説明

樹脂組成物、並びに、プリプレグ、金属張積層板、封止材、感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板

【課題】十分な難燃性を確保でき、十分な伸び率を有する硬化物が得られ、ブリードアウトの問題が十分に低減された樹脂組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表わされる単量体単位を有するリン含有重合体10〜80質量%と、熱硬化剤であるビスマレイミド化合物またはブロックイソシアネート化合物と、を含む樹脂組成物。


[式中、Xは単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、フェニレン基などを示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン含有重合体及びこれを用いた樹脂組成物、並びに、プリプレグ、金属張積層板、封止材、感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器及び電子部品には、世界的な環境問題、人体に対する安全性への関心の高まりと共に、非公害性、低有毒性、安全性という点で要求が高まっている。その中でも、電子機器及び電子部品を焼却した場合の有害ガスの低減が要望されつつある。特に、これらで使用されてきたハロゲン系難燃剤は、燃焼した場合に猛毒のダイオキシン等を発生する可能性があると言われている。これを受けて、非ハロゲン系難燃剤の開発が強く要求されている。
【0003】
これら電子機器及び電子部品に使用されるプリント配線板の分野では、回路形成用基板である銅張積層板、絶縁樹脂やソルダーレジスト等にハロゲン系難燃剤が使用されてきた。従来、難燃剤として使用されているハロゲン化合物は大部分が臭素系であり、テトラブロモビスフェノールAを中心とする臭素化エポキシ樹脂などが広く使用されている。臭素化エポキシ樹脂としては、例えば、酸ペンダント型臭素化エポキシアクリレートが知られているが(例えば、特許文献1参照)、これをソルダーレジストの難燃剤として用いた例では、高温において長期間使用した場合、ハロゲン化物が解離して配線腐食を引き起こす恐れがある。こうしたハロゲン化物の解離等による不具合の発生を回避する観点からも、ハロゲン化合物を含まないプリント配線板用材料の開発が急務となっている。
【0004】
そこで、樹脂組成物に難燃性を付与するための非ハロゲン系難燃剤として、窒素系化合物、リン系化合物、並びに、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の無機系化合物などの使用が提案されている。これらの中でも、特にリン系難燃剤は広く研究されており、芳香族ホスフェート類の使用が多く提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−181050号公報
【特許文献2】特開昭48−90348号公報
【特許文献3】特開昭59−45351号公報
【特許文献4】特開平5−70671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような非ハロゲン系難燃剤には、溶剤に不溶なフィラータイプの難燃剤と、溶剤に可溶で他の樹脂成分と混合できる難燃剤とがある。しかしながら、前者の溶剤に不溶な難燃剤では、絶縁材としてBステージのフィルム状態とした場合に、可とう性が低下して取扱いに支障が生じたり、硬化物とした場合には伸び率が低下してクラックが生じやすくなり、これを用いた電子部品の信頼性が低下するといった問題がある。また、後者の溶剤に可溶な難燃剤では、低分子量の芳香族ホスフェート類が代表的な例であるが、樹脂組成物中に添加した場合、分子量が小さく揮発性が高いため、加熱時にブリードアウトしやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、十分な伸び率を有する硬化物を得ることが可能であり、且つ、ブリードアウトの問題が十分に低減されたリン含有重合体及びこれを用いた樹脂組成物、並びに、その樹脂組成物を用いたプリプレグ、金属張積層板、封止材、感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、下記一般式(1)で表わされる単量体単位を有することを特徴とするリン含有重合体を提供する。
【0009】
【化1】



[式(1)中、Xは単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、フェニレン基、下記一般式(2)で表される2価の基、下記一般式(3)で表される2価の基、下記一般式(4)で表されるエステル結合を含む基、又は、下記一般式(5)で表されるエステル結合を含む基を示し、R及びRは各々独立に、水酸基、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、下記一般式(6)で表されるアリール基、又は、下記一般式(7)で表されるアリールオキシ基を示し、R及びRは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
【0010】
【化2】



[式(2)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【0011】
【化3】



[式(3)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【0012】
【化4】



[式(4)中、aは1〜10の整数を示す。]
【0013】
【化5】



[式(5)中、bは1〜10の整数を示す。]
【0014】
【化6】



[式(6)中、R、R、R、R及びRは各々独立に、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、又は、水酸基を示す。]
【0015】
【化7】



