説明

樹脂組成物およびそれを用いた接着剤、多層構造体、輸液バッグ

【課題】ポリオレフィン系樹脂層及びビニルアルコール系樹脂の両方との接着性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂と、スチレン系熱可塑性エラストマーとを含有する樹脂組成物であって、ポリビニルアルコール系樹脂とエラストマーの重量比が75/25〜60/40であり、ポリビニルアルコール系樹脂が島成分、ブロック共重合体が海成分の海島構造であることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する。)及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは、ポリオレフィン系樹脂及びビニルアルコール系樹脂の両方と良好な接着性を有する樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療・福祉用途等に利用されている輸液バッグには、強靭性に優れる点で、主として軟質ポリ塩化ビニルが用いられている。しかし、軟質ポリ塩化ビニルは、ジオクチルフタレート等の可塑剤を多量に含有しており、かかる可塑剤が輸液バッグ中の薬剤に溶出する可能性があるため、安全性に問題があった。また、医療用輸液バッグは、感染等を防ぐため、再利用せず、焼却処分されるが、焼却方法によっては、ポリ塩化ビニルは、ダイオキシン等の有毒塩素系物質が発生するため、環境汚染の問題が生じる場合がある。
【0003】
そのため、ポリ塩化ビニルの代わりに、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いた輸液バッグが提案されている。
なお、かかる輸液バッグは、樹脂フィルム1枚を折り合わせて、あるいは2枚を重ね合わせて、ふちをヒートシールや接着剤で接着して製袋されているが、かかる接着には内容物の漏れ、外気の混入、感染などを防ぐため、強い接着力が要求される。例えば、ポリオ
レフィン系樹脂フィルムを用いた輸液バッグにおいては、接着剤としてスチレン系熱可塑性エラストマーが提案されている。なお、かかる接着剤は、接着力に優れるのみならず、可とう性を有し、滅菌操作による接着力の低下が小さいため、輸液バッグの接着剤として好適なものである。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
一方、輸液バッグには、保存の観点から、内容物の品質を安定に保持する特性を有することが求められている。特に医療に使用されるアミノ酸製剤、ブドウ糖製剤、脂肪乳剤、電解質輸液剤などは酸素などにより変質しやすいため、優れた酸素ガスバリア性が必要である。しかし、先に挙げたポリオレフィン系樹脂は、充分なガスバリア性を持たないため、ガスバリア性に優れた樹脂との多層構造体とする手法が必要となる。
【0005】
かかるガスバリア性樹脂としては、例えば、PVA系樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂が知られている。このビニルアルコール系樹脂とポリオレフィン系樹脂は接着性に乏しいことから、これらを積層させる場合、接着剤層を介在させる必要がある。しかしながら、これらの両樹脂のいずれに対しても良好な接着性を持つものは少なく、例えば、前述のポリオレフィン系樹脂との接着性に優れるスチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニルアルコール系樹脂との接着性が不充分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−239635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂及びビニルアルコール系樹脂いずれに対しても優れた接着性を有する樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の事情に鑑み鋭意検討した結果、一般式(1)で表される構造単位を有するPVA系樹脂(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)(以下、エラストマー(B)と略記する。)とを含有する樹脂組成物であって、PVA系樹脂(A)とエラストマー(B)の重量比(A/B)が75/25〜55/45であり、かつ重量比率が多いPVA系樹脂(A)が島成分、重量比率が少ないエラストマー(B)が海成分の海島構造であることを特徴とする樹脂組成物によって、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
【化1】

[式中、R,RおよびRはそれぞれ独立しては水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
【0009】
通常、2種以上の非相溶性成分からなる樹脂組成物は、重量比率が大きい樹脂が海成分、重量比率が小さい樹脂が島成分の海島構造を形成する。そのため、かかる樹脂組成物の接着性等の表面特性は海成分に支配される。しかしながら、本発明の樹脂組成物は重量比率が小さい樹脂が海成分、重量比率が大きい樹脂が島成分であることから、フィルムのような膜にした時、両成分が混在した表面を形成するため、両方の表面特性を有するものと推定される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂とビニルアルコール系樹脂のいずれに対しても優れた接着性を有することから、ポリオレフィン系樹脂層とビニルアルコール系樹脂層を含む多層構造体において、両層の接着剤層の材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1で作製した樹脂組成物による接着フィルムを水でエッチングしたものを電子顕微鏡写真(2000倍)である。
【図2】比較例5で作製した樹脂組成物による接着フィルムをキシレンでエッチングしたものを電子顕微鏡写真(2000倍)である。
【図3】比較例6で作製した樹脂組成物による接着フィルムの断面をキシレンでエッチングしたものを電子顕微鏡写真(2000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願発明について詳細に説明するが、これらは望ましい実施形態の一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、以下に説明する一般式(1)で表される構造単位を有するPVA系樹脂(A)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含有するものである。
【0014】
[PVA系樹脂(A)]
本発明の樹脂組成物に用いられるPVA系樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するものであり、一般式(1)におけるR,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示すものである。
【化2】

【0015】
