説明

樹脂粒子の濾過分離方法

【課題】 本発明は、復元率が15%以上である樹脂粒子であってもフィルターの目詰まりを生じさせ難く、樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるスラリー中から樹脂粒子を生産効率良く分離することができる樹脂粒子の濾過分離方法を提供する。
【解決手段】 本発明の樹脂粒子の濾過分離方法は、復元率が15%以上である樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるスラリーから上記樹脂粒子をフィルターを用いて濾過するスラリーの濾過方法であって、上記フィルターは、モノフィラメント糸からなる織布で構成されていると共に、上記フィルターの通気度が120〜200cm3/cm2・分であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復元率が15%以上である樹脂粒子が分散されてなるスラリーから樹脂粒子を効率良く分離することができる樹脂粒子の濾過分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂粒子は、LCDスペーサー・銀塩フィルム用表面改質剤、磁気テープ用フィルム用改質剤、感熱紙走行安定剤などの電子工業分野、レオロジーコントロール剤、艶消し剤などの塗料、インク、接着剤などの化学分野、抗原抗体反応検査用粒子などの医療分野、滑り剤、体質顔料などの化粧品分野、不飽和ポリエステルなどの樹脂の低収縮化剤、紙、歯科材料、アンチブロッキング剤、光拡散剤、マット化剤、樹脂改質剤などの一般工業分野などの様々な分野において用いられている。
【0003】
上記樹脂粒子は、一般的に、単量体を水又は有機溶媒中にて重合開始剤、界面活性剤、分散安定剤の存在下で重合させて製造されている。そして、重合反応後にスラリーから樹脂粒子を分離するために、遠心分離型濾過装置、加圧型濾過装置、デカンテーション型固液分離装置などが一般的に用いられている。
【0004】
そして、樹脂粒子は、上述した用途における拡販、増産を背景として大量生産、大量供給が求められており、樹脂粒子の重合反応を大型槽で行い、スラリーから樹脂粒子をバッチ式にて連続的に分離することが好ましい。
【0005】
この場合、樹脂粒子の構成に変更がない限り、バッチ毎に濾過装置の洗浄を行うことは樹脂粒子の生産効率を低下させることから通常、行われないが、遠心分離型濾過装置や加圧型濾過装置のようにフィルターとして濾布を用いて濾過を行う場合、フィルターは、使用されるにつれて目詰まりを生じ、濾過ケーキの脱離性が低下するため、一定期間毎に定期的に洗浄される。
【0006】
このような場合には、スラリーからの樹脂粒子の連続的な濾過が一時中断されるために樹脂粒子の生産効率が低下することとなる。特に、樹脂粒子が軟質な粒子である場合には、樹脂粒子は、フィルターの目に変形しながら入り込み、フィルターの目において弾性的に復元した状態となるためにフィルターの目詰まりを生じさせ易く、フィルターの定期的な洗浄も短期間のうちに繰返し行う必要があり、生産効率の低下を顕著に生じさせる。
【0007】
しかも、軟質な樹脂粒子は、上述のように、フィルターの目において弾性的に復元していることから、フィルターの目に強固に目詰まりした状態となっており、フィルターの目詰まりを生じている樹脂粒子の除去作業も容易ではないという問題点も生じる。
【0008】
特許文献1には、水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、フィルターを用いて固液分離する工程を有するトナー製造方法において、該フィルターによりトナー粒子によって形成された固液分離面で固液分離を行う工程と、該フィルターを再生する工程とを有することを特徴とするトナー製造方法が開示されており、目詰まりしたフィルターを再生する方法として、高圧ジェット流による再生方法、ブラシによる再生方法、洗浄剤による再生方法などが提案されている。
【0009】
しかしながら、上記トナー製造方法においても、上述の通り、軟質な樹脂粒子の場合には短期間のうちにフィルターの目詰まりを生じやすく、しかも、フィルターに一旦、詰まった樹脂粒子の除去作業も容易でないことから、樹脂粒子の生産効率の低下という上記問題点は依然として解消されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−258609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、軟質な樹脂粒子、即ち、復元率が15%以上である樹脂粒子であってもフィルターの目詰まりを生じさせ難く、樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるスラリー中から樹脂粒子を生産効率良く分離することができる樹脂粒子の濾過分離方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の樹脂粒子の濾過分離方法は、復元率が15%以上である樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるスラリーから上記樹脂粒子をフィルターを用いて濾過するスラリーの濾過方法であって、上記フィルターは、モノフィラメント糸からなる織布で構成されていると共に、上記フィルターの通気度が120〜200cm3/cm2・分であることを特徴とする。
