説明

樹脂組成物、ゲート絶縁層及び有機薄膜トランジスタ

【課題】ヒステリシスが小さい有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】(A)式(1)で表される繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物であって、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物と、(B)分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物及び分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有する有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関し、特に有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界効果トランジスタは、無機半導体より低温プロセスで製造できるため、基板としてプラスチック基板やフィルムを用いることができ、軽量で壊れにくい素子を作製することができる。また、有機材料を含む溶液の塗布や印刷法を用いた成膜により素子作製が可能な場合があり、大面積の素子を低コストで製造することが可能である。さらに、トランジスタの検討に用いることができる材料の種類が豊富であるため、分子構造の異なる材料を検討に用いれば、容易に材料特性を根本的に変化させることが可能である。そのため、異なる機能を有する材料を組み合わせることで、無機半導体では不可能な多様でフレキシブルな機能、素子等を実現することも可能である。
【0003】
電界効果トランジスタでは、ゲート電極に印加される電圧がゲート絶縁層を介して半導体層に作用して、ドレイン電流のオン、オフを制御する。そのため、有機電界効果トランジスタに用いられるゲート絶縁層材料には、絶縁性及び薄膜にしたときの絶縁破壊強度に優れた特性が要求される。また、特にボトムゲート型の電界効果トランジスタでは半導体層がゲート絶縁層に重ねて形成される。そのため、ゲート絶縁層材料には、有機半導体と良好な界面を形成するための有機半導体との親和性、半導体との界面を形成する膜表面の平坦さ等の特性も要求される。
【0004】
これまで、有機電界効果トランジスタに用いられるゲート絶縁層材料については、種々の材料について検討が行われてきたが、近年では、層形成に高温条件や複雑な設備を必要としない有機材料を利用する技術が注目されている。
【0005】
特許文献1には、有機薄膜トランジスタにおけるゲート絶縁層材料としてエポキシ樹脂とシランカップリング剤とを組み合わせて用いることが記載されている。ゲート絶縁層材料の吸湿性が高いとトランジスタ性能の安定性に問題があることから、この課題を解決するために、エポキシ樹脂の硬化反応の際に生成する水酸基とシランカップリング剤を反応させたものである。
【0006】
非特許文献1には、ポリビニルフェノールとメラミン化合物とを熱架橋させた樹脂をゲート絶縁層に用いることが記載されている。メラミン化合物で架橋することによってポリビニルフェノールに含まれる水酸基を除去し、同時に膜強度を高めたものである。このゲート絶縁層を有するペンタセンTFTはヒステリシスが小さく、ゲートバイアス応力に対して耐久性を示す。
【0007】
非特許文献2には、ポリビニルフェノール及びビニルフェノールとメチルメタクリレートとを共重合させたコポリマーをゲート絶縁層に用いることが記載されている。ビニルフェノールの水酸基をメチルメタクリレートのカルボニル基と相互作用させて膜全体の極性を低下させたものである。このゲート絶縁層を有するペンタセンTFTはヒステリシスが小さく、安定した電気特性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−305950
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.89,093507(2006)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.92,183306(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)のような発光素子を駆動するなど実用化を考慮すると、有機薄膜トランジスタの動作精度をより向上する必要があり、上記従来のゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタはヒステリシスが大きい。
【0011】
本発明の目的は、ヒステリシスが小さい有機薄膜トランジスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の事に鑑み、種々検討を行った結果、フッ素原子を含む、架橋構造を形成しうる特定の樹脂組成物を用いてゲート絶縁層を形成することにより有機薄膜トランジスタのヒステリシスを小さくできることを見出し、本発明に至った。上記ゲート絶縁層の純水に対する接触角は、好ましくは91度以上であり、より好ましくは91度以上110度以下である。この接触角が110度を超えると有機材料ならびに金属との親和性が悪化する傾向にあり、絶縁層の露出面に接して有機層ならびに配線層を形成することが困難になることがある。
【0013】
より好ましくは、本発明のゲート絶縁層の純水に対する接触角は91〜100度、さらに好ましくは92〜96度である。
【0014】
かかるゲート絶縁層の形成に有用な樹脂組成物は、フッ素原子を含み、架橋構造を形成しうる特定の高分子化合物を含む樹脂組成物である。
【0015】
即ち、本発明は、(A)一般式(1)で表される繰り返し単位、一般式(1’)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物であって、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物と、(B)分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物及び分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有する樹脂組成物を提供する。
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。該一価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Raaは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。aは、0〜20の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Raaが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、R’、R’及びR’は、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R’は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R’aaは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。a’は、0〜20の整数を表し、b’は、1〜5の整数を表す。R’aaが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0020】
【化3】

【0021】
(式中、R、R、Rは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。該一価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rfは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の一価の有機基を表し、Rbbは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。cは、0〜20の整数を表す。Rbbが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0022】
ある一形態においては、上記樹脂組成物は有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用である。
【0023】
ある一形態においては、第1の官能基は、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。
【0024】
ある一形態においては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基は、一般式(3)で表される基である。
【0025】
【化4】

