説明

樹脂成形品の成形方法及び樹脂成形品

【課題】芯材と樹脂シートとの溶着強度を向上させることが可能な樹脂成形品の成形方法を提供する。
【解決手段】発泡体からなる芯材(102)を、溶融状態の少なくとも2枚の樹脂シート(101)で挟み込んで積層してなる樹脂成形品(100)の成形方法であり、樹脂シート(101)は、繊維状フィラーを含有しており、芯材(102)の表面を樹脂シート(101)の熱で溶融させながら、芯材(102)と樹脂シート(101)とを溶着し、芯材(102)と樹脂シート(101)とを金型で型締めし、樹脂成形品(100)を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体からなる芯材を、少なくとも2枚の樹脂シートで挟み込んで積層してなる樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明よりも先に出願された技術文献として、芯材を、2枚の樹脂シートで挟み込んで積層してなる樹脂成形品の成形方法について開示された文献がある(例えば、特許文献1:WO2009/157197、特許文献2:特開2011-51224号公報、特許文献3:特開2011-51227号公報参照)。
【0003】
上記特許文献1〜3では、2枚のシート状パリソン(樹脂シートに相当)Pを分割金型32の間に供給し、そのシート状パリソンPを分割金型32のキャビティ116に沿った形状に賦形する。次に、予め成形した補強芯材(芯材に相当)150を分割金型32の間に挿入し、補強芯材150を一方のシート状パリソンPに溶着する。次に、分割金型32を型締めし、補強芯材150を他方のシート状パリソンPに溶着すると共に、シート状パリソンP同士を溶着し、補強芯材150とシート状パリソンPとが一体化した樹脂成形品10を成形する。これにより、芯材150を、2枚の樹脂シートPで挟み込んで積層してなる樹脂成形品10を成形している。
【0004】
なお、上記特許文献1〜3では、分割金型32のキャビティ116に沿った形状に賦形したシート状パリソンPに対して補強芯材150を溶着するため、分割金型32によりシート状パリソンPが冷めて硬化し易く、補強芯材150とシート状パリソンPとの溶着強度が低下してしまう場合がある。
【0005】
このようなことから、芯材150と樹脂シートPとの溶着強度を向上させることが可能な成形方法の開発が必要視されている。
【0006】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、特許文献4(特開2008-222208号公報)には、第一繊維性基材と熱可塑性発泡コア層と第二繊維性基材とがこの順に積層されてなる積層構造体を一体プレスして得たコアボードについて開示されている。
【0007】
上記特許文献4では、繊維性基材は、繊維状物と樹脂バインダーとを含有する絡合不織布で構成し、熱可塑性発泡コア層を構成する樹脂成分の融点は、樹脂バインダーの融点よりも高くしている。これにより、一体プレス時の加熱によっても熱可塑性発泡コア層の形状を安定に保ったまま、繊維性基材の樹脂バインダーのみを一部溶融させて繊維性基材を熱可塑性発泡コア層の表面に密着させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2009/157197
【特許文献2】特開2011−51224号公報
【特許文献3】特開2011−51227号公報
【特許文献4】特開2008−222208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献4は、一体プレス時の加熱によっても熱可塑性発泡コア層の形状を安定に保つことを前提とし、熱可塑性発泡コア層の表面を溶融させないようにしている。このため、上記特許文献4の発明では、繊維性基材の樹脂バインダーのみを一部溶融させて繊維性基材を熱可塑性発泡コア層の表面に密着させたとしても、繊維性基材と熱可塑性発泡コア層との溶着強度が不十分となり得る場合も考えられる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、芯材と樹脂シートとの溶着強度を向上させることが可能な樹脂成形品の成形方法及び樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0012】
<樹脂成形品の成形方法>
本発明にかかる樹脂成形品の成形方法は、
発泡体からなる芯材を、溶融状態の少なくとも2枚の樹脂シートで挟み込んで積層してなる樹脂成形品の成形方法であって、
前記樹脂シートは、繊維状フィラーを含有しており、
前記芯材の表面を前記樹脂シートの熱で溶融させながら、前記芯材と前記樹脂シートとを溶着する溶着工程と、
前記芯材と前記樹脂シートとを金型で型締めし、前記樹脂成形品を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする。
【0013】
<樹脂成形品>
本発明にかかる樹脂成形品は、
発泡体からなる芯材を、少なくとも2枚の樹脂シートで挟み込んで積層してなる樹脂成形品であって、
前記樹脂シートは、繊維状フィラーを含有しており、
