説明

樹脂組成物およびそれを用いた成形体

【課題】流動性に優れ、金型転写が良好で、耐薬品性、耐傷つき性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分の60モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)とから樹脂組成物であって、下記式(i)、(ii)を満たし、JIS K7210に従い、温度290℃、荷重2.16kg条件下で測定されるメルトマスフローレートが2〜20g/10分である樹脂組成物。{(A)+(B)}/(C)=20/80〜80/20(質量比)(i)(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比)(ii)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性に優れ、金型転写が良好で、耐薬品性、耐傷つき性に優れた樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車や自動四輪車の外装部品には、プラスチック部品が多用され、様々な機能性が求められている。二輪自動車用途のフロントカウル、リアカウル、サイドカバー等では、外観を向上させるため、鏡面仕上げによる高い光沢度が要求され、これに対し従来は塗装をすることで対応していた。例えば、ポリプロピレン樹脂などは直接塗装できないため、プライマー処理を行い、塗装を行っていた。一方で、無塗装であっても高光沢度を有する組成物の検討が行われている。特許文献1、2には、無塗装で用いることが可能なポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。このような組成物は、光沢度を高めることができたが、剛性や耐衝撃性等の機械特性は損なわれた。その他、耐衝撃性に改良したアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合品(ABS樹脂)も検討されているが、含有するゴム成分の影響により、高光沢の外観を得ることは難しかった。
【0003】
また、自動二輪車や自動四輪車は日々の使用において、外装部品に付着した土砂、汚れ、ほこり等を除くため、ノニオン系洗浄剤等の洗浄剤を用いて洗浄作業が行われる。洗浄剤以外にもワックス、艶出し剤、燃料、オイルやバッテリー液などが付着する可能性があり、耐洗浄剤性、耐薬品性に優れている材料が求められていた。このような要求に対しては、ABS樹脂である場合、アクリロニトリル(AN)成分の比率を増大させること(例えば特許文献3)、ポリブチレンテレフタレートを成分として含むポリエステルエラストマーとアロイ化すること(例えば特許文献4)などの手法により、耐薬品性を向上することが提案されているが、いずれも塗装することが前提であり、無塗装で高い光沢度を有する成形品は得られなかった。
【0004】
さらに、自動二輪車の場合、乗車時の着衣の接触が外装部品を傷つけ、その部分の光沢がなくなり、外観が悪化することがある。成形品を塗装する場合、表面硬度が高く傷つきにくい塗料を使用したり、塗装後にハードコートを行ったりすることで、傷つきの抑制が行われているが、工程が増える等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−43746号公報
【特許文献2】特開平11−80493号公報
【特許文献3】特公昭63−30953号公報
【特許文献4】特公平6−13631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流動性に優れ、金型転写が良好で、耐薬品性、耐傷つき性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明の要旨は下記のとおりである。
【0009】
(1)非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分の60モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)とから樹脂組成物であって、下記式(i)、(ii)を満たし、JIS K7210に従い、温度290℃、荷重2.16kg条件下で測定されるメルトマスフローレートが2〜20g/10分であることを特徴とする樹脂組成物。
{(A)+(B)}/(C)=20/80〜80/20(質量比) (i)
(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比) (ii)
(2)請求項1記載の樹脂組成物に対し、さらに、下記式(iii)を満たすようにベンズオキサジノン化合物(E)を含有することを特徴とする(1)の樹脂組成物。
(E)/{(A)+(B)+(C)}=0.05/100〜5/100(質量比) (iii)
(3)非晶性ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶融混合する工程を経た後、さらに、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)を加え溶融混合を行うことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
(4)非晶性ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶融混合する工程を経た後、さらに、ポリエステル樹脂(C)、リン化合物(D)およびベンズオキサジノン化合物(E)を加え溶融混合を行うことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
(5)(1)または(2)の樹脂組成物を成形してなる成形体。
