樹脂材料と導電性フィラーとの混合方法及び該方法により作製された複合材料及びマスターペレット
【課題】樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、導電性フィラーからなる連続した導電性経路を保持させた樹脂材料を製造し、導電性フィラーの添加が低濃度でも高い導電性を示す複合材料を作製できる技術を提供する。
【解決手段】樹脂材料をクロロホルム等の溶剤で溶解し、導電性フィラーを添加し、超音波処理などの物理化学的な処理によって導電性フィラーが均一に分散された樹脂溶解液を調製する。その溶解液を母材となる粒状樹脂材料の表面にコーティングしマスターペレットを作製し、その後マスターペレットを適度に混練し、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を保持し、樹脂材料の残りの部分は導電性を実質的に有しない樹脂相とから構成された導電性複合材料を製造する。
【解決手段】樹脂材料をクロロホルム等の溶剤で溶解し、導電性フィラーを添加し、超音波処理などの物理化学的な処理によって導電性フィラーが均一に分散された樹脂溶解液を調製する。その溶解液を母材となる粒状樹脂材料の表面にコーティングしマスターペレットを作製し、その後マスターペレットを適度に混練し、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を保持し、樹脂材料の残りの部分は導電性を実質的に有しない樹脂相とから構成された導電性複合材料を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、導電性フィラーを含有する連続した導電性経路を保持させた樹脂材料を製造し、微細炭素繊維の添加が低濃度でも高い導電性を示す複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス技術の急速な発展により、情報処理装置や、電子事務機器が急速に普及している。この様な電子機器の急速な普及に伴い、電子部品から発生するノイズが周辺機器に影響を与える電磁波障害や、静電気による誤作動等のトラブルが増大し、大きな問題となっている。これらの問題の解決のために、この分野では導電性や制電性に優れた材料が要求されている。従来、導電性の乏しい高分子材料においては、導電性の高い導電性フィラー等を配合する事により、導電性機能を付与させた導電性高分子材料が広く利用されている。
【0003】
従来、導電性フィラーとしては、金属繊維及び金属粉末、カーボンブラック、微細炭素繊維などが一般に用いられているが、近年発見された微細炭素繊維が広い産業分野で需要が高まっている。
【0004】
微細炭素繊維は直径1μm以下の太さのチューブ状材料であり、理想的なものとしては炭素6角網目の面がチューブの軸に平行な管を形成し、さらにこの管が二層、三層、四層又は多層になることもある。この微細炭素繊維は炭素でできた6角網目の数や、チューブの太さによって異なる性質を有する。そのためそれらの化学的特性、電気的特性、機械的特性、熱伝導性、構造特性等の物性を利用して、電子デバイス、電気配線、熱電変換素子材料、建材用放熱材料、電磁波吸収シールド材、フラットパネルディスプレイ用電界放出陰極材料、電極接合材料、樹脂複合材料、透明導電膜、電磁波吸収体、触媒担持材料、電極・水素貯蔵材、補強材料及び黒色顔料等への応用が期待されている。
【0005】
しかし、これらの導電性フィラーを用いた導電性複合材料は、導電性フィラーの分散性が樹脂組成物の導電性に大きく影響するため、安定した導電性を得るには特殊な配合技術、混合技術が必要とされるという問題を有している。
【0006】
導電性材料製造においては圧縮、注型、射出、押出又は延伸方式による帯電防止板の作製、導電性塗料を用いてミクロンオーダーの帯電防止膜、電磁波シールド材、スピンコーターまたはバーコーター方式によるサブミクロンオーダーの半透明または透明導電性薄膜作製検討等の研究が盛んに行われている。
【0007】
粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーを混合する際に、粒状飽和ポリエステルをエポキシ基含有化合物で被覆した後、粉体状フィラー添加し、粒状飽和ポリエステルに付着させたペレットを作製し、該ペレットを混練することで、粉体状フィラーを樹脂材料に均一に分散できることが開示されている。また粉体状フィラーとして微細炭素繊維が例示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
粒状樹脂材料と微細炭素繊維を混合する際に、粒状樹脂材料を加熱し表面を軟化させた部分に微細炭素繊維を付着させたペレットを作製し、該ペレットを混練することで、微細炭素繊維を樹脂材料に均一に分散できることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
導電性フィラーではないものの、粒状樹脂材料と色素材を混合する際に、攪拌装置を用いて粒状樹脂材料を色素材で覆ったペレットを作製し、該ペレットを混練することで、色素を樹脂材料に均一に分散できることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
微細炭素繊維が、それらが互いにからみ合った凝集体で樹脂中に分散されている導電性複合材料が開示されている(例えば、特許文献4)。
【0011】
タングステンなどの無機材料とビス(トリエトキシシリル)オクタンなどの有機化合物を混合する際に、導電性を高めるために導電性無機材料を連続するように混合した複合材料が開示されている(例えば、特許文献5)。
【0012】
ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、補強材及び導電性材料を混練して得られた導電性複合材料が開示されている(例えば、特許文献6)。
【0013】
【特許文献1】特開2005−15646号公報
【特許文献2】特開2005−298553号公報
【特許文献3】特開2000−344897号公報
【特許文献4】特許2862578号公報
【特許文献5】特開2005−105015号公報
【特許文献6】特開2003−157863号公報
【0014】
このように、導電性フィラーの樹脂材料に対する分散性や、導電性複合材料の導電性を改善するために様々な試みがなされている。
【0015】
特許文献1〜4は、特許文献も導電性フィラー等の均一分散をさせるために混練前のペレットに改良をしている。しかし、特許文献1及び特許文献2は粉体状フィラー(例としてカーボンナノチューブ、炭素繊維)を溶剤などでの分散や解繊などの前処理を行わず、直接母材となる樹脂に接着させてマスターペレットを製造しているため、成型した導電性複合材料中で導電性フィラーは凝集体を形成しやすく、連続した導電性経路の保持には適していない。特許文献3は母材ペレットと色素からなるマスターペレットを作製するものであり、導電性フィラーの分散技術に関するものではない。特許文献4は、微細炭素繊維を分散させ導電性複合材料を製造するものであるが、該文献は微細炭素繊維が互いにからみ合った凝集体であることを特徴としており、微細炭素繊維は解繊状態になっていない。特許文献5及び6では、導電性材料を連続させた構造を特徴とする複合材料を提供しているが、特許文献5は微細炭素繊維からなる相の明確な記載はなく、また樹脂相からなる導電性を有さない相の記載もない。特許文献6は無機酸を80%以上含有する相を持つ構造を特徴としている点で用途が制約される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、導電性フィラーを含む連続した導電性経路を保持させた樹脂材料を製造し、低い導電性フィラーの添加濃度で高い導電性を示す複合材料を作製できる技術を提供する事にある。
【0017】
微細炭素繊維などを導電性フィラーして使用する場合、通常少量の添加では高い導電性は発揮できない。一方、導電性を付与するには高充填を必要とするため、樹脂本来の物性を低下させてしまう。又、分散方法に改良をしない場合、導電性フィラーの凝集体が残るなどの問題が生じ、導電性にバラツキが発生し導電性経路が途切れることがある。さらには、微細炭素繊維は高額であるため低コストの導電性複合材料を製造するためにも、低濃度の微細炭素繊維によって、高い導電性を示す混練方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、
導電性フィラー分散液を母材となる樹脂ペレットの表面にコーティングしマスターペレットを作製し、その後マスターペレットを適度に混練し、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を保持し、前記樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相とから構成された導電性複合材料を製造することで、導電性フィラーの添加濃度を低くしても高い導電性示す事を見出し、本発明の完成に至った。本発明は、以下の内容で構成されている。
【0019】
母材となる樹脂材料と導電性フィラーを含み、前記導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、該連続相である導電性フィラー含有樹脂相中には連続的な導電性経路が保持されており、前記樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されていることを特徴とする導電性複合材料である。
【0020】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、溶剤中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料の表面に塗布し乾燥して得られた、樹脂の粒状材料の表層に存在している導電性フィラーと樹脂の粒状材料の表面部分が溶解混合されて形成した導電性複合材料である。
【0021】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、母材となる樹脂材料の溶剤溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性フィラー含有樹脂膜を基にして形成したものである導電性複合材料である。
【0022】
前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする導電性複合材料である。
【0023】
前記導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される導電性複合材料であるである。
【0024】
前記微細炭素繊維が0.5〜800nmの外径を有する事を特徴とする導電性複合材料である。
【0025】
前記微細炭素繊維が単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブである導電性複合材料である。
【0026】
前記微細炭素繊維が、外径15〜100nmの炭素繊維から構成されるネットワーク状の炭素繊維構造体であって、前記炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状部は前記炭素繊維の成長過程において形成されてなるものであって前記炭素繊維外形の1.3倍以上の大きさを有するものである事を特徴とする導電性複合材料である。
【0027】
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(mーPPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)のうちから選択された少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする導電性複合材料である。
【0028】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、前記した樹脂材料の有機溶媒溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、塗布し乾燥させて得られた、導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0029】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0030】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を塗布して得られた、マスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0031】
前記バインダーは熱可塑性樹脂、セルロース、糊、接着材のうちから選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0032】
前記した母材となる樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0033】
前記した導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0034】
溶剤に導電性フィラーを分散させた分散液、または樹脂材料の一部分を溶剤に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥してマスターペレットを製造する工程(1)と、
工程(1)で製造されたマスターペレットを混練するに際して、マスターペレット表面の導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、マスターペレット中心部の樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、しかも前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相は導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続的な導電性経路が保持されている程度に混練する工程(2)とからなり、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されている導電性複合材料の製造方法である。
【0035】
前記した導電性フィラーを分散させる溶剤は、有機溶媒および水から選択される1種以上を含むものである導電性複合材料の製造方法である。
【0036】
前記有機溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、二硫化炭素、アセトン、イソプロピルアルコール、エチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ノルマルヘキサン、メタノール、メチルエチルケトン、ガソリン、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレピン油、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールのうちから選択される少なくとも1種以上である導電性複合材料の製造方法である。
【0037】
前記したマスターペレットを製造するために、前記樹脂材料と樹脂材料を溶解する前記溶媒との組み合わせが、セルロースアセテートとアセトン、エチルセルロースとクロロホルム、ポリカーボネートとクロロホルム、ポリカーボネートとジクロロメタン、ポリジメチルシロキサンとトリクロロエタン、ポリメチルメタクリラートとアセトン、ポリメチルメタクリラートとトルエン、ポリメチルメタクリラートとクロロホルム、ポリスチレンとトルエン、ポリスチレンとテトラヒロドフラン、ポリビニルアセテートとアセトン、ポリビニルアセテートとメタノール、ポリビニルアセテートとトルエン、ポリビニルクロライドとトルエン、ポリビニルクロライドとテトラヒドロフラン、ポリビニルピロリジンとエタノール、ポリビニルピロリジンとメタノール、シュークロースオクタアセテートとトルエン、ポリビニルアルコールと温水であることを特徴とする導電性複合材料の製造方法である。
