説明

樹脂組成物及びその硬化物

【課題】本発明の目的は、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れた硬化物を形成する樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、1分子中に2つ以上の反応性官能基及び1つ以上の環状骨格を有し、前記反応性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して前記環状骨格に結合した化合物(A)と、1分子中に1つの反応性官能基及び2つ以上の環状骨格を有する化合物(B)と、重合開始剤(C)とを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びその硬化物に関する。より具体的には、特に、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れた封止材が要求される、有機エレクトロルミネッセンス装置、発光ダイオード装置(LED装置)、ディスプレイなどの電子デバイス用途に好ましく使用される樹脂組成物及びその硬化物、上記樹脂組成物を含む封止剤、及び、上記樹脂組成物の硬化物を含む有機エレクトロルミネッセンス装置、LED装置、ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機エレクトロルミネッセンス装置、発光ダイオード装置(LED装置)、液晶表示装置やタッチパネルのようなディスプレイなどの様々な電子デバイスが広く利用されている。これらの電子デバイスにおいては、デバイス内部に水分が浸入して電子素子の劣化、電気回路の短絡、電極の腐食などを生じ、製品としての信頼性が低下することを防ぐため、低透湿性の樹脂材料(封止材、シール材)による電子素子や電気回路等の封止がなされている。これらの電子デバイスの中でも、特に有機エレクトロルミネッセンス装置においては、有機エレクトロルミネッセンス素子が水分に対して脆弱であるため、特に透湿性の低い封止材やシール材の使用が求められている。
【0003】
有機エレクトロルミネッセンス素子用封止材を形成するための封止剤として、脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物を20〜80重量部、及び、芳香族環を有するエポキシ化合物を80〜20重量部と光カチオン重合開始剤とを含有する樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照)。具体的には、脂肪族環状骨格を有するエポキシ化合物、芳香族環を有するエポキシ化合物として、それぞれ両末端にエポキシ基を有する化合物が開示されている。しかしながら、上記化合物を含む樹脂組成物の硬化物は、85℃、85%RH条件下で55g/m2・24h以上の透湿度を示し、十分な低透湿性を有するものとはいえなかった。
【0004】
また、有機エレクトロルミネッセンス装置等の素子パッケージ用接着剤として、(A)エポキシ化合物、(B)ノボラック樹脂、(C)光カチオン重合開始剤、及び(D)フィラーを含有する樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、十分な低透湿性を得るためには、上記樹脂組成物へのフィラー配合が必須であり、フィラーを配合しない場合の上記樹脂組成物の硬化物の透湿度は、60℃、90%RH条件下で60g/m2・24hであり、十分な低透湿性を有するものではなかった。
【0005】
一方、上述の電子デバイス中には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス装置における電極やパッシベーション膜のように、屈折率の高い部材(高屈折率部材)が多く使用されている。このため、これらの電子デバイスに使用される封止材には、上述の低透湿性に加え、上記高屈折率部材に接するように配置された場合であっても、該高屈折率部材との界面で生じる光の反射を抑制するため、高い屈折率を有することが求められている。
【0006】
例えば、低吸水性と高屈折率を有する樹脂を製造するための硬化性樹脂組成物として、硫黄原子を含む特定構造のビニルオリゴマー100〜5重量%、及び、該ビニルオリゴマーと共重合可能である化合物0〜95重量%により構成された硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−46035号公報
【特許文献2】特開2010−24364号公報
【特許文献3】特開平8−183816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に開示された硬化性樹脂組成物の硬化物は、比較的低い吸湿性を示すものの、十分な低透湿性を有するものではなかった。特に、上記硬化物は、有機エレクトロルミネッセンス装置用の封止材に要求されるレベルの低透湿性を満足することは困難であった。このように、高い屈折率を有し、なおかつ透湿性が十分に低い、特に有機エレクトロルミネッセンス装置用の封止材として好ましく使用できる材料は、未だ得られていないのが現状である。
【0009】
従って、本発明の目的は、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れた硬化物(樹脂硬化物)を形成する樹脂組成物(硬化性樹脂組成物)を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れた硬化物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れた封止材を形成するための封止剤を提供することにある。
さらにまた、本発明の他の目的は、電子デバイスにおける電子素子が上記硬化物により封止され、水分(湿気)による悪影響が生じにくい有機エレクトロルミネッセンス装置、LED装置、及びディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、1分子中に2つ以上の反応性官能基及び1つ以上の環状骨格を有し、上記反応性官能基の少なくとも1つが上記環状骨格に硫黄原子を介して結合した化合物と、1分子中に1つの反応性官能基及び2つ以上の環状骨格を有する化合物と、重合開始剤とを含有する樹脂組成物の硬化物が、高い屈折率を有し、なおかつ十分に低い透湿性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、1分子中に2つ以上の反応性官能基及び1つ以上の環状骨格を有し、前記反応性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して前記環状骨格に結合した化合物(A)と、1分子中に1つの反応性官能基及び2つ以上の環状骨格を有する化合物(B)と、重合開始剤(C)とを含有することを特徴とする樹脂組成物を提供する。
【0012】
さらに、前記化合物(A)の環状骨格が芳香族環状骨格である前記の樹脂組成物を提供する。
【0013】
さらに、前記化合物(A)が、下記式(1)で表される化合物である前記の樹脂組成物を提供する。
【化1】

(式(1)中、Raは、それぞれ独立に、反応性官能基を示す。R1は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。R2は単結合又は連結基を示す。mは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。nは、0〜10の整数を示す。)
【0014】
さらに、前記化合物(B)の環状骨格が芳香族環状骨格である前記の樹脂組成物を提供する。
【0015】
さらに、前記化合物(B)が、下記式(2)で表される化合物である前記の樹脂組成物を提供する。
【化2】

