Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
樹脂組成物および電子部品
説明

樹脂組成物および電子部品

【課題】有機溶媒への溶解性に優れ、かつ成型物が高い樹脂強度、耐熱性誘電特性を有するPPE樹脂を含む樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の一般式(1)で示される、


架橋性の多官能ビニルベンジルオキシ化合物および数平均分子量が5000以下のPPEオリゴマの混合物を含むことを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波用電子部品材料に適した樹脂組成物およびそれを用いた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PHS、携帯電話等の情報通信機器の信号帯域が高くなる傾向を示している。また、コンピューターのCPUクロックタイムはGHz帯が主流になり、更なる高周波化が進められている。
【0003】
電気信号の伝送損失は誘電正接および周波数の積に比例する。そのため、使用される信号の周波数が高いほど伝送損失は大きくなる。伝送損失の増大は信号の減衰を招き、信号伝送の信頼性低下が生じる。また、信号の伝送損失は熱に変換されるため、発熱などの問題も挙げられる。そのため、高周波領域では誘電正接の極めて小さい絶縁材料が強く望まれる。
【0004】
絶縁材料の低誘電正接(誘電損失)化には分子構造中の極性基の除去が有効であり、フッ素樹脂、硬化性ポリオレフィン、シアネートエステル系樹脂、硬化性ポリ(フェニレンエーテル)、ジビニルベンゼンまたはジビニルナフタレンで変性したポリエーテルイミド等数多くの構造が提案されている。しかし、フッ素樹脂は一般に熱可塑性樹脂で多層化には限界がある。また、汎用溶剤に溶けないため、配線基板作製時に高温、高圧のプロセスを要する。硬化性ポリオレフィンは誘電特性に優れているが耐熱的には十分な特性が得られない。シアネートエステルおよびポリエーテルイミドは耐熱性が優れているが、樹脂の極性が高いため誘電特性が悪くなる傾向がある。
【0005】
一方、ポリ(フェニレンエーテル)樹脂(PPE樹脂)は樹脂強度の優れた材料である。また、樹脂の主鎖構造が剛直なフェニレンエーテル骨格で構成されており、優れた誘電損失特性を示すことが知られている。しかし、通常のPPE樹脂は一般的な低沸点の汎用溶剤にはほとんど溶けないため、配線基板等の電子部品製造工程においてワニス調製用の溶媒として、クロロホルム(ハロゲン系有機溶剤)や熱トルエン等に限られる。そのため、当該樹脂を用いた電子部品の製造では環境負荷、作業環境および安全面に関して課題が多い。
【0006】
また、ハロゲン系有機溶剤と同様に、トルエン溶剤もその毒性により、使用に際しての規制が今後更に強化されることが予想される。そのため、製造工程で使用する溶媒として、より毒性の低いケトン系有機溶剤(メチルエチルケトン(MEK)、アセトン等)への転換が望ましいと考えられる。
【0007】
PPEの親溶媒性向上の例として、特許文献1および特許文献2のようなPPE共重合体を用いた検討が報告されている。側鎖に有機溶剤との親和性が高い官能基を導入することで、室温でトルエン等の有機溶媒に可溶となり、かつ誘電損失特性、樹脂強度の優れた材料を得た。しかし、樹脂の分子量が大きいため、MEKなどの有機溶媒への溶解性は低く、溶解度を上げるためには加熱等の処理が必要となる。
【0008】
また、特許文献3のような、PPE樹脂のオリゴマ体(PPEオリゴマ)を使用した検討が報告されている。分子量の低いPPEオリゴマは、分子量の大きいPPE樹脂よりも親溶媒性が高く、ケトン系有機溶剤にも優れた溶解性を示す。一方で、樹脂の分子量の低下に伴って樹脂強度も低くなるため、PPEオリゴマの成型物は高分子量のPPE樹脂の成型物よりも脆く、割れやすくなる傾向を示す。このように、PPE樹脂の溶解性と樹脂強度とは互いにトレード・オフの関係となっており、双方の性能を両立できるような新しいPPE材料の開発が求められている。
【0009】
【特許文献1】特開2006‐93690号公報
【特許文献2】特開2006‐291125号公報
【特許文献3】特開2003‐155340号公報
【特許文献4】特公昭63−31522号公報
【特許文献5】特開平6−172802号公報
【特許文献6】特開平6−279816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ケトン系有機溶剤をはじめとする有機溶媒への溶解性に優れ、かつ成型物が高い樹脂強度、耐熱性を有し、高周波用電子部品材料への適用が可能であるPPEを含む樹脂組成物およびそれを用いた電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
有機溶剤への溶解性および成型物の樹脂強度の双方を両立できるような新しいPPEを含む樹脂組成物について検討を行った。
【0012】
本発明による樹脂組成物は、数平均分子量が5000以下のPPEオリゴマと、多官能ビニルベンジルオキシ化合物とを混合したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機溶剤への溶解性に優れ、PPEオリゴマとの親和性が高く、成型物が高い樹脂強度、耐熱性を有し、かつ優れた誘電損失特性を有する樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、PPEオリゴマおよび多官能ビニルベンジルオキシ化合物を含む架橋剤を組み合わせた樹脂組成物、および他の成分を複合化した樹脂組成物とすることで目的とする性能を得た。以下に本発明について詳述する。
(多官能ビニルベンジルオキシ化合物)
本発明で用いられる架橋剤構造の具体的な例として、下記一般式(1)に示される多官能ビニルベンジルオキシ化合物が挙げられる。
【0015】
【化1】

【0016】
ここで、一般式(1)は架橋性の多官能ビニルベンジルオキシ化合物を表し、mは2以上6以下の整数を表し、R、R、Rは同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から8の炭化水素基を表す。R、R、R、Rは同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から20の炭化水素基を表す。R'はm個のビニルベンジル基を除くベンゼン環に結合した6−m個の互いが同一または異なる官能基であり、水素原子あるいは炭素数1から20の炭化水素基のいずれかを表す。これらは、水素および飽和炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素を含む官能基であり、官能基の導入によって架橋剤の溶解性、熱硬化物の樹脂強度、耐熱性および誘電損失特性に優れた性能を提供することができる。特にR'の一部を炭化水素基とすることで、ビニルベンジル基が立体障害によって側鎖振動が抑制され、より優れた誘電損失特性を示すことが期待できる。
【0017】
、R、Rの飽和炭化水素をふくむ官能基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜8の炭化水素基である。不飽和炭化水素を含む官能基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜8の炭化水素基で不飽和結合を有する置換基である。これらの不飽和結合の導入により、架橋剤の架橋点が増えるため、硬化反応がより促進されると推定できる。また、長鎖分子鎖の置換基を導入することで、溶剤に対する溶解性も向上できる。芳香族炭化水素を含む具体的な例としては、フェニル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、スチリル基等がある。これらの芳香族炭化水素基の導入により、重合体の耐熱性が向上し、かつ置換基の効果で溶剤に対する溶解性も向上する。
【0018】
、R、R、R、R'の飽和炭化水素をふくむ官能基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20の炭化水素基である。不飽和炭化水素を含む官能基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で不飽和結合を有する置換基である。これらの不飽和結合の導入により、架橋剤の架橋点が増えるため、硬化反応がより促進されると推定できる。また、長鎖分子鎖の置換基を導入することで、溶剤に対する溶解性も向上できる。芳香族炭化水素を含む具体的な例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、スチリルメチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、シンナミル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で芳香環を含む置換基である。これらの芳香族炭化水素基の導入により、重合体の耐熱性が向上し、かつ置換基の効果で溶剤に対する溶解性も向上する。
【0019】
本発明の架橋剤を用いることで、高強度かつ誘電損失特性に優れたPPEオリゴマを含む樹脂材料を得ることができる。本特許は多官能ビニルベンジルオキシ化合物の種類によって権利が制限されることはないが、特にm=2の二官能ビニルベンジルオキシ化合物で、かつ2つのビニルベンジル基とベンゼンとの結合部位がオルト位またはメタ位のいずれかの関係にある架橋剤を用いることで、MEK等のケトン系有機溶剤への溶解性に非常に優れた性能を示した。そのため、本発明によるPPEオリゴマの高強度化およびケトン系溶剤への親溶媒性向上を達成するためには、上記のような二官能ビニルベンジルオキシ化合物を用いることがより望ましい。
