説明

樹脂基複合材の製造方法

【課題】樹脂基複合材の板厚をより高精度に制御することができる製造方法を提供する。
【解決手段】所定形状の治具20に、繊維で強化された樹脂からなるプリプレグ30を所定の厚さまで積層する工程と、積層されたプリプレグ30と治具20とを包装材35で被覆し、包装材35を加圧しながら加熱処理して第1の半成形品40aと第2の半成形品40bとを形成する工程と、第1の半成形品40a及び第2の半成形品40bの板厚を計測する工程と、計測された板厚と、樹脂基複合材の所望の板厚と、追加プライ42の物性とを基にして、追加プライ42の数を決定する工程と、所定形状の治具41a,41bに設置された第1の半成形品40aと第2の半成形品40bとの間に、所定枚数の追加プライ42を積層した積層体43を形成し、積層体43と治具41a,41b,44とを包装材47で被覆し、包装材47を加圧しながら加熱処理する工程とを備える樹脂基複合材の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂基複合材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂等の樹脂基複合材は、軽量で高強度であるため、航空機、自動車、船舶等の構造部材として広く用いられている。
樹脂基複合材は、一般的に、繊維で強化された樹脂からなるプリプレグを複数枚積層し、オートクレーブなどにより加熱・加圧処理されて形成される。
【0003】
例えば、ヘリコプタのロータスパーに樹脂基複合材を適用する場合、樹脂基複合材には、遠心力による引張荷重を支えるのに十分な強度と、回転中のブレードが設計どおりの固有振動数(動特性)を維持するための剛性の精度とが要求される。剛性は、樹脂基複合材からなる部材の板厚の3乗に比例することが知られている。このため、樹脂基複合材からなるロータスパーを実現するためには、設計値に対する板厚のばらつきをできるだけ小さくする(例えば±2%以内)必要がある。
しかしながら、オートクレーブにより形成される樹脂基複合材では、プリプレグ自体の板厚のばらつき、加熱時の樹脂の流動性のばらつきやそれに伴う樹脂の損失、積層工程のばらつき、層間に残留する空気層などにより、板厚のばらつきが上記ばらつきの要求値よりも大きくなる場合が生じる。このため、厳密に樹脂基複合材の板厚を制御できる成形方法が求められている。
【0004】
特許文献1には、ベースモールド部材の成形面に複数のプリプレグプライを順次レイアップ(積層)して複合材を形成する方法において、所定枚数のプリプレグをレイアップする工程と、プリプレグを室温程度にてオートクレーブ圧縮する工程と、オートクレーブされた積層体に補助プライパックをレイアップして板厚の変動を調整する工程とを繰り返しながら、複合材を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−507517号公報(請求項1、14頁13行〜23頁4行、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の形成方法では、所定枚数毎に行うプリプレグの圧縮を室温で行っているため、最終的な加熱・加圧処理の際に樹脂が流出することにより、板厚が変動しやすいという問題があった。
本発明は、樹脂基複合材の板厚をより高精度に制御することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、所定形状の治具に、繊維で強化された樹脂からなるプリプレグを所定の厚さまで積層するプリプレグ積層工程と、前記積層されたプリプレグと前記治具とを包装材で被覆し、前記包装材を加圧しながら加熱処理して、第1の半成形品と第2の半成形品とを形成する半成形品形成工程と、前記第1の半成形品及び前記第2の半成形品の板厚を計測する板厚計測工程と、前記計測された板厚と、樹脂基複合材の所望の板厚と、追加プライの物性とを基にして、該追加プライの数を決定する追加プライ数決定工程と、前記所定形状の治具に設置された前記第1の半成形品と前記第2の半成形品との間に、前記決定された数の追加プライを積層した積層体を形成し、前記積層体と前記治具とを包装材で被覆し、該包装材を加圧しながら加熱処理する貼合せ工程とを備える樹脂基複合材の製造方法を提供する。
【0008】
