説明

樹脂組成物粒子の製造方法

【課題】 顔料の分散性が良好であり、得られる樹脂の膜の色彩先鋭性、透明性に優れた樹脂組成物粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂(A)、顔料(B)を含有する有機溶剤(C)中の分散液(I)と分散剤(D)を含有する水系媒体を混合してなる水系分散体を造粒して樹脂組成物粒子を製造する方法において、(I)が、(A)、(B)、(C)及び必要により顔料分散剤(E)を自転公転機能を有する混合機で混合分散してなる固形分濃度50〜98重量%の混合分散物を必要により有機溶剤で希釈してなる固形分濃度20〜70%の調整液であることを特徴とする樹脂組成物粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂組成物粒子の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、粉体塗料、熱溶融型成形用樹脂、電子部品製造用スペーサー、トナー、その他成形材料等に有用な樹脂組成物粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、水系媒体若しくは有機溶媒媒体中に乳化・分散させる樹脂又は樹脂の溶媒溶液中への顔料の分散性の向上が提案されており、特開平2−153361号公報には乾式トナーの製造法として、顔料の樹脂中への分散を溶融混練で行なった後、溶媒に溶かしてトナー調製液を作成し、該トナー調製液を水中で乳化分散した後に溶媒を揮散させて顔料を含有する樹脂粒子を得る方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法は、溶融混練直後の顔料分散性は良好であるが、この溶融混練物を溶媒に溶解する際に顔料の2次凝集が発生するため、得られる樹脂粒子の顔料分散性は必ずしも良好ではなく、塗膜の色彩鮮鋭性、透明性が劣るといった問題点を有している。本発明は、従来技術における上記の事情に鑑みてなされたものである。すなわち、顔料分散性が良好で、得られる樹脂の膜の色彩先鋭性及び透明性が良好であり、熱溶融性及び粉体流動性に優れた樹脂組成物粒子を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、樹脂(A)、顔料(B)を含有する有機溶媒(C)中の分散液(I)と分散剤(D)を含有する水系媒体を混合してなる水系分散体を造粒して樹脂組成物粒子を製造する方法において、(I)が、(A)、(B)、(C)及び必要により顔料分散剤(E)を自転公転機能を有する混合機で混合分散してなる固形分濃度50〜98重量%の混合分散物を必要により有機溶媒で希釈してなる固形分濃度20〜70%の調整液であることを特徴とする樹脂組成物粒子の製造方法(第1発明);並びに樹脂(A)、顔料(B)を含有する有機溶媒(C)中の分散液(I)と分散剤(D)を含有する水系媒体を混合してなる水系分散体を造粒して樹脂組成物粒子を製造する方法において、(I)が、(A)の前駆体である反応性基含有プレポリマー(a−1)、(B)、(C)及び必要により顔料分散剤(E)を自転公転機能を有する混合機で混合分散してなる固形分濃度50〜98重量%の混合分散物を必要により有機溶媒で希釈してなる固形分濃度20〜70%の調整液であり、該(I)と水系媒体を混合する際に硬化剤(a−2)により(a−1)を硬化させて樹脂(A)を形成させることを特徴とする樹脂組成物粒子の製造方法(第2発明)である。
【0005】
【発明実施の形態】本発明において、樹脂(A)は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂及びこれらの混合物等が使用できる。これらのうち、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの混合物が好ましく、さらに好ましくはビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びこれらの混合物、特に好ましくはビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの混合物である。
【0006】樹脂(A)のうち、好ましい樹脂、すなわち、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂について説明するが、他の樹脂についても同様にして使用できる。ビニル系樹脂は、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(10)が挙げられる。
【0007】(1)ビニル系炭化水素:(1)−1)脂肪族ビニル系炭化水素:炭素数2〜20のアルケン類、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα−オレフィン等;炭素数4〜20のアルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン。
(1)−2)脂環式ビニル系炭化水素:モノ及びジシクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン;テルペン類、例えばピネン、リモネン及びインデン。
(1)−3)芳香族ビニル系炭化水素(炭素数8〜20):スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン;並びにビニルナフタレン。
【0008】(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩:炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル及び桂皮酸;並びにこれらの塩等。
【0009】(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩:炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸;スチレンスルホン酸及びその炭素数1〜24のアルキル置換体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル(炭素数1〜8)−(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸;アルキル(炭素数3〜18)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル;ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4:オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];並びにこれらの塩等。
【0010】(4)燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩:(メタ)アクリロイルオキシアルキル(C1〜C24)燐酸モノエステル、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート;(メタ)アクリロイルオキシアルカン(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば2−アクリロイルオキシエタンホスホン酸等;並びにこれらの塩等。
【0011】上記(2)〜(4)の塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩[モノないしトリアルキル(炭素数1〜20)アミン塩等]、4級アンモニウム塩[脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N,N−ジメチルピペラジン等)及び含窒素ヘテロ環芳香族類(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等)の4級化物の塩等]及びアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等の塩が挙げられる。
【0012】(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー:炭素数2〜12のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、1−ブテン−3−オール及び2−ブテン−1−オール;炭素数4〜12のアルケンジオール、例えば2−ブテン−1,4−ジオール;ヒドロキシル基含有芳香族ビニルモノマー、例えばヒドロキシスチレン;炭素数5〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;炭素数3〜30のアルケニルエーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等。
【0013】(6)含窒素ビニル系モノマー:(6)−1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン及びこれらの有機酸(炭素数1〜20の脂肪族カルボン酸、炭素数1〜20の芳香族カルボン酸等)又は無機酸(塩酸等)との塩等。
(6)−2)アミド基含有非イオン性ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等。
(6)−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン等。
(6)−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:(6)−1)[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)。
(6)−5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等。
【0014】(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート等。
【0015】(8)ハロゲン含有ビニル系モノマー:塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン、フッ素化オレフィン(炭素数2〜10、F1〜20)、フッ素化アルキル(炭素数2〜10、F1〜20)(メタ)アクリレート等。
【0016】(9)ビニルエステル類:不飽和アルコール[ビニル、(メタ)アクリル、イソプロペニル等]若しくはヒドロキシスチレンと炭素数1〜12のモノ若しくはポリカルボン酸とのエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、メチル−4−ビニルベンゾエート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート及びアセトキシスチレン;不飽和カルボン酸アルコール(炭素数1〜30)エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、エチル−α−エトキシ(メタ)アクリレート、ジ(シクロ)アルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖若しくは分岐鎖の基である)及びジ(シクロ)アルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖若しくは分岐鎖の基である);多価(2〜3)アルコール不飽和カルボン酸エステル、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;重合度5〜50のポリオキシアルキレン(炭素数2〜4)モノ若しくはポリ(2〜3)オール不飽和カルボン酸エステル、例えばポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(重合度7)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度9)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールエチレンオキシド10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールエチレンオキシド30モル付加物(メタ)アクリレート等。