【0026】
(式中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R7、R8は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
【0027】
ある一形態においては、ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基は、一般式(4)で表される基である。
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R9、R10、R11は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
【0030】
本発明は、上記いずれかの樹脂組成物を用いて形成した有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層を提供する。
【0031】
ある一形態においては、純水に対する接触角が91度以上である上記有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層である。
【0032】
本発明は、上記ゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタを提供する。
【0033】
本発明は、ボトムゲートトップコンタクト型又はボトムゲートボトムコンタクト型である上記有機薄膜トランジスタを提供する。
【0034】
本発明は、上記有機薄膜トランジスタを含むディスプレイ用部材を提供する。
【0035】
本発明は、上記ディスプレイ用部材を含むディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明のゲート絶縁層は、ゲート電圧が印加されてもゲート絶縁層界面での分極が抑制される。その結果、有機電界効果型トランジスタのヒステリシスが低下する。また、ゲート絶縁層の表面に極性基が少ないため、キャリアトラップ順位の形成が抑制される。その結果、有機電界効果型トランジスタのVthの絶対値が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において、「高分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位が複数繰り返された構造を含む化合物をいい、いわゆる2量体もこれに含まれる。一方、「低分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位を繰り返し有していない化合物を意味する。
【0039】
本発明のゲート絶縁層用樹脂組成物は、電磁波もしくは熱が作用した場合に活性水素と反応する官能基を複数有し、フッ素原子が導入された高分子化合物(A)、及び分子内に活性水素を複数有する活性水素化合物(B)を含有する。活性水素とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のような炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいう。
【0040】
高分子化合物(A)
高分子化合物(A)は、フッ素置換有機部分、例えばフッ素原子を含む繰り返し単位を有する。好ましい繰り返し単位は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位、前記一般式(1’)で表される繰り返し単位及び前記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0041】
前記一般式(1)、前記一般式(1’)及び前記一般式(2)中、R1〜R6及びR’〜R’は、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。該一価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。ある一形態ではR1〜R6及びR’〜R’が全て水素原子であり、又はR4がメチル基、R1〜R3、R5及びR6及びR’〜R’が水素原子である。Raa、R’aa及びRbbは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。a、a’及びcは、0〜20の整数を表す。ある一形態ではa、a’及びcは0である。
【0042】
Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。該一価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。R’は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の一価の有機基を表す。b及びb’は、1〜5の整数を表す。ある一形態ではbは5であり、b’は1である。
【0043】
Rfは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の一価の有機基を表す。ある一形態では、Rfは2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基である。
【0044】
炭素数1〜20の一価の有機基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
炭素数1〜20の一価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基は、これらの基に含まれる水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は、基中の水素原子がアルキル基、ハロゲン原子などで置換されていてもよい。
【0045】
炭素数1〜20の一価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、 フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基などが挙げられる。
炭素数1〜20の一価の有機基としては、アルキル基が好ましい。
【0046】
該炭素数1〜20の二価の有機基としては、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、アルキル基等で置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、アルキル基等で置換されていてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0047】
脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピルレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられる。
【0048】
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、エチレンフェニレン基、ジエチレンフェニレン基、トリエチレンフェニレン基、プロピレンフェニレン基、ブチレンフェニレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、エチルアンスリレン基などが挙げられる。
【0049】
式(1)で表される繰り返し単位、式(1')で表される繰り返し単位及び式(2)で表される繰り返し単位の好ましい例は、下記繰り返し単位である。
【0050】
【化6】

【0051】
また、高分子化合物(A)は、電磁波もしくは熱が作用した場合に活性水素と反応する官能基を有する。ここで、高分子化合物(A)が有している上記官能基を第1の官能基とすると、第1の官能基は活性水素と反応しないが、第1の官能基に電磁波又は熱が作用すると第2の官能基が生成し、これが活性水素と反応する。つまり、上記第1の官能基は電磁波又は熱により脱保護されて、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である。第2の官能基は、ゲート絶縁層の形成工程において電磁波又は熱が加えられるまで保護(ブロック)されて、第1の官能基として樹脂組成物中に存在することになる。その結果、樹脂組成物の貯蔵安定性が向上する。
【0052】
第1の官能基としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が挙げられる。
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロックされたイソチオシアナト基は、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応しうる活性水素を1分子中に1個だけ有するブロック化剤とイソシアナト基又はイソチオシアナト基とを反応させることにより製造することができる。
【0053】
前記ブロック化剤としては、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応した後でも、170℃以下の温度で解離するものが好ましい。ブロック化剤としては、例えば、アルコ−ル系化合物、フェノ−ル系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、重亜硫酸塩、ピリジン系化合物、ピラゾール系化合物等が挙げられる。これらを単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。好ましくは、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられる。
【0054】
具体的なブロック化剤としては、アルコ−ル系化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等が挙げられる。フェノール系化合物としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。活性メチレン系化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等が挙げられる。メルカプタン系化合物としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等が挙げられる。酸アミド系化合物としては、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等、酸イミド系化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等が挙げられる。イミダゾール系化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。尿素系化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等が挙げられる。アミン系化合物としては、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等が挙げられる。イミン系化合物としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。重亜硫酸塩としては、重亜硫酸ソーダ等が挙げられる。ピリジン系化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。オキシム系化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。ピラゾール系化合物としては、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジエチルピラゾール等が挙げられる。
【0055】
本発明に用いてもよいブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はイソチアシアナト基としては、下記一般式(3)又は一般式(4)で表される基が好ましい。
【0056】
【化7】