(6)(5)の成形体を用いた自動二輪車用外装部品。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流動性に優れ、金型転写が良好で、耐薬品性、耐傷つき性に優れた樹脂組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で用いる非晶性ポリアリレート樹脂(A)は、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、二価フェノールまたはその誘導体とよりなる非晶性の芳香族ポリエステル重合体であり、溶液重合、溶融重合、界面重合などの方法により製造される。
【0012】
芳香族ジカルボン酸残基を導入するための原料の好ましい例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などがあり、なかでも、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましく、溶融加工性および機械的特性の点から、両者を混合して用いることが特に好ましい。その場合、混合モル比率(テレフタル酸/イソフタル酸)は100/0〜0/100の範囲の任意であるが、好ましくは80/20〜10/90、より好ましくは60/40〜25/75の範囲とすると得られるポリアリレートは非晶質となり、透明性の優れたものとなる。
【0013】
ビスフェノール類残基を導入するための原料はビスフェノールであり、その具体例として、例えばレゾルシノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、3,3,5−トリメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらの化合物からなるポリアリレート樹脂は非晶性で透明性に優れたものとなりやすい。これらの化合物は単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物の中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、最適にはこれを単独で使用する。
【0014】
非晶性ポリアリレート樹脂(A)のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定されるインヘレント粘度は、0.40〜0.70であることが好ましく、0.45〜0.65であることがより好ましい。インヘレント粘度が0.40未満になると得られる樹脂組成物の機械的特性が劣ったものとなったり、熱変形温度が低下したりして好ましくなく、インヘレント粘度が0.70を超えると溶融粘度が高くなるため、得られる樹脂組成物の流動性が劣ったものとなる場合があって好ましくない。
【0015】
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(B)は、ビスフェノール類残基単位とカーボネート残基単位とが繰り返されてなるポリ炭酸エステルである。ポリカーボネート樹脂は前記非晶性ポリアリレート樹脂と類似のビスフェノール類残基単位を有するため、ポリアリレートに対して良好な相溶性を示す。そして、非晶性ポリアリレート樹脂(A)と混合して用いることで、得られる樹脂組成物の流動性を改善することができる。
【0016】
ビスフェノール類残基単位を導入するためのポリカーボネート原料としてのビスフェノール類としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−または1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジチオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。その他にも米国特許明細書第2,999,835号、第3,028,365号、第3,334,154号および第4,131,575号に記載されているジフェノールが使用できる。これらは単独で使用してもよいし、あるいは2種類以上混合して使用してもよい。これらの化合物の中でも少なくとも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用することが好ましく、より好ましくは当該化合物を単独で使用する。
【0017】
カーボネート残基単位を導入するためのポリカーボネート原料としては、例えばホスゲン、あるいはジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0018】
ポリカーボネート樹脂(B)のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定されるインヘレント粘度は、0.40〜0.70であることが好ましく、0.42〜0.65であることがより好ましい。インヘレント粘度が0.40未満になると得られる樹脂組成物の機械的特性が劣ったものとなったり、熱変形温度が低下したりして好ましくなく、インヘレント粘度が0.70を超えると溶融粘度が高くなるため、得られる樹脂組成物の流動性が劣ったものとなる場合があって好ましくない。
【0019】
本発明で用いるポリエステル樹脂(C)は、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重合させてなり、主たるジカルボン酸成分としてはテレフタル酸を、主たるジオール成分としては1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたポリエステルである。
【0020】