(10)その他のビニル系モノマー:(10)−1)ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、フェノキシスチレン、ポリ(ジ〜テトラ)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2〜6)類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド等。
(10)−2)ビニルケトン、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等。
(10)−3)ビニルスルホン、例えばビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキシド等。
(10)−4)イソシーネート含有ビニル系モノマー、例えばイソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等。
【0017】ビニル系モノマーの(共)重合体には、上記(1)〜(10)の任意のモノマーの単独又は2種若しくはそれ以上を(共)重合したポリマーが含まれ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0018】ビニル系樹脂は、前記モノマーをラジカル重合開始剤を用いて懸濁、乳化、溶液重合等の公知の重合法で合成することができる。重合温度は、通常10〜200℃、好ましくは40〜180℃であり、反応時間は、通常1〜48時間、好ましくは4〜24時間である。ラジカル重合開始剤としては遊離基を生成して重合を開始させるタイプのもの、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(AVN)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、および特開昭61−76517号公報記載の上記以外の過酸化物あるいは過硫酸塩、過ホウ酸塩、過コハク酸等が使用できる。重合開始剤の使用量は、モノマーの全量に基づいて0.01〜20%、好ましくは0.05〜10%である。反応時に重合溶媒を用いてもよく、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール系溶媒(エタノール、イソプロパノール等)等を使用することができる。
【0019】ポリエステル樹脂としては、縮合ポリエステル、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトン、低分子ジオールと低級アルコール(メタノール等)の炭酸ジエステルとを反応させて得られるポリカーボネート等が挙げられる。縮合ポリエステルとしては、ポリオール(e)と、ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体(酸無水物、低級アルキルエステル等)(f)との重縮合物等が挙げられる。(e)としてはジオール(e−1)及び3価以上のポリオール(e−2)等が、(f)としてはジカルボン酸(f−1)及び3価以上のポリカルボン酸(f−2)及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常1.5/1〜1/1.5、好ましくは1.4/1〜1/1.4、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.3である。
【0020】(e−1)としては、アルキレン(炭素数2〜20)グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール等);アルキレン(炭素数2〜6)エーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度5〜100)、ポリプロピレングリコール(重合度5〜100)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(重合度5〜100)等);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのAO[炭素数2〜4:エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド等]付加物(付加モル数2〜10);上記ビスフェノール類のAO(炭素数2〜4:EO、PO、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。上記及び以下においてAOはアルキレンオキサイドを示す。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のAO付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のAO付加物及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。(e−2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記トリスフェノール類のAO付加物;上記ノボラック樹脂のAO付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0021】(f−1)としては、炭素数4〜36アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、炭素数8以上の分岐アルキレンジカルボン酸等);炭素数4〜36アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);炭素数8〜36アルキルコハク酸(デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸等);炭素数8〜36のアルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);ダイマー酸等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。(f−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、(f−1)又は(f−2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0022】ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート(g)と活性水素基含有化合物{水、ポリオール(h)、ジカルボン酸(f−1)、3価以上のポリカルボン酸(f−2)、ポリアミン(i)、ポリチオール(j)、反応停止剤(モノアミン、モノオール等)等}との重付加物等が挙げられる。重付加反応には、公知の重付加反応触媒等が使用できる。
【0023】ポリイソシアネート(g)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ポリイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。上記芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノジフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。上記及び以下において%は重量%を示す。上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び/又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。上記芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、m−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。また、上記ポリイソシアネートの変性物には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI等のポリイソシアネートの変性物及びこれらの2種以上の混合物[たとえば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうちで好ましいものは炭素数6〜15の芳香族ポリイソシアネート、炭素数4〜12の脂肪族ポリイソシアネート及び炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネートであり、とくに好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0024】ポリオール(h)としては、低分子ポリオール(h−1)、高分子ポリオール[ポリオキシアルキレンポリオール(h−2)、ポリエステルポリオール(h−3)、重合体ポリオール(h−4)、ポリブタジエンポリオール(h−5)、ひまし油系ポリオール(h−6)、アクリルポリオール(h−7)等、数平均分子量:通常500〜20,000、好ましくは500〜10,000、更に好ましくは1,000〜3,000]等が挙げられる。なお、上記及び以下における数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される(THF溶媒、基準物質ポリスチレン)。
【0025】(h−1)としては、2〜8価の多価アルコール(h−1−1)、該多価アルコールのAO(EO、PO、1,2−、1,3−、2,3−若しくは1,4−ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等)付加物(Mn500未満)、多価フェノール類(h−1−2)のAO付加物(Mn500未満)、燐系ポリオール等が挙げられる。
【0026】(h−1−1)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリト−ル、グルコ−ス、フルクト−ス、ショ糖等の4〜8価のアルコール等が挙げられる。
【0027】(h−1−2)としては、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン等の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類等が挙げられる。また、燐系ポリオールとしては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等のAO付加物(Mn500未満)が挙げられる。
【0028】(h−2)としては、活性水素原子含有多官能化合物にAOが付加した構造の化合物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0029】活性水素原子含有多官能化合物としては、(h−1−1)、(h−1−2)、アミン類(h−2−1)、ポリカルボン酸(f)、リン酸類(h−2−2)、ポリチオール(h−2−3)等が挙げられる。
【0030】(h−2−1)としては、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミン等)、アニリン等のモノアミン類及び後述のポリアミン(i)が挙げられる。
【0031】(h−2−2)としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等が挙げられる。また(h−2−3)としてはグリシジル基含有化合物と硫化水素との反応で得られる多価ポリチオール化合物等が挙げられる。上述した活性水素原子含有化合物は2種以上使用することもできる。
【0032】活性水素原子含有化合物に付加するAO(炭素数2〜12)としては、EO、PO、1,2−、2,3−若しくは1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン等があげられる。
【0033】AOは単独でも2種以上併用してもよく、後者の場合はブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型等)でもランダム付加でも両者の混合系〔ランダム付加後にチップしたもの:分子中に任意に分布されたEO鎖を0〜50%(好ましくは5〜40%)有し、0〜30%(好ましくは5〜25%)のEO鎖が分子末端にチップされたもの〕でもよい。これらのAOのうちで好ましいものはEO単独、PO単独、THF単独、POおよびEOの併用、PO及び/又はEOとTHFの併用(併用の場合、ランダム、ブロックおよび両者の混合系)である。