【0013】
又、上記樹脂粒子の濾過分離方法において、フィルターを構成している織布は、綾織又は七子織によって作製されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の樹脂粒子の濾過分離方法は、フィルターとしてモノフィラメント糸を織成してなる織布が用いられており、細い径の複数本のフィラメントを撚り合わせてなるマルチフィラメントを用いていないので、マルチフィラメントを構成しているフィラメント間に樹脂粒子が嵌まり込んで、樹脂粒子の除去作業が困難となるようなことはなく、フィルターに樹脂粒子による目詰まりが生じたとしても、汎用の方法を用いて容易にフィルターから樹脂粒子を除去してフィルターの濾過性能を回復させることができる。
【0015】
しかも、本発明の樹脂粒子の濾過分離方法で用いられるフィルターは、その通気度が120〜200cm3/cm2・分であるので、適度な通気性を有しており、フィルターからの樹脂粒子の抜けを防止しつつ、スラリーから樹脂粒子を容易に効率良く濾過分離することができる。更に、フィルターの一つの開口部(目)に多量の樹脂粒子が強固に嵌まり込んで目詰まりを生じることがなく、フィルターに樹脂粒子による目詰まりが生じたとしても、汎用の方法を用いて容易にフィルターから樹脂粒子を除去してフィルターの濾過性能を回復させることができる。
【0016】
そして、フィルターを構成している織布が平織又は綾織によって作製されている場合には、織布を構成している経糸と緯糸とが適度な自由度を有しながら織られているので、樹脂粒子の濾過を確実に行いながら、フィルターに目詰まりが生じた場合には経糸と緯糸とが適度に相対移動することによってフィルターに目詰まりを生じさせている樹脂粒子を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の樹脂粒子の濾過分離方法に用いられる加圧型濾過装置の一例を示した縦断面図である。
【図2】本発明の樹脂粒子の濾過分離方法に用いられる遠心分離型濾過装置の一例を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の樹脂粒子の濾過分離方法を図面を参照しながら説明する。本発明の樹脂粒子の濾過分離方法を加圧型濾過装置を用いて行う場合を一例として説明する。
【0019】
図1に示したように、加圧型濾過装置は、内部が中空に形成された容器本体1を備えており、容器本体1は、支持軸11、11を介して左右支持脚2、2によって回転自在に支持されている。
【0020】
上記容器本体1内の上下方向の中央部にはフィルター12が張設されており、フィルター12によって容器本体1内が上下に区画されている。更に、容器本体1には、フィルター12によって区画された容器本体1の上側空間部に圧縮空気を圧入するための圧縮空気供給口13が設けられている。又、容器本体1の下端には、スラリーを濾過して生じる廃液を容器本体1外に排出するための排出口14、14が開閉自在に設けられている。更に、容器本体1内の上半部には攪拌羽根15が配設されている。
【0021】
上記フィルター12は、モノフィラメント糸を織成してなる織布から構成されており、例えば、綾織の織布、七子織の織布、平織の織布、朱子織の織布などが挙げられ、綾織の織布、七子織の織布が好ましく、綾織の織布がより好ましい。
【0022】
フィルター12を構成している原糸はモノフィラメント糸に限定される。このように、フィルター12を構成しているフィルターをモノフィラメント糸から形成していることによって、樹脂粒子による目詰まりが発生するのは、モノフィラメント糸間に形成された開口部、即ち、フィルターの目においてのみである。従って、フィルター12が樹脂粒子の濾過分離を行っているうちに、樹脂粒子によって目詰まりが生じたとしても、高圧水流をフィルター12に噴射するなどの汎用の要領で、フィルター12の目に嵌まり込んでいる樹脂粒子を容易に除去して、フィルター12の濾過性能を容易に概ね回復させることができる。
【0023】
