説明

樹脂組成物および樹脂成形体

【課題】得られる樹脂成形体の寸法安定性が向上する樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】セルロースアセテートプロピオネートを50phr以上80phr以下と、ポリカーボネートを20phr以上50phr以下と、(メタ)アクリル基を持つ化合物とグリシジル化合物との重合体、及びカーボネート基を持つ化合物とグリシジル化合物との共重合体を合計で10phr以上と、を含む樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物および樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂組成物としては種々のものが提供され、各種用途に使用されている。特に家電製品や自動車の各種部品、筐体等に使用されたり、また事務機器、電子電気機器の筐体などの部品にも熱可塑性樹脂が使用されている。
近年地球規模での環境問題に対して、植物由来の樹脂の利用は、温室効果ガス排出量の低減し得る材料として大きな期待が寄せられている。従来から知られている植物由来の樹脂の一つに、セルロース誘導体がある。セルロース誘導体は、従来、塗料としての用途や、繊維としての用途では、広く利用されているが、セルロース誘導体の樹脂成形体への利用に際しては、まだ用いられている例はほとんど見られない。
【0003】
例えば、セルロースエステル(総平均置換度2.7以下の酢酸セルロースなど)と、非セルロースエステル系熱可塑性樹脂(芳香族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂など)と、前記セルロースエステルに対する可塑剤(リン酸エステル、フタル酸エステルなど)と、ブリードアウト抑制剤(縮合リン酸エステルなど)と、で構成したセルロースエステル系樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、(A)ポリ乳酸樹脂および(B)セルロースエステルから選ばれる一種以上の樹脂10質量%以上75質量%以下、(C)芳香族ポリカーボネート樹脂25質量%以上90質量%以下および(D)相溶化剤(例えば無機充填剤、グリシジル化合物または酸無水物をグラフトまたは共重合した高分子化合物、芳香族ポリカーボネート鎖を有するグラフトポリマー、および有機金属化合物よりなる群より選ばれる少なくとも一種)を、(A)および(B)から選ばれる一種以上と(C)成分の合計量100質量部に対して1質量部以上50質量部以下配合し、さらに(E)難燃剤、(F)フッ素系化合物、(G)エポキシ化合物を配合してなる樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂、(B)セルロースを主成分とする繊維、(C)第一の難燃剤を含有しており、前記(A):(B)=95:5〜5:95であり、 前記(A)熱可塑性ポリエステル樹脂は、原料の一部として、バイオマス材料を含むものであり、(C)第一の難燃剤は、下記式(1)「(C366n・Hn+2n3n+1」により表される2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン骨格を有するリン酸塩(ポリリン酸メラミン)であり、前記(B)セルロースを主成分とする繊維の含有量を100重量部としたときに、前記(C)第一の難燃剤は、1〜20重量部であることを特徴とする繊維強化難燃性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−161943号公報
【特許文献2】特開2006−111858号公報
【特許文献3】特開2008−303288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、得られる樹脂成形体の寸法安定性が向上する樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
セルロースアセテートプロピオネートを50phr以上80phr以下と、
ポリカーボネートを20phr以上50phr以下と、
メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計で10phr以上と
を含む樹脂組成物。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上30phr以下で含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【0010】
請求項3に係る発明は、
さらに、下記構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下含む請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
請求項4に係る発明は、
セルロースアセテートプロピオネートを50phr以上80phr以下と、
ポリカーボネートを20phr以上50phr以下と、
メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計で10phr以上30phr以下と
を含む樹脂成形体。
【0013】
請求項5に係る発明は、
前記メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上30phr以下で含む請求項4に記載の樹脂組成物。
【0014】
請求項6に係る発明は、
さらに、下記構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下含む請求項4又は5に記載の樹脂成形体。
【0015】
【化2】

【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、セルロースアセテートプロピオネート50phr以上80phr以下と、ポリカーボネート20phr以上50phr以下と、を含む組成において、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上で含まない場合に比べ、得られる樹脂成形体の寸法安定性が向上する樹脂組成物を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上30phr以下で含まない場合に比べ、得られる樹脂成形体の引張強さが向上する樹脂組成物を提供することができる。
請求項3に係る発明によれば、構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下含まない場合に比べ、得られる樹脂成形体がUL(アンダーライティングラボラトリー:以下同様)規格のUL94試験においてV−1以上を達成する樹脂組成物を提供することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、セルロースアセテートプロピオネート50phr以上80phr以下と、ポリカーボネート20phr以上50phr以下と、を含む組成において、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上で含まない場合に比べ、得られる樹脂成形体の寸法安定性が向上した樹脂成形体を提供することができる。
請求項5に係る発明によれば、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上30phr以下で含まない場合に比べ、引張強さが向上した樹脂成形体を提供することができる。
請求項6に係る発明によれば、構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下含まない場合に比べ、得られる樹脂成形体がUL規格のUL94試験においてV−1以上を達成した樹脂成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る樹脂成形体を備える電子・電気機器の部品の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の樹脂組成物および樹脂成形体の一例である実施形態について説明する。
【0020】
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースアセテートプロピオネートと、ポリカーボネートと、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体と、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体と、を含む樹脂組成物である。
そして、セルロースアセテートプロピオネートの含有量を50phr以上80phr以下とし、ポリカーボネートの含有量を20phr以上50phr以下とし、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体とポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体との含有量をその合計で10phr以上としている。
なお、「phr」とは、「per hundred resin」の略であり、全樹脂成分(本実施形態ではセルロールプロピオネート及びポリカーボネートの合計)100質量部に対する「質量部」である。
【0021】
ここで、従来、セルロール誘導体(セルロールエステル)、ポリカーボネート、及び相溶化剤を含む組成の樹脂組成物が知られている。
しかしながら、環境問題を背景に、植物由来の樹脂を多く使用することが求められる昨今、植物性由来の樹脂、つまりセルロール誘導体(セルロールエステル)を50phr以上と豊富な組成にすると、得られる樹脂成形体の寸法安定性が不十分であることがわかってきた。この傾向は、湿熱環境下(温度65℃、湿度85%の環境下を意味する、。この表現は、特に定義をしない場合、以下でも同様の条件を意味する。)でより顕著に現れることもわかってきた。
【0022】
