説明

樹脂成形品の端末処理装置及び端末処理方法

【課題】樹脂成形品の延出部の末端部位を、美麗な切断面をもって、より安定的に且つスムーズに切断することが出来る樹脂成形品の端末処理技術を提供する。
【解決手段】保持手段20の裏当て面34に樹脂成形品10の延出部14を接触、保持させた状態下で、切断操作進行手段40にて、切断刃22を該延出部14の意匠面18の延出方向中間部に押し付けて、食い込ませることにより、該延出部14の末端部位の切断操作を進行せしめる一方、該切断刃22が、該裏当て面34への当接直前で、且つ該切断刃22と該裏当て面34との間に位置する部分が圧縮破壊せしめられる位置にまで到達したときに、切断操作停止手段56にて、切断刃22の移動を停止させて、該延出部14の末端部位の切断操作を停止するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の端末処理装置及び端末処理方法に係り、特に、シート状の樹脂成形品の端部に屈曲して設けられた延出部の末端側部位を切断し、除去することによって、樹脂成形品の端末部を処理する装置の改良と、そのような樹脂成形品の端末部の処理を有利に行う方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、表面が意匠面とされたシート状の樹脂成形品が、各種の部品や製品として、或いはそれらの表皮材等として、一般に利用されてきており、例えば、自動車等の車両用内装部品にも多く使用されている。
【0003】
ところで、このシート状の樹脂成形品が、その端部に、意匠面とは反対の裏面側に向かって屈曲して延びるように一体形成されたフランジ部等の延出部を有する場合、かかる延出部の末端側部位を切断し、除去することによって、樹脂成形品の端末部の処理を行うことがある。例えば、シート状の樹脂成形品が、樹脂製のシート材に対して真空成形を行って得られたものである場合には、かかる真空成形時に、所定の保持装置等に保持されるシート材の外周部が、樹脂成形品の全周に一体形成されたフランジ部の末端側部位となるため、そのような末端側部位が、樹脂成形品から切除されることとなる。
【0004】
このような樹脂成形品の端末部の処理は、一般に、(ア)シェア構造を有する上型と下型とを有し、剪断作用によって切断を行うプレス装置、(イ)NCカッター等の切削加工用の工作機械、(ウ)樹脂成形品を位置固定に保持する保持治具と、この保持治具に保持された樹脂成形品の延出部の延出方向中間部に対して側方から押し付けられて、食い込まされることにより、かかる延出部の末端側部位を切断する切断刃とを備えた切断装置等を用いて、実施されていた。
【0005】
ところが、それら従来の樹脂成形品の端末処理に用いられる装置のうち、(ア)の装置を用いた場合には、かかる装置が、剪断作用にて樹脂成形品の切断を行うものであるため、切断面に、樹脂成形品を引きちぎったときに生ずるような、所謂糸バリが発生して、美麗な切断面を得ることが出来なかった。また、(イ)の装置を使用する際には、樹脂成形品の切断面が粗面化して、平滑度の低いものとなってしまうことが避けられなかった。それ故、それらの装置は、切断面も意匠面とされる樹脂成形品の末端処理に際して、到底、採用され得るものではなかったのである。
【0006】
一方、(ウ)の装置を用いた際には、糸バリ等が生ぜしめられることがなく、しかも、平滑度の高い切断面を得ることが出来る。また、例えば、下記特許文献1及び2に示されるように、樹脂成形品が基材と表皮材との積層構造体である場合にも、基材の切断面に、表皮材が巻き付けられたり、固着されたりすることで、比較的に美麗な切断面が得られるようになる。
【0007】
しかしながら、上記の如き切断刃による押切り構造を備えた従来装置では、樹脂成形品の延出部に食い込んだ切断刃が、延出部に接触する保持治具の側面に当接せしめられることによって、かかる延出部の末端側部位の切断操作が終了せしめられるようになっている。そのため、樹脂成形品の端末処理を繰り返して行ううちに、切断刃が保持治具の側面に何度も当接することで、切断刃の刃先が潰れ変形して、劣化し、それによって、樹脂成形品の延出部の末端側部位をスムーズに切断出来なくなるといった欠点が存していたのである。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−199628号公報
【特許文献2】特開昭63−91225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、樹脂成形品の延出部の末端側部位の切断に際して、美麗な切断面を得ることが出来、しかも、樹脂成形品の延出部の末端側部位を、より長期に亘って安定的に且つスムーズに切断することが出来る樹脂成形品の端末処理装置を提供することにある。また、本発明にあっては、樹脂成形品の延出部の末端側部位を、美麗な切断面を有するように、しかも、より長期に亘って安定的に且つスムーズに切断することが出来る樹脂成形品の端末処理方法をも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、本発明にあっては、上記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、有利に実施され得るものであり、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示乃至は示唆される発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0011】