【0057】
【化8】

【0058】
式(3)及び式(4)中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R7〜R11は、同一
又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。一価の有機基の定義、具体例等は、前述のR1〜R6における一価の有機基と定義、具体例等と同様である。
ある一形態ではR7及びR8は、それぞれ独立してメチル基及びエチル基からなる群から
選択される基であり、またR9〜R11は水素原子である。
【0059】
ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基としては、例えば、O−(メチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−(1−エチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−(1−メチルエチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−[1−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(N−3,5−ジメチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−メチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3,5−ジエチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−プロピル−5−メチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−プロピルピラゾリルカルボニル)アミノ基等が挙げられる。
【0060】
ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基としては、例えば、O−(メチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−(1−エチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−(1−メチルエチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−[1−メチルプロピリデンアミノ] チオカルボキシアミノ基、(N−3,5−ジメチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−メチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3,5−ジエチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−プロピル−5−メチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−プロピルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基等が挙げられる。
本発明に用いられる、第1の官能基としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基が好ましい。
【0061】
高分子化合物(A)は、例えば、一般式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー又は一般式(1')で表される繰り返し単位の原料となる重合成モノマーと、一般式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する重合性モノマーとを、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法により製造することが出来る。
【0062】
一般式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、一般式(1')で表される繰り返し単位の原料となる重合成モノマーとしては、4−トリフルオロメチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−フルオロメチルスチレン等が挙げられる。
【0063】
一般式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H、1H、3H−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H、1H、7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H、1H、3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、1H、1H、3H−テトラフルオロプロピルメタアクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、1H、1H、7H−ドデカフルオロヘプチルメタアクリレート、1H、1H、9H−ヘキサデカフルオロノニルメタアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタアクリレート、1H、1H、3H−ヘキサフルオロブチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0064】
第1の官能基を含有する重合性モノマーとしては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有するモノマーが挙げられる。該ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有するモノマーは、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と不飽和結合とを分子内に有する化合物とブロック化剤と反応させることにより製造することが出来る。不飽和結合としては、不飽和二重結合が好ましい。
【0065】
分子内に不飽和二重結合とイソシアナト基を有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2’−メタクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソシアネート等が挙げられる。分子内に不飽和二重結合とイソチオシアナト基を有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソチオシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソチオシアネート、2−(2’−メタクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソチオシアネート等が挙げられる。
【0066】
該ブロック化剤としては、前記のブロック化剤を好適に用いることが出来、必要に応じて有機溶媒、触媒等を添加することが出来る。
【0067】
前記分子内に不飽和二重結合とブロック化剤でブロックされたイソシアナト基を有するモノマーとしては、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート、2−〔N−[1’、3’−ジメチルピラゾリル]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート等が挙げられる。
【0068】
該光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、メチル(o−ベンゾイル)ベンゾエート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ジアセチル等のカルボニル化合物、メチルアントラキノン、クロロアントラキノン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のアントラキノン 又はチオキサントン誘導体、ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメート等の硫黄化合物が挙げられる。
【0069】
該熱重合開始剤としては、ラジカル重合の開始剤となるものであればよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、イソブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、o−メチルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類が挙げられる。
【0070】
本発明に用いられる高分子化合物は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、前記一般式(1')で表される繰り返し単位の原料となる重合成モノマーと、前記一般式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、第1の官能基を含有する重合性モノマー以外の他の重合しうるモノマーを重合時に添加製造してもよい。
【0071】
該他の重合しうるモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル及びその誘導体、メタアクリル酸エステル及びその誘導体、スチレン及びその誘導体、酢酸ビニル及びその誘導体、メタアクリロニトリル及びその誘導体、アクリロニトリル及びその誘導体、有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体、フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体、マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体、マレイミド及びその誘導体、末端不飽和炭化水素及びその誘導体等、有機ゲルマニウム誘導体等が挙げられる。
【0072】
該他の重合しうるモノマーの種類は、ゲート絶縁層に要求される特性に応じて適宜選択される。優れた耐久性や小さいヒステリシスが優先される場合は、スチレンやスチレン誘導体のように分子密度が高く、硬い膜を形成するモノマーが選択される。ゲート電極や基板の表面のような隣接面に対する密着性が優先される場合は、メタアクリル酸エステル及びその誘導体、アクリル酸エステル及びその誘導体のように、柔軟性を付与するモノマーが選択される。好ましい一形態では、メチル基、エチル基等のアルキル基のような活性水素含有基を有しないモノマーが選択される。
【0073】
例えば、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー又は前記一般式(1')で表される繰り返し単位の原料となる重合成モノマーと活性水素含有基を有しないスチレン又はスチレン誘導体を組み合わせて用いることにより、特に耐久性が高く、ヒステリシスが小さいゲート絶縁層が得られる。
【0074】