そこで、本実施形態に係る樹脂組成物では、セルロール誘導体(セルロールエステル)としてセルロースアセテートプロピオネートを選択し、セルロースアセテートプロピオネート50phr以上80phr以下とポリカーボネート20phr以上50phr以下とを含む組成において、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体と、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体と、の2種の相溶化剤をその合計量10phr以上で配合する。
【0023】
上記組成により、本実施形態に係る樹脂組成物では、得られる樹脂成形体の寸法安定性が向上する。その結果、得られる樹脂成形の湿熱環境下での収縮が抑制され、例えば、応力集中等による樹脂成形体の割れ等が抑制される。
なお、この理由は定かではないが、本実施形態に係る樹脂組成物のゲル分率を測定すると、当該ゲル分率が向上しているため、相溶化剤として、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体(その重合成分としてのグリシジル化合物)と、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体(その重合成分としてのグリシジル化合物)と、に含まれるエポキシ基とセルロースアセテートプロピオネートに含まれる水酸基とが結合し、この結合により架橋構造を形成すると推測されるためである。
【0024】
なお、上述のように推測される作用から、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体の含有量が増えれば増えるほど架橋構造がより多く形成されることになる。したがって、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体の含有量には、理論上特に上限は存在しない。
【0025】
特に、相溶化剤として、可とう性(特に伸び)を付与するメタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体と、強度を付与するポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体と、の2種の相溶化剤を適用すると、得られる樹脂成形体の可とう性(特に伸び)と強度との両立が図れるといった機械的特性が付与されることから、樹脂成形体の寸法安定性が向上すると考えられる。
【0026】
加えて、上記組成により、本実施形態に係る樹脂組成物では、得られる樹脂成形体の光沢性の低減、機械的特性(特に伸び)の向上についても実現される。機械的特性(特に伸び)の向上により、例えば、ボス等のねじ止めや、セルフタッピング等による応力集中が分散され易くなり、樹脂成形体の破損が抑制され易くなる。
ここで、樹脂成形体の光沢は表面で種類の異なる樹脂が乱反射して生じることが知られているが、相溶化剤として、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体とポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体とを選択することで、乱反射が発生し難い度合いまで樹脂(セルロースアセテートプロピオネートとポリカーボネート)が分散されるため、得られる樹脂成形体の光沢性の低減されると考えられる。
そして、樹脂(セルロースアセテートプロピオネートとポリカーボネート)が分散されることから、機械的特性(特に伸び)も向上すると考えられる。
【0027】
なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂からなる樹脂成形体や、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂とポリカーボネート−ABSとからなる樹脂成形体等と同等の耐衝撃性、自立形状保持性(これを実現するための弾性率)を持つ樹脂成形体が得られる。
【0028】
また、本発明の樹脂組成物は、難燃剤として、構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下で含むことがよい。
これにより、得られる樹脂成形体がUL規格のUL94試験においてV−1以上を達成する。
【0029】
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の各成分の詳細について説明する。
【0030】
(樹脂)
−セルロースアセテートプロピオネート−
セルロースアセテートプロピオネートは、セルロースをプロピオン酸でエステル化したものである。
【0031】
ここで、セルロースアセテートプロピオネートは、樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、可塑剤(例えば、フタル酸エステルを除く、アジベート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等)をセルロースアセテートプロピオネートに対して5質量%以上25質量%以下で含んだものであってもよい。
可塑剤の含有量が少なすぎると、樹脂成形体の耐衝撃性が得られ難くなり、多すぎると、樹脂組成物の流動性の低下、樹脂成形体の引張り強さが低下し易くなることがある。