一方、フィルターがマルチフィラメント糸から形成されている場合、マルチフィラメント糸は、一般的に2〜10dtexのフィラメントを数本から数十本、撚り合わせて一本の糸とされたものであることから、細い径のフィラメント間にも樹脂粒子が嵌まり込むことによってフィルターの目詰まりを生じさせ、このフィラメント間の樹脂粒子は強固に嵌まり込んでいることから、樹脂粒子をフィラメント間から容易に除去することができず、樹脂粒子の除去作業に長時間を要すると共に、フィルターからの樹脂粒子の除去も不充分となり、フィルターの濾過性能の回復度合いが低く、その後、樹脂粒子の濾過分離を継続して行ったとしても、フィルターの目詰まりが充分に除去されていないことから、短期間のうちにフィルターが再度目詰まりを生じ、樹脂粒子の製造効率が低いという問題点を生じる。
【0024】
そこで、上述のように、本発明の濾過分離方法では、フィルター12としてモノフィラメント糸から形成されている織布を用いているので、樹脂粒子によってフィルター12に目詰まりが生じたとしても、汎用の要領でフィルター12から目詰まりを生じさせている樹脂粒子を円滑に短時間のうちにほぼ除去してフィルター12の濾過性能を概ね回復させ、その後の樹脂粒子の濾過分離を長期間に亘って円滑に行うことができる。従って、本発明の濾過分離方法では、フィルター12の定期的な洗浄間隔も長い期間とすることができると共に、フィルター12の洗浄も短時間のうちに完了することができるので、樹脂粒子の濾過分離の中断時間を最小限に留めて、樹脂粒子の製造効率を向上させることができる。
【0025】
又、上記フィルター12の通気度は、低いと、樹脂粒子の濾過分離工程において短期間のうちにフィルターが目詰まりを生じ、高いと、樹脂粒子がフィルターを通過してしまい、樹脂粒子の歩留りが低下し、又は、多くの樹脂粒子がフィルターの同一の開口部(目)に強固に嵌まり込んでしまい、フィルターからの樹脂粒子の除去作業が難しくなり、樹脂粒子の除去作業を行ってもフィルターの濾過性能の回復度合いが低く、短期間のうちにフィルターが再度目詰まりを生じ、樹脂粒子の濾過分離効率が低いという問題点を生じるので、120〜200cm3/cm2・分に限定される。なお、フィルター12の通気度は、JIS L1096に規定されているフラジール法に準拠して測定されたものをいう。又、フィルター12の通気度は、例えば、経糸及び緯糸の単位面積当たりの本数、モノフィラメント糸の直径を調整することによって制御することができる。
【0026】
上記フィルター12を形成しているモノフィラメント糸は合成樹脂から形成されていることが好ましく、このような合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
【0027】
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。
【0028】
又、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
【0029】
そして、フィルター12を構成しているモノフィラメント糸の直径は、細いと、同様の通気度でもフィルターの開口部(目)が小さくなり、フィルターに樹脂粒子による目詰まりが生じやすくなることがあり、太いと、フィルターの開口部(目)が大きくなり、樹脂粒子の抜けが生じ易くなることがあるので、0.1〜0.5mmが好ましい。
【0030】
次に、図1に示した加圧型濾過装置を用いてスラリーから樹脂粒子を濾過分離する要領について説明する。本発明の濾過分離方法は、復元率が15%以上である樹脂粒子をスラリーから濾過分離する場合に顕著な効果を奏する。樹脂粒子は、汎用の重合方法を用いて重合されて製造され、例えば、ビニル系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、エポキシ系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ポリアミド系樹脂粒子、ポリイミド系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子などが挙げられ、ビニル系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、エポキシ系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂粒子がより好ましい。なお、復元率が15%以上である樹脂粒子としては、特開2008−239785号公報に記載の樹脂粒子が挙げられる。
【0031】
樹脂粒子の製造方法としては、例えば、単量体及び重合開始剤を分散安定剤の存在下にて水性媒体中に分散させて攪拌しながら単量体を懸濁重合させて樹脂粒子を製造する方法、種粒子を水性媒体中に分散させて種粒子に単量体を吸収させながら重合させて樹脂粒子を製造する方法の他に、乳化重合、溶液重合などの汎用の重合方法がある。
【0032】