[式(7)中、R10、R11、R12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、又は、水酸基を示す。]
【0016】
本発明のリン含有重合体によれば、上記構成を有することによって、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、ブリードアウトの問題が十分に低減され、十分な伸び率を有する硬化物を得ることができる。
【0017】
ここで、本発明のリン含有重合体により上述の効果が得られる理由について、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のリン含有重合体は、リンを含む構造の側鎖を備える上記一般式(1)で表される単量体単位を有していることにより、十分な難燃性を示すことができるものと考えられる。また、上記リン含有重合体は、上記一般式(1)で表される単量体単位を有していることにより、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶剤に対して高い溶解性を有しているものと考えられる。そして、上記溶剤に対して溶解性が高いことから、他の樹脂成分との混合が容易となり、フィラー型の難燃剤で問題となったBステージのフィルム状態での取扱い性および硬化物の伸び率の低下を十分に抑制することができるものと考えられる。また、上記リン含有重合体は、分子量Mwが十分に高いため(例えば、1,000以上)、モノマーや低分子量の芳香族ホスフェート類に多く見られる揮発性の高いことが原因とされる加熱時のブリードアウトの発生が十分に抑制されるものと考えられる。
【0018】
本発明のリン含有重合体は、重量平均分子量Mwが1,000〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量が1,000未満であると、重量平均分子量が上記範囲内である場合と比較して、上記ブリード抑制の効果が低下する傾向にあり、重量平均分子量が1,000,000を超えると、重量平均分子量が上記範囲内である場合と比較して、後述する光硬化後での未露光部の樹脂の除去(現像)が難しくなる傾向にある。なお、分子量の大きなものはフィルム形成能があり、機能性フィルムを作製しやすい。
【0019】
本発明はまた、上記本発明のリン含有重合体10〜80質量%と、熱硬化剤であるビスマレイミド化合物またはブロックイソシアネート化合物と、を含むことを特徴とする樹脂組成物を提供する。本発明のリン含有重合体は、これを含む樹脂組成物とすることによって、用途に応じた特性を持つ材料とすることができる。そして、本発明の樹脂組成物によれば、上記構成を有するリン含有重合体を含むことによって、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、ブリードアウトの問題が十分に低減され、十分な伸び率を有する硬化物を得ることができる。
【0020】
本発明の樹脂組成物は、光及び/又は熱により硬化することが好ましい。以下、樹脂組成物は、「樹脂組成物」あるいは「硬化性樹脂組成物」と表す。
【0021】
本発明の樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光重合開始剤と、を更に含むことが好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物であっても良く、光を部分的に照射して所望の部分のみ硬化させることができる機能性材料として使用することができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物は、永久レジストの形成に使用されることが好ましい。本発明の樹脂組成物を感光性の永久レジストに用いた場合、上記一般式(1)で表される単量体単位を有するリン含有重合体が溶剤に可溶であることから、部分的な光照射による露光によって所望の部分のみを硬化させ、その後溶剤を含んだ現像液で未露光部分の樹脂を除去することができる。さらに、溶剤に不溶なフィラータイプの難燃剤の場合は、露光部分と未露光部分の境界部分で難燃剤に起因した光の散乱による光の回り込みが生じて、解像性が低下するが、本発明によれば、他の樹脂と相溶性が良好であるため、高い解像度が期待できる。
【0023】
本発明はまた、上記本発明の樹脂組成物を基材に含浸し、上記樹脂組成物をBステージ化してなることを特徴とするプリプレグを提供する。これによって、Bステージ化の状態で、樹脂粉が発生しにくく取扱い性の良好なプリプレグを提供できる。さらに、プリプレグは、高い伸び率を得ることができる。また、プリプレグに熱を加えてプレスして金属張積層板を作製する場合に、ブリードの発生を十分に抑制することができる。
【0024】
本発明のプリプレグにおいて、上記基材はガラス織布であることが好ましい。これにより、プリプレグをより強靭化することができるとともに、かかるプリプレグに熱を加えてプレスすることで金属張積層板を作製する場合に、耐熱性や寸法安定性をより良好なものとすることができる。
【0025】
本発明はまた、1以上の上記本発明のプリプレグからなる基板の少なくとも一方の面上に金属箔を配置し、加熱加圧してなることを特徴とする金属張積層板を提供する。かかる金属張積層板は、ブリードアウトの問題が十分に低減され、難燃性が十分に付与されたものとなる。また、樹脂粉による不良のない金属張積層板を得ることができる。
【0026】
本発明はまた、上記本発明の樹脂組成物からなることを特徴とする封止材を提供する。かかる封止材によれば、フィラー型の難燃剤を多量に含んだ場合に問題となる、封止材中のクラックの発生を十分に抑制することができるとともに、十分な難燃性、伸び率を得ることができる。
【0027】
本発明はまた、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備えることを特徴とする感光性フィルムを提供する。かかる感光性フィルムによれば、上記本発明の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えることにより、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、十分な伸び率を有するレジスト(永久レジスト)を形成することができる。
【0028】
本発明の感光性フィルムは、上記感光性樹脂組成物層の上記支持体と反対側の面上に保護フィルムを更に備えることが好ましい。
【0029】
本発明はまた、絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層と、を備える積層基板の上記絶縁基板上に、上記導体層を覆うように上記本発明の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法を提供する。ここで、上記本発明の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層は、上記本発明の感光性フィルムを用いて、該感光性フィルムにおける感光性樹脂組成物層を絶縁基板上に積層したものであってもよい。こうした本発明のレジストパターンの形成方法によれば、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、十分な伸び率を有するレジストパターンを形成することができる。
【0030】
本発明はまた、上記本発明の金属張積層板に回路を形成してなることを特徴とするプリント配線板を提供する。
【0031】
本発明はまた、内層回路を形成した内層回路板と、該内層回路板上に形成された上記本発明の樹脂組成物からなる樹脂層と、該樹脂層を貫通する貫通孔と、該貫通孔の内壁に形成された金属めっき層と、上記樹脂層の上記内層回路板と反対側の面上に形成されており、上記金属めっき層を介して上記内層回路と電気的に接続した回路導体と、を有することを特徴とするプリント配線板を提供する。
【0032】
本発明は更に、絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層と、上記導体層を覆うように上記絶縁基板上に形成されたレジスト層と、を備えるプリント配線板であって、上記レジスト層が、上記本発明の樹脂組成物の硬化物からなり、上記導体層の一部が露出するように開口部を有することを特徴とするプリント配線板を提供する。
【0033】
これらのプリント配線板によれば、レジスト層等のプリント配線板を構成する硬化物が、本発明の樹脂組成物を硬化させてなるものであるため、当該硬化物がハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、十分な伸び率を有するプリント配線板が実現可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、低分子量の芳香族ホスフェート類に多く見られる揮発性の高いことが原因とされる加熱時のブリードアウトの問題を低減することができ、十分な伸び率を有する硬化物を得ることが可能なリン含有重合体及びこれを用いた樹脂組成物、並びに、その樹脂組成物を用いたプリプレグ、金属張積層板、封止材、感光性フィルム、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の感光性フィルムの一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明のプリント配線板の一実施形態を示す模式断面図である。
【図3】(a)〜(d)はそれぞれ、図2に示したプリント配線板2の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0037】
本発明のリン含有重合体は、上記一般式(1)で表される構造(単量体単位)を有することを特徴とするものである。
【0038】
すなわち、本発明のリン含有重合体は、リンを含むリン化合物構造を側鎖に有していることが特徴であり、このようなリン含有重合体は、例えば、側鎖にリン化合物構造を有するモノマーの単独重合によって製造することができる。側鎖にリン化合物構造を有するモノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスフェート(新日本理化株式会社製、商品名:Z−100)、ジフェニル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート(大八化学工業株式会社製、商品名:MR−260)、2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート(大八化学工業株式会社製、商品名:MR−200)、ビニルホスホナート化合物、ビニルホスフィナート化合物、ビニルホスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
【0039】
上記一般式(1)において、Xが単結合であるビニルホスホナート化合物、ビニルホスフィナート化合物、ビニルホスフィンオキシド化合物としては、特許第2775426号公報、特許第3041396号公報、特許第3390399号公報、特許第3662501号公報、及び、特開2004−026655号公報等に記載されているように、Pd、Rh、Niのような金属触媒を用い、水素ホスホン酸エステル、水素ホスフィン酸エステル及びホスフィンオキシドのアセチレン類への付加反応により合成することができる。これらの例としては、例えば、ビニルジメチルホスホナート、ビニルジエチルホスホナート、ビニルジフェニルホスホナート、ビニルメチルホスフィン酸メチル、ビニルエチルホスフィン酸エチル、ビニルフェニルホスフィン酸フェニル、ビニルジメチルホスフィンオキシド、ビニルジエチルホスフィンオキシド、ビニルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
また、本発明におけるリン含有重合体は、側鎖にリン化合物構造を有するモノマーと側鎖にリン化合物構造を有するモノマー、あるいは、側鎖にリン化合物構造を有するモノマーと側鎖にリンを有しないモノマーのいずれにおいても共重合することが可能である。このようなモノマーとしては、側鎖にリン化合物構造を有するモノマーと共重合する化合物であれば特に制限はない。また側鎖にリンを持たないモノマーとしては、エステル鎖に炭素数1〜20のアルキル基、脂環式基、グリシジル基、水酸基を含む炭素数1〜6のアルキル基、含窒素環状化合物等を有するアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、メタクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アミド、アクリル酸イソデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸N−ビニルピロリドン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸エチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸N−ビニルピロリドン等を例示することができる。また、側鎖にリンを持たないモノマーとして、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル等の非アクリル酸系のモノマーを用いることもできる。
【0041】
一般に、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルは、ラジカルを発生させることで二重結合を付加重合させることができる。本発明においても、エチレン鎖の側鎖にリン化合物構造をもつモノマーの重合及び共重合も一般的な手法で可能である。
【0042】
ラジカルを発生させるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過安息香酸tert−ブチル(PBOC)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウムなどの過酸化塩、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペルピバレート、過酸化水素/第一鉄塩、過硫酸塩/酸性亜硫酸ナトリウム、クメンヒドロペルオキシド/第一鉄塩、過酸化ベンゾイル/ジメチルアニリン等を例示できる。また、これらを組み合わせてもよい。
【0043】
ラジカル重合開始剤の量は、使用する開始剤の種類によって異なるが、開始剤の量が少ないと重合率が低下し、開始剤の量が多いと分子量が小さくなる傾向があるため、使用するモノマーの全量100質量部に対して、0.0001〜5質量部が好ましく、0.001〜3質量部がより好ましい。
【0044】
重合または共重合は、エチレン鎖の側鎖にリン化合物構造をもつモノマーの重合を有機溶媒に均一に溶解させて行うこともできるし、また水溶液に乳化や懸濁させて行うこともできる。均一に溶解させる有機溶媒としては、原料のエチレン鎖の側鎖にリン化合物構造をもつモノマーと、生成するポリマーと、開始剤とが溶解すれば特に制限はないが、トルエン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド等を例示できる。
【0045】
重合または共重合の反応温度は、原料や溶媒の沸点、開始剤のラジカル発生温度と半減期によって最適温度が変わるが、製造設備や効率の観点から−15℃〜150℃が好ましく、室温(25℃)〜100℃で行うのが特に好ましい。製造したポリマーは特に必要がなければ、そのまま用いることができるが、ろ過による不純物の除去、または貧溶媒による沈殿等によって精製することもできる。さらに、懸濁重合、乳化重合においては分散剤、乳化剤、α−スチレンダイマーなどの連鎖移動剤を用いることで、より効率的に重合させることができる。
【0046】
このようにして、上記一般式(1)で表される単量体単位を有する本発明のリン含有重合体を得ることができる。ここで、上記一般式(1)中、Xは単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、フェニレン基、上記一般式(2)で表される2価の基、上記一般式(3)で表される2価の基、上記一般式(4)で表されるエステル結合を含む基、又は、上記一般式(5)で表されるエステル結合を含む基であり、単結合、上記一般式(4)で表される2価の基、又は、上記一般式(5)で表される2価の基であることが好ましく、上記一般式(5)で表される2価の基であることがより好ましい。また、R及びRは各々独立に、水酸基、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、上記一般式(6)で表されるアリール基、又は、上記一般式(7)で表されるアリールオキシ基であり、上記一般式(6)で表されるアリール基、又は、上記一般式(7)で表されるアリールオキシ基であることが好ましい。
【0047】
また、上記一般式(4)及び(5)中、a及びbは各々独立に1〜10の整数であり、1〜6の整数であることが好ましい。また、上記一般式(6)及び(7)中、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、又は、水酸基であり、水素原子であることが好ましい。
