説明

樹脂液およびその用途

【課題】樹脂液を用いることにより、接着剤用途では金属への密着力をさらに向上でき、バインダー用途の粉末冶金では流動性を維持しながら発塵や偏析をさらに抑制できる材料を、セラミックス成形用では、グリーンテープにした際、高い強度と伸びを保持しながらも焼成後の残炭が少ない材料を提供する。
【解決手段】樹脂液(A)は、熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を含み、(a−1)および(a−2)および(a−3)に含有するカルボキシル基の一部または全部が塩基性物質(a−4)で中和されていても良く、これが有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解していることを特徴とする樹脂液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂と、カルボン酸含有オレフィン系樹脂および/または脂肪酸からなり、これらに含有されるカルボキシル基の一部または全部が塩基性物質で中和されていても良く、これが有機溶媒に分散および/または溶解している樹脂液およびその製造方法に関する。更に、この樹脂液を用いた接着剤、セラミックス・粉末冶金等の焼成用バインダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
変性されたポリオレフィン樹脂を有機溶剤に分散或いは溶解したものや水に分散させたものは、各種分野で使用され公知のものとなっている。
例えば、接着剤の用途では、難接着性のポリプロピレンとアルミニウム等の金属との接着剤として、変性ポリプロピレンの樹脂分散物(特許文献1)が提案されてきた。
さらに、接着時のヒートシール温度を下げるために、原料樹脂であるポリプロピレンの検討を行い、上記発明品より低温でヒートシール可能な変性ポリプロピレンの樹脂分散物(特許文献2)が提案されてきた。しかしながら、接着剤用途では金属への密着力をさらに向上させたいというニーズがあった。
また、焼成用バインダーの粉末冶金用では、鉄粉や鋼粉等を主原料として、銅、ニッケル、クロム、モリブデン等の合金元素、黒鉛、燐、硫黄等の粉末成分、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を配合してから成形、焼結する。成分中の粒子の大きさ、比重等が異なるために混合後成形までの取扱い過程で発塵や偏析を抑制するため、トール油等の液体添加剤を原料粉末に配合する方法(特許文献3)や、固体結合剤を溶剤で溶解して均一に混合した後、溶剤を蒸発させる方法(特許文献4、5)や、熱硬化樹脂を原料粉末に配合する方法(特許文献6)や、原料の鉄粉表面に有機結合剤を処理する方法(特許文献7)等が提案されてきた。しかしながら、粉末冶金では流動性を維持しながら、発塵や偏析をさらに抑制させたいというニーズがあった。
更に、セラミックス成形用では、グリーンテープにした際、高い強度と伸びを保持しながらも、焼成後の残炭が少ないバインダーが要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−12651号公報
【特許文献2】特開平3−91514号公報
【特許文献3】特開昭60−502158号公報
【特許文献4】特開昭63−103001号公報
【特許文献5】特開平2−217403号公報
【特許文献6】特開2006−124777号公報
【特許文献7】特開2010−106296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記のニーズを解決したもので、本発明の樹脂液を用いることで、接着剤用途では金属への密着力をさらに向上でき、焼成用バインダーの粉末冶金では流動性を維持しながら、発塵や偏析をさらに抑制できる材料を、セラミックス成形用では、グリーンテープにした際、高い強度と伸びを保持しながらも、焼成後の残炭が少ない材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究および検討を重ねてきた結果、熱可塑性樹脂と、カルボン酸含有オレフィン系樹脂および/または脂肪酸からなり、これらに含有されるカルボキシル基の一部または全部が塩基性物質で中和されていても良く、これが有機溶媒に分散および/または溶解している樹脂液を用いることで、上記目標達成のために極めて有効である事を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、[1]〜[15]である。
【0006】
[1] 樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)含み、
これが有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解していることを特徴とする樹脂液。
[2] 樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を含み、(a−1)、(a−2)および(a−3)に含有するカルボキシル基の一部または全部が塩基性物質(a−4)で中和されてなり、これが有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解していることを特徴とする樹脂液。
[3] 前記樹脂液(A)が、更にアニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)を含むことを特徴とする樹脂液。
[4] 前記樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)100重量部に対し、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)が0.5〜60重量部、界面活性剤(a−5)が0〜40重量部含有する[3]に記載の樹脂液。
[5] 前記塩基性物質(a−4)が、金属からなることを特徴とする樹脂液。
[6] 前記熱可塑性樹脂(a−1)が、未変性のオレフィン系樹脂であることを特徴とする樹脂液。
[7] 前記熱可塑性樹脂(a−1)が、水酸基で変性されたオレフィン系樹脂であることを特徴とする樹脂液。
[8] 前記熱可塑性樹脂(a−1)が、カルボン酸またはその塩の基を含有するオレフィン系樹脂であり、前記オレフィン系樹脂(a−2)より重量平均分子量が大きいことを特徴とする樹脂液。
[9] 前記熱可塑性樹脂(a−1)が、プロピレン系樹脂であることを特徴とする樹脂液。
[10] 前記熱可塑性樹脂(a−1)の重量平均分子量が50,000以上1,000,000以下で、前記オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)の重量平均分子量が220以上50,000未満である樹脂液。
