説明

樹脂積層体

【課題】樹脂基体がエラストマーにて構成され、当該エラストマーに配合された鉱物油系軟化剤のブリードが防止され、しかも、高光沢で且つ柔軟性および耐傷付性に優れた表層を有する樹脂積層体を提供する。
【解決手段】樹脂基体と当該樹脂基体の意匠面側に形成された表層とから成る樹脂積層体であって、上記の樹脂基体は、鉱物油系軟化剤と有機酸多価金属塩とを含有するオレフィン系、スチレン系、及びこれらの混合エラストマーの群から選ばれる1又は複数の材料から成り、上記の表層は、アイソタクチック・ペンタッド分率95重量%以下のプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン重合体、オレフィン系及びスチレン系エラストマー、これらの混合物の群から選ばれる材料から成り、但し、エラストマーを使用する場合、その鉱物油系軟化剤の含有量は、樹脂基体の構成材料における鉱物油系軟化剤の含有量より少なくなされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂積層体に関し、詳しくは、樹脂基体がエラストマーにて構成され、当該エラストマーに配合された鉱物油系軟化剤のブリードが防止され、しかも、柔軟性および耐傷付性に優れた表層を有する樹脂積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ルーフモール等の自動車外装モールディングは、耐候性、耐熱性と共に、意匠性と耐傷性が要求される。従来、斯かるモールディングの材質としては、主に軟質塩化ビニル樹脂が使用されていたが、近年、軽量化などの問題から、オレフィン系樹脂材料への転換要求が高まっている。
【0003】
ところで、オレフィン系樹脂材料は、軟質塩化ビニル樹脂に比べ、耐傷性、耐薬品性、意匠性が劣るという欠点がある。そこで、それらを向上するため、表層材に高結晶樹脂を使用することが提案されている(特許文献1及び2)。
【0004】
ところが、曲げ加工を必要とする部位は、追従性を失うため基体本体だけでなく表層材であっても高結晶樹脂を使用して加工するのは困難である。そのため、表層材は滑剤で耐傷性を調整しながら樹脂の結晶化度を落としたり、ゴム、可塑剤(鉱物油系軟化剤)を配合するのが一般的である(特許文献3及び4)。
【0005】
【特許文献1】実開平5−32152号公報
【特許文献2】特開平8−127107号公報
【特許文献3】特開平9−176408
【特許文献4】特開平11−323044
【0006】
しかしながら、基体が鉱物油系軟化剤を含んだ材料の場合、表層の鉱物油系軟化剤が基体のそれより少ないと(濃度勾配があると)、基体に配合されている鉱物油系軟化剤が表層を通ってブリードアウトするといった現象が生じる。斯かる問題を解決するため表層材に鉱物油系軟化剤を多く配合した場合は、表層の耐傷性が著しく劣る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、樹脂基体がエラストマーにて構成され、当該エラストマーに配合された鉱物油系軟化剤のブリードが防止され、しかも、柔軟性および耐傷付性に優れた表層を有する樹脂積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、樹脂基体および表層材にそれぞれ特定の材料を使用することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、樹脂基体と当該樹脂基体の意匠面側に形成された表層とから成る樹脂積層体であって、上記の樹脂基体は、鉱物油系軟化剤と有機酸多価金属塩とを含有するオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、これらの混合エラストマーの群から選ばれる1又は複数の材料から成り、但し、鉱物油系軟化剤の含有量は鉱物油系軟化剤を含むエラストマーの全体に対して20重量%以上であり、有機酸多価金属塩の含有量は鉱物油系軟化剤に対して0.5〜10重量%であり、上記の表層は、アイソタクチック・ペンタッド分率95重量%以下のプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、これらの混合物の群から選ばれる材料から成り、但し、エラストマーを使用する場合、その鉱物油系軟化剤の含有量は、樹脂基体の構成材料における鉱物油系軟化剤の含有量より少なくなされている、ことを特徴とする樹脂積層体に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、樹脂基体がエラストマーにて構成され、エラストマーに配合された鉱物油系軟化剤のブリードが防止され、しかも、高光沢で且つ柔軟性および耐傷付性に優れた表層を有する樹脂積層体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の樹脂積層体は、樹脂基体と当該樹脂基体の意匠面側に形成された表層とから成る。
【0012】
先ず、本発明の樹脂積層体における樹脂基体について説明する。本発明において、樹脂基体は、鉱物油系軟化剤と有機酸多価金属塩とを含有するオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、これらの混合エラストマーの群から選ばれる1又は複数の材料から成り、使用される用途や部位により、必要な硬度や剛性の組成が選択される。
【0013】