【0048】
また、上記一般式(1)におけるXが炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基)である場合、かかる脂肪族炭化水素基として具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。上記一般式(1)におけるXが上記一般式(2)で表される2価の基である場合、かかる基として具体的には、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基が挙げられる。上記一般式(1)におけるXが上記一般式(3)で表される2価の基である場合、かかる基として具体的には、メチレンアミノ基(−CH−NH−)、エチレンアミノ基(−C−NH−)、プロピレンアミノ基(−C−NH−、−CH(CH)CH−NH−、−CHCH(CH)−NH−)が挙げられる。
【0049】
また、上記一般式(4)で表されるエステル結合を含む基のメチレン鎖としては、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。また、上記一般式(5)で表されるエステル結合を含む基のメチレン鎖としては、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
【0050】
また、本発明のリン含有重合体の分子量は、耐熱性を考慮すると、重量平均分子量(GPC法によるスチレン換算値)で、1,000〜1,000,000であることが好ましく、2,000〜500,000であることがより好ましく、3,000〜200,000であることが更に好ましく、10,000〜150,000であることが特に好ましく、20,000〜100,000であることが最も好ましい。分子量が1,000よりも小さいと、樹脂組成中でブリードアウトやBステージのタック(べとつき)の問題が生じる傾向にある。また、分子量が1,000,000より大きくなると現像後の樹脂残りが多くなる傾向にある。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、上記本発明のリン含有重合体を含むものであり、光及び/又は熱により硬化するものであることが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物において、上記本発明のリン含有重合体の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。この含有量が10質量%未満であると、得られる硬化物の難燃性が低下する傾向にあり、80質量%を超えると、樹脂組成物とした場合の熱及び/又は光硬化性が低下して、解像性や硬化後の物性が不十分となる傾向がある。
【0052】
本発明の硬化性樹脂組成物において、熱重合開始剤としては公知のものを利用することができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、ターシャリーブチルパーオキサイド等のアルキルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等を用いることができる。
【0053】
硬化性樹脂組成物における熱重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として0.1〜10質量%とすることが好ましく、0.5〜5.0質量%とすることが特に好ましい。
【0054】
本発明の硬化性樹脂組成物において、光重合開始剤は、硬化の際に使用する露光機の光波長にあわせたものであればよく、公知のものを利用することができる。かかる光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−ジメトキシ−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、メチルベンゾイルフォーメート、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−ジ−9−アクリジニルエタン、1,3−ジ−9−アクリジニルプロパン、1,4−ジ−9−アクリジニルブタン、1,7−ジ−9−アクリジニルヘプタン、1,8−ジ−9−アクリジニルオクタン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体又はその誘導体等が挙げられる。
【0055】
硬化性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることが特に好ましい。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の効果が低下しない範囲で樹脂を添加してもよい。この樹脂としては特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂を単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。このうち、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を用いることで、硬化性樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
【0057】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。なお、アルカリ現像液を用いる場合には、カルボキシル基を含むような樹脂を用いることで樹脂の溶解性を向上させることができる。
【0058】
熱硬化性樹脂としては、特に制限は無く、公知の熱硬化性樹脂を利用することができる。具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂等を用いることができ、それらの硬化剤又は硬化促進剤が適宜配合される。例えば、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としては、特に制限されないが、アミン類、フェノール類、酸無水物等が用いられる。ここで、アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、メタキシリレンジアミン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、メチレンジアニリン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。フェノール類としては、ビフェノール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック及びこれらのアルキル基置換体等が挙げられる。酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸(HPA)、無水テトラヒドロフタル酸(THPA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、無水ドデニルコハク酸(DDSA)、無水フタル酸(PA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHPA)、無水マレイン酸等が挙げられる。これらの硬化剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
【0059】
また、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合の硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、第2級アミノ基をアクリロニトリル、イソシアネート、メラミン、アクリレート等でマスク化したイミダゾール化合物等を用いることができ、その添加量はエポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜6質量部とすることが好ましい。この添加量が0.1質量部未満では硬化を促進する効果が小さく、6質量部を超えると硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向がある。ここで使用されるイミダゾール化合物としては、イミダゾール、2−メチル−イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。
【0060】
また、硬化性樹脂組成物に用いられる樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂や上述の光重合開始剤によって架橋可能な官能基を有した光硬化性樹脂を用いることもできる。
【0061】
光硬化性樹脂としては、光重合開始剤によって架橋可能な官能基を有したものであれば特に制限されない。光重合開始剤によって架橋可能な官能基を有した樹脂としては、分子内に重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。かかる化合物としては特に制限されないが、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましく用いられる。また、光硬化性樹脂は、脂肪族、芳香族、脂環式、複素環式等のいずれの構造を有するものであってもよく、分子内にエステル結合、ウレタン結合、アミド結合等を有していてもよい。
【0062】
光硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノール類のジグリシジルエーテル化合物にアクリル酸及び/又はメタクリル酸が付加したエポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸及び/又はメタクリル酸が付加した(メタ)アクリル変性ノボラック型エポキシ樹脂、カルボキシル基を有するアクリル樹脂にグリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレートを付加した樹脂等が挙げられる。
【0063】
また、本発明の硬化性樹脂組成物をフォトリソグラフィ用途に使用する場合、エポキシ樹脂にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を付加させた後、解像性や耐湿絶縁性などの物性値を低下させない範囲で、酸無水物で変性を行っても良い。酸無水物としては、例えば、カルボン酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸無水物、ナフタル酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルフタル酸無水物、ブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、アルケニル酸無水物、トリカルバニル酸無水物などが挙げられる。
【0064】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含んでいても良い。エチレン性不飽和基を有する重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0065】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。
【0067】
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、「EO」はエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキシ基のブロック構造を有する。また、「PO」はプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキシ基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名「UA−11」等が商業的に入手可能である。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業(株)製、製品名「UA−13」等が商業的に入手可能である。
【0068】
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、カチオン性光開始剤によって架橋可能な官能基を有した共重合体及び/又は単量体を含んでいてもよい。かかる共重合体及び/又は単量体としては、カチオン重合を行うものであれば特に制限は無く、例えば分子内に重合可能なビニルエーテル基、プロペニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基を有する化合物などが挙げられる。
【0070】
カチオン性光開始剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、トリフェニルスルフォンヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルフォンヘキサフルオロホスフェート、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、p−クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(1−6−n−クメン)(n−ジクロペンタジニエル)鉄6フッ化リン酸等が挙げられる。これらのラジカル性光開始剤又はカチオン性光開始剤の含有量は、それぞれ硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5.0質量%であることが特に好ましい。
【0071】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明により得られる効果を阻害しない範囲で、熱硬化剤を添加しても良い。このような熱硬化剤としては、特に制限されないが、例えば、加熱によりそれ自体が架橋する熱硬化剤、すなわち、熱を加えることにより、高分子網目を形成する硬化剤や、硬化性樹脂組成物に用いられる樹脂としてカルボキシル基を有する樹脂を用いた場合に、加熱により上記樹脂のカルボキシル基と反応し3次元構造を形成する硬化剤等が挙げられる。
【0072】
加熱によりそれ自体が架橋する熱硬化剤としては、ビスマレイミド化合物が挙げられる。ビスマレイミド化合物としては、m−ジ−N−マレイミジルベンゼン、ビス(4−N−マレイミジルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−N−マレイミジルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−N−マレイミジル2,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(4−N−マレイミジルフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−N−マレイミジル−2−メチル−5−エチルフェニル)プロパン等の各種ビスマレイミド化合物がそのままもしくは混合物として用いられる。これらのビスマレイミド化合物は単体としても各種樹脂との変性物でもどちらも用いることが可能である。
【0073】
また、硬化性樹脂組成物に用いられる樹脂としてカルボキシル基を有する樹脂を用いた場合に、加熱により上記樹脂のカルボキシル基と反応して3次元構造を形成する硬化剤としては、ブロックイソシアネート化合物が挙げられる。ブロックイソシアネート化合物としては、アルコール化合物、フェノール化合物、ε−カプロラクタム、オキシム化合物、活性メチレン化合物等のブロック剤によりブロック化されたポリイソシアネート化合物が挙げられる。ブロック化されるポリイソシアネート化合物としては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンダイマー等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートが挙げられ、耐熱性の観点からは芳香族ポリイソシアネートが、着色防止の観点からは脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが、好ましい。
【0074】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、解像性、難燃性及び硬化物の伸び率を低下させない範囲で、フィラーを添加しても良い。フィラーとしては、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水和アルミナ、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウム等の無機微粒子、粉末状エポキシ樹脂、粉末状ポリイミド粒子等の有機微粒子、粉末状ポリテトラフルオロエチレン粒子等が挙げられる。これらのフィラーには予めカップリング処理を施してもよい。これらのフィラーの分散は、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等の既知の混練方法によって達成される。これらのフィラーの含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