(PPEオリゴマ)
本発明で用いられるPPEオリゴマは数平均分子量が5000以下となるオリゴマを用いることが望ましく、より望ましくは数平均分子量が1000以上4000以下、更に望ましくは数平均分子量が1500以上3000以下となるオリゴマである。数平均分子量が5000以下となるPPEオリゴマは有機溶剤への親溶媒性、特に高分子量体は溶解できないケトン系溶剤への親溶媒性が高く、樹脂組成物の溶媒として使用することができる。また、分子量分布が広くなると、樹脂の溶解性に加え、分岐構造による誘電損失特性への影響も生じることから、できるだけ分子量分布の狭いオリゴマを用いることが望ましい。分子量分布として望ましくは10以下、より望ましくは5以下、更に望ましくは3以下である。
【0020】
一方、数平均分子量が5000以上のPPEオリゴマではケトン系溶剤の親溶媒性が低くなり、樹脂溶液中にPPEの一部が不溶成分として現れる。そのため、樹脂溶液が不均一となり、樹脂硬化物中に相分離による白濁やカスレ、あるいは割れが生じる。また、溶液の保存安定性も悪くなることから、樹脂溶液を電子部品用のワニスとして使用することは難しいと考えられる。また、数平均分子量が10000以上のPPE樹脂はケトン系溶剤にほぼ不溶であるため、可溶な溶媒はトルエンや含ハロゲン溶剤に限られる。加えて、PPE樹脂の分子量が大きいため樹脂強度は十分高く、複合化による樹脂強度の向上は期待できない。以上の点から、数平均分子量が5000以下となるPPEオリゴマを用いることが本発明に適した条件である。また、PPEオリゴマを変性させることで側鎖に官能基を導入した変性PPEオリゴマを使用してもよい。本発明は数平均分子量が5000以下のPPEオリゴマによって達成されるため、PPEオリゴマの種類等によって権利が制限されることはない。
【0021】
また、本発明の樹脂組成物に適したPPEオリゴマの樹脂構造の具体的な例として、下記一般式(2)の繰り返し単位からなる単独重合体で示されるPPEオリゴマが挙げられる。
【0022】
【化2】

【0023】
ここで、一般式(2)はフェノール誘導体の単独重合体で、mは重合度であり1以上の整数を表し、重合体は分子量に分布を持っていてもよい。R、R、R、R、Rは同一または異なる、水素あるいは炭素数1から9の炭化水素基を表す。これらは、水素および飽和炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素を含む官能基であり、側鎖官能基を変えることで耐熱性、溶解性に優れた材料を提供することもできる。
【0024】
、R、R、R、Rの飽和炭化水素をふくむ官能基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20の炭化水素基である。不飽和炭化水素を含む官能基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で不飽和結合を有する置換基である。これらの不飽和結合は熱により架橋反応が起き、配線基板の耐熱性向上に寄与する、すなわち配線基板において部品実装時のリフロー工程(最高260℃付近)で絶縁層の変形、流動を抑制できる。また、長鎖分子鎖の置換基を導入することで、溶剤に対する溶解性も向上できる。
【0025】
芳香族炭化水素を含む具体的な例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、スチリルメチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、シンナミル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で芳香環を含む置換基である。これらの芳香族炭化水素基の導入により、重合体の耐熱性が向上し、かつ置換基の効果で溶剤に対する溶解性も向上する。特にRを炭化水素基等で修飾することで、樹脂末端基による末端基の分極および振動が抑制され、より一層の低誘電損失化が期待される。本検討で用いるPPE樹脂は数平均分子量が5000以下の樹脂であり、末端の水酸基による誘電損失特性への影響は特に大きいと考えられる。そのため、Rの末端は前述した炭化水素基による修飾を施すことがより望ましい。
【0026】
また、本発明の樹脂組成物に適した他のPPEオリゴマの例として、2種類以上のフェノール誘導体をランダム共重合体することで得られるPPEオリゴマ共重合体が挙げられる。異なる官能基を有するフェノール誘導体について所定の酸化カップリング共重合反応を行うことで、親溶媒性や耐熱性、熱硬化性などの樹脂特性を付与することができる。また、単独重合体とは異なり、配合比を変えることで樹脂特性のチューニングを行うことができる。また、ポリ−(2、6−ジメチル−1、4−フェニレンエーテル)を変性させて熱架橋基を導入した熱硬化性ポリフェニレンエーテルと異なり、任意に架橋基の種類および量、架橋基の結合位置などについて再現性よく制御することが可能となる。
【0027】
一方で、酸化カップリング共重合反応は各フェノール誘導体の酸化電位および重合触媒の酸化電位を考慮して行う必要がある。そのため、酸化カップリング共重合反応のうち、2つのフェノール誘導体からなるランダム共重合体が最も容易に調製を行うことができる。ランダム共重合体の具体的な例として、下記一般式(3)の繰り返し単位からなる単独重合体で示されるPPEオリゴマが挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
ここで、一般式(3)はフェノール誘導体のランダム共重合体で、m、nは重合度でありそれぞれ1以上の整数を表し、共重合体は分子量に分布を持っていてもよい。R、R、R、R、R、R、R、R、Rは同一または異なる、水素あるいは炭素数1から9の炭化水素基を表す。これらは、水素および飽和炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素を含む官能基であり、側鎖官能基を変えることで耐熱性、溶解性に優れた材料を提供することもできる。これらは、水素および飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基を含む官能基であり、側鎖官能基を変えることで耐熱性、溶解性に優れた材料を提供することもできる。
【0030】
、R、R、R、R、R、R、R、Rの飽和炭化水素をふくむ官能基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20の炭化水素基である。不飽和炭化水素を含む官能基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で不飽和結合を有する置換基である。これらの不飽和結合は熱により架橋反応が起き、配線基板の耐熱性向上に寄与する、すなわち配線基板において部品実装時のリフロー工程(最高260℃付近)で絶縁層の変形、流動を抑制できる。また、長鎖分子鎖の置換基を導入することで、溶剤に対する溶解性も向上できる。
【0031】
芳香族炭化水素を含む具体的な例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、スチリルメチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、シンナミル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で芳香環を含む置換基である。これらの芳香族炭化水素基の導入により、重合体の耐熱性が向上し、かつ置換基の効果で溶剤に対する溶解性も向上する。特にRを炭化水素基等で修飾することで、樹脂末端基による末端基の分極および振動が抑制され、より一層の低誘電損失化が期待される。本検討で用いるPPE樹脂は数平均分子量が5000以下の樹脂であり、末端の水酸基による誘電損失特性への影響は特に大きいと考えられる。そのため、Rの末端は前述した炭化水素基による修飾を施すことがより望ましい。
【0032】
本発明における樹脂硬化物の樹脂強度が改善される理由は、ビニルベンジルオキシ化合物の熱硬化反応による効果であると推定できる。このとき、不飽和炭化水素を側鎖に含む熱硬化性のPPEオリゴマを用いることで、ビニルベンジルオキシ化合物の熱硬化反応に加わることができる。そのため、PPEオリゴマの側鎖が架橋反応することで、樹脂強度の更なる向上が期待できる。以上の点から、本発明におけるPPEオリゴマについて、少なくとも1つ以上の熱硬化性官能基を含む熱硬化性PPEオリゴマであることがより望ましい。
【0033】
熱硬化性PPEオリゴマについて、前述の構造を有するPPEオリゴマであれば特に制限はないものの、側鎖の官能基が大きくなると、樹脂側鎖の振動によって誘電損失特性への影響が大きくなると考えられるため、熱硬化性官能基の数を共重合比でコントロール可能なPPEオリゴマ共重合体の方が、PPEオリゴマの単独重合体よりも適していると考えられる。
【0034】
誘電損失特性を抑えるのに最も適した構造として、2、6−ジメチルフェニルエーテル部位が挙げられる。当該構造は最小限の側鎖官能基で構成されたフェニルエーテル部位であり、側鎖振動による誘電損失特性への影響は小さい。一方で、熱硬化性官能基を持つフェニルエーテル部位の共重合比が高くなると、架橋反応効率が高まる一方で、樹脂側鎖の振動による誘電損失特性への影響が大きくなる。誘電損失特性に優れた共重合体とする場合、熱硬化性官能基を持つフェニルエーテル部位の共重合比は30モル%以下、より好ましくは15モル%以下とすることが望ましい。
【0035】
