多くなると、得られる樹脂含浸不織布表面にタックが発現し、例えば、巻回状態の樹脂含浸不織布を巻き出す際に、ブロッキングを起こすことがあるため、好ましくない。一方、エチレンユニットが少なすぎると、しなやかさを樹脂含浸不織布に与えることができないため、樹脂中に3質量%以上含まれていることが好ましい。酢酸ビニルユニットのより好ましい範囲は、30〜60質量%であり、エチレンユニットのより好ましい範囲は、5〜15質量%である。
【0015】
樹脂にエチレンユニットと酢酸ビニルユニットを含ませる態様としては、(1)樹脂が、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットとを有する共重合体(3元以上の多元共重合体も含む)である態様、(2)樹脂が、エチレンユニットを含む(共)重合体と酢酸ビニルユニットを有する(共)重合体との混合物を含む態様が挙げられる。ここで(共)重合体とは、単独重合体または共重合体である。
【0016】
(1)の態様において、上記共重合体はエチレンユニットと酢酸ビニルユニット以外の他のユニットを有していてもよく、このような他のユニットを与える単量体としては、例えば、塩化ビニル;スチレン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。中でも塩化ビニルユニットが好ましく、後述する三酸化アンチモンと組み合わせることで、樹脂含浸不織布の難燃性が向上する。
【0017】
他のユニットがある場合、すなわち、エチレンと酢酸ビニルに加えて他の単量体を共重合する場合は、得られる共重合体において、酢酸ビニルユニットやエチレンユニットの量が上記好適範囲になるように共重合比を調整することが好ましい。例えば、エチレンと酢酸ビニルと塩化ビニルとの共重合体においては、エチレン5〜20質量%、酢酸ビニル20〜80質量%、塩化ビニル5〜40質量%とすることが好ましい。
【0018】
上記(2)の態様では、樹脂が、(2−1)ポリエチレンとポリ酢酸ビニルとの混合物を含む態様、(2−2)ポリエチレンと、酢酸ビニルユニットを含む共重合体との混合物を含む態様、(2−3)エチレンユニットを含む共重合体と、ポリ酢酸ビニルとの混合物を含む態様、(2−4)エチレンユニットを含む共重合体と、酢酸ビニルユニットを含む共重合体との混合物を含む態様、とに分けられる。(2−2)〜(2−4)における各共重合体を構成するユニットは、上記で例示した他のユニットを与える単量体由来のユニットである。中でも塩化ビニルユニットが好ましい。
【0019】
本発明において、不織布に含浸させる樹脂は、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットのいずれも含まない(共)重合体をさらに含むものであってもよい。すなわち、上記で例示した他のユニットを与える単量体を1種または2種以上、重合した(共)重合体を、上記(1)または(2)の態様に加えた態様(3)である。この(3)の態様において、好ましいのは、塩化ビニルとアクリル酸エステルとの共重合体である。この共重合体においては、塩化ビニルユニットが50〜95質量%となるように共重合することが好ましい。また、(メタ)アクリレート類の(共)重合体も好ましい。
【0020】
上記いずれの場合も、樹脂全体として、エチレンが3〜20質量%、酢酸ビニルが20〜80質量%となるように、調整することが好ましい。
【0021】
含浸させる樹脂は、有機溶剤系でも構わないが、水性媒体のエマルジョンであることが好ましい。複数の(共)重合体から樹脂が構成されている場合でも、エマルジョン同士を混合して撹拌すれば、均一な樹脂エマルジョンが簡単に得ることができる。また、得られる樹脂エマルジョン(含浸液)の粘度も低く抑えることができ、さらに環境にも優しい。なお、水性媒体には水の他に、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類が含まれていてもよい。
【0022】
上記樹脂は、不織布に50〜150g/m2となるように含浸させる。少ないと、エンボス模様がはっきりせず、多すぎると風合いが硬くなり好ましくない。より好ましい付着量は75〜125g/m2の範囲である。後述するように、ディッピングとコートによる付着量が上記好適範囲となるように、エマルジョンの濃度を調整するとよい。
【0023】
[樹脂組成物]
本発明において、不織布に樹脂を含浸させる場合には、樹脂(エマルジョン)に、公知の架橋剤、難燃剤、湿潤剤、粘性調節剤、増粘剤、消泡剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で加えてもよく、これらを混合した樹脂組成物の形態で用いることが好ましい。樹脂が塩化ビニルユニットを含む場合、三酸化アンチモンを5〜10質量%(樹脂+三酸化アンチモンを100質量%とした場合)程度添加すると難燃効果が発現するため、好ましい実施態様である。
【0024】
[樹脂含浸不織布の製造方法]
本発明の樹脂含浸不織布の好適な製造方法の一例を説明する。まず、公知の方法でスパンボンド不織布を製造する。続いて、前記したように、エンボスロールを通して圧着し、さらにニードルパンチによって繊維を交絡させる。これで、基材としての不織布が完成する。このときのエンボス加工は、150〜250℃程度で行うとよい。
【0025】
この不織布に、上記樹脂組成物を含浸させる。まず、樹脂組成物(エマルジョン)の入った容器中に不織布を浸して、いわゆるディッピング法によって樹脂組成物を不織布に含浸させる。適宜乾燥してから、樹脂組成物を不織布表面にコートする。ディッピングの後のコートであっても、樹脂組成物はほとんどが不織布内部へ侵入する。コート法としては特に限定されないが、ナイフコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法等が採用可能である。なお、ディッピングに用いる樹脂組成物と、コートに用いる樹脂組成物は同じものであっても、異なる組成のものであっても構わない。
【0026】
得られた樹脂含浸不織布は、エンボスロールを通過させて、凹凸模様を付けることが好ましい。ディッピングとコートによって樹脂を不織布中に多量に含浸させることで、エンボスロールの模様がきれいに転写され、意匠性に優れた樹脂含浸不織布が得られる。エンボス模様は特に限定されず、求められる意匠に応じて適宜決定すればよい。エンボスロールの対向ロールはペーパーロールを用いることが好ましい。樹脂含浸不織布が130〜180℃程度になるように、加熱してエンボス加工を行うとよい。
【0027】
[樹脂含浸不織布]
本発明の樹脂含浸不織布は、高周波ウェルダーによって溶着が可能である。溶着が可能かどうかの目安は、高周波ウェルダー溶着部が5N/cm以上の引張(破断)強度を示すことである。溶着部の強度は7N/cm以上あることが好ましい。溶着部の強度の測定方法は、実施例で説明する。
【0028】
また、本発明の樹脂含浸不織布は、エチレン量を適性範囲に設定したので、しなやかさ(柔軟性)を有するものである。柔軟性の目安としては、カンチレバー式(JIS L 1913 6.7.2(2010))で180mm以下である。
【0029】