本発明の樹脂粒子の濾過分離方法では、平均粒子径が2〜100μm、好ましくは平均粒子径が5〜30μmの樹脂粒子の濾過分離を効果的に行うことができる。なお、樹脂粒子の平均粒子径は、電気抵抗法によって測定され、具体的には、アパチャー(細孔)の両側に電極が配設されたアパチャー・チューブを、測定対象となる樹脂粒子が電解液中に懸濁されてなる懸濁液中に浸漬した状態とする。
【0033】
上記アパチャー・チューブの電極間に上記懸濁液を介して電流を流し、電極間の電気抵抗を測定する。懸濁液中の樹脂粒子が吸引されてアパチャーを通過する時に樹脂粒子の体積に相当する電解液が置換されて、電極間の電気抵抗に変化が生じる。この電気抵抗の変化量は粒子の大きさに比例することから、上記電気抵抗の変化量を電圧パルスに変換して増幅、検出することによって粒子体積を算出することができ、この算出された粒子体積に相当する真球の直径を樹脂粒子の粒子径とする。
【0034】
そして、樹脂粒子の平均粒子径は、上記の如くして測定された各樹脂粒子の粒子径の相加平均をとることにより算出することができ、即ち、樹脂粒子の平均粒子径は体積平均粒子径を意味する。
【0035】
なお、上記樹脂粒子の平均粒子径は、例えば、ベックマンコールター株式会社から商品名「コールターマルチサイザーII」で市販されている測定装置を用いて測定することができる。
【0036】
上記水性媒体としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール、水とアルコールとの混合物などが挙げられ、水が好ましい。なお、水性媒体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0037】
又、単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジエチルア ミノエチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸ヘプタデカフルオロデシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタ クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジエチルア ミノエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシルなどのメタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系単量体などが挙げられ、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0038】
そして、単量体中に、一般式(I):CH2=C(CH3)−COO−(CH2CH2O)n−CO−C(CH3)=CH2(式中、nは5〜20の整数である)で示されるビニル基を分子の両末端に有する架橋性単量体が含有されていることが好ましい。
【0039】
このような架橋性単量体としては、例えば、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、単量体中における架橋性単量体の含有量は、10〜50重量%が好ましい。
【0040】
又、重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤が挙げられる。
【0041】
そして、樹脂粒子の硬度及び弾性復元性を示す指標として、樹脂粒子の復元率が挙げられ、本発明の樹脂粒子の濾過方法は、復元率が15%以上である樹脂粒子において優れた効果を奏し、樹脂粒子の復元率は、15〜30%が好ましい。
【0042】
なお、樹脂粒子の復元率は下記の要領で測定される。先ず、樹脂粒子の平均粒子径を上述の要領で測定する。そして、平均粒子径と同一の粒子径を有する樹脂粒子を顕微鏡を用いて抽出する。なお、樹脂粒子の直径とは、顕微鏡を用いて得られた顕微鏡写真において樹脂粒子を包囲し得る最小径の真円の直径をいう。
【0043】
次に、抽出した樹脂粒子について、荷重を一切加えない状態の粒子径L0を測定する。樹脂粒子を水平面上に載置し、この樹脂粒子上に水平面に対して平行な押圧板を載置し、この押圧板に垂直方向に1gf(0.0098N)の荷重を加えて樹脂粒子を垂直方向に押し潰した時の水平面と押圧板との対向面間の距離L1を測定する。
【0044】
次に、押圧板に加える垂直方向の荷重を0.2gf(0.0020N)と減少させた時の水平面と押圧板との対向面間の距離L2とし、下記式に基づいて、樹脂粒子の復元率を算出することができる。
復元率(%)=100×(L2−L1)/L0
【0045】
