説明

樹脂基体とその表面改質方法

【課題】汚れや傷が付きにくいフィルム表面の改質方法及び水や溶媒で洗浄、クリーニングしても初期性能が維持される永久的な表面の改質方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるフッ素化合物を保護基で保護されたイソシアナート基を有する架橋剤で樹脂基体上に固定化をすることを特徴とする樹脂基体の表面改質方法。
【化1】


式中、Rfは炭素数1〜30のフッ素原子を含む基、Xは2価の連結基、Aはポリアルキレンオキサイド鎖を含む2価の連結基、mおよびnは0または1を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムやシート状有機材料、所謂、樹脂基体の表面改質に関するもので、汚れの付着を防止し、且つ有機溶媒や水で洗浄しても樹脂基体に固定化され、溶出しにくいフッ素化合物の固定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ポリマーを使用して日用品から産業用品まで広く樹脂基体を成型加工することにより、様々な商品が作られている。そのような樹脂基体として、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカボーネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等がある。これら商品は、包装材料、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等の電子表示材料、電子部品、自動車や建築材料、家庭用品等に使用され、汚れ防止、傷付き防止、反射防止、紫外線防止、赤外線吸収、更には黴が生えにくい、水滴が付きにくい、結氷しにくい、水分で曇りにくい、適度の滑り性、耐熱性、耐薬品性、切断加工適正等様々な特性が要求される。特に汚れが付きにくいことや黴が生えにくいこと等は、環境衛生に視点がある最近では、重要な特性となっている。水分が付きにくいことは、汚れにくいこと、黴が生えにくいこと、曇りにくいこと、結氷しにくいことと関係することから疎水性の表面にすることで撥水性加工をすることが提案されてきた。撥水性加工には、シリコン化合物やフッ素化合物を多く採用してきたが、溶媒に溶けにくく、塗布が困難であり、塗布性を改良するために、低分子の活性剤を使用するとこれらは、重ねられたときの転写移動が起きたり、水や溶媒での洗浄で溶出してしまうなどで洗浄、クリーニングに耐えるものがなかった(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平05−131130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、汚れや傷が付きにくいフィルム表面の改質方法を提供すること、及び水や溶媒で洗浄、クリーニングしても初期性能が維持される永久的な表面の改質方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る上記課題は下記の手段によって解決される。
【0005】
1.下記一般式(1)で表されるフッ素化合物を保護基で保護されたイソシアナート基を有する架橋剤で樹脂基体上に固定化をすることを特徴とする樹脂基体の表面改質方法。
【0006】
【化1】

【0007】
式中、Rfは炭素数1〜30のフッ素原子を含む基、Xは2価の連結基、Aはポリアルキレンオキサイド鎖を含む2価の連結基、m及びnは0または1を表す。
【0008】
2.前記一般式(1)で表されるフッ素化合物と保護基で保護されたジイソシアナートモノマーを樹脂基体上に塗布し、加温処理及び分極処理のうちの少なくとも一方の処理により、樹脂基体上に該フッ素化合物を固定化することを特徴とする前記1に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【0009】
3.前記加温処理が60〜250℃の温度範囲内で行われることを特徴とする前記2に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【0010】
4.前記保護基で保護されたイソシアナート基がアミン類又はアルコール類で保護されたイソシアナート基であることを特徴とする前記1及び2に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【0011】
5.前記分極処理は直流パルス放電又は高電圧パルスコロナ放電処理であることを特徴とする前記2に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【0012】
6.前記1〜5に記載の樹脂基体の表面改質方法によって改質されたことを特徴とする樹脂基体。
【0013】
7.前記樹脂基体がポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートであることを特徴とする前記6に記載の樹脂基体。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記手段により、汚れや傷が付きにくいフィルム表面の改質方法を提供すること、及び水や溶媒で洗浄、クリーニングしても初期性能が維持される永久的な表面の改質方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の表面改質方法は前記一般式(1)で表されるフッ素化合物を保護基で保護されたイソシアナート基(−N=C=O)を有する架橋剤(本明細書では、「ブロックドポリイソシアナート化合物」、「ブロックドイソシアナートモノマー」等ともいう。)で樹脂基体上に固定化をすることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明とその構成要素等について詳細な説明をする。
【0017】
(一般式(1)で表されるフッ素化合物)
本発明に使用するフィルム材料やシート材料等の有機樹脂材料の表面に固定化するフッ素化低分子化合物は上記一般式(1)で表される。
【0018】
式中、Rfは炭素数1〜30のフッ素原子を含む基、Xは2価の連結基、Aはポリアルキレンオキサイド鎖を含む2価の連結基、mおよびnは0または1である。
【0019】
式(1)について更に詳しく述べると、Rfは炭素数1〜30のフッ素原子を含む脂肪族残基であり、少なくとも1つ以上のフッ素原子が導入されている。フッ素原子で置換された脂肪族残基上にはそれぞれフッ素原子で更に置換されたアリール基やヘテロ環基で置換されてもよい。アリール基としてはフェニル基やナフチル基等が好ましく、これら母核上にアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等)やアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクトキシ基等)、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホン酸基等で置換されてもよい。Xは2価の連結基でオキシエーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホンアミド基、カルバミド基、アルキルオキシレン基、カルボキシアルキレン基、フェニレン基等を表す。Aはポリアルキレンオキサイド基を含む基であり、アルキレンオキサイドとしては、炭素数1〜4であり、特に好ましい基はエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等であり、アルキレンオキサイド基が単一でなく、複数の組み合わせでもよい。アルキレンオキサイド基の繰り返し数は1〜100を選ぶことができ、好ましい範囲は2〜60であり、特に好ましい範囲は4〜30である。100を越えると溶解しにくく、取り扱いにくいことから100以上は好ましくないが、固形添加するなどの方法もあり、限定されるものではない。好ましい具体例を下記に示すが本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0020】
【化2】