[11] 前記樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)と、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)を押出機で溶融混練し、その後に塩基性物質(a−4)と水を添加することで水に分散させ、これを有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解させる[3]に記載の樹脂液の製造方法。
[12] 樹脂液(A)に、石油系炭化水素樹脂(B)および/またはロジン系樹脂(C)および/またはテルペン系樹脂(D)を混合してなることを特徴とする樹脂液。
[13] 樹脂液(A)の固形分100重量部に対して、前記石油系炭化水素樹脂(B)および/または前記ロジン系樹脂(C)および/または前記テルペン系樹脂(D)を0〜50重量部となるように混合してなることを特徴とする樹脂液。
[14] [1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂液を含有する接着剤。
[15] [1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂液を含有する焼成用バインダー。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂液を用いることにより、接着剤用途では金属への密着力をさらに向上でき、バインダー用途の粉末冶金では流動性を維持しながら、発塵や偏析をさらに抑制できる材料を、セラミックス成形用では、グリーンテープにした際、高い強度と伸びを保持しながらも、焼成後の残炭が少ない材料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の樹脂液(A)は、熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を含み、(a−1)および(a−2)および(a−3)に含有するカルボキシル基の一部または全部が塩基性物質(a−4)で中和されていても良く、これが有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解していることを特徴とする樹脂液である。
以下、詳細に述べる。
【0009】
[樹脂液(A)]
熱可塑性樹脂(a−1)
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(a−1)は、オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、エチレン・ビニルアルコール、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン樹脂、α−メチルスチレン・スチレン樹脂、スチレン・共役ジエンブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
【0010】
エンジニアリングプラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等のポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、結晶性ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミノビスマレイミド、セルロースアセテート等が挙げられる。
その他ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、ウレタン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等も使用できる。上記樹脂は、1価および/または多価不飽和カルボン酸および/またはその無水物、水酸基で変性されたものであってもよく、これら単独または2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中で、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、エンジニアリングプラスチックが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(a−1)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は、各種基材又は粉末への密着の観点から、通常、50,000以上1,000,000以下の範囲、好ましくは50,000以上800,000以下である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(a−1)は未変性であっても構わないが、変性する場合、重合体鎖に結合したカルボン酸塩を少なくとも含み、樹脂1グラム当り、上記式(1)で表される基を総量0.05〜5ミリモル当量の濃度で含んでもよく、さらに水酸基を含有する不飽和ビニル基を熱可塑性樹脂(a−1)100重量部に対して、0.1〜10重量部で変性された重合体(重合体鎖に結合したものも含む)を含有してもよい。
【0012】
前記の変性プロピレン系樹脂は、種々の方法で得ることできるが、例えば、有機溶剤中で熱可塑性樹脂と不飽和ビニル基を有するカルボン酸或いは水酸基を有するモノマーと重合開始剤の存在下で反応させた後に脱溶剤する方法や、熱可塑性樹脂と不飽和ビニル基を有するカルボン酸あるいは水酸基を有するモノマーと重合開始剤とを混合したものを押出機に供給して加熱混練しながら反応させる方法等公知の方法が用いられる。
【0013】
不飽和ビニル基を有するカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが例示され、その無水物としては、ナジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などが例示できる。これらの単量体は単独で用いることもできるし、また2種類以上のものを用いることもできる。また、これらの中でも、酸無水物類が好ましく、さらには無水マレイン酸が好ましい。
【0014】
本発明に用いる水酸基を含有するモノマーとして、一般的にヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有ビニル類が例示できる。これらの単量体は単独で用いることもできるし、また2種類以上のものを用いることもできる。
【0015】
ここで有機溶剤としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソオクタン、イソデカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等のエステル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等の有機溶剤を用いることができ、またこれらの2種以上からなる混合物であっても構わない。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び脂環式炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素がより好適に用いられる。
