説明

樹脂組成物およびこれから得られる表面保護フィルム

【課題】
光学材料に対する粘着特性、経時粘着安定性、透明性、巻き戻し性及び耐熱性に優れた表面保護フィルムを得ることのできる樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
スチレン系エラストマー100重量部に対し、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が200〜9,000の範囲にあり、JIS K2207で測定した軟化点が60〜160℃の範囲にあるオリゴマー20〜400重量部からなる樹脂組成物およびこれから得られる表面保護フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護フィルム用粘着剤として有用な樹脂組成物およびこれから得られる表面保護フィルムに関する。詳しくは、光学製品、建材、自動車部品等に使用される表面保護フィルム用樹脂組成物および表面保護フィルムに関する。詳しくは、粘着特性、特には被着体に対する粘着性および粘着力の経時安定性に優れ、また、耐熱性に優れ、被着体等への汚染が少なく、またフィッシュアイ等の外観に優れ、被着体を傷つけることが無く、さらにはロール状から繰出す際の繰出し性が容易である表面保護フィルム用樹脂組成物およびこれから得られる表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムは、主として建材用や光学用途用の樹脂製品、金属製品、ガラス製品等の被着体に貼付して使用し、これらの輸送、保管や加工時の傷付きまたは異物混入を防ぐ役割を果たしている。これらの表面保護フィルムは、一般には粘着性の無い表面層と、前記被着体と粘着させるための粘着層とからなる。表面層は通常、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体から形成される。
【0003】
近年、液晶画面、プラズマディスプレイ(PDP)やリアプロジェクション画面等に用いる部材、いわゆる光学製品の開発が進んでいる。これら光学製品を保護するための表面保護フィルムに対し、傷付きや異物混入のみならず、表面保護フィルムを貼付した状態で製品検査ができる様な透明性や、高温状態で貼付や熱処理工程を経ても適度な粘着力が発現する等の特性が所望されている。
【0004】
また、光学製品については、例えば偏光板、位相差板、導光板、プリズム板のように光学特性が要求される部材が多々あり、これらの部材に対しても適度な粘着力および経時でも安定した粘着力が発現できる保護フィルムが所望されている。
【0005】
一方、これらの光学部材に表面保護フィルムを使用した場合、表面保護フィルムを剥がした際に、糊残りや、表面保護フィルムにフィッシュアイが存在すると、光学部材に欠陥を生じることがあり、糊残りやフィッシュアイの無い表面保護フィルムが所望されている。
【0006】
また、比較的粘着力の高い表面保護フィルムでは、ロール状の製品から繰出すことが困難なため、粘着層に離型フィルムを貼り合わせた状態でロール状とし、被着体への貼付の際にこの離型フィルムを剥がして使用している。このような工程を採用すると、大量の廃棄物が発生することから、離型フィルムが無くても容易にロールから繰出すことのできる表面保護フィルムが求められている。
【0007】
特開2006−116769号公報には、ポリエチレン成分を主体とした表面保護フィルムが開示されている。しかしながら、同公報による方法では、一部用途部材に対しては適用可能であるが、粘着力が低く、また透明性も不充分で、被着体の用途には限りがあった。
【特許文献1】特開2006−116769号公報
【0008】
特開2009−83110号公報には、メタロセン触媒系によって得られる特定のプロピレン系ランダムブロック共重合体からなる表面保護フィルムが提案されている。しかしながら、同公報による方法では、粘着力も低く、さらなる改良が望まれている。
【特許文献2】特開2009−83110号公報
【0009】
特開2007−126512号公報には、イソブチレン系ブロック共重合体であるスチレン系エラストマーと粘着付与樹脂とを含む粘着層からなる表面保護フィルムが開示されている。しかしながら、同公報による方法では、高凹凸の被着体に貼り合わせた場合、粘着力の経時安定性が不充分であり、さらなる改良が望まれている。
【特許文献3】特開2007−126512号公報
【0010】
例えば、特開2007−126512号公報に開示されているようなスチレン系エラストマーや粘着付与樹脂は粘着力を上げるのに有効な成分であるが、ベタツキやブロッキングが悪く、フィルムを生産する際の取り扱いや、押出不良により生産性に難があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、生産性良く表面保護フィルムを製造することのできる樹脂組成物、および光学製品、建材製品や自動車部品の保管、輸送、加工、検査時に保護するための表面保護フィルムとして要求される特性、特には、被着体への粘着特性、透明性、耐熱性に優れ、被着体等への汚染が少なく、またフィッシュアイ等の外観に優れ、被着体を傷つけることが無く、及びロールからの繰出し性に優れた表面保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記課題を鑑み、鋭意検討した結果、ある特定の樹脂組成物およびこれから得られる表面保護フィルムにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
すなわち本発明は、スチレン系エラストマー100重量部に対し、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が200〜9,000の範囲にあり、JIS K2207で測定した軟化点が60〜160℃の範囲にあるオリゴマー20〜400重量部からなる樹脂組成物に関する。
また、本発明は、オリゴマーが、スチレン系オリゴマーである上記記載の樹脂組成物である。
さらには、スチレン系エラストマーがスチレンとイソブチレンとの共重合体である前記載の樹脂組成物である。
さらに本発明は、表面層(A)及び粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、表面層(A)がポリオレフィン樹脂からなり、粘着層(X)が、前記記載の樹脂組成物(X−1)2〜100重量%およびオレフィン系重合体(X−2)0〜98重量%、スチレン系エラストマー(X−3)0〜98重量%からなる組成物((X−1)、(X−2)及び(X−3)の合計で100重量%とする。)から形成されること特徴とする表面保護フィルムである。