【0038】
前記した工程(1)においてマスターペレットを製造するために、導電性フィラーと樹脂材料を含有する分散液を母材となる樹脂の粒状材料に数段階に分けてスプレーすることを特徴とする導電性複合材料の製造方法である。
【0039】
前記した工程(2)において前記導電性複合材料を製造するために、熱プレス機を用いて混練する導電性複合材料の製造方法である。
【0040】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、樹脂材料の一部分を溶媒に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法である。
【0041】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法である。
【0042】
前記導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、得られたマスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする得られた導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法である。
【発明の効果】
【0043】
本発明の導電性複合材料は、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を保持しており、樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相とから構成されているので、導電性フィラーの添加濃度を低くしても高い導電性を有している。本発明の導電性複合材料製造用マスターペレットを材料に使用することによって、本発明の導電性複合材料を簡便かつ確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂材料としては、例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(mーPPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)及びこれらを変性した樹脂等が挙げられる。
【0045】
本発明の母材となる樹脂の粒状材料(以後、母材ペレットとも称する)とは、樹脂材料からなるもので、形状は球状、棒状、板状、米粒状、あるいはサイコロ状であってペレット表面を導電性フィラーでコーティング可能であればいずれの形状でもよい。製造された導電性複合材料製造用マスターペレットもほぼ同じ形状となる。
【0046】
本発明の母材樹脂ペレットのコーティングは、樹脂溶解液中に導電性フィラーを分散させた液を用いても、有機溶媒などの溶剤中に直接導電性フィラーを分散させた液を用いてもよい。後者の方法で製造したマスターペレットは導電性フィラーが母材樹脂ペレットから剥がれやすいので、導電性フィラーの外側の接着性をバインダーなどで高めてもよい。バインダーで処理でマスターペレットの強度が高まり、運搬が容易となる。
【0047】
本発明でいう溶剤とは、樹脂材料を溶解させたり、前記溶解樹脂材料中での導電性フィラーを分散させるために用いる溶剤のことであり、必要に応じて有機溶媒や水などを使い分ければよい。溶剤が水の場合、溶解や分散を効果的に行うために界面活性剤を使用してもよい。
【0048】
本発明で使用する溶剤を以下に挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、芳香族炭化水素類であるトルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、塩化芳香族炭化水素類であるクロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン、塩化脂肪族炭化水素類であるジクロルメタン、クロロホルム(トリクロルメタン)、四塩化炭素(テトラクロルメタン)、1,2−ジクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2,2−テトラクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、トラクロルエチレン(パークロルエチレン)、アルコール類であるメタノール(メチルアルコール)、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール 、イソブチルアルコール 、イソペンチルアルコール(イソアミルアルコール)、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エステル類である酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル(酢酸アミル)、酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル)、エーテル類であるエチルエーテル、1,4ージオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ケトン類であるアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、グリコールエーテル(セロソルブ)類であるエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、脂環式炭化水素類であるシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、脂肪族炭化水素類であるノルマルヘキサン、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物であるガソリン、ベンジン、ゴム揮発油、大豆揮発油、ミネラルスピリット、クリーニングソルベント、コールタールナフサ(沸点範囲120〜160℃、120〜180℃、140〜200℃)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油 、ミネラルスピリット、 脂環族炭化水素(テレビン油)、混合炭化水素(HAWS、ソルベット100、ソルベット150)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトール、ブチルカービトール、メトキシブタノール)及びエステルエーテル類(酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カービトール、酢酸メトキシブチル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホン)、シリコーンオイル類(ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ブロモベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、フッ素化物類、その他であるクレゾール、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。またこれらを2種以上混合してもよい。さらに溶剤の量は、塗料として使用するときの粘度が塗装できる適当な範囲になるように選定すればよい。
【0049】
これら溶剤は、熱可塑性樹脂を溶解できればよく、樹脂にあわせた溶剤を適宜選択することが望ましい。必要に応じては溶剤の樹脂溶解性や樹脂の軟化温度または融点を考慮して溶解時の温度調節をしてもよい。
【0050】
本発明でいう解繊とは、互いに絡みあった導電性フィラーの一部を解し、凝集状態を開放させることを意味する。特に微細炭素繊維は、非常に大きなアスペクト比を有し、また、微細炭素繊維同士の間にファンデルワールス力が働く。このため、製造された微細炭素繊維は、相互に密に絡み合った凝集状態で生成され、粒径が不均一であり、その中には粒径の大きなものが混在する。不均一な粒径や繊維長にバラツキのある微細炭素繊維を添加物としてそのままの状態で使用すれば、分散性の低下等の不都合が発生するため、凝集状態を形成した微細炭素繊維の粒径及び繊維を何らかの手法によって細分化し、粒径及び繊維長を均一に形成してから添加物として使用することが望ましい。解繊させるための手段として微細炭素繊維など導電性フィラーに溶剤や超音波処理等を組み合わせて処理を行ってもよい。解繊処理を施すことによって、母材樹脂の粒状材料への接着性を向上させ、さらにマスターペレットを混練して形成させた導電性複合材料中で微細炭素繊維等が樹脂中に凝集状態とならずに広がった状態となり、導電性経路を保持させる点で有効である。
【0051】
本発明の導電性フィラーにおいては、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維またはセラミックウィスカーを示し、それぞれ目的に応じて用いる事が出来る。
【0052】
本発明の微細炭素繊維においては、単層、二層及び多層の微細炭素繊維を示し、それぞれ目的に応じて用いる事が出来る。本発明においては、多層の微細炭素繊維が用いられる。微細炭素繊維の製造方法に関しては、特に制限されるものではなく、触媒を用いる気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法及びHiPco法(High−pressure carbon monooxide process)等、従来公知のいずれの製造方法でもよい。
【0053】
例えば、レーザー蒸着法により単層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。原料としてグラファイトパウダーと、ニッケル及びコバルト微粉末混合ロットを用意した。この混合ロットを665hPa(500Torr)のアルゴン雰囲気下、電気炉により1250℃に加熱し、そこに350mJ/PulseのNd:YAGレーザーの第二高調波パルスを照射し、炭素と金属微粒子を蒸発させることにより、単層の微細炭素繊維を作製することができる。
【0054】
以上の作製方法は、あくまで典型例であり、金属の種類、ガスの種類、電気炉の温度、レーザーの波長等を変更してもよい。また、レーザー蒸着法以外の作製法、例えばHiPco法、気相成長法、アーク放電法、一酸化炭素の熱分解法、微細な空孔中に有機分子を挿入して熱分解するテンプレート法、フラーレン・金属共蒸着法等、他の手法によって作製された単層の微細炭素繊維を使用してもよい。
【0055】
例えば、定温アーク放電法により二層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。基板は表面処理されたSi基板を用い、処理方法としては触媒金属及び触媒助剤金属を溶解した溶液中に、アルミナ粉末を30分間浸し、さらに3時間超音波処理により分散させて得られた溶液をSi基板に塗布し、空気中において120℃で維持し乾燥させた。微細炭素繊維製造装置の反応室に基板を設置し、反応ガスとして水素とメタンの混合ガスを用い、ガスの供給量は水素を500sccm、メタンを10sccmとし、反応室の圧力を70Torrとした。陰極部はTaよりなる棒状の放電部を用いた。次に陽極部と陰極部及び陽極部と基板との間に直流電圧を印加し、放電電流が2.5Aで一定になるように放電電圧を制御した。放電により陰極部の温度が2300℃になると正規グロー放電状態から異常グロー放電状態になり、放電電流が2.5A、放電電圧が700V、反応ガス温度が3000℃の状態を10分間行うことで、基板全体に単層及び2層の微細炭素繊維を作製することができる。
【0056】
以上の作製方法は、あくまで一例であり、金属の種類、ガスの種類等、諸条件を変更してもよい。また、アーク放電法以外の作製法によって作製された単層の微細炭素繊維を使用してもよい。
【0057】
例えば、気相成長法により三次元構造を有した多層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。基本的には、遷移金属超微粒子を触媒として炭化水素等の有機化合物をCVD法で化学熱分解して繊維構造体(以下、中間体)を得、これをさらに高温熱処理することで多層の微細炭素繊維を作製することができる。
【0058】
原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素、エタノール等のアルコール類が使用されるが、炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることが好ましい。なお、少なくとも2つ以上の炭素化合物とは、必ずしも原料有機化合物として2種以上のものを使用するというものではなく、原料有機化合物としては1種のものを使用した場合であっても、繊維構造体の合成過程においては、例えば、トルエンやキシレンの水素脱アルキル化などのような反応を生じて、その後の熱分解反応系においては分解温度の異なる2つ以上の炭素化合物となっているような態様を含むものである。雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用い、触媒としては鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物の混合物を使用する。
【0059】
中間体の合成は、通常行われている炭化水素などのCVD法を用い、原料となる炭化水素及び触媒の混合液を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1300℃の温度で熱分解する。これにより、外径が15〜100nmの繊維相互が、前記触媒の粒子を核として成長した粒状体によって結合した疎な三次元構造を有する微細炭素繊維構造体(中間体)が複数集まった数センチから数十センチの大きさの集合体を合成する。
【0060】
原料となる炭化水素の熱分解反応は、主として触媒粒子ないしこれを核として成長した粒状体表面において生じ、分解によって生じた炭素の再結晶化が当該触媒粒子ないし粒状体より一定方向に進むことで、繊維状に成長する。しかしこの熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させる、例えば上記したように炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることで、一次元的方向にのみ炭素物質を成長させることなく、粒状体を中心として三次元的に炭素物質を成長させる。もちろん、このような三次元的な微細炭素繊維の成長は、熱分解速度と成長速度とのバランスにのみ依存するものではなく、触媒粒子の結晶面選択性、反応炉内における滞留時間、炉内温度分布等によっても影響を受けるが、概して、上記したような熱分解速度よりも成長速度の方が速いと、炭素物質は繊維状に成長し、一方、成長速度よりも熱分解速度の方が速いと、炭素物質は触媒粒子の周面方向に成長する。従って、熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させることで、上記したような炭素物質の成長を一定方向とすることなく、制御下に他方向として、三次元構造を形成することが出来るものである。なお、生成する中間体においては、繊維相互が粒状体により結合された前記したような三次元構造を容易に形成させる上では、触媒等の組成、反応炉内における滞留時間、反応温度及びガス温度等を最適化することが好ましい。
【0061】
触媒及び炭化水素の混合ガスを800〜1300℃の範囲の一定温度で加熱生成して得られた中間体は、炭素原子からなるパッチ状のシート片を貼り合わせたような構造を有し、ラマン分光分析をすると、Dバンドが非常に大きく、欠陥が多い。また、生成した中間体は、未反応原料、非繊維状炭素物、タール分及び触媒金属を含んでいる。
【0062】
