説明

樹脂組成物、及びそれを用いてなる金属被覆体

【課題】 鋼板やアルミニウム等金属の平滑面に対してプライマー塗布等といった成形前処理を必要とせず、射出成形による初期接着性が良好で、かつその接着性が長期耐久性、高温耐久性を有し、かつ高弾性率を持つ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、及び(6)粘着性付与剤を、重量比で(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)=100/10〜100/1〜40/1〜60/1〜40/1〜40の割合で含有し、前記(1)ポリエステルが、数平均分子量500以上4000以下のポリエーテルジオールを全グリコール成分に対して5mol%以上50mol%以下共重合していることを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形により金属被覆体を形成するのに適する、金属との接着が良好なポリエステル系樹脂組成物に関する。詳しくは、射出成形において鋼板等の平滑面に対する初期接着性が良好で、しかも長期耐久性、高温耐久性に優れ、曲げ弾性率の高いポリエステル系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品では金属部分を樹脂被覆することにより、消音性・制振動性を達成させ騒音低減を行っている。家電部品では電気絶縁性を目的として、樹脂による被覆がなされている。
金属部品にモールドする時は、その形状に追随できる方法が求められており、例えば金属部品を射出成形用金型にインサートし、溶融樹脂を射出する方法が取られている。家電・自動車用途では、その部品の使用環境下にもよるが高い耐熱性、高弾性が必要であり、それ故に高結晶性樹脂あるいはガラス繊維強化樹脂が使用されている。しかしながら高結晶性樹脂では、迅速な結晶化とその直後の熱収縮や、徐々に起こるエンタルピー緩和で生じる残留応力による接着性低下への影響を考慮する必要がある。また、ガラス繊維のような繊維状強化材で強化された場合、繊維状強化材の配列方向(流れ方向)と配列方向に対して直角方向の成形収縮率に大きな差があり(異方性)、成形品にそり変形が発生しやすいという欠点があり、それ故、接着性の低下は顕著である。これらの接着性低下の問題を解決する為に、一般的には金属部品にプライマー剤塗布、コロナ放電処理といった成形前処理を経た後に成形されている(特許文献1、特許文献2参照)。しかしながらプライマー剤塗布では、溶媒の蒸発時に気泡が残存する、溶媒として有機溶剤を使用すれば作業環境が劣悪になる、さらには工程数が増加することによる製造コスト高等、問題点が多い。コロナ放電処理では、設備投資によるコスト高や金属表面への均一な処理が困難であり、短時間で表面処理ができないという問題もある。また、ガラス繊維強化樹脂のそり低減方法としては、一般的な方法としてミルドガラスのようなアスペクト比が小さな(通常5以下)繊維状強化材で強化された樹脂、あるいはガラスビーズのような全く方向性の無い球状強化材で強化された強化樹脂、またはマイカのような板状強化材による強化樹脂がある。しかし、これらは成形時のそり発生防止に対して効果があるものの、熱的性質、機械的性質の低下が著しく実用的でない。また、これらのアスペクト比の小さな強化材、球状強化材、板状強化材と繊維状強化材との組合せも提案されているが、その目的である熱的性質、機械的性質を向上させるためには、繊維状強化材を5重量%以上、好ましくは10重量%以上必要であり、このような熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は成形時のそり発生防止に殆ど効果が無い。
【0003】
上記問題点を解決するモールディング用樹脂として、ホットメルトタイプのものが挙げられる(特許文献3、特許文献4参照)。モールド時の粘度を下げる為に樹脂を加温溶融させるだけのホットメルト接着剤は、溶剤含有系やエポキシ樹脂系における作業環境上の問題点が解決される。また、モールド後冷却するだけで固化して、性能を発現するので、生産性も高くなる。加えて、一般に熱可塑の樹脂を使用するので、製品としての寿命を終えた後も、加熱して樹脂を溶融除去することで、部材のリサイクルが容易に可能となる。しかし、モールディング用樹脂としての高い潜在能力を有しながら、これまでプライマー剤塗布などの成形前処理を充分に代替する材料となり得ていなかったのは、高温耐久性と接着性を両立した素材が提案されていなかったことによる。また、これまで提案されていた樹脂組成物から成る成形品は弾性率が満足できるレベルでないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−255024号公報
【特許文献2】特開2001−239548号公報
【特許文献3】特開2002−309205号公報
【特許文献4】特開平8−325539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、鋼板やアルミニウム等金属の平滑面に対してプライマー塗布等といった成形前処理を必要とせず、射出成形により金属被覆体を形成した際、金属との初期接着性が良好で、かつその接着性が長期耐久性、高温耐久性を有し、かつ高弾性率を有した樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為、本発明者等は鋭意検討し、以下の発明を提案するに至った。即ち本発明は、以下の通りである。
【0007】
