説明

樹脂接触器及び封じ込めシステム

【課題】液アップフロー式の竪型プロセスタンクにおいて樹脂接触器の機能と沈降器の機能を併せ持ち、樹脂の実質的割合を該タンク内に保持する方法を提供する。
【解決手段】イオン交換樹脂を含有するプロセスタンク1中に入口2にて液体を導入し、そして樹脂と接触された液体をプロセスタンクから出口にて取り出すことを含み、しかも出口は入口より上に設けられており、プロセスタンクは入口から出口へ流れる液体中に樹脂が連行されるようになる場合の樹脂の上昇流を妨げるために入口と出口の間に配置された樹脂封じ込め領域と、樹脂と液体の間の接触を促進するために封じ込め領域の下に設けられた接触器領域とを含み、封じ込め領域は沈降部材の配列体7、9を含有し、液体及び樹脂は配列体を通って上方へ流れるが、配列体は樹脂が実質的に封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込められるのに十分な程度まで樹脂の流れを妨げる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換樹脂を液体と接触させそしてある領域内に該樹脂を封じ込めるための装置、方法及びシステムに関する。該システムは、飲用水の製造及び流出物の処理に関して特に有用である。
【背景技術】
【0002】
給水及び廃流から様々な化合物を除去するために、磁性イオン交換樹脂が用いられてきた。該樹脂は、ある流れから1種又は複数種の化合物を除去する及び濃縮するために、並びにある場合においては該化合物を別の流れ中に移動させるために用いられる。用語「化合物」は、化合物、元素及びイオンを包含する。
【0003】
イオン交換樹脂は、処理されるべき溶液内に存在する化合物に結合する官能基がポリマー主鎖内に組み込まれていることにより働く。官能基は、溶液内に存在する様々なタイプの化合物に結合するのに適した結合部位を与えるように選択され得る。弱酸性カチオンイオン交換樹脂は、遷移金属イオンを分離するのに適している。フミン酸及びフルボ酸並びに他の負荷電イオンを含めて溶存有機炭素(DOC)のような酸性有機物質は、アニオンイオン交換樹脂に結合する。樹脂の結合効率は、化合物が樹脂における利用可能な結合部位を消費するにつれて減少する。使用済み樹脂は、再生洗浄溶液を樹脂に適用して結合部位を再生することにより再生される。再生剤溶液での処理は、分離化合物を含有する洗浄溶液を生じる。
【0004】
取扱いの容易さのために、従来のイオン交換樹脂はカラム内に収納され、そして処理されるべき溶液がカラムにポンプで通される。これは、樹脂が用いられ得るところの方法のタイプを制限する。
【0005】
磁性イオン交換樹脂は、従来のイオン交換樹脂に対する有意な改善物である。これらの樹脂は、別個の磁性コアを有するか又は樹脂の全体にわたって分散された磁性粒子を有する。Orica Australia Pyt LtdからのMIEX(商標)ブランド樹脂は、樹脂の全体にわたって分散された磁性粒子を有するマクロ孔質イオン交換樹脂であり、そして飲用給水からDOCを除去する際に用いるのに特に適している。樹脂のあらゆる部分が磁性粒子を含有するので、それは他のタイプの磁性樹脂に対して利点を有する。
【0006】
米国特許第6,669,849号に記載されているように、磁性イオン交換樹脂は、DOCを除去するべき飲用給水の処理において用いられ得る。それは多工程処理法の一部として用いられ得、そしてDOCの直接除去に加えて多数の利益を与え得る。たとえば、味覚及び/若しくは臭気に関する問題を軽減するために、消毒副生成物を除去するために又は他の汚染物を除去するために、ある水処理方法は、最終ポリッシング処理として活性炭を用いる。ミエクス(MIEX)樹脂での前処理はまた、活性炭の有効寿命を延ばし得る。
【0007】
磁性イオン交換樹脂はまた、廃流の処理において用いられ得る。たとえば、クラフト法は、高度に着色された黒色流出物(しばしば、水路中に放出される)を生じる。流出廃流から着色性化合物を除去するために、樹脂が用いられ得る。樹脂はまた、追加的加工のために、廃流から重金属を除去する及び濃縮するために用いられ得る。
【0008】
磁性イオン交換樹脂を用いる利益は、該樹脂の弱磁性特性により樹脂粒子又はビーズが沈降タンクにおいて一緒に凝集しそして迅速に沈降するのが可能にされることである。これは溶液からの樹脂の分離を容易にし得、そしてそれにより樹脂を除去する、再循環する及び再生する方法を改善し得る。これにより、樹脂を含有するべきカラムの必要性が取り除かれ、そして樹脂を再生するための新しい処理手段及び方法並びに連続流システムが許容されるようになった。
【0009】
飲用水の処理における樹脂の使用及び分離のための方法は知られており、そしていくつかの方法が米国特許第6,669,849号に記載されている。磁性イオン交換樹脂は、米国特許第5,900,146号及び第6,171,489号に記載されている。磁性樹脂に関する他の出願及び特許は、国際出願番号PCT/AU2005/001111、PCT/AU2005/000419、PCT/AU2004/000432、PCT/AU2005/000618、PCT/AU2005/001426及び米国出願第11/124624号を包含する。これらの文書の内容は、相互参照により組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
磁性イオン交換樹脂を液体と接触させそして引き続いて接触液体から分離するための多数の公知方法がある。樹脂は、樹脂を含有する接触タンク(原水の流入並びに処理水及び樹脂の流出がある)に添加され得る。樹脂は、撹拌機、等のような機械的かき混ぜ、水中に浸された混合ポンプ又は気体が水に通気される空気かき混ぜにより分散され得る。樹脂の分散を達成するために、十分な剪断が水に与えられる必要がある。
【0011】