ポリエステル樹脂(C)において、そのジカルボン酸成分はテレフタル酸であることが好ましい。テレフタル酸成分は、ジカルボン酸成分の70モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。この成分が70モル%未満になると、耐熱性あるいは耐薬品性が低下する場合がある。テレフタル酸以外の酸成分として、例えばイソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、オキシジカルボン酸、及びそれらの炭素数が1〜3のアルキルのエステル化物、テレフタル酸の炭素数が1〜3のアルキルエステル化物及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの中で他のジカルボン酸成分として好ましいものはイソフタル酸である。
【0021】
前記ポリエステル樹脂(C)は、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを60モル%以上、特に70モル%以上含有していることが好ましい。この成分が60モル%未満になると、十分な耐衝撃性能が得られず、また耐熱性も低下する傾向がある。1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分として、例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル,1,5−ペンタンジオール、ポリテトラメチレングリコール及びそれらの混合物を挙げることができる。これらの中で他のジオール成分として好ましいものはエチレングリコールを単独で用いるものである。
【0022】
ポリエステル樹脂(C)のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定されるインヘレント粘度は、0.5〜1.2であることが好ましく、0.6〜1.1であることがより好ましい。インヘレント粘度が0.5未満の場合、樹脂組成物の機械的特性が劣ったものとなり、インヘレント粘度が1.2を超えると溶融粘度が高くなりすぎて、得られる樹脂組成物の流動性が劣ったものとなる場合があって好ましくない。
【0023】
本発明で用いるリン化合物(D)は、主にリン酸化合物および/または亜リン酸化合物であり、樹脂組成物の成形加工時の変色を抑制するものである。
【0024】
リン酸化合物としては、例えば、エチルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート、2−エチルヘキシルアシッドフォスフェート、オレイルアシッドフォスフェート、テトラコシルアシッドフォスフェート等の有機リン酸エステル類が挙げられる。
【0025】
亜リン酸化合物としては、例えば、トリスノニルフォスファイト、トリスフェニルフォスファイト、トリストリデシルフォスファイト、トリス(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリス(モノ・ジノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)フォスファイト、トリス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル]フォスファイト、トリス[2,4−ジ−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル]フォスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)フォスファイト、トリスフェニルフォスファイト、トリス(オクチルチオエチル)フォスファイト、トリス(オクチルチオプロピル)フォスファイト、トリス(クレジルチオプロピル)フォスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)フォスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)フォスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−オクチル)フォスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)スピロペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)スピロペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)スピロペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)スピロペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)スピロペンタエリスリトールジフォスファイト等の有機亜リン酸エステル類が挙げられる。
【0026】
本発明の樹脂組成物において、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分の60モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)の配合比率は、下記式(i)、(ii)を満たす必要がある。
{(A)+(B)}/(C)=20/80〜80/20(質量比) (i)
(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比) (ii)
【0027】
前記式(i)において、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂およびポリエステル樹脂(C)の合計100質量部に対して、ポリエステル樹脂(C)の配合が30〜70質量部であることが好ましく、40〜60質量部であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂(C)の配合が80質量部を超えると樹脂組成物の色調自体あるいは成形時の流動性が劣ったものとなる。一方、ポリエステル樹脂(C)の配合が20質量部未満であると、得られる成形品の耐候性、耐傷つき性が劣ったものとなる。
【0028】