前記樹脂成形品は、表面が溶融した前記芯材と、溶融状態の前記樹脂シートと、を溶着して一体化した積層構造からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、溶融状態の樹脂シートに繊維状フィラーを含有させることにより、ドローダウンを抑えることができるため、樹脂シートを高温で押し出して成形することができ、より確実に芯材の表面を溶融させて、芯材と樹脂シートとを溶着することができる。その結果、芯材と樹脂シートとの溶着強度を向上させることができる。また、樹脂シートに繊維状フィラーを含有させることにより、成形品の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の樹脂成形品100の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の樹脂形成品100を成形する成形装置60の概略構成例を示す図である。
【図3】枠部材128を樹脂シートPに当接させた状態を示す図である。
【図4】樹脂シートPを分割金型32に当接させた状態を示す図である。
【図5】一方の樹脂シートPを賦形した状態を示す図である。
【図6】芯材102を一方の樹脂シートPに溶着した状態を示す図である。
【図7】他方の樹脂シートPを賦形した状態を示す図である。
【図8】分割金型32を型締めした状態を示す図である。
【図9】分割金型32を型開きした状態を示す図である。
【図10】樹脂シートPと芯材102とを分割金型32で圧縮する場合の樹脂シートPの厚みA、芯材102の厚みB、分割金型32の深さCの関係例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本実施形態の樹脂成形品100の概要>
まず、図1、図2、図6、図8を参照しながら、本実施形態の樹脂成形品100の概要について説明する。図1は、本実施形態の樹脂成形品100の構成例を示し、図2、図6、図8は、本実施形態の樹脂成形品100の成形方法例を示す。
【0017】
本実施形態の樹脂成形品100は、図1に示すように、発泡体からなる芯材102を、少なくとも2枚の樹脂シート101で挟み込んで積層してなる樹脂成形品100である。
【0018】
本実施形態の樹脂成形品100を構成する樹脂シート101は、繊維状フィラーを含有している。
【0019】
本実施形態の樹脂成形品100を成形する場合は、例えば、図2に示す成形装置60を用いて成形することになり、図6、図8に示すように、芯材102の表面を樹脂シートPの熱で溶融させながら、芯材102と樹脂シートPとを溶着する。また、図8に示すように、芯材102と樹脂シートPとを金型32で型締めし、樹脂成形品100を成形する。これにより、表面が溶融した芯材102と、溶融状態の樹脂シートPと、を溶着して一体化した積層構造からなる樹脂成形品100を成形することができる。なお、本実施形態の樹脂成形品100を成形する場合は、溶融状態の樹脂シートPに繊維状フィラーを含有させているため、ドローダウンを抑えることができる。これにより、樹脂シートPを高温で押し出して成形することができ、より確実に芯材102の表面を溶融させて、芯材102と樹脂シートPとを溶着することができる。その結果、芯材102と樹脂シートPとの溶着強度を向上させることができる。また、樹脂シートPに繊維状フィラーを含有させることにより、樹脂成形品100の剛性を高めることができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の樹脂成形品100について詳細に説明する。
【0020】
<樹脂成形品100の構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の樹脂成形品100の構成例について説明する。本実施形態の樹脂成形品100は、例えば、自動車のデッキボードに用いることができる。
【0021】
本実施形態の樹脂成形品100は、発泡体からなる芯材102を、樹脂シート101で挟み込んで積層して構成する。
【0022】
発泡体からなる芯材102は、樹脂成形品100の内側を構成するものであり、スチレン系樹脂を主成分(少なくとも30wt%以上含む)として構成する。スチレン系樹脂を主成分として構成することで、高温環境(例えば、90度以上)での剛性を高めることができる。スチレン系樹脂としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などが挙げられる。
【0023】
芯材102は、発泡剤を含有した樹脂ビーズを型内に充填し、加熱発泡させることにより成形されたものや、発泡押出により成形されたものなどを用いることができる。
樹脂ビーズとしては、耐熱発泡性ポリスチレン系樹脂ビーズ(例えば、株式会社カネカ製、カネパール(登録商標)ヒートマックス(登録商標)など)、低発泡成形用耐熱発泡性ポリスチレン系樹脂ビーズ(例えば、株式会社カネカ製、カネパール(登録商標)ヒートマックス(登録商標)HM5など)などが挙げられる。また、発泡性耐熱AS系樹脂(例えば、株式会社JSP製、ヒートポール(登録商標))などを用いることができる。
【0024】
自動車用デッキボードとして用いる芯材102としては、軽量化の観点から、発泡倍率が15倍以上であることが好ましい。また、耐熱性を有するものが好ましく、具体的には、80℃で168時間での寸法変化率が±0.5%以内であることが好ましい。