<1> 表面が意匠面とされたシート状の樹脂成形品の端部に、裏面側に屈曲して延びるように一体形成された延出部の末端側部位を切断し、除去することによって、該樹脂成形品の端末部を処理する装置であって、(a)前記樹脂成形品の延出部の裏面に接触する裏当て面を有し、該裏当て面に対して該延出部の裏面を接触させた状態で、該樹脂成形品を位置固定に保持する保持手段と、(b)刃先が前記保持手段の前記裏当て面に向けて配された状態で、該裏当て面に対して、それと交差する方向において接近又は離隔可能に位置せしめられた切断刃と、(c)前記樹脂成形品が前記保持具に保持せしめられた状態下で、該切断刃を、該保持手段の前記裏当て面に接近させることにより、該裏当て面に接触して位置せしめられた前記延出部の意匠面の延出方向中間部に、該切断刃を押し付けて、食い込ませることによって、該切断刃による該延出部の前記末端側部位の切断操作を進行せしめる切断操作進行手段と、(d)該切断操作進行手段による前記裏当て面への接近により、前記延出部の中間部に押し付けられて、食い込んだ前記切断刃が、該裏当て面に対する当接直前の位置で、且つ該切断刃と該裏当て面との間に位置する該延出部の未切断の裏面側部分が該切断刃の押付け力にて圧縮破壊せしめられる位置にまで到達したときに、該切断操作進行手段による該切断刃の該裏当て面への接近を停止させて、該切断刃による該延出部の前記末端側部位の切断操作を停止せしめる切断操作停止手段とを含むことを特徴とする樹脂成形品の端末処理装置。
【0012】
<2> 表面が意匠面とされたシート状の樹脂成形品の端部に、裏面側に屈曲して延びるように一体形成された延出部の末端側部位を切断し、除去することによって、該樹脂成形品の端末部を処理する方法であって、(a)前記樹脂成形品を保持する保持手段に対して、該樹脂成形品の前記延出部の裏面を該保持手段の裏当て面に接触させた状態で、該樹脂成形品を位置固定に保持せしめる工程と、(b)前記樹脂成形品が前記保持手段に保持された状態下で、該保持手段の前記裏当て面に接触して位置せしめられる前記延出部の意匠面の延出方向中間部に、切断刃を押し付けて、食い込ませることにより、該切断刃による前記延出部の末端側部位の切断操作を進行せしめる工程と、(c)前記延出部の中間部に食い込んだ前記切断刃が、前記保持手段の裏当て面に当接する直前において、それら切断刃と裏当て面との間に位置する該延出部の未切断の裏面側部分が、該切断刃の押付け力にて圧縮破壊せしめられたときに、該延出部の中間部への該切断刃の押付けを停止せしめて、該切断刃による前記延出部の末端側部位の切断操作を停止する工程と、(d)前記圧縮破壊された延出部の未切断の裏面側部分を、前記切断刃による前記延出部の末端側部位の切断操作の停止後に、該切断刃を用いることなく切り割ることにより、該延出部の末端側部位を切断し、除去する工程とを含むことを特徴とする樹脂成形品の端末処理方法。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明に従う樹脂成形品の端末処理装置にあっては、延出部の末端側部位の切断操作の実施に際して、樹脂成形品の延出部に食い込んだ切断刃の裏当て面への接近が、かかる切断刃の裏当て面への当接直前で、且つ切断刃と裏当て面との間に位置する延出部の未切断の裏面側部分において圧縮破壊が惹起された位置で、切断操作停止手段によって停止させられるようになっている。そのため、切断刃の刃先が、裏当て面に当接せしめられることがなく、それ故に、樹脂成形品の端末処理を何度も繰り返して実施しても、切断刃の刃先が、裏当て面への当接によって潰れ変形して、劣化してしまうようなことが、未然に防止され得る。
【0014】
しかも、かかる本発明装置では、裏当て面に接近せしめられる切断刃の裏当て面への当接直前の停止位置が、樹脂成形品の延出部の未切断の裏面側部分が、切断刃の押付け力にて圧縮破壊させられる位置とされている。それ故、本発明装置を用いた場合、切断刃の裏当て面への接近の停止に伴って、延出部の末端側部位の切断操作が停止されるものの、かかる切断操作の停止後に、既に圧縮破壊せしめられた延出部の未切断の裏面側部分を切り割る作業を、切断刃を用いることなしに、例えば、手作業等で容易に行うことが出来る。これによって、延出部の末端側部位が、容易に且つスムーズに切断されて、除去され得るのであり、また、既に圧縮破壊せしめられた延出部の未切断の裏面側部分を切り割りしたときに、切断面に糸バリが発生したり、切断面が粗面化して、平滑度が低くなったりするようなこともない。
【0015】
従って、かくの如き本発明に従う樹脂成形品の端末処理装置にあっては、樹脂成形品の延出部の末端側部位を、美麗な切断面を有するように、しかも、より長期に亘って安定的に且つスムーズに切断することが出来る。そして、それによって、切断面も意匠面とされる樹脂成形品の末端処理を行う際に、極めて有利に使用され得ることとなるのである。
【0016】