【0075】
本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物層を形成させる場合に溶剤に希釈して用いることができる。この溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物等を使用することができる。これらの溶剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。また、硬化性樹脂組成物を効率よく溶解させるために、当該組成物の溶解性にあわせてエチレングリコールモノエチルエーテル、エチルエトキシプロピオネート等を溶剤に用いてもよく、これらを他の溶剤に加えてもよい。
【0076】
硬化性樹脂組成物における溶剤の配合量は、硬化性樹脂組成物中の溶剤以外の成分(固形分)100質量部に対して10〜200質量部であることが好ましく、30〜100質量部であることが特に好ましい。溶剤の配合量が10質量部未満の場合は、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなる傾向があり、均一に混合することが困難となる傾向がある。他方、溶剤の配合量が200質量部を超える場合は、粘度の低下により硬化性樹脂組成物層を形成した際の層の厚さを制御することが困難となる傾向があるとともに、溶剤の使用量が多いことからコスト高となる傾向がある。
【0077】
硬化性樹脂組成物には、重合安定剤、レベリング剤、顔料、染料、密着性向上剤を更に添加しても良い。これらの選択は、通常の硬化性樹脂組成物と同様の考慮のもとで行われる。これらの添加量は、本発明の硬化性樹脂組成物の特性が損なわれない程度で、各々、硬化性樹脂組成中の固形分全量を基準として0.01〜10質量%の含有量となるように添加することが好ましい。
【0078】
また、硬化性樹脂組成物は、硬化後のガラス転移温度が、90℃以上であることが好ましく、100〜180℃であることがより好ましく、100〜150℃であることが更に好ましい。
【0079】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成される樹脂組成物層の厚さについては特に制限はなく、10〜150μmの範囲で適宜選択される。硬化性樹脂組成物は、ディップコート法、ロールコート法、フローコート法、スクリーン印刷法、スプレー法、静電スプレー法等の常法により、基板又はプリント配線板上に直接塗工し、基板又は配線板上に上記硬化性樹脂組成物からなる樹脂組成物層を容易に形成することも可能であるが、後述するように永久レジスト用感光性フィルムとして用いてもよい。
【0080】
本発明の硬化性樹脂組成物は、プリプレグ、金属張積層板、封止材、感光性フィルム、永久レジスト等のレジストパターンの形成、及び、プリント配線板等に使用することができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性及び/又は光硬化性を有するものであることが好ましく、少なくとも光硬化性を有することにより、上記の感光性フィルムやレジストパターンの形成、及び、プリント配線板に好適に使用することができる。
【0081】
ここで、上記プリプレグは、例えば、ガラス織布等の基材に、少なくとも熱硬化性を有する上記本発明の硬化性樹脂組成物を含浸させ、硬化性樹脂組成物を加熱、乾燥してBステージ化してなるものである。
【0082】
また、上記金属張積層板は、1以上の上記本発明のプリプレグからなる積層体の少なくとも一方の面上に金属箔を配置し、加熱加圧してなるものである。
【0083】
更に、上記封止材は、上記本発明の硬化性樹脂組成物からなるものである。
【0084】
次に、本発明の感光性フィルムについて説明する。
【0085】
図1は本発明の感光性フィルムの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性フィルム1は永久レジスト用感光性フィルムであり、支持体(キャリアフィルム)11上に、本発明の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層12を備え、更に、感光性樹脂組成物層12のキャリアフィルム11と反対側の面上にカバーフィルム(保護フィルム)13を備えている。
【0086】
支持体11としては、感光性樹脂組成物層12、更にはカバーフィルム13を支持することができれば特に制限されないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のフィルムが好適に用いられる。支持体11は単層構造であってもよく、複数の組成からなるフィルムを積層した多層構造を有していても良い。更に、支持体11の感光性樹脂組成物層12と反対側の面にはエンボス加工、コロナ処理等の処理が施されていてもよい。
【0087】
支持体11の厚みは特に制限されないが、好ましくは5〜150μm、より好ましくは8〜20μm、更に好ましくは10〜16μmである。この厚みが2μm未満では、感光性フィルム1から支持体11を剥離除去する際に支持体11が破れる傾向があり、100μmを超えると感光性フィルム1全体としての柔軟性が低下し、ラミネートすべき対象の表面の凹凸への追従性が低下する傾向がある。
【0088】
支持体11上に感光性樹脂組成物層12を形成する方法としては、本発明の硬化性樹脂組成物を含む塗液を、支持体11上に、コンマコータ、ブレードコータ、リップコータ、ロッドコータ、スクイズコータ、リバースコータ、トランスファロールコータ等によって均一な厚さに塗布し、加熱・乾燥して溶剤を揮発させる方法が挙げられる。形成された感光性樹脂組成物層の厚さについては特に制限はなく、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0089】
カバーフィルム13は、保護フィルムとして使用され、ラミネートする前に剥離されるので、可撓性を有していて感光性樹脂組成物層12に剥離可能に接着でき、乾燥炉の温度で損傷を受けないものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、表面処理した紙等が挙げられる。カバーフィルム13は、これを感光性樹脂組成物層12から容易に剥離可能とするために、感光性樹脂組成物層12と支持体11との接着力よりも樹脂組成物層12とカバーフィルム13との接着力の方が小さくなるものであることが好ましい。
【0090】
カバーフィルム13の厚みは、特に制限されないが、ロール状に巻いた場合のサイズの点を考慮すると、10〜30μmとすることが好ましく、10〜25μmとすることがより好ましく、10〜20μmとすることが特に好ましい。
【0091】
かかる感光性フィルム1によれば、感光性樹脂組成物層12を基板又はプリント配線板に重ね、ホットロールラミネーター等を用いて張り合わせることで、基板又は配線板上に上記永久レジスト用フィルムの感光性樹脂組成物層12を容易に形成することができる。
【0092】
また、形成された感光性樹脂組成物層12の露光及び現像は、常法により行うことができる。例えば、光源として超高圧水銀灯や高圧水銀灯等を用い、樹脂組成物層12上に直接、又はポリエチレンテレフタレートフィルム等の透明フィルムを介し、ネガマスクを通して像的に露光することができる。露光後、透明フィルムが残っている場合には、これを剥離した後現像することが好ましい。
【0093】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、印刷法、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等を用いたレーザ穴あけ法等で像的樹脂膜を形成することも可能である。
【0094】
上述した硬化性樹脂組成物及び感光性フィルムは、ハロゲン化物を用いずに加熱時のブリードの問題がなく、難燃性を確保することができ、さらに、解像性、硬化物の伸び率に優れる永久レジストを形成することができる。
【0095】
なお、本発明の感光性フィルムは、上述のものに限定されず、例えば、カバーフィルム13を有しないものであってもよい。
【0096】
次に、本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。
【0097】
本発明のレジストパターンの形成方法は、絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層と、を備える積層基板の絶縁基板上に、導体層を覆うように、少なくとも感光性を有する上記本発明の硬化性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、感光性樹脂組成物層の露光部以外の部分を除去する方法である。
【0098】
感光性樹脂組成物層の積層方法としては、上記本発明の感光性樹脂組成物を絶縁基板上に直接塗工する方法、及び、上述した本発明の感光性フィルム1における感光性樹脂組成物層12を、加熱しながら絶縁基板に圧着することにより積層させる方法等が例示できる。従って、基板上に積層された感光性樹脂組成物層は、硬化性樹脂組成物が溶剤等の揮発成分を含む場合は、溶剤の大部分が除去された後の成分が主成分となる。
【0099】
このようにして積層が完了した後、感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成させる(露光工程)。露光部を形成させる方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法が挙げられる。この際、マスクは感光性樹脂組成物層上に直接接触させてもよく、透明なフィルムを介して接触させても良い。
【0100】
活性光線の光源としては、公知の光源が用いられ、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
【0101】
露光後、現像液を用い、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により露光部分以外の部分を除去して現像を行い、レジストパターンを形成させる(現像工程)。なお、レジストパターン形成後に、1〜5J/cmの露光及び/又は100〜200℃、30分〜12時間の加熱(後加熱工程)による後硬化を更に行っても良い。
【0102】
現像処理に用いられる現像液は、露光部にダメージを与えず、未露光部を選択的に溶出するものであれば、その種類については特に制限はなく、樹脂組成物の現像タイプによって決定され、アルカリ現像液、準水系現像液、溶剤現像液など一般的なものを用いることができる。例えば、特開平7−234524号公報に記載されるような水と有機溶剤とを含むエマルジョン現像液を使用することができる。特に有用なエマルジョン現像液としては、例えば、有機溶剤成分としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、2,2−ブトキシエトキシエタノール、乳酸ブチル、乳酸シクロヘキシル、安息香酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の有機溶剤を10〜40質量%含有するエマルジョン現像液を挙げることができる。また、アルカリ現像液を用いる場合には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、4−ホウ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液と上記有機溶剤とのエマルジョン現像液を用いることもできる。
【0103】
上述の方法によって、回路パターンが形成された導体層上に積層された感光性樹脂組成物層に、レジストパターンの形成を行うことができる。レジストパターンの形成された感光性樹脂組成物層は、実装部品の接合時に、導体層上の不必要な部分へのはんだの付着を防ぐソルダーレジストとして用いることができる。
【0104】
次に、本発明のプリント配線板及びその製造方法について説明する。
【0105】
図2は、本発明のプリント配線板の実施形態を示す模式断面図である。図2に示すプリント配線板2は、絶縁基板22と、絶縁基板22の一方向の面上に形成された回路パターンを有する導体層23と、絶縁基板22の他方の面上に形成された回路パターンを有しない導体層21と、回路パターンを有する導体層23を覆うように絶縁基板22上に形成されているレジスト層24と、を備えている。また、レジスト層24は、上記本発明の感光性フィルムにおける感光性樹脂組成物層の硬化物からなり、レジスト層24は、回路パターンを有する導体層23の少なくとも一部が露出するように開口部26を有している。なお、レジスト層24は、上記本発明の硬化性樹脂組成物を絶縁基板22上に塗布し、硬化させてなるものであってもよい。
【0106】
プリント配線板2は、開口部26を有しているため、CSPやBGA等の実装部品を、回路パターンを有する導体層23にはんだ等により接合することができ、いわゆる表面実装が可能となる。レジスト層24は、接合のためのはんだ付けの際に、導体層の不必要な部分にはんだが付着することを防ぐためのソルダーレジストとしての役割を有しており、また、実装部品接合後においては、導体層23を保護するための永久マスクとして機能する。
【0107】
図3は、図2に示したプリント配線板2の製造方法を模式的に示す工程図である。なお、図3(a)は一方面に回路パターンを有する導体層23と他方面に回路パターンを有しない導体層21とを備える絶縁基板22であり、図3(b)、図3(c)及び図3(d)は、それぞれ絶縁基板22上へ感光性樹脂組成物24の積層した後のプリント配線板4、感光性樹脂組成物層24へ活性光線を照射している様子及び現像後のプリント配線板2を示す。
【0108】
まず、両面金属積層板(例えば、両面銅張積層板等)の片面をエッチングする公知の方法等により、図3(a)に示すように絶縁基板22上に導体層23のパターンを形成させ、導体層23が形成されたプリント配線板3を得る。次に、図3(b)に示すように導体層23が形成された両面金属張積層板3上に、導体層23を覆うようにして本発明の感光性フィルムの感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層24を積層させ、感光性樹脂組成物層24が積層されたプリント配線板4を得る。次に、図3(c)に示すように積層された感光性樹脂組成物層24に所定のパターンを有するマスク5を介して活性光線を照射することにより感光性樹脂組成物層24の所定部分を硬化させる。最後に、未露光部を除去することによって、図3(d)に示すように開口部26を有するレジスト層24を形成させることでプリント配線板2を得る。なお、レジスト層24は、感光性樹脂組成物が溶剤等の揮発成分を含有している場合は、かかる揮発成分の大部分が除去された後の感光性樹脂組成物の硬化物である。
【0109】
なお、絶縁基板22上への感光性樹脂組成物層24の積層、活性光線の照射及び未露光部の除去は、上述のレジストパターンの形成方法における場合と同様の方法により行うことができる。
【0110】
なお、本発明のプリント配線板は、上述のものに限定されず、例えば、上記本発明の金属張積層板に回路を形成してなるものであってもよい。また、本発明のプリント配線板は、内層回路を形成した内層回路板と、該内層回路板上に形成された上記本発明の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、該樹脂層を貫通する貫通孔と、該貫通孔の内壁に形成された金属めっき層と、樹脂層の内層回路板と反対側の面上に形成されており、金属めっき層を介して内層回路と電気的に接続した回路導体と、を有するものであってもよい。これらのプリント配線板においても、その構成材料としての硬化物が本発明の硬化性樹脂組成物からなるものであることにより、ハロゲン系難燃剤を用いずに十分な難燃性を確保することができ、十分な耐電食性及び十分な伸び率が得られ、高信頼性のプリント配線板を実現することができる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0112】
[合成例1]
メチルエチルケトン50質量部を500mlの四つ口フラスコに入れ、窒素気流下で撹拌しながら加熱して80℃とした。一方、エチレン側鎖に結合しているP化合物として一般式(1)で表される構造を有しているリン含有アクリル酸エステル(ジフェニル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、大八化学工業株式会社製、商品名:MR−260)100質量部と、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)1質量部と、PBOC(過安息香酸tert−ブチル)0.1質量部とを有機溶媒であるメチルエチルケトン50質量部に室温で溶解させておき、これを上記四つ口フラスコ内に液温を80℃に保ちつつ240分間かけて滴下し、さらに同温度で120分間反応させて、下記式(8)で表される繰り返し単位を有するリン含有重合体のMEK(メチルエチルケトン)溶液を得た。合成したリン含有重合体の重量平均分子量は30,000であった。
【0113】
【化8】