【0016】
本発明に用いる重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
オレフィン系樹脂(a−2)
本発明に用いられるオレフィン系樹脂(a−2)は、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂であり、ポリオレフィンの重合体鎖に結合したカルボン酸の塩の基(部分中和物ないし部分ケン化物の時はカルボン酸基を含む)を、樹脂1グラム当たり、−COO−基として、各種基材又は粉末への密着の観点から、0.05〜5ミリモル、好ましくは0.1〜4ミリモルの濃度で含むオレフィン系樹脂である。
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・ビニルアルコール等のポリオレフィンの変性物が挙げられ、また、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、アイオノマー樹脂等も挙げられ、これら単独または2種類以上を混合して用いてもよい。
【0018】
また、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩を含むオレフィン系樹脂は、たとえばα−オレフィンなどからなるポリオレフィンに、中和されているか中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/又はケン化されているかケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト共重合することにより得ることができる。
カルボキシル基を有する単量体としては、カルボキシル基含有ビニル類、無水カルボン酸類等が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上でも使用できる。
【0019】
本発明に用いられるカルボン酸含有オレフィン系樹脂は、種々の方法で得ることできるが、例えば、有機溶剤中で未変性オレフィン系樹脂と前記単量体を重合開始剤の存在下反応する方法や、オレフィン系樹脂を加熱溶融し得られた溶融物に前記単量体を重合開始剤を攪拌下で反応させる方法や、オレフィン系樹脂と前記単量体と重合開始剤を混合したものを押出機に供給して加熱混練しながら反応させる方法等挙げることができる。
ここで使用できる有機溶剤および重合開始剤は、(a−1)に記載したものを用いる事ができる。
【0020】
脂肪酸(a−3)
本発明に用いる脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ネルボン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上でも使用できる。また、これらはオレフィン系樹脂(a−2)と併用することもできる。
【0021】
(a−2)、(a−3)の重量平均分子量(以下、Mwと略記する。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定可能である。)は、各種基材又は粉末への密着の観点から、220以上50,000未満の範囲、好ましくは220以上45,000未満、さらに好ましくは220〜40,000が好ましい。(a−2)、(a−3)は、(a−1)より分子量が低く、かつ極性を有するため、各種工程で粉末原料表面へ極性基が局在しやすくなり、高い密着性を発現する。
【0022】
塩基性物質(a−4)
本発明に用いられる塩基性物質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウム、リチウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、ヒドロキシルアミン、水酸化アンモニウム等の無機アミン、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、アンモニア、ピリジン、N−メチルイミダゾール等の有機アミン等を挙げられ、これらの化合物は1種、または2種以上の混合物として使用することができる。
これらの中でも、金属を含有する塩基性物質を用いることが、金属等の無機物への密着の観点から好ましい。
【0023】
アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)
本発明に用いられる、アニオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤は、限定なく公知のものが用いられる。
アニオン型界面活性剤としては、公知のものを用いることができるが、例えば、第一級高級脂肪酸塩、第二級高級脂肪酸塩、第一級高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、第一級高級アルキルスルホン酸塩、第二級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸硫酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸スルホン酸塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩等が挙げられる。
これらのアニオン型界面活性剤の中で特に好適なものとしては、高級脂肪酸塩、特に炭素原子数が10〜20の飽和または不飽和の高級脂肪酸のアルカリ金属、アミン塩を挙げることができ、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデン酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、或いはこれらの混合物のアルカリ金属、アミン塩を挙げることができる。
【0024】
ノニオン型界面活性剤としては、公知のものを用いることができるが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸ショ糖エステル、アルキロールアミド、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー等を挙げることができる。界面活性剤としては、アニオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤をそれぞれ単独で使用することができるし、複数を併用することもできる。
【0025】
有機溶媒(a−6)
本発明に用いられる、有機溶媒は、限定なく公知のものが用いられる。例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソオクタン、イソデカン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等のエステル系、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール等のエーテル系、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒等の有機溶剤を用いることができ、またこれらの2種以上からなる混合物であっても構わない。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、およびこれらにエステル系やケトン系やエーテル系やアルコール系溶媒を併用したものがより好適に用いられる。