そして、本発明に従う樹脂成形品の端末処理方法にあっても、樹脂成形品の延出部の末端側部位を、美麗な切断面を有するように、しかも、より長期に亘って安定的に且つスムーズに切断することが出来る。そして、その結果として、切断面も意匠面とされる樹脂成形品の末端処理を、極めて有利に行うことが可能となるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0018】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する端末処理装置を用いて、端末処理が施された樹脂成形品としての、自動車用内装部品の一部を構成する意匠パネルが、その斜視形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、意匠パネル10は、所定厚さを有する樹脂製のシート材からなり、全体として、矩形の筐体形状を呈している。
【0019】
すなわち、この意匠パネル10は、矩形の天板部12を有し、また、かかる天板部12の四つの辺部のそれぞれに対して、厚さ方向の一方側に所定高さで突出し、且つ各辺部の長さ方向に連続して延びる延出部としてのフランジ部14a,14b,14c,14d(図1には、二つのみを、また図2には、三つのみを示した)が、それぞれ一体的に立設されて、構成されている。換言すれば、意匠パネル10にあっては、天板部12と、それの長さ方向と幅方向のそれぞれの端部に、厚さ方向の一方側に向かって直角に屈曲して延びる四つのフランジ部14a〜dとを一体的に有してなっている。
【0020】
また、この意匠パネル10においては、各フランジ部14a〜dの天板部12からの屈曲側となる厚さ方向の一方の面が裏面16とされている一方、かかる裏面16とは反対側の表面の全面(天板部12の表面の全面と各フランジ部14a〜dの表面の全面)が、意匠面18とされている。
【0021】
そして、このような意匠パネル10は、例えば、天板部12よりも大きな矩形の1枚の樹脂シートに対する真空成形が行われることにより、天板部14と四つのフランジ部14a〜dとを一体的に有する筐体形状において成形され、その後、各フランジ部14a〜dのうち、真空成形の実施時において所定の保持装置に保持されていた部分を含む末端側部位を切断し、除去する端末処理が実施されることによって、作製されている。
【0022】
ところで、かくの如き意匠パネル10の端末処理の実施に際しては、例えば、図3及び図4に示される端末処理装置が用いられる。
【0023】
すなわち、図3及び図4から明らかなように、端末処理装置は、樹脂成形品を保持する保持手段としての保持治具20と、樹脂成形品の四つのフランジ部14の末端側部位をそれぞれ切断するための四つの切断刃22a,22b,22c,22dとを有している。
【0024】
より具体的には、保持治具20は、矩形の厚肉平板乃至は矩形ブロック体からなる、位置固定の固定盤24と、この固定盤24よりも一周り小さな矩形の厚肉平板乃至は矩形ブロック体にて構成されて、固定盤24の上方に所定距離を隔てて対向位置せしめられた可動盤26とを、更に有している。また、可動盤26は、図示しない油圧機構等の駆動装置によって上下方向に移動可能とされて、かかる駆動装置による下方或いは上方への移動に伴って、固定盤24に対して接近乃至離隔せしめられるようになっている。
【0025】
そして、そのような保持治具20における固定盤24の上面の中央部には、下側保持体28が、また、可動盤26の下面の中央部には、上側保持体30が、それぞれ固定されている。それら下側保持体28と上側保持体30は、上下方向に所定距離を隔てて、互いに対向位置せしめられており、可動盤26の固定盤24への接近乃至離隔移動に応じて、上側保持体30が、下側保持体28に対して接近乃至離隔移動せしめられるようになっている。
【0026】
また、下側保持体28は、矩形のブロック形状を呈し、上側保持体30との対向面となる上面が、支持面32とされている一方、幅方向(図4中、左右方向)の両側と長さ方向(図4中、上下方向)の両側にそれぞれ位置する四つの側面が、それぞれ、裏当て面34a,34b,34c,34dとされている。そして、支持面32が、端末処理されるべき意匠パネル10の裏面16に対応した平坦な水平面からなり、また、各裏当て面34a〜dが、意匠パネル10の各フランジ部14a〜dの裏面16に対応した平坦な鉛直面にて構成されている。更に、それら支持面32と各裏当て面34a〜dとの間に形成される角部も、意匠パネル10の天板部12と各フランジ部14a〜dとの間に形成される角部に対応した湾曲角部とされている。つまり、下側保持体28の上部部位の表面が、意匠パネル10の裏面16の全体の形状に対応した形状とされている。
【0027】
これによって、ここでは、意匠パネル10の天板部12の裏面16が、下側保持体28の支持面32に重ね合わされると共に、四つのフランジ部14a〜dが、下側保持体28の周りに垂下されて、それら各フランジ部14a〜dの裏面16が下側保持体28の各裏当て面34a〜dの上部部位に接触位置せしめられた状態で、意匠パネル10が、下側保持体28にて支持されるようになっている(図5参照)。
【0028】
また、上側保持体30は、下側保持体28との対向面となる下面が、下側保持体28の上面よりも一周り大きくされた矩形のブロック形状を呈し、その下面おいて開口する凹部36を有している。この凹部36は、その内面が、意匠パネル10の天板部12の意匠面18の全体と、各フランジ部14a〜dの基部側部位の意匠面18部分に対応した形状とされている。