【0034】活性水素原子含有化合物へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒でまたは触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下(とくにAO付加の後半の段階で)に常圧または加圧下に1段階または多段階で行なわれる。
【0035】また、ポリオキシアルキレンポリオ−ル(h−2)は、少割合のポリイソシアネ−ト(後掲のもの)と反応させて更に高分子量化したものでもよい(ポリオキシアルキレンポリオ−ル/ポリイソシアネ−トの当量比:たとえば通常1.2〜10/1、好ましくは1.5〜2/1 )。
【0036】(h−2)の当量(水酸基当りのMn)は、通常100〜10,000、好ましくは250〜5,000、更に好ましくは500〜1,500である。また、該ポリオキシアルキレンポリオ−ルの官能価は、通常2〜8、好ましくは2〜3、とくに好ましくは2である。
【0037】(h−2)の不飽和度は少ない方が好ましく、通常0.1meq/g以下、好ましくは0.05meq/g以下、さらに好ましくは0.02meq/g以下である。また、該(h−2)の第1級水酸基含有率は通常0〜100%、好ましくは30〜100%、更に好ましくは50〜100%、最も好ましくは70〜100%である。
【0038】ポリエステルポリオール(h−3)には、ポリオール(e)とポリカルボン酸(f)とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオール、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、ポリオール(e)と低級アルコール(メタノール等)の炭酸ジエステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオール等が含まれる。
【0039】(h−3)の具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
【0040】(h−3)の水酸基価は、通常10〜300、好ましくは20〜250、更に好ましくは30〜200である。
【0041】重合体ポリオール(h−4)としては、ポリオール(前記ポリオキシアルキレテンポリオール及び/又はポリエステルポリオール)中で、ラジカル重合性モノマー[前記ビニル系モノマー(1)〜(10)、例えばスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニル及びこれらの2種以上の混合物等]を重合させ、該重合体を微分散させたものが挙げられる。
【0042】これらのモノマーを重合するためには通常ラジカル重合開始剤が使用される。使用されるラジカル重合開始剤は、前記のものが挙げられ、使用量も同様である。
【0043】ポリオール中での重合反応は無溶媒でも行なうことができるが、重合体濃度が高い場合には有機溶媒の存在下に行なうのが好ましい。該有機溶媒としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。また必要により、公知の連鎖移動剤(アルキルメルカプタン類、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、特開昭55−31880号公報記載のエノールエーテル類等)の存在下に重合を行なうことができる。
【0044】重合はバッチ式でも連続式でも行なうことができる。重合反応は重合開始剤の分解温度以上、通常60〜180℃、好ましくは90〜160℃、特に好ましくは100〜150℃で行なうことができ、大気圧下または加圧下、さらには減圧下においても行なうことができる。
【0045】重合反応終了後は、得られる重合体ポリオールは何ら後処理を加えることもなくそのままポリウレタンの製造に使用できるが、反応終了後は有機溶媒、重合開始剤の分解生成物や未反応モノマー等の不純物を、慣用手段により除くのが望ましい。
【0046】こうして得られる(h−4)は、通常30〜70%、好ましくは40〜60%、更に好ましくは45〜55%、最も好ましくは50〜55%の重合した全モノマー、すなわち重合体がポリオールに分散した、半透明ないし不透明の白色ないしは黄褐色の分散体である。
【0047】該(h−4)の水酸基価は、通常10〜300、好ましくは20〜250、更に好ましくは30〜200である。
【0048】ポリブタジエンポリオール(h−5)としては、1,2−ビニル構造を有するもの、1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造とを有するもの、および1,4−トランス構造を有するものが挙げられる。1,2−ビニル構造と1,4−トランス構造の割合は種々にかえることができ、たとえばモル比で100:0〜0:100である。また(h−5)にはホモポリマーおよびコポリマー(スチレンブタジエンコポリマー、アクリロニトリルブタジエンコポリマー等)、ならびにこれらの水素添加物(水素添加率:たとえば20〜100%)が含まれる。該(h−5)のMnは通常500〜10,000である。
【0049】(h−5)の具体例としては、日本曹達(株)製NISSO−PB Gシリーズ(G−1000、G−2000、G−3000等)、米国ARCO社製Poly Bd(Poly Bd R−45M、R−45HT、CS−15、CN−15)等が挙げられる。
【0050】ひまし油系ポリオール(h−6)としては、ひまし油および変性ひまし油(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールで変性されたひまし油等)が挙げられる。アクリルポリオール(h−7)としては、水酸基を有するビニルモノマー(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート)と他のビニルモノマー(例えば、メチルメタクリレート、スチレン、ブチルアクリレート)を共重合したものが挙げられる。官能基数としては通常2〜3、水酸基価は通常10〜150のものが挙げられる。
【0051】ポリアミン(i)の例としては、脂肪族ポリアミン類(炭素数2〜18):■脂肪族ポリアミン{炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等〕};■これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等〕;■複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等〕;芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数8〜15)(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等)、脂環式ポリアミン(炭素数4〜15):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添ジアミノジフェニルメタン)等、複素環式ポリアミン(炭素数4〜15):ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等、芳香族ポリアミン類(炭素数6〜20):■非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4’−及び4,4’−ジアミノジフェニルメタン、クルードジアミノジフェニルメタン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン等;■核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−及びi−プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン,3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等〕及びこれらの異性体の種々の割合の混合物;■核置換電子吸引基(Cl,Br,I,F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基等)を有する芳香族ポリアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキサイド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等〕;■2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記■〜■の芳香族ポリアミンの−NH2 の一部又は全部が−NH−R’(R’はアルキル基たとえばメチル,エチル等の低級アルキル基)で置き換ったもの〕〔4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等〕、ポリアミドポリアミン:ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等、ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等が挙げられる。
【0052】ポリチオール(j)としては、炭素数2〜24のジチオール及び3〜6価又はそれ以上、炭素数5〜30のポリチオール等が使用できる。ジチオールとしては、例えば、エチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール及び1,6−ヘキサンジチオールなどが挙げられる。ポリチオールとしては、例えば、カプキュア3800(ジャパンエポキシレジン社製)、ポリビニルチオール等が挙げられる。
【0053】エポキシ樹脂としては、ポリエポキサイド(k)と活性水素基含有化合物{水、ポリオール[前記ジオール(e−1)及び3価以上のポリオール(e−2)]、ジカルボン酸(f−1)、3価以上のポリカルボン酸(f−2)、ポリアミン(i)、ポリチオール(j)等}、ジカルボン酸(f−1)又は3価以上のポリカルボン酸(f−2)の酸無水物等との重付加物等が挙げられる。
【0054】ポリエポキサイド(k)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。(k)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。(k)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりのMn)は、通常65〜1000であり、好ましいのは90〜500である。エポキシ当量が1000を超えると、架橋構造がルーズになり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が悪くなり、一方、エポキシ当量が65未満のものを合成するのは困難である。
【0055】(k)の例としては、芳香族系ポリエポキサイド、複素環系ポリエポキサイド、脂環式系ポリエポキサイドあるいは脂肪族系ポリエポキサイドが挙げられる。芳香族系ポリエポキサイドとしては、多価フェノール類のグリシジルエーテル及び芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
【0056】多価フェノールのグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール(縮合度2〜20)のポリグリシジルエーテル及びレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール(縮合度2〜20)のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
【0057】グリシジル芳香族アミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0058】更に、芳香族ポリエポキサイドには、TDI又はMDIとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物質にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタンプレポリマー及びビスフェノール類(ビスフェノールA等)のAO(炭素数2〜4:例えばEO及び/又はPO)付加物のジグリシジルエーテルも含まれる。複素環系ポリエポキサイドとしては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