従って、このような中間体からこれら残留物を除去し、欠陥が少ない所期の微細炭素繊維構造体を得るためには、適切な方法で2400〜3000℃の高温熱処理を行う。
【0063】
すなわち、例えば、この中間体を800〜1200℃で加熱して未反応原料やタール分などの揮発分を除去した後、2400〜3000℃の高温でアニール処理することによって所期の構造体を調製し、同時に繊維に含まれる触媒金属を蒸発させて除去する。なお、この際、物質構造を保護するために不活性ガス雰囲気中に還元ガス又は微量の一酸化炭素ガスを添加してもよい。
【0064】
前記中間体を2400〜3000℃の範囲の温度でアニール処理すると、炭素原子からなるパッチ状のシート片は、それぞれ結合して複数のグラフェンシート状の層を形成する。
【0065】
また、このような高温熱処理前もしくは処理後において、微細炭素繊維構造体の円相当平均径を数センチに解砕処理する工程と、解砕処理された微細炭素繊維構造体の円相当平均径を50〜100μmに粉砕処理する工程とを経ることで、所望の円相当平均径を有する微細炭素繊維を作製する。
【0066】
以上の作製方法は、あくまで一例であり、金属の種類、ガスの種類等、諸条件を変更してもよい。また、気相成長法以外の作製法によって作製された多層の微細炭素繊維を使用してもよい。
【0067】
本発明の微細炭素繊維の添加量については、導電性複合材料100質量%に対して0.01〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.2〜15質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%である。このように微細炭素繊維が0.01質量%より少ない場合は、所望の導電性が得られない。また微細炭素繊維が20質量%以上である場合は、微細炭素繊維が嵩高いため、良好な導電性複合材料が作製できなくなる。
【0068】
本発明の導電性複合材料には、その他の用途に応じて添加剤を加えてもよい。例えば、無機顔料、有機顔料、ウィスカー、増粘剤、沈降防止剤、紫外線防止剤、湿潤剤、乳化剤、皮張り防止剤、重合防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分れ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、耐火・防止剤、防カビ・防藻剤、抗菌剤、殺虫剤、海中防汚剤、金属表面処理剤、脱さび剤、脱脂剤、皮膜化成剤、漂白剤、着色剤、ウッドシーラー、目止め剤、サンディングシーラー、シーラー、セメントフィラー又は樹脂入りセメントペースト等が挙げられる。
【0069】
本発明で用いられる導電性フィラーを分散及び解繊する分散機においては、一般的な分散機が用いられる。例えば、ビーズミル(ダイノーミル、(株)シンマルエンタープライズ)TKラボディスパー、TKフィルミックス、TKパイプラインミクサー、TKホモミックラインミル、TKホモジェッター、TKユニミキサー、TKホモミックラインフロー、TKアジホモディスパー(以上、特殊機化工業(株))、ホモジナイザー・ポリトロン((株)セントラル科学貿易)、ホモジナイザー・ヒストロン((株)日音医理科機器製作所)、バイオミキサー((株)日本精機製作所)、ターボ型攪拌機((株)小平製作所)、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼(株))、エバラマイルザー(荏原製作所(株))、超音波装置又は超音波洗浄機(アズワン(株))等が挙げられる。
【0070】
本発明で用いられるホットプレス機においては、一般的なホットプレス機が用いられる。例えば、小型熱プレス機(アズワン株式会社製、AH−2003)であるがこれに限定されるわけではない。
【0071】
本発明で用いられるコーティング装置においては、中央機工株式会社製のバッチ式レーディゲミキサーFKM−50D、株式会社大川原製作所製の連続流動造粒乾燥装置ミクスグラードMGD−5、フロイント産業株式会社の流動層造粒コーティング装置フローコーターFLO−15等が挙げられる。
【0072】
本発明のマスターペレットを作製する際に、母材樹脂に導電性フィラー含有樹脂液をコーティングする方法は、一般的な塗装方法を以下に挙げるが、特にこれらに限定するものではない。例えば、エアースプレーコーティング、エアレススプレーコーティング、低圧霧化スプレーコーティング、バーコーダー法によるコーティング、スピンコーターを用いたコーティング等が挙げられる。コーティング層の厚みは、1)溶解状態のコーティング材料中の導電性フィラー濃度、2)母材ペレットの大きさの2つを考慮して調節することが望ましい。
【0073】
本発明のマスターペレットを作製する際に、母材樹脂に導電性フィラー含有樹脂液をコーティングする方法は、数段階に分けてスプレーコーティングしてもよい。
【0074】
本発明のマスターペレットを作製する際に、母材樹脂に導電性フィラー含有樹脂液をコーティングする方法は、スプレーコーティングに限定したものはない。
【0075】
本発明のマスターペレットを作製する際に、溶剤中に解繊した導電性フィラー含有樹脂液を母材ペレットにコーティングし、母材樹脂にコートして得られたマスターペレットは、常温で塗膜を乾燥させることもできる。しかし、塗膜を十分に乾燥させるためには、乾燥温度が10〜150℃に加熱することが好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、特に好ましくは70〜120℃である。乾燥温度が10℃未満であると乾燥が十分に進まないおそれがあり、150℃を超えると、素材の変形、塗膜の黄変、膜物性低下等をまねくおそれがある。乾燥時間は、有機溶剤可溶性樹脂、溶剤及び基材の種類等で考慮される。さらには、樹脂の軟化温度または融点を考慮した乾燥温度の調製も必要である。
【0076】
本発明のマスターペレットを混練する際に、導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相、と連続的な導電性経路が保持された構造の連続相とを形成する程度に混練装置を操作することが望ましい。したがって導電性フィラーを導電性が確認できる程度に混練処理をし、均一分散ではなく、導電性経路が保持される程度に最適分散させることが望ましい。
【0077】
本発明の連続相とは、導電性フィラーの含有が高濃度であって連続的な導電性経路が導電性を有す樹脂相を意味する。
【0078】
本発明でいう導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相とは、母材樹脂ペレットに由来して形成される相であって、導電性フィラーの含有が低濃度であって導電性を殆ど有しない相を意味する。この樹脂相は不連続相となっていても良いものである。
【実施例1】
【0079】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0080】
(合成例1)
浮遊CVD法によって、トルエンを原料として微細炭素繊維構造体の集合体を合成した。触媒としてフェロセン及びチオフェンの混合物を使用し、水素ガスの還元雰囲気で行った。トルエン、触媒を水素ガスとともに380℃に加熱し、生成炉に供給し、1300℃で熱分解して、微細炭素繊維構造体(第一中間体)の集合体を得た。
【0081】
(合成例2)
この第一中間体のSEM写真、またはトルエン中に分散して電子顕微鏡用試料調製後に観察したTEM写真を図1及び2に示す。合成された第一中間体を窒素中で900℃で焼成して、タールなどの揮発分を分離し、第二中間体を得た。
【0082】
(合成例3)
さらにこの第二中間体をアルゴン中で2600℃で高温熱処理し、微細炭素繊維構造体の集合体(第三中間体)を得た。得られた微細炭素繊維構造体の第三中間体をトルエン中に超音波で分散して電子顕微鏡用試料調製後に観察したSEM及びTEM写真を図3、4に示す。増野製作所製ニューミクロシクロマット(MCM−15型)を用いて得られた第三中間体を気流粉砕にて粉砕し、粒度の調製を行い、そのSEM写真を図5に示す。本発明の微細炭素繊維の準備をした。
【0083】
(合成例4)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の第三中間体0.27質量部、ポリカーボネート(PC)樹脂のペレット(帝人化成株式会社、パンライトL1225)1.33質量部、溶剤であるクロロホルム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機(シャープ株式会社製、UT−205S)で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤と樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とPC樹脂とクロロホルム溶剤からなる分散液を得た。
【0084】
この分散液をクロロホルムで希釈し、ガラス上に垂らした光学顕微鏡の写真を図6に示す。相互に密に絡み合った凝集状態の微細炭素繊維構造体が第三中間体(図5)より、空間的に広がり凝集体は解繊されたことが確認できた。
なお、微細炭素繊維構造体の樹脂中の添加量=(微細炭素繊維の質量/(微細炭素繊維構造体の質量+溶解樹脂の質量+コートする樹脂の質量)×100%)より算出し、コートする樹脂の量を測定した。
上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレー(アズワン株式会社製)を用い、所定量のPC樹脂ペレット表面に直接スプレーし、コーティングを行った。PC樹脂の表面をコートしたものの切断面の光学写真を図7に示す。
【0085】
(実施例1−1)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものを小型熱プレス機(アズワン株式会社製、AH−2003)で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0086】
(実施例1−2)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機(株式会社東洋精機製作所製、4M150)で温度260℃、回転数5rpm、混練時間1minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0087】
(実施例1−3)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機で温度260℃、回転数5rpm、混練時間6minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0088】
(実施例1−4)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機で温度260℃、回転数5rpm、混練時間10minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0089】
(実施例1−5)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機で温度320℃、回転数50rpm、混練時間10minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0090】
(実施例1−6)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、PC樹脂のペレット(帝人化成株式会社、パンライトL1225)1.33質量部、溶剤であるテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤と樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とPC樹脂とテトラヒドロフラン溶剤からなる分散液を得た。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のPC樹脂ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例2】
【0091】
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、ポリスチレン(PS)樹脂(ジャパン株式会社製、GPPS−679)のペレット1.33質量部、溶剤であるトルエン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤と樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とPS樹脂とトルエン溶剤からなる分散液を得た。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のPS樹脂ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例3】
【0092】
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合合成(ABS)樹脂(ダイセルポリマー株式会社製、セビアンV−660SF)のペレット1.33質量部、溶剤であるクロロホルム (和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤とABS樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とABS樹脂とクロロホルム溶剤との混合液(母液)を得られた。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のABS樹脂ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例4】
【0093】
(実施例4−1)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、溶剤であるメタノール (和光純薬工業株式会社製、試薬特級)99.73質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤エタノール中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とメタノール溶剤との混合液(母液)を得られた。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のポリエーテルイミド(PEI)樹脂(日本GEプラスチックス株式会社製、ウルテム1000)ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0094】
(実施例4−2)
実施例4−1にコーティングしたPEI樹脂ペレットの外表面に、合成例4にて調製した微細炭素繊維構造体とPC樹脂とクロロホルム溶剤との混合液でスプレーし、樹脂ペレットの表面にコーティングを行った。この時、微細炭素繊維が1.5質量%、PEI樹脂が98.49質量%、PC樹脂が0.01質量%となる。その後、コートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例5】
【0095】
(実施例5−1)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、溶剤であるメタノール (和光純薬工業株式会社製、試薬特級)99.73質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤エタノール中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とメタノール溶剤との混合液(母液)を得られた。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー株式会社製、ジュラネックス2000)ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0096】