また、表面層(A)及び粘着層(X)の少なくとも2層をT−ダイから押出成形して得られる多層フィルムである前記記載の表面保護フィルムである。
【0013】
次に本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、スチレン系エラストマー100重量部に対し、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が200〜9,000の範囲にあり、JIS K2207で測定した軟化点が60〜160℃の範囲にあるオリゴマー20〜400重量部、好ましくは30〜300重量部、より好ましくは50〜200重量部からなる。
【0015】
スチレン系エラストマーとしては、ポリスチレン相をハードセグメントとして有する公知のスチレン系エラストマーが使用できる。具体的には、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・ビニルイソプレン・スチレン重合体等のスチレンとジエンとの共重合体およびそれらの水素化物(例えばスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SEBS)等)やスチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)を挙げることができる。好ましくはスチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)である。
【0016】
上記スチレン系エラストマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(以下Mwと略記)は、10,000〜300,000の範囲、好ましくは15,000〜250,000の範囲、より好ましくは20,000〜200,000の範囲にある。Mwが10,000より小さい、または300,000より大きいと保護フィルムの生産性が悪く、好ましくない。
【0017】
上記スチレン系エラストマーのJIS K6253で測定したA硬度は、10〜60、好ましくは12〜50、より好ましくは15〜40の範囲にある。A硬度が60を超えると、この組成物により得られる保護フィルムの粘着性に劣り、好ましくない。また、A硬度が10未満であると、組成物の生産性が悪く、好ましくない。
【0018】
本発明の組成物に使用されるオリゴマーとしては、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が200〜9,000の範囲にあり、JIS K2207で測定した軟化点が60〜160℃の範囲にあるオリゴマーである。好ましくはMwが300〜7,000、軟化点が70〜150℃、より好ましくはMwが500〜5,000、軟化点が80〜140℃の範囲にある。
【0019】
オリゴマーとしては、上記分子量および軟化点を有するものであれば特に制限はないが、具体的には石油樹脂、水添系石油樹脂、スチレン系樹脂、クロマン・インデン樹脂、ロジン誘導体、テルペン系樹脂などを挙げることができる。好ましくはスチレン系樹脂、水添石油樹脂、より好ましくはスチレン系樹脂である。スチレン系樹脂としては、例えばスチレン単独重合体、α−メチルスチレン単独重合体、スチレン/α−メチルスチレン共重合体、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体、α−メチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体、スチレン系モノマー/α−メチルスチレン/脂肪族系モノマー共重合体を挙げることができる。
【0020】
上記本発明の組成物を使用することで、表面保護フィルムを得ることができる。
【0021】
本発明の表面保護フィルムは、表面層(A)及び粘着層(X)の少なくとも2層、または必要に応じて表面層(A)、基材層(B)及び粘着層(X)の少なくとも3層からなる。ここで、粘着層(X)を最内層とした場合、表面層(A)は最外層に位置し、フィルム
をロール状にする際には表面層(A)と粘着層(X)とが接触する。
表面層(A)は、ポリオレフィン樹脂からなる。
【0022】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレンやポリエチレンなどの公知のポリオレフィン樹脂を挙げることができる。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。これらの中で、巻き戻し性の観点から高圧法低密度ポリエチレン、透明性、耐熱性の観点からホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンが好ましく利用される。
【0023】
前記表面層(A)を形成する組成物中には、本発明の表面保護フィルムとしての特性を損なわない範囲で、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤、耐候剤、結晶核剤などの各種添加剤や、その他のポリオレフィン樹脂、ワックス、ポリエステル、ポリアミド、エラストマー等の樹脂改質剤を添加することも可能である。
【0024】
本発明の表面保護フィルムの粘着層(X)は、前記スチレン系エラストマーとオリゴマーからなる組成物(X−1)2〜100重量%、オレフィン系重合体(X−2)0〜98重量%、スチレン系エラストマー(X−3)0〜98重量%からなる組成物((X−1)、(X−2)及び(X−3)の合計で100重量%とする。)から形成される。好ましくは(X−1)が3〜90重量%、(X−2)が1〜95重量%、(X−3)が1〜95重量%、より好ましくは(X−1)が5〜70重量%、(X−2)が2〜80重量%、(X−3)が2〜70重量%((X−1)、(X−2)及び(X−3)の合計で100重量%とする。)である。
【0025】
オレフィン系重合体(X−2)は、公知の結晶性ポリオレフィンやオレフィン系エラストマーである。
【0026】
結晶性ポリオレフィンとしては、融点が110℃を超える公知のポリオレフィンであれば制限なく使用できるが、具体的には例えば、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1・1−ブテン共重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。
【0027】
オレフィン系エラストマーとしては、融点が110℃以下、好ましくは融点が100℃以下、さらに好ましくは融点が80℃以下または融点が観測されない炭素数2〜20のα−オレフィン重合体または共重合体、ないしはエチレンと不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸エステルとの共重合体である。具体的には、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン共重合体、4−メチルペンテン−1・1−ブテン共重合体、4−メチルペンテン−1・プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチ
レン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等を挙げることができる。粘着力の経時安定性の点から、好ましくは、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体共重合体である。さらに好ましくはプロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体である。
【0028】
スチレン系エラストマー(X−3)としては、ポリスチレン相をハードセグメントとして有する公知のスチレン系エラストマーが使用できる。具体的には、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・ビニルイソプレン・スチレン重合体等のスチレンとジエンとの共重合体およびそれらの水素化物(例えばスチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SEBS)等)やスチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)を挙げることができる。好ましくはスチレン・イソブチレン・スチレントリブロック共重合体(SIBS)、スチレン・イソブチレンジブロック共重合体(SIB)である。
【0029】
前記(X−1)、(X−2)および(X−3)からなる組成物により、本発明の表面保護フィルムにおける粘着層(X)を形成することができる。また、本発明においては、さらには本発明の特性を損なわない範囲で、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂改質剤や、帯電防止剤、結晶核剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0030】
本発明においては、さらに表面層(A)と粘着層(X)との間に少なくとも1層の基材層(B)を設けることも可能である。フィルムの機械強度や透明性制御を目的として、また、表面層(A)及び粘着層(X)との接着力が不足する場合には、中間層としてポリオレフィン樹脂や接着性樹脂ないしは接着剤を使用しても良い。
基材層としては特に制限はないが、一般には、融点が100℃以上のポリプロピレンやポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィンや、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン系エラストマーなどが使用できる。基材層を接着層として使用する場合には、変性ポリオレフィンや、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステルエラストマーなどが用いられる。これらの中で、生産性及び透明性の点から、ポリプロピレンやポリオレフィンエラストマーを基材層として使用するのが好ましい。
【0031】
表面層(A)と粘着層(X)、必要に応じて基材層(B)を積層する方法については特に制限は無いが、あらかじめT−ダイ成形またはインフレーション成形にて得られた表面層フィルム上に、押出ラミネーション、押出コーティング等の公知の積層法により積層する方法や、基材層及び粘着層を独立してフィルムとした後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、表面層、基材層、粘着層の各成分を多層の押出機に供して成形する共押出成形が好ましい。
【0032】
本発明の表面保護フィルムにおける表面層(A)の厚みとしては、0.1〜100μm、好ましくは0.3〜50μm、より好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。粘着層(X)の厚みとしては、0.1〜50μ、好ましくは0.3〜40μ、より好ましくは0.5〜30μmである。
【0033】
本発明の表面保護フィルムの厚みとしては、1〜300μm、好ましくは2〜200μm、より好ましくは3〜100μmである。
【0034】
上記好ましい形態の表面層(A)、粘着層(X)及び必要に応じて基材層(B)を使用することで、粘着特性、特には高凹凸の被着体に対して優れた粘着力が発現し、また透明性に優れた表面保護フィルムが得られ、特には建材用途、光学用途に対して好適に利用できる。
【0035】
以下に本発明を実施例により詳細説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
[評価法]
粘着力(アクリル板):
アクリル板を幅50mm、長さ125mmに切断し、この試験板に2kgのゴムローラーを用いて貼り付ける。次いで、300mm/分の速度で剥離(180度剥離)した時の剥離力を測定し、50mm幅あたりの剥離力を粘着力(N/50mm)とする。
粘着力(凹凸板):
新製鋼株式会社製ステンレススチールHL仕上げ#180に保護フィルムを貼り付け、300mm/分の速度で剥離(180度剥離)した時の剥離力を測定し、50mm幅あたりの剥離力を粘着力(N/50mm)とする。
【0037】
メルトフローレート(MFR):
ASTM D1238に準拠して、荷重2.16kg、温度230℃で測定した。
【0038】
[樹脂組成物の製造]
スチレン系エラストマーとして、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマーとスチレン−イソブチレン−ジブロックコポリマーとの混合物(A硬度20、MFR=14g/10分、分子量(Mw)=48,000)100重量部に対し、オリゴマーとして、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体(商品名:FTR、銘柄名:FTR6125、Mw=1950、軟化点 125℃、三井化学社製)100重量部をブレンドし、40mmΦの単軸押出機にて、樹脂温度190℃にて造粒することにより、ペレット状の樹脂組成物を得た。
実施例1
表面層、基材層及び粘着層用に40mmφの単軸押出機を兼ね備えダイ幅500mmの3種3層T−ダイ成形機に以下樹脂組成物を表−1記載の配合量にて供給し、表面層厚みを10μm、粘着層厚み10μm、基材層厚み30μm、トータル厚み50μmの表面保護フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表−1に示す。

