説明

樹脂組成物及び成形品

【課題】容易に成形でき、かつ高い成形性を示す、高誘電率、低誘電率材料を提供する。
【解決手段】脂環構造含有熱可塑性樹脂、結晶性オレフィン系重合体及び高誘電率充填剤を含有する樹脂組成物を、 脂環構造含有熱可塑性樹脂と結晶性オレフィン系重合体との質量比が90/10〜30/70、かつ高誘電率充填剤が、結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有重合体との合計量に対して20〜200質量%であるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波に対して高誘電率、低誘電正接の樹脂組成物およびそれを成形した成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送、衛星通信、ハイビジョン・テレビ放送、携帯電話などの普及により、電波による高密度の情報の送受信が広く行われるようになり、使用周波数の高周波数化が進んでいる。さらに、ナビゲーション・システムのグローバル・ポジショニング・システムなどの移動体通信機での運搬効率の改善を始めとして、空間効率の改善などのために電波の受発信用アンテナと回路基板の小型化が進められている。
【0003】
高誘電率および低誘電正接の特性を持つ材料が、高周波用のアンテナを小型にするため用いられる。誘電率が高くなるほどアンテナが受発信できる電波の周波数は大きくなり、アンテナ基板を小さくしても高周波の受信が可能になる。更に、誘電正接が小さいほど、信号の伝送損失が小さくなるため、ノイズが減少する。
【0004】
ガラス繊維に熱硬化性材料を含浸させたプリプレグを積層し、圧力をかけつつ加熱して成形した成形品が、高誘電率および低誘電正接の特性を持つ材料が用いられたアンテナのアンテナ基板と回路基板として用いられる。しかし、小型アンテナ基板の材料として使用されたガラス繊維の誘電率が問題となりやすい。誘電率の高いガラスの繊維化は困難な場合が多い。最近、誘電率の比較的高いガラス繊維と熱硬化性材料として高誘電率のチタニアなどのセラミクスの粉末を用い、高誘電率で低誘電正接のアンテナ基板が開発されている。しかし、このようなプリプレグを用いる方法は、アンテナ基板の製造工程が複雑で手間がかかるという問題を有していた。
【0005】
熱可塑性樹脂に高誘電率充填剤を配合した射出成形可能な高誘電率および低誘電正接な樹脂組成物の使用が、製造工程を簡略化する方法として検討された(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この樹脂組成物は射出可能であるが、射出成形機内に汚れを発生させ易く、結果的に射出成形の繰り返しにより成形品に焼けなどが混入して不良品を発生させるなど、その成形性は十分ではなかった。
【特許文献1】特開平9−147626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、容易に成形でき、かつ優れた成形性を示す、高誘電率、低誘電正接材料の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、脂環式構造含有熱可塑性樹脂とポリプロピレンと高誘電率充填剤とを特定の割合で含有する樹脂組成物が、容易に成形でき、かつ高い成形性を示す、高誘電率、低誘電正接材料であること見出し、本発明を完成させるに到った。
かくして、本発明によれば、脂環構造含有熱可塑性樹脂と結晶性オレフィン系重合体との重量比が90/10〜30/70、かつ高誘電率充填剤が、結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有重合体との合計量に対して20〜200重量%である樹脂組成物、および該樹脂組成物で成形された成形品が提供される。
【0008】
上記脂環構造含有熱可塑性樹脂はノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物又はノルボルネン系単量体の付加重合体であり得る。上記結晶性オレフィン系重合体はポリプロピレンであり得る。上記高誘電率充填剤は酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムのいずれかであり得る。上記成形品は、アンテナ基板であり得る。
【発明の効果】
【0009】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂と結晶性オレフィン系重合体と高誘電率充填剤とを特定の割合で配合した本発明の樹脂組成物は、射出成形などで容易に成形でき、かつ高い成形性を示し、高誘電率、低誘電正接といった特性も有している。従って、本発明の樹脂組成物は、高周波用小型アンテナ用材料などに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、脂環構造含有熱可塑性樹脂、結晶性オレフィン系重合体及び高誘電率充填剤を含有する。
【0011】
本発明で用いられる脂環構造含有熱可塑性樹脂は、主鎖および/または側鎖に脂環式構造を有する。好ましい脂環構造含有熱可塑性樹脂は、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する熱可塑性樹脂である。
【0012】
脂環式構造の具体例は、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などである。機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造とシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。
【0013】
脂環式構造を構成する炭素原子数は、制限されないが、通常4〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜15の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、および成形性の特性が高度にバランスされる。
【0014】
本発明に使用される脂環構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。脂環構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、脂環構造含有熱可塑性樹脂の耐熱性が劣る。脂環構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は限定されず、使用目的に応じて適宜選択される。