[1] (1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、及び(6)粘着性付与剤を、重量比で(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)=100/10〜100/1〜40/1〜60/1〜40/1〜40の割合で含有し、前記(1)ポリエステルが、数平均分子量500以上4000以下のポリエーテルジオールを全グリコール成分に対して5mol%以上50mol%以下共重合していることを特徴とする樹脂組成物。
【0008】
[2] 前記(1)ポリエステルが、160℃以上230℃以下の融点を有する結晶性ポリエステルであることを特徴とする[1]に記載の樹脂組成物。
【0009】
[3] 前記(2)繊維状強化材が、長さ方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径と直角方向の最長の直線距離)の比が1.5〜5の間にある扁平な断面形状を有するガラス繊維であることを特徴とする[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
【0010】
[4] 前記(3)球状強化材が、平均粒径10〜100μmのガラスビーズであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0011】
[5] 前記(4)ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはエチレン共重合体であることを特徴とする[1]〜[4]に記載の樹脂組成物。
【0012】
[6] 前記(5)エポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂または、ノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0013】
[7] 前記(6)粘着性付与剤が、ロジン化合物であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0014】
[8] (1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、及び(6)粘着性付与剤の重量比が、(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)=100/70〜100/15〜30/30〜50/15〜30/15〜30である[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0015】
[9] 樹脂組成物が、射出成形により金属に被覆させる金属被覆用である[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0016】
[10] [1]〜[8] のいずれかに記載の樹脂組成物を、射出成形により金属に被覆させた金属被覆体。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、鋼板やアルミニウム等金属の平滑面に対してプライマー塗布等といった成形前処理を必要とせず、射出成形により金属被覆体を形成した際、金属との初期接着性が良好で、かつその接着性が長期耐久性、高温耐久性を有し、かつ高弾性率を有した樹脂組成物を提供することが可能となる。さらに、これらの特性のほかに、金型からの優れた離型性、得られた成形品の良好な外観(被着体との剥離なし)を付与することも可能となる。これにより、複雑な形状を有する金属部品被覆用のモールディング用ポリエステル系樹脂組成物として、消音性・制振動性・電気絶縁性・作業環境性・生産性・耐久性等の種々の性能を充分満足する素材が、提供可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[(1)ポリエステル]
本発明に用いる(1)ポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる共重合ポリエステルであり、数平均分子量500以上4000以下のポリエーテルジオールを全グリコール成分に対して5mol%以上50mol%以下共重合した共重合ポリエステルである。
(1)ポリエステルに使用するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、これらの少なくとも一種が全ジカルボン酸成分中40モル%以上であることが、経済性・耐熱性の観点から好ましく、70モル%以上であることが、より好ましい。
(1)ポリエステルに使用するポリエーテルジオール以外のグリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族グリコールが挙げられる。これらの中でも、耐熱性を付与するために、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールのいずれかであることが好ましい。
【0019】
ポリエーテルジオールとして、具体的には、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコールとネオペンチルグリコールの共重合体、テトラメチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体等が挙げられる。経済性と接着性の観点から、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(テトラメチレングリコール/ネオペンチルグリコール)(共重合体)が特に好ましい。
(1)ポリエステルにポリエーテルジオールを共重合する理由は、超低密度の後記する(4)ポリオレフィン成分との容易な微分散・混合を達成するためである。