【0114】
ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した。GPCの条件は以下の通りである。
【0115】
(GPC条件)
ポンプ:日立 L−6000型((株)日立製作所製)、
カラム:Gelpack GL−R420 + Gelpack GL−R430 + Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業(株)製、商品名)、
溶離液:テトラヒドロフラン、
測定温度:室温(25℃)、
流量:2.05mL/分、
検出器:日立 L−3300型RI((株)日立製作所製)。
【0116】
[実施例1]
以下に示すように、上記合成例1のリン含有重合体と各種材料とを配合して、光/熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0117】
合成例1のリン含有重合体(重量平均分子量30,000):40質量部(固形分)、
エポキシアクリレート酸無水物(ZFR−1158、日本化薬株式会社製、酸価97mg/g):30質量部(固形分)、
ウレタン結合含有モノマー(UA−11、新中村化学工業株式会社製):30質量部(固形分)、
光重合開始剤(イルガキュア651、チバガイギー株式会社製):5質量部(固形分)、
熱重合開始剤(パーヘキシン25B、日本油脂株式会社製):2質量部(固形分)、
熱硬化剤(2,2−ビス[4−(4−N−マレイミジニルフェノキシ)フェニル]プロパン、日立化成工業株式会社製):10質量部(固形分)、
メチルエチルケトン:20質量部。
【0118】
[参考例1]
以下に示すように、上記合成例1のリン含有重合体と各種材料とを配合して、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0119】
合成例1のリン含有重合体(重量平均分子量30,000):50質量部(固形分)、
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ESCN−195、住友化学工業株式会社製):45質量部(固形分)、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−1001、油化シェル株式会社製):15質量部(固形分)、
フェノールノボラック樹脂(TD−2131、大日本インキ株式会社製):40質量部(固形分)、
硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール):0.2質量部(固形分)、
メチルエチルケトン:50質量部。
【0120】
[実施例3]
実施例1と同様にして光/熱硬化性樹脂組成物を調製し、得られた樹脂組成物をPETフィルム上に塗布し、80℃で20分間乾燥することで、膜厚30μmの感光性樹脂組成物層がPETフィルム上に形成された感光性フィルムを得た。
【0121】
[比較例1]
実施例1において、合成例1のリン含有重合体を配合しなかった。それ以外は実施例1と同様にして、光/熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0122】
[比較例2]
実施例1において、合成例1のリン含有重合体40質量部(固形分)に代えて、メタクリル酸、メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルを20:45:35の質量割合で重合させた共重合体(重量平均分子量70,000、酸価110mg/g)40質量部(固形分)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、光/熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0123】
[比較例3]
実施例1において、合成例1のリン含有重合体40質量部(固形分)に代えて、下記式(9)で示されるリン酸エステルであるレオフォスTPP(味の素株式会社製)40質量部(固形分)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、光/熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0124】
【化9】