このようにして得られた樹脂粒子は重合後において水性媒体中に分散したスラリーとして得られ、このスラリーを加圧型濾過装置Aの容器本体1内に供給する。しかる後、容器本体1内に圧縮空気供給口13から圧縮空気を圧入することによってスラリーを上方から加圧して、スラリー中の樹脂粒子をフィルター12で濾過分離してフィルター12上に濾過ケーキBとして堆積させると共に、スラリーをフィルター12で濾過して生じた濾液を容器本体1の排出口14、14から排出する。
【0046】
スラリー中の樹脂粒子をフィルター12で濾過分離するにあたって、フィルター12は、その通気度が120〜200cm3/cm2・分に限定され且つモノフィラメント糸から形成されているので、フィルター12は、樹脂粒子によって目詰まりが発生しにくく、更に、樹脂粒子を通過させるようなことは殆どなく、スラリー中の樹脂粒子と水性媒体とを円滑に濾過分離することができる。
【0047】
なお、スラリーからの樹脂粒子の濾過分離工程の終点は、容器本体1の排出口14から濾液が排出されなくなった時点とする。
【0048】
そして、フィルター12上に堆積した濾過ケーキBを必要に応じて洗浄液で洗浄する。濾過ケーキBの洗浄液による洗浄は、濾過ケーキB上に洗浄液を供給し、容器本体1内に圧縮空気供給口13から圧縮空気を圧入することによって洗浄液を上方から加圧して、濾過ケーキBを洗浄すると共に、洗浄液を容器本体1の排出口14、14から排出する。なお、濾過ケーキBの洗浄の終点は、容器本体1の排出口14から排出された洗浄液のpHが6.5となり且つ容器本体1の排出口14から排出された洗浄液の透明度が、洗浄に用いられる前の洗浄液の透明度と同一となった時点とする。なお、洗浄液が水である場合は、容器本体1の排出口14から排出された洗浄液の透明度が、洗浄に用いられる前の洗浄液の透明度と同一となった時点の目安として、容器本体1の排出口14から排出された洗浄液の導電率と、洗浄に用いられる前の洗浄液の導電率との差が100μS/cm以内となった時点とすればよい。
【0049】
次に、容器本体1を上下反転させてフィルター12から濾過ケーキBを剥離させ、攪拌羽根15を攪拌させて濾過ケーキBを掻き混ぜつつ、容器本体1内を所定温度に加熱して樹脂粒子を乾燥させた後、容器本体1を開いて容器本体1から樹脂粒子を取り出すことによって樹脂粒子を効率良く得ることができる。この場合においても、樹脂粒子によるフィルター12の目詰まりが発生しにくいので、フィルター12からの濾過ケーキBの剥離も容易に且つ確実に行われる。
【0050】
なお、洗浄液としては、特に限定されず、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコールなどのアルコール類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの石油系溶剤などが挙げられ、水が好ましい。洗浄液は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0051】
次に、容器本体1を再度、上下反転させて元の状態に復帰させた後、容器本体1内に新たなスラリーを供給して上述と同様の要領で加圧濾過することによって樹脂粒子を連続的にスラリー中から濾過分離することができる。
【0052】
上記フィルター12は、上述の通り、樹脂粒子による目詰まりが生じにくいものであるから、樹脂粒子の濾過分離を繰返し行った場合にあっても、樹脂粒子を円滑にスラリー中から濾過分離することができ、樹脂粒子を効率良く得ることができる。そして、フィルター12の定期的な洗浄も長期間に亘って行う必要がなく、スラリーからの樹脂粒子の濾過分離を長期間に亘って連続的に行うことができ、樹脂粒子の製造効率を向上させることができる。
【0053】
上記では、加圧型濾過装置Aを用いてスラリーから樹脂粒子を濾過分離する要領を説明したが、図2に示したような遠心分離型濾過装置Cを用いてもよい。この遠心分離型濾過装置Cは、底面部30とこの底面部30の外周縁から上方に向かって延設された周壁部31とを備えたバスケット3と、このバスケット3の内周面にその全面に亘って配設されたフィルター32とを備えている。なお、バスケット3の底面部30には、濾過後の樹脂粒子をバスケット3外に取り出すための開閉自在な排出口(図示せず)が形成されている。
【0054】
バスケット3の周壁部31にはその略全面に亘って多数の排水孔31a、31a・・・が内外周面間に亘って貫通されている。そして、バスケット3の周壁部31の内周面にはその全面に亘って排水孔31a、31a・・・を内側から塞ぐように上記フィルター32が配設されている。
【0055】
又、バスケット3には、水性媒体中に樹脂粒子を分散させてなるスラリーをバスケット3内に供給するためのスラリー供給管4がその先端開口部をバスケット3内に位置させた状態に配設されている。
【0056】
次に、上記遠心分離型濾過装置Cを用いてスラリーから樹脂粒子を遠心分離する要領について説明する。先ず、上記スラリーを遠心分離型濾過装置Cのバスケット3内にスラリー供給管4を通じて所定量供給する。
