説明

樹脂組成物及びその硬化物

【課題】パターンを形成したフィルムを通した選択的に紫外線により露光し、未露光部分を現像することによりソルダーレジストパターンの形成において、現像が可能で、得られた硬化物は、耐熱性が良好で耐メッキ液性に優れた樹脂組成物の開発。
【解決手段】少なくとも1個のカルボキシル基を有するポリマー(a)中のカルボキシル基に下記式(1)
【化1】


(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は、炭素数2〜4の整数であるアルキレン、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン又は下記式(2)
【化2】


(ここでR3は水素原子、メチル基又はエチル基であり、nは1〜5の数である)で示される結合鎖である)で表される化合物(b)を付加させた化合物(A)及び希釈剤(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂組成物、特にプリント配線板の永久レジスト用として有用な樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プリント配線板は銅張積層板を用い、回路に不要な銅箔部分をエッチングにより除去するサブトラクティブ法によって製造されているが、このサブトラクティブ法は、ファインパターン、高密度配線板を形成するのが困難であること、また小径スルホール、バイアホールが電気メッキでは均一に行えないことなどの欠点を有し、電子機器の高密度化に対応しきれなくなっているのが現状である。
【0003】これに対し最近は、絶縁基材よりなる積層板に接着剤層を形成し、そこへ無電解メッキにより回路及びスルホールを形成するフルアデイテイブ法が注目されている。この方法では導体パターン精度はメッキレジストの転写精度のみで決定され、また導体部分が無電解メッキのみで形成されるため、高アスペクト比スルホールを有する基板においても、スローイングパワーの高い均一なスルホールメッキを行うことが可能である。これまでは一般民生用に適するとされてきたアデイテイブ法であるが、産業用、高密度、高多層基板製造プロセスとして実用され始めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に民生用途の基版製造のためのアデイテイブ法では、メッキレジストパターンはスクリーン印刷法によって転写されているが、高密度配線を有するプリント配線板を製造するためには、メッキレジストパターンを写真製版によって形成すること、すなわちフォトレジストを用いたフォトアデイテイブ法を採用することが必要となってくる。フォトアデイテイブ法に適したフォトレジストには、感度や現像度、現像性のようなフォトレジスト本来の特性のほかに、次のような特性が要求される。現像工程で使用される製剤が、1,1,1−トリクロロエタン系有機溶剤又はアルカリ水溶液に限定されるため、いずれかで現像可能であること、高温、高アルカリ性条件下で長時間行われる無電解メッキに耐えること、メッキ処理後、永久レジストとして優れたソルダーレジスト特性を有すること、はんだ付け工程での260℃前後の温度にも耐える耐熱性を有すること、はんだ付け時に用いられるフラックスを洗浄する有機溶剤に対する耐溶剤性を有すること、更には、積層されても基板全体の熱的信頼性を低下させないことなどである。現在、このアデイテイブ法に使用可能なフォトレジストも市販されているがその性能は未だ十分であるとはいえない。
【0005】従って、本発明の目的とするところは、写真法によりパターン精度の良いレジスト形成がアルカリ水溶液(例えば、炭酸ナトリウム水溶液、KOH水溶液、ジエタノールアミン水溶液等)を用いた現像で可能であり、フルアデイテイブ法の無電解銅メッキ液に十分に耐え、また、はんだ付け工程の260℃前後の温度にも耐える耐熱性、及びはんだ付け時に用いられるフラックスを洗浄する有機溶剤に対する耐溶剤性を備えて、最終製品まで除去することなく使用される永久レジストに適した樹脂組成物及びその硬化物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目的を達成するために、鋭意検討の結果、特定の組成を有する樹脂組成物がそれらの課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、(1)少なくとも1個のカルボキシル基を含有するポリマー(a)中のカルボキシル基に下記式(1)
【0007】
【化3】


【0008】(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は、炭素数2〜4の整数であるアルキレン、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン又は下記式(2)
【0009】
【化4】


【0010】(ここでR3は水素原子、メチル基又はエチル基であり、nは1〜5の数である)で示される結合鎖である)で表される化合物(b)を付加させた化合物(A)及び希釈剤(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物、(2)式(1)で表される化合物(b)が4−グリシジルエーテルブチルアクリレートである樹脂組成物、(3)化合物(A)の重量平均分子量が5000〜100,000である(1)または(2)に記載の樹脂組成物、(4)化合物(A)の酸価(mgKOH/g)が50〜150である(1)ないし(3)のいずれか一項記載の樹脂組成物、(5)永久レジスト用である(1)ないし(4)のいずれか一項記載の樹脂組成物、(6)(1)ないし(5)のいずれか一項記載の樹脂組成物の硬化物、に関する。
【0011】本発明の樹脂組成物は、化合物(A)と希釈剤(B)を含有することを特徴とする。本発明の樹脂組成物の各成分(A)と(B)の使用割合は、(A)成分は、本発明の組成物中20〜80重量%が好ましく、特に好ましくは30〜70重量%である。(B)成分は、本発明の組成物中20〜80重量%が好ましく、特に好ましくは30〜70重量%である。