アクリル酸エステル類及びその誘導体としては、単官能のアクリレートや、使用量に制約は出てくるが多官能のアクリレートをも使用することができ、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン等を挙げることができる。
【0075】
メタアクリル酸エステル類及びその誘導体としては、単官能のメタアクリレートや、使用量に制約は出てくるが多官能のメタアクリレートをも使用することができ、例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−sec−ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパンジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリン等を挙げることができる。
【0076】
スチレン及びその誘導体としては、スチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、α−メチルスチレン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロピルベンゼン、4−アミノスチレン等が挙げられる。
【0077】
アクリルニトリル及びその誘導体としては、アクリロニトリル等が挙げられる。メタアクリルニトリル及びその誘導体としては、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0078】
有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニル等が挙げられる。
【0079】
有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体としては、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル等が挙げられる。
【0080】
フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジベンジル等が挙げられる。
【0081】
マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0082】
イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ−sec−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジル等が挙げられる。
【0083】
有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体としては、N−メチル−N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0084】
マレイミド及びその誘導体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0085】
末端不飽和炭化水素及びその誘導体としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、アリルアルコール等が挙げられる。
【0086】
有機ゲルマニウム誘導体としては、アリルトリメチルゲルマニウム、アリルトリエチルゲルマニウム、アリルトリブチルゲルマニウム、トリメチルビニルゲルマニウム、トリエチルビニルゲルマニウム等が挙げられる。
【0087】
これらのうちでは、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アリルトリメチルゲルマニウムが好ましい。
【0088】
前記一般式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、前記一般式(1')で表される繰り返し単位の原料となる重合成モノマー、又は前記一般式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの使用量は、高分子化合物(A)に導入されるフッ素の量が適量になるように調節される。
【0089】
高分子化合物(A)に導入されるフッ素の量は、高分子化合物の質量に対して、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは5〜40質量%である。フッ素の量が1質量%未満であると有機電界効果トランジスタのヒステリシスを低下させる効果が不十分となることがあり、60質量%を超えると有機半導体材料との親和性が悪化して活性層をその上に積層することが困難になることがある。
【0090】
分子内に不飽和二重結合とブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基とをもつモノマーの仕込みモル比は、全ての重合に関与するモノマー中、好ましくは5モル%以上60モル%以下であり、より好ましくは10モル%以上50モル%以下である。上記モノマーの仕込みモル比をこの範囲に調節することにより、ゲート絶縁層の内部に架橋構造が十分形成され、極性基の含有量が低いレベルに保たれ、ゲート絶縁層の分極が抑制される。
【0091】
高分子化合物(A)は、重量平均分子量が3000〜1000000が好ましく、5000〜500000がより好ましく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0092】
高分子化合物(A)を構成する一般式(1)で表される繰り返し単位、一般式(1')で表される繰り返し単位、及び一般式(2)で表される繰り返し単位は繰り返し単位中にフッ素原子が導入されており、水酸基のような活性水素含有基を有しない。そのために、形成されるゲート絶縁層は全体として極性が低く、ゲート電圧が印加されても分極し易い成分が少なく、ゲート絶縁層の分極が抑制されると考えられる。ゲート絶縁層の分極が抑制されると、有機電界効果トランジスタのヒステリシスが低下して、動作精度が向上する。
【0093】
本発明に用いることができる前記一般式(1)で表される繰り返し単位、前記一般式(1')で表される繰り返し単位及び前記一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に電磁波もしくは熱により活性水素と反応する第2の官能基を生成する第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物としては、例えば、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート] −コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(メチルメタクリレート−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’、5’−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−4−トリフルオロメチルスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシルアミノ〕エチル−メタクリレート])等が挙げられる。
【0094】
活性水素化合物(B)
活性水素化合物(B)は、例えば、分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物、分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物である。活性水素としては、典型的にはアミノ基、ヒドロキシ基又はメルカプト基等に含まれる水素原子が挙げられる。活性水素としては、上述した反応性官能基、中でもイソシアナト基、イソチオシアナト基との反応を良好に生じることができるフェノール性ヒドロキシ基中のヒドロキシル基に含まれる水素、芳香族アミノ基中のアミノ基に含まれる水素が好適である。
【0095】
該低分子化合物の具体例は、2個以上の活性水素含有基が低分子(単量体)構造に結合した構造を有する化合物となる。この低分子構造としては、例えば、アルキル構造やベンゼン環構造が挙げられる。該低分子化合物の具体例としては、アミン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物又はチオール系化合物等の低分子化合物が例示できる。
【0096】
例えば、アミン系化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,−テトラアミノエチルエチレンジアミン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン、1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン、1,3−ビス(3’−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ジトリフルオロメチルベンジジン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリス(トリメチルシロキン)シラン等が挙げられる。
【0097】
アルコール系化合物としては、エチレングリコール、1,2−ジヒドロキシプロパン、グリセロール、1,4−ジメタノールベンゼン等が挙げられる。フェノール系化合物としては、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、レゾルシン、フルオログリセロール、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデハイド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアミド、ジ(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)エーテル等が挙げられる。さらに、チオール系化合物としては、エチレンジチオール、パラ−フェニレンジチオール等が挙げられる。
【0098】
一方、該高分子化合物としては、活性水素は、高分子化合物を構成する主鎖に直接結合していてもよく、所定の基を介して結合していてもよい。また、活性水素は、高分子化合物を構成する構造単位に含まれていてもよく、その場合は、各構造単位に含まれていてもよく、一部の構造単位にのみ含まれていてもよい。さらに、活性水素は、高分子化合物の末端にのみ結合していてもよい。
【0099】
該高分子化合物の具体例は、2個以上の活性水素含有基が高分子(重合体)構造に結合した構造を有する化合物となる。かかる高分子化合物は活性水素含有基及び二重結合等の不飽和結合を分子内に有する単量体化合物(モノマー)を、単独で重合させるか、他の共重合性化合物と共重合させて重合体を形成することによって得られる。これらの重合の際には、光重合開始剤や熱重合開始剤を適用してもよい。なお、重合性モノマー、光重合開始剤、熱重合開始剤としては、上述したものと同様のものを適用できる。
【0100】
活性水素含有基及び不飽和結合を分子内に有するモノマーとしては、例えば、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルベンジルアルコール、アミノエチルメタクリレート、エチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0101】