【0032】
セルロースアセテートプロピオネートの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10000以上100000以下の範囲であることが好ましく、15000以上80000以下の範囲であることがより好ましい。セルロースアセテートプロピオネートの重量平均分子量が10000未満の場合、流動性が過剰となり加工できない場合があり、セルロースアセテートプロピオネートの重量平均分子量が100000を超える場合には流動性が不足し加工できない場合がある。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー装置(島津製作所製Prominence GPC型)を用い、測定カラムにはShim−pack GPC−80Mを使用して測定された値である。
【0033】
セルロールアセテートプロピオネートは、樹脂組成物中に、50phr以上80phr以下で含むが、望ましくは50phr以上75phr以下、より望ましくは50phr以上70phr以下で含むことがよい。
この含有量が少なすぎると、樹脂組成物(その成形体)が日本バイオプラスチック協会による「グリーンプラ」又は「バイオマスプラ」識別表示制度の認証が得られ難い一方、多すぎると、樹脂成形体の荷重たわみ温度(熱変形温度HDT: Heat Deflection Temperature、)が低下し易くなることがある。
【0034】
−ポリカーボネート−
ポリカーボネートは、特に限定されるものではなく、例えば、繰り返し単位として、(−O−R−OCO−)を有するものが挙げられる。なお、Rは、ジフェニルプロパン、P−キシレンなどが挙げられる。−O−R−Oは、ジオキシ化合物であれば特に限定されるものではない。
ポリカーボネートとして具体的には、例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート、ビスフェノールS型ポリカーボネート、ビフェニル型ポリカーボネート等の、芳香族ポリカーボネートが挙げられる。
ポリカーボネートは、シリコーンや、ウンデカ酸アミドとの共重合体であってもよい。
【0035】
ポリカーボネートの重量平均分子量は、5000以上30000以下の範囲であることが好ましく、10000以上25000以下の範囲であることがより好ましい。ポリカーボネートの重量平均分子量が5000未満の場合、流動性が過剰となり加工性が低下する場合があり、ポリカーボネートの重量平均分子量が30000を超える場合には流動性が不足して加工性が低下する場合がある。
【0036】
ポリカーボネートは、樹脂組成物中に、20phr以上50phr以下で含むが、望ましくは20phr以上45phr以下、より望ましくは20phr以上40phr以下で含むことがよい。
この含有量が、少なすぎると、樹脂成形体の荷重たわみ温度(熱変形温度HDT: Heat Deflection Temperature、)が低下し易くなる一方、多すぎると、樹脂組成物(その成形体)が日本バイオプラスチック協会による「グリーンプラ」又は「バイオマスプラ」識別表示制度の認証が得られ難くなることがある。
【0037】
(相溶化剤)
相溶化剤としては、メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体(以下、相溶化剤Aと称することがある)と、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体(以下、相溶化剤Bと称することがある)と、の2種の相溶化剤が適用される。
【0038】
−相溶化剤A−
相溶化剤Aは、メタクリレートと、グリシジル化合物と、を共重合させたものである。構造的には、ラダ―構造でもブロック共重合体構造でもよい。なお、メタクリレートに代えて、アクリレートを共重合させた相溶化剤Aであってもよい。
ここで、グリシジル化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、等が挙げられ、好適にはグリシジルメタクリレートである。
【0039】
相溶化剤Aにおいて、メタクリレートとグリシジル化合物との共重合比は、例えば、質量比(メタクリレート/グリシジル化合物)で、100/100以上1000/1以下であることがよく、望ましくは100/50以上1000/2以下、より望ましくは100/50以上1000/3以下である。
【0040】
相溶化剤Aの重量平均分子量は、例えば、500以上100000以下であることがよく、望ましくは500以上750000以下、より望ましくは500以上50000以下である。
【0041】
−相溶化剤B−
相溶化剤Bは、ポリカーボネート鎖を持つポリマーと、グリシジル化合物と、を共重合させた共重合体である。
【0042】
ポリカーボネート鎖を持つポリマーとしては、ポリカーボネートと他のポリマーとのグラフトポリマーが挙げられる。
ポリカーボネートとしては、樹脂成分として説明したポリカーボネートと同様なものが挙げられ、これらの中でも、ポリカーボネートが望ましい。
