説明

樹脂組成物、反射防止フィルム、表示装置および反射防止フィルムの製造方法

【課題】変性シリコンアクリレート添加による外観欠点の発生を抑制するとともに、優れた耐擦傷性および防汚性を有する樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルム、表示装置および反射防止フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】反射防止フィルムは、基材と反射防止層とを備える。反射防止層は、両末端の少なくとも1方にアクリル基またはメタクリル基を有し、かつ、重量平均分子量8000以上を有する第1の変性シリコン化合物と、側鎖にアクリル基またはメタクリル基を有する第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂組成物、反射防止フィルム、表示装置および反射防止フィルムの製造方法に関する。詳しくは、液晶表示装置などの表示装置に用いられる樹脂組成物、反射防止フィルム、表示装置および反射防止フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反射防止フィルムは、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置などの表示面側に形成されて、外光の映り込みを防止して画面を見やすくしたり、コンストラストを上げて画質を向上させたりするために用いられている。
【0003】
反射防止フィルムは、通常、基材となる透明基板/ハードコート性付与のための樹脂層/低屈折率の反射防止層からなる構成を有している。かかる反射防止フィルムにおいて、反射率の観点からハードコート層には高屈折率が求められ、反射防止層にはより低い屈折率が求められる。
【0004】
反射防止層は、最近ではウエットコーティングで形成することが一般的である。例えば、分子構造中にフッ素原子を含むモノマーを含有する塗液を支持体の表面に塗布、乾燥した後、UV照射などによって硬化させて反射防止層を形成する方法が用いられている。フッ素系官能基を硬化後の樹脂に組み込むことによって、耐擦傷性および防汚性の向上、外観欠点の改善などの効果を得ることができる。(例えば、特許文献1参照)しかしながら、フッ素が含有されていることによる環境破壊および人体に対する有害性が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−329804号公報
【0006】
そこで、フッ素系材料を用いる代わりに、中空シリカ微粒子をコーティング材料に添加する技術が提案されている。しかし、反射防止層の屈折率を低減すべく、中空シリカ微粒子の添加量を増加させると、耐擦傷性や防汚性が低下してしまうという問題が発生してしまう。そこで、変性シリコンアクリレートをコーティング材料に添加することにより、耐擦傷性や防汚性の低下を抑制する技術が提案されている。
【0007】
また、反射防止層の反射率を低減するために、フッ素系材料に加えて、中空シリカ微粒子をコーティング材料にさらに添加する技術も提案されている。この技術でも、変性シリコンアクリレートをコーティング材料に添加することにより、耐擦傷性や防汚性の低下を抑制することが考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、変性シリコンアクリレートは、コーティング材料(紫外線硬化樹脂)との相溶性が悪いため、はじきや輝点などといった外観欠点が多く発生してしまう。
【0009】
したがって、この発明の目的は、変性シリコンアクリレート添加による外観欠点の発生を抑制するとともに、優れた耐擦傷性および防汚性を有する樹脂組成物、それを用いた反射防止フィルム、表示装置および反射防止フィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、
第1の発明は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、
式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、
中空粒子または多孔質粒子と、
電離放射線硬化型樹脂と
を含む樹脂組成物である。
【化1】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化2】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【0011】
第1の発明において、好ましくは、第1の変性シリコン化合物と第2の変性シリコン化合物との質量比(第1の変性シリコン化合物の質量/第2の変性シリコン化合物の質量)は、0.05以上である。
【0012】
第1の発明において、好ましくは、第1の変性シリコン化合物の重量平均分子量は、8000以上100000以下である。
【0013】
第1の発明において、好ましくは、電離放射線硬化型樹脂は、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含む紫外線硬化樹脂である。
【0014】
第1の発明において、好ましくは、アクリル基またはメタアクリル基を有するシルセスキオキサンをさらに含有し、電離放射線硬化型樹脂は、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含んでいる。
【0015】
第2の発明は、
基材上に反射防止層が形成された反射防止フィルムの製造方法であって、
反射防止層を、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成する工程と、
樹脂組成物に対して、低酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射する硬化工程と
によって形成する反射防止フィルムの製造方法である。
【化3】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化4】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【0016】
第2の発明において、好ましくは、低酸素濃度雰囲気は、10000ppm以下である。
【0017】
第3の発明は、
基材と反射防止層とを備え、
反射防止層は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成されたものである反射防止フィルムである。
【化5】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化6】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【0018】
第4の発明は、
画像を表示する表示部と、
表示部の表示面側に設けられた反射防止層と
を備え、
反射防止層は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成されたものである表示装置である。
【化7】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化8】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【0019】
第5の発明は、
画像を表示する第1の面を有する表示部と、
表示面と対向する第2の面、および第2の面とは反対側となる第3の面を有する前面部材と
第1の面、第2の面、および第3の面の少なくとも1つの面に設けられた反射防止層と
を備え、
反射防止層は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成されたものである表示装置である。
【化9】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化10】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【0020】
第1〜第5の発明では、重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物とを含む樹脂組成物を用いて、反射防止層を形成することによって、優れた耐擦傷性および防汚性を有し、外観欠点を減少することができる。
【0021】
第1〜第5の発明では、重量平均分子量8000以上の式(a)で表される第1の変性シリコン化合物は、耐擦傷性や防汚性を付与することができる。また、式(b)で表される第2の変性シリコン化合物は、式(a)で表される第1の変性シリコン化合物と、紫外線硬化樹脂などの電離放射線硬化型樹脂との相溶性を向上することができる。したがって、はじきや輝点の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、優れた耐擦傷性および防汚性を有し、外観欠点を減少することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
【図2】この発明の第3の実施の形態による液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】この発明の第4の実施の形態による液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下に説明する実施の形態は、この発明の具体的な例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(樹脂組成物)
2.第2の実施の形態(反射防止フィルム)
3.第3の実施の形態(表示装置)
4.第4の実施形態(表示装置)
【0025】
1.第1の実施の形態
この発明の第1の実施の形態による樹脂組成物について説明する。
【0026】
この発明の第1の実施の形態による樹脂組成物は、例えば、透明支持体上に設けられたハードコート層上の反射防止層を形成するのに適したものである。この樹脂組成物は、電離放射線硬化型樹脂と、第1の変性シリコン化合物および第2の変性シリコン化合物と、中空シリカ微粒子と、を有するものである。
【0027】
[電離放射性硬化型樹脂]