特に、かかる一般式(1)で表される構造単位中のR〜RおよびR〜Rは、すべて水素であり、Xは単結合であることが望ましく、下記一般式(1’)で表されるような構造単位を有するPVA系樹脂(A)が好適に用いられる。かかる一般式(1’)で表される構造単位を有するPVA系樹脂(A)は、1,2−ジオール成分の構造単位中に嵩高い有機基やアルキル基が無いため、樹脂組成物としたとき、高粘度になりにくく、作業性が良くなるため、多層構造体の接着層の形成に好適なものである。
【化3】

【0016】
ただし、かかる一般式(1)で表される構造単位中のR〜R及びR〜Rは、樹脂の特性を大幅に損なわない程度の量で、有機基であってもよく、その有機基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。また、ガスバリア性樹脂であるビニルアルコール系樹脂との接着性を良好とする目的などの必要に応じて、上記のアルキル基がハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していても良い。
【0017】
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは、溶融混練時や多層構造体の接着層の形成時における熱安定性の点や高温下/酸性条件下での安定性の点で、単結合であることが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲で、結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素基(これらの炭化水素基はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等を有していても良い)の他、−O−、−(CHO)m−、−(OCH)m−、−(CHO)mCH−、−CO−、−COCO−、−CO(CH)mCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である。)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、多層構造体の接着層を形成する際、粘度による作業性の点でXの結合鎖は嵩高さが小さいものが良いため、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
【0018】
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)の製造法は、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
【化4】


【化5】


【化6】

【0019】
上記一般式(2)、(3)、(4)中のR、R、R、X、R、R、Rは、いずれも一般式(1)の場合と同様である。また、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはR−CO−(式中、Rはアルキル基である。)である。R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子または有機基である。
【0020】
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825に説明されている方法を用いることができる。なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、さらに3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(3)で表される化合物であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
【0021】
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、これはビニルエチレンカーボネートの場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、(iii)の方法で用いられる一般式(4)で表される化合物である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランの場合のCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合度が上がりにくくなったり、重合速度低下の原因となることがないことを示すものである。
【0022】
また、かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が、ビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルに由来する構造単位からケン化時に副生する化合物と同一であり、その後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や工程を設ける必要がなく、従来からの設備を利用出来るという点も、工業的に大きな利点である。
【0023】
なお、上記3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、例えば、WO00/24702に記載の1,3−ブタジエンを出発物質とした合成ルートで製造された製品や、USP5623086、USP6072079に記載の技術によるエポキシブテン誘導体を中間体として製造された製品を入手することができ、また試薬レベルではアクロス社の製品をそれぞれ市場から入手することができる。また、1,4−ブタンジオール製造工程中の副生成物として得られる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを精製して利用することもできる。
また、1,4−ブタンジオール製造工程の中間生成物である1,4−ジアセトキシ−1−ブテンを塩化パラジウムなどの金属触媒を用いた公知の異性化反応することによって3,4−ジアセトキシ−1−ブテンに変換して用いることもできる。また、再公表WO00−24702号公報に記載の有機ジエステルの製造方法に準じて製造することも可能である。
【0024】
なお、(ii)や(iii)の方法によって得られたPVA系樹脂は、脱炭酸あるいは脱アセタール化が不充分な場合に、側鎖に微量のカーボネート環やアセタール環が残存する場合があり、溶融混練あるいは溶融成形時にかかる官能基による架橋反応がおこり、ゲル化物が発生する場合があるため、(i)による方法が最も好ましく用いられる。
【0025】
共重合の際、用いられるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
【0026】
本発明で用いるPVA系樹脂(A)のケン化度は、JIS K6726に準拠して測定して、通常70〜100モル%であり、更に好ましくは85〜99.9モル%であり、特に好ましくは95〜99モル%である。かかるケン化度が低すぎると、樹脂組成物とビニルアルコール系樹脂との接着性が低下する場合があり、また、溶融成形時に、PVA系樹脂(A)の側鎖アセチル基が脱離して酢酸となり、酢酸臭がする場合やPVA系樹脂(A)の主鎖が分解し、焦げなどの欠点が生じる場合がある。
【0027】
