説明

樹脂硬化物が混在する合成樹脂製品粉砕物の再利用方法

【課題】自動車バンパーなどの被膜付き熱可塑性樹脂製品を、その表面被膜を除去すること無く、多方面に再利用が可能な再生樹脂粒状物とすることができる方法を提供すること。
【解決手段】少量の樹脂硬化物が混在していて、黒色顔料もしくは有彩色顔料を含有する再生対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物に、白色顔料、黒色顔料、有彩色顔料などの光遮蔽性顔料を一種もしくは二種以上混合して、加熱溶融物を調製し、次いでその加熱溶融物を固形粒状物に変換する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に被膜層を有し、黒色顔料あるいは有彩色顔料により着色された合成樹脂製品の再利用方法に関する。さらに詳しくは、自動車部品や家電部品などによって代表される、表面に被膜層を有し、黒色顔料あるいは有彩色顔料により着色された合成樹脂製品の粉砕物を新たな合成樹脂成形物に変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への負担を減らすために、自動車部品や家電部品などによって代表される合成樹脂製品の合成樹脂材料の再利用が求められており、多くの企業が、そのような合成樹脂材料の有効な再利用を検討している。合成樹脂製品の合成樹脂材料の再利用は一般に、その合成樹脂製品の多くが熱可塑性樹脂から形成されていることから、合成樹脂製品を粉砕して粉砕物とし、この粉砕物を加熱溶融した後、粒状物とする方法が利用されている。
【0003】
上記のような合成樹脂製品は一般に廃プラスチックとよばれているが、それらの多くは、黒色顔料により黒色あるいは灰色に着色されていたり、あるいは赤色顔料、青色顔料、黄色顔料などにより有彩色に着色されている。しかも、それらの着色が合成樹脂製品の全体に共通することなく、一つの製品が数種の有彩色顔料によって、パターン状あるいは部分的に着色されていることが多い。また、一定期間使用された着色合成樹脂製品の多くは、退色が発生して、その製造直後の色調が変化してくる。このため、これらの通常の合成樹脂製品からその樹脂材料を再利用しようとして、合成樹脂製品の粉砕物を加熱溶融して再生樹脂粒状物とすると、得られる再生樹脂粒状物は必然的に、黒色あるいは灰色を呈することになる。従って、そのようにして得られた黒色あるいは灰色の再生樹脂粒状物は、その再利用における用途が、黒色樹脂成形物あるいは灰色樹脂成形物の製造に限られていた。
【0004】
また、例えば、自動車のバンパーや自動車の内装用品の多くは、その表面に硬化性樹脂の硬化物からなる被膜(スキン層、塗膜)を備えている。このような樹脂硬化物の表面被膜を付けたまま粉砕処理した樹脂製品粉砕物を加熱溶融した後、樹脂成形物とすると、その被膜(樹脂硬化物)の破片が表面に現われ、成形物の外観を損なうと云う問題がある。従って、従来では、合成樹脂製品の再生にあたっては、それらの表面被膜(硬化物)を予め除去するのが一般的であった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者は、少量の樹脂硬化物が混在していて、黒色顔料もしくは有彩色顔料を含有する再生対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物に、白色顔料、黒色顔料、あるいは有彩色顔料などの光遮蔽性顔料を混合して加熱溶融物を得て、この加熱溶融物を固形粒状物に変換する方法を利用することにより、優れた外観を示す樹脂成形物の製造を可能にする再生樹脂粒状物が得られることを見いだした。
【0006】
従って、本発明は、0.1〜10質量%の樹脂硬化物が混在していて、黒色顔料もしくは有彩色顔料を含有する再生対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物に、白色顔料、黒色顔料及び有彩色顔料からなる群より選ばれる光遮蔽性顔料を混合してなる加熱溶融物を調製する工程、そして該加熱溶融物を固形粒状物に変換する工程を含む再生樹脂粒状物の製造方法にある。
【0007】
本発明において、加熱溶融物を調製する工程は、再生対象の樹脂製品粉砕物に光遮蔽性
顔料を混合したのち、該混合物を加熱溶融する操作を含む方法により行なうことが望ましい。ただし、再生対象の合成樹脂製品粉砕物を予め加熱溶融し、その加熱溶融の過程において、あるいは一旦加熱溶融を止めた後、その加熱溶融物に光遮蔽性顔料を添加し、再度加熱溶融を行なうこともできる。加熱溶融物を固形粒状物に変換する工程は、加熱溶融物の粒状物を得て、これを冷却する操作、あるいは塊状の加熱溶融物を冷却し、これを粉砕する操作などを利用して実施することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、塗膜を含む廃プラスチックの塗膜を剥がすことなく、使用済み廃プラスチックの再利用方法を提供することができる。
本発明の廃プラスチックの再利用方法は、外観が問われる目立ち易い分野に再利用可能な、成形後の外観に優れ、特に絞面を有する金型を用いて射出成形を行う場合に、得られる成形物の絞面の外観が優れ、再利用の用途拡大が可能な廃プラスチックの再利用方法と、再生樹脂、成形物を提供することができる。
また、本発明の廃プラスチックの再利用方法は、有彩色顔料を含むことにより、黒色以外の色に再着色することができ、あるいは回収したプラスチックの色以外に再着色することができるため、廃プラスチックの再利用方法の拡大が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施の態様を次に記載する。
(1)加熱溶融物を調製する工程において混合する光遮蔽性顔料が、有彩色顔料単独、有彩色顔料と黒色顔料との組み合わせ、有彩色顔料と白色顔料との組み合わせ、もしくは有彩色顔料、黒色顔料そして白色顔料の組み合わせであって、得られる再生樹脂粒状物が有彩色の再生樹脂粒状物である。
(2)加熱溶融物を調製する工程において、さらに無機材料フィラーを混合する。
(3)加熱溶融物を調製する工程において、さらに熱可塑性樹脂を混合する。
(4)加熱溶融物を調製する工程において、さらに熱可塑性樹脂とエラストマーとを混合する。
【0010】