樹脂は、次いで、水から回収される必要がある。イオン交換樹脂は水より密度が高い傾向にあり、そしてタンクの底へ沈降し得そして重力沈降により分離され得る。その代わりに、樹脂と水の混合物が、別の樹脂沈降タンクにポンプで通され得る。かかる沈降タンクは、典型的には、竪型の細長いタンクであり、しかして該タンク中に液体及び樹脂の流れが流入し、この流れはタンク内で上方へ流れて該液体は最上部にて除去される。樹脂はタンク内で凝集しそして重力で沈降され、そして次いでタンクの基部に又は基部近くに設けられた出口を経て除去される。
【0012】
米国特許第6,669,849号はまた、イオン交換樹脂を水盤形容器を貫流する水と接触させそして分離する方法であって、樹脂は水と水盤形容器の第1部分にて接触し、そして樹脂粒子の大部分は沈降モジュールがないところの分離用水盤形容器長さ部分の最初の四半分にて沈降する(「自由に流れる」沈降)方法を記載する。処理水からの樹脂粒子の更なる除去(「増進」沈降)は、モジュール(傾斜板又は管状モジュールのどちらかであり得る)が充填された沈降室において遂行される。沈降器の底は、円筒形、円錐形又は角錐形ホッパーにて樹脂粒子を捕集するように設計され、しかして該ホッパーから樹脂粒子は接触器領域にポンプで戻される。
【0013】
水盤形容器システム又は別々の接触タンク及び分離タンクは多量の空間を必要とし、そして磁性イオン交換樹脂法を用いる資本経費を有意に増加し得る。
【0014】
別の選択肢は、樹脂を局部領域内に閉じ込めることである。米国特許第5,230,805号(Yates等)は、液体媒質内の磁気的に安定化された流動化粒子の系を記載する。上方へ流れる液体流内の流動化磁性樹脂は、25から500ガウスの磁場の適用により、好ましくは処理域を包囲する電磁石により、全般域内で安定化され且つ保持される。この手段は樹脂ビーズを接触領域内に保持するために強い磁場の継続的な適用を必要とし、そして樹脂が中くらいから高い液アップフロー速度にて該領域内に経済的に保持され得ることはありそうにない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
液アップフロー式の単一竪型プロセスタンクにおいて樹脂接触器の機能と沈降器の機能を併せ持つこと及び樹脂の実質的割合を該タンク内に保持することが、該タンク内において沈降部材の配列体を用いることにより可能である、ということが今般見出された。これは予期されない発見であり、何故なら樹脂は液体流中に連行されるようになりそして流出する液体と共にタンクから流出する傾向にあるからである。
【0016】
本明細書及び添付の請求項の全体を通じて、樹脂は、完全樹脂ビーズ、損傷樹脂ビーズ、及び樹脂ビーズから分離された樹脂の部分又は粒子を包含する。
【0017】
本発明のある具体的態様において、液体をイオン交換樹脂と接触させる方法であって、イオン交換樹脂を含有するプロセスタンク中に入口にて液体を導入し、そして樹脂と接触された液体をプロセスタンクから出口にて除去することを含み、しかも出口は入口より上に設けられており、プロセスタンクは入口から出口へ流れる液体中に樹脂が連行されるようになる場合の樹脂の上昇流を妨げるために入口と出口の間に配置された樹脂封じ込め領域と、樹脂と液体の間の接触を促進するために封じ込め領域の下に設けられた接触器領域とを含み、封じ込め領域は沈降部材の配列体を含有し、液体及び樹脂は配列体を通って上方へ流れるが、配列体は樹脂が実質的に封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込められるのに十分な程度まで樹脂の流れを妨げる方法が提供される。
【0018】
特定の具体的態様において、沈降部材は傾斜しており、そして好ましくはラメラ板、傾斜板及び/又は沈降管である。
【0019】
好ましくは、プロセスタンクは、第1の上記沈降部材の配列体の上流の封じ込め領域内に沈降部材の1つ又はそれ以上の追加的配列体を含み、そしてこれらの追加的配列体が樹脂を封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込めるのを助ける。
【0020】
好ましくは、樹脂は、液体より大きい密度、好ましくは液体より少なくとも10%大きい一層好ましくは少なくとも15%大きい密度を有する。好ましくは、液体は水である。
【0021】
特定の具体的態様において、樹脂は、50から500ミクロン一層好ましくは100から300ミクロンそして最も好ましくは150から250ミクロンの平均粒子サイズを有する。
【0022】
このサイズ範囲は、水中に分散され得る且つ水からの後続の分離に適しているイオン交換樹脂を与える。樹脂のサイズは、DOCの吸着の速度論及び分離の効率に影響を及ぼす。特定の用途についての最適サイズ範囲は、簡単な実験により容易に決定され得る。
【0023】
好ましくは、樹脂は、磁性イオン交換樹脂である。この具体的態様において、沈降部材は傾斜され且つ磁性イオン交換樹脂の凝集を促進するように配置されることが好ましい。特に、傾斜沈降部材(たとえばラメラ板)の配置は、樹脂粒子の磁気引力の影響下で凝集を促進するように樹脂粒子を移動させる渦動流が部材の近くで生成されるような配置であることが好ましい。理論により制限されたくないが、この増進凝集は、封じ込め領域内における磁性樹脂の有意な封じ込めに寄与すると信じられる。磁性イオン交換樹脂は、一層好ましくはOrica Australia PytからのMIEX(商標)ブランド樹脂、最も好ましくはMIEX(商標)DOC樹脂である。
【0024】
イオン交換樹脂は、マクロ孔質であることが好ましい。これは、DOCが吸着され得るところの実質的に大きい表面積を樹脂に与える。
【0025】
更なる具体的態様において、本方法は、樹脂と接触された液体により連行された残留樹脂を捕獲する追加的工程を含む。ある具体的態様において、これは、封じ込め領域を貫流したところの樹脂と接触された液体をこの液体の流れ内に置かれた永久磁石により与えられた磁場に通すことにより達成される。捕獲工程は、プロセスタンク内で又は一層好ましくは出口から流れる液体の流れにおいて行われ得る。本方法はまた、永久磁石の磁場により保持された樹脂を放出しそしてこの放出樹脂を捕集する工程を含む。