(実施例5−2)
実施例5−1にコーティングしたPBT樹脂ペレットの外表面に、合成例4にて調製した微細炭素繊維構造体とPC樹脂とクロロホルム溶剤との混合液でスプレーし、樹脂ペレットの表面にコーティングを行った。この時、微細炭素繊維が1.5質量%、PBT樹脂が98.49質量%、PC樹脂が0.01質量%となる。その後、コートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0097】
(比較例1)
マスターペレットを製造する工程なしで、微細炭素繊維構造の第三中間体の添加量1.5、5.0質量%で、ポットミル(日陶科学株式会社、ANZ−50S)で1時間、135rpmで樹脂ペレットと微細炭素繊維構造と予備混合を行った。予備混合したものを小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0098】
(比較例2)
マスターペレットを製造する工程なしで、微細炭素繊維構造の第三中間体の添加量1.5、5.0質量%で、ポリカーボネート樹脂を直接にラボプラストミル混練機に添加し、温度260℃、回転数5rpm、混練時間1minで混練したものを小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0099】
(比較例3)
マスターペレットを製造する工程なしで、微細炭素繊維構造の第三中間体の添加量1.5、5.0質量%で、ポリカーボネート樹脂を直接にラボプラストミル混練機に添加し、温度320℃、回転数50rpm、混練時間1minで混練したものを小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0100】
実施例、比較例で成型したプレートを次の方法で体積抵抗と表面抵抗の測定を行った。
【0101】
(体積抵抗の測定)
二端子法によるプレートの体積抵抗Rv(単位はΩcm)を測定する。
実施例及び比較例に製作したプレートの側面にAgペースト(株式会社徳力化学製、シルベストP−248)を塗布し、1時間乾燥した後、恒温恒湿槽にて、温度23℃、湿度50%、24時間で乾燥を行う。DC電源7651(横河電機株式会社製)を定電圧モード(v=10V、単位はV)に設定し、マルチメータ7555(横河電機株式会社製)をDCモードに設定し、その読み取り電流値(I:単位はA)をする。プレートの体積抵抗(Rv)は次式より算出できる。または、式中に、W(単位はcm)はプレートの幅、L(単位はcm)はプレートの長、t(単位はcm)はプレートの厚み。
体積抵抗Rv=(V/I)×(W/ L)×t (Ωcm)
【0102】
(表面抵抗の測定)
実施例及び比較例に製作したプレートは、恒温恒湿槽にて温度23℃、湿度50%、24時間で乾燥を行う。プレートの表面抵抗はJISK7194準拠よりロレスタGPとハイレスタUP(三菱化学株式会社製、MCP−T610型とMCP−HT450型)により測定した。
【0103】
成型プレートの導電性評価の結果を表1及び図8に示す。
実施例1−1から実施例1−5を比較すると、混練時間や温度条件によって導電性に大きな差がでた。実施例1の混練時間が1分までが最大の導電性を示し、それ以上の混練をすると導電性が低下する傾向がみられた。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例1−1、1−2、1−5で調製した微細炭素繊維の樹脂中の添加量が1.5質量%のプレートからミクロトームで厚み約10μmの切片を製作し、光学顕微鏡で観察した(図9、図10、図11)。図で黒部分は微細炭素繊維が高濃度に存在する樹脂相であり、白い部分は母材樹脂由来の樹脂相である。図9、図10では微細炭素繊維が高濃度に存在する樹脂相が確認できるが、図11では微細炭素繊維が高濃度に存在する樹脂相が確認できない。
【0106】
成型したプレートの電気抵抗の測定及び光学顕微鏡写真のデータから推察すると、導電性の高い樹脂を製造するためには、微細炭素繊維含有樹脂相による連続的な導電性経路が保持される程度の適度な混練が必要である。導電性経路を保持する程度に混練した成型体は、マスターペレットを製造する工程なしで成型体と比較し、高い導電性を示すことが確認できた。
【0107】
実施例4及実施例5にて製造したマスターペレットは、母材ペレットの表面を、樹脂を含まず、微細炭素繊維と有機溶媒のみからなる分散液でコートしたものである。コートしたペレットの表面の微細炭素繊維の付着力を強化するために実施例4−2と実施例5−2はさらに、微細炭素繊維を含有する樹脂膜で微細炭素繊維をバインドするとマスターペレットの表面から前記微細炭素繊維が剥がれ落ちにくくなった。まだ導電性も高まることが確認できた。コートしたペレット表面に炭素繊維構造体の付着状態評価も表1に示す。
【0108】
実施例1で成型した導電性複合材料の光学顕微鏡写真や導電性測定結果から、成型体のモデルを図12に示した。母材となる樹脂ペレットを、樹脂と導電性フィラーからなる分散液でコーティングしマスターペレットを準備する。そのマスターペレットを適度に混練すると、コーティング部分は溶解し、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を形成するものである。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の複合材料の製造技術を用いることで、低濃度の導電性フィラーの添加でも高い導電性をもつ複合材料を得ることができる。そのため静電気等を好まない電子機器分野、クリーンルーム内等での帯電防止膜、放熱性樹脂材料及び電波シールド材料等へ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】微細炭素繊維の第一中間体のSEM写真
【図2】トルエン中に分散した微細炭素繊維の第一中間体のTEM写真
【図3】トルエン中に分散した微細炭素繊維の第三中間体のSEM写真
【図4】トルエン中に分散した微細炭素繊維の第三中間体のTEM写真
【図5】気流粉砕にて粉砕した微細炭素繊維の第三中間体のSEM写真
【図6】微細炭素繊維を含有するポリカーボネート樹脂の導電膜の光学顕微鏡写真
【図7】コートした樹脂ペレットの切断面の光学顕微鏡写真
【図8】成型プレートの導電性評価の結果
【図9】実施例1−1にて成型したプレートの切片の光学顕微鏡写真
【図10】実施例1−2にて成型したプレートの切片の光学顕微鏡写真
【図11】実施例1−5にて成型したプレートの切片の光学顕微鏡写真
【図12】本発明のモデル図
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、導電性フィラーを含有する連続した導電性経路を保持させた樹脂材料を製造し、微細炭素繊維の添加が低濃度でも高い導電性を示す複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス技術の急速な発展により、情報処理装置や、電子事務機器が急速に普及している。この様な電子機器の急速な普及に伴い、電子部品から発生するノイズが周辺機器に影響を与える電磁波障害や、静電気による誤作動等のトラブルが増大し、大きな問題となっている。これらの問題の解決のために、この分野では導電性や制電性に優れた材料が要求されている。従来、導電性の乏しい高分子材料においては、導電性の高い導電性フィラー等を配合する事により、導電性機能を付与させた導電性高分子材料が広く利用されている。
【0003】
従来、導電性フィラーとしては、金属繊維及び金属粉末、カーボンブラック、微細炭素繊維などが一般に用いられているが、近年発見された微細炭素繊維が広い産業分野で需要が高まっている。
【0004】
微細炭素繊維は直径1μm以下の太さのチューブ状材料であり、理想的なものとしては炭素6角網目の面がチューブの軸に平行な管を形成し、さらにこの管が二層、三層、四層又は多層になることもある。この微細炭素繊維は炭素でできた6角網目の数や、チューブの太さによって異なる性質を有する。そのためそれらの化学的特性、電気的特性、機械的特性、熱伝導性、構造特性等の物性を利用して、電子デバイス、電気配線、熱電変換素子材料、建材用放熱材料、電磁波吸収シールド材、フラットパネルディスプレイ用電界放出陰極材料、電極接合材料、樹脂複合材料、透明導電膜、電磁波吸収体、触媒担持材料、電極・水素貯蔵材、補強材料及び黒色顔料等への応用が期待されている。
【0005】
しかし、これらの導電性フィラーを用いた導電性複合材料は、導電性フィラーの分散性が樹脂組成物の導電性に大きく影響するため、安定した導電性を得るには特殊な配合技術、混合技術が必要とされるという問題を有している。
【0006】
導電性材料製造においては圧縮、注型、射出、押出又は延伸方式による帯電防止板の作製、導電性塗料を用いてミクロンオーダーの帯電防止膜、電磁波シールド材、スピンコーターまたはバーコーター方式によるサブミクロンオーダーの半透明または透明導電性薄膜作製検討等の研究が盛んに行われている。
【0007】
粒状飽和ポリエステルと粉体状フィラーを混合する際に、粒状飽和ポリエステルをエポキシ基含有化合物で被覆した後、粉体状フィラー添加し、粒状飽和ポリエステルに付着させたペレットを作製し、該ペレットを混練することで、粉体状フィラーを樹脂材料に均一に分散できることが開示されている。また粉体状フィラーとして微細炭素繊維が例示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
粒状樹脂材料と微細炭素繊維を混合する際に、粒状樹脂材料を加熱し表面を軟化させた部分に微細炭素繊維を付着させたペレットを作製し、該ペレットを混練することで、微細炭素繊維を樹脂材料に均一に分散できることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
導電性フィラーではないものの、粒状樹脂材料と色素材を混合する際に、攪拌装置を用いて粒状樹脂材料を色素材で覆ったペレットを作製し、該ペレットを混練することで、色素を樹脂材料に均一に分散できることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
微細炭素繊維が、それらが互いにからみ合った凝集体で樹脂中に分散されている導電性複合材料が開示されている(例えば、特許文献4)。
【0011】
タングステンなどの無機材料とビス(トリエトキシシリル)オクタンなどの有機化合物を混合する際に、導電性を高めるために導電性無機材料を連続するように混合した複合材料が開示されている(例えば、特許文献5)。
【0012】
ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、補強材及び導電性材料を混練して得られた導電性複合材料が開示されている(例えば、特許文献6)。
【0013】
【特許文献1】特開2005−15646号公報
【特許文献2】特開2005−298553号公報
【特許文献3】特開2000−344897号公報
【特許文献4】特許2862578号公報
【特許文献5】特開2005−105015号公報
【特許文献6】特開2003−157863号公報
【0014】
このように、導電性フィラーの樹脂材料に対する分散性や、導電性複合材料の導電性を改善するために様々な試みがなされている。
【0015】
特許文献1〜4は、特許文献も導電性フィラー等の均一分散をさせるために混練前のペレットに改良をしている。しかし、特許文献1及び特許文献2は粉体状フィラー(例としてカーボンナノチューブ、炭素繊維)を溶剤などでの分散や解繊などの前処理を行わず、直接母材となる樹脂に接着させてマスターペレットを製造しているため、成型した導電性複合材料中で導電性フィラーは凝集体を形成しやすく、連続した導電性経路の保持には適していない。特許文献3は母材ペレットと色素からなるマスターペレットを作製するものであり、導電性フィラーの分散技術に関するものではない。特許文献4は、微細炭素繊維を分散させ導電性複合材料を製造するものであるが、該文献は微細炭素繊維が互いにからみ合った凝集体であることを特徴としており、微細炭素繊維は解繊状態になっていない。特許文献5及び6では、導電性材料を連続させた構造を特徴とする複合材料を提供しているが、特許文献5は微細炭素繊維からなる相の明確な記載はなく、また樹脂相からなる導電性を有さない相の記載もない。特許文献6は無機酸を80%以上含有する相を持つ構造を特徴としている点で用途が制約される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、導電性フィラーを含む連続した導電性経路を保持させた樹脂材料を製造し、低い導電性フィラーの添加濃度で高い導電性を示す複合材料を作製できる技術を提供する事にある。
【0017】
微細炭素繊維などを導電性フィラーして使用する場合、通常少量の添加では高い導電性は発揮できない。一方、導電性を付与するには高充填を必要とするため、樹脂本来の物性を低下させてしまう。又、分散方法に改良をしない場合、導電性フィラーの凝集体が残るなどの問題が生じ、導電性にバラツキが発生し導電性経路が途切れることがある。さらには、微細炭素繊維は高額であるため低コストの導電性複合材料を製造するためにも、低濃度の微細炭素繊維によって、高い導電性を示す混練方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、樹脂材料と導電性フィラーとを混練する混練技術において、
導電性フィラー分散液を母材となる樹脂ペレットの表面にコーティングしマスターペレットを作製し、その後マスターペレットを適度に混練し、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を保持し、前記樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相とから構成された導電性複合材料を製造することで、導電性フィラーの添加濃度を低くしても高い導電性示す事を見出し、本発明の完成に至った。本発明は、以下の内容で構成されている。
【0019】
母材となる樹脂材料と導電性フィラーを含み、前記導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、該連続相である導電性フィラー含有樹脂相中には連続的な導電性経路が保持されており、前記樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されていることを特徴とする導電性複合材料である。
【0020】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、溶剤中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料の表面に塗布し乾燥して得られた、樹脂の粒状材料の表層に存在している導電性フィラーと樹脂の粒状材料の表面部分が溶解混合されて形成した導電性複合材料である。
【0021】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、母材となる樹脂材料の溶剤溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性フィラー含有樹脂膜を基にして形成したものである導電性複合材料である。
【0022】
前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする導電性複合材料である。
【0023】
前記導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される導電性複合材料であるである。
【0024】
前記微細炭素繊維が0.5〜800nmの外径を有する事を特徴とする導電性複合材料である。
【0025】
前記微細炭素繊維が単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブである導電性複合材料である。
【0026】