(5)再生対象の樹脂製品粉砕物が、表面被膜付きの自動車のバンパーの粉砕物もしくは表面被膜付きの自動車の内装品の粉砕物である。
(6)再生対象の樹脂製品粉砕物が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ABS樹脂、及びポリアミドからなる群より選ばれる熱可塑性樹脂を含んでいる。
(7)再生対象の樹脂製品粉砕物が、エラストマーを含んでいる。
(8)上記の本発明の方法で製造した再生樹脂粒状物。
(9)上記の本発明の方法で製造した有彩色の再生樹脂粒状物。
(10)上記(8)に記載の再生樹脂粒状物を加熱溶融したのち、成形することからなる樹脂成形物の製造方法。
(11)上記(9)に記載の有彩色の再生樹脂粒状物を加熱溶融したのち、成形することからなる樹脂成形物の製造方法。
【0011】
本発明の合成樹脂製品の粉砕物の再利用方法は、少量の合成樹脂硬化物が混在している合成樹脂製品の粉砕物に新たに光遮蔽性を有する顔料を、そしてまた必要により熱可塑性樹脂やエラストマーそしてフィラーなどを配合することを特徴とする方法である。
【0012】
本発明の合成樹脂製品の粉砕物の再利用方法に際しては、例えば、粉砕物1〜100質量%に、熱可塑性樹脂0〜99質量%、エラストマー0〜40質量%及びフィラー0〜50質量%(粉砕物と、ポリオレフィン、エラストマーおよび/またはフィラーの合計は100質量%)を添加し、また粉砕物100質量部に、光遮蔽性顔料(黒色顔料、白色顔料、有彩色顔料などを一種以上)を0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜15質量
部、さらに好ましくは0.15〜12質量部、より好ましくは0.2〜12質量部、特に好ましくは0.25〜10質量部を配合する方法が利用される。
【0013】
本発明において、合成樹脂製品の粉砕物に、さらに熱可塑性樹脂、エラストマーおよびフィラーから選択される少なくとも一以上の成分を加えることは、本発明の再生方法により得られる成形物の機械特性などの物性が向上するため好ましい。
【0014】
本発明における再生対象となる合成樹脂製品の粉砕物の例としては、樹脂の成形(成型)時や加工時に発生する不要部分、使用済のインストルメントパネル、バンパー、モールなどの車内外装部材などの自動車部品、家電製品、工業用部材、住宅などの建材部材などから回収された使用済みの樹脂材料の粉砕物を挙げることができる。特に使用済のインストルメントパネル、バンパー、モールなどの車内外装部材などの自動車部品、家電製品、工業用部材、住宅などの建材部材などから回収された樹脂材料の粉砕物が再生対象となる。
【0015】
本発明における再生対象となる合成樹脂製品の粉砕物は、熱可塑性樹脂からなる合成樹脂製品の表面に付設されている硬化樹脂成形物被膜(例、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッドメラミン樹脂、アクリルメラミン樹脂などの塗膜を、熱、光(紫外線を含む)、水、溶剤、硬化触媒などを用いて硬化性樹脂を硬化させた硬化樹脂成形物)を含む樹脂製品廃棄物の粉砕物である。
【0016】
再利用技術の主要な対象となる合成樹脂製品の代表例としては、自動車から回収されたバンパーを挙げることができる。回収バンパーは、使用済みのバンパーであれば特に制限されることはないが、好ましくは、結晶性プロピレン系樹脂、エラストマー及び顔料を含むものである。例えば、結晶性プロピレン系樹脂40〜90質量%及びエラストマー10〜60質量%と、結晶性プロピレン系樹脂及びエラストマーを除く他の樹脂成分0〜20質量%の樹脂成分を含む回収バンパーを用いることが出来る。回収バンパーは、カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料を含むものを再生処理対象とすることができ、特にカーボンブラックと二酸化チタンとを含むものを再生処理対象とすることができる。回収バンパーは、プラスチック成分(樹脂成分+エラストマー成分)100質量部に対し、カーボンブラックを2質量部以下、さらに好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、特に好ましくは0.6質量部以下の量で含有する物を用いることが出来る。また、回収バンパーは、プラスチック成分(樹脂成分+エラストマー成分)100質量部に対し、カーボンブラックを除く顔料を1.5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、特に好ましくは0.3質量部以下含む物を用いることが出来る。回収バンパーは、プラスチック成分(樹脂成分+エラストマー成分)100質量部に対し、タルクなどのフィラーを50質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下含む物を用いることが出来る。回収バンパーは、ASTM・D1238(温度230℃、荷重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR)が、好ましくは1〜100g/10分、さらに好ましくは3〜70g/10分、特に好ましくは5〜50g/10分の熱可塑性樹脂を樹脂材料とするものを用いることが出来る。
【0017】
合成樹脂製品の粉砕物は、直径が通常30mm以下、好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは1〜25mm、より好ましくは1〜20mm、特に好ましくは1〜12mmとなるように粉砕した粉砕品である。また、合成樹脂製品の粉砕物を加熱押出機などを用いて、溶融し、ペレット状にした物もまた、合成樹脂製品の粉砕物と同様に利用できる。
【0018】
本発明の再利用対象となる黒色顔料を含む合成樹脂製品の粉砕物とは、その溶融成形物のL*が28.00以下、a*が−1.00〜0.40、b*が−1.50〜0.50と
なるような黒または灰色の粉砕物であることが好ましい。さらに好ましいのは、溶融成形物のL*が20.00〜37.00、a*が−1.00〜0.40、b*が−1.50〜0.60となる粉砕物であり、さらに好ましいのは、溶融成形物のL*が23.00〜36.00、a*が−0.70〜0.10、b*が−1.20〜0.20となる粉砕物であり、さらに好ましいのは、溶融成形物のL*が23.00〜33.00、a*が−0.70〜0.10、b*が−1.20〜0.20となる粉砕物、特に好ましいのは、溶融成形物のL*が23.00〜28.00、a*が−0.70〜0.10、b*が−1.20〜0.20となる粉砕物である。