【0026】
好ましくは、この具体的態様によれば、出口からの液体流内に接触表面を置き、しかも該接触表面を通って該流中に延びる磁場を与えるところの且つ磁性樹脂を該接触表面上に引きつけそして保持することが可能であるところの永久磁石を該接触表面の後ろに置くことにより、残留磁性樹脂は出口からの液体流から分離され、しかも該磁場は該接触表面上に保持された樹脂を放出するように、作動手段に応答して低減又は除去され得る。好ましくは、磁場は、磁石を流れ接触表面から遠ざかるように移動することにより低減又は除去される。
【0027】
一層好ましくは、この具体的態様によれば、残留樹脂を分離する方法は、同じ出願人により出願された同時係属PCT出願であって、磁気樹脂分離器という名称で2005年12月15日に出願されたPCT出願に記載されているとおりである。
【0028】
更なる具体的態様において、本方法は樹脂再生方法と結合され、しかしてプロセスタンクは樹脂再生システムと流体連通している。プロセスタンクからの樹脂の少なくとも一部は再生システム中に送られ、再生され、そして次いでプロセスタンクに戻される。樹脂は、プロセスタンクの別の出口から捕集され得る及び/又は樹脂と接触された液体の流出流中に置かれた随意的磁気分離器から捕獲され得る。
【0029】
更なる具体的態様において、結合された接触−沈降タンクは、一連のかかるタンクの一部を形成する。第1タンクは先に記載されたとおりであるが、しかしこのタンクの流出流は別のプロセスタンクの入口に流入する。この別のタンクの流出流は捕集され得、又は捕集される前に追加的プロセスタンクを貫流し得る。
【0030】
上記に記載された装置もまた新規であり、そして本発明の更なる側面を成す。従って、別の側面において、本発明は、液体をイオン交換樹脂と接触させる装置であって、イオン交換樹脂を含有するためのプロセスタンクを含み、しかもプロセスタンクは液体がプロセスタンクに入るのを可能にするための液体入口及び樹脂と接触された液体がプロセスタンクから流出するのを可能にするための出口を有し且つ出口は入口より上に設けられており、しかもプロセスタンクは入口から出口へ流れる液体中に樹脂が連行されるようになる場合の樹脂の上昇流を妨げるために入口と出口の間に配置された樹脂封じ込め領域と、樹脂と液体の間の接触を促進するために封じ込め領域の下に設けられた接触器領域とを有し、封じ込め領域は沈降部材の配列体を含有し、液体及び樹脂は配列体を通って上方へ流れ得るが、液体の流速と樹脂の濃度の1つ又はそれ以上の組合わせにおいて配列体は樹脂が実質的に封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込まれるのに十分な程度まで樹脂の流れを妨げるように働く装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】飲用水の処理システムにおいて用いるための結合された接触−沈降タンクと残留樹脂分離器の概略図である。
【図2】本発明のプロセスタンクの側面破断図である。
【図3】図2に示されたプロセスタンクの別の側面破断図である。
【図4】取り付けられた樋組立て体を含むところの図2に示されたプロセスタンクの上面図である。
【図5】ラメラ板配列体のデザインの側面図である。
【図6】ラメラ板配列体の別のデザインの側面図である。
【図7】3つの異なるかき混ぜ機RPMにおける図2〜4に示されたプロセスタンクの良好な操作のために貢献する条件のグラフである。
【図8】再生システムと結合されている本発明のプロセスタンクの概略図である。
【図9】樹脂再生システムと結合されている本発明の一連のプロセスタンクの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで本発明を図面を参照してさらに詳細に説明する。
図1は、原水及びMIEX(商標)DOC樹脂と共に用いるための、統合された接触器−沈降器−残留樹脂分離器を含有するところの基本概念のシステムを描く。
【0033】
全体のシステムは、樹脂接触領域(34)、第1段階沈降領域(36)及び残留樹脂分離器/水ポリッシャー(38)を有する。このシステムは、原水がタンクに添加されるところの原水入口(2)を備えたタンク(1)を含む。矢頭は、流体の流れの方向を示す。タンク(1)は、原水の流入流内に樹脂を分散する際に用いるための、モーター(5)に連結されたかき混ぜ機(3)を含む。樹脂もまたタンクセクション(34)内に置かれ、そして追加的樹脂が原水入口(2)又は該セクションにおける別の入口(示されていない)を経て該セクションに添加され得る。
【0034】
使用中、樹脂のほとんどは、接触領域(34)内に封じ込まれるべきである。樹脂で処理された水及びいくらかの樹脂は、原水がタンクの底部中にポンプで送られるにつれて上昇し、そして領域(36)における沈降部材を通って上方へ流れる。磁性樹脂は凝集しそして沈降し、しかして水の上昇流に逆らって下降してタンクの接触器セクション中に戻る。管型又は板型沈降器のような様々な樹脂沈降部材が、沈降を容易にするために用いられ得る。試験システムは、ラメラ板配列体を用いた。
【0035】
水は、沈降部材を通って磁気分離器/水ポリッシャー領域(38)中へ上昇し続ける。水が上方へ流れるにつれて、それは粒状マグネタイト(他のタイプの磁性物質が用いられ得るけれども)の床(30)を貫流する。1.5から6mm又は6から10mmの平均粒子サイズを有するマグネタイト粒子は、樹脂微粉を含めて接触水中に残存する残留樹脂を捕獲するのに有効であると分かった。
【0036】
マグネタイトのただ1つの層、又は異なる粒子サイズを有する2つ(又はそれ以上)の層が用いられ得る。多数の層が用いられる場合、下層が、マグネタイトの上層よりも大きい平均粒子サイズのマグネタイトを有することが好ましい。
【0037】
最後に、ポリッシングされた水は容器の最上部に達し、しかしてそれは出口(29)を経てシステムを去る。
【0038】