電離放射性硬化型樹脂は、光または電子線などにより硬化する材料である。電離放射線硬化型樹脂は特に制限はなく、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。電離放射線硬化型樹脂は、例えば、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、電離放射線重合性ポリマー、電離放射線重合開始剤等を含有するものである。電離放射性硬化型樹脂は、例えば、アクリル基またはメタクリル基を有する、ラジカル重合系の紫外線硬化樹脂である。紫外線硬化樹脂は、例えば、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーと、光重合開始剤とを含有している。製造の容易性の観点からすると、紫外線硬化樹脂が最も好ましい。紫外線硬化型樹脂は耐擦傷の観点から、光重合性多官能モノマー、光重合性オリゴマー、光重合性ポリマーを80%以上含んでいることが好ましく、90%以上含んでいることが最も好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、具体的には例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジシクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレートなどが挙げられる。光重合性オリゴマー、光重合性ポリマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、などが挙げられる。低屈折率という観点からは、フッ素含有アクリルモノマー、フッ素含有アクリルオリゴマー、フッ素含有アクリルポリマーを含んでいることが好ましい。
【0028】
[変性シリコン化合物]
第1の変性シリコン化合物は、式(a)で表される変性シリコン化合物の少なくとも1種である。
【0029】
【化11】

(Raは、アルキル基(1≦炭素数≦16)、アクリル基またはメタクリル基である。Rbはアクリル基またはメタクリル基である。nは整数であり、例えば100≦n≦1500、好ましくは150≦n≦1300である。)
【0030】
第1の変性シリコン化合物は、片末端にアクリル基若しくはメタクリル基を有するもの、または両末端にアクリル基若しくはメタクリル基を有するものである。第1の変性シリコン化合物の重量平均分子量は、8000以上であり、例えば8000以上100000以下である。重量平均分子量が8000未満であると、耐擦傷性や防汚性の効果が低下する傾向にある。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:Gel Permeation Chromatography)分析により、キャリア溶媒:THF、ポリスチレン換算で測定したものである。
【0031】
第2の変性シリコン化合物は、式(b)で表される変性シリコン化合物の少なくとも1種である。
【0032】
【化12】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基(1≦炭素数≦16)、アクリル基またはメタクリル基である。Reはアクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。nは、例えば3≦n≦100、好ましくは9≦n≦50である。m、例えばm≦150、好ましくはm≦100である。)
【0033】
第2の変性シリコン化合物は、側鎖にアクリル基またはメタクリル基を有するものである。末端にアクリル基またはメタクリル基を有していても、有していなくてもよい。第2の変性シリコン化合物の重量平均分子量は、特に規定されないが、例えば1000以上50000以下である。
【0034】
第1の変性シリコン化合物の含有量は、例えば、0.1wt%以上3.0wt%以下である。0.1wt%未満であると、耐擦傷性および防汚性などの機能が低下することとなり、3.0wt%を超えると、耐擦傷性の機能が低下することとなる。第2の変性シリコン化合物の含有量は、例えば、0.005wt%以上2.97wt%以下である。0.005wt%未満であると、ハジキや輝点等の外観欠点が頻繁に発生することとなり、2.97wt%を超えると、耐擦傷性および防汚性などの機能が低下することとなる。
【0035】
第1の変性シリコン化合物と第2の変性シリコン化合物との質量比(第2の変性シリコン化合物の質量/第1の変性シリコン化合物の質量)は、例えば、0.05〜0.99である。0.05未満であると、ハジキや輝点等の外観欠点が頻繁に発生することとなり、0.99を超えると、耐擦傷性および防汚性などの機能が低下することとなる。
【0036】
変性シリコーン化合物の側鎖官能基量は、核磁気共鳴測定装置(NMR)により得られる1H−NMR(プロトンNMR)の積分曲線から算出される。1H−NMRで、シロキサン構造のケイ素にCを介して結合するH(例えばSi−(CH32のH)の積分曲線と、官能基のC=CH2のHの積分曲線の比を求める。予めシロキサン構造の化学式と官能基の化学式は分かっているので、シロキサン構造のSi−(CH32の個数と、官能基のC=CH2の個数の比から、測定試料に含まれる、Si−(CH32結合を有するシロキサン構造の個数Aと、官能基の個数Bとの比(B/A)が分かる。
例えば、ポリジメチルシロキサン(Si−CH3:0ppm付近の化学シフト)、メタクリル基(C=CH2:4〜7ppm付近の化学シフト)などに着目し、それぞれの得られた積分値の比より存在比を算出可能である。
【0037】
電離放射性硬化型樹脂が、反射率の低減の観点から、フッ素含有アクリル化合物を含んでいることが好ましい。この場合、フッ素含有アクリル化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分に対して、10wt%以上60wt%以下であることが好ましい。10wt%未満であると、反射率が極端に高くなる傾向がある。一方、60wt%超えると、塗工性に問題が発生したり、塗工後の外観に異常が発生しやすくなる。ここで、アクリル化合物とは、アクリレート、またはメタクリレートである。
【0038】
電離放射性硬化型樹脂が、防汚性および耐擦傷性の向上の観点から、アクリル基およびメタクリル基の少なくとも1種を3個以上有するアクリル化合物をさらに含有することが好ましい。アクリル化合物の表面張力が、40mN/m以上であることが好ましく、より好ましくは40mN/m以上45mN/m以下である。樹脂組成物の固形分全体に対するアクリル化合物の含有量が、5wt%以上18wt%以下であることが好ましい。アクリル基およびメタクリル基の少なくとも1種の個数が3未満であると、耐擦傷性が低下する傾向にある。表面張力が40mN/m未満であると、防汚性および耐擦傷性が低下する傾向にあり、表面張力が45mN/mを超えると、塗液中で白濁する傾向にある。アクリル化合物の含有量が5wt%未満であると、防汚性および耐擦傷性が低下する傾向にあり、アクリル化合物の含有量が18wt%を超えると、耐擦傷性が低下する傾向にある。
【0039】
[中空シリカ微粒子]
中空シリカ微粒子とは、内部が空洞になっているシリカ微粒子である。また、内部が多孔質となっていてもよい。気体が屈折率1.0の空気である場合、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の空気の占有率に比例して屈折率が低下する。中空シリカ微粒子の屈折率は、例えば、1.45以下であるが、特に限定されるものではない。中空微粒子の平均粒径は、例えば10nm〜200nmである。微粒子として、中空シリカ微粒子に代えて多孔質シリカ微粒子を用いてもよい。また、微粒子として、中空シリカ微粒子と多孔質シリカ微粒子との両方を用いてもよい。
【0040】
[その他]
必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。また、必要に応じて、電離放射性硬化型樹脂を溶剤に希釈して用いるようにしてもよい。また、優れた耐擦傷性を得るためには、有機−無機ハイブリッド材料等を併用してもよい。
【0041】
有機−無機ハイブリッド材料としては、例えば、シルセスキオキサンを用いることができる。シルセスキオキサンは、例えば、組成式[(RSiO3/2n](Rは、紫外線硬化型官能基であり、例えば、アクリル基、メタアクリル基、ビニル基等である。)で表されるものを用いることができる。シルセスキオキサンとしては、例えば、ランダム構造、完全カゴ型構造、ハシゴ型構造、不完全カゴ形構造のものを用いることができる。これらの構造を有するものを単体または混合して用いることができる。シルセスキオキサンは、有機官能基としてアクリル基およびメタアクリル基の少なくとも一種を有していることが好ましい。このような官能基を有することで、アクリル基またはメタアクリル基を有する紫外線硬化型樹脂、または、アクリル基またはメタアクリル基を有する第1または第2の変性シリコンと結合し、架橋構造などを形成することができるからである。シルセスキオキサンの含有量は、好ましくは6wt%以上46wt%以下、より好ましくは12wt%以上46wt%以下である。6wt%以上であると、反射防止層13の耐擦傷性を向上することができる。46wt%以下であると、電離放射性硬化型樹脂としてフッ素基を有するアクリレートを含有するものを用いている場合において、反射防止層13の反射率の低下を抑制することができる。また、シルセスキオキサンは、反射特性の改善の点から、パーフルオロアルキル基をさらに有していることが好ましい。また、耐擦傷性を向上するために、シルセスキオキサンのナノフィラーを用いるようにしてもよい。この場合、シルセスキオキサンとしては、アクリル基またはメタアクリル基などの官能基を有していないものを用いることも可能である。
【0042】
以上説明したこの発明の第1の実施の形態による樹脂組成物を用いて、後述する反射防止フィルムにおける反射防止層を形成することができる。この樹脂組成物を用いて作製した反射防止フィルムは、優れた耐擦傷性および防汚性を有し、外観欠点を減少することができる。
【0043】
2.第2の実施の形態
この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムについて説明する。
【0044】
図1は、この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムの構成の一例を示す。この反射防止フィルムは、図1に示すように、基材11と、この基材11に設けられたハードコート層12と、ハードコート層12上に設けられた反射防止層13とから構成されている。なお、反射防止フィルムの構成は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、基材11とハードコート層12との間、およびハードコート層12と反射防止層13との間の少なくとも何れかに、帯電防止層や、高屈折率層、防眩層等の機能層を設けた構成としてもよい。
【0045】
[基材]