本発明で用いられる熱硬化性PPEオリゴマ共重合体の具体的な組み合わせ例としては、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2−ビニル−6−メチルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2−ビニル−6−スチリルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2−アリル−6−メチルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2−アリル−6−フェニルフェニルエーテル)との共重合体、2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2−アリル−6−スチリルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジビニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジアリルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジイソプロペニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジブテニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジイソブテニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジペンテニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジイソペンテニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジノネニルフェニルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジスチリルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2、6−ジスチリルメチルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2―メチル−6−スチリルエーテル)との共重合体、(2、6−ジメチルフェニルエーテル)と(2−メチル−6−ジスチリルメチルエーテル)との共重合体、等が挙げられる。
(多官能スチレン)
本発明の樹脂組成物は、前述の多官能ビニルベンジルオキシ化合物とPPEオリゴマとの樹脂組成物を用いることで得られ、樹脂強度および親溶媒性に高い性能を示した。しかし、多官能ビニルベンジルオキシ化合物およびPPEオリゴマは、分子構造中に分極が大きい酸素原子を含むため、高周波信号による影響を受けやすくなり、誘電損失が高くなる。そのため、本発明では、更に高周波信号に適用可能な電子部品材料への適用を行うため、多官能ビニルベンジルオキシ化合物との架橋反応が可能な多官能スチレン化合物との複合化を検討した。
【0036】
本検討で用いられる多官能スチレン化合物の具体的な例として、下記一般式(4)に示される多官能スチレン化合物が挙げられる。
【0037】
【化4】

【0038】
ここで、一般式(4)は架橋成分を含む多官能スチレン化合物を表し、Rは、炭素数1から8の炭化水素基を表し、R、R、Rは、同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から8の炭化水素基を表す。R、R、R、Rは同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から20の炭化水素基を表し、mは2以上の整数を表す。これらは、水素および飽和炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素を含む官能基であり、官能基の導入によって架橋剤の溶解性、熱硬化物の樹脂強度、耐熱性および誘電損失特性に優れた性能を提供することができる。
【0039】
はスチレン構造が複数個結合した炭化水素基である。Rの構造は炭素数1〜8の炭化水素基であることを満たせば特に制限はない。例えば、m=2の二官能スチレン化合物の場合、Rの官能基の具体的な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基あるいはブチレン基等の炭素数1〜8の飽和炭化水素基、ビニレン基あるいはアリレン基等の炭素数2〜8の不飽和炭化水素基、フェニレン基等の芳香族炭化水素基がある。
【0040】
、R、Rの飽和炭化水素をふくむ官能基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜8の炭化水素基である。不飽和炭化水素を含む官能基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜8の炭化水素基で不飽和結合を有する置換基である。
【0041】
これらの不飽和結合の導入により、架橋剤の架橋点が増えるため、硬化反応がより促進されると推定できる。また、長鎖分子鎖の置換基を導入することで、溶剤に対する溶解性も向上できる。芳香族炭化水素を含む具体的な例としては、フェニル基、キシリル基、クメニル基、ベンジル基、スチリル基等がある。これらの芳香族炭化水素基の導入により、重合体の耐熱性が向上し、かつ置換基の効果で溶剤に対する溶解性も向上する。
【0042】
、R、R、R、R'の飽和炭化水素をふくむ官能基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アダマンチル基等の炭素数1〜20の炭化水素基である。不飽和炭化水素を含む官能基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で不飽和結合を有する置換基である。これらの不飽和結合の導入により、架橋剤の架橋点が増えるため、硬化反応がより促進されると推定できる。また、長鎖分子鎖の置換基を導入することで、溶剤に対する溶解性も向上できる。芳香族炭化水素を含む具体的な例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、スチリルメチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、シンナミル基等の炭素数2〜20の炭化水素基で芳香環を含む置換基である。これらの芳香族炭化水素基の導入により、重合体の耐熱性が向上し、かつ置換基の効果で溶剤に対する溶解性も向上する。
(硬化触媒、架橋剤、重合禁止剤の複合化)
本発明の樹脂組成物は、多官能ビニルベンジルオキシ化合物および多官能スチレン化合物の熱硬化反応により、樹脂強度の優れた樹脂硬化物を得た。更に、熱硬化反応における架橋反応の促進および架橋密度の高密度化を目的として、硬化触媒または架橋剤等を複合化することが可能である。
【0043】
本発明に用いられる樹脂組成物は、硬化触媒を添加しなくとも硬化することができるが、硬化触媒の添加することで、硬化反応をさらに促進することができる。また、硬化触媒の種類によって重合開始温度が異なるため、硬化温度をコントロールすることも可能である。硬化触媒の添加量は特に制限はないが、硬化物の誘電率、誘電正接に影響を与えない範囲に設定することが好ましく、樹脂組成物中の樹脂成分の総量を100重量部として0.0005〜10重量部、より好ましくは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.005〜5重量部とすることが望ましい。
【0044】
熱硬化反応を開始および促進し得るカチオンまたはラジカル活性種を、熱または光によって生成する硬化触媒の例を以下に示す。カチオン重合開始剤としては、BF、PF、AsF、SbFを対アニオンとするジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩および脂肪族スルホニウム塩が挙げられ、こうした市販品としては旭電化工業製SP−70、172、CP−66、日本曹達製CI−2855、2823、三新化学工業製SI−100LおよびSI−150L等を使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、ベンゾインまたはベンゾインメチルのようなベンゾイン系化合物、アセトフェノンまたは2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンのようなアセトフェノン系化合物、チオキサントンまたは2、4−ジエチルチオキサントンのようなチオキサンソン系化合物、4、4’−ジアジドカルコン、2、6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンまたは4、4’−ジアジドベンゾフェノンのようなビスアジド化合物、アゾビスイソブチルニトリル、2、2−アゾビスプロパン、m、m’−アゾキシスチレンまたはヒドラゾンのようなアゾ化合物、並びに、2、5−ジメチル−2、5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンまたは2、5−ジメチル−2、5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシドのような有機過酸化物等が挙げられる。特に、官能基を持たない化合物の水素引き抜きを生じさせ、架橋成分と高分子量体との間の架橋をもたらし得る有機過酸化物またはビスアジド化合物を添加することが望ましい。
【0045】
また、本発明に用いられる樹脂組成物について、他の架橋剤成分を加えることで樹脂組成物同士の架橋反応による結びつきが更に強くなり、熱硬化反応を促進することができる。架橋剤成分の添加量は特に制限はないが、特に分極の大きい構造を有する架橋剤を用いる場合には誘電率、誘電正接に影響を与えない範囲に設定することがより好ましく、樹脂組成物中の樹脂成分の総量を100重量部として0.0005〜10重量部、より好ましくは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部とすることが望ましい。