また、PVA系樹脂(A)の平均重合度は、JIS K6726に準拠して測定して、通常300〜1100であり、さらに好ましくは350〜800であり、特に好ましくは400〜600である。かかる重合度が小さすぎると、多層構造体の接着層の機械的強度が低下する場合があり、重合度が大きすぎると溶融成形時の溶融粘度が高くなり、接着層を形成することが困難になる場合があり、また、せん断発熱が大きくなって成形中に分解する場合がある。
【0028】
本発明で用いるPVA系樹脂(A)の溶融粘度は、温度210℃、せん断速度122sec−1の条件で測定して、通常300〜3000Pa・sであり、好ましくは1000〜2000Pa・sであり、特に好ましくは1300〜1800Pa・sである。かかるPVA系樹脂(A)の溶融粘度が高すぎると、溶融成形時にせん断発熱が発生し、熱分解する場合があり、逆に低すぎると、多層構造体の接着層の機械的強度が低下する場合がある。
【0029】
かかるPVA系樹脂(A)に含まれる1,2−ジオール成分の含有量は、通常0.5〜12モル%であり、さらには2〜10モル%、特に3〜8モル%であることが好ましい。かかる1,2−ジオール成分の含有量が小さすぎると、樹脂組成物とビニルアルコール系樹脂との接着性が低下する場合があり、また、分解温度と融点が近接するため、焦げ等の欠点が生じて多層構造体の接着層の溶融成形が困難になる場合があり、逆に1,2−ジオール成分の含有量が大きすぎると、溶融成形時の金属密着性が増加し、押出ダイ内の流動性が低下する場合がある。
【0030】
なお、1,2−ジオール成分の含有率(モル分率)は、1,2−ジオール成分が一般式(i)で示される構造単位の場合を例に挙げると、PVA系樹脂(A)を完全にケン化したものの1H−NMRスペクトル(300MHz、溶媒:d6−DMSO、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができ、具体的には1,2−ジオール単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出すればよい。
【0031】
なお、本願で用いるPVA系樹脂(A)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であっても良く、未変性PVAや他の変性PVAとの混合物でも良いが、混合物を用いる場合には、重合度、ケン化度、1,2−ジオール構造単位の含有量の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
【0032】
[エラストマー(B)]
本発明で用いるエラストマー(B)は、芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を主体とするハードセグメント(a)(以下、ハードセグメント(a)と略記する。)及び共役ジエン化合物やオレフィン化合物に由来する構成単位を主体とするソフトセグメント(b)(以下、ソフトセグメント(b)と略記する。)を含有するものである。
【0033】
かかるエラストマー(B)中の各ブロックの構成は、ハードセグメント(a)をXで示し、ソフトセグメント(b)をYで示した場合に、X−Yで表されるジブロック共重合体、X−Y−XまたはY−X−Yで表されるトリブロック共重合体、さらにXとYが交互に接続したポリブロック共重合体などを挙げることができ、その構造も直鎖状、分岐状、星型などを挙げることができる。中でも、力学特性の点で、X−Y−Xで表される直鎖状のトリブロック共重合体が好適である。
【0034】
まず、ハードセグメント(a)の形成に用いられるモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等のアルキルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のハロゲン化スチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、プロポキシスチレン、イソプロポキシスチレン、ブトキシスチレン等のアルコキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレンなどのベンゼン環以外の芳香環を有するビニル化合物、およびその誘導体等を挙げることができる。かかる芳香族ビニル化合物に由来する構成単位を主体とするハードセグメント(a)は、上述のモノマーの単独重合ブロックでも、複数のモノマーによる共重合ブロックでもよいが、スチレンの単独重合ブロックが好適に用いられる。
【0035】
なお、かかるハードセグメント(a)は、本発明の効果を阻害しない範囲(通常、重合体ブロック全体の10モル%以下)で、芳香族ビニル化合物以外のモノマーが少量共重合されたものでもよく、かかるモノマーとしては、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのオレフィン類、ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物やアリルエーテル化合物等を挙げることができる。
【0036】
エラストマー(B)中のハードセグメント(a)の重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に20,000〜200,000、さらに50,000〜100,000のものが好ましく用いられる。かかる重量平均分子量が大きすぎると、樹脂組成物の可とう性が低下する場合があり、逆に小さすぎると、機械的強度が低下する場合がある。
【0037】
次に、ソフトセグメント(b)の形成に用いられるモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン化合物、およびエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1−イソペンテン、2−イソペンテン、3−イソペンテンなどのオレフィン化合物等を挙げることができ、これらを単独で用いても、複数を組合わせて用いてもよい。
【0038】
なお、ソフトセグメント(b)が共役ジエン化合物の重合体ブロックの場合、重合によって複数の結合形式をとる場合があり、例えば、ブタジエンでは、1,2−結合によるブタジエン単位(−CH−CH(CH=CH)−)と1,4−結合によるブタジエン単位(−CH−CH=CH−CH−)が生成する。これらの生成比率は、共役ジエン化合物の種類により異なるので、一概にはいえないが、ブタジエンの場合、1,2−結合が生成する比率は、通常、20〜80モル%の範囲である。
【0039】
また、樹脂組成物やその多層構造体の耐熱性や耐候性を向上させる目的で、かかるソフトセグメント(b)中の共役ジエン化合物に由来する構造単位は、残存する二重結合の一部または全部を水素添加したものであってもよい。その際の水素添加率は、50〜99.9モル%であることが好ましく、特に70〜99モル%のものが好ましい。
【0040】
なお、かかる水素添加により、ブタジエンの1,2−結合によるブタジエン単位は、ブチレン単位(−CH−CH(CH−CH)−)となり、1,4−結合によって生成するブタジエン単位は二つの連続したエチレン単位(−CH−CH−CH−CH−)となるが、通常は前者が優先して生成する。
【0041】