(式(2)中、Rbは反応性官能基を示す。R3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。R4は単結合又は連結基を示す。pは0〜4の整数を示す。qは0〜5の整数を示す。)
【0016】
さらに、前記化合物(B)の含有量が、前記化合物(A)100重量部に対して、1〜1000重量部である前記の樹脂組成物を提供する。
【0017】
さらに、無機フィラー(D)を含む前記の樹脂組成物を提供する。
【0018】
さらに、シランカップリング剤(E)を含む前記の樹脂組成物を提供する。
【0019】
さらに、前記重合開始剤(C)が、光若しくは熱カチオン重合開始剤、又は、光若しくは熱ラジカル重合開始剤である前記の樹脂組成物を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記の樹脂組成物を硬化してなる硬化物を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記の樹脂組成物を含むことを特徴とする封止剤を提供する。
【0022】
また、本発明は、前記の硬化物を含む有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記の硬化物を含むLED装置を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記の硬化物を含むディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の樹脂組成物は上記構成を有するため、硬化させることにより、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れた硬化物を得ることができる。このため、本発明の樹脂組成物は、有機エレクトロルミネッセンス装置、LED装置、ディスプレイなどの電子デバイスにおける封止剤として好ましく使用できる。本発明の樹脂組成物(封止剤)を用いて電子素子等を封止して得られた電子デバイスは、デバイス内部への水分の浸入による悪影響が最小限に抑えられ、優れた耐久性を有する。さらに、上記電子デバイスは、本発明の樹脂組成物の硬化物(封止材)が高い屈折率を有することに起因して、例えば、封止材と高屈折率部材との界面で生じる光の反射が抑制されるなど、高い品質を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、1分子中に2つ以上の反応性官能基及び1つ以上の環状骨格を有し、上記反応性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して上記環状骨格に結合した化合物(A)と、1分子中に1つの反応性官能基(b)及び2つ以上の環状骨格を有する化合物(B)と、重合開始剤(C)とを少なくとも含有する組成物(樹脂組成物)である。
【0027】
[化合物(A)]
本発明の樹脂組成物を構成する化合物(A)は、上述のように、1分子中(分子内)に2つ以上(2個以上)の反応性官能基(「反応性官能基(a)」と称する場合がある)と、1つ以上の環状骨格(「環状骨格(a)」と称する場合がある)とを少なくとも有し、上記反応性官能基(a)の少なくとも1つが硫黄原子(S)を介して上記環状骨格(a)に結合した構造を有する。
【0028】
上記反応性官能基(a)としては、具体的には、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合性を有する基(カチオン重合性官能基)、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合性を有する基(ラジカル重合性官能基)などが挙げられる。なお、上記ビニル基は、カチオン重合性を有する場合もある。中でも、上記反応性官能基(a)としては、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0029】
化合物(A)1分子中の反応性官能基(a)の数は、2個以上であればよく、特に限定されないが、2〜30個が好ましく、より好ましくは2〜10個、さらに好ましくは2〜6個、特に好ましくは2個又は3個である。なお、化合物(A)中の複数個の反応性官能基(a)は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
化合物(A)が有する環状骨格(a)としては、特に限定されないが、例えば、脂環式環状骨格や芳香族環状骨格が挙げられる。上記環状骨格(a)としては、より具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環などの単環又は縮合多環の芳香族環;シクロペンタン環、シクロヘキサン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルナン環、アダマンタン環などの単環又は多環の脂肪族環などが挙げられる。中でも、化合物(A)が有する環状骨格(a)としては、芳香族環状骨格(芳香族環)が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、又はフルオレン環が特に好ましい。なお、本明細書においては、N個(Nは2以上の整数を示す)の環が縮合等した多環の環状骨格の数はN個とする。なお、化合物(A)における環状骨格(a)には、エポキシ基、オキセタニル基などの反応性官能基(a)に該当する環状骨格(即ち、ラジカル重合性やカチオン重合性を有する環状骨格)は含まれないものとする。
【0031】
化合物(A)が有する環状骨格(a)の数(化合物(A)1分子中の環状骨格(a)の数)は、1個以上であればよく、特に限定されないが、1〜30個が好ましく、より好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜5個である。なお、化合物(A)が2個以上の環状骨格(a)を有する場合、複数個の環状骨格(a)はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
化合物(A)は、上述のように、反応性官能基(a)の少なくとも1つが、硫黄原子を介して環状構造(a)に結合した構造を有する化合物である。即ち、化合物(A)は、分子内(1分子中)に2つ以上の反応性官能基(a)、1つ以上の環状骨格(a)、及び1つ以上の硫黄原子を有し、かつ、反応性官能基(a)の少なくとも1つが、硫黄原子を介して環状骨格(a)(より具体的には、例えば、脂環式環や芳香族環を構成する炭素原子)に結合した構造を少なくとも有する化合物である。
【0033】
化合物(A)における硫黄原子の数は、1つ以上であればよく、特に限定されないが、硬化物の屈折率を高くする点では、3〜20個が好ましく、より好ましくは3〜15個、さらに好ましくは3〜10個である。
【0034】
化合物(A)に含まれる硫黄原子の形態は、特に限定されない。具体的には、化合物(A)は、例えば、チオール基(−SH)、チオエーテル結合(−S−)、スルホ基(−SO3H)、チオキソ基(=S)、スルフィノ基(−SO2H)、イソチオシアナート基(−NCS)、p−トルエンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、チエニル基などの官能基を有していてもよい。中でも、化合物(A)は、チオエーテル結合を少なくとも有することが好ましい。即ち、化合物(A)は、反応性官能基(a)と環状構造(a)とがチオエーテル結合により連結された構造を少なくとも有することが好ましい。
【0035】
化合物(A)の分子量は、特に限定されないが、100〜1000000が好ましく、より好ましくは200〜100000、さらに好ましくは250〜10000である。化合物(A)の分子量を上記範囲に制御することにより、均一な樹脂組成物を効率的に得やすい傾向がある。
【0036】
化合物(A)の25℃における波長589nmの光(ナトリウムD線)に対する屈折率は、特に限定されないが、1.5500〜1.9000が好ましく、より好ましくは1.6000〜1.8500、さらに好ましくは1.6500〜1.8500である。なお、化合物(A)の屈折率は、例えば、JIS K0062に準拠する方法により測定することができる。
【0037】
より具体的には、化合物(A)としては、1分子中に2つ以上のカチオン重合性官能基と1つ以上の芳香族環とを有し、上記カチオン重合性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して芳香族環(芳香族環を構成する炭素原子)と結合した化合物(A−1);1分子中に2つ以上のラジカル重合性官能基と1つ以上の芳香族環とを有し、上記ラジカル重合性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して芳香族環(芳香族環を構成する炭素原子)と結合した化合物(A−2);1分子中に2つ以上のカチオン重合性官能基と1つ以上の脂肪族環とを有し、上記カチオン重合性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して脂肪族環(脂肪族環を構成する炭素原子)と結合した化合物(A−3);1分子中に2つ以上のラジカル重合性官能基と1つ以上の脂肪族環とを有し、上記ラジカル重合性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して脂肪族環(脂肪族環を構成する炭素原子)と結合した化合物(A−4)等が挙げられる。
【0038】
中でも、化合物(A)としては、より高いレベルで、硬化物の屈折率を高め、なおかつ透湿性を低減させる点で、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【化3】