【0012】化合物(A)は、少なくとも1個のカルボキシル基を含有するポリマー(a)中のカルボキシル基に上記式(1)で表される化合物(b)を付加させたものである。少なくとも1個のカルボキシル基を含有するポリマー(a)としては、例えば少なくとも1個のカルボキシル基を含有するアクリル樹脂、無水マレイン酸共重合体あるいはエポキシ(メタ)アクリレート類に多塩基酸無水物類を反応させたカルボキシル基を含有エポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの中でも、少なくとも1個のカルボキシル基を含有するアクリル樹脂が好ましい。
【0013】アクリル樹脂としては、例えばアクリル系エチレン性不飽和酸に(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル芳香族化合物、アミド系不飽和化合物から選ばれる1種もしくは2種以上の単量体とを共重合させた共重合体が使用できる。アクリル系エチレン性不飽和酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート等があげられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等があげられる。ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレン等があげられる。アミド系不飽和化合物としては、例えばメタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等があげられる。
【0014】化合物(b)は上記式(1)で表されるグリシジルエーテル基を有するアクリレート化合物である。式(1)において、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は、炭素数2〜4の整数であるアルキレン、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン又は上記式(2)で示される結合鎖である。好ましいR2は炭素数のアルキレン又はシクロヘキサン−1,4−ジメチレンである。炭素数2〜4の整数であるアルキレンとしては、例えばジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の炭素数2〜4のポリメチレンが挙げられる。又、上記式(2)で示される結合鎖において、R3は水素原子、メチル基又はエチル基であり、nは1〜5の数である。好ましいR3は水素原子又はメチル基であり、nは2である。
【0015】次に、式(1)で表される化合物(b)としては、例えば2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジルオキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。好ましいものとしては、4−グリシジルオキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテルアクリレート、特に好ましいものとしては、4−グリシジルオキシブチルアクリレート等を挙げることができる。
【0016】本発明で使用する化合物(A)は、前記ポリマー(a)のカルボキシル基に、前記一般式(1)で表される化合物(b)をエポキシ開環付加して得ることができる。一般式(1)の化合物(b)の付加量は、ポリマー(a)のカルボキシル基、1当量に対して0.1〜0.4モルの範囲で使用するのが好ましく、特に好ましくは、0.1〜0.3モルである。反応温度は60〜150℃が好ましく、反応時間は10〜40時間が好ましい。
【0017】エポキシ開環付加には通常、触媒を使用する。使用する触媒としては、例えばジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ−n−オクチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系化合物等を挙げることができる。
【0018】反応には、溶媒を使用することが好ましい。使用できる溶媒としては、特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ブチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ソルベントナフサ等があげられる。これらは単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】化合物(A)の重量平均分子量は、希釈剤としての有機溶剤あるいはモノマーへの溶解性、作業性及び硬化物の耐熱性を考慮すると、5,000〜100,000が好ましく、より好ましく10,000〜70,000であり、特に好ましくは20,000〜50,000である。又、化合物(A)の酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましく、特に好ましくは50〜120mgKOH/gである。50mgKOH/gを下回ると希アルカリ水溶液によるレジスト形成後の未硬化部分の除去性が悪くなり、一方150mgKOH/gを越えると硬化皮膜の電気特性、加湿特性が悪くなる傾向がある。
【0020】本発明では、希釈剤(B)を使用する。希釈剤(B)としては、例えば有機溶剤類(B−1)や反応性単量体類(B−2)等を挙げることができる。有機溶剤類(B−1)としては、例えばエチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等があげられる。反応性単量体類(B−2)としては、例えばカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタ(メタ)アクリレート等があげられる。これらの希釈剤(B)は、単独または2種以上の混合物として用いられる。又、希釈剤(B)はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A)合成時に添加しても良い。