【0057】
しかる後、バスケット3を回転させて遠心分離を行い、スラリー中の水性媒体をバスケット3の排水孔31aを通じてバスケット3外に排出し、バスケット3の周壁部31の内周面に配設したフィルター32の内面に樹脂粒子の濾過ケーキDを形成する。
【0058】
次に、濾過ケーキDを必要に応じて洗浄、脱水した後、バスケット3から濾過ケーキDを取り出し、濾過ケーキBを乾燥させることによって樹脂粒子を効率良く得ることができる。
【0059】
この場合においても、フィルター32は、上述の通り、樹脂粒子による目詰まりが生じにくいものであるから、樹脂粒子の濾過分離を繰返し行った場合にあっても、樹脂粒子を円滑にスラリー中から濾過分離することができ、樹脂粒子を効率良く得ることができる。そして、フィルター12の定期的な洗浄も長期間に亘って行う必要がなく、スラリーからの樹脂粒子の濾過分離を長期間に亘って連続的に行うことができ、樹脂粒子の製造効率を向上させることができる。
【0060】
なお、上記では、スラリーからの樹脂粒子の濾過、洗浄、脱水及び乾燥を同一の装置を用いて行った場合を説明したが、スラリーからの樹脂粒子の濾過と、その後の工程(濾過された樹脂粒子の洗浄、脱水及び乾燥)とはそれぞれ別々の装置を用いて行ってもよい。
【実施例】
【0061】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
温度計及び窒素導入管を備えた重合機にイオン交換水400重量部を供給した後、イオン交換水中に、ピロリン酸マグネシウム8重量部及びラウリル硫酸ナトリウム(花王社製 商品名「エマール」)0.04重量部を供給して溶解させて水性媒体を作製した。
【0063】
次に、アクリル酸ブチル80重量部及びテトラデカエチレングリコールジメタクリレート20重量部を混合してなる単量体に過酸化ベンゾイル0.3重量部を溶解させて単量体混合液を作製した。
【0064】
この単量体混合液を重合機内の水性媒体中に供給した上で、水性媒体をホモミキサー(プライミクス社製)を用いて5000rpmの回転速度にて攪拌し、上記単量体混合液を上記水性媒体中に均一に分散させた。
【0065】
次に、水性媒体を60℃に加熱して攪拌しながら6時間に亘って懸濁重合を行って、樹脂粒子が水中に分散されてなるスラリーを得た。なお、樹脂粒子の平均粒子径は7.8μmであった。樹脂粒子の復元率は26%であった。
【0066】
上記スラリーを図1に示した加圧型濾過装置Aの容器本体1内に供給した。容器本体1内には、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメント糸を綾織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:120cm3/cm2/分、モノフィラメント糸の直径:0.2mm)が張設されていた。
【0067】
しかる後、容器本体1内に圧縮空気供給口13から圧縮空気を圧入することによってスラリーを上方から加圧して、スラリー中の樹脂粒子をフィルター12で濾過分離してフィルター12上に濾過ケーキBとして堆積させると共に、スラリーをフィルター12で濾過して生じた濾液を容器本体1の排出口14、14から排出した。
【0068】
次に、容器本体1の排出口14、14から濾液が排出されなくなったのを確認した上で、濾過ケーキB上に洗浄水を供給し、容器本体1内に圧縮空気供給口13から圧縮空気を圧入することによって洗浄水を上方から加圧して、濾過ケーキBを洗浄すると共に、洗浄液を容器本体1の排出口14、14から排出した。なお、容器本体1の排出口14から排出された洗浄水のpHが6.5となり且つ容器本体1の排出口14から排出された洗浄水の透明度が、洗浄に用いる前の洗浄水の透明度と同一となった時点で濾過ケーキBの洗浄を終了した。
【0069】
しかる後、容器本体1を上下反転させてフィルター12から濾過ケーキBを剥離させ、攪拌羽根15を攪拌させて濾過ケーキBを掻き混ぜつつ、容器本体1内を50℃に加熱して10時間に亘って真空乾燥した後、容器本体1から軟質な樹脂粒子を取り出した。
【0070】
(実施例2)
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメント糸を綾織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:200cm3/cm2/分、モノフィラメント糸の直径:0.2mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0071】
(実施例3)