【0125】
[比較例4]
実施例1において、合成例1のリン含有重合体40質量部(固形分)に代えて、ポリリン酸メラミンであるPMP−100(日産化学株式会社製)40質量部(固形分)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、光/熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0126】
[比較例5]
実施例1において、合成例1のリン含有重合体40質量部(固形分)に代えて、Al(OH)であるハイジライトH−42M(昭和電工株式会社製)40質量部(固形分)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、光/熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0127】
このようにして得られた実施例1、参考例1及び比較例1〜5の硬化性樹脂組成物、並びに、実施例3の感光性フィルムについて、以下の評価試験を行った。
【0128】
(難燃性評価試験)
まず、両面粗化箔を両面に有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、日立化成工業株式会社製MCL−BE−67G(商品名))の全面にエッチングを施して、回路層がない基板を作製した。
【0129】
次に、実施例1、参考例1及び比較例1〜5においては、上記の基板のエッチングを施した側の面に硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で20分間乾燥して膜厚30μmの樹脂組成物層を形成した。また、実施例3においては、感光性フィルムを、感光性樹脂組成物層が上記の基板のエッチングを施した側の面に接するように、ラミネータを用いて基板上に積層し、膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
【0130】
次に、実施例1、3及び比較例1〜5においては、基板上の樹脂組成物層に露光量200mJ/cmの紫外線を照射し、実施例3についてはその後PETフィルムを剥離した。次に、基板上の樹脂組成物層が硬化した樹脂層(レジスト)に対して、メタルハライドランプ型コンベア式露光機(ランプ出力80W/cm、ランプ高さ80cm、コールドミラーなし、コンベア速度1.5m/分)を用いて紫外線1000mJ/cmを照射して、後露光を行った。更に、160℃で1時間の後加熱を行うことにより、樹脂組成物層を完全に硬化させ、硬化物を得た。そして、得られた硬化物を、幅13mm、長さ130mmに切断することで、実施例1、3及び比較例1〜5の難燃性の試験片を得た。
【0131】
また、参考例1においては、樹脂組成物層が形成された基板に対して、170℃で2時間の後加熱を行うことにより樹脂組成物層を完全に硬化させ、硬化物を得た。そして、得られた硬化物を、幅13mm、長さ130mmに切断することで、参考例1の難燃性の試験片を得た。
【0132】
このようにして得られた試験片(各5個)を用いて、UL94規格に準拠して垂直燃焼試験を5回行った。5回の燃焼時間を合計して総燃焼時間(秒)とし、UL94規格の判定基準に従って、V−0、V−1、V−2及び全焼(試験片のクランプまで全焼したもの)の4つのランクで判定した。得られた結果を表1に示す。
【0133】
(開口部の解像性)
まず、両面粗化箔を両面に有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、日立化成工業株式会社製MCL−BE−67G(商品名))にエッチングを施し、片面にライン幅/スペース幅(40μm/40μm)寸法の櫛形形状の回路を形成した回路層を有する回路板を作製した。
【0134】
次に、実施例1及び比較例1〜5においては、上記の回路板の回路層側の面に硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で20分間乾燥して膜厚30μmの樹脂組成物層を形成した。また、実施例3においては、感光性フィルムを、感光性樹脂組成物層が回路層に接するように、ラミネータを用いて回路板上に積層し、膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
【0135】
次に、開口部となる部分に直径150μmの遮蔽部のあるフォトマスクを介して、露光量200mJ/cmの紫外線を樹脂組成物層に照射し、実施例3についてはPETフィルムを剥離した後、2,2−ブトキシエトキシエタノールを10体積%と、4ホウ酸ナトリウム8g/lとを含む現像液を用いて30℃で1分間スプレー処理し、レジストパターンを作製した。このようにして形成されたレジストパターンの開口部を金属顕微鏡により観察して評価した。得られた結果を表に示す。表中、Aは、現像性の良好なもの(基板表面上に樹脂が全く残らないもの)を意味し、Bは現像性の不良なもの(基板表面上に樹脂が少し残るもの)を意味する。
【0136】
(伸び率評価試験)
まず、18μm厚の銅箔(古河電気工業株式会社製、GTS−18(商品名))を用意した。次に、実施例1、参考例1及び比較例1〜5においては、上記の銅箔の片面に硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で20分間乾燥して膜厚30μmの樹脂組成物層を形成した。また、実施例3においては、感光性フィルムを、感光性樹脂組成物層が銅箔に接するように、ラミネータを用いて銅箔の片面上に積層し、膜厚30μmの感光性樹脂組成物層を形成した。
【0137】
次に、実施例1、3及び比較例1〜5においては、樹脂組成物を硬化するために、樹脂組成物層の全面に、露光量200mJ/cmの紫外線を照射し、実施例3についてはPETフィルムを剥離した。その後、銅箔上の樹脂組成物層が硬化した樹脂層(レジスト)に対して、メタルハライドランプ型コンベア式露光機(ランプ出力80W/cm、ランプ高さ80cm、コールドミラーなし、コンベア速度1.5m/分)を用いて紫外線1000mJ/cmを照射し、後露光を行った。更に、160℃で1時間の後加熱を行った後、過硫酸アンモニウムで銅箔をエッチングし、硬化フィルムを得た。
【0138】
また、参考例1においては、樹脂組成物を硬化するために、樹脂組成物層が形成された銅箔に対して170℃で2時間の後加熱を行った後、過硫酸アンモニウムで銅箔をエッチングし、硬化フィルムを得た。
【0139】
このようにして得られた硬化フィルムについて、オートグラフAG−100C(島津製作所製)を用いて、室温条件での伸び率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0140】
【表1】



