説明

樹脂用の加工安定化剤、該加工安定化剤を含む樹脂組成物、および樹脂の加工安定性を向上させる方法

【課題】樹脂用の加工安定化剤を提供すること。
【解決手段】Cn2nn(式中、nは3以上10以下の整数である)で表され、1個のアルデヒド基またはケトン基およびn−1個のヒドロキシ基を有する化合物(1)の少なくとも1個のヒドロキシ基が−SR1基(式中、R1は、C1-20アルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族基を表す)で置き換わったスルフィド化合物(2)を含む樹脂用の加工安定化剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂用の加工安定化剤、および該加工安定化剤を含む樹脂組成物に関する。本発明は、該加工安定化剤を使用して樹脂の加工安定性を向上させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂およびその組成物は成形性などに優れているため、様々な用途に広く用いられている。このような樹脂の特性(例えば加工安定性)を向上させるために、種々の添加剤を使用することが知られている(例えば非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】本間精一、1.基礎総合解説編、現場で役立つ成形加工技術−材料と成形技術、プラスチック2002年4月号別冊4頁、(株)工業調査会発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂組成物の成形加工などは、高温で行われる場合がある。そのため高温加工の際に樹脂の加工安定性を向上させることができる加工安定化剤が求められている。本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、樹脂用の加工安定化剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した結果、特定のスルフィド化合物を使用すれば、樹脂の加工安定性を向上させることができることを見出した。
【0006】
このような知見に基づき、本発明の樹脂用の加工安定化剤は、Cn2nn(式中、nは3以上10以下の整数である)で表され、1個のアルデヒド基またはケトン基およびn−1個のヒドロキシ基を有する化合物(1)の少なくとも1個のヒドロキシ基が−SR1基(式中、R1は、C1-20アルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族基を表す)で置き換わったスルフィド化合物(2)を含むことを特徴とする。
【0007】
なお本発明(即ち本願明細書および特許請求の範囲)において、「樹脂用の加工安定化剤」とは、「樹脂の加工安定性を向上させる添加剤」を意味し、詳しくは「該添加剤を添加しない場合と比べて、樹脂の高温混練時に混練トルクの上昇を防ぎ、混練トルクの最大値に到達するまでの時間(ビルドアップタイム)を延長させる作用を有する添加剤」を意味する。また「Ca-b」とは、炭素数がa以上b以下であることを意味する。
【0008】
化合物(1)は、好ましくはヘキソースであり、より好ましくはピラノース型のアルドヘキソースである。
【0009】
スルフィド化合物(2)は、好ましくは、フェニル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、メチル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、フェニル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、メチル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、フェニル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、およびメチル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシドからなる群から選ばれる少なくとも一つである。
【0010】
本発明は、上記加工安定化剤および樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物;並びに上記加工安定化剤および樹脂を混合することを特徴とする樹脂の加工安定性を向上させる方法;も提供する。
【発明の効果】
【0011】
スルフィド化合物(2)を使用すれば、樹脂の加工安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の加工安定化剤は、スルフィド化合物(2)を含むことを特徴とする。スルフィド化合物(2)は、化合物(1)(即ち単糖類)の少なくとも1個のヒドロキシ基が−SR1基で置き換わった化合物である。まず化合物(1)から説明する。
【0013】
化合物(1)は、Cn2nn(式中、nは3以上10以下の整数である)で表され、n−1個のヒドロキシ基を有する単糖類である。即ち化合物(1)は、トリオース(n=3)、テトロース(n=4)、ペントース(n=5)、ヘキソース(n=6)、ヘプトース(n=7)、オクトース(n=8)、ノノース(n=9)またはデコース(n=10)である。nは、好ましくは4以上(より好ましくは5以上)、好ましくは8以下(より好ましくは6以下)である。
【0014】
化合物(1)は、環状でも鎖状でもよく、好ましくは環状である。環状の化合物(1)は、ピラノース型でもフラノース型でもよく、好ましくはピラノース型である。また化合物(1)は、D体でもL体でもよく、好ましくはD体である。さらに化合物(1)は、アルデヒド基(「ホルミル基」ともいう)を有するアルドースでも、ケトン基(「カルボニル基」ともいう)を有するケトースでもよく、好ましくはアルドースである。
【0015】
アルドースとしては、例えば、アルドトリオース(グリセルアルデヒド);アルドテトロース(エリトロース、トレオース);アルドペントース(リボース、アラビノース、キシロース、リキソース);アルドヘキソース(グルコース、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース);およびアルドヘプトース(例えばD−グリセロ−D−ガラクト−ヘプトースなど)が挙げられる。
【0016】
ケトースとしては、例えば、ケトトリオース(ジヒドロキシアセトン);ケトテトロース(エリトルロース);ケトペントース(リブロース、キシルロース);ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース);およびケトヘプトース(例えばセドヘプツロース、D−マンノ−ヘプツロースなど)が挙げられる。
【0017】
化合物(1)は、好ましくはヘキソースであり、より好ましくはアルドヘキソースであり、さらに好ましくはグルコース、マンノースまたはガラクトース、特に好ましくはグルコースである。アルドヘキソースは、好ましくはピラノース型である。以下、「グルコースのヒドロキシ基が−SR1で置き換わったスルフィド化合物」等を、「グルコース−スルフィド化合物」等と呼ぶことがある。
【0018】