【0046】
架橋剤の例としては、3、5−トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
【0047】
また、本発明に用いられる樹脂組成物について、重合禁止剤を加えることで樹脂組成物の長期保存安定性の向上が期待できる。その添加量は誘電特性、硬化時の反応性を著しく阻害しない範囲が好ましく、樹脂組成物中の樹脂成分の総量を100重量部として0.0005〜10重量部、より好ましくは0.005〜10重量部、さらに好ましくは0.005〜5重量部とすることが望ましい。重合禁止剤を前記範囲で添加すると、保存時の余計な架橋反応を抑制することができ、また硬化時に著しい硬化障害をもたらすこともない。
【0048】
重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−ベンゾキノン、クロラニル、トリメチルキノン、4−t−ブチルピロカテコール等のキノン類および芳香族ジオール類が挙げられる。
(難燃剤、低誘電損失相、低誘電率相、高誘電率絶縁体、その他成分の複合化)
本発明の樹脂組成物は、難燃性を付与することを目的として、難燃剤の複合化を行うことができる。難燃剤はプラスチック等の高分子有機材料を難燃化するために広く使用されており、火災による損失を未然に防止するのに貢献している。電気・電子機器は潜在的に回路の短絡、劣化等による発火の危険性を有しており、これらの筐体等に対する難燃性の要求が高まっている。そのため、難燃化は電子部品において重要な性能であると考えられる。
【0049】
本発明に用いられる難燃剤は、特に制限はなく、例えば、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等の燐酸エステル、縮合燐酸エステルである。こうした市販品としては、大八化学製のPX−200、PX−201、PX−202、CR−741C、日本化学工業製の赤燐粒子:ヒシガードTP−A10等が使用できる。また、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)やエチレンビステトラブロモフタルイミド等の臭素系難燃剤も優れた性能を示す。こうした市販品としては、アルベマール日本株式会社製のSAYTEX 8010、SAYTEX BT−93/W等が使用できる。特に、常温で固体の物質を用いることが好ましい。これにより誘電正接の増加を抑制することができる。
【0050】
また、その添加量は、樹脂組成物中の樹脂成分の総量を100重量部とし、2〜20重量部が望ましい。この範囲であれば十分な難燃性および樹脂特性を得ることができる。
【0051】
本発明の樹脂組成物では、更に高分子量体を添加することによって樹脂組成物に成膜性、強度、伸びおよび接着性を付与することができる。該高分子量体としてはブタジエン、イソプレン、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミドおよびN−ビニルフェニルマレイミドの少なくとも一種からなる重合体、脂環式構造を有するポリオレフィン等が挙げられる。
【0052】
高分子量体の添加量には特に制限はないが、PPEエラストマ組成物成分が5〜95重量部、高分子量体が95〜5重量部の範囲が好ましい。前記範囲内で強度、伸び、接着力の向上等その目的に応じて組成を調整できる。特に、好ましい範囲としてはPPEエラストマ組成物成分が50〜80重量部、高分子量体が50〜20重量部の範囲であり、これにより高分子量体が架橋性の官能基を有していない場合にも耐溶剤性が保たれる。
【0053】
また、本発明は前記樹脂組成物に誘電率が異なる種々の絶縁材料を分散させることで、絶縁層の誘電正接の増加を抑制しつつ誘電率を容易に調整することができる。本発明の樹脂組成物ではブレンドする高分子量体の種類、添加量にて1GHzにおける誘電率を2.3〜3.0程度の範囲で調整することができる。更に絶縁層に1GHzにおける誘電率が1.0〜2.2の低誘電率絶縁体を分散した樹脂組成物では、絶縁層の誘電率を1.5〜2.2程度に調整することが可能である。絶縁層の誘電率を低減することにより、電気信号の一層の高速伝送が可能となる。これは電気信号の伝送速度が誘電率の平方根の逆数と比例関係にあるためで、絶縁層の誘電率が低いほど伝送速度は高くなる。
【0054】
前記、低誘電率絶縁体としては低誘電率樹脂粒子、中空樹脂粒子、中空ガラスバルーン、空隙(空気)が好ましく、その粒子サイズは絶縁層の強度、絶縁信頼性の観点から、平均粒径0.1〜100μm、より好ましくは0.2〜60μmであることが好ましい。
【0055】
低誘電率樹脂粒子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリスチレン−ジビニルベンゼン架橋粒子等が挙げられ、中空粒子としては中空スチレン−ジビニルベンゼン架橋粒子、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン等が挙げられる。低誘電率絶縁層を含む樹脂組成物、は高速伝送性が要求される半導体装置の封止樹脂およびチップ間を電気的に接続するMCM基板等の配線、高周波用チップインダクタ等の回路の形成に適している。
【0056】
一方、本発明では絶縁層中に1GHzにおける誘電率が3.0〜10.0の高誘電率絶縁体を分散することによって誘電正接の増大を抑制しつつ、誘電率が3.1〜20の高誘電率絶縁層を有する樹脂組成物を調製できる。絶縁層の誘電率を高くすることによって回路の小型化、コンデンサの高容量化が可能となり高周波用電気部品の小型化等に寄与できる。高誘電率、低誘電正接絶縁層はキャパシタ、共振回路用インダクタ、フィルター、アンテナ等の形成に適している。本発明に用いる高誘電率絶縁体としては、セラミック粒子または絶縁処理施した金属粒子が挙げられる。
【0057】
具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セラミックス粒子;例えばMgSiO、Al、MgTiO、ZnTiO、ZnTiO、TiO、CaTiO、SrTiO、SrZrO、BaTi、BaTi、BaTi20、Ba(Ti、Sn)20、ZrTiO、(Zr、Sn)TiO、BaNdTi14、BaSmTiO14、Bi−BaO−Nd−TiO系、LaTi、BaTiO、Ba(Ti、Zr)O系、(Ba、Sr)TiO系等の高誘電率絶縁体を挙げることができ、同様に絶縁処理を施した金属微粒子;例えば金、銀、パラジウム、銅、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系、カルボニル鉄、Fe−Si系、Fe−Al−Si系、Fe−Ni系等を挙げることができる。高誘電率絶縁体の粒子は、破砕、造粒法、または熱分解性金属化合物を噴霧、熱処理して金属微粒子を製造する噴霧熱分解法(特許文献4、特許文献5および特許文献6に開示されている)等で作製される。
【0058】
噴霧熱分解法では、出発材料である金属化合物、例えばカルボン酸塩、リン酸塩、硫酸塩等と、噴霧され微粒化された金属と反応してセラミック化するホウ酸、珪酸、リン酸、または酸化後にセラミック化する各種金属塩とを混合して噴霧熱分解処理することによって表面に絶縁層を有する金属粒子を形成することができる。
【0059】
高誘電率絶縁体の平均粒径は0.2〜100μm程度が好ましく、絶縁層の強度、絶縁信頼性の観点から、平均粒径0.2〜60μmが一層好ましい。粒径が小さくなると樹脂組成物の混練が困難となり、大きすぎると分散が不均一となり、絶縁破壊の起点となり、絶縁信頼性の低下を招く場合がある。高誘電率粒子の形状は、球形、破砕、ウイスカ状のいずれでもよい。
【0060】
そのほか、必要に応じて、フィラ等の充填剤、着色剤、接着付与剤、カップリング剤、消泡剤、レベリング剤、イオントラッパー、重合禁止剤、酸化防止剤、粘度調整剤等を添加することができる。
(ワニス調製および積層板製造方法)
本発明の樹脂組成物は、これまでに述べた各主成分を包含した樹脂組成物を溶媒中に溶解および分散させることにより、液状のワニスを調製することができる。ワニスに使用可能な溶媒はPPEオリゴマおよび多官能ビニルフェニルオキシ化合物が可溶な溶媒であれば特に限定せず用いることができる。代表的な溶剤としてはハロゲン系化合物、非ハロゲン系の芳香族炭化水素系化合物、ケトン系有機溶媒などが挙げられる。ハロゲン系化合物の例としてはジクロロメタン、クロロホルム、四塩化メチル等があげられる。また非ハロゲン系の芳香族炭化水素の例としてはトルエン、キシレン、リモネン等があげられる。ケトン系有機溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。これらの溶剤に樹脂組成物を溶解あるいは均一分散させてワニスを作製することができる。
【0061】
上記に挙げた溶媒のうち、ハロゲン系溶剤は溶剤として優れた性能を示すことが知られているが、一方で環境への負荷や溶剤の毒性などの影響などから、ハロゲン系溶剤の使用に対して規制および制限が強化させる傾向がある。特に、電子部品材料の製造を行う上で、ハロゲン系溶剤の使用は作業環境への影響もあるため、当該溶剤の使用はあまり望ましくない。そのため、ハロゲンを含まない非ハロゲン系溶剤により電子部品を製造することがより望ましく、トルエン、キシレン、リモネン等の芳香族系炭化水素溶剤がPPE樹脂を用いた電子部品製造の溶剤として一般に用いられている。
【0062】
特に、リモネン(d−リモネン)はレモンなど柑橘類全般の果皮に含まれ、その香りを構成する物質の一つとして知られており、他の芳香族系炭化水素溶剤と比較して毒性の低い有機溶剤である。汎用溶剤でないものの、今後は他の芳香族系炭化水素溶剤の代替溶剤として期待される。本発明においても、溶剤としてリモネンを使用することができる。
【0063】