【0059】脂環式系ポリエポキサイドとしては、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環式系には、前記芳香族系ポリエポキサイドの核水添化物も含まれる。脂肪族系ポリエポキサイドとしては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル及びグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。脂肪族ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルとしては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、本発明において脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキサイド及び芳香族系ポリエポキサイドである。本発明のポリエポキサイドは、2種以上併用しても差し支えない。
【0060】樹脂(A)のMwは、1500〜500万が好ましく、さらに好ましくは2,000〜100万、特に好ましくは3,000〜50万である。樹脂(A)のガラス転移点(Tg:通常−50℃〜200℃)、重量平均分子量(通常200〜500万)、SP値(通常7〜18)及び架橋点間分子量(通常200〜200万は、用途よって好ましい範囲が異なり、適宜調整すればよい。なお、Tgは、DSC(示差走査熱量測定、昇温速度20℃/分)から求められ、SP値は、Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14,No.2,147〜154頁に記載の方法により算出される。
【0061】顔料(B)としては、白色系顔料、青色系顔料、赤色系顔料、黄色系顔料、黒色系顔料等が挙げられる。上記の各顔料には各々無機系顔料と有機系顔料があり、無機系顔料の具体例としては、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、フェライト、ベンガラ、紺青等が挙げられる。有機系顔料としては、フタロシアニン系、アゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、キノフタロン系、アンスラキノン系、カーミン系、ナフトール系、ピラゾロン系、ジブロモアントロン系等が挙げられる。使用する顔料の種類は、用途によって好ましい系統が異なり、適宜選択すればよい。
【0062】混合分散をより短時間で行うために、■顔料(B)を有機溶媒(C)中に固形分濃度5〜50%(好ましくは10〜40%)で分散させて、粗大粒子を予め粗解砕し、体積平均粒径を1〜100μmの範囲にすることが好ましい。なお、体積平均粒径は、レーザー式粒度分布測定装置[例えば、商品名:LA−920(堀場製作所製)]を用い測定できる。粗解砕の方法は、公知のいずれの分散方式を用いても良く、バッチ式分散機、連続式分散機、高圧分散機、振動式分散機、超音波分散機、メディア式分散機、3本ロールミル、ボールミル等の方式が挙げられる。これらのうち、分散時間短縮の観点から、連続式分散機、高圧分散機、超音波分散機、メディア式分散機が好ましい。特に好ましくは、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式分散機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧分散機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波分散機、ナノグレンミル、バスケットミル、ADミル(浅田鉄工社製)等のメディア式湿式分散機等が挙げられる。
【0063】(B)の含有量は、樹脂(A)100部に対して、通常0.1〜50部、好ましくは1〜30部、特に好ましくは2〜20部である。上記及び以下において部は重量部を示す。
【0064】上記の顔料とともに公知の染料、磁性粉等を使用できる。染料としては、アンスラキノン染料(スレンエローGCN、スレンブリリアントバイオレット2R等)、インジゴイド染料(インダンスレンブリリアントピンクR、スレンオレンジR等)、油溶性染料(オイルレッド、スダン−I等)、アゾ染料(オレンジII、セリトンファストエローG等)及びキノンイミン染料(ローダミンB等)が挙げられる。染料の含有量は、樹脂(A)100部に対して、通常0〜50部である。
【0065】磁性粉としては、酸化鉄〔例えばγ−Fe23(γ−ヘマタイト)〕、CrO3(三酸化クロム)、合金系の磁性体〔例えばCo−γ−Fe23(コバルトフェライトまたはコバルトドープγ−酸化鉄)、Fe−Co−Cr〕、純鉄Fe(メタルパウダー)、窒化鉄及び炭化鉄等が挙げられる。磁性粉の形状は通常、粒状及び針状である。磁性粉のサイズ(μm)の一例を示せば、径が通常0.02〜0.7、例えば直径0.2〜0.7、短径0.02〜0.1である。磁性粉の含有量は、樹脂(A)100部に対して、通常0〜70部である。
【0066】また、樹脂(A)、顔料(B)及び有機溶媒(C)を混合分散する際に、該(B)の分散性を向上させる目的で顔料分散剤(E)を使用するのが好ましい。(E)としては、顔料に対して吸着性を有する極性基を含有した高分子型分散剤等が挙げられる。該分散剤の分子量は、通常1000〜100万である。顔料に対して吸着性を有する極性基としては、リン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルファミン酸基等の酸性基及びその中和塩基、アミノ基及びアミノ基の中和塩基、4級アンモニウム塩基、アミド基、イミド基等があげられる。高分子型分散剤の主骨格としては、アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル等のビニル系モノマーの(共)重合体、ポリエステル、ポリアミドポリアミン等があげられる。
【0067】ビニル系モノマーとしては、前述の(1)〜(10)が挙げられ、ビニル系モノマーの(共)重合体としては、上記(2)〜(7)の任意のモノマーを、単独又はそれ以外のビニル系モノマーとの2種若しくはそれ以上の併用で、ラジカル重合触媒を用いて懸濁、乳化、溶液重合等の公知の重合法で合成することができ、その製造法は、前述と同様である。
【0068】ポリウレタンとしては、前述のポリイソシアネート(g)とリン酸基、カルボン酸基、スルホン基、スルファミン酸基、アミノ基またはリン酸基等の酸性基及びその中和塩、4級アンモニウム塩基を有するポリエステル等との重付加物等が挙げられる。
【0069】ポリウレタンは、■−1:末端に2個以上の活性水素基を有するポリオール[例えばMw200〜10万のポリエステルジ若しくはトリオール]とポリイソシアネート(g)を反応させ得られたNCO基を有するプレポリマーに、3級アミノ基と1個以上の活性水素基を有する化合物を反応させた後に有機酸で中和する。
■−2:3級アミノ基と1個以上の活性水素基を有する化合物[例えばN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)アルカノール(炭素数2〜6)アミン]とポリイソシアネート(g)を反応させ得られたNCO基を有するプレポリマーに、末端に2個以上の活性水素基を有するポリオール[例えばMw200〜10万のポリエステルジ若しくはトリオール]を反応させた後に有機酸で中和する。
等の方法で合成することができる。
【0070】ポリアミドポリアミンとしては、前述のポリアミン(i)とポリカルボン酸(f)との重縮合物などが使用できる。重縮合反応には、公知の重縮合触媒等が使用できる。(E)の使用量は、顔料(B)100部に対して通常0〜100部である。
【0071】有機溶媒(C)としては、炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン等)及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
【0072】有機溶媒(C)の量は、混合分散物の固形分{樹脂(A)、顔料(B)及び必要により顔料分散剤(E)}濃度が50〜98%、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは65〜90%となる量である。濃度が50%未満の場合は、分散に必要なシェアが不足し、顔料(B)の2次粒子の解砕速度が極端に遅くなりやすい。濃度が98%を超えると分散時の粘度が高くなり、分散系内で樹脂の滞留が起こるため分散速度が遅くりやすい。固形分濃度は、試料の重量に対する試料を150℃で45分乾燥後の残分の比率を%で表す。混合分散時の温度は通常0〜100℃、好ましくは10〜95℃、更に好ましくは20〜90℃である。混合分散時の圧力は通常−0.1〜1.0MPa、好ましくは−0.09〜0.5MPa、さらに好ましくは−0.01〜0.1MPaである。
【0073】樹脂(A)、顔料(B)、有機溶媒(C)及び必要により顔料分散剤(E)を混合分散する際には、自転公転機能を有する混合機を用いる。自転公転機能を有する混合機とは、撹拌翼が自転運動と公転運動を行い、撹拌翼と分散槽底部及び分散槽壁部の間のシェアで固形物の解砕分散を行う混合機をいう。自転公転機能を有する混合機は、撹拌翼の周速が速く効率も良いため、短時間での顔料の分散が可能である。自転公転機能を有する混合機としては、2〜3本の撹拌翼がそれぞれ自転しながら公転運動も行う遊星型ミキサー、1〜2本の撹拌翼が自転公転運動をする万能混合機等が挙げられ、更に具体例としては、プラネタリーミキサーPVMシリーズ(浅田鉄工社製)、プラネタリーミキサーPLM−Vシリーズ(井上製作所製)、T.K.ハイビスミックス、T.K.ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業社製)等が挙げられる。
【0074】上記混合分散物は、より粒度分布のシャープな乳化物又は分散物を得るために、水系媒体と混合して乳化物又は分散物とする前に、固形分濃度が20〜70%、好ましくは25〜65%となるように有機溶媒で調整するのが好ましい。調整前の固形分濃度が50〜70%で、且つブルックフィールド型粘度計による粘度が25℃で100〜5万mPa・sの場合は有機溶媒で調整せずに用いることができる。用いられる有機溶媒は前記のものと同様である。上記混合分散物と有機溶媒を撹拌混合することにより固形分濃度を調整することができる。調整温度は、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃、さらに好ましくは10〜30℃である。
【0075】得られた調整液における(A)の割合は通常20〜70%、好ましくは22〜68%、特に好ましくは24〜67%、(B)の割合は通常0.2〜35%、好ましくは0.3〜33%、特に好ましくは0.5〜30%、(C)の割合は通常30〜80%、好ましくは31〜78%、特に好ましくは33〜76%、(D)の割合は通常0〜15部、好ましくは0.01〜13部、特に好ましくは0.1〜10部である。
【0076】得られた調整液と水系媒体を後述のように混合して分散物を得て、造粒することにより本発明の樹脂組成物粒子が得られる。水系媒体としては水単独でもよいが、水に対する溶解度が5以上の溶媒を併用することもできる。併用可能な溶媒としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル等)、アミド系溶媒(ジメチルホルムアミド等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン等)及びセロソルブ系溶媒(メチルセロソルブ等)等が挙げられる。上記溶媒の使用量は水100部に対して、通常0〜50部、好ましくは1〜30部である。
【0077】分散に際しては、粒径を制御し、分散物の分散安定性を保つために分散剤(D)を使用する。(D)としては、公知の界面活性剤、水性ポリマー等を用いることができる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0078】アニオン界面活性剤としては、カルボン酸またはその塩、硫酸エステル塩、カルボキシメチル化物の塩、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩等が用いられる。