【0025】
なお、芯材102を構成する樹脂ビーズは、例えば、樹脂ビーズを構成する単量体組成が、アルファメチルスチレン10重量%以上80重量%以下、アクリロニトリル5重量%以上50重量%、更に85重量%以下のスチレン系単量体から構成されていることが好ましく、さらに好ましくは、アルファメチルスチレン10重量%以上50重量%以下、アクリロニトリル5重量%以上35重量%以下、80重量%以下のスチレン系単量体から構成されていることが好ましい。上記範囲内の組成であれば、耐熱性が高く、自動車のデッキボード用途に適している。スチレン系単量体としては、スチレン、クロルスチレン、パラメチルスチレン、t-ブチルスチレン等の各種置換スチレンが挙げられる。
【0026】
また、樹脂成形品100に難燃性を付与するため、芯材102に使用する樹脂ビーズは、難燃剤を含有させることも可能である。難燃性を発揮させ、かつ耐熱性、発泡性を悪化させない難燃剤としては、分解温度が210℃以上のものであることが好ましく、更に好ましくは、難燃剤の融点が80℃以上のものである。このような難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤が挙げられ、具体的には、ヘキサブロムシクロドデカン、テトラブロムビスフェノ−ルA、ジアリルエ−テル、モノクロルペンタブロムシクロヘキサンなどが挙げられるが、中でもヘキサブロムシクロドデカンが好ましい。難燃剤の使用量は、樹脂ビーズ中、1〜15重量%であることが好ましく、更に好ましくは、3〜10重量%である。使用量が1重量%未満であると難燃性を付与することが困難である場合があり、15重量%を超えていると耐熱性、発泡性が低下する傾向にある。また、上記の難燃剤に、少量の難燃助剤を併用することで難燃性の向上を図ることができる。このような目的で使用される難燃助剤としては、一般に過酸化物等のラジカル発生剤が用いられるが、本実施形態において難燃性を発揮させるのに好ましい難燃助剤としては、1時間半減期温度が150℃以上250℃以下のものが好ましい。
【0027】
樹脂シート101は、樹脂成形品100の外側を構成するものであり、芯材102と同様にスチレン系樹脂を少なくとも30wt%以上含むように構成する。本実施形態の樹脂成形品100は、芯材102と樹脂シート101とをスチレン系樹脂を少なくとも30wt%以上含むように構成しているため、高温環境(例えば、90度以上)での剛性を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態の樹脂シート101は、繊維状フィラーを含有して構成している。本実施形態の樹脂シート101は、繊維状フィラーを含有しているため、剛性を向上させることができる。繊維状フィラーとしては、ワラストナイト、チタン酸カリウムウイスカー、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられ、中でも、ガラス繊維、炭素繊維などが好ましい。本実施形態の繊維状フィラーは、繊維長さを繊維直径で除した値(アスペクト比)が、250〜2000の範囲内、特に、500〜1200であることが、成形性及び剛性向上の観点から好ましい。なお、ガラスの繊維状フィラーを使用する場合は、繊維長さが8mm〜20mm、繊維直径が30μm以下のものが好ましい。繊維長さが8mm未満だと、フィラー混合による耐熱性(高温時における剛性向上度合いが少なく、繊維長さが20mmを超えると、基材樹脂と混ざり難くなるからである。この場合、特に、繊維長さが10mm〜12mm、繊維直径が約14〜17μmのものを、樹脂シート101に対して20〜40重量%の範囲(更に好ましくは約30重量%)で含有することが好ましい。
【0029】
なお、芯材102と樹脂シート101とに使用するスチレン系樹脂は、芯材102に使用するスチレン系樹脂の融点よりも樹脂シート101に使用するスチレン系樹脂の融点が高い方が好ましい。これにより、溶融状態の樹脂シート101の熱により芯材102の表面を溶融させながら、芯材102と樹脂シート101とを溶着することができる。
【0030】
<樹脂成形品100の成形方法例>
次に、図2〜図9を参照しながら、本実施形態の樹脂成形品100の成形方法例について説明する。図2は、本実施形態の樹脂成形品100を成形する成形装置60の構成例を示し、図2〜図9は、本実施形態の樹脂成形品100を成形する成形工程例を示す図である。
【0031】
まず、図2を参照しながら、本実施形態の樹脂成形品100を成形する成形装置60の構成例について説明する。
【0032】
本実施形態の成形装置60は、押出装置12と、型締装置14と、芯材挿入装置(図示せず)と、を有して構成する。
【0033】
本実施形態の成形装置60は、溶融状態の2枚の樹脂シートPを押出装置12から押し出し、型締装置14を構成する分割金型32の間に2枚の樹脂シートPを配置する。次に、一方の樹脂シートPを分割金型32のキャビティ116に沿った形状に賦形し、その賦形した一方の樹脂シートPに対し、予め成形した芯材102を芯材挿入装置(図示せず)により溶着する。また、他方の樹脂シートPを分割金型32のキャビティ116に沿った形状に賦形し、分割金型32を型締めし、芯材102を他方の樹脂シートPに溶着すると共に、樹脂シートP同士を溶着し、芯材102と樹脂シートPとが一体化した樹脂成形品100を成形する。