【0021】本発明の樹脂組成物には、(A)及び(B)成分以外に、光重合開始剤(C)及び硬化成分(D)を使用するのが好ましい。光重合開始剤(C)の使用割合は、本発明の組成物中、1〜20重量%が好ましく、特に好ましくは1〜10重量%である。又、硬化成分(D)は、単独または2種以上の混合物として用いられ、本発明の組成物に含まれる硬化成分(D)の量は組成物中、0〜50重量%が好ましく、特に好ましくは3〜40重量%である。硬化成分(D)の使用目的は、密着性、耐熱性、耐メッキ性等のレジストとしての諸特性を向上させるものである。
【0022】光重合開始剤(C)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組合せて用いることができる。
【0023】さらに、光重合開始剤(C)は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤を単独あるいは2種以上と組合せて用いることができる。
【0024】硬化成分(D)としては、例えば不飽和二重結合を有しないものでそれ自身が熱や紫外線等によって硬化するものや、本発明で使用する(A)成分の水酸基やカルボキシル基等と熱や紫外線等で反応するものでも良い。具体的には、例えば1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、縮合ヘキサメトキシメラミン等のメラミン誘導体、ジメチロール尿素等の尿素化合物、テトラメチロール・ビスフェノールA等のビスフェノールA系化合物、オキサゾリン化合物等があげられる。
【0025】1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、EPPN−201、EOCN−103、EOCN−1020、BREN(いずれも日本化薬(株)製)等のノホラック型エポキシ樹脂、エピクロンN−880(大日本インキ化学工業(株)製)等のビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、YL−931、YL−933(いずれも油化シェルエポキシ(株)製)等のアミノ基含有エポキシ樹脂、エピクロンTSR−601(大日本インキ化学工業(株)製)、R−1415−1(エー・シー・アール(株)製)等のゴム変性エポキシ樹脂、TEPIC(日産化学(株)製)等のトリグリシジルイソシアネート、YX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)等のビキシレノール型エポキシ樹脂、YL−612H等のビスフェノール型エポキシ樹脂とビキシレノール型エポキシ樹脂の混合物、セロキサイド2021(ダイセル化学工業(株)製)等の脂環式エポキシ樹脂等を挙げるこことができる。
【0026】ビスフェーノル型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート1009、1031(いずれも油化シェルエポキシ(株)製)、エピクロンN−3050、N−7050(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)、DER−642U、DER−673MF(いずれもダウケミカル(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ST−2004、ST−2007(いずれも東都化成(株)製)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YDF−2004、YDF−2007(いずれも東都化成(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、SR−BBS、SR−TBA−400(いずれも坂本薬品工業(株)製)、YDB−600、YDB−715等(いずれも東都化成(株)製)の臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロンEXA−1514(大日本インキ化学工業(株)製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂等があげられる。
【0027】前記、硬化成分(D)の中でエポキシ化合物を使用する場合には、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるためにエポキシ樹脂硬化(促進)剤を併用することが好ましい。エポキシ樹脂硬化(促進)剤としては、例えばイミダゾール誘導体、グアナミン類、ポリアミン類、三フッ化ホウ素のアミン錯体、トリアジン誘導体類、三級アミン類、ポリフェノール類、有機ホスフィン類、光カチオン重合触媒等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂硬化(促進)剤は単独または2種以上混合して用いる。その使用量は、前記エポキシ化合物100重量部に対して0.01〜25重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜15重量部である。
【0028】エポキシ樹脂硬化(促進)剤として使用するイミダゾール誘導体としては、例えば2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PN、1B2MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−CN、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−CNS、2MZ−AZ1NE、2E4MZ−AZ1NE、C11Z−AZ1NE、2MA−OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZ等(いずれも四国化成工業(株)製)等が挙げられ、グアナミン類としては、例えばアセトグアナミン、ベンゾグアナミン等が挙げられる。ポリアミン類としては、例えばジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、尿素、メラミン、多塩基ヒドラジド等が挙げられ、トリアジン誘導体類としては、例えばエチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等が挙げられる。
