説明

樹脂成形品上に金属めっきを施すための方法

【課題】3次元の樹脂成形品上に金属めっきを施すため、樹脂成形品の取り扱いのための経費と、通常は多数で異なる金型とを大幅に削減し、及び、部品の種類ごとの搭載経費を低減する方法を提供する。
【解決手段】樹脂成形品3が、結合部品2によってフレキシブルなキャリア1に結合される。このキャリア1は、同時に搬送テープとして使用される。多数の樹脂成形品3を一時的に結合させるため、キャリア1が、それぞれの樹脂成形品3の両面に結合している。この場合、電気伝導性の結合部分が生成される。この結合部分は、結合部品2による電気めっき8用の通電に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に3次元の樹脂成形品上に金属めっきを施すための方法に関する。この方法の場合、電気伝導層が選択的に形成される。これに応じて、電気伝導層が、電気めっきによって大幅に増大される。
【背景技術】
【0002】
成形回路部品の思想は、電気的な機能と機械的な機能とを、熱可塑性の材料から成る金属めっきされた1つの射出成形部品に組み込むことである。この場合、当該3次元構造が、通電を可能にし、シールドとしても使用可能であるか又は送信面を形成可能である。
【0003】
レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)の場合、電気回路が、レーザービームによって1つの構成要素の射出成形部品の表面上に形成される。同時に、後続する金属めっきのために有利な表面構造が発生する。この表面構造は、発生する導体パターンを非常に良好に密着させる。別の可能性は、既に金属めっきされた表面をレーザーによって剥離することにある。
【0004】
レーザー・サブトラクティブ・ストラクチャリング(LSS)とも呼ばれるサブトラクティブ技術の場合、部品の全体が、外部からの通電なしに銅で金属めっきされる。電気めっきされた銅が被覆された後に、レジストが、別のステップで使用され得る。引き続き、このレジストは、焦合されたレーザービームによって後に絶縁チャネルが形成される場所でパターンニングされる。別のステップでは、銅が腐食エッチングされ、当該表面が加工される。
【0005】
2成分射出成形の場合、合成樹脂の表面が、特にパラジウムでシーディングすることによって活性化される。引き続き、希望する銅層の厚さが、化学的に又は電気分解的に被覆される。当該外部からの通電のない方法には、遅い析出速度に起因して、時間がかかり、最大で20μmの層厚までしか達成され得ないという欠点がある。
【0006】
ステップである射出成形、前処理/レーザー活性及び化学的な金属めっきから成る当該一般的な工程の進行は、上述した方法に共通である。したがって、全ての方法は共に、化学的な金属めっきの問題、特に薄くしか達成できない金属の厚さの問題を有する。当該問題は、金属めっき槽内の部品の滞在期間を長くし、したがって高いコストにつながる。さらに、実際には、様々な種類の工程ステップは、部品の処理のための高い経費を引き起こす。部品の止め具、処理システム、グリッパ及び搬送容器が、その都度の構造の形に対して特別に仕様決定される必要があることによっても、この経費は上昇する。
【0007】
移動電話又は最新のスマートフォン用の例えばアンテナのマス市場では、金属めっきされるアンテナ構造体の目的に応じた構造のための部品が、バレルめっきされる被加工品として化学的な金属めっき槽の回転するドラム内で処理されることが、従来の技術に属する。当該部品及びドラムの大きさに応じて、数千〜数万の個々の部品が、このようなドラムに入れられる。ドラムユニット内でのバレルめっきされる被加工品としての部品の当該種類の処理が、かご形の部品や機械的に敏感な部品に対しては問題であるか又は完全に不可能でありうる点は、当業者に明らかである。さらに、金属めっきの品質が、回転するドラム内の部品の互いに接する擦れによって損なわれることは明らかである。
【0008】
例えば移動電話用のアンテナのような成形回路部品の樹脂成形品は通常は、互いに結合されていない1つ又は複数の電気伝導性の領域を有する。方法に応じて、当該領域が、射出成形後に特別に処理されて、銅を当該領域だけに選択的に被覆する。当該領域を電気めっきするためには、複数の前提条件が満たされる必要がある。第1に、連続して通電する開始層が、化学的な方法又はその他の適切な方法によってこれらの領域内に形成される必要がある。第2に、全ての領域が、1つの電位で印加される必要がある。第3に、これらの領域が、生産工程の最後に互いに電気絶縁されている必要がある。