【0026】
[樹脂液(A)の製造方法]
本発明の樹脂液(A)の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を有機溶剤中で加熱後に冷却して得る方法や、それぞれを有機溶媒中で加熱後に冷却して混合して得る方法がある。
また、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り式(1)で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を溶融混練して混合した後に、塩基性物質(a−4)と水を添加した後、さらに溶融混練して中和及び/又はケン化(転相)を行い、これを有機溶剤中で加熱後に冷却して得る方法がある。
更に、熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)を溶融混練して混合した後に、塩基性物質(a−4)と水を添加した後、さらに溶融混練して中和及び/又はケン化(転相)を行い、これを有機溶剤中で加熱後に冷却して得る方法等が挙げられる。
【0027】
熱可塑性樹脂(a−1)と、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)の含有量は、前記(a−1)100重量部に対し、(a−2)および/又は(a−3)が0.5〜60重量部、(a−5)が0〜40重量部で、好ましくは、(a−5)が0〜20重量部である。
ここで有機溶剤に投入される樹脂の水の含有量は、15%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下、さらには5%以下が好ましい。
【0028】
有機溶媒に加熱後に冷却して得る方法としては、前記の樹脂を有機溶媒中で加熱溶解する。加熱温度は100℃〜150℃程度で、次いで溶液を冷却させるが、樹脂に結晶成分を含有するもの、不溶分を含有するものは、40℃〜90℃の温度範囲において冷却速度を毎時0.5℃〜20℃、好ましくは0.5℃〜10℃に調整する必要がある。冷却速度が速いと樹脂の分散状態が悪くなり、遅いと生産効率が大幅に低下する。
有機溶媒の含有量としては、樹脂液(A)中40%〜99%が好ましく、50%〜97%がさらに好ましい。
【0029】
[添加剤]
本発明の樹脂液(A)には、石油系炭化水素樹脂(B)及び/またはロジン系樹脂(C)及び/またはテルペン系樹脂(D)を混合することができる。添加量としては、樹脂液(A)の樹脂分100重量部に対して、石油系炭化水素樹脂(B)及び/またはロジン系樹脂(C)及び/またはテルペン系樹脂(D)が0〜50重量部が、さらには0〜40重量部が各種基材又は粉末への密着の観点好ましい。
【0030】
石油系炭化水素樹脂(B)
本発明で用いられる石油系炭化水素樹脂(B)としては、例えば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合系脂環族である。C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分を共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエン等を含有しているクマロンインデン系樹脂、ρ−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο−キシレン、ρ−キシレン、m−キシレンをホルマリンと反応させたキシレン系樹脂等も挙げられる。これらは単独または2種類以上で組み合わせて使用することができる。これらの中でも、GPCによる測定で重量平均分子量が1,000〜50,000の石油系炭化水素樹脂が好ましく、なかでも1,500〜30,000が好ましい。また、これらの樹脂に極性基を有するものはさらに好ましい。
【0031】
ロジン系樹脂(C)
本発明で用いられるロジン系樹脂(C)としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等で変性した変性ロジンが挙げられる。また、ロジン誘導体としては、前記のロジン類のエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。
【0032】
テルペン系樹脂(D)
本発明で用いられるテルペン系樹脂(D)としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド等からなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン等にスチレン等の芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂等が挙げられ、これらの水素添加物も挙げることができる。中でもテルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、およびこれらの水素添加物が好ましい。
【0033】
さらに、本発明の樹脂液(A)は、必要に応じて、滑性付与剤(例えば、合成ワックス、天然ワックス等)、架橋剤、成膜助剤、レベリング剤、粘弾性調整剤、濡れ剤、安定化剤、防錆剤、防かび剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、起泡剤、消泡剤、湿潤剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤、沈降防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、有機溶剤、油(例えば、鉱物系潤滑油、鉱物油、合成油、植物油等)などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。これらの添加剤は単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。
【0034】
[用途]
本発明の樹脂液(A)は、金属同士や、金属とポリオレフィン類の接着剤、ヒートシール剤や、粉末冶金・セラミックス成形用等の焼成用バインダー、各種無機繊維用のバインダーとしても使用することができる。
【0035】
接着剤
金属同士や、金属とポリオレフィン類の接着剤、ヒートシール剤に用いる際、以下に記載のシートやフィルムに樹脂液(A)を塗工して貼合せたのち、圧着することで密着性を発現させる。圧着方法に限定はないが、加熱下で長い時間圧着することが高い密着性を発現させるのに好ましい。