前記微細炭素繊維が、外径15〜100nmの炭素繊維から構成されるネットワーク状の炭素繊維構造体であって、前記炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状部は前記炭素繊維の成長過程において形成されてなるものであって前記炭素繊維外形の1.3倍以上の大きさを有するものである事を特徴とする導電性複合材料である。
【0027】
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(mーPPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)のうちから選択された少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする導電性複合材料である。
【0028】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、前記した樹脂材料の有機溶媒溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、塗布し乾燥させて得られた、導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0029】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0030】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を塗布して得られた、マスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0031】
前記バインダーは熱可塑性樹脂、セルロース、糊、接着材のうちから選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0032】
前記した母材となる樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0033】
前記した導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される導電性複合材料製造用マスターペレットである。
【0034】
溶剤に導電性フィラーを分散させた分散液、または樹脂材料の一部分を溶剤に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥してマスターペレットを製造する工程(1)と、
工程(1)で製造されたマスターペレットを混練するに際して、マスターペレット表面の導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、マスターペレット中心部の樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、しかも前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相は導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続的な導電性経路が保持されている程度に混練する工程(2)とからなり、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されている導電性複合材料の製造方法である。
【0035】
前記した導電性フィラーを分散させる溶剤は、有機溶媒および水から選択される1種以上を含むものである導電性複合材料の製造方法である。
【0036】
前記有機溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、二硫化炭素、アセトン、イソプロピルアルコール、エチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ノルマルヘキサン、メタノール、メチルエチルケトン、ガソリン、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレピン油、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールのうちから選択される少なくとも1種以上である導電性複合材料の製造方法である。
【0037】
前記したマスターペレットを製造するために、前記樹脂材料と樹脂材料を溶解する前記溶媒との組み合わせが、セルロースアセテートとアセトン、エチルセルロースとクロロホルム、ポリカーボネートとクロロホルム、ポリカーボネートとジクロロメタン、ポリジメチルシロキサンとトリクロロエタン、ポリメチルメタクリラートとアセトン、ポリメチルメタクリラートとトルエン、ポリメチルメタクリラートとクロロホルム、ポリスチレンとトルエン、ポリスチレンとテトラヒロドフラン、ポリビニルアセテートとアセトン、ポリビニルアセテートとメタノール、ポリビニルアセテートとトルエン、ポリビニルクロライドとトルエン、ポリビニルクロライドとテトラヒドロフラン、ポリビニルピロリジンとエタノール、ポリビニルピロリジンとメタノール、シュークロースオクタアセテートとトルエン、ポリビニルアルコールと温水であることを特徴とする導電性複合材料の製造方法である。
【0038】
前記した工程(1)においてマスターペレットを製造するために、導電性フィラーと樹脂材料を含有する分散液を母材となる樹脂の粒状材料に数段階に分けてスプレーすることを特徴とする導電性複合材料の製造方法である。
【0039】
前記した工程(2)において前記導電性複合材料を製造するために、熱プレス機を用いて混練する導電性複合材料の製造方法である。
【0040】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、樹脂材料の一部分を溶媒に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法である。
【0041】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法である。
【0042】
前記導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、得られたマスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする得られた導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法である。
【発明の効果】
【0043】
本発明の導電性複合材料は、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を保持しており、樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相とから構成されているので、導電性フィラーの添加濃度を低くしても高い導電性を有している。本発明の導電性複合材料製造用マスターペレットを材料に使用することによって、本発明の導電性複合材料を簡便かつ確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂材料としては、例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(mーPPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)及びこれらを変性した樹脂等が挙げられる。
【0045】
本発明の母材となる樹脂の粒状材料(以後、母材ペレットとも称する)とは、樹脂材料からなるもので、形状は球状、棒状、板状、米粒状、あるいはサイコロ状であってペレット表面を導電性フィラーでコーティング可能であればいずれの形状でもよい。製造された導電性複合材料製造用マスターペレットもほぼ同じ形状となる。
【0046】
本発明の母材樹脂ペレットのコーティングは、樹脂溶解液中に導電性フィラーを分散させた液を用いても、有機溶媒などの溶剤中に直接導電性フィラーを分散させた液を用いてもよい。後者の方法で製造したマスターペレットは導電性フィラーが母材樹脂ペレットから剥がれやすいので、導電性フィラーの外側の接着性をバインダーなどで高めてもよい。バインダーで処理でマスターペレットの強度が高まり、運搬が容易となる。
【0047】
本発明でいう溶剤とは、樹脂材料を溶解させたり、前記溶解樹脂材料中での導電性フィラーを分散させるために用いる溶剤のことであり、必要に応じて有機溶媒や水などを使い分ければよい。溶剤が水の場合、溶解や分散を効果的に行うために界面活性剤を使用してもよい。
【0048】
本発明で使用する溶剤を以下に挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。例えば、芳香族炭化水素類であるトルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、塩化芳香族炭化水素類であるクロルベンゼン、オルトージクロルベンゼン、塩化脂肪族炭化水素類であるジクロルメタン、クロロホルム(トリクロルメタン)、四塩化炭素(テトラクロルメタン)、1,2−ジクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2,2−テトラクロルエタン、1,2−ジクロルエチレン、トリクロルエチレン、トラクロルエチレン(パークロルエチレン)、アルコール類であるメタノール(メチルアルコール)、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール 、イソブチルアルコール 、イソペンチルアルコール(イソアミルアルコール)、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、エステル類である酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル(酢酸アミル)、酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル)、エーテル類であるエチルエーテル、1,4ージオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ケトン類であるアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、グリコールエーテル(セロソルブ)類であるエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート)、脂環式炭化水素類であるシクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、脂肪族炭化水素類であるノルマルヘキサン、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物であるガソリン、ベンジン、ゴム揮発油、大豆揮発油、ミネラルスピリット、クリーニングソルベント、コールタールナフサ(沸点範囲120〜160℃、120〜180℃、140〜200℃)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油 、ミネラルスピリット、 脂環族炭化水素(テレビン油)、混合炭化水素(HAWS、ソルベット100、ソルベット150)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カービトール、ブチルカービトール、メトキシブタノール)及びエステルエーテル類(酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カービトール、酢酸メトキシブチル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホン)、シリコーンオイル類(ポリジメチルシロキサン、部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換ポリジメチルシロキサン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ブロモベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン)、フッ素化物類、その他であるクレゾール、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、水等が挙げられる。またこれらを2種以上混合してもよい。さらに溶剤の量は、塗料として使用するときの粘度が塗装できる適当な範囲になるように選定すればよい。
【0049】
これら溶剤は、熱可塑性樹脂を溶解できればよく、樹脂にあわせた溶剤を適宜選択することが望ましい。必要に応じては溶剤の樹脂溶解性や樹脂の軟化温度または融点を考慮して溶解時の温度調節をしてもよい。
【0050】
本発明でいう解繊とは、互いに絡みあった導電性フィラーの一部を解し、凝集状態を開放させることを意味する。特に微細炭素繊維は、非常に大きなアスペクト比を有し、また、微細炭素繊維同士の間にファンデルワールス力が働く。このため、製造された微細炭素繊維は、相互に密に絡み合った凝集状態で生成され、粒径が不均一であり、その中には粒径の大きなものが混在する。不均一な粒径や繊維長にバラツキのある微細炭素繊維を添加物としてそのままの状態で使用すれば、分散性の低下等の不都合が発生するため、凝集状態を形成した微細炭素繊維の粒径及び繊維を何らかの手法によって細分化し、粒径及び繊維長を均一に形成してから添加物として使用することが望ましい。解繊させるための手段として微細炭素繊維など導電性フィラーに溶剤や超音波処理等を組み合わせて処理を行ってもよい。解繊処理を施すことによって、母材樹脂の粒状材料への接着性を向上させ、さらにマスターペレットを混練して形成させた導電性複合材料中で微細炭素繊維等が樹脂中に凝集状態とならずに広がった状態となり、導電性経路を保持させる点で有効である。
【0051】
本発明の導電性フィラーにおいては、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維またはセラミックウィスカーを示し、それぞれ目的に応じて用いる事が出来る。
【0052】
本発明の微細炭素繊維においては、単層、二層及び多層の微細炭素繊維を示し、それぞれ目的に応じて用いる事が出来る。本発明においては、多層の微細炭素繊維が用いられる。微細炭素繊維の製造方法に関しては、特に制限されるものではなく、触媒を用いる気相成長法、アーク放電法、レーザー蒸発法及びHiPco法(High−pressure carbon monooxide process)等、従来公知のいずれの製造方法でもよい。
【0053】
例えば、レーザー蒸着法により単層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。原料としてグラファイトパウダーと、ニッケル及びコバルト微粉末混合ロットを用意した。この混合ロットを665hPa(500Torr)のアルゴン雰囲気下、電気炉により1250℃に加熱し、そこに350mJ/PulseのNd:YAGレーザーの第二高調波パルスを照射し、炭素と金属微粒子を蒸発させることにより、単層の微細炭素繊維を作製することができる。
【0054】
以上の作製方法は、あくまで典型例であり、金属の種類、ガスの種類、電気炉の温度、レーザーの波長等を変更してもよい。また、レーザー蒸着法以外の作製法、例えばHiPco法、気相成長法、アーク放電法、一酸化炭素の熱分解法、微細な空孔中に有機分子を挿入して熱分解するテンプレート法、フラーレン・金属共蒸着法等、他の手法によって作製された単層の微細炭素繊維を使用してもよい。
【0055】
