説明

樹脂粒子及びその製造方法

【課題】低温溶融性と耐熱保存性の両立及び高温高湿下での帯電量の安定性に優れた樹脂粒子を提供する。
【解決手段】樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散して得られる、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のガラス転移温度が35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(A)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂粒子及びその製造方法に関する。更に詳しくは、各種用途に有用な樹脂粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒径及び形状が均一で、かつ、電気的特性、熱的特性、化学的安定性等に優れた樹脂粒子として、樹脂と有機溶剤を含有する混合液と、水性媒体との懸濁液から有機溶剤を除去することによって得られる樹脂粒子が知られている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1の樹脂粒子を、例えば熱定着方式、熱加工方式又は静電定着方式等で樹脂を加工、処理する用途に用いた場合、低温溶融性と耐熱保存性が両立できず、高温高湿下での帯電量の安定性が十分ではないといった課題があり、このような課題の解決が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−284881公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低温溶融性と耐熱保存性が両立でき、高温高湿下での帯電量の安定性に優れた樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、これらの課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散して得られる、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のガラス転移温度(以下、Tgと略記する)が35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(A);前記樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)が付着してなる樹脂粒子(C);樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散して得られる樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の製造方法であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のTgが35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(A)の製造方法;樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を微粒子(b)が分散した水性媒体(W)中に分散して得られる、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の表面に微粒子(b)が付着した樹脂粒子(C)の製造方法であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のTgが35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(C)の製造方法;である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂粒子は、低温溶融性と耐熱保存性が両立でき、高温高湿下での帯電量の安定性に優れる、といった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明における樹脂(a)は、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有する。
【0008】
本発明におけるポリオール成分(x)は、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有する。炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。これらのうち、低温溶融性の観点から好ましいのは炭素数2〜4の脂肪族ジオールであり、更に好ましいのはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール及びエチレングリコールと1,2−プロピレングリコールの併用であり、特に好ましいのはエチレングリコールである。
【0009】
本発明におけるポリオール成分(x)には、(x1)以外の他のポリオール成分を含有してもよい。他のポリオール成分としては、炭素数6〜36の脂環式ジオール(x2)、ビスフェノール類の(ポリ)オキシアルキレン[アルキレン基の炭素数2〜4、以下の(ポリ)オキシルアルキレン基も同様]エーテル(x3)、炭素数3〜36の3価以上(3〜8価又はそれ以上)のポリオール(x4)等が挙げられる。
【0010】
炭素数6〜36の脂環式ジオール(x2)としては、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0011】
ビスフェノール類の(ポリ)オキシアルキレンエーテル(x3)としては、ビスフェノールAの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン基の数=1〜30)、ビスフェノールFの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン基の数=1〜30)及びビスフェノールSの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン基の数=1〜30)等が挙げられる。
【0012】
3価以上(3〜8価又はそれ以上)のポリオール(x4)としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びソルビトール等の脂肪族多価アルコール、並びにノボラック樹脂[フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂(平均重合度3〜60)等]の(ポリ)オキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン基の数=1〜30)等が挙げられる。
【0013】
炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)は、ポリオール成分(x)中に任意の割合で含有することができるが、(x1)の含有率は、低温溶融性の観点から(x)のモル数に基づき好ましくは40〜100モル%であり、更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
【0014】
本発明におけるポリカルボン酸化合物(y)としては、ジカルボン酸成分(y1)及び3価以上のポリカルボン酸成分(y2)等が挙げられる。
【0015】
ジカルボン酸成分(y1)としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(y11)(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸及びセバシン酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(y12)[アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸等)、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸及びグルタコン酸等];炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(y13)(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等);(y11)〜(y13)の酸無水物(y14)(無水マレイン酸及び無水フタル酸等);(y11)〜(y13)のアルキル(炭素数1〜4)エステル(y15)[イソフタル酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル及びテレフタル酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル等];及び(y11)〜(y13)のヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)エステル(y16)[テレフタル酸ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)エステル等]等が挙げられる。なお、ジカルボン酸成分(y1)は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
3価以上のポリカルボン酸成分(y2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(y21)(トリメリット酸及びピロメリット酸等);炭素数6〜36の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸(y22)(ヘキサントリカルボン酸等);(y21)又は(y22)の酸無水物(y23)(無水トリメリット酸及び無水ピロメリット酸等);(y21)又は(y22)のアルキル(炭素数1〜4)エステル(y24)[トリメリット酸トリアルキル(炭素数1〜4)エステル及びピロメリット酸テトラアルキル(炭素数1〜4)エステル等];及び(y21)又は(y22)のヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)エステル(y25)[トリメリット酸トリヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)エステル及びピロメリット酸テトラヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)エステル等]等が挙げられる。なお、3価以上のポリカルボン酸成分(y2)は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
ポリカルボン酸化合物(y)のうち、耐熱保存性の観点から好ましいのは、(y11)、(y13)、(y14)、(y15)、(y21)及び(y24)であり、更に好ましいのは(y13)、(y21)及び(y24)であり、特に好ましいのは、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、イソフタル酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル、テレフタル酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル、トリメリット酸トリアルキル(炭素数1〜4)エステル及び無水トリメリット酸である。
【0018】