【0039】
上記式(1)中のRa(2つのRa)は、それぞれ独立に(同一でもよいし、異なっていてもよい)、反応性官能基(反応性官能基(a))を示す。特に、Raとしては、ビニル基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましく、より好ましくはビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基である。
【0040】
上記式(1)中のR1(式(1)に示された複数のR1)は、それぞれ独立に(同一でもよいし、異なっていてもよい)、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。なお、mが2〜4の整数である場合、同一の芳香環に結合した2〜4個のR1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、mが2〜4の整数である場合、同一の芳香環に結合した2〜4個のR1が互いに結合して、芳香環を構成する炭素原子とともに4員以上の環を形成していてもよい。
【0041】
上記R1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。上記R1におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のC1-10アルキル基(好ましくはC1-5アルキル基)などが挙げられる。上記ハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1-10ハロアルキル基(好ましくはC1-5ハロアルキル基)などが挙げられる。上記R1におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。なお、上記アリール基の芳香環は、例えば、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基などのC1-4アルキル基、トリフルオロメチル基などのC1-5ハロアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基等のアシル基等の置換基を有していてもよい。
【0042】
上記ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基などのC1-10アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換されたC1-10ヒドロキシアルキル基(好ましくはC1-5ヒドロキシアルキル基)などが挙げられる。上記R1におけるヒドロキシル基の保護基、ヒドロキシアルキル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など);アルケニル基(例えば、アリル基など);シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など);アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など);アラルキル基(例えば、ベンジル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル基など)などのヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基など);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ−カルボニル基など);アラルキルオキシカルボニル基;置換又は無置換カルバモイル基;置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基など);分子内にヒドロキシル基やヒドロキシメチル基が2以上存在するときには置換基を有していてもよい二価の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、ベンジリデン基など)などが挙げられる。
【0043】
上記R1におけるアミノ基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、上記ヒドロキシル基の保護基として例示したアルキル基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0044】
上記R1におけるカルボキシル基の保護基、スルホ基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシカルボニルヒドラジノ基、アラルキルカルボニルヒドラジノ基などが挙げられる。
【0045】
上記R1におけるアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基などのC1-6脂肪族アシル基、アセトアセチル基、ベンゾイル基などの芳香族アシル基などが挙げられる。上記アシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。上記アシル基が保護された形態としては、例えば、アセタール(ヘミアセタールを含む)などが挙げられる。
【0046】
上記R1が芳香環1つあたりに2つ以上結合している場合(即ち、mが2〜4の場合)、これらが互いに結合して式(1)中の芳香環を構成する炭素原子と共に形成する4員以上の環としては、例えば、5員の脂環式炭素環、6員の脂環式炭素環、2以上の脂環式炭素環(単環)の縮合環などの脂環式炭素環;5員のラクトン環、6員のラクトン環などのラクトン環などが挙げられる。
【0047】
上記式(1)中のR2は、単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル基(エーテル結合)、チオエーテル基(チオエーテル結合)、エステル基(エステル結合)、カーボネート基(カーボネート結合)、アミド基(アミド結合)、又はこれらが複数個連結した基等が挙げられる。上記連結基は、水酸基、カルボキシル基などの置換基を有していてもよく、このような連結基としては、例えば、1以上の水酸基を有する二価の炭化水素基などが挙げられる。
【0048】
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)などが挙げられる。
【0049】
上記式(1)中の複数のm(それぞれの芳香環上の置換基R1の数)は、それぞれ独立に(同一であってもよいし、異なっていてもよい)、0〜4の整数を示す。また、n(nが付された括弧内の構造単位の繰り返し数)は、0〜10の整数を示す。
【0050】
本発明の樹脂組成物における化合物(A)(上記(1)で表される化合物)の具体例としては、例えば、下記式で示される化合物などが挙げられる。
【化4】