本発明の樹脂基複合材は、所望の形状の治具内にプリプレグを配置して、治具に収納した状態でプリプレグに加圧加熱処理を施すことによって、第1の半成形品と第2の半成形品とを作製する。このため、半製品である半成形品の時点で、設計値に対する板厚のばらつきを抑制することができる。更に、第1の半成形品と第2の半成形品との間に追加プライを配置した積層体を形成し、加圧化熱処理を施して、製品である樹脂基複合材を作製する。このとき、第1の半成形品及び第2の半成形品の板厚と、樹脂基複合材の所望の板厚と、追加プライの物性とを考慮して、追加プライ数を決定する。こうすることで、樹脂基複合材の板厚を精度良く制御することができる。
また、本発明の樹脂基複合材は、所定形状の治具を使用して製造されるため、機械加工による部品幅の調整などが不要であるという利点を有する。
【0009】
上記発明において、前記治具が、底面治具と側面治具とで構成され、前記底面治具と側面治具との接触面に樹脂漏れ防止材料を設置することが好ましい。
【0010】
本発明においては、所望の形状の樹脂基複合材を得るため、底面治具と側面治具とからなる治具が使用される。この場合、プリプレグに加圧加熱処理を施して半成形品を作製する際に、治具同士の接触面から樹脂が流出し、板厚変動に影響を及ぼす恐れがある。本発明は、底面治具と側面治具との接触面に樹脂漏れ防止材料を設置して樹脂の流出を防止するので、板厚制御精度を高めることができる。
【0011】
上記発明において、前記半成形品形成工程及び前記貼合せ工程の少なくとも一方において、前記包装材内部を減圧雰囲気に維持して加熱処理することが好ましい。
【0012】
一般に、プリプレグに加圧加熱処理を施す際、包装材内部を減圧してから包装材外部から加圧した後、昇温する前に包装材内部を大気開放する。しかし、本発明では治具を使用しているため、層間に残留した空気が加圧加熱処理時に外部に排出されなかったり、大気開放時に空気が逆流したりして、樹脂基複合材内部に残留する恐れがある。層間に残留した空気溜り(マイクロボイド)は、樹脂基複合材の強度低下の原因となる。特に貼合せ工程では、硬化した半成形品同士を接着する工程であり、大気開放によって半成形品と追加プライとの間に空気溜りが発生しやすい。
本発明は、包装材内部を減圧雰囲気にして加熱処理することにより、層間の空気を排出しやすくすることができる。
【0013】
この場合、前記積層されたプリプレグまたは前記積層体の断面に、空気排出手段を設置することが好ましい。
本発明では治具を使用している。そのため、プリプレグや半成形品と追加プライとの積層体の側面に空気排出手段を設置して、層間の空気を外部に排出させる経路を確保すると良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、樹脂基複合材の板厚を高精度で制御することができる。また、層間のマイクロボイド発生を抑制して、樹脂基複合材の強度低下を防止することができる。
本発明では所定の治具を使用して樹脂基複合材を作製するため、部品幅の機械加工などの工程を省略することができるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ヘリコプタのロータスパーの鳥瞰図である。
【図2】本発明の樹脂基複合材の製造方法を説明する概略図である。
【図3】本発明の樹脂基複合材の製造方法を説明する概略図である。
【図4】半成形品形成工程における温度条件及び圧力条件を説明するグラフである。
【図5】貼合せ工程における温度条件及び圧力条件を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る樹脂基複合材の製造方法の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、樹脂基複合材を使用して作製されるヘリコプタのロータスパーの鳥瞰図である。ロータスパー10は、繊維で強化された樹脂板で構成される。繊維で強化された樹脂板は、例えばガラス繊維強化樹脂、炭素繊維強化樹脂などとされる。
【0017】
本実施形態の樹脂基複合材の製造方法を、図2乃至図5を用いて説明する。
本実施形態の樹脂基複合材の製造方法は、プリプレグ積層工程、半成形品形成工程、板厚計測工程、追加プライ数決定工程、及び、貼合せ工程を備える。
【0018】
(1)プリプレグ積層工程(図2(a))