本発明における触媒としては、チタン含有触媒[ジクロロチタン、トリクロロチタン、テトラクロロチタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、チタンアセチルアセトナート、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)及びチタニウムジヒドロキシビス(N−メチルジエタノールアミネート)等]、スズ含有触媒(ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド及びジオクチルスズジラウレート等)、アンチモン含有触媒(三酸化アンチモン等)、ジルコニウム含有触媒(酢酸ジルコニル等)、ニッケル含有触媒(ニッケルアセチルアセトナート)、アルミニウム含有触媒(水酸化アルミニウム及びアルミニウムトリイソプロポキシド等)、亜鉛含有触媒(酢酸亜鉛等)及びマンガン含有触媒(酢酸マンガン等)等が挙げられる。これらのうち、反応性及び環境衛生の観点から好ましいのは、チタン含有触媒、アンチモン含有触媒、ジルコニウム含有触媒、ニッケル含有触媒及びアルミニウム含有触媒であり、更に好ましいのはチタン含有触媒である。なお、触媒は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明におけるポリエステル樹脂(p1)には、樹脂の特性を損なわない範囲内で、ポリオール成分(x)及びポリカルボン酸成分(y)以外の他の化合物を併用してもよい。他の化合物としては、モノカルボン酸(安息香酸、p−置換安息香酸、o−置換安息香酸、酢酸、プロピオン酸及び酪酸等);モノカルボン酸アルキル(炭素数1又は2)エステル(酢酸エチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、安息香酸メチル、p−置換安息香酸メチル及びo−置換安息香酸エチル等);モノカルボン酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸及び無水安息香酸等);1価アルコール(ベンジルアルコール、o−又はp−置換ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びステアリルアルコール等);ヒドロキシカルボン酸誘導体(ε−カプロラクトン及びメチルバレロラクトン等)等が挙げられる。他の化合物の使用量は、ポリオール成分(x)及びポリカルボン酸成分(y)の総モル数に基づき、好ましくは10モル%以下である。
【0020】
本発明におけるポリエステル樹脂(p1)は、通常のポリエステル樹脂の製造法と同様にして製造することができる。例えば、ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)、触媒及び必要により他のモノマーを反応容器に投入し、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気下重縮合反応を行う方法が挙げられる。重縮合反応の反応温度は、好ましくは150〜280℃、更に好ましくは180〜270℃、特に好ましくは200〜260℃である。反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分間以上であり、更に好ましくは2〜40時間である。重縮合反応は、反応速度を向上させるために、重縮合反応で生成する水を減圧下反応系外に留去させながら行うことも有効である。ポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)との投入比率は、ポリオール成分(x)が有する水酸基[OH]と、ポリカルボン酸成分(y)が有するカルボキシル基[COOH]の当量比{[OH]/[COOH]}として、好ましくは2/1〜1/2であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1.3、特に好ましくは1.3/1〜1/1.2である。触媒の添加量は、ポリオール成分(x)及びポリカルボン酸成分(y)の全重量に基づき、好ましくは10ppm〜1.9重量%であり、更に好ましくは100ppm〜1.7重量%である。添加量を10ppm以上とすることで反応速度が大きくなる点で好ましい。
【0021】
ポリエステル樹脂(p1)又は(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、好ましくは1,000〜50万であり、更に好ましくは2,000〜20万である。
なお、本発明におけるポリウレタン樹脂以外の樹脂の、Mn及び重量平均分子量(以下Mwと略記する)は、テトラヒドロフラン可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例):「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSKgelGMHXL」(2本)
「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0022】
また、ポリウレタン樹脂のMn及びMwは、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例):「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「Guardcolumn α」(1本)
「TSKgelα−M」(1本)
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)
【0023】
ポリエステル樹脂(p1)のTgは35〜100℃であり、耐熱保存性の観点から、好ましくは38〜60℃である。
なお、本発明におけるTgは、DSC{「DSC20」、「SSC/5803」[いずれもセイコー電子工業(株)製]}を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
(p1)の溶解度パラメータ(以下、SP値と略記する)は、好ましくは7〜18(cal/cm1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm1/2である。なお、本発明におけるSP値は、「Polymer Engineering and Science,Feburuary」(1974,Vol.14,No.2,P.147〜154)に記載の方法で計算することができる。
【0024】
本発明において、ポリエステル樹脂(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率は、(p1)の重量に基づき1重量%以下であり、好ましくは0.7重量%以下、更に好ましくは0.02〜0.5重量%、特に好ましくは0.05〜0.3重量%である。(x1)の含有率が1重量%を超えると、低温溶融性と耐熱保存性が両立できず、高温高湿下での帯電量の安定性が低下するため好ましくない。
【0025】
ポリエステル樹脂(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率を1重量%以下にする方法としては、例えば、以下の(1)、(2)の方法及びこれらの組み合わせによりポリエステル樹脂(p1)を製造する方法が挙げられる。
(1)炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含むポリオール成分(x)と、ポリカルボン酸(y)との重縮合反応を行った後、更にポリカルボン酸(y)を1回以上(好ましくは1〜3回、更に好ましくは2回)追加して多段階で重縮合反応させる方法。
(2)ポリエステル樹脂(p1)の水酸基価が好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、特に好ましくは20以下、最も好ましくは15以下となるまで重縮合反応させる方法。
【0026】
本発明における樹脂(a)には、ポリエステル樹脂(p1)以外に、ポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有してもよい。樹脂(p2)としては、ポリウレタン樹脂(p21)、エポキシ樹脂(p22)及びポリアミド樹脂(p23)等が挙げられる。なお、(p2)は2種以上を併用してもよい。(p2)のうち好ましいのは、ポリウレタン樹脂(p21)及びエポキシ樹脂(p22)であり、更に好ましいのはポリウレタン樹脂(p21)である。
【0027】
ポリウレタン樹脂(p21)としては、ポリオール成分(x)、ポリカルボン酸成分(y)及びポリイソシアネートを重付加反応して得られる樹脂等が挙げられる。
【0028】
ポリイソシアネートとしては、炭素数(イソシアネート基中の炭素を除く。以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びポリイソシアネートの変性物等が挙げられ、分子中に2個以上のイソシアネート基を有していれば特に限定されない。なお、ポリイソシアネートは、2種以上を併用してもよい。
【0029】
エポキシ樹脂(p22)としては、ポリオール成分(x)、ポリカルボン酸成分(y)及びポリエポキシドを重付加反応して得られる樹脂等が挙げられる。
【0030】
ポリエポキシドとしては、芳香族ポリエポキシド、複素環ポリエポキシド、脂環族ポリエポキシド及び脂肪族ポリエポキシド等が挙げられる。ポリエポキシドとして好ましいのは、樹脂の機械的強度の観点から、分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキシドのエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、更に好ましくは90〜500である。この範囲内であると、樹脂の耐水性、耐薬品性及び機械的強度が更に良好となる。なお、エポキシ当量が65未満のポリエポキシドを合成するのは困難である。ポリエポキシドは、2種以上を併用してもよい。
【0031】
ポリアミド樹脂(p23)としては、ポリオール成分(x)、ポリカルボン酸成分(y)及びポリアミンを重付加反応して得られる樹脂等が挙げられる。
【0032】
ポリアミンとしては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン、炭素数4〜15の複素環式ポリアミン、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン、ポリアミドポリアミン及びポリエーテルポリアミン等が挙げられる。なお、ポリアミンは、2種以上を併用してもよい。
【0033】
樹脂(p2)のTgは、耐熱保存性の観点から、好ましくは35〜100℃であり、更に好ましくは38〜60℃である。
(p2)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm1/2である。
【0034】
樹脂(a)には、樹脂(p2)以外に、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂及びポリカーボネート樹脂等を含有させてもよい。
【0035】
ポリアミド樹脂としては、ラクタムの開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合体及びポリカルボン酸とポリアミンの重縮合体等が挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、脂肪族ポリイミド樹脂(脂肪族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミンとから得られる重合体等)及び芳香族ポリイミド樹脂(芳香族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミン又は芳香族ジアミンとから得られる重合体等)等が挙げられる。
ケイ素樹脂としては、分子鎖中にケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合又はケイ素−窒素結合等を有する重合体(ポリシロキサン、ポリカルボシラン及びポリシラザン等)等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、フェノール類(フェノール、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、カシュー油、リグニン、レゾルシン及びカテコール等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びフルフラール等)との縮合により得られる重合体等が挙げられる。
メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られる重合体等が挙げられる。
ユリア樹脂としては、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合により得られる重合体等が挙げられる。
アニリン樹脂としては、アニリンとアルデヒド類とを酸性下で重合して得られる重合体等が挙げられる。
アイオノマー樹脂としては、ビニルモノマー(α−オレフィン及びスチレン系モノマー等)とα,β−不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸及びマレイン酸モノエチルエステル等)との共重合体で共重合体中のカルボン酸の一部又は全部がカルボン酸塩(カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩等)であるもの等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)と、ホスゲン又は炭酸ジエステル等との縮合物等が挙げられる。