【0019】
合成樹脂製品の粉砕物に添加配合することのできる白色顔料の例としては、二酸化チタン(酸化チタン)、鉛白、酸化亜鉛をあげることができる。特に好ましいのは二酸化チタンである。
【0020】
二酸化チタンとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えば塩素法や硫酸法で製造したものを用いることが出来る。塩素法で製造した物が好ましい。粒子形状は特に制限されないが、正方晶系、ルチル型、アナターゼ型などを用いることが出来、特に正方晶系及びルチル型が好ましい。平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.2〜0.3μmが、分散性、取扱性及び作業性に優れるため好ましい。二酸化チタンのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは5〜40(cc/100g)、さらに好ましくは8〜30(cc/100g)、より好ましくは10〜20(cc/100g)、特に好ましくは12〜18(cc/100g)である。
【0021】
有彩色顔料は、公知のものが制限なく使用でき、例えば金属の酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸塩、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩などの無機顔料;アゾ系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ニトロ系、ニトロソ系、アントラキノン系、キナクリドンレッド系、ベンジジン系、縮合多環系等の有機顔料などを挙げることが出来る。また、着色繊維や光沢を有する金属粒子などであってもよい。有彩色顔料の色相については特に制限がなく、黄、青、赤、緑などのいずれのものでも使用することができる。これらの顔料は二種類以上を併用することができる。
【0022】
本発明で用いることのできる有彩色顔料の具体例としては、弁柄、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、鉛丹、鉛黄、紺青、硫化亜鉛、クロム黄、バリウム黄、コバルト青、コバルト緑等の無機顔料;キナクリドンレッド、ポリアゾイエロー、アンスラキノンレッド、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ベリレン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、イソインドリノンイエロー、ウォッチングレッド、パーマネントレッド、パラレッド、トルイジンマルーン、ベンジジンイエロー、ファーストスカイブルー、ブリリアントカーミン6B等の有機顔料、着色繊維、光沢を有する金属粒子などが挙げられ、これらの顔料は二種類以上を併用して使用することができる。
【0023】
チタンイエローの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.5〜1.3μm、より好ましくは0.7〜1.1μm、特に0.8〜1μmのものが、分散性、取扱性、そして作業性に優れるため好ましい。チタンイエローのDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは15〜40(cc/100g)、さらに好ましくは20〜35(cc/100g)、特に好ましいのは20〜30(cc/100g)の範囲である。チタンイエローのpHは、特に制限されないが、好ましくは6〜10、特に好ましくは7〜9の範囲である。
【0024】
群青としては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。群青の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜4μm、より好ましくは0.8〜3.5μm、そして特に好ましいのは1〜3μmである。これらは、分散性、取扱性及び作業性に優れるため好ましい。群青のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは20〜50(cc/100g)、さらに好ましくは25〜40(cc/100g)、特に30〜35(cc/100g)が好ましい。群青のpHは、特に制限されないが、好ましくは5〜11、さらに好ましくは5.5〜11、特に好ましくは7〜11の範囲である。
【0025】
フタロシアニンブルーとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばワーラー法やフタロニトリル法で製造したものを用いることが出来る。フタロシアニンブルーの粒子形状は特に制限されないが、α型、β型などを用いることが出来る。フタロシアニンブルーの平均粒子径は特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
【0026】
フタロシアニングリーンとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができ、例えばワーラー法やフタロニトリル法で製造したものを用いることが出来る。フタロシアニングリーンの粒子形状は、特に制限されないが、α型、β型などを用いることが出来る。フタロシアニングリーンの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。フタロシアニングリーンのpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜9、さらに好ましくは4〜8の範囲である。