なお、かかるソフトセグメント(b)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述のモノマー以外のモノマーが少量共重合されたものでもよく、かかるモノマーとしては、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのオレフィン類、メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物やアリルエーテル化合物等を挙げることができ、その共重合比率は、通常、重合体ブロック全体の10モル%以下である。
【0042】
エラストマー(B)中の(b)の重量平均分子量は、通常、10,000〜300,000であり、特に好ましくは20,000〜200,000であり、さらに好ましくは50,000〜100,000である。かかる重量平均分子量が大きすぎると、樹脂組成物の粘度が高くなり、多層構造体の接着層の成形が困難になる場合があり、逆に小さすぎると、可とう性が低下する場合がある。
【0043】
本発明で用いられるエラストマー(B)中のハードセグメント(a)とソフトセグメント(b)の含有量(a/b)は、通常、5〜50重量%であり、特に、10〜30重量%の範囲のものが好適である。エラストマー(B)中のハードセグメント(a)の含有量が多すぎると、本発明の多層構造体の接着層の可とう性が低下する場合があり、逆に少なすぎると、接着層の機械的強度が低下する場合がある。
【0044】
本発明で用いるエラストマー(B)の重合平均分子量は、通常、50,000〜500,000であり、特に120,000〜450,000、さらに150,000〜400,000のものが好ましく用いられる。なお、かかるエラストマー(B)の重量平均分子量は、GPCを用い、ポリスチレンを標準として求めた値である。
【0045】
また、エラストマー(B)の溶融粘度は、温度210℃、せん断速度122sec−1の条件で測定して、通常100〜1500Pa・mであり、特に好ましくは200〜1000Pa・mであり、更に好ましくは300〜700Pa・mである。
かかるエラストマー(B)の重合平均分子量又は/及び粘度が高すぎると、溶融成形時にせん断発熱が発生し、熱分解する場合があり、逆に、低すぎると、接着する際に、互いの層がずれる場合があり、また、接着層の機械的強度が低下する場合がある。
【0046】
かかるエラストマー(B)は、ハードセグメント(a)とソフトセグメント(b)を有するブロック共重合体を得て、さらに必要に応じて共役ジエン化合物を有するソフトセグメント(b)中の二重結合を水素添加することによって得ることができる。
まず、ハードセグメント(a)と、ソフトセグメント(b)を有するエラストマー(B)の製造法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、アルキルリチウム化合物などを開始剤とし、不活性有機溶媒中で芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物を逐次重合させる方法などを挙げることができる。
次に、このエラストマー(B)を水素添加する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、水素化ホウ素化合物などの還元剤を用いる方法や、白金、パラジウム、ラネーニッケルなどの金属触媒を用いた水素還元などを挙げることができる。
【0047】
かかるエラストマー(B)の具体例としては、スチレンとブタジエンを原料とするスチレン/ブタジエンブロック共重合体(SBS)、SBSのブタジエン構造単位における側鎖二重結合が水素添加されたスチレン/ブタジエン/ブチレンブロック共重合体(SBBS)、さらに主鎖二重結合が水素添加されたスチレン/エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンとイソプレンを原料とするスチレン/イソプレンブロック共重合体(SIS)などを挙げることができ、中でも熱安定性、耐候性に優れるSEBSが好ましく用いられる。
【0048】
上記に記載したエラストマー(B)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよいが、混合物を用いる場合には、ハードセグメント(a)、ソフトセグメント(b)の重合平均分子量、含有比(a/b)ブロック共重合体の重量平均分子量、ソフトセグメント(b)の水添加率、溶融粘度の平均値が上述の範囲内であることが好ましい。
【0049】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、上記のPVA系樹脂(A)及びエラストマー(B)を含有するものであり、必要に応じてその他の添加剤を配合しても良いものである。
【0050】
かかる樹脂組成物のPVA系樹脂(A)とエラストマー(B)の重量比(A/B)は、75/25〜55/45であり、特に好ましくは73/27〜58/42であり、更に好ましくは70/30〜60/40である。PVA系樹脂(A)の重量比率が多すぎると、PVA系樹脂(A)が海成分、エラストマー(B)が島成分となり、接着性はPVA系樹脂(A)に支配されるため、ポリオレフィン系樹脂との接着性が低下する場合があり、逆に、ブロック共重合体(B)の重量比率が多すぎると、接着フィルムとした時、表面に混在するPVA系樹脂(A)が少なくなり、ビニルアルコール系樹脂との接着性が低下する場合がある。
【0051】
また、本発明の樹脂組成物は、PVA系樹脂(A)が島成分、エラストマー(B)が海成分である海島構造を形成するものである。そのため、フィルムのような薄膜にした時、表面に両方の成分が混在し、ポリオレフィン系樹脂とビニルアルコール系樹脂のいずれに対しても優れた接着性を有するものである。
【0052】
かかる海島構造を持つ樹脂組成物にする方法としては、例えば、(1)PVA系樹脂(A)とエラストマー(B)の溶融粘度比(A/B)を調製する方法などがあり、その溶融粘度比(A/B)は、通常、7/1〜5/3であり、好ましくは6/1〜2/1であり、更に好ましくは6/1〜4/1である。かかる溶融粘度比が大きすぎると、多層構造体の接着層を形成する際、作業性が悪くなる場合があり、また小さすぎると、PVA系樹脂(A)とエラストマー(B)の分散性が悪くなり、各成分が分離し易く、接着層が特定の海島構造を形成しにくく、接着剤とポリオレフィン系樹脂及び/又はビニルアルコール系樹脂との接着性が悪くなる場合があり、また、接着フィルムの機械的強度が低下する場合がある。
【0053】
また、本願の海島構造を持つ樹脂組成物にする方法として、その他にも、(2)PVA系樹脂(A)の重合度を高くする方法、(3)PVA系樹脂(A)のケン化度を高くすることにより結晶化度を高くする方法、(4)エラストマー(B)のソフトセグメント(b)の含有比を大きくする方法などが挙げられる。しかし、(2)の方法では、重合度を高くしすぎると、溶融成形時、樹脂組成物のせん断発熱により焦げなどの欠点が生じる場合があり、(4)の方法では、ソフトセグメント(b)の含有比を大きくしすぎると、樹脂組成物の機械的強度が低下する場合がある。
【0054】