【0015】
当該脂環構造含有熱可塑性樹脂の具体例は、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などである。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体およびその水素化物が好ましい。
【0016】
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン骨格を有する単量体であるノルボルネン系単量体を重合してなり、開環重合によって得られる重合体と、付加重合によって得られる重合体に大別される。
【0017】
開環重合によって得られる重合体の具体例は、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、これらの水素化物などである。付加重合によって得られる重合体の具体例は、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体などである。これらの中でも、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物およびノルボルネン系単量体の付加重合体が、耐熱性、機械的強度等の観点から好ましい。
【0018】
ノルボルネン系単量体の具体例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、その誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、その誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、その誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、その誘導体などである。
置換基の具体例は、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基などである。上記ノルボルネン系単量体は、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0019】
ノルボルネン系単量体の開環重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体は、単量体成分が公知の開環重合触媒の存在下で重合して得られる。開環重合触媒の具体例は、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒である。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体の具体例は、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などである。
【0020】
ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化して得る。
【0021】
ノルボルネン系単量体の付加重合体、又はノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体は、これらの単量体を、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合させて得る。
【0022】
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体の具体例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などである。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
これらの、ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。付加重合体中のノルボルネン系単量体由来の構造単位と付加共重合可能なその他の単量体由来の構造単位との割合は、質量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは60:40〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
耐熱性、機械的強度、成形性等の観点から、ノルボルネン系単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体とを付加共重合が好ましく、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加共重合体が特に好ましい。
【0023】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体の具体例は、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体である。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体の具体例は、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物である。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体の具体例は、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;ビニル脂環式炭化水素重合体又はビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物などである。ブロック共重合体の具体例は、ジブロック、トリブロックそれ以上のマルチブロック、傾斜ブロック共重合体などである。
【0024】
本発明で使用される脂環構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは8,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000の範囲である。脂環構造含有熱可塑性樹脂の分子量が上記範囲であるとき、脂環構造含有熱可塑性樹脂の機械的強度と成形加工性とが高度にバランスする。