【0021】
本発明に係る一般式(1)で示される化合物及びブロックドイソシアナート化合物を樹脂表面に塗工するために塗布液に添加するときには、溶媒に溶解させて添加する方法、例えば、メタノールやエタノール等アルコール類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等ケトン類、非極性溶媒(トルエン、キシレン、ヘキサン等)等の溶媒に溶解して添加する方法、微粒子分散して溶解する分散添加等任意に選択することができる。
【0022】
(保護基で保護されたイソシアナート基を有する架橋剤)
本発明に係る保護基で保護されたイソシアナート基を有する架橋剤(ブロックドポリイソシアナート化合物)はイソシアナート基がアミン類又はアルコール類でブロックされたことを特徴とする。保護基で保護(ブロック)するポリイソシアナート化合物は主にジイソシアナアート化合物とトリイソシアナート化合物であり、その例として以下のものを挙げることができる。
【0023】
4,4′−ジイソシアン酸メチレンジフェニル、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアナート、o−ジアニシジンジイソシアナート、メチレンビス(4−イソシアナート−3−メチルベンゼン)、メチレンビス(4−イソシアナート−2−メチルベンゼン)、メチレンビス(o−クロロフェニルイソシアナート)、5−クロロ−2,4−トルエンジイソシアナート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、3,5−ジイソシアナートベンゾトリフルオライド、ビス(4−イソシアナートフエニル)エーテル、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、p−フェニレンジイソシアナート、p−キシレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、1,5−ナフタレンジイソシアナート、2,6−ナフタレンジイソシアナート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナート1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、トリアジントリイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート等である。
【0024】
ポリイソシアナート基をブロックするモノマーとしてのアミン類としては、モノアミン、ジアミン等があるが、モノアミンが好ましい。アミンは1級、2級、3級アミンがあるが、嵩高い置換基を有する3級アミン基を持つものが好ましい。好ましいアミン類を以下に例示する。フェニルアミン、p−メチルフェニルアミン、p−メトキシフェニルアミン、クロロフェニルアミン、3,5−ジアミノフェニルアミン、4−アミノジフェニルメタン、4−アミノジフェニルエーテル、3,5,4′ージメトキシジフェニルプロパン、シクロヘキシルアミン、p−メチルシクロヘキシルアミン、p−メトキシシクロヘキシルアミン、p−クロロシクロヘキシルアミン、p−フッ化シクロヘキシルアミン、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン等を挙げることができる。
【0025】
ポリイソシアナート基をブロックするアルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、フッ化アルコール、ラウリルアルコール等を挙げることができる。
【0026】
前記ブロック化反応は、温度に制限はないが、低温で反応を進めることができるので、90℃以下が好ましい。特に温度としては、5℃から80℃の範囲であることが好ましい。温度は低くてよいが、あまり低いと冷却設備や冷却電力が必要となるので好ましくない。また、90℃以上では、加熱の電気料、燃料費の点から好ましくない。反応時間は、反応量や温度によるので、適宜調節が必要であるが、1分から6時間、10分から3時間以内が好ましい。
【0027】
(樹脂基体)
本発明に係る樹脂基体としては、用途にもよるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー等が代表的である。上記支持体上に塗布するに際しての表面処理は、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理などをして表面に水酸基やカルボン酸基或いはアミノ基などを生成させることが低分子フッ素化合物の固定化には好ましい。また、基体上に塗布するときは、本発明に係るフッ素化合物とブロックドイソシアナート基化合物の他にマット剤、帯電防止剤、滑り剤、粘度調節剤、色調剤、屈折制御剤、電磁波防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤等目的に応じて添加することが出来るし、本発明に係る塗布層と樹脂基体の間にこれらの目的の層を1層から10層ほど重畳しておいてもよい。