【0029】
かくして、保持治具20においては、意匠パネル10の裏面16が支持面32と各裏当て面34a〜dとに対して接触せしめられて、意匠パネル10が下側保持体28にて支持された状態下で、可動盤26の下降に伴って、上側保持体30が、下側保持体28に対して、所定の位置まで接近せしめられることにより、意匠パネル10が、下側保持体28の上面及び各側面と上側保持体30の凹部36の内面との間で挟持されて、位置固定に保持されるようになっている(図5参照)。また、この下側保持体28と上側保持体30とによる意匠パネル10の保持状態は、可動盤26の上昇に伴う上側保持体30の下側保持体28からの離隔移動によって、容易に解除され得るようになっている。
【0030】
一方、四つの切断刃22a〜dは、何れも、狭幅で長手の薄肉平板形状を有し、その幅方向一方側の端部に、切れ刃(刃先)が、略全長に亘って連続して延びるように形成されている。また、各切断刃22a〜dにおいては、その切れ刃の長さが、意匠パネル10の各フランジ部14a〜dの長さ(天板部12の各辺部の長さに相当する)よりも所定寸法長くされており、長さ方向の両側端部に、四つの切断刃22a〜dのうちの一つにて切断される一つのフランジ部(例えばフランジ部14a)に隣り合う二つのフランジ部(例えばフランジ部14b,14d)の長さ方向端部を切り込む切込み用突起38が、それぞれ設けられている。
【0031】
そして、ここでは、そのような四つの切断刃22a〜dが、保持治具20の固定盤24上において、その中央部に設けられた下側保持体28の周りを取り囲むように配されている。つまり、四つの切断刃22a〜dが、下側保持体28の側面となる四つの裏当て面34a〜dのそれぞれに対して、それと所定距離を隔てた位置で刃先(切れ刃)を向けて、平行に延びるように配置されている。そして、そのような配置状態下において、四つの切断刃22a〜dが、下側保持体28の周りに、四つの裏当て面34a〜dにそれぞれ対応して位置せしめられた、互いに同一の構造を有する四つの移動装置40a,40b,40c,40dにそれぞれ取り付けられて、各裏当て面34a〜dに対して、接近乃至離隔移動可能とされている。
【0032】
すなわち、各移動装置40a〜dは、可動ホルダ42を、それぞれ一つずつ有している。それら各移動装置40a〜dの可動ホルダ42は、何れも、各切断刃22a〜dよりも長尺な長手矩形のブロック形態を呈し、下側保持体28の四つの裏当て面34a〜dのそれぞれに対して、水平方向に所定距離を隔てて対向し、且つ平行に延びるように位置せしめられている。また、かかる可動ホルダ42の裏当て面34a〜dとの対向面には、狭幅の凹溝44が全長に亘って連続して延びるように形成されている。そして、各切断刃22a〜dが、切れ刃側とは反対側の幅方向一端部において凹溝44内に挿入位置せしめられた状態で、可動ホルダ42にボルト固定されている。これにより、各切断刃22a〜dが、切れ刃を可動ホルダ42の裏当て面34a〜dに向けて位置させた状態で、可動ホルダ42にて、固定的に保持されている。
【0033】
また、各移動装置40a〜dは、可動ホルダ42の下方に位置せしめられたスライドプレート46を更に有している。このスライドプレート46は、可動ホルダ42の長さと略同程度の長さと、可動ホルダ42の幅よりも十分に大きな幅とを有する矩形平板からなっている。そして、各スライドプレート46は、可動ホルダ42の下方において、幅方向一方側の側面を、下側保持体28の裏当て面34a〜dに対して水平方向に所定距離を隔てて対向し且つ平行に延びるように位置せしめた状態で、固定盤24に固定されている。
【0034】
また、そのようなスライドプレート46の上面の中央部には、ガイド溝48が、スライドプレート46の幅方向に真っ直ぐに延びるように形成されている。そして、このスライドプレート46の上面に対して、可動ホルダ42が、その下面の中央部に一体形成された摺動突起50をガイド溝48内に摺動可能に突入させた状態で、重ね合わされて配置されている。これにより、可動ホルダ42が、ガイド溝48に案内されつつ、スライドプレート46の幅方向に移動可能とされ、また、それに伴って、可動ホルダ42に固定的に保持された切断刃22a〜dが、下側保持体28の裏当て面34a〜dに対して接近乃至離隔移動せしめられるようになっている。
【0035】
さらに、各移動装置40a〜dは、油圧シリンダ52を、それぞれ一つずつ更に有している。この油圧シリンダ52は、可動ホルダ42やスライドプレート46を間に挟んだ下側保持体28側とは反対側において、固定盤24上に固定されている。また、油圧シリンダ52は、下側保持体28の裏当て面34a〜dに向かって真っ直ぐに突出乃至引込作動せしめられるピストンロッド54を有し、このピストンロッド54が、その先端部において、可動ホルダ42の切断刃22a〜dの取付側とは反対側の面に連結されている。
【0036】