【0009】
従来の技術の場合、独立した方法ステップごとに処理された部品が、バレルめっきされる被加工品として集められることによって、射出成形される成形部品から出発する、前処理、化学的な金属めっきのような当該独立した方法ステップが困難になる。それ故に、さらなる処理のためには、最初に、金型内での正確な位置決めがその都度必要である。この場合、レーザー活性時に、高い位置決め精度が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、部品の取り扱いを容易にすることにあり、特にこのときに個々の部品を対応する金型内に繰り返し入れることを排除しなければならず、且つ、部品の種類ごとの設備経費を低減するため、多くの異なる金型が著しく削減されなければならない。また、本発明の課題は、析出速度が化学的な金属めっきだけによって実現可能であるよりも明らかに速い析出速度で電気めっきすることによって、厚い銅層を迅速に且つ安価に形成することを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴による方法によって解決される。本発明のその他の構成は、従属請求項に記載されている。
【0012】
したがって、本発明によれば、樹脂成形品が結合部品によってフレキシブルなキャリア、特に搬送テープに結合される方法が提唱されている。多数の樹脂成形品を一時的に結合させるため、当該結合部品の片面又は両面が、それぞれの樹脂成形品に接合している。その結果、電気めっき用に通電するための電気伝導性の結合部分が、結合部品によってキャリアと樹脂成形品との間に形成される。これによって、極めて簡単な方法で、樹脂成形品が、キャリアによって基本的に無限のテープに対して結合される。当該テープは、公知のコンベヤによって簡単に搬送することができる。この場合、キャリアが、成形からめっき層の形成までの樹脂成形品の複数のステーションに直接供給されるように、工程の列が構成されている。半製品としての、樹脂成形品を結合させているキャリアを巻付本体上に巻き付けたものを、さらに必要になる利用のために、異なる製造現場にも供給されるようにすることが、同様に可能である。それ故に、成形回路部品の樹脂成形品が、簡単に互いに結合され得る。その結果、これらの樹脂成形品が、問題なく1つの処理工程からその次の処理工程に引き渡されて電気めっきされ得る。この場合、通電が、キャリアによって実施される。
【0013】
本発明の方法の特に好適な構成は、それぞれの結合部品が樹脂成形品に一体成形されることによっても達成される。これによって、両部品が、1つの共通の製造ステップ中に統合された部品として製造されてさらに処理され得るために、樹脂成形品と結合部品との間に機械的で且つ電気的な結合部分を形成するための、さもなければ必要な追加の作業ステップが省略される。引き続き、多数の樹脂成形品が、それぞれの樹脂成形品に射出成形された結合部品によってキャリアと一緒に1つのテープに結合される。
【0014】
1回だけの作業ステップで必要な全ての部品を一緒に製造できるようにするため、当該結合部品に加えて、キャリアも樹脂成形品と一緒に射出成形工程中に無限テープとして製造することが、基本的に可能であり実際に実現可能でもある。これに対して、特に別の実施の形態が実情に合っている。この別の実施の形態の場合、結合部品が、キャリアによって、例えばキャリアの除去部分及び/又は凹部に係合される。これによって、場合によっては射出成形された結合部品を有する樹脂成形品が、キャリアを製造するためだけの1つの作業ステップ中に生成されるために、製造工程が簡略化される。その結果、キャリアは、通常の製品から入手され得る。このため、当該キャリアは、例えば穿孔テープとして形成されている。その結果、結合部品が、キャリアの切欠き部分に侵入し、このときに機械的な係合をアンダーカットによって形成できる。こうして、機械的に非常に強い結合が生じる。
【0015】