さらに、式(i)に加えて、非晶性ポリアリレート樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B)は下記式(iv)を満たすことが好ましい。(B)/(A)が下記式(iv)の範囲を満たすことで、成形品の耐候性や耐薬品性をより高めることができる。
(B)/(A)=0/100〜70/30(質量比) (iV)
【0029】
前記式(ii)において、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂およびポリエステル樹脂(C)の合計100質量部に対して、リン化合物(D)の配合が0.03〜0.3質量部であることが好ましく、0.05〜0.2質量部であることがより好ましい。リン化合物は、本来、樹脂組成物の変色を抑制するものであるが、リン化合物(D)の配合が0.5質量部を超えると、反対に樹脂組成物の成形加工時の変色を促進してしまう。リン化合物(D)の配合が0.01質量部未満であると、樹脂組成物の変色抑制効果を高めることができない。なお、リン化合物を2種類以上組み合わせて用いる場合はそれらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0030】
リン化合物(D)は、樹脂組成物の成形加工時の熱劣化による褐変を抑制するものであるが、本発明においては、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂およびポリエステル樹脂(C)からなる樹脂組成物特有の、樹脂組成物の溶融加工よる変色、すなわちオレンジ色に着色する現象を効果的に抑制することができる。このような着色はもともとテレフタル酸成分と1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とを主成分とするポリエステル樹脂を溶融加工する際の特徴的なもので、本発明のように非晶性ポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂と溶融混合すると顕著に見られる現象である。自動二輪車外装部品はそのデザインに合せて、さまざまな色に着色しなければならず、無塗装で成形品を使用するにあたっては、本発明の樹脂組成物は限りなく無色である方が染顔料によって任意の色調に着色できて好ましい。これに対し、リン化合物、好ましくは、有機リン化合物を溶融加工時に含有させると、原理は不明であるが、当該変色を抑制することができる。
【0031】
本発明に用いる樹脂組成物には、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)に加え、ベンズオキサジノン化合物(E)を含有していることが好ましい。
【0032】
ベンズオキサジノン化合物(E)は、下記化学式(I)で表わされる化合物であり、本発明の樹脂組成物に含有し、紫外線吸収剤として作用し、非晶性ポリアリレート樹脂(A)に特有の黄変現象を遅延させる場合がある。紫外線吸収剤は一般に種々知られているが、ベンズオキサジノン化合物(E)は低波長域から紫外線−可視光の境界域までの光を吸収するものの樹脂組成物に添加してもほぼ無色な樹脂組成物を得られるのに対し、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物やベンゾフェノン化合物など、他の紫外線吸収剤は一部の波長域の紫外線を吸収しない場合や、紫外線全域を吸収するものの一部の可視光も吸収する場合があり、前者は耐紫外線性が不十分なものとなり、後者は無色な樹脂組成物が得られなく、共に好ましくない。
【0033】
【化1】

【0034】
ベンズオキサジノン化合物(E)の含有量は、下記式(iii)を満たすような配合とすることが好ましい。下記式(iii)において、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂およびポリエステル樹脂(C)の合計100質量部に対して、ベンズオキサジノン化合物(E)の配合を0.1〜3質量部とすることがより好ましい。ベンズオキサジノン化合物(E)の配合が5質量部を超えても、樹脂組成物の非晶性ポリアリレート樹脂(A)由来の黄変現象を遅延させる効果は飽和に達してしまい、コストがかかるばかりとなる。ベンズオキサジノン化合物(E)の配合が0.05質量部未満であると、樹脂組成物の黄変現象を遅延させる効果が乏しくなる。
(E)/{(A)+(B)+(C)}=0.05/100〜5/100(質量比) (iii)
【0035】
本発明の樹脂組成物において、非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)、さらにはベンズオキサジノン化合物(E)を溶融混合したものであることが好ましい。全ての成分を溶融混合せず、それぞれもしくはいずれか一つが単独成分のままブレンドして使用すると、成形品の組成が均一とならず、特に樹脂成分を単独でブレンドした場合には、成形品表面の光沢の斑が発生して外観の劣ったものとなって好ましくない。
【0036】
本発明において、非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)、さらにはベンズオキサジノン化合物(E)を溶融混合する方法は特に限定されるものではなく、各成分を一括混合して溶融混合する方法、非晶性ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶融混合する工程を経た後、さらに、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)を加え溶融混合を行う方法が挙げられる。理由は明確ではないが、得られる成形品の光沢性を向上させることを考慮すると、非晶性ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶融混合する工程を経た後、さらに、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)を加え溶融混合を行う方法を用いることが好ましい。