【0051】
【化5】

【0052】
【化6】

上記式中のRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を示す。
【0053】
なお、本発明の樹脂組成物において化合物(A)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
本発明の樹脂組成物(100重量%)における化合物(A)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、5〜95重量%が好ましく、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは20〜85重量%である。化合物(A)の含有量を上記範囲に制御することにより、樹脂組成物の塗布性が向上し、屈折率向上の効果が得られやすい傾向がある。
【0055】
化合物(A)の製造方法としては、特に限定されず、公知乃至慣用の方法を適用できる。例えば、1分子中に2つ以上のメルカプト基及び1つ以上の環状構造を有する化合物(例えば、4,4’−チオビスベンゼンチオールなど)と、ハロゲン化ビニル、アクリル酸又はメタクリル酸のハロゲン化物、エピハロヒドリン等とを、塩基の存在下で反応させる方法によって、製造できる。また、式(1)中のRaがビニル基である化合物については、例えば、1分子中に2つ以上のメルカプト基及び1つ以上の環状構造を有する化合物とジハロエタンとを反応させ、続いて脱ハロゲン化水素する方法;1分子中に2以上のメルカプト基及び1以上の環状構造を有する化合物にエピハロヒドリンを付加反応させた後、閉環反応を行う方法などによっても製造できる。
【0056】
[化合物(B)]
本発明の樹脂組成物を構成する化合物(B)は、1分子中に1つの反応性官能基(「反応性官能基(b)」と称する場合がある)及び2つ以上の環状骨格(「環状骨格(b)」と称する場合がある)を有する化合物である。
【0057】
化合物(B)が有する反応性官能基(b)としては、例えば、上記反応性官能基(a)として例示した反応性官能基が挙げられる。具体的には、反応性官能基(a)がカチオン重合性官能基である場合には、反応性官能基(b)をカチオン重合性官能基とし、反応性官能基(a)がラジカル重合性官能基である場合には、反応性官能基(b)をラジカル重合性官能基とすることが好ましい。反応性官能基(a)と反応性官能基(b)との組み合わせとしては、共にエポキシ基であることが好ましく、共にグリシジル基であることが特に好ましい。
【0058】
化合物(B)が有する環状骨格(b)としては、特に限定されないが、例えば、脂環式環状骨格や芳香族環状骨格などが挙げられる。環状骨格(b)としては、より具体的には、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環などの単環又は縮合多環の芳香族環;シクロペンタン環、シクロヘキサン環、デカヒドロナフタレン環、ノルボルナン環、アダマンタン環などの単環又は多環の脂肪族環などが挙げられる。中でも、化合物(B)が有する環状骨格(b)としては、芳香族環状骨格(特に、ベンゼン環)又はシクロヘキサン環が好ましい。なお、化合物(B)における環状骨格(b)には、エポキシ基、オキセタニル基などの反応性官能基(b)に該当する環状骨格(即ち、ラジカル重合性やカチオン重合性を有する環状骨格)は含まれないものとする。
【0059】
化合物(B)が有する環状骨格(b)の数(化合物(B)1分子中の環状骨格(b)の数)は、2個以上であればよく、特に限定されないが、2〜10個が好ましく、より好ましくは2〜4個である。なお、化合物(B)における2個以上の環状骨格(b)は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0060】
化合物(B)の分子量は、特に限定されないが、50〜1000が好ましく、より好ましくは50〜500である。化合物(B)の分子量を上記範囲に制御することにより、硬化物の透湿性を効率的に低下させることができる傾向がある。
【0061】
化合物(B)の25℃における波長589nmの光(ナトリウムD線)に対する屈折率は、特に限定されないが、1.4000〜1.9000が好ましく、より好ましくは1.5000〜1.8500、さらに好ましくは1.5500〜1.8500である。なお、化合物(B)の屈折率は、例えば、JIS K0062に準拠する方法により測定することができる。
【0062】
化合物(B)としては、具体的には、例えば、2以上の芳香族環と1つのカチオン重合性官能基とを有する化合物(B−1);2以上の芳香族環と1つのラジカル重合性官能基とを有する化合物(B−2)、2以上の脂肪族環と1つのカチオン重合性官能基とを有する化合物(B−3);2以上の脂肪族環と1つのラジカル重合性官能基とを有する化合物(B−4)等が挙げられる。
【0063】
2以上の芳香族環と1つのカチオン重合性官能基とを有する化合物(B−1)としては、例えば、フェニルフェノールグリシジルエーテル、ジフェニルフェノールグリシジルエーテル、トリフェニルフェノールグリシジルエーテルなどのベンゼン環とエポキシ基を有する化合物;メチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、エチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、プロピルフェニルフェノールグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルフェノールグリシジルエーテルなどのアルキル置換フェニルフェノールグリシジルエーテル(例えば、C1-9アルキル置換フェニルフェノールグリシジルエーテル);フェニルベンジルグリシジルエーテルなどのベンジルグリシジルエーテル化合物;フェニルフェノールビニルエーテル、(フェニルフェノキシ)メチルビニルエーテル、(2−フェニルフェノキシ)エチルビニルエーテルなどの2個のベンゼン環を有するビニルエーテル化合物;フェニルフェノールオキセタン、(フェニルフェノキシ)メチルオキセタン、(2−フェニルフェノキシ)エチルオキセタンなどの2個のベンゼン環を有するオキセタン化合物、及びこれらのハロゲン化物等が挙げられる。上記C1-9アルキル置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0064】
2以上の芳香族環と1つのラジカル重合性官能基とを有する化合物(B−2)としては、例えば、フェニルフェノール(メタ)アクリレート、(フェニルフェノキシ)メチル(メタ)アクリレート、(2−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレートなどの2個のベンゼン環と(メタ)アクリロイル基を有する化合物;及びこれらのハロゲン化物、又はこれらのC1-9アルキル置換体等が挙げられる。C1-9アルキル置換体におけるC1-9アルキル置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基などが挙げられる。ハロゲン化物におけるハロゲンとしては、F、Cl、Brなどが挙げられる。
【0065】
2以上の脂肪族環と1つのカチオン重合性官能基とを有する化合物(B−3)としては、例えば、ジシクロヘキシルグリシジルエーテル、トリシクロヘキシルグリシジルエーテルなどのC5-20シクロアルキルグリシジルエーテル化合物;ジシクロヘキシルオキセタニルエーテル、トリシクロヘキシルオキセタニルエーテルなどのC5-20シクロアルキルオキセタニルエーテル化合物;ジシクロヘキシルビニルエーテル、トリシクロヘキシルビニルエーテルなどのC5-20シクロアルキルビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0066】
2以上の脂肪族環と1つのラジカル重合性官能基とを有する化合物(B−4)としては、例えば、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのC5-20シクロアルキル(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0067】
化合物(B)としては、特に、硬化物の屈折率をより高くする観点で、2以上の芳香族環と1つのカチオン重合性官能基とを有する化合物(B−1)、2以上の芳香族環と1つのラジカル重合性官能基とを有する化合物(B−2)が好ましく、より具体的には、ビフェニル構造を有する下記式(2)で表される化合物が好ましい。化合物(B)として下記式(2)で表される化合物を用いることにより、硬化物の屈折率を高く維持しながら、透湿性を効率的に低減することができる。
【化7】

【0068】
上記式(2)中、Rbは反応性官能基(反応性官能基(b))を示す。Rbとしては、上記反応性官能基(b)として例示したものが挙げられる。特に、Rbとしては、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、又は(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0069】
上記式(2)中、R3(複数のR3)は、それぞれ独立に(同一でもよいし、異なっていてもよい)、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。なお、p、qが2以上の整数である場合、同一の芳香環に結合した2個以上のR3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、p、qが2以上の整数である場合、同一の芳香環に結合した2個以上のR3が互いに結合して、芳香環を構成する炭素原子とともに4員以上の環を形成していてもよい。
【0070】
上記式(2)におけるR3としては、上記式(1)におけるR1と同様の具体例が例示される。
【0071】
上記式(2)中、R4は単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。R4としては、上記式(1)におけるR2と同様のものが挙げられる。
【0072】
上記式(2)中のp(式(2)の左側の芳香環上の置換基R3の数)は、0〜4の整数を示す。q(式(2)の右側の芳香環上の置換基R3の数)は、0〜5の整数を示す。
【0073】
本発明の樹脂組成物における化合物(B)(上記式(2)で表される化合物)として、特に好ましい化合物としては、例えば、フェニルフェノールグリシジルエーテル、ジフェニルフェノールグリシジルエーテル、トリフェニルフェノールグリシジルエーテル、メチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、エチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、プロピルフェニルフェノールグリシジルエーテル、n−ブチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルフェノールグリシジルエーテル、フェニルベンジルグリシジルエーテル、フェニルフェノールビニルエーテル、(フェニルフェノキシ)メチルビニルエーテル、(2−フェニルフェノキシ)エチルビニルエーテル、フェニルフェノールオキセタン、(フェニルフェノキシ)メチルオキセタン、(2−フェニルフェノキシ)エチルオキセタン、フェニルフェノール(メタ)アクリレート、(フェニルフェノキシ)メチル(メタ)アクリレート、(2−フェニルフェノキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、2−ビニルビフェニルなどが挙げられる。
【0074】
なお、本発明の樹脂組成物において化合物(B)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0075】
化合物(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、化合物(A)100重量部に対して、1〜1000重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜250重量部、さらに好ましくは20〜150重量部である。化合物(B)の含有量を上記範囲に制御すると、硬化物の自由体積がより効果的にパッキングされ、硬化物の透湿性をいっそう低くすることが可能となる。
【0076】
一般に、架橋性多官能基含有樹脂材料を硬化した硬化物(樹脂硬化物)は、材料骨格に起因した固有の透湿度を有する。また、硬化物は、通常、2つ以上の反応性官能基を有する樹脂に重合開始剤を配合し、熱もしくは光で重合開始剤を活性化させることで架橋硬化して作製するが、水蒸気は主に材料が架橋する際に形成される自由体積から透過していくと考えられる。
【0077】
本発明の樹脂組成物は、上述の化合物(A)、化合物(B)、及び後述の重合開始剤(C)を必須成分として含むことにより、本発明の樹脂組成物を硬化させることによって得られる硬化物(樹脂硬化物)が高い屈折率を有し、なおかつ優れた低透湿性を示す。このように、本発明の樹脂組成物がこのように優れた低透湿性を示すのは、特に、化合物(A)に対して特定構造の単官能の化合物(B)を共重合させることによって、硬化物の架橋密度が小さくなる一方で、硬化物中の化合物(B)に由来する構造単位が、硬化物の自由体積をパッキングする効果を発現するためと推測される。このため、本発明の樹脂組成物の硬化物は、例えば、化合物(A)のみからなる樹脂を硬化させて得られる硬化物と比べて、極めて低い透湿性を示す。
【0078】
本発明の樹脂組成物の硬化物における自由体積のパッキング構造を、以下に模式的に示す。Aを付した楕円は化合物(A)由来のモノマー単位(2官能の場合)、Bを付した楕円は化合物(B)由来のモノマー単位、両側の波線はポリマーの主鎖を示す。本発明の樹脂組成物の硬化物においては、化合物(A)由来のモノマー単位の隙間を、化合物(B)由来のモノマー単位が埋めて、自由体積がパッキングされていると推測される。
【化8】