他のポリマーとしては、アクリロニトリル・スチレンポリマー、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸が挙げられ、これらの中も、アクリロニトリル・スチレンポリマーが望ましい。
【0043】
ポリカーボネート鎖を持つポリマーにおいて、ポリカーボネートと他のポリマーとの共重合比は、例えば、質量比(ポリカーボネート/他のポリマー)で、5/100以上100/5以下であることがよく、望ましくは10/100以上100/10以下、より望ましくは10/100以上100/15以下である。
【0044】
一方、グリシジル化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられ、好適にはグリシジルメタクリレートである。
【0045】
相溶化剤Bとして具体的には、例えば、芳香族ポリカーボネート及びアクリロニトリル・スチレンポリマーのグラフトポリマーとグリシジルメタクリレート(GMA)との共重合体、ポリカーボネートポリマーとアクリロニトリル・スチレンポリマーとGMAとの共重合体等が挙げられる。
【0046】
相溶化剤Bにおいて、ポリカーボネート鎖を持つポリマーと、グリシジル化合物と、の共重合比は、例えば、質量比(ポリカーボネート鎖を持つポリマー/グリシジル化合物)で、100/100以上1000/1以下であることがよく、望ましくは100/50以上1000/2以下、より望ましくは100/50以上1000/3以下である。
【0047】
相溶化剤Bの重量平均分子量は、例えば、500以上100000以下であることがよく、望ましくは500以上750000以下、より望ましくは500以上50000以下である。
【0048】
−相溶化剤の含有量−
相溶化剤A及び相溶化剤Bの2種の相溶化剤は、樹脂組成物中に、その合計で、10phr以上で含むが、望ましくは15phr以上30phr以下、より望ましくは15phr以上20phr以下で含むことがよい。
この含有量が、10phr未満であると、樹脂成形体の寸法安定性が実現され難くなったり、樹脂組成物の成形性が低下し易くなることがある。
なお、相溶化剤A及び相溶化剤Bの2種の相溶化剤の含有量がある程度多くなると、相溶化剤自身の構造が作用して得られる成形体の引張強さが低下する傾向があるため、引張強さを考慮した用途に樹脂成形体を使用する場合には、20phr以下で含有することがよい。
【0049】
また、相溶化剤A及び相溶化剤Bの2種の相溶化剤に他の成分が共重合されている場合には、樹脂組成物を構成するセルロースアセテートプロピオネート及びポリカーボネートとの相溶性を損なわないよう、樹脂組成物中への含有量は上記範囲内で適宜調整することがよい。例えば、ポリカーボネートの含有量が相対的に多い樹脂組成物と少ない樹脂組成物とについて、上記他の成分としてポリカーボネートを多く含む相溶化剤を使用する場合には、ポリカーボネートの含有量が相対的に多い樹脂組成物よりも相対的に少ない樹脂組成物に対して、相溶化剤をより多く含有するよう調整することが良い。
【0050】
ここで、相溶化剤Bは、相溶化剤Aに対して、質量で1.5以上2.5倍(望ましくは1.5倍以上2.4倍以下、より望ましくは1.5倍以上2.0倍以下)で樹脂組成物中に含むことがよい。
樹脂成形体に対して、可とう性を付与する相溶化剤Aと、強度を付与する相溶化剤Bと、の量比を上記範囲とすることで、樹脂成形体の可とう性(特に伸び)と強度との両立が図り易くなる。
【0051】
(難燃剤)
難燃剤としては、リン系難燃剤、シリコーン系リン系難燃剤、含窒素系リン系難燃剤、硫酸系リン系難燃剤、無機水酸化物系リン系難燃剤等の各種難燃剤が挙げられる。
【0052】
これらの中も、難燃剤として特に好適には、下記構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。
この下記構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物により、樹脂成形体がUL規格のUL94試験においてV−1以上を達成する。
【化3】

【0053】
難燃剤(特に上記芳香族縮合リン酸エステル化合物)は、樹脂組成物中に、例えば、20Phr以上40Phr以下で含むことがよい。
この含有量が、少なすぎると、樹脂成形体がUL規格のUL94試験においてV−1以上を達成し難くなる一方、多すぎると、樹脂組成物の成形性が低下することがある。
【0054】
難燃剤は、上記芳香族縮合リン酸エステル化合物を用いる場合、当該上記芳香族縮合リン酸エステル化合物以外にも、これと他の難燃剤を併用してもよい。この場合、難燃剤全体としては、芳香族縮合リン酸エステル化合物を50質量%以上用いることがよい。
【0055】
ここで、本実施形態に係る樹脂組成物は、難燃剤に加えて難燃助剤を含んでもよい。難燃助剤としては、特に制限されないが、例えば、ホウ酸系難燃助剤、アンモン系難燃助剤、無機系難燃助剤、チッ素系難燃助剤、有機系難燃助剤及びコロイド系難燃助剤からなる群から少なくとも1種が挙げられる。