【0034】
押出装置12は、ホッパ16が付設されたシリンダ18と、シリンダ18内に設けられたスクリュ(図示せず)と、スクリュに連結された電動モータ20と、シリンダ18と連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22と連通したプランジャ24と、Tダイ28と、を有して構成する。
【0035】
本実施形態の押出装置12は、ホッパ16から投入された樹脂ペレットが、シリンダ18内で電動モータ20によるスクリュの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂(溶融樹脂)を形成する。次に、溶融樹脂がアキュムレータ22に移送されて一定量貯留され、プランジャ24の駆動により、Tダイ28に向けて溶融樹脂を送り、Tダイ28の押出スリット(図示せず)から連続的なシート状の樹脂シートPを押し出す。Tダイ28の押出スリットから押し出された樹脂シートPは、間隔を隔てて配置された一対のローラ30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型32の間に垂下される。これにより、樹脂シートPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置されることになる。
【0036】
押出装置12の押出能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は、好ましくは1〜10kgであり、押出スリットからの樹脂シートPの押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは、700kg/時以上である。また、樹脂シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、樹脂シートPの押出は、なるべく短いことが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出は、40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのが好ましい。
【0037】
このため、熱可塑性樹脂の押出スリットからの単位面積(1cm2)、単位時間(h)当たりの押出量は、50kg/h cm2以上、より好ましくは、150kg/h cm2以上である。例えば、スリット間隔が0.5mm、スリットの幅方向の長さが1000mmのTダイ28の押出スリットから、密度0.9g/cm3の熱可塑性樹脂を用いて、厚さ1.0mm、幅1000mm、押出方向の長さが2000mmの樹脂シートPを15秒間で押し出す場合は、1.8kgの熱可塑性樹脂を1ショット15秒間で押し出したことになり、押出速度は432kg/時であり、単位面積当りの押出速度は約86kg/h cm2と算出することができる。
【0038】
なお、Tダイ28に設けられる押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された樹脂シートPは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようになっている。押出スリットは、スリット間隔を可変にすることで、樹脂シートPの厚みを変更することができる。
【0039】
但し、Tダイ28から押し出された樹脂シートPは、分割金型32の間に垂下された状態で、つまり、型締めされる時点において押出方向の厚みが均一となるように調整することが好ましい。この場合、スリット間隔を押出開始から徐々に広げ、押出終了時に最大となるように変動させることもできる。これにより、Tダイ28から押し出される樹脂シートPの厚みは、押出開始から徐々に厚くなるが、溶融状態で押し出された樹脂シートPは、自重により引き伸ばされてシートの下方から上方へ徐々に薄くなるため、スリット間隔を広げて厚く押し出した分とドローダウン現象により引き伸ばされて薄くなった分とが相殺されて、シート上方から下方にわたって均一な厚みに調整することができる。
【0040】
本実施形態の成形装置60は、一対のローラ30の間に挟み込まれた樹脂シートPを一対のローラ30の回転により下方に送り出すことで、樹脂シートPを延伸薄肉化することができ、Tダイ28により押し出される樹脂シートPの押出速度と、一対のローラ30により送り出される樹脂シートPの送出速度と、の関係を調整することで、樹脂シートPのドローダウンあるいはネックインの発生を防止することができる。このため、採用する樹脂の種類、特に、MFR値、MT値、単位時間当たりの押出量に対する制約を軽減することができる。
【0041】
一対のローラ30は、押出スリットから下方に垂下する形態で押し出される樹脂シートPに関して、線対称となるように配置される。ローラ30の直径およびローラ30の軸方向の長さは、成形すべき樹脂シートPの押出速度、樹脂シートPの押出方向の長さ、幅、樹脂の種類などに応じて適宜設定する。また、一対のローラ30のそれぞれの外表面には、凹凸状のシボが設けられている。凹凸状のシボは、ローラ30の外表面において、樹脂シートPと接触する面全体に亘って均一に分布するように設けることが好ましく、その深さや密度は、一対のローラ30により樹脂シートPを円滑に下方に送り出すことが可能なように、一対のローラ30のそれぞれの外表面と、対応する樹脂シートPの表面と、の間に滑りが生じない点を考慮して適宜定めればよい。なお、凹凸状のシボは、例えば、サンドブラスト処理によって形成できるが、ブラスト機において粗さ60番程度を採用して形成することが好ましい。