金属としては、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属フィルムやシート、プラスチックフィルム上に、銅、アルミニウム、金、銀等の金属を蒸着させたフィルムやシート等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー、環状ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル、エチレン・不飽和カルボン酸の共重合体、エチレン・ビニルアルコール、アイオノマー樹脂等のフィルムやシートが挙げられる。
【0036】
次に、粉末冶金・セラミックス成形用等の焼成用バインダーについて述べる。
粉末冶金用バインダー
また、粉末冶金のバインダー(添加剤)に用いる際は、主成分のベース金属粉末と副成分の粉末に樹脂液(A)を添加混合し、加熱又は真空により溶媒を蒸発させる。得られた組成物は、従来の冶金方法により、金型内で圧縮され成形し、十分な温度と時間をかけて焼結し、金属部品を得る。
主成分のベース金属粉末としては、主に鉄粉或いは鉄ベースの粉末が用いられる。これら鉄ベースの粉末は、水噴霧鉄粉末、還元鉄粉末、予め合金化した鉄ベース粉末、又は拡散合金化鉄ベース粉末などのような種類のものからなっていてもよい。
副成分の粉末としては、黒鉛、Ni、Cu、Cr、Mn、Si、Mo、P、S、Nb等の合金用元素が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
主成分のベース金属粉末と副成分の粉末の混合比は、90〜99.8重量%/0.2〜10重量%がよく、93〜99.5重量%/0.5〜7重量%がさらに好ましい。
樹脂液(A)の添加量は、上記粉末100重量部に対して、(A)の固形分換算で、通常0.05〜5重量部、好ましくは0.06〜1重量部、更に好ましくは0.08〜0.5重量部である。添加量が0.05重量部未満では、原料粉末同士の密着性が充分でなく、発塵が発生しやすくなり、5重量部を超えると密着は良好となるが、流動性の低下や、圧粉体の強度が低下しやすくなる。
【0037】
さらに、必要に応じて滑性付与剤として、脂肪酸、エチレンビスステアルアミド(EBS)のようなアミドワックス、又は金属ステアリン酸塩のような他の脂肪酸誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテンからなる樹脂のようなポリアルキレン、ポリグリコール、アミド重合体、又はアミドオリゴマーを併用することができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
粉末冶金の原料の調製方法は、各種粉末に、樹脂液(A)が全体に行きわたるよう混合すればよく、具体的には、各種粉末を混合攪拌しながら樹脂液(A)を噴霧して混合する方法や、主成分を攪拌しながら樹脂液(A)を噴霧して添加し、さらに副成分の粉末を添加して混合する方法等がある。また、さらに滑性付与剤を混合する場合は、各種粉末を混合攪拌する際に添加しても、樹脂液(A)を噴霧混合した後に添加しても、樹脂液(A)に混合してから添加してもよい。
金型での圧縮成形は、金属の金型に前記の樹脂液(A)を混合した粉末組成物を投入し、490〜980MPaの圧力で行なう。これを一般的な焼結方法によって、焼結体を得る。
【0038】
セラミックス成形用バインダー
次にセラミックス成形用のバインダーに用いる際は、主成分の原料セラミックス粉末と溶剤に溶解もしくは、分散した本発明の樹脂液(A)を添加混合し、スラリー状にし、所望の形状に成形し、十分な温度と時間をかけて焼結し、セラミックス部品を得る。
樹脂液(A)に、必要に応じて下記に示す可塑剤や助剤を使用しても差し支えない。すなわち可塑剤として例えば、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)等の脂肪族系可塑剤、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)等の芳香族系可塑剤、分散性付与剤としては例えば、シランカップラー、チタンカップラー、アルミニウムカップラーである。その他、消泡剤、焼結助剤、レベリング剤等を必要に応じて使用することもできる。
本発明の樹脂液(A)を例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、炭化珪素等のセラミックス原料の無機粉末に添加対し、これに有機溶剤等で適当な粘度に希釈し、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の混練機により混練を行い、スラリー状とする。このとき可塑剤、消泡剤、粘結助剤、レベリング剤等の助剤を適宜混合使用してもよい。
でき上がったスラリーを離型可能なプラスチックシート、金属シート、離型紙等の基体に膜厚制御可能な、例えばブレードコーター、ロールコーター、フローコーター等の塗布機で塗布し、溶剤を揮発除去した後、基体より離型してグリーンシートを得ることができる。得られたグリーンシートは、更に切断、打ち抜き、積層し、また必要に応じ導体回路や部品、端子等を挿入した後印刷、加熱炉によって1000〜2000℃に焼成し、セラミックス部品を製造することができる。
【0039】
本発明の樹脂液(A)の添加量は、上記粉末100重量部に対して、グリーンテープにした際の高い強度と伸びを保持する観点から、(A)の固形分換算で、1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部である。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の水分散体の製法および各種試験例を挙げ、更に説明する。以下において、部および%は特記していない限り重量基準である。
【0041】
[実施例1](a−1)としてプロピレン系樹脂(C3=66モル%、Mw=12万)100重量部、(a−2)として無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体(C3=98モル%、Mw=2.5万、酸含有量=4重量%)10重量部および(a−5)として高級脂肪酸であるオレイン酸カリウム3重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、20%の水酸化カリウム水溶液を90g/時間の割合で連続的に供給して、加熱温度210℃で連続的に押出し、同押出機口に設置した1軸スクリュー押出機で110℃まで冷却し、組成物を得た。この組成物40重量部をトルエン160重量部に投入して100℃で加熱溶解した後、80℃までは20℃/時間、80℃から50℃までは5℃/時間、50℃から40℃までは10℃/時間で降温して、微濁の樹脂液(A)を得た。得られた樹脂液用いて接着剤、バインダーの評価を行った。
尚、(a−2)無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体は、以下の方法で得たものを用いた。プロピレン−エチレン共重合体 96重量部、無水マレイン酸 4重量部、および重合開始剤としてパーヘキシ25B 0.4重量部を混合し、加熱温度160℃、2時間で変性を行い、重合体鎖に結合したカルボン酸を含むプロピレン系樹脂を得た。