【0079】
特に、上述のように、化合物(A)と化合物(B)とはともに環状骨格を有するため、上述のパッキングがより効果的となって硬化物中の自由体積がいっそう減少しやすく、その結果、上記硬化物は極めて低い透湿性を示す。
【0080】
本発明の樹脂組成物における化合物(A)及び化合物(B)の総量は、特に限定されないが、硬化物の屈折率と透湿性の観点で、樹脂組成物中に含まれる全重合性化合物(反応性官能基(重合性官能基)を有する化合物の全量)100重量%に対して、50〜100重量%が好ましく、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%である。
【0081】
[重合開始剤(C)]
本発明の樹脂組成物を構成する重合開始剤(C)としては、特に限定されず、周知慣用の重合開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、重合開始剤(C)として、光カチオン重合開始剤若しくは熱カチオン重合開始剤(光若しくは熱カチオン重合開始剤)、又は、光ラジカル重合開始剤若しくは熱ラジカル重合開始剤(光若しくは熱ラジカル重合開始剤)を好ましく使用できる。なお、重合開始剤(C)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
(光カチオン重合開始剤)
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−950(以上、米国ユニオンカーバイド社製、商品名)、イルガキュア250、イルガキュア261、イルガキュア264(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、SP−150、SP−151、SP−170、オプトマーSP−171(以上、(株)ADEKA製、商品名)、CG−24−61(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、商品名)、UVAC1590、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、商品名)、CI−2064、CI−2639、CI−2624、CI−2481、CI−2734、CI−2855、CI−2823、CI−2758、CIT−1682(以上、日本曹達(株)製品、商品名)、PI−2074(ローディア社製、商品名、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、FFC509(3M社製品、商品名)、BBI−102、BBI−101、BBI−103、MPI−103、TPS−103、MDS−103、DTS−103、NAT−103、NDS−103(ミドリ化学(株)製、商品名)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(米国、Sartomer社製、商品名)、CPI−100P、CPI−101A(サンアプロ(株)製、商品名)などの市販品に代表されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。
【0083】
(熱カチオン重合開始剤)
上記熱カチオン重合開始剤としては、例えば、サンエイドSI−45、同左SI−47、同左SI−60、同左SI−60L、同左SI−80、同左SI−80L、同左SI−100、同左SI−100L、同左SI−110L、同左SI−145、同左SI−150、同左SI−160、同左SI−110L、同左SI−180L、同左SI−B3、同左SI−B4(以上、三新化学工業(株)製品、商品名)、TA−1、同左TA−2(以上、サンアプロ(株)製品、商品名)CI−2921、CI−2920、CI−2946、CI−3128、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)社製品、商品名)、PP−33、CP−66、CP−77((株)ADEKA製品、商品名)、FC−509、FC−520(3M社製品、商品名)などに代表されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩等を使用できる。さらに、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であってもよい。
【0084】
光カチオン重合開始剤若しくは熱カチオン重合開始剤の含有量(配合量)としては、特に限定されないが、樹脂組成物中に含まれる全重合性化合物(反応性官能基(重合性官能基)を有する化合物の全量)100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜12重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。光若しくは熱カチオン重合性開始剤を上記範囲内で使用することにより、低透湿性に優れた硬化物を得ることができる。
【0085】
(硬化促進剤)
本発明の樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでいてもよい。上記硬化促進剤とは、本発明の樹脂組成物中の重合性化合物が光若しくは熱カチオン重合開始剤により硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物である。上記硬化促進剤としては、周知慣用の硬化促進剤を使用することができ、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、4級アンモニウム塩、ヨードニウム塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどの3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレートなどのホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛などの有機金属塩;金属キレートなどが挙げられる。なお、硬化促進剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0086】
また、上記硬化促進剤としては、U−CAT SA 506、U−CAT SA 102、U−CAT 5003、U−CAT 18X、12XD(開発品)(以上、サンアプロ(株)製)、TPP−K、TPP−MK(以上、北興化学工業(株)製)、PX−4ET(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0087】
硬化促進剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、樹脂組成物中に含まれる重合性化合物の全量(反応性官能基を有する化合物の全量)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。硬化促進剤の含有量が0.05重量部未満であると、硬化促進効果が不十分となる場合がある。一方、硬化促進剤の含有量が5重量部を超えると、硬化物が着色して色相が悪化する場合がある。
【0088】
(光ラジカル重合開始剤)
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製 カヤキュアEPA等)、2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬(株)製 カヤキュアDETX等)、2−メチル−1−[4−(メチル)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバガイギ−(株)製 イルガキュア907等)、2−ジメチルアミノ−2−(4−モルホリノ)ベンゾイル−1−フェニルプロパン等の2−アミノ−2−ベンゾイル−1−フェニルアルカン化合物、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゼン誘導体、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾ−ル(保土谷化学(株)製 B−CIM等)等のイミダゾール化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジン等のハロメチル化トリアジン化合物、2−トリクロロメチル−5−(2−ベンゾフラン2−イル−エテニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物などが挙げられる。これらの光ラジカル重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、光増感剤を加えることができる。上記光ラジカル重合開始剤としては、式(1)で表される化合物が波長400nm以下の光に対する吸収を持つことがあるため、例えば、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドのように、波長400nm付近の光で活性化するものが好ましい。
【0089】
(熱ラジカル重合開始剤)
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物類が挙げられる。上記有機過酸化物類としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等を使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチルー2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチルー2,5−ジブチルパーオキシヘキサン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。
【0090】
さらに、上記熱ラジカル重合開始剤とともに、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、オクテン酸コバルト等のナフテン酸やオクテン酸のコバルト、マンガン、鉛、亜鉛、バナジウムなどの金属塩を併用することができる。同様に、ジメチルアニリン等の3級アミンも使用することができる。
【0091】
上述の光若しくは熱ラジカル重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。その使用量は、樹脂組成物中に含まれる重合性化合物の全量(反応性官能基を有する化合物の全量)100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜4重量部である。
【0092】
[無機フィラー(D)]
本発明の樹脂組成物は、さらに、無機フィラー(D)を含んでいてもよい。無機フィラー(D)としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、マイカ、合成マイカ、タルク、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、カオリン、ベントナイト、珪藻土、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、ガラスビーズ、ガラス繊維、グラファイト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、セルロースなどが挙げられる。なお、無機フィラー(D)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0093】