本システムは、床(30)中に捕獲された樹脂を除去する際に用いるための、洗浄水パイプ(33)に連結された水噴霧ノズル(32)を備える。床が清浄にされるべきである時、システムはオフラインにされ得、そして水がノズル(32)を通って床にポンプで通される。次いで、洗浄水及び樹脂は沈降器から捕集され、そして洗い終えられた樹脂ビーズは接触器領域に戻されることにより再循環される。樹脂微粉は、廃棄物へ送られ得る。洗浄水及び洗浄済み樹脂を含有するためにプロセスタンクを用いることの代替法として、捕獲容器が床の下の適所に移動されそして洗い終えられた樹脂を捕集するために用いられ得、あるいはマグネタイト床(及び捕獲樹脂)が別の洗浄のためにタンクから除去され得る。
【0039】
試験システムでもっての試行により、本方法が磁性樹脂すなわちMIEX(商標)DOC樹脂を用いて及び低い水アップフロー速度にて働き得ることが確定された。
【0040】
上記の概念のシステムに基づいて、試験用水処理プラントにおいて用いるためのアップフロー式結合接触器/沈降器システムを開発した。かかるシステムは、低減されたプラントフットプリント経費及び実質的に低減された資本経費のような有意な利益を与え得る。樹脂の実質的部分を封じ込め領域内及び封じ込め領域の下に保持するために、システムは2つのラメラ配列体を用いた。出口から下方ラメラ配列体の底までのタンクの部分が、封じ込め領域であると考えられ得る。
【0041】
樹脂の有意な割合をプロセスタンク内に封じ込める必要もあるけれども、樹脂を通って上方へ流れる液体を満足に処理するように、プロセスタンク内の樹脂の良好な分散を得ることが重要であった。しかしながら、樹脂は流れている液体中に連行され得、そしてプロセスタンクから樹脂の実質的量の損失をもたらすことになりそしてそれにより全体の方法を不経済にし得た。いくつかの手段については、十分な品質の樹脂をタンク内に保持するために、プロセスタンクは高さが6m超である必要があり得ると予想された。
【0042】
多数の手段により、液体はプロセスタンクに入り得る。液体は、シャワーヘッドと同様な手段における多数の入口を経て、タンクの基部にてタンク中にポンプで送られ得た。しかしながら、この手段はシステムの費用を有意に増加し得、またいくつかの先在するタンクでもっては可能であり得ず、また流入する液体の特質に依存して閉塞の傾向があり得る。液体がダム、等を源とする原水である場合、閉塞は有意な問題であり得、何故なら液体は入口を閉塞し得る葉及び他の植物物質を含有し得るからである。
【0043】
より低い費用の代替法は、タンクの側面の周りに設けられた1つ又はそれ以上の大きい入口を用いることである。かかる手段は有意により安価であり、また水処理設備において用いられるたいていの現存タイプの処理タンクに対してレトロフィット(「組込み改造」)され得る。かかる入口は閉塞の傾向がより小さいけれども、流入する液体は、タンク内に有意な渦動流を引き起こし得る。かかる流れは樹脂を接触領域内に分散する際に有用であり得るけれども、それは樹脂を封じ込めそして沈降させるべき後続の努力を妨害し得る。
【0044】
好ましい入口システムは、かき混ぜ機の必要なしに操作流速にて樹脂を分散するのに十分であるところの液体の接線流入を用いる。タンクの基部は、円錐形のデザインを有することにより流れを増進させるように構成され得る。この手段は接触器領域において有意な渦動流をもたらすことになるけれども、これらの渦動流は、それらがラメラ配列体を通過するにつれて低減されるか又は無にされる。
【0045】
図2、3及び4は、本発明のプロセスタンク(1)を描く。タンクは、0.36m2の横断面積(600mmの辺)を有しそしておおよそ2.6mの高さである。それは、入口パイプ(2)、モーター(5)に連結されたかき混ぜ機(3)、並びに2つのラメラ板配列体すなわち下方封じ込め配列体(7)及び上方配列体(9)を含む。
【0046】
タンクはタンクの最上部において出口(42)を含み、しかしてこの出口は2つの「V」字切欠き樋(46)のための供給穴である。樹脂と接触された水(及び残留樹脂)は出口を通ってスピル表面(「溢出表面」)44上に流出し、しかしてこの溢出表面は流れを樋(46)中に導くように傾斜されている。樋もまた傾斜されており、そして流れを樋出口(50)を通って捕集トラフ(52)中に導き、しかしてこのトラフは樋の流れを捕集する。トラフは出口(54)を含み、しかしてこの出口から処理水が流出する。流出する水は、必要に応じて更なる処理工程に付され得る。
【0047】
流入する水は、タンクに樹脂接触領域において入る。該領域は基部から下方封じ込めラメラ板配列体(7)までのタンクの部分を含み、そしておおよそ1800mmの高さである。プロセスタンクにおいて用いられた樹脂はMIEX(商標)DOC樹脂であり、しかしてこの樹脂はOrica Australiaからの磁性イオン交換樹脂でありそして水からDOCを除去するのに有用である。樹脂の磁性は樹脂の凝集及び沈降を容易にするが、しかしタンクの底に沈降するその傾向に因り、流入する水内の樹脂の貧分散をもたらすことになり得る。低流速において樹脂を接触領域内に分散されたままにするために、かき混ぜ機が用いられる。より高い流速においては、流入する水の力は、樹脂を分散するのに十分であり得る。
【0048】
下方封じ込め板配列体(7)は一連のラメラ板を含み、しかしてこれらの板は各々250mmの長さであると共に、35mmの間隔を有し且つ60度の角度(水平面から)に置かれている。この配列体の高さは、217mmである。この配列体は、樹脂のほとんどを下の接触領域内に封じ込めるか又は戻すように働く。それはまた、流入する液体の運動により引き起こされたタンク中に存在する渦動流を制御するのを助ける。
【0049】
上方板配列体(9)は下方配列体の最上部よりおおよそ380mm上へ離隔され、そして一連のラメラ板を含み、しかしてこれらの板は各々510mmの長さであると共に、50mmの間隔を有し且つ60度の角度(水平面から)に置かれている。この配列体の高さは、442mmである。この配列体は、上方へ流れる流れ中に存在する樹脂を沈降させそして戻し得る(さもなければ、樹脂はプロセスタンクから逃散し得た)。