【0037】
本発明の樹脂組成物のフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定されるインヘレント粘度は、0.68〜0.74であることが好ましく、0.70〜0.72であることがより好ましい。インヘレント粘度が0.68未満になると得られる樹脂組成物の機械的特性が劣ったものとなったり、熱変形温度が低下したりして好ましくなく、インヘレント粘度が0.74を超えると樹脂組成物より得られる成形品の光沢度が劣る傾向がある。なお、インヘレント粘度は分子量の指標であるが、本発明において、樹脂組成物の溶融時の流動特性は、インヘレント粘度を参照することができるが、配合成分の組成比が異なると挙動が大きく変動するため、成形加工時の流動特性は、後述する溶融粘度を用いて判断することが好ましい。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、JIS K7210に基づいて温度290℃、荷重2.16kgにおけるメルトマスフローレートは、2〜20g/10分であることが必要であり、3.5〜19g/10分であることが好ましく、5〜18g/10分であることがさらに好ましい。メルトマスフローレートが2g/10分では流動性が不足し、射出成形時においてショートショットとなることがある。20g/10分を超えると、耐候促進試験実施後の成形品の光沢度や、耐傷つき性試験実施後の成形品の光沢度が劣る傾向がある。
【0039】
本発明の樹脂組成物には、前記成分のほかに、成形品の意匠性の観点から染料や顔料などの着色材を含有させてもよい。また、成形品の長期耐久性のさらなる向上の観点から、ヒンダードフェノール系やラクトン系などの酸化防止剤を含有させてもよい。さらに、本発明で用いる樹脂組成物は、成形品の外観を損なわない限り、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤等の各種添加剤を含んでいても良い。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、通常の成形方法、例えば、射出成形、射出−押出成形、真空成形、圧空成形などで成形することができるが、得られる成形品の外観、特に光沢の点から射出成形もしくは射出−圧縮成形法が好ましく、射出成形法がより好ましい。使用する射出成形装置としては、本発明で用いる樹脂組成物を十分に可塑化および射出することができれば特に制限されない。特に成形品の外観を重視するのであれば、表面温度を射出・充填時は高く、冷却・固化時は低く変更するような温度制御が可能な金型を使用することが好ましく、非常に速い速度で温度変化ができる急熱急冷制御装置を使用することが、成形品の光沢のみならずウェルドラインのような外観不具合の発生を抑制でき、より好ましい。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、流動性に優れ、金型転写が良好で、耐薬品性、耐傷つき性に優れるため、自動二輪車や自動四輪車の外装部品等の成形体用途で使用できる。特に流動性、耐傷つき性に優れるため、フロントカウル、リアカウル、サイドカバー等の自動二輪車用の大型であって、しかも薄肉の成形品に対し、ショートショットとなることなく、しかも金型転写が良好であるため、好適に使用できる。しかも、無塗装であっても、外観の高い光沢度に加え、耐薬品性、耐傷つき性にも優れるため、意匠性を高め、しかも工程を減らすことができるため、経済的にもコストを抑えて用いることができる。
【実施例】
【0042】
次に実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
1.評価方法
(1)インヘレント粘度(ηinh)
フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40の混合液を溶媒として、濃度1g/dl、温度25℃の条件で測定し、dl/g単位で表した。
(2)溶融粘度
メルトインデクサ(東洋精機製作所社製F−F01型)を使用し、JIS K7210に従い、温度290℃、荷重2.16kg条件下メルトマスフローレート(MFR)を測定した。
(3)色調
色調測定装置(日本電色製SE−6000型)により、ASTM D1925に基づいてイエローインデックス(YI)を測定した。
(4)光沢度
村上色彩技術研究所社製グロスメーターGM−26PRO型を使用し、60度におけるグロス値を測定した。
(5)耐候促進試験
キセノンランプ型耐候性試験機(ATLAS社製ウェザオメーター)を用いて、波長範囲300〜400nmにおける放射照度100W/m2、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の条件で、照射時間500時間の紫外線照射を行い、試験前後の色調と光沢度を測定し、表1の基準で判定した。
【0044】
【表1】

(6)耐薬品性試験
テストピースを23℃の薬品に24時間浸漬し、浸漬前後の外観変化を目視で観察した。試験した薬品は0.1規定硫酸水溶液、ギヤオイルとブレーキフルードである。試験前後の色調と光沢度を測定し、表1の基準で判定した。ギヤオイルはカストロール社製4サイクル用オイル4T(10W−30)、ブレーキフルードはATE社製DOT4を用いた。
(7)耐傷つき性試験
直径300mmの円形のデニム生地上の、中心から100mmの円周上に1kgの錘を載せたテストピースを固定し、5rpmの速度でデニム生地だけを100回転させた後、テストピースの色調と光沢度を測定し、表2の基準で判定した。
(8)模擬外装部品の評価