【0079】カルボン酸又はその塩としては、炭素数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸またはその塩が使用でき、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸及びリシノール酸並びにヤシ油、パーム核油、米ぬか油及び牛脂等をケン化して得られる高級脂肪酸の混合物が挙げられる。その塩としては、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩[モノないしトリアルキル(炭素数1〜20)アミン塩等]、4級アンモニウム塩[脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N,N−ジメチルピペラジン等)及び含窒素ヘテロ環芳香族類(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール等)の4級化物の塩等]及びアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等の塩が挙げられる。
【0080】硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩)、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩(炭素数8〜18の脂肪族アルコールのAO(EO及び/又はPO)1〜10モル付加物の硫酸エステル塩)、硫酸化油(炭素数12〜50の天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸(炭素数6〜40)の低級アルコール(炭素数1〜8)エステルを硫酸化して中和したもの)及び硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)等が使用できる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0081】高級アルコール硫酸エステル塩としては、例えば、オクチルアルコール硫酸エステル塩、デシルアルコール硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、ステアリルアルコール硫酸エステル塩、チーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、商品名:ALFOL 1214:CONDEA社製)の硫酸エステル塩及びオキソ法で合成されたアルコール(例えば、商品名:ドバノール23、25、45、ダイヤドール115−L、115H、135:三菱化学製:、商品名:トリデカノール:協和発酵製、商品名:オキソコール1213、1215、1415:日産化学製)の硫酸エステル塩が挙げられる。
【0082】高級アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリルアルコールEO2モル付加物硫酸エステル塩及びオクチルアルコールEO3モル付加物硫酸エステル塩等が挙げられる。硫酸化油としては、例えば、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ナタネ油、牛脂及び羊脂等の硫酸化物の塩等が挙げられる。硫酸化脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ブチル及びリシノレイン酸ブチル等の硫酸化物の塩等が挙げられる。硫酸化オレフィンとしては、例えば、商品名:ティーポール(シェル社製)等が挙げられる。
【0083】カルボキシメチル化物の塩としては、炭素数8〜16の脂肪族アルコール(オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ドバノール23、トリデカノール等)のカルボキシメチル化物の塩及び炭素数8〜16の脂肪族アルコールのAO(EO及び/又はPO)1〜10モル付加物(オクチルアルコールEO3モル付加物、ラウリルアルコールEO4モル付加物、ドバノール23EO3モル付加物及びトリデカノールEO5モル付加物等)のカルボキシメチル化物の塩等が使用できる。
【0084】スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、イゲポンT型及びその他芳香環含有化合物のスルホン酸塩等が使用できる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
【0085】アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩等が挙げられる。スルホコハク酸ジエステル塩としては、例えば、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩等が挙げられる。芳香環含有化合物のスルホン酸塩としては、アルキル化ジフェニルエーテルのモノまたはジスルホン酸塩及びスチレン化フェノールスルホン酸塩等が挙げられる。
【0086】リン酸エステル塩としては、高級アルコールリン酸エステル塩及び高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩等が使用できる。高級アルコールリン酸エステル塩としては、例えば、ラウリルアルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩及びラウリルアルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等が挙げられる。高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩としては、例えば、オレイルアルコールEO5モル付加物リン酸モノエステルジナトリウム塩等が挙げられる。
【0087】カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型界面活性剤及びアミン塩型界面活性剤等が使用できる。第4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、炭素数3〜40の3級アミンと4級化剤(例えば、メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド、ベンジルクロライド及びジメチル硫酸等のアルキル化剤並びにEO等)との反応等で得られ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0088】アミン塩型界面活性剤としては、1〜3級アミンを無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸、リン酸及び過塩素酸等)または有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、炭素数2〜24のアルキルリン酸、リンゴ酸及びクエン酸等)で中和すること等により得られる。第1級アミン塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数8〜40の脂肪族高級アミン(例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及び、ロジンアミン等の高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩及び低級アミン(炭素数2〜6)の高級脂肪酸(炭素数8〜40、ステアリン酸、オレイン酸等)塩等が挙げられる。
【0089】第2級アミン塩型界面活性剤としては、例えば炭素数4〜40の脂肪族アミンのEO付加物等の無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。また、第3級アミン塩型界面活性剤としては、例えば、炭素数4〜40の脂肪族アミン(例えば、トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等)、脂肪族アミン(炭素数2〜40)のEO(2モル以上)付加物、炭素数6〜40の脂環式アミン(例えば、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン等)、炭素数5〜30の含窒素ヘテロ環芳香族アミン(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール及び4,4’−ジピリジル等)の無機酸塩または有機酸塩及びトリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン等の3級アミンの無機酸塩または有機酸塩等が挙げられる。
【0090】両性界面活性剤としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤及びリン酸エステル塩型両性界面活性剤等が使用できる。
【0091】カルボン酸塩型両性界面活性剤は、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤及びイミダゾリン型両性界面活性剤等が用いられる。アミノ酸型両性界面活性剤は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持っている両性界面活性剤であり、例えば、アルキル(炭素数6〜40)アミノプロピオン酸型両性界面活性剤(ステアリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等);アルキル(炭素数4〜24)アミノ酢酸型両性界面活性剤(ラウリルアミノ酢酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0092】ベタイン型両性界面活性剤は、分子内に第4級アンモニウム塩型のカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤であり、例えば、アルキル(炭素数6〜40)ジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、炭素数6〜40のアミドベタイン(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等)、アルキル(炭素数6〜40)ジヒドロキシアルキル(炭素数6〜40)ベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)等が挙げられる。
【0093】イミダゾリン型両性界面活性剤としては、イミダゾリン環を有するカチオン部分とカルボン酸型のアニオン部分を持っている両性界面活性剤であり、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0094】その他の両性界面活性剤として、例えば、ナトリウムラウロイルグリシン、ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシン塩酸塩、ジオクチルジアミノエチルグリシン塩酸塩等のグリシン型両性界面活性剤;ペンタデシルスルホタウリン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤及びリン酸エステル塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0095】非イオン界面活性剤としては、AO付加型非イオン界面活性剤および多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤等が使用できる。AO付加型非イオン界面活性剤は、炭素数8〜40の高級アルコ−ル、炭素数8〜40の高級脂肪酸または炭素数8〜40のアルキルアミン等に直接AO(炭素数2〜20)を付加させるか、グリコ−ルにAOを付加させて得られるポリアルキレングリコ−ルに高級脂肪酸等を反応させるか、あるいは多価アルコ−ルに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
【0096】AOとしては、たとえばEO、POおよびブチレンオキサイドが挙げられる。これらのうち好ましいものは、EOおよびEOとPOのランダムまたはブロック付加物である。AOの付加モル数としては10〜50モルが好ましく、該AOのうち50〜100重量%がEOであるものが好ましい。