【0050】
タンクの最上部は出口を含有し、そして上方板配列体よりおおよそ660mm上にある。
【0051】
使用中、本システムは、流出する水中に依然として存在する樹脂を回収するために、磁気樹脂分離器(示されていない)と結合され得る。磁気樹脂分離器は、樋自体中に又は捕集トラフ出口(54)と流体連通している容器中に含められ得る。残留樹脂を捕獲するために、流出する水は、粒状マグネタイトのカラムに又は可動永久磁石を含有するカラム上に通され得る。有用な樹脂の捕獲及び放出システムは、同じ出願人により出願された同時係属PCT出願であって、磁気樹脂分離器という名称で2005年12月15日に出願されたPCT出願に記載されており、そしてその内容は相互参照により組み込まれる。回収樹脂は、プロセスタンクに戻され得る。
【0052】
樹脂捕獲システムを用いることの代替法として、流出する水は、膜濾過器に通され得る。この濾過器は、樹脂と接触された水(又は他の液体)を通過させる一方、樹脂のすべてをタンク内に封じ込めるように用いられ得る。樹脂のほとんどを膜の下に封じ込めるために、沈降部材の配列体は依然として必要とされる。膜はまた、濾過器を通過する液体を更に処理するように働き得る。膜濾過は比較的高価な方法であり、そして液体が膜濾過器と接触する前に最初に液体をイオン交換樹脂で処理することにより、プロセスタンクからの樹脂の損失を防ぐという利点に加えて、費用的利点があり得る。
【0053】
試験はまた、2つの異なる構成の下方封じ込めラメラ板配列体が取り付けられた場合の上記の0.36m2プロセスタンク(「広がり床接触器」と称される)の性能を評価するために行われた。立方域中へのラメラ板配列体の取付けはデザイン上の問題を引き起こし、何故なら全横断面積が利用され得ないか又は上方へ流れる液体がラメラ配列体を迂回し得るからである。
【0054】
封じ込めラメラ配列体について、2つのデザインの選択肢を試験した。第1配置は図5に描かれており、そして上昇流のためにタンクの全横断面積を利用するが、しかし両端においてラメラ配列体の迂回を許容する。第2配置は、図6に描かれている。最後の板は接触器の側面まで延びており、それにより迂回を減じるが、しかしまた作用面積を21%低減することによって上昇流を圧縮する。
【0055】
試験の結果は、総合性能についてこれらの二つの配置の間に差があり、しかして第1配置が総合的により良好に遂行することを指摘した。それ故、第2デザインの場合の作用面積の低減は、迂回を許容することよりも不利益であった。しかしながら、その差は実質的でなかった。より大きい規模においては、これが起こるとは予想されず、何故なら配列体の端を封じることに因る損失面積の百分率はそれほど大きくないからであり、しかしながらラメラ配列体の作用面積の重要性は確かに強調された。
【0056】
試験は、10、15、20、25、30、35及び40m/hの流速、75、100、125、150、175、200、225、250及び275mL/Lの樹脂プルーム濃度並びに低、中及び高かき混ぜ速度(30、60及び90RPM)において、広がり床接触器の操作性能を決定するために用いられた。
【0057】
プロセスタンクに、第1デザインの封じ込めラメラ配列体(図5参照)を取り付けた。次いで、広がり床接触器及び関連タンクに都市用水を満たした。流出する流れをタンク入口パイプへ戻すために再循環ポンプを用い、そして接触器領域を通る流量を2と5m3/hの間に調整した。次いで、所望量(50リットルの沈降樹脂)のMIEX(登録商標)DOC樹脂(バッチ05−2109 − 10%の微粉が減じられた)を広がり床接触器に添加して、75mL/Lの完全に広げられた樹脂プルーム濃度を達成した。完全に広げられたプルームは、1800mmの高さ(すなわち、接触領域の高さ)を有する。次いで、流速を10m/hに調整し、そしてかき混ぜ機を始動しそして90RPMに調整した。30分後、プルームの高さ及び流速を記録した。
【0058】
樹脂プルームが封じ込めラメラ配列体に達した場合後続の目視検査のために、封じ込め板及びこれらの板より上の領域の写真を撮った。また、広がり床接触器の側面における4つのサンプル箇所からサンプルを取って樹脂濃度を決定し、そしてこれらのサンプル樹脂を戻した。
【0059】
かき混ぜ速度を60RPM及び次いで30RPMに調整し、そして樹脂プルームの高さ及び流速を30分後に記録した。樹脂プルームが封じ込め配列体に達した場合、写真を撮りそしてサンプルを取った。35m/hが達成されるまで流速を増加して(5m/hの間隔)試験を繰り返したか、又は極端量の樹脂が封じ込めラメラ配列体に侵入した場合は試験をより早く中止した。
【0060】
試験された最後の速度より5m/h高いアップフロー速度における30分後、かき混ぜをやめ、そして樹脂プルームの高さ及び流速を記録した。
【0061】
接触器を通る流量を2〜5m3/hの間に調整し、そして更なる樹脂(15リットル)を添加して、完全に広げられたプルームの樹脂濃度を25mL/L増加した。次いで、流速を10m/hに調整し、そしてかき混ぜ機を始動しそして90RPMに調整し、そして上記の試験を繰り返した。完全に広げられたプルーム濃度が200mL/Lに達するまで樹脂濃度を増加して、この試験を更に繰り返した。
【0062】
第2デザイン(図6)でもって、上記の手順を繰り返した。所望量のMIEX(登録商標)DOC樹脂(バッチ05−2109−10%の微粉が減じられた)(65リットルの沈降樹脂)を広がり床接触器に添加して、100mL/Lの完全に広げられたプルーム濃度(1800mmにおける)を達成した。完全に広げられたプルーム濃度が275mL/Lに達するまで、試験手順を先の方法に従って繰り返した。
【0063】
漏出事象を明白にするために、下方封じ込めラメラ配列体より上の領域において10mL/Lより大きい樹脂濃度を用いた。しかしながら、上方ラメラ配列体は、この率が超えられる状況を制御するように適切に機能することができると思えた。
【0064】