かくして、四つの移動装置40a〜dの各油圧シリンダ52のピストンロッド54が突出作動せしめられるのに伴って、可動ホルダ42に保持された切断刃22a〜dが、下側保持体28の裏当て面34a〜dに接近移動せしめられるようになっている。そして、意匠パネル10が、上記のようにして、保持治具20の下側保持体28と上側保持体30との間で挟持されて、位置固定に保持された状態下で、かくの如き油圧シリンダ52による切断刃22a〜dの裏当て面34a〜dへの接近移動が行われることによって、各裏当て面34a〜dに接触位置する意匠パネル10の各フランジ部14a〜dの幅方向(天板部12からの延出方向)の中間部に、切断刃22a〜dが押し付けられて、食い込み、以て、フランジ部14a〜dの切断刃22a〜dによる末端側部位の切断操作が進行せしめられるようになっているのである。このことから明らかなように、ここでは、移動装置40a〜dによって、切断操作進行手段が構成されている。
【0037】
また、本実施形態の端末処理装置は、固定盤24上に設置されたコントローラ56を更に有し、このコントローラ56にて、四つの移動装置40a〜dの各油圧シリンダ52の作動が制御されるようになっている。
【0038】
すなわち、ここでは、コントローラ56の作動制御の下で、四つの移動装置40a〜dのうち、下側保持体28を間に挟んで、その長さ方向に対向位置せしめられた可動ホルダ42をそれぞれ有する二つの移動装置40b,40dの各油圧シリンダ52が引込状態とされているときに、図4に二点鎖線で示されるように、下側保持体28を間に挟んで、その幅方向に対向位置せしめられた可動ホルダ42をそれぞれ有する二つの移動装置40a,40cの各油圧シリンダ52が同時に突出作動せしめられ、また、かかる突出作動状態から同時に引込作動せしめられるようになっている。そして、図示されてはいないものの、それら二つの移動装置40a,40cの各油圧シリンダ52が同時に引込作動せしめられた状態において、下側保持体28を長さ方向に挟んで位置する二つの移動装置40b,40dのそれぞれの油圧シリンダ52が同時に突出作動せしめられ、その後、かかる突出作動状態から同時に引込作動せしめられるようになっている。
【0039】
これによって、切断刃22a〜dによる四つのフランジ部14a〜dの末端側部位の切断操作が、下側保持体28の幅方向両側に位置する二つの裏当て面34a,34cにそれぞれ接触位置せしめられた二つのフランジ部14a,14cに対して、二つの切断刃22a,22cにて同時に行われ、また、その後に、或いはその前に、下側保持体28の長さ方向両側に位置する二つの裏当て面34b,34dにそれぞれ接触位置せしめられた二つのフランジ部14b,14dに対して、別の二つの切断刃22b,22dにて同時に行われるようになっている。
【0040】
而して、本実施形態においては、特に、コントローラ56による作動制御下で、上記のようにして、四つの移動装置40a〜dの各油圧シリンダ52が突出作動せしめられた際に、切断刃22a〜dの先端の切れ刃が下側保持体28の裏当て面34a〜dに当接する直前の位置で、各油圧シリンダ52の突出作動が停止せしめられて、切断刃22a〜dが、裏当て面34a〜dに対して当接せしめられないようになっている。即ち、切断刃22a〜dの裏当て面34a〜dへの当接直前で、切断刃22a〜dによるフランジ部14a〜dの末端側部位の切断操作が停止されるように構成されている。そして、この切断刃22a〜dによるフランジ部14a〜dの末端側部位の切断操作における各油圧シリンダ52の突出作動の停止位置が、切断刃22a〜dと裏当て面34a〜dとの間に位置するフランジ部14a〜dの未切断の裏面16側部分を、切断刃22a〜dの押付け力にて圧縮破壊させたときの位置とされているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、コントローラ56にて、切断操作停止手段が構成されている。
【0041】
そして、かくの如き構造とされた端末処理装置を用いて、意匠パネル10の四つのフランジ部14a〜dのそれぞれの端末部の処理を行う際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
【0042】
すなわち、先ず、図4に示されるように、四つの移動装置40a〜dの各油圧シリンダ52が、全て、引込作動させた状態とされる。
【0043】
次いで、図5の(a)に示される如く、真空成形等によって別途に成形された意匠パネル10の裏面16が、下側保持体28の支持面32と四つの裏当て面34a〜dとに重ね合わされるか又は接触させられた状態で、意匠パネル10が下側保持体28にて支持された後、可動盤26が下降せしめられて、上側保持体30が下側保持体28に接近移動させられることにより、下側保持体28に支持された意匠パネル10が、下側保持体28と上側保持体30との間で挟持されて、保持治具20にて位置固定に保持せしめられる。
【0044】
その後、図5の(b)に示されるように、四つの移動装置40a〜dのうち、下側保持体28を間に挟んで、その幅方向の両側に位置する二つの移動装置40a,40cの油圧シリンダ52がそれぞれ同時に突出作動せしめられ、それにより、それら各油圧シリンダ52のピストンロッド54に連結された可動ホルダ42と共に、下側保持体28を間に挟んで、その幅方向の両側に位置する二つの切断刃22a,22cが、二つの裏当て面34a,34cに接触位置する二つのフランジ部14a,14cに接近移動せしめられる。そうして、二つの切断刃22a,22cが、それら二つのフランジ部14の意匠面18の幅方向中間部に押し付けられて、食い込み、以て、二つのフランジ部14a,14cの末端側部位を意匠面18側から裏面16側に向かって切断する操作が、同時に進行せしめられる。