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体とポリプロピレン、ポリエチレン等オレフィン系樹脂との混合物が挙げられる。
【0014】
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレンブロック共重合体などのスチレンを主成分とする弾性重合体とポリプロピレン、ポリエチレン等オレフィン系樹脂との混合物が挙げられる。
【0015】
上記の様なエラストマーは、市販されており、例えば、オレフィン系エラストマーでは、三菱化学社「サーモラン」、三井化学社「ミラストマー」、AESジャパン社「サントプレーン」、住友化学工業社「住友TPE」、スチレン系エラストマーでは、三菱化学社「ラバロン」、アプコ社「スミフレックス」等が挙げられる。これらエラストマーも、用途や部位により、必要な硬度や流動性のものを選択すればよい。なお、これらの中には、後述する鉱物油系軟化剤が配合されているものもある。
【0016】
上記のエラストマーに配合される鉱物油系軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などがあるが、特にパラフィン系軟化剤が好ましい。鉱物油系軟化剤の使用量は、鉱物油系軟化剤を含むエラストマーの全体に対して20重量%以上であり、必要な硬度や剛性が得られる様に選択される。鉱物油系軟化剤の上限は、通常150重量%、好ましくは130重量%である。
【0017】
上記のエラストマーに配合される有機酸多価金属塩は、鉱物油系軟化剤のゲル化剤として作用する。すなわち、有機酸多価金属塩は、樹脂基体から表層への鉱物油系軟化剤のブリードを防止する。有機酸多価金属塩としては、特開2000−53869号公報に記載されたのと同様のものが挙げられる。すなわち、カルボン酸、スルフォン酸の2A、2B、3B、3A、4A、5A、6A、7A、8、族から選ばれた金属元素の塩が挙げられる。有機酸としては脂肪族カルボン酸が好ましく、その具体例としては、2ーエチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸が挙げられる。また、金属としては3B族アルミニウムが好ましい。これらの中では、炭素数6〜10の飽和モノカルボン酸のアルミニウムが好ましく、特に2ーエチルヘキサン酸アルミニウムは、例えば、ステアリン酸アルミニウムやモンタン酸アルミニウムよりも優れている。有機酸多価金属塩の使用量は、鉱物油系軟化剤に対し、0.5〜10重量%であり、好ましくは0.5〜3重量%である。有機酸多価金属塩の使用量が余りに少ない場合は、樹脂基体から表層への鉱物油系軟化剤のブリードを防止することが出来ず、有機酸多価金属塩の使用量が余りに多い場合は、エラストマーの物性が低下する(硬くなる)。
【0018】
上記のエラストマーには、有機酸多価金属塩の分散性を高めるため、脂肪族カルボン酸を配合することが出来る。斯かる脂肪族カルボン酸は、上記の中から適宜選択することが出来るが、特にステアリン酸が好適である。脂肪族カルボン酸の使用量は、分散性の効果および経済性の観点から、有機酸多価金属塩に対し、通常10〜80重量%、好ましくは40〜60重量%である。
【0019】
上記のエラストマーには、剛性、熱線膨張率、成形性を向上させるため、無機質充填材を配合してもよい。無機質充填材としては、ガラス繊維、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレー、チタン酸カリウムウィスカー、シリカ等が挙げられ、これらは複数を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
次に、本発明の樹脂積層体における表層について説明する。本発明における表層は、上記の樹脂基体の意匠面側に形成される層を言う。表層に沿って配置された樹脂基体が複数の材料から成る場合の一例として、硬質部と軟質部とが共存する場合があるが、斯かる場合、表層は、硬質部と軟質部の両方に適用される。発明における表層は、アイソタクチック・ペンタッド分率95重量%以下のプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、これらの混合物の群から選ばれる材料から成る。
【0021】
上記のオレフィン系樹脂の特定の意義は、曲げ加工の際に必要とされる追従性を満足させるため、高結晶樹脂を排除した点にある。
【0022】
アイソタクチック・ペンタッド分率(IPF)とは、13C核磁気共鳴(13C−NMR)法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。IPFは、周知の方法(例えば、A.Zambelli;Macromolecules,6,p625(1973)、同8,p687(1975)を参照のこと)で測定され、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中、mmmmピークの強度分率によって表される。IPFは、立体規則性の指標であり、IPFが95%を超えるプロピレン単独重合体は、結晶性が高くなって曲面への追従性が劣る。また、高結晶性が反りやヒケの原因となるため、IPFが95%を超えるプロピレン単独重合体は、成形性が劣り、しかも、耐候性が劣る。
【0023】
プロピレン−α−オレフィン重合体(プロピレン共重合体)は、ランダム構造および/またはブロック構造を有し、その非晶質部分により、曲げ加工の際に必要とされる追従性を満足することが出来る。