弁柄としては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。弁柄の粒子形状は、特に制限されないが、等軸晶系などを用いることが出来る。弁柄の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.08〜0.4μm、特に好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。弁柄のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜50(cc/100g)、さらに好ましくは12〜40(cc/100g)、特に好ましくは15〜30(cc/100g)の範囲である。弁柄のpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜7の範囲である。
【0027】
キナクリドンレッドとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。キナクリドンレッドの粒子形状は、特に制限されないが、α型、β型、γ型などを用いることが出来る。キナクリドンレッドの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1μmの範囲である。
【0028】
アンスラキノンレッドとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用することができる。アンスラキノンレッドの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.1〜1μmが好ましい。アンスラキノンレッドのpHは、特に制限されないが、好ましくは4〜9の範囲である。
【0029】
樹脂製品粉砕物には、所望により、カーボンブラックあるいは鉄黒などの黒色顔料を添加配合してもよい。黒色顔料は、再生樹脂成形物に高い光遮蔽性を付与することができる。黒色顔料は二種類以上を併用して使用することができる。
【0030】
カーボンブラックとしては、従来より顔料用として用いられているものを制限なく使用
することができ、例えばファーネス法やチャンネル法で製造したカーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどを用いることが出来る。また、カーボンブラックは酸化処理した物を用いることが出来る。カーボンブラックとしては、特にファーネス法で製造したファーネスブラックを用いることが、外観の均一性に優れ、分散性に優れ、得られる成形物の黒色度、光沢向上の効果も大きなものとなるので好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.001〜0.3μm、さらに好ましくは0.005〜0.2μm、より好ましくは0.01〜0.1μm、特に好ましくは0.01〜0.03μmのものが、分散性、取扱性及び作業性に優れ、黒色度、光沢の向上にも高い効果を発揮するため好ましい。
【0031】
鉄黒としては、焼成法により得られる黒色の酸化鉄を用いることが出来る。鉄黒の粒子形状は、特に制限されないが、八面体などの多面体形、球状などを用いることが出来、特に八面体が好ましい。鉄黒の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは0.05〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.35μm、特に好ましくは0.2〜0.35μmが好ましい。鉄黒のDOP吸油量は、特に制限されないが、好ましくは10〜80(cc/100g)、さらに好ましくは15〜50(cc/100g)、より好ましくは20〜40(cc/100g)、特に好ましいのは25〜35(cc/100g)の範囲である。鉄黒のpHは、特に制限されないが、好ましくは9〜11であり、特に9〜10が好ましい。
【0032】
白色顔料、黒色顔料、及び/又は有彩色顔料は、そのまま直接添加してもよく、あるいは顔料をマスターバッチ化して添加してもよい。顔料と樹脂成分を用いるマスターバッチ化技術は既に知られている。
【0033】
樹脂製品粉砕物には、所望により、フィラーを添加配合することもでき、再生樹脂成形物の物性を向上させるためには、その添加が好ましい。フィラーは二種類以上を併用して使用することができる。
【0034】
フィラーとしては、顔料を除く、有機系フィラー及び無機系フィラーを用いることができる。無機系フィラーとしては、タルク、クレー、マイカ、シリカ、ケイソウ土、モスハイジ、ティスモ、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ドロマイト、ドーソナイト、ケイ酸塩類、炭素繊維、ガラス(ガラス繊維を含む)、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシュム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫化モリブテン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなど、あるいは亜鉛、銅、鉄、鉛、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、マンガン、スズ、白金、タングステン、金、マグネシウム、コバルト、ストロンチウムなどの金属及びこれらの金属酸化物、ステンレス鋼、ハンダ、真鍮などの合金、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化チタンなどの金属系セラミックスなどの粉末、繊維状ウィスカ及び繊維などを用いることが出来る。繊維又は繊維状ウィスカとしては、L/Dが好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上の物を用いることが出来る。繊維としては、繊維長が好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは1〜5mmのものを用いることができ、繊維径が好ましくは30μm以下、さらに好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜15μmのものを用いることが出来る。特に炭素繊維としては、繊維長が好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは1〜5mmのものを用いることができ、繊維径が好ましくは30μm以下、さらに好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜15μmのものを用いることが出来る。