当該規則的な複数の除去部分又は凹部に起因して、一方では駆動歯車が、これらの除去部分に係合することによって、所定の進行が保証され得、他方では当該進行のために必要でない除去部分又は凹部が、結合部品を機械的に固定するために使用される。この目的のため、例えば目打ちも適している。
【0016】
同様に特別な成果が期待される別の構成の場合、樹脂成形品を結合部品から事後的に分離するため、目標破損個所が、樹脂成形品に向かう大きい力の伝達を阻止することによって、特に樹脂成形品の損傷を例えばキャリアの巻き付け時に防止するため、結合部品が、目標破損個所としての材料減少部分に沿って樹脂成形品に結合されている。
【0017】
実際に通常に製造された樹脂成形品の大きさ及び寸法は、大抵は樹脂成形品をただ1つのキャリアに対して片面で固定することを可能にする。これに対して、2つのキャリアが、これらの2つのキャリア間に存在する樹脂成形品に結合されることが特に有益である。これによって、比較的大きい樹脂成形品も確実に固定することができる。さらに、これらの樹脂成形品は、外側に存在する当該キャリア間で最適に保護され且つ機械的に不動に固定されている。
【0018】
同様に、樹脂成形品用の凹部を2つの外縁間に有するキャリアも適している。これに対して、平行な複数のキャリアが、隣接した樹脂成形品間に配置されたフレームを介して結合されている本発明の方法の構成が特に重要である。これらのフレームは、当該キャリアを互いに所定の間隔で保持し、それ故にその都度の樹脂成形品に応じて異なる寸法を有し得る。これによって、キャリアが、汎用に使用され得て且つ様々な樹脂成形品用の異なる長さのフレームに結合され得る。
【0019】
フレームが、樹脂成形品に結合される本発明の方法の別の実施の形態によれば、キャリアを所定の間隔で機械的に固定するためのフレームの機能に加えて、樹脂成形品が、フレームによって電気接触できるようにするため、当該フレームは、樹脂成形品に直接結合する働きも果たす。
【0020】
明らかに、連続する複数の工程ステップが、1つのテープに結合されている樹脂成形品によって簡単に実現され得る。当該連続する複数の工程ステップの場合、これらの樹脂成形品が、全ての工程ステップを一定の作業周期で連続して通過する。しかしながら、本発明は、個々の工程ステップが互いに別々に実施されても又は場所的に分離されて実施されても著しい効果を奏する。複数の樹脂成形品が、各工程ステップにしたがって別々にされていて、バレルめっきされる被加工品として別の処理ステーションに供給され、それ故に最初に金型内に固定することが必要である従来の技術とは違って、さらなる成果が期待される実施の形態にしたがって、少なくとも1つのキャリアが、結合されている樹脂成形品と一緒に巻付本体に巻き付けられ、別の処理に対して提供される。
【0021】
この目的のため、別の実施の形態によれば、キャリア及び/又はフレームが、スペーサに結合される。これらのスペーサは、キャリアの前延在部分に対して横に高さを有し且つキャリアの巻き付けられた状態にある複数の樹脂成形品が互いに十分な間隔を有するように定められている。これによって、こうして巻かれたキャリアが、例えば全体として、すなわち巻き付けられた状態で金属めっき槽内に浸漬され得る。その結果、多数の樹脂成形品が、同時に迅速に処理され得る。この場合、同様に、当該スペーサは、独立した要素としても、フレーム又はキャリアの一体化された構成要素としても形成され得る。さらに、当該スペーサは、必要に応じて補充されてもよい。
【0022】
再利用可能な独立した合成樹脂テープが、スペーサとしてキャリアと一緒に巻き付かれることによって、同様に特に好適な別の構成が達成される。その結果、合成樹脂テープとキャリアとの交互に現れる状態が発生する。この場合、当該合成樹脂テープは、適切な複数の凹部を有する。これらの凹部は、前面と後面とで当接するキャリアの位置の正確な所定の割り当てを可能にする。こうして、当該スペーサが、必要に応じて付加され得る。その結果、特に柔軟な製造が実現され得る。
【0023】