【0042】
なお、一対のローラ30のそれぞれに設ける凹凸状のシボは、樹脂シートPの表面にシボ模様を転写するために設けるのではなく、あくまで、一対のローラ30のそれぞれの外表面と、対応する樹脂シートPの表面と、の間に滑りが生じるのを防止するために設けている。
【0043】
樹脂シートPの表面にシボ模様を転写する場合は、一対のローラ30のうち、一方をシボロールとし、他方をゴムロールとするのが通常であるが、本実施形態の一対のローラ30においては、一対のローラ30のそれぞれの外表面にシボを設けることにより、一対のローラ30のそれぞれが樹脂シートPの対応する表面を確実に把持するようにする半面、一対のローラ30による樹脂シートPの押圧力を制限することで、一対のローラ30により樹脂シートPを送り出す直後に、樹脂シートPの表面にシボ模様を転写しないようにすることができる。
【0044】
一対のローラ30は、金属製、例えば、アルミニウム製であり、一対のローラ30にはそれぞれ、溶融状態の樹脂シートPの温度に応じて、ローラ30の表面温度を調整する表面温度調整手段が付設され、その構成は、ローラ30の内部に冷媒を通し、この冷媒を循環させることにより、ローラ30の表面が一対のローラ30により挟み込まれた溶融状態の樹脂シートPにより過度に加熱されないように熱交換するようにしている。
【0045】
一対のローラ30の外表面は、一対のローラ30が溶融状態の樹脂シートPに接触することにより熱伝導を通じて加熱されるところ、一対のローラ30の外表面を内側から冷却することにより、一対のローラ30により挟み込まれた溶融状態の樹脂シートPがローラ30の外表面にへばり付き、ローラ30の回転によりローラ30に巻き付き、樹脂シートPが下方に送り出されないような事態を防止することにしている。この場合、巻き付き防止の観点から、ローラ30の表面温度を低くするのが好ましいが、後に、樹脂シートPを成形する観点から、ローラ30の表面温度を低くし過ぎると、ローラ30の表面により逆に溶融状態の樹脂シートPが過冷却され、成形時に支障が生じることになる。このため、一対のローラ30のそれぞれの表面温度を一対のローラ30に向かって押し出される溶融状態の樹脂シートPの温度より所定温度の範囲内で低く設定する必要がある。この所定温度の範囲は、溶融状態の樹脂シートPの種類に応じて定められる。この場合、一対のローラ30の表面温度を温度調整するために、一対のローラ30のそれぞれの内部を水冷する際は、樹脂シートPの種類に応じて、冷媒の温度を設定するのがよく、冷媒の温度は、樹脂シートPを成形中、一定温度に保持するようにする。
【0046】
本実施形態の型締装置14は、分割金型32と、分割金型32を樹脂シートPの供給方向に対して略直交する方向に開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置(図示せず)と、を有して構成する。
【0047】
分割金型32は、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれのキャビティ116が略鉛直方向を向くように配置される。キャビティ116の表面には、溶融状態の樹脂シートPに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸部が設けられている。また、分割金型32のキャビティ116の周りには、ピンチオフ部118が形成されている。このピンチオフ部118は、キャビティ116の周りに環状に形成されており、対向する分割金型32に向かって突出している。これにより、分割金型32を型締めした際に、それぞれのピンチオフ部118の先端部が当接し、成形品の周縁にパーティングラインを形成することができる。
【0048】
また、分割金型32の間には、枠部材128が配置されている。枠部材128は、開口130を有し、図示しない枠部材駆動装置により、枠部材128を樹脂シートPに向かって移動し、枠部材128を樹脂シートPに当接し、樹脂シートPを保持する。また、樹脂シートPを保持した状態で逆向きに移動し、分割金型32のビンチオフ部118の先端に樹脂シートPを当接し、樹脂シートP、ピンチオフ部118、キャビティ116により密閉空間を形成する。
【0049】
分割金型32は、金型駆動装置(図示せず)により駆動し、開位置において、分割金型32の間に、溶融状態の樹脂シートPを配置可能にしている。また、閉位置において、分割金型32のピンチオフ部118が互いに当接し、分割金型32内に密閉空間を形成するようにしている。なお、開位置から閉位置への各分割金型32の移動について、閉位置は、溶融状態の樹脂シートPの中心線の位置とし、各分割金型32が金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
【0050】