また、高分子化合物としては、フェノール化合物と、ホルムアルデヒドとを、酸触媒の存在下で縮合させることによって得られた、ノボラック樹脂も好適である。更に、高分子化合物としては、有機ケイ素化合物を酸触媒の存在下で縮合させることによって得られたポリシルセスキオキサン化合物も好適である。該ポリシルセスキオキサン化合物としては、ポリ{ジメチル−2−(4’−ヒドロキシフェニル)エチルシリルシルセスキオキサン}等が挙げられる。
【0102】
分子内に活性水素含有基を2個以上含有する高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000〜1000000であることが好ましく、3000〜500000であることがより好ましい。これにより、絶縁層の平坦性及び均一性が良好となるという効果が得られるようになる。
【0103】
ゲート絶縁用樹脂組成物
高分子化合物(A)と活性水素化合物(B)とを混合することによりゲート絶縁層用樹脂組成物が得られる。両者の混合割合は、高分子化合物(A)の活性水素と反応する官能基と活性水素化合物(B)の活性水素含有基とがモル比で、好ましくは60/100〜150/100、より好ましくは70/100〜120/100、さらに好ましくは90/100〜110/100となるように調節される。この割合が60/100未満であると活性水素が過剰になりヒステリシスの低下効果が小さくなることがあり、150/100を超えると活性水素と反応する官能基が過剰になり閾値電圧の絶対値が大きくなることがある。
【0104】
このゲート絶縁層用樹脂組成物には、混合や粘度調節のための溶媒や、樹脂を架橋させる際に架橋剤と組み合わせて通常用いられる添加剤などを含有させてよい。使用される溶媒はテトラヒドロフランやジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶媒、ペンテン等の不飽和炭化水素系溶媒、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ブチルアセテートなどのアセテート系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒またはこれらの混合溶媒である。また、添加剤としては、架橋反応を促進するための触媒、レべリング剤、粘度調節剤などを用いることができる。
【0105】
有機薄膜トランジスタ
図1は、本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、素子全体を覆うオーバーコート7とが、備えられている。
【0106】
ボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成し、有機半導体層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、要すればオーバーコートを形成することで製造することができる。
【0107】
図2は、本発明の一実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6上に形成された有機半導体層4と、素子全体を覆うオーバーコート7とが、備えられている。
【0108】
ボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、ソース電極、ドレイン電極上に有機半導体層を形成し、要すればオーバーコートを形成することで製造することができる。
【0109】
ゲート絶縁層の形成は、ゲート絶縁用樹脂組成物に更に要すれば溶媒などを添加して絶縁層塗布液を調製し、絶縁層塗布液をゲート電極上に塗布、乾燥、硬化させることにより行う。該絶縁層塗布液に用いられる有機溶媒としては、高分子化合物ならびに架橋剤を溶解させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が100℃〜200℃の有機溶媒である。該有機溶媒としては、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。該絶縁層塗布液には、必要に応じてレベリング剤、界面活性剤、硬化触媒等を添加することができる。
【0110】
該絶縁層塗布液は公知のスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等によりゲート電極上に塗布することができる。
【0111】
ゲート絶縁層を形成する過程で行われる乾燥は、塗布された樹脂組成物の溶媒を除去することを意味する。硬化は樹脂組成物が架橋することを意味する。本発明の樹脂組成物が架橋する過程は、第1段階として、高分子化合物(A)において第1の官能基が脱ブロックされて活性水素と反応する第2の官能基が生成する段階、次いで、第2段階として、生成した第2の官能基が活性水素化合物(B)と反応する段階を含んでいる。架橋のための第1段階と第2段階とを比較すると、第1段階は第2段階よりも反応速度が遅く、従って、一旦第1段階が進行すると、第2段階は自動的に進行する。そのため、樹脂組成物を硬化させるためには、架橋のための第1段階を進行させればよい。
【0112】
上記第1段階を進行させるためには電磁波もしくは熱を作用させる必要があり、具体的な手段としては、電磁波の照射及び焼成等の手段が含まれる。電磁波の照射は、例えば、半導体の製造のために使用されている露光装置やUV硬化性樹脂を硬化させるために使用されているUVランプを用いて行うことができる。焼成は、比較的高温、例えば、80〜300℃、好ましくは120〜250℃の温度で5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間程度加熱することにより行うことができる。高分子化合物(A)に含まれる第1の官能基を脱ブロックするための照射条件及び焼成条件は、第1の官能基の種類及び量等に応じて適宜決定される。
【0113】
ゲート絶縁層の純水に対する接触角は、層形成に使用する樹脂が有するフッ素、疎水性官能基及び親水性官能基の量を考慮して、表面の親水性を増減させることにより、適宜調節する。ゲート絶縁層の表面親水性の増減は、種々の気体雰囲気中で加熱することで行うことができる。例えば、ゲート絶縁層を形成する際に行う加熱又は焼成(乾燥及び硬化等)を、酸素を含む雰囲気中で行うと表面親水性は増大し、不活性ガス雰囲気中で行うと表面親水性は低下する。酸素を含む雰囲気中で加熱を行う場合は、温度を高くすると表面親水性は増大する。
【0114】
ゲート絶縁層上には、自己組織化単分子膜層を形成しても良い。該自己組織化単分子膜層は、例えば、有機溶媒中にアルキルクロロシラン化合物もしくはアルキルアルコキシシラン化合物を1〜10重量%溶解した溶液でゲート絶縁層を処理することにより形成することが出来る。
【0115】
該アルキルクロロシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等が挙げられる。
該アルキルアルコキシシラン化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0116】
基板1、ゲート電極2、ソース電極5、ドレイン電極6及び有機半導体層4は、通常使用される材料及び方法で構成すればよい。例えば、基板の材料には樹脂やプラスチックの板やフィルム、ガラス板、シリコン板などが用いられる。電極の材料には、クロム、金、銀、アルミニウム等を用い、蒸着法、スパッタ法、印刷法、インクジェット法等公知の方法で形成する。
【0117】
有機半導体化合物としてはπ共役ポリマーが広く用いられ、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(p−フェニレンビニレン)類などを用いることができる。また、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、例えば、ペンタセンなどの多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることができる。具体的には、9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)と、5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェンとの縮合物等があげられる。
【0118】
有機半導体層の形成は、例えば、有機半導体化合物に要すれば溶媒などを添加して有機半導体塗布液を調製し、これをゲート絶縁層上に塗布、乾燥させることにより行う。本発明では、ゲート絶縁層を構成する樹脂がフェニル部分又はカルボニル部分を有し、有機半導体化合物と親和性がある。それゆえ、上記塗布乾燥法によって、有機半導体層とゲート絶縁層との間に均一で平坦な界面が形成される。
【0119】
使用される溶媒としては有機半導体を溶解又は分散させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が50℃〜200℃のものである。該溶媒としては、クロロホルム、トルエン、アニソール、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。該有機半導体塗布液は、前記絶縁層塗布液と同様に公知のスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等によりゲート絶縁層上に塗布することができる。
【0120】
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機薄膜トランジスタを保護し、また、表面の平滑性を高める目的で、オーバーコート材でコートしてもよい。
【0121】
本発明の有機薄膜トランジスタを用いて、好適に有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を作製できる。該有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を用いて、ディスプレイ用部材を備えるディスプレイを好適に作製できる。
【実施例】
【0122】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明が実施例により限定されるものではないことは言うまでもない。実施例の化学式中、括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0123】
合成例1
スチレン(和光純薬製)2.06g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)2.43g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.06g、2−ヘプタノン(和光純薬製)14.06gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物1が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物1の化学構造は次の通りである。
【0124】
【化9】