さらに、本発明の樹脂含浸不織布は、べたつき感(タック)の発現が防止されており、ブロッキング等の不都合を起こすことはない。
【実施例】
【0030】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
【0031】
[特性評価方法]
<不織布の目付>
JIS L 1913 6.2(2010)記載の方法に準拠し、20cm×20cmのサイズで測定した。
【0032】
<高周波ウェルダー溶着部の引張(破断)強度>
高周波ウェルダー加工機(新型ハイブリッド高周波ウェルダーYO−5AN;山本ビニター社製)で、0.25A,金型温度150℃、溶着時間3秒、冷却時間3秒で、樹脂含浸不織布の一方の面と他方の面とを線状に溶着接合して試料を作製する。溶着部に垂直な方向の長さが200mm程度、溶着部と同一方向の長さ(この長さが試験片の幅となる)が30mmとなり、かつ、溶着部が試験片の中央近傍に来るように、試料から試験片を切り出す。引張試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフ(登録商標)AG−I」)の上下のチャックに、チャック間距離が100mmとなるように試験片を挟み、引張速度200mm/分で引張って、溶着部が破断したときの強度を試験片幅方向長さで割って、引張強度(N/cm)とした。
【0033】
<べたつき>
幅60mm、長さ90mmの2枚の樹脂含浸不織布試験片を向かい合わせて、縦および横がそれぞれ60mmの平滑な2枚のガラス板で、向かい合わせた試験片の幅の1辺と合わせて挟む。底面の縦および横がそれぞれ60mmで、質量3kgの重りを載せ、70℃±2℃の空気恒温機中に24時間放置したのち取り出し、重りを取り除いて室温で1時間放冷して、2枚の樹脂含浸不織布試験片を静かにはがし、不織布表面に損傷等の異常が生じたかどうかを目視で調べた。○は剥離性良好、△は若干タックがあったものである。
【0034】
<柔軟性>
JIS L 1913 6.7.2(2010)に記載のカンチレバー式で測定した。
【0035】
実施例1
固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.0g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度2.0dtexの長繊維からなる目付130g/m2のスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率9%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、230℃、線圧20kN/mでエンボス加工を行った。さらに、ニードルパンチ機を用い、40番手の針で、65本/cm2、針深度12mmの条件でニードルパンチによる交絡処理を行って、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0036】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(エチレン/酢酸ビニル/塩化ビニル=15/60/25;住友化学株式会社製「スミカフレックス(登録商標)801HQ」)が固形分で67%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(新中村化学工業株式会社製「ニューコート9500」)が固形分で15%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(塩ビ/アクリル=80/20;日信化学工業株式会社製「ビニブラン(登録商標)278」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0037】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0038】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0039】
実施例2
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0040】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(エチレン/酢酸ビニル=10/90;住友化学株式会社製「スミカフレックス(登録商標)355HQ」)が固形分で85%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で7%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン278」)が固形分で8%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0041】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0042】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0043】
実施例3
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0044】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」)が固形分で25%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で55%、塩化ビニルとエチレンの共重合エマルジョン(塩化ビニル/エチレン=70/30;住友化学株式会社製「スミエリート(登録商標)1010」)が固形分で20%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0045】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0046】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0047】
実施例4
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0048】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」)が固形分で45%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で55%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0049】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0050】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0051】
実施例5
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0052】
エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」)が固形分で40%、塩化ビニルとエチレンの共重合体エマルジョン(前記「スミエリート1010」)が固形分で60%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0053】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0054】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0055】
比較例1
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0056】
アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)のみを用いて、上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって上記エマルジョンを含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0057】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0058】
比較例2
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0059】
エチレンと酢酸ビニル共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス355HQ」のみを用いて、上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって上記エマルジョンを含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0060】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0061】
比較例3
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0062】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス801HQ」が固形分で17%、塩化ビニルとエチレンの共重合体エマルジョン(前記「スミエリート1010」)が固形分で25%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で40%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0063】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が20g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は80g/m2であった。
【0064】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0065】
比較例4
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0066】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス801HQ」)が固形分で67%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で15%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン278」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0067】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が30g/m2の樹脂含浸不織布を得た。
【0068】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0069】
比較例5
実施例1と同様にして、ニードルパンチ長繊維不織布を得た。
【0070】
エチレン、酢酸ビニルおよび塩化ビニルの共重合体エマルジョン(前記「スミカフレックス801HQ」)が固形分で67%、アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(前記「ニューコート9500」)が固形分で15%、塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(前記「ビニブラン278」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
【0071】
上記のニードルパンチ長繊維不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を含浸させて、樹脂の乾燥後付着量が30g/m2の樹脂含浸不織布を得た。この樹脂含浸不織布の表面にナイフコーターで上記樹脂組成物をコートした。コートによる乾燥後付着量は130g/m2であった。
【0072】
ウェルダー溶着部の引張(破断)強度、べたつき性、柔軟性を上記方法で評価し、表1に示した。
【0073】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の樹脂含浸不織布は、高周波ウェルダーによる溶着が可能であり、ブロッキング等の不都合がなく、柔軟な樹脂含浸不織布であるので、トノカバー等の車両内装材、壁紙、ベッド部材、椅子部材等に使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート製の長繊維不織布に、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットとを含み、酢酸ビニルユニットが20〜80質量%である樹脂が、50〜150g/m2含浸されてなることを特徴とする樹脂含浸不織布。
【請求項2】
樹脂中のエチレンユニットが3〜20質量%である請求項1に記載の樹脂含浸不織布。
【請求項3】
樹脂が、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットを有する共重合体および/またはエチレンユニットを含む(共)重合体と酢酸ビニルユニットを有する(共)重合体との混合物を含む樹脂である請求項1または2に記載の樹脂含浸不織布。
【請求項4】
少なくとも片面がエンボス加工されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂含浸不織布。
【請求項5】
高周波ウェルダーで溶着可能である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂含浸不織布。

【公開番号】特開2013−32601(P2013−32601A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168677(P2011−168677)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003160)東洋紡株式会社 (3,622)
【出願人】(000222255)東洋クロス株式会社 (24)
【Fターム(参考)】