フィラーは、無機フィラーが好ましく、タルクが特に好ましい。
【0035】
本発明の合成樹脂製品の粉砕物の再生に際しては、必要に応じて、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、増核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤や分散剤などを加えることが出来る。
【0036】
分散剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、金属石鹸、グリセリンエステル、ハイドロタルサイト、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどを挙げることが出来る。
【0037】
添加剤としては、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、HALS等の紫外線吸収剤、リン系、ハロゲン系等の難燃剤などを挙げることが出来る。
【0038】
本発明の合成樹脂製品の粉砕物の再生に際しては、前述のように、必要に応じて、熱可塑性樹脂、及び/又はエラストマーを添加配合することができる。添加配合する熱可塑性樹脂やエラストマーは、合成樹脂製品の樹脂材料と同じ樹脂、もしくは均等の樹脂を用いることが望ましい。
【0039】
従って、合成樹脂製品の粉砕物の再利用に利用できる熱可塑性樹脂材料の例としては、オレフィン系樹脂(例、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン)、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドなどのポリフェニルエーテル系樹脂、ポリメタクリル酸メチルのようなポリアクリル酸系樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン、12−ナイロン、6・12−ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリスルホンなどを挙げることができる。
【0040】
本発明に従って再生樹脂粒状物を製造する場合には、まず、原料の樹脂硬化物を有する合成樹脂製品の粉砕物に適量と想像される遮蔽性を有する有彩色顔料、白色顔料、もしくは黒色顔料、あるいはそれらの遮蔽性顔料の任意な組み合わせ、そして必要に応じて、熱可塑性樹脂やエラストマー等を添加して、溶融混練し、次いで、直接あるいは再生樹脂粒状物を介して試験片を製造し、その色調や外観(特に、樹脂硬化物破片の目立ち易さ)を、試験機による測定にかけるか、あるいは目視により判断し、また必要に応じて、各種物性を測定して、各添加成分の種類や添加量の適否を判断しする。そして、その判断に基づいて、必要に応じて、改めて添加物の添加量や添加物の種類を変えて同様な操作を行なう方法を利用して、所望の色調、外観そして物性を有する再生樹脂の成形に用いることのできる再生樹脂粒状物を得ることができる。
【0041】
なお、本発明に従って有彩色再生樹脂粒状物を製造する場合には、まず、原料の着色を有する合成樹脂製品の粉砕物に適量と想像される有彩色顔料、白色顔料と有彩色顔料、黒色顔料と有彩色顔料、あるいは白色顔料、黒色顔料及び有彩色顔料、そして必要に応じて、熱可塑性樹脂やエラストマー等を添加して、溶融混練し、次いで、直接あるいは再生樹脂粒状物を介して試験片を製造し、その色調野外間(特に、樹脂硬化物破片の目立ち易さ)を、試験機による測定にかけるか、あるいは目視により判断し、また必要に応じて、各種物性を測定して、各成分の種類や添加量の適否を判断しする。そして、その判断に基づいて、必要に応じて、改めて添加物の添加量や添加物の種類を変えて同様な操作を行なう方法を利用して、所望の色調や物性を有する有彩色再生樹脂の成形に用いることのできる有彩色再生樹脂粒状物を得ることができる。
【0042】
本発明では、合成樹脂製品の粉砕物と、各成分との混合方法、混合装置、混合設備については特に制限はなく、公知の単軸押出機(混練機)、二軸押出機(混練機)、二軸押出
機と単軸押出機(混練機)を直列に接続したタンデム型混練装置、カレンダー、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどの混合及び/又は混練装置などを用いることが出来る。
【0043】
本発明で得られた有彩色再生樹脂粒状物は、押出成形、シート成形、射出成形、射出圧縮成形、ガス注入射出成形、ブロー成形、真空成型など公知の成形や成型方法を用いて、バンパー、モール、ドアトリム、インストルメントパネル、トリム、コンソールボックスなどの車用内外装部品、バッテリー、ファンシュラウドなどのエンジンルーム内部品などの自動車部材、家電製品の内外装部材、住宅建材の内外装部材、緩衝部材、包装部材などに用いられる成形物として再使用することができる。本発明の廃プラスチックの再利用方法において、得られる成形物は、光沢面を有する成形物、絞などの凹凸や模様を有する成形物や滑らかな凹凸や模様を有する成形物などを得ることが出来る。
【0044】
次に本発明の実施例を示す。なお、実施例における成形物(試験片)の明度及び色相の評価方法は下記の方法により行なった。
【0045】
評価方法:
(1)試験片の絞面側を倉敷紡績株式会社製の分光光度計(光源:D−65 10度視野
)を用いて、明度L*、色相a*、色相b*(CIE1976)を測定した。
【0046】
(2)試験片の絞面の外観評価方法:
1)目視観察:試験片の絞面外観を、目視観察を行い3段階で評価した。
AA:塗膜が目立たない、BB:塗膜が目立ち難い、CC:塗膜が目立つ。
2)顕微鏡観察:試験片の絞面(10×10cm)を、ニコン社製反射型微分干渉顕微鏡(倍率40倍)を用いて観察し、3段階で評価した。
3:塗膜の大きさが120μm以下、2:塗膜の大きさが120μmを超えて200μm以下、1:塗膜の大きさが200μmを超えている。
【実施例】
【0047】
[実施例1〜24]
(1)再生処理対象合成樹脂製品
廃プラスチックとして、自動車用として使用済みの塗装回収バンパー(黒に着色されていて、塗膜が付いているもの)を5〜10mmに粉砕して用いた。