電気接触を簡略化するため、キャリアは、電気伝導性の材料、特に金属から構成され得る。この電気接触は、多数の樹脂成形品の電気めっきを同時に可能にする。これに対して、期待される特別な成果は、本発明の別の実施の形態である。当該別の実施の形態の場合、少なくとも1つのキャリアが、非電気伝導性の材料、特に合成樹脂から構成され、特に先行する選択的な活性化に基づいて、電気伝導性の結合部分が、結合部品とキャリアとの間に形成され、及び/又は、結合部品と樹脂成形品の少なくとも1つの、特に複数の電気伝導性の領域との間に形成される。したがって、これによって、樹脂成形品、結合部品及びキャリアの活性化並びに引き続く選択的な金属めっきが、1つの共通の方法ステップ中に実施される。したがって、電気伝導性の特性が、必要に応じて発生され、それ故に特定の領域に限定され得る。
【0024】
キャリアが、摺動接触によって電気接触されることによって、必要な通電が、中心の電流供給部によって電気接続されている全ての樹脂成形品に伝達されることによって、簡単な電気めっきが可能になる。この場合、当該摺動接触は、例えば当接する摩擦車によって実現され得る。
【0025】
さらに、結合部品が、連続した1つの線に沿ってキャリアに結合されることが、期待される特別な成果として実際に実証されている。この場合、当該線は、結合部品の幅より遥かに大きく定められている。すなわち、換言すれば、結合部品とキャリアとの間の接触線の長さが、直線ではなくて、例えば波状、櫛状又はのこぎり歯状に延在させることによって、当該長さが遥かに延長される。同様に、切欠き部分、例えば結合部品の目打ちも、キャリア上に搭載されている領域内で当該接触線を延長させるために利用され得る。
【0026】
電気めっきが、電解槽内で実施されることによって、本発明の方法の別の構成が達成される。この電解槽内では、キャリアが、巻き付けられた状態でその縁面で電気接触される。これによって、キャリアをその巻付本体からほどすことが省略される。その結果、一方では電解槽内の最適な空間の活用が、金属めっきすべき樹脂成形品のコンパクトな配置によって達成され、他方では必要な搬送経費が、最小限に削減され得る。
【0027】
同様に特別な成果が期待される別の構成の場合、樹脂成形品と結合部品とキャリアとの全面が、化学めっき工程及び/又は電気めっき工程中に電気伝導性の層で被覆される。引き続き、特に錫から成るエッチングレジストが被覆される。その後に、絶縁軌道が、レーザーによって形成され、最後に当該電気伝導性の層の露出された領域がエッチングされる。
【0028】
一定のグリッドを有する統一されたキャリアを使用するために、本発明の方法を実施するための様々な樹脂成形品が、場合によっては変更された制御プログラムだけを必要とする一方で、プロセス技術の適合が大幅に省略され得ることによって、柔軟な製造が可能になる。
【0029】
したがって、画一的な識別指標に基づく位置決定をさらに簡略化するため、当該位置決定に対して、フレーム及び/又はキャリア内の凹部が検出されてもよい。
【0030】
複数の樹脂成形品が、1つの独立した作業ステップ中に、例えば1つの樹脂成形品の、1つの製品への組み立てに関連させて別々にされ得る。この場合、結合部品が、目標破損個所及び/又は材料減少部分に沿って機械的な分離方法によって又は電磁ビームによって樹脂成形品から分離されることが有益であることが実証されている。このため、公知の打ち抜き工具又はレーザー切断設備が適している。当該両方法に対しては、少ない熱蓄積が有益であることが実証されている。この場合、レーザー切断が、目標破損個所及び/又は材料減少部分に沿った分離すべき輪郭の問題のない変更をプログラムの変更だけによって可能にし、それ故に実際に柔軟に使用可能である。
【0031】
本発明の方法は、基本的に全ての成形回路部品の製造方法で使用するために適している。この場合、例示的に、レーザーダイレクトストラクチャリング法、2成分射出成形法又はサブトラクティブ法だけを説明する。例えば、希望するパターンにしたがって適切に機能する化学基を定着させることによって、金属層を配置するため、非電気伝導性の表面を改質するための方法も実施可能である。これによって、電気伝導性の材料が、当該化学基に配置される。このとき、この電気伝導性の材料は、希望する特別なパターンにしたがう希望する厚さの金属層を形成するための基礎を実現する。より厚い層の当該被覆は、金属被覆するための従来の自動触媒層を使用することによって及び本発明の方法の範囲内で好ましくは電気めっき槽内で選択的に達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】結合部品によってキャリアの片面に結合されている樹脂成形品の正面図である。