スルフィド化合物(2)は、上記単糖類の少なくとも1個のヒドロキシ基が−SR1基で置き換わった化合物である。−SR1基の数は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1である。スルフィド化合物(2)が環状である場合、−SR1基の結合方向は、αでもβでもよく、好ましくはβである。また−SR1基は、好ましくは、化合物(1)の1位の炭素原子と結合している。なお結合方向および位置番号のつけ方は、単糖類の基準に従う。
【0019】
1は、C1-20アルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族基である。C1-20アルキル基は、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、好ましくは直鎖状である。C1-20アルキル基の炭素数は、好ましくは5以上(より好ましくは7以上)、好ましくは17以下(より好ましくは15以下)である。C1-20アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基などが挙げられる。
【0020】
芳香族基は、アリール基およびヘテロアリール基のいずれでもよく、好ましくはアリール基である。アリール基の炭素数は、6以上、好ましくは14以下である。アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基およびアントリル基などが挙げられる。これらの中でフェニル基が好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を含有し、5〜7員(好ましくは5または6員)の単環式ヘテロアリール基が挙げられる。単環式ヘテロアリール基としては、例えばピリジル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。
【0021】
芳香族基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0である。芳香族基が2以上の置換基を有する場合、置換基は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。芳香族基が有し得る置換基としては、例えば、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基およびハロゲン原子(例えば塩素原子)などが挙げられ、これらの中でC1-12アルキル基およびC1-12アルコキシ基が好ましい。C1-12アルキル基およびC1-12アルコキシ基は、いずれも、直鎖状でも分枝鎖状でもよい。
【0022】
1-12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。C1-12アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0023】
スルフィド化合物(2)は、好ましくはヘキソース−スルフィド化合物であり、より好ましくはアルドヘキソース−スルフィド化合物(即ちグルコース−スルフィド化合物、マンノース−スルフィド化合物、ガラクトース−スルフィド化合物、アロース−スルフィド化合物、アルトロース−スルフィド化合物、グロース−スルフィド化合物、イドース−スルフィド化合物、またはタロース−スルフィド化合物)である。前記アルドヘキソースは、いずれも、ピラノース型であることが好ましい。
【0024】
グルコース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、メチル1−チオ−β−D−グルコピラノシドなどが挙げられる。
【0025】
マンノース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、メチル1−チオ−β−D−マンノピラノシドなどが挙げられる。
【0026】
ガラクトース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、メチル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシドなどが挙げられる。
【0027】
アロース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−アロピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−アロピラノシド、メチル1−チオ−β−D−アロピラノシドなどが挙げられる。
【0028】
アルトロース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−アルトロピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−アルトロピラノシド、メチル1−チオ−β−D−アルトロピラノシドなどが挙げられる。
【0029】
グロース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−グロピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−グロピラノシド、メチル1−チオ−β−D−グロピラノシドなどが挙げられる。
【0030】
イドース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−イドピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−イドピラノシド、メチル1−チオ−β−D−イドピラノシドなどが挙げられる。
【0031】
タロース−スルフィド化合物としては、例えば、フェニル1−チオ−β−D−タロピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−タロピラノシド、メチル1−チオ−β−D−タロピラノシドなどが挙げられる。
【0032】
前記具体例では−SR1基の結合方向がβである化合物を列挙したが、同じ−SR1基を有し、結合方向がαであるアルドヘキソース−スルフィド化合物も具体例として挙げることができる。なお以下では「−SR1基の結合方向がβである化合物」等を「β体」等と略称することがある。同様に、前記具体例ではD体を列挙したが、同じ−SR1基を有するL体も具体例として挙げることができる。
【0033】
アルドヘキソース−スルフィド化合物の中でも、前記グルコース−スルフィド化合物(α体およびβ体の両方)、前記マンノース−スルフィド化合物(α体およびβ体の両方)、および前記ガラクトース−スルフィド化合物(α体およびβ体の両方)が好ましく、前記グルコース−スルフィド化合物のβ体、前記マンノース−スルフィド化合物のβ体、および前記ガラクトース−スルフィド化合物のβ体がより好ましく、前記グルコース−スルフィド化合物のβ体がさらに好ましい。
【0034】
スルフィド化合物(2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。スルフィド化合物(2)の混合物としては、例えば、化合物(1)の平衡混合物(例えばグリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンとの平衡混合物であるグリセロース)である化合物(1)から、公知の製造方法で得られるスルフィド化合物の混合物などが挙げられる。またα体とβ体との混合物、およびD体とL体との混合物も使用することができる。