性能試験は、広範囲のタンク内のインベントリー樹脂濃度、かき混ぜ速度及び水の流速にわたって、2つのラメラ板配列体を有する上記の広がり床接触器を操作することが可能であることを指摘した。試験された封じ込めラメラ配列体のデザインが最適であるとは考えられず、そして上方操作範囲を制限した。しかしながら、それらの結果は、水処理プラントにおいて予想される典型的操作範囲を包含し且つ操作上の変動又は誤りのためのかなりの余裕を許容するのに十分であった、ということが考えられる。
【0065】
樹脂プルームがちょうど下方封じ込め配列体に達するような条件であった場合、封じ込め配列体中への侵入はほとんど起こらなかった、ということが記された。しかしながら、プルーム広がりの推進物が増加すればするほど、それだけ多く配列体中に侵入した。典型的には、流速の5m/hの増加ごとに、配列体中への侵入は約100mm増加した(これは、下方配列体において板の長さを増加することが有益であり得ることを示唆している)。同様な結果が増加されたかき混ぜ及びプルーム樹脂濃度の結果として起こったが、しかしながらそれぞれ界面の乱れ及び比較実験間のタイムラグがかかる観察を比較的明白でないようにした。
【0066】
いったん漏出が起こると、流速の5m/hの増加、プルーム濃度の25mL/Lの増加又はかき混ぜの30RPMの増加は、下方封じ込め配列体より上の樹脂濃度を100〜200%増加した。それ故、漏出事象は三つのパラメーターのすべてに関して妥当なほど徐々であり、しかしてパラメーターの組合わせが一度に増加されない限り、誤りのための十分な操作上の余裕を与える。その代わりに、上記に特記されたもののような余裕だけの、これらのパラメーターのいずれか一つについての低減が、その他のパラメーターの一つについての増加を相殺するために用いられ得る。
【0067】
完全に広げられたプルームすなわち封じ込めラメラ配列体の高さまで延びるプルーム(1800mm)をもたらすことになったところの及び均質なプルームを達成するのに必要とされたところの流速、かき混ぜ及び樹脂濃度の組合わせは、必ずしも同じであるとは限らなかった。しかしながら、その差異は、プルームの上半分と下半分の間において、常に20%より小さい差であった。かかる差異は、200mL/Lより大きい樹脂濃度においては起こらなかった。
【0068】
十分に広げられたプルームの発生のための流速及びかき混ぜの要件並びに均質なプルームを達成するのに必要とされるそれらの要件は、表1に提示されている。サンプル箇所においてなされた樹脂濃度測定は、完全に広げられたプルームが達成された場合はいつも、床の下半分は常に均質であることを指摘した。しかしながら、いくつかのプルームの上半分における樹脂濃度は、下半分における樹脂濃度より20%まで小さかった。しかしながら、プルームの上半分における樹脂濃度の20%低減は、関係樹脂濃度が高いことを考慮すると、あまり問題を呈さないはずである。
【0069】
200mL/Lより小さい樹脂濃度を有するプルームは広げられたプルームを達成するためよりも均質なプルームを達成するためにより多くのエネルギーを必要としたのに対して、200mL/L超ではエネルギー要件は同じであった。増加かき混ぜはプルームの均質化を改善するのに格別有効でなかったが、しかしながら増加流速は有効であった。
【0070】
【表1】

【0071】
完全な床広がり(FBE)のために必要とされる流速及びかき混ぜと均質な床(HB)を達成するのに必要とされるそれとの間の差異は、下方濃度においてより大きい、ということが上記から明らかである。200mL/Lを超える濃度においては、差異は存在しない。この変化は、プルーム広がりの推進物を反映するように思える。低い密度においては、乱れがプルーム広がりの主推進物であり、そしてエネルギーが散逸される結果として、プルームの上方領域における樹脂は沈降することができる。しかしながら、プルーム界面の最上部においてかなりの乱れが依然としてあり、しかして不十分に画定された界面をもたらすことになる。高い樹脂濃度においては、入ってくる水流と関連したエネルギー及びかき混ぜのエネルギーは下方プルーム中に効果的に分散され、そしてアップフロー速度がプルーム広がりを推進する。その結果として、プルーム界面は、乱れが比較的なくそして非常に十分に画定される。
【0072】
試験結果は、試験プロセスタンクについて、良好な操作のための操作条件の範囲に関して指標を与えた。統合された結果が、図7のグラフにて描かれている。このグラフは、流速(m/h)対接触固形分(mL/L)を示す。3つの異なる陰影帯域は好ましい操作条件を指摘し、そして同じタイプの線により境界が定められた領域は許容操作条件を表す。最小許容度は、1200mmの樹脂プルーム(床広がり)であった。最大許容度は、下方封じ込めラメラ配列体より上における10mL/Lの最大樹脂濃度であった。
【0073】
広範囲のかき混ぜ速度にわたっての操作が可能であった状況において、好ましい操作条件は、最低のかき混ぜでもっての条件である。最少量のかき混ぜを与えることが、摩耗を最小にすることにより及びラメラ配列体を通じてのより均一な流れ分布を容易にすることにより樹脂損失を最小にするはずである、という憶説である。
【0074】
グラフにて表された最適操作条件は、プロセスタンク(その全体のデザイン(規模、アスペクト比、インペラーのデザイン/位置、等)を含めて)及び樹脂特性(沈降速度、微粉含有率、清浄度、等)の多くのパラメーターに特有である。それ故、これらの結果は、上記の試験において用いられたプロセスタンク以外の種々のプロセスタンクにおいて達成され得る可能な操作パラメーターへの手引きとしてのみ用いられ得る。
【0075】
試験はまた、単一ラメラ板配列体を備えた上記の0.36m2プロセスタンクを用いて遂行された。このタンクは図2及び3に関して上記に記載されたとおりであるが、しかし下方封じ込めラメラ配列体が省かれている。このシステムは、プロセスタンクからの非常に低い樹脂損失率(0.11L/MLくらい低い)を達成した。この損失率は、試験樹脂についての最適操作流速(25.5m/h)にて17日間の操作後に達成された。