【0036】
樹脂(a)の前駆体(a0)としては、化学反応により樹脂(a)になり得るものであれば特に限定されず、例えば反応性基含有プレポリマー(α)等が挙げられる。ここで、(α)における反応性基とは、硬化剤(β)と反応可能な基のことをいう。
反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基と、硬化剤(β)の組み合わせとしては、以下の(1)及び(2)等が挙げられる。
(1)反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素化合物と反応可能な官能基(f1)であり、硬化剤(β)が活性水素化合物(β1)である組み合わせ。
(2)反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基が、活性水素含有基(f2)であり、硬化剤(β)が活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)である組み合わせ。
【0037】
前記(1)における活性水素化合物と反応可能な官能基(f1)としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基(1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基)及び酸ハライド基(ハロカルボニル基)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基及びエポキシ基であり、更に好ましいのは、イソシアネート基及びブロック化イソシアネート基である。
ブロック化イソシアネート基は、ブロック化剤によりブロックされたイソシアネート基のことをいう。ブロック化剤としては、オキシム類(アセトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム及びメチルエチルケトオキシム等);ラクタム類(γ−ブチロラクタム、ε−カプロラクタム及びγ−バレロラクタム等);炭素数1〜20の脂肪族アルコール(メタノール、オクタノール及びステアリルアルコール等);フェノール類(フェノール、m−クレゾール、キシレノール及びノニルフェノール等);活性メチレン化合物(アセチルアセトン、マロン酸エチル及びアセト酢酸エチル等);塩基性窒素含有化合物(N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−ヒドロキシピリジン、ピリジンN−オキサイド及び2−メルカプトピリジン等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいのはオキシム類であり、更に好ましいのはメチルエチルケトオキシムである。
【0038】
前記(1)における活性水素化合物(β1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン(β1a)、ポリオール(β1b)、ポリメルカプタン(β1c)及び水等が挙げられる。
ポリアミン(β1a)としては、前記ポリアミンと同様のものが挙げられる。
ポリアミン(β1a)が脱離可能な化合物でブロック化されたポリアミンである場合、(β1a)としては、前記ポリアミンと炭素数3〜8のケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン、炭素数2〜8のアルデヒド(ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド等)から得られるアルジミン、エナミン及びオキサゾリジン等が挙げられる。
ポリオール(β1b)としては、前記ジオール(x1)〜(x3)及び炭素数3〜36の3価以上(3〜8価又はそれ以上)のポリオール(x4)と同様のものが挙げられる。 ポリメルカプタン(β1c)としては、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、(β1a)、(β1b)及び水であり、更に好ましいのは(β1a)及び水であり、特に好ましいのはブロック化されたポリアミン及び水である。
【0039】
前記(1)における活性水素化合物(β1)は、必要により反応停止剤(βs)と併用してもよい。反応停止剤(βs)を活性水素化合物(β1)と一定の比率で併用することにより、樹脂(a)を所定の分子量に調整することが可能である。
反応停止剤(βs)としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びフェノール等);モノメルカプタン(ブチルメルカプタン及びラウリルメルカプタン等);モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート及びフェニルイソシアネート等);モノエポキシド(ブチルグリシジルエーテル等)等が挙げられる。
【0040】
前記(2)における活性水素含有基(f2)としては、アミノ基、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、メルカプト基及びカルボキシル基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、アミノ基、水酸基及びアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基であり、更に好ましいのは水酸基である。なお、アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、前記(β1a)の場合と同様のものが挙げられる。
【0041】
活性水素含有基と反応可能な化合物(β2)としては、ポリイソシアネート(β2a)、ポリエポキシド(β2b)、ポリカルボン酸(β2c)、ポリ酸無水物(β2d)及びポリ酸ハライド(β2e)等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、(β2a)及び(β2b)であり、更に好ましいのは(β2a)である。
ポリイソシアネート(β2a)としては、前記ポリイソシアネートと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ポリエポキシド(β2b)としては、ポリエポキシドと同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ポリカルボン酸(β2c)としては、ジカルボン酸(β2c−1)及び3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)が挙げられ、ジカルボン酸(β2c−1)としては、前記ジカルボン酸成分(y1)と同様なものが挙げられ、3価以上のポリカルボン酸(β2c−2)としては、前記3価以上のポリカルボン酸成分(y2)と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ポリカルボン酸無水物(β2d)としては、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。
ポリ酸ハライド(β2e)としては、前記(β2c)の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド及び酸アイオダイド等)等が挙げられる。
更に必要により(β2)と共に反応停止剤(βs)を用いることができる。
【0042】
反応性基含有プレポリマー(α)の構成単位としては、ポリエーテル(αw)、ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等が挙げられる。
ポリエーテル(αw)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド及びポリテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリエステル(αx)としては、前記ポリエステル樹脂(p1)、ポリエステル樹脂(p1)以外のポリエステル樹脂及びポリラクトン(ε−カプロラクトンの開環重合物等)等が挙げられる。
エポキシ樹脂(αy)としては、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)とエピクロロヒドリンとの付加縮合物等が挙げられる。
ポリウレタン(αz)としては、前記ジオール(x1)〜(x3)又はポリオール(x4)と前記ポリイソシアネートとの重付加物及びポリエステル(αx)とポリイソシアネートの重付加物等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、(αx)、(αy)及び(αz)であり、更に好ましいのは(αx)及び(αz)である。
【0043】
ポリエステル(αx)、エポキシ樹脂(αy)及びポリウレタン(αz)等に反応性基を導入する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)二以上の構成単位のうちの一つを過剰に用いることで構成単位の官能基を末端に残存させる方法。
(2)二以上の構成単位のうちの一つを過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させ、更に残存した官能基と反応可能な官能基及び反応性基を有する化合物とを反応させる方法。
【0044】
上記(1)の方法では、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基(ハロカルボニル基)含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー及びイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマー等を得ることができる。
二以上の構成単位の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比{[OH]/[COOH]}として、好ましくは2/1〜1.01/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1.01/1、特に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の構成単位及び反応性基を有するプレポリマーについても、構成単位、反応性基が変わるだけで比率は同様である。
【0045】
上記(2)の方法では、(1)の方法で得られたプレプリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ブロック化ポリイソシアネートを反応させることでブロック化イソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキシドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られ、カルボニル基を4つ以上有する酸無水物を反応させることで酸無水物基(1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基)含有プレポリマーを得ることができる。
官能基及び反応性基を含有する化合物の使用量は、例えば、水酸基含有ポリエステルにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比{[NCO]/[OH]}として、好ましくは5/1〜1.01/1であり、更に好ましくは4/1〜1.2/1、特に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の構成単位及び反応性基を有するプレポリマーについても、構成単位、反応性基が変わるだけで比率は同様である。
【0046】
反応性基含有プレポリマー(α)1分子が有する反応性基の数は、好ましくは平均1個以上であり、更に好ましくは平均1.5〜3個、特に好ましくは平均1.8〜2.5個である。上記範囲にすることで、硬化剤(β)と反応させて得られる樹脂(a)のMnが高くなる。
反応性基を有するプレポリマー(α)のMnは、好ましくは500〜30,000であり、更に好ましくは1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。
反応性基含有プレポリマー(α)のMwは、好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜40,000、特に好ましくは4,000〜20,000である。