樹脂シートPは、スチレン系樹脂を主成分として構成する。本実施形態の樹脂シートPは、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高いスチレン系樹脂を用いることが好ましく、一方で分割金型32への転写性、追従性を良好とするため流動性の高いスチレン系樹脂を用いることが好ましい。
【0051】
樹脂シートPに使用するスチレン系樹脂は、230℃におけるMFR(JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.5g/10分以下のものが適用可能である。MFRが3.5g/10分より大きくなると、ドローダウンが激しくなり、薄肉の成形品を成形するのが困難になる。
【0052】
また、本実施形態の樹脂シートPは、耐熱性及び剛性を持たせるため、繊維状フィラーを含めて構成している。これにより、Tダイ28から樹脂シートPを押し出した後であっても、樹脂シートPの温度が低下するのを抑制することができる。また、Tダイ28から高温(例えば、210度以上)で樹脂シートPを押し出したとしても、ドローダウンの影響を抑制することができる。通常は、樹脂シートPを高温(例えば、210度以上)で押し出すとドローダウンが顕著になり成形し難くなるが、繊維状フィラーを樹脂シートPに含有することで、ドローダウンの影響を抑制することができる。なお、本実施形態では、樹脂シートPの熱で芯材102の表面を溶融させるため、Tダイ28から樹脂シートPを押し出す際の樹脂シートPの温度は210度以上であることが好ましく、250度以上であることが更に好ましい。このため、ドローダウンの影響を抑制するために、本実施形態の樹脂シートPには、繊維状フィラーを含有している。
【0053】
また、本実施形態の樹脂シートPは、薄肉化かつ剛性向上の観点から、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等の粉状の無機フィラーを更に添加してもよい。但し、無機フィラーは、添加量が多くなると、成形品の表面に荒れが発生し、ピンホールが発生し易くなる。このため、成形品の表面の荒れを抑え、且つ、ピンホールを発生し難くするために、無機フィラーは、30重量%未満で添加することが好ましい。
【0054】
また、樹脂シートPには、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等を添加することも可能である。
【0055】
次に、図2〜図9を参照しながら、本実施形態の樹脂成形品100の成形工程例について説明する。
【0056】
まず、図2に示すように、樹脂シートPをTダイ28から押し出し、その押し出した樹脂シートPを一対のローラ30を通過させて樹脂シートPの肉厚を調整し、一対の分割金型32の間に垂下させる。
【0057】
本実施形態の成形装置60は、樹脂シートPの押出速度と、樹脂シートPが一対のローラ30により下方に送り出される送出速度と、の相対速度差を、一対のローラ30の回転速度で調整し、樹脂シートPが一対のローラ30の間を通過する際に、一対のローラ30により下方に引っ張られ、それにより樹脂シートPが延伸薄肉化され、その結果、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することにしている。
【0058】
この場合、一対のローラ30のそれぞれにおいて、ローラ30の表面に凹凸状のシボを設けると共に、ローラ30の一端に歯車機構を設けることにより、回転駆動ローラ30BAの回転駆動力を被回転駆動ローラ30BBに、また、回転駆動ローラ30AAの回転駆動力を被回転駆動ローラ30ABに、それぞれ伝達することにより、回転駆動ローラ30Aと被回転駆動ローラ30Bとの間で回転速度差が生じないようにし、それにより、樹脂シートPの表面に、皺あるいはせん断痕が発生するのを防止している。
【0059】
また、一対のローラ30のそれぞれにおいて、ローラ30の内部に冷媒を循環させることにより、ローラ30を冷却し、ローラ30のそれぞれの外表面の温度を溶融状態の樹脂シートPの温度より所定温度の範囲内で低く設定し、溶融状態の樹脂シートPが一対のローラ30により挟み込まれる際に、溶融状態の樹脂シートPがローラ30の表面にへばりつき、ローラ30の回転によりローラ30に巻き付くのを防止する一方、成形時に適した溶融状態に保持するようにしている。
【0060】
なお、一対のローラ30の回転数の調整と共に、押出スリットの間隔調整を連動して行うことも可能である。
【0061】
樹脂シートPを分割金型32の間に配置した場合は、枠部材駆動装置(図示せず)により枠部材128を対応する樹脂シートPに向けて移動し、図3に示すように、枠部材128を樹脂シートPに当接し、樹脂シートPを枠部材128で保持する。
【0062】
次に、枠部材128を分割金型32に向けて移動し、図4に示すように、分割金型32のピンチオフ部118に樹脂シートPを当接し、樹脂シートP、ピンチオフ部118、キャビティ116により密閉空間117を形成する。また、マニピュレータ(図示せず)の吸着盤119で保持された芯材102を、図4に示すように分割金型32の間に挿入する。
【0063】
次に、分割金型32を通じて密閉空間117内を吸引し、一方の樹脂シートPをキャビティ116に対して押圧し、図5に示すように、一方の樹脂シートPをキャビティ116に沿った形状に賦形する。