【0025】
本発明で使用される脂環構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃、特に好ましくは120〜200℃の範囲である。脂環構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度が上記範囲であるとき、脂環構造含有熱可塑性樹脂の耐熱性と成形加工性が高度にバランスする。
これらの脂環構造含有熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
本発明で使用される結晶性オレフィン系重合体は、オレフィンの単独重合体又は共重合体であって、融点を有する。結晶性オレフィン系重合体の具体的例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−ペンテン等で代表されるα−オレフィンの単独重合体、α−オレフィン同士の共重合体、上記α−オレフィン類とビニルエステル、アクリル酸またはその誘導体、有機ケイ素化合物等との共重合体、該オレフィン系樹脂への各種不飽和単量体のグラフト重合体である。
結晶性オレフィン系重合体の中でも、低誘電正接を有する炭化水素系樹脂である、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがさらに好ましい。低誘電正接を有する結晶性オレフィン系重合体の配合は、得られるアンテナ基板の誘電正接を小さくする。
【0027】
本発明において、結晶性オレフィン系重合体は、重合体全体が結晶化している重合体のみでなく、部分的に結晶化している重合体であり得る。部分的に結晶化している重合体の結晶化度は、特に限定されないが、一般に10〜90%の範囲にある。
【0028】
結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有熱可塑性樹脂の配合量は、十分な成形が得られるように決定され、脂環構造含有熱可塑性樹脂と結晶性オレフィン系重合体との質量比が、90:10〜30:70、好ましくは85:15〜50:50である。結晶性オレフィン系重合体が多すぎると、樹脂組成物から得られる成形品の形状が熱により変化し、一方、結晶性オレフィン系重合体が少なすぎると、樹脂組成物の加工性が悪くなる。
【0029】
本発明において使用する高誘電率充填剤は、誘電率が30以上であり、好ましくは50以上、さらに好ましくは70以上である。誘電率は高い分には問題なく、上限値は特に限定されないが、たとえば、30000程度であってもよい。
【0030】
このような高誘電率充填剤としては、金属酸化物からなるものが好ましく用いられ、特にチタン系金属酸化物が好ましい。ここで、「チタン系金属酸化物」とはチタン元素と酸素元素とを必須元素として含む化合物をいう。このようなチタン系金属酸化物としては、結晶構造を構成する金属元素としてチタンを単一で含むチタン系単一金属酸化物と、金属元素としてチタンおよび他の金属元素を含むチタン系複酸化物とを好ましく用いることができる。
【0031】
前記チタン系単一金属酸化物としては、たとえば、二酸化チタン系金属酸化物が挙げられる。このような二酸化チタン系金属酸化物としては、アナターゼ構造またはルチル構造の二酸化チタン系金属酸化物が挙げられる。前記チタン系複酸化物としては、たとえば、チタン酸バリウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸ビスマス系、チタン酸マグネシウム系、チタン酸ネオジウム系、チタン酸カルシウム系等の金属酸化物が挙げられる。
【0032】
なお、前記「二酸化チタン系金属酸化物」とは、二酸化チタンのみを含む系、または二酸化チタンに他の少量の添加物を含む系を意味し、主成分である二酸化チタンの結晶構造が保持されているものであり、他の系の金属酸化物についても同様である。また、前記「チタン系複酸化物」とは、チタン系単一金属酸化物と、少なくとも1種の他の金属元素からなる金属酸化物とが複合して生ずる酸化物であり、構造の単位としてオキソ酸のイオンが存在しないものをいう。
【0033】
本発明においては、このような無機粒子を構成するチタン系金属酸化物としては、チタン系単一金属酸化物のうちでは、ルチル構造の二酸化チタン系金属酸化物が好ましく、チタン系複酸化物のうちでは、チタン酸バリウム系金属酸化物を好ましく用いることができる。
【0034】
高誘電率充填剤の好ましい具体例は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、二酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛からなる群から選ばれた1種以上である。これらの高誘電率充填剤は、予めカップリング剤で表面処理され得るし、配合時にカップリング剤を添加するインテグラル法により表面処理され得る。好ましいカップリング剤は、チタネート系カップリング剤である。高誘電率充填剤の形状は、粒状、不定形、フレーク状など任意であり、これらの形状の高誘電率充填剤を任意の比率で用い得る。高誘電率充填剤の重量平均粒子径は、かさ密度と樹脂への充填性の観点から好ましくは0.05μm以上であり、樹脂層の厚さ精度の観点から好ましくは20μm以下であり、更に好ましくは0.1〜10μmである。
【0035】
高誘電率充填剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて添加できる。
高誘電率充填剤の配合量は、十分な軽量性と耐熱性が得られるように決定され、結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有熱可塑性樹脂との合計量100質量部に対して、通常20〜200%、好ましくは25〜150%の範囲である。高誘電率充填剤の添加量が多すぎると、成形品の製造が困難になったり、高誘電率充填剤の分散が不均一になったりする。一方、高誘電率充填剤の添加量が少なすぎると、樹脂組成物の誘電率が低くなる。
【0036】
必要に応じて、その他のポリマー、その他の各種添加剤(樹脂工業において通常用いられる添加剤)を単独で、あるいは2種以上混合して本発明の樹脂組成物に添加できる。
【0037】