【0045】
なお、上記のようにして、フランジ部14の末端側部位を切断刃22a〜dにて切断する場合、フランジ部14の意匠面18に対する切断刃22a〜dの押付けによって、フランジ部14a〜dが、押潰し変形状態から延性破壊状態に移行することで、切断刃22a〜dがフランジ部14a〜dに、より深く食い込んでいき、やがて、切断刃22a〜dと裏当て面34a〜dの間に位置するフランジ部14a〜dの未切断の裏面16側部分が十分に薄肉となったときに、そのような未切断の薄肉の裏面16側部分が、切断刃22a〜dの押付け力により、延性破壊状態から圧縮破壊状態に更に移行すると考えられる。そして、そのような圧縮破壊が惹起されたときには、最早、切断刃22a〜dを用いるまでもなく、手作業等により、フランジ部14a〜dの末端側部位を容易に切断することが可能となる。
【0046】
それ故、本工程では、図6に示されるように、二つの移動装置40a,40cの油圧シリンダ52のそれぞれの突出作動量に応じて、各切断刃22a,22c(図6では、一つの切断刃22aのみを示す)を、各フランジ部14a,14c(図6では、一つのフランジ部14aのみを示す)に、より深く食い込ませて、各フランジ部14a,14cの末端側部位の切断操作を徐々に進行していく過程において、各切断刃22a,22cが各裏当て面34a,34cに当接する直前で、且つ各切断刃22a,22cと各裏当て面34a,34cの間に位置する各フランジ部14a,14cの未切断の裏面16側部分が延性破壊状態から、各切断刃22a,22cの押付け力による圧縮破壊に移行したときに、コントローラ56にて、二つの移動装置40a,40cの油圧シリンダ52の突出作動が停止せしめられる。
【0047】
なお、本発明者等の研究によれば、上記の如き切断刃22a〜dによるフランジ部14a〜dの末端側部位の切断操作において、例えば、フランジ部14a〜dの裏面16に、切断刃22a〜dの長さ方向に沿って延びる線状の白化部分等が生じた時点が、フランジ部14a〜dの未切断の裏面16側部分が延性破壊状態から圧縮破壊状態に移行した時点と判断することが出来、また、そのような延性破壊状態から圧縮破壊状態に移行したときのフランジ部14a〜dの未切断の裏面16側部分の厚さが、フランジ部14a〜dを形成する樹脂の材質、例えば、粘性等によって、大凡決定されるものであることが判明している。
【0048】
従って、ここでは、各フランジ部14a〜dの未切断の裏面16側部分が延性破壊状態から圧縮破壊に移行したときに、コントローラ56にて、二つの移動装置40a,40cの油圧シリンダ52の突出作動を停止させるタイミングが、各切断刃22a,22cの先端の切れ刃から各裏当て面34a,34cまでの距離(図6にLにて示される寸法)が予め定された寸法となったときに設定される。
【0049】
なお、そのような油圧シリンダ52の突出作動を停止させるときの各切断刃22a,22cから各裏当て面34a,34cまでの距離:Lは、様々な材質の樹脂材料からなる樹脂成形品(意匠パネル10)を用いて、予め実施された各種の試験や実験の結果から、具体的に決定される。因みに、樹脂成形品が、例えば、PC、PMMA、硬質PVC、PP、PE、ABS等の硬質で、比較的に粘性の低い樹脂材料を用いて形成されている場合には、切断刃22a〜dから裏当て面34a〜dまでの距離:Lが0.005〜0.01mm程度となったときに、油圧シリンダ52の突出作動が停止せしめられて、切断刃22a〜dによるフランジ部14a〜dの切断操作が停止せしめられることとなる。
【0050】
かくして、本工程においては、各切断刃22a,22cが各裏当て面34a,34cに当接する直前で、且つ各切断刃22a,22cと各裏当て面34a,34cの間に位置する各フランジ部14a,14cの未切断の裏面16側部分の厚さ寸法が、意匠パネル10の材質等に応じて、予め実施された実験等により決定された値となったときに、二つの移動装置40a,40cの各油圧シリンダ52の突出作動が停止される。そして、かかる切断操作の停止後、直ちに、それら二つの移動装置40a,40cの各油圧シリンダ52が、同時に引込作動せしめられることとなる。これによって、二つの切断刃22a,22cによる二つのフランジ部14a,14cの末端側部位の切断操作が、各フランジ部14a,14cの裏面16側部分を未切断のまま残した切断途中の状態で、同時に停止されるのである。
【0051】
その後、下側保持体28を間に挟んで、その長さ方向の両側に位置する二つの移動装置40b,40dのそれぞれの油圧シリンダ52が、それらとは別の二つの移動装置40a,40cの各油圧シリンダ52の、上記した突出及び引込作動と同様な作動状態において、同時に突出及び引込作動せしめられる。これにより、下側保持体28の長さ方向両側に位置する二つの裏当て面34b,34dに接触する二つのフランジ部14b,14dの末端側部位に対して、二つの切断刃22b,22dによる切断操作が、同時に進行せしめられ、また、各フランジ部14b,14dの裏面16側部分を未切断のまま残した切断途中の状態で、同時に停止されるのである。
【0052】