基材11の材料としては、例えば透明性を有するプラスチックフィルムを用いることができる。透明プラスチックフィルムの材料としては、例えば、公知の高分子フィルムを用いることができる。公知の高分子フィルムとしては、具体的には例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。基材11の厚さは、生産性の点から20μm〜200μmであることが好ましいが、この範囲に特に限定されるものではない。
【0046】
[ハードコート層]
ハードコート層12は、反射防止フィルムの強度を向上させるものであり、例えば、メラニン系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂などの比較的硬質な材料が用いられる。ハードコート層内にシリカゲル、樹脂ビーズ等を分散させて、光を散乱させることで防眩性を付与するようにしてもよい。ハードコート層12内に金属酸化物などからなる微粒子を分散させて、高屈折率を付与するようにしてもよい。また、金属酸化物微粒子、帯電防止樹脂、導電性高分子等の導電性を有する材料を、ハードコート層12内に分散させて帯電防止機能を付与するようにしてもよい。
【0047】
[反射防止層]
反射防止層13は、ハードコート層12の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率層である。反射防止フィルムでは、基材11の表面に屈折率の異なる層を設けて反射光を軽減することによって、反射防止機能を有する。詳細は後述するが、反射防止層13は、第1の実施の形態による樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0048】
[反射防止フィルムの製造方法]
この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムは、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0049】
(ハードコート層)
まず、基材11上にハードコート層12を形成する。ハードコート層12の形成は、公知の技術を適宜適用して形成することができる。
【0050】
(反射防止層)
次に、以下に説明するようにして、ハードコート層12上に、反射防止層13を形成する。
【0051】
(塗料調製)
まず、例えばディスパーなどの攪拌機やビーズミルなどの分散機により、シリカ中空微粒子、電離放射線硬化型樹脂、第1の変性シリコン化合物、第2のシリコン化合物、溶剤を混合し、塗料を調製する。また、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤などの添加剤を添加するようにしてもよい。
【0052】
溶剤としては、特に制限されず、種々の有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン、またはキシレン等の芳香族炭化水素、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0053】
(塗工)
次に、上述のように調製した塗料を、ハードコート層12上に塗工する。塗料の塗工方法としては、例えば、グラビアコータ、バーコータ、ダイコータ、ナイフコータ、コンマコータ、スプレーコータ、カーテンコータなどが挙げられる。なお、塗工方法は、上記方法に限定されることはなく、所定量の厚みを均一に塗布できればいかなるものでもよい。
【0054】
(乾燥)
次に、ハードコート層12上に塗工された塗料を乾燥させる。乾燥条件は、特に限定されず、自然乾燥であっても、乾燥温度や乾燥時間などを調整する人工的な乾燥であってもよい。
【0055】
(硬化)
次に、電離放射線照射により、ハードコート層12上にて乾燥された樹脂組成物を硬化させる。これにより、反射防止層13が形成される。
【0056】
電離放射線としては、例えば、電子線、紫外線、可視光線、ガンマ線、電子線などを用いることができ、生産設備の観点から、紫外線が好ましい。紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどを用いることができる。積算照射量は、樹脂の硬化特性、樹脂や基材11の黄変抑制などを考慮して適宜選択することが好ましい。また、照射の雰囲気は、例えば、空気、窒素、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気が挙げられる。照射の雰囲気は、酸素による反応阻害を抑制する観点から、例えば、酸素濃度が10000ppm以下の低酸素濃度雰囲気が好ましい。
【0057】
この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムは、反射防止層13が、第1の実施の形態による樹脂組成物を用いて形成されたものであるので、優れた耐擦傷性および防汚性を有し、外観欠点を減少することができる。
【0058】
この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムは、片面に粘着層を設けるなどしてディスプレイの最表面に配置したりして使用することができる。また、基材がトリアセチルセルロースの場合は、偏光子の偏光層を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルムをそのまま保護フィルムとして用いることができる。
【0059】
3.第3の実施の形態
この発明の第3の実施の形態による表示装置について説明する。
[液晶表示装置の構成]
図2は、この発明の第3の実施形態による液晶表示装置の構成の一例を示す。この液晶表示装置は、図2に示すように、光を出射するバックライト3と、バックライト3から出射された光を時間的空間的に変調して画像を表示する液晶パネル2とを備える。液晶パネル2の両面にはそれぞれ、偏光子2a、2bが設けられている。液晶パネル2の表示面側に設けられた偏光子2bには、この発明の第2の実施の形態による反射防止フィルム1が設けられている。
【0060】
バックライト3としては、例えば直下型バックライト、エッジ型バックライト、平面光源型バックライトを用いることができる。バックライト3は、例えば、光源、反射板、光学フィルムなどを備える。光源としては、例えば、冷陰極蛍光管(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)、熱陰極蛍光管(Hot Cathode Fluorescent Lamp:HCFL)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence:OEL)、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などが用いられる。
【0061】
液晶パネル2としては、例えば、ツイステッドネマチック(Twisted Nematic:TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(Super Twisted Nematic:STN)モード、垂直配向(Vertically Aligned:VA)モード、水平配列(In-Plane Switching:IPS)モード、光学補償ベンド配向(Optically Compensated Birefringence:OCB)モード、強誘電性(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)モード、高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:PDLC)モード、相転移型ゲスト・ホスト(Phase Change Guest Host:PCGH)モードなどの表示モードのものを用いることができる。
【0062】
液晶パネル2の両面には、例えば偏光子2a,2bがその透過軸が互いに直交するようにして設けられる。偏光子2a,2bは、入射する光のうち直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収により遮へいするものである。偏光子2a,2bとしては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸させたものを用いることができる。
【0063】
4.第4の実施の形態
この発明の第4の実施の形態による表示装置について説明する。
[液晶表示装置の構成]
図3は、この発明の第4の実施形態による液晶表示装置の構成の一例を示す。この液晶表示装置は、液晶パネル2と、液晶パネル2の前面側に配置された前面部材4とを備え、液晶パネル2および前面部材4の少なくとも一方が反射防止フィルム1を備える点において、第1の実施形態のものとは異なっている。液晶パネル2は、画像が表示される前面(第1の面)を有し、前面部材4は、液晶パネル2の前面に対向する裏面(第2の面)と、この裏面とは反対側となる前面(第3の面)とを有している。液晶パネル2の前面、前面部材4の裏面、および前面部材4の前面の少なくとも1つの面に、反射防止フィルム1が設けられている。図3では、液晶パネル2の前面、前面部材4の裏面、および前面部材4の前面のすべての面に、反射防止フィルム1が設けられた例が示されている。液晶パネル2と前面部材4との間には、例えば空気層が形成されている。上述の第3の実施形態と同様の部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、本発明において、前面とは表示面となる側の面、すなわち観察者側となる面を示し、裏面とは表示面と反対となる側の面を示す。
【0064】
前面部材4は、液晶パネル2の前面(観察者側)に対する機械的、熱的、もしくは耐候的保護、または意匠性の付与を目的として用いるフロントパネルなどである。前面部材4は、例えば、シート状、フィルム状、または板状を有する。前面部材4の材料としては、例えば、ガラス、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などを用いることができるが、特にこれらの材料に限定されるものではなく、透明性を有する材料であれば用いることができる。
【実施例】
【0065】
この発明の具体的な実施例について詳細に説明する。ただし、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下に説明する実施例および比較例では、以下の変性シリコンアクリレート化合物A〜H(以下、化合物A〜Hと称する)を用いて検討を行った。
【0066】
化合物A