【0042】
≪用途例:接着剤≫アルミ箔に乾燥後の膜厚が3μmとなるように上記樹脂液をそれぞれ塗布したのち、200℃のオーブンに入れて1分間処理した。この塗膜の上に、アルミ箔をJISZ1707に準拠した方法により、200℃で2秒間、0.098MPaの圧力をかけてヒートシールして試験片を作成した。
【0043】
≪用途例:バインダー≫主成分のベース金属粉末として鉄粉97.2重量部、副成分の粉末として銅粉末2.0重量部、黒鉛粉末0.8重量部を50℃に加熱しながら混合した後、ここにトルエンで樹脂分を5%に希釈した樹脂液(A)を、樹脂分で0.45重量部となるように噴霧添加して10分間混合した。ここにエチレンビスステアリン酸アミドを0.03重量部添加して、30分混合しながら、樹脂液(A)の溶媒を蒸発させ冶金用粉体を得た。さらに、得られた冶金用粉末を金型(直径11mm×厚さ10mm)に充填し、圧力686MPaにて圧粉体を得た。尚、圧粉体は10点作成した。
【0044】
[実施例2] バインダーの評価で樹脂液(A)の添加量を樹脂分で0.15重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で試験を行った。尚、接着剤の評価は未実施である。
【0045】
[実施例3] バインダーの評価で樹脂液(A)の添加量を樹脂分で0.08重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で試験を行った。尚、接着剤の評価は未実施である。
【0046】
[実施例4](a−1)としてプロピレン系樹脂(C3=66モル%、Mw=12万)100重量部、(a−2)として無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体(C3=98モル%、Mw=2.5万、酸含有量=4重量%)10重量部および(a−3)としてモンタン酸ワックス4重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、30%の水酸化カリウム水溶液を180g/時間の割合で連続的に供給して、加熱温度210℃で連続的に押出し、同押出機口に設置した1軸スクリュー押出機で110℃まで冷却し、組成物を得た。この組成物40重量部をトルエン160重量部に投入して100℃で加熱溶解した後、80℃までは20℃/時間、80℃から50℃までは5℃/時間、50℃から40℃までは10℃/時間で降温して、微濁の樹脂液を得た。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様の方法で、接着剤、バインダーの評価を行った。
【0047】
[実施例5](a−1)としてプロピレン系樹脂(C3=66モル%、Mw=12万)100重量部、(a−2)として無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体(C3=98モル%、
Mw=2.5万、酸含有量=4重量%)10重量部をトルエン440重量部に投入して100℃で加熱溶解した後、80℃までは20℃/時間、80℃から50℃までは5℃/時間、50℃から40℃までは10℃/時間で降温して、微濁の樹脂液を得た。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様の方法で接着剤、バインダーの評価を行った。
【0048】
[実施例6](a−1)としてカルボン酸で変性されたプロピレン系樹脂(C3=66モル%、Mw=8万、酸含有量=1重量%)100重量部、(a−2)として無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体(C3=98モル%、Mw=2.5万、酸含有量=4重量%)30重量部および(a−5)として高級脂肪酸であるオレイン酸カリウム3重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、15%の水酸化カリウム水溶液を250g/時間の割合で連続的に供給して、加熱温度210℃で連続的に押出し、同押出機口に設置した1軸スクリュー押出機で110℃まで冷却し、組成物を得た。この組成物40重量部をトルエン160重量部に投入して100℃で加熱溶解した後、80℃までは20℃/時間、80℃から50℃までは5℃/時間、50℃から40℃までは10℃/時間で降温して、微濁の樹脂液を得た。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様の方法で接着剤、バインダーの評価を行った。
尚、プロピレン系樹脂は、以下の方法で得たものを用いた。プロピレン系樹脂 99重量部、無水マレイン酸 1重量部、および重合開始剤としてパーヘキシ25B 0.2重量部を混合し、加熱温度180℃、2時間で変性を行い、重合体鎖に結合したカルボン酸を含むプロピレン系樹脂を得た。
【0049】
[実施例7](a−1)として水酸基で変性されたプロピレン系樹脂(C3=66モル%、Mw=8万、水酸基含有量=1重量%)100重量部、(a−2)として無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体(C3=98モル%、Mw=2.5万、酸含有量=4重量%)30重量部および(a−5)として高級脂肪酸であるオレイン酸カリウム3重量部とを混合したものを、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工株式会社製、PCM−30,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口より、20%の水酸化カリウム水溶液を150g/時間の割合で連続的に供給して、加熱温度210℃で連続的に押出し、同押出機口に設置した1軸スクリュー押出機で110℃まで冷却し、組成物を得た。この組成物40重量部をトルエン160重量部に投入して100℃で加熱溶解した後、80℃までは20℃/時間、80℃から50℃までは5℃/時間、50℃から40℃までは10℃/時間で降温して、微濁の樹脂液を得た。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様の方法で接着剤、バインダーの評価を行った。
尚、プロピレン系樹脂は、以下の方法で得たものを用いた。プロピレン系樹脂 99重量部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート 1重量部、および重合開始剤としてパーヘキシ25B 0.2重量部を混合し、加熱温度180℃、2時間で変性を行い、重合体鎖に結合したカルボン酸を含むプロピレン系樹脂を得た。
【0050】
[実施例8](a−1)をプロピレン系樹脂(C3=95モル%、Mw=40万)に、トルエン160重量部をトルエン400重量部とシクロヘキサノン171重量部の混合液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0051】