【図2】結合部品によってキャリアの片面に結合されている樹脂成形品の正面図である。
【図3】フレームさらに結合されている図2中に示された樹脂成形品の正面図である。
【図4】キャリアに結合されている結合部品の別の構成の詳細図である。
【図5】図1〜3中に示されたキャリアの詳細図である。
【図6】図4のキャリアと結合部品との間の結合部分の切断側面図である。
【図7】図3中に示された樹脂成形品に結合されているキャリアを巻付本体上に巻き付けられている状態の側面図である。
【図8a】図3中に示された結合部品を有するキャリアの詳細図である。
【図8b】結合部品とキャリアとの間の結合部分の別の構成の別の詳細図である。
【図9】結合部品によってフレームに接し且つ結合部品によってキャリアに接する図3中に示された樹脂成形品の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、特に3次元の成形回路部品の樹脂成形品3上に金属めっきを施すための本発明の方法を図1〜9に基づいて詳しく説明する。この方法の場合、電気伝導層が、化学処理によって及び後続する電気めっきによって製造される。
【0034】
この場合、本発明は、複数の樹脂成形品3が1つの加工処理からその次の加工処理に受け継がれ、電気めっきされ得るように、これらの樹脂成形品3が互いに結合するという思想に基づく。
【0035】
搬送上の問題を解決するため、例えば、合成樹脂又は金属から成るテープ状のキャリア1が、図示されなかった射出成形金型内に入れられて、当該キャリア1を射出成形される結合部品2を介して樹脂成形品3に結合する。この場合、本発明の方法の様々なバリエーションが類別され得る。
【0036】
本発明の第1の実施の形態では、図1中に示されているように、樹脂成形品3の側面が、キャリア1に結合される。このキャリア1は、目打ちによって形成された規則的な、所定の搬送用の複数の除去部分5を有する。
【0037】
さらに、図2中に示されているように、より大きい樹脂成形品3の2つの側面がそれぞれ、1つのキャリア1に結合され得る。当該両キャリア1が、フレーム6を介して互いに一定の間隔をおいて結合されていて、したがって互いに所定の間隔で保持されることが有益である。
【0038】
このようなフレーム6の利用の下では、図3から明らかであるように、樹脂成形品3の3つの側面又は4つの側面が、キャリア1のテープ構造体に結合されてもよい。結合されている多数の樹脂成形品3を有するこのようなキャリア1が、巻付本体11上に巻き付けられ得る。このような巻付本体は、複数の処理ステップ間で簡単に搬送することができ、例えばレーザー加工部に自動的に引き渡すことができる。1つの加工ステップ後に、キャリア1が、このキャリア1に固定された樹脂成形品3と一緒に自動的に巻かれ得る。また、このような巻付本体は、全体として金属めっき槽内に浸漬され得る。したがって、個々の部品の処理が省略される。
【0039】
特に、スペーサ10が、結合部品2に対して設けられている。例えば図9中で識別できるように、これらのスペーサ10は、樹脂成形品3より高く、キャリア1の巻き付け時にこれらの樹脂成形品3の個々の位置と位置との間の距離を十分なものにする。こうして、樹脂成形品3の全面の浸漬が、特に金属めっき槽内で保証される。
【0040】
これらのスペーサ10の代わりに、図示されなかった、スペーサブロックを有し、再利用可能な独立した合成樹脂テープが、示されているキャリア1と一緒に巻かれてもよい。その結果、当該スペーサブロックが、外側の領域内でキャリア1に接触し、個々の樹脂成形品3の所定の間隔を保証する。
【0041】
特に、示されている金属又は合成樹脂から成るキャリア1が、樹脂成形品3の電気めっきのために利用されることが有益である。通常、樹脂成形品3は、互いに結合されていない電気伝導性の1つ又は複数の領域を有する。これらの領域だけを選択して銅でめっきするため、これらの領域は、方法に応じて射出成形後に特別に処理される。これらの領域を電気めっきするためには、複数の前提条件を満たす必要がある。第1に、連続して通電する開始層が、化学的な方法によってこれらの領域内に形成される必要がある。第2に、全てのこれらの領域が、1つの電位で印加される必要がある。第3に、これらの領域が、生産工程の最後に互いに電気絶縁されている必要がある。