治具20の内側に、繊維で強化された樹脂からなるプリプレグ30を積層する。治具20は、底面治具21と側面治具22とで構成される。側面治具22は、プリプレグの周囲を囲繞するように設置される。治具20は、最終製品(例えば図1のロータスパー10)の表面形状と同一とされる。図3に示すように、底面治具21と側面治具22との接触面には、樹脂漏れ防止材料としてシリコーンシート23が設置されることが好ましい。なお、樹脂漏れ防止材料は、シリコーンの他、硬化性シリコーン樹脂や耐熱グリースとされても良い。
側面治具22におけるプリプレグ30と接触する面には、図3に示すように、空気排出手段としてピールプライ24が設置されていても良い。なお、空気排出手段は、ピールプライなどの織物の他に、例えば、テフロンコーテッドリリースファブリックや穴あき状のフィルムなどとされても良い。
底面治具21におけるプリプレグ30と接触する面には、離型シート25としてFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂)フィルムを配置することができる。このとき、離型シート25はスプレーのりなどにより固定されても良い。
【0019】
プリプレグ30は、治具20の内側の形状に合うように適宜切断され、治具20の内側に配置・積層される。
本工程では、後工程で使用される追加プライの数及び膜厚を考慮して、半成形品形成工程で得られる半成形品の厚さtが式(1)を満たすように、各部位におけるプリプレグの積層枚数が決定される。
t=(T−d×n)/2 ・・・(1)
T:ロータスパー板厚設計値
d:追加プライ1枚あたりの硬化後の膜厚
n:想定追加プライ数(nは1以上の整数)
【0020】
各部位に要求される強度に応じて、繊維が所定の配向となるようにプリプレグを治具内に配置する。図1のロータスパー10の場合、両端部に位置する取付け部11では、複数枚のプリプレグが積層される際に、ロータスパー長手方向(図1のL方向)に対する各プリプレグの繊維の配向方向が0°、45°、90°となるように配置される。各配向方向のプリプレグの積層順及び積層枚数は、要求される強度に応じて適宜決定される。ロータスパーの軸部12では、長手方向Wに対する繊維の配向方向が主に0°となるようにプリプレグが配置されて積層される。
【0021】
(2)半成形品形成工程(図2(b))
治具20内側に積層されたプリプレグ30にホットコンパクション処理を施し、層間を加熱接着させる。
プリプレグ30上にピールプライ31及び離型シート(FEPフィルム)32を配置する。離型シート32は、スプレーのりなどにより固定されていても良い。更に、プリプレグ30上に、表面が平滑な型(プレッシャープレート)33を配置する。
図2(b)に示すように、底面治具21の上面、側面治具22、及びプレッシャープレート33をブリーザクロス34及びバッグフィルム(包装材)35で覆う。バッグフィルム35は、シーラントテープ36により底面治具21に固定される。
【0022】
図4に、半成形品形成工程におけるホットコンパクション処理時の温度条件及び圧力条件を説明するグラフを示す。図4(a)はプリプレグの温度、図4(b)はオートクレーブ内部の圧力、図4(c)はバッグフィルム内部の圧力を表している。
バッグフィルム35と底面治具21との間に設けられた脱気回路(不図示)を通じて、バッグフィルム35に覆われた領域内部を排気する。このとき、バッグフィルム内部の圧力は、大気圧(101.325kPa)に対して−101.3kPaから−74.7kPa(すなわち、0.025kPaから26.625kPa)程度の減圧雰囲気とされる(図4(c)参照)。
【0023】
バッグフィルム35内部が減圧された治具20を、オートクレーブ内に搬入する。バッグフィルム35内部が減圧された状態で、オートクレーブ内部を588kPaから686kPa程度に加圧する(図4(b)参照)。
オートクレーブ内部が上記圧力にて安定した後、オートクレーブ内部(プリプレグ)の温度を、室温から樹脂が流動可能な温度領域まで昇温する(図4(a)参照)。例えば樹脂として180℃硬化型エポキシ樹脂を用いたプリプレグの場合、95〜100℃に昇温する。昇温速度は3℃/分以下とされる。昇温速度を上記範囲とすることにより、プリプレグ全体の温度均一性を確保することができる。なお、半成形品形成工程の所要時間を考慮すると、昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。