【0028】
(表面改質処理)
本発明の表面改質方法は前記一般式(1)で表されるフッ素化合物と保護基で保護されたジイソシアナートモノマーを樹脂基体上に塗布し、加温処理及び分極処理のうちの少なくとも一方の処理により、樹脂基体上に該フッ素化合物を固定化することを特徴とする。
【0029】
〈加温処理〉
本発明おいて、加温処理は、前記一般式(1)で表されるフッ素化合物と保護基で保護されたジイソシアナートモノマーを樹脂基体上に塗布した後、60〜250℃の温度範囲内で行われることが好ましい。なお、下記の分極処理を併用することが好ましい。
【0030】
〈分極処理〉
本発明において、分極処理は、直流パルス放電又は高電圧パルスコロナ放電処理であることが好ましい。
【0031】
本発明において使用するコロナ放電処理は、市販のコロナ放電発生装置を使用して処理することができる。放電の処理条件は、機器により異なるので適宜条件を選択することが好ましい。コロナ放電処理は、コロナ放電を発生させる高電圧電源として、高電圧直流を発生する電源供給部と高電圧直流を高電圧パルスに変換するパルス形成部を有し、波高値が1〜100kV、パルス幅が100msec〜1ps、パルス頻度が10〜1000ppsの電圧パルスを発生する電源を備えたコロナ放電処理装置が好ましい。例えば周波数50/60Hzの交流電源を直流に変換し、昇圧トランスにより高電圧直流を発生する電源供給部と、得られた高電圧直流を公知の送風切断方式球ギャップスイッチによるパルス形成回路によって高電圧パルスに変換するパルス形成部を備えたものなどによって発生させることができる。一般的に、電極間隔を数センチ程度にまで広げた場合に、コロナ放電を起こさせるには、数百kV以上の高電圧を印加しなければならないが、このような高電圧を印加した場合、放電が一ヶ所に集中する火花(アーク)放電が発生するおそれがある。高電圧パルスは火花放電を生じることなく、均一で安定なコロナ放電処理を行うことを可能とするために有効なものである。この高電圧パルスの波高値は、好ましくは1〜100kVの範囲であり、またパルス幅は100ms〜700nsの範囲が実用上好ましく、さらにパルス頻度は、パルス頻度が多いほど処理効率が向上するが、実用上1〜1000ppsの範囲が好ましい。コロナ密度としては、10mW〜100W/m2が好ましい。特に好ましい範囲は、100mW〜50Wである。
【0032】
固定化が共有結合化されているかは、ブロックドイソシアナート基が尿素結合化されているかを赤外分光法で1650±5cm−1の信号が出現しているかどうかで確認した。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0034】
実施例1
(ブロックドジイソシアナートモノマー(M1)の合成)
温度制御付きの500mlのフラスコに3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアナート0.1モル(25g)とイソプロピルアミン0.2モル(11.8g)を秤量し、5℃に保ちながら10分間122rpm/minで攪拌混合させてブロックドイソシアナートM1を合成した。分子量測定は東ソー製GPC(HLC−8220GPC)を使用して、元素分析値、MRI測定結果より、分子量は、382.50でイソシアナート基がイソプロピルアミンでブロックされていることがわかった。
【0035】
(ブロックドイソシアナートモノマー(M2)の合成)
温度制御付きの500mlのフラスコに3,3′−ジメトキシジフェニルジイソシアナート0.1モル(29g)t−ブチルアルコール0.2モル(7.4g)を秤量し、5℃に保ちながら8分間112rpm/minで攪拌混合させてt−ブチルアルコールのブロックドイソシアナート(M2)を合成した。分子量測定は東ソー製GPC(HLC−8220GPC)を使用して、元素分析値、MRI測定結果より、分子量は、442.52でイソシアナート基がブロックされていることがわかった。
【0036】
(ブロックドイソシアナートモノマー(M3)の合成)
温度制御付きの500mlのフラスコに4,4′−ジフェニルジイソシアナート0.1モル(26g)t−ブチルアルコール0.2モル(7.4g)を秤量し、5℃に保ちながら8分間112rpm/minで攪拌混合させてt−ブチルアルコールのブロックドイソシアナート(M3)を合成した。分子量測定は東ソー製GPC(HLC−8220GPC)を使用して、元素分析値、MRI測定結果より、分子量は、384.47でイソシアナート基がブロックされていることがわかった。
【0037】
以下同様の方法でブロック化したポリイソシアナートモノマーM4〜M18を合成した。
【0038】
【化3】