ホウ酸系難燃助剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛水和物、メタホウ酸バリウム、ほう砂などのホウ酸を含有する化合物が挙げられる。
アンモン系難燃助剤としては、例えば、硫酸アンモニウム等のアンモニア化合物が挙げられる。
無機系難燃助剤としては、例えば、フェロセンなどの酸化鉄系燃焼触媒、酸化チタンなどのチタンを含有する化合物、スルファミン酸グアニジンなどのグアニジン系化合物、さらに、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、錫系化合物、炭酸カリウムなどの炭酸塩化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸和金属及びその変性物が挙げられる。
チッ素系難燃助剤としては、例えば、トリアジン環を有するシアヌレート化合物が挙げられる。
有機系難燃助剤としては、例えば、無水クロレンド酸、無水フタル酸、ビスフェノールAを含有する化合物、グリシジルエーテルなどのグリシジル化合物、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、変性カルバミド、シリコーンオイル、オルガノシロキサン等のシリコーン化合物、リン酸塩化合物、リン酸エステル化合物等が挙げられる。
コロイド系難燃助剤としては、例えば、従来から使用されている難燃性を持つ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水和金属化合物、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレーなどの水和物、硝酸ナトリウムなどの硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイトなどの難燃性化合物のコロイドが挙げられる。
【0056】
(その他成分)
本実施形態に係る樹脂組成物は、効果を損なわない範囲で上記各成分の他、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、帯電防止剤、耐加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミナ、ボロンナイトライド等)等が挙げられる。
その他成分は、樹脂組成物中に、例えば、0phr以上10phr以下であることがよく、0phr以上5phr以下であることがより望ましい。ここで、「0phr」とはその他の成分を含まない形態を意味する。
【0057】
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記各成分を溶融混練することにより製造される。
ここで、溶融混練の手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、二軸押出し機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
【0058】
[樹脂成形体]
本実施形態に係る樹脂成形体は、上記本実施形態に係る樹脂組成物を含んで構成される。具体的には、本実施形態に係る樹脂成形体は、上記本実施形態に係る樹脂組成物を成形することにより得られる。
なお、例えば射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーテイング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などの成形方法により本実施形態に係る樹脂組成物を成形し、本実施形態に係る樹脂成形体が得られる。
【0059】
ここで、上記本実施形態に係る樹脂組成物の成形温度(例えば押出温度、射出温度)としては、例えば、180℃以上230℃以下であることがよい。
ここで、ポリカーボネートは本来240℃以上の成形温度が必要であるが、セルロースアセテートプロピオネートと共に、相溶化剤A及び相溶化剤Bの2種の相溶化剤を併用することで、上記範囲の成形温度での成形が実現される。
【0060】
前記射出成形は、例えば、日精樹脂工業製NEX500、NEX150、日精樹脂工業製NEX70000、東芝機械製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。この際、シリンダ温度としては、樹脂の分解抑制の観点から、170℃以上230℃以下の範囲とすることが好ましく、180℃以上230℃以下の範囲とすることがより好ましい。また、金型温度としては、生産性の観点から、30℃以上100℃以下の範囲とすることが好ましく、30℃以上60℃以下の範囲とすることがより好ましい。
【0061】
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、家電製品、容器、自動車内装材などの用途に好適に用いられる。より具体的には、家電製品や電子・電気機器などの筐体、各種部品など、ラッピングフィルム、CD−ROMやDVDなどの収納ケース、食器類、食品トレイ、飲料ボトル、薬品ラップ材などであり、中でも、電子・電気機器の部品に好適である。
【0062】