反応性基を有するプレポリマー(α)の粘度は、100℃において、好ましくは200Pa・s以下であり、更に好ましくは100Pa・s以下である。200Pa・s以下にすることで粒度分布が狭い樹脂粒子(A)が得られるため好ましい。
【0047】
本発明における有機溶剤溶液(u)は、樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を有機溶剤に溶解させたものである。有機溶剤は、樹脂(a)又は前駆体(a0)を25℃〜(u)の分散時の温度で溶解できるものであれば特に限定されず、具体的には、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族又は脂環式炭化水素溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル又はエステルエーテル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等);エーテル溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等);ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール及びベンジルアルコール等);アミド溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物溶剤(N−メチルピロリドン等)及びこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0048】
前駆体(a0)から樹脂(a)を生成する方法としては、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散させ、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)とを反応させて樹脂(a)を生成する方法。
(2)反応性基含有プレポリマー(α)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散させ、ここに水溶性の硬化剤(β)を加え、加熱により反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)とを反応させて樹脂(a)を生成する方法。
(3)反応性基含有プレポリマー(α)が水と反応して硬化するものである場合は、反応性基含有プレポリマー(α)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散させることで水と反応させて、樹脂(a)を生成する方法。
【0049】
反応性基含有プレポリマー(α)に対する硬化剤(β)の比率は、反応性基含有プレポリマー(α)が有する反応性基の当量[α]と、硬化剤(β)が有する活性水素含有基[β]の当量比{[α]/[β]}として、好ましくは1/2〜2/1であり、更に好ましくは1.5/1〜1/1.5、特に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、硬化剤(β)が水である場合、水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0050】
反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)との反応時に、反応性基含有プレポリマー(α)及び硬化剤(β)と反応しないポリマー(いわゆるデッドポリマー)を系内に含有させることもできる。この場合、樹脂(a)は、反応性基含有プレポリマー(α)と硬化剤(β)とを反応させて得られた樹脂と、デッドポリマーとの混合物となる。
デッドポリマーとして好ましいのは、ビニル樹脂及びポリエステル樹脂であり、更に好ましいのはポリエステル樹脂、特に好ましいのはポリエステル樹脂(p1)である。
樹脂(a)中のデッドポリマー[前躯体(a0)が反応して得られた樹脂以外のポリマー]の含有率は、樹脂(a)の重量に基づき、好ましくは0〜80重量%であり、更に好ましくは5〜70重量%ある。
【0051】
ビニルモノマーを前駆体(a0)として用いた場合、前駆体(a0)から樹脂(a)を生成する方法としては、以下の(1)、(2)の方法が挙げられる。
(1)油溶性開始剤、ビニルモノマー及び必要により有機溶剤を、水溶性ポリマーの存在下、水性媒体(W)中に分散懸濁させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる懸濁重合法)。
(2)ビニルモノマー及び必要により有機溶剤を、乳化剤(後述の界面活性剤と同様のものが挙げられる)、水溶性開始剤を含む水性媒体(W)中に乳化させ、加熱によりラジカル重合反応を行わせる方法(いわゆる乳化重合法)。
なお、ポリエステル樹脂(p1)の有する官能基(水酸基及びカルボキシル基等)と反応可能な官能基を有するビニルモノマーを用い、あらかじめポリエステル樹脂(p1)と反応させることにより、ポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有するビニル樹脂(p2)を得ることができる。
【0052】
前記油溶性又は水溶性開始剤としては、パーオキサイド系重合開始剤(I)、アゾ系重合開始剤(II)、及びパーオキサイド系重合開始剤(I)と還元剤とを併用したレドックス系重合開始剤(III)等が挙げられる。なお、油溶性又は水溶性開始剤は、(I)〜(III)の2種以上を併用したものでもよい。
【0053】
パーオキサイド系重合開始剤(I)としては、油溶性パーオキサイド系重合開始剤及び水溶性パーオキサイド系重合開始剤等が挙げられる。
油溶性パーオキサイド系重合開始剤としては、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニトリルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソブチルジパーオキシフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ピナンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド及びクメンパーオキサイド等が挙げられる。
水溶性パーオキサイド系重合開始剤としては、過酸化水素、過酢酸、過硫酸アンモニウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
アゾ系重合開始剤(II)としては、油溶性アゾ系重合開始剤及び水溶性アゾ系重合開始剤等が挙げられ、油溶性アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
水溶性アゾ系重合開始剤としては、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)及び2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。
【0055】
レドックス系重合開始剤(III)としては、非水系レドックス系重合開始剤及び水系レドックス系重合開始剤等が挙げられ、非水系レドックス系重合開始剤としては、油溶性パーオキサイド系重合開始剤(ヒドロペルオキサイド、過酸化ジアルキル及び過酸化ジアシル等)と、油溶性還元剤[第3級アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン及び有機金属化合物(トリエチルアルミニウム、トリエチルホウ素及びジエチル亜鉛等)等]とを併用したもの等が挙げられる。
水系レドックス系重合開始剤としては、水溶性パーオキサイド系重合開始剤{過酸化水素、過硫酸塩及びヒドロペルオキサイド等}と、水溶性の無機又は有機還元剤(2価鉄塩、亜硫酸水素ナトリウム、アルコール及びポリアミン等)とを併用したもの等が挙げられる。
【0056】
本発明における水性媒体(W)としては、水及び水と水溶性溶剤との混合溶剤等が挙げられる。水溶性溶剤とは、水と任意の割合で混和する溶剤のことであり、アルコール類(メタノール及びエタノール等)、ケトン類(アセトン等)及びエーテル類(テトラヒドロフラン等)等が挙げられる。なお、混合溶剤中の水溶性溶剤の比率は、混合溶剤の重量に基づき、好ましくは0〜30重量%である。
【0057】
樹脂(a)又は前駆体(a0)100重量部に対する水性媒体(W)の使用量は、好ましくは50〜2,000重量部であり、更に好ましくは100〜1,000重量部である。50重量部以上であれば樹脂(a)の分散状態が良好になり、2,000重量部以下であれば経済的であるため好ましい。
【0058】
有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散させる方法としては、分散装置を用いて分散する方法が挙げられる。
分散装置としては、一般に乳化機や、分散機として市販されているものであれば特に限定されず、例えば、バッチ式乳化機{ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー[特殊機化工業(株)製]等}、連続式乳化機{エバラマイルダー[(株)荏原製作所製]、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー[特殊機化工業(株)製]、コロイドミル[神鋼パンテック(株)製]、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機[サンテック(株)製]、キャピトロン(ユーロテック社製)及びファインフローミル[太平洋機工(株)製]等}、高圧乳化機{マイクロフルイダイザー[みずほ工業(株)製]、ナノマイザー[エス・ジーエンジニアリング(株)製]及びAPVガウリン(ガウリン社製)等}、膜乳化機{膜乳化機[冷化工業(株)製]等}、振動式乳化機{バイブロミキサー[冷化工業(株)製]等}及び超音波乳化機[超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等]等が挙げられる。これらのうち、樹脂粒子(A)の粒径の均一化の観点で好ましいのは、バッチ式乳化機、連続式乳化機及び高圧乳化機であり、更に好ましいのは、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス及びTKパイプラインホモミキサーである。
【0059】
有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散させる際には、公知の界面活性剤及び水溶性ポリマー等を使用することができる。また、分散の助剤として、水性媒体(W)中に前記有機溶剤及び可塑剤等を添加してもよい。
【0060】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤等が挙げられる。なお、界面活性剤は2種以上を併用してもよい。
【0061】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)モノ又はジアルキルスルホコハク酸エステルジ又はモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、炭素数8〜24のアルキル基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(繰り返し単位数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩(ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等)、アシル化アミノ酸塩(ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等)等が挙げられる。
【0062】
カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型及びアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、3級アミン類と4級化剤[ハロゲン化アルキル(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等)、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート及びエチレンオキサイド等]との反応で得られる化合物等が使用でき、例えばラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。アミン塩型カチオン界面活性剤としては、1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキルリン酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。2級アミン塩型のものとしては、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