かかる海島構造の島成分であるPVA系樹脂(A)の平均粒径は、樹脂組成物の成形品を液体窒素下で割り、その断面部分を80℃の温水中で、2時間浸漬し、エッチングしたものの断面を走査電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影し、モルフォロジーを目視観察し、求めることができる。かかる平均粒径は、通常0.1〜10μmであり、表面層部分で通常、0.1〜3μm、特には0.2〜2μm、殊には0.3〜1μm、内層部分では通常、3〜10μm、特には4〜9μm、殊には5〜7μmである。表面層部分とは、樹脂組成物表面から内側に向かって15%以内の位置にある部分を示し、内層部分とは、樹脂組成物表面から内側に向かって15%を超える位置にある部分を示すものである。かかる平均粒径が大きすぎても小さすぎても接着力が低下する傾向がある。
【0055】
なお、本発明の樹脂組成物には、溶融成形を容易にする目的で、可塑剤を含有していてもよく、かかる可塑剤としては、エチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等の脂肪族多価アルコール、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの混合付加体等の各種アルキレンオキサイド、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、キシロール、アラビノース、リブロース等の糖類、ビスフェノールAやビスフェノールS等のフェノール誘導体、N−メチルピロリドン等のアミド化合物、α−メチル−D−グルコシド等のグルコシド類等が挙げられる。なお、その配合量としては、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、100重量部以下、さらには20重量部以下、特には10重量部以下とすることが好ましい。
【0056】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、補強剤、充填剤、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、帯電防止剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、他の熱可塑性樹脂などが含有されてもよい。
【0057】
本発明の樹脂組成物は、成形材料として使用するために、通常はペレットや粉末などの形状とされる。中でも成形機への投入や、取扱い、成形時、微粉による焦げや欠点の発生の問題が小さい点から、ペレット形状とすることが好ましい。
【0058】
本願の樹脂組成物を調製する方法としては、通常、PVA系樹脂(A)及びエラストマー(B)を溶融混練する方法が挙げられる。具体的には、各成分をドライブレンド後に溶融混練する方法、溶融状態のPVA系樹脂(A)とエラストマー(B)を混合する方法が挙げられる。
【0059】
混合順序としては、例えば、PVA系樹脂(A)とエラストマー(B)を同時にブレンドする方法、PVA系樹脂(A)又はエラストマー(B)いずれか一方を先に溶融し、その後、もう一方の樹脂をブレンドする方法がある。
【0060】
混合方法は、例えば、バンバリーミキサー等でドライブレンドする方法や単軸又は二軸の押出機等で溶融混練した後、ペレット化する等のブレンド方法が挙げられる。かかる溶融混練温度及び溶融混練時間は、PVA系樹脂(A)の融点などに応じて適宜調製する必要があるが、溶融温度は、通常、190〜230℃であり、好ましくは200〜220℃であり、溶融混練時間は、通常、20〜120秒であり、好ましくは30〜60秒である。
【0061】
溶融混練して得た樹脂組成物をペレットにする場合、例えば、溶融混練した後、樹脂組成物をストランド状に押し出して冷却し、得られたストランドをカッティングしたり、水中に押出してカッティング(アンダーウォーターカット法)したり、押出して直ぐにカッティング(ホットカット法)する方法等が挙げられる。
【0062】
[多層構造体]
本発明の多層構造体は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層の少なくとも一方の面に本発明の樹脂組成物を用いて得られる接着剤層を介してビニルアルコール系樹脂を主成分とする層が積層されてなる層構造を有する三層以上の多層構造体である。
【0063】
上記のポリオレフィン樹脂層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、代表的なものとして、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられるが、その他にも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどの炭素数2〜20、好ましくは2〜8のα−オレフィンの単独重合体、または他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。他のα−オレフィンとしては、上記のものと同じオレフィンを挙げることができる。なお、かかる層は、オレフィン共重合体を1種単独でも2種以上含有させたものでもよいものである。
【0064】
また、ビニルアルコール系樹脂層の成分としては、未変性の完全ケン化PVA系樹脂、未変性の部分ケン化PVA系樹脂、あるいはエチレンやプロピレン等のオレフィン類が共重合されたオレフィン変性ビニルアルコール系樹脂、各種官能基を側鎖に有する変性PVA系樹脂が挙げられる。かかる変性PVA系樹脂としては、側鎖に1,2−ジオール成分を有するものや、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、オキシアルキレン基、4級アンモニウム塩基、アセトアセチル基、ジアセトンアクリルアミド基などを側鎖に有するものが挙げられる。中でも、樹脂のガスバリア性が良好である点から、未変性の完全ケン化PVA系樹脂や、さらに溶融成形可能である点からエチレン−ビニルアルコール系樹脂や側鎖に1,2−ジオール成分を有するビニルアルコール系樹脂を成分として含有する層が好ましい。なお、ビニルアルコール系樹脂層は、ビニルアルコール系樹脂を1種単独でも2種以上含有させて得られたものであっても良いものである。
【0065】
本発明の多層構造体の層構成は、ポリオレフィン系樹脂層の少なくとも一方の面に本発明の樹脂組成物を含有する接着剤層を介してビニルアルコール系樹脂層が積層された層構造を有する三層以上の多層構造体であり、その構成は、ポリオレフィン系樹脂層をa、ビニルアルコール系樹脂層をb、接着剤層をcとすると、例えば、a/c/b、a/c/b/c/a、b/c/a/c/bなどが挙げられる。なかでも、多層構造体のガスバリア性の点からa/c/b/c/aなど、ビニルアルコール系樹脂が多層構造体の内層に位置する構成を有するものが好ましい。
【0066】
各層の厚みは、多層構造体の層構成、用途や容器形態により適宜変更されるものであるが、接着剤層は、通常1〜500μmであり、好ましくは3〜250μmである。接着剤層の厚みが薄すぎると層間の接着性が不足する場合があり、逆に厚すぎると重量が大きくなる場合があり、また、輸液バッグの透明性が低下する場合がある。ポリオレフィン系樹脂層は、通常10〜1000μmであり、好ましくは20〜500μmである。かかる層が薄すぎると多層構造体の機械的強度が低下する場合があり、逆に厚すぎると重量が大きくなる場合があり、また多層構造体の可とう性が低下する場合がある。ビニルアルコール系樹脂層は、通常1〜1000μmであり、好ましくは3〜500μmである。かかる層が薄すぎると多層構造体のガスバリア性が低下する場合があり、逆に厚すぎると重量が大きくなる場合があり、また、輸液バッグの透明度が低下する場合がある。