その他のポリマーは、ガラス転移温度が40℃以下の熱可塑性エラストマーであり得る。その他のポリマー具体例は、乳化重合又は溶液重合したスチレン・ブタジエン・ゴム、ハイスチレンゴムなどのスチレン・ブタジエン系のランダム又はブロック共重合体、これらの水素添加物;イソプレン・ゴム、その水素添加物;クロロプレンゴム、その水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などの飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体などのジエン系重合体、これらのハロゲン化物、ジエン系重合体又はそのハロゲン化物の水素添加物、又は、これらを無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、エポキシ等で変性したものなどである。
これらの中でも、成形体の表面平滑性の観点から、スチレン・ブタジエン・ゴム、ハイスチレンゴムなどのスチレン・ブタジエン系のランダム又はブロック共重合体の水素添加物が好ましい。
熱可塑性エラストマーは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性エラストマーの配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有熱可塑性樹脂に対して、通常1〜30質量%、好ましくは2〜25質量%の範囲である。
【0038】
その他の添加剤は、熱可塑性樹脂材料で通常用いられている添加剤である。その他の添加剤の具体例は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などである。
【0039】
老化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などである。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い得る。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有熱可塑性樹脂との合計量100質量部に対して通常0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
【0040】
紫外線吸収剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、金属錯体系紫外線吸収剤などである。
光安定剤の具体例は、ヒンダードアミン系光安定剤である。
【0041】
近赤外線吸収剤の具体例は、シアニン系近赤外線吸収剤、ピリリウム系赤外線吸収剤、スクワリリウム系近赤外線吸収剤、クロコニウム系赤外線吸収剤、アズレニウム系近赤外線吸収剤、フタロシアニン系近赤外線吸収剤、ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤、ナフトキノン系近赤外線吸収剤、アントラキノン系近赤外線吸収剤、インドフェノール系近赤外線吸収剤、アジ系近赤外線吸収剤等である。
【0042】
染料は、脂環構造含有熱可塑性樹脂に均一に分散・溶解する染料である。本発明で用いられる重合体との相溶性の観点から、油溶性染料(各種C.I.ソルベント染料)が広く用いられる。油溶性染料の具体例は、The Society of Diyes and Colourists社刊Color Index vol.3に記載される各種のC.I.ソルベント染料である。
顔料の具体例は、ジアリリド系顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ペンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料である。
【0043】
可塑剤の具体例は、リン酸トリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤、主骨格が主にC−CまたはC=C構造である常温で液状の炭化水素ポリマーなどである。これらの中でもリン酸トリエステル系可塑剤が好ましく、トリクレジルフォスフェート、トリキシリルフォスフェートが特に好ましい。
帯電防止剤の具体例は、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの長鎖アルキルアルコール;グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレートなどの多価アルコールの脂肪酸エステルなどである。ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好ましい。
【0044】
これらの添加剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環構造含有熱可塑性樹脂100質量部に対して通常0.001〜5質量部、好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。
【0045】
高誘電率充填剤、結晶性オレフィン系重合体及び脂環構造含有熱可塑性樹脂の混合順序は任意である。結晶性オレフィン系重合体と高誘電率充填剤をあらかじめ配合してもよいし、脂環構造含有熱可塑性樹脂と高誘電率充填剤をあらかじめ配合してもよい。
混合方法は、重合体中に、これらの配合剤が十分に分散する方法であり、特定の方法に限定されない。混合方法の具体例は、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、キャスト法または直接乾燥法により溶剤を除去する方法などである。
【0046】
二軸混練機を用いる場合、樹脂組成物を混練後に通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化する。
【0047】