ポリエーテルジオールの数平均分子量が500未満であると、ポリオレフィンとの容易な微分散・混合が達成しづらくなることがある。一方、数平均分子量が4000を超えると、(1)のポリエーテルジオール部分以外のポリエステル部分との相溶性が低下し、ブロック状に共重合することが難しくなる場合がある。ポリエーテルジオールの数平均分子量は、700以上3000以下であることが好ましく、800以上2000以下がより好ましい。また、50mol%を超えると、(1)のポリエーテルジオール部分以外のポリエステル部分の凝集力が低下し、良好な接着特性を失うおそれがある。5mol%未満では共重合の効果が得られないことが懸念される。ポリエーテルジオールは、全グリコール成分に対して5mol%以上20mol%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明に用いる(1)ポリエステルは、常温流通可能なように、融点160℃以上230℃以下の結晶性ポリエステルであることが好ましい。(1)ポリエステルの融点は、180〜220℃であることがより好ましい。融点160℃未満では、自動車・家電用としての耐熱特性を満たすことが困難であり、230℃超の融点では、溶融・分散時に(5)エポキシ化合物や(6)粘着性付与剤の耐熱温度を超過するため、樹脂組成物の劣化を引き起こすことが懸念される。
【0021】
本発明に用いる(1)ポリエステルの還元粘度は、後記する測定方法で測定した場合、0.50dl/g以上2.50dl/g以下であることが好ましい。0.50dl/g未満では、樹脂としての耐久性が低く、2.50dl/gを超えると、被着体への濡れ性が不十分になる可能性がある。また、酸価は200eq/t以下が好ましい。後記する(5)エポキシ化合物を樹脂組成物に含有するので、混合時のゲル化を避ける為に、50eq/t以下が特に好ましい。
【0022】
本発明に用いる(1)ポリエステルは、超低密度の(4)ポリオレフィンとの容易な微分散・混合を達成するために、密度が1.10g/cm以下のポリエーテルジオールを共重合していることが好ましい。
また、ポリエーテルジオール以外に、例えばダイマー酸、ダイマージオール等の長鎖のジカルボン酸成分および/またはグリコール成分を含んでも良いが、低温での接着性を付与する目的でグリコール成分としてポリエーテルジオールを用いることが、特に好ましい。
【0023】
[(2)繊維状強化材]
本発明に用いられる(2)繊維状強化材は、種々の繊維状強化材が使用可能である。中でも、成分の断面が長手形状である非円形断面の長円形、楕円形、繭形等の扁平な断面のガラス繊維が好ましく使用される。これらの断面の細長比は、1.5〜5が好ましく、より好ましくは、2.5〜4に選定される。断面の細長比とは、長さ方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径と直角方向の最長の直線距離)の比を指す。この細長比が1.5より小さいと、即ち円形に近づくと断面を扁平にした効果が少なくなり、逆に5よりも大きくすると繊維が扁平になりすぎ割れやすくなって強度が低下する。また、これらの(2)繊維状強化材の使用にあたっては、必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。これらの化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際、同時に添加してもよい。
【0024】
本発明の樹脂組成物における(1)ポリエステルと(2)繊維状強化材の配合比は、重量比で(1)/(2)=100/10〜100である。(2)繊維状強化材が、100重量部より多いと、成形時の流動性が悪化し、十分な流動特性が得られず成形性が不十分となることがある。一方、(2)繊維状強化材が10重量部未満であると強度、弾性率の向上効果が少ない。
初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を充分に満足した上で、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率(曲げ弾性率1.5GPa以上)を充分に満足させるためには、前記重量比は、(1)/(2)=100/70〜100であり、(2)繊維状強化材の断面の細長比は、2.5〜4であることがより好ましい。
【0025】
[(3)球状強化材]
本発明で用いられる(3)球状強化材は、平均粒径が10〜100μmのほぼ真球のものが好ましく、より好ましくは10〜50μmが、成形時のそり変形防止の効果や成形品の外観を悪化させないためにも好ましい。通常はアルカリガラスビーズ、無アルカリガラスビーズから選ばれる。好ましくは、熱可塑性ポリエステルの分解を極力抑えるため無アルカリガラスビーズが好ましく、更に、熱可塑性ポリエステルと球状強化材との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等、例えば、γーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−βー(アミノエチル)ーγーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−βー(アミノエチル)ーγーアミノプロピルジメトキシメチルシランなどの如きアミノシラン系;γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグリリシドキシプロピルエトキシシラン、βー(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系:イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートなどのチタン系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理されたものが好ましい。
【0026】