[実施例9](a−1)をカルボン酸で変性されたプロピレン系樹脂(C3=95モル%、Mw=13万、酸含有量=1重量%)に、トルエン160重量部をトルエン400重量部とシクロヘキサノン171重量部の混合液に変更した以外は、実施例6と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0052】
[実施例10] バインダーの評価でエチレンビスステアリン酸アミドを添加しないこと以外は、実施例8と同様の方法で試験を行った。尚、接着剤の評価は未実施である。
【0053】
[実施例11]実施例8で得られた樹脂液100重量部に石油樹脂(三井化学株式会社製、ハイレッツT−480X)1.4重量部を混合分散させて樹脂液を得た。試験は実施例8同様に実施した。
【0054】
[実施例12]実施例8で得られた樹脂液100重量部にテルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、YSレジンTR105)1.4重量部を混合分散させて樹脂液を得た。試験は実施例8同様に実施した。
【0055】
[実施例13]実施例8で得られた樹脂液100重量部にロジンエステル樹脂(荒川化学工業株式会社製、スーパーエステルA−100)1.4重量部を混合分散させて樹脂液を得た。試験は実施例8同様に実施した。
【0056】
[実施例14](a−1)をプロピレン系樹脂(C3=74モル%、Mw=30万)に、トルエン160重量部をトルエン400重量部とシクロヘキサノン171重量部の混合液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0057】
[実施例15](a−1)をカルボン酸で変性されたプロピレン系樹脂(C3=74モル%、Mw=12万、酸含有量=1重量%)に、トルエン160重量部をトルエン400重量部とシクロヘキサノン171重量部の混合液に変更した以外は、実施例6と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0058】
[実施例16](a−1)のプロピレン系樹脂をスチレン−エチレン−ブテンブロック重合体(スチレン含量=30wt%、Mw=13万)、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン重合体(C2=96モル%、Mw=4800)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0059】
[実施例17](a−1)のプロピレン系樹脂をエチレン−酢酸ビニル重合体(エチレン含量=19モル%、Mw=13万)に変更した以外は、実施例16と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0060】
[比較例1](a−1)としてプロピレン系樹脂(C3=66モル%、Mw=12万)100重量部をトルエン400重量部に投入して100℃で加熱溶解した後、80℃までは20℃/時間、80℃から50℃までは5℃/時間、50℃から40℃までは10℃/時間で降温して、微濁の樹脂液を得た。得られた樹脂液を用いて実施例1と同様の方法で接着剤、バインダーの評価を行った。
【0061】
[比較例2](a−1)を(a−2)である無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン重合体(C3=98モル%、Mw=2.5万、酸含有量=4重量%)に変更した以外は、比較例1と同様の方法で樹脂液を得、試験を行った。
【0062】
[比較例3] バインダーの評価で樹脂液を用いず、比較例1と同様の方法で試験を行った。尚、接着剤の評価は未実施である。
【0063】
<樹脂液(A)の評価>
得られた樹脂液について、外観と流動性の有無を評価し、結果を表1に記載した。尚、外観は目視にて評価をし、流動性は容器(直径7cm×高さ15cm)に樹脂液(A)を50%投入し、1週間室温に静置したものについて転倒させてその有無を評価した。
また、得られた樹脂液を用いて接着剤としての評価をし、その結果を表1に記載した。
【0064】
<接着剤の評価>
アルミ箔に乾燥後の膜厚が3μmとなるように上記樹脂液をそれぞれ塗布したのち、200℃のオーブンに入れて1分間処理した。この塗膜の上に、アルミ箔をJISZ1707に準拠した方法により、200℃で2秒間、0.098MPaの圧力をかけてヒートシールして試験片を作成した。
それぞれ得られた試験片について、24時間後のピール強度を測定した。ピール強度は、試験片を1.5cmの短冊状に切り、端部を50mm/分の速度で180°方向に引っ張りピール強度を測定し、ピール強度が300g/cm以上のものを○、300g/cm未満のものを×として評価し、結果を表1に記載した。
【0065】
以下、得られた樹脂液を用いて焼成用バインダーとしての評価を行なった。
<粉体冶金用バインダーの評価>
主成分のベース金属粉末として鉄粉97.2重量部、副成分の粉末として銅粉末2.0重量部、黒鉛粉末0.8重量部を50℃に加熱しながら混合した後、ここに樹脂液(A)を固形分で0.45重量部となるように噴霧添加して10分間混合した。ここにエチレンビスステアリン酸アミドを0.03重量部添加して、30分混合しながら、樹脂液(A)の溶媒を蒸発させ冶金用粉体を得た。さらに、得られた冶金用粉末を金型(直径11mm×厚さ10mm)に充填し、圧力686MPaにて圧粉体を得た。尚、圧粉体は10点作成した。
【0066】
(1)黒鉛の飛散量測定
それぞれ得られた冶金用粉体を用いて、黒鉛の飛散量を測定した。試験装置は一方が閉塞した円筒管(内径3cm×長さ15cm)の閉塞側から0.5cmの側面に窒素ガスを吹き込む口が付いており、閉塞側から1cmのところに795メッシュの金網を設け、冶金用粉末を金網上に20g置き、毎分2リットルの窒素ガスを15分吹き込み、黒鉛の減量を測定し、飛散量が10%未満のものを◎、10%以上30%未満のものを○、30%以上のものを×として評価し、結果を表1に記載した。
【0067】
(2)流動性の測定
得られた冶金用粉体を用いて、その流動性をJIS規格Z2502に準拠して測定し、流動性が27(g/50g)以上のものを◎、20(g/50g)以上27(g/50g)未満のものを○、20(g/50g)未満のものを×として評価し、結果を表1に記載した。
【0068】
(3)圧粉体の密度とバラツキの測定
それぞれ10点作成した圧粉体は、それぞれ密度を測定し、平均値を表1に記載した。表には、7.30(Mg/m3)以上のものを◎、7.20(Mg/m3)以上7.30(Mg/m3)未満のものを○、7.20(Mg/m3)未満のものを×として記載した。また、測定した最低の数値と最高の数値の差をバラツキとして表1に記載した。表には、値の差が0.05(Mg/m3)以下のものを◎、0.05(Mg/m3)以上0.2(Mg/m3)未満のものを○、0.2(Mg/m3)以上のものを×として記載した。
【0069】
【表1】



【0070】
<セラミック成形用バインダーの評価>
[実施例18]