【0024】
上記のプロピレン共重合体としては、柔軟性および耐傷付性の観点から、プロピレンと炭素数2〜8の他のα−オレフィンとの共重合体、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体などを挙げることが出来る。光沢と耐傷性を付与することが出来る表層材としては、共重合体中に占める室温でキシレンに可溶な部分の割合が10〜60重量%、室温でキシレンに可溶な部分中のプロピレン以外のα−オレフィンの含有量が5〜30重量%であるプロピレン共重合体が好ましい。低分子量成分のブリードアウト防止の観点から、特に融点ピーク温度が160℃以上のものが好ましい。斯かるプロピレン共重合体は、例えば、特開2001−226435号公報、特開2001−172454号公報などに記載の方法で製造することが出来る。
【0025】
なお、上記の好ましい態様のプロピレン共重合体は、他のポリプロピレン系樹脂と混合して使用してもよい。この場合、他のポリプロピレン系樹脂は、特に制限されず、少量(通常5モル%以下)のエチレン誘導単位を含む共重合体であってもよい。プロピレン共重合体と他のポリプロピレン系樹脂との合計量に対するプロピレン共重合体の割合は、好ましくは70〜99重量%、更に好ましくは80〜99重量%である。
【0026】
表層材としてのオレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーとしては、樹脂基体の構成材料として前述したのと同様のエラストマーが挙げられる。その鉱物油系軟化剤の含有量は、樹脂基体の構成材料における鉱物油系軟化剤の含有量より少なくなされている。鉱物油系軟化剤の含有量は、鉱物油系軟化剤を含むエラストマーの全体に対し、通常18重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
【0027】
表層材は、樹脂基体との複合成形が可能であり、また、耐傷性、耐薬品性、意匠性などを考慮し、樹脂基体に使用されるエラストマーより硬度の高いものが適する。具体的には、A硬度(JIS K 6253)として、通常90以上、好ましくは95以上である。A硬度が90未満の場合は耐傷性が劣る。
【0028】
表層材には、耐傷付性向上の目的で滑剤を配合することが出来る。滑剤としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン類、ステアロアマイド、オキシステアロアマイド、オレイルアマイド、エルシルアマイド、ラウリルアマイド、パルミチルアマイド、ベヘンアマイド等の高級脂肪酸のモノアマイド型、メチロールアマイド、エチロールアマイド等の変性モノアマイド、ステアリルオレイルアマイド、N−ステアリルエルクアマイド等の複合型アマイド、メチレンビスステアロアマイド、エチレンビスステアロアマイド等のビスアマイド型の高級脂肪酸アマイドなどの脂肪酸アマイド類の他、オレフィン系樹脂に一般的に添加されるポリエチレンワックス類、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオラエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが挙げられる。これらは組み合わせて使用することも可能である。滑剤の割合は、樹脂に対する割合として、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0029】
樹脂基体および表層材には、前記の各成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種目的に応じ他の任意の配合成分を配合することが出来る。斯かる成分としては、例えば、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤などの各種添加物、前記の必須成分以外の熱可塑性樹脂および充填剤などが挙げられる。屋外での使用を考慮すると意匠材には酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤の添加が特に好ましい。
【0030】
樹脂基体および表層材の調製には、例えば、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機が使用される。
【0031】
本発明において、樹脂基体と表層から成る樹脂積層体の成形には、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形の何れの成形方法も適用でき、また、成形順序は、一方を先に成形して後から他方へ成形しても、同時に成形してもよい。特に共押出成形法が好適である

【0032】
表層の厚さは、樹脂基体より薄く、通常0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmである。また、表層の物性測定の方法は後述するが、実用的観点から、D硬度は65以下(好ましくは40〜60)、表面光沢は5%以上(好ましくは10〜30)、引掻き試験における傷深さ20μm以下(好ましくは18μm以下)が要求される。
【0033】