本発明の樹脂組成物における(1)ポリエステルと(3)球状強化材の配合比は、重量比で(1)/(3)=100/1〜40である。(3)球状強化材が、40重量部より多いと、全体として繊維状強化材の配合量が少なくなり、結果として強度、弾性率の向上効果が少なくなる。一方、(3)球状強化材が1重量部未満であるとソリ防止効果が劣り、接着性が低下する場合がある。
初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を充分に満足した上で、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率(曲げ弾性率1.5GPa以上)を充分に満足させるためには、前記重量比は、(1)/(3)=100/15〜30であることがより好ましい。
【0027】
[(4)ポリオレフィン]
本発明に用いる(4)ポリオレフィンは、比重が0.95g/cm以下の超低密度のポリオレフィンが好ましい。このような超低密度のポリオレフィンを使用することによって、元来非相溶のポリエステルと、容易に微分散・混合でき、特別な混練設備を必要とせず、良好な接着剤を得ることができる。また、低密度で結晶性も低いことで、ポリエステルに生じた射出成形時の残存応力の経時的な緩和にも適切に作用する。
このような特性を有するポリオレフィンは、ポリエチレンまたはエチレン共重合体が、入手容易、安価、金属やフィルムへの接着性に悪影響しない点で、特に好ましい。具体的には、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンプロピレンエラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体が挙げられる。これらの中でも、超低密度ポリエチレンやエチレンと他αオレフィン共重合体が好ましい。
本発明で用いられるポリオレフィンの数平均分子量の好ましい範囲は、10000〜50000である。
【0028】
また、本発明に用いる(4)ポリオレフィンの配合量は、(1)ポリエステルに対して、重量比で(1)/(4)=100/1〜60である。(4)ポリオレフィンが1重量部未満の場合、(1)ポリエステルの結晶化やエンタルピー緩和によるひずみエネルギーの緩和が難しいため、接着強度が経時的に低下する傾向がある。また、(4)ポリオレフィンを、60重量部を超えて配合した場合、樹脂組成物がもつ接着特性を打ち消してしまう傾向がある。また相分離により、大幅な機械物性の低下、射出成形時の層間剥離など成形性に悪影響を及ぼす場合がある。
初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を充分に満足した上で、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率(曲げ弾性率1.5GPa以上)を充分に満足させるためには、前記重量比は、(1)/(4)=100/30〜50であることがより好ましい。
【0029】
[(5)エポキシ化合物]
本発明に用いる(5)エポキシ化合物とは、分子中にグリシジル基を有するエポキシ樹脂のことである。分子中にグリシジル基は平均1.1個以上であることが好ましい。これらの中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂または、ノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。
具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルタイプ等などが挙げられる。これらのエポキシ化合物は、(1)ポリエステルを可塑化することで、(1)ポリエステルの結晶化を制限し、またはエンタルピー緩和を抑制することで、経時的な接着界面での応力発生を防ぐ。また、金属表面との密着性を向上させる。従って、特に、接着力を大幅に向上させるためには、(1)ポリエステルに対して相溶性の良いものが好ましい。ここでエポキシ化合物の数平均分子量は、450〜40000が好ましい。450未満では、樹脂組成物が極めて軟化し易く、機械的物性が劣り、40000超では、(1)ポリエステルとの相溶性が極めて不良となり、接着性への効果が損なわれることがある。
【0030】
本発明の樹脂組成物における(1)ポリエステルと(5)エポキシ化合物の配合比は、重量比で(1)/(5)=100/1〜40である。(5)エポキシ化合物が、40重量部より多いと、機械的特性が劣り接着性、耐熱性が低下するおそれがある。また、十分な溶融特性が得られず成形性も不十分となることがある。一方、(5)エポキシ化合物が1重量部未満であると被着体との密着性に劣り、接着性が低下する場合がある。
初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を充分に満足した上で、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率(曲げ弾性率1.5GPa以上)を充分に満足させるためには、前記重量比は、(1)/(5)=100/15〜30であることがより好ましい。
【0031】
本発明に用いる(6)粘着性付与剤は、軟化温度が60℃以上のものが好ましい。軟化温度が60℃未満では射出成形時の冷却・固化に時間を要し、生産サイクルが長くなるため好ましくない。
具体的には、ロジン及びロジン誘導体、テルペンフェノール、純粋なフェノール樹脂等を使用できる。より詳細な具体例は、例えば(あ)天然及び改質ロジン、例えばガムロジン、木材ロジン、タル油ロジン、蒸留したロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、及び重合したロジン、(い)天然及び改質ロジンのグリセロール及びペンタエリトリトールエステル、例えば木材ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合したロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、及びロジンのフェノール改質ペンタエリトリトールエステル、(う)フェノール改質テルペン樹脂及びその水素化誘導体、例えば二環テルペンとフェノールの酸性媒体中での縮合により得られる樹脂生成物、(え)熱可塑性アルキルフェノール樹脂である。上記粘着付与樹脂の2種以上の混合物、並びに上記樹脂と少量(例えば10%未満)の相溶性樹脂のブレンドを用いてもよい。