【0097】AO付加型非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルエーテル(オキシアルキレンの炭素数2〜24、アルキル若しくはアルケニルの炭素数8〜40)(例えば、オクチルアルコールEO20モル付加物、ラウリルアルコールEO20モル付加物、ステアリルアルコールEO10モル付加物、オレイルアルコールEO5モル付加物、ラウリルアルコールEO10モルPO20モルブロック付加物等);ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(オキシアルキレンの炭素数2〜24、高級脂肪酸の炭素数8〜40)(例えば、ステアリル酸EO10モル付加物、ラウリル酸EO10モル付加物等);ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ−テル(オキシアルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)(例えば、ノニルフェノールEO4モル付加物、ノニルフェノールEO8モルPO20モルブロック付加物、オクチルフェノールEO10モル付加物、ジノニルフェノールEO20モル付加物等);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエ−テル(オキシアルキレンの炭素数2〜24、アルキルの炭素数8〜40)(例えば、ラウリルアミンEO10モル付加物等);ポリオキシアルキレンアルカノ−ルアミド(アルキレンの炭素数2〜24、アミド(アシル部分)の炭素数8〜24)(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO10モル付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO20モル付加物、ジヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO10モル付加物等)が挙げられる。
【0098】多価アルコ−ル型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物、多価アルコールアルキルエーテル及び多価アルコールアルキルエーテルAO付加物等が使用できる。多価(2価〜8価又はそれ以上)アルコールの炭素数としては3〜24、脂肪酸の炭素数としては8〜40、AOの炭素数としては2〜24である。
【0099】多価アルコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート及びショ糖モノステアレート等が挙げられる。
【0100】多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物としては、例えば、エチレングリコールモノオレートEO10モル付加物、エチレングリコールモノステアレートEO20モル付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO20モルPO10モルランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO10モル付加物、ソルビタンモノステアレートEO20モル付加物、ソルビタンジステアレートEO20モル付加物及びソルビタンジラウレートEO12モルPO24モルランダム付加物等が挙げられる。
【0101】多価アルコールアルキルエーテルとしては、例えば、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド及びラウリルグリコシド等が挙げられる。
【0102】多価アルコールアルキルエーテルAO付加物としては、例えば、ソルビタンモノステアリルエーテルEO10モル付加物、メチルグリコシドEO20モルPO10モルランダム付加物、ラウリルグリコシドEO10モル付加物及びステアリルグリコシドEO20モルPO20モルランダム付加物等が挙げられる。
【0103】水溶性ポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびそれらのケン化物、カチオン化セルロース等)、ゼラチン、可溶性デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、アクリル酸(塩)含有ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸の水酸化ナトリウム部分中和物、アクリル酸ナトリウム−アクリル酸エステル共重合体)、スチレン−無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウム(部分)中和物、水溶性ポリウレタン(ポリエチレングリコール等とポリイソシアネートの反応生成物等)等が挙げられる。
【0104】水溶性ポリマーのうち、セルロース誘導体、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及びアクリル酸(塩)含有ポリマーが好ましい。これらの水性ポリマーのMwは、通常500〜2,000,000である。
【0105】分散剤(D)は水系分散媒中に予め添加して使用する。(D)の添加量は、上記調整液100部に対して通常0.01〜10部、好ましくは0.1〜10部である。
【0106】分散物の粒度分布をシャープにするため、分散を有機又は無機微粒子の存在下に行うことが好ましい。有機又は無機微粒子は水系分散媒中に予め分散させて使用する。有機微粒子としては、上記(1)〜(10)のビニル系モノマーの(共)重合体等、無機微粒子としては、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。上記の有機微粒子は、(A)と同一の組成、同一の分子量であってもかまわない。
【0107】微粒子のメジアン径は、通常0.01〜100μmであり、目的とする樹脂微粒子組成物の用途に応じて適宜選択すればよい。メジアン径は、レーザー回折式粒度分布計「LA−920」(堀場製作所製)により測定される。微粒子の使用量は、上記調整液100部に対して通常0〜100部、好ましくは0.1〜100である。
【0108】水系媒体における分散剤(D)の割合は、通常0.1〜10%、好ましくは0.2〜9%、特に好ましくは0.3〜8%であり、溶媒の割合は、通常0〜50%、好ましくは0〜30%、微粒子の割合は、通常0〜50%、好ましくは0〜40%である。
【0109】調整液100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2,000部、好ましくは70〜800部である。
【0110】調整液と水系媒体との混合分散時の温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜98℃である。常圧又は加圧下のいずれでもかまわない。混合時間は、使用する装置によって異なるが、通常0.1秒〜10分、好ましくは0.5秒〜8分、特に好ましくは1秒〜5分である。
【0111】調整液と水系媒体との混合に用いる装置は、特に限定されず、一般に乳化機、分散機として市販されているものを用いることができる。例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。上記調整液と乳化剤又は分散剤を添加した水系媒体を上記の装置で分散混合することで溶媒含む本発明の樹脂組成物粒子が得られる。この分散は、バッチ処理で行っても良いし、調整液及び水系媒体をポンプ等で送液しながら連続的に行っても良い。
【0112】得られた分散物を脱溶媒して樹脂組成物粒子が得られる。脱溶剤の温度は通常0〜150℃、好ましくは5〜120℃、特に好ましくは10〜100℃であり、圧力は通常0.1〜98kPa、好ましくは0.2〜90kPaである。時間は通常1分〜72時間、好ましくは2分〜48時間である。装置としては、通常のコルベンに撹拌装置と揮発した溶剤の冷却回収装置を備え付けたバッチ式脱溶剤装置、連続式、薄膜式脱溶剤装置などが使用できる。
【0113】樹脂組成物粒子の平均粒子径(D50)は、通常0.1〜500μm、粒径分布(体積平均粒径Dv/個数平均粒径Dn)は、通常1.05〜5.0であり、いずれも使用される用途に応じて適宜設定すればよい。なお、D50、体積平均粒径、個数平均粒径は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチタイザーIII(コールター社製)]を用い測定できる。樹脂組成物粒子のBET比表面積は、粉体流動性の観点から0.5〜5.0m2/gであるのが好ましい。なお、BET比表面積は、比表面積計(例えば、商品名:QUANTASORB、ユアサアイオニクス社製)を用いて測定(測定ガス:He/Kr=99.9/0.1vol%、検量ガス:窒素)することができる。
【0114】第2発明は、第1発明の樹脂(A)の代わりに(A)の前駆体である反応性基含有プレポリマー(a−1)を用い、水系媒体と混合して乳化物又は分散物を得る際に、水系媒体中の硬化剤(a−2)と硬化反応させ、樹脂(A)を形成しながら行い、造粒する方法である。該硬化剤には、プレポリマーを伸張反応又は架橋反応するための伸張剤及び架橋剤が含まれる。第2発明においては調整液の粘度を低くすることが可能であり、乳化・分散時の粒子の小粒径化、粒度分布のシャープ化に有利で、有機溶媒に難溶な高分子樹脂、架橋樹脂の粒子化が可能となる特徴を有する。
【0115】反応性基含有プレポリマー(a−1)と、硬化剤(a−2)の組み合わせとしては、下記■、■等が挙げられる。
■:(a−1)が、活性水素化合物と反応可能な官能基を有する化合物(a−1−1)であり、該(a−2)が活性水素基含有化合物(a−2−1)の組み合わせ。
■:(a−1)が活性水素基を有する化合物(a−1−2)であり、該(a−2)が活性水素基と反応可能な化合物(a−2−2)の組み合わせ。
【0116】上記■において、活性水素化合物と反応可能な官能基を有する化合物(a−1−1)としては、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、エポキシ基、酸無水物基及び酸ハライド基を有する化合物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基及びエポキシ基を有する化合物である。ブロック化イソシアネート基としては、イソシアネート基をフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの等が挙げられる。
【0117】活性水素基含有化合物(a−2−1)としては、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン、ポリオール、ポリチオール及び水等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリアミン、脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミン、ポリオール及び水である。
【0118】脱離可能な化合物でブロック化されていてもよいポリアミンとしては、前記のポリアミン(i)と同様のもの及び(i)と炭素数3〜8のケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0119】ポリオールとしては、前記のジオール(e−1)及び3価以上のポリオール(e−2)と同様のものが挙げられ、ジオール(e−1)単独、又はジオール(e−1)と少量の3価以上のポリオール(e−2)の混合物が好ましい。ポリチオールとしては、前記のポリチオール(j)と同様のものが挙げられる。さらに、必要により(a−2−1)と共に反応停止剤を用いることができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等);モノ−又はジ−アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等);モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等);モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール;モノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等)等が挙げられる。
【0120】前述の■におけるプレポリマー(a−1)が有する活性水素基(a−1−2)としては、アミノ基、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、メルカプト基、カルボキシル基及びそれらが脱離可能な化合物でブロック化された有機基等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、アミノ基、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)及びアミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基である。アミノ基が脱離可能な化合物でブロック化された有機基としては、アミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)と反応させて得られるケチミン基、オキサゾリン基等が挙げられる。