アクリル酸ブチル80重量部の代わりにメタクリル酸ブチル80重量部を用い、テトラデカエチレングリコールジメタクリレート20重量部の代わりにノナエチレングリコールジメタクリレート20重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子が水中に分散されてなるスラリーを得た。なお、樹脂粒子の平均粒子径は8.2μmであった。樹脂粒子の復元率は16%であった。上記スラリーから実施例1と同様の要領で樹脂粒子を濾過分離した。
【0072】
(実施例4)
実施例3と同一のスラリーを用いたこと、フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメント糸を七子織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:200cm3/cm2/分、モノフィラメント糸の直径:0.2mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、上記スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0073】
(比較例1)
温度計及び窒素導入管を備えた重合機にイオン交換水270重量部を供給した後、イオン交換水中に、ピロリン酸マグネシウム8.7重量部及びアルキルスルホン酸ナトリウム0.06重量部を供給して溶解させて水性媒体を作製した。
【0074】
次に、メタクリル酸メチル89.1重量部及びエチレングリコールジメタクリレート(共栄化学社製 商品名「ライトエステルEG−50」)0.9重量部を混合してなる単量体に過酸化ベンゾイル0.3重量部を溶解させて単量体混合液を作製した。
【0075】
この単量体混合液を重合機内の水性媒体中に供給した上で、水性媒体をホモミキサー(プライミクス社製)を用いて5000rpmの回転速度にて攪拌し、上記単量体混合液を上記水性媒体中に均一に分散させた。
【0076】
次に、水性媒体を60℃に加熱して攪拌しながら6時間に亘って懸濁重合を行って、樹脂粒子が水中に分散されてなるスラリーを得た。なお、樹脂粒子の平均粒子径は7.9μmであった。樹脂粒子の復元率は5%であった。
【0077】
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるマルチフィラメント糸を綾織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:120cm3/cm2/分、マルチフィラメント糸の直径:0.4mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、上記スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0078】
(比較例2)
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメント糸を七子織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:90cm3/cm2/分、モノフィラメント糸の直径:0.2mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0079】
(比較例3)
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメント糸を綾織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:300cm3/cm2/分、モノフィラメント糸の直径:0.2mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0080】
(比較例4)
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるモノフィラメント糸を朱子織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:300cm3/cm2/分、モノフィラメント糸の直径:0.2mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0081】
(比較例5)
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるマルチフィラメント糸を綾織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:90cm3/cm2/分、マルチフィラメント糸の直径:0.2mm)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、上記スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0082】
(比較例6)