例えば、定温アーク放電法により二層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。基板は表面処理されたSi基板を用い、処理方法としては触媒金属及び触媒助剤金属を溶解した溶液中に、アルミナ粉末を30分間浸し、さらに3時間超音波処理により分散させて得られた溶液をSi基板に塗布し、空気中において120℃で維持し乾燥させた。微細炭素繊維製造装置の反応室に基板を設置し、反応ガスとして水素とメタンの混合ガスを用い、ガスの供給量は水素を500sccm、メタンを10sccmとし、反応室の圧力を70Torrとした。陰極部はTaよりなる棒状の放電部を用いた。次に陽極部と陰極部及び陽極部と基板との間に直流電圧を印加し、放電電流が2.5Aで一定になるように放電電圧を制御した。放電により陰極部の温度が2300℃になると正規グロー放電状態から異常グロー放電状態になり、放電電流が2.5A、放電電圧が700V、反応ガス温度が3000℃の状態を10分間行うことで、基板全体に単層及び2層の微細炭素繊維を作製することができる。
【0056】
以上の作製方法は、あくまで一例であり、金属の種類、ガスの種類等、諸条件を変更してもよい。また、アーク放電法以外の作製法によって作製された単層の微細炭素繊維を使用してもよい。
【0057】
例えば、気相成長法により三次元構造を有した多層の微細炭素繊維を作製する方法を以下に示す。基本的には、遷移金属超微粒子を触媒として炭化水素等の有機化合物をCVD法で化学熱分解して繊維構造体(以下、中間体)を得、これをさらに高温熱処理することで多層の微細炭素繊維を作製することができる。
【0058】
原料有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素、一酸化炭素、エタノール等のアルコール類が使用されるが、炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることが好ましい。なお、少なくとも2つ以上の炭素化合物とは、必ずしも原料有機化合物として2種以上のものを使用するというものではなく、原料有機化合物としては1種のものを使用した場合であっても、繊維構造体の合成過程においては、例えば、トルエンやキシレンの水素脱アルキル化などのような反応を生じて、その後の熱分解反応系においては分解温度の異なる2つ以上の炭素化合物となっているような態様を含むものである。雰囲気ガスには、アルゴン、ヘリウム、キセノン等の不活性ガスや水素を用い、触媒としては鉄、コバルト、モリブデンなどの遷移金属あるいはフェロセン、酢酸金属塩などの遷移金属化合物と硫黄あるいはチオフェン、硫化鉄などの硫黄化合物の混合物を使用する。
【0059】
中間体の合成は、通常行われている炭化水素などのCVD法を用い、原料となる炭化水素及び触媒の混合液を蒸発させ、水素ガス等をキャリアガスとして反応炉内に導入し、800〜1300℃の温度で熱分解する。これにより、外径が15〜100nmの繊維相互が、前記触媒の粒子を核として成長した粒状体によって結合した疎な三次元構造を有する微細炭素繊維構造体(中間体)が複数集まった数センチから数十センチの大きさの集合体を合成する。
【0060】
原料となる炭化水素の熱分解反応は、主として触媒粒子ないしこれを核として成長した粒状体表面において生じ、分解によって生じた炭素の再結晶化が当該触媒粒子ないし粒状体より一定方向に進むことで、繊維状に成長する。しかしこの熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させる、例えば上記したように炭素源として分解温度の異なる少なくとも2つ以上の炭素化合物を用いることで、一次元的方向にのみ炭素物質を成長させることなく、粒状体を中心として三次元的に炭素物質を成長させる。もちろん、このような三次元的な微細炭素繊維の成長は、熱分解速度と成長速度とのバランスにのみ依存するものではなく、触媒粒子の結晶面選択性、反応炉内における滞留時間、炉内温度分布等によっても影響を受けるが、概して、上記したような熱分解速度よりも成長速度の方が速いと、炭素物質は繊維状に成長し、一方、成長速度よりも熱分解速度の方が速いと、炭素物質は触媒粒子の周面方向に成長する。従って、熱分解速度と成長速度とのバランスを意図的に変化させることで、上記したような炭素物質の成長を一定方向とすることなく、制御下に他方向として、三次元構造を形成することが出来るものである。なお、生成する中間体においては、繊維相互が粒状体により結合された前記したような三次元構造を容易に形成させる上では、触媒等の組成、反応炉内における滞留時間、反応温度及びガス温度等を最適化することが好ましい。
【0061】
触媒及び炭化水素の混合ガスを800〜1300℃の範囲の一定温度で加熱生成して得られた中間体は、炭素原子からなるパッチ状のシート片を貼り合わせたような構造を有し、ラマン分光分析をすると、Dバンドが非常に大きく、欠陥が多い。また、生成した中間体は、未反応原料、非繊維状炭素物、タール分及び触媒金属を含んでいる。
【0062】
従って、このような中間体からこれら残留物を除去し、欠陥が少ない所期の微細炭素繊維構造体を得るためには、適切な方法で2400〜3000℃の高温熱処理を行う。
【0063】
すなわち、例えば、この中間体を800〜1200℃で加熱して未反応原料やタール分などの揮発分を除去した後、2400〜3000℃の高温でアニール処理することによって所期の構造体を調製し、同時に繊維に含まれる触媒金属を蒸発させて除去する。なお、この際、物質構造を保護するために不活性ガス雰囲気中に還元ガス又は微量の一酸化炭素ガスを添加してもよい。
【0064】
前記中間体を2400〜3000℃の範囲の温度でアニール処理すると、炭素原子からなるパッチ状のシート片は、それぞれ結合して複数のグラフェンシート状の層を形成する。
【0065】
また、このような高温熱処理前もしくは処理後において、微細炭素繊維構造体の円相当平均径を数センチに解砕処理する工程と、解砕処理された微細炭素繊維構造体の円相当平均径を50〜100μmに粉砕処理する工程とを経ることで、所望の円相当平均径を有する微細炭素繊維を作製する。
【0066】
以上の作製方法は、あくまで一例であり、金属の種類、ガスの種類等、諸条件を変更してもよい。また、気相成長法以外の作製法によって作製された多層の微細炭素繊維を使用してもよい。
【0067】
本発明の微細炭素繊維の添加量については、導電性複合材料100質量%に対して0.01〜20質量%の範囲であり、好ましくは0.2〜15質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%である。このように微細炭素繊維が0.01質量%より少ない場合は、所望の導電性が得られない。また微細炭素繊維が20質量%以上である場合は、微細炭素繊維が嵩高いため、良好な導電性複合材料が作製できなくなる。
【0068】
本発明の導電性複合材料には、その他の用途に応じて添加剤を加えてもよい。例えば、無機顔料、有機顔料、ウィスカー、増粘剤、沈降防止剤、紫外線防止剤、湿潤剤、乳化剤、皮張り防止剤、重合防止剤、たれ防止剤、消泡剤、色分れ防止剤、レベリング剤、乾燥剤、硬化剤、硬化促進剤、可塑剤、耐火・防止剤、防カビ・防藻剤、抗菌剤、殺虫剤、海中防汚剤、金属表面処理剤、脱さび剤、脱脂剤、皮膜化成剤、漂白剤、着色剤、ウッドシーラー、目止め剤、サンディングシーラー、シーラー、セメントフィラー又は樹脂入りセメントペースト等が挙げられる。
【0069】
本発明で用いられる導電性フィラーを分散及び解繊する分散機においては、一般的な分散機が用いられる。例えば、ビーズミル(ダイノーミル、(株)シンマルエンタープライズ)TKラボディスパー、TKフィルミックス、TKパイプラインミクサー、TKホモミックラインミル、TKホモジェッター、TKユニミキサー、TKホモミックラインフロー、TKアジホモディスパー(以上、特殊機化工業(株))、ホモジナイザー・ポリトロン((株)セントラル科学貿易)、ホモジナイザー・ヒストロン((株)日音医理科機器製作所)、バイオミキサー((株)日本精機製作所)、ターボ型攪拌機((株)小平製作所)、ウルトラディスパー(浅田鉄鋼(株))、エバラマイルザー(荏原製作所(株))、超音波装置又は超音波洗浄機(アズワン(株))等が挙げられる。
【0070】
本発明で用いられるホットプレス機においては、一般的なホットプレス機が用いられる。例えば、小型熱プレス機(アズワン株式会社製、AH−2003)であるがこれに限定されるわけではない。
【0071】
本発明で用いられるコーティング装置においては、中央機工株式会社製のバッチ式レーディゲミキサーFKM−50D、株式会社大川原製作所製の連続流動造粒乾燥装置ミクスグラードMGD−5、フロイント産業株式会社の流動層造粒コーティング装置フローコーターFLO−15等が挙げられる。
【0072】
本発明のマスターペレットを作製する際に、母材樹脂に導電性フィラー含有樹脂液をコーティングする方法は、一般的な塗装方法を以下に挙げるが、特にこれらに限定するものではない。例えば、エアースプレーコーティング、エアレススプレーコーティング、低圧霧化スプレーコーティング、バーコーダー法によるコーティング、スピンコーターを用いたコーティング等が挙げられる。コーティング層の厚みは、1)溶解状態のコーティング材料中の導電性フィラー濃度、2)母材ペレットの大きさの2つを考慮して調節することが望ましい。
【0073】
本発明のマスターペレットを作製する際に、母材樹脂に導電性フィラー含有樹脂液をコーティングする方法は、数段階に分けてスプレーコーティングしてもよい。
【0074】
本発明のマスターペレットを作製する際に、母材樹脂に導電性フィラー含有樹脂液をコーティングする方法は、スプレーコーティングに限定したものはない。
【0075】
本発明のマスターペレットを作製する際に、溶剤中に解繊した導電性フィラー含有樹脂液を母材ペレットにコーティングし、母材樹脂にコートして得られたマスターペレットは、常温で塗膜を乾燥させることもできる。しかし、塗膜を十分に乾燥させるためには、乾燥温度が10〜150℃に加熱することが好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、特に好ましくは70〜120℃である。乾燥温度が10℃未満であると乾燥が十分に進まないおそれがあり、150℃を超えると、素材の変形、塗膜の黄変、膜物性低下等をまねくおそれがある。乾燥時間は、有機溶剤可溶性樹脂、溶剤及び基材の種類等で考慮される。さらには、樹脂の軟化温度または融点を考慮した乾燥温度の調製も必要である。
【0076】
本発明のマスターペレットを混練する際に、導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相、と連続的な導電性経路が保持された構造の連続相とを形成する程度に混練装置を操作することが望ましい。したがって導電性フィラーを導電性が確認できる程度に混練処理をし、均一分散ではなく、導電性経路が保持される程度に最適分散させることが望ましい。
【0077】
本発明の連続相とは、導電性フィラーの含有が高濃度であって連続的な導電性経路が導電性を有す樹脂相を意味する。
【0078】
本発明でいう導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相とは、母材樹脂ペレットに由来して形成される相であって、導電性フィラーの含有が低濃度であって導電性を殆ど有しない相を意味する。この樹脂相は不連続相となっていても良いものである。
【実施例1】
【0079】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0080】
(合成例1)
浮遊CVD法によって、トルエンを原料として微細炭素繊維構造体の集合体を合成した。触媒としてフェロセン及びチオフェンの混合物を使用し、水素ガスの還元雰囲気で行った。トルエン、触媒を水素ガスとともに380℃に加熱し、生成炉に供給し、1300℃で熱分解して、微細炭素繊維構造体(第一中間体)の集合体を得た。
【0081】
(合成例2)
この第一中間体のSEM写真、またはトルエン中に分散して電子顕微鏡用試料調製後に観察したTEM写真を図1及び2に示す。合成された第一中間体を窒素中で900℃で焼成して、タールなどの揮発分を分離し、第二中間体を得た。
【0082】
(合成例3)
さらにこの第二中間体をアルゴン中で2600℃で高温熱処理し、微細炭素繊維構造体の集合体(第三中間体)を得た。得られた微細炭素繊維構造体の第三中間体をトルエン中に超音波で分散して電子顕微鏡用試料調製後に観察したSEM及びTEM写真を図3、4に示す。増野製作所製ニューミクロシクロマット(MCM−15型)を用いて得られた第三中間体を気流粉砕にて粉砕し、粒度の調製を行い、そのSEM写真を図5に示す。本発明の微細炭素繊維の準備をした。
【0083】
(合成例4)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の第三中間体0.27質量部、ポリカーボネート(PC)樹脂のペレット(帝人化成株式会社、パンライトL1225)1.33質量部、溶剤であるクロロホルム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機(シャープ株式会社製、UT−205S)で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤と樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とPC樹脂とクロロホルム溶剤からなる分散液を得た。
【0084】
この分散液をクロロホルムで希釈し、ガラス上に垂らした光学顕微鏡の写真を図6に示す。相互に密に絡み合った凝集状態の微細炭素繊維構造体が第三中間体(図5)より、空間的に広がり凝集体は解繊されたことが確認できた。
なお、微細炭素繊維構造体の樹脂中の添加量=(微細炭素繊維の質量/(微細炭素繊維構造体の質量+溶解樹脂の質量+コートする樹脂の質量)×100%)より算出し、コートする樹脂の量を測定した。
上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレー(アズワン株式会社製)を用い、所定量のPC樹脂ペレット表面に直接スプレーし、コーティングを行った。PC樹脂の表面をコートしたものの切断面の光学写真を図7に示す。
【0085】
(実施例1−1)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものを小型熱プレス機(アズワン株式会社製、AH−2003)で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0086】
(実施例1−2)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機(株式会社東洋精機製作所製、4M150)で温度260℃、回転数5rpm、混練時間1minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0087】
(実施例1−3)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機で温度260℃、回転数5rpm、混練時間6minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0088】
(実施例1−4)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機で温度260℃、回転数5rpm、混練時間10minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0089】
(実施例1−5)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした合成例4のPC樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を加熱蒸発で除去したものをラボプラストミル混練機で温度320℃、回転数50rpm、混練時間10minで混練したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0090】