【0029】エポキシ樹脂硬化(促進)剤として使用する三級アミン類としては、例えばトリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等が挙げられ、ポリフェノール類としては、例えばポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等が挙げられる。有機ホスフィン類としては、例えばトリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等が挙げられ、光カチオン重合触媒としては、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラキスパーフルオロフェニルボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、オプトマーSP−170(旭電化工業(株)製)等が挙げられる。
【0030】本発明の組成物には、更に、密着性、硬度などの特性を向上する目的で必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤を使用できる。その使用量は、本発明の組成物中の0〜60重量%が好ましく、特に好ましくは0〜40重量%である。
【0031】更に、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン等の重合禁止剤、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系および高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、イミダゾール系密着性付与剤、チアゾール系密着性付与剤、トリアゾール系密着性付与剤およびシランカップリング剤等の密着性付与剤のような各種の添加剤類を用いることができる。これらの添加剤等を使用する場合、その使用量は、例えば本発明の組成物中、それぞれ0.5〜30重量%程度が一応の目安であるが、使用目的に応じ適宜増減し得る。又、アクリル酸エステル類などのエチレン性不飽和化合物の共重合体類、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂等のバインダー樹脂等も用いることができる。
【0032】本発明の樹脂組成物は、(A)、(B)成分を、又必要に応じ(C)、(D)成分、無機充填剤及びその他添加剤を、好ましくは前記の割合で配合し、ロールミル等で均一に混合、溶解、分散等により調製することができる。
【0033】本発明の樹脂組成物は永久レジスト用として液状で好ましく使用される。プリント配線板上に20〜60μmの厚みで塗布し、60〜100℃、10〜60分間程度、熱処理し溶剤を除去し、その上に所定のパターンを有するマスクを載置して紫外線を照射し、未露光部分を現像液で現像しパターンを形成し、その後、必要に応じてさらに紫外線を照射し、次いで100〜200℃で加熱処理をすることにより諸特性を満足する永久保護膜が得られる。現像液としては、例えば炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液等を用いることができる。
【0034】本発明の樹脂組成物は、ベースフィルム(離型フィルム)上にロールコーターやドクターバー、ワイヤーバー方式、、ティッピング方式、スピンコート方式、グラビア方式及びドクターブレード方式等を用いて該組成物を塗布した後、60〜100℃に設定した乾燥炉で乾燥し、所定量の溶剤を除去することにより、又必要に応じて離型フィルム等を張り付けることによりドライフィルムとすることができる。この際、ベースフィルム上の本発明の樹脂組成物(レジスト)の厚さは15〜150μmに調製される。上記ベースフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のフィルムが好適に使用される。このドライフィルムを使用するには、例えば離型フィルムをはがして基板に転写し、上記と同様に露光、現像、加熱処理をすればよい。
【0035】上記の方法により得られる本発明の樹脂組成物の硬化物は、例えば永久レジストとしてスルホールを有するプリント配線板のような電気・電子部品に利用される。又、本発明の樹脂組成物の硬化物層を有するプリント配線板の硬化物層の膜厚は20〜60μm程度が好ましい。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
合成例1(化合物(A)の合成例)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル200g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート13.1gを導入し、95℃に昇温後、メタクリル酸172.2g、メチルメタクリレート154.5g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)10.5g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル126gの混合液を3時間かけて滴下した。滴下後4時間熟成してカルボキシル基を有する幹ポリマーを合成した。次に、上記幹ポリマー溶液に、4−グリシジルオキシブチルアクリレート119.3g及びトリフェニルホスフィン2.9g、メチルハイドロキノン0.5gを加え、100℃で10時間反応させた。得られた重合体を化合物(A−1)とする。化合物(A−1)の酸価(固形分)は165mgKOH/g、二重結合当量(不飽和基1モル当たりの樹脂のグラム重量)は792.7、重量平均分子量は15,000であった。
【0037】合成例2(比較例のための合成例)
クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−104S、エポキシ当量210)220g、アクリル酸72g、メチルハイドロキノン0.2g及びカルビトールアセテート158gを仕込み、80℃に加熱、溶解し、次いで60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン1.3gを仕込み、98℃に加熱し、約32時間反応を行ない、次に、テトラヒドロ無水フタル酸109g及びカルビトールアセテート58.7gを仕込み、95℃で10時間反応を行ない反応物を得た。反応物の酸価(固形分)は100mgKOH/gであった。