図1は、本実施形態に係る成形体を備える電子・電気機器の部品の一例である画像形成装置を、前側から見た外観斜視図である。
図1の画像形成装置100は、本体装置110の前面にフロントカバー120a,120bを備えている。これらのフロントカバー120a,120bは、操作者が装置内を操作するよう開閉自在となっている。これにより、操作者は、トナーが消耗したときにトナーを補充したり、消耗したプロセスカートリッジを交換したり、装置内で紙詰まりが発生したときに詰まった用紙を取り除いたりする。図1には、フロントカバー120a,120bが開かれた状態の装置が示されている。
【0063】
本体装置110の上面には、用紙サイズや部数等の画像形成に関わる諸条件が操作者からの操作によって入力される操作パネル130、および、読み取られる原稿が配置されるコピーガラス132が設けられている。また、本体装置110は、その上部に、コピーガラス132上に原稿を搬送する自動原稿搬送装置134を備えている。更に、本体装置110は、コピーガラス132上に配置された原稿画像を走査して、その原稿画像を表わす画像データを得る画像読取装置を備えている。この画像読取装置によって得られた画像データは、制御部を介して画像形成ユニットに送られる。なお、画像読取装置および制御部は、本体装置110の一部を構成する筐体150の内部に収容されている。また、画像形成ユニットは、着脱自在なプロセスカートリッジ142として筐体150に備えられている。プロセスカートリッジ142の着脱は、操作レバー144を回すことによって行われる。
【0064】
本体装置110の筐体150には、トナー収容部146が取り付けられており、トナー供給口148からトナーが補充される。トナー収容部146に収容されたトナーは現像装置に供給されるようになっている。
【0065】
一方、本体装置110の下部には、用紙収納カセット140a,140b,140cが備えられている。また、本体装置110には、一対のローラで構成される搬送ローラが装置内に複数個配列されることによって、用紙収納カセットの用紙が上部にある画像形成ユニットまで搬送される搬送経路が形成されている。なお、各用紙収納カセットの用紙は、搬送経路の端部近傍に配置された用紙取出し機構によって1枚ずつ取り出されて、搬送経路へと送り出される。また、本体装置110の側面には、手差しの用紙供給部136が備えられており、ここからも用紙が供給される。
【0066】
画像形成ユニットによって画像が形成された用紙は、本体装置110の一部を構成する筐体152によって支持された相互に接触する2個の定着ロールの間に順次移送された後、本体装置110の外部に排紙される。本体装置110には、用紙供給部136が設けられている側と反対側に用紙排出部138が複数備えられており、これらの用紙排出部に画像形成後の用紙が排出される。
【0067】
画像形成装置100において、例えば、フロントカバー120a,120b、プロセスカートリッジ142の外装、筐体150、および筐体152に、本実施形態に係る樹脂成形体が用いられている。
【実施例】
【0068】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0069】
[実施例1〜31、比較例1〜10]
表1〜表5に従った成分を2軸混練装置(東芝機械製、TEM58SS)にて、シリンダ温度210℃で混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、射出成型機(東芝機械社製、製品名「NEX500」)を用いてシリンダ温度210℃、金型温度50℃で射出成型し、ISO多目的ダンベル試験片(ISO527引張試験、ISO178曲げ試験に対応、試験部厚さ4mm、幅10mm)と、UL−94におけるVテスト用UL試験片(厚さ:0.8mm、1.6mm)を成形した。
【0070】
[評価]
(植物度)
各例で使用した樹脂組成物について、植物度を下記式により算出した。
式:植物度=セルロースアセテートプロピオネート質量×(セルロース質量/セルロースアセテートプロピオネート質量)/全質量
【0071】
(光沢)
得られたISO多目的ダンベル試験片を目視し、光沢の有無について調べた。
【0072】
(難燃性)
−UL−V試験−
Vテスト用UL試験片を用い、UL−94HB試験に規定の方法に準拠して、ULチャンバ(東洋精機製)にて、UL−Vテストを実施した。結果の表示は、難燃性が高い方から順にV−0、V−1、V−2、HBであり、HBより劣る場合、即ち試験片が延焼してしまった場合を「failure」と示した。
なお、射出成形できず、試験片を作製できなかったものは、実質上生産不可能という理由から、検討を中止した。
【0073】
(機械的特性)
−引張り強さ、伸び−
ISO多目的ダンベル試験片を用い、ISO527に準拠して、評価装置(島津製作所製、精密万能試験機オートグラフAG−IS 5kN)にて、引張り強さ、及び伸びについて測定した。
【0074】
−耐衝撃性−
ISO多目的ダンベル試験片にノッチ加工を施し、これを用い、JIS−K7111(2006年)に準拠して、評価装置(東洋精機製DG−UB2)にて、シャルピー衝撃試験より耐衝撃性を測定した。