【0067】
また、ビニルアルコール系樹脂層及びポリオレフィン系樹脂層には、本発明の目的である樹脂組成物を含有する接着剤層との接着性を阻害しない範囲で、必要に応じて熱可塑性エラストマーなどの可塑剤や、安定剤、顔料等を配合することができる。
【0068】
多層構造体の製造方法としては、公知の方法が適用され、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムに本願の樹脂組成物を溶融押出ラミネートした後、ビニルアルコール系樹脂を溶融押出ラミネート若しくはビニルアルコール系樹脂フィルムをラミネートする方法、それぞれの樹脂を同時押出により成形する方法等が挙げられる。また、Tダイ法、インフレーション法などであらかじめポリオレフィン系樹脂、樹脂組成物、ビニルアルコール系樹脂のフィルム、シート等をそれぞれ成形し、これらをポリオレフィン系樹脂フィルム/樹脂組成物フィルム/ビニルアルコール系樹脂フィルムの順に重ねた後、ホットラミする方法等も挙げられる。
【0069】
なお、各樹脂を溶融成形する際の温度は、それぞれの樹脂の融点及び分解温度により適宜調節する必要があるが、通常160〜350℃であり、本願の樹脂組成物の場合、通常160〜220℃であり、好ましくは190〜210℃である。ポリオレフィン系樹脂の場合、通常、200〜350℃であり、好ましくは240〜340℃である。ビニルアルコール系樹脂の場合、通常130〜250℃であり、好ましくは180〜230℃である。各樹脂の溶融成形温度が高すぎると樹脂の焦げや分解により多層構造体に異物などの欠点ができる場合があり、逆に低すぎると樹脂の粘度が高く成形しにくい場合があり、また、樹脂の一部が溶融せず、多層構造体に欠点として残る場合がある。
【0070】
上記の多層構造体を用いて輸液バッグを製造する際、その方法としては、通常行われている製袋方法により製造することができ、また使用目的等に応じた任意の形状、大きさに形成することができる。製袋方法としては、例えば、上記の多層構造体を折り曲げるか、あるいは複数枚を重ね合わせ、周囲を所定の形状にヒートシールして製袋する方法や接着剤を用いて接着する方法が挙げられる。
【0071】
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。また、接着剤としては、特開2000−239635号公報に記載のエチレン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
【0072】
また、輸液バッグにはポリオレフィン系樹脂等で射出成形された口栓部材が付いているものであってもよい。また、特開2009−282557号公報等に記載されているような複数の薬剤を個別に入れられるよう袋の内部を仕切るポートが付いていてもよく、また、使用する際に複数の薬剤を混合できるように、ポートを破壊できるようになっているものであっても良い。
【0073】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂及びガスバリア性を有するビニルアルコール系樹脂のいずれに対しても優れた接着性を有するものであり、また、エラストマー(B)をマトリクスとすることから柔軟性に優れ、輸液バッグの接着剤として好適なものである。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
また、以下の「%」は、特にことわりがない限り、質量基準を意味する。
【0075】
製造例1
[PVA系樹脂(A−1)の製造]
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル68.0部、メタノール23.8部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン8.2部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
【0076】
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度45%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して10.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂(A−1)を作製した。
【0077】
得られたPVA系樹脂(A−1)のケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、98.5モル%であった。また、平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、450であった。また、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有量は、1H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、6モル%であった。また、溶融粘度は、温度210℃、せん断速度122sec−1の条件でキャピロラクター1B(東洋精機社製)にて測定したところ、1550Pa・sであった。
【0078】
製造例2
[PVA系樹脂(A−2)の製造]
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル81.2部、メタノール9.8部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン9.0部(初期に7.1部、反応中に1.9部を一定の酢酸ビニル比になるように滴下)、アゾビスイソブチロニトリルを0.032モル%(対仕込み酢酸ビニル)を投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が72.5%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
【0079】
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度42%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して12.6ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂(A−2)を作製した。
【0080】
得られたPVA系樹脂(A−2)のケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3.4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、98.5モル%であった。また、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、1100であった。また、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有量は、1H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、6モル%であった。