型締め力1050tの射出成形機(東芝機械社製IS1050GT型)を使用して、シリンダー温度310℃、金型温度70℃の条件で、長辺約400mm、短辺約200mm、厚み2mmの模擬外装部品を成形し、外観を目視で評価した。射出成形時の計量がフルショットであって、平面平滑性があり、光沢が良好なものを「異常なし」と判断した。平面平滑性があっても、光沢が劣るものを「光沢やや劣る」とした。また、流動性が不足し、フルショットできないものを「ショートショット」とした。
【0045】
【表2】

【0046】
2.原料
実施例と比較例に使用した原材料は、次の通りである。
【0047】
(A)非晶性ポリアリレート樹脂
以下の方法により合成したものを使用した。
【0048】
製造例1
水冷用ジャケットと攪拌装置を備えた内容積500Lの反応容器中に、水酸化ナトリウム3kgを250Lのイオン交換水に溶解し、ついで2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPA)8.25kgおよびp−tertブチルフェノール0.3kgを溶解した。
別の容器でテレフタル酸ジクロリド(以下TPC)3.75kg、イソフタル酸ジクロリド(以下IPC)3.75kgをジクロロメタン130Lに溶解した。それぞれの液を20℃になるよう調節した後、反応槽で前記水溶液を攪拌したところへ、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドの50%水溶液を0.075kg添加し、さらに前記ジクロロメタン溶液を全量投入し、6時間攪拌を続けた後、攪拌機を停止した。静置分離後に水相を抜き出し、残ったジクロロメタン相に酢酸0.25kgを添加した。
その後、イオン交換水130Lを投入し、20分間攪拌してから再度静置して水相を抜き出した。この水洗操作を水相が中性になるまで繰り返した後、ジクロロメタン相をホモミキサーを装着した容器に入った50℃の温水中に投入して塩化メチレンを蒸発させ、粉末状ポリアリレートを得た。この粉末状ポリアリレートを脱水した後、真空乾燥機を使用して、減圧下120℃で24時間乾燥してポリアリレート樹脂を得た。この樹脂のインヘレント粘度は0.55dl/gであった。
【0049】
(B)ポリカーボネート樹脂
・ポリカーボネート樹脂(住友ダウ社製カリバー200−30)、インヘレント粘度0.44
【0050】
(C)ポリエステル樹脂
テレフタル酸単位(以下TPA)、イソフタル酸単位(以下IPA)、エチレングリコール単位(以下EG)、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位(以下CHDM)からなる共重合ポリエステル、
またはポリエチレンテレフタレートを使用した。それらを以下に示す。
(C−1):TPA/IPA/CHDM=95/5/100(モル比)
(イーストマンケミカル社製サーミックス6761)、インヘレント粘度0.9
(C−2):TPA/CHDM/EG=100/65/35(モル比)
(イーストマンケミカル社製イースターDN003)、インヘレント粘度0.7
(C−3):TPA/CHDM/EG=100/30/70(モル比)
(イーストマンケミカル社製PETG6763)、インヘレント粘度0.7
(C−4):ポリエチレンテレフタレート;TPA/EG=100/100(モル比)
(ユニチカ社製NEH−2070)、インヘレント粘度0.88
【0051】
(D)リン化合物
(D−1):ビス(2,6−ジーt−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(ADEKA社製アデカスタブPEP−36)
(D−2):エチルビス(2,4−ジーt−ブチル−6−メチルフェニル)ファスファイト(BASF社製IRGAFOS38)
(D−3):ブチルアシッドフォスフェート(城北化学社製JP−504)
【0052】
(E)紫外線吸収剤
(E−1):ベンズオキサジノン化合物(サイテック社製サイアソーブUV−3638)
下記化学式(II)に記載の化合物である。
【化2】


(E−2):2‐ヒドロキシ‐4‐(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(BASF社製CHIMASSORB81)
(E−3):ベンゾトリアゾール化合物(ADEKA社製アデカスタブLA−31)
下記化学式(III)に記載の化合物である。

【化3】

【0053】
実施例1
乾燥状態のポリアリレート樹脂70質量部、ポリカーボネート樹脂10質量部をドライブレンドした後、クボタ製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて、ベント部を二箇所有するスクリュー径37mm、L/D38の二軸押出機(東芝機械社製TEM−37BS)の主供給口に供給し溶融混練を行い、ノズルからストランド状に引き取った溶融混練物を水浴して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングし、混合物ペレットを得た。この混合物ペレットに対し、さらにポリエステル樹脂(C−1)20質量部、有機リン化合物0.15質量部を加え、上記条件と同様にして、再び溶融混練を行い樹脂組成物ペレットを得た。なお、二軸押出機の条件は、バレル温度設定280℃、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/hとした。樹脂組成物の各成分の配合割合は、最終的に表1記載の組成となるように行った。
【0054】
得られた樹脂組成物ペレットを80℃、16時間真空乾燥を行った後、型締め力100tの射出成形機(東芝機械社製EC100NII型)を使用して、シリンダー温度300℃、金型温度60℃の条件で、50×90×2mmのテストピースを射出成形した。得られたテストピースについて、色調と光沢度を測定した。また、耐候促進試験、耐薬品性、および、耐傷つき性試験を実施し、試験後のテストピースについて色調と光沢度を測定した。さらに、模擬外装部品を成形し、外観を目視で評価した。その結果を表3および表4に示す。