これらの無機フィラー(D)は、例えば、国際公開第96/31572号に記載されている火炎加水分解法や、火炎熱分解法、プラズマ法等の公知の方法で製造することができる。好ましい無機フィラー(D)としては、安定化されたコロイド状無機粒子のナノ分散ゾル類等を用いることができ、市販品としては、BAYER社製のシリカゾル、Goldschmidt社製のSnO2ゾル類、MERCK社製のTiO2ゾル類、Nissan Chemicals社製のSiO2、ZrO2、Al23およびSb23ゾルまたはDEGUSSA社製のAerosil分散物類などの市販品が入手可能である。
【0094】
無機フィラー(D)は、表面の改質によりこれらの粘度挙動を変化させることができる。粒子の表面改質は、公知の表面改質剤を用いて行うことができる。このような表面改質剤としては、例えば、無機フィラー(D)の表面に存在する官能基と共有結合や錯形成等の相互作用が可能な化合物や、重合体マトリックスと相互作用可能な化合物を用いることができる。このような表面改質剤としては、例えば、分子内にカルボキシル基、(第1級、第2級、第3級)アミノ基、4級アンモニウム基、カルボニル基、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等の官能基を有する化合物等を用いることができる。このような表面改質剤としては、通常、標準温度および圧力条件下で液体であり、分子内の炭素数が15以下(より好ましくは炭素数が10以下、さらに好ましくは8以下)の低分子有機化合物で構成された表面改質剤が好ましい。上記低分子有機化合物の分子量は、特に限定されないが、500以下が好ましく、より好ましくは350以下、さらに好ましくは200以下である。
【0095】
上記表面改質剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸およびフマル酸などの炭素数1〜12の飽和または不飽和モノおよびポリカルボン酸類(好ましくは、モノカルボン酸類);及びこれらのエステル類(好ましくはメタクリル酸メチル等のC1〜C4アルキルエステル類);アミド類;アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸およびC1〜C4アルキルアセト酢酸類などのβ−ジカルボニル化合物等が挙げられる。また、特に限定されないが、公知慣用のシランカップリング剤を表面改質剤として使用することもできる。
【0096】
無機フィラー(D)の粒径は、特に限定されないが、0.01nm〜1μmが好ましく、より好ましくは0.01nm〜100nm、さらに好ましくは0.01nm〜50nmである。
【0097】
無機フィラー(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、樹脂組成物中の化合物(A)および化合物(B)の総量(合計含有量)100重量部に対して、1〜2000重量部が好ましく、より好ましくは10〜1000重量部である。また、樹脂組成物全量(100重量%)に対する無機フィラー(D)の含有量は、特に限定されないが、5〜70重量%が好ましく、より好ましくは5〜50重量%である。
【0098】
[シランカップリング剤(E)]
本発明の樹脂組成物は、基板等の被接着体に対する接着性を向上させるために、さらに、シランカップリング剤(E)を含んでいてもよい。シランカップリング剤(E)としては、特に限定されず、公知慣用のシランカップリング剤を使用できる。シランカップリング剤(E)としては、具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシシラン)、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等の水溶液中で比較的安定なものの中から選択して使用することができる。
【0099】
シランカップリング剤(E)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、樹脂組成物中の化合物(A)および化合物(B)の総量(合計含有量)100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜8重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。シランカップリング剤(E)の含有量が0.1重量部未満であると、シランカップリング剤(E)による樹脂の架橋効果が乏しく、したがって緻密な膜が得られず、また金属基材へのカップリング効果が乏しく、密着性が劣り、望ましい耐アルカリ性と防錆力が得られにくい場合がある。シランカップリング剤(E)の含有量が20重量部を超えると、加水分解による耐水、耐アルカリ性等諸性能の低下が著しく、造膜性に問題が生じ、また経済性の点でも不利となる場合がある。
【0100】
[他の添加剤]
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、顔料、有機溶剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤を含有していてもよい。
【0101】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、上述の成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び必要に応じて、成分(D)、成分(E)、その他の成分(添加剤など)を、均一に混合することにより得ることができる。本発明の樹脂組成物を得るにあたっては、各成分を自公転式攪拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用してなるべく均一になるように、攪拌、溶解、混合、分散等を行うことが望ましい。なお、各成分を同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
【0102】
<硬化物>
本発明の樹脂組成物を光若しくは熱により硬化させることにより、硬化物(樹脂硬化物)を得ることができる。本発明の樹脂組成物を光により硬化させる場合には、例えば、上記樹脂組成物に対して、水銀ランプ等で1000mJ/cm2以上の光を照射することで硬化させることができる。また、本発明の樹脂組成物を熱により硬化させる場合には、例えば、上記樹脂組成物を、温度50〜200℃(より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは50〜150℃)で、10〜600分間(より好ましくは10〜480分間、さらに好ましくは15〜240分間)加熱することにより硬化させることができる。加熱する温度(硬化温度)と時間(硬化時間)が上記範囲の下限値より低い場合は、樹脂組成物の硬化が不十分となることがあり、好ましくない場合がある。一方、硬化温度と硬化時間が上記範囲の上限値より高い場合、樹脂成分の分解が起きることがあり、好ましくない場合がある。本発明の樹脂組成物の硬化条件は、種々の条件に依存するが、硬化温度が高い場合は硬化時間を短く、硬化温度が低い場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。本発明の樹脂組成物を硬化させることにより、屈折率が高く、なおかつ低透湿性に優れた硬化物を得ることができる。
【0103】
本発明の樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、透湿性が低いため、防湿性に優れている。硬化物の透湿度は、JIS L1099およびJIS Z0208に準じて、厚み100μmに調整した硬化物の透湿量を、60℃、90%RHの条件下で測定することにより算出することができる。本発明の硬化物は、特に限定されないが、上記の方法で測定した透湿度が、50g/m2・atm・day以下(例えば、0〜50g/m2・atm・day)であることが好ましく、より好ましくは40g/m2・atm・day以下(例えば、0〜40g/m2・atm・day)、さらに好ましくは30g/m2・atm・day以下(例えば、0〜30g/m2・atm・day)である。また、本発明の樹脂組成物に無機フィラー(D)を配合することにより、硬化物の透湿度を、例えば、好ましくは20g/m2・atm・day以下(例えば、0〜20g/m2・atm・day)、特に好ましくは15g/m2・atm・day以下(例えば、0〜15g/m2・atm・day)と、さらに低減することができる。
【0104】
また、上記硬化物の25℃における波長589nmの光(ナトリウムD線)に対する屈折率は、特に限定されないが、1.550〜1.900が好ましく、より好ましくは1.600〜1.850、さらに好ましくは1.650〜1.850である。なお、硬化物の屈折率は、例えば、JIS K7142に準拠する方法や、プリズムカプラを用いる方法により測定することができる。
【0105】
<封止剤>
本発明の樹脂組成物の硬化物は、高い屈折率を有し、なおかつ低透湿性に優れるため、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、LED装置、ディスプレイ(例えば、タッチパネルなど)などの電子デバイスにおける封止材を形成するための封止剤として好ましく使用できる。より具体的には、本発明の樹脂組成物を必須成分として含む封止剤を、特に高い屈折率と低透湿性の封止材が求められる電子デバイス用の封止剤として使用できる。なお、上記封止剤を硬化させる際の条件としては、上述の硬化物を得る際と同様の条件を採用できる。また、本発明の樹脂組成物は、接着剤、シール剤としても使用できる。
【0106】
<有機エレクトロルミネッセンス装置、LED装置、ディスプレイなどの電子デバイス>
本発明の樹脂組成物を電子デバイスにおける封止剤などとして使用することにより、水分(湿度)による悪影響が最小限に抑えられ、なおかつ硬化物の高い屈折率に起因する高い品質が付与された電子デバイス(本発明の樹脂組成物の硬化物を含む電子デバイス)を得ることができる。上記電子デバイスとしては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス装置、発光ダイオード装置(LED装置)、タッチパネルなどのディスプレイなどが挙げられる。特に、本発明の樹脂組成物を、高屈折率かつ低透湿性に優れた封止材の使用が要求される有機エレクトロルミネッセンス装置に対して使用した場合には、より耐久性かつ品質の高い有機エレクトロルミネッセンス装置を得ることができる。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0108】
製造例1[ビス[4−(2−クロロエチル)チオフェニル]スルフィドの製造]
冷却管、撹拌器、及び温度計を備え付けた1Lの4口フラスコに4,4’−チオビスベンゼンチオール(50.6g、202.1mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド[nBu4NBr](1.71g、5.30mmol)、1,2−ジクロロエタン(410.3g、4146mmol)を入れ、ここに室温で30wt%水酸化カリウム水溶液(87.3g、466.8 mmol)を滴下した。反応液を2時間撹拌後、水を加え、ブフナロートを用いて白色固体をろ別した。ろ別した白色固体を水で洗浄した後、減圧乾燥し、下記式で表されるビス[4−(2−クロロエチル)チオフェニル]スルフィドを白色固体として得た(74.9g、収率:99%)。
【化9】