【0035】
スルフィド化合物(2)は、公知の製造方法によって製造することができる。例えば、式(6)で表されるフェニル1−チオ−D−グルコピラノシドは、丸善株式会社発行の新実験化学講座(昭和53年7月20日発行)および第4版実験化学講座(平成4年4月6日発行)の記載の方法に準じ、下記スキームのように製造することができる。
【0036】
【化1】

【0037】
フェニル1−チオ−D−グルコピラノシド(6)の製造方法を詳しく説明する。まず新実験化学講座14・有機合成V・第2428〜2429頁の記載に準じて、式(3)で表されるD−グルコースを塩基性溶媒(例えばピリジン)中で無水酢酸(Ac2O)と作用させ、ヒドロキシ基を全てアセチル化して、式(4)で表されるペンタ−O−アセチルグルコピラノシドを得る。次いで第4版実験化学講座26・有機合成VIII・第275〜281頁の記載に準じて、ルイス酸(例えばBF3・OEt2)の存在下で、ペンタ−O−アセチルグルコピラノシド(4)とチオフェノール(Ph−SH)とを反応させて、式(5)で表される化合物(即ちフェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−D−グルコピラノシド)を得る。次いで新実験化学講座14・有機合成V・第2484〜2485頁の記載に準じて、極性溶媒(例えばメタノール)中で化合物(5)に塩基(例えばNaOMe)を作用させてアセチル基を除去することによって、式(6)で表される化合物(フェニル1−チオ−D−グルコピラノシド)が得られる。
【0038】
上記スキームの途中で合成されるスルフィド化合物(5)などは市販されている。例えば上記化合物(5)の1種であるフェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシドは、東京化成品工業(株)から市販されており、この市販品を使用して、上記化合物(6)の1種であるフェニル1−チオ−β−D−グルコピラノシドを製造することができる。
【0039】
本発明の加工安定化剤は、スルフィド化合物(2)を含む。本発明の加工安定化剤は、スルフィド化合物(2)以外の加工安定化剤を含んでもよく、好ましくは1種または2種以上のスルフィド化合物(2)のみからなる。
【0040】
本発明の加工安定化剤と樹脂とを混合することによって、樹脂の加工安定性を向上させることができる。そのため本発明は、加工安定化剤および樹脂を含む樹脂組成物も提供する。以下、本発明の樹脂組成物について説明する。
【0041】
組成物中の加工安定化剤の量は、加工安定化剤に含まれるスルフィド化合物(2)の量を基準にして定められる。即ち組成物中のスルフィド化合物(2)の量(複数のスルフィド化合物(2)を使用する場合はその合計量)は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上(より好ましくは0.02質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上)、好ましくは5質量部以下(より好ましくは2質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下)である。
【0042】
組成物に含まれる樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、熱可塑性樹脂が好ましい。以下、熱可塑性樹脂について説明する。
【0043】
熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂;高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン系樹脂;メチルペンテンポリマー;エチレン−アクリル酸エチル共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン類;塩素化ポリエチレン;ポリクロロプレン;ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;ポリ塩化ビニリデン;メタクリル樹脂;エチレン−ビニルアルコール共重合体;フッ素樹脂;ポリアセタール;グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリウレタン;ポリアミド;ポリアクリレート;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;芳香族ポリエステル樹脂;ジアリルフタレートプリポリマー;シリコーン樹脂;1,2−ポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/アクリロニトリル共重合体;エチレン−メチルメタクリレート共重合体;などが挙げられる。
【0044】
成形加工性の観点から、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリスチレン類が好ましく、ポリプロピレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびスチレン−ブタジエン共重合体がより好ましい。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、前記加工安定化剤および樹脂以外に、例えば酸化防止剤(例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、造核剤、充填剤、難燃剤、金属不活性化剤、顔料、可塑剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、結着剤などの添加剤(以下「その他の添加剤」と総称する)を含有していてもよい。その他の添加剤の中でも、酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤がより好ましい。その他の添加剤は、1種以上を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。以下、その他の添加剤について順に説明する。
【0046】
フェノール系酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、以下の[1]〜[16]に記載する物などが挙げられる。
【0047】
[1]ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−β−(4’ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクダデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシル−1’−イル)フェノールなどのアルキル化モノフェノール。
【0048】
[2]2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−エチルフェノール、2,6−ビス(ドデシルチオメチル)−4−ノニルフェノールなどのアルキルチオメチルフェノール。
【0049】
[3]2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペートなどのヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン。