【0063】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキル(炭素数10〜18)ジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、イミダゾリニウム型カルボキシベタイン(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)]、スルホベタイン型両性界面活性剤[炭素数10〜18の脂肪酸アミドプロピルヒドロキシエチルスルホベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン等)、ジメチルアルキル(炭素数10〜18)ジメチルヒドロキシエチルスルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルホベタイン等)]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0064】
非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールエチレンオキサイド付加物(付加モル数1〜30)、高級アミン(炭素数8〜22)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜40)、脂肪酸(炭素数8〜18)エチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(数平均分子量200〜4,000)エチレンオキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)、ポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル並びにソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)及びソルビタンモノオレートエチレンオキサイド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルエチレンオキシド付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)等が挙げられる。
多価アルコール型非イオン性界面活性剤としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル並びにラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸(炭素数10〜18)アルカノールアミド等が挙げられる。
【0065】
水溶性ポリマーとしては、セルロース化合物(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びこれらのケン化物等)、ゼラチン、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)重合体(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物及びアクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物及び水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール及びポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
【0066】
可塑剤としては、フタル酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル
酸ブチルベンジル及びフタル酸ジイソデシル等);脂肪族2塩基酸エステル(アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びセバシン酸−2−エチルヘキシル等);トリメリット酸エステル(トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル及びトリメリット酸トリオクチル等);リン酸エステル(リン酸トリエチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル及びリン酸トリクレジール等);脂肪酸エステル(オレイン酸ブチル等);及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0067】
有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)に分散させる際の温度は、好ましくは0〜150℃(加圧下)であり、更に好ましくは5〜98℃である。
有機溶剤溶液(u)の粘度[有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)に分散させる際の温度で測定したもの]は、樹脂粒子(A)の粒径の均一性の観点から、好ましくは10〜5万mPa・sであり、更に好ましくは100〜1万mPa・sである。
【0068】
樹脂(a)は、水性媒体(W)中に分散されることから、少なくとも分散時の温度(0〜150℃)で水性媒体(W)に完全に溶解しないことが必要である。そのため、樹脂(a)を構成する樹脂が共重合体である場合、樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選択するモノマーの種類にもよるが、モノマーの全モル数に基づき、好ましくは疎水性モノマーが10モル%以上であり、更に好ましくは30モル%以上である。疎水性モノマーの比率が、10モル%未満になると樹脂が水溶性になり易く、樹脂粒子(A)の粒径の均一性が損なわれることがある。
ここで、親水性モノマーとは、25℃の水100gに100g以上溶解するモノマーをいい、疎水性モノマーとは、それ以外のモノマー(25℃の水100gに100g以上溶解しないモノマー)をいう。
【0069】
樹脂粒子(A)には、他の添加剤(顔料、充填剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤及び難燃剤等)を添加することができる。樹脂粒子(A)に他の添加剤を添加する方法としては、(1)有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散する際に水性媒体(W)に他の添加剤を添加する方法、(2)あらかじめ有機溶剤溶液(u)に他の添加剤を添加したものを水性媒体(W)中に分散する方法、等が挙げられるが、好ましいのは(2)の方法である。
また、他の添加剤は、必ずしも有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中で分散する際に添加する必要はなく、樹脂粒子(A)を生成した後に添加してもよい。例えば、着色剤を含まない樹脂粒子(A)を生成した後、公知の染着の方法で着色剤を添加したり、他の添加剤及び必要により可塑剤を溶解又は分散させた有機溶剤中に樹脂粒子(A)含浸させて添加することもできる。
【0070】
樹脂粒子(A)は、有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)に分散した後、有機溶剤と水又は混合溶剤を留去することにより得られる。有機溶剤と水又は混合溶剤を留去する方法としては、以下の方法等が挙げられる。
(1)有機溶剤溶液(u)が分散した水性散体(W)を、減圧下又は常圧下で乾燥する方法。
(2)遠心分離器、スパクラフィルター及びフィルタープレス等により、有機溶剤溶液(u)が分散した水性散体(W)を固液分離し、得られた樹脂粒子(A)を乾燥する方法。
(3)有機溶剤溶液(u)が分散した水性散体(W)を凍結させて乾燥させる方法(いわゆる凍結乾燥)。
上記(1)又は(2)の方法において、得られた樹脂粒子(A)の乾燥は、公知の乾燥機(流動層式乾燥機、減圧乾燥機及び循風乾燥機等)を用いて行うことができる。また、必要に応じ、風力分級器等を用いて分級し、所定の粒度分布とすることもできる。
【0071】
樹脂粒子(A)の体積平均粒径は、好ましくは0.5〜100μmであり、更に好ましくは3〜80μm、特に好ましくは4〜50μmである。なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置{例えば「LA−920」[(株)堀場製作所製]}又はコールターカウンター[例えば「マルチサイザーIII」(コールター社製)]等で測定することができる。
【0072】
樹脂(a)のMn、融点、Tg及びSP値は、樹脂粒子(A)の用途によって好ましい範囲に適宜調整することができる。例えば、樹脂粒子(A)をスラッシュ成形用樹脂、粉体塗料として用いる場合、樹脂(a)のMnは、好ましくは2,000〜50万であり、更に好ましくは4,000〜20万である。樹脂(a)の融点は、好ましくは0〜200℃であり、更に好ましくは35〜150℃である。樹脂(a)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm1/2である。
樹脂粒子(A)を電子部品(液晶ディスプレイ等)製造用スペーサー、電子測定機の標準粒子として用いる場合、樹脂(a)のMnは、好ましくは2万〜1,000万であり、更に好ましくは4万〜200万である。樹脂(a)の融点は、好ましくは40〜300℃であり、更に好ましくは70〜250℃である。樹脂(a)のTgは、好ましくは0〜250℃であり、更に好ましくは50〜200℃である。樹脂(a)のSP値は、好ましくは8〜18(cal/cm1/2であり、更に好ましくは9〜14(cal/cm1/2である。
樹脂粒子(A)をトナーの母体粒子(電子写真、静電記録及び静電印刷等に使用されるトナーの母体粒子)として用いる場合、樹脂(a)のMnは、好ましくは1,000〜500万であり、更に好ましくは2,000〜50万である。樹脂(a)の融点は、好ましくは20〜300℃であり、更に好ましくは80〜250℃である。樹脂(a)のTgは、好ましくは20〜200℃であり、更に好ましくは40〜100℃である。樹脂(a)のSP値は、好ましくは8〜16(cal/cm1/2であり、更に好ましくは9〜14(cal/cm1/2である。
なお、樹脂(a)の融点は、DSC{「DSC20」、「SSC/5803」[いずれもセイコー電子工業(株)製]}を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
【0073】
本発明の樹脂粒子(A)の製造方法は、樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散して得られる樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の製造方法であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のTgが35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする。
樹脂粒子(A)の製造方法の構成要件は、上記の本発明の樹脂粒子(A)の構成要件と同様である。
【0074】
本発明の樹脂粒子(C)は、本発明の樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)が付着してなるものである。樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)をさせることにより、低温溶融性、耐熱保存性及び帯電安定性が更に向上する。
微粒子(B)は、樹脂が微粒子状になったものであり、樹脂としては熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。具体的には、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂及びポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂としては、上記の樹脂(a)に使用されるものと同様のものが挙げられる。なお、樹脂は2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいのは、微粒子状の樹脂が得られやすいという観点から、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの併用であり、更に好ましいのはビニル樹脂である。