【0141】
(重量減少率の測定)
合成例1のリン含有重合体、リン酸エステル(レオフォスTPP)、ポリリン酸メラミン(PMP−100)、及び、Al(OH)(ハイジライトH−42M)について、それぞれ空気雰囲気下、下記条件でTG−DTAを測定し、350℃における重量減少率を求め、重量減少率が60%以下の場合をA、60%を超え95%未満の場合をB、95%以上の場合をCとして評価した。その結果を表2に示す。なお、揮発性の高い難燃剤はブリードアウトの原因となるため、重量減少率が低いものほどブリードアウトが十分に抑制されることとなる。
測定機器:TG−DTA 2020(R)(ブルカー・エイエックスエス(株)製)、
測定温度:30〜350℃、
昇温速度:10℃/min。
【0142】
【表2】



【0143】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1及び参考例1の硬化性樹脂組成物及び実施例3の感光性フィルムを用いた場合には、比較例1〜3、5に比べて、ハロゲン化物を用いずに十分な難燃性を確保することができることが確認された。また、実施例1の硬化性樹脂組成物及び実施例3の感光性フィルムを用いた場合には、比較例4〜5に比べて、開口部(バイアホール)の解像性が良好であることが確認された。更に、実施例1及び参考例1の硬化性樹脂組成物及び実施例3の感光性フィルムを用いた場合には、比較例4〜5に比べて、硬化物として十分な伸び率を得ることができることが確認された。なお、比較例4の硬化性樹脂組成物を用いた場合には、難燃性は良好であるが、解像性及び伸び率が低下することが確認された。また、表2に示した結果から明らかなように、合成例1のリン含有重合体を難燃剤として含む実施例1及び参考例1の硬化性樹脂組成物及び実施例3の感光性フィルムを用いた場合には、ブリードアウトの発生が十分に抑制されることが確認された。
【符号の説明】
【0144】
1…感光性フィルム、2,3,4…プリント配線板、5…フォトマスク、11…支持体、12…感光性樹脂組成物層、13…カバーフィルム、21…回路パターンを有しない導体層、22…絶縁基板、23…回路パターンを有する導体層、24…レジスト層(感光性樹脂組成物層)、26…開口部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表わされる単量体単位を有するリン含有重合体10〜80質量%と、熱硬化剤であるビスマレイミド化合物またはブロックイソシアネート化合物と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【化1】