【0050】
[4]α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールなどのトコフェロール。
【0051】
[5]2,2’−チオビス(6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−t−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(ヒドロキシ化フェニル)スルフィド。
【0052】
[6]2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−イソブチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス−3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンなどのアルキリデンビスフェノールおよびその誘導体。
【0053】
[7]3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートなどのO−ベンジル誘導体、N−ベンジル誘導体およびS−ベンジル誘導体。
【0054】
[8]ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−(2−3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートなどのヒドロキシベンジル化マロネート誘導体。
【0055】
[9]1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールなどの芳香族ヒドロキシベンジル誘導体。
【0056】
[10]2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレートなどのトリアジン誘導体。
【0057】
[11]ジメチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩などのベンジルホスホネート誘導体。
【0058】
[12]4−ヒドロキシラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル−N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバネートなどのアシルアミノフェノール誘導体。
【0059】
[13]β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価アルコールまたは多価アルコール(例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など)と、のエステル。
【0060】
[14]β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価アルコールまたは多価アルコール(例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など)と、のエステル。
【0061】
[15]3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、一価アルコールまたは多価アルコール(例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物など)と、のエステル。
【0062】
[16]N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミンなどのβ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド。
【0063】
フェノール系酸化防止剤は、好ましくはアルキル化モノフェノール(より好ましくはペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−β−(4’ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つ)である。
【0064】
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,6,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイトなどが挙げられる。
【0065】
リン系酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。好ましいリン系酸化防止剤は、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,6,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピンである。
【0066】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば2,4−ビス[オクチルチオメチル−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などが挙げられる。
【0067】
イオウ系酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。好ましいイオウ系酸化防止剤は、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネートである。
【0068】
紫外線吸収剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、以下の[1]〜[3]に記載する物などが挙げられる。
【0069】
[1]フェニルサリシレート、4−tert−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどのサリシレート誘導体。
【0070】
[2]2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどの2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体。
【0071】
[3]2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−[3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[4−tert−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸などの2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール。
【0072】
好ましい紫外線吸収剤は、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、および2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである。
【0073】
光安定剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。光安定剤としては、例えば、以下の[1]〜[11]に記載する物などが挙げられる。