また、溶融粘度は、温度210℃、せん断速度122sec−1の条件でキャピロラクター1B(東洋精機社製)にて測定したところ、2980Pa・sであった。
【0081】
製造例3
[未変性PVA系樹脂の製造]
PVA系樹脂(A−1)の製造において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを仕込まず、酢酸ビニルのみを重合(S/M=0.5、S:メタノール、M:酢酸ビニル)し、ケン化を行った以外は同様に行い、未変性PVA系樹脂を得た。
得られた未変性PVA系樹脂のケン化度は、98.5モル%であった。また、平均重合度は、JIS K6726に準じて分析を行ったところ、500であった。また、溶融粘度は、温度210℃、せん断速度122sec−1の条件でキャピロラクター1B(東洋精機製)にて測定したところ、1460Pa・sであった。
【0082】
製造例4
[ポリプロピレン系樹脂フィルムの作製]
ポリプロピレンであるプライムポリプロF−300SP(プライムポリマー社製)を用いて、短軸押出機にて、下記の条件で厚さ80μmのポリプロピレン系樹脂フィルムを作製した。
・スクリュー内径:40mm
・L/D=25
・スクリュー圧縮比:3.2
・スクリュー回転数:40rpm
・ダイ:5層コンバイニングアダプター付きTダイ
・ダイ幅:450mm
・押出温度:C1/C2/C3/C4=190℃/200℃/210℃/210℃、A=200℃、D=200℃
【0083】
製造例5
[ポリエチレン系樹脂フィルムの作製]
ポリプロピレンの代わりにポリエチレンであるノバテックUF340(日本ポリエチレン社製)を使用した以外はポリプロピレン系樹脂フィルムと同様の方法でポリエチレン系樹脂フィルムを作製した。
【0084】
製造例6
[ビニルアルコール系樹脂フィルムの作製]
ビニルアルコール系樹脂として、PVA系樹脂(A−1)を用いて、短軸押出機にて、下記の条件で、厚さ40μmのビニルアルコール系樹脂フィルムを作製した。
・スクリュー内径:40mm
・L/D=25
・スクリュー圧縮比:3.2
・スクリュー回転数:20rpm
・ダイ:5層コンバイニングアダプター付きTダイ
・ダイ幅:450mm
・押出温度:C1/C2/C3/C4=180℃/198℃/198℃/198℃、A=200℃、D=200℃
【0085】
製造例7
[エチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルムの作製]
エチレン−ビニルアルコール共重合体「ソアノールD2908」(日本合成化学工業株式会社製、エチレン含有量28モル%、ケン化度99.8モル%、MFR(210℃、2160g)8g/10分)を用いた以外はビニルアルコール系樹脂フィルムと同様にしてエチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルムを作製した。
【0086】
実施例1
[樹脂組成物の作製]
製造例1で得られたPVA系樹脂(A−1)を70重量部と、エラストマー(B)としてスチレン−エチレン−ブチレン樹脂であるクレイトンG1643(シェル社製、ポリエチレン含量18%、温度210℃,せん断速度122sec−1の条件でキャピロラクター1B(東洋精機社製)にて測定した溶融粘度560Pa・s)30重量部をドライブレンドした後、これを二軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出してペレタイザーでカットし、円柱形ペレットの樹脂組成物を得た。得られた組成物の粘度比は、2.76であった。なお、二軸押出機によるペレットの製造条件は以下の通りである。
・スクリューの直径(D):15mmφ
・スクリーンメッシュ:90/90mesh
・L/D=60
・スクリュー回転数:200rpm
・設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=150℃/170℃/180℃/190℃/200℃/210℃/210℃/210℃/210℃
・吐出量:1.5kg/hr
【0087】
[接着フィルムの作製]
得られた樹脂組成物を用いて、短軸押出機にて、下記の条件で厚さ20μmの接着フィルムを作製した。
・スクリュー内径:30mm
・L/D=25
・スクリュー圧縮比:3.2
・スクリュー回転数:20rpm
・ダイ:5層コンバイニングアダプター付きTダイ
・ダイ幅:450mm
・押出温度:C1/C2/C3/C4=190℃/200℃/210℃/210℃、A=200℃、D=200℃
【0088】
[モルフォロジー評価]
得られた接着フィルムを液体窒素下で割り、その断面部分を80℃の温水中で、2時間浸漬し、エッチングしたものの断面を走査電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影し、モルフォロジーを目視観察した。撮影した写真を図1に示す。撮影した写真において、島成分の平均粒径を求めたところ、表面層部分で平均0.5μm、内層部分で平均6μmであった。水でエッチングにより空孔が形成されていることから、島成分が水溶性のPVA系樹脂であったことが確認できる。
【0089】
[接着性評価]
接着フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムを重ね合わせ、温度210℃、圧力1.3kg/cmで6秒間圧着した後、幅25mmになるよう切断した。これを、最大試験力50N、10mm/minの条件でオートグラフ(島津製作所社製)にて剥離試験を行い、得られた剥離強度の値を接着フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムとの接着強度の値とした。
また、接着フィルムとビニルアルコール系樹脂フィルムを重ね合わせ、上記と同様にしてサンプルを作製し、剥離試験を行い、得られた剥離強度の値を接着フィルムとビニルアルコール系樹脂フィルムとの接着強度の値とした。
得られた評価結果は、表1に記載した。
【0090】
実施例2
実施例1において、ポリプロピレン系樹脂フィルムに代えて、ポリエチレン系樹脂フィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で、樹脂組成物(粘度比2.76)を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0091】
実施例3
実施例1において、樹脂組成物におけるPVA系樹脂(A−1)を60重量部、エラストマー(B)を40重量部とした以外は実施例1と同様の方法で樹脂組成物(粘度比2.76)を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0092】
実施例4
実施例1において、ビニルアルコール系樹脂フィルムに代えて、エチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルムを用いた以外は、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0093】
実施例5