[式(1)中、Xは単結合、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、フェニレン基、下記一般式(2)で表される2価の基、下記一般式(3)で表される2価の基、下記一般式(4)で表されるエステル結合を含む基、又は、下記一般式(5)で表されるエステル結合を含む基を示し、R及びRは各々独立に、水酸基、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜3のアルキルオキシ基、下記一般式(6)で表されるアリール基、又は、下記一般式(7)で表されるアリールオキシ基を示し、R及びRは各々独立に、水素原子又はメチル基を示す。]
【化2】



[式(2)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【化3】



[式(3)中、Lは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。]
【化4】



[式(4)中、aは1〜10の整数を示す。]
【化5】



[式(5)中、bは1〜10の整数を示す。]
【化6】



[式(6)中、R、R、R、R及びRは各々独立に、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、又は、水酸基を示す。]
【化7】



[式(7)中、R10、R11、R12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、又は、水酸基を示す。]
【請求項2】
前記リン含有重合体の重量平均分子量が1,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
光及び/又は熱により硬化することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光重合開始剤と、を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
熱重合開始剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
永久レジストの形成に使用されることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物を基材に含浸し、前記樹脂組成物をBステージ化してなることを特徴とするプリプレグ。
【請求項8】
前記基材がガラス織布であることを特徴とする請求項7に記載のプリプレグ。
【請求項9】
1以上の請求項7又は8に記載のプリプレグからなる基板の少なくとも一方の面上に金属箔を配置し、加熱加圧してなることを特徴とする金属張積層板。
【請求項10】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物からなることを特徴とする封止材。
【請求項11】
支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備えることを特徴とする感光性フィルム。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物層の前記支持体と反対側の面上に保護フィルムを更に備えることを特徴とする請求項11に記載の感光性フィルム。
【請求項13】
絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層と、を備える積層基板の前記絶縁基板上に、前記導体層を覆うように請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を形成し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を形成し、前記感光性樹脂組成物層の前記露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項14】
請求項9記載の金属張積層板に回路を形成してなることを特徴とするプリント配線板。
【請求項15】
内層回路を形成した内層回路板と、該内層回路板上に形成された請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる樹脂層と、該樹脂層を貫通する貫通孔と、該貫通孔の内壁に形成された金属めっき層と、前記樹脂層の前記内層回路板と反対側の面上に形成されており、前記金属めっき層を介して前記内層回路と電気的に接続した回路導体と、を有することを特徴とするプリント配線板。
【請求項16】
絶縁基板と、該絶縁基板上に形成された回路パターンを有する導体層と、前記導体層を覆うように前記絶縁基板上に形成されたレジスト層と、を備えるプリント配線板であって、
前記レジスト層が、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物からなり、前記導体層の一部が露出するように開口部を有することを特徴とするプリント配線板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−52116(P2012−52116A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195307(P2011−195307)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【分割の表示】特願2006−145655(P2006−145655)の分割
【原出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】