【0075】
−荷重たわみ温度(HDT)−
ISO多目的ダンベル試験片を用い、ISO178曲げ試験に準拠して、HDT測定装置(東洋精機社製、HDT−3)を用にて、1.8MPaの荷重における荷重たわみ温度を測定した。
【0076】
(耐湿熱性)
−湿熱試験後の耐衝撃性−
ISO多目的ダンベル試験片に対して、次のようにして湿熱試験を行った後、上記同様にして耐衝撃性を測定した。
湿熱試験は、湿熱試験機(THN042PA;ADVANTEC製)にて65℃×85%×400時間の条件で行った。
【0077】
−寸法安定性−
ISO多目的ダンベル試験片に対して、上記湿熱試験を行う前後で、ダンベル試験片のTD方向(幅方向)の寸法変化(湿熱試験前/湿熱試験後)を調べた。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
表1〜表5の詳細は、以下の通りである。
−樹脂−
・CAP482(イーストマンケミカル社製):セルロースアセテートプロピオネート
・TP360A40000−12(イーストマンケミカル社製):セルロースアセテートプロピオネート
・カリバー200(住友ダウ社製):ポリカーボネート(重量平均分子量 約26000)
−相溶化剤−
・モディパーCL430G(日本油脂社製):芳香族ポリカーボネート及びアクリロニトリル・スチレンポリマーのグラフトポリマーとグリシジルメタクリレートとの共重合体
・lotadar8900(アルケマ社製):メタクリル酸とグリシジルメタクリレート(GMA)との共重合体
−難燃剤−
・PX−200(大八化学社製):構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物
・CR−741(大八化学社製):下記構造式参照
・PX−202(大八化学社製):下記構造式参照
−難燃助剤−
・アピノン901(三和ケミカル社製):硫酸メラミン
【0084】
【化4】

【0085】
本実施例では、ポリカーボネートおよびセルロースアセテートプロピオネートに加えて、相溶化剤として2種類の相溶化剤を特定量で併用することにより、比較例に比べて、寸法安定性が向上した。さらに、特定の難燃剤を特定量併用することにより、V−1以上の難燃性が得られた。
上記結果から、本実施形態に係る樹脂組成物は、成形体にした場合に寸法安定性に優れ、画像形成装置の筐体の製造に好適であることがわかる。また、本実施形態に係る樹脂成形体は、寸法安定性に優れ、画像形成装置の筐体に好適であることがわかる。
【符号の説明】
【0086】
100 画像形成装置
110 本体装置
120a、120b フロントカバー
136 用紙供給部
138 用紙排出部
142 プロセスカートリッジ
150、152 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテートプロピオネートを50phr以上80phr以下と、
ポリカーボネートを20phr以上50phr以下と、
メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計で10phr以上と
を含む樹脂組成物。
【請求項2】
前記メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上30phr以下で含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、下記構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下含む請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【化1】

【請求項4】
セルロースアセテートプロピオネートを50phr以上80phr以下と、
ポリカーボネートを20phr以上50phr以下と、
メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計で10phr以上30phr以下と
を含む樹脂成形体。
【請求項5】
前記メタクリレート及びグリシジル化合物の共重合体、並びに、ポリカーボネート鎖を持つポリマー及びグリシジル化合物の共重合体を合計10phr以上30phr以下で含む請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、下記構造式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル化合物を20phr以上40phr以下含む請求項4又は5に記載の樹脂成形体。
【化2】


【図1】
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【公開番号】特開2012−92155(P2012−92155A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237866(P2010−237866)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】