【0075】
本発明の樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を付着させて樹脂粒子(C)を得る方法としては、以下の(1)、(2)の方法が挙げられる。
(1)樹脂粒子(A)と微粒子(B)を水性媒体(W)中に分散して樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を付着させる方法。
(2)樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を直接付着させる方法。
上記(1)、(2)の方法のうち、樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を付着させ易いという観点から好ましいのは(1)の方法である。更に(1)の方法については、
(1−1)微粒子(B)の水性散体(W)分散体(WB)[以下、(WB)と略記する]を作製し、そこに樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を分散させ、樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を付着させる方法。
(1−2)(WB)を作製し、そこに樹脂粒子(A)を分散させ、樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を付着させる方法。
等が挙げられるが、樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)を付着させ易いという観点から好ましいのは(1−1)の方法である。
【0076】
(WB)を作製する方法としては特に制限はないが、例えば以下の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)樹脂がビニル樹脂の場合、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法等の重合反応により(WB)を作製する方法。
(2)樹脂がポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂等の重付加又は重縮合で得られた樹脂の場合、前駆体(モノマー及びオリゴマー等)又はその有機溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させ、その後加熱したり、硬化剤を加えたりして、前駆体を硬化させて(WB)を作製する方法。
(3)樹脂がポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加又は重縮合で得られた樹脂の場合、前駆体(モノマー及びオリゴマー等)又はその有機溶剤溶液中に適当な分散剤を溶解させ、水を加えて転相乳化した後、加熱したり、硬化剤を加えたりして、前駆体を硬化させて(WB)を作製する方法。
(4)あらかじめ重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合及び重縮合等)により作製した樹脂を、機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、分級して得られた微粒子(B)を、適当な分散剤存在下で水性媒体(W)中に分散させて(WB)を得る方法。
【0077】
上記(1)〜(4)の方法で使用する有機溶剤、水性媒体(W)、硬化剤及び分散剤は、樹脂粒子(A)の製造法で挙げられたものと同様のものが挙げられる。また、(WB)を作製する際に、分散助剤として前記水溶性ポリマー及び可塑剤等を併用することができる。
【0078】
微粒子(B)を、水性媒体(W)中に分散して(WB)を作製する際には、微粒子(B)は少なくとも分散時の温度(0〜150℃)で水性媒体(W)に完全に溶解しないことが必要である。そのため、微粒子(B)を構成する樹脂が共重合体である場合、樹脂を構成する疎水性モノマーと親水性モノマーの比率は、選択するモノマーの種類にもよるが、モノマーの全モル数に基づき、好ましくは疎水性モノマーが10モル%以上であり、更に好ましくは30モル%以上である。疎水性モノマーの比率が、10モル%未満になると樹脂が水溶性になり易く、樹脂粒子(A)の粒径の均一性が損なわれることがある。
【0079】
樹脂粒子(A)と微粒子(B)との付着力を強めたい場合には、有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散した際に、樹脂粒子(A)と微粒子(B)が正負逆の電荷を有するようにしたり、樹脂粒子(A)と微粒子(B)が同一の電荷を有する場合、樹脂粒子(A)及び微粒子(B)と逆の電荷をもつ界面活性剤又は水溶性ポリマーを使用したり、樹脂粒子(A)と微粒子(B)のSP値の差を2以下にすること等が有効である。
【0080】
微粒子(B)を、水性媒体(W)中に分散して(WB)を作製する際に、少なくとも分散時の温度(0〜150℃)で微粒子(B)が水性媒体(W)に完全に溶解したり、膨潤するのを防ぐため、微粒子(B)のMn、SP値及び融点等を適宜調整するのが好ましい。
【0081】
微粒子(B)のMnは、(B)が水性媒体(W)に完全に溶解したり、膨潤することを防ぐ観点から、好ましくは200〜500万であり、更に好ましくは2,000〜500,000である。なお、微粒子(B)のMnは、上記の(p1)及び(p2)のMnの測定方法と同様の方法で測定することができる。
微粒子(B)のSP値は、水性媒体(W)に完全に溶解したり、膨潤することを防ぐ観点から、好ましくは7〜18(cal/cm1/2であり、更に好ましくは8〜14(cal/cm1/2である。
微粒子(B)の融点は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは80℃以上である。なお、微粒子(B)の融点は、上記の樹脂(a)の融点の測定方法と同様の方法で測定することができる。
【0082】
微粒子(B)の耐熱性、耐水性、耐薬品性及び粒径の均一性等を向上させたい場合、微粒子(B)を構成する樹脂の原料として、例えば3官能以上のモノマーを用いて、樹脂に架橋構造を導入させてもよい。かかる架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性及び水素結合性等のいずれの架橋形態であってもよい。
微粒子(B)に架橋構造を導入する場合の架橋点間分子量は、好ましくは30以上であり、更に好ましくは50以上である。
【0083】
微粒子(B)のTgは、樹脂粒子(C)の体積平均粒径の均一性、粉体流動性、保存時の耐熱性及び耐ストレス性の観点から、好ましくは0〜300℃であり、更に好ましくは20〜250℃、特に好ましくは50〜200℃である。なお、(WB)の分散時の温度が、微粒子(B)のTgより低い場合、微粒子(B)の合一や分裂を防止する効果が小さくなり、微粒子(B)の体積平均粒径の均一性を高める効果が小さくなる。
【0084】
微粒子(B)の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜30μmであり、更に好ましくは0.01〜20μm、特に好ましくは0.02〜10μmである。
なお、微粒子(B)の体積平均粒径は、上記の樹脂粒子(A)の体積平均粒径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
【0085】
微粒子(B)の体積平均粒径は、樹脂粒子(A)の体積平均粒径よりも小さいことが必
要であり、樹脂粒子(C)の均一性の観点から、体積平均粒径比[微粒子(B)の体積平均粒径/樹脂粒子(A)の体積平均粒径]は、好ましくは0.001〜0.3であり、更に好ましくは0.003〜0.25、特に好ましくは0.005〜0.2である。体積平均粒径比が0.001〜0.3であれば、微粒子(B)が樹脂粒子(A)の表面に効率よく吸着し、樹脂粒子(C)の粒度分布が狭くなるため好ましい。
【0086】
樹脂粒子(C)は、粒径の均一性及び保存安定性等の観点から、樹脂粒子(C)の重量に基づき、0.1〜50(好ましくは0.2〜40)重量%の樹脂粒子(B)と50〜99.9(好ましくは60〜99.8)重量%の樹脂粒子(A)とから構成されることが好ましい。
【0087】
樹脂粒子(C)の粒径均一性、粉体流動性及び耐熱保存性等の観点から、樹脂粒子(A)の表面の5%以上(好ましくは30%以上、更に好ましくは80%以上)が微粒子(B)で覆われているのが好ましい。なお、表面被覆率は、走査電子顕微鏡(SEM)で得られる像の画像解析から下式に基づいて求めることができる。
表面被覆率(%)={(SA)/[(SA)+(SB)]}×100
(SA):樹脂粒子(A)が微粒子(B)で覆われている部分の面積
(SB):樹脂粒子(A)の表面が露出している部分の面積
【0088】
樹脂粒子(C)の体積平均粒径は、用途により異なるが、好ましくは0.1〜300μmであり、更に好ましくは0.5〜250μm、特に好ましくは1〜200μm、最も好ましくは4〜20μmである。
樹脂粒子(C)の個数平均粒径は、用途により異なるが、好ましくは0.07〜20μmであり、更に好ましくは0.3〜170μm、特に好ましくは0.7〜130μm、最も好ましくは3〜13μmである。
樹脂粒子(C)の[体積平均粒径/個数平均粒径]は、粒径の均一性の観点から、好ましくは1.0〜1.5であり、更に好ましくは1.0〜1.45、特に好ましくは1.05〜1.2である。
なお、樹脂粒子(C)の体積平均粒径及び個数平均粒径は、コールターカウンターで同時に測定することができる。
【0089】
樹脂粒子(C)には、樹脂粒子(A)と微粒子(B)の粒径及び微粒子(B)による樹脂粒子(A)の表面被覆率を変えることで、粒子表面に所望の凹凸を付与することができる。
粉体流動性を向上させたい場合、樹脂粒子(C)のBET値比表面積は、0.5〜5.0m/gであることが好ましい。BET比表面積は、比表面積計{例えば「QUANTASORB」[ユアサアイオニクス(株)製]}を用いて測定(測定ガス:He/Kr=99.9/0.1体積%、検量ガス:窒素)することができる。
同様に粉体流動性の観点から、樹脂粒子(C)の表面平均中心線粗さRaが0.01〜0.8μmであることが好ましい。Raは、粗さ曲線とその中心線との偏差の絶対値を算術平均した値のことであり、例えば、走査型プローブ顕微鏡システム[東陽テクニカ(株)製]で測定することができる。
【0090】
樹脂粒子(C)の形状は、粉体流動性及び溶融レベリング性等の観点から球状であることが好ましい。その場合、樹脂粒子(A)及び微粒子(B)も球状であることが好ましい。樹脂粒子(C)は、Wadellの実用球形度が0.85〜1.00であることが好ましく、更に好ましくは0.90〜1.00である。なお、Wadellの実用球形度は、粒子の投影面積に等しい面積を持つ円の直径と粒子の投影像に外接する最小面積の円との直径の比から求められる。粒子の投影像は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影することができる。
【0091】
本発明の樹脂粒子(C)の製造方法は、樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を微粒子(b)が分散した水性媒体(W)中に分散して得られる、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の表面に微粒子(b)が付着した樹脂粒子(C)の製造方法であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする。
樹脂粒子(C)の製造方法の構成要件は、上記の本発明の樹脂粒子(C)の構成要件と同様である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。
【0093】
<製造例1>[チタン触媒(t)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び液中バブリング可能な窒素導入管を備えた反応容器に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部及びイオン交換水126部を投入し、窒素で液中をバブリング下、90℃まで徐々に昇温し、同温度で4時間反応(加水分解)し、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。次いで、100℃に昇温後、減圧下(−0.04MPa)同温度で2時間反応(脱水縮合)し、分子内重縮合物であるチタン触媒(t)を得た。