【0064】
また、マニピュレータを右側の分割金型32に向けて移動し、図6に示すように、右側の分割金型32のキャビティ116に吸着された一方の樹脂シートPに芯材102を押し付け、芯材102を一方の樹脂シートPに溶着する。
【0065】
本実施形態の樹脂シートPは、スチレン系樹脂で構成すると共に、繊維状フィラーを含んでいるため、キャビティ116の形状に樹脂シートPを賦形した後でも、芯材102の表面を溶融させる程度の温度状態を維持することができる。このため、樹脂シートPに芯材102を押し付けた際に、樹脂シートPの熱で芯材102の表面を溶融させることができる。その結果、本実施形態では、樹脂シートPの熱で芯材102の表面を溶融させながら、芯材102を樹脂シートPに溶着することができる。
【0066】
次に、吸着盤119を芯材102から脱着し、マニピュレータを2つの分割金型32の間から引き抜くと共に、他方の樹脂シートPをキャビティ116に対して押圧し、図7に示すように、他方の樹脂シートPをキャビティ116に沿った形状に賦形する。
【0067】
次に、金型駆動装置により2つの分割金型32を型締めし、図8に示すように、左側の分割金型32のキャビティ116に吸着された他方の樹脂シートPに芯材102を押し付け、芯材102を他方の樹脂シートPに溶着する。また、2枚の樹脂シートP同士の周辺が溶着されパーティングラインPLが形成される。
【0068】
なお、本実施形態の芯材102の表面は、樹脂シートPの熱で溶融しているため、分割金型32で型締めし、芯材102と樹脂シートPとが一体化した樹脂成形品100を成形する際は、分割金型32により芯材102と樹脂シートPとを圧縮することが好ましい。これにより、芯材102と樹脂シートPとの溶着強度を更に向上させることができる。
【0069】
例えば、図10に示すように、樹脂成形品100を構成する2枚の樹脂シートPの厚みAをA=1mmとし、芯材102の厚みBをB=15mmとした場合は、分割金型32のキャビティ116の深さCをC=8mmとし、芯材102と樹脂シートPとを1mm程度圧縮することが好ましい。この場合、分割金型32を型締めした際に形成される密閉空間の幅2Cは、2C=16mmであり、2枚の樹脂シートPと芯材102との厚みの合計は、2A+B=17mmであるため、分割金型32で型締めした樹脂成形品100は、各々の分割金型32で0.5mmずつ圧縮されることになる。これにより、樹脂シートPに含まれる繊維状フィラーが芯材102に押し込まれ易くなり、樹脂シートPと芯材102との溶着を強固にすることができると共に、剛性の高い樹脂成形品100を成形することができる。なお、分割金型32で圧縮する場合は、各々の分割金型32で0.5mm〜1.0mm程度の範囲で圧縮することが好ましい。
【0070】
以上の工程により、芯材102、樹脂シートPが積層された樹脂成形品100が完成する。
【0071】
次に、図9に示すように、2つの分割金型32を型開きし、完成した樹脂成形品100からキャビティ116を離間させ、パーティングラインPLの周りに形成されたバリを除去する。以上で、樹脂成形品100の成形が完了する。
【0072】
<本実施形態の樹脂成形品100の作用・効果>
このように、本実施形態の樹脂成形品100を構成する樹脂シート101は、繊維状フィラーを含有している。そして、樹脂成形品100を成形する際は、図6、図8に示すように、芯材102の表面を溶融状態の樹脂シートPの熱で溶融させながら、芯材102と樹脂シートPとを溶着する。そして、図8に示すように、芯材102と樹脂シートPとを分割金型32で型締めし、樹脂成形品100を成形する。本実施形態の樹脂成形品100を成形する場合は、溶融状態の樹脂シートPに繊維状フィラーを含有させているため、ドローダウンを抑えることができる。これにより、樹脂シートPを高温で押し出して成形することができ、より確実に芯材102の表面を溶融させて、芯材102と樹脂シートPとを溶着することができる。その結果、芯材102と樹脂シートPとの溶着強度を向上させることができる。また、樹脂シートPに繊維状フィラーを含有させることにより、樹脂成形品100の剛性を高めることができる。また、本実施形態の樹脂成形品100を構成する芯材102及び樹脂シートPは、スチレン系樹脂を主成分としているため、芯材102と樹脂シートPとの溶着強度、及び、樹脂成形品100の剛性を更に高めることができる。
【0073】
なお、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0074】
例えば、上述する実施形態の成形方法では、図4に示すように、分割金型32のピンチオフ部118に樹脂シートPを当接させ、樹脂シートP、ピンチオフ部118、キャビティ116により密閉空間117を形成した後に、芯材102を分割金型32の間に挿入することにした。しかし、Tダイ28から樹脂シートPを分割金型32の間に押し出す前に、芯材102を分割金型32の間に予め挿入しておくことも可能である。これにより、Tダイ28から押し出された樹脂シートPの熱で芯材102の表面を温めておくことができる。
【0075】