粉砕した塗装回収バンパーは、ASTM・D1238(温度230℃、荷重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR)が28.6g/10分、結晶性ポリプロピレン約60質量部、エラストマー(EPRなど、或いは他のエラストマーが混在したもの)約30質量部、タルク約10質量部、塗膜(ウレタン、メラミンなどが混在したものであり、塗膜色は白、シルバー、赤系シルバー、緑系シルバー、ゴールド、ライトブルー、ダークブルーなどが混在したもの)約2〜4質量部、顔料(カーボンブラック、酸化チタンなど、或いは他の顔料が混在したもの)約0.5〜1質量部であった。
【0048】
(2)添加配合材料
1)ポリプロピレンは、結晶性ポリプロピレン(ホモ)[メルトフローレート(MFR):30g/10分、ペンダント分率:96.0%]である。
2)エラストマーはエチレン−プロピレン共重合体[ムーニー粘度(ML1+4(100℃):35、エチレン含有量:72質量%)である。
3)タルクは、平均粒子径(レーザー回折法)が2.7μmのもの。
4)鉄黒は、平均粒子径0.27μm、DOP吸油量26〜30(cc/100g)、pH9〜10のものである。
【0049】
5)カーボンブラックは、平均粒子径0.017μm(ファーネス法)のものである。
6)二酸化チタンは、平均粒子径0.22μm、DOP吸油量14(cc/100g)、pH5.5〜7.5のものである。
7)チタンイエローは、平均粒子径0.91、DOP吸油量25、pH7.8のものである。
8)群青Aは、平均粒子径1〜3μm、DOP吸油量31〜33(cc/100g)、pH8.5〜10.5のものである。
9)フタロシアニンブルーは、α型のものである。
【0050】
10)フタロシアニングリーンは、α型のDOP吸油量39.3(cc/100g)、pH7のものである。
11)弁柄は、平均粒子径0.16μm、DOP吸油量23(ce/100g)、pH5〜7のものである。
12)キナクリドンレッドは、β型のpH8.5〜9.5である。
13)アンスラキノンレッドは、DOP吸油量54(cc/100g)、pH5.5〜8.5のものである。
14)イソインドリノンイエローは、DOP吸油量34(cc/100g)、pH7のものである。
15)酸化防止剤は、全ての実施例において、IRGANOX1010(0.05質量部)及びIRGAFOS168(0.05質量部)を用いた。
16)HALS系添加剤として、全ての実施例において、サノールLS770(0.2質量部)を用いた。
17)分散剤として、全ての実施例において、ステアリン酸カルシウム(0.1質量部)を用いた。
【0051】
(3)実施例1〜22において、各成分をプラテック社製タンブラーミキサーを用いてドライブレンドを行った後、宇部興産(株)製二軸混練機(UME40−48T)を用いて、L/D=47.7、バレル温度:200℃、20メッシュスクリーンパック、処理量:60kg/時の条件で溶融混練し、ペレットを得た。
各実施例において、廃プラスチック、ポリプロピレン、エラストマーおよびタルクの合計は、100質量部とした(廃プラスチック77質量%、ポリプロピレン15質量%、エラストマー3質量%およびタルク5質量%)。
【0052】
ペレットは、射出成形機として型締力130tを用い、金型:角板(100×100×3mm、皮絞形状)、成形温度:180,190,200,210(℃)、射出圧力:P1−P2−P3−P4=108−98−88−78(MPa)、射出速度:V1−V2−V3−V4=30−30−20−20(%)、スクリュウ背圧:フリー、スクリュウ回転数:60%、金型温度:40℃、サイクル:射出10秒、冷却20秒の射出成形条件で10ショット連続成形し、6〜10ショットの成形物(試験片)を採取した。
【0053】
実施例23と24でも類似の方法で試験片を採取した。ただし、実施例23では、樹脂成分として、廃プラスチック59質量%、ポリプロピレン40質量%、エラストマー0質量%を用い、実施例24では、樹脂成分として、廃プラスチック30質量%、ポリプロピレン63質量%、エラストマー0質量%を用いた。
得られた成形物(試験片)の明度及び色相の評価を行った。添加顔料(丸かっこ内は、添加量、単位は質量部)と評価結果を表1に示す。
【0054】
表 1
────────────────────────────────────
原料廃プラスチックから得た試験片
L*:25.74、a*:−0.21、b*:−0.60
原料樹脂色相(目視):黒
絞面評価:(目視)CC、(顕微鏡)1
────────────────────────────────────
実施例1 添加顔料[カーボンブラック(0.1)]
再生樹脂[L*:24.61、a*:−0.09、b*:−0.42]
再生樹脂色相(目視):黒
絞面評価:(目視)BB、(顕微鏡)2
────────────────────────────────────
実施例2 添加顔料[カーボンブラック(0.5)]
再生樹脂[L*:24.07、a*:0.10、b*:−0.67]
再生樹脂色相(目視):黒
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例3 添加顔料[鉄黒(1.0)]
再生樹脂[L*:25.08、a*:−0.05、b*:−0.34]
再生樹脂色相(目視):黒
絞面評価:(目視)BB、(顕微鏡)2
────────────────────────────────────
実施例4 添加顔料[チタンイエロー(1.0)]
再生樹脂[L*:29.50、a*:−0.18、b*:3.65]
再生樹脂色相(目視):黄みの暗い灰色
絞面評価:(目視)BB、(顕微鏡)2
────────────────────────────────────
実施例5 添加顔料[二酸化チタン(1.0)]
再生樹脂[L*:35.20、a*:0.00、b*:−2.17]
再生樹脂色相(目視):青みの中位の灰色
絞面評価:(目視)BB、(顕微鏡)2
────────────────────────────────────
実施例6 添加顔料[二酸化チタン(2.0)]
再生樹脂[L*:39.31、a*:−0.38、b*:−2.50]
再生樹脂色相(目視):青みの中位の灰色