実施例1において、樹脂組成物におけるPVA系樹脂(A−1)の代わりにPVA系樹脂(A−2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(粘度比5.32)を作成し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0094】
比較例1
実施例1において、樹脂組成物におけるPVA系樹脂(A−1)の代わりに未変性PVA系樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(粘度比2.6)を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0095】
比較例2
実施例1において、樹脂組成物としてクレイトンG1643のみを用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0096】
比較例3
実施例1において、樹脂組成物におけるPVA系樹脂(A−1)を30重量部、エラストマー(B)を70重量部用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(粘度比2.76)を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0097】
比較例4
実施例1において、樹脂組成物におけるPVA系樹脂(A−1)を50重量部、エラストマー(B)を50重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(粘度比2.76)を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0098】
比較例5
実施例1において、樹脂組成物におけるPVA系樹脂(A−1)を80重量部、エラストマー(B)を20重量部用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(粘度比2.76)を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0099】
[モルフォロジー評価]
接着フィルムを液体窒素下で割り、その断面部分を60℃のキシレン中で、2時間浸漬し、エッチングしたものの断面を走査電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影し、モルフォロジーを目視観察した。撮影した写真を図2に示す。キシレンでのエッチングにより空孔が形成されていることから、島成分がエラストマー(B)であったことが確認できる。
【0100】
比較例6
実施例1において、樹脂組成物におけるエラストマー(B)として、クレイトンG1643のかわりにクレイトンMD6945(シェル社製、ポリスチレン含量13%、温度210℃、せん断速度122sec−1の条件でキャピロラクター1B(東洋精機社製)にて測定した溶融粘度1260Pa・s。)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(粘度比1.23)を作製し、実施例1と同様に接着性評価をした。結果を表1に示す。
【0101】
[モルフォロジー評価]
接着フィルムを液体窒素下で割り、その断面部分を60℃のキシレン中で、2時間浸漬し、エッチングしたものの断面を走査電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影し、モルフォロジーを目視観察した。撮影した写真を図3に示す。キシレンでのエッチングにより空孔が形成されていることから、島成分がエラストマー(B)であったことが確認できる。
【表1】

【0102】
実施例6
[多層構造体の製造]
実施例1で得られた樹脂組成物を用い、それぞれ単軸押出機にて5層の多層Tダイを備えた多層押出装置を用いて、ポリオレフィン系樹脂層(ポリプロピレン[プライムポリプロF−300SP、プライムポリマー社製])/樹脂組成物層/ビニルアルコール系樹脂層(PVA系樹脂(A−1))/樹脂組成物層/ポリオレフィン系樹脂層(ポリプロピレン)(厚み80/20/40/20/80μm)の層構成を有する多層構造体を得た。なお、多層製膜条件は、以下の通りである。
・スクリュー内径:40mm(ポリオレフィン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂)、30mm(接着剤樹脂組成物)
・L/D=25
・スクリュー圧縮比:3.2
・スクリュー回転数:40rpm(ポリオレフィン系樹脂)、20rpm(ビニルアルコール系樹脂、樹脂組成物)
・ダイ:5層コンバイニングアダプター付きTダイ
・ダイ幅:450mm
・押出温度:C1/C2/C3/C4=180℃/198℃/198℃/198℃(ビニルアルコール系樹脂)、C1/C2/C3/C4=190℃/200℃/210℃/210℃(ポリオレフィン系樹脂、接着性樹脂)、A=200℃、D=200℃
得られた多層構造体は、各層間でデラミネーションしないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂とビニルアルコール系樹脂のいずれに対しても優れた接着性を有することから、ポリオレフィン系樹脂層とビニルアルコール系樹脂層を含む多層構造体において、両層の接着剤層の材料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)とを含有する樹脂組成物であって、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量比(A/B)が75/25〜55/45であり、かつポリビニルアルコール系樹脂(A)が島成分、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)が海成分の海島構造であることを特徴とする樹脂組成物。
【化1】


[式中、R,RおよびRはそれぞれ独立しては水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R,RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。]
【請求項2】
一般式(1)で表される構造単位を有するポリビニルアルコール(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の溶融粘度比(A/B)が7/1〜5/3であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
【請求項4】
ポリビニルアルコール系樹脂層の少なくとも一方の面に請求項1又は2記載の樹脂組成物を含有する接着剤層を介してポリオレフィン系樹脂層が積層されてなる層構造を有することを特徴とする多層構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の多層構造体を製袋してなることを特徴とする輸液バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−49736(P2013−49736A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173088(P2011−173088)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】