(実施例1−6)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、PC樹脂のペレット(帝人化成株式会社、パンライトL1225)1.33質量部、溶剤であるテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤と樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とPC樹脂とテトラヒドロフラン溶剤からなる分散液を得た。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のPC樹脂ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量0.8、1.0、1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例2】
【0091】
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、ポリスチレン(PS)樹脂(ジャパン株式会社製、GPPS−679)のペレット1.33質量部、溶剤であるトルエン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、合成例3にて得られる微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤と樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とPS樹脂とトルエン溶剤からなる分散液を得た。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のPS樹脂ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例3】
【0092】
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンとの共重合合成(ABS)樹脂(ダイセルポリマー株式会社製、セビアンV−660SF)のペレット1.33質量部、溶剤であるクロロホルム (和光純薬工業株式会社製、試薬特級)98.41質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤とABS樹脂の混合溶液中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とABS樹脂とクロロホルム溶剤との混合液(母液)を得られた。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のABS樹脂ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例4】
【0093】
(実施例4−1)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、溶剤であるメタノール (和光純薬工業株式会社製、試薬特級)99.73質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤エタノール中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とメタノール溶剤との混合液(母液)を得られた。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のポリエーテルイミド(PEI)樹脂(日本GEプラスチックス株式会社製、ウルテム1000)ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0094】
(実施例4−2)
実施例4−1にコーティングしたPEI樹脂ペレットの外表面に、合成例4にて調製した微細炭素繊維構造体とPC樹脂とクロロホルム溶剤との混合液でスプレーし、樹脂ペレットの表面にコーティングを行った。この時、微細炭素繊維が1.5質量%、PEI樹脂が98.49質量%、PC樹脂が0.01質量%となる。その後、コートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【実施例5】
【0095】
(実施例5−1)
合成例3にて得られる微細炭素繊維構造の第三中間体0.27質量部、溶剤であるメタノール (和光純薬工業株式会社製、試薬特級)99.73質量部が、ガラス容器中に超音波洗浄機で1時間超音波を照射し、微細炭素繊維構造体の第三中間体を溶剤エタノール中に分散し、コーティング用の微細炭素繊維構造体とメタノール溶剤との混合液(母液)を得られた。上述の母液を有機溶剤用ダイヤスプレーを用い、所定量のポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(ウィンテックポリマー株式会社製、ジュラネックス2000)ペレット表面(コートする樹脂)に直接スプレーし、コーティングを行った。微細炭素繊維構造体の添加量1.5質量%でコートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0096】
(実施例5−2)
実施例5−1にコーティングしたPBT樹脂ペレットの外表面に、合成例4にて調製した微細炭素繊維構造体とPC樹脂とクロロホルム溶剤との混合液でスプレーし、樹脂ペレットの表面にコーティングを行った。この時、微細炭素繊維が1.5質量%、PBT樹脂が98.49質量%、PC樹脂が0.01質量%となる。その後、コートした樹脂ペレットを温度80℃加熱して、溶剤を除去したものを、小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0097】
(比較例1)
マスターペレットを製造する工程なしで、微細炭素繊維構造の第三中間体の添加量1.5、5.0質量%で、ポットミル(日陶科学株式会社、ANZ−50S)で1時間、135rpmで樹脂ペレットと微細炭素繊維構造と予備混合を行った。予備混合したものを小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0098】
(比較例2)
マスターペレットを製造する工程なしで、微細炭素繊維構造の第三中間体の添加量1.5、5.0質量%で、ポリカーボネート樹脂を直接にラボプラストミル混練機に添加し、温度260℃、回転数5rpm、混練時間1minで混練したものを小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0099】
(比較例3)
マスターペレットを製造する工程なしで、微細炭素繊維構造の第三中間体の添加量1.5、5.0質量%で、ポリカーボネート樹脂を直接にラボプラストミル混練機に添加し、温度320℃、回転数50rpm、混練時間1minで混練したものを小型熱プレス機で温度280℃、圧力25Mpa、加圧時間1minでプレート(8W×8L×2.5tmm)を成型した。
【0100】
実施例、比較例で成型したプレートを次の方法で体積抵抗と表面抵抗の測定を行った。
【0101】
(体積抵抗の測定)
二端子法によるプレートの体積抵抗Rv(単位はΩcm)を測定する。
実施例及び比較例に製作したプレートの側面にAgペースト(株式会社徳力化学製、シルベストP−248)を塗布し、1時間乾燥した後、恒温恒湿槽にて、温度23℃、湿度50%、24時間で乾燥を行う。DC電源7651(横河電機株式会社製)を定電圧モード(v=10V、単位はV)に設定し、マルチメータ7555(横河電機株式会社製)をDCモードに設定し、その読み取り電流値(I:単位はA)をする。プレートの体積抵抗(Rv)は次式より算出できる。または、式中に、W(単位はcm)はプレートの幅、L(単位はcm)はプレートの長、t(単位はcm)はプレートの厚み。
体積抵抗Rv=(V/I)×(W/ L)×t (Ωcm)
【0102】
(表面抵抗の測定)
実施例及び比較例に製作したプレートは、恒温恒湿槽にて温度23℃、湿度50%、24時間で乾燥を行う。プレートの表面抵抗はJISK7194準拠よりロレスタGPとハイレスタUP(三菱化学株式会社製、MCP−T610型とMCP−HT450型)により測定した。
【0103】
成型プレートの導電性評価の結果を表1及び図8に示す。
実施例1−1から実施例1−5を比較すると、混練時間や温度条件によって導電性に大きな差がでた。実施例1の混練時間が1分までが最大の導電性を示し、それ以上の混練をすると導電性が低下する傾向がみられた。
【0104】
【表1】
【0105】
実施例1−1、1−2、1−5で調製した微細炭素繊維の樹脂中の添加量が1.5質量%のプレートからミクロトームで厚み約10μmの切片を製作し、光学顕微鏡で観察した(図9、図10、図11)。図で黒部分は微細炭素繊維が高濃度に存在する樹脂相であり、白い部分は母材樹脂由来の樹脂相である。図9、図10では微細炭素繊維が高濃度に存在する樹脂相が確認できるが、図11では微細炭素繊維が高濃度に存在する樹脂相が確認できない。
【0106】
成型したプレートの電気抵抗の測定及び光学顕微鏡写真のデータから推察すると、導電性の高い樹脂を製造するためには、微細炭素繊維含有樹脂相による連続的な導電性経路が保持される程度の適度な混練が必要である。導電性経路を保持する程度に混練した成型体は、マスターペレットを製造する工程なしで成型体と比較し、高い導電性を示すことが確認できた。
【0107】
実施例4及実施例5にて製造したマスターペレットは、母材ペレットの表面を、樹脂を含まず、微細炭素繊維と有機溶媒のみからなる分散液でコートしたものである。コートしたペレットの表面の微細炭素繊維の付着力を強化するために実施例4−2と実施例5−2はさらに、微細炭素繊維を含有する樹脂膜で微細炭素繊維をバインドするとマスターペレットの表面から前記微細炭素繊維が剥がれ落ちにくくなった。まだ導電性も高まることが確認できた。コートしたペレット表面に炭素繊維構造体の付着状態評価も表1に示す。
【0108】
実施例1で成型した導電性複合材料の光学顕微鏡写真や導電性測定結果から、成型体のモデルを図12に示した。母材となる樹脂ペレットを、樹脂と導電性フィラーからなる分散液でコーティングしマスターペレットを準備する。そのマスターペレットを適度に混練すると、コーティング部分は溶解し、導電性フィラー含有樹脂相による連続的な導電性経路を形成するものである。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の複合材料の製造技術を用いることで、低濃度の導電性フィラーの添加でも高い導電性をもつ複合材料を得ることができる。そのため静電気等を好まない電子機器分野、クリーンルーム内等での帯電防止膜、放熱性樹脂材料及び電波シールド材料等へ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】微細炭素繊維の第一中間体のSEM写真
【図2】トルエン中に分散した微細炭素繊維の第一中間体のTEM写真
【図3】トルエン中に分散した微細炭素繊維の第三中間体のSEM写真
【図4】トルエン中に分散した微細炭素繊維の第三中間体のTEM写真
【図5】気流粉砕にて粉砕した微細炭素繊維の第三中間体のSEM写真
【図6】微細炭素繊維を含有するポリカーボネート樹脂の導電膜の光学顕微鏡写真
【図7】コートした樹脂ペレットの切断面の光学顕微鏡写真
【図8】成型プレートの導電性評価の結果
【図9】実施例1−1にて成型したプレートの切片の光学顕微鏡写真
【図10】実施例1−2にて成型したプレートの切片の光学顕微鏡写真
【図11】実施例1−5にて成型したプレートの切片の光学顕微鏡写真
【図12】本発明のモデル図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材となる樹脂材料と導電性フィラーを含み、前記導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、該連続相である導電性フィラー含有樹脂相中には連続的な導電性経路が保持されており、前記樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されていることを特徴とする導電性複合材料。
【請求項2】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、溶剤中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料の表面に塗布し乾燥して得られた、樹脂の粒状材料の表層に存在している導電性フィラーと樹脂の粒状材料の表面部分が溶解混合されて形成したものである請求項1記載の導電性複合材料。
【請求項3】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、母材となる樹脂材料の溶剤溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性フィラー含有樹脂膜を基にして形成したものである請求項1記載の導電性複合材料。
【請求項4】
前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性複合材料。
【請求項5】
前記導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、ガラス繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性複合材料。
【請求項6】
前記微細炭素繊維が0.5〜800nmの外径を有する事を特徴とする請求項5記載の導電性複合材料。
【請求項7】
前記微細炭素繊維が単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブである請求項6記載の導電性複合材料。
【請求項8】
前記微細炭素繊維が、外径15〜100nmの炭素繊維から構成されるネットワーク状の炭素繊維構造体であって、前記炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状部は前記炭素繊維の成長過程において形成されてなるものであって前記炭素繊維外形の1.3倍以上の大きさを有するものである事を特徴とする請求項6または請求項7記載の導電性複合材料。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)のうちから選択された少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜8に記載の導電性複合材料。
【請求項10】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、前記した樹脂材料の有機溶媒溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、塗布し乾燥させて得られた、導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項11】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項12】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を塗布して得られた、マスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする請求項11記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項13】
前記バインダーは熱可塑性樹脂、セルロース、糊、接着材のうちから選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項12記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項14】
前記した母材となる樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項15】