本発明の成形品は、上記の樹脂組成物を成形して得られる。成形方法は、従来公知の成形方法であり、その具体例は、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などである。成形精度の観点から、射出成形、プレス成形が好ましい。成形時の樹脂の溶融温度は脂環構造含有熱可塑性樹脂の種類によっても異なるが、通常100〜400℃、好ましくは200〜350℃である。成形品の形状、大きさは、使用目的に応じて決めればよく、特に限定されない。高周波帯である2GHz以上、好ましくは3GHz以上、より好ましくは4GHz以上、かつ好ましくは300GHz以下、より好ましくは100GHz以下、特に好ましくは30GHz以下において、成形品の誘電率は2.5以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上、かつ好ましくは500以下、より好ましくは100以下、特に好ましくは30以下であり、成形品の誘電正接は好ましくは0.00005以上、より好ましくは0.0001以上、かつ0.1以下、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.001以下である。誘電率が低すぎると、アンテナ基板が十分に小型化されず、一方、誘電率が高すぎると、成形品の製造が困難である。誘電正接が低すぎると、成形品の製造が困難であり、一方、誘電正接が大きすぎると、アンテナ基板の信号伝送損失が大きくなり、受発信の感度が悪化し、ノイズが発生する。
【0048】
本発明の成形品は、高周波帯において高誘電率、低誘電正接である特徴をいかし、小型化されたアンテナ基板、回路基板などに用いられ、アンテナ基板として好適に使用できる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例および比較例における部または%は、特に断りがない限り、質量基準である。
【0050】
各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)水素添加率は、1H−NMRにより測定した。
(2)ガラス転移温度は、JIS K 7121に基づいて測定した値とした。
(3)誘電率及び誘電正接は、JIS C 2565に基づいて、空洞共振器誘電率測定装置(株式会社エーイーティー社製)により測定した。
(4)耐熱性試験は、試験片を水平な板上に置き、150℃のオーブン中で1時間加熱保持した後、試験片の外観変化に基づいて評価した。外観変化は、耐熱性試験前に比べて反りなどの形状変化及び/又は変色がなかった場合を「○」、形状変化及び/又は変色がの生じた場合を「×」とした。
(5)スクリュー汚れの外観試験は、小型混練機で樹脂組成物の混練を10回実施し、10回スクリューに汚れのない場合を「○」、6〜10回で汚れを確認できた場合を「△」、5回以下で汚れる場合を「×」とした。
【0051】
参考例1(ノルボルネン系単量体の付加重合体)
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下、「NB」という)(120kg)を、シクロヘキサン258リットルを装入した反応容器に、常温、窒素気流下で加え、5分間撹拌を行った。さらにトリイソブチルアルミニウムを系内の濃度が1.0ml/リットルとなるように添加した。続いて、撹拌しながらエチレンを常圧で流通させ、系内をエチレン雰囲気とした。オートクレーブの内温を70℃に保ち、エチレンにて内圧がゲージ圧で6kg/cm2 となるように加圧した。10分間撹拌した後、予め用意した、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびメチルアルモキサンを含むトルエン溶液0.4リットルを系内に添加し、エチレン、NBの共重合反応を開始させた。このときの触媒濃度は、全系に対してイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドが0.018mmol/リットルであり、メチルアルモキサンが8.0mmol/リットルである。
【0052】
重合中、系内にエチレンを連続的に供給し、温度を70℃、内圧をゲージ圧で6kg/cm2に保持した。60分後、イソプロピルアルコールを添加し、重合反応を停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、その後、水1m3に対し濃塩酸5リットルを添加した水溶液と1:1の割合で強撹拌下に接触させ、触媒残渣を水相へ移行させた。この接触混合液を静置したのち、水相を分離除去し、さらに水洗を2回行い、重合液相を精製分離した。
【0053】
次いで精製分離された重合液を3倍量のアセトンと強撹拌下で接触させ、共重合体を析出させた後、固体部(共重合体)を濾過により採取し、アセトンで十分洗浄した。さらに、ポリマー中に存在する未反応のモノマーを抽出するため、この固体部を40kg/m3となるようにアセトン中に投入した後、60℃で2時間の条件で抽出操作を行った。抽出処理後、固体部を濾過により採取し、窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥し、エチレン・NB共重合体(A)を得た。
【0054】
以上のようにして得られたエチレン・NB共重合体(脂環構造含熱可塑性樹脂A)のTgは137℃であり、NB含量は51モル%であった。
【0055】
参考例2(ノルボルネン系単量体の付加重合体)
参考例1のNBをテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以後TCDということがある)のシクロヘキサンに変えた以外は、参考例1と同様に重合反応を行なった。得られたエチレン・TCD共重合体(脂環構造含熱可塑性樹脂B)のTgは144℃であり、TCD含量は32モル%であった。
【0056】
参考例3(ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物)
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、「MTF」ということがある)とトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下、「DCP」ということがある)とテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」ということがある)(質量比50/10/40)の混合物7部(重合に使用するモノマー全量に対して1%)とシクロヘキサン1600部を、窒素で置換した反応器に加え、トリ−i−ブチルアルミニウム0.57部とイソブチルアルコール0.21部、反応調整剤としてジイソプロピルエーテル0.85部、及び分子量調節剤として1−ヘキセン4.86部を添加した。ここに、シクロヘキサンに溶解させた0.65%の六塩化タングステン溶液24.3部を添加して、55℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を55℃に保持しながら、MTFとDCPとTCD(質量比50/10/40)の混合物を693部とシクロヘキサンに溶解させた0.65%の六塩化タングステン溶液48.9部とをそれぞれ系内に150分かけて連続的に滴下した。その後、30分間反応を継続し重合を終了した。重合終了後、ガスクロマトグラフィーにより測定したモノマーの重合転化率は重合終了時で100%であった。