【0032】
本発明において、粘着性付与剤は、次の理由により、ロジン化合物であることが好ましい。ロジン化合物を用いることにより、金属板との密着後に、接着力が増大する。これは、樹脂組成物中のロジン化合物が、経時的に金属接着面に対してブリードし、金属面との親和性が上昇するため、また、ロジン化合物としての凝集力が向上するためである。
【0033】
また、ロジン化合物の酸価は2〜300(KOH mg/g)が好ましい。2(KOH mg/g)未満では、ポリエステルとの相溶性不足による成形時の層間剥離、300(KOH mg/g)超では、耐水性の低下の懸念があるためである。ロジン化合物の酸価は200〜280(KOH mg/g)がより好ましい。
【0034】
本発明の樹脂組成物における(1)ポリエステルと(6)粘着性付与剤の配合比は、重量比で(1)/(6)=100/1〜40である。(6)粘着性付与剤が40重量部より多いと、樹脂組成物の機械特性が劣り接着性、耐熱性が低下するおそれがある。また、相分離による射出成形時の層間剥離などの問題が、発生するおそれがある。一方、(6)粘着性付与剤が1重量部未満であると被着体との密着性に劣り、接着性が低下する場合がある。
初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を充分に満足した上で、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率(曲げ弾性率1.5GPa以上)を充分に満足させるためには、前記重量比は、(1)/(6)=100/15〜30であることがより好ましい。
【0035】
本発明に用いるポリエステル系樹脂組成物の組成、及び組成比を決定する方法としては、試料を重クロロホルム等の溶剤に溶解して測定するH−NMRのプロトン積分比から算出することも可能である。
【0036】
本発明の(1)ポリエステルの製造方法としては、公知の方法をとることができるが、例えば、上記のジカルボン酸及びジオール成分を150〜250℃でエステル化反応後、減圧しながら230〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステルを得ることができる。あるいは、上記のジカルボン酸のジメチルエステル等の誘導体とジオール成分を用いて150℃〜250℃でエステル交換反応後、減圧しながら230℃〜300℃で重縮合することにより、目的のポリエステルを得ることができる。
【0037】
さらには本発明の樹脂組成物に高温長期間の耐久性を必要とする場合は、酸化防止剤を添加することが好ましい。例えば、ヒンダードフェノール系として、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられ、また、燐系として、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイトが挙げられる。これらを単独に、または複合して使用できる。添加量は、樹脂組成物の重量基準で、0.1%以上5%以下が好ましい。0.1%未満だと熱劣化防止効果に乏しくなることがある。5%を超えると、密着性等に悪影響を与える場合がある。
【0038】
本発明の樹脂組成物には、その他各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、本発明以外の樹脂、無機フィラー、安定剤、紫外線吸収剤、及び老化防止剤を熱可塑性接着剤への添加剤として広く用いられているものを本発明の特徴を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、(1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、及び(6)粘着性付与剤の合計で、60重量%以上を占めることが好ましい。(1)〜(6)の合計で、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上がいっそう好ましい。
【0039】
本発明以外の樹脂としては、(1)以外のポリエステル樹脂、(4)以外のポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂、(6)以外のフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、石油樹脂等を添加することができる。
【0040】
無機フィラーとしては、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、ベントナント、フュ−ムドシリカ、シリカ粉末、雲母等を本発明の樹脂組成物100重量部に対して40重量部以下配合することができる。
【0041】
また、その他の添加剤として、各種金属塩等の結晶核剤、着色顔料、無機、有機系の充填剤、タック性向上剤、クエンチャー、金属不活性化剤、UV吸収剤、HALS等の安定剤、シランカップリング剤、難燃剤等を添加することもできる。
【0042】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、本発明のポリエステルと繊維状強化材、球状強化材、エポキシ化合物、ポリオレフィン、ロジン化合物を単軸もしくは二軸のスクリュー式溶融混錬機、または、ニーダー式加熱機に代表される通常の熱可塑性樹脂の混合機を用いて製造し、引き続き造粒工程によりペレット化する。