また、本発明では通常のPPE樹脂では溶解できなかった、ケトン系有機溶媒が使用可能である。ケトン系有機溶媒であるアセトンやMEKは、芳香族系炭化水素溶剤よりも毒性の低い汎用溶剤であり、電子部品製造用の溶剤としてより適している。今後、電子部品材料の製造を行う上で、低環境負荷および低毒性の溶剤が使用可能であるような材料とすることが、今後の材料開発で重要な課題である。本発明では、親溶媒性の高い樹脂組成物とすることで、これらの課題を克服できるような樹脂組成物を提供することが可能である。
【0064】
上記で調製した液状のワニスを使用した電子部品の製造例として、配線基板の製造が挙げられる。ここで配線基板の製造方法としては二仕様に分けることができる。一つは得られたワニスを補強材に含浸塗工して、プリプレグを作製する方法である。もう一つは銅箔等に直接塗り、絶縁層としては補強材のない樹脂のみの基板である。
【0065】
本発明では特に限定はないが、多くの実装部品を搭載するリジッド基板の場合は補強材を用いることが多い。またフレキシブル基板ないしはビルドアップ基板を構成するときは補強材を用いないことが多い。補強材としては現在配線基板として一般に適用されている織布、不織布、不織紙、フィルム等を用いることができる。代表的なものとしてはEガラス、Sガラス、NEガラス、Dガラス、シリカガラス、Aガラス、Qガラス等の無機酸化物、ポリイミド、ポリアラミド等の有機物等が挙げられる。
【0066】
本発明では絶縁層に高分子量体を分散させることによって、絶縁層に強度、伸び、導体配線への接着力、フィルム形成能を付与することができる。これによって多層配線板の作製に必要なプリプレグ、導体箔とプリプレグとを積層して硬化した導体箔付き積層板(以下、積層板と略す)の作製が可能となるほか、薄膜形成プロセスによる高密度多層配線基板の作製も可能となる。
【0067】
実際に多層配線基板に本発明の樹脂を適用するには、有機溶剤に溶解してワニスを調整し、これをガラスクロスなどの繊維基材に含浸し、乾燥し、プリプレグを作製する。これによって、多層配線基板用低誘電損失樹脂が提供される。この熱硬化性樹脂は、硬化させる前には溶剤に可溶で、ワニスを調整することが可能であり、又それを用いてプリプレグを作ることができる。プリプレグは、ガラスクロス等の基材にワニスを含浸し、乾燥して用いる。これを公知の方法で、プリプレグと配線層とを積層して多層配線基板を作ることができる。
【0068】
以下、本発明を実施例、比較例により詳細に説明する。
(実施例および比較例)
以下に実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明する。使用した試薬の名称、合成方法、ワニスの調製法および硬化物の評価方法を説明する。
(1)1、3−ビス(4−ビニルフェノキシ)ベンゼン(以下、架橋剤1と呼ぶ)の合成
攪拌子を入れた2口フラスコに、レソルシノール:11.00g(100mmol、東京化成製)、アセトン:150ml(和光純薬製)、テトラメチルエチレンジアミン:0.2ml(和光純薬製)を加えて攪拌した。攪拌停止後、炭酸カリウム:41.4g(300mmol、和光純薬製)を加えて10分程度攪拌した。4−クロロメチルスチレン:31.3g(205mmol、東京化成製)を系内に静かに加え、加熱によりアセトンを6時間還流させた。反応終了後、アセトンを減圧濃縮した後にトルエンに再溶解し、不溶物をろ過により除去した。ろ液を減圧濃縮した後、大過剰のメタノール中で架橋剤を再沈殿させ、メタノールで洗浄後、70℃/3時間真空乾燥して白色の固形物を得た。(収率82%)
H−NMRおよび13C−NMRにより、その構造を同定した。
(2)1、3−ビス(4−ビニルフェノキシ)‐2−メチルベンゼン(以下、架橋剤2と呼ぶ)の合成
攪拌子を入れた2口フラスコに、2−メチルレソルシノール:12.40g(100mmol、東京化成製)、アセトン:150ml(和光純薬製)、テトラメチルエチレンジアミン:0.2ml(和光純薬製)を加えて攪拌した。攪拌停止後、炭酸カリウム:41.4g(300mmol、和光純薬製)を加えて10分程度攪拌した。4−クロロメチルスチレン:31.3g(205mmol、東京化成製)を系内に静かに加え、加熱によりアセトンを6時間還流させた。反応終了後、アセトンを減圧濃縮した後にトルエンに再溶解し、不溶物をろ過により除去した。ろ液を減圧濃縮した後、大過剰のメタノール中で架橋剤を再沈殿させ、メタノールで洗浄後、70℃/3時間真空乾燥して白色〜淡赤色の固形物を得た。(収率89%)
H−NMRおよび13C−NMRにより、その構造を同定した。
(3)1、2−ビス(4−ビニルフェノキシ)ベンゼン(以下、架橋剤3と呼ぶ)の合成
攪拌子を入れた2口フラスコに、カテコール:11.00g(100mmol、東京化成製)、アセトン:150ml(和光純薬製)、テトラメチルエチレンジアミン:0.2ml(和光純薬製)を加えて攪拌した。攪拌停止後、炭酸カリウム:41.4g(300mmol、和光純薬製)を加えて10分程度攪拌した。4−クロロメチルスチレン:31.3g(205mmol、東京化成製)を系内に静かに加え、加熱によりアセトンを6時間還流させた。反応終了後、アセトンを減圧濃縮した後にトルエンに再溶解し、不溶物をろ過により除去した。ろ液を減圧濃縮した後、大過剰のメタノール中で架橋剤を再沈殿させ、メタノールで洗浄後、70℃/3時間真空乾燥して白色の固形物を得た。(収率80%)
1H−NMRおよび13C−NMRにより、その構造を同定した。
(4)1、4−ビス(4−ビニルフェノキシ)トリメチルベンゼン(以下、架橋剤4と呼ぶ)の合成
攪拌子を入れた2口フラスコに、トリメチルヒドロキノン:14.20g(100mmol、東京化成製)、アセトン:150ml(和光純薬製)、テトラメチルエチレンジアミン:0.2ml(和光純薬製)を加えて攪拌した。攪拌停止後、炭酸カリウム:41.4g(300mmol、和光純薬製)を加えて10分程度攪拌した。4−クロロメチルスチレン:31.3g(205mmol、東京化成製)を系内に静かに加え、加熱によりアセトンを6時間還流させた。反応終了後、アセトンを減圧濃縮した後にトルエンに再溶解し、不溶物をろ過により除去した。ろ液を減圧濃縮した後、大過剰のメタノール中で架橋剤を再沈殿させ、メタノールで洗浄後、70℃/3時間真空乾燥して白色の固形物を得た。(収率77%)
H−NMRおよび13C−NMRにより、その構造を同定した。
(5)(2、6−ジメチルフェノールの単独重合体オリゴマ(以下、PPEオリゴマと呼ぶ)の合成
攪拌子を入れた2口フラスコに、ジ−μ−ヒドロキソビス[(N、N、N'、N'−テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]二塩化物:4.64g(10mmol、東京化成製)、水:120ml、テトラメチルエチレンジアミン:20ml(和光純薬製)を加えて攪拌した。攪拌停止後、2、6-ジメチルフェノール:110.0g(0.9mol、東京化成製)をトルエン:500ml(和光純薬製) に溶解した溶液をフラスコに静かに加え、三方コックおよびガラス栓にて密栓した。ゴム製の酸素バルーンを三方コックに接続し、系内を脱気および酸素封入を繰り返して置換した後、40℃の酸素雰囲気下、500〜800rpmで6時間を目標に攪拌した。重合終了後にトルエンで析出物を溶出させた後、大過剰の塩酸/メタノール溶液(1〜5M程度)に沈殿させたのち、沈殿物をメタノールで洗浄後、乾燥後再びトルエンに溶解後、大過剰の塩酸/メタノール(1M程度)に再沈殿させ、メタノールで洗浄後、120℃/2時間、140℃/30分真空乾燥して白色の固形物を得た。
【0069】
H−NMRおよび13C−NMRにより、その構造を同定した。(Mn=3400、Mw/Mn=1.7、収率92%)
(6)2、6−ジメチルフェノールと2−アリル−6−メチルフェノールとのランダム共重合体オリゴマ(以下、アリル化PPEオリゴマと呼ぶ)の合成
攪拌子を入れた2口フラスコに、ジ−μ−ヒドロキソビス[(N、N、N'、N'−テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]二塩化物:4.64g(10mmol、東京化成製)、水:100ml、テトラメチルエチレンジアミン:20mlを加えて攪拌した。攪拌停止後、2、6-ジメチルフェノール:99.0g(0.81mmol、東京化成製)、2−アリル−6−メチルフェノール:13.4g(0.09mmol、アルドリッチ製)をトルエン:500mlに溶解した溶液をフラスコに静かに加え、三方コックおよびガラス栓にて密栓した。ゴム製の酸素バルーンを三方コックに接続し、系内を脱気および酸素封入を繰り返して置換した後、40℃の酸素雰囲気下、500〜800rpmで6時間を目標に攪拌した。重合終了後にトルエンで析出物を溶出させた後、大過剰の塩酸/メタノール溶液(1〜5M程度)に沈殿させたのち、沈殿物をメタノールで洗浄後、乾燥後再びトルエンに溶解後、大過剰の塩酸/メタノール(1M程度)に再沈殿させ、メタノールで洗浄後、120℃/2時間、140℃/30分真空乾燥して白色の固形物を得た。
【0070】
H−NMRおよび13C−NMRにより、その構造を同定した。(Mn=3000、Mw/Mn=1.5、収率93%)
(7)PPEオリゴマおよびアリル化PPEオリゴマの末端基修飾
攪拌子を入れた2口フラスコに、PPEオリゴマまたはアリル化PPEオリゴマ:10g、メチルエチルケトン(MEK、和光純薬製):100ml、テトラメチルエチレンジアミン:0.1ml(和光純薬製)を加えて攪拌した。攪拌停止後、炭酸カリウム:2.8g(20mmol、和光純薬製)を加えて10分程度攪拌した。α−ブロモジフェニルメタン:4.9g(20mmol、東京化成製)を系内に静かに加え、加熱によりMEKを6時間還流させた。反応終了後、反応溶液を大過剰のメタノール中で再沈殿させ、メタノールで洗浄後、100℃/3時間真空乾燥して白色の固形物を得た。(収率:PPEオリゴマ、アリル化PPEオリゴマとも100%)