前記した導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される請求項10〜14のいずれか1項に記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項16】
溶剤に導電性フィラーを分散させた分散液、または樹脂材料の一部分を溶剤に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥してマスターペレットを製造する工程(1)と、
工程(1)で製造されたマスターペレットを混練するに際して、マスターペレット表面の導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、マスターペレット中心部の樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、しかも前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相は導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続的な導電性経路が保持されている程度に混練する工程(2)とからなり、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されている導電性複合材料の製造方法。
【請求項17】
前記した導電性フィラーを分散させる溶剤は、有機溶媒および水から選択される1種以上を含むものである請求項16記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項18】
前記有機溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、二硫化炭素、アセトン、イソプロピルアルコール、エチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ノルマルヘキサン、メタノール、メチルエチルケトン、ガソリン、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレピン油、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールのうちから選択される少なくとも1種以上である請求項16または請求項17記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項19】
前記したマスターペレットを製造するために、前記樹脂材料と樹脂材料を溶解する前記溶媒との組み合わせが、セルロースアセテートとアセトン、エチルセルロースとクロロホルム、ポリカーボネートとクロロホルム、ポリカーボネートとジクロロメタン、ポリジメチルシロキサンとトリクロロエタン、ポリメチルメタクリラートとアセトン、ポリメチルメタクリラートとトルエン、ポリメチルメタクリラートとクロロホルム、ポリスチレンとトルエン、ポリスチレンとテトラヒロドフラン、ポリビニルアセテートとアセトン、ポリビニルアセテートとメタノール、ポリビニルアセテートとトルエン、ポリビニルクロライドとトルエン、ポリビニルクロライドとテトラヒドロフラン、ポリビニルピロリジンとエタノール、ポリビニルピロリジンとメタノール、シュークロースオクタアセテートとトルエン、ポリビニルアルコールと温水であることを特徴とする請求項16または請求項17記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項20】
前記した工程(1)においてマスターペレットを製造するために、導電性フィラーと樹脂材料を含有する分散液を母材となる樹脂の粒状材料に数段階に分けてスプレーすることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項21】
前記した工程(2)において前記導電性複合材料を製造するために、熱プレス機を用いて混練する導電性複合材料の製造方法。
【請求項22】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、樹脂材料の一部分を溶媒に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法。
【請求項23】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法。
【請求項24】
前記導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、得られたマスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする得られた請求項23記載の導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法。
【請求項1】
母材となる樹脂材料と導電性フィラーを含み、前記導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、該連続相である導電性フィラー含有樹脂相中には連続的な導電性経路が保持されており、前記樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されていることを特徴とする導電性複合材料。
【請求項2】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、溶剤中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料の表面に塗布し乾燥して得られた、樹脂の粒状材料の表層に存在している導電性フィラーと樹脂の粒状材料の表面部分が溶解混合されて形成したものである請求項1記載の導電性複合材料。
【請求項3】
前記した連続相である導電性フィラー含有樹脂相が、母材となる樹脂材料の溶剤溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性フィラー含有樹脂膜を基にして形成したものである請求項1記載の導電性複合材料。
【請求項4】
前記樹脂材料が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性複合材料。
【請求項5】
前記導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、ガラス繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性複合材料。
【請求項6】
前記微細炭素繊維が0.5〜800nmの外径を有する事を特徴とする請求項5記載の導電性複合材料。
【請求項7】
前記微細炭素繊維が単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブである請求項6記載の導電性複合材料。
【請求項8】
前記微細炭素繊維が、外径15〜100nmの炭素繊維から構成されるネットワーク状の炭素繊維構造体であって、前記炭素繊維構造体は、前記炭素繊維が複数延出する態様で、当該炭素繊維を互いに結合する粒状部を有しており、かつ当該粒状部は前記炭素繊維の成長過程において形成されてなるものであって前記炭素繊維外形の1.3倍以上の大きさを有するものである事を特徴とする請求項6または請求項7記載の導電性複合材料。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂は、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリビニルピロリジン、シュークロースオクタアセテート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロトリル/ブタンジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、メタクリル樹脂(PMMA)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)のうちから選択された少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1〜8に記載の導電性複合材料。
【請求項10】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、前記した樹脂材料の有機溶媒溶液中に導電性フィラーを分散させた分散液を、塗布し乾燥させて得られた、導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項11】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥して得られた、導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項12】
前記導電性フィラーを溶剤に分散させた分散液を塗布して得られた、マスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする請求項11記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項13】
前記バインダーは熱可塑性樹脂、セルロース、糊、接着材のうちから選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項12記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項14】
前記した母材となる樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項15】
前記した導電性フィラーが、微細炭素繊維、炭素繊維、カーボンブラック、金属繊維、カーボンフィブリル、金属ウィスカー、セラミック繊維およびセラミックウィスカーから選択される1種類以上から構成される請求項10〜14のいずれか1項に記載の導電性複合材料製造用マスターペレット。
【請求項16】
溶剤に導電性フィラーを分散させた分散液、または樹脂材料の一部分を溶剤に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、母材となる樹脂の粒状材料表面に塗布し乾燥してマスターペレットを製造する工程(1)と、
工程(1)で製造されたマスターペレットを混練するに際して、マスターペレット表面の導電性フィラーは偏在して前記樹脂材料の一部分の中に分散し、連続相である導電性フィラー含有樹脂相を構成し、マスターペレット中心部の樹脂材料の残りの部分は導電性フィラーを実質的に含有しない樹脂相を構成し、しかも前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相は導電性フィラーを0.8質量%以上含有して、かつ連続的な導電性経路が保持されている程度に混練する工程(2)とからなり、前記連続相である導電性フィラー含有樹脂相と前記樹脂相とで構成されている導電性複合材料の製造方法。
【請求項17】
前記した導電性フィラーを分散させる溶剤は、有機溶媒および水から選択される1種以上を含むものである請求項16記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項18】
前記有機溶媒は、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、二硫化炭素、アセトン、イソプロピルアルコール、エチルエーテル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ノルマルヘキサン、メタノール、メチルエチルケトン、ガソリン、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、トルエン、キシレン、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、テトラクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テレピン油、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールのうちから選択される少なくとも1種以上である請求項16または請求項17記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項19】
前記したマスターペレットを製造するために、前記樹脂材料と樹脂材料を溶解する前記溶媒との組み合わせが、セルロースアセテートとアセトン、エチルセルロースとクロロホルム、ポリカーボネートとクロロホルム、ポリカーボネートとジクロロメタン、ポリジメチルシロキサンとトリクロロエタン、ポリメチルメタクリラートとアセトン、ポリメチルメタクリラートとトルエン、ポリメチルメタクリラートとクロロホルム、ポリスチレンとトルエン、ポリスチレンとテトラヒロドフラン、ポリビニルアセテートとアセトン、ポリビニルアセテートとメタノール、ポリビニルアセテートとトルエン、ポリビニルクロライドとトルエン、ポリビニルクロライドとテトラヒドロフラン、ポリビニルピロリジンとエタノール、ポリビニルピロリジンとメタノール、シュークロースオクタアセテートとトルエン、ポリビニルアルコールと温水であることを特徴とする請求項16または請求項17記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項20】
前記した工程(1)においてマスターペレットを製造するために、導電性フィラーと樹脂材料を含有する分散液を母材となる樹脂の粒状材料に数段階に分けてスプレーすることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項に記載の導電性複合材料の製造方法。
【請求項21】
前記した工程(2)において前記導電性複合材料を製造するために、熱プレス機を用いて混練する導電性複合材料の製造方法。
【請求項22】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、樹脂材料の一部分を溶媒に溶解させさらに導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法。
【請求項23】
前記した母材となる樹脂の粒状材料表面に、導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、マスターペレットを得、該マスターペレットが前記工程(2)の混練に直接使用されることを特徴とする導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法。
【請求項24】
前記導電性フィラーを分散させた分散液を、1回または複数回塗布し乾燥して、得られたマスターペレットの表面を、さらにバインダーでコートすることを特徴とする得られた請求項23記載の導電性複合材料製造用マスターペレットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−274060(P2008−274060A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117872(P2007−117872)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(306030116)ナノカーボンテクノロジーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(306030116)ナノカーボンテクノロジーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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