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名2426)
重量平均分子量:15000
片末端:メタクリル基
【0067】
化合物B
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名164E)
重量平均分子量:12000
両末端:メタクリル基
【0068】
化合物C
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名164C)
重量平均分子量:8000
両末端:メタクリル基
【0069】
化合物D
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名164B)
重量平均分子量:5500
両末端:メタクリル基
【0070】
化合物E
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名1603)
重量平均分子量:3000
両末端:アクリル基
【0071】
化合物F
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名164A)
重量平均分子量:2000
両末端:メタクリル基
【0072】
化合物G
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名2457)
重量平均分子量:13000
両末端:アクリル基、側鎖:アクリル基
【0073】
化合物H
変性シリコンアクリレート化合物(信越シリコーン社製 商品名2459)
重量平均分子量:25000
側鎖:アクリル基
【0074】
なお、上記分子量は、以下の測定方法で求めた重量平均分子量である。
分析名:GPC分析(ゲル浸透クロマトグラフィ)
分析装置:Shodex GPC SYSTEM21
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
キャリア溶媒:THF
流量:1ml/min
測定方法:THFにて測定サンプルの固形分として0.5%希釈を行い、この溶液をカラム分離にてRI検出器を用いて測定し、標準ポリスチレン試料により作成された検量線を基に分子量分布測定を行った。
【0075】
<実施例1>
基材は厚さ80μmのTACフィルムを用いた。この基材上にハードコート層を形成した後、ハードコート層上に反射防止層を形成して実施例1の反射防止フィルムを得た。
【0076】
[ハードコート層の形成]
ハードコート層の形成は以下のように行った。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリート、及びイソシアヌル酸EO変性ジアクリレート及び、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、五酸化アンチモン、開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を、溶剤であるイソプロピルアルコールに、固形分40重量%となるように溶解させ、ハードコート層用の塗液を調整した。なお、固形分とは、塗液中の溶剤以外の物質であり、ここでは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の光重合性プレポリマーと、五酸化アンチモンと、開始剤である。このハードコート層用塗布液をグラビア法により、透明基材であるトリアセチルセルロースフィルム(膜厚80μm)表面に、乾燥膜厚2μmになるよう塗布し、80℃オーブンにて1分30秒間乾燥させた。その後、160Wの高圧水銀灯を18cmの距離から3秒間照射することにより硬化させ、ハードコート層を形成した。
【0077】
[反射防止層の形成]
反射防止層の形成は以下のように行った。
ポリエステルアクリレートオリゴマ8wt%、ペンタエリスリトールテトラアクリレート35wt%、およびポリエチレングリコールジアクリレート57wt%を混合したマトリックスを準備した。このマトリックス30.5wt%に平均粒径60nmの中空シリカゾルを60wt%、開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を8wt%、変性シリコンアクリレート化合物として変性シリコンアクリレート化合物Bを1.2wt%、変性シリコンアクリレート化合物Gを0.3wt%添加した。これにより、低屈折率コーティング剤を作製した。その後、溶剤としてn−ブタノールを使用し固形分3.0wt%に調整したコーティング溶液を得た。
【0078】
このコーティング溶液を、表面処理を行ったハードコート層上に、小径グラビア法を用いて、乾燥膜厚100nmになるように塗布し、80℃に設定したオーブン内で1分30秒間乾燥させた。その後、酸素濃度1000ppmとされた窒素雰囲気下で160Wの高圧水銀灯を18cmの距離から3秒間照射することにより、反射防止層を形成した。
【0079】
<実施例2>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.2wt%、化合物Hを0.3wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0080】
<実施例3>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Aを1.2wt%、化合物Gを0.3wt%、化合物Hを0.3wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0081】
<実施例4>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Cを1.2wt%、化合物Gを0.3wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0082】
<実施例5>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.2wt%、化合物Gを0.1wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0083】
<実施例6>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを3.0wt%、化合物Gを0.3wt%、化合物Hを0.3wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0084】
<実施例7>
反射防止層の形成工程において、窒素雰囲気下の酸素濃度を10000ppmにした点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0085】
<比較例1>
変性シリコンアクリレート化合物を添加しなかった。反射防止層の形成工程において、窒素雰囲気下の酸素濃度を50000ppmにした。以上の点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0086】
<比較例2>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Aを1.5wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0087】
<比較例3>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Aを1.2wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0088】
<比較例4>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Aを1.0wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0089】
<比較例5>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.5wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0090】
<比較例6>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.2wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0091】
<比較例7>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.0wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0092】
<比較例8>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.2wt%、化合物Eを0.3wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0093】
<比較例9>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.2wt%、化合物Dを0.3wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0094】
<比較例10>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Eを1.2wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0095】
<比較例11>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Hを1.5wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0096】
<比較例12>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Hを1.2wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0097】
<比較例13>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Hを1.0wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0098】