【0125】
得られた高分子化合物1の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、32800であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0126】
合成例2
ビニルベンゾエート(アルドリッチ製)22.22g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)14.56g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)6.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.43g、2−ヘプタノン(和光純薬製)64.17gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物2が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物2の化学構造は次の通りである。
【0127】
【化10】

【0128】
得られた高分子化合物2の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、21000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0129】
合成例3
9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)6.40g、5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェン4.00gのトルエン(80mL)中の混合物に、窒素下においてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.18g、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(Aldrich製、商品名「Aliquat 336」(登録商標))1.0g、及び2Mの炭酸ナトリウム水溶液24mLを加えた。この混合物を激しく攪拌し、24時間還流して加熱した。粘稠な反応混合物をアセトン500mLに注ぎ、繊維状の黄色のポリマーを沈澱させた。このポリマーを濾過によって集め、アセトンで洗浄し、真空オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させた。得られたポリマーを高分子化合物3とよぶ。高分子化合物3の化学構造は次の通りである。
【0130】
【化11】

【0131】
[式中、nは整数である。]
【0132】
得られた高分子化合物3の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、61000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0133】
合成例4
4−アミノスチレン(アルドリッチ製)3.50g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)13.32g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)25.36gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物4が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物4の化学構造は次の通りである。
【0134】
【化12】

【0135】
得られた高分子化合物4の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、132000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0136】
合成例5
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)28.31g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)15.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.43g、2−ヘプタノン(和光純薬製)65.61gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物5が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物5の化学構造は次の通りである。
【0137】
【化13】

【0138】
得られた高分子化合物5の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、28000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0139】
合成例6
2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)4.04g、2−トリフルオロエチルメタクリレート(アルドリッチ製)2.80g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.04g、2−ヘプタノン(和光純薬製)11.77gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物6が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物6の化学構造は次の通りである。
【0140】
【化14】

【0141】
得られた高分子化合物6の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、50000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0142】
合成例7
スチレン(アルドリッチ製)2.17g、2−トリフルオロエチルメタクリレート(アルドリッチ製)2.80g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.06g、2−ヘプタノン(和光純薬製)11.77gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物7が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物7の化学構造は次の通りである。
【0143】
【化15】

【0144】
得られた高分子化合物7の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、32000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0145】
合成例8
スチレン(和光純薬製)1.66g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)3.87g、2−〔N−[1’、3’−ジメチルピラゾリル]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BP」)1.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.03g、2−ヘプタノン(和光純薬製)9.79gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物8が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物8の化学構造は次の通りである。
【0146】
【化16】

【0147】
得られた高分子化合物8の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、57000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0148】
合成例9
スチレン(和光純薬製)3.64g、4−トリフルオロスチレン(アルドリッチ製)3.01g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.40g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)18.79gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物9が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物9の化学構造は次の通りである。
【0149】
【化17】

【0150】
得られた高分子化合物9の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、33000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0151】
合成例10
スチレン(和光純薬製)3.64g、2−トリフルオロスチレン(アルドリッチ製)3.01g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.40g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)18.79gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物10が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物10の化学構造は次の通りである。
【0152】
【化18】

【0153】
得られた高分子化合物10の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、22000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0154】
合成例11
スチレン(和光純薬製)3.64g、3−トリフルオロスチレン(アルドリッチ製)3.01g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.40g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)18.79gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物11が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物11の化学構造は次の通りである。
【0155】
【化19】

【0156】
得られた高分子化合物11の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、27000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0157】
合成例12
4−[(2’−エトキシ)エトキシ]スチレン(東ソー有機化学製)15.00g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)15.16g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.30g、2−ヘプタノン(和光純薬製)70.38gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。
【0158】
イオン交換樹脂(ダイヤイオンRCP160M、三菱化学(株)製)5.00gを50mlビーカーに入れ、20mlの無水エタノールで洗浄、ろ過を3回行い、更に、50mlの2−ヘプタノンで洗浄、ろ過して2−ヘプタノンで溶媒置換されたイオン交換樹脂を得た。
【0159】
2−ヘプタノンで溶媒置換されたイオン交換樹脂、撹拌子を粘稠な2−ヘプタノン溶液が入った125ml耐圧容器に入れ、室温で5時間マグネティックスターラーで撹拌した。撹拌終了後しばらく静置した後、粘調な2−ヘプタノン溶液を濾別し、1000mlのヘキサン中に滴下してポリマーを再沈殿させた。得られたポリマーをろ過、乾燥して、高分子化合物12を白色粉末として得た。得量は25gであった。高分子化合物12の化学構造は次の通りである。
【0160】
【化20】