【0042】
本発明によれば、図9中に示されているように、樹脂成形品3の電気伝導性の領域の1つの側面又はより多くの側面が、結合部品2によって1つ又は複数のキャリア1に結合される。その結果、電流が、キャリア1を経由して結合部品2及びフレーム6を用いて当該電気伝導性の領域まで供給できる。
【0043】
キャリア1とそれぞれの樹脂成形品3との間の結合部品2が、狭隘部分として実現された材料減少部分4を有する。第1に、より確実な機械的な結合が、この材料減少部分4によって確保されている。同時に、樹脂成型品3が、生産工程の最後に打ち抜き又はレーザー切断のような適切な分離方法によって材料減少部分4に沿って結合部分から引き離され得る。それぞれの樹脂成形品3の1つ又は複数の電気伝導性の領域が、各結合部品2を介してテープ状の金属製キャリア1に結合され得る。このため、結合部品2の少なくとも一部が、樹脂成形品3の電気伝導性にされた領域と一緒に前処理されて電気めっきされる。
【0044】
当該提唱されている方法の場合、金属から成るキャリア1の使用と合成樹脂から成るキャリア1の使用とで類別することができる。
【0045】
結合部品の前処理によって、例えば後続する化学的な金属めっきを伴うレーザービームによって、金属から成るテープ状のキャリア1と結合部品2と樹脂成形品3の電気伝導性の領域との間の電気伝導性の結合が施され得る。これによって、キャリア1を経由した樹脂成形品3までの持続し且つ確実な電流供給が可能になる。すなわち、樹脂成形品3の電気伝導性の領域の電気めっきのための基本的な前提条件が満たされる。
【0046】
キャリア1と結合部品2の金属めっきされた合成樹脂との結合長さが大きくされていることが、このキャリア1とこの結合部品2との確実な電気接続のために特に有益である。
【0047】
図4は、射出成形されている結合部品2の好適な櫛形構造体9を例示的に示す。同様に、この櫛形構造体9の別の形、例えば、フック形、円弧、二重円弧又は三角形が考えられる。このような構造体は、有効な結合長さをさらに長くできる。
【0048】
また、図5中に示されているように、結合部品の櫛形構造体9の領域内の複数の打抜孔を有するキャリア1の目打ちが有益である。このような打抜孔は、射出成形工程中に合成樹脂で充填される。したがって、図6から明らかであるように、結合部品2の複数の櫛歯間の変動しない結合が、キャリア1の上面と下面とで発生する。
【0049】
図6は、目打ちによって形成されたこれらの櫛歯の領域内の、図4によるキャリア1と結合部品2との間の結合部分の例示的な横断面を示す。キャリア1内の搬送孔及びガイド孔の領域が、合成樹脂で射出成形されないことも有益である。したがって、搬送テープとしてのキャリアの、自動式の供給装置及び処理設備内への所定の設置が保証される。したがって、キャリア1の各位置での電気めっき工程中の低抵抗の電流供給が、さらに可能である。
【0050】
合成樹脂テープ又はその他の非電気伝導性の材料をキャリア1として使用した場合、キャリア1を経由した電流供給の可能性はない。すなわち、結合部品2とキャリア1との間の電気伝導性の結合部分は必要でない。しかしながら、この代わりに、図8a及び8b中で示されているように、キャリア1の部分領域の長さにわたって構成樹脂から成る結合部品で射出成形することが可能である。当該射出成形の領域内のキャリア1の目打ちが、図5中に示された金属から成るキャリア1と同様に形成され、キャリア1と結合部品2との間を変動しないように結合させる。
【0051】
したがって、図8bから分かるように、キャリア1に沿って連続し、連続する電流供給に利用され得る電気伝導性の軌道が、結合部品2の化学めっきによって省略される。ここでも、搬送及び処理時の高さ位置の精度を維持するため、少なくとも片面の搬送孔及びガイド孔の領域を合成樹脂で射出成形しないことが有益であることが実証されている。
【0052】
使用されるキャリア材料に関係なく、1つ又は複数のキャリア1、特に2つのキャリア1が使用され得る。これらのキャリア1の全てが、電流供給に利用される。これらのキャリア1は、複数のフレーム6に結合され得る。これらのフレーム6は、目打ちを有してもよい。特に図9から明らかであるように、結合部品2が、キャリア1に結合され得るのと同様に、フレーム6に結合され得る。