<比較例14>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Dを0.3wt%、化合物Gを1.2wt%、化合物Hを1.0wt%添加した点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0099】
<比較例15>
変性シリコンアクリレート化合物として、化合物Bを1.2wt%、化合物Gを0.3wt%添加した。反射防止層の形成工程において、窒素雰囲気下の酸素濃度を50000ppmにした。以上の点以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0100】
[特性評価]
作製した実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例15を試料とし、各々について以下の特性評価を行った。
【0101】
[SW;スチールウール耐擦傷性試験]
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件23℃、55%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部にスチールウールを巻いて、動かないようにバンド固定した。
移動距離(片道):5cm、こすり速度:10cm/秒、荷重:400g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復
こすり終えた試料の裏側油性クロインキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を以下の基準で評価した。
◎:傷なし。
○:弱い傷が数本確認できる
×:強い傷が確認できる。
【0102】
[防汚性]
マジックインキ(ZEBRA(株)マッキー極細:油性)を用い、試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、インクがはじくか否かを目視観察した。さらに、30秒後にベンコットM−3(旭化成(株))で擦り、インクがふき取れるかを目視観察した。
防汚性は、以下の基準で評価した。
◎:インクがはじくそして拭き取れる。
○:インクがはじかないが拭き取れる。
×:インクが拭き取れない。
【0103】
[耐薬性]
1%水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬後の試料の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:跡が残らない。
○:若干跡が残る。
×:膜が剥がれている。
【0104】
[ハジキ]
10cm×10cmの試料の裏面にブラックテープ(ニチバン(株)VT−50)を貼り、目視観察にてハジキの数を確認した。
【0105】
測定結果を表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例1〜実施例7では、末端のみに官能基(メタクリル基またはアクリル基)を有する式(a)で表される変性シリコン化合物と、側鎖に官能基(メタクリル基またはアクリル基)を有する式(b)で表される変性シリコン化合物との両方を用いている。このため、すべての評価において良好な特性が得られた。
【0108】
比較例1〜比較例9より、末端のみに官能基を有する式(a)で表される変性シリコン化合物では、単独で用いても、組み合わせて用いても良好な特性が得られないことがわかった。また、末端のみに官能基を有する式(a)表される変性シリコン化合物では、分子量を変えても、添加量を変えても良好な特性が得られないことがわかった。
【0109】
比較例10より、末端のみに官能基を有する式(a)表される変性シリコン化合物のみでも、分子量が低ければ、ハジキは生じないが、耐擦傷性、防汚性が良好ではないことがわかった。
【0110】
比較例11〜比較例13より、側鎖に官能基を有する式(b)で表される変性シリコン化合物単独では、耐擦傷性が良好ではないことがわかった。
【0111】
比較例14より、重量平均分子量が8000より小さいと式(a)で表される変性シリコン化合物では、側鎖に官能基を有する式(b)で表される変性シリコン化合物と組み合わせて用いても、耐擦傷性が良好ではないことがわかった。
【0112】
比較例15より、反射防止層の形成工程において、酸素濃度が高いと、耐擦傷性、耐アルカリ性が良好ではないことがわかった。
【0113】
<実施例8>
まず、実施例1と同様に、厚さ80μmのTACフィルムを準備した。次に、このTACフィルム上にハードコート層を、実施例1と同様にして形成した。
【0114】
反射防止層を以下のようにして形成した。
まず、下記配合の低屈折率コーティング剤を調製した。
フッ素基を有するアクリレートオリゴマー 60.5wt%
(ダイキン工業株式会社製 商品名AR110)
平均粒径60nmの中空シリカゾル 35wt%
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(開始剤) 3wt%
変性シリコンアクリレート化合物B 1.2wt%
(信越シリコン社製 商品名164E)
変性シリコンアクリレート化合物G 0.3wt%
(信越シリコン社製 商品名2457)
【0115】
次に、低屈折率コーティング剤を、溶剤であるn−ブタノールに固形分1.25wt%に溶解し、コーティング溶液を得た。次に、小径グラビア法を用いて、コーティング溶液をハードコート層上に乾燥膜厚120nmになるよう塗布した。次に、温度80℃のオーブンにて1分30秒間コーティング溶液を乾燥させた後、酸素濃度1000ppmの窒素雰囲気下にて160Wの高圧水銀灯を18cmの距離から3秒間照射することにより、反射防止層を形成した。以上により、反射防止フィルムが得られた。
【0116】
<実施例9>
下記配合の低屈折率コーティング剤を用いた点以外は、実施例8と同様にして、反射防止フィルムを得た。
フッ素基を有するアクリレートオリゴマー 59.5wt%
(ダイキン工業株式会社製 商品名AR110)
アクリル変性シルセスキオキサン 1wt%
(東亜合成株式会社製 商品名ACSQ)
平均粒径60nmの中空シリカゾル 35wt%
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(開始剤) 3wt%
変性シリコンアクリレート化合物B 1.2wt%
(信越シリコン社製 商品名164E)
変性シリコンアクリレート化合物G 0.3wt%
(信越シリコン社製 商品名2457)
【0117】
<実施例10>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを57.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを3wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0118】
<実施例11>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを54.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを6wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0119】
<実施例12>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを48.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを12wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0120】
<実施例13>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを42.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを18wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0121】
<実施例14>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを36.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを24wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0122】
<実施例15>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを30.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを30wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0123】
<実施例16>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを14.9wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを45.6wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0124】
<実施例17>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを0wt%、アクリル変性シルセスキオキサンを60.5wt%とした点以外は、実施例9と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0125】
<実施例18>
アクリル変性シルセスキオキサン6wt%に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート6wt%を用いた点以外は、実施例11と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0126】
<実施例19>
アクリル変性シルセスキオキサン6wt%に代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6wt%を用いた点以外は、実施例11と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0127】
<実施例20>
アクリル変性シルセスキオキサン6wt%に代えて、ポリウレタンアクリレートオリゴマー6wt%を用いた点以外は、実施例11と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0128】