実施例1において、(a−1)としてカルボン酸で変性されたプロピレン系樹脂(C3=74モル%、Mw=12万、酸含有量=1重量%)100重量部を使用した以外は、同様の方法で樹脂液(固形分20%)を得た。
【0071】
アルミナ粉末(商品名AL−45−A(粒径0.79μm)、昭和電工社)60重量部に得られた上記樹脂液30.2重量部を加え、更に、トルエン22重量部を加え、磁気製ボールミルで48時間分散しセラミックス成形用バインダーを得た。アルミナ粉/バインダー(固形分)重量比が10/1であるアルミナスラリーを得た。ここで、得られたアルミナスラリーを静置状態にして分離が生じていないかを確認した。
つづいて、得られたアルミナスラリーを乾燥後の厚みが180μになるようにドクターブレードでポリエステルシート上に塗布し、80℃で1時間乾燥して溶媒を除去し、ポリエステルシートから剥離し、アルミナグリーンテープを作成した。
【0072】
[比較例4]
アクリル樹脂(DSCによる融点:80℃、重量平均分子量:27万)とトルエンからなる固形分37.5%のセラミックスバインダーを用いた以外は実施例18と同様にアルミナスラリーを得、アルミナグリーンテープを製造し、評価を行った。
【0073】
グリーンテープでの評価と結果
アルミナグリーンテープに関し、グリーン密度、グリーンテープの伸び強度および、熱分解性(熱分解温度域および残炭量)を測定した。
(1)グリーン密度:成形体寸法と重量より求めた。
(2)グリーンテープの強度:引っ張り試験機によりJIS K6848に準じて計測した。
(3)熱分解性:セラミックスバインダーを直径6cmのアルミ製シャーレに1g入れ、150℃30分乾燥して得られた樹脂片10mgアルミカップに入れ、示差熱・熱重量分析装置(TG/DTA同時測定装置 DTG-60/60H 島津製作所社製)にて、昇温速度20℃/分、昇温温度域20〜500℃にて測定を行い、分解温度域(分解開始温度:元重量から2%減少した温度、分解到達温度:重量変化がなくなった温度)および重量変化を測定した。
以上の結果を表2に記載した。
【0074】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)含み、
これが有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解していることを特徴とする樹脂液。
【請求項2】
樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)を含み、
(a−1)、(a−2)および(a−3)に含有するカルボキシル基の一部または全部が塩基性物質(a−4)で中和されてなり、これが有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解していることを特徴とする樹脂液。
【請求項3】
前記樹脂液(A)が、更にアニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂液。
【請求項4】
前記樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)100重量部に対し、オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)が0.5〜60重量部、界面活性剤(a−5)が0〜40重量部含有する請求項3に記載の樹脂液。
【請求項5】
前記塩基性物質(a−4)が、金属からなることを特徴とする請求項2に記載の樹脂液。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂(a−1)が、未変性のオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂液。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂(a−1)が、水酸基で変性されたオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂液。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂(a−1)が、カルボン酸またはその塩の基を含有するオレフィン系樹脂であり、前記オレフィン系樹脂(a−2)より重量平均分子量が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂液。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂(a−1)が、プロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂液。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂(a−1)の重量平均分子量が50,000以上1,000,000以下で、前記オレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)の重量平均分子量が220以上50,000未満である請求項1または2に記載の樹脂液。
【請求項11】
前記樹脂液(A)が、熱可塑性樹脂(a−1)と、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基を樹脂1グラム当り
式(1) −C−O−
‖ ・・・(1)

で表される基換算で0.05〜5ミリモル当量の濃度で含むオレフィン系樹脂(a−2)および/または脂肪酸(a−3)と、アニオン型および/またはノニオン型界面活性剤(a−5)を押出機で溶融混練し、その後に塩基性物質(a−4)と水を添加することで水に分散させ、これを有機溶媒(a−6)に分散および/または溶解させる請求項3に記載の樹脂液の製造方法。
【請求項12】
樹脂液(A)に、石油系炭化水素樹脂(B)および/またはロジン系樹脂(C)および/またはテルペン系樹脂(D)を混合してなることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂液。
【請求項13】
請求項1または2に記載の樹脂液(A)の固形分100重量部に対して、前記石油系炭化水素樹脂(B)および/または前記ロジン系樹脂(C)および/または前記テルペン系樹脂(D)を0〜50重量部となるように混合してなることを特徴とする請求項12に記載の樹脂液。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂液を含有する接着剤。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂液を含有する焼成用バインダー。


【公開番号】特開2012−67288(P2012−67288A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180985(P2011−180985)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】