表面層:
LD−1:高圧法低密度ポリエチレン
(密度0.920g/cm、MFR(190℃)6g/10分)

基材層:
PP−1:ホモポリプロピレン
(融点160℃、MFR(230℃)7g/10分)
EL−1:エチレン・ブテン共重合体
(商品名:タフマー、銘柄名:A−4085S、MFR=3.6g/10分、
三井化学株式会社製)

粘着層:
樹脂組成物−1:[樹脂組成物の製造]で得られた樹脂組成物
PBR:プロピレン・ブテン共重合体(メタロセン触媒で製造)
(融点=80℃、MFR=7g/10分)
PER:プロピレン・エチレン共重合体(メタロセン触媒で製造)
(融点=115℃、MFR=7g/10分)
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマー
(商品名:シブスター、銘柄名:062T、MFR=8.0g/10分、
カネカ社製)
【0039】
実施例2、及び比較例1
各種層の樹脂組成を表1記載の樹脂組成とした以外は、実施例1と同様にして表面保護
フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表−1に示す。
【0040】

【表1】

【0041】
発明の効果
本発明の表面保護フィルムは、粘着特性、特に高凹凸被着体への粘着特性および経時安定性、透明性、巻き戻し力及び耐熱性に優れ、光学用途、建材用途、自動車部品用途との保護フィルムとして産業上の利用価値は極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系エラストマー100重量部に対し、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が200〜9,000の範囲にあり、JIS K2207で測定した軟化点が60〜160℃の範囲にあるオリゴマー20〜400重量部からなる樹脂組成物。
【請求項2】
オリゴマーが、スチレン系オリゴマーである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
スチレン系エラストマーがスチレンとイソブチレンとの共重合体である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
表面層(A)及び粘着層(X)の少なくとも2層からなる表面保護フィルムであり、表面層(A)がポリオレフィン樹脂からなり、粘着層(X)が、請求項1〜3記載の樹脂組成物(X−1)2〜100重量%およびオレフィン系重合体(X−2)0〜98重量%、スチレン系エラストマー(X−3)0〜98重量%からなる組成物((X−1)、(X−2)及び(X−3)の合計で100重量%とする。)から形成されること特徴とする表面保護フィルム。
【請求項5】
表面層(A)及び粘着層(X)の少なくとも2層をT−ダイから押出成形して得られる多層フィルムである請求項4に記載の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2011−37956(P2011−37956A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185048(P2009−185048)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000220099)三井化学東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】