【0055】
実施例2〜16
表3記載の配合に従い、実施例1と同様にして、樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形を行って各種測定、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0056】
【表3】

【0057】
実施例17
乾燥状態のポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、有機リン化合物および紫外線吸収剤を、実施例1と同一の最終組成となるよう一括でドライブレンドした後、クボタ製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1型を用いて、ベント部を二箇所有するスクリュー径37mm、L/D38の二軸押出機(東芝機械社製TEM−37BS型)の主供給口に供給した。そして、押出機のバレル温度設定280℃、ベント減圧度−0.099MPa(ゲージ圧)、吐出量20kg/hで溶融混練を行い、ノズルからストランド状に引き取った溶融混練物を水浴して冷却固化し、ペレタイザーでカッティングした後、80℃で16時間真空乾燥することによって樹脂組成物のペレットを得た後、射出成形を行って各種測定、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0058】
比較例1〜10
表4記載の配合に従い、実施例1と同様にして、樹脂組成物ペレットを得た後、射出成形を行って各種測定、評価を行った。その結果を表4に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
実施例1から17は、所定の配合にしたがったため、流動性に優れ、金型転写が良好で、耐薬品性、耐傷つき性に優れた樹脂組成物とすることができた。
【0061】
比較例1においては、樹脂組成物中の非晶性ポリアリレート樹脂の比率が高すぎ、もともとの色調があまり良くない上に、射出成形時の流動性がよくなく、摸擬外装部品の成形でショートショットとなって外観がよくないものであった。
【0062】
比較例2においては、比較例1とは逆に非晶性ポリアリレート樹脂の比率が低すぎるため、耐候性と耐傷つき性が劣ったものとなった。
【0063】
比較例3においては、樹脂組成物中の非晶性ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂の比率が不適切であり、耐候性と一部の薬品に対する耐薬品性が劣ったものとなった。
【0064】
比較例4〜6においては、ジオール成分中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分の少ないポリエステル樹脂を使用したため、一部の薬品に対する耐薬品性が劣ったものとなった。
【0065】
比較例7および8においては、リン化合物の配合量が不適切なため、色調の劣るものとなった。
【0066】
比較例9および10においては、ベンズオキサジノン化合物以外のUV吸収剤を配合したため、色調の劣るものとなった。











【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性ポリアリレート樹脂(A)または非晶性ポリアリレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との混合樹脂、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分の60モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)とから樹脂組成物であって、下記式(i)、(ii)を満たし、JIS K7210に従い、温度290℃、荷重2.16kg条件下で測定されるメルトマスフローレートが2〜20g/10分であることを特徴とする樹脂組成物。
{(A)+(B)}/(C)=20/80〜80/20(質量比)
(i)
(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.01/100〜0.5/100(質量比)(ii)
【請求項2】
請求項1記載の樹脂組成物に対し、さらに、下記式(iii)を満たすようにベンズオキサジノン化合物(E)を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
(E)/{(A)+(B)+(C)}=0.05/100〜5/100(質量比) (iii)
【請求項3】
非晶性ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶融混合する工程を経た後、さらに、ポリエステル樹脂(C)およびリン化合物(D)を加え溶融混合を行うことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
非晶性ポリアリレート樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を溶融混合する工程を経た後、さらに、ポリエステル樹脂(C)、リン化合物(D)およびベンズオキサジノン化合物(E)を加え溶融混合を行うことを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
【請求項6】
請求項5記載の成形体を用いた自動二輪車用外装部品。










【公開番号】特開2013−79296(P2013−79296A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218706(P2011−218706)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】