<実施例21>
アクリル変性シルセスキオキサン12wt%に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート12wt%を用いた点以外は、実施例12と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0129】
<実施例22>
アクリル変性シルセスキオキサン12wt%に代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート12wt%を用いた点以外は、実施例12と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0130】
<実施例23>
アクリル変性シルセスキオキサン12wt%に代えて、ポリウレタンアクリレートオリゴマー12wt%を用いた点以外は、実施例12と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0131】
<実施例24>
アクリル変性シルセスキオキサン24wt%に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート24wt%を用いた点以外は、実施例14と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0132】
<実施例25>
アクリル変性シルセスキオキサン24wt%に代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート24wt%を用いた点以外は、実施例14と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0133】
<実施例26>
アクリル変性シルセスキオキサン24wt%に代えて、ポリウレタンアクリレートオリゴマー24wt%を用いた点以外は、実施例14と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0134】
<実施例27>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを10.5wt%、ペンタエリスリトールトリアクリレートを50wt%とした点以外は、実施例18と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0135】
<実施例28>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを10.5wt%、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50wt%とした点以外は、実施例19と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0136】
<実施例29>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを10.5wt%、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを50wt%とした点以外は、実施例20と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0137】
<実施例30>
フッ素基を有するアクリレートオリゴマー60.5wt%に代えて、3成分からなる下記配合のアクリレート60.5wt%を用いた点以外は、実施例8と同様にして、反射防止フィルムを得た。
ポリエステルアクリレートオリゴマー 8wt%
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 35wt%
ポリエチレングリコールジアクリレート 57wt%
【0138】
(実施例31)
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを14.9wt%、フェニル変性シルセスキオキサン(Ph-SQ)を45.6%とした点以外は、実施例16と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0139】
(実施例32)
フッ素基を有するアクリレートオリゴマーを14.9wt%、メチル変性シルセスキオキサン(Me-SQ)を45.6%とした点以外は、実施例16と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0140】
[特性評価]
作製した実施例8〜30を試料とし、各々について以下の特性評価を行った。
【0141】
[SW;スチールウール耐擦傷性試験]
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなった。
評価環境条件23℃、55%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部にスチールウールを巻いて、動かないようにバンド固定した。
移動距離(片道):5cm、こすり速度:10cm/秒、荷重:400g/cm2、800g/cm2、1kg/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復
こすり終えた試料の裏側に油性クロインキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を以下の基準で評価した。
◎:傷なし。
○:傷5本以下が確認できる。
×:傷6本以上が確認できる。
【0142】
[防汚性]
マジックインキ(ZEBRA(株)マッキー極細:油性)を用い、試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、インクがはじくか否かを目視観察した。さらに、30秒後にベンコットM−3(旭化成(株))で擦り、インクがふき取れるかを目視観察した。
防汚性は、以下の基準で評価した。
◎:インクがはじくそして拭き取れる。
○:インクがはじかないが拭き取れる。
×:インクが拭き取れない。
【0143】
[耐薬性]
1%水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬後の試料の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:跡が残らない。
○:若干跡が残る。
×:膜が剥がれている。
【0144】
[ハジキ]
10cm×10cmの試料の裏面にブラックテープ(ニチバン(株)VT−50)を貼り、目視観察にてハジキの数を確認し、以下の基準で評価した。
○:ハジキ無し
×:ハジキ有り
【0145】
[反射率]
まず、反射率Rを以下のようにして測定した。
塗布裏面にブラックテープを貼り、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ(株)製、商品名:U−4100)にて波長370nm〜790nmの光の入射角12°での塗布面の最低反射率を測定した。ここで、塗布裏面とは、透明基材のハードコート層と反射防止層とが積層された側とは反対側の面のことをいう。また、塗布面とは、反射防止フィルムの反射防止層が形成された側の面のことをいう。
次に、測定した反射率Rのうち最低反射率Rminを以下の基準で評価した。
◎:Rmin≦1%
○:1%<Rmin≦2.0%
×:2.0%>Rmin
【0146】
表2は、実施例8〜30の反射防止フィルムの構成を示す。
【表2】

【0147】
表3は、実施例8〜30の反射防止フィルムの評価結果を示す。
【表3】

【0148】
表2、表3から以下のことがわかった。
実施例8〜17から、アクリル変性シルセスキオキサンを添加することで、耐擦傷性をより向上できる。また、アクリル変性シルセスキオキサンの添加量を多くすると耐擦傷性が向上するが、添加量が過剰になると反射防止層の機能が低下する傾向がある。これらの点を考慮すると、アクリル変性シルセスキオキサンの添加量は、好ましくは6wt%以上46wt%以下、より好ましくは12wt%以上46wt%以下である。
【0149】
実施例18〜29から、アクリル変性シルセスキオキサンの代替材料の添加量を増加させるに従って、耐擦傷性が向上するが、反射特性は低下する傾向がある。これは以下の理由によると考えられる。すなわち、アクリル変性シルセスキオキサンの代替材料を用いて、アクリル変性シルセスキオキサンと同程度の耐擦傷性を得るためには、アクリル変性シルセスキオキサンよりも多くの代替材料を添加しなければならい。このように代替材料を多量に添加すると、フッ素基を有するアクリレートオリゴマーの添加量が少なくなり、反射特性の低下を招くことになる。
実施例30から、フッ素基を有するアクリレートオリゴマーの代わりに、3成分のアクリレートを用いると、耐擦傷性は得られるが、反射率が低下する傾向がある。
【0150】
実施例31では、シルセスキオキサンとしてフェニル変性シルセスキオキサンを用いているため、耐擦傷性が低下している。また、実施例32では、ポリシルセスキオキサンとしてメチル変性シルセスキオキサンを用いているため、耐擦傷性が低下している。
なお、実施例8〜32において、化合物Bおよび化合物Gを用いているのに、耐擦傷性が低下しているサンプルがあるのは、反射率を低減するために、アクリレートとしてフッ素含有アクリレートを併用しているためである。
【0151】
(実施例33)
まず、実施例1と同様に、厚さ80μmのTACフィルムを準備した。次に、このTACフィルム上にハードコート層を、実施例1と同様にして形成した。
【0152】
反射防止層を以下のようにして形成した。
まず、下記配合の低屈折率コーティング剤を調製した。
フッ素基を有するアクリレートオリゴマー 18.5wt%
(ダイキン工業株式会社製 商品名AR110)
アクリル変性シルセスキオキサン 17wt%
(東亜合成株式会社製 商品名ACSQ)
平均粒径60nmの中空シリカゾル 50wt%
(日揮触媒化成株式会社製 商品名スルーリア4320)
ペンタエリスリトールトリアクリレート 10wt%
α−ヒドロキシケトン系(開始剤) 2wt%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 商品名Irgacure127)
変性シリコンアクリレート化合物B 2wt%
(信越シリコーン社製 商品名164E)
変性シリコンアクリレート化合物G 0.5wt%
(信越シリコーン社製 商品名2457)
【0153】