【0053】
本発明の1つの実施の形態では、電気めっきが、図示されなかっためっき槽内で実施される。このため、図7中に示されているように、巻付本体11が、星形に配置された銅製フィンガ7を介してこの巻付本体11に巻き付けられて樹脂成形品3を支持するキャリア1の縁面に接触する。金属テープから成るキャリア1の縁面が、銅製フィンガ7に直接に電気伝導接続され得る。その一方で、非電気伝導性の金属から成るキャリア1を使用する場合は、図8a中に示されているように、結合部品2の縁面が、金属表面を形成するように、当該結合部品2が形成される必要がある。
【0054】
本発明の方法の別の実施の形態では、樹脂成形品3が、金属めっき可能な合成樹脂から完全に射出成形され、引き続きその全面が、化学めっき槽及び電気めっき槽内で、銅で被覆されることが提唱されている。続くステップでは、樹脂成形品3が、錫から成るエッチングレジストで被覆される。電気伝導性層のストラクチャリングが、レーザーを用いて錫層中に絶縁軌道を形成し、露出された銅領域を引き続きエッチングすることによって実施される。上述した工程と同様に、樹脂成形品3を搬送テープとして使用されるキャリア1に結合させることによって、工程ステップ間の処理がここでも簡単である。当該方法において説明されている銅層の電気めっきによる増大の利点が適用される。
【0055】
この場合、本発明の方法は、基本的には樹脂成形品3を金属めっきするための全ての公知の成形回路部品の製造方法で使用可能であり、それ故にレーザーダイレクトストラクチャリングに限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1 キャリア
2 結合部品
3 樹脂成形品
4 材料減少部分
5 除去部分
6 フレーム
7 銅製フィンガ
8 金属めっき(金属膜)
9 櫛形構造体
10 スペーサ
11 巻付本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に3次元の樹脂成形品(3)上に金属めっきを施すための方法であって、電気伝導層が選択的に形成され、これに応じて、電気めっき(8)が増長される当該方法において、
前記樹脂成形品(3)が、結合部品(2)によってフレキシブルなキャリア(1)、特に搬送テープに結合され、多数の樹脂成形品(3)を一時的に結合させるため、当該結合部品(2)の片面又は両面が、それぞれの前記樹脂成形品(3)に接合していること、及び、前記電気めっき(8)用に通電するため、電気伝導性の結合部分が、前記結合部品(2)によって前記キャリア(1)と前記樹脂成形品(3)との間に形成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれの結合部品(2)が、前記樹脂成形品(3)に一体成形されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合部品(2)は、前記キャリアに機械的に固定される、特に前記キャリア(1)の除去部分(5)及び/又は凹部に機械的に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記除去部分(5)及び/又は凹部は、前記キャリア(1)内に規則的に形成されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記結合部品(2)は、目標破損個所としての材料減少部分(4)に沿って前記樹脂成形品(3)に接合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
2つのキャリア(1)が、これらの2つのキャリア(1)間に存在する樹脂成形品(3)に結合されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