【0094】
<製造例2>[ポリエステル樹脂(p1−1)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、1,2−プロピレングリコール(以下、PGと略記する)678部、テレフタル酸518部、イソフタル酸207部、アジピン酸13部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に減圧下(−0.099〜−0.097MPa)230℃で2時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸20部を投入し、密閉下1時間反応後、減圧下(−0.097〜−0.095MPa)同温度で1時間反応させた。更に、無水トリメリット酸20部を投入し、常圧下180℃で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(p1−1)を得た[ポリエステル樹脂(p1−1)のMnは1,900、Mwは4,800、酸価は25、PGの含有率は0.1%であった。]。
【0095】
<製造例3>[ポリエステル樹脂(p1−2)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG671部、テレフタル酸519部、イソフタル酸207部、アジピン酸13部、無水トリメリット酸10部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に減圧下(−0.099〜−0.097MPa)230℃で2時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸20部を投入し、密閉下同温度で2時間反応後、220℃まで昇温し、常圧下同温度で2時間反応させ、ポリエステル樹脂(p1−2)を得た[ポリエステル樹脂(p1−2)のMnは2,000、Mwは4,900、酸価は25、PGの含有率は0.2%であった。]。
【0096】
<製造例4>[ポリエステル樹脂(p1−3)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG609部、フェノールノボラック樹脂(平均重合度5.6)のエチレンオキサイド5.6モル付加物74部、テレフタル酸485部、イソフタル酸194部、アジピン酸12部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に減圧下(−0.099〜−0.097MPa)同温度で2時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸20部を投入し、密閉下同温度で1時間反応後、減圧下(−0.097〜−0.095MPa)同温度で1時間反応させた。更に、無水トリメリット酸20部を投入し、常圧下180℃で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(p1−3)を得た[ポリエステル樹脂(p1−3)のMnは2,000、Mwは4,800、酸価は25、PGの含有率は0.1%であった。]。
【0097】
<製造例5>[ポリエステル樹脂(p1−4)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG609部、フェノールノボラック樹脂(平均重合度5.6)のエチレンオキサイド5.6モル付加物74部、テレフタル酸485部、イソフタル酸194部、アジピン酸12部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に同温度で減圧下(−0.099〜−0.097MPa)2時間反応させた。次いで180℃まで冷却し、無水トリメリット酸20部を投入し、密閉下同温度で1時間反応後、減圧下(−0.097〜−0.095MPa)同温度で1時間反応させた。更に、無水トリメリット酸20部を投入し、常圧下180℃1時間反応させ、ポリエステル樹脂(p1−4)を得た[ポリエステル樹脂(p1−4)のMnは1,900、Mwは4,300、酸価は30、PGの含有率は0.8%であった。]。
【0098】
<製造例6>[ポリエステル樹脂(p1−5)を構成単位として有するウレタンプレポリマー(α−1)の酢酸エチル溶液(u−1)の作製]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG629部、フ
ェノールノボラック樹脂(平均重合度5.6)のエチレンオキサイド5.6モル付加物2
1部、テレフタル酸464部、イソフタル酸267部、アジピン酸12部及びチタン触媒
(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しな
がら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する
水を留去しながら4時間反応させ、更に減圧下(−0.099〜−0.097MPa)同
温度で2時間反応させポリエステル樹脂(p1−5)を得た[ポリエステル樹脂(p1−
5)のMnは4,800、Mwは18,000、酸価は0.5、PGの含有率は0.5%
であった。]。
撹拌機及び加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器に、ポリエステル樹脂(p1−5)422部、IPDI61部及び酢酸エチル517部を投入し、100℃に昇温後、密閉下同温度で8時間反応を行い、ウレタンプレポリマー(α−1)の酢酸エチル溶液(u−1)を得た[ウレタンプレポリマー(α−1)は、ポリエステル樹脂(p1−5)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する。(u−1)のNCO含量は0.8%であった。]。
【0099】
<製造例7>[ポリエステル樹脂(p1−6)を構成単位として有するウレタンプレポリマー(α−2)の酢酸エチル溶液(u−2)の作製]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG661部、テ
レフタル酸477部、イソフタル酸275部、アジピン酸13部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら4時間反応させ、更に減圧下(−0.099〜−0.097MPa)同温度で2時間反応させポリエステル樹脂(p1−6)を得た[ポリエステル樹脂(p1−6)のMnは5,000、Mwは18,000、酸価は0.8、PGの含有率は0.7%であった。]。
撹拌機及び加熱冷却装置を備えた耐圧反応容器に、ポリエステル樹脂(p1−6)422部、IPDI61部及び酢酸エチル517部を投入し、100℃に昇温後、密閉下同温度で8時間反応を行い、ウレタンプレポリマー(α−2)の酢酸エチル溶液(u−2)を得た[ウレタンプレポリマー(α−2)は、ポリエステル樹脂(p1−6)を構成単位として有し、かつ分子末端にイソシアネート基を有する。(u−2)のNCO含量は0.7%であった。]。
【0100】
<製造例8>[微粒子(B−1)の水性分散体(WB−1)の作製]
撹拌機、加熱冷却装置及び冷却管を備えた反応容器に、水682部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物硫酸エステルナトリウム塩「エレミノールRS−30」[三洋化成工業(株)製]11部、スチレン138部、メタクリル酸138部及び過硫酸アンモニウム1部を投入し、25℃、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を75℃まで昇温し同温度で5時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成後室温まで冷却し、水2217部、カルボキシメチルセルロース「CMCダイセル1170」[ダイセル化学工業(株)製]7部及びドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液「エレミノールMON−7」[三洋化成工業(株)製]538部を投入後室温で1時間撹拌し、微粒子(B−1)(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散体(WB−1)を得た[微粒子(B−1)の体積平均粒径は0.10μmであった。]。
【0101】
<製造例9>[硬化剤(β)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び脱溶剤装置を備えた反応容器に、イソホロンジアミン50部
及びメチルエチルケトン300部を投入し、50℃に昇温後同温度で5時間反応を行い、
減圧下(−0.099〜−0.097MPa)メチルエチルケトンを留去して硬化剤(β)を得た。
【0102】
<比較製造例1>[ポリエステル樹脂(p1’−1)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG678部、テレフタル酸518部、イソフタル酸207部、アジピン酸13部、無水トリメリット酸40部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら2時間反応させ、更に減圧下(−0.099〜−0.097MPa)同温度で2時間反応させポリエステル樹脂(p1’−1)を得た[ポリエステル樹脂(p1’−1)のMnは1,800、Mwは4,800、酸価は25、PGの含有率は2.0%であった。]。
【0103】
<比較製造例2>[ポリエステル樹脂(p1’−2)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG555部、フェノールノボラック樹脂(平均重合度5.6)のエチレンオキサイド5.6モル付加物158部、テレフタル酸454部、イソフタル酸182部、アジピン酸11部、無水トリメリット酸40部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら4時間反応させ、ポリエステル樹脂(p1’−2)を得た[ポリエステル樹脂(p1’−2)のMnは2,000、Mwは5,200、酸価は25、PGの含有率は1.5%であった。]。
【0104】
<比較製造例3>[ポリエステル樹脂(p1’−3)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、PG606部、テレフタル酸509部、イソフタル酸204部、アジピン酸13部、無水トリメリット酸40部及びチタン触媒(t)0.5部を投入し、180℃に昇温後、同温度で窒素気流下生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下生成する水を留去しながら2時間反応させ、ポリエステル樹脂(p1’−3)を得た[ポリエステル樹脂(p1’−3)のMnは1,800、Mwは4,400、酸価は25、PGの含有率は1.2%であった。]。
【0105】
ポリエステル樹脂(p1−1)〜(p1−6)、(p1’−1)〜(p1’−3)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率は、ガスクロマトグラフィー法により、以下の測定条件で測定した。
<炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率の測定方法>
ポリエステル樹脂(p1)1gをクロロホルム20mlに溶解させ、更に内部標準物質のクロロホルム溶液(濃度1重量%)1gを添加して、ガスクロマトグラフィーにより以下の測定条件で分析し、脂肪族ジオール(x1)の含有率を計算した。
[ガスクロマトグラフィーの測定条件]
ガスクロマトグラフィー:「GC−17A」[(株)島津製作所製]
カラム:「DB−5」(J&W製)
キャリアーガス:ヘリウム、窒素
キャリアー線速度:30cm/秒
検出器:水素炎イオン化検出器
カラムの温度:80〜250℃(昇温速度:10℃/分)
内部標準物質:1−ヘキサノール
検量線:脂肪族ジオール(x1)と内部標準物質を、異なる5水準の重量比で混合したものから作製した
【0106】
ポリエステル樹脂(p1−1)〜(p1−6)、(p1’−1)〜(p1’−3)の酸価は、JIS K0070−1992に規定の方法で測定した。
【0107】