次に、低屈折率コーティング剤を、溶剤であるn−ブタノールに溶解し、固形分1.25wt%のコーティング溶液を得た。次に、小径グラビア法を用いて、コーティング溶液をハードコート層上に乾燥膜厚120nmになるよう塗布した。次に、温度80℃のオーブンにて1分30秒間コーティング溶液を乾燥させた後、酸素濃度1000ppmの窒素雰囲気下にて160Wの高圧水銀灯を18cmの距離から3秒間照射することにより、反射防止層を形成した。以上により、反射防止フィルムが得られた。
【0154】
(実施例34)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、トリメチロールプロパントリアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0155】
(実施例35)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0156】
(実施例36)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0157】
(実施例37)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0158】
(実施例38)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0159】
(実施例39)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0160】
(実施例40)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレートを12.5wt%、アクリル変性シルセスキオキサン14.5wt%とした点以外は、実施例39と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0161】
(実施例41)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレートを15wt%、アクリル変性シルセスキオキサン12wt%とした点以外は、実施例39と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0162】
(実施例42)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレートを18wt%、アクリル変性シルセスキオキサン9wt%とした点以外は、実施例39と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0163】
(実施例43)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレートを20wt%、アクリル変性シルセスキオキサン7wt%とした点以外は、実施例39と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0164】
(実施例44)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレートを5wt%、アクリル変性シルセスキオキサン22wt%とした点以外は、実施例39と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0165】
(実施例45)
エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレートを3wt%、アクリル変性シルセスキオキサン24wt%とした点以外は、実施例39と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0166】
(実施例46)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、メトキシポリエチレングリコール(550)モノアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0167】
(実施例47)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0168】
(実施例48)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0169】
(実施例49)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、トリメチロールプロパントリメタクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0170】
(実施例50)
ペンタエリスリトールトリアクリレート10wt%に代えて、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10wt%を用いた点以外は、実施例33と同様にして、反射防止フィルムを得た。
【0171】
[特性評価]
作製した実施例33〜50を試料とし、各々について以下の特性評価を行った。
【0172】
[摩擦抵抗試験(動摩擦係数)]
摩擦抵抗試験機:HEIDON-14D(新東科学(株))を使用し荷重200g(フィルムに対する接触面積3cm×3cm)にてフィルム表面の滑り性試験を行い、動摩擦係数を測定した。評価環境条件23℃55%RH、移動距離(片道):8cm、移動速度:10cm/分、フィルム表面を滑らせる材質:ベンコットM−3(旭化成(株))を用いて動摩擦係数測定をおこなった。
【0173】
[SW;スチールウール耐擦傷性試験]
ラビングテスター:AB-301(テスター産業(株))を用いて、以下の条件でこすりテストを
おこなった。
評価環境条件23℃、55%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部にスチールウールを巻いて、動かないようにバンド固定した。スチールウールの粗さとしては、♯0000を使用した。
移動距離(片道):5cm、こすり速度:10cm/秒、荷重:400g/cm2、600g/cm2、800g/cm2、1kg/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復
こすり終えた試料の裏側に油性クロインキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分に傷があるか否かを判別した。そして、こすり部分に傷がなかった荷重の最大値を求めた。
【0174】
また、こすり部分に傷がなかった荷重の最大値を用いて、以下の基準に基づき耐スチールウール(SW)擦傷性を評価した。
◎:こすり部分に傷がなかった荷重の最大値が1000g/cm2以上
○:こすり部分に傷がなかった荷重の最大値が800g/cm2
△:こすり部分に傷がなかった荷重の最大値が600g/cm2
×:こすり部分に傷がなかった荷重の最大値が400g/cm2以下
【0175】
[防汚性]
マジックインキ(ZEBRA(株)マッキー極細:油性)を用い、試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、インクがはじくか否かを目視観察した。さらに、30秒後にベンコットM−3(旭化成(株))で擦り、インクが拭き取れるか否かを目視観察した。そして、この拭き取り性試験を繰り返し行った。
防汚性は、以下の基準で評価した。
◎:インクがはじくそして拭き取れ、かつ、繰り返し拭き取り容易。
○:インクがはじくそして拭き取れるが、繰り返し拭き取り困難。
△:インクがはじかないが拭き取れる。
×:インクが拭き取れない。
【0176】
また、上述の拭き取り性試験における拭き取り可能回数に基づき、以下に示すように拭き取り性をレベル分けして評価した。
レベル1:拭き取り可能回数が3回以下
レベル2:拭き取り可能回数が4回以上10回以下
レベル3:拭き取り可能回数が11回以上15回以下
レベル4:拭き取り可能回数が16回以上20以下
レベル5:拭き取り可能回数が20回以上30回以下
レベル6:拭き取り可能回数が31回以上
【0177】
[反射率]
まず、反射率Rを以下のようにして測定した。
塗布裏面にブラックテープを貼り、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ(株)製、商品名:U−4100)にて波長370nm〜790nmの光の入射角12°での塗布面の最低反射率を測定した。ここで、塗布裏面とは、透明基材のハードコート層と反射防止層とが積層された側とは反対側の面のことをいう。また、塗布面とは、反射防止フィルムの反射防止層が形成された側の面のことをいう。
次に、測定した反射率Rのうち最低反射率Rminを以下の基準で評価した。
◎:Rmin≦1%
○:1%<Rmin≦2.0%
×:2.0%>Rmin
【0178】
[表面張力]
上述の実施例33〜50で用いたアクリレート(表4中、(1)〜(12)のアクリレート)の表面張力は、白金プレート法を用いて測定した。測定装置としては、自動表面張力計(協和界面科学社製、商品名:CBVP−A3)を用いた。また、測定温度は25℃に設定した。
【0179】
表4は、実施例33〜50の反射防止フィルムの構成を示す。
【表4】

【0180】
表5は、実施例33〜50の反射防止フィルムの評価結果を示す。
【表5】

【0181】
但し、表4において、アクリレートの種類(1)〜(12)は、以下のものを示す。
(1)ペンタエリスリトールトリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR444)
(2)トリメチロールプロパントリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR315S)
(3)エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR454)
(4)エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR444)
(5)エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR502)
(6)エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR9035)
(7)エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR415)
(8)メトキシポリエチレングリコール(550)モノアクリレート
(サートマー社製、商品名:CD553)