【0161】
得られた高分子化合物12の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、56000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0162】
合成例13
スチレン(和光純薬製)2.60g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)3.64g、アクリロニトリル(和光純薬製)0.66g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.50g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.09g、2−ヘプタノン(和光純薬製)18.06gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物13が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物13の化学構造は次の通りである。
【0163】
【化21】

【0164】
得られた高分子化合物13の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、38000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0165】
合成例14
ビニルベンゾエート(アルドリッチ製)22.41g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)14.68g、4−アミノスチレン(アルドリッチ製)3.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.40g、2−ヘプタノン(和光純薬製)60.14gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物14が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物14の化学構造は次の通りである。
【0166】
【化22】

【0167】
得られた高分子化合物14の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、27000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0168】
合成例15
ビニルベンゾエート(アルドリッチ製)18.52g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)14.56g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)12.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.45g、2−ヘプタノン(和光純薬製)67.62gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物15が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物15の化学構造は次の通りである。
【0169】
【化23】

【0170】
得られた高分子化合物2の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、26000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0171】
合成例16
スチレン(和光純薬製)2.02g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)4.72g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成(株)製)0.70g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)17.55gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物16が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物16の化学構造は次の通りである。
【0172】
【化24】

【0173】
得られた高分子化合物16の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、37000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0174】
実施例1
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液3.00g、式
【0175】
【化25】

【0176】
で示される1,4−ジヒドロキシベンゼン0.034g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0177】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0178】
次に、高分子化合物3を溶媒であるクロロホルムに溶解して、濃度が0.5重量%である溶液(有機半導体組成物)を作製し、これをメンブランフィルターでろ過して塗布液を調製した。
【0179】
得られた塗布液を、前記ゲート絶縁層上にスピンコート法により塗布し、約60nmの厚さを有する活性層を形成し、次いで、メタルマスクを用いた真空蒸着法により、活性層上に、チャネル長20μm、チャネル幅2mmのソース電極及びドレイン電極(活性層側から、フラーレン、金の順番で積層構造を有する)を形成することにより、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0180】
実施例2
合成例2で得た高分子化合物2の2−ヘプタノン溶液3.00g、式
【0181】
【化26】

【0182】
で示される1、3-ビス(3’−アミノフェノキシ)ベンゼン0.077g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0183】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で150℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0184】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0185】
実施例3
ゲート絶縁層の焼成を、ホットプレート上、200℃で30分行った以外は、実施例2と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0186】
実施例4
ゲート絶縁層の焼成を、ホットプレート上、220℃で30分行った以外は、実施例2と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0187】
実施例5
ゲート絶縁層の焼成を、窒素雰囲気中において、ホットプレート上、220℃で30分行った以外は、実施例2と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0188】
実施例6
1,4−ジヒドロキシベンゼンの代わりにp−フェニレンジアミン0.034gを用いること以外は実施例1と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0189】
実施例7
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液0.79g、2−ヘプタノン2.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0190】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0191】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0192】
実施例8
合成例5で得た高分子化合物5の2−ヘプタノン溶液1.00g、合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液0.83g、2−ヘプタノン2.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0193】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0194】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0195】
実施例9
合成例6で得た高分子化合物6の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液0.61g、2−ヘプタノン2.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0196】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間、150℃で10分間、220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0197】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0198】
実施例10
合成例7で得た高分子化合物7の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液0.60g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0199】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間、150℃で10分間、220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0200】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0201】
実施例11
合成例8で得た高分子化合物8の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例4で得た高分子化合物4の2−ヘプタノン溶液0.70g、2−ヘプタノン2.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0202】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で10分間、150℃で10分間、220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0203】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0204】
実施例12
合成例9で得た高分子化合物9の2−ヘプタノン溶液3.00g、1,4−ジヒドロキシベンゼン0.036g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0205】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0206】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0207】
実施例13
合成例10で得た高分子化合物10の2−ヘプタノン溶液6.00g、1,4−ジヒドロキシベンゼン0.072g、2−ヘプタノン3.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0208】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0209】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0210】
実施例14
合成例11で得た高分子化合物11の2−ヘプタノン溶液6.00g、1,4−ジヒドロキシベンゼン0.072g、2−ヘプタノン3.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0211】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0212】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0213】
実施例15
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液3.00g、BOPH樹脂(ポリ{ジメチル−2−(4’−ヒドロキシフェニル)エチルシリルシルセスキオキサン})の42.4重量%の2−ヘプタノン溶液(東亞合成(株)製)0.425g、2−ヘプタノン1.30gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0214】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0215】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0216】
実施例16
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液3.00g、合成例12で得た高分子化合物12の粉末0.195g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0217】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0218】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0219】
実施例17
合成例13で得た高分子化合物13の2−ヘプタノン溶液3.00g、1,4−ジヒドロキシベンゼン0.037g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0220】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0221】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0222】
実施例18
合成例14で得た高分子化合物14の2−ヘプタノン溶液3.00g、1,4−ジヒドロキシベンゼン0.029g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0223】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0224】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0225】
実施例19
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液3.00g、式
【0226】
【化27】

【0227】
で示される2、2’−ジトリフルオロメチルベンジジン0.100g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0228】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0229】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0230】
実施例20
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液3.00g、式
【0231】
【化28】