【0121】活性水素基と反応可能な化合物(a−2−2)としては、ポリイソシアネート、ポリエポキサイド、ポリカルボン酸、ポリ酸無水物及びポリ酸ハライド等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、ポリイソシアネート及びポリエポキサイドである。
【0122】ポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネート(g)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0123】ポリエポキサイドとしては、前記ポリエポキサイド(k)と同様のものが挙げられ、好ましいものは、ポリグリシジルエーテルである。
【0124】ポリカルボン酸としては、前記のジカルボン酸(f−1)及び3価以上のポリカルボン酸(f−2)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0125】ポリカルボン酸無水物としては、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。ポリ酸ハライド類としては、前記の酸ハライド(酸クロライド、酸ブロマイド、酸アイオダイド)等が挙げられる。さらに、必要により(a−2−2)と共に反応停止剤を用いることができる。反応停止剤としては、モノイソシアネート(ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネート等)、モノエポキサイド(ブチルグリシジルエーテル等)、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、モノアミンをブロックしたもの(ケチミン化合物等)、モノオール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、フェノール及びモノメルカプタン(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等)等が挙げられる。
【0126】反応性基含有プレポリマー(a−1)中の反応性基と(a−2)中の活性水素基の当量比は、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。なお、(a−2)が水の場合は水は2価の活性水素化合物として取り扱う。
【0127】該プレポリマー(a−1)は、ポリエステル、エポキシ樹脂及びポリウレタン等のプレポリマーが挙げられる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)とエピクロルヒドリンとの付加縮合物等が挙げられる。ポリウレタンとしては、前記のポリオールと前記のポリイソシアネートとの重付加物等が挙げられる。
【0128】ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン等に反応性基を含有させる方法としては、■:一方の構成成分を過剰に用いることで構成成分の官能基を末端に残存させる方法、■:■にさらに■と反応可能な官能基と反応性基を含有する化合物を反応させる方法等が挙げられる。
【0129】■の方法で、水酸基含有ポリエステルプレポリマー、カルボキシル基含有ポリエステルプレポリマー、酸ハライド基含有ポリエステルプレポリマー、水酸基含有エポキシ樹脂プレポリマー、エポキシ基含有エポキシ樹脂プレポリマー、水酸基含有ポリウレタンプレポリマー、イソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーが得られる。構成成分の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーの場合、ジオール(e−1)及び/又は3価以上のポリオールとジカルボン酸(f−1)及び/又は3価以上のポリカルボン酸(f−2)の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1.05/1、好ましくは1.5/1〜1.05/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.1/1である。他の構成成分、末端のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0130】■の方法で、■で得られたプレポリマーに、ポリイソシアネートを反応させることでイソシアネート基含有プレポリマーが得られ、ポリエポキサイドを反応させることでエポキシ基含有プレポリマーが得られる。ポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネート(g)と同様なものが挙げられ、好ましいものも同様である。
【0131】反応性基を含有する化合物の比率は、例えば、水酸基含有ポリエステルプレポリマーにポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを得る場合、ポリイソシアネートの比率が、イソシアネート基[NCO]と、水酸基含有ポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。他の構成成分、末端のプレポリマーの場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。
【0132】該プレポリマー(a−1)中の反応性基の含有量は、プレポリマーのMn/反応性基数で通常150〜30,000、好ましくは300〜10,000である。(a−1)のMnは、通常500〜15,000、好ましくは1,000〜20,000、さらに好ましくは2,000〜10,000である。(a−1)のMwは、1,000〜50,000、好ましくは2,000〜40,000、さらに好ましくは4,000〜20,000である。
【0133】更に、必要により(a−2)と共に反応停止剤を用いることができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
【0134】硬化反応時間は、プレポリマー(a−1)の有する反応性基の構造と硬化剤(a−2)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは50〜120℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、例えばイソシアネートの反応の場合には、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレートが挙げられる。エポキシの反応の場合には、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、イミダゾール類(2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、ターシャリーアミン類[2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等]が挙げられる。
【0135】また、該プレポリマー(a−1)と共に、(a−1)と(a−2)との水系媒体中での反応時に、(a−1)及び(a−2)と反応しないポリマー[いわゆるデッドポリマー]を系内に含有させることもできる。すなわち、プレポリマー(a−1)を水系媒体中で硬化反応させた樹脂と共に、硬化反応させていない樹脂を含有させることもできる。硬化反応させた樹脂と硬化反応させていない樹脂の比率は、通常100/0〜1/99、好ましくは99/1〜5/95、さらに好ましくは90/10〜10/90、特に好ましくは80/20〜15/85である。
【0136】本発明において、樹脂組成物粒子を形成させる際に、用途により公知の他の添加剤を使用しても良い。添加剤としては充填剤(炭酸カルシウム等)、帯電防止剤[ポリスチレン(分子量1000〜50万)スルホン酸のナトリウム塩等]、離型剤(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成ワックス、カルナバワックス等の天然ワックス等)、荷電制御剤(アルキルサリチル酸金属塩等)及び紫外線吸収剤(ヒンダードフェノール、メトキシハイドロキノン等)等が挙げられる。樹脂組成物粒子と上記の他の添加物は、調整液と水系媒体を混合する際に混合してもよいが、あらかじめ(a−1)又は(A)若しくはその原料と添加物を混合した後、該混合液と水系媒体を混合する方がより好ましい。
【0137】本発明の樹脂組成物粒子は、遠心分離器、スパクラフィルター、フィルタープレス等により固液分離し、得られた粉末を乾燥することによって得られる。遠心分離の条件は、通常10〜10,000G、好ましくは50〜5,000Gで通常1〜60分、好ましくは2〜45分である。加圧式濾過器の場合は、通常0.0098〜9.8MPa、好ましくは0.049〜0.98MPaの圧力をかけることで濾別できる。得られた粉末を乾燥する方法としては、流動層式乾燥機、減圧乾燥機、循風乾燥機等公知の設備を用いて行うことができる。乾燥温度は、通常0〜150℃、好ましくは20〜120℃、乾燥時間は通常1分〜72時間、好ましくは2分〜48時間である。また、必要に応じ、風力分級器等を用いて分級し、用途に応じた粒度分布とすることもできる。
【0138】本発明の樹脂組成物粒子は、顔料分散性が良好で、得られる樹脂の膜の色彩先鋭性及び透明性が良好であり、熱溶融性及び粉体流動性に優れるため、粉体塗料、熱溶融型成形用樹脂、液晶等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられるトナー、その他成形材料等に有用である。
【0139】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】製造例1[高分子量ポリエステル(A−1)の合成]ビスフェノールAのEO2モル付加物542部、ビスフェノールAのPO2モル付加物192部、イソフタル酸300部、テレフタル酸49部及びジブチルチンオキサイド2部を常圧下、230℃で6時間重縮合させ、次いで10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させて、Mn7300、Mw28000、OHV13、AV1.6の高分子量ポリエステル(A−1)を得た。
【0141】製造例2[低分子量ポリエステル(A−2)の合成]ビスフェノールAのEO2モル付加物378部、ビスフェノールAのPO2モル付加物402部、イソフタル酸100部、テレフタル酸205部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で6時間重縮合させ、次いで10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させて、Mn2800、Mw5100、OHV=53、AV=1.2の低分子量ポリエステルを得た。
【0142】製造例3[イソシアネート基含有プレポリマー(x)の合成]冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物358部、ビスフェノールAのPO2モル付加物381部、イソフタル酸200部、テレフタル酸127部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応させ、更に10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応させてOHV25、AV0.9のポリエステルプレポリマーを得た。更に80℃まで冷却し、酢酸エチル364部とイソホロンジイソシアネート98部を加えて110℃で2時間反応を行いMw12000、NCO含量1.29%のイソシアネート基含有プレポリマー(x)の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)を得た。
【0143】製造例4[ケチミン化合物(y)の合成]撹拌棒及び温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(y)を得た。
【0144】実施例1[樹脂組成物粒子(1)の合成]