【0024】
樹脂の軟化温度に到達後、オートクレーブ内部を4時間以上6時間以下の条件で保持する。保持後、オートクレーブ内部を降温速度3℃/分以下にて降温する。なお、半成形品形成工程の所要時間を考慮すると、降温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。オートクレーブ内部が60℃に到達した時点で、オートクレーブ内部を開放する(すなわち、大気圧にする)。オートクレーブ内部の温度が安定になるか、50℃以下になった時点で、バッグフィルム内部の圧力を大気圧にする。
本工程により、プリプレグが加圧・加熱により層間接着した半成形品が得られる。
本実施形態では、1つの樹脂基複合材製品に対して、2つ以上の半成形品が作製される。
【0025】
本実施形態では、底面治具と側面治具との間にシリコーンシートを配置することにより、ホットコンパクション処理時に治具外側に樹脂が流出しない。樹脂が流動可能な温度領域にてホットコンパクション処理を実施することにより、プリプレグが一体化し形状が安定する。このため、半成形品の時点で、設計値に対する板厚の変動が抑制されている。
また、プリプレグ側面にピールプライを設置しバッグフィルム内を真空に維持してホットコンパクション処理を行うため、層間に溜まった空気を処理時に外部に排出して、層間の空気溜り発生が抑制されている。
【0026】
(3)板厚計測工程
半成形品の所定部位における板厚を計測する。板厚計測は、半成形品を治具から離型させてから行っても良いし、治具内に設置された状態で行っても良い。
上記のプリプレグ積層工程及び半成形品形成工程により得られる半成形品の各部位の板厚は、上記式(1)に対して±5%程度のばらつきとなっている。
【0027】
(4)追加プライ数決定工程
板厚計測工程で計測された半成形品の各部位における板厚、樹脂基複合材製品の板厚設計値、及び、追加プライの物性を考慮して、追加プライ数(式(1)におけるn)が決定される。すなわち、本工程では、必ず1枚以上の追加プライ数が選択される。
追加プライの物性として、追加プライの材質(例えば、樹脂の種類など)、種々の温度で硬化した場合の膜厚変動などがある。本工程では、追加プライの物性が予めデータベース化され、製品の仕様に合わせて適宜選択できるようにしておくと良い。
【0028】
(5)貼合せ工程(図2(c)及び図2(d))
図2(c)に示すように、プリプレグ積層工程で使用した治具と同じ形状の治具41a内に設置された1つの半成形品40aの平坦面(半成形品形成工程にてプレッシャーシートが載置された面)上に、決定された枚数の追加プライ42が積層される。プリプレグ積層工程で使用した治具と同じ形状の治具41b内に設置された別の半成形品40bが、追加プライ42上に平坦面が接触するように設置され、積層体43が形成される。
【0029】
図2(d)に示すように、積層体43の側面に側面治具44が配置される。積層体43と側面治具44とが接触する面には、ピールプライ45が設置されることが好ましい。
治具41aの上面、治具41b、側面治具44をブリーザクロス46及びバッグフィルム47で覆う。バッグフィルム47は、シーラントテープ48により治具41aに固定される。
【0030】
図5は、貼合せ工程における加圧加熱処理の温度条件及び圧力条件の一例を示すグラフである。図5(a)は積層体の温度、図5(b)はオートクレーブ内部の圧力、図5(c)はバッグフィルム内部の圧力を表している。
バッグフィルム47と治具41aとの間に設けられた脱気回路(不図示)を通じて、バッグフィルム47に覆われた領域内部を排気する。このとき、バッグフィルム内部の圧力は、大気圧(101.325kPa)に対して−101.3kPaから−74.7kPa(すなわち、0.025kPaから26.625kPa)程度の減圧雰囲気とされる(図5(c)参照)。
【0031】
バッグフィルム47内部が減圧された治具を、オートクレーブ内に搬入する。バッグフィルム47内部が減圧された状態で、オートクレーブ内部を加圧する(図4(b)参照)。