本発明の樹脂積層体は、表面外観、柔軟性、耐候性、耐熱性、耐温水性、耐傷性に優れるため、屋内外で使用される複合樹脂成形品、特に、ルーフモール、ウェザーストリップ、ウインドウモール、フラッシュマウントモール、サイドモール、グラスランチャンネル等の自動車外装部品、座席シートレールの保護カバーやアシストグリップ、シフトノブ等の自動車内装部品、玄関ドアシール、パッキン材などの建築ガスケット、手すり、テーブルエッジ、デスクエッジ等に適するが、特に自動車用モールディング用途に好適に使用される。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した材料は次の通りである。
【0035】
(1)鉱物油系軟化剤:
出光興産製パラフィン系オイル(製品名:PW−90)
【0036】
(2)有機酸多価金属塩:
2−エチルヘキサン酸アルミニウム
【0037】
(3)フェノール酸化防止剤:
チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガノックス1010」
【0038】
(4)カーボンブラックマスターバッチ:
大日本インキ化学工業社製「F30940MM」(ポリエチレン:カーボンブラック=60:40重量比)
【0039】
(4)スチレンブロック共重合体:
クラレ社製「セプトン4055」
【0040】
(5)ポリプロピレン共重合体(A)(ブロックPP):
日本ポリプロ社製「ノバテックPP FX3A」(ランダムPP:100重量%、曲げ弾性率800MPa、MFR(230℃、21.18N):8.5
【0041】
(6)線状低密度ポリエチレン(LLDPE):
日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UE320」
【0042】
(7)スチレン系エラストマー:
アプコ社製「PPコンパウンドQP306B」(ブロックPP:70重量%、SEBS:13重量%、パラフィン系油:13重量%、LLDPE:4重量%,D硬度:55)
【0043】
(8)ポリプロピレン共重合体(B):
日本ポリプロ社製「ノバテックPP MG2T」(ランダムPP:100重量%,曲げ弾性率:1350MPa,MFR(230℃、21.18N):15)
【0044】
先ず、表1の樹脂基体の欄に示す配合組成の原料をバンバリーミキサーで溶融混錬し、排出温度160℃で取り出し、樹脂基体材料のエラストマーペレットを作成した。次いで、2台の押出機と、表層用ダイ(厚み0.5mm)、基体用ダイ(厚さ1.0mm)とを使用し、表1に示す表層材と上記の樹脂基体材料(エラストマーペレット)を使用して共押出を行い、押出シート(樹脂積層体)を得た。得られた押出シートを80℃のオーブンに入れて72時間放置した後に取り出し、表層からのオイルブリードの有無を目視判断で行った。結果を表1中に示す。
【0045】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基体と当該樹脂基体の意匠面側に形成された表層とから成る樹脂積層体であって、上記の樹脂基体は、鉱物油系軟化剤と有機酸多価金属塩とを含有するオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、これらの混合エラストマーの群から選ばれる1又は複数の材料から成り、但し、鉱物油系軟化剤の含有量は鉱物油系軟化剤を含むエラストマーの全体に対して20重量%以上であり、有機酸多価金属塩の含有量は鉱物油系軟化剤に対して0.5〜10重量%であり、上記の表層は、アイソタクチック・ペンタッド分率95重量%以下のプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン重合体、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、これらの混合物の群から選ばれる材料から成り、但し、エラストマーを使用する場合、その鉱物油系軟化剤の含有量は、樹脂基体の構成材料における鉱物油系軟化剤の含有量より少なくなされている、ことを特徴とする樹脂積層体。
【請求項2】
有機酸多価金属塩が炭素数10以下の脂肪酸のアルミニウム塩である請求項1に記載の樹脂積層体。
【請求項3】
炭素数10以下の脂肪酸がオクチル酸である請求項2に記載の樹脂積層体。
【請求項4】
樹脂基体の構成材料が更に脂肪族カルボン酸を含有し、その含有量が有機酸多価金属塩に対して10〜80重量%である請求項1〜3の何れかに記載の樹脂積層体。
【請求項5】
表層材が更に滑剤を含有し、その含有量がエラストマーに対して0.1〜20重量%である請求項1〜4の何れかに記載の樹脂積層体。
【請求項6】
滑剤が、脂肪酸アマイド系、オルガノポリシロキサン系、ポリエチレンワックス、フッ素ポリマーから選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の樹脂積層体。
【請求項7】
共押出成形によって得られた請求項1〜6の何れかに記載の樹脂積層体。
【請求項8】
自動車用モールディング用途に使用される請求項1〜7の何れかに記載の樹脂積層体。

【公開番号】特開2006−1179(P2006−1179A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181127(P2004−181127)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(500587920)アプコ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】