■(A−1)30部、(A−2)70部、シアニンブルーKRO(フタロシアニン系顔料:山陽色素製)の酢酸エチル分散液15部(固形分濃度33%)、顔料分散剤(I)[Disper Ayk−170(ビックケミージャパン製:アミノ変性ポリエステルの有機酸塩、酸価44、アミン価32、Mw4500、固形分濃度30%)]2部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度90%]
なお、シアニンブルーKROの酢酸エチル分散液は、予め高圧ホモジナイザー[ゴーリン型G−5(APV社製)]を用いて600kg/cm2の圧力で予備解砕を行ったものを使用した。その後、内温80℃まで昇温して公転24rpm、自転72rpmで1時間混合し、撹拌したまま45℃まで冷却して、6時間分散を行った後、酢酸エチル95を2時間かけて連続で投入して固形分濃度50%の樹脂と顔料の調整液(1)を得た。
■ビーカー内にイオン交換水200部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)35部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を入れ均一に溶解した。ついで20℃に温調し、TK式ホモミキサーで5000rpmに撹拌しながら、調整液(1)100部を投入し10分間撹拌した。ついでこの混合液を撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、50℃まで昇温して減圧で溶媒を除去した。濾別後、ケーキを5%塩酸450部に分散洗浄し再度濾別した。この操作を更に5%塩酸200部で1回、5%水酸化ナトリウム200部で1回、イオン交換水250部で3回繰り返した後、順風乾燥機で乾燥、風力分級し、平均粒子径D50が20μm、BET比表面積3.8m2/gの[樹脂組成物粒子(1)]を得た。
【0145】実施例2[樹脂組成物粒子(2)の合成](A−1)10部、(A−2)90部、シアニンブルーKRO(フタロシアニン系顔料:山陽色素製)の酢酸エチル分散液15部(固形分濃度33%)、顔料分散剤(I)2部、酢酸エチル48部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度64%]
その後、内温80℃まで昇温して公転24rpm、自転72rpmで1時間混合し、撹拌したまま45℃まで冷却して、6時間分散を行った後、酢酸エチル46を2時間かけて連続で投入して固形分濃度50%の樹脂と顔料の調整液(2)を得た。この調整液(2)を用いた以外はすべて実施例1−■と同様の操作を行い、平均粒子径D50が20μm、BET比表面積3.6m2/gの[樹脂組成物粒子(2)]を得た。この場合、水が伸長剤となる。
【0146】実施例3[樹脂組成物粒子(3)の合成](x)の酢酸エチル溶液100部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)5部、顔料分散剤(I)2部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度75%]
その後、内温20℃で公転24rpm、自転72rpmで、7時間分散を行った後、酢酸エチル54部を2時間かけて連続で投入して固形分濃度50%のプレポリマーと顔料の調整液(3)を得た。この調整液(3)を用いた以外はすべて実施例1−■と同様の操作を行い、平均粒子径D50が21μm、BET比表面積3.5m2/gの[樹脂組成物粒子(3)]を得た。この場合、水が伸長剤となる。
【0147】実施例4[樹脂組成物粒子(4)の合成]
(A−2)100部、シアニンブルーKRO(フタロシアニン系顔料:山陽色素製)の酢酸エチル分散液20部(濃度20%)、顔料分散剤(I)2部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度86%]
その後、内温80℃まで昇温して公転24rpm、自転72rpmで1時間混合した後、撹拌したまま45℃まで冷却して、7時間分散を行った後、酢酸エチル90部を2時間かけて連続で投入し、更に前述のイソシアネート基含有プレポリマー(x)の酢酸エチル溶液20部、酢酸エチル1.2部及びケチミン化合物(y)1.2部を混合して、固形分濃度50%の樹脂と顔料の調整液(4)を得た。この調整液(4)を用いた以外は、すべて実施例1−■と同様の操作を行い、平均粒子径D50が18μm、BET比表面積3.9m2/gの[樹脂組成物粒子(4)]を得た。
【0148】比較例1[樹脂組成物粒子(5)の合成](A−2)70部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)5部、顔料分散剤(I)2部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製 FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製 PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて微粉砕した後、酢酸エチル77部を入れて35℃で3時間撹拌して固形分濃度50%の樹脂と顔料の調整液(5)を得た。この調整液(5)を用いた以外は、すべて実施例1−■と同様の操作を行い、平均粒子径D50が20μm、BET比表面積4.0m2/gの[樹脂組成物粒子(5)]を得た。
【0149】比較例2[樹脂組成物粒子(6)の合成](A−2)70部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)5部、顔料分散剤(I)2部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度98%]
その後、内温150℃まで昇温して公転24rpm、自転72rpmで1時間混合した後、撹拌したまま130℃まで冷却して、7時間分散を行った後、酢酸エチル74部を2時間かけて連続で圧入し、固形分濃度50%の樹脂と顔料の調整液(6)を得た。この調整液(6)を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行い、平均粒子径D50が18μm、BET比表面積4.1m2/gの[樹脂組成物粒子(6)]を得た。
【0150】比較例3[樹脂組成物粒子(7)の合成](A−2)70部、シアニンブルーKRO(山陽色素製)5部、顔料分散剤(I)2部及び酢酸エチル112部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度40%]
その後、内温75℃まで昇温して公転24rpm、自転72rpmで1時間混合した後、撹拌したまま25℃まで冷却して、7時間分散を行ない、固形分濃度40%の樹脂と顔料の調整液(7)を得た。この調整液(7)を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行い、平均粒子径D50が14μm、BET比表面積4.4m2/gの[樹脂組成物粒子(7)]を得た。
【0151】比較例4(A−2)70部、シアニンブルーKRO(フタロシアニン系顔料:山陽色素製)の酢酸エチル分散液20部(濃度20%)、顔料分散剤(I)2部をプラネタリーミキサーPLM−V−15V(井上製作所製)に仕込んだ。[固形分濃度83%]
その後、内温75℃まで昇温して公転24rpm、自転72rpmで1時間混合した後、撹拌したまま25℃まで冷却して、7時間分散を行なった後、酢酸エチル3部を投入して固形分濃度80%の樹脂と顔料の調整液(8)を得た。この調整液(8)を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行なったが、調整液が水系媒体中で塊状となり、分散物は得られなかった。
【0152】物性測定1顔料分散性:調整液(1)〜調整液(7)の顔料の平均粒子径(D50)と顔料の凝集体(粒径1μm以上)の含量をレーザー回折式粒度分布計「LA−920」(堀場製作所製)で測定した。評価結果を表1に示す。顔料粒径が小さく、凝集体含量の少ないほど、顔料分散性、調整液における顔料分散状態の経時安定性が良好である。
【0153】物性測定2樹脂の膜の色彩鮮鋭性:樹脂組成物粒子(1)〜(7)0.1gを縦5cm×横5cmのガラス片にのせ、ホットプレートで加熱しながら、もう一枚のガラスを上から乗せた後に圧力をかけて樹脂の膜を作成した。この樹脂の膜のクロマティクネス指数とヘイズを色差計「NDH−300A」(日本電色工業製)で測定した。評価結果を表2に示す。クロマティクネス指数(a*,b*)は、各測定値の絶対値が大きいほど色彩が鮮やかであり、ヘイズは測定値が小さいほど透明である。
【0154】
【表1】


【0155】
【表2】


【0156】
【発明の効果】本発明の方法は以下の効果を有する。
1.顔料分散液の分散性が良好で分散状態の経時安定性に優れる。
2.樹脂粒子中の顔料分散性が良好で、得られる樹脂の膜の色彩鮮鋭性、透明性に優れる。
上記効果を奏することから、本発明の方法から得られる樹脂組成物粒子は、粉体塗料、熱溶融型成形用樹脂、液晶等の電子部品製造用スペーサー、電子測定機器の標準粒子、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられるトナー、各種ホットメルト接着剤、その他成形材料等に有用な樹脂粒子として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂(A)、顔料(B)を含有する有機溶媒(C)中の分散液(I)と分散剤(D)を含有する水系媒体を混合してなる水系分散体を造粒して樹脂組成物粒子を製造する方法において、(I)が、(A)、(B)、(C)及び必要により顔料分散剤(E)を自転公転機能を有する混合機で混合分散してなる固形分濃度50〜98重量%の混合分散物を必要により有機溶媒で希釈してなる固形分濃度20〜70%の調整液であることを特徴とする樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項2】 樹脂(A)、顔料(B)を含有する有機溶媒(C)中の分散液(I)と分散剤(D)を含有する水系媒体を混合してなる水系分散体を造粒して樹脂組成物粒子を製造する方法において、(I)が、(A)の前駆体である反応性基含有プレポリマー(a−1)、(B)、(C)及び必要により顔料分散剤(E)を自転公転機能を有する混合機で混合分散してなる固形分濃度50〜98重量%の混合分散物を必要により有機溶媒で希釈してなる固形分濃度20〜70%の調整液であり、該(I)と水系媒体を混合する際に硬化剤(a−2)により(a−1)を硬化させて樹脂(A)を形成させることを特徴とする樹脂組成物粒子の製造方法。
【請求項3】 該プレポリマー(a−1)の反応性基が、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基及びエポキシ基からなる群より選ばれる反応性基であり、かつ該(a−2)がブロックされていてもよい活性水素原子含有基を有する化合物(a−2−1)である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】 該(a−2−1)が、水又はケチミン化合物である請求項3記載の製造方法。
【請求項5】 自転公転機能を有する混合機が、遊星型ミキサー又は万能混合機である請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】 樹脂(A)がビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】 顔料(B)が白色系、青色系、赤色系、黄色系及び/又は黒色系の顔料からなる請求項1〜6のいずれか記載の製造方法。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法で得られ、平均粒子径(D50)が0.1〜500μmであり、BET比表面積が0.5〜5.0m2/gである樹脂組成物粒子。
【請求項9】 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法で得られる樹脂組成物粒子からなる粉体塗料。

【公開番号】特開2002−249591(P2002−249591A)
【公開日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−384850(P2001−384850)
【出願日】平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】