【0109】
製造例2[ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド(MPV)の製造]
冷却管、撹拌器、及び温度計を備え付けた1Lの4口フラスコに、製造例1で得たビス[4−(2−クロロエチル)チオフェニル]スルフィド(100.1g、266.8mmol)、nBu4NBr(4.51g、14.0mmol)、及びn−ヘプタン(239.5g)を入れ、ここに85℃で50wt%水酸化ナトリウム水溶液(107.0g、882.0mmol)を滴下した。滴下終了後、反応液を5時間撹拌し、その後、水を添加し分液ロートに移し分液を行った。さらに有機層を2回水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を留去して液状の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=40/1)で精製後、1.0mg/mlの2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキシトルエンのヘキサン溶液(11.0 g)を加え、減圧乾燥し、下記式で表されるビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド(MPV)を無色透明液体として得た(23.0g、収率:28%)。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ5.39−5.40(m,4H)、6.52(dd,J=16.4,9.6Hz,2H)、7.27−7.30(m,8H)
【化10】

【0110】
製造例3[(2−フェニルフェノキシ)エチルビニルエーテル(OPP−EVE)の製造]
冷却管、撹拌器、及び温度計を備え付けた2Lの4口フラスコに、水素化ナトリウム(55% in mineral oil)(15.4g、352.9mmol)、及びDMSO(510.6g)を入れ、0℃に冷却した後、ここに、o−フェニルフェノール(50.6g、297.3mmol)をDMSO(191.0g)に溶解させた溶液を滴下した。その後、60℃のオイルバスにつけ、2−クロロエチルビニルエーテル(38.2g、358.5mmol)をDMSO(61.4g)に溶解させた溶液を滴下した。反応液を6時間攪拌後、0℃に冷却してからゆっくり水を滴下してクエンチし、分液ロートに移した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層に飽和食塩水を加え洗浄した。その後、有機層を分け、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、溶媒を留去して液状の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、下記式で表される(2−フェニルフェノキシ)エチルビニルエーテルを無色透明液体として55.5g(収率:78%、純度:98%)得た。
【化11】