次いで、可動盤26と上側保持体30とが上昇し、下側保持体28から離隔移動せしめられることにより、意匠パネル10の保持治具20への保持状態が解除される。そして、その後、意匠パネル10が、保持治具20から取り出された後、意匠パネル10の四つのフランジ部14a〜dのそれぞれにおける、圧縮破壊状態で未切断のまま残された裏面16側部分が、切断刃22a〜dやその他の工具等を何等用いることなく、各々、手作業で容易に切割りされる。それによって、各フランジ部14a〜dの末端側部位が、完全に切断されて、除去されるのである。しかも、手作業等で切割りされる各フランジ部14a〜dの裏面16側部分は、切断刃22a〜dを用いた切断操作によって既に圧縮破壊せしめられているため、手作業等での切割り後において、切断面に糸バリが発生したり、切断面が粗面化して、平滑度が低くなったりするようなこともないのである。
【0053】
このように、本実施形態では、意匠パネル10の各フランジ部14a〜dの末端側部位を切断刃22a〜dを用いて切断するに際して、その操作が、各フランジ部14a〜dに食い込んだ切断刃22a〜dが、下側保持体28の各裏当て面34a〜dに当接せしめられる直前において、各フランジ部14a〜dの裏面16側部分を未切断のまま残した切断途中の状態で終了せしめられる。それ故、各フランジ部14a〜dの末端側部位の切断操作を何度も繰り返して実施しても、切断刃22a〜dの切り刃(刃先)が、各裏当て面34a〜dにへの当接によって潰れ変形して、劣化してしまうようなことが、未然に防止され得る。しかも、未切断のまま残された各フランジ部14a〜dの裏面16側部分は、切断刃22a〜dを何等用いない手作業等での切割り操作によって、切断面に糸バリが発生したり、切断面が粗面化して、平滑度が低くなったりするようなこともなく、極めて容易に切断されて、除去される。
【0054】
従って、かくの如き本実施形態によれば、意匠パネル10の各フランジ部14a〜dの末端側部位を、美麗な切断面を有するように、しかも、より長期に亘って安定的に且つスムーズに切断することが出来るのである。また、各切断刃22a〜dの当接による各裏当て面34a〜dの損傷や劣化も有利に防止され得、以て、保持治具20の耐久性の向上も、効果的に図られ得る。
【0055】
さらに、本実施形態では、四つのフランジ部14a〜dのうちの互いに対向する二つずつに対して、それらの末端側部位の切断操作が同時に進行せしめられるようになっているところから、各フランジ部14a〜dの末端側部位の切断操作に掛かる時間の短縮化が有利に図られて、かかる切断操作の効率化が、効果的に実現され得る。
【0056】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0057】
例えば、前記実施形態では、四つのフランジ部14a〜dのうちの互いに対向する二つずつに対して、それらの末端側部位の切断操作が同時に進行せしめられるようになっていたが、各移動装置40a〜dの油圧シリンダ52に対するコントローラ56による作動制御を適宜に変更すること等によって、四つのフランジ部14a〜dのうちの一つ一つに対して、末端側部位の切断操作を順番に行ったり、或いはフランジ部14a〜dのうちの三つ以上に対して、それらの末端側部位の切断操作を同時に行ったりすることも出来る。また、一回の切断操作で、末端側部位が切断されるフランジ部a〜dの選択も自由である。
【0058】
さらに、保持手段の構造は、例示のものに、特に限定されるものではなく、シート状の樹脂成形品の延出部の裏面に接触する裏当て面を有し、この裏当て面に対して延出部の裏面を接触させた状態で、樹脂成形品を位置固定に保持し得る構造を有しておれば良い。
【0059】
さらに、切断刃の形状や配設位置等も、切断されるべき樹脂成形品の延出部の数や形成位置等に応じて、適宜に変更され得るものであることは、言うまでもないところである。
【0060】
更にまた、切断操作進行手段の構造も、例示された、切断刃22a〜dを保持治具20の下側保持体28に接近移動させる移動装置40a〜dに何等限定されるものではなく、例えば、下側保持体28を各切断刃22a〜dに接近移動させる構造において、切断操作進行手段を構成することも出来、或いは下側保持体28と各切断刃22a〜dの両方を互いに接近移動させる構造において、切断操作進行手段を構成することも出来る。なお、それらの構造を採用する場合には、下側保持体28の各切断刃22〜dへの接近移動を停止させる機構乃至は装置にて、或いは下側保持体28と各切断刃22〜dの互いの接近移動を停止させる機構乃至は装置にて、切断操作停止手段が構成されることとなる。また、様々な構造において切断操作進行手段を構成する場合にあっても、その数や配設位置等が、切断刃の数や配設位置等に応じて、適宜に変更される得ることは、勿論である。
【0061】
さらに、切断操作停止手段も、例示のコントローラ56に代えて、単に、移動装置40a〜dによる切断刃22a〜dの移動を阻止するストッパ手段等を採用することが出来、また、切断操作進行手段として、保持治具20の下側保持体28を各切断刃22a〜dに接近移動させる構造や、それら下側保持体28と各切断刃22a〜dの両方を互いに接近移動させる構造のものを採用する場合にも、下側保持体28や各切断刃22a〜dの移動を停止させるコントローラやストッパ手段等が、適宜に採用されることとなる。