(9)ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR610)
(10)エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR494)
(11)トリメチロールプロパントリメタクリレート
(サートマー社製、商品名:SR350)
(12)ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(サートマー社製、商品名:SR295)
【0182】
表4、表5から以下のことがわかった。
実施例33〜36から、表面張力が40mN/m未満であると、防汚性および耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
実施例37〜42、実施例44から、アクリレートBの表面張力が40mN/m以上であり、アクリレートBの官能基数が3個であり、アクリレートBの添加量が5wt%以上18wt%以下であると、防汚性および耐擦傷性が向上する傾向にあることがわかる。
実施例43から、アクリレートBの添加量が18wt%を超えた場合には、耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
実施例45から、アクリレートBの添加量が5wt%未満である場合には、防汚性および耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
実施例46、47から、3官能未満のアクリレートBを用いた場合には、耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
実施例48から、表面張力が40mN/m未満のアクリレートBを用いた場合には、4官能のアクリレートを用いても、耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
実施例49から、メタクリル基を有するアクリレートBを用いた場合にも、表面張力が40mN/m未満であると、防汚性および耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
実施例50から、4官能のアクリレートBを用いたい場合にも、上述の実施例37〜42、実施例44と同様に、防汚性および耐擦傷性が低下する傾向にあることがわかる。
なお、実施例33〜50において、化合物Bおよび化合物Gを用いているのに、耐擦傷性が低下しているサンプルがあるのは、反射率を低減するために、アクリレートとしてフッ素含有アクリレートを併用しているためである。
【0183】
以上により、防汚性および耐擦傷性を考慮すると、表面張力が40mN/m以上であり、3官能以上のアクリル基またはメタクリル基を有するアクリル化合物を用い、そのアクリル化合物の添加量を5wt%以上18wt%以下とすることが好ましい。
【0184】
この発明は、上述したこの発明の実施の形態および実施例に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0185】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、形状、材料および構成などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値、形状、材料および構成などを用いてもよい。
【0186】
また、上述の実施の形態では、基材/ハードコート層/反射防止層の構成の反射防止フィルムについて説明したが、反射防止フィルムの構成は、これに限定されるものではない。例えば、ハードコート層を省略した構成としてもよい。また、反射防止層を、低屈折率層、高屈折率層を適宜積層した多層構成とし、低屈折率層を、第1の実施の形態による樹脂組成物を用いて形成したものとしてもよい。
【0187】
また、上述の実施の形態では、液晶ディスプレイの表示面に備えられる反射防止フィルムこの発明を適用する場合を例として説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(Plasma Disply Panel:PDP)、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイ、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display:SED)などの各種表示装置の表示面に用いられる反射防止フィルムに適用可能である。
【符号の説明】
【0188】
1・・・反射防止フィルム
2a,2b・・・偏光子
2・・・液晶パネル
3・・・バックライト
4・・・前面部材
11・・・基材
12・・・ハードコート層
13・・・反射防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、
式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、
中空粒子または多孔質粒子と、
電離放射線硬化型樹脂と
を含む樹脂組成物。
【化1】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化2】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【請求項2】
上記第1の変性シリコン化合物と上記第2の変性シリコン化合物との質量比(第1の変性シリコン化合物の質量/第2の変性シリコン化合物の質量)は、0.05以上である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
上記第1の変性シリコン化合物の重量平均分子量は、8000以上100000以下である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
上記電離放射線硬化型樹脂は、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含む紫外線硬化樹脂である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
アクリル基またはメタクリル基を有するシルセスキオキサンをさらに含有し、
上記電離放射線硬化型樹脂は、アクリル基またはメタクリル基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーを含んでいる請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
上記電離放射線硬化型樹脂は、アクリル基およびメタクリル基の少なくとも1種を3個以上有するアクリル化合物を含有し、
上記アクリル化合物の表面張力が、40mN/m以上であり、
固形分全体に対する上記アクリル化合物の含有量が、5wt%以上18wt%以下である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
上記電離放射線硬化型樹脂は、フッ素含有電離放射線硬化型樹脂を含有する請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項8】
基材上に反射防止層が形成された反射防止フィルムの製造方法であって、
上記反射防止層を、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成する工程と、
上記樹脂組成物に対して、低酸素濃度雰囲気下で電離放射線を照射する硬化工程と
によって形成する反射防止フィルムの製造方法。
【化3】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化4】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【請求項9】
上記低酸素濃度雰囲気は、10000ppm以下である
請求項8記載の反射防止フィルムの製造方法。
【請求項10】
基材と反射防止層とを備え、
上記反射防止層は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成されたものである反射防止フィルム。
【化5】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化6】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【請求項11】
画像を表示する表示部と、
上記表示部の表示面側に設けられた反射防止層と
を備え、
上記反射防止層は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成されたものである表示装置。
【化7】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化8】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)
【請求項12】
画像を表示する第1の面を有する表示部と、
上記第1の面と対向する第2の面、および上記第2の面とは反対側となる第3の面を有する前面部材と
上記第1の面、上記第2の面、および上記第3の面の少なくとも1つの面に設けられた反射防止層と
を備え、
上記反射防止層は、
重量平均分子量8000以上の式(a)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第1の変性シリコン化合物と、式(b)で表される化合物の少なくとも1種よりなる第2の変性シリコン化合物と、中空粒子または多孔質粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含む樹脂組成物を硬化することにより形成されたものである表示装置。
【化9】

(Raは、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Rbは、アクリル基またはメタクリル基である。nは整数である。)
【化10】

(Rc〜Rdは、それぞれ独立して、アルキル基、アクリル基またはメタクリル基である。Reは、アクリル基またはメタクリル基である。n、mは整数である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−254950(P2010−254950A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235692(P2009−235692)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】