ポリエステル樹脂(p1−1)〜(p1−6)、(p1’−1)〜(p1’−3)のMn及びMwは、テトラヒドロフラン可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて上記の測定条件で測定した。
【0108】
微粒子(B)の体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置「LA−920」[(株)堀場製作所製]で測定した(1重量%のイオン交換水の分散液、25℃)。
【0109】
<実施例1>
ビーカーにポリエステル樹脂(p1−1)177部、酢酸エチル181部、ウレタンプレポリマー(α−1)の酢酸エチル溶液(u−1)39.2部及び硬化剤(β)0.9部を投入後撹拌し、有機溶剤溶液(u−1a)を得た。得られた有機溶剤溶液(u−1a)に水性分散体(WB−1)600部を投入し、TKホモミキサー[特殊機化工業(株)製]を使用し、25℃、回転数12000rpmで1分間分散操作を行い、次いでフィルムエバポレータで減圧下(−0.05MPa)、40℃、回転数100rpmの条件で4時間かけて酢酸エチルを留去し、水性分散体(X−1)を得た。水性分散体(X−1)100部を遠心分離し、更に水60部を加えて遠心分離して固液分離する工程を2回繰り返した後、35℃で1時間乾燥して樹脂粒子(C−1)を得た。
【0110】
<実施例2>
実施例1において、ポリエステル樹脂(p1−1)177部をポリエステル樹脂(p1−2)177部に、(u−1)39.2部を(u−2)39.2部に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(C−2)を得た。
【0111】
<実施例3>
実施例1において、ポリエステル樹脂(p1−1)177部をポリエステル樹脂(p1−3)196部に、酢酸エチルの部数181部を201部に変更し、硬化剤β及び(u−1)を使用しない以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(C−3)を得た。
【0112】
<実施例4>
実施例1において、ポリエステル樹脂(p1−1)177部をポリエステル樹脂(p1−4)177部に、(u−1)39.2部を(u−2)39.2部に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(C−4)を得た。
【0113】
<比較例1>
実施例1において、ポリエステル樹脂(p1−1)177部をポリエステル樹脂(p1’−1)196部に、酢酸エチルの部数181部を201部に変更し、硬化剤β及び(u−1)を使用しない以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(C’−1)を得た。
【0114】
<比較例2>
実施例1において、ポリエステル樹脂(p1−1)177部をポリエステル樹脂(p1’−2)177部に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(C’−2)を得た。
【0115】
<比較例3>
実施例1において、ポリエステル樹脂(p1−1)177部をポリエステル樹脂(p1’−3)177部に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子(C’−3)を得た。
【0116】
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた樹脂粒子(C−1)〜(C−4)、(C’−1)〜(C’−3)の低温溶融性、耐熱保存性、飽和帯電量及び帯電安定性を、以下の方法で評価した。また、樹脂粒子の体積平均粒径及び粒度分布を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0117】
<低温溶融性>
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた樹脂粒子それぞれ0.1gを、縦5cm×横5cmのガラス板上に載せ、90〜160℃の間で5℃毎に温度を変えたホットプレート上で加熱しながら、別のガラス板を上から乗せた後に10kg/cmの圧力をかけて樹脂膜を作製した。得られた樹脂膜のヘイズを測定し、ヘイズが20以下となる加熱温度の最低温度を低温溶融性とした。加熱温度の最低温度が低いほど、低温溶融性に優れることを表す。
【0118】
<耐熱保存性>
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた樹脂粒子を、50℃に温調した乾燥機中に15時間静置し、ブロッキングの程度により以下の基準で耐熱保存性を評価した。
[耐熱保存性の評価基準]
○:ブロッキングが発生しない。
△:ブロッキングが発生するが、力を加えると容易に分散する。
×:ブロッキングが発生し、力を加えても分散しない。
【0119】
<飽和帯電性、帯電安定性>
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた樹脂粒子それぞれ0.5gとフェライトキャリア「F−150」(パウダーテック社製)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.の恒温調湿器内で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーを用いて、それぞれ50rpm×10分間、50rpm×60分間摩擦撹拌し、それぞれの帯電量をブローオフ帯電測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いて測定した。摩擦撹拌時間10分間の帯電量を飽和帯電量とし、以下の基準で飽和帯電性を評価した。また、(摩擦撹拌時間60分間の帯電量/摩擦撹拌時間10分間の帯電量)[以下、(ESR)と略記する]を計算し、帯電安定性を以下の基準で評価した。
[飽和帯電性の評価基準]
◎:飽和帯電量の絶対値が25μC/g以上
〇:飽和帯電量の絶対値が20μC/g以上〜25μC/g未満
△:飽和帯電量の絶対値が15μC/g以上〜20μC/g未満
×:飽和帯電量の絶対値が15μC/g未満
[帯電安定性の評価基準]
◎:(ESR)が0.8以上
〇:(ESR)が0.6以上〜0.8未満
△:(ESR)が0.4以上〜0.6未満
×:(ESR)が0.4未満
【0120】
<体積平均粒径及び粒度分布>
実施例1〜4、比較例1〜3で得られた樹脂粒子の体積平均粒径及び粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)は、コールターカウンター「マルチサイザーIII」(コールター社製)で測定した(0.5重量%のイオン交換水の分散液、25℃)。
【0121】
【表1】

【0122】
表1から明らかなように、実施例1〜4で得られた樹脂粒子(C−1)〜(C−4)は、比較例1〜3で得られた(C’−1)〜(C’−3)と比較して、低温溶融性、耐熱保存性、飽和帯電性及び帯電安定性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の樹脂粒子は、粒径が均一で、帯電特性、耐熱保存性等に優れるため、スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、トナー母体粒子(電子写真、静電記録及び静電印刷等に用いられるもの)、各種ホットメルト接着剤及びその他成形材料等に用いられる樹脂粒子として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散して得られる、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のガラス転移温度が35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(A)。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂粒子(A)の表面に微粒子(B)が付着してなる樹脂粒子(C)。
【請求項3】
微粒子(B)が分散している水性媒体(W)中に、(u)を分散して得られた請求項2記載の樹脂粒子。
【請求項4】
炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)が、エチレングリコール及び/又は1,2−プロピレングリコールであり、ポリカルボン酸成分(y)の60〜100モル%が、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、イソフタル酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル、テレフタル酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル、トリメリット酸トリアルキル(炭素数1〜4)エステル及び無水トリメリット酸からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂粒子。
【請求項5】
ポリオール成分(x)中の脂肪族ジオール(x1)の含有率が、(x)のモル数に基づき40〜100モル%である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂粒子。
【請求項6】
触媒がチタン含有触媒である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂粒子。
【請求項7】
樹脂(a)が、更にポリエステル樹脂(p1)を構成単位として有する樹脂(p2)を含有し、(p2)がポリウレタン樹脂(p21)、エポキシ樹脂(p22)及びビニル樹脂(p23)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂粒子。
【請求項8】
前躯体(a0)が、ポリエステル樹脂(p1)の構成単位及び反応性基を有するプレポリマー(α)を構成単位とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂粒子。
【請求項9】
反応性基含有プレポリマー(α)が、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種以上の反応性基を有する請求項8記載の樹脂粒子。
【請求項10】
スラッシュ成形用樹脂、粉体塗料、電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真トナー用母体粒子、静電記録トナー用母体粒子、静電印刷トナー用母体粒子又はホットメルト接着剤用である請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂粒子。
【請求項11】
樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を水性媒体(W)中に分散して得られる樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の製造方法であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のガラス転移温度が35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(A)の製造方法。
【請求項12】
樹脂(a)及び/又はその前駆体(a0)を含有する有機溶剤溶液(u)を微粒子(b)が分散した水性媒体(W)中に分散して得られる、樹脂(a)を含有する樹脂粒子(A)の表面に微粒子(b)が付着した樹脂粒子(C)の製造方法であって、(u)が(a0)を含有する場合(a)は(a0)から生成したものであり、樹脂(a)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するポリオール成分(x)とポリカルボン酸成分(y)とが、触媒の存在下重縮合して得られるポリエステル樹脂(p1)を含有し、(p1)のガラス転移温度が35〜100℃であり、(p1)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有率が(p1)の重量に基づき1重量%以下であることを特徴とする樹脂粒子(C)の製造方法。


【公開番号】特開2011−219738(P2011−219738A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48470(P2011−48470)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】