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例7 添加顔料[フタロシアニンブルー(1.0)]
再生樹脂[L*:23.40、a*:−0.95、b*:−4.23]
再生樹脂色相(目視):青みの黒
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例8 添加顔料[キナクリドンレッド(1.0)]
再生樹脂[L*:24.43、a*:5.09、b*:−2.01]
再生樹脂色相(目視):紫みを帯びた赤みの黒
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例9 添加顔料[カーボンブラック(0.3)、フタロシアニンブルー
(0.18)、キナクリドンレッド(0.15)]
再生樹脂[L*:23.93、a*:0.09、b*:−0.89]
再生樹脂色相(目視):黒
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例10 添加顔料[カーボンブラック(0.45)、フタロシアニンブルー
(0.28)、キナクリドンレッド(0.05)]
再生樹脂[L*:23.53、a*:−0.17、b*:−0.19]
再生樹脂色相(目視):黒
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例11 添加顔料[カーボンブラック(0.2)、二酸化チタン(0.77)
チタンイエロー(0.14)、フタロシアニングリーン(0.01)]
再生樹脂[L*:29.09、a*:−0.09、b*:−1.43]
再生樹脂色相(目視):青みの暗い灰色
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例12 添加顔料[カーボンブラック(0.05)、二酸化チタン(5.6)
群青A(0.2)、弁柄(0.04)]
再生樹脂[L*:49.52、a*:−0.39、b*:−2.60]
再生樹脂色相(目視):青みの明るい灰色
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例13 添加顔料[二酸化チタン(3.05)、チタンイエロー(0.72)
弁柄(0.116)]
再生樹脂[L*:51.19、a*:1.25、b*:2.43]
再生樹脂色相(目視):赤みを帯びた黄みの中位の灰色
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例14 添加顔料[カーボンブラック(0.08)、二酸化チタン(1.3)
チタンイエロー(0.70)、フタロシアニンブルー(0.19)
キナクリドンレッド(0.07)]
再生樹脂[L*:31.42、a*:−1.37、b*:−5.06]
再生樹脂色相(目視):暗い紫みの青
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例15 添加顔料[二酸化チタン(0.48)、フタロシアニンブルー
(0.3)、キナクリドンレッド(0.12)]
再生樹脂[L*:27.44、a*:−0.90、b*:−4.33]
再生樹脂色相(目視):濃い青
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例16 添加顔料[カーボンブラック(0.1)、二酸化チタン(1.95)
フタロシアニンブルー(0.045)、フタロシアニングリーン
(0.165)]
再生樹脂[L*:34.85、a*:−2.88、b*:−3.52]
再生樹脂色相(目視):灰みの青緑
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例17 添加顔料[カーボンブラック(0.08)、二酸化チタン(1.4
5)、チタンイエロー(0.15)、弁柄(0.43)]
再生樹脂[L*:34.39、a*:2.38、b*:0.17]
再生樹脂色相(目視):灰みの赤
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例18 添加顔料[カーボンブラック(0.1)、弁柄(0.7)、アンス
ラキノンレッド(0.6)、イソインドリンイエロー(0.15)]
再生樹脂[L*:26.74、a*:5.90、b*:3.27]
再生樹脂色相(目視):暗い黄みの赤
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例19 添加顔料[カーボンブラック(0.04)、二酸化チタン(0.6
5)、チタンイエロー(0.85)、弁柄(0.25)]
再生樹脂[L*:36.23、a*:2.66、b*:4.54]
再生樹脂色相(目視):くすんだ赤みの黄
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例20 添加顔料[二酸化チタン(0.49)、チタンイエロー(0.32)
弁柄(0.09)]
再生樹脂[L*:31.07、a*:0.76、b*:0.69]
再生樹脂色相(目視):暗い灰みの紫
絞面評価:(目視)BB、(顕微鏡)2
────────────────────────────────────
実施例21 添加顔料[二酸化チタン(2.4)、チタンイエロー(1.13)
弁柄(0.06)]
再生樹脂[L*:61.03、a*:1.82、b*:10.29]
再生樹脂色相(目視):赤みを帯びた黄みのうすい灰色
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例22 添加顔料[カーボンブラック(0.06)、二酸化チタン(1.1
6)、フタロシアニンブルー(0.04)、フタロシアニングリ
ーン(0.098)]
再生樹脂[L*:35.74、a*:−3.87、b*:−4.24]
再生樹脂色相(目視):くすんだ緑みの青
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例23 添加顔料[カーボンブラック(0.1)、二酸化チタン(1.3)、
チタンイエロー(0.9)、弁柄(0.01)]
再生樹脂[L*:34.56、a*:−0.26、b*:0.66]
再生樹脂色相(目視):灰みの緑
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