H−NMRにより、PPEオリゴマおよびアリル化PPEオリゴマの末端水酸基の消失を確認した。
(8)1、2−ビス(ビニルフェニル)エタン(以下、BVPEと呼ぶ)の合成
500mlの三つ口フラスコにグリニャール反応用粒状マグネシウム5.36g(220mmol、和光純薬製)を採り、滴下ロート、窒素導入管およびセプタムキャップを取り付けた。窒素気流下、スターラによってマグネシウム粒を攪拌しながら、系全体をドライヤーで加熱脱水した。乾燥テトラヒドロフラン300ml(和光純薬製)をシリンジにとり、セプタムキャップを通じて窒素気流中下で注入した。溶液を−5℃に冷却後、滴下ロートを用いてビニルベンジルクロライド:30.5g(200mmol、東京化成製)を約4時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃で20時間攪拌を続けた。反応終了後、反応溶液をろ過して残存マグネシウムを除き、エバポレーターで濃縮した。濃縮溶液をヘキサンで希釈し、1M塩酸水溶液で1回、純水で3回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで脱水した。脱水溶液をシリカゲル(和光純薬製ワコーゲルC300)/ヘキサンのショートカラムに通して精製し、真空乾燥してBVPEを得た。得られたBVPEはm−m体(液状)、m−p体(液状)、p−p体(結晶)の混合物を得た。(収率:90%)
H−NMRによってその構造を調べたところ、その値は文献値と一致した。
(9)ワニスの調製法
所定量の多官能ビニルベンジルオキシ化合物、PPEオリゴマまたはアリル化PPEオリゴマとともに、複合化成分および溶媒の入った容器にジルコニアボールを加え、ミックスローター等にて約8時間攪拌を行うことで樹脂組成物のワニスを作製した。
(10)樹脂板の作製
上記ワニスをPETフィルムに塗布して乾燥した後、これを剥離してポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量入れ、ポリイミドフィルムおよび鏡板を介し、真空下で、加熱、加圧して硬化して樹脂板を得た。加熱条件は、120℃/30分、150℃/30分、180℃/100分で、プレス圧力1.5MPaの多段階加熱とした。樹脂板の大きさは70mm×70mm×1.5mmとした。
(11)誘電率および誘電正接の測定
誘電率、誘電正接は、空胴共振器摂動法(アジレントテクノロジー製8722ES型ネットワークアナライザー、関東電子応用開発製空胴共振器)によって、10GHzでの値を測定した。
(12)引っ張り強度の測定
樹脂板の引っ張り強度および伸び率の測定は、幅1.5mm、厚み1.5mm、長さ40mmに加工した測定サンプルを精密万能試験機オートグラフ(島津製作所製AGS−100G)によって10本測定を行い、その平均値を測定値とした。
(13)耐溶剤性試験
樹脂板の耐溶剤性試験は、幅10mm、厚み1.5mm、長さ30mmに加工した測定サンプルを40℃に加熱したクロロホルム中に浸漬し、樹脂の溶解や膨潤、変形などを調べた。
(14)ガラス転移温度の測定
熱・応力・歪測定装置(TMA/SS SEIKO EXSTAR6000TMA/SS6100)を用い、貯蔵弾性率E’、弾性損失tanδを測定した。樹脂の弾性損失のピーク位置を転移温度とした。測定昇温速度は5℃/分とした。
(15)プリプレグの作製
各実施例において作製したプリプレグは、当該ワニスをガラスクロス(日東紡製#2116)に含浸し、室温で約1時間、90℃で60分間乾燥することにより作製した。
(16)プリプレグ硬化物の作製
積層板とした際の特性を知るため、前記で作製したプリプレグを6枚重ねて真空下で加熱、加圧して模擬基板を作製した。加熱条件は120℃/20分、150℃/20分、230℃/60分、プレス圧力1.5MPaの多段階加熱とした。模擬基板は70mm×70mm×1.5mmとした。
(17)難燃性
難燃性はサンプルサイズ70×3×1.5mmの試料を用いてUL−94規格に従って評価した。
(18)その他の試薬
硬化触媒:25B:日本油脂製、2、5−ジメチル−2、5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、難燃剤:ヒシガード:日本化学工業製、重合禁止剤:ハイドロキノン系重合禁止剤:2、5−ビス(1、1−ジメチルブチル)ハイドロキノン、難燃剤:SAYTEX 8010:アルベマール日本製、高分子量体:H1051:旭化成ケミカルズ製、低誘電率絶縁体:Z−36:東海工業製、硼珪酸ガラスバルーン(平均粒径56μm)、高誘電率絶縁体:Ba−Ti系無機フィラ:1GHzにおける誘電率が70、密度5.5g/cm、平均粒子1.5μmのチタン酸バリウム系の無機フィラ。
(実施例1〜6)
実施例1〜6は、1、3−ビス(4−ビニルフェノキシ)ベンゼン(架橋剤1)、末端基修飾を行ったアリル化PPEオリゴマおよび25Bを含む樹脂組成物について樹脂板を作製し、測定を行った。ワニス調製時等の溶媒には、ケトン系溶剤であるMEKを使用した。アリル化PPEオリゴマの樹脂組成物はMEKへの溶解性が高く、室温で10重量部%以上の樹脂含量を有するワニスとすることができた。
(実施例7〜12)
実施例7〜12は、1、3−ビス(4−ビニルフェノキシ)ベンゼン、末端基修飾を行ったPPEオリゴマおよび25Bを含む樹脂組成物について樹脂板を作製し、測定を行った。ワニス調製時等の溶媒には、ケトン系溶剤であるMEKを使用した。アリル化PPEオリゴマの時と同様に、樹脂組成物はMEKへの溶解性が高く、室温で10重量部%以上の樹脂含量を有するワニスとすることができた。
(実施例13〜15)
実施例13〜15は、多官能ビニルベンジルオキシ化合物として、1、3−ビス(4−ビニルフェノキシ)−2−メチルベンゼン(架橋剤2)、1、2−ビス(4−ビニルフェノキシ)ベンゼン(架橋剤3)および1、4−ビス(4−ビニルフェノキシ)トリメチルベンゼン(架橋剤4)のいずれかを用い、末端基修飾を行ったPPEオリゴマおよび25Bを含む樹脂組成物について樹脂板を作製し、測定を行った。ワニス調製時等の溶媒には、ケトン系溶剤であるMEKを使用した。アリル化PPEオリゴマの時と同様に、樹脂組成物はMEKへの溶解性が高く、室温で10重量部%以上の樹脂含量を有するワニスとすることができた。
(比較例1〜2)
比較例1〜2は、PPEオリゴマ、またはアリル化PPEオリゴマと25Bとを含む樹脂複合化物を加熱成型して樹脂板を作製し、測定を行った。
【0071】
実施例1〜6の結果を表1に、実施例7〜12の結果を表2に、実施例13〜15の結果を表3に、比較例1〜2の結果を表4にそれぞれ示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
表1および表2に示す実施例1〜6および実施例7〜12の結果から、PPEオリゴマと架橋剤1との樹脂組成物では、架橋剤1の量が多い樹脂組成物では、樹脂硬化物の引っ張り強度が高くなる傾向がわかる。また、実施例3や実施例9のように、架橋剤1が樹脂成分全体の重量の半分以下となると、樹脂組成物の架橋反応の効率が低下して、樹脂組成物の樹脂強度が低くなる傾向をある。また、樹脂強度はPPEオリゴマよりも、熱硬化基を側鎖に含むアリル化PPEオリゴマを含む樹脂組成物の方が、より高い樹脂強度を示す。これは、アリル化PPEオリゴマの側鎖が架橋反応に関与することで樹脂組成物の架橋密度がPPEオリゴマよりも高まり、結果として樹脂強度が高くなったものと推定できる。
【0077】
一方、樹脂硬化物の10GHzにおける誘電損失特性は、PPEオリゴマ、アリル化PPEオリゴマのいずれについても、オリゴマの添加量が高くなるほど優れた誘電損失特性を示す。本実施例では樹脂末端を炭化水素基で修飾したオリゴマを使用しており、これによって末端基の誘電損失特性への影響が小さく、誘電損失の優れた樹脂組成物を実現した。また、BVPEを更に加えることで、PPEオリゴマ樹脂強度を維持しつつ、誘電損失のより低い樹脂組成物の硬化物を得た。また、本発明ではワニス調製時にMEKを溶媒として使用することが可能であり、従来のPPE樹脂を用いた電子部品製造プロセスと比較して、低環境負荷および低毒性の製造プロセスが実現可能であると推定できる。
【0078】
実施例13〜15の結果から、架橋剤1の結果と比較して、ビニルベンジルオキシ基が結合したベンゼン環にメチル基が結合した架橋剤2のような構造とすることで、分子内の立体障害によって分子運動が阻害されて、より誘電損失の低い樹脂硬化物を得ることができた。
【0079】
また、オルト位にビニルベンジルオキシ基が結合した架橋剤3、パラ位にビニルベンジルオキシ基が結合した架橋剤4を用いた結果、いずれの条件においても架橋剤1と同等の性能を示すことがわかる。特に、パラ位にビニルベンジルオキシ基をもつ架橋剤は、オルト位、メタ位に結合した架橋剤と比較して溶剤への溶解性が悪くなるが、メチル基をベンゼン環に結合させることで親溶媒性が高まり、上記の架橋剤と同様に優れた溶解性および樹脂強度を示す樹脂組成物を得た。
【0080】
また、実施例1〜15により得られた樹脂組成物の硬化物について、TMA/SSを用いた粘弾性試験を行った結果、PPEのガラス転移温度である210℃を越える温度条件においても安定な樹脂強度を示し、かつ樹脂の変形等は見られなかった。
【0081】
一方、比較例1および比較例2では、加熱成型を行った結果、樹脂硬化物全体に無数の割れが生じるため、成型によって樹脂板を得ることができなかった。そのため、樹脂強度および誘電損失特性に関する測定を行うことができなかった。これは、PPEオリゴマの分子量が低く、成型物が構造を維持するのに十分な樹脂強度を持たなかったためと推定される。成型物の断片により耐薬品性試験を行った結果、アリル化PPEオリゴマは溶剤に不溶であったが、PPEオリゴマは熱可塑性樹脂のため溶解した。そのため、PPEオリゴマおよびアリル化PPEオリゴマは、多官能ビニルベンジルオキシ化合物を架橋剤として用いることで、PPEオリゴマの樹脂強度が高まり、加熱成型によって構造体の形成が可能となる。