フィルター12として、ポリプロピレン系樹脂からなるマルチフィラメント糸を綾織して作製された織布から形成されたフィルター(敷島カンバス社製、通気度:120cm3/cm2/分、マルチフィラメント糸の直径:0.4mm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0083】
(比較例7)
比較例1と同様の要領で、樹脂粒子が水中に分散されてなるスラリーを得た。このスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、上記スラリーから樹脂粒子を濾過分離した。
【0084】
実施例及び比較例について、使用後のフィルターの通気度(使用後通気度)、樹脂抜け量、及び、脱水洗浄時間を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0085】
(使用後のフィルターの通気度)
スラリーから樹脂粒子を濾過分離する工程を1回行った後、加圧型濾過装置の容器本体1内からフィルターを取り出し、このフィルターの一面に水圧5MPaにて5cm3/cm2の量の洗浄水を噴射してフィルターの洗浄を行った。洗浄後のフィルターの通気度をJIS L1096に規定されているフラジール法に準拠して測定した。
【0086】
(樹脂抜け量)
加圧型濾過装置Aの容器本体1内から取り出した樹脂粒子の全量Wを測定し、原料とした単量体の全量W2に対する百分率を樹脂抜け量とした。なお、5重量%以下であれば製造効率は良いと判断できる。
樹脂抜け量(重量%)=100×(W2−W)/W2
【0087】
(脱水洗浄時間)
加圧型濾過装置Aの容器本体1内に1バッチ目のスラリーを供給して容器本体1内に圧縮空気供給口13から圧縮空気を圧入した時点から濾過ケーキBの洗浄が終了するまでの時間(1回目)を測定した。
【0088】
1バッチ目のスラリーから分離された樹脂粒子を容器本体1から取り出して容器本体1を上下反転させて元の状態に復帰させた後、容器本体1内に2バッチ目のスラリーを供給して容器本体1内に圧縮空気供給口13から圧縮空気を圧入した時点から濾過ケーキBの洗浄が終了するまでの時間(2回目)を測定した。
【0089】
(樹脂粒子の平均粒子径)
ガラス製の試験管に樹脂粒子0.1gと0.1重量%非イオン系界面活性剤溶液10ミリリットルを投入してタッチミキサー(ヤマト科学社製 商品名「タッチミキサー TOUCH MIXER MT-31 」)を用いて2秒間に亘って攪拌、混合した後、試験管内の溶液を、超音洗浄機(ヴェルヴォクリーア製 商品名「ULTRASONIC CLEANER VS-150 」)を用いて10秒間に亘って予備分散させた。
【0090】
そして、この予備分散させた試験管内の溶液を、測定装置(ベックマンコールター株式会社 商品名「コールターマルチサイザーII」)に付属の測定用電解液(ベックマンコールター社製 商品名「ISOTON2」)を満たしたビーカー中に緩く攪拌しながらスポイドで滴下して、測定装置の画面の濃度計の示度を10%前後に合わせた。
【0091】
次に、測定装置にアパチャーサイズ、Current 、Gain及びPolarityを、ベックマンコールター株式会社発行のREFERENCE MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER (1987)に従って入力し、manualモードで測定を行った。なお、測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了した。
【0092】
【表1】

【符号の説明】
【0093】
1 容器本体
11 支持軸
12 フィルター
13 圧縮空気供給口
14 排出口
15 攪拌羽根
2 支持脚
3 バスケット
32 フィルター
4 スラリー供給管
A 加圧型濾過装置
B 濾過ケーキ
C 遠心分離型濾過装置
D 濾過ケーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
復元率が15%以上である樹脂粒子が水性媒体中に分散してなるスラリーから上記樹脂粒子をフィルターを用いて濾過する樹脂粒子の濾過分離方法であって、上記フィルターは、モノフィラメント糸からなる織布で構成されていると共に、上記フィルターの通気度が120〜200cm3/cm2・分であることを特徴とする樹脂粒子の濾過分離方法。
【請求項2】
フィルターを構成している織布は、綾織又は七子織によって作製されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂粒子の濾過分離方法。

【図1】
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【図2】
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