1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ3.96(t,J=5.0Hz,2H)、4.17−4.21(m,3H)、6.44(dd,J=14.1,6.5Hz,1H)、6.98−7.01(m,1H)、7.04−7.07(m,1H)、7.28−7.41(m,6H)、7.56−7.57(m,2H)
【0111】
実施例1
製造例2で得たMPV60重量部、HRD−01((2−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート、日本蒸溜工業(株)製)38重量部、及び熱ラジカル開始剤パーオクタO(日油(株)製)2重量部を、自公転式攪拌脱泡装置(型式AR−250、(株)シンキー製)内に投入し、攪拌、溶解、混合、分散を行い、樹脂組成物を調液した。得られた樹脂組成物を厚み100μmのテフロン(登録商標)製のスペーサを用いた型に注形し、100℃の定温送風オーブンにて1時間加熱して硬化させ、硬化物を作製した。
【0112】
実施例2〜6
化合物(A)、化合物(B)、重合開始剤(C)、無機フィラー(D)、シランカップリング剤(E)を、表1に示した種類、量に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び硬化物を作製した。なお、実施例5は、化合物(A)と化合物(B)の混合樹脂液に無機フィラーのMEK分散液(NZD−4E61−EE0)を添加、混合し、MEKをエバポレーターで留去した後に重合開始剤(C)を添加して樹脂組成物を調液し、同様に硬化させて硬化物を作製した。
【0113】
比較例1
製造例2で得たMPV99重量部、及び熱カチオン開始剤サンエイドSI−B3(三新化学工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌脱泡装置(型式AR−250、(株)シンキー製)内に投入し、攪拌、溶解、混合、分散を行い、樹脂組成物を調液した。得られた樹脂組成物を厚み100μmのテフロン(登録商標)製のスペーサを用いた型に注形し、100℃の定温送風オーブンにて1時間加熱して硬化させ、硬化物を作製した。
【0114】
比較例2〜6
化合物(A)、化合物(B)、及び重合開始剤(C)を、表1に示した種類、量に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物及び硬化物を作成した。
【0115】
実施例7
製造例2で得たMPV60重量部、HRD−01(日本蒸溜工業(株)製)38重量部、UVラジカル開始剤H0991(東京化成工業(株)製)1重量部、及びUVラジカル開始剤D3358(東京化成工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌脱泡装置(型式AR−250、(株)シンキー製)内に投入し、攪拌、溶解、混合、分散を行い、樹脂組成物を調液した。得られた樹脂組成物を厚み100μmのテフロン(登録商標)製のスペーサを用いた型に注形し、水銀ランプで5000mJ/cm2の光照射を行い、次いで100℃の定温送風オーブンにて1時間加熱して硬化させ、硬化物を作製した。
【0116】
実施例8〜10
化合物(A)、化合物(B)、重合開始剤(C)、光増感剤(406317(アルドリッチ製))を、表2に示した種類、量に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及び硬化物を作製した。
【0117】
比較例7
製造例2で得たMPV98重量部、UVラジカル開始剤H0991(東京化成工業(株)製)1重量部、及びUVラジカル開始剤D3358(東京化成工業(株)製)1重量部を、自公転式攪拌脱泡装置(型式AR−250、(株)シンキー製)内に投入し、攪拌、溶解、混合、分散を行い、樹脂組成物を調液した。得られた樹脂組成物を厚み100μmのテフロン(登録商標)製のスペーサを用いた型に注形し、水銀ランプで5000mJ/cm2の光照射を行い、次いで100℃の定温送風オーブンにて1時間加熱して硬化させ、硬化物を作製した。
【0118】
比較例8〜12
化合物(A)、化合物(B)、重合開始剤(C)、光増感剤(406317(アルドリッチ製))を、表2に示した種類、量に変更した以外は比較例7と同様にして樹脂組成物及び硬化物を作製した。
【0119】
<水蒸気透過率の測定>
実施例及び比較例で得られた100μm厚みの硬化物を透湿カップに取り付け、JIS L1099に従い、60℃、90%RHの条件にて、上記硬化物の水蒸気透過率を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0120】
<屈折率の測定>
実施例及び比較例で得られた100μm厚みの硬化物について、メトリコン社製Model 2010 プリズムカプラを使用して、波長589nmの光に対する屈折率(25℃)を、測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0121】
<密着力の測定>
実施例(実施例1、6)で得られた樹脂組成物を用いて、JIS K6850に従い、ガラス−ガラスの密着力(引張せん断接着強さ)を測定した。なお、試験片は、樹脂組成物を2枚のガラスの間に挟み込み、100℃で1時間加熱することによって作製した。結果を表3に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
実施例及び比較例において用いた化合物は、以下の通りである。
MPV:ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド
MPSMA(東京化成工業(株)製、B1662):ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド
OPP−EVE:(2−フェニルフェノキシ)エチルビニルエーテル
HRD−01(日本蒸溜工業(株)製):(2−フェニルフェノキシ)エチルアクリレート
S0095(東京化成工業(株)製):スチレン
SI−B3(三新化学工業(株)製):4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
パーオクタO(日油(株)製):t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
NZD−4E61−EE0(住友大阪セメント(株)製):表面修飾ナノジルコニアMEK分散液(表面修飾ナノジルコニア 12.6wt%含有)
A1597(東京化成工業(株)製):アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル
D3358(東京化成工業(株)製):ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド
H0991(東京化成工業(株)製):2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン
CPI−101A(サンアプロ(株)製):4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロアンチモネート
406317(アルドリッチ製): イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2つ以上の反応性官能基及び1つ以上の環状骨格を有し、前記反応性官能基の少なくとも1つが硫黄原子を介して前記環状骨格に結合した化合物(A)と、1分子中に1つの反応性官能基及び2つ以上の環状骨格を有する化合物(B)と、重合開始剤(C)とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記化合物(A)の環状骨格が芳香族環状骨格である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記化合物(A)が、下記式(1)で表される化合物である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中、Raは、それぞれ独立に、反応性官能基を示す。R1は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。R2は単結合又は連結基を示す。mは、それぞれ独立に、0〜4の整数を示す。nは、0〜10の整数を示す。)
【請求項4】
前記化合物(B)の環状骨格が芳香族環状骨格である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記化合物(B)が、下記式(2)で表される化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【化2】

(式(2)中、Rbは反応性官能基を示す。R3は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。R4は単結合又は連結基を示す。pは0〜4の整数を示す。qは0〜5の整数を示す。)
【請求項6】
前記化合物(B)の含有量が、前記化合物(A)100重量部に対して、1〜1000重量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、無機フィラー(D)を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、シランカップリング剤(E)を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記重合開始剤(C)が、光若しくは熱カチオン重合開始剤、又は、光若しくは熱ラジカル重合開始剤である請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする封止剤。
【請求項12】
請求項10に記載の硬化物を含む有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項13】
請求項10に記載の硬化物を含むLED装置。
【請求項14】
請求項10に記載の硬化物を含むディスプレイ。

【公開番号】特開2013−71959(P2013−71959A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210450(P2011−210450)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】