【0076】
これらの試験は、単一ラメラ配列体システムが働き得るけれども、水処理プラントにおいてかかるシステムを用いる場合にいくつかの難点があり得ることを指摘した。このシステムは、乏しい樹脂下降率の欠点がある潜在性を有する。1m/hくらいのわずかな流速揺らぎが、過度の広がり(>100%の増加)を又はプロセスタンクの全体にわたっての樹脂の乏しい広がり(高さについて<1000mm)をもたらすことになり得る。過度の広がりは樹脂損失率を有意に増加し得、一方乏しい広がりは接触領域の全体にわたっての樹脂分散及びそれ故イオン交換法の効率に影響を及ぼす。これは水処理プラントにおいて有意な難点を呈し得、何故なら流速についていくらかの変動が予想され得る及び保守中のように必要とされ得るからである。
【0077】
試験はまた、プロセスタンク内に含有される樹脂の量を変えることが操作範囲を変更させ得ることを指摘した。しかしながら、樹脂インベントリーの大きい変化が必要とされ、しかして50%変化が流速についての2〜3m/hの変化に対応する。
【0078】
試験はまた、樹脂インベントリーを異なる沈降速度特性を有するものに取り替えることが操作範囲について少なくとも11m/hの変動を与え得ることを指摘したが、しかしかかる取替えは商業的設定において実用的でありそうにない。
【0079】
最適操作流速より大きい速度におけるシステムの操作中、ラメラ板配列体は、少なくとも9m/hの流速範囲にわたってプルーム広がりをラメラ配列体の底に制限する能力を示した。重要なことに、これらの試行はそれが依然として樹脂の大部分を保持することができることを指摘し、そしてそれ故極端な樹脂損失率から守る能力を示した。
【0080】
上昇流内に樹脂を広がらせそして分散することによるシステムの操作範囲を増加するために、機械的かき混ぜ、流速及び適切な入口デザイン構成が用いられ得る、ということも考えられた。しかしながら、生じた乱流パターン及び渦動流が、沈降部材の総合性能に影響を及ぼしそしてシステムからの樹脂損失を増加し得る。
【0081】
本方法は、液体の処理において用いられる他のプロセス工程又は装置と結合され得る。図8は、入口(2)、かき混ぜ機(3)及びモーター(5)並びに出口(29)を有するプロセスタンク(1)の結合を描く。タンクは、ラメラ板の配列体のような沈降部材(6)を含む。タンクはまた樹脂出口パイプ(60)を含み、しかしてその樹脂はタンクから樹脂再生システム(62)中に進み得る。MIEX(登録商標)DOC樹脂について、適当な再生剤はブラインである。再生樹脂は、樹脂入口パイプ(64)によりタンクに戻され得る。出口(60)から捕集された樹脂のすべてを再生する必要はない。樹脂の一部が再生され得、そして残余は液体入口パイプ(2)、再生樹脂入口(64)又は別の入口パイプ(示されていない)を経てプロセスタンクに戻され得る。
【0082】
樹脂再生システム(62)は、任意の公知の樹脂再生システムを含み得る。最も単純な形態において、それはタンクを含み得、しかしてこのタンクにおいて樹脂が適当な再生剤で浸漬された後にすすがれそしてプロセスタンクに戻される。より複雑なシステムが用いられ得、そしてWO2005/105677に記載されたもののような連続流システムを用いることが好ましい。PCT/AU2005/001111に記載されたもののような栓流システムもまた用いられ得る。これらの特許の内容は、相互参照により組み込まれる。
【0083】
図9は別の代替法を描いており、しかして一連のプロセスタンクを用いる。第1プロセスタンク(1)は、図8に関して先に記載されたものと実質的に同じである。それは、樹脂の一部の再生のための再生システム(62)と流体連通している。
【0084】
樹脂と接触された液体及び残留樹脂の流出する流れは出口(29)を去り、そして一連のプロセスタンクのその次のプロセスタンク(71)の入口中に進む。このタンクはかき混ぜ機(73)、モーター(75)、沈降部材(76)を備え、また出口(79)を有する。流入する液体中に存在する残留樹脂はこのタンク中の樹脂と一緒になり、そして沈降部材(76)に通すことにより沈降され得る。
【0085】
出口(79)は、入口(82)を介して更なるプロセスタンク(81)に連結される。このタンクは、かき混ぜ機(83)、モーター(85)及び沈降部材(86)を含む。樹脂と接触された液体は、出口(89)を経て流出する。流出する液体の流れ中に残存する残留樹脂は、この流れ中において先に記載されたような磁気分離器を用いることにより捕獲され得る。
【0086】
タンクは、樹脂出口(67)及び(77)にそれぞれ連結された樹脂出口(78)及び(88)を含む。これにより、樹脂が下流タンクから上流タンク中にポンプで戻されることが可能にされる。
【0087】
本明細書及び添付の請求項の全体を通じて、文脈が違ったように要求しない限り、語「含む」、及び「含み」のような変型は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の包含を意味するように、しかしいかなる他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群の排除も意味しないように理解される。
【0088】
本明細書におけるいかなる先行技術への言及も、その先行技術がオーストラリア国における一般常識の一部を形成するということの承認又は何らかの形式若しくは示唆ではなく、そしてそのように解されるべきでない。
【0089】