オートクレーブ内部を588kPaから686kPa程度に加圧されて安定した後、オートクレーブ内部(積層体)の温度を、室温から樹脂の硬化温度まで昇温する。例えば樹脂として180℃硬化型エポキシ樹脂を用いたプリプレグの場合、175℃〜180℃まで昇温する。図5(a)では、昇温速度は2段階に設定されており、室温から120℃までは3℃/分以下、120℃から樹脂硬化温度まで0.5℃/分以下とされる。このような昇温条件とすることにより、効率的生産と製品の均質性を確保することができる。昇温速度は、硬化温度まで一定としても良い。昇温速度を一定とする場合、0.5℃/分以下とすると良い。なお、貼合せ工程の所要時間を考慮すると、昇温速度は0.25℃/分以上とすることが好ましい。
【0032】
硬化温度に到達後、オートクレーブ内部を2時間以上2.5時間以下の条件で保持する。保持後、オートクレーブ内部を降温速度3℃/分以下にて降温する。なお、貼合せ工程の所要時間を考慮すると、降温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。オートクレーブ内部が60℃に到達した時点で、オートクレーブを開放し内部を大気圧とする。また、オートクレーブ内部の温度が安定になるか、50℃以下になった時点で、バッグフィルム内部の圧力を大気圧にする。
治具をオートクレーブから搬出後、樹脂基複合材を治具から離型する。
【0033】
例えばロータスパーのように両端の取付け部11が軸部12に対してねじれ関係にあるような部材を製造する場合、硬化された半成形品と追加プライとを積層してオートクレーブ処理するため、ねじれ部(例えばロータスパーの取付け部)における半成形品と追加プライとの貼合せ面における形状の不一致により、貼合せ面に空気溜りが生成しやすい。また、ねじれ部がある場合に、治具と半成形品との間に間隙が生じ、ねじれ部の加圧が不十分になる恐れがある。これらが原因となって、貼合せ面に空気溜りが生じやすくなり、樹脂基複合材の強度が低下する。本工程では、上述のように積層体の側面にピールプライが配置されて加圧加熱処理が実施されるため、貼合せ面の空気が外部に排出されやすい構成としている。このため、マイクロボイドの発生を抑制し、樹脂基複合材の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0034】
10 ロータスパー
11 取付け部
12 軸部
20,41a,41b 治具
21 底面治具
22,44 側面治具
23 シリコーンシート
24,31,45 ピールプライ
25,32 離型シート
30 プリプレグ
33 プレッシャーシート
34,46 ブリーザクロス
35,47 バッグフィルム(包装材)
36,48 シーラントテープ
40a,40b 成形体
42 追加プライ
43 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状の治具に、繊維で強化された樹脂からなるプリプレグを所定の厚さまで積層するプリプレグ積層工程と、
前記積層されたプリプレグと前記治具とを包装材で被覆し、前記包装材を加圧しながら加熱処理して、第1の半成形品と第2の半成形品とを形成する半成形品形成工程と、
前記第1の半成形品及び前記第2の半成形品の板厚を計測する板厚計測工程と、
前記計測された板厚と、樹脂基複合材の所望の板厚と、追加プライの物性とを基にして、該追加プライの数を決定する追加プライ数決定工程と、
前記所定形状の治具に設置された前記第1の半成形品と前記第2の半成形品との間に、前記決定された数の追加プライを積層した積層体を形成し、前記積層体と前記治具とを包装材で被覆し、該包装材を加圧しながら加熱処理する貼合せ工程とを備える樹脂基複合材の製造方法。
【請求項2】
前記治具が、底面治具と側面治具とで構成され、前記底面治具と側面治具との接触面に樹脂漏れ防止材料を設置する請求項1に記載の樹脂基複合材の製造方法。
【請求項3】
前記半成形品形成工程及び前記貼合せ工程の少なくとも一方において、前記包装材内部を減圧雰囲気に維持して加熱処理する請求項1または請求項2に記載の樹脂基複合材の製造方法。
【請求項4】
前記積層されたプリプレグまたは前記積層体の断面に、空気排出手段を設置する請求項3に記載の樹脂基複合材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−20521(P2012−20521A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160910(P2010−160910)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】