【0074】
[1]ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−(2−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、およびテトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールと、の混合エステル化物。
【0075】
[2]1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールと、の混合エステル化物。
[3]1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3、9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンと、の混合エステル化物。
[4]1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンと、の混合エステル化物。
[5]ジメチルサクシネートと、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと、の重縮合物。
【0076】
[6]ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、およびN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと、1,2−ジブロモエタンとの重縮合物。
【0077】
[7]N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンなどのヒンダードアミン系光安定剤。
【0078】
[8]エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメートおよびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンなどのアクリレート系光安定剤。
【0079】
[9]2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体などのニッケル系光安定剤。
【0080】
[10]4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキシアニリド、2−エトキシ−5,4’−ジ−tert−ブチル−2’−エチルオキサニリドなどのオキサミド系光安定剤。
【0081】
[11]2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤。
【0082】
光安定剤は、好ましくは2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤(より好ましくはセバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物からなる群から選ばれる少なくとも一つ)である。
【0083】
中和剤としては、例えば、合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0084】
滑剤としては、例えば、パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ブチルステアレート、硬化ひまし油、ステアリルアルコールやステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0085】
帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。帯電防止剤としては、例えば、以下の[1]〜[4]に記載する物などが挙げられる。
[1]第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジン誘導体等のカチオン系帯電防止剤。
[2]硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、燐酸エステル塩等のアニオン系帯電防止剤。
[3]多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等の非イオン系帯電防止剤。
[4]カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系帯電防止剤。
【0086】
防曇剤としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウレートやソルビタンモノステアレート等が挙げられる。
【0087】
造核剤としては、例えば、1,3:2,4−ジ−O−ベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−O−(4−クロロベンジリデン)−2,4−O−(4−メチルベンジリデン)−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−プロピルベンジリデン)ソルビトール、アルミニウム モノヒドロキシ−ジ−p−tert−ブチルベンゾエート、ナトリウム ビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム 2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、タルク、安息香酸ナトリウム、リチウム 2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
【0088】
充填剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化クロム(III)、酸化鉄、酸化亜鉛、シリカ、珪藻土、アルミナ繊維、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の塩基性物または水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム等の(亜)硫酸塩;珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、モンモリロライト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、べントナイト等の珪酸塩;カオリン(陶土)、パーライト、鉄粉、銅粉、鉛粉、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化珪素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硼酸亜鉛、硼酸アルミニウム、メタ硼酸バリウム、硼酸カルシウム、硼酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0089】
難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、赤燐、ハロゲンを含むリン酸エステル、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。またハロゲン系難燃剤の難燃性を高める助剤として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどを挙げることができる。