【0043】
本発明の金属被覆体は、好ましくは、前述の製造方法により造粒されたペレットを使用し、金型内部に被着体である金属板をインサートし、射出成形により、樹脂組成物からなる被覆層を金属板に積層させることで得られる。
本発明の樹脂組成物は、このように金属への被覆層を形成すると同時に、金属との接着剤の役割も果たしている。
【0044】
本発明の樹脂組成物を用い、主に金属板に被覆・積層させるわけであるが、金属としては、鋼板、アルミニウム等に使用できる。また、金属板以外に、プラスチック板への積層も可能で、プラスチックとしてはPETなどのポリエステルフィルム・シート、ナイロンフィルム・シート、塩化ビニルフィルム・シートなどに使用できる。
【実施例】
【0045】
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例によってなんら限定されるものではない。尚、実施例に記載された各測定値は次の方法によって測定したものである。
【0046】
融点:
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度250℃で5分ホールドして試料を完全に溶融させた後、液体窒素で急冷して、その後−150℃から250℃まで、20℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の吸熱ピークを融点とした。
【0047】
還元粘度:
充分乾燥したポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25mlに溶解し、ウベローゼ粘度計にて30℃で測定した。
【0048】
酸価:
試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解し、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬にはフェノールフタレインを用いた。
【0049】
密度:
JIS K 7112に従って測定した。
【0050】
ポリエステルの製造例
撹拌機、温度計、溜出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸75重量部、イソフタル酸25重量部に対し、1,4−ブタンジオール66重量部、テトラブチルチタネート0.4重量部を加え、170〜220℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール「PTMG1000」(三菱化学社製、密度0.98g/cm3)を34重量部とヒンダードフェノール系酸化防止剤「イルガノックス1330」(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製)を0.8重量部投入し、255℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしてゆき、60分かけて255℃で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)を得た。このポリエステル樹脂(A)の融点は180℃、ガラス転移温度は−70℃で、還元粘度は1.7dl/g、酸価は20eq/tであった。また、ポリエステル樹脂(A)の全グリコール成分に対するポリテトラメチレングリコールの割合は、5.7mol%であった。
【0051】
実施例1
上記ポリエステルの製造例で得られたポリエステル100重量部と、繊維状強化材として、3PA−830S(日東紡績(株)社製、異形断面ガラス繊維)80重量部、球状強化材としてEGB731B(ポッターズ・バロティーニ(株)社製、重量平均粒径18μmガラスビーズ)20重量部、ポリオレフィンとして、超低密度ポリエチレン(住友化学(株)製 エクセレン EUL731(エチレンとαオレフィン共重合体) 密度0.90g/cm3)40重量部、エポキシ化合物として、JER1007K(ジャパンエポキシレジン(株)社製、ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ価:2000g/eq)20重量部、粘着性付与剤として、KE604(荒川化学工業(株)社製 高酸価型ロジン樹脂、酸価:240KOH mg/g、軟化温度125℃)20重量部を、200℃にて、ニーディングゾーンを3ヶ所有する二軸スクリュー式押出し機にて、混練・ペレット化した。このペレットを用いて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0052】
SUS鋼板接着性:
上記ペレットを、射出成形機を用いて成形を行った。金属板には幅75mm、長さ150mm、厚さ1.0mmのSUS鋼板を使用した。射出成形機には電動射出成形機EC−100N(東芝成形機械製)を使用し、幅75mm、長さ150mm、厚さ2.5mmの金型に前記の金属板をインサートし、射出成形した。この際の成形温度はホッパー下からノズル先まで170〜220℃で、金型温度は80℃にて行った。
接着強度は東洋ボールドウイン社製RTM100を用いて、25℃雰囲気下で引っ張り試験を行い、50mm/minの引っ張り速度でT型剥離強度を測定した。
また、長期接着耐久試験は、同様に準備したサンプルを25℃雰囲気下、及び高温(80℃)雰囲気下で、1日間放置したもののT型剥離強度を測定した。
さらに同様に準備したサンプルを25℃雰囲気下、及び高温(80℃)雰囲気下で、1ヶ月放置した後のT字剥離強度を測定した。
[初期接着性]
T字剥離強度から、下記の基準にて評価を行った。
○ :10N/cm以上
△ :5N/cm以上10N/cm未満
× :1N/cm以上5N/cm未満