【0038】実施例1、2 比較例1表1に示す配合組成(数値は重量部である。)に従って、各成分を混合し、分散、混練し、本発明の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を積層板上に30μmの厚みで塗布し、80℃で60分間乾燥し、本発明の樹脂組成物からなるレジストを作製した。次いでこのレジスト上にネガマスクを接触させ、超高圧水銀灯を用いて紫外線を照射した。未露光部分を1.5%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2 のスプレー圧で現像した。水洗乾燥後、全面に紫外線を照射、150℃で30分間加熱処理を行なった。これを70℃で無電解銅メッキ液に10時間浸漬し、約20μmの無電解銅メッキ皮膜を形成し、アデイテイブ法多層プリント配線板を作製した。このようにして、アデイテイブ法多層プリント配線板が得られる過程でレジストの特性について評価した結果を表1に示す。
【0039】評価方法(現像性)
○・・・・現像時、完全にインキが除去され、完全な現像ができた。
×・・・・現像時、少しでも残渣が残り、現像されない部分がある。
(耐溶剤性)レジスト硬化膜をアセトンに20分間浸漬しその状態を目視した。
○・・・・全く変化がなかった。
×・・・・フクレやハクリが発生した。
(耐メッキ液性)
○・・・・無電解銅メッキ工程で全く変化が見られない。
△・・・・無電解銅メッキ工程でやや変色が見られる。
×・・・・無電解銅メッキ工程で変色、フクレやハクリが発生した。
【0040】(半田耐熱性)JIS C 6481の試験方法に従って、260℃で半田浴への試験片の10秒浸漬を3回行ない、外観の変化を評価した。
○・・・・外観変化なし。
△・・・・硬化膜の変色が認められる。
×・・・・硬化膜の浮き、剥れ、半田潜りあり。
(注)使用したポストフラックス(ロジン系):JIS C 6481に従ったフラックスを使用。
【0041】(レベラー用フラックス耐性)10秒浸漬を3回行ない、煮沸水に10分浸漬後、外観の変化を評価した。
○・・・・外観変化なし。
△・・・・硬化膜の変色が認められる。
×・・・・硬化膜の浮き、剥れ、半田潜りあり。
(注)使用したレベラー用フラックス:(株)メック製、W−121
【0042】
【表1】
表1 配合組成及び特性試験配合組成 実施例 比較例 1 2 1合成例1で得た化合物(A) 169 169合成例2で得た反応物 154プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25KAYARAD DPHA *1 5 5 5EOCN−104S *2 20 7.5 7.5ベンジルジメチルケタール 3 3 3アエロジル 380 *3 3 3 32,4−ジエチルチオキサントン 0.5 0.5 0.5メラミン(エポキシ硬化剤) 3 2 2ジシアンジアミド(エポキシ硬化剤) 2 1 1二酸化シリカ 35 35 35−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−現像性 ○ ○ ○耐メッキ液 ○ ○ ×耐溶剤性 ○ ○ ○半田耐熱性 ポストフラックス耐性 ○ ○ ○ レベラー用フラックス耐性 ○ ○ ○
【0043】注) *1 KAYARAD DPHA:日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート混合物。
*2 EOCN−104S:日本化薬(株)製、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量220、軟化点92℃。
*3 アエロジル380:日本アエロジル(株)製、無水シリカ。
【0044】表1の評価結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物は現像性が良好で、その硬化物は耐溶剤性、耐メッキ性、半田耐熱性に優れている。
【0045】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物及びその硬化物は、高解像度で現像が容易であるにもかかわらず、耐溶剤性、高温、高アルカリ性条件下で長時間行われる無電解メッキに対する耐メッキ液性に優れ、更にははんだ付け工程の260℃前後の温度にも耐える耐熱性をもそなえ、永久レジストとしてプリント配線板の製造に特に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも1個のカルボキシル基を含有するポリマー(a)中のカルボキシル基に下記式(1)
【化1】


(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は、炭素数2〜4の整数であるアルキレン、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン又は下記式(2)
【化2】


(ここでR3は水素原子、メチル基又はエチル基であり、nは1〜5の数である)で示される結合鎖である)で表される化合物(b)を付加させた化合物(A)及び希釈剤(B)を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】式(1)で表される化合物(b)が4−グリシジルエーテルブチルアクリレートである請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】化合物(A)の重量平均分子量が5,000〜100,000である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】化合物(A)の酸価(mgKOH/g)が50〜150である請求項1ないし3のいずれか一項記載の樹脂組成物。
【請求項5】永久レジスト用である請求項1ないし4のいずれか一項記載の樹脂組成物。
【請求項6】請求項1ないし5のいずれか一項記載の樹脂組成物の硬化物。