また、上述する実施形態の成形方法では、2枚の樹脂シートPを分割金型32の間に配置した後に、その2枚の樹脂シートPに対して芯材102を順次溶着した。しかし、2枚の樹脂シートPを別々に分割金型32に配置しながら、2枚の樹脂シートPに対して芯材102を順次溶着することも可能である。具体的には、まず、一方の樹脂シートPを分割金型32に配置し、その樹脂シートPを分割金型32のキャビティ116に沿った形状に賦形し、その樹脂シートPに対して芯材102を溶着する。また、他方の樹脂シートPを分割金型32に配置し、その樹脂シートPを分割金型32のキャビティ116に沿った形状に賦形し、その樹脂シートPに対して芯材102を溶着する。これにより、Tダイ28から押し出した樹脂シートPに対して芯材102を溶着するまでの時間を短くすることができるため、樹脂シートPの熱で芯材102の表面を溶融し易くすることができる。
【0076】
また、上述した成形方法では、芯材102に対して加熱処理を施すことなく、樹脂シートPの熱で芯材102の表面を溶融させながら芯材102を樹脂シートPに溶着することにした。しかし、上述した成形方法において、芯材102を分割金型32の間に挿入する前に、芯材102の表面を赤外線ヒータ等の加熱手段で温めておくことも可能である。また、図6に示すように、右側の分割金型32のキャビティ116に吸着された一方の樹脂シートPに芯材102を押し付け、芯材102を一方の樹脂シートPに溶着する前に、芯材102の表面を加熱手段で温めておくことも可能である。また、図8に示すように、左側の分割金型32のキャビティ116に吸着された他方の樹脂シートPに芯材102を押し付け、芯材102を他方の樹脂シートPに溶着する前に、芯材102の表面を加熱手段で温めておくことも可能である。即ち、樹脂シートPと芯材102とを溶着する前に、芯材102の表面を加熱手段で温めて芯材102の表面を予め溶融させておくことも可能である。なお、芯102の表面を加熱手段で温めるタイミングは、樹脂シートPと芯材102とを溶着する前であれば特に限定せず、任意のタイミングで芯材102の表面を温めることが可能である。
【0077】
また、上述した実施形態において、化粧材シートを分割金型32の間に配置し、分割金型32の型締により化粧材シートを樹脂シートPに溶着することも可能である。また、樹脂シートPと共に化粧材シートを一対のローラ30の間に供給し、一対のローラ30の回転速度を調整することで、樹脂シートPの厚みを調整すると共に、化粧材シートを樹脂シートPに圧着することも可能である。
【0078】
また、上述した実施形態の樹脂成形品100は、2枚の樹脂シートPで芯材102を挟み込んで成形した。しかし、本実施形態の樹脂成形品100は、少なくとも2枚の樹脂シートPで芯材102を挟み込んで成形すれば良く、例えば、4枚の樹脂シートPで芯材102を挟み込んで成形することも可能である。この場合の樹脂成形品100の層構成は、樹脂シート/樹脂シート/芯材/樹脂シート/樹脂シートになる。
【符号の説明】
【0079】
100 樹脂成形品
102 芯材
101、P 樹脂シート
60 成形装置
12 押出装置
14 型締装置
16 ホッパ
18 シリンダ
20 電動モータ
22 アキュムレータ
24 プランジャ
28 Tダイ
30 ローラ
32 分割金型
128 枠部材
130 開口
116 キャビティ
118 ピンチオフ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体からなる芯材を、溶融状態の少なくとも2枚の樹脂シートで挟み込んで積層してなる樹脂成形品の成形方法であって、
前記樹脂シートは、繊維状フィラーを含有しており、
前記芯材の表面を前記樹脂シートの熱で溶融させながら、前記芯材と前記樹脂シートとを溶着する溶着工程と、
前記芯材と前記樹脂シートとを金型で型締めし、前記樹脂成形品を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
前記芯材及び前記樹脂シートは、スチレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品の成形方法。
【請求項3】
前記成形工程において、
前記金型による型締めにより、前記芯材及び前記樹脂シートが圧縮されることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂成形品の成形方法。
【請求項4】
発泡体からなる芯材を、少なくとも2枚の樹脂シートで挟み込んで積層してなる樹脂成形品であって、
前記樹脂シートは、繊維状フィラーを含有しており、
前記樹脂成形品は、表面が溶融した前記芯材と、溶融状態の前記樹脂シートと、を溶着して一体化した積層構造からなることを特徴とする樹脂成形品。
【請求項5】
前記芯材及び前記樹脂シートは、スチレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項4記載の樹脂成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−22734(P2013−22734A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156086(P2011−156086)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】