【0057】
得られたノルボルネン系単量体の開環重合体反応液を耐圧性の水素化反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製T8400RL、ニッケル担持率57%)1.4部及びシクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間反応させた。この反応溶液を、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製フンダフィルター)して水素化触媒を除去し、無色透明な溶液を得た。次いで前記水素添加物100部あたり0.5部の酸化防止剤であるペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガノックス1010)を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、ゼータープラスフィルター30H(キュノーフィルター社製、孔径0.5〜1μm)にて順次濾過しさらに別の金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にて濾過して微小な固形分を除去した。ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物の水素転化率は99.9%であった。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物(脂環構造含熱可塑性樹脂C)を得た。脂環構造含熱可塑性樹脂CのTgは154℃であった。
なお、開環重合体合成時の重合転化率が100%であり、水素転化率も99.9%と高水準であったから、開環重合体水素添加物中のMTF由来の構造単位(MTF単位)、DCP由来の構造単位(DCP単位)及びTCD由来の構造単位(TCD単位)は、開環重合体の製造に用いたモノマーの使用量に等しいと推定される。
【0058】
実施例1
参考例1で作製したエチレン・NB系強重合ノルボルネン化合物付加重合体(A)90部と、ポリプロピレン(プライムポリマー社製プライムポリプロ E−185G)10部、酸化チタン(テイカ社製JR−405、粒形:ルチル型、平均粒子径:0.21μm)50部に、酸化防止剤としてテトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−ターシャリー−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製イルガノックス1010)0.5部を、小型混練機(DSM Xplore社製Micro15Compounder)を用い290℃、100RPMの条件で2分間混練し樹脂祖生物を得た。その後、小型射出成形機(DSM Xplore社製Micro Injection Moulding Machine 10cc)で成形温度290℃、金型温度 120℃、射出圧力 0.6MPaの条件で射出成形し、縦80mm、横40mm、厚さ3mmの成形体を得た。この成形品を、1.8mm、1.8mm、70mmに切削して試験片を作成した。
【0059】
この試験片を用いて、25℃、5GHzでの誘電率及び誘電正接を測定し、150℃での耐熱性試験を行なった。更に、上記の混練を1〜10回繰り返し、スクリュー汚れの外観試験を行なった。結果を表1に示す。
【0060】
実施例2〜3及び比較例1〜4
脂環構造含有熱可塑性樹脂および各成分の添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして射出成形を行い、試験片を作成した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例1〜3の成形品の耐熱性は高く、これらの成形品は高誘電率及び低誘電正接を有する。
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の配合割合が多すぎる比較例1の樹脂組成物は、容易にスクリュー汚れを発生させた。脂環式構造含有熱可塑性樹脂の配合割合が少なすぎる比較例2の樹脂組成物はやや容易にスクリュー汚れを発生させ、当該樹脂組成物を成形してなる成形品の耐熱性は低かった。高誘電率充填剤の配合割合が少なすぎる比較例3の成形品の誘電率は低かった。高誘電率充填剤の配合割合が多すぎる比較例4の樹脂組成物はやや容易にスクリュー汚れを発生させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂環構造含有熱可塑性樹脂、結晶性オレフィン系重合体及び高誘電率充填剤を含有し、
脂環構造含有熱可塑性樹脂と結晶性オレフィン系重合体との質量比が90/10〜30/70、かつ高誘電率充填剤が、結晶性オレフィン系重合体と脂環構造含有重合体との合計量に対して20〜200質量%である樹脂組成物。
【請求項2】
脂環構造含有熱可塑性樹脂がノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂がノルボルネン系単量体の付加重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
結晶性オレフィン系重合体がポリプロピレンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
高誘電率充填剤が酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムのいずれかである請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物で成形された成形品。
【請求項7】
アンテナ基板である請求項6記載の成形品。

【公開番号】特開2010−83932(P2010−83932A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252071(P2008−252071)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】