広く記載された本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の具体的態様で示された本発明に対して数多くの変型及び/又は改変がなされ得る、ということが当業者により理解されるであろう。それ故、本具体的態様は、あらゆる点において、例示として考えられるべきであり、限定と考えられるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をイオン交換樹脂と接触させる方法であって、イオン交換樹脂を含有するプロセスタンク中に入口にて液体を導入し、そして樹脂と接触された液体をプロセスタンクから出口にて取り出すことを含み、しかも出口は入口より上に設けられており、プロセスタンクは入口から出口へ流れる液体中に樹脂が連行されるようになる場合の樹脂の上昇流を妨げるために入口と出口の間に配置された樹脂封じ込め領域と、樹脂と液体の間の接触を促進するために封じ込め領域の下に設けられた接触器領域とを含み、封じ込め領域は沈降部材の配列体を含有し、液体及び樹脂は配列体を通って上方へ流れるが、配列体は樹脂が実質的に封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込められるのに十分な程度まで樹脂の流れを妨げる方法。
【請求項2】
樹脂が、液体より大きい密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
樹脂が、液体より少なくとも10%大きい密度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
樹脂が液体より少なくとも15%大きい密度を有し、好ましくは液体は水である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
樹脂が、磁性イオン交換樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
樹脂が、Orica Australia Pyt LtdからのMIEX(商標)樹脂である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
沈降部材が、磁性イオン交換樹脂の凝集を促進するように配置される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
沈降部材が、ラメラ板、傾斜板及び/又は沈降管である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
プロセスタンクが沈降部材の配列体の上流の封じ込め領域内に沈降部材の1つ又はそれ以上の追加的配列体を含み、そしてこれらの追加的配列体が樹脂を封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込めるのを助ける、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
樹脂と接触された液体の流出する流れによって出口を通って運ばれた残留樹脂を捕獲する追加的工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
樹脂と接触された液体の出口からの流れを、この流れ内に置かれた永久磁石により与えられた磁場に通す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
永久磁石の磁場により保持された樹脂を放出しそしてこの放出樹脂を捕獲する更なる工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
樹脂と接触された液体の液体流内に接触表面を置き、しかも該接触表面を通って該流中に延びる磁場を与えるところの且つ磁性樹脂を該接触表面上に引きつけそして保持することが可能であるところの永久磁石を該接触表面の後ろに置くことにより、残留磁性樹脂を該液体流から分離し、しかも該磁場は該接触表面上に保持された樹脂を放出するように、作動手段に応答して低減又は除去され得る、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
磁石を流れ接触表面から遠ざかるように移動することにより、磁場を低減又は除去する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
液体が水である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
プロセスタンクが樹脂再生システムと流体連通しており、それにより樹脂はプロセスタンクから除去されそしてこの樹脂の少なくとも一部は再生過程に付された後に再生樹脂がプロセスタンクの接触器樹脂に戻され得る、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
液体をイオン交換樹脂と接触させる装置であって、イオン交換樹脂を含有するためのプロセスタンクを含み、しかもプロセスタンクは液体がプロセスタンクに入るのを可能にするための液体入口及び樹脂と接触された液体がプロセスタンクから流出するのを可能にするための出口を有し且つ出口は入口より上に設けられており、しかもプロセスタンクは入口から出口へ流れる液体中に樹脂が連行されるようになる場合の樹脂の上昇流を妨げるために入口と出口の間に配置された樹脂封じ込め領域と、樹脂と液体の間の接触を促進するために封じ込め領域の下に設けられた接触器領域とを有し、封じ込め領域は沈降部材の配列体を含有し、液体及び樹脂は配列体を通って上方へ流れ得るが、液体の流速と樹脂の濃度の1つ又はそれ以上の組合わせにおいて配列体は樹脂が実質的に封じ込め領域内又は封じ込め領域の下に封じ込まれるのに十分な程度まで樹脂の流れを妨げるように働く装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−161792(P2012−161792A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−64871(P2012−64871)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2007−545785(P2007−545785)の分割
【原出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(504248768)オリカ オーストラリア プロプライアタリー リミティド (4)
【Fターム(参考)】