【0232】
で示される1、3-ビス(3’−アミノフェノキシ)ベンゼン0.091g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0233】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で200℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0234】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0235】
実施例21
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液3.00g、式
【0236】
【化29】

【0237】
で示されるジ(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)エーテル0.091g、2−ヘプタノン1.50gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0238】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で150℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0239】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0240】
実施例22
合成例2で得た高分子化合物2の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例14で得た高分子化合物14の2−ヘプタノン溶液1.86g、2−ヘプタノン1.30gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0241】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0242】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0243】
実施例23
合成例15で得た高分子化合物15の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例14で得た高分子化合物14の2−ヘプタノン溶液3.53g、2−ヘプタノン1.80gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0244】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0245】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0246】
実施例24
合成例15で得た高分子化合物15の2−ヘプタノン溶液2.00g、合成例16で得た高分子化合物16の2−ヘプタノン溶液4.53gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0247】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0248】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0249】
実施例25
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液2.00g、式
【0250】
【化30】

【0251】
で示される1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.069g、2−ヘプタノン2.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0252】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0253】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0254】
実施例26
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液2.00g、式
【0255】
【化31】

【0256】
で示される1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン0.085g、2−ヘプタノン2.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0257】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0258】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0259】
実施例27
合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液2.00g、式
【0260】
【化32】

【0261】
で示される3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン0.11g、2−ヘプタノン2.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液を調製した。
【0262】
得られた塗布溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で220℃で30分間焼成し、ゲート絶縁層を得た。
【0263】
次に、実施例1と同様にして、電界効果型有機薄膜トランジスタを作製した。
【0264】
<接触角測定>
このようにして作製したゲート絶縁層について、純水に対する接触角をコンタクトアングルメーター CA−A(KYOWA KAIMENKAGAKU社製)を用いて測定した。純水は、脱イオン水を用いた。
【0265】
<トランジスタ特性>
こうして作製した電界効果型有機薄膜トランジスタについて、ゲート電圧Vgを0〜−60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0〜−60Vに変化させた条件で、そのトランジスタ特性を真空プロ−バ(BCT22MDC−5−HT−SCU;Nagase Electronic Equipments Service Co., LTD製)を用いて測定した結果を表1に示す。
【0266】
有機薄膜トランジスタのヒステリシスは、ソース・ドレイン間電圧Vsdが−40Vで、ゲート電圧Vgを0V→−60Vに変化させた際の閾値電圧Vth1とゲート電圧Vgを−60V→0Vに変化させた際の閾値電圧Vth2との電圧差異で表した。
【0267】
有機薄膜トランジスタのON/OFF比は、ゲート電圧を40Vとした際の電流値を有機薄膜トランジスタの立ち上がりの電流値で割ることにより求めた。
【0268】
比較例1
ポリビニルフェノール−コ−ポリメチルメタクリレート(アルドリッチ製、Mn=6700)1.00g、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメトキシメチルメラミン(住友化学製)0.163g、熱酸発生剤(みどり化学(株)製、商品名:TAZ-108)0.113g、2−ヘプタノン7.00gを10mlのサンプル瓶に入れ、攪拌溶解して均一な塗布液を調製した。
【0269】
ゲート絶縁層の形成にこの塗布液を用いること以外は実施例1と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製し、トランジスタ特性を測定し、評価した。
【0270】
比較例2
ポリビニルフェノール(アルドリッチ製、Mn=8000)を用いた以外は比較例1と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタを作製し、トランジスタ特性を測定し、評価した。
【0271】
【表1】

【0272】
実施例の結果に示されるように、本発明によれば、Vth1の絶対値並びにヒステリシスの小さい有機薄膜トランジスタを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0273】
1…基板、
2…ゲート電極、
3…ゲート絶縁層、
4…有機半導体層、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
7…オーバーコート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)で表される繰り返し単位、一般式(1’)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を含有し、かつ、分子内に第1の官能基を2つ以上含有する高分子化合物であって、該第1の官能基が、電磁波もしくは熱の作用により、活性水素と反応する第2の官能基を生成する官能基である高分子化合物と、(B)分子内に活性水素を2つ以上含有する低分子化合物及び分子内に活性水素を2つ以上含有する高分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有する樹脂組成物。
【化1】

(式中、R、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。該一価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Raaは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。aは、0〜20の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Raaが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【化2】

(式中、R’、R’及びR’は、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R’は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の一価の有機基を表す。R’aaは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。a’は、0〜20の整数を表し、b’は、1〜5の整数を表す。R’aaが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。R’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【化3】

(式中、R、R、Rは、同一又は相異なり、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。該一価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rfは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の一価の有機基を表し、Rbbは、炭素数1〜20の二価の有機基を表す。該二価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。cは、0〜20の整数を表す。Rbbが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【請求項2】
有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
第1の官能基が、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用樹脂組成物。
【請求項4】
ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、一般式(3)で表される基である請求項3に記載の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用樹脂組成物。
【化4】

(式中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R7、R8は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
【請求項5】
ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、一般式(4)で表される基である請求項3に記載の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層用樹脂組成物。
【化5】

(式中、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R9、R10、R11は、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成した有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層。
【請求項7】
純水に対する接触角が91度以上である請求項6に記載の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層。
【請求項8】
請求項6又は7記載のゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
ボトムゲートトップコンタクト型又はボトムゲートボトムコンタクト型である請求項8記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の有機薄膜トランジスタを含むディスプレイ用部材。
【請求項11】
請求項10に記載のディスプレイ用部材を含むディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−38062(P2011−38062A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194111(P2009−194111)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】