【0082】
以下、各電子部品に要求される要求特性に基づいて本発明の電子部品について説明する。
(半導体装置)
従来、高周波用半導体素子は、高周波動作の障害となる配線間静電容量を低減するために、図1に記載のように空気層を絶縁層とするハーメチックシール型の気密パッケージにて製造されてきた。本図において、1は半導体素子の基材であり、2は基材1の凹部、3は半導体チップ、4は基材1との間にシール材5を挟んで半導体チップ3を密封する半導体素子のカバー、6は半導体素子の端子、7は半導体チップ3と端子6とを電気的に接続するためのワイヤー配線である。
【0083】
本発明では所定の配合比とした架橋成分、低誘電率絶縁体粒子、必要により高分子量体、難燃剤および第二の架橋成分、離型剤、着色剤等を含有する低誘電率かつ低誘電正接な樹脂組成物を有機溶媒中あるいは無溶剤状態で混合分散し、該低誘電率、低誘電正接樹脂組成物で半導体チップ3を被覆し、必要により乾燥し、硬化することによって、低誘電率、低誘電正接樹脂層で絶縁、保護された半導体装置を作製する。該低誘電率、低誘電正接樹脂組成物の硬化は120℃〜240℃の加熱で行うことができる。
【0084】
図2に本発明の高周波用半導体装置の一例を示すが、その形状は特に限定されるものではない。本発明によれば安価なモールド成型法より、伝送速度が高く、誘電損失が小さい高効率な高周波用半導体装置を作製することができる。本発明の低誘電率、低誘電正接な絶縁層8の形成方法としては、トランスファープレス、ポッティング等があり、半導体装置の形状に応じて適宜選択される。半導体装置の形態は特に限定されないが例えば、テープキャリア型パッケージ、半導体チップ3が配線基板上にベアチップ実装された半導体装置などを例として挙げることができる。ここで、半導体チップ3はワイヤー配線7を介してリードフレーム9に電気的に接続してある。
(多層基板)
従来の熱硬化性樹脂組成物に比べて誘電正接が低い。従って本架橋成分を絶縁層に使用した配線基板は誘電損失が少ない高周波特性の優れた配線基板となる。以下、多層配線基板の作製方法について説明する。本発明において、多層配線基板の出発材となるプリプレグまたは絶縁層付導体箔は、所定の配合比とした架橋成分、高分子量体、必要により低誘電率絶縁体粒子または高誘電率絶縁体粒子、難燃剤および第二の架橋成分、着色剤等を配合した低誘電正接樹脂組成物を溶剤中で混練してスラリー化した後にガラスクロス、不織布、導体箔等の基材に塗布、乾燥して作製する。
【0085】
プリプレグは、積層板のコア材、積層板と積層板または導体箔との接着層兼絶縁層として使用できる。一方、絶縁層付導体箔はラミネート、プレスによってコア材表面に導体層を形成する際に使用される。本発明のコア材とは、絶縁層付導体箔を担持し、補強する基材であり、ガラスクロス、不織布、フィルム材、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ等の汎用樹脂板、汎用積層板等を例としてあげることができる。
【0086】
スラリー化に使用する溶剤は、配合する架橋成分、高分子量体、難燃剤等の溶媒であることが好ましく、その例としてはジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム等を上げることができる。プリプレグ、絶縁層付導体箔の乾燥条件(Bステージ化)は用いた溶媒、塗布した樹脂層の厚さによって調整する。例えばトルエンを用いて、乾燥膜厚約50μmの絶縁層を形成する場合には80〜130℃で30〜90分乾燥するとよい。必要に応じて好ましい絶縁層の厚さは50〜300μmであり、その用途や要求特性(配線パターンサイズ、直流抵抗)によって調整する。
【0087】
以下、多層配線基板の作製例を示す。図3に第一の例を示す。図3(A);所定の厚さのプリプレグ10と導体箔11とを重ねる。使用する導体箔は金、銀、銅、アルミニウム等導電率の良好な物の中から任意に選択する。その表面形状は、プリプレグとの接着力を高くする必要がある場合には凹凸の大きな箔を用い、高周波特性を一層向上する必要がある場合には比較的平滑は表面を有する箔を用いる。導体箔の厚さは9〜35μm程度のものがエッチング加工性の観点から好ましい。図3(B);プリプレグと導体箔とを圧着しながら加熱するプレス加工によって接着、硬化し、表面に導体層を有する積層板13が得られる。加熱条件は120〜240℃、1.0〜10MPa、1〜3時間とすることが好ましい。また、プレス加工の温度、圧力は上記範囲内で多段階としてもよい。本発明で得られる積層板は絶縁層の誘電正接が非常に低いことに起因して優れた高周波伝送特性を示す。
【0088】
次いで、両面配線基板の作製例を説明する。図3(C);先に作製した積層板の所定の位置にドリル加工によってスルーホール14を形成する。図3(D);めっきによってスルーホール内にめっき膜15を形成して、表裏の導体箔を電気的に接続する。図3(E);両面の導体箔をパターンニングして導体配線16を形成する。
【0089】
次いで、多層配線基板の作製例を説明する。図4(A);所定の厚さのプリプレグと導体箔とを用いて積層板13を作製する。図4(B);積層板の両面に導体配線16を形成する。図4(C);パターン形成後の積層板に所定の厚さのプリプレグ10と導体箔11とを重ね合わせる。図4(D);加熱加圧して外層に導体箔を形成する。図4(E);所定の位置にドリル加工によってスルーホール14を形成する。図4(F);スルーホール内にめっき膜15を形成し、層間を電気的に接続する。図4(G);外層の導体箔にパターンニングを施し、導体配線16を形成する。
【0090】
次いで、絶縁層付銅箔を用いた多層配線基板の作製例を示す。図5(A);導体箔11に本発明の樹脂組成物のワニスを塗布、乾燥して未硬化の絶縁層17を有する絶縁層付導体箔18を作製する。図5(B);リード端子19と絶縁層付導体箔18とを重ねる。図5(C);プレス加工によってリード端子19と絶縁層付導体箔18とを接着し、積層板13を形成する。予めコア材の表面にカップリング処理または粗化処理を施すことによってコア材と絶縁層との接着性を向上させることができる。図5(D);積層板13の導体箔18をパターンニングして導体配線16を形成する。図5(E);配線形成された積層板13に絶縁層付導体箔を重ねる。図5(F);プレス加工によって積層板13と絶縁層付導体箔とを接着する。図5(G);所定の位置にスルーホール14を形成する。図5(H);スルーホール14にめっき膜15を形成する。図5(I);外層の導体箔11をパターンニングして導体配線16を形成する。
【0091】
次いで、スクリーン印刷による多層基板の作製例を示す。図6(A);積層板13の導体箔をパターンニングし、導体配線16する。図6(B);本発明の樹脂組成物のワニスをスクリーン印刷によって塗布、乾燥して絶縁層17を形成する。このとき、スクリーン印刷によって部分的に誘電率の異なる樹脂組成物を塗布し、異なる誘電率を有する絶縁層を絶縁層17と同一面内に形成することができる。図6(C);絶縁層17に導体箔11を重ね合わせ、プレス加工によって接着する。図6(D);所定の位置にスルーホール14を形成する。図6(E);スルーホール内にめっき膜15を形成する。図6(F);外層の導体箔11をパターンニングして導体配線16を形成する。
【0092】
本発明では、前述の例に限らず、種々の配線基板を形成することができる。例えば、配線形成を施した複数の積層板を、プリプレグを介して一括積層し、高多層化することや、レーザー加工またはドライエッチング加工によって形成されるブラインドビアホールによって層間を電気的に接続するビルドアップ多層配線基板も作製できる。多層配線基板の作製にあたっては、各絶縁層の誘電率、誘電正接は任意に選択でき、異なる特性の絶縁層を混載して、低誘電損失、高速伝送、小型化、低価格化等の目的に応じて組み合わせることができる。
【0093】
以下、本発明と他の電子部品用材料とを組み合わせた電子部品の実施例を示す。
【0094】
表5に本発明に用いた樹脂組成物の組成およびその特性を示す。表5記載の数値は、樹脂組成物中の総量を100重量%とした場合の各成分の添加量を表す。なお、樹脂組成物として、実施例13に示した樹脂組成物を例に挙げたが、これによって本特許の範囲が限定されるものではない。
(実施例16、17)
実施例16は実施例13に難燃剤として有機燐化合物を添加した樹脂組成物の例である。難燃剤を添加することによって樹脂組成物が難燃化でき、電気部品の安全性が向上する。また、実施例17は更に高分子量体を複合化した樹脂組成物の例である。複合化によって強度、弾性および伸びが改善され、優れた接着性を示す。
(実施例18、19)
実施例11、12は実施例13に低誘電率絶縁体としてガラスバルーン(Z36)を添加した例である。Z36の添加量の増加に伴い誘電率は2.8から2.0に低下した。本樹脂組成物を絶縁層に用いた電気部品は誘電損失が小さく、高速伝送性が高くなる。
(実施例20、21)
実施例13、14は実施例13に高誘電率絶縁体としてセラミック粒子(Ba−Ti系)を添加した例である。Ba−Ti系の含有率が増すにつれて誘電率は2.8〜12.1に増加した。本樹脂組成物を絶縁層に用いた電気部品は誘電損失が小さく、小型の高周波用電気部品となる。
(実施例22)
実施例21は実施例13に示される樹脂組成物を含み、低誘電率、低誘電正接な硬化物を形成する液状樹脂組成物である。液状の樹脂組成物は、常温かつ低圧での注型が可能である。また、本発明の樹脂組成物から作製した絶縁層を有する高周波用電子部品は低誘電率、低誘電正接であることから高速伝送、低誘電損失な高周波用電子部品となる。
【0095】
【表5】

【0096】