実施例24 添加顔料[二酸化チタン(2.35)、チタンイエロー(0.7)、
フタロシアニングリーン(0.045)]
再生樹脂[L*:50.09、a*:−3.17、b*:1.23]
再生樹脂色相(目視):明るい緑
絞面評価:(目視)AA、(顕微鏡)3
────────────────────────────────────
【0055】
[実施例25]
ポリプロピレンを主成分とする廃プラスチック40質量部に、ポリプロピレン54質量部、タルク6質量部、カーボンブラック0.40質量部、フタロシアニンブルー0.22質量部、そしてキナクリドンレッド0.08質量部を添加配合して、加熱溶融したのち、ペレットを得た。
上記のペレットを用いて前述の方法で試験片を作成して、その外観と物性値を測定した
。その結果を表2に示す。
【0056】
[実施例26]
ポリプロピレンを主成分とする廃プラスチック40質量部に、ポリプロピレン54質量部、タルク6質量部、二酸化チタン3.30質量部、弁柄0.01質量部、そして群青0.07質量部を添加配合して、加熱溶融したのち、ペレットを得た。
【0057】
上記のペレットを用いて前述の方法で試験片を作成して、その外観と物性値を測定した。その結果を表2に示す。
【0058】
表2
────────────────────────────────────
原料廃プラスチック 実施例25 実施例26
────────────────────────────────────
試験片の色調 黒 黒 有彩色
絞面評価(目視) CC AA AA
絞面評価(顕微鏡) 1 3 3
────────────────────────────────────
明度(L*) 25.74 23.83 49.15
色相(a*) −0.21 −0.17 −0.52
色相(b*) −0.60 −0.21 −2.72
────────────────────────────────────
メルトフロー(ASTM D1238、g/10分)
9.2 25 26
比重(ASTM D792)
0.96 0.97 0.97
引張降伏点強度(ASTM D638、Mpa)
17 28 28
引張破断点伸び(ASTM D638、%)
300< 40 40
曲げ弾性率(ASTM D790、Mpa)
1150 2250 2250
表面硬度(ASTM D785、ロックウェル−R)
37 91 91
アイゾット衝撃強度(23℃、ASTM D258、J/m)
378 63 68
熱変形温度(0.45MPa、ASTM D648、℃)
101 129 132
────────────────────────────────────

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜10質量%の樹脂硬化物が混在していて、黒色顔料もしくは有彩色顔料を含有する再生対象の熱可塑性樹脂製品粉砕物に、白色顔料、黒色顔料及び有彩色顔料からなる群より選ばれる光遮蔽性顔料を混合してなる加熱溶融物を調製する工程、そして該加熱溶融物を固形粒状物に変換する工程を含む再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項2】
加熱溶融物を調製する工程が、再生対象の樹脂製品粉砕物に光遮蔽性顔料を混合したのち、該混合物を加熱溶融する操作を含む請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項3】
加熱溶融物を調製する工程において混合する光遮蔽性顔料が、有彩色顔料と黒色顔料との組み合わせ、有彩色顔料と白色顔料との組み合わせ、もしくは有彩色顔料、黒色顔料そして白色顔料の組み合わせであって、得られる再生樹脂粒状物が有彩色の再生樹脂粒状物である請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項4】
加熱溶融物を調製する工程において、さらに無機材料フィラーを混合する請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項5】
加熱溶融物を調製する工程において、さらに熱可塑性樹脂を混合する請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項6】
加熱溶融物を調製する工程において、さらに熱可塑性樹脂とエラストマーとを混合する請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項7】
再生対象の樹脂製品粉砕物が、表面被膜付きの自動車のバンパーの粉砕物もしくは表面被膜付きの自動車の内装品の粉砕物である請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項8】
再生対象の樹脂製品粉砕物が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ABS樹脂、及びポリアミドからなる群より選ばれる熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項9】
再生対象の樹脂製品粉砕物が、エラストマーを含む請求項1に記載の再生樹脂粒状物の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法で製造した再生樹脂粒状物。
【請求項11】
請求項3に記載の方法で製造した有彩色の再生樹脂粒状物。
【請求項12】
請求項10に記載の再生樹脂粒状物を加熱溶融したのち、成形することからなる樹脂成形物の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の有彩色の再生樹脂粒状物を加熱溶融したのち、成形することからなる樹脂成形物の製造方法。

【公開番号】特開2009−235418(P2009−235418A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170267(P2009−170267)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【分割の表示】特願2007−114660(P2007−114660)の分割
【原出願日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】