××:1N/cm未満または、射出成形直後より剥離
[長期接着耐久性]
T字剥離強度の保持率から、下記の基準にて評価を行った。
○ :90%以上の接着強度保持
△ :50%以上90%未満の接着強度保持
× :25%以上50%未満の接着強度保持
××:25%未満または、剥離発生
【0053】
離型性:
上記射出成形時の、金型からの離型性を下記の基準にて評価を行った。
○ :金型への張り付きなし
△ :一部分の張り付きが有り
× :成形品全体が金型に張り付く
××:成形品が完全に金型に張り付き、成形品が破断する。
【0054】
成形品外観:
上記射出成形で得られた成形品より、下記の基準にて評価を行った。
○:層間剥離無し
△:一部剥離有り
×:層間剥離有り
【0055】
物性測定法:
曲げ特性ISO178に準じて曲げ弾性率を測定した。
【0056】
実施例2〜13、比較例1〜4
表1、2に記載の原料を用いて、実施例1と同様な方法により樹脂組成物を得て、その性能を評価した。結果を表1、2に併せて記載する。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
表1、2に示すように、本発明の樹脂組成物を用いたものにおいては、射出成形による初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を満足し、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率を満足するレベルである。また、配合物として好ましいものを用い、(1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、(6)粘着性付与剤を、重量比で(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)=100/70〜100/15〜30/30〜50/15〜30/15〜30を満たすことにより、上記特性はさらに向上し、初期接着性並びにその長期耐久性、高温耐久性を充分に満足した上で、離型性、成形性(被着体との剥離なし)かつ高弾性率(曲げ弾性率1.5GPa以上)を充分に満足するものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の樹脂組成物は、射出成形により金属被覆体を形成した際、優れた初期接着性と、その長期安定性、優れた弾性率を示すとともに、離型性に優れており、金属との接着、金属同士の接着等に優れた金属被覆体用の樹脂組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、及び(6)粘着性付与剤を、重量比で(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)=100/10〜100/1〜40/1〜60/1〜40/1〜40の割合で含有し、前記(1)ポリエステルが、数平均分子量500以上4000以下のポリエーテルジオールを全グリコール成分に対して5mol%以上50mol%以下共重合していることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記(1)ポリエステルが、160℃以上230℃以下の融点を有する結晶性ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(2)繊維状強化材が、長さ方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径と直角方向の最長の直線距離)の比が1.5〜5の間にある扁平な断面形状を有するガラス繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記(3)球状強化材が、平均粒径10〜100μmのガラスビーズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記(4)ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはエチレン共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(5)エポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂または、ノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記(6)粘着性付与剤が、ロジン化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(1)ポリエステル、(2)繊維状強化材、(3)球状強化材、(4)ポリオレフィン、(5)エポキシ化合物、及び(6)粘着性付与剤の重量比が、(1)/(2)/(3)/(4)/(5)/(6)=100/70〜100/15〜30/30〜50/15〜30/15〜30である請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
樹脂組成物が、射出成形により金属に被覆させる金属被覆用である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を、射出成形により金属に被覆させた金属被覆体。

【公開番号】特開2013−60539(P2013−60539A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200299(P2011−200299)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003160)東洋紡株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】