【0090】
次に本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。なお以下では、樹脂の中でも好ましい熱可塑性樹脂を用いる製造方法について説明する。製造方法としては、例えば、(a)本発明の加工安定化剤、熱可塑性樹脂、および必要に応じてその他の添加剤を混合し、得られた混合物を単軸または多軸の押出し機により溶融混練する方法;(b)熱可塑性樹脂を溶液中で重合し、重合後のその溶液中に、本発明の加工安定化剤および必要に応じてその他の添加剤を含む溶液または懸濁液を供給し、次いで得られた混合液から溶媒を留去する方法;および(c)本発明の加工安定化剤、熱可塑性樹脂、および必要に応じてその他の添加剤をバンバリーミキサーなどで混合し、得られた混合物を押出成形してペレット状の樹脂組成物を得る方法;などが挙げられる。また、その他の添加剤を使用する場合には、本発明の加工安定化剤およびその他の添加剤を、例えばバンバリーミキサーなどで混合し、得られた混合物を造粒法(例えば押出造粒、攪拌造粒、圧縮造粒など)で粒状物に加工し、この粒状物と熱可塑性樹脂とを混練する方法なども使用することができる。
【0091】
本発明の樹脂組成物は、フィルムやパイプ等の製品を製造するための成形材料として有用である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0093】
(I)化合物の製造
50mlの二ツ口フラスコに、フェニル2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(5g、11.4mmol)およびメタノール10mlを仕込み、氷冷下、撹拌した。28質量%NaOMeのメタノール溶液3mlをフラスコ内に加え、1時間撹拌した。その後に反応混合物を1NのHCl水溶液でpH=6まで中和し、次いで反応混合物から溶媒を減圧濃縮によって留去した。残留物にエタノール20mlを加え、残留物の共沸脱水を行った。共沸脱水を合計5回繰り返した。残留物をカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=20:3(体積比))で精製し、フェニル1−チオ−β−D−グルコピラノシド(2.9g、10.7mmol、収率93.8%)を得た。得られた化合物を、以下、「スルフィド化合物(2−1)」と略称する。
【0094】
スルフィド化合物(2−1)の物性データ
1H−NMR(500MHz,CDCl3)δ7.47−7.46(m,2H),7.32−7.29(m,2H),7.24−7.20(m,2H),5.28(d,1H,J=6.1Hz),5.10(bs,1H),4.98(d,1H,J=5.4Hz),4.62(d,1H,J=9.9Hz),4.56(t,1H,J=6.1Hz),3.70(ddd,1H,J=6.9,5.4,2.3Hz),3.45(quintet,1H,J=6.1Hz),3.25−3.21(m,2H),3.13−3.04(m,2H).
13C−NMR(125MHz,DMSO)δ135.0,129.6,128.8,126.3,87.1,81.0,78.2,72.4,69.8,61.0.
ESI−MS m/z=[M+Na]+=295.1.
【0095】
(II)加工安定化剤の評価
上記製造方法で得られたスルフィド化合物(2−1)の加工安定化剤としての作用を評価するため、これと熱可塑性樹脂とをラボプラストミルにて混練加工して、樹脂組成物を調製した。この混練加工時のトルク(抵抗値)を連続して記録し、「混練開始からトルクが最大に到達するまでの時間(ビルドアップタイム)」を測定した。加工安定化剤を添加しない場合に比べてビルドアップタイムが長くなるほど、熱可塑性樹脂の加工安定性が向上したことを意味する。また比較例として、加工安定化剤を添加せず、熱可塑性樹脂のみを混練したときのビルドアップタイムも測定した。これらの結果を表1に示す。
【0096】
熱可塑性樹脂としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体〔旭化成(株)製:アサフレックス(登録商標)830〕を使用した。スルフィド化合物(2−1)の使用量は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体100質量部に対して0.24質量部であった。ラボプラストミルとしては、東洋精機製作所製ラボプラストミル(4C−150)を用いた。混練は、窒素雰囲気、250℃、回転数100rpmの条件で行った。
【0097】
【表1】

【0098】
表1に示されているように、加工安定化剤としてスルフィド化合物(2−1)を添加した実施例1の樹脂組成物は、加工安定化剤を添加していない比較例1の樹脂と比べてビルドアップタイムが長く、加工安定性が向上していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n2nn(式中、nは3以上10以下の整数である)で表され、1個のアルデヒド基またはケトン基およびn−1個のヒドロキシ基を有する化合物(1)の少なくとも1個のヒドロキシ基が−SR1基(式中、R1は、C1-20アルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族基を表す)で置き換わったスルフィド化合物(2)を含むことを特徴とする樹脂用の加工安定化剤。
【請求項2】
化合物(1)が、ヘキソースである請求項1に記載の加工安定化剤。
【請求項3】
ヘキソースが、ピラノース型のアルドヘキソースである請求項2に記載の加工安定化剤。
【請求項4】
スルフィド化合物(2)が、フェニル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、メチル1−チオ−β−D−グルコピラノシド、フェニル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、メチル1−チオ−β−D−マンノピラノシド、フェニル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、オクチル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、およびメチル1−チオ−β−D−ガラクトピラノシドからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項3に記載の加工安定化剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の加工安定化剤および樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の加工安定化剤および樹脂を混合することを特徴とする樹脂の加工安定性を向上させる方法。


【公開番号】特開2011−207988(P2011−207988A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76135(P2010−76135)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】