【0039】
【化4】

【0040】
フッ素化合物の合成は、フッ化アルキルアルコール、フッ化アルケニルアルコール、フッ化アルカン、フッカアルケン、フッカアルケン等のフッ素化合物と、ポリエチレングリコール、プロピレンオキサイド等の付加、エステル化反応により、容易に合成ができる。
【0041】
本発明に係る一般式(1)で示されるフッ素化合物とブッロクドジイソシアナート化合物とをメチルエチルケトンに溶解し、コロナ放電処理済みの100μm厚のPETフィルム上にそれぞれ10ミリモル/m2の付き量で塗布し乾燥した。塗布乾燥後、表1に示す温度まで加温して、コロナ放電の分極処理と直流パルス電圧の分極処理を実施した。直流パルス電源は三菱電機社製を、コロナ放電分極処理はタンテック社製HV2010で2W/m2の密度条件で表1に示す条件で行った。フッ素化合物とブロックドイソシアナート化合物の組み合わせと汚れの付き易さを下記表1に示す。汚れの付きやすさは、コーヒー液を滴下して、ポリエステル不織布でふき取ったときのクリーンさで評価し、汚れが全くないを5ランク、汚れがひどい場合を1ランクとして官能評価をした。洗浄後の溶出の評価は、水、アルコール、アセトン、トルエンで3ml/cm2量で洗浄して、フッ素化合物の溶出を調べた。検出限界以内のレベルをランク5、70%以上溶出するをランク1、3%以内をランク4、4%〜12%をランク3、13%〜69%はランク2とした。
【0042】
【表1】

【0043】
本発明に係る一般式(1)で示される化合物をブロックドポリイソシアナート化合物とを樹脂基体表面上に塗布し、分極処理すると汚れの付着がしにくくなっていることがわかる。また、これを、水やエタノール、アセトン、トルエンなどの溶媒で洗浄してもフッ素化合物が溶出していないことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるフッ素化合物を保護基で保護されたイソシアナート基を有する架橋剤で樹脂基体上に固定化をすることを特徴とする樹脂基体の表面改質方法。
【化1】

式中、Rfは炭素数1〜30のフッ素原子を含む基、Xは2価の連結基、Aはポリアルキレンオキサイド鎖を含む2価の連結基、m及びnは0または1を表す。
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるフッ素化合物と保護基で保護されたジイソシアナートモノマーを樹脂基体上に塗布し、加温処理及び分極処理のうちの少なくとも一方の処理により、樹脂基体上に該フッ素化合物を固定化することを特徴とする請求項1に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【請求項3】
前記加温処理が60〜250℃の温度範囲内で行われることを特徴とする請求項2に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【請求項4】
前記保護基で保護されたイソシアナート基がアミン類又はアルコール類で保護されたイソシアナート基であることを特徴とする請求項1及び2に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【請求項5】
前記分極処理は直流パルス放電又は高電圧パルスコロナ放電処理であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂基体の表面改質方法。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の樹脂基体の表面改質方法によって改質されたことを特徴とする樹脂基体。
【請求項7】
前記樹脂基体がポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂基体。

【公開番号】特開2008−37912(P2008−37912A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210672(P2006−210672)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】