以上のように、多官能スチレン、難燃剤、架橋剤などを含む樹脂組成物とすることで、樹脂硬化物の低誘電損失化、難燃化、高耐熱化などの機能性を付与することが可能である。本発明により得られた樹脂組成物は、多層配線基板、それを構成するポッティング剤およびプリプレグなど、主に高周波信号への適合性が高い電子部品材料である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】従来の高周波用半導体装置の構造例である。
【図2】本発明の高周波用半導体装置の構造例である。
【図3】本発明の多層配線基板の作製例を示す図である。
【図4】本発明の多層配線基板の作製例を示す図である。
【図5】本発明の多層配線基板の作製例を示す図である。
【図6】本発明の多層配線基板の作製例を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1…基材、2…凹部、3…半導体チップ、4…カバー、5…シール材、6…端子、7…ワイヤー配線、8…低誘電率絶縁層、9…リードフレーム、10…プリプレグ、11…導体箔、13…積層板、14…スルーホール、15…めっき膜、16…導体配線、17…絶縁層、18…外部接続端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(ここで、一般式(1)は架橋性の多官能ビニルベンジルオキシ化合物、mは2以上6以下の整数、R、R、Rは同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から8の炭化水素基を表し、R、R、R、Rは同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から20の炭化水素基を表し、R'はm個のビニルベンジル基を除くベンゼン環に結合した6−m個の互いが同一または異なる官能基で、水素原子あるいは炭素数1から20の炭化水素基のいずれかを表す)で示される架橋性の多官能ビニルベンジルオキシ化合物および数平均分子量が5000以下のポリ(フェニレンエーテル)オリゴマの混合物を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の多官能ビニルベンジルオキシ化合物であって、mが2である二官能ビニルベンジルオキシ化合物であり、2つのビニルベンジル基とベンゼンとの結合部位がオルト位またはメタ位のいずれかの関係にあることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の多官能ビニルベンジルオキシ化合物であって、mが2である二官能ビニルベンジルオキシ化合物であり、2つのビニルベンジル基とベンゼンとの結合部位がパラ位の関係にあり、かつR'のうち少なくとも1つ以上の官能基が炭素数1から20の炭化水素基であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物に含まれるポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであって、下記一般式(2)
【化2】

(ここで、一般式(2)はフェノール誘導体の単独重合体、mは重合度であり1以上の整数、重合体は分子量に分布を持っていてもよく、R、R、R、R、Rは同一または異なる、水素あるいは炭素数1から20の炭化水素基を表し、不飽和炭化水素を含んでいてもよい)の繰り返し単位からなる単独重合体で示されるポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物に含まれるポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであって、2種類以上のフェノール誘導体のランダム共重合体からなるポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5記載のポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであって、下記一般式(3)
【化3】

(ここで、一般式(3)はフェノール誘導体のランダム共重合体で、m、nは重合度であってそれぞれ1以上の整数を表し、共重合体は分子量に分布を持っていてもよく、R、R、R、R、R、R、R、R、Rは同一または異なる、水素あるいは炭素数1から20の炭化水素基を表し、不飽和炭化水素を含んでいてもよい)の繰り返し単位からなる2つのフェノール誘導体のランダム共重合体で示されるポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであって、熱硬化性官能基を少なくとも1つ以上含む熱硬化性ポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項8】
請求項7記載のポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであって、R、Rが水素原子、R、Rがメチル基であり、R、R、R、Rのうち少なくとも1つ以上熱硬化性官能基を含む熱硬化性ポリ(フェニレンエーテル)オリゴマであることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物であって、下記一般式(4)
【化4】

(ここで、式(4)は架橋成分を含む多官能スチレン化合物を表し、Rは炭素数1から8の炭化水素基を表し、R、R、Rは、同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から8の炭化水素基を表し、R、R、R、Rは同一または異なる、水素原子あるいは炭素数1から20の炭化水素基を表し、mは2以上の整数)に示される架橋性の多官能スチレン化合物を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物であって、樹脂組成物の熱硬化反応を促進する硬化触媒および架橋剤から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物であって、熱架橋基の重合反応および架橋反応を抑制する重合禁止剤を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂組成物であって、難燃剤を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂組成物であって、高分子量体としてブタジエン、イソプレン、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミドおよびN−ビニルフェニルマレイミドのうち少なくとも1種からなる重合体、並びに脂環式構造を有するポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項14】
前記樹脂組成物が低誘電率樹脂粒子、中空樹脂粒子および中空ガラスバルーンから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項15】
前記樹脂組成物が空隙を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項16】
前記樹脂組成物が高誘電率絶縁体としてセラミック粒子を含むことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂組成物であって、前記樹脂組成物が有機溶剤を含み、前記樹脂組成物が該有機溶剤中に少なくとも5重量部%以上溶解していることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項18】
請求項17記載の樹脂組成物であって、前記有機溶剤の沸点が25℃以上180℃以下の非ハロゲン系有機溶剤であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項19】
請求項17または18に記載の樹脂組成物であって、前記有機溶剤がケトン系有機溶剤であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂組成物を含み、前記樹脂組成物中に含まれる不飽和結合の一部または全てが架橋反応して得られることを特徴とする樹脂組成物の硬化物。
【請求項21】
請求項20記載の樹脂組成物の硬化物であって、任意の樹脂構造体が形成可能であり、その樹脂構造体の試験片の引っ張り強度が10MPa以上となることを特徴とする樹脂組成物の硬化物。
【請求項22】
請求項20または21に記載の樹脂組成物の硬化物であって、硬化前に可溶な溶媒に浸漬しても樹脂成分の溶出または変性が起こらないことを特徴とする樹脂組成物の硬化物。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を含む電子部品。
【請求項24】
請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂組成物を含む多層配線基板用ポッティング剤。
【請求項25】
請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて製造された多層配線基板用プリプレグ。
【請求項26】
請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて製造された多層配線基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−67894(P2009−67894A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237945(P2007−237945)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 精密高分子技術/高機能高分子実用化技術の研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】