平行な複数のキャリア(1)が、隣接した樹脂成形品(3)間に配置されたフレーム(6)を介して結合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記フレーム(6)が、前記樹脂成形品(3)に結合されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのキャリア(1)が、結合されている前記樹脂成形品(3)と一緒に巻付本体(11)に巻き付けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリア(1)及び/又は前記フレーム(6)は、スペーサ(10)に結合されていて、これらのスペーサ(10)は、前記キャリア(1)の前延在部分に対して横に高さを有し且つ前記キャリア(1)の巻き付けられた状態にある前記樹脂成形品(3)が互いに十分な間隔を有するように定められていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
再利用可能な独立した合成樹脂テープが、スペーサとして前記キャリア(1)と一緒に巻き付かれる結果、前記合成樹脂テープと前記キャリア(1)との交互に現れる状態が発生することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのキャリア(1)が、非電気伝導性の材料、例えば合成樹脂から製造されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記電気伝導性の結合部分は、化学的な薄い金属めっきによって、特に先行する選択的な活性化に基づいて、前記結合部品(2)と前記キャリア(1)との間に形成され、及び/又は、前記結合部品(2)と前記樹脂成形品(3)の少なくとも1つの、特に複数の電気伝導性の領域との間に形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記電気伝導性の結合部分は、先行する選択的な表面被覆にしたがう電気伝導性の表面を形成することによって、前記結合部品(2)と前記キャリア(1)との間に形成され、及び/又は、前記結合部品(2)と前記樹脂成形品(3)の少なくとも1つの、特に複数の電気伝導性の領域との間に形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのキャリア(1)が、摺動接触によって電気接触されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記結合部品(2)は、連続した1つの線に沿って前記キャリア(1)に結合され、当該線の長さが、前記キャリア(1)の長手方向に沿った前記結合部品(2)の延在部分より遥かに大きく定められていること特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記電気めっき(8)は、電解槽内で実施され、前記キャリア(1)の縁面が、この電解槽内で、巻き付けられた状態で電気接触されること特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記樹脂成形品の全面が、化学めっき工程及び電気めっき工程中に電気伝導性の層で被覆され、引き続き、特に錫から成るエッチングレジストが被覆され、その後に、絶縁軌道が、レーザーによって形成され、最後に当該電気伝導性の層の露出された領域がエッチングされること特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記樹脂成形品(3)は、光学的に位置検出されること特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
当該位置を決定するため、前記フレーム(6)及び/又は前記キャリア(1)内の除去部分(5)が検出されること特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記結合部品(2)は、目標破損個所及び/又は材料減少部分(4)に沿って機械的な分離方法によって又は電磁ビームによって前記樹脂成形品(3)から分離されることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−233258(P2012−233258A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105196(P2012−105196)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【出願人】(399007154)エル・ピー・ケー・エフ・レーザー・ウント・エレクトロニクス・アクチエンゲゼルシヤフト (8)
【Fターム(参考)】