【0062】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用内装部品の一部を構成する意匠パネルに一体形成されたフランジ部の端末部を処理するための端末処理装置と端面末処理方法とに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他のシート状の樹脂成形品の端部に設けられた延出部の端末部を処理する端末処理装置と端末処理方法の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0063】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に従う構造を有する端末処理装置を用いて端末部が処理された樹脂成形品の一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面説明図である。
【図3】本発明に従う構造を有する端末処理装置の一実施形態を示す縦断面説明図である。
【図4】図3に示された端末処理装置が有する保持治具の一部を除く、かかる端末処理装置の上面説明図である。
【図5】図3に示された端末処理装置を用いて、樹脂成形品の端末部を処理する際に実施される工程例を示す説明図であって、(a)は、樹脂成形品を保持治具にて保持せしめた状態を示し、また、(b)は、保持治具に保持された樹脂成形品の末端側部位を切断刃にて切断している状態を示している。
【図6】図5(b)におけるVI部拡大説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10 意匠パネル 12 天板部
14a〜d フランジ部 16 裏面
18 意匠面 20 保持治具
22a〜d 切断刃 28 下側保持体
30 上側保持体 34a〜d 裏当て面
40a〜d 移動装置 52 油圧シリンダ
56 コントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が意匠面とされたシート状の樹脂成形品の端部に、裏面側に屈曲して延びるように一体形成された延出部の末端側部位を切断し、除去することによって、該樹脂成形品の端末部を処理する装置であって、
前記樹脂成形品の延出部の裏面に接触する裏当て面を有し、該裏当て面に対して該延出部の裏面を接触させた状態で、該樹脂成形品を位置固定に保持する保持手段と、
刃先が前記保持手段の前記裏当て面に向けて配された状態で、該裏当て面に対して、それと交差する方向において接近又は離隔可能に位置せしめられた切断刃と、
前記樹脂成形品が前記保持手段に保持せしめられた状態下で、該切断刃を、該保持手段の前記裏当て面に接近させることにより、該裏当て面に接触して位置せしめられた前記延出部の意匠面の延出方向中間部に、該切断刃を押し付けて、食い込ませることによって、該切断刃による該延出部の前記末端側部位の切断操作を進行せしめる切断操作進行手段と、
該切断操作進行手段による前記裏当て面への接近により、前記延出部の中間部に押し付けられて、食い込んだ前記切断刃が、該裏当て面に対する当接直前の位置で、且つ該切断刃と該裏当て面との間に位置する該延出部の未切断の裏面側部分が該切断刃の押付け力にて圧縮破壊せしめられる位置にまで到達したときに、該切断操作進行手段による該切断刃の該裏当て面への接近を停止させて、該切断刃による該延出部の前記末端側部位の切断操作を停止せしめる切断操作停止手段と、
を含むことを特徴とする樹脂成形品の端末処理装置。
【請求項2】
表面が意匠面とされたシート状の樹脂成形品の端部に、裏面側に屈曲して延びるように一体形成された延出部の末端側部位を切断し、除去することによって、該樹脂成形品の端末部を処理する方法であって、
前記樹脂成形品を保持する保持手段に対して、該樹脂成形品の前記延出部の裏面を該保持手段の裏当て面に接触させた状態で、該樹脂成形品を位置固定に保持せしめる工程と、
前記樹脂成形品が前記保持手段に保持された状態下で、該保持手段の前記裏当て面に接触して位置せしめられる前記延出部の意匠面の延出方向中間部に、切断刃を押し付けて、食い込ませることにより、該切断刃による前記延出部の末端側部位の切断操作を進行せしめる工程と、
前記延出部の中間部に食い込んだ前記切断刃が、前記保持手段の裏当て面に当接する直前において、それら切断刃と裏当て面との間に位置する該延出部の未切断の裏面側部分が、該切断刃の押付け力にて圧縮破壊せしめられたときに、該延出部の中間部への該切断刃の押付けを停止せしめて、該切断刃による前記延出部の末端側部位の切断操作を停止する工程と、
前記圧縮破壊された延出部の未切断の裏面側部分を、前記切断刃による前記延出部の末端側部位の切断操作の停止後に、該切断刃を用いることなく切り割ることにより、該延出部の末端側部位を切断し、除去する工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形品の端末処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285796(P2009−285796A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141897(P2008−141897)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【出願人】(592190866)株式会社江東彫刻 (8)
【Fターム(参考)】